JP2005066378A - 粉体処理装置および粉体処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】天然黒鉛といった鱗片状の原料粉末を効率よく球状化できる粉体処理装置および粉体処理方法を提供する。
【解決手段】内部にて粉体処理するための本体11を設ける。本体11内に気流を形成するために回転する回転片部14を設ける。回転片部14の回転軸に沿った方向にて気体を本体11内に導入するための気体導入口28およびスペース14bを設ける。本体11内に、回転片部14の回転軸の方向に沿った軸を備えたガイドリング13を設ける。回転片部14の回転を制御するための回転制御部を設ける。上記気流を制御するためのガイド部13aをガイドリング13の外周上に形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】内部にて粉体処理するための本体11を設ける。本体11内に気流を形成するために回転する回転片部14を設ける。回転片部14の回転軸に沿った方向にて気体を本体11内に導入するための気体導入口28およびスペース14bを設ける。本体11内に、回転片部14の回転軸の方向に沿った軸を備えたガイドリング13を設ける。回転片部14の回転を制御するための回転制御部を設ける。上記気流を制御するためのガイド部13aをガイドリング13の外周上に形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然黒鉛といった鱗片状の粉体を塊状化するのに好適な粉体処理装置および粉体処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話やモバイル型コンピュ−タ等の電子機器の急激な普及に伴い、また、省資源の面から繰り返し充放電が可能な二次電池への要求が高まってきている。二次電池では、高エネルギー密度、軽量、小型、かつ充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池が駆動用電源として提案されている。
【0003】
リチウムイオン二次電池は、負極に炭素材料を用いることにより、急速充電性に劣る、サイクル寿命が短い、安全性に劣るといった、リチウム金属二次電池の問題を解決しようとするものである。
【0004】
上記炭素材料としての、黒鉛、特に天然黒鉛は、コストの面で優位なものである。
【0005】
しかしながら、天然黒鉛は、鱗片状という特異な形状から、製造工程等において選択的な傾向を示し、体積エネルギー密度が上がらず、充電中にリチウムイオンを取り込み難いという不都合を生じている。
【0006】
このような不都合を軽減するために、特許文献1に示されているように、ジェットミルを用い、100℃以上に加熱した天然黒鉛を球形化して、嵩密度を大きくすることで、体積エネルギー密度を向上できることが開示されている。
【0007】
また、非特許文献1には、上記不都合を軽減するために、高速気流中衝撃法を用いて、天然黒鉛を球状化して嵩密度を大きくすることで、体積エネルギー密度を向上できることが開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−179419号公報(公開日:2002年6月26日)
【0009】
【非特許文献1】
北海道立工業試験場報告No.301、163−166頁
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の各従来では、微粉が発生して、所望する比表面積の範囲内となる球形化や球状化された黒鉛の歩留りが低下するので、生産効率が悪く、得られた球形化や球状化された黒鉛のコストアップを招来しているという問題を生じている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の粉体処理装置は、以上の課題を解決するために、内部にて粉体処理するための本体と、旋回する気流を本体内に形成するために回転する回転片部と、本体内に設けられ、回転片部の回転軸の方向に沿った軸を備えた筒状部と、回転片部の回転を制御するための回転制御部と、筒状部の外周上に形成され、回転片部による気流の流れを制御するガイド部とを有することを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、回転片部と気体導入部とによって本体内をスパイラル状の気流を形成でき、鱗片状の原料粉体を用いた場合、本体内をスパイラル状の気流にのって搬送される原料粉体は、主に、原料粉体と回転片部との衝突、また、原料粉体同士の衝突や、原料粉体と本体の内壁面や筒状部やガイド部との衝突により、原料粉体は、その長手方向端部から内側に折れ曲がって塑性変形するように回転片部の周速度を回転制御部により制御できる。これにより、上記構成は、上記原料粉体を塊状化でき、得られた処理粉体の嵩密度を大きくできる。
【0013】
また、上記構成では、筒状部の外周上にガイド部を形成したから、回転片部の回転数を回転制御部により低く制御しても、本体内に所望するスパイラル状の気流を安定に発生させることが可能となる。
【0014】
これにより、上記構成は、上記気流により、原料粉体をスパイラル状に安定に搬送できるから、上記原料粉体の搬送路長を長く設定でき、上記原料粉体の塊状化を確実化できる。
【0015】
その上、上記構成は、回転片部の回転数を低くして、回転数が高いことによる原料粉体が粉砕されて生じる微粉の発生を抑制できるので、得られた処理粉体が、所望する比表面積の範囲外となることを低減できて、生産効率を改善でき、コストダウンが可能となる。
【0016】
上記粉体処理装置においては、さらに、筒状部を挟んで回転片部と対向する位置の本体内に設けられ、所定の粒径未満の粉体を除去するための微粉除去部を有していてもよい。
【0017】
上記構成によれば、微粉除去部を設けたことによって、不要な微粉を除去できるから、上記微粉を搬送したり、衝突したりするときに生じるエネルギー損失を抑制でき、また、得られた処理粉体が、所望する比表面積の範囲外となることを軽減できて、生産効率を向上できる。
【0018】
上記粉体処理装置では、さらに、本体に設けられ、処理された粉体を外部に取り出すための取り出し口を有し、ガイド部は、気流が取り出し口上を通るように制御するためのものであることが望ましい。
【0019】
上記構成によれば、気流が取り出し口上を通るように制御するガイド部を設けたことにより、処理された粉体の取り出しを安定化できる。
【0020】
上記粉体処理装置では、ガイド部は、筒状部の軸に対して直交する方向に突出するように形成されていてもよい。上記構成によれば、このようなガイド部を設けたことによって、本体内に生じるスパイラル状の気流を、より安定に制御できる。
【0021】
上記粉体処理装置においては、さらに、回転片部の回転軸に沿った方向にて気体を本体内に導入するための気体導入部を有していることが好ましい。上記構成によれば、気体導入部を有することによって、本体内にスパイラル状の気流をより安定に形成できる。
【0022】
本発明の粉体処理方法は、以上の課題を解決するために、本体内にて回転する回転片部により、スパイラル状に移動する気流を本体内に形成し、鱗片状の原料粉体を、スパイラル状に移動している気流中に投入し、スパイラル状に移動する気流により原料粉体およびそれに基づく粉体を本体内にて搬送しながら塊状化して、嵩密度を向上させることを特徴としている。
【0023】
上記方法によれば、鱗片状の原料粉体を本体内にて気流にのせて搬送すると、原料粉体は、主に、原料粉体と回転片部との衝突、また、原料粉体同士の衝突や、原料粉体と本体の内壁面との衝突により、原料粉体は、その長手方向端部から内側に折れ曲がるように塑性変形して、上記原料粉体を塊状化できる。
【0024】
また、上記方法は、スパイラル状に移動する気流により、原料粉体をスパイラル状に搬送でき、上記原料粉体およびそれに基づく粉体の搬送路長を長く設定できるから、上記原料粉体の塊状化を確実化でき、生産効率を改善できる。
【0025】
上記粉体処理方法では、本体内にて原料粉体およびそれに基づく粉体を搬送しながら、上記粉体から所定の粒径未満の粉体を除去することが望ましい。
【0026】
上記方法によれば、粉体から所定の粒径未満の粉体を除去することによって、不要な微粉を除去できるから、上記微粉も搬送したり、衝突したりするときに生じるエネルギー損失を抑制でき、また、得られた処理粉体が、所望する比表面積の範囲外となることを軽減できて、生産効率を向上できる。
【0027】
上記粉体処理方法においては、スパイラル状に移動している気流により、原料粉体およびそれに基づく粉体を本体内にて循環させることが好ましい。
【0028】
上記方法によれば、原料粉体およびそれに基づく粉体を本体内にて循環させることで、上記原料粉体およびそれに基づく粉体の搬送路長をより一層長くなるように設定できるから、上記原料粉体の塊状化をより確実化でき、生産効率をさらに改善できる。
【0029】
上記粉体処理方法では、回転片部の回転軸に沿った軸を備えて、本体内に設けられた筒状部の外周および内周に沿って、原料粉体およびそれに基づく粉体を搬送するようにしてもよい。
【0030】
上記方法によれば、本体内に設けられた筒状部の外周および内周に沿って、原料粉体およびそれに基づく粉体を搬送することによって、上記の循環をより安定に設定できて、生産効率をより向上できる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0032】
本発明の粉体処理装置1は、天然黒鉛といった鱗片状の原料粉末を効率よく球状化(塊状化)する粉体処理を施すことにより、得られた処理粉体の嵩密度を大きくできるものであり、図1に示すように、本体(ケーシング)11を備えている。上記球状化とは、得られた処理粉体の短径と長径との比で定義されるアスペクト比が0.8〜1.2となるように形状を制御することである。このような形状制御により、嵩密度を大きくできる。
【0033】
本体11内には、分級ロータ(微粉除去部)12と、ガイドリング13(筒状部)と、回転片部14と、本体11内部から微粉を取り除く微粉排出部(微粉除去部)15と、本体11内部に原料粉体を導入するための原料導入部16と、本体11から処理品としての処理粉体を取り出す取り出し口17とが設けられている。
【0034】
上記本体11は、略円筒形状であり、その内部において粉体処理を行うためのものであり、その内部には分級ロータ12、ガイドリング13および回転片部14をそれぞれ同軸状に備えている。回転片部14は、後に詳述するが、本体11内にスパイラル状の気流を発生させると共に原料粉体や、それからの粉体に対して衝突により衝撃力を付与するためのものである。
【0035】
本体11の内部の分級ロータ12は、本体11に形設されている微粉排出部15と回転片部14との間であり、かつガイドリング13を挟んで回転片部14に対向する位置に配設されていて、本体11内の粉体のうち、所望する粒径未満の微粉のみを通過させる、つまり選別するためのものである。
【0036】
また、粉体処理装置1には、回転片部14の回転軸に沿った方向にて気体を本体11内に導入するための気体導入口(気体導入部)28が設けられている。この気体導入口28の位置は特に限定されないが、回転片部14の下方(つまり、回転片部14を挟んでガイドリング13に対向する位置である反対側)に設けられることが好ましい。
【0037】
気体導入口28から本体11内部に導入された気体は、後述するように本体11の内部を循環する気流も形成するが、本体11の内部から分級ロータ12を介して微粉排出部15を介して集塵機に到達する気流も形成する。
【0038】
上記気流は、微粉排出部15に集塵機(図示せず)を介して接続されているブロワーによる吸引によってもよく、また、気体導入口28側からブロワーによる加圧によってもよい。なお、上記気体としては、目的とする処理品に応じたものが用いられるが、例えば、空気、窒素やアルゴンなどの不活性ガス等が挙げられる。
【0039】
上記本体11の周囲には、本体11の内部温度を調節するためのジャケット部(図示せず)が設けられていてもよい。ジャケット部としては、例えば、別に設けたタンク(図示せず)からの加熱媒体又は冷却媒体が必要に応じて循環供給されることによって、本体11の内部温度を調節することができる。例えば、温度変化によって変質するおそれのある原料粉体を粉体処理する場合は、ジャケット部に冷却媒体を循環供給することにより粉体の変質を防止することができる。
【0040】
上記分級ロータ12は、図示しない駆動手段に駆動軸22を介して接続されており、本体11内部で回転することによる遠心力により、本体11内の粉体中に含まれる微粉のみを本体11の内部側から微粉排出部15側に通過させ、所定の粒径以上の粉体を本体11内に戻すためのものである。このとき、分級ロータ12は、周速度において回転片部14より高速にて回転されることが好ましい。
【0041】
ここで、分級ロータ12を通過できる微粉の粒径は、分級ロータ12の回転速度を制御することにより任意に設定することができる。このため、分級ロータ12の回転速度制御によって本体11内部から取り除かれる微粉の粒径を規定することができる。一方、分級ロータ12を通過できない粉体は、本体11内部に滞留して循環して繰り返し処理されることとなる。
【0042】
前記の回転片部14は、円盤状に形成され、その外周面が、本体11の内周面とほぼ等間隔のスペース(気体導入部)14bを有して本体11に取り付けられている。したがって、回転片部14は、本体11内にて回転自在となっている。また、上記スペース14bによって、気体導入口28からの気体を、ガイドリング13と本体11との間に向かって、回転片部14の回転軸に沿った方向に本体11内に導入できることになる。
【0043】
回転片部14は、図示しないモータなどの駆動手段(駆動部)に接続されて回転し、図示しないが回転制御部によって回転が制御されるように設けられている。回転片部14の外周辺部(先端)の周速度は、40m/s〜100m/sの範囲内が望ましい。
【0044】
回転片部14は、回転することにより、接触した原料粉体に対し衝撃作用を与えて、原料粉体に対して解砕処理を施し、また、衝突の衝撃力で粉砕には至らないが塑性変形させて原料粉体を球状化して嵩密度を増大化すると共に、本体11内において、本体11の中心軸を中心として回転するスパイラル状の気流を発生させて循環させ、原料粉体を効率よく処理粉体(つまり球状化粉体)とするためのものである。
【0045】
回転片部14の周辺部には、上記解砕処理や球状化処理や気流発生を効率よく行うために、ブロック状(直方体形状、ハンマー状)の片部14aが、複数、互いに等間隔にて回転片部14の回転軸に沿い、かつ本体11内に向かって立設されている。各片部14aの取り付け位置は、ガイドリング13と本体11との間に面する位置が望ましい。これにより、回転片部14が回転すると、ガイドリング13と本体11との間にスパイラル状の上昇(回転片部14から分級ロータ12に向かう方向の)気流を、より確実に形成できる。
【0046】
なお、片部14aの形状としては、他に、ピン状であってもよい。また、図示しないが、回転片部14の各片部14aは、回転片部14の下面(本体11に対して外向き)に設けられているものであってもよい。回転片部14の各片部14aが回転片部14の下面に設けられている場合、回転片部14の各片部14aは本体11内部の原料粉体を解砕することはないが、本体11内部に旋回気流を形成できるため、原料粉体同士を衝突させて球状化することには不都合はない。
【0047】
前記ガイドリング13は、略円筒状の形状をしており、その中心軸が分級ロータ12の回転軸や本体11の中心軸と同軸状に本体11内部に配設されていて、本体11内部の粉体を分級ロータ12と後述する回転片部14との間にて循環させるように導くものである。
【0048】
なお、図1には、ガイドリング13の外径や内径が回転軸に沿って、同径となるように成形されているが、本体11の回転片部14側の端部に向かって連続的に小さくなっているテーパー形状や、その内径が本体11の回転片部14側の端部に向かって連続的に大きくなっているテーパー形状に成形されていてもよい。
【0049】
また、上記ガイドリング13は、本体11同様、温度を調節するためのジャケット部153を備えていることが好ましい。これにより、温度変化によって変質する虞のある原料を粉体処理する場合に粉体が変質することをより確実に防止することができる。
【0050】
前記微粉排出部15は、分級ロータ12を通過した不要な微粉を本体11内部から取り除くためのものである。また、微粉排出部15は集塵機を介してブロワーに接続されており、ブロワーによって吸引された微粉は集塵機によって捕捉される。
【0051】
前記取り出し口17は、原料の処理が完了した後に、本体11中に残留する処理粉体を取り出すために、本体11の側壁に設けられている開口部であり、エアーシリンダ18および嵌挿部158によりその開閉が制御される。処理中では取り出し口17は閉じられており、処理が完了して本体11内部の残留物として微粉を含まない、球状化されて嵩密度を大きくした目的の処理粉体が得られた後に、取り出し口17が開かれて本体11の内部から処理粉体が取り出される。具体的には、取り出し口17を開いてその一端が取り出し口17に接続されている取出筒20の取出バルブ19を開くことにより、本体11内部の処理粉体を容易に取り出すことができる。
【0052】
そして、本実施の形態の粉体処理装置1では、図2にも示すように、ガイドリング13の外周面上に、回転片部14から離間する方向のスパイラル状に生じる上記気流の流れを制御するための、帯状でスパイラル状のガイド部13aが形成されている。
【0053】
また、ガイド部13aは、その幅方向がガイドリング13の径方向(ガイドリング13の軸に直交する方向)に沿って、かつ外向きに突出するように設定されていることが好ましい。
【0054】
さらに、ガイド部13aは、その外周面が本体11の内周面に対して遊嵌状態となる(つまり、ガイド部13aの外周面が本体11の内周面に近接して、上記外周面と内周面との間での気流の流れを制限、より望ましくは遮断する)間隔にて本体11内に取り付けられていることが好ましい。これにより、ガイド部13aは、本体11内に対して着脱自在となっており、かつ、ガイド部13aの厚さ方向への気流の流れを制限、より望ましくは遮断して、上記気流を制御するようになっている。
【0055】
なお、上記ガイド部13aの枚数、長さ、ピッチ、厚み、取り付け位置については、気流の上昇気流や旋回気流を制限して、上記気流を制御できれば何れでもよい。
【0056】
上記本体11、ガイドリング13、回転片部14およびガイド部13aの素材としては、ステンレスが挙げられ、それらの表面の粗さは、Raが0.8μm以上が望ましい。Raが0.8μm未満の場合は、形状制御による嵩密度の増大化の効率が低下することがある。
【0057】
上記ガイド部13aを設けたことにより、回転片部14の回転数を、接触した原料粉体を粉砕しないが、解砕したり球状化したりする程度の低速に設定しても、本体11内に、ガイドリング13の外周面上では回転片部14から離間する方向に、かつ、回転片部14の回転方向に沿ったスパイラル状に発生している気流の流れを制御して、上記気流が前記取り出し口17上を通過するように設定できる。これにより、球状化された処理粉体は、取り出し口17からの安定に取り出される。
【0058】
上記ガイド部13aに基づく上記気流により、原料粉体をスパイラル状に搬送できるから、上記原料粉体の搬送路長を長く設定でき、上記原料粉体の球状化を確実化できる。
【0059】
その上、上記構成は、回転片部14の回転数を低くして、回転数が高いことによる原料粉体が粉砕されて生じる微粉の発生を抑制できるので、得られた処理粉体である球状化粉体が、所望する比表面積の範囲外となることを軽減でき、歩留りを向上できて生産効率を改善できる。
【0060】
本実施の形態の粉体処理装置1は、原料粉体を連続処理して得られる処理粉体を順次排出するものではなく、原料粉体を一括して処理するいわゆるバッチ処理を行うものである。例えば、原料粉体を連続処理して処理品に要求される粒径の上限よりも小さい処理粉体を順次取り出す従来の粉体処理装置とは異なり、原料を一括処理して処理品に要求される範囲の粒径の下限よりも小さい微粉を不要物として本体11内部から取り除くことができる。このため、粉体処理終了後に本体11の内部に残留物として得られる処理粉体は、処理品に要求される範囲の粒径の下限よりも小さい不要な微粉を含まないものとして得られる。
【0061】
また、回転片部14により原料粉体を球状化処理する場合は、回転片部14の回転速度、処理時間、本体11の内部温度などの条件調整によって、本体11内部における原料粉体の球状化の程度を調整することができる。従って、本体11内部に残留する処理粉体の粒径の上限値については、回転片部14の処理条件の調整等により、粉体処理装置1の処理能力の範囲内で所望の値以下にすることが可能となる。
【0062】
したがって、本実施の形態の粉体処理装置1によって処理された本体11内部の残留物として得られる処理粉体は、処理品に要求される粒径を満足するものとなる。
【0063】
このように、本実施の形態の粉体処理装置1は、原料を連続して粉砕処理する際に本体内部の粉体を分級して所定の粒径以下となった処理粉体を取り出す従来の粉体処理装置とは異なり、本体内部の残留物として微粉を含まない処理粉体を得ることができる。したがって、得られた処理粉体から不要な微粉を取り除くために別の装置を用いることは不要である。
【0064】
また、粉体処理装置1は、粉体処理の際に原料粉体同士や、原料粉体と本体11の内壁面や回転片部14もしくはガイドリング13の外周面および内周面とを繰り返し衝突させて球状化することができる。このように、本実施の形態の粉体処理装置1は、単体で、原料粉体の解砕、微粉除去および球状化などの形状制御を行うことが可能である。したがって、本発明は、鱗片状の天然黒鉛に対する形状制御だけではなく、不定型の人造黒鉛の形状制御にも好適に利用できる
つづいて、本実施の形態の粉体処理装置1を用いた粉体処理方法について以下に説明する。まず、本体11内部に、鱗片状の天然黒鉛を原料粉体として所定量投入し、本体11内部で原料粉体を気流にのせて搬送しながら循環させる。
【0065】
このとき、上記原料粉体は、主に、回転片部14の片部14aと衝突し、また、上記原料粉体同士が互いに衝突したり、上記原料粉体と本体11の内壁面、ガイドリング13の外周面や内周面、ガイド部13aの表面と衝突したりする。この衝突は、原料粉体が鱗片状であるため、気流中ではその長手方向が気流の流れ方向に沿うようになるので、各原料粉末の長手方向端部にて主に生じることになり、各原料粉末の長手方向端部を順次内側に折り曲げる塑性変形を生じさせることになる。このように各原料粉末の長手方向端部が折り曲がること、また、上記原料粉体に由来する一部が折り曲げられた粉体の長手方向端部が折り曲がることによって、球状化を進行させることが可能となる。
【0066】
このようにして回転片部14の回転により粉体処理を所定時間行う。このとき、この粉体処理と並行して、分級ロータ12によって本体11内部の粉体を分級し、微粉排出部15により不要な微粉を排出している。
【0067】
このように、本体11内部において原料を所定時間保持し滞留させて循環させている間に、形状制御の粉体処理と微粉除去とを同時に行うことができるため、この所定時間保持し滞留された後の処理粉体は不要な微粉を含まないか、後処理不要な程度まで上記微粉が除去されたものとなる。したがって、別の装置を用いて処理粉体中の微粉を除去することが不要となる。
【0068】
本発明の粉体処理装置には、前粉砕工程として、さらに微粉砕機を設けてもよい。そのような微粉砕機としては、カウンタージェットミル(ホソカワミクロン(株)製)、ミクロンジェットT型(ホソカワミクロン(株)製)、その他のジェットミルおよび機械衝撃式粉砕機などが挙げられる。また、微粉砕機と粗粉分級機が一体となっている粉砕機として、カウンタージェットミル(ホソカワミクロン(株)製)ACMパルベライザ(ホソカワミクロン(株)製)、イノマイザ(ホソカワミクロン(株)製)などが挙げられる。
【0069】
また、得られた処理粉体の後工程として粗粉分級機もしくは微粉分級機を設けてもよい。そのような粗粉分級機としては、ターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、その他の気流式分級機などが挙げられる。
【0070】
微粉分級機としては、ターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)、TTSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)などが挙げられる。
【0071】
なお、上記では、ガイド部13aの形状を1条のスパイラル状に形成した例を挙げたが、ガイド部13aの形状は、本体11内に生じる気流の上昇流や旋回流を制御して、スパイラル状に発生する本体11内の気流が、取り出し口17上を通過するように制御されれば他の形状でもよい。
【0072】
ガイド部13aの、他の形状としては、2条や3条のスパイラル状でもよく、また、必要に応じて、図3(a)に示すように、不連続なスパイラル状や、図3(b)に示すように、じゃま板状であってもよい。じゃま板状とは、略長方形板状に形成され、ガイドリング13の軸方向に、上記ガイド部13aの長手方向を合わせて、外向きに伸びるように設けられているものである。
【0073】
また、上記においては、回転片部14の片部14aの形状として、ハンマー状やピン状の例を挙げたが、他の形状としては、図4に示すように、たて溝付きハンマー状でもよい。たて溝付きハンマー状の片部14aでは、そのたて溝の長手方向が回転片部14の回転軸方向に沿っており、かつ、そのたて溝が外向きとなるように取り付けられていることから、上記たて溝により、鱗片状の原料粉末を効率よく球状化できることがある。
【0074】
【実施例】
以下に、各実施例および各比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。
【0075】
〔嵩密度(Tap)〕
嵩密度は、100cm3のガラス製のメスシリンダーに黒鉛粒子を試料として100cm3まで入れてタッピングし、試料の容積が変化しなくなったところで、試料容積を測定し、試料重量を試料容積で除した値を嵩密度とした。
【0076】
〔実施例1〕
本発明に係る実施例1について、図1に基づいて以下に説明する。本実施例1においては、天然黒鉛(平均粒子径:20μm、嵩密度(αTap:180):0.80g/cm3、比表面積(BET法):5.0m2/g)を原料粉体(表1では、イと表記した)として用いた。
【0077】
原料粉体の球状化のための各処理条件は、処理時間を3分に設定し、回転片部14の回転数2000rpm(先端周速度42m/s)、分級ロータ12の回転数7000rpm(先端周速度85m/s)、運転風量15m3/分とした。
【0078】
上記の条件の下、原料粉体を処理して得られた球状化黒鉛は、平均粒子径が21μm、比表面積(BET法):5.2m2/g、嵩密度(αTap:180):0.85g/cm3である各物性値をそれぞれ有するものであった。上記の原料粉体、各処理条件および各物性値を、表1に合わせて示した。表1では、回転片部14の回転数を片部回転数、分級ロータ12の回転数を分級回転数と記載し、実施例1を運転番号1にて示した。
【0079】
【表1】
【0080】
〔実施例2〜5〕
実施例1を基準にして、処理時間を、6分、10分、15分、30分にそれぞれ代えた以外は実施例1と同様に操作して、各実施例2〜5(運転番号2〜5)の各球状化黒鉛を得た。それらの結果を表1に合わせて示した。
【0081】
〔実施例6〜7〕
実施例3を基準にして、分級回転数を、6000rpmと5000rpmとにそれぞれ代えた以外は実施例3と同様に操作して、各実施例6、7(運転番号6、7)の各球状化黒鉛を得た。それらの結果を表1に合わせて示した。
【0082】
〔実施例8、9〕
実施例3を基準にして、原料粉体をロとハにそれぞれ代えた以外は実施例3と同様に操作して、各実施例8、9(運転番号8、9)の各球状化黒鉛を得た。それらの結果を表2に合わせて示した。
【0083】
【表2】
【0084】
〔実施例10〜13〕
実施例3において、原料粉末に原料粉体ニ(平均粒子径:19.7μm、嵩密度(αTap:180):0.63g/cm3)、を用い、片部回転数を3000rpm、4000rpm、5000rpm、6000rpmにそれぞれ代えた以外は実施例3と同様に操作して、各実施例10〜13(運転番号10〜13)の各球状化黒鉛を得た。それらの結果を表2に合わせて示した。
【0085】
〔実施例14〜16〕
実施例11を基準にして、原料粉体を、原料粉体ホ(平均粒子径:13.4μm、嵩密度(αTap:180):0.48g/cm3)を用い、表2および表3に示した各処理条件により、他は実施例11と同様に操作して、実施例14〜16(運転番号14〜16)の各球状化黒鉛を得た。それらの結果を表2および表3に合わせて示した。
【0086】
〔実施例17〜21〕
原料粉体を、原料粉体ヘ(平均粒子径:17.8μm、嵩密度(αTap:180):0.54g/cm3)を用い、表3に記載の各処理条件にて、他は上記実施例11と同様に操作して、それぞれ各球状化黒鉛を得た。それらの結果を表3に合わせて示した。
【0087】
【表3】
【0088】
上記の各実施例から明らかなように、本発明の粉体処理装置および粉体処理方法を用いることにより、鱗片状の天然黒鉛を、効率よく球状化でき、また、不要な微粉の混入も抑制されて、比表面積を維持しながら(10%までの増加に抑えながら)嵩密度を向上できていることがわかる。
【0089】
このようにして得られた、本発明に係る球状化された黒鉛は、嵩密度が大きく、かつ比表面積が大きくなることを抑制されているから、リチウムイオン二次電池の負極材料として好適に使用できる。また、本発明に係る球状化された黒鉛は、他の用途として、その融点の高さと低コストであるから、溶融金属容器あるいは高温炉などの制作や補修に用いられる不定形耐火物にも好適に使用される。
【0090】
本発明の粉体処理装置および粉体処理方法を用いた球状化処理は、従来の技術(ジェットミル)を用いた球状化処理と比べて、生産効率が5.8倍から26.7培向上していることを、以下の算出により説明する。
【0091】
(1)従来の技術(ジェットミル)を用いた球状化処理では、
球状化に必要な風量(圧縮空気)つまりエネルギーが、0.26N・m3/分(at 0.2MPa)のとき、上記エネルギーで処理できる処理能力は、0.3〜0.45kg/時であった。
【0092】
(2)本発明の粉体処理装置および粉体処理方法を用いた球状化処理においては、球状化に必要な動力(エネルギー)が10〜15kWのとき、上記エネルギーで処理できる処理能力は、20〜40kg/時であった。
【0093】
上記の(1)と(2)との装置および方法が、同一の製品に対して同一の程度の処理が行なわれていると考えると、(1)の風量を動力に換算し、互いに比較することが可能となり、1N・m3/分≒7.5kWであるから、
(1)の処理エネルギーは、0.15〜0.23kg/kW・時となり、
(2)の処理エネルギーは、1.33〜4.00kg/kW・時となることにより、(2)の処理は、5.8倍から26.7培の処理効率(生産効率)を有すると言える。
【0094】
【発明の効果】
本発明の粉体処理装置は、以上のように、本体内に気流を形成するために回転する回転片部と、本体内に設けられ、回転片部の回転軸の方向に沿った軸を備えた筒状部と、筒状部の外周上に上記気流を制御するためのガイド部とを有する構成である。
【0095】
それゆえ、上記構成は、ガイド部を有することにより、鱗片状の原料粉体を効率よく塊状化でき、また、微粉の発生を抑制できるので、生産効率を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る粉体処理装置の概略断面図である。
【図2】上記粉体処理装置のガイドリングおよびガイド部の斜視図である。
【図3】上記ガイドリングおよびガイド部の他の例の斜視図であり、(a)は不連続なスパイラル状のもの、(b)はじゃま板状のものを示す。
【図4】上記粉体処理装置の回転片部の片部の他の例を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
11 本体
13 ガイドリング(筒状部)
13a ガイド部
14 回転片部
14b スペース(気体導入部)
28 気体導入口(気体導入部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然黒鉛といった鱗片状の粉体を塊状化するのに好適な粉体処理装置および粉体処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話やモバイル型コンピュ−タ等の電子機器の急激な普及に伴い、また、省資源の面から繰り返し充放電が可能な二次電池への要求が高まってきている。二次電池では、高エネルギー密度、軽量、小型、かつ充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池が駆動用電源として提案されている。
【0003】
リチウムイオン二次電池は、負極に炭素材料を用いることにより、急速充電性に劣る、サイクル寿命が短い、安全性に劣るといった、リチウム金属二次電池の問題を解決しようとするものである。
【0004】
上記炭素材料としての、黒鉛、特に天然黒鉛は、コストの面で優位なものである。
【0005】
しかしながら、天然黒鉛は、鱗片状という特異な形状から、製造工程等において選択的な傾向を示し、体積エネルギー密度が上がらず、充電中にリチウムイオンを取り込み難いという不都合を生じている。
【0006】
このような不都合を軽減するために、特許文献1に示されているように、ジェットミルを用い、100℃以上に加熱した天然黒鉛を球形化して、嵩密度を大きくすることで、体積エネルギー密度を向上できることが開示されている。
【0007】
また、非特許文献1には、上記不都合を軽減するために、高速気流中衝撃法を用いて、天然黒鉛を球状化して嵩密度を大きくすることで、体積エネルギー密度を向上できることが開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−179419号公報(公開日:2002年6月26日)
【0009】
【非特許文献1】
北海道立工業試験場報告No.301、163−166頁
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の各従来では、微粉が発生して、所望する比表面積の範囲内となる球形化や球状化された黒鉛の歩留りが低下するので、生産効率が悪く、得られた球形化や球状化された黒鉛のコストアップを招来しているという問題を生じている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の粉体処理装置は、以上の課題を解決するために、内部にて粉体処理するための本体と、旋回する気流を本体内に形成するために回転する回転片部と、本体内に設けられ、回転片部の回転軸の方向に沿った軸を備えた筒状部と、回転片部の回転を制御するための回転制御部と、筒状部の外周上に形成され、回転片部による気流の流れを制御するガイド部とを有することを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、回転片部と気体導入部とによって本体内をスパイラル状の気流を形成でき、鱗片状の原料粉体を用いた場合、本体内をスパイラル状の気流にのって搬送される原料粉体は、主に、原料粉体と回転片部との衝突、また、原料粉体同士の衝突や、原料粉体と本体の内壁面や筒状部やガイド部との衝突により、原料粉体は、その長手方向端部から内側に折れ曲がって塑性変形するように回転片部の周速度を回転制御部により制御できる。これにより、上記構成は、上記原料粉体を塊状化でき、得られた処理粉体の嵩密度を大きくできる。
【0013】
また、上記構成では、筒状部の外周上にガイド部を形成したから、回転片部の回転数を回転制御部により低く制御しても、本体内に所望するスパイラル状の気流を安定に発生させることが可能となる。
【0014】
これにより、上記構成は、上記気流により、原料粉体をスパイラル状に安定に搬送できるから、上記原料粉体の搬送路長を長く設定でき、上記原料粉体の塊状化を確実化できる。
【0015】
その上、上記構成は、回転片部の回転数を低くして、回転数が高いことによる原料粉体が粉砕されて生じる微粉の発生を抑制できるので、得られた処理粉体が、所望する比表面積の範囲外となることを低減できて、生産効率を改善でき、コストダウンが可能となる。
【0016】
上記粉体処理装置においては、さらに、筒状部を挟んで回転片部と対向する位置の本体内に設けられ、所定の粒径未満の粉体を除去するための微粉除去部を有していてもよい。
【0017】
上記構成によれば、微粉除去部を設けたことによって、不要な微粉を除去できるから、上記微粉を搬送したり、衝突したりするときに生じるエネルギー損失を抑制でき、また、得られた処理粉体が、所望する比表面積の範囲外となることを軽減できて、生産効率を向上できる。
【0018】
上記粉体処理装置では、さらに、本体に設けられ、処理された粉体を外部に取り出すための取り出し口を有し、ガイド部は、気流が取り出し口上を通るように制御するためのものであることが望ましい。
【0019】
上記構成によれば、気流が取り出し口上を通るように制御するガイド部を設けたことにより、処理された粉体の取り出しを安定化できる。
【0020】
上記粉体処理装置では、ガイド部は、筒状部の軸に対して直交する方向に突出するように形成されていてもよい。上記構成によれば、このようなガイド部を設けたことによって、本体内に生じるスパイラル状の気流を、より安定に制御できる。
【0021】
上記粉体処理装置においては、さらに、回転片部の回転軸に沿った方向にて気体を本体内に導入するための気体導入部を有していることが好ましい。上記構成によれば、気体導入部を有することによって、本体内にスパイラル状の気流をより安定に形成できる。
【0022】
本発明の粉体処理方法は、以上の課題を解決するために、本体内にて回転する回転片部により、スパイラル状に移動する気流を本体内に形成し、鱗片状の原料粉体を、スパイラル状に移動している気流中に投入し、スパイラル状に移動する気流により原料粉体およびそれに基づく粉体を本体内にて搬送しながら塊状化して、嵩密度を向上させることを特徴としている。
【0023】
上記方法によれば、鱗片状の原料粉体を本体内にて気流にのせて搬送すると、原料粉体は、主に、原料粉体と回転片部との衝突、また、原料粉体同士の衝突や、原料粉体と本体の内壁面との衝突により、原料粉体は、その長手方向端部から内側に折れ曲がるように塑性変形して、上記原料粉体を塊状化できる。
【0024】
また、上記方法は、スパイラル状に移動する気流により、原料粉体をスパイラル状に搬送でき、上記原料粉体およびそれに基づく粉体の搬送路長を長く設定できるから、上記原料粉体の塊状化を確実化でき、生産効率を改善できる。
【0025】
上記粉体処理方法では、本体内にて原料粉体およびそれに基づく粉体を搬送しながら、上記粉体から所定の粒径未満の粉体を除去することが望ましい。
【0026】
上記方法によれば、粉体から所定の粒径未満の粉体を除去することによって、不要な微粉を除去できるから、上記微粉も搬送したり、衝突したりするときに生じるエネルギー損失を抑制でき、また、得られた処理粉体が、所望する比表面積の範囲外となることを軽減できて、生産効率を向上できる。
【0027】
上記粉体処理方法においては、スパイラル状に移動している気流により、原料粉体およびそれに基づく粉体を本体内にて循環させることが好ましい。
【0028】
上記方法によれば、原料粉体およびそれに基づく粉体を本体内にて循環させることで、上記原料粉体およびそれに基づく粉体の搬送路長をより一層長くなるように設定できるから、上記原料粉体の塊状化をより確実化でき、生産効率をさらに改善できる。
【0029】
上記粉体処理方法では、回転片部の回転軸に沿った軸を備えて、本体内に設けられた筒状部の外周および内周に沿って、原料粉体およびそれに基づく粉体を搬送するようにしてもよい。
【0030】
上記方法によれば、本体内に設けられた筒状部の外周および内周に沿って、原料粉体およびそれに基づく粉体を搬送することによって、上記の循環をより安定に設定できて、生産効率をより向上できる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0032】
本発明の粉体処理装置1は、天然黒鉛といった鱗片状の原料粉末を効率よく球状化(塊状化)する粉体処理を施すことにより、得られた処理粉体の嵩密度を大きくできるものであり、図1に示すように、本体(ケーシング)11を備えている。上記球状化とは、得られた処理粉体の短径と長径との比で定義されるアスペクト比が0.8〜1.2となるように形状を制御することである。このような形状制御により、嵩密度を大きくできる。
【0033】
本体11内には、分級ロータ(微粉除去部)12と、ガイドリング13(筒状部)と、回転片部14と、本体11内部から微粉を取り除く微粉排出部(微粉除去部)15と、本体11内部に原料粉体を導入するための原料導入部16と、本体11から処理品としての処理粉体を取り出す取り出し口17とが設けられている。
【0034】
上記本体11は、略円筒形状であり、その内部において粉体処理を行うためのものであり、その内部には分級ロータ12、ガイドリング13および回転片部14をそれぞれ同軸状に備えている。回転片部14は、後に詳述するが、本体11内にスパイラル状の気流を発生させると共に原料粉体や、それからの粉体に対して衝突により衝撃力を付与するためのものである。
【0035】
本体11の内部の分級ロータ12は、本体11に形設されている微粉排出部15と回転片部14との間であり、かつガイドリング13を挟んで回転片部14に対向する位置に配設されていて、本体11内の粉体のうち、所望する粒径未満の微粉のみを通過させる、つまり選別するためのものである。
【0036】
また、粉体処理装置1には、回転片部14の回転軸に沿った方向にて気体を本体11内に導入するための気体導入口(気体導入部)28が設けられている。この気体導入口28の位置は特に限定されないが、回転片部14の下方(つまり、回転片部14を挟んでガイドリング13に対向する位置である反対側)に設けられることが好ましい。
【0037】
気体導入口28から本体11内部に導入された気体は、後述するように本体11の内部を循環する気流も形成するが、本体11の内部から分級ロータ12を介して微粉排出部15を介して集塵機に到達する気流も形成する。
【0038】
上記気流は、微粉排出部15に集塵機(図示せず)を介して接続されているブロワーによる吸引によってもよく、また、気体導入口28側からブロワーによる加圧によってもよい。なお、上記気体としては、目的とする処理品に応じたものが用いられるが、例えば、空気、窒素やアルゴンなどの不活性ガス等が挙げられる。
【0039】
上記本体11の周囲には、本体11の内部温度を調節するためのジャケット部(図示せず)が設けられていてもよい。ジャケット部としては、例えば、別に設けたタンク(図示せず)からの加熱媒体又は冷却媒体が必要に応じて循環供給されることによって、本体11の内部温度を調節することができる。例えば、温度変化によって変質するおそれのある原料粉体を粉体処理する場合は、ジャケット部に冷却媒体を循環供給することにより粉体の変質を防止することができる。
【0040】
上記分級ロータ12は、図示しない駆動手段に駆動軸22を介して接続されており、本体11内部で回転することによる遠心力により、本体11内の粉体中に含まれる微粉のみを本体11の内部側から微粉排出部15側に通過させ、所定の粒径以上の粉体を本体11内に戻すためのものである。このとき、分級ロータ12は、周速度において回転片部14より高速にて回転されることが好ましい。
【0041】
ここで、分級ロータ12を通過できる微粉の粒径は、分級ロータ12の回転速度を制御することにより任意に設定することができる。このため、分級ロータ12の回転速度制御によって本体11内部から取り除かれる微粉の粒径を規定することができる。一方、分級ロータ12を通過できない粉体は、本体11内部に滞留して循環して繰り返し処理されることとなる。
【0042】
前記の回転片部14は、円盤状に形成され、その外周面が、本体11の内周面とほぼ等間隔のスペース(気体導入部)14bを有して本体11に取り付けられている。したがって、回転片部14は、本体11内にて回転自在となっている。また、上記スペース14bによって、気体導入口28からの気体を、ガイドリング13と本体11との間に向かって、回転片部14の回転軸に沿った方向に本体11内に導入できることになる。
【0043】
回転片部14は、図示しないモータなどの駆動手段(駆動部)に接続されて回転し、図示しないが回転制御部によって回転が制御されるように設けられている。回転片部14の外周辺部(先端)の周速度は、40m/s〜100m/sの範囲内が望ましい。
【0044】
回転片部14は、回転することにより、接触した原料粉体に対し衝撃作用を与えて、原料粉体に対して解砕処理を施し、また、衝突の衝撃力で粉砕には至らないが塑性変形させて原料粉体を球状化して嵩密度を増大化すると共に、本体11内において、本体11の中心軸を中心として回転するスパイラル状の気流を発生させて循環させ、原料粉体を効率よく処理粉体(つまり球状化粉体)とするためのものである。
【0045】
回転片部14の周辺部には、上記解砕処理や球状化処理や気流発生を効率よく行うために、ブロック状(直方体形状、ハンマー状)の片部14aが、複数、互いに等間隔にて回転片部14の回転軸に沿い、かつ本体11内に向かって立設されている。各片部14aの取り付け位置は、ガイドリング13と本体11との間に面する位置が望ましい。これにより、回転片部14が回転すると、ガイドリング13と本体11との間にスパイラル状の上昇(回転片部14から分級ロータ12に向かう方向の)気流を、より確実に形成できる。
【0046】
なお、片部14aの形状としては、他に、ピン状であってもよい。また、図示しないが、回転片部14の各片部14aは、回転片部14の下面(本体11に対して外向き)に設けられているものであってもよい。回転片部14の各片部14aが回転片部14の下面に設けられている場合、回転片部14の各片部14aは本体11内部の原料粉体を解砕することはないが、本体11内部に旋回気流を形成できるため、原料粉体同士を衝突させて球状化することには不都合はない。
【0047】
前記ガイドリング13は、略円筒状の形状をしており、その中心軸が分級ロータ12の回転軸や本体11の中心軸と同軸状に本体11内部に配設されていて、本体11内部の粉体を分級ロータ12と後述する回転片部14との間にて循環させるように導くものである。
【0048】
なお、図1には、ガイドリング13の外径や内径が回転軸に沿って、同径となるように成形されているが、本体11の回転片部14側の端部に向かって連続的に小さくなっているテーパー形状や、その内径が本体11の回転片部14側の端部に向かって連続的に大きくなっているテーパー形状に成形されていてもよい。
【0049】
また、上記ガイドリング13は、本体11同様、温度を調節するためのジャケット部153を備えていることが好ましい。これにより、温度変化によって変質する虞のある原料を粉体処理する場合に粉体が変質することをより確実に防止することができる。
【0050】
前記微粉排出部15は、分級ロータ12を通過した不要な微粉を本体11内部から取り除くためのものである。また、微粉排出部15は集塵機を介してブロワーに接続されており、ブロワーによって吸引された微粉は集塵機によって捕捉される。
【0051】
前記取り出し口17は、原料の処理が完了した後に、本体11中に残留する処理粉体を取り出すために、本体11の側壁に設けられている開口部であり、エアーシリンダ18および嵌挿部158によりその開閉が制御される。処理中では取り出し口17は閉じられており、処理が完了して本体11内部の残留物として微粉を含まない、球状化されて嵩密度を大きくした目的の処理粉体が得られた後に、取り出し口17が開かれて本体11の内部から処理粉体が取り出される。具体的には、取り出し口17を開いてその一端が取り出し口17に接続されている取出筒20の取出バルブ19を開くことにより、本体11内部の処理粉体を容易に取り出すことができる。
【0052】
そして、本実施の形態の粉体処理装置1では、図2にも示すように、ガイドリング13の外周面上に、回転片部14から離間する方向のスパイラル状に生じる上記気流の流れを制御するための、帯状でスパイラル状のガイド部13aが形成されている。
【0053】
また、ガイド部13aは、その幅方向がガイドリング13の径方向(ガイドリング13の軸に直交する方向)に沿って、かつ外向きに突出するように設定されていることが好ましい。
【0054】
さらに、ガイド部13aは、その外周面が本体11の内周面に対して遊嵌状態となる(つまり、ガイド部13aの外周面が本体11の内周面に近接して、上記外周面と内周面との間での気流の流れを制限、より望ましくは遮断する)間隔にて本体11内に取り付けられていることが好ましい。これにより、ガイド部13aは、本体11内に対して着脱自在となっており、かつ、ガイド部13aの厚さ方向への気流の流れを制限、より望ましくは遮断して、上記気流を制御するようになっている。
【0055】
なお、上記ガイド部13aの枚数、長さ、ピッチ、厚み、取り付け位置については、気流の上昇気流や旋回気流を制限して、上記気流を制御できれば何れでもよい。
【0056】
上記本体11、ガイドリング13、回転片部14およびガイド部13aの素材としては、ステンレスが挙げられ、それらの表面の粗さは、Raが0.8μm以上が望ましい。Raが0.8μm未満の場合は、形状制御による嵩密度の増大化の効率が低下することがある。
【0057】
上記ガイド部13aを設けたことにより、回転片部14の回転数を、接触した原料粉体を粉砕しないが、解砕したり球状化したりする程度の低速に設定しても、本体11内に、ガイドリング13の外周面上では回転片部14から離間する方向に、かつ、回転片部14の回転方向に沿ったスパイラル状に発生している気流の流れを制御して、上記気流が前記取り出し口17上を通過するように設定できる。これにより、球状化された処理粉体は、取り出し口17からの安定に取り出される。
【0058】
上記ガイド部13aに基づく上記気流により、原料粉体をスパイラル状に搬送できるから、上記原料粉体の搬送路長を長く設定でき、上記原料粉体の球状化を確実化できる。
【0059】
その上、上記構成は、回転片部14の回転数を低くして、回転数が高いことによる原料粉体が粉砕されて生じる微粉の発生を抑制できるので、得られた処理粉体である球状化粉体が、所望する比表面積の範囲外となることを軽減でき、歩留りを向上できて生産効率を改善できる。
【0060】
本実施の形態の粉体処理装置1は、原料粉体を連続処理して得られる処理粉体を順次排出するものではなく、原料粉体を一括して処理するいわゆるバッチ処理を行うものである。例えば、原料粉体を連続処理して処理品に要求される粒径の上限よりも小さい処理粉体を順次取り出す従来の粉体処理装置とは異なり、原料を一括処理して処理品に要求される範囲の粒径の下限よりも小さい微粉を不要物として本体11内部から取り除くことができる。このため、粉体処理終了後に本体11の内部に残留物として得られる処理粉体は、処理品に要求される範囲の粒径の下限よりも小さい不要な微粉を含まないものとして得られる。
【0061】
また、回転片部14により原料粉体を球状化処理する場合は、回転片部14の回転速度、処理時間、本体11の内部温度などの条件調整によって、本体11内部における原料粉体の球状化の程度を調整することができる。従って、本体11内部に残留する処理粉体の粒径の上限値については、回転片部14の処理条件の調整等により、粉体処理装置1の処理能力の範囲内で所望の値以下にすることが可能となる。
【0062】
したがって、本実施の形態の粉体処理装置1によって処理された本体11内部の残留物として得られる処理粉体は、処理品に要求される粒径を満足するものとなる。
【0063】
このように、本実施の形態の粉体処理装置1は、原料を連続して粉砕処理する際に本体内部の粉体を分級して所定の粒径以下となった処理粉体を取り出す従来の粉体処理装置とは異なり、本体内部の残留物として微粉を含まない処理粉体を得ることができる。したがって、得られた処理粉体から不要な微粉を取り除くために別の装置を用いることは不要である。
【0064】
また、粉体処理装置1は、粉体処理の際に原料粉体同士や、原料粉体と本体11の内壁面や回転片部14もしくはガイドリング13の外周面および内周面とを繰り返し衝突させて球状化することができる。このように、本実施の形態の粉体処理装置1は、単体で、原料粉体の解砕、微粉除去および球状化などの形状制御を行うことが可能である。したがって、本発明は、鱗片状の天然黒鉛に対する形状制御だけではなく、不定型の人造黒鉛の形状制御にも好適に利用できる
つづいて、本実施の形態の粉体処理装置1を用いた粉体処理方法について以下に説明する。まず、本体11内部に、鱗片状の天然黒鉛を原料粉体として所定量投入し、本体11内部で原料粉体を気流にのせて搬送しながら循環させる。
【0065】
このとき、上記原料粉体は、主に、回転片部14の片部14aと衝突し、また、上記原料粉体同士が互いに衝突したり、上記原料粉体と本体11の内壁面、ガイドリング13の外周面や内周面、ガイド部13aの表面と衝突したりする。この衝突は、原料粉体が鱗片状であるため、気流中ではその長手方向が気流の流れ方向に沿うようになるので、各原料粉末の長手方向端部にて主に生じることになり、各原料粉末の長手方向端部を順次内側に折り曲げる塑性変形を生じさせることになる。このように各原料粉末の長手方向端部が折り曲がること、また、上記原料粉体に由来する一部が折り曲げられた粉体の長手方向端部が折り曲がることによって、球状化を進行させることが可能となる。
【0066】
このようにして回転片部14の回転により粉体処理を所定時間行う。このとき、この粉体処理と並行して、分級ロータ12によって本体11内部の粉体を分級し、微粉排出部15により不要な微粉を排出している。
【0067】
このように、本体11内部において原料を所定時間保持し滞留させて循環させている間に、形状制御の粉体処理と微粉除去とを同時に行うことができるため、この所定時間保持し滞留された後の処理粉体は不要な微粉を含まないか、後処理不要な程度まで上記微粉が除去されたものとなる。したがって、別の装置を用いて処理粉体中の微粉を除去することが不要となる。
【0068】
本発明の粉体処理装置には、前粉砕工程として、さらに微粉砕機を設けてもよい。そのような微粉砕機としては、カウンタージェットミル(ホソカワミクロン(株)製)、ミクロンジェットT型(ホソカワミクロン(株)製)、その他のジェットミルおよび機械衝撃式粉砕機などが挙げられる。また、微粉砕機と粗粉分級機が一体となっている粉砕機として、カウンタージェットミル(ホソカワミクロン(株)製)ACMパルベライザ(ホソカワミクロン(株)製)、イノマイザ(ホソカワミクロン(株)製)などが挙げられる。
【0069】
また、得られた処理粉体の後工程として粗粉分級機もしくは微粉分級機を設けてもよい。そのような粗粉分級機としては、ターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、その他の気流式分級機などが挙げられる。
【0070】
微粉分級機としては、ターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)、TTSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)などが挙げられる。
【0071】
なお、上記では、ガイド部13aの形状を1条のスパイラル状に形成した例を挙げたが、ガイド部13aの形状は、本体11内に生じる気流の上昇流や旋回流を制御して、スパイラル状に発生する本体11内の気流が、取り出し口17上を通過するように制御されれば他の形状でもよい。
【0072】
ガイド部13aの、他の形状としては、2条や3条のスパイラル状でもよく、また、必要に応じて、図3(a)に示すように、不連続なスパイラル状や、図3(b)に示すように、じゃま板状であってもよい。じゃま板状とは、略長方形板状に形成され、ガイドリング13の軸方向に、上記ガイド部13aの長手方向を合わせて、外向きに伸びるように設けられているものである。
【0073】
また、上記においては、回転片部14の片部14aの形状として、ハンマー状やピン状の例を挙げたが、他の形状としては、図4に示すように、たて溝付きハンマー状でもよい。たて溝付きハンマー状の片部14aでは、そのたて溝の長手方向が回転片部14の回転軸方向に沿っており、かつ、そのたて溝が外向きとなるように取り付けられていることから、上記たて溝により、鱗片状の原料粉末を効率よく球状化できることがある。
【0074】
【実施例】
以下に、各実施例および各比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。
【0075】
〔嵩密度(Tap)〕
嵩密度は、100cm3のガラス製のメスシリンダーに黒鉛粒子を試料として100cm3まで入れてタッピングし、試料の容積が変化しなくなったところで、試料容積を測定し、試料重量を試料容積で除した値を嵩密度とした。
【0076】
〔実施例1〕
本発明に係る実施例1について、図1に基づいて以下に説明する。本実施例1においては、天然黒鉛(平均粒子径:20μm、嵩密度(αTap:180):0.80g/cm3、比表面積(BET法):5.0m2/g)を原料粉体(表1では、イと表記した)として用いた。
【0077】
原料粉体の球状化のための各処理条件は、処理時間を3分に設定し、回転片部14の回転数2000rpm(先端周速度42m/s)、分級ロータ12の回転数7000rpm(先端周速度85m/s)、運転風量15m3/分とした。
【0078】
上記の条件の下、原料粉体を処理して得られた球状化黒鉛は、平均粒子径が21μm、比表面積(BET法):5.2m2/g、嵩密度(αTap:180):0.85g/cm3である各物性値をそれぞれ有するものであった。上記の原料粉体、各処理条件および各物性値を、表1に合わせて示した。表1では、回転片部14の回転数を片部回転数、分級ロータ12の回転数を分級回転数と記載し、実施例1を運転番号1にて示した。
【0079】
【表1】
【0080】
〔実施例2〜5〕
実施例1を基準にして、処理時間を、6分、10分、15分、30分にそれぞれ代えた以外は実施例1と同様に操作して、各実施例2〜5(運転番号2〜5)の各球状化黒鉛を得た。それらの結果を表1に合わせて示した。
【0081】
〔実施例6〜7〕
実施例3を基準にして、分級回転数を、6000rpmと5000rpmとにそれぞれ代えた以外は実施例3と同様に操作して、各実施例6、7(運転番号6、7)の各球状化黒鉛を得た。それらの結果を表1に合わせて示した。
【0082】
〔実施例8、9〕
実施例3を基準にして、原料粉体をロとハにそれぞれ代えた以外は実施例3と同様に操作して、各実施例8、9(運転番号8、9)の各球状化黒鉛を得た。それらの結果を表2に合わせて示した。
【0083】
【表2】
【0084】
〔実施例10〜13〕
実施例3において、原料粉末に原料粉体ニ(平均粒子径:19.7μm、嵩密度(αTap:180):0.63g/cm3)、を用い、片部回転数を3000rpm、4000rpm、5000rpm、6000rpmにそれぞれ代えた以外は実施例3と同様に操作して、各実施例10〜13(運転番号10〜13)の各球状化黒鉛を得た。それらの結果を表2に合わせて示した。
【0085】
〔実施例14〜16〕
実施例11を基準にして、原料粉体を、原料粉体ホ(平均粒子径:13.4μm、嵩密度(αTap:180):0.48g/cm3)を用い、表2および表3に示した各処理条件により、他は実施例11と同様に操作して、実施例14〜16(運転番号14〜16)の各球状化黒鉛を得た。それらの結果を表2および表3に合わせて示した。
【0086】
〔実施例17〜21〕
原料粉体を、原料粉体ヘ(平均粒子径:17.8μm、嵩密度(αTap:180):0.54g/cm3)を用い、表3に記載の各処理条件にて、他は上記実施例11と同様に操作して、それぞれ各球状化黒鉛を得た。それらの結果を表3に合わせて示した。
【0087】
【表3】
【0088】
上記の各実施例から明らかなように、本発明の粉体処理装置および粉体処理方法を用いることにより、鱗片状の天然黒鉛を、効率よく球状化でき、また、不要な微粉の混入も抑制されて、比表面積を維持しながら(10%までの増加に抑えながら)嵩密度を向上できていることがわかる。
【0089】
このようにして得られた、本発明に係る球状化された黒鉛は、嵩密度が大きく、かつ比表面積が大きくなることを抑制されているから、リチウムイオン二次電池の負極材料として好適に使用できる。また、本発明に係る球状化された黒鉛は、他の用途として、その融点の高さと低コストであるから、溶融金属容器あるいは高温炉などの制作や補修に用いられる不定形耐火物にも好適に使用される。
【0090】
本発明の粉体処理装置および粉体処理方法を用いた球状化処理は、従来の技術(ジェットミル)を用いた球状化処理と比べて、生産効率が5.8倍から26.7培向上していることを、以下の算出により説明する。
【0091】
(1)従来の技術(ジェットミル)を用いた球状化処理では、
球状化に必要な風量(圧縮空気)つまりエネルギーが、0.26N・m3/分(at 0.2MPa)のとき、上記エネルギーで処理できる処理能力は、0.3〜0.45kg/時であった。
【0092】
(2)本発明の粉体処理装置および粉体処理方法を用いた球状化処理においては、球状化に必要な動力(エネルギー)が10〜15kWのとき、上記エネルギーで処理できる処理能力は、20〜40kg/時であった。
【0093】
上記の(1)と(2)との装置および方法が、同一の製品に対して同一の程度の処理が行なわれていると考えると、(1)の風量を動力に換算し、互いに比較することが可能となり、1N・m3/分≒7.5kWであるから、
(1)の処理エネルギーは、0.15〜0.23kg/kW・時となり、
(2)の処理エネルギーは、1.33〜4.00kg/kW・時となることにより、(2)の処理は、5.8倍から26.7培の処理効率(生産効率)を有すると言える。
【0094】
【発明の効果】
本発明の粉体処理装置は、以上のように、本体内に気流を形成するために回転する回転片部と、本体内に設けられ、回転片部の回転軸の方向に沿った軸を備えた筒状部と、筒状部の外周上に上記気流を制御するためのガイド部とを有する構成である。
【0095】
それゆえ、上記構成は、ガイド部を有することにより、鱗片状の原料粉体を効率よく塊状化でき、また、微粉の発生を抑制できるので、生産効率を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る粉体処理装置の概略断面図である。
【図2】上記粉体処理装置のガイドリングおよびガイド部の斜視図である。
【図3】上記ガイドリングおよびガイド部の他の例の斜視図であり、(a)は不連続なスパイラル状のもの、(b)はじゃま板状のものを示す。
【図4】上記粉体処理装置の回転片部の片部の他の例を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
11 本体
13 ガイドリング(筒状部)
13a ガイド部
14 回転片部
14b スペース(気体導入部)
28 気体導入口(気体導入部)
Claims (10)
- 内部にて粉体処理するための本体と、
旋回する気流を本体内に形成するために回転する回転片部と、
本体内に設けられ、回転片部の回転軸の方向に沿った軸を備えた筒状部と、
回転片部の回転を制御するための回転制御部と、
筒状部の外周上に形成され、回転片部による気流の流れを制御するガイド部とを有することを特徴とする粉体処理装置。 - さらに、筒状部を挟んで回転片部と対向する位置の本体内に設けられ、所定の粒径未満の粉体を除去するための微粉除去部を有することを特徴とする請求項1記載の粉体処理装置。
- さらに、本体に設けられ、処理された粉体を外部に取り出すための取り出し口を有し、
ガイド部は、気流が取り出し口上を通るように制御するためのものであることを特徴とする請求項1または2記載の粉体処理装置。 - ガイド部は、筒状部の軸に対して直交する方向に突出するように形成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の粉体処理装置。
- さらに、回転片部の回転軸に沿った方向にて気体を本体内に導入するための気体導入部を有することを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の粉体処理装置。
- 本体内にて回転する回転片部により、スパイラル状に移動する気流を本体内に形成し、
鱗片状の原料粉体を、スパイラル状に移動している気流中に投入し、
スパイラル状に移動する気流により原料粉体およびそれに基づく粉体を本体内にて搬送しながら塊状化して、嵩密度を向上させることを特徴とする粉体処理方法。 - 本体内にて原料粉体およびそれに基づく粉体を搬送しながら、上記粉体から所定の粒径未満の粉体を除去することを特徴とする請求項6記載の粉体処理方法。
- スパイラル状に移動している気流により、原料粉体およびそれに基づく粉体を本体内にて循環させることを特徴とする請求項6または7記載の粉体処理方法。
- 本体内に設けられ、回転片部の回転軸に沿った軸を備えた筒状部の外周および内周に沿って、原料粉体およびそれに基づく粉体を搬送することを特徴とする請求項6ないし8の何れか1項に記載の粉体処理方法。
- 原料粉体およびそれに基づく粉体を、回転している回転片部と繰り返し接触させることにより、上記原料粉体およびそれに基づく粉体を塊状化することを特徴とする請求項6ないし9の何れか1項に記載の粉体処理方法。
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2003
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