【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂との接着性、冷熱性、低ガス性、低バリ性、流動性が均衡して優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および複合成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS樹脂と略す。)は優れた耐熱性、剛性、寸法安定性、および難燃性などエンジニアプラスチックとしては好適な性質を有していることから、射出成形用を中心として各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品などに広く使用されている。
【0003】
しかしながら、PPS樹脂は他のエンジニアリングプラスチックに比べ、他樹脂との接着強度、特にエポキシ樹脂との接着強度が比較的低い。また、靭性に劣るため、低温と高温の繰り返しによる冷熱サイクル、あるいはサーマルショック時にエポキシ樹脂との界面で剥離したり、冷熱時に割れるという問題がある。さらに、射出成形時に発生するガスとバリの発生量が多く、適用が制限されているのが実情である。
【0004】
このような現状から、PPS樹脂のエポキシ樹脂との接着強度、冷熱性、ガス、バリの改良を目的としてこれまでにもいくつかの検討がなされている。
【0005】
例えば、エポキシ樹脂を配合する方法(特許文献1)、特定のポリエステルを配合する方法(特許文献2)、タルクを配合する方法(特許文献3)が開示されているが、これらは、エポキシ接着性向上の検討が記載されているのみであって、冷熱性、低ガス性、低バリ性に、流動性ついては全く言及されていない。
【0006】
オレフィン系共重合体を配合する方法(特許文献4〜6)が開示されているが、これらは、靭性、冷熱性の向上の検討が記載されているのみであって、エポキシ接着性、低ガス性、低バリ性については全く言及されていない。
【0007】
オレフィン共重合体とエポキシ樹脂を配合する方法(特許文献7)が開示されているが、これらは、靭性、冷熱性の向上の検討が記載されているのみであって、低ガス性、低バリ性、流動性については全く言及されていない。
【0008】
オレフィン共重合体、ガラスフレークおよび無機充填材を配合する方法(特許文献8)が開示されているが、これらは、冷熱性、低ガス性の向上の検討が記載されているのみであって、エポキシ接着性、低バリ性、流動性については全く言及されていない。
【0009】
有機シラン化合物を配合する方法(特許文献9〜10)が開示されているが、これらは、靭性、冷熱性、低ガス性、低バリ性の検討が記載されているのみであって、エポキシ接着性については全く言及されていない。
【0010】
有機シラン、エポキシ樹脂を配合する方法(特許文献11)が開示されているが、これらは、靭性、冷熱性、低ガス性、低バリ性の検討が記載されているのみであって、エポキシ接着性、低バリ性、流動性については全く言及されていない。
【0011】
α−オレフィンとα,β−不飽和酸のアルキルエステルを主体としたα−オレフィン共重合体、エポキシ樹脂、ガラス繊維、シラン化合物を配合する方法(特許文献12)が開示されているが、低バリ性、冷熱性が不十分、かつ、表層が剥離しやすい問題があり、十分といえるものではなかった。
【0012】
これらの組成物はエポキシ樹脂との接着性、冷熱性、低ガス性、低バリ性、流動性が均衡して優れるといえるものではなかった。
【0013】
【特許文献1】
特公平6−104773号公報(第2〜4頁)
【特許文献2】
特許第3173192号公報([0008]〜[0017])
【特許文献3】
特許第2801788号公報([0009]〜[0011])
【特許文献4】
特公平2−000382号公報(第1〜2頁)
【特許文献5】
特公平4−024388号公報(第1〜6頁)
【特許文献6】
特公平6−062849号公報(第2〜4頁)
【特許文献7】
特公平3−016982号公報(第1〜3頁)
【特許文献8】
特開2002−129014号公報([0006]〜[0008]、
[0019]〜[0025]、[0035]、)
【特許文献9】
特開平9−235467号公報([0007]〜[0008]、
[0012])
【特許文献10】
特開平9−235468号公報([0007]〜[0008]、
[0024]〜[0026])
【特許文献11】
特許第2913827号公報(第2〜4頁)
【特許文献12】
特開2002−235002号公報([0004]〜[0019]、
[0026]〜[0030])
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる問題点に鑑み、エポキシ樹脂との接着性、冷熱性、低ガス性、低バリ性、流動性が均衡して優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および複合成形体を提供することを目的としたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、有機シラン化合物、オレフィン系樹脂、エポキシ樹脂含有PPS樹脂組成物にすることにより、上記問題点が解決されることを見出し、本発明に到達した。
【0016】
すなわち本発明は、
(1)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)アルコキシシラン化合物0.1〜5重量部、(C)エポキシ基、酸無水物基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するオレフィン系重合体1〜50重量部、(D)エポキシ樹脂0.5〜15重量部、(E)ガラス繊維10〜100重量部を配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(2)(C)オレフィン系重合体がエポキシ基を含有するオレフィン系重合体である上記(1)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(3)(B)アルコキシシラン化合物がエポキシ基含有アルコキシシラン化合物である上記(1)または(2)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(4)さらに、(F)脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物から選ばれる少なくとも1種の添加剤を、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して0.05〜3重量部配合してなる上記(1)〜(4)いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(5)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(G)エポキシ基、酸無水物基のいずれの官能基も含有しないオレフィン系重合体1〜50重量部をさらに配合してなる上記(1)〜(4)いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(6)上記(1)〜(5)いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を成形してなる成形品とエポキシ樹脂との複合成形品であって、該成形品の少なくとも一部でエポキシ樹脂との接着面を有する複合成形品である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS樹脂と略す。)とは、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
【0018】
【化1】
【0019】
耐熱性の点から、好ましくは上記構造式で示される繰り返し単位含む重合体を70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む重合体である。またPPSはその繰り返し単位の30モル%以下程度が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
【0020】
【化2】
【0021】
本発明で用いられるPPSの溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に制限はないが、320℃、せん断速度1000sec−1の条件下の測定値として5〜2,000Pa・s、さらに好ましくは10〜200Pa・sであるのがよい。
【0022】
かかる特性を満たすPPSは、特公昭45−3368号公報で代表される製造方法により得られる比較的分子量の小さな重合体を得る方法、或いは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などの公知の方法によって製造できる。
【0023】
上記により得られたPPS樹脂は、そのまま使用してもよく、また空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下或は減圧下での熱処理、また、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄を施した上で使用することも可能である。
【0024】
有機溶媒で洗浄する場合、用いる有機溶媒としてはPPSを分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエ−テル、ジプロピルエ−テル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエ−テル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パ−クロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パ−クロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、ペンタノ−ル、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、フェノ−ル、クレゾ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ルなどのアルコ−ル・フェノ−ル系溶媒、及びベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
【0025】
洗浄温度についても特に制限はなく、通常、常温〜300℃程度が選択される。酸水溶液で洗浄する場合、用いる酸としてはPPSを分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸及びプロピル酸などが挙げられる。また、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネ−ト基などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理を施した上で使用することも可能である。
【0026】
本発明で用いる(B)アルコキシシラン化合物としては、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物、アミノ基含有アルコキシシラン化合物、ウレイド基含有アルコキシシラン化合物、イソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、メルカプト基含有アルコキシ化合物、水酸基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。
【0027】
本発明において(B)アルコキシシラン化合物は、1種または2種以上で使用することも可能である。
【0028】
具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、およびγ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。
【0029】
好ましいものとしては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。
【0030】
とりわけ好ましいものとしては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。
【0031】
上記(B)アルコキシシラン化合物を用いることは、他の必須成分の配合と相俟って冷熱性、低バリ性を高め得る点で好ましい。
【0032】
上記(B)アルコキシシラン化合物の配合量は、(A)PPS樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部、より好ましくは0.3〜2重量部である。
【0033】
配合量が少な過ぎると冷熱性が不十分で、かつバリの発生量が多い傾向にあり、配合量が多過ぎるとガスの発生量が多く、かつ流動性が不十分となる傾向にある。
【0034】
本発明で用いる(C)オレフィン系重合体とは、エポキシ基、酸無水物基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するオレフィン系重合体であり、具体的にはオレフィンを(共)重合した重合体にエポキシ基、酸無水物基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体成分(以下、官能基含有成分と略す。)を導入して得られるオレフィン系(共)重合体(以下変性オレフィン系(共)重合体と称することもある)などが挙げられる。
【0035】
本発明において(C)オレフィン系重合体は1種または2種以上で使用することも可能である。
【0036】
変性オレフィン系(共)重合体にエポキシ基、酸無水物基などの官能基を有する単量体成分を導入するための官能基含有成分の例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などの酸無水物基を含有する単量体、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジルなどのエポキシ基を含有する単量体が挙げられる。 本発明において(C)オレフィン系重合体に、導入する上記官能基含有成分以外の部分を構成するオレフィン系重合体部分としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、イソブチレンなどのα−オレフィン単独または2種以上を重合して得られる重合体、α−オレフィンとアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのα,β−不飽和酸およびそのアルキルエステルとの共重合体、カルボン酸金属錯体などのアイオノマーを含有する単量体などが挙げられる。
【0037】
上記オレフィン系重合体部分の好適な具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸ブチル共重合体などが挙げられる。
【0038】
これらオレフィン系重合体部分に官能基含有成分を導入する方法は特に制限なく、共重合せしめたり、オレフィン重合体にラジカル開始剤を用いてグラフト導入するなどの方法を用いることができる。官能基含有成分の導入量は変性オレフィン重合体全体に対して0.001〜40モル%、好ましくは0.01〜35モル%の範囲内であるのが適当である。
【0039】
本発明で特に有用なオレフィン重合体にエポキシ基、酸無水物基などの官能基を有する単量体成分を導入して得られるオレフィン(共)重合体の具体例としては、エチレン/プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体(”g”はグラフトを表す、以下同じ)、エチレン/ブテン−1−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸メチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体などを挙げることができる。
【0040】
好ましいものとしては、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
【0041】
とりわけ好ましいものとしては、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体などが挙げられる。
【0042】
上記(C)オレフィン系重合体を用いることは、他の必須成分の配合と相俟って冷熱性を高め得る点で好ましい。
【0043】
上記(C)オレフィン系樹脂の配合量は、(A)PPS樹脂100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、より好ましくは3〜30重量部である。
【0044】
配合量が少な過ぎると冷熱性が不十分の傾向にあり、配合量が多過ぎるとガスの発生量が多く、かつ流動性が不十分となる傾向にある。
【0045】
本発明で用いる(D)エポキシ樹脂としては、エポキシ基を2個以上含む液体または固体状のものが使用できる。
【0046】
本発明において(D)エポキシ樹脂は、1種または2種以上で使用することも可能である。
【0047】
具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAF、ビスフェノールAD、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、レゾルシン、サリゲニン、トリヒドロキシジフェニルジメチルメタン、テトラフェニロールエタンこれらのハロゲン置換体およびアルキル基置換体、ブタンジオール、エチレングリコール、エリスリット、ノボラック、グリセリン、ポリオキシアルキレン等のヒドロキシル基を分子内に2個以上含有する化合物とエピクロルヒドリン等から合成されるグリシジルエーテル系、フタル酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系、アニリン、ジアミノジフェニルメタン、メタキシレンジアミン、1,3−ビスアミニメチルシクロヘキサン等の第一または第二アミンとエピクロロヒドリン等から合成されるグリシジルアミン系、等々のグリシジルエポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリオレフィン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド等々の非グリシジルエポキシ樹脂が挙げられる。
【0048】
好ましいものとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAF、ビスフェノールADなどのビスフェノール型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0049】
とりわけ好ましいものとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0050】
上記(D)エポキシ樹脂を用いることは、他の必須成分の配合と相俟ってエポキシ樹脂との接着性を高め得る点で好ましい。
【0051】
上記(D)エポキシ樹脂の配合量は、(A)PPS樹脂100重量部に対して、0.5〜15重量部、好ましくは1〜13重量部、より好ましくは1.5〜10重量部である。
【0052】
配合量が少な過ぎるとエポキシ樹脂との接着性が不十分の傾向にあり、配合量が多過ぎるとガスの発生量が多く、かつ流動性が不十分となる傾向にある。
【0053】
本発明で用いる(E)ガラス繊維としては、平均繊維径3〜15μmのものであることが好ましく、特に6〜13μmのものであることが好ましい。ガラス繊維の質としては、SiO2を45〜75重量%含有している無アルカリガラス(Eガラス)、含アルカリガラス(Cガラス)であることが好ましい。
【0054】
かかるガラス繊維をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは耐熱性、機械的強度を高める上でより好ましい。ガラス繊維のカップリング剤付着量は0.2〜0.9重量%であることが好ましい。なお、ガラス繊維のカップリング剤付着量は次の方法で決定される。すなわちガラス繊維5gを110℃で1時間予備乾燥する。ガラス繊維の重量を測定し、625℃の雰囲気で15分処理後、再度ガラス繊維の重量を測定する。625℃の処理による重量の減量を、処理前のガラス繊維の重量で徐してパーセント表示したものである。
【0055】
また、本発明におけるガラス繊維のPPS樹脂組成物中での繊維長は数平均で50〜500μm、特に、200〜400μmであることが、機械的強度、流動性を得る上で好ましい。なお、数平均繊維長は、組成物を炭化させた後、走査型電子顕微鏡を用いて繊維を観察し、その中の任意の1000本の繊維の長さをそれぞれ数平均したものである。
【0056】
上記(E)ガラス繊維を用いることは、他の必須成分の配合と相俟って耐熱性、機械的強度、冷熱性を高め得る点で好ましい。
【0057】
上記(E)ガラス繊維の配合量は、(A)PPS樹脂100重量部に対して、10〜100重量部であり、好ましくは15〜90重量部、より好ましくは20〜80重量部である。
【0058】
配合量が少な過ぎると、耐熱性、機械的強度、冷熱性が不十分となる傾向にあり、配合量が多すぎると流動性が不十分となる傾向にある。
【0059】
本発明においては、さらに(F)脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物から選ばれる少なくとも1種の添加剤を配合することが可能である。
【0060】
上記(F)脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、モンタン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、エチレングリコールジモンタネート、トリメチロールプロパントリモンタネート、エチレングリコールジステアレート、グリセリントリステアレート、トリメチロールプロパントリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ポリペンタエリスリトールステアレート、ジペンタエリスリトールアジピックステアレート、ジペンタエリスリトールアジピックステアレートオリゴマー等の脂肪酸エステル、ステアリン酸アミド、エリレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物などが挙げられる。
【0061】
好ましいものとしては、エチレングリコールジモンタネート、トリメチロールプロパントリモンタネート、エチレングリコールジステアレート、グリセリントリステアレート、トリメチロールプロパントリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ポリペンタエリスリトールステアレート、ジペンタエリスリトールアジピックステアレート、ジペンタエリスリトールアジピックステアレートオリゴマー等の脂肪酸エステル、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物などが挙げられる。
【0062】
とりわけ好ましいものとしては、エチレングリコールジモンタネート、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物が挙げられる。
【0063】
上記(F)脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物から選ばれる1種以上の添加剤を用いることは、エポキシ樹脂との接着性、成形時の離型性をさらに高める上で好ましい。
【0064】
上記(F)脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物から選ばれる1種以上の添加剤の配合量は、(A)PPS樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2.5重量部、さらに好ましくは0.2〜2重量部である。
【0065】
配合量が少な過ぎると、成形時の離型性が不十分となる傾向にあり、配合量が多すぎるとガスの発生量が不十分となる傾向にある。
【0066】
本発明においては、さらに(G)エポキシ基、酸無水物基のいずれの官能基も含有しないオレフィン系重合体(以下未変性オレフィン系重合体と称することもある)を配合することが可能である。
【0067】
上記未変性オレフィン系重合体としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、イソブチレンなどのα−オレフィン単独または2種以上を重合して得られる重合体、α−オレフィンとアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのα,β−不飽和酸およびそのアルキルエステルとの共重合体、カルボン酸金属錯体などのアイオノマーを含有する単量体などが挙げられる。
【0068】
オレフィン系重合体の好適な具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、、エチレン/メタクリル酸共重合体の亜鉛錯体、エチレン/メタクリル酸共重合体のマグネシウム錯体、エチレン/メタクリル酸共重合体のナトリウム錯体などが挙げられる。
【0069】
上記未変性オレフィン系重合体の配合量は、(A)PPS樹脂100重量部に対して、1〜50重量部であることが好ましく、2〜40重量部であることがより好ましく、3〜30重量部であることがさらに好ましい。
【0070】
さらに、本発明のPPS樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲において、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリルサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリアミドエラストマ、ポリエステルエラストマ等の熱可塑性樹脂、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、シリコーン系化合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などの通常の添加剤を配合することができる。
【0071】
本発明で用いられるPPS樹脂組成物の調製方法は特に制限はないが、原料の混合物を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリ−ミキサ−、ニ−ダ−、ミキシングロ−ルなど通常公知の溶融混合機に供給して280〜380℃の温度で混練する方法などを例として挙げることができる。また、原料の混合順序にも特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し、さらに残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは二軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することももちろん可能である。
【0072】
本発明のPPS樹脂組成物は、通常、スパイラルフロー長150(mm)以上、かつ加熱減量3.0(wt%)以下となるように調製される。なかでもスパイラルフロー長は、170(mm)以上であることが好ましく、180(mm)以上であることがより好ましい。また、加熱減量は2.5(wt%)以下であることが好ましく、より好ましくは2.0(wt%)以下であることが低ガス性、流動性を得る上で好ましい。
【0073】
このような加熱減量、スパイラルフロー長を有するPPS樹脂組成物は、(E)成分をPPS樹脂100重量部に対し、80重量部以下程度に、あるいは(C)成分を30重量部以下程度に配合することにより得ることができる。
【0074】
なお、スパイラルフロー長はシリンダー温度320℃、金型温度130℃、射出圧力1000(kg/cm2)の条件で幅10(mm)×厚み1.0(mm)の試験片形状のものを成形して、流動長を測定したものである。また、加熱減量は樹脂組成物のペレット10gをアルミカップに入れ、150℃の雰囲気で1時間予備乾燥する。ペレット重量を測定し、320℃の雰囲気で2時間処理後、再度ペレット重量を測定する。320℃の処理による重量の減量を処理前のペレットの重量で徐してパーセント表示したのが加熱減量である。
【0075】
本発明により得られたPPS樹脂組成物は、射出成形、押出成形、圧縮成形、吹込成形、射出圧縮成形など各種公知の成形法により成形することが可能であり、なかでも射出成形により成形することが好ましい。
【0076】
本発明により得られたPPS樹脂組成物は、エポキシ樹脂との接着性、冷熱性、低ガス性、低バリ性、流動性が均衡して優れた樹脂組成物であり、かかる特性を生かしてコネクター、コイルをはじめとする電気電子部品用途、センサー、LED、ランプソケット、抵抗器、リレーケース、小型スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボナアンテナ、コンピューター関連部品等に代表されるその他電子部品;発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、遮断機、ナイフスイッチ、他極ロッド、電気部品キャビネットなどの電気機器部品用途、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスク等の音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用冶具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関係部品;顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネータコネクタ、ICレギレータケース、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディ、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターホンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、イグニッションコイル、点火装置ケース等の自動車・車両関連部品等々、各種用途に有用できるが、なかでも特にエポキシ樹脂との接着面を有するような複合成形体に適しており、とりわけエポキシ樹脂との接着強度、冷熱性の要求される用途に特に適している。エポキシ樹脂との接着面を有する複合成形体は、エポキシ樹脂で封止された複合成形体、あるいは本発明のPPS樹脂組成物で成形された成形体と同じ素材または異なる素材により成形された成形体をエポキシ樹脂で接着せしめた複合成形体などが挙げられる。エポキシ樹脂と接着せしめるPPS樹脂組成物からなる成形体は上記組み合わせ成形体であってもよい。また、上記本発明のPPS樹脂組成物で成形された成形体とエポキシ樹脂との複合成形体は、該成形体の少なくとも一部でエポキシ樹脂との接着面を有しているものであればよいが、全面で接着面を有していてもよい。
【0077】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0078】
実施例および比較例の中で述べられるエポキシ接着強度、冷熱性、加熱減量、バリ発生量、スパイラルフロー長は次の方法に従った。
【0079】
[エポキシ接着強度]
シリンダ温度320℃、金型温度130℃の条件で成形したASTM1号ダンベル片を2等分して、接着面積が50mm2となるようにスペーサ(厚み2.0mm±0.2mm)およびエポキシ樹脂(長瀬チバ(株)製、一液型エポキシ樹脂、XNR3506)を挟んで固定した。これを雰囲気温度130℃で30minの条件で硬化して、歪み速度1mm/min、支点間距離80mmの条件で引張強度を測定し、強度の最大値を接着面積で割った値をエポキシ接着強度とした。
【0080】
また、上記エポキシ接着試験後の破壊形態はPPS樹脂自体で破壊したものを○とし、全てPPS樹脂とエポキシ樹脂との界面で破壊したもの×とした。
【0081】
エポキシ接着強度の数値が高く、PPS樹脂自体で破壊したものほどエポキシ樹脂との接着性に優れていることになる。
【0082】
[冷熱性]
シリンダー温度320℃、金型温度130℃の条件で金属ブロックをインサート金属1として用い、ゲート2より樹脂を射出してインサート成形した、図1に示す金属インサートテストピース3を用いた。これを130℃×1hrで処理後、−40℃×1hrで処理することを1サイクルとして、冷熱サイクル処理し、10サイクル毎に目視によりクラック発生有無を確認した。クラック発生が認められた冷熱サイクル処理数を耐冷熱性とした。数値が高いほど冷熱性に優れていることになる。
【0083】
図1(a)は金属インサートテストピースの上面図であり図1(b)はその側面図である。
【0084】
48.6mm×48.6mm×28.6mmのインサート金属を射出成形にて、樹脂で被覆する(インサート成形)。得られたテストピースは50mm×50mm×30mmの直方体であり、モールド肉厚は0.7mm±0.3mmである。
【0085】
[加熱減量]
樹脂組成物のペレット10gをアルミカップに入れ、150℃の雰囲気で1時間予備乾燥する。ペレット重量を測定し、320℃の雰囲気で2時間処理後、再度ペレット重量を測定する。320℃の処理による重量の減量を処理前のペレットの重量で徐してパーセント表示したのが加熱減量である。この加熱減量が少ない樹脂組成物ほど、低ガス性に優れる。
【0086】
[バリ発生量]
シリンダー温度320℃、金型温度130℃、射出圧力50MPaの条件で、直径40mm×厚み3mmの円盤状試験片の外周部に、金型ガスベント部:幅5mm×長さ20mm×厚み20μmを設けたバリ評価用の試験片形状のものを成形して、金型ガスベント部内に発生するバリについて、同ベント部長さ方向のバリ長さを測定したものである。このバリ長さが少ない樹脂組成物ほど、低バリ性に優れる。
【0087】
[スパイラルフロー長]
シリンダー温度320℃、金型温度130℃、射出圧力1000(kg/cm2)の条件で幅10mm×厚み1.0mmの試験片形状のものを成形して、流動長を測定したものである。この流動長が大きい樹脂組成物ほど、流動性に優れる。
【0088】
[参考例1(PPSの製造)]
PPS−1の製造
攪拌機付きオートクレーブに水硫化ナトリウム水溶液4.67kg(水硫化ナトリウム25モル)、50%水酸化ナトリウム2.00kg(水酸化ナトリウム25モル)ならびにN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す。)8kgを仕込み、撹拌しながら徐々に205℃まで昇温し、水3.8kgを含む留出水4.1リットルを除去した。残留混合物に1,4−ジクロロベンゼン3.75kg(25.5モル)ならびにNMP2kgを加えて、230℃で1時間、更に260℃で30分加熱した。反応生成物を温水で5回洗浄し、80℃で24時間減圧乾燥して、230℃で5時間加熱処理して、PPS−1を得た。
【0089】
PPS−2の製造
攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.005kg(25モル)、酢酸ナトリウム0.205kg(2.5モル)およびNMP5kgを仕込み、窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロロベンゼン3.719kg(25.3モル)ならびにNMP3.7kgを加えて、窒素下に密閉し、270℃まで昇温後、270℃で2.5時間反応した。冷却後、反応生成物を温水で5回洗浄し、次に100℃に加熱されNMP10kg中に投入して、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、さらに熱湯で数回洗浄した。これを90℃に加熱されたpH4の酢酸水溶液25リットル中に投入し、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾過のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、80℃で24時間減圧乾燥して、PPS−2を得た。
【0090】
[実施例および比較例で用いた配合材]
(A)PPS樹脂:PPS−1、PPS−2
(B)有機シラン化合物
シラン−1:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製:SH6040)
シラン−2:β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製:KBM303)
(C)変性オレフィン系重合体
変性−1:エチレン/グリシジルメタクリレート=88/12(重量%)共重合体(住友化学工業製:BF−E)。
変性−2:エチレン/メチルアクリレート/グリシジルメタクリレート=64/30/6(重量%)共重合体(住友化学工業製:BF−7M)。
【0091】
(D)エポキシ樹脂
エポキシ−1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製:エピコート1009)
(E)ガラス繊維:無アルカリガラス、繊維径10μm、カップリング剤付着量0.4重量%。日本電気硝子(株)製 T−747GH。
【0092】
(F)添加剤
添加剤−1:エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物(共栄社化学(株)製:ライトアマイドWH−255)
添加剤−2:エチレングリコールジモンタネート(クライアントジャパン(株)製:Licowax E)
(G)未変性オレフィン系重合体
未変性−1:エチレン/ブテン−1=82/18(重量%)共重合体(三井化学(株)製:タフマーA4085)。
未変性−2:エチレン/エチルアクリレート=66/34(重量%)共重合体(三井デュポンポリケミカル(株)製:エバフレックスEEA A709)。
【0093】
実施例1〜14
前述のようにして用意したPPS、有機シラン化合物、オレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ガラス繊維を表1に示す割合でドライブレンドした後、320℃の押出条件に設定したスクリュー式押出機により溶融混練後ペレタイズした。得られたペレットを乾燥後、射出成形機を用いて、シリンダー温度320℃、金型温度130℃の条件で射出成形することにより、所定の特性評価用試験片を得た。
得られた試験片およびペレットについて、前述した方法でエポキシ接着強度、冷熱性、加熱減量、バリ発生量、スパイラルフロー長を測定した。その結果を表1に示す。
【0094】
ここで得られた樹脂組成物および成形体は、エポキシ樹脂との接着性、冷熱性、低ガス性、低バリ性、流動性が均衡して優れ、実用価値の高いものであった。
【0095】
比較例1〜2
実施例1と同様にして、表2に示す割合でドライブレンド、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0096】
変性オレフィン系重合体を用いない場合、特に、冷熱性、低バリ性に劣り、エポキシ樹脂との接着性、冷熱性、低ガス性、低バリ性、流動性が均衡して優れなく、実用レベルではなかった。
【0097】
比較例3〜4
実施例1と同様にして、表2に示す割合でドライブレンド、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0098】
アルコシシラン化合物の配合割合が0.1重量部未満の場合、特に、低バリ性に劣り、エポキシ樹脂との接着性、冷熱性、低ガス性、低バリ性、流動性が均衡して優れなく、実用レベルではなかった。
【0099】
アルコシシラン化合物の配合割合が5重量部を越える場合、特に、エポキシ樹脂との接着性、低ガス性、流動性に劣り、エポキシ樹脂との接着性、冷熱性、低ガス性、低バリ性、流動性が均衡して優れなく、実用レベルではなかった。
【0100】
比較例5〜6
実施例1と同様にして、表2に示す割合でドライブレンド、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0101】
変性オレフィン系重合体の配合割合が1重量部未満の場合、特に、低バリ性に劣り、エポキシ樹脂との接着性、冷熱性、低ガス性、低バリ性、流動性が均衡して優れなく、実用レベルではなかった。
【0102】
変性オレフィン系重合体の配合割合が50重量部を越える場合、特に、エポキシ樹脂との接着形態、冷熱性に劣り、エポキシ樹脂との接着性、冷熱性、低ガス性、低バリ性、流動性が均衡して優れなく、実用レベルではなかった。
【0103】
比較例7〜8
実施例1と同様にして、表2に示す割合でドライブレンド、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0104】
エポキシ樹脂の配合割合が0.5重量部未満の場合、特に、エポキシ樹脂との接着性に劣り、エポキシ樹脂との接着性、冷熱性、低ガス性、低バリ性、流動性が均衡して優れなく、実用レベルではなかった。
【0105】
エポキシ樹脂の配合割合が15重量部を越える場合、特に、エポキシ樹脂との接着性に劣り、エポキシ樹脂との接着性、冷熱性、低ガス性、低バリ性、流動性が均衡して優れなく、実用レベルではなかった。
【0106】
比較例9〜10
実施例1と同様にして、表2に示す割合でドライブレンド、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0107】
ガラス繊維の配合割合が10重量部未満の場合、特に、エポキシ樹脂との接着強度に劣り、エポキシ樹脂との接着性、冷熱性、低ガス性、低バリ性、流動性が均衡して優れなく、実用レベルではなかった。
【0108】
ガラス繊維の配合割合が100重量部を越える場合、特に、エポキシ樹脂との接着性、流動性に劣り、エポキシ樹脂との接着性、冷熱性、低ガス性、低バリ性、流動性が均衡して優れなく、実用レベルではなかった。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
【発明の効果】
本発明のPPS樹脂組成物および複合成形体は、エポキシ樹脂との接着性、冷熱性、低ガス性、低バリ性、流動性が均衡して優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は金属インサートテストピースの上面図であり、図1(b)はその側面図である。
【符号の説明】
1.インサート金属
2.ゲート
3.金属インサートテストピース[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a polyphenylene sulfide resin composition and a composite molded article that are excellent in balance with adhesion to epoxy resin, cooling property, low gas property, low burr property, and fluidity.
[0002]
[Prior art]
Polyphenylene sulfide resin (hereinafter abbreviated as PPS resin) has suitable properties as engineer plastics such as excellent heat resistance, rigidity, dimensional stability, and flame retardancy. Widely used in electrical / electronic parts, machine parts and automobile parts.
[0003]
However, compared with other engineering plastics, the PPS resin has a relatively low adhesive strength with other resins, particularly with an epoxy resin. Moreover, since it is inferior toughness, there exists a problem that it peels at the interface with an epoxy resin at the time of the thermal cycle by the repetition of low temperature and high temperature, or a thermal shock, or cracks at the time of cold. Furthermore, the amount of gas and burrs generated during injection molding is large, and the application is limited.
[0004]
From such a current situation, several studies have been made so far for the purpose of improving the adhesive strength of PPS resin with epoxy resin, cooling property, gas, and burrs.
[0005]
For example, a method of blending an epoxy resin (Patent Document 1), a method of blending a specific polyester (Patent Document 2), and a method of blending talc (Patent Document 3) have been disclosed. Only improvement studies are described, and no mention is made of fluidity in terms of coldness, low gasity, and low burr.
[0006]
Although the method (patent documents 4-6) of mix | blending an olefin-type copolymer is disclosed, these are only the examination of the improvement of toughness and a coolness property, and epoxy adhesiveness and low gas are described. No mention is made of properties and low burr properties.
[0007]
A method of blending an olefin copolymer and an epoxy resin (Patent Document 7) has been disclosed, but these only describe studies on improving toughness and cooling properties, and have low gas properties and low variability. No mention is made of sex and fluidity.
[0008]
A method of blending an olefin copolymer, glass flakes, and an inorganic filler (Patent Document 8) is disclosed, but these only describe the study of improvement in cold and low gas properties, There is no mention of epoxy adhesion, low burr, and fluidity.
[0009]
Although the method (patent documents 9-10) which mix | blends an organosilane compound is disclosed, these are only description of examination of toughness, coolness, low gas property, and low burr | flash property, and epoxy adhesion No mention is made of sex.
[0010]
A method of blending an organic silane and an epoxy resin (Patent Document 11) is disclosed, but these only describe the examination of toughness, cooling property, low gas property, and low burr property, and epoxy adhesion No mention is made of properties, low burr properties and fluidity.
[0011]
A method of blending an α-olefin copolymer mainly composed of an α-olefin and an alkyl ester of an α, β-unsaturated acid, an epoxy resin, a glass fiber, and a silane compound (Patent Document 12) is disclosed. There were problems of insufficient burr and cooling, and the surface layer was easily peeled off, which was not sufficient.
[0012]
These compositions could not be said to have excellent balance of adhesion with epoxy resin, cooling property, low gas property, low burr property, and fluidity.
[0013]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Publication No. 6-104773 (pages 2 to 4)
[Patent Document 2]
Japanese Patent No. 3173192 ([0008] to [0017])
[Patent Document 3]
Japanese Patent No. 2801788 ([0009] to [0011])
[Patent Document 4]
Japanese Examined Patent Publication No. 2-000382 (pages 1 and 2)
[Patent Document 5]
Japanese Patent Publication No. 4-024388 (pages 1 to 6)
[Patent Document 6]
Japanese Patent Publication No. 6-062849 (pages 2 to 4)
[Patent Document 7]
Japanese Patent Publication No. 3-016982 (pages 1 to 3)
[Patent Document 8]
JP 2002-129014 A ([0006] to [0008],
[0019] to [0025], [0035])
[Patent Document 9]
JP-A-9-235467 ([0007] to [0008],
[0012])
[Patent Document 10]
JP-A-9-235468 ([0007] to [0008],
[0024] to [0026])
[Patent Document 11]
Japanese Patent No. 2913827 (pages 2-4)
[Patent Document 12]
JP 2002-235002 ([0004] to [0019],
[0026] to [0030])
[0014]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made in view of such problems, and an object thereof is to provide a polyphenylene sulfide resin composition and a composite molded body that have excellent balance with adhesion to an epoxy resin, cooling properties, low gas properties, low burr properties, and fluidity. It is what.
[0015]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies to solve the above problems, the present inventors have found that the above problems can be solved by using an organosilane compound, an olefin resin, and an epoxy resin-containing PPS resin composition. Reached.
[0016]
That is, the present invention
(1) Containing at least one functional group selected from (B) 0.1 to 5 parts by weight of an alkoxysilane compound, (C) an epoxy group, and an acid anhydride group with respect to 100 parts by weight of (A) polyphenylene sulfide resin A polyphenylene sulfide resin composition comprising 1 to 50 parts by weight of an olefin polymer, (D) 0.5 to 15 parts by weight of an epoxy resin, and (E) 10 to 100 parts by weight of glass fiber,
(2) The polyphenylene sulfide resin composition according to the above (1), wherein (C) the olefin polymer is an olefin polymer containing an epoxy group,
(3) The polyphenylene sulfide resin composition according to the above (1) or (2), wherein the (B) alkoxysilane compound is an epoxy group-containing alkoxysilane compound,
(4) Further, (F) at least one additive selected from fatty acid metal salts, fatty acid esters, fatty acid amides, ethylenediamine / stearic acid / sebacic acid polycondensate is added to (A) 100 parts by weight of polyphenylene sulfide resin. 0.05 to 3 parts by weight of the polyphenylene sulfide resin composition according to any one of the above (1) to (4),
(5) The above (F) further comprising 1 to 50 parts by weight of an olefin polymer not containing any functional group of (E) epoxy group and acid anhydride group with respect to 100 parts by weight of (A) polyphenylene sulfide resin ( 1) to the polyphenylene sulfide resin composition according to any one of (4),
(6) A composite product of a molded product obtained by molding the polyphenylene sulfide resin composition according to any one of the above (1) to (5) and an epoxy resin, and at least a part of the molded product This is a composite molded product having an adhesive surface.
[0017]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The polyphenylene sulfide resin (hereinafter abbreviated as PPS resin) used in the present invention is a polymer having a repeating unit represented by the following structural formula (I),
[0018]
[Chemical 1]
[0019]
From the viewpoint of heat resistance, the polymer preferably contains 70 mol% or more, more preferably 90 mol% or more of a polymer containing a repeating unit represented by the above structural formula. In addition, about 30 mol% or less of the repeating units of PPS may be composed of repeating units having the following structure.
[0020]
[Chemical 2]
[0021]
The melt viscosity of PPS used in the present invention is not particularly limited as long as melt kneading is possible, but 320 ° C. and shear rate of 1000 sec. -1 The measured value under the above conditions is 5 to 2,000 Pa · s, more preferably 10 to 200 Pa · s.
[0022]
PPS satisfying such properties is a method for obtaining a polymer having a relatively low molecular weight obtained by a production method represented by Japanese Patent Publication No. 45-3368, or Japanese Patent Publication No. 52-12240 and Japanese Patent Publication No. 61-7332. It can be produced by a known method such as a method for obtaining a polymer having a relatively large molecular weight described in the publication.
[0023]
The PPS resin obtained as described above may be used as it is, or it may be used for crosslinking / polymerization by heating in air, heat treatment under an inert gas atmosphere such as nitrogen or reduced pressure, organic solvent, hot water. It is also possible to use after washing with an acid aqueous solution or the like.
[0024]
In the case of washing with an organic solvent, the organic solvent to be used is not particularly limited as long as it does not have an action of decomposing PPS. For example, N-methylpyrrolidone, dimethylformaldehyde, dimethylacetamide, 1,3-dimethylimidazolidinone , Nitrogen-containing polar solvents such as hexamethylphosphorus amide and piperazinones, sulfoxide and sulfone solvents such as dimethyl sulfoxide, dimethyl sulfone and sulfolane, ketone solvents such as acetone, methyl ethyl ketone, diethyl ketone and acetophenone, dimethyl ether and dipropyl ether -Ether solvents such as tellurium, dioxane, tetrahydrofuran, chloroform, methylene chloride, trichloroethylene, ethylene dichloride, perchloroethylene, monochloroethane, dichloroethane, tetrachloro Halogen solvents such as ethane, perchloroethane, chlorobenzene, methanol, ethanol, propanol, butanol, pentanole, ethylene glycol, propylene glycol, phenol, cresol And alcohol / phenol solvents such as polyethylene glycol and polypropylene glycol, and aromatic hydrocarbon solvents such as benzene, toluene and xylene.
[0025]
There is no restriction | limiting in particular also about washing | cleaning temperature, Usually, about normal temperature-about 300 degreeC are selected. In the case of washing with an acid aqueous solution, the acid to be used is not particularly limited as long as it does not have an action of decomposing PPS. Moreover, it can also be used after performing various treatments such as activation with a functional group-containing compound such as an acid anhydride group, an epoxy group, or an isocyanate group.
[0026]
Examples of the (B) alkoxysilane compound used in the present invention include an epoxy group-containing alkoxysilane compound, an amino group-containing alkoxysilane compound, a ureido group-containing alkoxysilane compound, an isocyanato group-containing alkoxysilane compound, a mercapto group-containing alkoxy compound, and a hydroxyl group-containing alkoxy. Examples include silane compounds.
[0027]
In the present invention, the (B) alkoxysilane compound may be used alone or in combination of two or more.
[0028]
Specific examples include epoxy group-containing alkoxysilane compounds such as γ-glycidoxypropyltrimethoxysilane, γ-glycidoxypropyltriethoxysilane, β- (3,4-epoxycyclohexyl) ethyltrimethoxysilane,
amino group-containing alkoxysilane compounds such as γ- (2-aminoethyl) aminopropylmethyldimethoxysilane, γ- (2-aminoethyl) aminopropyltrimethoxysilane, γ-aminopropyltrimethoxysilane, γ-ureidopropyltriethoxy Ureido group-containing alkoxysilane compounds such as silane, γ-ureidopropyltrimethoxysilane, γ- (2-ureidoethyl) aminopropyltrimethoxysilane, γ-isocyanatopropyltriethoxysilane, γ-isocyanatopropyltrimethoxysilane Γ-isocyanatopropylmethyldimethoxysilane, γ-isocyanatopropylmethyldiethoxysilane, γ-isocyanatopropylethyldimethoxysilane, γ-isocyanatopropylethyldiethoxysilane, γ-isocyanate Isocyanato group-containing alkoxysilane compounds such as topropyltrichlorosilane, γ-mercaptopropyltrimethoxysilane, mercapto group-containing alkoxysilane compounds such as γ-mercaptopropyltriethoxysilane, and γ-hydroxypropyltrimethoxysilane, γ-hydroxypropyl Examples include hydroxyl group-containing alkoxysilane compounds such as triethoxysilane.
[0029]
Preferred examples include epoxy group-containing alkoxysilane compounds such as γ-glycidoxypropyltrimethoxysilane, γ-glycidoxypropyltriethoxysilane, and β- (3,4-epoxycyclohexyl) ethyltrimethoxysilane. Can be mentioned.
[0030]
Particularly preferred are γ-glycidoxypropyltrimethoxysilane and β- (3,4-epoxycyclohexyl) ethyltrimethoxysilane.
[0031]
The use of the (B) alkoxysilane compound is preferable in that it can improve the cooling property and the low burr property in combination with the blending of other essential components.
[0032]
The blending amount of the (B) alkoxysilane compound is 0.1 to 5 parts by weight, preferably 0.2 to 3 parts by weight, more preferably 0.3 to 2 parts per 100 parts by weight of the (A) PPS resin. Parts by weight.
[0033]
If the blending amount is too small, the thermal property tends to be inadequate and the amount of burr generated tends to be large. If the blending amount is too large, the amount of gas generated tends to be large and the fluidity tends to be insufficient.
[0034]
The (C) olefin polymer used in the present invention is an olefin polymer containing at least one functional group selected from an epoxy group and an acid anhydride group. Specifically, the olefin polymer is (co) polymerized. Olefin (co) polymer obtained by introducing a monomer component having at least one functional group selected from an epoxy group and an acid anhydride group (hereinafter abbreviated as a functional group-containing component) into the polymer obtained (Hereinafter also referred to as a modified olefinic (co) polymer).
[0035]
In the present invention, the (C) olefin polymer may be used alone or in combination of two or more.
[0036]
Examples of functional group-containing components for introducing a monomer component having a functional group such as an epoxy group or an acid anhydride group into a modified olefinic (co) polymer include maleic anhydride, itaconic anhydride, citracone anhydride Acids, such as endobicyclo- (2,2,1) -5-heptene-2,3-dicarboxylic acid, endobicyclo- (2,2,1) -5-heptene-2,3-dicarboxylic acid anhydride Examples thereof include monomers containing an anhydride group, and monomers containing an epoxy group such as glycidyl acrylate, glycidyl methacrylate, glycidyl ethacrylate, glycidyl itaconate, and glycidyl citraconic acid. In the present invention, (C) the olefin polymer part constituting the part other than the functional group-containing component to be introduced into the olefin polymer is ethylene, propylene, butene-1, pentene-1, 4-methylpentene- 1. Polymer obtained by polymerizing α-olefin alone or two or more types such as isobutylene, α-olefin and acrylic acid, methyl acrylate, ethyl acrylate, butyl acrylate, methacrylic acid, methyl methacrylate, methacrylic acid Examples include monomers containing α-, β-unsaturated acids such as ethyl and butyl methacrylate and alkyl esters thereof, and ionomers such as metal carboxylates.
[0037]
Preferred examples of the olefin polymer portion include polyethylene, polypropylene, ethylene / propylene copolymer, ethylene / butene-1 copolymer, ethylene / methyl acrylate copolymer, ethylene / ethyl acrylate copolymer. Examples thereof include a copolymer, an ethylene / butyl acrylate copolymer, an ethylene / methyl methacrylate copolymer, an ethylene / ethyl methacrylate copolymer, and an ethylene / butyl methacrylate copolymer.
[0038]
The method for introducing the functional group-containing component into these olefin polymer portions is not particularly limited, and methods such as copolymerization or graft introduction into the olefin polymer using a radical initiator can be used. The amount of the functional group-containing component introduced is suitably in the range of 0.001 to 40 mol%, preferably 0.01 to 35 mol%, based on the whole modified olefin polymer.
[0039]
Specific examples of the olefin (co) polymer obtained by introducing a monomer component having a functional group such as an epoxy group or an acid anhydride group into the olefin polymer particularly useful in the present invention include ethylene / propylene-g -Glycidyl methacrylate copolymer ("g" represents graft, the same applies hereinafter), ethylene / butene-1-g-glycidyl methacrylate copolymer, ethylene / glycidyl acrylate copolymer, ethylene / glycidyl methacrylate copolymer Polymer, ethylene / methyl acrylate / glycidyl methacrylate copolymer, ethylene / methyl methacrylate / glycidyl methacrylate copolymer, ethylene / propylene-g-maleic anhydride copolymer, ethylene / butene-1-g- Maleic anhydride copolymer, ethylene / methyl acrylate-g-maleic anhydride copolymer, ethylene Ethyl acrylate -g- maleic anhydride copolymer, ethylene / methyl methacrylate -g- maleic anhydride copolymer, ethylene / ethyl methacrylate -g- maleic anhydride copolymer, and the like.
[0040]
Preferred are ethylene / glycidyl methacrylate copolymer, ethylene / methyl acrylate / glycidyl methacrylate copolymer, ethylene / methyl methacrylate / glycidyl methacrylate copolymer, ethylene / butene-1-g-maleic anhydride. Examples thereof include an acid copolymer and an ethylene / ethyl acrylate-g-maleic anhydride copolymer.
[0041]
Particularly preferred are ethylene / glycidyl methacrylate copolymers, ethylene / methyl acrylate / glycidyl methacrylate copolymers, ethylene / methyl methacrylate / glycidyl methacrylate copolymers, and the like.
[0042]
The use of the (C) olefin polymer is preferable because it can improve the cooling property in combination with the blending of other essential components.
[0043]
The blending amount of the (C) olefin resin is 1 to 50 parts by weight, preferably 2 to 40 parts by weight, and more preferably 3 to 30 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the (A) PPS resin.
[0044]
When the blending amount is too small, the cooling property tends to be insufficient, and when the blending amount is too large, the amount of gas generated is large and the fluidity tends to be insufficient.
[0045]
As the (D) epoxy resin used in the present invention, a liquid or solid resin containing two or more epoxy groups can be used.
[0046]
In the present invention, the epoxy resin (D) can be used alone or in combination of two or more.
[0047]
Specific examples include bisphenol A, bisphenol F, bisphenol S, bisphenol AF, bisphenol AD, 4,4′-dihydroxybiphenyl, resorcin, saligenin, trihydroxydiphenyldimethylmethane, tetraphenylolethane, halogen substitution products thereof, and alkyl groups. Substituted compounds such as butanediol, ethylene glycol, erythritol, novolak, glycerin, polyoxyalkylene, etc., glycidyl ethers synthesized from compounds containing two or more hydroxyl groups in the molecule and epichlorohydrin, glycidyl phthalate, etc. Primary or secondary amines such as glycidyl ester, aniline, diaminodiphenylmethane, metaxylenediamine, 1,3-bisaminimethylcyclohexane and epichlorohydride Non-glycidyl epoxy resins such as glycidyl amine resins synthesized from phosphorus and the like, glycidyl epoxy resins such as epoxidized soybean oil, epoxidized polyolefin, vinylcyclohexenedioxide, and dicyclopentadiene dioxide.
[0048]
Preferable examples include bisphenol type epoxy resins such as bisphenol A, bisphenol F, bisphenol S, bisphenol AF, and bisphenol AD.
[0049]
Particularly preferred is bisphenol A type epoxy resin.
[0050]
The use of the (D) epoxy resin is preferable in that the adhesiveness with the epoxy resin can be improved in combination with the blending of other essential components.
[0051]
The blending amount of the (D) epoxy resin is 0.5 to 15 parts by weight, preferably 1 to 13 parts by weight, more preferably 1.5 to 10 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the (A) PPS resin. is there.
[0052]
If the blending amount is too small, the adhesion with the epoxy resin tends to be insufficient, and if the blending amount is too large, the amount of gas generated is large and the fluidity tends to be insufficient.
[0053]
As (E) glass fiber used by this invention, it is preferable that it is a thing with an average fiber diameter of 3-15 micrometers, and it is especially preferable that it is a thing with 6-13 micrometers. As the quality of glass fiber, SiO 2 Is preferably alkali-free glass (E glass) or alkali-containing glass (C glass).
[0054]
In order to increase heat resistance and mechanical strength, it is necessary to pre-treat such glass fibers with a coupling agent such as an isocyanate compound, an organic silane compound, an organic titanate compound, an organic borane compound, or an epoxy compound. preferable. The amount of the glass fiber coupling agent attached is preferably 0.2 to 0.9% by weight. In addition, the coupling agent adhesion amount of glass fiber is determined by the following method. That is, 5 g of glass fiber is preliminarily dried at 110 ° C. for 1 hour. The weight of the glass fiber is measured, treated for 15 minutes in an atmosphere at 625 ° C., and then the weight of the glass fiber is measured again. The weight loss due to the treatment at 625 ° C. is gradually expressed as a percentage by the weight of the glass fiber before the treatment.
[0055]
Moreover, the fiber length in the PPS resin composition of the glass fiber in this invention is 50-500 micrometers in number average, Especially it is preferable when obtaining mechanical strength and fluidity | liquidity that it is 200-400 micrometers. The number average fiber length is obtained by carbonizing the composition, observing the fiber using a scanning electron microscope, and averaging the lengths of arbitrary 1000 fibers therein.
[0056]
The use of the above (E) glass fiber is preferable in that heat resistance, mechanical strength, and cooling property can be improved in combination with blending of other essential components.
[0057]
The blending amount of the (E) glass fiber is 10 to 100 parts by weight, preferably 15 to 90 parts by weight, and more preferably 20 to 80 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the (A) PPS resin.
[0058]
If the blending amount is too small, the heat resistance, mechanical strength and cooling property tend to be insufficient, and if the blending amount is too large, the fluidity tends to be insufficient.
[0059]
In the present invention, at least one additive selected from (F) fatty acid metal salts, fatty acid esters, fatty acid amides, and ethylenediamine / stearic acid / sebacic acid polycondensates can be blended.
[0060]
(F) Fatty acid metal salts, fatty acid esters, fatty acid amides, ethylenediamine / stearic acid / sebacic acid polycondensates include fatty acid metal salts such as lithium stearate, aluminum stearate, calcium stearate, calcium montanate, ethylene glycol di Montanate, trimethylolpropane trimontanate, ethylene glycol distearate, glycerol tristearate, trimethylolpropane tristearate, pentaerythritol tetrastearate, dipentaerythritol hexastearate, polypentaerythritol stearate, dipentaerythritol Fatty acid esters such as adipic stearate, dipentaerythritol adipic stearate oligomer, stearamide, eryle Fatty acid amides such as Bisusutearin acid amide, ethylenediamine-stearic acid sebacic acid polycondensate.
[0061]
Preferable examples include ethylene glycol dimontanate, trimethylolpropane trimontanate, ethylene glycol distearate, glycerin tristearate, trimethylolpropane tristearate, pentaerythritol tetrastearate, dipentaerythritol hexastearate, poly Examples thereof include fatty acid esters such as pentaerythritol stearate, dipentaerythritol adipic stearate, dipentaerythritol adipic stearate oligomer, and ethylenediamine / stearic acid / sebacic acid polycondensate.
[0062]
Particularly preferred are ethylene glycol dimontanate and ethylenediamine / stearic acid / sebacic acid polycondensate.
[0063]
The use of one or more additives selected from the above (F) fatty acid metal salts, fatty acid esters, fatty acid amides, ethylenediamine / stearic acid / sebacic acid polycondensates is the adhesion to epoxy resin, mold release during molding It is preferable for further enhancing the properties.
[0064]
The compounding amount of one or more additives selected from the above (F) fatty acid metal salts, fatty acid esters, fatty acid amides, ethylenediamine / stearic acid / sebacic acid polycondensates is (A) 100 parts by weight of PPS resin. It is preferable that it is 0.05-3 weight part, More preferably, it is 0.1-2.5 weight part, More preferably, it is 0.2-2 weight part.
[0065]
If the blending amount is too small, the releasability during molding tends to be insufficient, and if the blending amount is too large, the amount of gas generated tends to be insufficient.
[0066]
In the present invention, it is possible to further blend (G) an olefin polymer (hereinafter also referred to as an unmodified olefin polymer) that does not contain any functional group of epoxy group and acid anhydride group. .
[0067]
Examples of the unmodified olefin polymer include polymers obtained by polymerizing α-olefins alone or two or more of ethylene, propylene, butene-1, pentene-1, 4-methylpentene-1, isobutylene, and the like, α -Copolymers of olefins with α, β-unsaturated acids and their alkyl esters such as acrylic acid, methyl acrylate, ethyl acrylate, butyl acrylate, methacrylic acid, methyl methacrylate, ethyl methacrylate, butyl methacrylate And monomers containing ionomers such as carboxylic acid metal complexes.
[0068]
Preferred specific examples of the olefin polymer include polyethylene, polypropylene, ethylene / propylene copolymer, ethylene / butene-1 copolymer, ethylene / methyl acrylate copolymer, ethylene / ethyl acrylate copolymer, Ethylene / butyl acrylate copolymer, ethylene / methyl methacrylate copolymer, ethylene / ethyl methacrylate copolymer, ethylene / butyl methacrylate copolymer, ethylene / methacrylic acid copolymer zinc complex, ethylene / Examples include magnesium complexes of methacrylic acid copolymers, sodium complexes of ethylene / methacrylic acid copolymers, and the like.
[0069]
The blending amount of the unmodified olefin polymer is preferably 1 to 50 parts by weight, more preferably 2 to 40 parts by weight, and 3 to 30 parts per 100 parts by weight of the (A) PPS resin. More preferably, it is part by weight.
[0070]
Further, in the PPS resin composition of the present invention, polystyrene resin, ABS resin, polyamide resin, polycarbonate resin, polyethylene terephthalate resin, polybutylene terephthalate resin, polyacetal resin, modified polyphenylene ether resin, as long as the effects of the present invention are not impaired. Polysulfone resin, polyallylsulfone resin, polyketone resin, polyetherimide resin, polyarylate resin, liquid crystal polymer, polyethersulfone resin, polyetherketone resin, polythioetherketone resin, polyetheretherketone resin, polyimide resin, polyamide Thermoplastic resins such as imide resins, tetrafluoropolyethylene resins, thermoplastic polyurethane resins, polyamide elastomers and polyester elastomers, polyalkylene oxides Plasticizers such as ligoma compounds, thioether compounds, ester compounds, organophosphorus compounds, crystal nucleating agents such as talc, kaolin, organophosphorus compounds, polyetheretherketone, polyolefins such as polyethylene and polypropylene, silicone compounds, etc. Normal additives such as mold release agents, anti-coloring agents such as hypophosphite, antioxidants, heat stabilizers, lubricants, UV inhibitors, coloring agents, flame retardants, foaming agents can be blended. .
[0071]
The method for preparing the PPS resin composition used in the present invention is not particularly limited, but a known mixture such as a single-screw or twin-screw extruder, a Banbury mixer, a kneader, or a mixin gall is generally known. A method of supplying to a melt mixer and kneading at a temperature of 280 to 380 ° C. can be mentioned as an example. In addition, there is no particular limitation on the mixing order of the raw materials, a method in which all the raw materials are blended and then melt kneaded by the above method, a part of the raw materials are blended and melt kneaded by the above method, and the remaining raw materials are blended. Any method may be used, such as a method of melt-kneading, or a method of mixing a part of raw materials and mixing the remaining raw materials using a side feeder during melt-kneading with a single or twin screw extruder. As for the small amount additive component, other components may be kneaded and pelletized by the above-described method and then added before molding and used for molding.
[0072]
The PPS resin composition of the present invention is usually prepared so that the spiral flow length is 150 (mm) or more and the heat loss is 3.0 (wt%) or less. Especially, it is preferable that spiral flow length is 170 (mm) or more, and it is more preferable that it is 180 (mm) or more. Further, the loss on heating is preferably 2.5 (wt%) or less, more preferably 2.0 (wt%) or less, in order to obtain low gas properties and fluidity.
[0073]
The PPS resin composition having such a heat loss and spiral flow length contains (E) component of about 80 parts by weight or less or (C) component of about 30 parts by weight or less with respect to 100 parts by weight of PPS resin. Can be obtained.
[0074]
The spiral flow length is: cylinder temperature 320 ° C, mold temperature 130 ° C, injection pressure 1000 (kg / cm 2 ), A test piece shape having a width of 10 mm and a thickness of 1.0 mm was molded, and the flow length was measured. For loss on heating, 10 g of pellets of the resin composition are put in an aluminum cup and preliminarily dried in an atmosphere at 150 ° C. for 1 hour. The pellet weight is measured, treated for 2 hours in an atmosphere at 320 ° C., and then the pellet weight is measured again. The weight loss due to the treatment at 320 ° C. was gradually reduced by the weight of the pellets before the treatment, and the weight loss was indicated by heating.
[0075]
The PPS resin composition obtained by the present invention can be molded by various known molding methods such as injection molding, extrusion molding, compression molding, blow molding, injection compression molding, and in particular, molding by injection molding. Is preferred.
[0076]
The PPS resin composition obtained by the present invention is an excellent resin composition that balances adhesion with an epoxy resin, cooling property, low gas property, low burr property, and fluidity. Applications such as coils, electrical and electronic parts, sensors, LEDs, lamp sockets, resistors, relay cases, small switches, coil bobbins, capacitors, variable capacitor cases, optical pickups, oscillators, various terminal boards, transformers, plugs, prints Circuit boards, tuners, speakers, microphones, headphones, small motors, magnetic head bases, power modules, semiconductors, liquid crystals, FDD carriages, FDD chassis, motor brush holders, parabona antennas, other electronic components such as computer-related parts; power generation Machine, electric motor, transformer, current transformer, electric Regulators, rectifiers, inverters, relays, power contacts, switches, circuit breakers, knife switches, other pole rods, electrical component parts such as electrical cabinets, VTR parts, TV parts, irons, hair dryers, rice cooker parts , Microwave oven parts, acoustic parts, audio equipment parts such as audio / laser discs / compact discs, lighting parts, refrigerator parts, air conditioner parts, typewriter parts, word processor parts, household electrical appliance parts; office computers Machine-related parts such as related parts, telephone-related parts, facsimile-related parts, copier-related parts, cleaning jigs, motor parts, lighters, typewriters; optics such as microscopes, binoculars, cameras, watches, etc. Equipment, precision machine parts; Alternator Null, alternator connector, IC regulator case, light meter potentiometer base, various valves such as exhaust gas valve, fuel-related / exhaust / intake system pipes, air intake nozzle snorkel, intake manifold, fuel pump, engine cooling Water joint, carburetor main body, carburetor spacer, exhaust gas sensor, cooling water sensor, oil temperature sensor, brake pad wear sensor, throttle position sensor, crankshaft position sensor, air flow meter, brake pad wear sensor, thermostat base for air conditioner, Heating hot air flow control valve, brush holder for radiator motor, water hump impeller, turbine vane, wiper motor -Related parts, distributor, starter switch, starter relay, transmission wire harness, window washer nozzle, air conditioner panel switch board, coil for fuel related electromagnetic valve, connector for fuse, horn terminal, electrical component insulation plate, step motor rotor , Lamp sockets, lamp reflectors, lamp housings, brake pistons, solenoid bobbins, engine oil filters, ignition coils, ignition device cases, and other automotive and vehicle-related parts, etc. It is suitable for a composite molded body having a surface, and particularly suitable for applications requiring adhesive strength with an epoxy resin and heat resistance. The composite molded body having an adhesive surface with the epoxy resin is a composite molded body sealed with an epoxy resin, or a molded body molded with the same material or a different material from the molded body molded with the PPS resin composition of the present invention. A composite molded body in which is bonded with an epoxy resin. The above-mentioned combination molded body may be sufficient as the molded object which consists of a PPS resin composition adhere | attached with an epoxy resin. Moreover, the composite molded body of the molded body molded with the PPS resin composition of the present invention and the epoxy resin may be any one that has an adhesive surface with the epoxy resin in at least a part of the molded body. However, the whole surface may have an adhesive surface.
[0077]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to examples.
[0078]
The epoxy adhesion strength, cooling property, heat loss, burr generation amount, and spiral flow length described in the examples and comparative examples were according to the following methods.
[0079]
[Epoxy bond strength]
An ASTM No. 1 dumbbell piece molded under conditions of a cylinder temperature of 320 ° C. and a mold temperature of 130 ° C. is divided into two equal parts, and the bonding area is 50 mm. 2 Then, a spacer (thickness 2.0 mm ± 0.2 mm) and an epoxy resin (manufactured by Nagase Ciba Co., Ltd., one-pack type epoxy resin, XNR3506) were sandwiched and fixed. This was cured at an ambient temperature of 130 ° C. for 30 min, the tensile strength was measured under the conditions of a strain rate of 1 mm / min and a fulcrum distance of 80 mm, and the value obtained by dividing the maximum strength by the bonding area was determined as the epoxy adhesive strength. did.
[0080]
In addition, the fracture mode after the epoxy adhesion test was evaluated as “◯” when the PPS resin itself was destroyed, and “×” when all were destroyed at the interface between the PPS resin and the epoxy resin.
[0081]
The higher the value of the epoxy adhesive strength, the better the adhesiveness with the epoxy resin as it is destroyed by the PPS resin itself.
[0082]
[Cryogenicity]
A metal insert test piece 3 shown in FIG. 1 was used, in which a metal block was used as the insert metal 1 under conditions of a cylinder temperature of 320 ° C. and a mold temperature of 130 ° C., and a resin was injected from the gate 2 and subjected to insert molding. This was treated at 130 ° C. × 1 hr and then treated at −40 ° C. × 1 hr as one cycle, and was subjected to a thermal cycle treatment, and the presence or absence of cracks was confirmed visually every 10 cycles. The number of cold cycle treatments in which cracks were observed was defined as cold resistance. The higher the value, the better the heat resistance.
[0083]
Fig.1 (a) is a top view of a metal insert test piece, and FIG.1 (b) is the side view.
[0084]
An insert metal of 48.6 mm × 48.6 mm × 28.6 mm is coated with a resin by injection molding (insert molding). The obtained test piece is a rectangular parallelepiped of 50 mm × 50 mm × 30 mm, and the mold thickness is 0.7 mm ± 0.3 mm.
[0085]
[Heating loss]
10 g of the resin composition pellets are placed in an aluminum cup and pre-dried in an atmosphere at 150 ° C. for 1 hour. The pellet weight is measured, treated for 2 hours in an atmosphere at 320 ° C., and then the pellet weight is measured again. The weight loss due to the treatment at 320 ° C. was gradually reduced by the weight of the pellets before the treatment, and the weight loss was indicated by heating. The resin composition with less heat loss is superior in low gas properties.
[0086]
[Burr generation amount]
A mold gas vent: width 5 mm × length 20 mm × thickness 20 μm was provided on the outer periphery of a disk-shaped test piece having a diameter of 40 mm × thickness 3 mm under conditions of a cylinder temperature of 320 ° C., a mold temperature of 130 ° C., and an injection pressure of 50 MPa. A test piece shape for burr evaluation was molded and the burr length in the vent portion length direction was measured for the burr generated in the mold gas vent portion. A resin composition having a shorter burr length is more excellent in low burr properties.
[0087]
[Spiral flow length]
Cylinder temperature 320 ° C, mold temperature 130 ° C, injection pressure 1000 (kg / cm 2 ), A test piece shape having a width of 10 mm and a thickness of 1.0 mm was molded, and the flow length was measured. The resin composition having a larger flow length is superior in fluidity.
[0088]
[Reference Example 1 (Production of PPS)]
Manufacture of PPS-1
A sodium hydrosulfide aqueous solution 4.67 kg (sodium hydrosulfide 25 mol), 50% sodium hydroxide 2.00 kg (sodium hydroxide 25 mol) and N-methyl-2-pyrrolidone (hereinafter abbreviated as NMP) 8 kg in an autoclave equipped with a stirrer. The temperature was gradually raised to 205 ° C. while stirring, and 4.1 liters of distilled water containing 3.8 kg of water was removed. To the residual mixture, 3.75 kg (25.5 mol) of 1,4-dichlorobenzene and 2 kg of NMP were added and heated at 230 ° C. for 1 hour and further at 260 ° C. for 30 minutes. The reaction product was washed 5 times with warm water, dried under reduced pressure at 80 ° C. for 24 hours, and heat-treated at 230 ° C. for 5 hours to obtain PPS-1.
[0089]
Manufacture of PPS-2
An autoclave equipped with a stirrer was charged with 6.005 kg (25 mol) of sodium sulfide 9-hydrate, 0.205 kg (2.5 mol) of sodium acetate and 5 kg of NMP. The temperature was gradually raised to 205 ° C. through nitrogen and 3.6 liters of water. Distilled. Next, after cooling the reaction vessel to 180 ° C., 3.719 kg (25.3 mol) of 1,4-dichlorobenzene and 3.7 kg of NMP were added, sealed under nitrogen, heated to 270 ° C., heated to 270 ° C. Reacted for 2.5 hours. After cooling, the reaction product was washed 5 times with warm water, then heated to 100 ° C., poured into 10 kg of NMP, stirred for about 1 hour, filtered, and washed several times with hot water. This was poured into 25 liters of an acetic acid aqueous solution of pH 4 heated to 90 ° C., and stirred for about 1 hour, filtered, washed with ion-exchanged water at about 90 ° C. until the pH of filtration became 7, PPS-2 was obtained by drying under reduced pressure at 80 ° C. for 24 hours.
[0090]
[Compounding materials used in Examples and Comparative Examples]
(A) PPS resin: PPS-1, PPS-2
(B) Organosilane compound
Silane-1: γ-glycidoxypropyltrimethoxysilane (Toray Dow Corning Silicone Co., Ltd .: SH6040)
Silane-2: β- (3,4-epoxycyclohexyl) ethyltrimethoxysilane (manufactured by Shin-Etsu Chemical Co., Ltd .: KBM303)
(C) Modified olefin polymer
Modification-1: ethylene / glycidyl methacrylate = 88/12 (% by weight) copolymer (Sumitomo Chemical Industries: BF-E).
Modification-2: ethylene / methyl acrylate / glycidyl methacrylate = 64/30/6 (% by weight) copolymer (manufactured by Sumitomo Chemical Co., Ltd .: BF-7M).
[0091]
(D) Epoxy resin
Epoxy-1: bisphenol A type epoxy resin (Japan Epoxy Resin Co., Ltd .: Epicoat 1009)
(E) Glass fiber: non-alkali glass, fiber diameter 10 μm, coupling agent adhesion amount 0.4 wt%. Nippon Electric Glass Co., Ltd. T-747GH.
[0092]
(F) Additive
Additive-1: Ethylenediamine, stearic acid, sebacic acid polycondensate (manufactured by Kyoeisha Chemical Co., Ltd .: Light Amide WH-255)
Additive-2: Ethylene glycol dimontanate (manufactured by Client Japan Co., Ltd .: Licowax E)
(G) Unmodified olefin polymer
Unmodified-1: ethylene / butene-1 = 82/18 (% by weight) copolymer (Mitsui Chemicals, Inc .: Toughmer A4085).
Unmodified-2: ethylene / ethyl acrylate = 66/34 (% by weight) copolymer (Mitsui DuPont Polychemical Co., Ltd .: Everflex EEA A709).
[0093]
Examples 1-14
After dry blending the PPS, organosilane compound, olefin resin, epoxy resin, and glass fiber prepared as described above in the proportions shown in Table 1, after melt-kneading with a screw type extruder set at 320 ° C. extrusion conditions Pelletized. The obtained pellets were dried and then injection molded using an injection molding machine under conditions of a cylinder temperature of 320 ° C. and a mold temperature of 130 ° C. to obtain predetermined test pieces for characteristic evaluation.
About the obtained test piece and pellet, the epoxy adhesive strength, the cooling property, the heat loss, the burr generation amount, and the spiral flow length were measured by the method described above. The results are shown in Table 1.
[0094]
The resin composition and the molded product obtained here were excellent in practical value because of their excellent balance of adhesiveness with epoxy resin, cooling property, low gas property, low burr property, and fluidity.
[0095]
Comparative Examples 1-2
In the same manner as in Example 1, dry blending, melt kneading, pelletizing, molding, and evaluation were performed at the ratios shown in Table 2. The results are shown in Table 2.
[0096]
When the modified olefin polymer is not used, in particular, it is inferior in heat resistance and low burr property, and is not excellent in balance with adhesion to epoxy resin, heat heat property, low gas property, low burr property, fluidity, practical level It wasn't.
[0097]
Comparative Examples 3-4
In the same manner as in Example 1, dry blending, melt kneading, pelletizing, molding, and evaluation were performed at the ratios shown in Table 2. The results are shown in Table 2.
[0098]
When the compounding ratio of the alkoxysilane compound is less than 0.1 parts by weight, in particular, the low burr property is inferior, and the adhesiveness with the epoxy resin, the thermal property, the low gas property, the low burr property, and the fluidity are not balanced and are not excellent. It was not a practical level.
[0099]
When the blending ratio of the alkoxysilane compound exceeds 5 parts by weight, in particular, the adhesiveness with the epoxy resin, low gas property, and fluidity are inferior, and the adhesiveness with the epoxy resin, cooling property, low gas property, low burrability, fluidity The sex was not balanced and not excellent, and it was not at a practical level.
[0100]
Comparative Examples 5-6
In the same manner as in Example 1, dry blending, melt kneading, pelletizing, molding, and evaluation were performed at the ratios shown in Table 2. The results are shown in Table 2.
[0101]
When the blending ratio of the modified olefin polymer is less than 1 part by weight, in particular, the low burr property is inferior, and the adhesiveness to the epoxy resin, the thermal property, the low gas property, the low burr property, and the fluidity are not balanced. It was not practical.
[0102]
When the blending ratio of the modified olefin polymer exceeds 50 parts by weight, in particular, the adhesive form with the epoxy resin is inferior in the cooling property, the adhesiveness with the epoxy resin, the cooling property, the low gas property, the low burr property, and the fluidity. However, it was not in good balance and was not practical.
[0103]
Comparative Examples 7-8
In the same manner as in Example 1, dry blending, melt kneading, pelletizing, molding, and evaluation were performed at the ratios shown in Table 2. The results are shown in Table 2.
[0104]
When the blending ratio of the epoxy resin is less than 0.5 parts by weight, in particular, the adhesiveness with the epoxy resin is inferior, and the adhesiveness with the epoxy resin, the cooling property, the low gas property, the low burr property, and the fluidity are balanced. It was not excellent and was not practical.
[0105]
When the blending ratio of the epoxy resin exceeds 15 parts by weight, in particular, the adhesiveness with the epoxy resin is inferior, and the adhesiveness with the epoxy resin, the cooling property, the low gas property, the low burr property, and the fluidity are not balanced. It was not practical.
[0106]
Comparative Examples 9-10
In the same manner as in Example 1, dry blending, melt kneading, pelletizing, molding, and evaluation were performed at the ratios shown in Table 2. The results are shown in Table 2.
[0107]
When the blending ratio of the glass fiber is less than 10 parts by weight, in particular, the adhesive strength with the epoxy resin is inferior, and the adhesiveness with the epoxy resin, the thermal property, the low gas property, the low burr property, and the fluidity are not balanced. It was not practical.
[0108]
When the blending ratio of the glass fiber exceeds 100 parts by weight, in particular, the adhesion with the epoxy resin and the fluidity are inferior, and the adhesion with the epoxy resin, the cooling property, the low gas property, the low burr property, and the fluidity are balanced. It was not excellent and was not practical.
[0109]
[Table 1]
[0110]
[Table 2]
[0111]
【The invention's effect】
The PPS resin composition and the composite molded article of the present invention are excellent in balance of adhesion to epoxy resin, cooling property, low gas property, low burr property, and fluidity.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 (a) is a top view of a metal insert test piece, and FIG. 1 (b) is a side view thereof.
[Explanation of symbols]
1. Insert metal
2. Gate
3. Metal insert test piece