JP2005070149A - 可変光減衰装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い電圧を不要にするとともに減衰量の制御を容易にし、しかも、複数の光路の信号光の減衰量をそれぞれ高い精度で得る。
【解決手段】信号光を伝搬する複数の光路中にそれぞれ進出可能な複数のシャッタは、複数のアクチュエータによりそれぞれ移動される。駆動部42は、複数のアクチュエータを電気的に駆動する。複数のアクチュエータは、駆動部42による通電によりローレンツ力を生ずる電流経路D1〜D6をそれぞれ有する。駆動部42は、電流経路D1〜D6にそれぞれ対応する複数の可変定電流源A1〜A6を有する。各可変定電流源A1〜A6は、対応する電流経路に、対応する制御信号S1〜S6に応じた電流値を持つ定電流を流す。
【選択図】 図5
【解決手段】信号光を伝搬する複数の光路中にそれぞれ進出可能な複数のシャッタは、複数のアクチュエータによりそれぞれ移動される。駆動部42は、複数のアクチュエータを電気的に駆動する。複数のアクチュエータは、駆動部42による通電によりローレンツ力を生ずる電流経路D1〜D6をそれぞれ有する。駆動部42は、電流経路D1〜D6にそれぞれ対応する複数の可変定電流源A1〜A6を有する。各可変定電流源A1〜A6は、対応する電流経路に、対応する制御信号S1〜S6に応じた電流値を持つ定電流を流す。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の減衰量を制御することができる可変光減衰装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
可変光減衰器は、例えば、光通信などで用いられている。可変光減衰器としてはいくつかの方式があるが、下記の特許文献1には、MEMS(Micro−Electro−Mechanical System)を用いた方式の可変光減衰器が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された可変光減衰器を、図11及び図12に示す。図11はその要部を示す側面図、図12はその要部を示す平面図である。この可変光減衰器では、MEMSデバイス110が用いられている。MEMSデバイス110は、互いに対向配置された光ファイバ111,112の端部111A,112A間のギャップ113内に、制御された量だけ挿入されるシャッタ114を有している。シャッタ114は、てこアーム118に接続されている。てこアーム118は、バネ力を生ずるフレクチュア部117に接続されている。フレクチュア部117は、フレキシブルアーム122A,122Bを含んでいる。フレキシブルアーム122A,122Bの一端に設けられた拡大部125A,125Bが、支柱120A,120Bにそれぞれ接続されている。フレキシブルアーム122A,122Bの他端は、可動電極としてのトッププレート116に接続されている。さらに、固定電極としてのボトムプレート115が、トッププレート116と対向して、基板119上に配置されている。フレキシブルアーム122A,122B間に補強部123が設けられ、補強部123からてこアーム118が延びている。トッププレート116が下方へ移動すると、てこアーム118により、支柱120A,120Bを支点として、シャッタ114が上方へ移動するようになっており、てこ構造が採用されている。
【0004】
この可変光減衰器では、トッププレート116とボトムプレート115との間に電圧を印加しない場合には、図11に示すように、シャッタ114が光ファイバ111,112間の光路を遮らないため、光ファイバ111から光ファイバ112に伝送される光量は最大となる。一方、トッププレート116とボトムプレート115の間に電圧を印加すると、両者の間に生ずる静電力により、両プレート116,115が引き合い、トッププレート116が下方へ移動してシャッタ114が上昇し、その結果光ファイバ111,112間のギャップ113内に進出する。このとき、前記静電力とフレクチュア部117のバネ力が釣り合う位置でシャッタ114が停止する。このシャッタ114の停止位置に応じて、光ファイバ111,112間の光路が遮られる量が定まり、その分だけ光ファイバ111から112に伝送する光量が減少する。そして、プレート116,115間に印加する電圧を変えることで、シャッタ114の停止位置が変化し、これにより減衰量を変えることができる。
【0005】
このように、この従来の可変光減衰器では、静電力を利用してシャッタ114の位置を変えている。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第6173105号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の可変光減衰器では、静電力を用いてシャッタの位置を動かしているため、高い電圧が必要であるという問題があった。また、前記従来の可変光減衰器では、静電力を用いているため、電極間電圧値(印加電圧値)と電極間隔(したがって、シャッタの位置)との間に直線性がなく、調整可能な電極間隔の範囲も狭い。それゆえ、減衰量の制御が難しいという問題があった。
【0008】
そこで、静電力の代わりにローレンツ力を用いてシャッタの位置を動かすことが、考えられる。ローレンツ力を用いると、電流値とローレンツ力とは比例関係にあるとともに、電流値により定まる大きさのローレンツ力は電線の比較的広い位置範囲で作用し得るため、シャッタ位置の制御がし易くなる。また、高い電圧も不要である。したがって、前記従来の可変光減衰器の問題点を解消することができる。
【0009】
ところで、複数の光路の信号光をそれぞれ減衰させる場合、装置の小型化等を図るため、シャッタ及びこれを移動させるアクチュエータの組を複数設け、これらを1つの装置に搭載することが考えられる。この場合、各アクチュエータとして、前述したようなローレンツ力を用いるアクチュエータを採用することが、前述した問題点を解消するために好ましい。
【0010】
ところが、本発明者の研究の結果、シャッタ及びこれをローレンツ力を用いて移動させるアクチュエータの組を複数備えた可変光減衰装置では、これらのアクチュエータを電気的に駆動する駆動部の構成によっては、1つのシャッタの位置を変えると、意図しない他のシャッタの位置も変動してしまい、各光路の信号光の減衰量をそれぞれ安定して得ることができなくなってしまうことが判明した。この点については、後に、比較例を参照して詳述する。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、高い電圧が不要であるとともに減衰量の制御が容易であり、しかも、複数の光路の信号光の減衰量をそれぞれ高い精度で得てかつ高い安定性を有する可変光減衰装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による可変光減衰装置は、(a)信号光を伝搬する複数の光路中にそれぞれ進出可能な複数のシャッタと、前記複数のシャッタをそれぞれ移動させる複数のアクチュエータと、制御信号に応じて前記複数のアクチュエータを電気的に駆動する駆動部と、を備え、(b)前記各アクチュエータは、磁界内に配置されて前記駆動部による通電によりローレンツ力を生ずる電流経路を有し、(c)前記各アクチュエータは、当該アクチュエータの前記電流経路に生ずる前記ローレンツ力に従って、当該アクチュエータに対応する前記シャッタを、当該シャッタに対応する前記光路を通過する前記信号光を所望の減衰量で減衰させる位置に、移動させ、(d)前記駆動部は、前記複数のアクチュエータにそれぞれ対応する複数の可変定電流源を有し、(e)前記各可変定電流源は、前記複数のアクチュエータのうち対応するアクチュエータの前記電流経路に、前記制御信号に応じた電流値を持つ定電流を流すものである。
【0013】
本発明の第2の態様による可変光減衰装置は、(a)信号光を伝搬する複数の光路中にそれぞれ進出可能な複数のシャッタと、前記複数のシャッタをそれぞれ移動させる複数のアクチュエータと、制御信号に応じて前記複数のアクチュエータを電気的に駆動する駆動部と、を備え、(b)前記各アクチュエータは、磁界内に配置されて前記駆動部による通電によりローレンツ力を生ずる電流経路を有し、(c)前記各アクチュエータは、当該アクチュエータの前記電流経路に生ずる前記ローレンツ力に従って、当該アクチュエータに対応する前記シャッタを、当該シャッタに対応する前記光路を通過する前記信号光を所望の減衰量で減衰させる位置に、移動させ、(d)前記駆動部は、前記複数のアクチュエータを複数のグループに分けたときの前記複数のグループにそれぞれ対応する複数の可変定電流源を有し、(e)前記各可変定電流源は、前記複数のアクチュエータのうち当該可変定電流源に対応するグループのアクチュエータの前記電流経路に、前記制御信号に応じた電流値を持つ定電流を流し、(f)前記複数のグループのうちの少なくとも1つのグループは、前記複数のアクチュエータのうちの2つ以上のアクチュエータからなるものである。
【0014】
本発明の第3の態様による可変光減衰装置は、前記第1の態様において、前記複数のアクチュエータは同一基板に搭載され、前記基板には、前記複数のアクチュエータの前記電流経路の一方側が電気的に共通に接続されたパッドが設けられたものである。
【0015】
本発明の第4の態様による可変光減衰装置は、前記第1又は第2の態様において、(a)前記複数のアクチュエータは同一基板に搭載され、(b)前記基板には、前記複数のアクチュエータを複数のグループに分けたときの前記複数のグループにそれぞれ対応する複数のパッドが設けられ、(c)前記各パッドには、前記複数のアクチュエータのうち当該パッドに対応するグループのアクチュエータの前記電流経路の一方側が電気的に接続され、(d)前記複数のパッドにそれぞれ対応する前記複数のグループのうちの少なくとも1つのグループは、前記複数のアクチュエータのうちの2つ以上のアクチュエータからなるものである。
【0016】
本発明の第5の態様による可変光減衰装置は、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記複数の光路を有する光導波路基板を備えたものである。
【0017】
本発明の第6の態様による可変光減衰装置は、前記第1乃至第5のいずれかの態様において、前記磁界を発生させる磁界発生部を備えたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による可変光減衰装置について、図面を参照して説明する。
【0019】
[第1の実施の形態]
【0020】
図1は、本発明の第1の実施の形態による可変光減衰装置を模式的に示す一部概略平面図である。ただし、図1では、光導波路基板1及びアクチュエータ基板2については、1組のアクチュエータ22及びシャッタ21に関連する部分(1つのチャネルに関連する部分)のみを示している。図1では、平面視での各要素の位置関係を明らかにするため、本来隠れ線(破線)となるべき線も実線で示している。
【0021】
図2乃至図4は、各動作状態をそれぞれ示すもので、図1中のX1−X2線に沿った概略断面図である。説明の便宜上、図1乃至図4に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。アクチュエータ基板2の基板面がXY平面と平行となっている。また、Z軸方向のうち矢印の向きを+Z方向又は+Z側、その反対の向きを−Z方向又は−Z側と呼び、X軸方向及びY軸方向についても同様とする。なお、Z軸方向の+側を上側、Z軸方向の−側を下側という場合がある。
【0022】
図5は、本実施の形態による可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図である。
【0023】
本実施の形態による可変光減衰装置は、図1乃至図5に示すように、光導波路基板1と、アクチュエータ基板2と、磁界発生部としての磁石3と、減衰量指令信号に応答してアクチュエータ基板2の後述する複数のアクチュエータ22を制御する制御部4と、を備えている。
【0024】
図1及び図4に示すように、光導波路基板1は、信号光の光路を構成する入射側の光導波路11及び出射側の光導波路12、並びに、後述するシャッタ21を受け入れるシャッタ受け入れ凹部としての例えば幅十μm程度の溝13を、複数組有している。図1乃至図4では、1組の光導波路11,12及び溝13のみを示しているが、その組が、光導波路基板1において、減衰させるべき信号光の光路数(すなわち、チャネル数)と同数、1次元状又は2次元状に配置されている。
【0025】
光導波路11の一端(光導波路11の出射端)及び光導波路12の一端(光導波路12の入射端)は、互いに間隔をあけて対向するように、溝13の相対する側面に露出されている。図面には示していないが、例えば、光導波路11の他端(光導波路11の入射端)は光導波路基板1の端面に露出され、この光導波路1の他端には入射信号光を導く光ファイバ等が接続される。同様に、例えば、光導波路12の他端(光導波路12の出射端)は光導波路基板1の端面に露出され、この光導波路12の他端には減衰後の出射光を導く光ファイバ等が接続される。
【0026】
このような光導波路基板1は、シリコン基板やガラス基板等を用いて公知の製造方法により製造することができることは、言うまでもない。
【0027】
アクチュエータ基板2は、シャッタ21、及び、光導波路11の出射端から光導波路12の入射端へ入射する信号光を所望の減衰量で減衰させる位置にシャッタ21を移動させるように構成されたマイクロアクチュエータ22を、基板31上に複数組有している。図1乃至図4では、1組のシャッタ21及びアクチュエータ22のみを示しているが、その組が、アクチュエータ基板2において、チャネル数と同数、1次元状又は2次元状に配置されている。シャッタ21は、図1乃至図4に示すように、光導波路基板2の溝13と対応する位置に配置され、溝13内に進出可能となっている。本実施の形態では、アクチュエータ22はMEMSとして構成されている。
【0028】
各アクチュエータ22は、脚部32a,32bと、Z軸方向から見た平面視でX軸方向に並行して延びた2本の帯板状の梁部33a,33bと、梁部33a,33bの先端(自由端、+X方向の端部)に設けられそれらの間を機械的に接続する平面視で長方形状の接続部34と、を備えている。本実施の形態では、アクチュエータ基板2を構成する基板31としてガラス基板等の絶縁基板が用いられているが、例えば基板31上に絶縁膜を形成すれば、基板31としてシリコン基板などの任意の材料の基板を用いることができる。
【0029】
梁部33aの固定端(−X方向の端部)は、基板31上に形成されたAl膜からなる配線パターン35a(図1では省略)を介して基板31から立ち上がる立ち上がり部を持つ脚部32aを介して、基板31に機械的に接続されている。同様に、梁部33bの固定端(−X方向の端部)は、基板31上に形成されたAl膜からなる配線パターン(図示せず)を介して基板31から立ち上がる立ち上がり部を持つ脚部32bを介して、基板31に機械的に接続されている。前述したように、梁部33a,33bの自由端間が接続部34で機械的に接続され、梁部33a,33bの固定端側が脚部32a,32bをそれぞれ介して基板31に機械的に接続されている。したがって、本実施の形態では、梁部33a,33b及び接続部34が、全体として、片持ち梁構造を持つ可動部を構成している。本実施の形態では、基板31が固定部を構成している。なお、前記配線パターンにおける脚部32a,32b付近以外の領域の上、及び、その他の基板31上の領域に、シリコン酸化膜等の保護膜36が形成されている。
【0030】
梁部33aは、下側のSiN膜37と上側のAl膜38とが積層された薄膜で、板ばねとして作用するように構成されている。梁部33aにおけるAl膜38は、後述するローレンツ力用の電流経路への配線の一部として用いられている。
【0031】
梁部33aは、図2に示すように、駆動信号(ローレンツ力用電流)が供給されていない状態において、膜37,38の応力によって、上方(基板31と反対側、+Z方向)に湾曲している。なお、図2では、便宜上、梁部33aは根元で折れ曲がって斜め上方へ直線状に延びるかのように表記しているが、実際には、梁部33aが全体的に湾曲する。このような湾曲状態は、膜37,38の成膜条件を適宜設定することにより、実現することができる。
【0032】
本実施の形態では、脚部32aは、梁部33aを構成するSiN膜37及びAl膜38がそのまま連続して延びることによって構成されている。Al膜38は、脚部32aにおいてSiN膜37に形成された開口を介して配線パターン35aに電気的に接続されている。
【0033】
梁部33b及び脚部32bは、前述した梁部33a及び脚部32aとそれぞれ全く同一の構造を有している。
【0034】
接続部34は、梁部33a,33bからそのまま連続して延びたSiN膜37及びAl膜38で構成されている。接続部34には、Au、Ni又はその他の金属あるいはその他の材料からなるシャッタ21が設けられている。図1に示すように、Al膜38における接続部34上の一部がY軸方向に延びている。
【0035】
前述した説明からわかるように、Al膜38によって、脚部32a下の配線パターン35aから、梁部33a→接続部34→梁部33b→を経て、脚部32b下の配線パターン(図示せず)へ至る、電流経路が構成されている。この電流経路のうち、接続部34におけるY軸方向に沿った電流経路が、X軸方向の磁界内に置かれたときに、Z軸方向へ向かうローレンツ力を発生させる部分となっている。この部分が後述するように前記磁石3により生ずるX軸方向の磁界内に置かれるので、前記電流経路へ電流(ローレンツ力用電流)を流すと、接続部34においてY軸方向に延びたAl膜38の部分に、ローレンツ力(駆動力)がZ方向へ作用する。なお、このローレンツ力の向きが+Z方向であるか−Z方向であるかは、ローレンツ力用電流の向き及び磁界の向きによって定まるが、本実施の形態では、前述したように、ローレンツ力用電流が供給されていない状態において図2に示すように上方に湾曲しているので、ローレンツ力用電流の向きは、ローレンツ力が−Z方向のみに生ずるように定めておけばよい。もっとも、例えば、ローレンツ力用電流が供給されていない状態において図3に示すように上方にも下方にも湾曲していない場合には、ローレンツ力用電流の向きをいずれの向きにも変え得るようにしておけばよい。また、ローレンツ力用電流が供給されていない状態において図4に示すように下方に湾曲している場合には、ローレンツ力用電流の向きは、ローレンツ力が+Z方向のみに生ずるように定めておけばよい。
【0036】
本実施の形態では、前記チャネル数は6とされ、アクチュエータ基板2は6個のアクチュエータ22を有している。もっとも、本発明では、チャネル数は2以上の任意の数で良く、例えば、数十としてもよい。図5では、アクチュエータ基板2の6個のアクチュエータ22の前記電流経路を、それぞれ互いに異なる符号D1〜D6で示している。図5に示すように、アクチュエータ基板2は、各電流経路D1〜D6に対して共通に設けられた外部接続用のパッドP0と、各電流経路D1〜D6に対してそれぞれ独立して設けられた外部接続用のパッドP1〜P6を、基板31上に有している。図5に示すように、アクチュエータ基板2において、電流経路D1〜D6の一端は、対応する前記配線パターン35aによって、パッドP0に電気的に共通に接続されている。また、アクチュエータ基板2において、電流経路D1〜D6の他端は、対応する前記配線パターン35bによって、パッドP1〜P6にそれぞれ電気的に独立して接続されている。
【0037】
パッドP0,P1〜P6が制御部4の所定箇所に接続されることで、制御部4から電流経路D1〜D6にそれぞれ駆動信号としてのローレンツ力用電流が供給されるようになっている。この点については、後に詳述する。
【0038】
なお、本実施の形態で用いられているアクチュエータ基板2は、例えば、膜の形成及びパターニング、エッチング、犠牲層の形成・除去などの半導体製造技術を利用して、製造することができる。なお、シャッタ21は、例えば、シャッタ21に対応する凹所をレジストに形成した後、電解メッキによりシャッタ21となるべきAu、Niその他の金属を成長させ、その後に前記レジストを除去することで、形成することができる。
【0039】
本実施の形態では、磁石3は、図2乃至図4に示すようにアクチュエータ基板2の−Z側に配置された板状の永久磁石である。この磁石3は、図2乃至図4には現れていないがX軸方向の+側がN極に−側がS極に着磁され、各アクチュエータ22の接続部34においてY軸方向に延びたAl膜38の部分(ローレンツ力用電流経路)の付近において、X軸方向に沿ってその−側へ向かう略均一な磁界を発生するようになっている。もっとも、磁界発生部として、磁石3に代えて、例えば、他の形状を有する永久磁石や、電磁石などを用いてもよい。
【0040】
光導波路基板1及びアクチュエータ基板2とは、図1乃至図4に示すような位置関係となるように配置されて、各アクチュエータ22に搭載されたシャッタ21が、対応する溝23内に挿入できるように、位置合わせされている。
【0041】
図2は、制御部4から前記電流経路にローレンツ力用電流が供給されていない状態を示している。この場合、接続部34においてY軸方向に延びたAl膜38の部分には、ローレンツ力が作用せず、シャッタ21が光導波路11の出射端を完全に遮っている。このため、減衰量は100%である。
【0042】
図3は、制御部4から前記電流経路に中程度のローレンツ力用電流が供給されている状態を示している。この場合、接続部34においてY軸方向に延びたAl膜38の部分には、中程度のローレンツ力が下向きに作用するため、シャッタ21は、このローレンツ力と梁部33a,33bのバネ力とが釣り合った位置で停止し、光導波路21の出射端の下半分程度を遮っている。このため、減衰量は50%程度である。
【0043】
図4は、制御部4から前記電流経路に大きなローレンツ力用電流が供給されている状態を示している。この場合、接続部34においてY軸方向に延びたAl膜38の部分には、大きなローレンツ力が下向きに作用するため、シャッタ21は、このローレンツ力と梁部33a,33bのバネ力とが釣り合った位置で停止し、光導波路21の出射端を全く遮らない。このため、減衰量はほぼ0%である。
【0044】
動作状態は図2乃至図4に示す例に限られず、制御部4から前記電流経路に流す電流値を変えてローレンツ力の大きさを変えることで、減衰量をほぼ0%〜100%まで連続的に任意に変えることができる。
【0045】
制御部4は、外部からの各チャネルに対する減衰量指令信号に応答して、当該各減衰量指令信号が示す減衰量に対応する大きさの電流を電流経路D1〜D6にそれぞれ流すように、構成されている。具体的には、本実施の形態では、制御部4は、外部からの各減衰量指令信号を駆動部42(具体的には、各可変定電流源A1〜A6)に対する制御信号S1〜S6として適した形式の信号にそれぞれ変換する信号変換部41と、信号変換部41による変換後の信号である各制御信号S1〜S6に応じて、アクチュエータ基板2に設けられた6個のアクチュエータ22をそれぞれ独立して電気的に駆動する駆動部42と、を有している。減衰量指令信号が可変定電流源A1〜A6に対する制御信号S1〜S6として適した形式の信号である場合には、勿論、信号変換部41を設ける必要はない。
【0046】
本実施の形態では、駆動部42は、6個のアクチュエータ22の電流経路D1〜D6にそれぞれに対応する6個の可変定電流源A1〜A6を有している。可変定電流源A1〜A6の正極側の出力端子は、電気的に共通にグラウンドGに接続されている。可変定電流源A1〜A6の負極側の出力端子は、配線51〜56によってアクチュエータ基板2のパッドP1〜P6にそれぞれ電気的に独立して接続されている。アクチュエータ基板2のパッドP0は、配線57によってグラウンドGに電気的に接続されている。本実施の形態では、以上の接続関係によって、各可変定電流源A1〜A6は、電流経路D1〜D6のうち当該可変定電流源に対応する電流経路に(例えば、可変定電流源A1は電流経路D1に)、対応する制御信号S1〜S6に応じた(例えば、可変定電流源A1は制御信号S1に応じた)電流値を持つ定電流をそれぞれ流すようになっている。
【0047】
ここで、可変定電流源A1〜A6の一例を図6に示す。本例では、可変定電流源A1〜A6は、可変の基準電圧VREF(制御信号S1〜S6に相当)に応じた電流値を持つ出力電流(定電流)IOを、出力端子61,62間に接続される負荷RLに供給するように、構成されている。すなわち、本例では、可変定電流源A1〜A6は、制御回路63と、制御回路63を介して負荷RLに電力を供給する電源64と、出力電流IOを検出する電流検出抵抗RSと、誤差増幅器65とを備えている。誤差増幅器65は、出力電流IOが電流検出抵抗RSを流れることにより生ずる電圧VSと、基準電圧VREFとの誤差を増幅して、制御回路63に供給する。制御回路63は、電源64からの電力に基づいて、誤差増幅器65からの誤差信号がゼロとなるような(すなわち、VSがVREFと等しくなるような)出力電流IOを負荷RLに供給する。
【0048】
なお、可変定電流源自体は市販されているので、可変定電流源A1〜A6として市販されているものを用いることができる。
【0049】
本実施の形態によれば、前述したように各アクチュエータ22は、電流経路D1〜D6に流れる電流によりそれぞれ生ずるローレンツ力によって作動する。したがって、電流値とローレンツ力とは比例関係にあるとともに、電流値により定まる大きさのローレンツ力は電線の比較的広い位置範囲で作用し得るため、シャッタ21の位置の制御がし易くなる。また、本実施の形態では、静電力ではなくローレンツ力が用いられているので、高い電圧が不要である。
【0050】
また、本実施の形態では、前述したように、駆動部42が、6個のアクチュエータ22の電流経路D1〜D6にそれぞれ対応する可変定電流源A1〜A6を有し、各可変定電流源A1〜A6が、6個のアクチュエータ22のうち対応するアクチュエータの電流経路に、前記制御信号S1〜S6に応じた電流値を持つ定電流を流す。したがって、本実施の形態によれば、1つのシャッタ21の位置を変えても他のシャッタ21の位置が変動するようなことがなく、各光路の信号光の減衰量をそれぞれ高い精度で得ることができる。
【0051】
この点について、本実施の形態による可変光減衰装置と比較される第1及び第2の比較例の可変光減衰装置と比較しつつ、説明する。
【0052】
図9は、第1の比較例の可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図であり、図5に対応している。図9において、図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0053】
第1の比較例の可変光減衰装置が本実施の形態による可変光減衰装置と異なる所は、駆動部42の構成のみである。すなわち、第1の比較例では、駆動部42は、図9に示すように、可変定電流電源A1〜A6に代えて、電流経路D1〜D6にそれぞれ対応する可変定電圧源B1〜B6で構成されている。可変定電圧源B1〜B6の正極側の出力端子は、電気的に共通にグラウンドGに接続されている。可変定電圧源B1〜B6の負極側は、配線51〜56によってアクチュエータ基板2のパッドP1〜P6にそれぞれ電気的に独立して接続されている。アクチュエータ基板2のパッドP0は、配線57によってグラウンドGに電気的に接続されている。各可変定電圧源B1〜B6は、信号変換部41からの各制御信号S1〜S6に応じた値の定電圧を出力する。
【0054】
この第1の比較例では、可変定電圧源B1の正極側の出力端子→可変定電圧源B1の正極側の出力端子からグラウンドGまでの配線→グラウンドGからパッドP0までの配線57→パッドP0から電流経路D1の一端までの配線パターン35a→電流経路D1→電流経路D1の他端からパッドP1までの配線パターン35b→パッドP1から可変定電圧源B1の負極側の出力端子の経路で、電流経路D1に関する閉回路が形成されている。したがって、可変定電圧源B1の出力電圧の値に依存した電流値の電流が電流経路D1に流れ、それにより生ずるローレンツ力によって、電流経路D1に対応するシャッタ1がある位置に移動し、対応する光路の信号光についてある減衰量が得られる。以上の点は、他の電流経路D2〜D6についても同様である。
【0055】
今、電流経路D1〜D6にそれぞれ電流i1〜i6が流れている状態を考える。このとき、配線57には、電流I=i1+i2+i3+i4+i5+i6が流れる。したがって、配線57の抵抗値をrとすると、オームの法則から、パッドP0とグラウンドGとの間の電位差は、I×rとなる。その状態から、電流経路D2に対応する光路の信号光の減衰量のみを変えるべく、可変定電圧源B2の出力電圧のみを変えた場合を考える。可変定電圧源B2の出力電圧が変わると、当然に電流i2が変化するため、電流Iが変化し、ひいてはパッドP0とグラウンドGとの間の電位差が変化する。そして、パッドP0とグラウンドGとの間の電位差が変化すると、可変定電圧源B1の出力電圧が変化しなくても、電流経路D1の両端にかかる電圧が変化してしまうため、電流経路D1に流れる電流i1も変化してしまう。その結果、電流経路D1に生ずるローレンツ力が変化し、対応するシャッタ21が変位してしまい、対応する光路の信号光の減衰量が勝手に変化してしまう。
【0056】
このように、第1の比較例による可変光減衰装置では、1つのシャッタの位置を変えると、意図しない他のシャッタの位置も変動してしまい、各光路の信号光の減衰量をそれぞれ高い精度で得ることができなくなってしまう。
【0057】
図10は、第2の比較例の可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図であり、図5に対応している。図10において、図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0058】
第2の比較例の可変光減衰装置が本実施の形態による可変光減衰装置と異なる所は、駆動部42の構成のみである。すなわち、第2の比較例では、駆動部42は、図10に示すように、可変定電流電源A1〜A6に代えて、電流経路D1〜D6にそれぞれ対応する可変抵抗器C1〜C6と、直流定電圧源Eとで構成されている。可変抵抗器C1〜C6の一端は、電気的に共通に直流定電圧源Eの正極に接続されている。直流定電圧源Eの負極はグラウンドGに接続されている。可変抵抗器C1〜C6の他端は、配線51〜56によってアクチュエータ基板2のパッドP1〜P6にそれぞれ電気的に独立して接続されている。アクチュエータ基板2のパッドP0は、配線57によってグラウンドGに電気的に接続されている。各可変抵抗器C1〜C6は、信号変換部41からの各制御信号S1〜S6に応じた値の抵抗値を示すようになっている。
【0059】
この第2の比較例では、直流定電圧源Eの正極→直流定電圧源Eの正極から可変抵抗器C1の一端までの配線→可変抵抗器C1→可変抵抗器C1の他端からパッドP1までの配線51→パッドP1から電流経路D1の一端までの配線パターン35b→電流経路D1→電流経路D1の他端からパッドP0までの配線パターン35a→パッドP0からグラウンドGまでの配線57の経路で、電流経路D1に関する閉回路が形成されている。したがって、可変抵抗器C1の抵抗値に依存した電流値の電流が電流経路D1に流れ、それにより生ずるローレンツ力によって、電流経路D1に対応するシャッタ1がある位置に移動し、対応する光路の信号光についてある減衰量が得られる。以上の点は、他の電流経路D2〜D6についても同様である。
【0060】
今、電流経路D1〜D6にそれぞれ電流i1〜i6が流れている状態を考える。このとき、配線57には、電流I=i1+i2+i3+i4+i5+i6が流れる。したがって、配線57の抵抗値をrとすると、オームの法則から、パッドP0とグラウンドGとの間の電位差は、I×rとなる。その状態から、電流経路D2に対応する光路の信号光の減衰量のみを変えるべく、可変抵抗器C2の抵抗値のみを変えた場合を考える。可変抵抗器C2の抵抗値が変わると、当然に電流i2が変化するため、電流Iが変化し、ひいてはパッドP0とグラウンドGとの間の電位差が変化する。そして、パッドP0とグラウンドGとの間の電位差が変化すると、可変抵抗器C1の抵抗値が変化しなくても、電流経路D1の両端にかかる電圧が変化してしまうため、電流経路D1に流れる電流i1も変化してしまう。その結果、電流経路D1に生ずるローレンツ力が変化し、対応するシャッタ21が変位してしまい、対応する光路の信号光の減衰量が勝手に変化してしまう。
【0061】
このように、第2の比較例による可変光減衰装置においても、前記第1の比較例と同様に、1つのシャッタの位置を変えると、意図しない他のシャッタの位置も変動してしまい、各光路の信号光の減衰量をそれぞれ高い精度で得ることができなくなってしまう。
【0062】
前述した第1及び第2の比較例に対し、本実施の形態による可変光減衰装置では、図5に示すように、各定電流電源P1〜P6の出力電流がそのままそれぞれ電流経路D1〜D6に流れる。したがって、電流経路D1に流れる電流は、常に、対応する制御信号S1〜S6によってのみ定まる可変定電流源A1の出力電流のままとなり、他の電流経路D2〜D6に流れる電流が変化してパッドP0とグラウンドGとの間の電位差が変化しても、不変である。他の電流経路D2〜D6に流れる電流についても、同様である。このため、本実施の形態によれば、1つのシャッタの位置を変えても、意図しない他のシャッタの位置が変動することがない。よって、本実施の形態によれば、各光路の信号光の減衰量をそれぞれ高い精度で得ることができる。
【0063】
[第2の実施の形態]
【0064】
図7は、本発明の第2の実施の形態による可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図であり、図5に対応している。図7において、図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0065】
本実施の形態による可変光減衰装置が前記第1の実施の形態による可変光減衰装置と異なる所は、以下に説明する点のみである。すなわち、前記第1の実施の形態では、電流経路D1〜D6の一端が、対応する前記配線パターン35aによって、1つのパッドP0に電気的に共通に接続されているのに対し、本実施の形態では、電流経路D1〜D6が3つずつ2つのグループに分けられ、これらグループにそれぞれ対応して2つのパッドP01,P02がアクチュエータ基板22に設けられている。本実施の形態では、一方のグループの電流経路D1〜D3の一端が、対応する配線パターン35aによってパッドP01に電気的に共通に接続され、他方のグループの電流経路D4〜D6の一端が、対応する配線パターン35aによってパッドP02に電気的に共通に接続されている。前記第1の実施の形態では、パッドP0が配線57によってグラウンドGに電気的に接続されているのに対し、本実施の形態では、パッドP01,P02がそれぞれ配線57−1,57−2によって独立してグラウンドGに電気的に接続されている。
【0066】
ローレンツ力で駆動するためには、各電流経路D1〜D6に流す電流量は比較的多くなる。前記第1の実施の形態では、全ての電流経路D1〜D6に流れる電流量を合計した電流量が配線57に流れるため、配線57として電流容量の非常に大きいものを用いる必要がある。これに対し、本実施の形態では、各配線57−1,57−2に流れる電流量は、3つの電流経路を流れる電流量の合計ですみ、大幅に少なくなる。したがって、配線57−1,57−2として電流容量の小さいものを用いることができる。可変光減衰装置は、省スペース化が求められているので、実際には、アクチュエータ基板2は非常に小さなものとなる。電流容量の大きな配線を、このような小さなアクチュエータ基板2のパットに取り付けることは非常に困難である。したがって、本実施の形態によれば、第1の実施の形態に比べて、アクチュエータ基板2に対する配線の取り付けが容易となり、好ましい。
【0067】
また、前記第1の実施の形態では、配線57に流れる電流量が多いため、パッドP0とグラウンドGとの間の電位差の変動量が大きくなる可能性がある。したがって、定電流電源A1〜A6は、この電圧変動分だけ余分に出力電圧の調整範囲を持つ必要があり、好ましくない。これに対し、グラウンドGに落ちるまでの共通部分に十分に大きな容量を有する配線を施しておけば、配線57−1,57−2に流れる電流量が少ないため、パッドP01,P02とグラウンドGとの間の電位差の変動量は小さくなる。したがって、本実施の形態によれば、定電流電源A1〜A6の出力電圧の調整範囲が少なくてすみ、好ましい。
【0068】
なお、本実施の形態では、電流経路D1〜D6を2つのグループに分けてこれらのグループにそれぞれ対応する2つパッドP01,P02を設けたが、そのグループの数(したがって、グラウンドG側のパッドの数)は、2つに限定されるものではない。例えば、電流経路D1〜D6を1個ずつのグループに分けて、電流経路D1〜D6と同数のグラウンドG側のパッドを設けてもよいが、その場合には、アクチュエータ基板2からグラウンドGへ接続される配線の数が多くなり好ましくない。したがって、例えば、電流経路D1〜D6を3つ又は4つずつのグループに分けてこれらのグループにそれぞれ対応してグラウンドG側のパッドを設けることが、好ましい。
【0069】
なお、本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られることは、言うまでもない。
【0070】
[第3の実施の形態]
【0071】
図8は、本発明の第3の実施の形態による可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図であり、図5に対応している。図7において、図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0072】
本実施の形態による可変光減衰装置が前記第1の実施の形態による可変光減衰装置と異なる所は、可変定電流源S2、配線52及びパッドP2が取り除かれ、パッドP0とパッドP1との間に電流経路D1,D2が直列に接続されている点のみである。これにより、本実施の形態では、電流経路D1〜D6が5つのグループに分けられ、駆動部42は、5つのグループにそれぞれ対応する5つの可変定電流源A1,A3〜A6で構成され、各可変定電流源A1,A3〜A6は、対応するグループの電流経路に、制御信号に応じた電流値を持つ定電流を流すようになっている。
【0073】
本実施の形態は、電流経路D1,D2にそれぞれ対応する2つの信号光の減衰量を常に同時に制御するような用途に用いられる。前記第1の実施の形態では、勿論、このような用途に用いることも可能であるが、本実施の形態では、第1の実施の形態に比べて、可変定電流源S2、配線52及びパッドP2が設けられていない分、構成が簡単で安価となる。
【0074】
なお、本実施の形態によっても前記第1の実施の形態と同様の利点が得られることは、言うまでもない。
【0075】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0076】
例えば、前述した各実施の形態では、光導波路基板1が用いられていたが、信号光が空中等の光路を進行するようにし、その光路中にシャッタ21が進出し得るようにアクチュエータ基板2を配置すれば、光導波路基板1を設ける必要はない。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高い電圧が不要であるとともに減衰量の制御が容易であり、しかも、複数の光路の信号光の減衰量をそれぞれ高い精度で得てかつ高い安定性を有する可変光減衰装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による可変光減衰装置を模式的に示す一部概略平面図である。
【図2】所定の動作状態を示す、図1中のX1−X2線に沿った概略断面図である。
【図3】他の動作状態を示す、図1中のX1−X2線に沿った概略断面図である。
【図4】更に他の動作状態を示す、図1中のX1−X2線に沿った概略断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態による可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図である。
【図6】可変定電流源の一例を示す回路図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態による可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態による可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図である。
【図9】第1の比較例の可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図である。
【図10】第2の比較例の可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図である。
【図11】従来の可変光減衰器の要部を示す側面図である。
【図12】図10に示す従来の可変光減衰器の要部を示す平面図である。
【符号の説明】
1 光導波路基板
2 アクチュエータ基板
3 磁石
4 制御部
11,12 光導波路
13 溝
21 シャッタ
22 アクチュエータ
41 信号変換部
42 駆動部
A1〜A6 可変定電流源
D1〜D6 電流経路
G グラウンド
51〜57 配線
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の減衰量を制御することができる可変光減衰装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
可変光減衰器は、例えば、光通信などで用いられている。可変光減衰器としてはいくつかの方式があるが、下記の特許文献1には、MEMS(Micro−Electro−Mechanical System)を用いた方式の可変光減衰器が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された可変光減衰器を、図11及び図12に示す。図11はその要部を示す側面図、図12はその要部を示す平面図である。この可変光減衰器では、MEMSデバイス110が用いられている。MEMSデバイス110は、互いに対向配置された光ファイバ111,112の端部111A,112A間のギャップ113内に、制御された量だけ挿入されるシャッタ114を有している。シャッタ114は、てこアーム118に接続されている。てこアーム118は、バネ力を生ずるフレクチュア部117に接続されている。フレクチュア部117は、フレキシブルアーム122A,122Bを含んでいる。フレキシブルアーム122A,122Bの一端に設けられた拡大部125A,125Bが、支柱120A,120Bにそれぞれ接続されている。フレキシブルアーム122A,122Bの他端は、可動電極としてのトッププレート116に接続されている。さらに、固定電極としてのボトムプレート115が、トッププレート116と対向して、基板119上に配置されている。フレキシブルアーム122A,122B間に補強部123が設けられ、補強部123からてこアーム118が延びている。トッププレート116が下方へ移動すると、てこアーム118により、支柱120A,120Bを支点として、シャッタ114が上方へ移動するようになっており、てこ構造が採用されている。
【0004】
この可変光減衰器では、トッププレート116とボトムプレート115との間に電圧を印加しない場合には、図11に示すように、シャッタ114が光ファイバ111,112間の光路を遮らないため、光ファイバ111から光ファイバ112に伝送される光量は最大となる。一方、トッププレート116とボトムプレート115の間に電圧を印加すると、両者の間に生ずる静電力により、両プレート116,115が引き合い、トッププレート116が下方へ移動してシャッタ114が上昇し、その結果光ファイバ111,112間のギャップ113内に進出する。このとき、前記静電力とフレクチュア部117のバネ力が釣り合う位置でシャッタ114が停止する。このシャッタ114の停止位置に応じて、光ファイバ111,112間の光路が遮られる量が定まり、その分だけ光ファイバ111から112に伝送する光量が減少する。そして、プレート116,115間に印加する電圧を変えることで、シャッタ114の停止位置が変化し、これにより減衰量を変えることができる。
【0005】
このように、この従来の可変光減衰器では、静電力を利用してシャッタ114の位置を変えている。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第6173105号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の可変光減衰器では、静電力を用いてシャッタの位置を動かしているため、高い電圧が必要であるという問題があった。また、前記従来の可変光減衰器では、静電力を用いているため、電極間電圧値(印加電圧値)と電極間隔(したがって、シャッタの位置)との間に直線性がなく、調整可能な電極間隔の範囲も狭い。それゆえ、減衰量の制御が難しいという問題があった。
【0008】
そこで、静電力の代わりにローレンツ力を用いてシャッタの位置を動かすことが、考えられる。ローレンツ力を用いると、電流値とローレンツ力とは比例関係にあるとともに、電流値により定まる大きさのローレンツ力は電線の比較的広い位置範囲で作用し得るため、シャッタ位置の制御がし易くなる。また、高い電圧も不要である。したがって、前記従来の可変光減衰器の問題点を解消することができる。
【0009】
ところで、複数の光路の信号光をそれぞれ減衰させる場合、装置の小型化等を図るため、シャッタ及びこれを移動させるアクチュエータの組を複数設け、これらを1つの装置に搭載することが考えられる。この場合、各アクチュエータとして、前述したようなローレンツ力を用いるアクチュエータを採用することが、前述した問題点を解消するために好ましい。
【0010】
ところが、本発明者の研究の結果、シャッタ及びこれをローレンツ力を用いて移動させるアクチュエータの組を複数備えた可変光減衰装置では、これらのアクチュエータを電気的に駆動する駆動部の構成によっては、1つのシャッタの位置を変えると、意図しない他のシャッタの位置も変動してしまい、各光路の信号光の減衰量をそれぞれ安定して得ることができなくなってしまうことが判明した。この点については、後に、比較例を参照して詳述する。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、高い電圧が不要であるとともに減衰量の制御が容易であり、しかも、複数の光路の信号光の減衰量をそれぞれ高い精度で得てかつ高い安定性を有する可変光減衰装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による可変光減衰装置は、(a)信号光を伝搬する複数の光路中にそれぞれ進出可能な複数のシャッタと、前記複数のシャッタをそれぞれ移動させる複数のアクチュエータと、制御信号に応じて前記複数のアクチュエータを電気的に駆動する駆動部と、を備え、(b)前記各アクチュエータは、磁界内に配置されて前記駆動部による通電によりローレンツ力を生ずる電流経路を有し、(c)前記各アクチュエータは、当該アクチュエータの前記電流経路に生ずる前記ローレンツ力に従って、当該アクチュエータに対応する前記シャッタを、当該シャッタに対応する前記光路を通過する前記信号光を所望の減衰量で減衰させる位置に、移動させ、(d)前記駆動部は、前記複数のアクチュエータにそれぞれ対応する複数の可変定電流源を有し、(e)前記各可変定電流源は、前記複数のアクチュエータのうち対応するアクチュエータの前記電流経路に、前記制御信号に応じた電流値を持つ定電流を流すものである。
【0013】
本発明の第2の態様による可変光減衰装置は、(a)信号光を伝搬する複数の光路中にそれぞれ進出可能な複数のシャッタと、前記複数のシャッタをそれぞれ移動させる複数のアクチュエータと、制御信号に応じて前記複数のアクチュエータを電気的に駆動する駆動部と、を備え、(b)前記各アクチュエータは、磁界内に配置されて前記駆動部による通電によりローレンツ力を生ずる電流経路を有し、(c)前記各アクチュエータは、当該アクチュエータの前記電流経路に生ずる前記ローレンツ力に従って、当該アクチュエータに対応する前記シャッタを、当該シャッタに対応する前記光路を通過する前記信号光を所望の減衰量で減衰させる位置に、移動させ、(d)前記駆動部は、前記複数のアクチュエータを複数のグループに分けたときの前記複数のグループにそれぞれ対応する複数の可変定電流源を有し、(e)前記各可変定電流源は、前記複数のアクチュエータのうち当該可変定電流源に対応するグループのアクチュエータの前記電流経路に、前記制御信号に応じた電流値を持つ定電流を流し、(f)前記複数のグループのうちの少なくとも1つのグループは、前記複数のアクチュエータのうちの2つ以上のアクチュエータからなるものである。
【0014】
本発明の第3の態様による可変光減衰装置は、前記第1の態様において、前記複数のアクチュエータは同一基板に搭載され、前記基板には、前記複数のアクチュエータの前記電流経路の一方側が電気的に共通に接続されたパッドが設けられたものである。
【0015】
本発明の第4の態様による可変光減衰装置は、前記第1又は第2の態様において、(a)前記複数のアクチュエータは同一基板に搭載され、(b)前記基板には、前記複数のアクチュエータを複数のグループに分けたときの前記複数のグループにそれぞれ対応する複数のパッドが設けられ、(c)前記各パッドには、前記複数のアクチュエータのうち当該パッドに対応するグループのアクチュエータの前記電流経路の一方側が電気的に接続され、(d)前記複数のパッドにそれぞれ対応する前記複数のグループのうちの少なくとも1つのグループは、前記複数のアクチュエータのうちの2つ以上のアクチュエータからなるものである。
【0016】
本発明の第5の態様による可変光減衰装置は、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記複数の光路を有する光導波路基板を備えたものである。
【0017】
本発明の第6の態様による可変光減衰装置は、前記第1乃至第5のいずれかの態様において、前記磁界を発生させる磁界発生部を備えたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による可変光減衰装置について、図面を参照して説明する。
【0019】
[第1の実施の形態]
【0020】
図1は、本発明の第1の実施の形態による可変光減衰装置を模式的に示す一部概略平面図である。ただし、図1では、光導波路基板1及びアクチュエータ基板2については、1組のアクチュエータ22及びシャッタ21に関連する部分(1つのチャネルに関連する部分)のみを示している。図1では、平面視での各要素の位置関係を明らかにするため、本来隠れ線(破線)となるべき線も実線で示している。
【0021】
図2乃至図4は、各動作状態をそれぞれ示すもので、図1中のX1−X2線に沿った概略断面図である。説明の便宜上、図1乃至図4に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。アクチュエータ基板2の基板面がXY平面と平行となっている。また、Z軸方向のうち矢印の向きを+Z方向又は+Z側、その反対の向きを−Z方向又は−Z側と呼び、X軸方向及びY軸方向についても同様とする。なお、Z軸方向の+側を上側、Z軸方向の−側を下側という場合がある。
【0022】
図5は、本実施の形態による可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図である。
【0023】
本実施の形態による可変光減衰装置は、図1乃至図5に示すように、光導波路基板1と、アクチュエータ基板2と、磁界発生部としての磁石3と、減衰量指令信号に応答してアクチュエータ基板2の後述する複数のアクチュエータ22を制御する制御部4と、を備えている。
【0024】
図1及び図4に示すように、光導波路基板1は、信号光の光路を構成する入射側の光導波路11及び出射側の光導波路12、並びに、後述するシャッタ21を受け入れるシャッタ受け入れ凹部としての例えば幅十μm程度の溝13を、複数組有している。図1乃至図4では、1組の光導波路11,12及び溝13のみを示しているが、その組が、光導波路基板1において、減衰させるべき信号光の光路数(すなわち、チャネル数)と同数、1次元状又は2次元状に配置されている。
【0025】
光導波路11の一端(光導波路11の出射端)及び光導波路12の一端(光導波路12の入射端)は、互いに間隔をあけて対向するように、溝13の相対する側面に露出されている。図面には示していないが、例えば、光導波路11の他端(光導波路11の入射端)は光導波路基板1の端面に露出され、この光導波路1の他端には入射信号光を導く光ファイバ等が接続される。同様に、例えば、光導波路12の他端(光導波路12の出射端)は光導波路基板1の端面に露出され、この光導波路12の他端には減衰後の出射光を導く光ファイバ等が接続される。
【0026】
このような光導波路基板1は、シリコン基板やガラス基板等を用いて公知の製造方法により製造することができることは、言うまでもない。
【0027】
アクチュエータ基板2は、シャッタ21、及び、光導波路11の出射端から光導波路12の入射端へ入射する信号光を所望の減衰量で減衰させる位置にシャッタ21を移動させるように構成されたマイクロアクチュエータ22を、基板31上に複数組有している。図1乃至図4では、1組のシャッタ21及びアクチュエータ22のみを示しているが、その組が、アクチュエータ基板2において、チャネル数と同数、1次元状又は2次元状に配置されている。シャッタ21は、図1乃至図4に示すように、光導波路基板2の溝13と対応する位置に配置され、溝13内に進出可能となっている。本実施の形態では、アクチュエータ22はMEMSとして構成されている。
【0028】
各アクチュエータ22は、脚部32a,32bと、Z軸方向から見た平面視でX軸方向に並行して延びた2本の帯板状の梁部33a,33bと、梁部33a,33bの先端(自由端、+X方向の端部)に設けられそれらの間を機械的に接続する平面視で長方形状の接続部34と、を備えている。本実施の形態では、アクチュエータ基板2を構成する基板31としてガラス基板等の絶縁基板が用いられているが、例えば基板31上に絶縁膜を形成すれば、基板31としてシリコン基板などの任意の材料の基板を用いることができる。
【0029】
梁部33aの固定端(−X方向の端部)は、基板31上に形成されたAl膜からなる配線パターン35a(図1では省略)を介して基板31から立ち上がる立ち上がり部を持つ脚部32aを介して、基板31に機械的に接続されている。同様に、梁部33bの固定端(−X方向の端部)は、基板31上に形成されたAl膜からなる配線パターン(図示せず)を介して基板31から立ち上がる立ち上がり部を持つ脚部32bを介して、基板31に機械的に接続されている。前述したように、梁部33a,33bの自由端間が接続部34で機械的に接続され、梁部33a,33bの固定端側が脚部32a,32bをそれぞれ介して基板31に機械的に接続されている。したがって、本実施の形態では、梁部33a,33b及び接続部34が、全体として、片持ち梁構造を持つ可動部を構成している。本実施の形態では、基板31が固定部を構成している。なお、前記配線パターンにおける脚部32a,32b付近以外の領域の上、及び、その他の基板31上の領域に、シリコン酸化膜等の保護膜36が形成されている。
【0030】
梁部33aは、下側のSiN膜37と上側のAl膜38とが積層された薄膜で、板ばねとして作用するように構成されている。梁部33aにおけるAl膜38は、後述するローレンツ力用の電流経路への配線の一部として用いられている。
【0031】
梁部33aは、図2に示すように、駆動信号(ローレンツ力用電流)が供給されていない状態において、膜37,38の応力によって、上方(基板31と反対側、+Z方向)に湾曲している。なお、図2では、便宜上、梁部33aは根元で折れ曲がって斜め上方へ直線状に延びるかのように表記しているが、実際には、梁部33aが全体的に湾曲する。このような湾曲状態は、膜37,38の成膜条件を適宜設定することにより、実現することができる。
【0032】
本実施の形態では、脚部32aは、梁部33aを構成するSiN膜37及びAl膜38がそのまま連続して延びることによって構成されている。Al膜38は、脚部32aにおいてSiN膜37に形成された開口を介して配線パターン35aに電気的に接続されている。
【0033】
梁部33b及び脚部32bは、前述した梁部33a及び脚部32aとそれぞれ全く同一の構造を有している。
【0034】
接続部34は、梁部33a,33bからそのまま連続して延びたSiN膜37及びAl膜38で構成されている。接続部34には、Au、Ni又はその他の金属あるいはその他の材料からなるシャッタ21が設けられている。図1に示すように、Al膜38における接続部34上の一部がY軸方向に延びている。
【0035】
前述した説明からわかるように、Al膜38によって、脚部32a下の配線パターン35aから、梁部33a→接続部34→梁部33b→を経て、脚部32b下の配線パターン(図示せず)へ至る、電流経路が構成されている。この電流経路のうち、接続部34におけるY軸方向に沿った電流経路が、X軸方向の磁界内に置かれたときに、Z軸方向へ向かうローレンツ力を発生させる部分となっている。この部分が後述するように前記磁石3により生ずるX軸方向の磁界内に置かれるので、前記電流経路へ電流(ローレンツ力用電流)を流すと、接続部34においてY軸方向に延びたAl膜38の部分に、ローレンツ力(駆動力)がZ方向へ作用する。なお、このローレンツ力の向きが+Z方向であるか−Z方向であるかは、ローレンツ力用電流の向き及び磁界の向きによって定まるが、本実施の形態では、前述したように、ローレンツ力用電流が供給されていない状態において図2に示すように上方に湾曲しているので、ローレンツ力用電流の向きは、ローレンツ力が−Z方向のみに生ずるように定めておけばよい。もっとも、例えば、ローレンツ力用電流が供給されていない状態において図3に示すように上方にも下方にも湾曲していない場合には、ローレンツ力用電流の向きをいずれの向きにも変え得るようにしておけばよい。また、ローレンツ力用電流が供給されていない状態において図4に示すように下方に湾曲している場合には、ローレンツ力用電流の向きは、ローレンツ力が+Z方向のみに生ずるように定めておけばよい。
【0036】
本実施の形態では、前記チャネル数は6とされ、アクチュエータ基板2は6個のアクチュエータ22を有している。もっとも、本発明では、チャネル数は2以上の任意の数で良く、例えば、数十としてもよい。図5では、アクチュエータ基板2の6個のアクチュエータ22の前記電流経路を、それぞれ互いに異なる符号D1〜D6で示している。図5に示すように、アクチュエータ基板2は、各電流経路D1〜D6に対して共通に設けられた外部接続用のパッドP0と、各電流経路D1〜D6に対してそれぞれ独立して設けられた外部接続用のパッドP1〜P6を、基板31上に有している。図5に示すように、アクチュエータ基板2において、電流経路D1〜D6の一端は、対応する前記配線パターン35aによって、パッドP0に電気的に共通に接続されている。また、アクチュエータ基板2において、電流経路D1〜D6の他端は、対応する前記配線パターン35bによって、パッドP1〜P6にそれぞれ電気的に独立して接続されている。
【0037】
パッドP0,P1〜P6が制御部4の所定箇所に接続されることで、制御部4から電流経路D1〜D6にそれぞれ駆動信号としてのローレンツ力用電流が供給されるようになっている。この点については、後に詳述する。
【0038】
なお、本実施の形態で用いられているアクチュエータ基板2は、例えば、膜の形成及びパターニング、エッチング、犠牲層の形成・除去などの半導体製造技術を利用して、製造することができる。なお、シャッタ21は、例えば、シャッタ21に対応する凹所をレジストに形成した後、電解メッキによりシャッタ21となるべきAu、Niその他の金属を成長させ、その後に前記レジストを除去することで、形成することができる。
【0039】
本実施の形態では、磁石3は、図2乃至図4に示すようにアクチュエータ基板2の−Z側に配置された板状の永久磁石である。この磁石3は、図2乃至図4には現れていないがX軸方向の+側がN極に−側がS極に着磁され、各アクチュエータ22の接続部34においてY軸方向に延びたAl膜38の部分(ローレンツ力用電流経路)の付近において、X軸方向に沿ってその−側へ向かう略均一な磁界を発生するようになっている。もっとも、磁界発生部として、磁石3に代えて、例えば、他の形状を有する永久磁石や、電磁石などを用いてもよい。
【0040】
光導波路基板1及びアクチュエータ基板2とは、図1乃至図4に示すような位置関係となるように配置されて、各アクチュエータ22に搭載されたシャッタ21が、対応する溝23内に挿入できるように、位置合わせされている。
【0041】
図2は、制御部4から前記電流経路にローレンツ力用電流が供給されていない状態を示している。この場合、接続部34においてY軸方向に延びたAl膜38の部分には、ローレンツ力が作用せず、シャッタ21が光導波路11の出射端を完全に遮っている。このため、減衰量は100%である。
【0042】
図3は、制御部4から前記電流経路に中程度のローレンツ力用電流が供給されている状態を示している。この場合、接続部34においてY軸方向に延びたAl膜38の部分には、中程度のローレンツ力が下向きに作用するため、シャッタ21は、このローレンツ力と梁部33a,33bのバネ力とが釣り合った位置で停止し、光導波路21の出射端の下半分程度を遮っている。このため、減衰量は50%程度である。
【0043】
図4は、制御部4から前記電流経路に大きなローレンツ力用電流が供給されている状態を示している。この場合、接続部34においてY軸方向に延びたAl膜38の部分には、大きなローレンツ力が下向きに作用するため、シャッタ21は、このローレンツ力と梁部33a,33bのバネ力とが釣り合った位置で停止し、光導波路21の出射端を全く遮らない。このため、減衰量はほぼ0%である。
【0044】
動作状態は図2乃至図4に示す例に限られず、制御部4から前記電流経路に流す電流値を変えてローレンツ力の大きさを変えることで、減衰量をほぼ0%〜100%まで連続的に任意に変えることができる。
【0045】
制御部4は、外部からの各チャネルに対する減衰量指令信号に応答して、当該各減衰量指令信号が示す減衰量に対応する大きさの電流を電流経路D1〜D6にそれぞれ流すように、構成されている。具体的には、本実施の形態では、制御部4は、外部からの各減衰量指令信号を駆動部42(具体的には、各可変定電流源A1〜A6)に対する制御信号S1〜S6として適した形式の信号にそれぞれ変換する信号変換部41と、信号変換部41による変換後の信号である各制御信号S1〜S6に応じて、アクチュエータ基板2に設けられた6個のアクチュエータ22をそれぞれ独立して電気的に駆動する駆動部42と、を有している。減衰量指令信号が可変定電流源A1〜A6に対する制御信号S1〜S6として適した形式の信号である場合には、勿論、信号変換部41を設ける必要はない。
【0046】
本実施の形態では、駆動部42は、6個のアクチュエータ22の電流経路D1〜D6にそれぞれに対応する6個の可変定電流源A1〜A6を有している。可変定電流源A1〜A6の正極側の出力端子は、電気的に共通にグラウンドGに接続されている。可変定電流源A1〜A6の負極側の出力端子は、配線51〜56によってアクチュエータ基板2のパッドP1〜P6にそれぞれ電気的に独立して接続されている。アクチュエータ基板2のパッドP0は、配線57によってグラウンドGに電気的に接続されている。本実施の形態では、以上の接続関係によって、各可変定電流源A1〜A6は、電流経路D1〜D6のうち当該可変定電流源に対応する電流経路に(例えば、可変定電流源A1は電流経路D1に)、対応する制御信号S1〜S6に応じた(例えば、可変定電流源A1は制御信号S1に応じた)電流値を持つ定電流をそれぞれ流すようになっている。
【0047】
ここで、可変定電流源A1〜A6の一例を図6に示す。本例では、可変定電流源A1〜A6は、可変の基準電圧VREF(制御信号S1〜S6に相当)に応じた電流値を持つ出力電流(定電流)IOを、出力端子61,62間に接続される負荷RLに供給するように、構成されている。すなわち、本例では、可変定電流源A1〜A6は、制御回路63と、制御回路63を介して負荷RLに電力を供給する電源64と、出力電流IOを検出する電流検出抵抗RSと、誤差増幅器65とを備えている。誤差増幅器65は、出力電流IOが電流検出抵抗RSを流れることにより生ずる電圧VSと、基準電圧VREFとの誤差を増幅して、制御回路63に供給する。制御回路63は、電源64からの電力に基づいて、誤差増幅器65からの誤差信号がゼロとなるような(すなわち、VSがVREFと等しくなるような)出力電流IOを負荷RLに供給する。
【0048】
なお、可変定電流源自体は市販されているので、可変定電流源A1〜A6として市販されているものを用いることができる。
【0049】
本実施の形態によれば、前述したように各アクチュエータ22は、電流経路D1〜D6に流れる電流によりそれぞれ生ずるローレンツ力によって作動する。したがって、電流値とローレンツ力とは比例関係にあるとともに、電流値により定まる大きさのローレンツ力は電線の比較的広い位置範囲で作用し得るため、シャッタ21の位置の制御がし易くなる。また、本実施の形態では、静電力ではなくローレンツ力が用いられているので、高い電圧が不要である。
【0050】
また、本実施の形態では、前述したように、駆動部42が、6個のアクチュエータ22の電流経路D1〜D6にそれぞれ対応する可変定電流源A1〜A6を有し、各可変定電流源A1〜A6が、6個のアクチュエータ22のうち対応するアクチュエータの電流経路に、前記制御信号S1〜S6に応じた電流値を持つ定電流を流す。したがって、本実施の形態によれば、1つのシャッタ21の位置を変えても他のシャッタ21の位置が変動するようなことがなく、各光路の信号光の減衰量をそれぞれ高い精度で得ることができる。
【0051】
この点について、本実施の形態による可変光減衰装置と比較される第1及び第2の比較例の可変光減衰装置と比較しつつ、説明する。
【0052】
図9は、第1の比較例の可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図であり、図5に対応している。図9において、図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0053】
第1の比較例の可変光減衰装置が本実施の形態による可変光減衰装置と異なる所は、駆動部42の構成のみである。すなわち、第1の比較例では、駆動部42は、図9に示すように、可変定電流電源A1〜A6に代えて、電流経路D1〜D6にそれぞれ対応する可変定電圧源B1〜B6で構成されている。可変定電圧源B1〜B6の正極側の出力端子は、電気的に共通にグラウンドGに接続されている。可変定電圧源B1〜B6の負極側は、配線51〜56によってアクチュエータ基板2のパッドP1〜P6にそれぞれ電気的に独立して接続されている。アクチュエータ基板2のパッドP0は、配線57によってグラウンドGに電気的に接続されている。各可変定電圧源B1〜B6は、信号変換部41からの各制御信号S1〜S6に応じた値の定電圧を出力する。
【0054】
この第1の比較例では、可変定電圧源B1の正極側の出力端子→可変定電圧源B1の正極側の出力端子からグラウンドGまでの配線→グラウンドGからパッドP0までの配線57→パッドP0から電流経路D1の一端までの配線パターン35a→電流経路D1→電流経路D1の他端からパッドP1までの配線パターン35b→パッドP1から可変定電圧源B1の負極側の出力端子の経路で、電流経路D1に関する閉回路が形成されている。したがって、可変定電圧源B1の出力電圧の値に依存した電流値の電流が電流経路D1に流れ、それにより生ずるローレンツ力によって、電流経路D1に対応するシャッタ1がある位置に移動し、対応する光路の信号光についてある減衰量が得られる。以上の点は、他の電流経路D2〜D6についても同様である。
【0055】
今、電流経路D1〜D6にそれぞれ電流i1〜i6が流れている状態を考える。このとき、配線57には、電流I=i1+i2+i3+i4+i5+i6が流れる。したがって、配線57の抵抗値をrとすると、オームの法則から、パッドP0とグラウンドGとの間の電位差は、I×rとなる。その状態から、電流経路D2に対応する光路の信号光の減衰量のみを変えるべく、可変定電圧源B2の出力電圧のみを変えた場合を考える。可変定電圧源B2の出力電圧が変わると、当然に電流i2が変化するため、電流Iが変化し、ひいてはパッドP0とグラウンドGとの間の電位差が変化する。そして、パッドP0とグラウンドGとの間の電位差が変化すると、可変定電圧源B1の出力電圧が変化しなくても、電流経路D1の両端にかかる電圧が変化してしまうため、電流経路D1に流れる電流i1も変化してしまう。その結果、電流経路D1に生ずるローレンツ力が変化し、対応するシャッタ21が変位してしまい、対応する光路の信号光の減衰量が勝手に変化してしまう。
【0056】
このように、第1の比較例による可変光減衰装置では、1つのシャッタの位置を変えると、意図しない他のシャッタの位置も変動してしまい、各光路の信号光の減衰量をそれぞれ高い精度で得ることができなくなってしまう。
【0057】
図10は、第2の比較例の可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図であり、図5に対応している。図10において、図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0058】
第2の比較例の可変光減衰装置が本実施の形態による可変光減衰装置と異なる所は、駆動部42の構成のみである。すなわち、第2の比較例では、駆動部42は、図10に示すように、可変定電流電源A1〜A6に代えて、電流経路D1〜D6にそれぞれ対応する可変抵抗器C1〜C6と、直流定電圧源Eとで構成されている。可変抵抗器C1〜C6の一端は、電気的に共通に直流定電圧源Eの正極に接続されている。直流定電圧源Eの負極はグラウンドGに接続されている。可変抵抗器C1〜C6の他端は、配線51〜56によってアクチュエータ基板2のパッドP1〜P6にそれぞれ電気的に独立して接続されている。アクチュエータ基板2のパッドP0は、配線57によってグラウンドGに電気的に接続されている。各可変抵抗器C1〜C6は、信号変換部41からの各制御信号S1〜S6に応じた値の抵抗値を示すようになっている。
【0059】
この第2の比較例では、直流定電圧源Eの正極→直流定電圧源Eの正極から可変抵抗器C1の一端までの配線→可変抵抗器C1→可変抵抗器C1の他端からパッドP1までの配線51→パッドP1から電流経路D1の一端までの配線パターン35b→電流経路D1→電流経路D1の他端からパッドP0までの配線パターン35a→パッドP0からグラウンドGまでの配線57の経路で、電流経路D1に関する閉回路が形成されている。したがって、可変抵抗器C1の抵抗値に依存した電流値の電流が電流経路D1に流れ、それにより生ずるローレンツ力によって、電流経路D1に対応するシャッタ1がある位置に移動し、対応する光路の信号光についてある減衰量が得られる。以上の点は、他の電流経路D2〜D6についても同様である。
【0060】
今、電流経路D1〜D6にそれぞれ電流i1〜i6が流れている状態を考える。このとき、配線57には、電流I=i1+i2+i3+i4+i5+i6が流れる。したがって、配線57の抵抗値をrとすると、オームの法則から、パッドP0とグラウンドGとの間の電位差は、I×rとなる。その状態から、電流経路D2に対応する光路の信号光の減衰量のみを変えるべく、可変抵抗器C2の抵抗値のみを変えた場合を考える。可変抵抗器C2の抵抗値が変わると、当然に電流i2が変化するため、電流Iが変化し、ひいてはパッドP0とグラウンドGとの間の電位差が変化する。そして、パッドP0とグラウンドGとの間の電位差が変化すると、可変抵抗器C1の抵抗値が変化しなくても、電流経路D1の両端にかかる電圧が変化してしまうため、電流経路D1に流れる電流i1も変化してしまう。その結果、電流経路D1に生ずるローレンツ力が変化し、対応するシャッタ21が変位してしまい、対応する光路の信号光の減衰量が勝手に変化してしまう。
【0061】
このように、第2の比較例による可変光減衰装置においても、前記第1の比較例と同様に、1つのシャッタの位置を変えると、意図しない他のシャッタの位置も変動してしまい、各光路の信号光の減衰量をそれぞれ高い精度で得ることができなくなってしまう。
【0062】
前述した第1及び第2の比較例に対し、本実施の形態による可変光減衰装置では、図5に示すように、各定電流電源P1〜P6の出力電流がそのままそれぞれ電流経路D1〜D6に流れる。したがって、電流経路D1に流れる電流は、常に、対応する制御信号S1〜S6によってのみ定まる可変定電流源A1の出力電流のままとなり、他の電流経路D2〜D6に流れる電流が変化してパッドP0とグラウンドGとの間の電位差が変化しても、不変である。他の電流経路D2〜D6に流れる電流についても、同様である。このため、本実施の形態によれば、1つのシャッタの位置を変えても、意図しない他のシャッタの位置が変動することがない。よって、本実施の形態によれば、各光路の信号光の減衰量をそれぞれ高い精度で得ることができる。
【0063】
[第2の実施の形態]
【0064】
図7は、本発明の第2の実施の形態による可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図であり、図5に対応している。図7において、図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0065】
本実施の形態による可変光減衰装置が前記第1の実施の形態による可変光減衰装置と異なる所は、以下に説明する点のみである。すなわち、前記第1の実施の形態では、電流経路D1〜D6の一端が、対応する前記配線パターン35aによって、1つのパッドP0に電気的に共通に接続されているのに対し、本実施の形態では、電流経路D1〜D6が3つずつ2つのグループに分けられ、これらグループにそれぞれ対応して2つのパッドP01,P02がアクチュエータ基板22に設けられている。本実施の形態では、一方のグループの電流経路D1〜D3の一端が、対応する配線パターン35aによってパッドP01に電気的に共通に接続され、他方のグループの電流経路D4〜D6の一端が、対応する配線パターン35aによってパッドP02に電気的に共通に接続されている。前記第1の実施の形態では、パッドP0が配線57によってグラウンドGに電気的に接続されているのに対し、本実施の形態では、パッドP01,P02がそれぞれ配線57−1,57−2によって独立してグラウンドGに電気的に接続されている。
【0066】
ローレンツ力で駆動するためには、各電流経路D1〜D6に流す電流量は比較的多くなる。前記第1の実施の形態では、全ての電流経路D1〜D6に流れる電流量を合計した電流量が配線57に流れるため、配線57として電流容量の非常に大きいものを用いる必要がある。これに対し、本実施の形態では、各配線57−1,57−2に流れる電流量は、3つの電流経路を流れる電流量の合計ですみ、大幅に少なくなる。したがって、配線57−1,57−2として電流容量の小さいものを用いることができる。可変光減衰装置は、省スペース化が求められているので、実際には、アクチュエータ基板2は非常に小さなものとなる。電流容量の大きな配線を、このような小さなアクチュエータ基板2のパットに取り付けることは非常に困難である。したがって、本実施の形態によれば、第1の実施の形態に比べて、アクチュエータ基板2に対する配線の取り付けが容易となり、好ましい。
【0067】
また、前記第1の実施の形態では、配線57に流れる電流量が多いため、パッドP0とグラウンドGとの間の電位差の変動量が大きくなる可能性がある。したがって、定電流電源A1〜A6は、この電圧変動分だけ余分に出力電圧の調整範囲を持つ必要があり、好ましくない。これに対し、グラウンドGに落ちるまでの共通部分に十分に大きな容量を有する配線を施しておけば、配線57−1,57−2に流れる電流量が少ないため、パッドP01,P02とグラウンドGとの間の電位差の変動量は小さくなる。したがって、本実施の形態によれば、定電流電源A1〜A6の出力電圧の調整範囲が少なくてすみ、好ましい。
【0068】
なお、本実施の形態では、電流経路D1〜D6を2つのグループに分けてこれらのグループにそれぞれ対応する2つパッドP01,P02を設けたが、そのグループの数(したがって、グラウンドG側のパッドの数)は、2つに限定されるものではない。例えば、電流経路D1〜D6を1個ずつのグループに分けて、電流経路D1〜D6と同数のグラウンドG側のパッドを設けてもよいが、その場合には、アクチュエータ基板2からグラウンドGへ接続される配線の数が多くなり好ましくない。したがって、例えば、電流経路D1〜D6を3つ又は4つずつのグループに分けてこれらのグループにそれぞれ対応してグラウンドG側のパッドを設けることが、好ましい。
【0069】
なお、本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られることは、言うまでもない。
【0070】
[第3の実施の形態]
【0071】
図8は、本発明の第3の実施の形態による可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図であり、図5に対応している。図7において、図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0072】
本実施の形態による可変光減衰装置が前記第1の実施の形態による可変光減衰装置と異なる所は、可変定電流源S2、配線52及びパッドP2が取り除かれ、パッドP0とパッドP1との間に電流経路D1,D2が直列に接続されている点のみである。これにより、本実施の形態では、電流経路D1〜D6が5つのグループに分けられ、駆動部42は、5つのグループにそれぞれ対応する5つの可変定電流源A1,A3〜A6で構成され、各可変定電流源A1,A3〜A6は、対応するグループの電流経路に、制御信号に応じた電流値を持つ定電流を流すようになっている。
【0073】
本実施の形態は、電流経路D1,D2にそれぞれ対応する2つの信号光の減衰量を常に同時に制御するような用途に用いられる。前記第1の実施の形態では、勿論、このような用途に用いることも可能であるが、本実施の形態では、第1の実施の形態に比べて、可変定電流源S2、配線52及びパッドP2が設けられていない分、構成が簡単で安価となる。
【0074】
なお、本実施の形態によっても前記第1の実施の形態と同様の利点が得られることは、言うまでもない。
【0075】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0076】
例えば、前述した各実施の形態では、光導波路基板1が用いられていたが、信号光が空中等の光路を進行するようにし、その光路中にシャッタ21が進出し得るようにアクチュエータ基板2を配置すれば、光導波路基板1を設ける必要はない。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高い電圧が不要であるとともに減衰量の制御が容易であり、しかも、複数の光路の信号光の減衰量をそれぞれ高い精度で得てかつ高い安定性を有する可変光減衰装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による可変光減衰装置を模式的に示す一部概略平面図である。
【図2】所定の動作状態を示す、図1中のX1−X2線に沿った概略断面図である。
【図3】他の動作状態を示す、図1中のX1−X2線に沿った概略断面図である。
【図4】更に他の動作状態を示す、図1中のX1−X2線に沿った概略断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態による可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図である。
【図6】可変定電流源の一例を示す回路図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態による可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態による可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図である。
【図9】第1の比較例の可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図である。
【図10】第2の比較例の可変光減衰装置の電気的な全体構成を示す回路図である。
【図11】従来の可変光減衰器の要部を示す側面図である。
【図12】図10に示す従来の可変光減衰器の要部を示す平面図である。
【符号の説明】
1 光導波路基板
2 アクチュエータ基板
3 磁石
4 制御部
11,12 光導波路
13 溝
21 シャッタ
22 アクチュエータ
41 信号変換部
42 駆動部
A1〜A6 可変定電流源
D1〜D6 電流経路
G グラウンド
51〜57 配線
Claims (6)
- 信号光を伝搬する複数の光路中にそれぞれ進出可能な複数のシャッタと、
前記複数のシャッタをそれぞれ移動させる複数のアクチュエータと、
制御信号に応じて前記複数のアクチュエータを電気的に駆動する駆動部と、
を備え、
前記各アクチュエータは、磁界内に配置されて前記駆動部による通電によりローレンツ力を生ずる電流経路を有し、
前記各アクチュエータは、当該アクチュエータの前記電流経路に生ずる前記ローレンツ力に従って、当該アクチュエータに対応する前記シャッタを、当該シャッタに対応する前記光路を通過する前記信号光を所望の減衰量で減衰させる位置に、移動させ、
前記駆動部は、前記複数のアクチュエータにそれぞれ対応する複数の可変定電流源を有し、
前記各可変定電流源は、前記複数のアクチュエータのうち対応するアクチュエータの前記電流経路に、前記制御信号に応じた電流値を持つ定電流を流すことを特徴とする可変光減衰装置。 - 信号光を伝搬する複数の光路中にそれぞれ進出可能な複数のシャッタと、
前記複数のシャッタをそれぞれ移動させる複数のアクチュエータと、
制御信号に応じて前記複数のアクチュエータを電気的に駆動する駆動部と、
を備え、
前記各アクチュエータは、磁界内に配置されて前記駆動部による通電によりローレンツ力を生ずる電流経路を有し、
前記各アクチュエータは、当該アクチュエータの前記電流経路に生ずる前記ローレンツ力に従って、当該アクチュエータに対応する前記シャッタを、当該シャッタに対応する前記光路を通過する前記信号光を所望の減衰量で減衰させる位置に、移動させ、
前記駆動部は、前記複数のアクチュエータを複数のグループに分けたときの前記複数のグループにそれぞれ対応する複数の可変定電流源を有し、
前記各可変定電流源は、前記複数のアクチュエータのうち当該可変定電流源に対応するグループのアクチュエータの前記電流経路に、前記制御信号に応じた電流値を持つ定電流を流し、
前記複数のグループのうちの少なくとも1つのグループは、前記複数のアクチュエータのうちの2つ以上のアクチュエータからなることを特徴とする可変光減衰装置。 - 前記複数のアクチュエータは同一基板に搭載され、
前記基板には、前記複数のアクチュエータの前記電流経路の一方側が電気的に共通に接続されたパッドが設けられたことを特徴とする請求項1記載の可変光減衰装置。 - 前記複数のアクチュエータは同一基板に搭載され、
前記基板には、前記複数のアクチュエータを複数のグループに分けたときの前記複数のグループにそれぞれ対応する複数のパッドが設けられ、
前記各パッドには、前記複数のアクチュエータのうち当該パッドに対応するグループのアクチュエータの前記電流経路の一方側が電気的に接続され、
前記複数のパッドにそれぞれ対応する前記複数のグループのうちの少なくとも1つのグループは、前記複数のアクチュエータのうちの2つ以上のアクチュエータからなることを特徴とする請求項1又は2記載の可変光減衰装置。 - 前記複数の光路を有する光導波路基板を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の可変光減衰装置。
- 前記磁界を発生させる磁界発生部を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の可変光減衰装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003209327A JP2005070149A (ja) | 2003-08-28 | 2003-08-28 | 可変光減衰装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003209327A JP2005070149A (ja) | 2003-08-28 | 2003-08-28 | 可変光減衰装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2005070149A true JP2005070149A (ja) | 2005-03-17 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003209327A Pending JP2005070149A (ja) | 2003-08-28 | 2003-08-28 | 可変光減衰装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005070149A (ja) |
-
2003
- 2003-08-28 JP JP2003209327A patent/JP2005070149A/ja active Pending
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