JP2005065692A - 小胞体ストレスを簡便に検知する方法ならびにその利用法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 小胞体ストレス依存的にレポーター蛋白質を発現せしむるよう作製された遺伝子、並びに該遺伝子を含む組換え発現ベクター、並びに該発現ベクターによって形質転換された形質転換体、並びに該形質転換体を利用した小胞体ストレス応答を阻害または活性化する薬剤をスクリーニングする方法、並びに該遺伝子を導入されたトランスジェニック生物を提供する。
【解決手段】 小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受ける遺伝子とレポーター蛋白質の遺伝子からなる融合遺伝子をコードする塩基配列において1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは挿入されたものを含む、小胞体ストレス依存的にレポーター蛋白質を発現せしむる遺伝子、並びに該遺伝子及び発現すべき目的遺伝子を含む組換え発現ベクター、並びに該組換え発現ベクターによって形質転換された形質転換体、それらを利用した薬剤のスクリーニング、該遺伝子を導入されたトランスジェニック生物に関する。
【解決手段】 小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受ける遺伝子とレポーター蛋白質の遺伝子からなる融合遺伝子をコードする塩基配列において1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは挿入されたものを含む、小胞体ストレス依存的にレポーター蛋白質を発現せしむる遺伝子、並びに該遺伝子及び発現すべき目的遺伝子を含む組換え発現ベクター、並びに該組換え発現ベクターによって形質転換された形質転換体、それらを利用した薬剤のスクリーニング、該遺伝子を導入されたトランスジェニック生物に関する。
Description
本発明は、フレームスイッチ型スプライシングによりスプライシングされる遺伝子とレポーター遺伝子を接続した融合遺伝子に関する。これは、小胞体ストレス依存的なフレームスイッチ型スプライシングにより、レポーター蛋白質が誘導されることを特徴とする。また、本発明は、これら遺伝子の一連の用途に関する。
蛋白質は膜結合性リボソームで翻訳合成された後、細胞内小器官である小胞体において正しいコンフォメーションに折り畳まれる。従って、小胞体内には多くのシャペロン蛋白質が存在しており、効率的な蛋白質折り畳みに寄与している。しかし、この折り畳みはいつも完全に行われるわけではない。細胞内外からのストレスによって、小胞体内の折り畳み機構が妨害されたり、小胞体に送り込まれる蛋白質量が小胞体の処理能力を超えた場合などには、小胞体内に折り畳みが不完全な蛋白質が蓄積する。この現象は小胞体ストレスと呼ばれ、細胞にとって極めて強い負荷であるが、小胞体はこれに対抗する機構を複数持っており、効率的にこれらストレスに対応している。この対応法の一つとして「転写誘導応答」が挙げられる。これは小胞体内に存在する分子シャペロンやフォールディング酵素遺伝子の転写を活性化して、小胞体のフォールディング能力を高め、異常蛋白質の折り畳みを図る応答である(非特許文献1)。
転写誘導応答においては、小胞体膜に存在するRNA切断酵素であるIRE1が小胞体ストレス依存的に活性化し、XBP−1mRNAをフレームスイッチ型スプライシングという特別な様式でスプライシングする。スプライシングを受けたXBP−1mRNAは、強力な転写因子をコードするようになり、分子シャペロンの転写を強力に活性化する。フレームスイッチ型スプライシングの特徴は、全く新しい読み枠で蛋白質が翻訳されるようになることである。XBP−1mRNAにおいては遺伝子の中央部に存在する26bpがスプライスアウトされ、これ以降の読み枠が完全に変わる。哺乳類細胞においては、このようなスプライシングを受ける遺伝子は現在までにXBP−1以外に知られていない(非特許文献2)。この機構は酵母においても認められており、種を越えて存在する重要なストレス耐性機構であると考えられている。酵母の場合には、同様の機構でスプライシングされる遺伝子Hac1が報告されている(非特許文献3)。
近年、小胞体ストレスが癌、虚血、糖尿病をはじめとする様々な疾患に関与することが分かってきた。例えば、癌細胞は、蛋白質の合成が亢進し、さらには低酸素状態にあるので、強い小胞体ストレスがかかっていることが知られている。しかし、癌細胞は死ぬことなく増殖を続け、宿主を死に至らしめる。これは癌細胞が小胞体ストレス応答機構を利用して、ストレスを回避しているためだと考えられている。従って、この小胞体ストレス応答を阻害する化合物は癌細胞特異的に細胞死を誘導する新規な制癌剤になると考えられる。また、虚血後再かん流の場合は小胞体ストレス応答機構が脳などの細胞死を防ぐと考えられており、小胞体ストレス応答機構を活性化する化合物が効果的な薬剤となる可能性がある(非特許文献4)。このような化合物をスクリーニングしたり、細胞内、生体内の小胞体ストレスを測定するためには、これらストレスを簡便に検出、定量する技術が必須であるが、現在までにそのような方法は存在していない。現在用いられている方法の例としては、小胞体ストレスに応答してその転写量が上昇することが知られているBip遺伝子をノーザンブロッティングで検出する方法などが挙げられるが、定量性、簡便性とも十分なものではない。(非特許文献5)。
細胞工学誌 第21巻 364−367頁 2002年 Cell 誌 第107巻 881−891頁 2001年 Cell 誌 第87巻 391−404頁 1996年 Journal of Clinical Investigation 第110巻 1389−1398頁 2002年 Genes and Development 誌 第16巻 452−466頁 2002年
細胞工学誌 第21巻 364−367頁 2002年 Cell 誌 第107巻 881−891頁 2001年 Cell 誌 第87巻 391−404頁 1996年 Journal of Clinical Investigation 第110巻 1389−1398頁 2002年 Genes and Development 誌 第16巻 452−466頁 2002年
本発明の目的は、小胞体ストレスにさらされることによりフレームスイッチ型スプライシングされる遺伝子と、レポーター遺伝子を接続した人工遺伝子を用いて小胞体ストレスを簡便に検出する方法を提供すること、さらにこれら遺伝子を用いた新規薬剤探索方法を提供すること、さらにこれら遺伝子を用いて生体内の小胞体ストレス応答を検出する方法を提供すること、などである。
本発明者は、小胞体ストレス依存的にレポーター蛋白質が発現するような人工遺伝子を作製すべく鋭意研究した。XBP−1遺伝子とルシフェラーゼ遺伝子を特定の様式で接続し、この融合遺伝子が小胞体ストレス依存的にルシフェラーゼ蛋白質を発現することを見出し、本発明を完成した。
即ち、配列表の配列番号:2に示すXBP−1遺伝子(非スプライシング型)の第1154番目の塩基の直後に配列表の配列番号:3に示すホタルルシフェラーゼ遺伝子を接続し、配列表の配列番号:1に示すXBP−1とルシフェラーゼの融合遺伝子を作成した。この遺伝子を導入したプラスミドを構築し、これをヒト細胞株に導入した形質転換体を作製した。更に、この形質転換体に小胞体ストレスを与えた際、ルシフェラーゼが発現し、機能することを見出した。また、この細胞株を用いて、小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する化合物のスクリーニングが可能であることを見出した。
従って、本発明は、以下の(1)〜(11)に関するものである。
(1)以下の(a)に示す小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受けることにより、レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードするDNA:
(a)小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受ける遺伝子とレポーター蛋白質の遺伝子からなる融合遺伝子であることを特徴とするDNA、
(2)以下の(a)又は(b)又は(c)に示す小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受けることにより、ルシフェラーゼを発現せしめる遺伝子をコードする(1)に記載のDNA:
(a)配列表の配列番号:1に示す塩基配列を有するXBP−1遺伝子とルシフェラーゼ遺伝子の融合遺伝子をコードするDNA、
(b)配列表の配列番号:1に示す塩基配列において1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有するDNA、
(c)配列表の配列番号:1に示す塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA、
(1)以下の(a)に示す小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受けることにより、レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードするDNA:
(a)小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受ける遺伝子とレポーター蛋白質の遺伝子からなる融合遺伝子であることを特徴とするDNA、
(2)以下の(a)又は(b)又は(c)に示す小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受けることにより、ルシフェラーゼを発現せしめる遺伝子をコードする(1)に記載のDNA:
(a)配列表の配列番号:1に示す塩基配列を有するXBP−1遺伝子とルシフェラーゼ遺伝子の融合遺伝子をコードするDNA、
(b)配列表の配列番号:1に示す塩基配列において1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有するDNA、
(c)配列表の配列番号:1に示す塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA、
(3)以下の(a)又は(b)又は(c)に示す小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受けることにより、レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードする(1)に記載のDNA:
(a)配列表の配列番号:1に示す塩基配列のルシフェラーゼ遺伝子部分をレポーター蛋白質(ベータガラクトシダーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、又はGFP)をコードする遺伝子に置き換えた融合遺伝子をコードするDNA、
(b)(a)に示されるDNAにおいて、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有するDNA、
(c)(a)に示されるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA、
(4)以下の(a)又は(b)又は(c)に示す小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受けることにより、ルシフェラーゼを発現せしめる遺伝子をコードする(1)に記載のDNA:
(a)配列表の配列番号:1に示す塩基配列のXBP−1遺伝子部分をフレームスイッチ型スプライシングを受ける遺伝子(酵母Hac1遺伝子)に置き換えた融合遺伝子をコードするDNA、
(b)(a)に示されるDNAにおいて、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有するDNA、
(c)(a)に示されるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA、
(5)以下の(a)又は(b)又は(c)に示す小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受けることにより、レポーター蛋白質を発現せしめる(1)に記載の遺伝子をコードするDNA:
(a)配列表の配列番号:1に示す塩基配列のXBP−1遺伝子部分をフレームスイッチ型スプライシングを受ける遺伝子(酵母Hac1遺伝子)に置き換え、かつルシフェラーゼ遺伝子部分をレポーター蛋白質(ベータガラクトシダーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、又はGFP)をコードする遺伝子に置き換えた融合遺伝子をコードするDNA、
(b)(a)に示されるDNAにおいて、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有するDNA、
(c)(a)に示されるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA、
(a)配列表の配列番号:1に示す塩基配列のルシフェラーゼ遺伝子部分をレポーター蛋白質(ベータガラクトシダーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、又はGFP)をコードする遺伝子に置き換えた融合遺伝子をコードするDNA、
(b)(a)に示されるDNAにおいて、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有するDNA、
(c)(a)に示されるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA、
(4)以下の(a)又は(b)又は(c)に示す小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受けることにより、ルシフェラーゼを発現せしめる遺伝子をコードする(1)に記載のDNA:
(a)配列表の配列番号:1に示す塩基配列のXBP−1遺伝子部分をフレームスイッチ型スプライシングを受ける遺伝子(酵母Hac1遺伝子)に置き換えた融合遺伝子をコードするDNA、
(b)(a)に示されるDNAにおいて、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有するDNA、
(c)(a)に示されるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA、
(5)以下の(a)又は(b)又は(c)に示す小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受けることにより、レポーター蛋白質を発現せしめる(1)に記載の遺伝子をコードするDNA:
(a)配列表の配列番号:1に示す塩基配列のXBP−1遺伝子部分をフレームスイッチ型スプライシングを受ける遺伝子(酵母Hac1遺伝子)に置き換え、かつルシフェラーゼ遺伝子部分をレポーター蛋白質(ベータガラクトシダーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、又はGFP)をコードする遺伝子に置き換えた融合遺伝子をコードするDNA、
(b)(a)に示されるDNAにおいて、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有するDNA、
(c)(a)に示されるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA、
(6)(1)〜(5)のいずれか一項に記載の遺伝子を含むことを特徴とする組換え体プラスミド、
(7)(6)に記載の組換え体プラスミドを含む形質転換体又は形質導入体、
(8)(7)に記載の形質転換体又は形質導入体を用いた、小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する薬剤のスクリーニング方法、
(9)(7)に記載の形質転換体又は形質導入体を用いた、小胞体ストレス応答を阻害する薬剤のスクリーニング方法、
(10)(8)に記載の小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する薬剤のスクリーニング方法であって、
(i)形質転換体又は形質導入体に薬剤を接触させるステップ、
(ii)該形質転換体又は形質導入体に小胞体ストレスを与えるステップ、
(iii)該形質転換体又は形質導入体内に発現するレポーター蛋白質の活性を測定するステップ、
を含むことを特徴とする小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する薬剤のスクリーニング方法、
(7)(6)に記載の組換え体プラスミドを含む形質転換体又は形質導入体、
(8)(7)に記載の形質転換体又は形質導入体を用いた、小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する薬剤のスクリーニング方法、
(9)(7)に記載の形質転換体又は形質導入体を用いた、小胞体ストレス応答を阻害する薬剤のスクリーニング方法、
(10)(8)に記載の小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する薬剤のスクリーニング方法であって、
(i)形質転換体又は形質導入体に薬剤を接触させるステップ、
(ii)該形質転換体又は形質導入体に小胞体ストレスを与えるステップ、
(iii)該形質転換体又は形質導入体内に発現するレポーター蛋白質の活性を測定するステップ、
を含むことを特徴とする小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する薬剤のスクリーニング方法、
(11)(8)に記載のスクリーニング方法により選択された、小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する化合物、
(12)(8)に記載のスクリーニング方法により選択された、小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する化合物を主な成分とする小胞体ストレス応答阻害剤、
(13)(6)に記載の組換え体プラスミドを導入したトランスジェニック生物、
(14)(13)に記載のトランスジェニック生物を用いた生体内における小胞体ストレスの検出方法、
に関する。
(12)(8)に記載のスクリーニング方法により選択された、小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する化合物を主な成分とする小胞体ストレス応答阻害剤、
(13)(6)に記載の組換え体プラスミドを導入したトランスジェニック生物、
(14)(13)に記載のトランスジェニック生物を用いた生体内における小胞体ストレスの検出方法、
に関する。
本発明により、小胞体ストレス依存的にレポーター蛋白質の発現をもたらす遺伝子が提供される。これらは、小胞体ストレス、あるいは小胞体ストレス耐性が原因で起こる癌、虚血、糖尿病などの疾患に対する薬剤のスクリーニングに有用である。また、これらを導入したトランスジェニック生物は、薬剤の標的臓器探索、副作用予測などにも有用である。
以下本発明をより具体的に説明する。
(1) 本発明の小胞体ストレス依存的にレポーター蛋白質を発現させる遺伝子
(1−1)本発明の小胞体ストレス依存的にレポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子を作製するためには、フレームスイッチ型スプライシングを受ける遺伝子(例えばXBP−1)の下流に、フレームスイッチ型スプライシングを受けた時に読み枠が合うように、3の倍数であって、その中にストップコドンを含まない塩基配列をはさんで、レポーター遺伝子(例えばホタルルシフェラーゼ)を接続すればよい。
(1) 本発明の小胞体ストレス依存的にレポーター蛋白質を発現させる遺伝子
(1−1)本発明の小胞体ストレス依存的にレポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子を作製するためには、フレームスイッチ型スプライシングを受ける遺伝子(例えばXBP−1)の下流に、フレームスイッチ型スプライシングを受けた時に読み枠が合うように、3の倍数であって、その中にストップコドンを含まない塩基配列をはさんで、レポーター遺伝子(例えばホタルルシフェラーゼ)を接続すればよい。
本発明の小胞体ストレス依存的にレポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子の塩基配列は、例えば配列表の配列番号:1に示した通りである。
次に、配列表の配列番号1に示される塩基配列を有する遺伝子の機能を確認する目的で、以後の実施例に示すように、配列表の配列番号:1に示される塩基配列を有する遺伝子を組み込んだプラスミドを構築し、ヒト培養細胞株中で発現させた形質転換体を作製した。この形質転換体に小胞体ストレスとして知られるタプシガルギン(和光純薬社製)、A23187(SIGMA社)や2−メルカプトエタノール(ナカライテスク社)を処理すると、ルシフェラーゼの活性が認められた。また、フレームスイッチ型スプライシングに必要なわずか1塩基を置換した突然変異体では、小胞体ストレスによるルシフェラーゼの活性が認められないこと、フレームスイッチ型スプライシングに関わるRNA切断酵素IRE1のドミナントネガティブ体により、小胞体ストレス依存的なルシフェラーゼの活性が阻害されることを確認した。これらの結果より、配列表の配列番号1に示した塩基配列を有する遺伝子が、小胞体ストレスに応答して活性化されるIRE1によってフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果ルシフェラーゼを発現せしむる遺伝子であることを明らかにした。
(1−2)
配列表の配列番号:1に示す塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を有し、かつ小胞体ストレス依存的にルシフェラーゼを発現せしめる遺伝子も本発明の範囲内のものである。塩基の欠失、置換もしくは付加は、実質的にその融合遺伝子全体の構造および機能に影響を与えない程度のものである。これらの塩基の欠失、置換もしくは付加の程度は、もとの塩基配列との相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上のものが許容し得る。
配列表の配列番号:1に示す塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を有し、かつ小胞体ストレス依存的にルシフェラーゼを発現せしめる遺伝子も本発明の範囲内のものである。塩基の欠失、置換もしくは付加は、実質的にその融合遺伝子全体の構造および機能に影響を与えない程度のものである。これらの塩基の欠失、置換もしくは付加の程度は、もとの塩基配列との相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上のものが許容し得る。
(1−3)
配列表の配列番号:1に示す塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ小胞体ストレス依存的なルシフェラーゼを発現せしめるDNAも本発明の範囲内のものである。このようなハイブリダイズするDNA変異体としては、部位特異的変異導入、変異剤処理によるランダム変異、制限酵素切断によるDNA断片の変異、欠失、連結などにより部分DNA配列が変化したものが挙げられる。これらのDNA変異体が配列番号1に示すDNAとハイブリダイズする程度としては、ストリンジェントな条件下、例えば、ハイブリダイゼーション溶液(50mM トリスー塩酸(pH7.5)、1M塩化ナトリウム、1%ドデシル硫酸ナトリウム、10%デキストラン硫酸、0.2mg/mL酵母RNA、0.2mg/mL鮭精子DNA)中で、遺伝子を結合したメンブランを65℃にて、4時間保温し、プレハイブリダイゼーションとし、次に放射性標識した遺伝子断片を放射性同位体量にして100万dpm/mLとなるように添加し、65℃にて、16時間保温することにより、ハイブリダイゼーションを行い、続いて、このメンブランを、0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを含む2×SSC溶液(300mM塩化ナトリウム、30mMクエン酸三ナトリウム)中で、65℃にて、30分間洗浄した後、オートラジオグラフィーで解析した際に、X線フイルム上でハイブリダイズが確認されるものである。
配列表の配列番号:1に示す塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ小胞体ストレス依存的なルシフェラーゼを発現せしめるDNAも本発明の範囲内のものである。このようなハイブリダイズするDNA変異体としては、部位特異的変異導入、変異剤処理によるランダム変異、制限酵素切断によるDNA断片の変異、欠失、連結などにより部分DNA配列が変化したものが挙げられる。これらのDNA変異体が配列番号1に示すDNAとハイブリダイズする程度としては、ストリンジェントな条件下、例えば、ハイブリダイゼーション溶液(50mM トリスー塩酸(pH7.5)、1M塩化ナトリウム、1%ドデシル硫酸ナトリウム、10%デキストラン硫酸、0.2mg/mL酵母RNA、0.2mg/mL鮭精子DNA)中で、遺伝子を結合したメンブランを65℃にて、4時間保温し、プレハイブリダイゼーションとし、次に放射性標識した遺伝子断片を放射性同位体量にして100万dpm/mLとなるように添加し、65℃にて、16時間保温することにより、ハイブリダイゼーションを行い、続いて、このメンブランを、0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを含む2×SSC溶液(300mM塩化ナトリウム、30mMクエン酸三ナトリウム)中で、65℃にて、30分間洗浄した後、オートラジオグラフィーで解析した際に、X線フイルム上でハイブリダイズが確認されるものである。
(1−4)
配列表の配列番号:1に示す塩基配列のルシフェラーゼ遺伝子部分を任意のレポーター遺伝子(例えばベータガラクトシダーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、GFP等の生物発光触媒酵素)に置き換えた遺伝子で、小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。ベータガラクトシダーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、GFP遺伝子としては例えば、ベータガラクトシダーゼ:BIOCHEMICAL AND BIOPHYSICAL RESEARCH COMMUNICATIONS 誌 157巻 238−244頁 1988年、ウミシイタケルシフェラーゼ:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 誌 88巻 4438−4442頁 1991年、GFP:Gene 誌 111巻 229−233頁 1992年などの文献記載のものを適宜合成して得ることができる。
配列表の配列番号:1に示す塩基配列のルシフェラーゼ遺伝子部分を任意のレポーター遺伝子(例えばベータガラクトシダーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、GFP等の生物発光触媒酵素)に置き換えた遺伝子で、小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。ベータガラクトシダーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、GFP遺伝子としては例えば、ベータガラクトシダーゼ:BIOCHEMICAL AND BIOPHYSICAL RESEARCH COMMUNICATIONS 誌 157巻 238−244頁 1988年、ウミシイタケルシフェラーゼ:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 誌 88巻 4438−4442頁 1991年、GFP:Gene 誌 111巻 229−233頁 1992年などの文献記載のものを適宜合成して得ることができる。
(1−5)
(1−4)に示されるDNAにおいて、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有し、かつ小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。塩基の欠失、置換もしくは付加は、実質的にその融合遺伝子全体の構造および機能に影響を与えない程度のものである。これらの塩基の欠失、置換もしくは付加の程度は、もとの塩基配列との相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上のものが許容し得る。
(1−4)に示されるDNAにおいて、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有し、かつ小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。塩基の欠失、置換もしくは付加は、実質的にその融合遺伝子全体の構造および機能に影響を与えない程度のものである。これらの塩基の欠失、置換もしくは付加の程度は、もとの塩基配列との相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上のものが許容し得る。
(1−6)
(1−4)に示されるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ小胞体ストレス刺激依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。このようなハイブリダイズするDNA変異体としては、上記(1―3)において例示したのと同様のものが挙げられる。これらのDNA変異体が(1−4)に示されるDNAとハイブリダイズする程度としては、上記(1−3)で記載したのと同様のストリンジェントな条件で同様にハイブリダイズが確認されるものである。
(1−4)に示されるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ小胞体ストレス刺激依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。このようなハイブリダイズするDNA変異体としては、上記(1―3)において例示したのと同様のものが挙げられる。これらのDNA変異体が(1−4)に示されるDNAとハイブリダイズする程度としては、上記(1−3)で記載したのと同様のストリンジェントな条件で同様にハイブリダイズが確認されるものである。
(1−7)
配列表の配列番号:1に示す塩基配列のXBP−1遺伝子部分をフレームスイッチ型スプライシングを受ける任意の遺伝子(例えば酵母Hac1遺伝子)に置き換えた遺伝子で、小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果ルシフェラーゼを発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。酵母Hac1遺伝子については例えば、Nucleic Acids Research 誌 22巻 5279−5288頁 1994年の文献記載のものを適宜合成して得ることができる。
配列表の配列番号:1に示す塩基配列のXBP−1遺伝子部分をフレームスイッチ型スプライシングを受ける任意の遺伝子(例えば酵母Hac1遺伝子)に置き換えた遺伝子で、小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果ルシフェラーゼを発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。酵母Hac1遺伝子については例えば、Nucleic Acids Research 誌 22巻 5279−5288頁 1994年の文献記載のものを適宜合成して得ることができる。
(1−8)
(1−7)に示されるDNAにおいて、1個もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有し、かつ小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果ルシフェラーゼを発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。塩基の欠失、置換もしくは付加は、実質的にその融合遺伝子全体の構造および機能に影響を与えない程度のものである。これらの塩基の欠失、置換もしくは付加の程度は、もとの塩基配列との相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上のものが許容し得る。
(1−7)に示されるDNAにおいて、1個もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有し、かつ小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果ルシフェラーゼを発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。塩基の欠失、置換もしくは付加は、実質的にその融合遺伝子全体の構造および機能に影響を与えない程度のものである。これらの塩基の欠失、置換もしくは付加の程度は、もとの塩基配列との相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上のものが許容し得る。
(1−9)
(1−7)に示されるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ小胞体ストレス刺激依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果ルシフェラーゼを発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。このようなハイブリダイズするDNA変異体としては、上記(1―3)において例示したのと同様のものが挙げられる。これらのDNA変異体が(1−7)に示されるDNAとハイブリダイズする程度としては、上記(1−3)で記載したのと同様のストリンジェントな条件で同様にハイブリダイズが確認されるものである。
(1−7)に示されるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ小胞体ストレス刺激依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果ルシフェラーゼを発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。このようなハイブリダイズするDNA変異体としては、上記(1―3)において例示したのと同様のものが挙げられる。これらのDNA変異体が(1−7)に示されるDNAとハイブリダイズする程度としては、上記(1−3)で記載したのと同様のストリンジェントな条件で同様にハイブリダイズが確認されるものである。
(1−10)
配列表の配列番号:1に示す塩基配列のXBP−1遺伝子部分をフレームスイッチ型スプライシングを受ける任意の遺伝子(例えば酵母Hac1遺伝子)に置き換え、かつルシフェラーゼ遺伝子部分を任意のレポーター遺伝子(例えばベータガラクトシダーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、GFP)に置き換えた遺伝子で、小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。
配列表の配列番号:1に示す塩基配列のXBP−1遺伝子部分をフレームスイッチ型スプライシングを受ける任意の遺伝子(例えば酵母Hac1遺伝子)に置き換え、かつルシフェラーゼ遺伝子部分を任意のレポーター遺伝子(例えばベータガラクトシダーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、GFP)に置き換えた遺伝子で、小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。
(1−11)
(1−10)に示されるDNAにおいて、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有し、かつ小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。塩基の欠失、置換もしくは付加は、実質的にその融合遺伝子全体の構造および機能に影響を与えない程度のものである。これらの塩基の欠失、置換もしくは付加の程度は、もとの塩基配列との相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは99%以上のものが許容し得る。
(1−10)に示されるDNAにおいて、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有し、かつ小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。塩基の欠失、置換もしくは付加は、実質的にその融合遺伝子全体の構造および機能に影響を与えない程度のものである。これらの塩基の欠失、置換もしくは付加の程度は、もとの塩基配列との相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは99%以上のものが許容し得る。
(1−12)
(1−10)に示されるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ小胞体ストレス刺激依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。このようなハイブリダイズするDNA変異体としては、上記(1―3)において例示したのと同様のものが挙げられる。これらのDNA変異体が(1−10)に示されるDNAとハイブリダイズする程度としては、上記(1−3)で記載したのと同様のストリンジェントな条件で同様にハイブリダイズが確認されるものである。
(1−10)に示されるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ小胞体ストレス刺激依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受け、その結果レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードするDNAも本発明の範囲内のものである。このようなハイブリダイズするDNA変異体としては、上記(1―3)において例示したのと同様のものが挙げられる。これらのDNA変異体が(1−10)に示されるDNAとハイブリダイズする程度としては、上記(1−3)で記載したのと同様のストリンジェントな条件で同様にハイブリダイズが確認されるものである。
(2)本発明の小胞体ストレス依存的にレポーター蛋白質の発現を示す遺伝子を含む組換え体プラスミド
本発明の小胞体ストレス依存的にレポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子を含む組換え体プラスミドを構築することで、該遺伝子を大腸菌などに安定に保持させることが可能であり、この際ベクターとしては、一般に使われるものはすべて使用可能であるが、例えば、pBluescript KS(+)等がある。以後に述べる実施例では、小胞体ストレス依存的にルシフェラーゼ蛋白質の活性化を示す遺伝子をpBluescript KS(+)に組み込んだpBS/XBP−1−luciferaseが例示されている。これらプラスミドを必要に応じて適当な制限酵素などで切断した後、適当なベクターに接続し、大腸菌用、昆虫細胞用、動物細胞用、トランスジェニック動物作成用のベクターとすることが出来る。動物細胞発現用プラスミドとしては、pDEST26等のプラスミドをベクターとして使用すればよい。
本発明の小胞体ストレス依存的にレポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子を含む組換え体プラスミドを構築することで、該遺伝子を大腸菌などに安定に保持させることが可能であり、この際ベクターとしては、一般に使われるものはすべて使用可能であるが、例えば、pBluescript KS(+)等がある。以後に述べる実施例では、小胞体ストレス依存的にルシフェラーゼ蛋白質の活性化を示す遺伝子をpBluescript KS(+)に組み込んだpBS/XBP−1−luciferaseが例示されている。これらプラスミドを必要に応じて適当な制限酵素などで切断した後、適当なベクターに接続し、大腸菌用、昆虫細胞用、動物細胞用、トランスジェニック動物作成用のベクターとすることが出来る。動物細胞発現用プラスミドとしては、pDEST26等のプラスミドをベクターとして使用すればよい。
(3)形質転換体又は形質導入体
上記の組換え体プラスミドを、適当な宿主に導入して、形質転換体または形質導入体を構築することが出来る。大腸菌、酵母、昆虫、哺乳類細胞が使用可能である。小胞体ストレス測定用プラスミドを保持する形質転換体は、上記のように発現ベクターに組み込んだ組換え体プラスミドを適当な宿主に形質転換することにより得られる。例えば、図1に示すような組換え体プラスミドを哺乳類培養細胞に導入して、形質転換体が得られる。形質転換体又は形質導入体は適当な栄養培地で培養し、その細胞中に発現したレポーター遺伝子の活性を定量することによって、小胞体ストレス応答活性を測定することが出来る。
上記の組換え体プラスミドを、適当な宿主に導入して、形質転換体または形質導入体を構築することが出来る。大腸菌、酵母、昆虫、哺乳類細胞が使用可能である。小胞体ストレス測定用プラスミドを保持する形質転換体は、上記のように発現ベクターに組み込んだ組換え体プラスミドを適当な宿主に形質転換することにより得られる。例えば、図1に示すような組換え体プラスミドを哺乳類培養細胞に導入して、形質転換体が得られる。形質転換体又は形質導入体は適当な栄養培地で培養し、その細胞中に発現したレポーター遺伝子の活性を定量することによって、小胞体ストレス応答活性を測定することが出来る。
(4)薬剤のスクリーニング
本発明では、本発明の形質転換体又は形質導入体を用いた新規薬剤のスクリーニング方法が提供される。例えば、本発明の組換え体プラスミドを導入した培養細胞を用い、小胞体ストレス依存的なレポーター蛋白質の発現を調節するような薬剤をスクリーニングすることによって、小胞体ストレス応答を調節する物質を発見することが出来る。組換え体プラスミドを導入する培養細胞としては、実施例中で用いたヒト胚腎臓線維芽細胞である293細胞株を始め、継代培養可能ないかなる培養細胞株も使用可能である。組換えプラスミドとしては、実施例中で用いたpDEST26を始め、あらゆるベクターが使用可能である。スクリーニング系の構築にあたっては、培養細胞株を選択し、スクリーニング用ベクターをリポフェクション法などを用いて導入する。この形質転換細胞を選択薬剤とともに培養することによって、スクリーニング用ベクターを含む細胞のみを成育させることが出来る。これらの細胞はこのままスクリーニングに用いても良いし、クローニングすることによって、単一の細胞株として調製した後、スクリーニングに用いても良い。これらの細胞に、サンプルを添加し、そのレポーター蛋白質の活性を測定することによって、小胞体ストレス応答を調節する物質を探索することが出来る。なお、小胞体ストレスを与える場合はサンプルの添加の前後・同時を問わず与えることができる。サンプルとしては、例えば微生物二次代謝産物を用いても良いし、合成した化合物を用いても良い。本発明の形質転換体又は形質導入体を用いた新規薬剤のスクリーニング方法により選択された薬剤のうち、小胞体ストレス応答を阻害する物質は、例えば、癌に特異的な細胞死を誘導し、新規制癌剤となると期待される。また、小胞体ストレス応答を活性化する物質は、例えば、虚血によって起こる細胞死を防ぐ有効な治療薬となると期待される。
本発明では、本発明の形質転換体又は形質導入体を用いた新規薬剤のスクリーニング方法が提供される。例えば、本発明の組換え体プラスミドを導入した培養細胞を用い、小胞体ストレス依存的なレポーター蛋白質の発現を調節するような薬剤をスクリーニングすることによって、小胞体ストレス応答を調節する物質を発見することが出来る。組換え体プラスミドを導入する培養細胞としては、実施例中で用いたヒト胚腎臓線維芽細胞である293細胞株を始め、継代培養可能ないかなる培養細胞株も使用可能である。組換えプラスミドとしては、実施例中で用いたpDEST26を始め、あらゆるベクターが使用可能である。スクリーニング系の構築にあたっては、培養細胞株を選択し、スクリーニング用ベクターをリポフェクション法などを用いて導入する。この形質転換細胞を選択薬剤とともに培養することによって、スクリーニング用ベクターを含む細胞のみを成育させることが出来る。これらの細胞はこのままスクリーニングに用いても良いし、クローニングすることによって、単一の細胞株として調製した後、スクリーニングに用いても良い。これらの細胞に、サンプルを添加し、そのレポーター蛋白質の活性を測定することによって、小胞体ストレス応答を調節する物質を探索することが出来る。なお、小胞体ストレスを与える場合はサンプルの添加の前後・同時を問わず与えることができる。サンプルとしては、例えば微生物二次代謝産物を用いても良いし、合成した化合物を用いても良い。本発明の形質転換体又は形質導入体を用いた新規薬剤のスクリーニング方法により選択された薬剤のうち、小胞体ストレス応答を阻害する物質は、例えば、癌に特異的な細胞死を誘導し、新規制癌剤となると期待される。また、小胞体ストレス応答を活性化する物質は、例えば、虚血によって起こる細胞死を防ぐ有効な治療薬となると期待される。
(5)トランスジェニック生物
本発明の組換え体プラスミドを適当な制限酵素で切断、精製し、これをマウス受精卵前核にマイクロインジェクションした後、偽妊娠状態にした雌マウスの卵管に移植することにより、トランスジェニックマウスを得ることができる。この際遺伝子を導入する生物としては、一般に使われるものはすべて使用可能であるが、例えば、マウス、ラット、線虫等がある。これらのトランスジェニック生物は小胞体ストレス依存的にレポーター蛋白質が発現するので、活性を測定することで各臓器にかかる小胞体ストレスをモニターすることが可能となる。これを利用すれば、例えばある化合物が生体のどの臓器にストレスを与えるかを明らかにできると考えられ、薬剤標的臓器の同定や、副作用の予測などが可能となると期待される。
本発明の組換え体プラスミドを適当な制限酵素で切断、精製し、これをマウス受精卵前核にマイクロインジェクションした後、偽妊娠状態にした雌マウスの卵管に移植することにより、トランスジェニックマウスを得ることができる。この際遺伝子を導入する生物としては、一般に使われるものはすべて使用可能であるが、例えば、マウス、ラット、線虫等がある。これらのトランスジェニック生物は小胞体ストレス依存的にレポーター蛋白質が発現するので、活性を測定することで各臓器にかかる小胞体ストレスをモニターすることが可能となる。これを利用すれば、例えばある化合物が生体のどの臓器にストレスを与えるかを明らかにできると考えられ、薬剤標的臓器の同定や、副作用の予測などが可能となると期待される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)XBP−1遺伝子とホタルルシフェラーゼ遺伝子の融合遺伝子の調製
(1−1)XBP−1遺伝子の増幅
XBP−1(非スプライシング型)発現ベクターであるpcDNA3.1(+)/XBP−1(unspliced)(Cell 誌 107巻 881−891頁 2001年)1ngを鋳型として、配列表の配列番号4、5に示されるプライマーセットを用い、XBP−1遺伝子(非スプライシング型)の部分配列をPCR法により増幅した。PCR法を実施するにあたり、DNAポリメラーゼはKOD dash(東洋紡社製)を用い、PCRの条件は、98℃(10秒)、65℃(2秒)、74℃(30秒)を1サイクルとし、30サイクルにわたって増幅せしめた。PCR増幅産物は、フェノール処理、クロロホルム処理による除蛋白質後、エタノール沈殿せしめた。次にこのDNAを70%エタノールで洗浄し、15μLのTE溶液(10mM トリス−塩酸(pH8)、1mM EDTA)に溶解した。このDNA溶液を、0.8%アガロース電気泳動により分画し、抽出、精製した。精製には、EASYTRAP(宝酒造社製)を用い、15μLのTE溶液で溶出した。この精製DNA2μLと、2ngの大腸菌用ベクターpBluescript KS(+)を制限酵素EcoRV(宝酒造社製)で切断後、その切断末端にチミンを一つ付加したDNA(以下pBS/EcoRV TAと表記する)とをDNAライゲーションキット(宝酒造社製)を用いて接続した。以下、このプラスミドをpBS/XBP−1(1−1154)と表記する。
(1)XBP−1遺伝子とホタルルシフェラーゼ遺伝子の融合遺伝子の調製
(1−1)XBP−1遺伝子の増幅
XBP−1(非スプライシング型)発現ベクターであるpcDNA3.1(+)/XBP−1(unspliced)(Cell 誌 107巻 881−891頁 2001年)1ngを鋳型として、配列表の配列番号4、5に示されるプライマーセットを用い、XBP−1遺伝子(非スプライシング型)の部分配列をPCR法により増幅した。PCR法を実施するにあたり、DNAポリメラーゼはKOD dash(東洋紡社製)を用い、PCRの条件は、98℃(10秒)、65℃(2秒)、74℃(30秒)を1サイクルとし、30サイクルにわたって増幅せしめた。PCR増幅産物は、フェノール処理、クロロホルム処理による除蛋白質後、エタノール沈殿せしめた。次にこのDNAを70%エタノールで洗浄し、15μLのTE溶液(10mM トリス−塩酸(pH8)、1mM EDTA)に溶解した。このDNA溶液を、0.8%アガロース電気泳動により分画し、抽出、精製した。精製には、EASYTRAP(宝酒造社製)を用い、15μLのTE溶液で溶出した。この精製DNA2μLと、2ngの大腸菌用ベクターpBluescript KS(+)を制限酵素EcoRV(宝酒造社製)で切断後、その切断末端にチミンを一つ付加したDNA(以下pBS/EcoRV TAと表記する)とをDNAライゲーションキット(宝酒造社製)を用いて接続した。以下、このプラスミドをpBS/XBP−1(1−1154)と表記する。
(1−2)ルシフェラーゼ遺伝子の増幅
ホタルルシフェラーゼ遺伝子を含むベクターであるpGL3promoter(プロメガ社製)3.6ngを鋳型として、配列表の配列番号6、7に示されるプライマーセットを用い、ホタルルシフェラーゼ遺伝子をPCR法により増幅した。PCR法を実施するにあたり、DNAポリメラーゼはPyrobest(宝酒造社製)を用い、PCR条件は、95℃(1分)、55℃(1分)、72℃(2分)を1サイクルとし、30サイクル増幅した。PCR増幅産物は、フェノール処理、クロロホルム処理による除蛋白質後、エタノール沈殿した。次にこのDNAを70%エタノールで洗浄し、20μLのTE溶液に溶解した。次に、このDNA16μLを、制限酵素HindIII及びXhoI(東洋紡社製)で切断後、0.8%アガロース電気泳動により分画し、抽出、精製した。精製には、EASYTRAPを用い、15μLのTE溶液で溶出した。この精製DNA2μLと、10ngの大腸菌用ベクターpBluescript KS(+)を制限酵素HindIII及びXhoIで切断後、アルカリホスファターゼ処理したものとをDNAライゲーションキットを用いて接続した。以下、このプラスミドをpBS/luciferaseと表記する。
ホタルルシフェラーゼ遺伝子を含むベクターであるpGL3promoter(プロメガ社製)3.6ngを鋳型として、配列表の配列番号6、7に示されるプライマーセットを用い、ホタルルシフェラーゼ遺伝子をPCR法により増幅した。PCR法を実施するにあたり、DNAポリメラーゼはPyrobest(宝酒造社製)を用い、PCR条件は、95℃(1分)、55℃(1分)、72℃(2分)を1サイクルとし、30サイクル増幅した。PCR増幅産物は、フェノール処理、クロロホルム処理による除蛋白質後、エタノール沈殿した。次にこのDNAを70%エタノールで洗浄し、20μLのTE溶液に溶解した。次に、このDNA16μLを、制限酵素HindIII及びXhoI(東洋紡社製)で切断後、0.8%アガロース電気泳動により分画し、抽出、精製した。精製には、EASYTRAPを用い、15μLのTE溶液で溶出した。この精製DNA2μLと、10ngの大腸菌用ベクターpBluescript KS(+)を制限酵素HindIII及びXhoIで切断後、アルカリホスファターゼ処理したものとをDNAライゲーションキットを用いて接続した。以下、このプラスミドをpBS/luciferaseと表記する。
(1−3)融合遺伝子の作製
200ngのpBS/XBP−1(1−1154)ならびにpBS/luciferaseを、BamHI及びHindIIIで切断した(以下、pBS/XBP−1(1−1154)/BamHI,HindIII、pBS/luciferase/BamHI,HindIIIと表記する)。pBS/luciferase/BamHI,HindIIIに、1μLのエビアルカリホスファターゼ(ベーリンガーマンハイム社製)を加え、37℃、30分間保温することにより末端を脱リン酸化した後、65℃、15分間保温することにより、酵素を失活させた。両DNAに、20μgのグリコーゲンを加え、エタノール沈殿することにより、DNAを回収した。このDNAを70%エタノールで洗浄し、15μLのTE溶液に溶解した。次に、このDNA溶液を、0.8%アガロース電気泳動により分画した。pBS/XBP−1(1−1154)/BamHI,HindIIIは、XBP−1遺伝子を含む1.1キロベースの断片を抽出し、精製した(以下XBP−1(1−1154)/BamHI,HindIII 1.1kbと表記する)。pBS/luciferase/BamHI,HindIIIは、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を含む4.6キロベースの断片を抽出し、精製した(以下pBS/luciferase/BamHI,HindIII 4.6kbと表記する)。精製には、EASYTRAPを用い、15μLのTE溶液で溶出した。続いて、1μLのXBP−1(1−1154)/BamHI,HindIII 1.1kbと、1μLのpBS/luciferase/BamHI,HindIII 4.6kbとをDNAライゲーションキットを用いて接続した。以下、このプラスミドをpBS/XBP−1−luciferaseと表記する。このプラスミドの塩基配列を配列表の配列番号8に示す。
200ngのpBS/XBP−1(1−1154)ならびにpBS/luciferaseを、BamHI及びHindIIIで切断した(以下、pBS/XBP−1(1−1154)/BamHI,HindIII、pBS/luciferase/BamHI,HindIIIと表記する)。pBS/luciferase/BamHI,HindIIIに、1μLのエビアルカリホスファターゼ(ベーリンガーマンハイム社製)を加え、37℃、30分間保温することにより末端を脱リン酸化した後、65℃、15分間保温することにより、酵素を失活させた。両DNAに、20μgのグリコーゲンを加え、エタノール沈殿することにより、DNAを回収した。このDNAを70%エタノールで洗浄し、15μLのTE溶液に溶解した。次に、このDNA溶液を、0.8%アガロース電気泳動により分画した。pBS/XBP−1(1−1154)/BamHI,HindIIIは、XBP−1遺伝子を含む1.1キロベースの断片を抽出し、精製した(以下XBP−1(1−1154)/BamHI,HindIII 1.1kbと表記する)。pBS/luciferase/BamHI,HindIIIは、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を含む4.6キロベースの断片を抽出し、精製した(以下pBS/luciferase/BamHI,HindIII 4.6kbと表記する)。精製には、EASYTRAPを用い、15μLのTE溶液で溶出した。続いて、1μLのXBP−1(1−1154)/BamHI,HindIII 1.1kbと、1μLのpBS/luciferase/BamHI,HindIII 4.6kbとをDNAライゲーションキットを用いて接続した。以下、このプラスミドをpBS/XBP−1−luciferaseと表記する。このプラスミドの塩基配列を配列表の配列番号8に示す。
(1−4)融合遺伝子発現ベクターの作製
1μgのpBS/XBP−1−luciferaseを、制限酵素BamHI及びXhoI及びPvuI(東洋紡社製)で切断した後、0.8%アガロース電気泳動により分画した。XBP−1遺伝子とホタルルシフェラーゼ遺伝子の融合遺伝子を含む2.8キロベースの断片を抽出し、精製した(以下XBP−1−luciferase/BamHI,XhoI,PvuI 2.8kbと表記する)。精製には、EASYTRAPを用い、13μLのTE溶液で溶出した。また、導入するベクターとしてpENTR3C(インビトロジェン社製)を用いた。750ngのpENTR3Cを、BamHI及びXhoIで切断した後、1μLのエビアルカリホスファターゼを加え、37℃、30分間保温することにより末端を脱リン酸化した。続いて、65℃、15分間保温し、酵素を失活させた後、20μgのグリコーゲンを加え、エタノール沈殿することにより、DNAを回収した。次にこのDNAを70%エタノールで洗浄し、15μLのTE溶液に溶解した。このDNA溶液を、0.8%アガロース電気泳動により分画し、抽出、精製した(以下pENTR3C/BamHI,XhoI(SAP)と表記する)。精製には、EASYTRAPを用い、13μLのTE溶液で溶出した。続いて、1.5μLのXBP−1−luciferase/BamHI,XhoI,PvuI 2.8kbと、1μLのpENTR3C/BamHI,XhoI(SAP)をDNAライゲーションキットを用いて接続した。以下、このプラスミドをpENTR3C/XBP−1−luciferaseと表記する。引き続いてLR反応を行って、哺乳類細胞の発現ベクターであるpDEST26上にXBP−1−luciferase遺伝子を組み込んだ。すなわち、200ngのpENTR3C/XBP−1−luciferaseと、150ngのpDEST26(インビトロジェン社製)を混合し、ここに組換え用酵素であるClonase(インビトロジェン社製)を加えることによって、遺伝子の組換えを行った。作製された発現ベクターを以下pDEST26/XBP−1−luciferase遺伝子と表記する。
1μgのpBS/XBP−1−luciferaseを、制限酵素BamHI及びXhoI及びPvuI(東洋紡社製)で切断した後、0.8%アガロース電気泳動により分画した。XBP−1遺伝子とホタルルシフェラーゼ遺伝子の融合遺伝子を含む2.8キロベースの断片を抽出し、精製した(以下XBP−1−luciferase/BamHI,XhoI,PvuI 2.8kbと表記する)。精製には、EASYTRAPを用い、13μLのTE溶液で溶出した。また、導入するベクターとしてpENTR3C(インビトロジェン社製)を用いた。750ngのpENTR3Cを、BamHI及びXhoIで切断した後、1μLのエビアルカリホスファターゼを加え、37℃、30分間保温することにより末端を脱リン酸化した。続いて、65℃、15分間保温し、酵素を失活させた後、20μgのグリコーゲンを加え、エタノール沈殿することにより、DNAを回収した。次にこのDNAを70%エタノールで洗浄し、15μLのTE溶液に溶解した。このDNA溶液を、0.8%アガロース電気泳動により分画し、抽出、精製した(以下pENTR3C/BamHI,XhoI(SAP)と表記する)。精製には、EASYTRAPを用い、13μLのTE溶液で溶出した。続いて、1.5μLのXBP−1−luciferase/BamHI,XhoI,PvuI 2.8kbと、1μLのpENTR3C/BamHI,XhoI(SAP)をDNAライゲーションキットを用いて接続した。以下、このプラスミドをpENTR3C/XBP−1−luciferaseと表記する。引き続いてLR反応を行って、哺乳類細胞の発現ベクターであるpDEST26上にXBP−1−luciferase遺伝子を組み込んだ。すなわち、200ngのpENTR3C/XBP−1−luciferaseと、150ngのpDEST26(インビトロジェン社製)を混合し、ここに組換え用酵素であるClonase(インビトロジェン社製)を加えることによって、遺伝子の組換えを行った。作製された発現ベクターを以下pDEST26/XBP−1−luciferase遺伝子と表記する。
(2)融合遺伝子発現ベクターを用いた小胞体ストレス測定
次に、このベクターを細胞に導入した際、小胞体ストレス依存的にルシフェラーゼが発現するかどうか検討した。
次に、このベクターを細胞に導入した際、小胞体ストレス依存的にルシフェラーゼが発現するかどうか検討した。
(2−1)発現ベクターの一過性導入による小胞体ストレス依存的なルシフェラーゼの発現
1ウェルあたり3000個の293細胞を96ウェルプレートに散布した。メディウムはE−MEM(旭テクノグラス社製)に最終濃度が10%となるようにFetal Bovine Serum(FBS)を添加したもの(以下E−MEM/10%FBSと表記する)を用いた。これらを、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて72時間培養した後、メディウムをFBSを含まないE−MEMに置換した。続いて、pDEST26/XBP−1−luciferaseベクター0.1μgを導入した。プラスミドの導入はリポフェクトアミンプラス試薬(インビトロジェン社製)を用いて行った。すなわち、プラスミド溶液に10μLのD−MEM(旭テクノグラス社製)と1μLのプラス試薬を加え、良く攪拌した後、室温にて15分間保温した。続いて、0.5μLのリポフェクトアミン試薬を加え、良く攪拌した後、室温にてさらに15分間保温した。これに50μLのD−MEMを加え、攪拌した後、上記の手順で培養した293細胞に投与し、穏やかに混和後、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて、3時間培養し、プラスミドを取り込ませた。続いてメディウムをE−MEM/10%FBSに置換し、5%二酸化炭素の存在下、培養を続けた。メディウム交換して16、20時間後に最終濃度が1、3μMとなるように小胞体ストレス誘導剤として知られるA23187(SIGMA社製)を加え、それぞれさらに8時間、4時間培養した。コントロールとしては、A23187を加えず、24時間培養したものを用いた。次に以下の方法でルシフェラーゼ活性の測定を行った。細胞培養ディッシュ中のメディウムを除去し、50μLの細胞溶解試薬(25mMトリス−塩酸(pH7.8)、2mM ジチオトレイトール、2mM CDTA、0.2%トライトンX−100、10%グリセロール)を添加した後、室温にて15分間保温した。この細胞溶解液を20μL分取し、基質液(20mM トリシンー水酸化ナトリウム(pH7.8)、1.07mM 塩基性炭酸マグネシウム、2.67mM 硫酸マグネシウム、0.1mM エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、33.3mM ジチオトレイトール、270μM コエンザイムA、470μMルシフェリン、530μM アデノシン三リン酸)50μLを添加した後、ルミノメーター(パーキンエルマー社製)にてその化学発光強度を測定した。
1ウェルあたり3000個の293細胞を96ウェルプレートに散布した。メディウムはE−MEM(旭テクノグラス社製)に最終濃度が10%となるようにFetal Bovine Serum(FBS)を添加したもの(以下E−MEM/10%FBSと表記する)を用いた。これらを、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて72時間培養した後、メディウムをFBSを含まないE−MEMに置換した。続いて、pDEST26/XBP−1−luciferaseベクター0.1μgを導入した。プラスミドの導入はリポフェクトアミンプラス試薬(インビトロジェン社製)を用いて行った。すなわち、プラスミド溶液に10μLのD−MEM(旭テクノグラス社製)と1μLのプラス試薬を加え、良く攪拌した後、室温にて15分間保温した。続いて、0.5μLのリポフェクトアミン試薬を加え、良く攪拌した後、室温にてさらに15分間保温した。これに50μLのD−MEMを加え、攪拌した後、上記の手順で培養した293細胞に投与し、穏やかに混和後、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて、3時間培養し、プラスミドを取り込ませた。続いてメディウムをE−MEM/10%FBSに置換し、5%二酸化炭素の存在下、培養を続けた。メディウム交換して16、20時間後に最終濃度が1、3μMとなるように小胞体ストレス誘導剤として知られるA23187(SIGMA社製)を加え、それぞれさらに8時間、4時間培養した。コントロールとしては、A23187を加えず、24時間培養したものを用いた。次に以下の方法でルシフェラーゼ活性の測定を行った。細胞培養ディッシュ中のメディウムを除去し、50μLの細胞溶解試薬(25mMトリス−塩酸(pH7.8)、2mM ジチオトレイトール、2mM CDTA、0.2%トライトンX−100、10%グリセロール)を添加した後、室温にて15分間保温した。この細胞溶解液を20μL分取し、基質液(20mM トリシンー水酸化ナトリウム(pH7.8)、1.07mM 塩基性炭酸マグネシウム、2.67mM 硫酸マグネシウム、0.1mM エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、33.3mM ジチオトレイトール、270μM コエンザイムA、470μMルシフェリン、530μM アデノシン三リン酸)50μLを添加した後、ルミノメーター(パーキンエルマー社製)にてその化学発光強度を測定した。
これらの結果を図1に示す。この結果、pDEST26/XBP−1−luciferase導入細胞において、小胞体ストレスに応答したルシフェラーゼの活性が認められた。これは小胞体ストレスにより活性化されたIRE1により融合遺伝子がフレームスイッチ型スプライシングを受けた結果、ルシフェラーゼ蛋白質が翻訳されたものと考えることが出来る。このルシフェラーゼ蛋白質の発現機構を図2に示す。
(2−2)XBP−1−luciferase融合遺伝子の点突然変異体を用いた解析
上記の小胞体ストレス依存的なルシフェラーゼの発現が、確かにストレス依存的に活性化されるIRE1によるフレームスイッチ型スプライシングによるものであることを証明する必要がある。現在までにXBP−1遺伝子において、IRE1によるフレームスイッチ型スプライシングに必要な塩基は3つ同定されている(Cell 誌 第107巻 881−891頁 2001年)。従って、そのうちのわずか1塩基を変換したXBP−1の点突然変異体とホタルルシフェラーゼ遺伝子の融合遺伝子を作製し、この遺伝子の発現においては、小胞体ストレス依存的なルシフェラーゼの活性は認められないことを示せば、上記で見られたルシフェラーゼの活性が、小胞体ストレスによって誘導されるIRE1の機能によることが示されるはずである。
上記の小胞体ストレス依存的なルシフェラーゼの発現が、確かにストレス依存的に活性化されるIRE1によるフレームスイッチ型スプライシングによるものであることを証明する必要がある。現在までにXBP−1遺伝子において、IRE1によるフレームスイッチ型スプライシングに必要な塩基は3つ同定されている(Cell 誌 第107巻 881−891頁 2001年)。従って、そのうちのわずか1塩基を変換したXBP−1の点突然変異体とホタルルシフェラーゼ遺伝子の融合遺伝子を作製し、この遺伝子の発現においては、小胞体ストレス依存的なルシフェラーゼの活性は認められないことを示せば、上記で見られたルシフェラーゼの活性が、小胞体ストレスによって誘導されるIRE1の機能によることが示されるはずである。
(2−2−1)点突然変異体の作製
点突然変異体の作製は以下の方法で行った。即ち、2μgのpBS/XBP−1−luciferaseを0.2M 水酸化ナトリウム、0.2mM EDTA中で室温にて5分間保温し、DNAの変性を行った。次に、このDNAをエタノール沈殿することにより、DNAを回収した。続いてこのDNAを70%エタノールで洗浄し、100μLのTE溶液に溶解した。0.2μgの上記変性DNAを鋳型として、配列表の配列番号9に示す突然変異体作製用オリゴヌクレオチドを用いて、Gene Editor site directed mutagenesis kit(プロメガ社製)により、突然変異体の作製を行った。突然変異体は配列表の配列番号1に示される融合遺伝子の496番目のグアニンがシトシンに変換されたものである。得られた変異遺伝子は塩基配列を決定し、確かに目的の点突然変異が起こっていることを確認した。得られた変異遺伝子を含むベクターをpBS/XBP−1−luciferase(mt)と表記する。このベクターを元に(1−4)と同様の方法で、XBP−1−luciferase(mt)遺伝子を哺乳類発現ベクターであるpDEST26に導入した。このベクターをpDEST26/XBP−1−luciferase(mt)と表記する。
点突然変異体の作製は以下の方法で行った。即ち、2μgのpBS/XBP−1−luciferaseを0.2M 水酸化ナトリウム、0.2mM EDTA中で室温にて5分間保温し、DNAの変性を行った。次に、このDNAをエタノール沈殿することにより、DNAを回収した。続いてこのDNAを70%エタノールで洗浄し、100μLのTE溶液に溶解した。0.2μgの上記変性DNAを鋳型として、配列表の配列番号9に示す突然変異体作製用オリゴヌクレオチドを用いて、Gene Editor site directed mutagenesis kit(プロメガ社製)により、突然変異体の作製を行った。突然変異体は配列表の配列番号1に示される融合遺伝子の496番目のグアニンがシトシンに変換されたものである。得られた変異遺伝子は塩基配列を決定し、確かに目的の点突然変異が起こっていることを確認した。得られた変異遺伝子を含むベクターをpBS/XBP−1−luciferase(mt)と表記する。このベクターを元に(1−4)と同様の方法で、XBP−1−luciferase(mt)遺伝子を哺乳類発現ベクターであるpDEST26に導入した。このベクターをpDEST26/XBP−1−luciferase(mt)と表記する。
(2−2−2)小胞体ストレス非感受性点突然変異体の一過性導入におけるルシフェラーゼの発現の阻害
次に、XBP−1−luciferase(mt)遺伝子による小胞体ストレス依存的なルシフェラーゼ活性化を以下の方法により検討した。1ウェルあたり2万個の293細胞を96ウェルプレートに散布した。メディウムはE−MEM/10%FBSを用いた。これらを、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて24時間培養した。続いて、pDEST26/XBP−1−luciferaseベクター又はpDEST26/XBP−1−luciferase(mt)各0.2μgを導入した。プラスミドの導入はリポフェクトアミン2000試薬(インビトロジェン社製)を用いて行った。すなわち、プラスミド溶液に25μLのE−MEMを加えた後、0.5μLのリポフェクタミン2000試薬と25μLのE−MEMを混合したものを加え、良く攪拌した後、室温にて20分間保温した。これを上記の手順で培養した293細胞に投与し、穏やかに混和後、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて、24時間培養し、プラスミドを取り込ませた。この後、最終濃度が3μMとなるようにA23187を加え、1、2、4時間培養した。A23187を加えないものを準備し、コントロールとした。またルシフェラーゼ活性の測定は上記(2−1)に示されたものと同様の方法で行った。
次に、XBP−1−luciferase(mt)遺伝子による小胞体ストレス依存的なルシフェラーゼ活性化を以下の方法により検討した。1ウェルあたり2万個の293細胞を96ウェルプレートに散布した。メディウムはE−MEM/10%FBSを用いた。これらを、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて24時間培養した。続いて、pDEST26/XBP−1−luciferaseベクター又はpDEST26/XBP−1−luciferase(mt)各0.2μgを導入した。プラスミドの導入はリポフェクトアミン2000試薬(インビトロジェン社製)を用いて行った。すなわち、プラスミド溶液に25μLのE−MEMを加えた後、0.5μLのリポフェクタミン2000試薬と25μLのE−MEMを混合したものを加え、良く攪拌した後、室温にて20分間保温した。これを上記の手順で培養した293細胞に投与し、穏やかに混和後、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて、24時間培養し、プラスミドを取り込ませた。この後、最終濃度が3μMとなるようにA23187を加え、1、2、4時間培養した。A23187を加えないものを準備し、コントロールとした。またルシフェラーゼ活性の測定は上記(2−1)に示されたものと同様の方法で行った。
これらの結果を図3に示す。結果、XBP−1−luciferase(mt)遺伝子を導入した群においては、小胞体ストレスによるルシフェラーゼの活性がほとんど認められなかった(図中ではXBP−1 mt−lucと表示されている)。一方、コントロールとして用いたXBP−1−luciferase遺伝子を導入した群においては、小胞体ストレスによるルシフェラーゼの強い活性が認められた(図中ではXBP−1 wt−lucと表示されている)。従って、XBP−1−luciferase遺伝子導入によって起こる小胞体ストレス依存的なルシフェラーゼ活性は、XBP−1遺伝子部分がフレームスイッチ型スプライシングを受けた結果起こっているということが証明された。
(2−3)IRE1ドミナントネガティブ体発現ベクターの一過性導入による小胞体ストレス依存的なルシフェラーゼ発現の阻害
次に、XBP−1−luciferase遺伝子導入による小胞体依存的なルシフェラーゼの発現が、IRE1によるフレームスイッチ型スプライシングによるものであることを証明するために、IRE1のドミナントネガティブ体の発現ベクターを導入した時に、上記の小胞体ストレス依存的なルシフェラーゼの発現が阻害されるかどうか検討した。実験は以下の方法で行った。1ウェルあたり2万個の293細胞を96ウェルプレートに散布した。メディウムはE−MEM/10%FBSを用いた。これらを、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて24時間培養した。続いて、プラスミドの導入を行った。一群はpDEST26/XBP−1−luciferaseベクター0.02μgならびにpcDNA3.1(+)/IRE1 dominant negative 0.2μg、もう一群はpDEST26/XBP−1−luciferaseベクター0.02μgならびにpcDNA30.2μgを導入した。pcDNA3.1(+)/IRE1 dominant negativeは、IRE1のドミナントネガティブ体の発現ベクターであり、(Cell 誌 107巻 881−891頁 2001年)に記載されているものを用いた。プラスミドの導入はリポフェクトアミン2000試薬(インビトロジェン社製)を用いて行った。すなわち、プラスミド溶液に25μLのE−MEMを加えた後、0.5μLのリポフェクタミン2000試薬と25μLのE−MEMを混合したものを加え、良く攪拌した後、室温にて20分間保温した。これを上記の手順で培養した293細胞に投与し、穏やかに混和後、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて、24時間培養し、プラスミドを取り込ませた。この後、最終濃度が3μMとなるようにA23187を加え、1、2、4時間培養した。A23187を加えないものを準備し、コントロールとした。またルシフェラーゼ活性の測定は上記(2−1)に示されたものと同様の方法で行った。
次に、XBP−1−luciferase遺伝子導入による小胞体依存的なルシフェラーゼの発現が、IRE1によるフレームスイッチ型スプライシングによるものであることを証明するために、IRE1のドミナントネガティブ体の発現ベクターを導入した時に、上記の小胞体ストレス依存的なルシフェラーゼの発現が阻害されるかどうか検討した。実験は以下の方法で行った。1ウェルあたり2万個の293細胞を96ウェルプレートに散布した。メディウムはE−MEM/10%FBSを用いた。これらを、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて24時間培養した。続いて、プラスミドの導入を行った。一群はpDEST26/XBP−1−luciferaseベクター0.02μgならびにpcDNA3.1(+)/IRE1 dominant negative 0.2μg、もう一群はpDEST26/XBP−1−luciferaseベクター0.02μgならびにpcDNA30.2μgを導入した。pcDNA3.1(+)/IRE1 dominant negativeは、IRE1のドミナントネガティブ体の発現ベクターであり、(Cell 誌 107巻 881−891頁 2001年)に記載されているものを用いた。プラスミドの導入はリポフェクトアミン2000試薬(インビトロジェン社製)を用いて行った。すなわち、プラスミド溶液に25μLのE−MEMを加えた後、0.5μLのリポフェクタミン2000試薬と25μLのE−MEMを混合したものを加え、良く攪拌した後、室温にて20分間保温した。これを上記の手順で培養した293細胞に投与し、穏やかに混和後、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて、24時間培養し、プラスミドを取り込ませた。この後、最終濃度が3μMとなるようにA23187を加え、1、2、4時間培養した。A23187を加えないものを準備し、コントロールとした。またルシフェラーゼ活性の測定は上記(2−1)に示されたものと同様の方法で行った。
これらの結果を図4に示す。この結果、pcDNA3.1(+)/IRE1 dominant negativeを導入した群においては、小胞体ストレス依存的なルシフェラーゼの活性が強く阻害されることが分かった。この結果、XBP−1−luciferase遺伝子は小胞体ストレスに応答して活性化されるIRE1によってスプライシングされ、ルシフェラーゼの発現が起こることが証明された。配列表の配列番号1で示される融合遺伝子が、フレームスイッチ型スプライシングを受けた時に生じる遺伝子配列を配列表の配列番号10に示す。また、配列表の配列番号1で示される融合遺伝子がコードする蛋白質のアミノ酸配列を配列表の配列番号11に、配列表の配列番号10で示される遺伝子がコードする蛋白質のアミノ酸配列を配列表の配列番号12に示す。配列表の配列番号1で示される融合遺伝子の第494番目から第519番目までの塩基が切り取られることで、当初261アミノ酸であった蛋白質がルシフェラーゼ蛋白質を含んだ928アミノ酸の蛋白質となる。
(3)融合遺伝子発現ベクターを保持する細胞の取得
次に、上記融合遺伝子を恒常的に発現する細胞の取得ならびに機能評価を以下の方法に従って行った。
次に、上記融合遺伝子を恒常的に発現する細胞の取得ならびに機能評価を以下の方法に従って行った。
(3−1)発現ベクターの導入
100万個の293細胞を直径60mmの培養ディッシュに散布した。メディウムはE−MEM/10%FBSを用いた。これらを、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて24時間培養した後、メディウムをFBSを含まないE−MEMに置換した。続いて、pDEST26/XBP−1−luciferaseベクター2μgを導入した。プラスミドの導入はリポフェクトアミン試薬(インビトロジェン社製)を用いて行った。すなわち、プラスミド溶液に125μLのD−MEM(旭テクノグラス社製)と12μLのリポフェクタミン試薬を加え、良く攪拌した後室温にて15分間保温した。これを上記の手順で培養した293細胞に投与し、穏やかに混和後、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて、3時間培養し、プラスミドを取り込ませた。続いてメディウムをE−MEM/10%FBSに置換し、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて、21時間培養した。引き続いて、この細胞をトリプシン処理によりディッシュからはがし、直径100mmの培養ディッシュに全細胞量の0.01%、0.03%、0.1%、0.3%をそれぞれ散布した。37℃にて、2日間培養した後、選択用薬剤として、0.8mg/mLのジェネティシン(ナカライテスク社製)を添加した。培地を3日おきに交換しつつ、上記条件にてさらに2週間培養することによって、プラスミド中の遺伝子が細胞内遺伝子中に導入され、ジェネティシン耐性となった細胞を選択した。この細胞株中にはpDEST26/XBP−1−luciferaseが導入されていると考えられる。次に、この細胞群において小胞体ストレス依存的なフレームスイッチ型スプライシングによりXBP−1とルシフェラーゼの融合蛋白質が生じることをウエスタンブロッティングの手法を用いて確認した。
100万個の293細胞を直径60mmの培養ディッシュに散布した。メディウムはE−MEM/10%FBSを用いた。これらを、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて24時間培養した後、メディウムをFBSを含まないE−MEMに置換した。続いて、pDEST26/XBP−1−luciferaseベクター2μgを導入した。プラスミドの導入はリポフェクトアミン試薬(インビトロジェン社製)を用いて行った。すなわち、プラスミド溶液に125μLのD−MEM(旭テクノグラス社製)と12μLのリポフェクタミン試薬を加え、良く攪拌した後室温にて15分間保温した。これを上記の手順で培養した293細胞に投与し、穏やかに混和後、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて、3時間培養し、プラスミドを取り込ませた。続いてメディウムをE−MEM/10%FBSに置換し、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて、21時間培養した。引き続いて、この細胞をトリプシン処理によりディッシュからはがし、直径100mmの培養ディッシュに全細胞量の0.01%、0.03%、0.1%、0.3%をそれぞれ散布した。37℃にて、2日間培養した後、選択用薬剤として、0.8mg/mLのジェネティシン(ナカライテスク社製)を添加した。培地を3日おきに交換しつつ、上記条件にてさらに2週間培養することによって、プラスミド中の遺伝子が細胞内遺伝子中に導入され、ジェネティシン耐性となった細胞を選択した。この細胞株中にはpDEST26/XBP−1−luciferaseが導入されていると考えられる。次に、この細胞群において小胞体ストレス依存的なフレームスイッチ型スプライシングによりXBP−1とルシフェラーゼの融合蛋白質が生じることをウエスタンブロッティングの手法を用いて確認した。
以下に実験方法を示す。100万個の293細胞を直径60mmの培養ディッシュに散布した。メディウムはE−MEM/10%FBSを用いた。これらを、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて24時間培養した後、3μMのA23187を処理し、さらに0、4、8時間培養した。これら細胞をそれぞれ5mLのPBS(Phosphate Buffered Saline)で一度洗浄した後、1mLのPBSを加え、スクレイパーを用いて細胞を回収した。遠心でPBSを除いた後、100μLのRIPA緩衝液(10mM トリスー塩酸(pH8.0)、150mM 塩化ナトリウム、1mM EDTA、1% NP−40、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、0.1%デオキシコール酸ナトリウム、1mM PMSF)を加え、良くピペッティングした後、氷中で20分間保温した。これを15000回転、4℃にて30分間遠心し、上清をライセートとして回収した。コントロールとしては、293細胞にpcDNA3.1(+)/XBP−1(unspliced)又はpcDNA3.1(+)/XBP−1(spliced)を一過性に発現させ、同様な手法で調製したライセートを用いることとした。各ライセート30μgを10%のSDS−PAGEにて分画し、これをミニトランスブロットブロッティング装置(バイオラッド社製)を用いて、ニトロセルロース膜(ザルトリウス社製)に転写した。次に、このメンブレンを5%のスキムミルクと0.05%のTween20を含んだTBS(Tris Bufferd saline)(以下TBS−TMと表記する)中で室温にて30分間振とうしブロッキングした。続いて、このメンブレンを抗XBP−1抗体(サンタクルズ社製:sc−7160)を加えたTBS−TM中で、室温にて2時間穏やかに振とうした。抗体は全体量の0.05%となるように加えた。続いて、TBS−TM中で3回洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼを結合させた抗ウサギIgG抗体(アマシャムバイオサイエンス社製)を加えたTBS−TM中で室温にて1時間穏やかに振とうした。抗体は全体量の0.01%となるように加えた。TBS中で3回洗浄した後、ECLウエスタンブロッティング検出試薬(アマシャムバイオサイエンス社製)を用いて、抗XBP−1抗体と反応する蛋白質を検出した。
この結果を図5に示す。図に示されるように、pDEST26/XBP−1−luciferase導入細胞群においては、A23187依存的にXBP−1とルシフェラーゼの融合蛋白質のサイズである110KDaの位置に強いバンドが認められるようになった(レーン3から5)。これは、XBP−1−luciferase融合遺伝子が細胞内で予想通りにフレームスイッチ型スプライシングを受け、XBP−1蛋白質部分とルシフェラーゼ蛋白質部分を含んだ新たな融合蛋白質が生成していることを示している。
(3−2)単離クローンにおける小胞体依存的ルシフェラーゼ活性化
ディッシュ上でコロニーを形成した細胞群を20クローン単離し、24穴の培養ディッシュに散布し、培養を継続した。これらクローンは、小胞体ストレス刺激に対して、ルシフェラーゼ活性の増大を示すことが期待できる。そこで、次にこれらクローンのA23187に対する反応性を以下の手順により検討した。1ウェルあたり各クローン化細胞10万個を24ウェルプレートに散布した。メディウムはE−MEM/10%FBSを用いた。これらを5%の二酸化炭素存在下、37℃にて24時間培養した後、3μMのA23187を処理して、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて、それぞれ0、0.5、1、2、4、6時間培養した。これらの細胞について、そのルシフェラーゼ活性を測定することによって、小胞体ストレスによるルシフェラーゼの活性化が認められるかどうか検討した。その結果、A23187処理により有意にルシフェラーゼ活性の上昇を示すクローンが複数個得られた。
ディッシュ上でコロニーを形成した細胞群を20クローン単離し、24穴の培養ディッシュに散布し、培養を継続した。これらクローンは、小胞体ストレス刺激に対して、ルシフェラーゼ活性の増大を示すことが期待できる。そこで、次にこれらクローンのA23187に対する反応性を以下の手順により検討した。1ウェルあたり各クローン化細胞10万個を24ウェルプレートに散布した。メディウムはE−MEM/10%FBSを用いた。これらを5%の二酸化炭素存在下、37℃にて24時間培養した後、3μMのA23187を処理して、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて、それぞれ0、0.5、1、2、4、6時間培養した。これらの細胞について、そのルシフェラーゼ活性を測定することによって、小胞体ストレスによるルシフェラーゼの活性化が認められるかどうか検討した。その結果、A23187処理により有意にルシフェラーゼ活性の上昇を示すクローンが複数個得られた。
ルシフェラーゼアッセイの結果を図6に示す。図中の値は、A23187未処理群のルシフェラーゼ活性を100とした場合の処理群の相対的な活性を示している。A23187に応答して、ルシフェラーゼの活性が認められるクローンが5つ得られた。これらの細胞株は、小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する薬剤のスクリーニングに有用である。
実施例2
融合遺伝子を利用した小胞体ストレス応答阻害剤のスクリーニング
pDEST26/XBP−1−luciferaseを導入した細胞株のうち、図6に示されたクローンのうち、クローン2を選択し(以下293/XBP−1−luciferase細胞と記載する。293/XBP−1−luciferase細胞は小胞体ストレスにさらされることにより発光する。)、これを利用した小胞体ストレス応答阻害剤のスクリーニング系を構築した。
融合遺伝子を利用した小胞体ストレス応答阻害剤のスクリーニング
pDEST26/XBP−1−luciferaseを導入した細胞株のうち、図6に示されたクローンのうち、クローン2を選択し(以下293/XBP−1−luciferase細胞と記載する。293/XBP−1−luciferase細胞は小胞体ストレスにさらされることにより発光する。)、これを利用した小胞体ストレス応答阻害剤のスクリーニング系を構築した。
すなわち、5000個の293/XBP−1−luciferase細胞を、384穴プレート(ヌンク社製)に散布し、続いて最終濃度が2μg/mLになるようにサンプル化合物を処理した。ここにさらに最終濃度300nMとなるように小胞体ストレスを引き起こすタプシガルギン(和光純薬社製)を処理し、室温で1時間保温した後、37℃、5%CO2下で4時間保温した。この細胞に、発光基質であるSteady−Glo(プロメガ社製)を20μL加え、室温で10分間保温した後、その発光をEnVision(パーキンエルマー社製)を利用して測定し、小胞体ストレス依存的な発光を阻害する化合物を探索した。
次に上記において得られた、小胞体ストレス依存的な発光を阻害するサンプル化合物の阻害作用の特異性を証明するためにXBP−1と融合していないルシフェラーゼ遺伝子のみを発現する293細胞(以下293/luciferase細胞と記載する。293/luciferase細胞は小胞体ストレスの有無に関わらず、発光する。)を対照とし、サンプル化合物の濃度の他は同様の反応条件で293/XBP−1−luciferase細胞と293/luciferase細胞にそれぞれサンプル化合物(最終濃度:0、0.2、0.6、2、6μg/ml)およびタプシガルギンを処理し、各細胞における発光を測定し、293/XBP−1−luciferase細胞の小胞体ストレス依存的な発光は阻害するが、293/luciferase細胞の発光は阻害しない化合物を小胞体ストレス応答を阻害する化合物として選択した。例えば、下記式(1)で表される化合物Aは0.6μg/mLの濃度で293/XBP−1−luciferaseの小胞体ストレス依存的な発光を73%阻害するが、293/luciferaseの阻害は認めない(図7)ことから、小胞体ストレス応答を阻害する化合物であると考えられる。
上記式(1)で表される化合物AはSeriya Khimicheskaya(1958),p.590−599に記載の方法により3,4−bis(chloromethyl)−2,5−dimethylthiopheneとiso−butylamineを原料として以下のスキームに従って容易に合成できる。
実施例2より、XBP−1遺伝子とレポーター遺伝子の融合遺伝子を用いたスクリーニング方法は、小胞体ストレス応答を調節する化合物のスクリーニング方法として有用であることが示された。このスクリーニング方法で選択された化合物は小胞体ストレス応答が関与する、癌、虚血、糖尿病などの病態の有用な治療薬になることが期待される。
配列表の配列番号:1の塩基配列はXBP−1とホタルルシフェラーゼの融合遺伝子を示す。
配列表の配列番号:2の塩基配列はXBP−1遺伝子を示す。
配列表の配列番号:3の塩基配列はホタルルシフェラーゼ遺伝子を示す。
配列表の配列番号:4から7の塩基配列は、PCRプライマーを示す。
配列表の配列番号:8の塩基配列は、pBluescript KS(+)に導入されたXBP−1とホタルルシフェラーゼの融合遺伝子を示す。
配列表の配列番号:9の塩基配列は、点突然変異導入に用いるプライマーを示す。
配列表の配列番号:10の塩基配列はフレームスイッチ型スプライシングを受けた後のXBP−1とホタルルシフェラーゼの融合遺伝子を示す。
配列表の配列番号:11のアミノ酸配列は、XBP−1とルシフェラーゼの融合遺伝子がフレームスイッチ型スプライシングを受けていない時に翻訳される蛋白質を示す。
配列表の配列番号:12のアミノ酸配列は、XBP−1とホタルルシフェラーゼの融合遺伝子がフレームスイッチ型スプライシングを受けた時に翻訳される蛋白質を示す。
配列表の配列番号:2の塩基配列はXBP−1遺伝子を示す。
配列表の配列番号:3の塩基配列はホタルルシフェラーゼ遺伝子を示す。
配列表の配列番号:4から7の塩基配列は、PCRプライマーを示す。
配列表の配列番号:8の塩基配列は、pBluescript KS(+)に導入されたXBP−1とホタルルシフェラーゼの融合遺伝子を示す。
配列表の配列番号:9の塩基配列は、点突然変異導入に用いるプライマーを示す。
配列表の配列番号:10の塩基配列はフレームスイッチ型スプライシングを受けた後のXBP−1とホタルルシフェラーゼの融合遺伝子を示す。
配列表の配列番号:11のアミノ酸配列は、XBP−1とルシフェラーゼの融合遺伝子がフレームスイッチ型スプライシングを受けていない時に翻訳される蛋白質を示す。
配列表の配列番号:12のアミノ酸配列は、XBP−1とホタルルシフェラーゼの融合遺伝子がフレームスイッチ型スプライシングを受けた時に翻訳される蛋白質を示す。
Claims (14)
- 以下の(a)に示す小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受けることにより、レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードするDNA:
(a)小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受ける遺伝子とレポーター蛋白質の遺伝子からなる融合遺伝子であることを特徴とするDNA。 - 以下の(a)又は(b)又は(c)に示す小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受けることにより、ルシフェラーゼを発現せしめる遺伝子をコードする請求項1に記載のDNA:
(a)配列表の配列番号:1に示す塩基配列を有するXBP−1遺伝子とルシフェラーゼ遺伝子の融合遺伝子をコードするDNA
(b)配列表の配列番号:1に示す塩基配列において1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有するDNA
(c)配列表の配列番号:1に示す塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA。 - 以下の(a)又は(b)又は(c)に示す小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受けることにより、レポーター蛋白質を発現せしめる遺伝子をコードする請求項1に記載のDNA:
(a)配列表の配列番号:1に示す塩基配列のルシフェラーゼ遺伝子部分をレポーター蛋白質(ベータガラクトシダーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、又はGFP)をコードする遺伝子に置き換えた融合遺伝子をコードするDNA
(b)(a)に示されるDNAにおいて、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有するDNA
(c)(a)に示されるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA。 - 以下の(a)又は(b)又は(c)に示す小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受けることにより、ルシフェラーゼを発現せしめる遺伝子をコードする請求項1に記載のDNA:
(a)配列表の配列番号:1に示す塩基配列のXBP−1遺伝子部分をフレームスイッチ型スプライシングを受ける遺伝子(酵母Hac1遺伝子)に置き換えた融合遺伝子をコードするDNA
(b)(a)に示されるDNAにおいて、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有するDNA
(c)(a)に示されるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA。 - 以下の(a)又は(b)又は(c)に示す小胞体ストレス依存的にフレームスイッチ型スプライシングを受けることにより、レポーター蛋白質を発現せしめる請求項1に記載の遺伝子をコードするDNA:
(a)配列表の配列番号:1に示す塩基配列のXBP−1遺伝子部分をフレームスイッチ型スプライシングを受ける遺伝子(酵母Hac1遺伝子)に置き換え、かつルシフェラーゼ遺伝子部分をレポーター蛋白質(ベータガラクトシダーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、又はGFP)をコードする遺伝子に置き換えた融合遺伝子をコードするDNA
(b)(a)に示されるDNAにおいて、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、もしくは付加された塩基配列を有するDNA
(c)(a)に示されるDNAと相補的な塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の遺伝子を含むことを特徴とする組換え体プラスミド。
- 請求項6に記載の組換え体プラスミドを含む形質転換体又は形質導入体。
- 請求項7に記載の形質転換体又は形質導入体を用いた、小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する薬剤のスクリーニング方法。
- 請求項7に記載の形質転換体又は形質導入体を用いた、小胞体ストレス応答を阻害する薬剤のスクリーニング方法。
- 請求項8に記載の小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する薬剤のスクリーニング方法であって、
(i)形質転換体又は形質導入体に薬剤を接触させるステップ、
(ii)該形質転換体又は形質導入体に小胞体ストレスを与えるステップ、
(iii)該形質転換体又は形質導入体内に発現するレポーター蛋白質の活性を測定するステップ、
を含むことを特徴とする小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する薬剤のスクリーニング方法。 - 請求項8に記載のスクリーニング方法により選択された、小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する化合物。
- 請求項8に記載のスクリーニング方法により選択された、小胞体ストレス応答を阻害あるいは活性化する化合物を主な成分とする小胞体ストレス応答阻害剤。
- 請求項6に記載の組換え体プラスミドを導入したトランスジェニック生物。
- 請求項13に記載のトランスジェニック生物を用いた生体内における小胞体ストレスの検出方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2004228561A JP2005065692A (ja) | 2003-08-07 | 2004-08-04 | 小胞体ストレスを簡便に検知する方法ならびにその利用法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9085791B2 (en) | 2011-02-07 | 2015-07-21 | The University Of Tokushima | Method for screening substance relating to endoplasmic reticulum stress participating in onset of diabetes |
KR20170048206A (ko) * | 2015-10-23 | 2017-05-08 | 한국생명공학연구원 | XBP-1(X-box binding protein 1) 유전자를 이용한 소포체 스트레스 분석용 조성물 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001016357A2 (en) * | 1999-08-30 | 2001-03-08 | K.U. Leuven Research & Development | Novel target for antiparasitic agents and inhibitors thereof |
JP2004081143A (ja) * | 2002-08-28 | 2004-03-18 | Inst Of Physical & Chemical Res | 生体刺激存在下でのmRNAのフレームシフトを利用した蛋白質の発現方法 |
-
2004
- 2004-08-04 JP JP2004228561A patent/JP2005065692A/ja active Pending
Patent Citations (2)
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KR20170048206A (ko) * | 2015-10-23 | 2017-05-08 | 한국생명공학연구원 | XBP-1(X-box binding protein 1) 유전자를 이용한 소포체 스트레스 분석용 조성물 |
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