JP2005071862A - 筒型二次電池及びこれを用いた電池ユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明に係る筒型二次電池においては、円筒状の缶本体11の開口部に円板状の封口体2を取り付けてなる電池缶1の内部に巻き取り電極体4が収容され、該巻き取り電極体4が発生する電力を正負一対の電極端子部10、20から外部に取り出すことが出来る。缶本体11は、円筒状の周壁16と該周壁16の一方の開口を塞ぐ円板状の底壁17とを一体成型して構成されており、該底壁17によって一方の電極端子部10は構成され、周壁16は、底壁17側の厚肉周壁部13と封口体2側の薄肉周壁部14とから構成されている。
【選択図】 図1
Description
例えば特許文献1に示すリチウムイオン二次電池は、図9に示す如く、底壁(97)及び周壁(96)を有する円筒状の負極缶(91)の内部に巻き取り電極体(4)を収容して、負極缶(91)の開口部に封口体(2)を固定したものであって、負極缶(91)と封口体(2)の間には絶縁部材(12)が介在している。封口体(2)は、中央孔(21a)が開設された蓋(21)と、該中央孔(21a)を覆う円筒状のキャップ(22)とを具え、蓋(21)の裏面には、前記中央孔(21a)と対向する位置に弁体(24)を具えた金属薄膜(25)が配備され、キャップ(22)の外周面には複数のガス排出孔(23)が開設されている。又、キャップ(22)によって正極端子部(20)が構成され、負極缶(91)の底壁(97)によって負極端子部(90)が構成されている。
尚、負極缶(91)は、ニッケル鍍金を施した鉄製である。
該ジョイントキャップ(6)は、互いに直列に接続すべき2本の電池(9a)(9b)の間に介在するものであって、一方の電池(9b)の負極缶(91)の底部を包囲すべき円筒状の第1接続部(61)と、他方の電池(9a)のキャップ(22)を包囲すべき円筒状の第2接続部(62)とから構成され、第1接続部(61)の内周面には、負極缶(91)の周壁(96)に向かって突出する複数の第1プロジェクション(65)が形成されると共に、第2接続部(62)の底面には、封口体(2)に向かって突出する複数の第2プロジェクション(66)が形成されている。
この様にして、2本以上の電池を直列に接続することによって、所望の電力や電圧を得ることの出来る電池ユニットが構成される。
そこで本発明の目的は、従来よりも大きな溶接熱でジョイントキャップと缶本体とを溶接することが出来る筒型二次電池及びこれを用いた電池ユニットを提供することである。
該具体的構成においては、厚肉底壁(17a)が従来の底壁よりも十分に大きい単位面積当たりの熱容量を有することになるので、厚肉底壁(17a)と集電板(30)の接触面に大きな溶接熱を発生させた場合にも、該溶接熱によって厚肉底壁(17a)が損傷を受けることはない。従って、厚肉底壁(17a)と集電板(30)の溶接部に従来よりも大きな溶接熱を発生させて集電板(30)の溶け込み量を増大させることが出来、これによって溶接部の面積を増大させることが出来る。
前記電池は、筒状の缶本体(11)の開口部に封口体(2)を取り付けてなる電池缶(1)を具え、該電池缶(1)の内部には二次電池要素が収容され、該二次電池要素が発生する電力を正負一対の電極端子部(10)(20)から外部に取り出すことが可能である。前記缶本体(11)は、筒状の周壁(16)と該周壁(16)の一方の開口を塞ぐ底壁とを一体成型して構成されており、該底壁によって一方の電極端子部(10)が構成されると共に、前記封口体(2)によって他方の電極端子部(20)が構成され、前記周壁(16)は、底壁側の厚肉周壁部(13)と封口体(2)側の薄肉周壁部(14)とから構成されている。
前記ジョイントキャップ(6)は、第1の電池(1b)の缶本体(11)の底壁に接触すべき第1接続部(61)と、第2の電池(1a)の封口体(2)に接触すべき第2接続部(62)とにより構成されている。前記第1接続部(61)は、第1の電池(1b)の缶本体(11)の底壁と対向する平板部(63)と、該平板部(63)の外周縁に突設されて第1の電池(1b)の缶本体(11)の周壁(16)を包囲する筒状のスカート部(64)とを具え、該スカート部(64)は、第1の電池(1b)の周壁(16)の厚肉周壁部(13)に溶接されている。
円筒型リチウムイオン二次電池
全体構成
本発明に係る円筒型リチウムイオン二次電池において、電池缶(1)は、図1及び図2に示す如く、缶本体(11)の開口部に円板状の封口体(2)を固定したものであって、該電池缶(1)の内部には、巻き取り電極体(4)が収容されている。又、封口体(2)のキャップ(22)によって正極端子部(20)が構成されると共に、缶本体(11)の底壁(17)によって負極端子部(10)が構成されている。
巻き取り電極体(4)は、図3に示す如く、それぞれ帯状の正極(41)と負極(43)の間に帯状のセパレータ(42)を介在させて、これらを渦巻き状に巻回して構成されている。正極(41)は、アルミニウム箔からなる帯状芯体(45)の両面にリチウム複合酸化物からなる正極活物質(44)を塗布して構成され、負極(43)は、銅箔からなる帯状芯体(47)の両面に炭素材料を含む負極活物質(46)を塗布して構成されている。又、セパレータ(42)には、非水電解液が含浸されている。
正極(41)及び負極(43)は、それぞれセパレータ(42)上に幅方向へずらして重ね合わせ、正極(41)及び負極(43)の前記非塗工部をセパレータ(42)の両端縁からそれぞれ外側へ突出させる。そして、これらを渦巻き状に巻き取ることによって巻き取り電極体(4)が構成される。該巻き取り電極体(4)においては、巻き軸方向の両端部の内、一方の端部では、正極(41)の非塗工部の芯体端縁(48a)が、セパレータ(42)の一方の端縁よりも外方へ突出し、他方の端部では、負極(43)の非塗工部の芯体端縁(48b)が、セパレータ(42)の他方の端縁よりも外方へ突出している。
正極側の集電板(3)は、図3及び図4に示す如く円板状の本体(31)と該本体(31)の外周縁に突設された帯状のリード(35)とから構成されており、前記本体(31)には、中央孔(34)が開設されている。又、本体(31)には、中央孔(34)を中心として放射状に伸びる複数条(実施例では4条)の円弧状凸部(32)が一体成型され、巻き取り電極体(4)側に突出している。該円弧状凸部(32)は、図5(a)に示す如く前記本体(31)の半径線に直交する断面形状が半円の円弧状を呈している。
又、前記本体(31)には、隣接する円弧状凸部(32)(32)の間にそれぞれ、図5(b)に示す複数条(実施例では2条)の切り起し片(33)が形成され、前記巻き取り電極体(4)側に突出している。該切り起し片(33)の切り起こしに伴って形成された貫通孔は、後述の組立工程にて巻き取り電極体(4)に電解液を含浸させる際の電解液の通路となる。
尚、負極側の集電板(30)は、リード(35)及び中央孔(34)を具えていないことを除いて正極側の集電板(3)と同一構造を有している。
図1及び図2に示す如く、電池缶(1)は、円筒状の缶本体(11)の開口部に円板状の封口体(2)を固定して構成され、缶本体(11)と封口体(2)の間には絶縁部材(12)が介在している。缶本体(11)は、円筒状の周壁(16)と該周壁(16)の一方の開口を塞ぐ円板状の底壁(17)とを一体成型して構成されており、周壁(16)は、底壁(17)側の厚肉周壁部(13)と封口体(2)側の薄肉周壁部(14)とから構成されている。厚肉周壁部(13)の内周面は、薄肉内周壁(14)の内周面よりも内側に突出し、巻き取り電極体(4)の負極芯体によって構成される円筒状突部(49)の外周面との間に僅かな隙間を有して対向している。厚肉周壁部(13)と薄肉周壁部(14)との間には、両周壁部(13)(14)の内周面を繋ぐテーパ面(15)が形成されている。
正極の作製
正極活物質としての平均粒径5μmを有するリチウム複合酸化物(LiCoO2)の粉末と導電剤としての人造黒鉛とを9:1の重量比で混合し、正極合剤を得る。次に、結着剤であるポリフッ化ビニデンをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させて、NMP溶液を調製する。そして、正極合剤とポリフッ化ビニデンの重量比が95:5となる様に正極合剤とNMP溶液を混合して、スラリーを調整する。このスラリーを正極芯体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の両面にドクターブレード法により塗布し、150℃で2時間の真空乾燥を施して、正極を得る。
炭素塊(d002=3.356Å;Lc>1000)に空気流を噴射して粉砕し、炭素粉末を作製する。次に、結着剤であるポリフッ化ビニデンをNMPに溶解させてNMP溶液を調製し、炭素粉末とポリフッ化ビニデンの重量比が85:15となる様に混練してスラリーを調製する。このスラリーを負極芯体となる厚さ20μmの銅箔の両面にドクターブレード法により塗布し、150℃で2時間の真空乾燥を施して、負極を得る。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1の体積比で混合した溶媒に、LiPF6を1mol/lの割合で溶解し、電解液を調製する。
直径10mmの巻芯に、セパレータとなるイオン透過性のポリプロピレン製微多孔膜を数回巻いた後、セパレータが正極と負極の間に介在する様に、セパレータ、正極、セパレータ及び負極の4枚を重ね合わせてこれらを渦巻状に巻回し、最後に巻き芯を抜き取って巻き取り電極体を作製する。
先ず、図1及び図2に示す缶本体(11)、封口板(2)、図3に示す巻き取り電極体(4)、正極側の集電板(3)及び負極側の集電板(30)をそれぞれ作製する。ここで、缶本体(11)は、ニッケル鍍金を施した鉄製であり、プレス加工によって周壁(16)と底壁(17)とを一体成型して形成され、周壁(16)の薄肉周壁部(14)の厚さは従来の周壁と同一の0.5mmであり、厚肉周壁部(13)の厚さは0.8mmであり、底壁(17)の厚さは0.5mmである。
この状態で、両集電板(3)(30)の円弧状凸部(32)(32)の内周面に向けてレーザビームを照射し、レーザ溶接を施す。この結果、集電板(3)(30)の円弧状凸部(32)(32)と巻き取り電極体(4)の芯体端縁(48a)(48b)とが、大きな接触面積で互いに接合されると共に、切り起し片(33)(33)と芯体端縁(48a)(48b)の間の圧着状態が維持されることになる。
次に、正極側の集電板(3)のリード(35)の先端を封口体(2)の金属薄膜(25)にレーザ溶接する。
その後、缶本体(11)内に電解液を注入し、該缶本体(11)の開口部に絶縁性部材(12)を介して封口体(2)をかしめ固定し、外径が36mm、高さが90mmの本発明の円筒型リチウムイオン二次電池を完成する。
図6に示す如く、ジョイントキャップ(6)を用いて上記本発明の複数本の円筒型リチウムイオン二次電池を直列に接続し、一体の電池ユニットを構成する。
この様にして、2本以上の電池を直列に接続することによって、所望の電力や電圧を得ることの出来る電池ユニットが構成される。
該円筒型リチウムイオン二次電池において、厚肉底壁(17a)は、厚肉周壁部(13)と単位面積当り同程度の熱容量を有することとなるので、厚肉底壁(17a)に負極側の集電板(30)の本体(31)をスポット溶接するときに、厚肉底壁(17a)と本体(31)の接触面に従来よりも大きな溶接熱を発生させた場合にも、該溶接熱によって厚肉底壁(17a)が損傷を受けることはない。
該電池ユニットによれば、従来よりも大きな溶接熱を発生させて第1プロジェクション(65)を周壁(16)の厚肉周壁部(13)に溶接することが出来、これによって、電池出力が従来よりも大きな円筒型リチウムイオン二次電池とジョイントキャップ(6)の溶接接合部の面積を増大させることが出来、ユニット全体の出力を大幅に増大させることが出来る。
上述の製造方法によって図1に示す本発明の円筒型リチウムイオン二次電池(第1電池)を2本作製する。ここで、第1電池の電池A及び電池Bに配備された負極側の集電板と缶本体の底壁との溶接接合部には、0.9kWの電力を15msの時間印加し、連続で2.0kWの電力を20msの時間印加する条件でスポット溶接を施す。
又、缶本体の底壁の厚さが0.8mmであることを除いて第1電池と同一構成の図7に示す本発明の他の円筒型リチウムイオン二次電池(第2電池)を2本作製する。但し、第2電池の電池C及び電池Dに配備された負極側の集電板と缶本体の底壁との溶接接合部には、0.9kWの電力を15msの時間印加し、連続で3.0kWの電力を20msの時間印加する条件でスポット溶接を施す。
又、缶本体(1)の厚さが全ての領域で0.5mmであることを除いて第1電池と同一構成の図9に示す従来の円筒型リチウムイオン二次電池(比較例電池)を2本作製する。但し、比較例電池の電池E及び電池Fに配備された負極側の集電板と缶本体の底壁との溶接接合部には、0.9kWの電力を15msの時間印加し、連続で2.0kWの電力を20msの時間印加する条件でスポット溶接を施す。
このことから、第1プロジェクションを厚肉周壁部に大きな溶接熱で溶接することにより、第1プロジェクションと厚肉周壁部の溶接部の電気抵抗が確実に低減されることが確認された。又、第1電池の電池ユニットよりも第2電池の電池ユニットの電気抵抗が小さいことから、電池缶の底壁に負極側の集電板を大きな溶接熱で溶接することにより、集電板と底壁の溶接部の電気抵抗が確実に低減されることが確認された。
この結果、電池Bの厚肉周壁部の溶接部にはいかなる溶接痕も確認することが出来なかったのに対し、電池Fの周壁の溶接部には溶接痕が僅かに確認された。このことから、厚肉周壁部の単位面積当りの熱容量は十分に大きく、第1プロジェクションの溶融量を増大させるための大きな溶接熱に十分に耐え得ることが確認された。
(1a) 電池
(1b) 電池
(10) 負極端子部
(12) 絶縁部材
(13) 厚肉周壁部
(14) 薄肉周壁部
(15) テーパ面
(16) 周壁
(17) 底壁
(17a) 厚肉底壁
(2) 封口体
(20) 正極端子部
(21) 蓋
(22) キャップ
(3) 集電板
(30) 集電板
(4) 巻き取り電極体
(6) ジョイントキャップ
(61) 第1接続部
(62) 第2接続部
(64) スカート部
(65) 第1プロジェクション
Claims (4)
- 筒状の缶本体(11)の開口部に封口体(2)を取り付けてなる電池缶(1)の内部に二次電池要素が収容され、該二次電池要素が発生する電力を正負一対の電極端子部(10)(20)から外部に取り出すことが出来る筒型二次電池において、前記缶本体(11)は、筒状の周壁(16)と該周壁(16)の一方の開口を塞ぐ底壁とを一体成型して構成されており、該底壁によって一方の電極端子部(10)が構成され、前記周壁(16)は、底壁側の厚肉周壁部(13)と封口体(2)側の薄肉周壁部(14)とから構成されていることを特徴とする筒型二次電池。
- 前記二次電池要素は、それぞれ帯状の正極(41)と負極(43)の間にセパレータ(42)を介在させてこれらを渦巻状に巻き取った巻き取り電極体(4)を具え、正極(41)及び負極(43)はそれぞれ、帯状芯体の表面に活物質を塗布して構成され、前記巻き取り電極体(4)の何れか一方の端部には、正極(41)或いは負極(43)を構成する帯状芯体の端縁が突出し、該端縁を覆って集電板(30)が設置され、該集電板(30)が前記底壁に溶接されており、前記周壁(16)の厚肉周壁部(13)の内周面は、薄肉内周壁(14)の内周面よりも内側に突出して巻き取り電極体(4)の外周面と対向しており、厚肉周壁部(13)と薄肉周壁部(14)との間には、両周壁部(13)(14)の内周面を繋ぐテーパ面(15)が形成されている請求項1に記載の筒型二次電池。
- 前記底壁は、前記周壁(16)の厚肉周壁部(13)と同一若しくは略同一の厚さを有する厚肉底壁(17a)によって形成されている請求項2に記載の筒型二次電池。
- 電池本体の両端部に一対の電極端子部が設けられている複数本の電池を直列に接続して構成され、連続する2本の電池(1a)(1b)の間にはジョイントキャップ(6)が介在している電池ユニットにおいて、
前記電池は、筒状の缶本体(11)の開口部に封口体(2)を取り付けてなる電池缶(1)を具え、該電池缶(1)の内部には二次電池要素が収容され、該二次電池要素が発生する電力を正負一対の電極端子部(10)(20)から外部に取り出すことが可能であって、前記缶本体(11)は、筒状の周壁(16)と該周壁(16)の一方の開口を塞ぐ底壁とを一体成型して構成されており、該底壁によって一方の電極端子部(10)が構成されると共に、前記封口体(2)によって他方の電極端子部(20)が構成され、前記周壁(16)は、底壁側の厚肉周壁部(13)と封口体(2)側の薄肉周壁部(14)とから構成されており、
前記ジョイントキャップ(6)は、第1の電池(1b)の缶本体(11)の底壁に接触すべき第1接続部(61)と、第2の電池(1a)の封口体(2)に接触すべき第2接続部(62)とにより構成され、前記第1接続部(61)は、第1の電池(1b)の缶本体(11)の底壁と対向する平板部(63)と、該平板部(63)の外周縁に突設されて第1の電池(1b)の缶本体(11)の周壁(16)を包囲する筒状のスカート部(64)とを具え、該スカート部(64)は、第1の電池(1b)の周壁(16)の厚肉周壁部(13)に溶接されていることを特徴とする電池ユニット。
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