JP2005070022A - 線路平衡度測定プローブおよび線路平衡度測定方法 - Google Patents

線路平衡度測定プローブおよび線路平衡度測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い性能を有する線路平衡度測定プローブおよび測定方法を提供する。
【解決手段】 LCLプローブ10は、一端側が測定器接続端子c,dへと導かれるように配置されたコモンモードチョークトランスT2と、このコモンモードチョークトランスT2の他端側と接地との間に接続されたノーマルモードチョークトランスT3と、コモンモードチョークトランスT2の他端側と測定器接続端子A,Bとの間に接続されたコモンモードチョークトランスT4とを備える。コモンモードチョークトランスT4およびノーマルモードチョークトランスT3の双方とも、コモンモードチョークトランスT2よりもインダクタンスが小さい。この結果、より広い周波数帯域にわたってより大きなダイナミックレンジを有するLCLプローブが得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば電力線等の被測定線路の平衡度測定に用いられる線路平衡度測定プローブおよび線路平衡度測定方法に関する。
近年、インターネットやパーソナルコンピュータ(PC)等の普及と情報家電の登場に伴い、一般家庭でもネットワークを構成し、多種多様なコンテンツやサービスを利用したいという需要が高まっている。その実現手段として新たな配線が不要である無線LAN(Local Area Network)や電力線通信(Power Line Communication;PLC)が注目されている。
無線LANはすでにコンピュータ通信用として広く普及しており、機器移動性に優れているという利点があるが、壁等の障害物の影響で性能が低下してしまうため、アクセスポイントを要所要所に設置しなければならないという問題がある。それに対し、電力線通信は、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、電子レンジ等のいわゆる白物家電の制御からコンピュータ通信に至るまで、同一の通信媒体でシームレスに実現でき、しかも、電力線は屋内の殆どの場所に既設済みであることから、新たな配線をしなくても比較的広い範囲をカバーできると考えられている。さらに、電力供給用ケーブルと情報伝送用通信ケーブルが一本で済むので合理的である。
これらの理由からホームネットワークの実現手段として電力線通信が期待されているが、線路の不平衡による不要幅射問題が指摘されている。この不要幅射による電波障害を防止するためには線路の不平衡状態を把握し、改善していくことが極めて重要な技術課題となっている。
この問題を解決するためには、配線の平衡度の尺度である縦方向変換損失(Longitudinal Conversion Loss ; 以下、LCLという。)特性を測定し、放射電界強度との関係について考察する必要がある。このLCLは、アナログ回線や基本ISDN回線に使用されている平衡対ケーブルの平衡度を表す値で、コモンモード信号を加えた場合に平衡対間に現れる信号の減衰量を意味し、不平衡減衰量とも呼ばれる。なお、コモンモード信号についてと後述する。
このLCL特性の測定には、通常、LCLプローブと呼ばれる線路平衡度測定用の器具(回路)が用いられる。このLCLプローブは、測定対象の配線(被測定線路)と測定器との間に介在して機能し、被測定線路に影響を及ぼすことなくその被測定線路のLCL特性測定を可能にするものである。この種のLCLプローブとしては、例えば非特許文献1に記載されたものがある。この非特許文献1には、LCLプローブの原理と回路の一例が紹介されている。
Ian P.Macfarlane,"A Probe for the Measurement of Electrical Unbalance of Networks and Devices" IEEE TRANSACTION ON ELECTRONMAGNETIC COMPATIBILITY,VOL.41,NO.1,FEBRUARY 1999.
ところで、今後、例えば上記した電力線通信を実現する上では、信号伝送線路としても機能する電力線や、それに接続されて使用される各種の電気機器あるいは電子デバイスについて、LCL特性を高精度に測定することが求められると予想される。しかしながら、上記の非特許文献1には、LCLプローブの詳細な製作方法やプローブとしての性能については必ずしも十分には開示されておらず、したがって、現状では、いかなる構成のLCLプローブを用いることがLCL特性の測定精度の向上に寄与するのかが、明らかになっていない。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたもので、その目的は、より高い性能を有する線路平衡度測定プローブ、および、より高精度の測定を可能とする線路平衡度測定方法を提供することにある。
本発明の第1の観点に係る線路平衡度測定プローブは、1対の被測定線路が接続される1対の被測定線路接続端子と、1対の被測定線路の平衡度を測定する測定器が接続される1対の測定器接続端子と、1対の被測定線路接続端子へと導かれるように配置されノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第1のコモンモードチョークトランスと、第1のコモンモードチョークトランスと接地との間に接続されコモンモード信号を通過させノーマルモード信号を遮断するノーマルモードチョークトランスと、第1のコモンモードチョークトランスと1対の測定器接続端子との間に接続されノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第2のコモンモードチョークトランスとを備え、第2のコモンモードチョークトランスが第1のコモンモードチョークトランスとは異なる特性を有するようにしたものである。
本発明の第1の観点に係る線路平衡度測定方法は、測定器を用いて1対の被測定線路の平衡度を測定する方法であって、1対の被測定線路にノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第1のコモンモードチョークトランスを接続し、第1のコモンモードチョークトランスと接地との間にコモンモード信号を通過させノーマルモード信号を遮断するノーマルモードチョークトランスを接続し、第1のコモンモードチョークトランスと測定器との間にノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第2のコモンモードチョークトランスを接続し、第2のコモンモードチョークトランスが第1のコモンモードチョークトランスとは異なる特性を有するようにしたものである。
本発明の第1の観点に係る線路平衡度測定プローブまたは線路平衡度測定方法では、被測定線路に生じたノーマルモード信号は、(被測定線路接続端子に印加されたのち、)第1のコモンモードチョークトランスおよび第2のコモンモードチョークトランスを通過して、(測定器接続端子に達し、)測定器によって測定される。ノーマルモードチョークトランスは、ノーマルモード信号が接地に逃げるのを阻止する。このとき、第2のコモンモードチョークトランスが第1のコモンモードチョークトランスとは異なる特性を有することから、線路平衡度測定において、広い周波数帯域にわたって大きな測定ダイナミックレンジを確保することができる。
本発明の第1の観点に係る線路平衡度測定プローブまたは線路平衡度測定方法では、上記の特性として、第2のコモンモードチョークトランスが第1のコモンモードチョークトランスとは異なるインダクタンスを有するようにするのが好ましい。特に、第2のコモンモードチョークトランスのインダクタンスが第1のコモンモードチョークトランスのインダクタンスよりも小さくなるようにするのが好ましい。さらには、第2のコモンモードチョークトランスの、インダクタンスの第1のコモンモードチョークトランスのインダクタンスに対する比が、0.253以上かつ1未満であるようにするのが好ましい。
本発明の第2の観点に係る線路平衡度測定プローブは、1対の被測定線路が接続される1対の被測定線路接続端子と、1対の被測定線路の平衡度を測定する測定器が接続される1対の測定器接続端子と、1対の被測定線路接続端子へと導かれるように配置されノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第1のコモンモードチョークトランスと、第1のコモンモードチョークトランスと接地との間に接続されコモンモード信号を通過させノーマルモード信号を遮断するノーマルモードチョークトランスと、第1のコモンモードチョークトランスと1対の測定器接続端子との間に接続されノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第2のコモンモードチョークトランスとを備え、ノーマルモードチョークトランスのインダクタンスが第1のコモンモードチョークトランスのインダクタンスよりも小さくなるようにしたものである。
本発明の第2の観点に係る線路平衡度測定方法は、測定器を用いて1対の被測定線路の平衡度を測定する方法であって、1対の被測定線路にノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第1のコモンモードチョークトランスを接続し、第1のコモンモードチョークトランスと接地との間にコモンモード信号を通過させノーマルモード信号を遮断するノーマルモードチョークトランスを接続し、第1のコモンモードチョークトランスと測定器との間にノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第2のコモンモードチョークトランスを接続し、ノーマルモードチョークトランスのインダクタンスが第1のコモンモードチョークトランスのインダクタンスよりも小さくなるようにしたものである。
本発明の第2の観点に係る線路平衡度測定プローブまたは線路平衡度測定方法では、被測定線路に生じたノーマルモード信号は、被測定線路接続端子に印加されたのち、第1のコモンモードチョークトランスおよび第2のコモンモードチョークトランスを通過して、測定器接続端子に達し、測定器によって測定される。ノーマルモードチョークトランスは、ノーマルモード信号が接地に逃げるのを阻止する。このとき、ノーマルモードチョークトランスが第1のコモンモードチョークトランスよりも小さいインダクタンスを有することから、線路平衡度測定において、広い周波数帯域にわたって大きな測定ダイナミックレンジを確保することができる。
本発明の第2の観点に係る線路平衡度測定プローブまたは線路平衡度測定方法では、ノーマルモードチョークトランスのインダクタンスの、第1のコモンモードチョークトランスのインダクタンスに対する比が、0.253以上かつ1未満であるようにするのが好ましい。
本発明の第1および第2の観点に係る線路平衡度測定プローブまたは線路平衡度測定方法は、1対の被測定線路が交流電力線である場合にも好適に適用可能である。この場合には、1対の被測定線路接続端子と第1のコモンモードチョークトランスとの間に、交流電力線の電源周波数成分を遮断し他の周波数成分を通過させるハイパスフィルタをさらに備えることが好ましい。
本発明において、「被測定線路」とは、平衡度測定の対象である1対の線路のことをいい、例えば交流電力線等が該当するが、これには限られず、直流電力や直流信号の伝送線路も含まれる。また、交流電力が重畳されない交流信号線路も含む。線路が3線以上ある場合には、そのうちのいずれかの1対(2本)が「被測定線路」に相当する。また、装置間を接続する伝送線路のみならず、装置内部の線路も含む。
「線路の平衡度」とは、1対の線路の平衡の度合いをいう。具体的には、接地からみて2つの線路の電位の大きさが等しい場合に線路が完全に平衡になっていると定義したとすると、対象となる1対の線路の性質がそのような完全平衡線路にどの程度近いかを示す指標である。
「ノーマルモード信号」とは1対の線路の間で電位差を生じさせるモードの信号であり、ディファレンシャルモード信号ともいう。「コモンモード信号」とは1対の線路を同位相で伝搬するモードの信号をいう。
「異なる特性」とは、インダクタンスやインピーダンス等の特性値自体が互いに異なる場合のほか、これらの特性値の周波数特性が互いに異なる場合をも含むことを意味し、これらの特性値、またはこれらの特性値の周波数特性のうちの少なくとも1つが異なれば足りる主旨である。
本発明の線路平衡度測定プローブまたは線路平衡度測定方法によれば、第2のコモンモードチョークトランスが第1のコモンモードチョークトランスとは異なる特性を有し、あるいは、ノーマルモードチョークトランスが第1のコモンモードチョークトランスよりも小さいインダクタンスを有するようにしたので、線路平衡度測定において、広い周波数帯域にわたって大きな測定ダイナミックレンジを確保することができる。したがって、より高い精度で線路の平衡度を測定することが可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態という。)について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る線路平衡度測定プローブを用いて被測定線路の平衡度を測定する場合の測定系全体の構成を表すものである。なお、本発明の一実施の形態に係る線路平衡度測定方法は、本実施の形態に係る線路平衡度測定プローブを用いて具現化されるので、以下、併せて説明する。
この測定系は、ITU−T(国際電気通信連合)によって定められたLCL測定図に基づいて構成したものであり、特に、電力線通信において問題となる電力線やこれに接続される電気機器または電子デバイスの平衡度の測定に好適である。この測定系は、信号入力端子INと1対の測定器接続端子A,Bと1対の被測定物接続端子c,dとを備えた線路平衡度測定プローブ(以下、LCLプローブという。)10と、被測定物接続端子c,dに接続された被測定物20と、測定器接続端子Aに接続された測定器30と、信号入力端子INへと導かれるように配置されて交流信号Vlを発生する信号発生器40とを含む。
LCLプローブ10は、被測定物20と測定器30との間に介在し、被測定物20に影響を及ぼすことなく被測定物20の線路のLCL特性測定を可能にするというプローブ機能を有するものである。その詳細は後述する。
被測定物20は、商用電力を供給する交流電力線自体である場合もあるし、あるいは、交流電力線から電力供給を受けて動作する冷蔵庫等の家電製品やPC等の情報処理装置である場合もある。さらに、その他の種類の伝送線路や機器も対象になり得る。
測定器30は、内部に終端抵抗R4をもち、そこに現れるノーマルモード電圧Vpを検出するようになっている。なお、使用していない測定器接続端子Bと接地との間には、終端抵抗器R5が接続される。測定器30は、被測定物20の線路の平衡度を測定するためのもので、例えばネットワークアナライザやスペクトラムアナライザ等が用いられる。
信号発生器40は、LCLプローブ10の信号入力端子INに測定用信号Elを印加するために設けられる。そのために、直列に接続された抵抗器R1,R2の相互接続端を信号入力端子端子INに接続すると共に、抵抗器R1の他端に信号発生器40を接続し、抵抗器R2の他端を接地接続する。信号発生器40から、交流信号Vlを発生させることにより、測定用信号Elが信号入力端子INを介してLCLプローブ10に供給されるようにする。この測定用信号Elは、LCLプローブ10内の後述するノーマルモードチョークトランスT1によってコモンモード信号となり、被測定線路接続端子c,dから被測定物20に印加される。信号発生器40は、交流信号Vlの周波数をスイープさせることができるようになっている。なお、信号発生器40としては、ネットワークアナライザ等の測定器に通常備えられている信号出力端子を利用するようにしてもよい。
この測定系では、信号入力端子INから入力された測定用信号ElをノーマルモードチョークトランスT1を通してコモンモード成分として被測定物20に与えたときに、被測定物20がその不平衡度に応じてどれだけノーマルモード成分V1を生じさせるかを、測定器30の測定器接続端子Aに現れるノーマルモード電圧V2として測定することができ
るようになっている。
LCLプローブ10は、上記したプローブ機能を果たすために、3つの伝送線路トランスT2〜T4を備える。具体的には、一端側が被測定物接続端子c,dへと導かれるように配置されたコモンモードチョークトランスT2と、このコモンモードチョークトランスT2の他端側と接地との間に接続されたノーマルモードチョークトランスT3と、コモンモードチョークトランスT2の他端側と測定器接続端子A,Bとの間に接続されたコモンモードチョークトランスT4とを備えている。
ここで、 コモンモードチョークトランスT2が、本発明における「第1のコモンモードチョークトランス」の一具体例に対応し、コモンモードチョークトランスT4が、本発明における「第2のコモンモードチョークトランス」の一具体例に対応し、「ノーマルモードチョークトランスT3」が、本発明における「ノーマルモードチョークトランス」の一具体例に対応する。
LCLプローブ10はまた、コモンモードチョークトランスT2の上記一端側(被測定物接続端子c,dの側)と被測定物接続端子c,dとの間に設けられた1対のキャパシタC1,C2と、一端側がコモンモードチョークトランスT2の上記一端側に接続された伝送線路トランスとしてのノーマルモードチョークトランスT1とを備えている。ノーマルモードチョークトランスT1の他端側は、抵抗器R3を介して信号入力端子INに接続されている。なお、以下の説明では、上記の各伝送線路トランスを、適宜、単にトランスとも呼ぶ。
キャパシタC1,C2は、被測定物接続端子c,dから商用電源周波数(50または60Hz)の交流電圧が進入してくるのを阻止するための「ハイパスフィルタ」の一具体例に相当するもので、被測定物20が、電力線通信に用いられる交流電力線またはそれに接続される機器の電源ラインである場合には、必須のものである。
コモンモードチョークトランスT2,T4は、ノーマルモード信号に対しては低いインピーダンスを示す一方、コモンモード信号に対しては高いインピーダンスを示すものであり、この結果、ノーマルモード信号を通過させる一方で、コモンモード信号の通過を阻止するようになっている。逆に、ノーマルモードチョークT1,T3は、コモンモード信号に対しては低いインピーダンスを示す一方、ノーマルモード信号に対しては高いインピーダンスを示すものであり、この結果、コモンモード信号を通過させる一方で、ノーマルモード信号の通過を阻止するようになっている。
トランスT1〜T4は、例えば、トロイダル形状のコアにコイルをバイファイラ巻きして構成される。但し、本実施の形態では、コモンモードチョークトランスT4は、コモンモードチョークトランスT2とは異なる特性を有する。さらに、ノーマルモードチョークトランスT3もまたコモンモードチョークトランスT2とは異なる特性を有する。より具体的には、例えば、コモンモードチョークトランスT4およびノーマルモードチョークトランスT3は、共に、コモンモードチョークトランスT2よりもインダクタンスが小さくなるように構成されている。なお、本実施の形態では、コモンモードチョークトランスT4とノーマルモードチョークトランスT3とを同一の巻き線仕様にして同じインダクタンスをもつようにしているため、仮に両トランスT3,T4が同じ機能(すなわち、ノーマルモードチョーク機能またはコモンモードチョーク機能のいずれか)を有するものであるならば、同じ特性をもつことになる。但し、必ずしもこれに限られず、両トランスT3,T4の巻き線仕様を異ならせて異なるインダクタンスをもつようにしてもよい。
ここでいうトランスの特性とは、上記したように、トランスがもつインダクタンスやインピーダンス等の特性値自体を指すほか、これらの特性値の周波数特性をも含む。したがって、これらの特性値、またはこれらの特性値の周波数特性のうちの少なくとも1つが異なれば特性が異なると言える。
これらのトランスT2がトランスT3,T4と異なる特性を有するようにするには、様々な方法が考えられる。例えば、トランス間でコイルの巻数や材質を互いに異ならせるとか、コアの材質を異ならせるとか、あるいはコアの形状やサイズを異ならせる、等の方法がある。なお、コアの材質としては、例えば、フェライト、圧粉、アモルファス、珪素鋼鈑等が揚げられ、コアの形状については、例えば、トロイダルコア、カットコア(コの字型コア)、ポット、棒コア等が揚げられる。コイルの材質としては、例えば、導線を被覆している皮膜の材質(例えば、ポリエステル、エステルイミド、ポリイミド、ビニル、フッ素、紙等)をトランス間で互いに異ならせることが考えられる。
図2は、LCLプローブ10の初期特性を測定してキャリブレーション(較正)を行う場合の測定系全体の構成を表すものである。この場合、被測定物接続端子c,dには、被測定物20(図1)に代えて、平衡デバイスとしての抵抗器R6とキャリブレーション抵抗器Rcal とを含むキャリブレーション用試料回路50を接続する。具体的には、被測定物接続端子c,d間に抵抗器R6を接続すると共に、被測定物接続端子c,dのいずれか一方(図では、端子d)と接地との間にキャリブレーション用抵抗器Rcal を接続することにより、不平衡なキャリブレーション用試料回路50を構成する。その他の構成は、図1の場合と同様である。
このキャリブレーション測定系は、信号入力端子INから入力された測定用信号ElをノーマルモードチョークトランスT1を通してコモンモード成分としてキャリブレーション用試料回路50に与えたときに、キャリブレーション用試料回路50がその不平衡度に応じてどれだけノーマルモードの電圧成分(ノーマルモード電圧)Vtを生じさせるかを、測定器30の測定器接続端子Aに現れるノーマルモード電圧Vpとして測定するものである。ここでは、例えばVt=2Vpとなるように設定される。LCLプローブ10のキャリブレーションは、測定されたノーマルモード電圧Vpに基づいて得られるLCL値が後述の理論値と一致するように、LCLプローブ10を矯正することで実現される。
なお、このキャリブレーション用試料回路50を完全な平衡回路として機能させる場合には、被測定物接続端子c,d間に抵抗器R6を接続すると共に、両端子とも接地から隔絶してオープン状態とする(すなわち、抵抗器Rcal の値を∞にする)。一方、このキャリブレーション用試料回路50を完全な不平衡回路として機能させる場合には、被測定物接続端子c,d間に抵抗器R6を接続すると共に、被測定物接続端子c,dのいずれか一方(図では、端子d)を接地接続する(すなわち、抵抗器Rcal の値を0にする)。
次に、以上のような構成のLCLプローブ10の動作について説明する。
[キャリブレーション]
まず、LCLプローブ10のキャリブレーションについて説明する。このキャリブレーションでは、図2に示したように、不平衡なキャリブレーション用試料回路50をLCLプローブ10の被測定物接続端子c,dに接続し、信号入力端子INから測定用信号Elを印加する。測定用信号Elは、抵抗器R3を通過した後、ノーマルモードチョークトランスT1を通過してコモンモード成分のみとなり、さらに、キャパシタC1,C2を通過して、被測定物接続端子c,dからキャリブレーション用試料回路50に伝搬する。このとき、ノーマルモードチョークトランスT1を通過したコモンモード成分は、コモンモードチョークトランスT2によって阻止されるので、測定器接続端子A,Bおよび接地へと伝搬することはない。
キャリブレーション用試料回路50は不平衡回路であるので、抵抗器R6の両端にノーマルモード電圧Vtを発生させる。このノーマルモード電圧Vtは、被測定物接続端子c,dからLCLプローブ10に入力され、キャパシタC1,C2およびコモンモードチョークトランスT2,T4を通過して測定器接続端子A,Bに達する。このとき、ノーマルモード電圧Vtは、ノーマルモードチョークトランスT1,T3によって阻止されるので、信号入力端子INおよび接地へと伝搬することはない。
被測定物接続端子c,dからのノーマルモード電圧Vtは、終端抵抗器R4が接続された測定器接続端子Aにおいてノーマルモード電圧Vpとして検出される。そして、このノーマルモード電圧Vpに基づいて得られるLCL値が後述の理論値と一致するようにLCLプローブ10を矯正する。LCLプローブ10の矯正は、後述するように、主として伝送線路トランスT2〜T4の構造や特性の最適化により実現される。
LCLは次の(1)式によって定義される。なお、logは常用対数を示す。
LCL=20×log|El/Vt| [dB] ……(1)
すなわち、信号入力端子INに印加される測定用信号Elと、キャリブレーション用試料回路50の不平衡の度合いによってノーマルモード電圧Vtへ変換される量との比を測定すればよいことがわかる。線路やデバイスの不平衡による不要輻射を低減するためには、できるだけ広い周波数帯域にわたってLCL値ができるだけ大きいことが好ましい。
仮に、図2の回路が、損失もなく理想的なものであるとすると、LCLの理論値は次の(2)式を用いて計算することができる。ただし、キャパシタC1,C2がないとした場合である。Vt=2Vpを考慮している。
El/Vt=El/(2Vp)
=([Rcmp ]+4[Rcal] +4[R3])/(2[Rcmp])…(2)
[Rcmp ]= [(R6)||(R4+R5)] ……(3)
なお、(3)式の[(R6)||(R4+R5)]は、抵抗器R4,R5の直列接続と抵抗器R6とを並列接続したときの合成抵抗値を表す。
初期特性は、図2において説明したように、被測定物接続端子dに適切な値の抵抗器Rcal を接続し、キャリブレーション用試料回路50をある程度の不平衡状態にして測定する。実際の測定はVtではなくVpを測定するので、測定器接続端子A,Bのうち測定しない端子Bは抵抗器R5で終端し、測定する端子Aは測定器(ネットワークアナライザ)の内部抵抗R4で終端する。ここで、各抵抗値を、例えば次のような値に設定したとする。
[R3]=25[Ω]
[R4]=50[Ω]
[R5]=50[Ω]
[Rcal ]=450[Ω]
[R6]=100[Ω]
この場合、(3)式の合成抵抗値[Rcmp ]は50[Ω]となるから、(2)式の値は19.5となる。したがって、(1)式より、上記のような不平衡状態におけるLCLの理論値は25.8[dB]となる。
ここで、図2において、キャリブレーション抵抗器Rcal を取り除いて被測定物接続端子dをオープンにし、キャリブレーション用試料回路50を完全に平衡にした状態と、キャリブレーション抵抗器Rcal を取り除いて被測定物接続端子dを接地に短絡させ、キャリブレーション用試料回路50を完全に不平衡にした状態とを想定する。この完全平衡状態と完全不平衡状態との差を、LCLプローブのダイナミックレンジと呼ぶことにする。LCLプローブのダイナミックレンジは、できるだけ広い周波数帯域にわたって、できるだけ大きいことが望まれる。なお、完全不平衡状態でのLCL理論値は、式(2)においてRcal =0とすることで得られ、3.52[dB]となる。
[LCL値の測定]
実際の被測定物20についてのLCL値の測定は、上記のように初期値のキャリブレーションがなされたLCLプローブ10を用いて行う。すなわち、図1に示したように、LCLプローブ10の被測定物接続端子c,dに被測定物20を接続し、測定器接続端子Aに測定器30を接続する。信号入力端子INには信号発生器40によって測定用信号Elを入力する。交流信号Vlの周波数をスイープさせることにより、測定用信号Elの周波数がスイープされる。
測定用信号Elは、抵抗器R3を通過した後、ノーマルモードチョークトランスT1を通過してコモンモード成分のみとなり、さらに、キャパシタC1,C2を通過して、被測定物接続端子c,dから被測定物20に伝搬する。このとき、ノーマルモードチョークトランスT1を通過したコモンモード成分は、コモンモードチョークトランスT2によって阻止されるので、測定器接続端子A,Bおよび接地へと伝搬することはない。被測定物20は、その不平衡度に応じて、ノーマルモード電圧V1を被測定物接続端子c,d間に発生させる。このノーマルモード電圧V1は、コモンモードチョークトランスT2,T4を通過して測定器接続端子A,Bに至る。このとき、ノーマルモードチョークトランスT1,T3はノーマルモード電圧V1の通過を阻止するので、被測定物接続端子c,dからのノーマルモード電圧V1のほぼすべてが測定器接続端子Aに導かれる。ノーマルモード電圧V1は、測定器30の終端抵抗器R4の値に応じたノーマルモード電圧V2として測定器接続端子Aに現れ、検出される。V1とV2の関係は既知であるので、V2よりノーマルモード電圧V1が得られ、さらに、このノーマルモード電圧V1に基づいて(1)式によりLCL値が得られる。但し、この場合には、(1)式のVt,Vpに代えてV1,V2とする。
以上説明したように、本実施の形態では、一端側が測定器接続端子c,dへと導かれるように配置されたコモンモードチョークトランスT2と、このコモンモードチョークトランスT2の他端側と接地との間に接続されたノーマルモードチョークトランスT3と、コモンモードチョークトランスT2の他端側と測定器接続端子A,Bとの間に接続されたコモンモードチョークトランスT4とを備えるようにLCLプローブ10を構成すると共に、コモンモードチョークトランスT4がコモンモードチョークトランスT2と異なる特性値を有するようにしている。さらに、ノーマルモードチョークトランスT3もまたコモンモードチョークトランスT2と異なる特性値を有するようにしている。より具体的には、例えば、コモンモードチョークトランスT4およびノーマルモードチョークトランスT3の双方がコモンモードチョークトランスT2よりもインダクタンスが小さくなるように構成している。この結果、以下の実施例によって明らかになるように、より広い周波数帯域にわたってより大きなダイナミックレンジを有するLCLプローブを得ることができる。したがって、このような優れたLCLプローブを用いることにより、より高い精度でLCL値を測定することができ、線路やデバイスにおける不平衡度を正確に調べることができる。
[変形例]
上記実施の形態は、主に電力線通信に用いられる交流電力線やそれに接続されて使用される電気機器等を測定対象として想定していることから、被測定物接続端子c,dとコモンモードチョークトランスT2との間にキャパシタC1,C2を配置し、商用電源周波数の電圧の進入を阻止するようにしている。これに対して、対象の被測定物20が交流電圧を重畳しないものである場合には、図3に示したように、キャパシタC1,C2を省くことができる。その他の構成および動作は図1の場合と同様である。
以上のことを検証すべく、実際に複数種類のLCLプローブを作製し、これを用いて図2に示したような測定系で各LCLプローブの初期特性を測定した。
〈伝送線路トランスの作製とその周波数特性〉
LCLプローブの作製の説明に先立ち、それらの特性(性能)を左右する大きな要因と考えられる伝送線路トランスT1〜T4について考察する。
本実施例では、表1に示すように、7種類の伝送線路トランスを作製した。これらをトランス番号1〜7と表記する。なお、表1において、トランス番号0は、非特許文献1に記載されたトランスである。
Figure 2005070022
漏れインダクタンスを少なくするため、いずれもトロイダルコアを使用し、このトロイダルコアにコイルをバイファイラ巻きして各トランスを作製した。コアの材料にはフェライトを用いた。トランスのインダクタンス値をなるべく少ない巻き数で得るために、初期透磁率が1500程度のものを使用した。各トランスのコイル巻き数とサイズとを様々に変えることにより、インダクタンスの値Lを0.02〜0.38[mH]程度とした。なお、表1において、Aは円筒形状のコアの外径、Bはコアの全長(高さ)、Cはコアの内径、Nは巻き数を示す。インダクタンスの値は、周波数1MHzの信号に対する測定値である。
一般に、トロイダルコイルのインダクタンスLは、次の(4)式のように与えられる。ただし、μは透磁率であり、lnは自然対数を示す。
L=(N2μ/2π)×(B×ln(A/C))……(4)
トランスの周波数特性を改善するには、巻き数Nを少なくし、巻き線容量を減少させる必要がある。一方、インダクタンスLと巻き数Nの関係は、式(4)の通りであるから、巻き数Nを少なくするには、B×ln(A/C)が大きいコアを選定すればよい。
図4および図5は、表1に示した7種類のトランス1〜7の周波数特性を表すものである。図4はインダクタンスの周波数特性を示し、横軸が周波数[Hz]、縦軸がインダクタンス[mH]である。図5はインピーダンスの周波数特性を示し、横軸が周波数[Hz]、縦軸がインピーダンス[Ω]である。なお、これらの図において、符号S1〜S7はそれぞれトランス1〜7の特性を示す。
図4から明らかなように、同じコアサイズのトランス1〜4(図4のS1〜S4)についてみる限り、巻き数が少なくなるほど周波数特性が高域にまで伸びているが、その一方、インダクタンス値自体は巻き数が少なくなるほど小さくなっている。最もインダクタンス値が大きいものはトランス1(S1)であり、周波数1MHzでの値は0.38[mH]である。トランス1〜4よりもずんぐりとした形状のトロイダルコアを用いて作製したトランス5,6のうち、コイル巻き数を最も多くしたトランス5(S5)について見ると、周波数特性が最も狭くなっているが、周波数1MHzでのインダクタンス値は、トランス1に匹敵する大きな値0.35[mH]になっている。トランス5と同一コアサイズで巻き数をより少なくしたトランス6(S6)は、トランス4とほぼ同じ特性を有する。また、コアサイズを小さくして巻き数も少なくしたトランス7(S7)は、周波数特性は高域に伸びているが、インダクタンス値は他の6つのトランスに比べて極めて小さくなっている。
また、図5からは、トランス1〜4についてみると、巻き数が少なくなるほどインピーダンスのピーク位置が高周波側にシフトしながらピーク値が小さくなっていることがわかる。周波数1MHzでのインピーダンスは、トランス1が最も大きく、以下トランス2〜4の順に段々と小さくなっている。トランス5のインピーダンスは、1MHzではトランス1とほぼ同等であるが、ピーク値はやや小さい。トランス6はトランス4とほぼ同じ周波数特性のインピーダンスを有する。トランス7は、他の6つのトランスに比べると、ほぼ全域においてインピーダンスが極めて小さくなっている。
〈各種LCLプローブの製作〉
次に、上記の表1に示した伝送線路トランスの組み合わせを変えて、表2に示したような6種類のLCLプローブを製作した。
Figure 2005070022
表2において、プローブ番号2〜5が本実施例に係るものである。上記の非特許文献1に記載されたトランスを比較例1とし、プローブ番号1,6を比較例2,3とした。比較例1では、ノーマルモードチョークトランスT1,T3のインダクタンスが0.3[mH]であり、コモンモードチョークトランスT2,T4のインダクタンスが0.28[mH]である。比較例2は、4つのトランスT1〜T4をすべて表1のトランス1としたもので、いずれも同じく大きなインダクタンス値0.38[mH]を持つ。比較例3は、4つのトランスT1〜T4をすべて表1のトランス7としたもので、いずれも同じく十分小さいインダクタンス値0.02[mH]を持つ。
本実施例に係る4つのLCLプローブ2〜5のうち、プローブ番号2〜4の3つは、トランスT1,T2として表1のトランス番号1(インダクタンス値が0.38[mH])を用いると共に、トランスT3,T4として表1のトランス2〜4(インダクタンス値が0.28〜0.096[mH])を用いたものである。プローブ番号5は、トランスT1,T2として表1のトランス番号5(インダクタンス値が0.35[mH])を用いると共に、トランスT3,T4として表1のトランス番号6(インダクタンス値が0.11[mH])を用いたものである。
〈測定結果〉
次に、以上のような6種類のLCLプローブについての測定結果について説明する。
《キャリブレーション測定結果》
図6および図7は、図2に示した測定系においてキャリブレーション抵抗器Rcal を450[Ω]に設定して各LCLプローブについてのキャリブレーション測定を行い、得られた結果を表すものである。図6は、キャパシタC1,C2を省いた場合のデータであり、図7はキャパシタC1,C2を設けた場合のデータである。これらの図で、横軸は周波数を示し、縦軸はLCL値に対応する値(20log|El/Vt|)を示す。
今、Vt=2Vpを考慮すると、上記の(1)式より、
LCL=20×log|El/Vt|
=20×log|El/2Vp|
=20×log|El/Vp| −6 [dB]
であるから、真のLCL値は、図6および図7に示した測定データに対して−6[dB]の補正を行うことで得られる。
図6から明らかなように、極端にインダクタンスの小さいトランス7を用いた比較例3(プローブ番号6=図6のP6N,図7のP6C)を除いて、トランスT3,T4としてインダクタンスの小さいトランス1,2,3,4,6を用いても問題ないことが分かった。周波数1MHzでの測定値が理論値に一番近かったのはプローブ3であった。その測定値は31.49[dB](−6[dB]の補正後は、25.49[dB])であり、理論値25.8[dB]との差は−0.31[dB]であった。
《ダイナミックレンジ測定結果》
図8および図9は、図2に示した測定系においてダイナミックレンジ測定を行い、得られた結果を表すものである。図8は、キャパシタC1,C2を省いた場合のデータであり、図9はキャパシタC1,C2を設けた場合のデータである。符号P1N〜P6N(P1C〜P6C)は、それぞれ、プローブ1〜6に対応する測定である。これらの図で、横軸は周波数を示し、縦軸はLCL値に対応する値(20log|El/Vt|)を示す。したがって、真のLCL値を得るには、上記と同様に、図8および図9に示した測定データに対して−6[dB]の補正を行えばよい。なお、符号UBLは、図2のキャリブレーション抵抗器Rcal を0にして(すなわち、被測定物接続端子dを接地にショートして)キャリブレーション用試料回路50を完全不平衡状態とした場合の測定データを示し、符号BLは、キャリブレーション抵抗器Rcal を∞にして(すなわち、被測定物接続端子dを接地に対してオープンとして)キャリブレーション用試料回路50を完全平衡状態とした場合の測定データを示す。したがって、各プローブについて、UBLとBLとの差がダイナミックレンジとなる。
図8から明らかなように、不要輻射に関わる周波数1MHz以上の帯域において、プローブ2〜5が、広域にわたってダイナミックレンジが大きくなることがわかった。特に、上記帯域において最も広域にダイナミックレンジが取れるのはプローブ3であった。約100k〜22MHzの周波数帯では、ダイナミックレンジが70[dB]以上である。プローブ1に比べると、4MHz以下の領域でプローブ3のダイナミックレンジは小さいものの、それ以上の周波数では、プローブ3の方がダイナミックレンジが大きい。
これに対して、比較例2(プローブ1)では、200KHz〜4MHz帯ではダイナミックレンジが他のプローブよりも大きくなるものの、それ以外の周波数帯ではダイナミックレンジが他よりも小さくなってしまっている。また、比較例3(プローブ6)では、全周波数帯域にわたってダイナミックレンジが著しく小さくなっていることがわかる。
キャリブレーション用試料回路50を完全不平衡状態にした場合の、周波数1MHzにおけるLCL測定値が最も理論値に近かったのはプローブ3であり、そのときの測定値は9.42[dB](−6[dB]の補正後は、3.42[dB])であり、上記の理論値3.52[dB]との差は−0.10[dB]であった。
以上のことから、トランスT1,T2として相対的に大きなインダクタンスを有するものを採用する一方、トランスT3,T4としては、相対的にインダクタンスが小さくかつ高周波特性のよいものを用いることにより、高周波数帯域におけるダイナミックレンジを改善することができること、特にプローブ3が良好な特性を有することがわかった。
《キャパシタC1,C2の影響》
次に、キャパシタC1,C2の影響について考察する。
電力線線路のLCL測定の場合、図2に示したように、被測定物接続端子c,dの手前(内側)に、商用電源周波数ブロッキング用のキャパシタC1,C2を挿入する。本実施例では、220nFのものを挿入した。このときのプローブ1〜6のキャリブレーション測定結果は図7に示した通りであり、ダイナミックレンジ測定結果は図9に示した通りである。ただし、いずれも−6[dB]の補正をしていない測定データである。
図7と図6とを比べると、キャパシタC1,C2の影響は低周波数域ほど顕著に現れることがわかる。図7から明らかなように、図6の場合と同様に周波数1MHzでの測定値が理論値に一番近かったのはプローブ3であり、そのときの測定値は31.63[dB](−6[dB]の補正後は25.63[dB])であり、理論値25.8[dB]との差は−0.17[dB]であった。
図9においても、図8の場合と同様に、高周波数域でダイナミックレンジを最も改善できるのはプローブ3であり、約100kHz〜26MHzの周波数帯において、70[dB]以上になっている。また、周波数1MHzにおいて、完全不平衡状態での測定値が最も理論値に近いのはプローブ5であった。その測定値は9.43[dB](−6[dB]の補正後は3.43[dB])であり、上記の理論値3.52[dB]との差は−0.09[dB]であった。なお、プローブ3の測定値は9.40[dB]であり、プローブ5とほぼ同等であった。
図10は、高周波数域でのダイナミックレンジの改善が最も顕著であったプローブ3についての測定結果を図8および図9から抜き出し、重ねて表したものである。図10において、符号UBLおよび符号BLの意味は、上記図8の場合と同様である。また、符号CALは、図2においてキャリブレーション抵抗器Rcalを450[Ω]に設定した場合のデータである。
周波数が100kHz以上の帯域において、Rcal が0(被測定物接続端子dが接地にショート状態)あるいは450[Ω]の場合は、キャパシタC1,C2は特に影響していない。一方、Rcal が∞(被測定物接続端子dがオープン状態)の場合は、キャパシタC1,C2を挿入することにより、高周波数域でのダイナミックレンジが改善していることが分かる。
図11は、プローブ1とプローブ3の測定データを比較して表すものである。この図で、符号UBL,符号BLの意味は、上記図8の場合と同様である。符号CALは、Rcal=450[Ω]の場合の測定データを示す。この図から、プローブ1はキャパシタC1,C2によって高周波数域のダイナミックレンジが大幅に改善されるが(図11中のP1N,P1C)、さらにトランスT3,T4を高周波特性のよいトランス3(表1)に変更することでダイナミックレンジが一層改善されることがわかる(図11中のP3C)。
以上のように、本実施例では、トロイダルフェライトコアのサイズや形状と巻き線数をパラメータにして6種類のプローブを試作し、比較検討した。その結果、プローブ2〜5が、広域にわたって大きなダイナミックレンジを有することがわかった。特に、これらの中で最も広域にダイナミックレンジが取れるのはプローブ3であることがわかった。さらに、プローブ3が、最も理論値に近い値でLCLを測定できることもわかった。その特性は、非特許文献1のものと同じか、あるいは上回るものであった。また、商用電源周波数をブロッキングするためのキャパシタC1,C2を挿入したときも、同様の結果となることがわかった。これらのことから、次の条件が満たされることが好ましいと考えられる。
(1)コモンモードチョークトランスT4がコモンモードチョークトランスT2とは異なる特性を有すること。例えば、コモンモードチョークトランスT4がコモンモードチョークトランスT2とは異なるインダクタンスを有すること。より詳細には、例えば、コモンモードチョークトランスT4がコモンモードチョークトランスT2よりも小さいインダクタンスを有すること。より具体的には、例えば、コモンモードチョークトランスT4の、コモンモードチョークトランスT2に対するインダクタンス比R1が、0.253以上かつ1未満であること。このインダクタンス比R1を0.474程度(プローブ3の場合)とするのが特に好ましい。
(2)ノーマルモードチョークトランスT3がコモンモードチョークトランスT2とは異なる特性を有すること。例えば、ノーマルモードチョークトランスT3がコモンモードチョークトランスT2とは異なるインダクタンスを有すること。特に、ノーマルモードチョークトランスT3がコモンモードチョークトランスT2よりも小さいインダクタンスを有すること。より具体的には、例えば、ノーマルモードチョークトランスT3の、コモンモードチョークトランスT2に対するインダクタンス比R2が、0.253以上かつ1未満であること。このインダクタンス比R2を0.474程度(プローブ3の場合)とするのが特に好ましい。
(3)ハイパスフィルタとしてのキャパシタC1,C2を被測定線路接続端子c,dの内側に挿入すること。これにより商用電源周波数を遮断でき電力線の不平衡度測定が可能になるばかりでなく、LCLプローブの高周波数域でのダイナミックレンジがさらに改善される。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施例では、上記の条件(1),(2)の2つを同時に満たすようにしたが、いずれか一方のみを満たすようにしてもよい。
また、上記実施例では、トランスT4(またはT3)とトランスT2との間における互いに異なる特性としてインダクタンス値を取り上げたが、他の特性(例えばインピーダンス等)が異なるように各トランスを構成してもよい。
また、上記実施例では、コイル巻き数およびコアサイズという2つの要素を変えることによってトランスの特性を変えるようにしたが、さらにあるいはこれらの要素に代えて、上記したように、コアの形状や材質、コイルの構成材、その他の要素を変えることによってトランスの特性を変えるようにしてもよい。
本発明の実施の形態に係る線路平衡度測定プローブを用いて被測定物の平衡度を測定する場合の測定系の全体構成を表す回路図である。 本発明の実施の形態に係る線路平衡度測定プローブのキャリブレーション測定を行う場合の測定系の全体構成を表す回路図である。 本発明の線路平衡度測定プローブの変形例を表す回路図である。 本発明の実施例および比較例に係る線路平衡度測定プローブの作製に用いた種々の伝送線路トランスにおけるインダクタンスの周波数特性を表す図である。 本発明の実施例および比較例に係る線路平衡度測定プローブの作製に用いた種々の伝送線路トランスにおけるインピーダンスの周波数特性を表す図である。 本発明の実施例および比較例に係る線路平衡度測定プローブ(キャパシタなしの場合)のキャリブレーション測定値を表す図である。 本発明の実施例および比較例に係る線路平衡度測定プローブ(キャパシタありの場合)のキャリブレーション測定値を表す図である。 本発明の実施例および比較例に係る線路平衡度測定プローブ(キャパシタなしの場合)のダイナミックレンジ測定値を表す図である。 本発明の実施例および比較例に係る線路平衡度測定プローブ(キャパシタありの場合)のダイナミックレンジ測定値を表す図である。 本発明の一実施例に係る線路平衡度測定プローブについての、キャパシタの有無によるキャリブレーション測定値およびダイナミックレンジ測定値の違いを表す図である。 本発明の一実施例に係る線路平衡度測定プローブと一比較例に係る線路平衡度測定プローブについて、キャリブレーション測定値およびダイナミックレンジ測定値を対比して表す図である。
符号の説明
10…LCLプローブ、20…被測定物、30…測定器、40…信号発生器、50…キャリブレーション用試料回路、T1,T3…ノーマルモードチョークトランス、T2,T4…コモンモードチョークトランス、Rcal …キャリブレーション抵抗器、IN…信号入力端子、A,B…測定器接続端子、c,d…被測定物接続端子、El…測定用信号、V1,Vt…(発生する)ノーマルモード電圧、V2,Vp…(検出される)ノーマルモード電圧。

Claims (10)

  1. 1対の被測定線路が接続される1対の被測定線路接続端子と、
    前記1対の被測定線路の平衡度を測定する測定器が接続される1対の測定器接続端子と、
    前記1対の被測定線路接続端子へと導かれるように配置され、ノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第1のコモンモードチョークトランスと、
    前記第1のコモンモードチョークトランスと接地との間に接続され、コモンモード信号を通過させノーマルモード信号を遮断するノーマルモードチョークトランスと、
    前記第1のコモンモードチョークトランスと前記1対の測定器接続端子との間に接続され、ノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第2のコモンモードチョークトランスと
    を備え、
    前記第2のコモンモードチョークトランスが、前記第1のコモンモードチョークトランスとは異なる特性を有する
    ことを特徴とする線路平衡度測定プローブ。
  2. 前記第2のコモンモードチョークトランスが、前記第1のコモンモードチョークトランスとは異なるインダクタンスを有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の線路平衡度測定プローブ。
  3. 前記第2のコモンモードチョークトランスのインダクタンスが、前記第1のコモンモードチョークトランスのインダクタンスよりも小さい
    ことを特徴とする請求項2に記載の線路平衡度測定プローブ。
  4. 前記第2のコモンモードチョークトランスのインダクタンスの、前記第1のコモンモードチョークトランスのインダクタンスに対する比が、0.253以上かつ1未満である
    ことを特徴とする請求項3に記載の線路平衡度測定プローブ。
  5. 1対の被測定線路が接続される1対の被測定線路接続端子と、
    前記1対の被測定線路の平衡度を測定する測定器が接続される1対の測定器接続端子と、
    前記1対の被測定線路接続端子へと導かれるように配置され、ノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第1のコモンモードチョークトランスと、
    前記第1のコモンモードチョークトランスと接地との間に接続され、コモンモード信号を通過させノーマルモード信号を遮断するノーマルモードチョークトランスと、
    前記第1のコモンモードチョークトランスと前記1対の測定器接続端子との間に接続され、ノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第2のコモンモードチョークトランスと
    を備え、
    前記ノーマルモードチョークトランスのインダクタンスが、前記第1のコモンモードチョークトランスのインダクタンスよりも小さい
    ことを特徴とする線路平衡度測定プローブ。
  6. 前記ノーマルモードチョークトランスのインダクタンスの、前記第1のコモンモードチョークトランスのインダクタンスに対する比が、0.253以上かつ1未満である
    ことを特徴とする請求項5に記載の線路平衡度測定プローブ。
  7. 前記1対の被測定線路は、交流電力線である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の線路平衡度測定プローブ。
  8. 前記1対の被測定線路接続端子と前記第1のコモンモードチョークトランスとの間に、前記交流電力線の電源周波数成分を遮断し他の周波数成分を通過させるハイパスフィルタをさらに備えた
    ことを特徴とする請求項7に記載の線路平衡度測定プローブ。
  9. 測定器を用いて1対の被測定線路の平衡度を測定する方法であって、
    前記1対の被測定線路に、ノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第1のコモンモードチョークトランスを接続し、
    前記第1のコモンモードチョークトランスと接地との間に、コモンモード信号を通過させノーマルモード信号を遮断するノーマルモードチョークトランスを接続し、
    前記第1のコモンモードチョークトランスと前記測定器との間に、ノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第2のコモンモードチョークトランスを接続し、
    前記第2のコモンモードチョークトランスが、前記第1のコモンモードチョークトランスとは異なる特性を有するようにした
    ことを特徴とする線路平衡度測定方法。
  10. 測定器を用いて1対の被測定線路の平衡度を測定する方法であって、
    前記1対の被測定線路に、ノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第1のコモンモードチョークトランスを接続し、
    前記第1のコモンモードチョークトランスと接地との間に、コモンモード信号を通過させノーマルモード信号を遮断するノーマルモードチョークトランスを接続し、
    前記第1のコモンモードチョークトランスと前記測定器との間に、ノーマルモード信号を通過させコモンモード信号を遮断する第2のコモンモードチョークトランスを接続し、 前記ノーマルモードチョークトランスのインダクタンスを、前記第1のコモンモードチョークトランスのインダクタンスよりも小さくした
    ことを特徴とする線路平衡度測定方法。

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