JP2005058892A - 多孔質体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】非常に微細で、ストレート形状の細孔構造を有する多孔質体を提供する。
【解決手段】第一の成分を含み構成されている柱状物質が第一の成分と共晶を形成し得る第二の成分を含み構成される部材中に分散している構造体から該柱状物質を除去して形成されている柱状の細孔を有する多孔質体であって、前記多孔質体の細孔表面に、前記第一、第二の成分、及びそれらの酸化物以外の物質が形成されている。前記多孔質体の細孔表面に形成されている第一、第二の成分、及びそれらの酸化物以外の物質は、有機ケイ素化合物であり、前記多孔質体の細孔表面に、該多孔質体を形成する第二の成分の元素と酸素を介して、有機ケイ素化合物のケイ素が結合している。
【選択図】図4

Description

本発明は、多孔質体、及びその製造方法に関し、特に平均孔径が20nm以下で、平均間隔が30nm以下の微細な細孔を有し、細孔内が疎水性、親水性等機能化された多孔質体、及びその製造方法に関する。
また、本発明は、物質の吸着・担持・分離・濃縮・認識・検出材料、あるいは選択的な触媒反応に有用な吸着・触媒材料となりうる多孔質体に関する技術に属する。
多孔質体は種々の物質を吸着する材料として、分離剤、触媒材料といった用途において現在既に幅広く用いられているが、それだけでなく、機能性材料としてさらなる応用が期待されている。
例えば、近年では、揮発性有機化合物VOC(Volatile Organic Compounds)が問題となっている。具体的には、塗料や接着剤等に含まれる有機溶剤が主たるもので、環境に対しては光化学スモッグなどの大気汚染、水質汚濁、悪臭、環境ホルモン等の問題を引き起こす有害物質であり、現在ではシックハウス症候群の一要因としても問題視されている。そして、これらの有害物質の分解や汚染水中からの有害物質除去など環境浄化材料としても、多孔質体は期待されている。
また他にも、目的の物質を細孔内に担持することで認識検出素子つまりセンサとしての利用や、水を細孔内に担持することで調湿材料としての応用等も取り組まれている。
このような機能性材料として多孔質体の性能を向上させるためには、多孔質体の細孔内への目的物質の導入、拡散を円滑にし、細孔内での担持量を上げることが重要な課題となっている。
多孔質体の細孔内での担持量が多くなる、つまり吸着量が多くなる条件として、比表面積が大きい、つまり、実質表面積がみかけの表面積より大きく、吸着サイトが多数存在するということが挙げられる。このためには、径の小さな細孔が高密度に配置されていることが重要であり、現在でもマイクロメートル以下の微小な細孔径を有する多孔質材料が多数知られている。
例えば、無機多孔質物質としては、活性炭、ゼオライト、シリカゲル等が挙げられ、有機多孔質物質としては、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド等からなる高分子多孔質焼結体が挙げられる。
また、デバイス化には多孔質体が基板上に均一に保持される、つまり膜状であることが有利な点となるが、このように膜状である多孔質体としては、シリコンの陽極化成によって得られる、シリコンもしくは酸化シリコンの多孔質膜が挙げられる。
また、細孔形状は吸着速度に影響する。インクボトル型の細孔である、細孔と細孔の接続部分が細い、つまり細孔径の分布が広い場合や、形状がストレートではなく曲がっているといった場合、物質の円滑な拡散、導入が妨げられてしまう。さらに、このような細孔形状の場合は、目的の物質より径が小さい部分から奥の細孔には目的物質が導入されず吸着量が減ってしまう可能性がある。そこで、ほぼ径の均一なチューブ状の細孔を持った多孔質材料として、アルミニウムの陽極酸化によって得られるアルミナ多孔質膜やポリカーボネート膜が有用とされている。
また、吸着量が多くなる別の条件として、目的の物質が細孔内に吸着しやすい、つまり、目的物質と細孔内表面の親和性が高いということが挙げられる。例えば、目的の物質が疎水性ならば細孔表面も疎水性、親水性であれば親水性、目的の物質が電荷を有しているならば細孔表面はその逆の電荷を有するといった条件が揃うと吸着量は増加する。
そこで現在までにも、上述したような多孔質材料に表面処理を行い、これら所望の表面特性を有する多孔質体を得るという提案が数多くなされている。
例えば、非特許文献1には、径が30nmの細孔を持つポリカーボネート膜の細孔内に金を無電解メッキし電位を印加することで、イオン性界面活性剤を細孔内に電気的に導入し、界面活性剤の疎水部分を利用して、細孔内を疎水性にするという方法が報告されている。この報告では、細孔内を疎水性にすることで、疎水性物質であるトルエンが細孔内に進入しやすくなり、この多孔質膜を溶液間の分離膜として用いた場合、トルエンの選択的輸送性能が向上したと記載されている。
Journal of the American Chemical Society, Vol.124, No.40, 11850 (2002)
しかし、上述のようなポリカーボネート膜やアルミナ多孔質膜はほぼ径の均一なチューブ状の細孔を有しているものの、細孔径の下限は現在実質的には数十ナノメートルのオーダーまでである。よって、より小さな物質を吸着する際は単なる空隙となる無駄な領域が存在してしまっていた。また、物質を吸着する際、その物質のサイズにあった細孔径を有する多孔質体を用いれば、細孔内での物質の安定化や、細孔形状、サイズによる物質の分離能向上といった利点が得られる。しかし、上述のように細孔径には下限があり、より小さな物質を吸着する際はこれらの利点が得られなかった。尚、メッキ等で細孔を小さくすることも可能であるが、高価になってしまうという欠点があった。また、前記、非特許文献1に記載の方法のように細孔内を表面処理する場合、いったん金でメッキしてから、界面活性剤で処理を行うという二重の処理が必要であり、製造工程が複雑且つ高価になってしまうという欠点があった。
本発明は、非常に微細なサイズでストレート形状の細孔を高密度に低コストかつ短時間で基板上に形成し、さらに細孔内の表面特性が容易に制御された多孔質体を製造する方法および、その製造方法により形成された多孔質体を提供することとする。
よって本発明は、多孔質体の製造方法であって、第一の成分を含み構成されている柱状物質が第一の成分と共晶を形成し得る第二の成分を含み構成される部材中に分散している構造体を用意する工程、前記第一の成分を含み構成されている前記柱状物質を選択的に除去する工程、及び柱状物質を除去して形成された柱状孔の表面に前記第一、第二の成分、及びそれらの酸化物以外の物質を形成する工程とを含むことを特徴とする。
前記柱状物質を除去して形成された柱状孔の表面に、前記第一、第二の成分、及びそれらの酸化物以外の物質を形成する工程は、前記柱状物質を除去して形成された柱状孔の表面に、該多孔質体を形成する第二の成分の元素と酸素を介して有機ケイ素化合物のケイ素を結合させる工程であることが好ましい。
さらに本発明は、多孔質体の製造方法であって、第一の成分を含み構成されている柱状物質が第一の成分と共晶を形成し得る第二の成分を含み構成される部材中に分散している構造体を用意する工程、前記第一の成分を含み構成されている柱状物質を選択的に除去する工程、さらに前記柱状物質を除去した後の柱状孔を有する多孔質体に化学処理を施す工程、及び前記化学処理後の多孔質体の孔表面に前記第一、第二の成分、及びそれらの酸化物以外の物質を形成する工程とを含むことを特徴とする。
前記化学処理は酸化処理であることが好ましい。
前記化学処理後の多孔質体の孔表面に前記第一、第二の成分、及びそれらの酸化物以外の物質を形成する工程は、前記化学処理後の多孔質体の孔表面に、該多孔質体を形成する第二の成分の元素と酸素を介して有機ケイ素化合物のケイ素を結合させる工程であることが好ましい。
さらに、本発明は、第一の成分を含み構成されている柱状物質が第一の成分と共晶を形成し得る第二の成分を含み構成される部材中に分散している構造体から前記柱状物質を除去して形成されている柱状の孔を有する多孔質体であって、前記多孔質体の孔表面に、前記第一、第二の成分、及びそれらの酸化物以外の物質が形成されていることを特徴とする。
前記柱状の孔を有する多孔質体は、酸化物からなることが好ましい。
前記多孔質体の孔表面に形成されている第一、第二の成分、及びそれらの酸化物以外の物質は、有機ケイ素化合物であり、前記多孔質体の孔表面に、該多孔質体を形成する第二の成分の元素と酸素を介して、有機ケイ素化合物のケイ素が結合していることが好ましい。
前記第一の成分はアルミニウムであり、第二の成分がシリコン、ゲルマニウム、シリコンとゲルマニウムの混合物のうちのいずれかであり、且つ、前記構造体の組成に占める第二の成分の割合が、20 atomic % 以上70 atomic % 以下であることが好ましい。
前記柱状の孔の直径は0.5 ナノメートル以上20 ナノメートル以下であることが好ましい。
本発明によれば、孔径、及び、細孔の配列間隔が非常に微細な新規の構造体に、さらに、シランカップリング剤を反応させ、細孔表面に表面改質層を形成することで、疎水性、親水性、極性、無極性等細孔表面に所望の性質を有し、非常に微細で、ストレート形状の細孔構造を有する多孔質体を作製することができる。
以下、本発明に係る多孔質体及びその製造方法の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
本実施形態は、従来の多孔質体と比較して、細孔径、及び、細孔の配列間隔が非常に微細で細孔形状がストレートである新規の多孔質体の細孔表面に有機ケイ素化合物を反応させて、細孔表面が所望の特性を有する表面改質多孔質体を作製するものである。
ここで、本実施形態による多孔質体について説明する。
基板上に、例えばスパッタリング等の方法で、互いに共晶系にある複数の物質の膜を形成した場合、各々の成分は、膜中において混合することなく独立に存在する。
そして、特定の材料系について、成膜条件と物質の組成が最適化された場合、図2のように、ある成分が微細な径の柱状の形態、すなわち柱状物質22となって、他成分のマトリックス23中に分散して存在した混合膜24が形成される。
この構造は、本発明者らによって発見された新規な構造体であり、柱状物質は、基板界面付近から膜表面まで貫通して存在する。形成される柱状物質の1本の柱の径は、0.5nmから50nm、好ましくは0.5nmから20nmの範囲である。また、柱状物質の中心間間隔は1nmから80nm、好ましくは5nmから30nmの範囲にある。
具体例を用いて説明すると、スパッタリングでアルミニウムとシリコンの混合膜を基板上に作製した場合、条件が最適化されると、非晶質なシリコンのマトリクス中に結晶性の柱状アルミニウムが形成される。
形成される柱状アルミニウムの1本の柱の径は、0.5nmから50nmの範囲であるが、0.5nmから20nmの範囲に制御することも可能であり、本発明に置いては好適である。アルミニウムは、膜中において、基板界面から膜表面に至るまで、単一の柱として存在していることが走査型電子顕微鏡の観察によって示されている。
同様の構造は、スパッタリングで作製したアルミニウムとゲルマニウムの混合膜、及び、アルミニウムとシリコンゲルマニウム混合物の混合膜に関しても、形成が確認されている。
膜厚は、スパッタリング時間を調整することで制御することが可能であり、スパッタリングを中断しない限り、膜厚を厚くしても柱状構造が途切れることはない。
本実施形態は、図3に示すように上記の柱状物質を含む混合膜から柱状物質を除去したものを多孔質体33として用い、その多孔質体に有機ケイ素化合物を接触、反応させて細孔表面の改質を行い、非常に微細な細孔構造と所望の表面特性を持った表面改質多孔質体を短時間で簡便にかつ安価で作製し得たものである。
次に、本実施形態の製造方法について説明する。
以下の工程(A)〜工程(C)により、非常に微細な径の細孔が高密度に形成された多孔質体を形成することができる。(図3)さらに工程(D)を行うことで細孔表面が所望の特性に改質された表面改質多孔質体(図1)を形成することができる。
図4は本実施形態による表面改質多孔質体の製造方法を示した断面模式図である。
工程(A):基板の用意
まず、図4(A)に示すように、基板41を用意する。
この基板41は、基本的に材質や厚さを限定されるものではなく、ガラス、金属、セラミックス、半導体、有機物等種々のものが使用可能である。
工程(B):混合膜形成
図4(B)に示すように、互いに共晶径を形成する材料を適当な比率で含むターゲットを用いて、スパッタリング法により、柱状形態の第1の成分である柱状物質42が他の成分のマトリクス43中に分散されている混合膜44を、基板41上に作製する。
この場合、使用するターゲットは、2つの成分の混合体である必要はなく、一方の物質の上にもう一方の物質が置かれているようなものでもよく、また、2つの物質が所望の面積比を与えるように貼りあわせられているような構成のものでもよい。
例示すると、アルミニウムターゲット上にシリコンウエハーを適当な量置いた状態でスパッタリングを行うことで上記構造の膜を基板41上に作製することができる。膜形成は、スパッタリングを例にとって説明するが、同様の構造が形成できる成膜法であれば、本発明に適用することができる。
形成される柱状物質42の柱一本の平均径2rは、0.5nmから50nm、好ましくは0.5nmから20nmの範囲である。また、柱状物質42の平均中心間隔は2Rは1nmから80nm、好ましくは5nmから30nmの範囲にある(図4(B)参照)。
工程(C):多孔質体形成
次に、図4(C)に示すように、作製した混合膜44から、上記柱状物質42を除去して、多孔質体46を形成する。
柱状物質42の選択除去には、ウェットエッチングが好ましく用いられる。例えば、非晶質なシリコンのマトリクス中に形成された結晶性の柱状アルミニウムの場合には、リン酸や硫酸でエッチングすることによって、シリコンの形状を変化させることなく、アルミニウムのみを除去し細孔45を形成することが可能である。
また、ここでその後のプロセスを簡便に行うため、形成された多孔質体46に対して化学処理を施し、多孔質体46の性質を変化させる工程をおこなうこともある。この場合の化学処理とは、具体的には酸化処理等を示す。
工程(D):細孔表面の改質
次に、図4(D)に示すように、多孔質体46の細孔表面に表面改質材料を接触、反応させて表面改質層48を形成し、細孔表面が改質された表面改質多孔質体47を形成する方法について説明する。
表面改質材料には有機ケイ素化合物、特にはシランカップリング剤を用いることが好ましい。シランカップリング剤は一般的にR-Si-X3の化学式で表される化合物で、分子中に2個以上の異なった官能基をもっている。
上記Xは無機材料からなる多孔質体表面と反応する部位である。例えば、多孔質体がシリコンや酸化シリコンである場合は、非特許文献2に記述されているように、多孔質体細孔表面に存在するシラノール基の水素が有機ケイ素基によって置換され、Si-O-Si-R結合を形成し、細孔表面にR-の被膜つまり表面改質層を形成する。
[非特許文献2]“SOL-GEL SCIENCE”Elsevier Science(1989)P662
このXとしてはクロル基、アルコキシ基、アセトキシ基、イソプロペノキシ基、アミノ基などが知られているが、現在上市されているものは、その安定性および取り扱いやすさなどからアルコキシ基がほとんどであり、本発明においても好ましく用いられる。
また、一般的に上市されているシランカップリング剤はXが三官能のものが多いが、細孔表面に表面改質層を形成できれば、二官能のものでも一官能のものでも構わない。
一方上記Rは有機基であり、細孔表面に所望の性質を付与する部位である。所望の性質とは、物質の細孔内への導入、吸着を促進するような、物質との親和性が高い表面を意味し、親水性、疎水性の表面、所望の表面電位を有する表面、生体物質と相互作用する表面、反応性を有する表面等が挙げられる。本発明における多孔質体は主に無機物により形成されるため、さらに有機基による表面改質層を形成することで、無機物では得られない様々な特性を付与することが出来る。
例えば、疎水性物質を細孔内に導入、吸着したい場合は、上記R基が疎水性であるシランカップリング剤を用いればよく、R基がアルキル鎖であるような、アルキルアルコキシシラン、アルキルクロロシランが好適に用いられる。
また、例えば、アニオン性物質を細孔内に導入、吸着したい場合は、上記R基にアニオン交換能を持つカチオン部位を有するシランカップリング剤を用いればよい。例えば多孔質体が酸化シリコンであると、等電点が約2であるためこれよりも高いpH領域では細孔表面は負に帯電し、アニオンを吸着することが出来ない。pHを1程度にしても、表面の正電荷密度が比較的小さく、十分な吸着量が確保出来ない。そして、電荷密度を増大させるためにさらにpHを低下させると、目的の物質が変質してしまう等の問題が生じることがある。しかし、上記シランカップリング剤を用いれば、アニオンを吸着することが可能となる。上記シランカップリング剤としては、アンモニウム基を含むもの、すなわち正に帯電した窒素を有するものが好適に用いられ、N-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(以下、TPTCA)のようなアンモニウム塩酸塩が好ましく用いられる。
また、例えば、タンパク質等生体物質を細孔内に導入、吸着したい場合は、静電力、水素結合、親水性等で生体物質と相互作用するように、上記R基にカルボキシル基、アミノ基を有するシランカップリング剤を用いるとよい。例示すると、カルボキシルエチルトリメトキシシランやアミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、例えば、所望の性質が物質と反応する性質である場合は、例としてビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基などが好適に用いられる。
以上シランカップリング剤のR基とX基について述べたが、R基、及びX基は多孔質体表面に所望の性質を有する表面改質層を形成することが出来れば上記例に限られるものではない。
次に上記シランカップリング剤を多孔質体に接触、反応させて、表面改質層を形成する方法について説明する。
表面改質層は、多孔質体を、溶媒で希釈したシランカップリング剤溶液に浸漬する、もしくは、多孔質体にシランカップリング剤溶液を塗布し乾燥させることで容易に形成できる。
シランカップリング剤を希釈する溶剤には、通常、水、アルコール、ヘキサン等有機溶媒やこれらの混合物が使用される。尚、多孔質体をシランカップリング剤に浸漬した後、もしくはシランカップリング剤を多孔質体に塗布した後、必要に応じて溶剤で洗浄し、過剰なシランカップリング剤を除去してもよい。
また、表面改質層は、多孔質体をシランカップリング剤の蒸気に曝露し、接触、反応させて形成することもできる。この場合、シランカップリング剤蒸気の曝露は乾燥窒素雰囲気下、もしくは水/窒素混合雰囲気下で行うことが望ましいが、これに限らない。
以上の操作により、多孔質体表面にシランカップリング剤が接触、反応し、細孔表面に-R基からなる被膜、つまり表面改質層が形成される。
以上の工程(A)〜工程(D)によって、互いに共晶系にある複数の物質からなる混合膜から、非常に微細な構造を持った新規な多孔質体を作製し、その細孔表面にシランカップリング剤を反応させ、改質層を形成することで、細孔表面に所望の性質を有する多孔質体を作製することができる。
尚、本発明による多孔質体は径及び配列間隔が非常に微細であり、形状がストレートな細孔構造を有する。よって、実質の表面積が非常に大きく、また、物質の細孔内での拡散、移動も円滑にすることができる。従って、本実施形態にて作製された多孔質体を用いれば、有機物、イオン性物質等多様な物質に対して良好な吸着材料を提供することができる。
また、該表面改質多孔質体は、基板上に膜状に形成することが可能であり、デバイス化に有利である。さらには、多孔質体を基板上にパターニングすることにより、該表面改質多孔質体も基板上に容易にパターニングすることも出来る。また、基板上に複数個表面改質多孔質体を形成し、それぞれ異なるシランカップリング剤を反応させて、それぞれ異なった性質の細孔表面を有する多孔質体を形成することもできる。よって、例えば、本実施形態によって作製された多孔質体を認識検出素子つまりセンサに適用すれば、基板上に高密度に集積することが可能となり、センサのマイクロシステム化において非常に有利である。
以下、実施例を用いてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、材料、反応条件等は、同様な構造の多孔質体が得られる範囲で自由に変えることが可能である。
以下、実施例1、2、3、4では表面改質多孔体を作製した例、実施例5、6には前記表面改質多孔体の表面改質を行った効果を示した例を示す。
本実施例は、共晶を形成する物質としてアルミニウムとシリコンを用いシリコン多孔質体を作製し、該多孔質体にシランカップリング剤オクタデシルトリメトキシシランを反応させて、疎水性物質と親和性の高い細孔表面を有する多孔質膜を作製した例である。
本実施例では基板としてノンドープのシリコン<111>基板を用いた。この基板上にシリコン多孔質体を形成する方法について説明する。
まず、前記基板上に200nmのアルミニウム−シリコン混合膜を成膜した。ターゲットは4インチのアルミニウムターゲット上に15mm角のシリコンチップを6枚おいたものであった。スパッタは、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:300Wの条件で行った。また、基板温度は室温とした。
ここではターゲットとして、アルミニウムターゲット上にシリコンチップを6枚置いたものを用いたが、シリコンチップの枚数はスパッタ条件により変化するため、これに限定されるものではなく、後述するような、柱状のアルミウムがシリコン中に分散した所望の構造が形成できるものであればよい。また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にシリコンチップを置いたものに限定したものではなく、シリコンターゲット上にアルミニウムチップを置いたものでもよいし、シリコンとアルミニウムの粉末を焼結したターゲットを用いてもよい。
さらに、本実施例ではスパッタリング法としてRFスパッタリング法を用いたが、これに限定されるものではなく、ECRスパッタリング法、DCスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法でもよい。さらに、スパッタリング条件は装置に依存しており、これに限定されるものではない。また、スパッタ法以外の蒸着法であっても、所望の構造体が形成できる方法であれば、本発明に適用可能である。
このようにして得られたアルミニウム−シリコン混合膜をICP(誘導結合型プラズマ発光分析)にて、アルミニウムとシリコンの全量に対する該シリコンの分量(atomic%)を分析した。その結果、アルミニウムとシリコンの全量に対する該シリコンの分量は約37atomic%であった。
また、電界放出走査型電子顕微鏡(FE−SEM)にて、以上のように作製されたアルミニウム−シリコン混合膜を観察したところ、シリコン部材に囲まれたほぼ円形の微細な柱状アルミニウムが二次元的に配列していた。柱状アルミニウム部分の画像処理より求めた平均径2rは5nmであり、その平均中心間隔2Rは10nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、膜の厚さLは200nmであり、それぞれの柱状アルミニウムの部分はお互いに独立していた。
また、X線回折法でこの薄膜試料を分析したところ、シリコンの回折線は確認できず、シリコンは非晶質であることがわかった。一方、複数のアルミニウムの回折線が確認できたことより、アルミニウムは多結晶であることが分かった。
以上のことから、非晶質シリコンに周囲を囲まれ、平均径5nm、平均厚さ200nmの結晶性の柱状アルミニウムが平均間隔10nmで配列されたアルミニウム−シリコン混合膜の作製が確認できた。
次に、上記のように得られたアルミニウム−シリコン混合膜を98%硫酸に浸漬し、アルミニウム柱状構造部分のみを選択的にエッチングして細孔を形成した。エッチング後の膜をFE−SEMで観察した結果、柱状のアルミニウムのみが除去され、多孔質膜になっていることが確認された。シリコン部の形状は、アルミニウム除去前と比較して実質的に変化していないことがわかった。この場合も断面をFE−SEMで観察したところ、アルミニウムは基板界面まで完全に除去されていることが明らかとなった。
以上の工程によって、基板上に基板に対してほぼ垂直な貫通孔を有するシリコン多孔質体を作製できた。
次に、上記方法により作製したシリコン多孔質体にシランカップリング処理を行った。
シリコン多孔質体を2重量%オクタデシルトリメトキシシランの水/メタノール溶液中に浸漬し、室温で10時間静置した後、80度で一時間加熱処理を行い、表面改質多孔質体を作製した。
この表面改質多孔質体に対して、赤外線吸光分析を行ったところ、メチレン基に由来すると考えられるピークが観測され、オクタデシルトリメトキシシランがシリコン多孔質体に結合したことが確認された。
また、前述のように、シランカップリング剤は酸化物表面の‐OH基と反応するので、多孔質体表面のシラノール基がシランカップリング処理後に減っていれば、シロキサン結合が形成したと考えられる。本実施例では赤外線吸光分析において、シランカップリング処理をおこなう前と比較して、シラノールに由来するピーク強度が減少したことから、多孔質体表面に酸素を介してシランカップリング剤のSiが結合したことを確認した。
本実施例は、共晶を形成する物質としてアルミニウムとゲルマニウムを用いゲルマニウムの多孔質体を作製し、該多孔質体にオクタデシルトリメトキシシランを反応させて、疎水性物質と親和性の高い細孔表面を有する多孔質体を作製した例である。
アルミニウムとゲルマニウムを用いた場合は、アルミニウムとシリコンを用いた場合より、比較的大きな細孔が作製できる傾向に有り、細孔内への拡散速度を上げたい場合や大きな物質を細孔内に導入したい場合に有用である。
本実施例では、基板にノンドープのシリコン<111>基板を用いた。この基板上にゲルマニウム多孔質膜を形成する方法について説明する。
まず、200nmのアルミニウム−ゲルマニウム混合膜を成膜した。ターゲットは4インチのアルミニウムターゲット上に15mm角のゲルマニウムチップを4枚おいたものである。スパッタは、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:1kWの条件で行った。また、基板温度は室温とした。
ここではターゲットとして、アルミニウムターゲット上にゲルマニウムチップを4枚置いたものを用いたが、ゲルマニウムチップの枚数はスパッタ条件により変化するため、これに限定されるものではなく、後述するような、柱状のアルミウムがゲルマニウム中に分散した所望の構造が形成できるものであればよい。また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にゲルマニウムチップを置いたものに限定したものではなく、ゲルマニウムターゲット上にアルミニウムチップを置いたものでもよいし、ゲルマニウムとアルミニウムの粉末を焼結したターゲットを用いてもよい。
さらに、ここではスパッタリング法としてRFスパッタリング法を用いたが、これに限定されるものではなく、ECRスパッタリング法、DCスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法でよい。さらに、スパッタリング条件は装置に依存しており、これに限定されるものではない。また、スパッタ法以外の蒸着法であっても、所望の構造体が形成できる方法であれば、本発明に適用可能である。
次に、このようにして得られたアルミニウム−ゲルマニウム混合膜をICP(誘導結合型プラズマ発光分析)にて、アルミニウムとゲルマニウムの全量に対する該ゲルマニウムの分量(atomic%)を分析した。その結果、アルミニウムとゲルマニウムの全量に対する該ゲルマニウムの分量は約37atomic%であった。
以上のように作製されたアルミニウム−ゲルマニウム混合膜を電界放出走査型電子顕微鏡(FE−SEM)にて観察したところ、ゲルマニウム部材に囲まれたほぼ円形の微細な柱状アルミニウムが二次元的に配列していた。柱状アルミニウム部分の画像処理より求めた平均径2rは15nmであり、その平均中心間隔2Rは20nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、膜の厚さLは200nmであり、それぞれの柱状アルミニウムの部分は互いに独立していた。
また、X線回折法でこの薄膜試料を分析したところ、ゲルマニウムの回折線は確認できず、ゲルマニウムは非晶質であることがわかった。一方、複数のアルミニウムの回折線が確認できたことにより、アルミニウムは多結晶であることが分かった。
以上のことから、非晶質ゲルマニウムに周囲を囲まれた、径2rが15nm、間隔2Rが20nm、厚さLが200nm、の結晶性の柱状アルミニウムを含んだアルミニウム−ゲルマニウム混合膜の作製が確認できた。
次に、このアルミニウム−ゲルマニウム構造体を98%硫酸中に浸し、アルミニウム柱状構造部分のみを選択的にエッチングして細孔を形成した。
エッチング後の膜をFE−SEMで観察した結果、柱状のアルミニウムのみが除去され、多孔質膜になっていることが確認された。ゲルマニウム部の形状は、アルミニウム除去前と比較して実質的に変化していないことがわかった。この場合も断面をFE−SEMで観察したところ、アルミニウムは基板界面まで完全に除去されていることが明らかとなった。以上の工程によって、基板上に基板に対してほぼ垂直な貫通孔を有するゲルマニウム多孔質体を作製できた。
次に、上記方法により作製したゲルマニウム多孔質体にシランカップリング処理を行った。
ゲルマニウム多孔質体を2重量%オクタデシルトリメトキシシランの水/メタノール溶液中に浸漬し、室温で10時間静置した後、80℃で一時間加熱処理を行い、表面改質多孔質体を作製した。
また、実施例1と同様な方法で、オクタデシルトリメトキシシランがゲルマニウム多孔質体に結合したこと、多孔質体表面に酸素を介してシランカップリング剤のSiが結合したことを確認した。
本実施例は、共晶を形成する物質としてアルミニウムとシリコン、ゲルマニウムを用いシリコンゲルマニウムの多孔質体を作製し、該多孔質体にシランカップリング剤オクタデシルトリメトキシシランを反応させて、疎水性物質と親和性の高い細孔表面を有する多孔質体を作製した例である。
本実施例では基板としてノンドープのシリコン<111>基板を用いた。この基板上にシリコンゲルマニウム多孔質膜を形成する方法について説明する。
まず、前記基板上に200nmのアルミニウム−シリコンゲルマニウム混合膜を成膜した。ターゲットには、直径が4インチのアルミニウムターゲット上に、15mm角のゲルマニウムチップとシリコンチップを各々2枚置いたものを用いた。スパッタは、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:300Wとした。また、基板温度は室温とした。
ここではターゲットとして、アルミニウムターゲット上にシリコンチップとゲルマニウムチップを各2枚置いたものを用いたが、シリコン及びゲルマニウムチップの枚数はスパッタ条件により変化するため、これに限定されるものではなく、後述するような、柱状のアルミウムがシリコンゲルマニウム混合物中に分散した所望の構造が形成できるものであればよい。また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にシリコン及びゲルマニウムチップを置いたものに限定したものではなく、シリコンターゲット上にゲルマニウムチップやアルミニウムチップを置いたものでもよいし、ゲルマニウムターゲット上にシリコンチップやアルミニウムチップを置いたものでもよいし、シリコンとゲルマニウムとアルミニウムの粉末を焼結したターゲットを用いてもよい。
さらに、本実施例ではスパッタリング法としてRFスパッタリング法を用いたが、これに限定されるものではなく、ECRスパッタリング法、DCスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法でもよい。さらに、スパッタリング条件は装置に依存しており、これに限定されるものではない。また、スパッタ法以外の蒸着法であっても、所望の構造体が形成できる方法であれば、本発明に適用可能である。
このようにして得られたアルミニウム−シリコン混合膜をICP(誘導結合型プラズマ発光分析)にて、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対するシリコン、ゲルマニウムの総量(atomic%)を分析した。その結果、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対するシリコン、ゲルマニウムの総量は約38atomic%であった。
また、電界放出走査型電子顕微鏡(FE−SEM)にて、以上のように作製されたアルミニウムとシリコンゲルマニウム混合膜を観察したところ、シリコンゲルマニウム部材に囲まれたほぼ円形の微細な柱状アルミニウムが二次元的に配列していた。柱状アルミニウム部分の画像処理より求めた平均径2rは7nmであり、その平均中心間隔2Rは10nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、膜の厚さLは200nmであり、それぞれの柱状アルミニウムの部分はお互いに独立していた。
また、X線回折法でこの薄膜試料を分析したところ、シリコン及びゲルマニウムの回折線は確認できず、シリコン及びゲルマニウムは非晶質であることがわかった。一方、複数のアルミニウムの回折線が確認できたことより、アルミニウムは多結晶であることが分かった。
以上のことから、非晶質材料に周囲を囲まれ、平均径7nm、平均厚さ200nmの結晶性の柱状アルミニウムが平均間隔10nmで配列されたアルミニウム−シリコンゲルマニウム混合膜の作製が確認できた。
次に、上記のように得られたアルミニウム−シリコンゲルマニウム混合膜を98%硫酸に浸漬し、アルミニウム柱状構造部分のみを選択的にエッチングして細孔を形成した。エッチング後の膜をFE−SEMで観察した結果、柱状のアルミニウムのみが除去され、多孔質膜になっていることが確認された。シリコンゲルマニウム部の形状は、アルミニウム除去前と比較して実質的に変化していないことがわかった。この場合も断面をFE−SEMで観察したところ、アルミニウムは基板界面まで完全に除去されていることが明らかとなった。
以上の工程によって、基板上に基板に対してほぼ垂直な貫通孔を有するシリコンゲルマニウム混合多孔質体を作製できた。
次に、上記方法により作製したシリコンゲルマニウム多孔質体にシランカップリング処理を行った。
シリコンゲルマニウム多孔質体を2重量%オクタデシルトリメトキシシランの水/メタノール溶液中に浸漬し、室温で10時間静置した後、80℃で一時間加熱処理を行い、表面改質多孔質体を作製した。
また、実施例1と同様な方法で、オクタデシルトリメトキシシランがシリコンゲルマニウム多孔質体に結合したこと、多孔質体表面に酸素を介してシランカップリング剤のSiが結合したことを確認した。
本実施例は、共晶を形成する物質としてアルミニウムとシリコンを用い酸化シリコンの多孔質体を作製し、該多孔質体にシランカップリング剤N-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(TPTCA)を反応させて、アニオン性物質の吸着能が高い細孔表面を有する多孔質体を作製した例である。酸化シリコン多孔質体は透明であるため、着色性の物質を細孔内に導入する場合等に有用である。
本実施例では基板としてノンドープのシリコン<111>基板を用いた。この基板上に酸化シリコン多孔質体を形成する方法について説明する。
まず、実施例1と同様に前記基板上に200nmのアルミニウム−シリコン混合膜を形成した。
次に、前記アルミニウム−シリコン混合膜を実施例1と同様に98%硫酸に浸漬し、アルミニウム柱状構造部分のみを選択的にエッチングして細孔を形成し、基板上に基板に対してほぼ垂直な貫通孔を有するシリコンの多孔質体を作製した。
次に、作製されたシリコン多孔質体を酸素雰囲気中で加熱した。ここでは、大気圧で酸素を50sccm流しながら、800℃で2時間加熱した。この結果、酸化シリコン多孔質体が作製された。酸化シリコンの形成は、広域電子エネルギー損失構造解析(EELS)により確認された。酸化処理を行った後の多孔質膜をFE−SEMで観察した結果、細孔径にはほとんど変化が認められなかった。
次に、上記方法により作製した酸化シリコン多孔質体にシランカップリング処理を行った。
酸化シリコン多孔質体を50重量%N-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(TPTCA)のメタノール溶液中に浸漬し、室温で10時間静置した後、エタノール、純水で十分に洗浄を行い、その後室温で乾燥し、表面改質多孔質体を作製した。
また、実施例1と同様な方法で、N-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(TPTCA)が酸化シリコン多孔質体に結合したこと、多孔質体表面に酸素を介してシランカップリング剤のSiが結合したことを確認した。
尚、N-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(TPTCA)の存在確認は、メチレン基由来のピーク及び、アンモニウム基由来のピークの観測によることとした。
本実施例では、実施例1で作製した表面改質多孔質体(以下、多孔質体1と称する)と実施例2で作製した表面改質多孔質体(以下、多孔質体2と称する)と、実施例3で作製した表面改質多孔質体(以下、多孔質体3と称する)を、疎水性物質を吸着する吸着材料として用いた例を示す。
まず、実施例1と同様にシリコン多孔質体を作製し、オクタデシルトリメトキシシランとの反応操作を行わないものを、比較例1とした。
次に、実施例2と同様にゲルマニウム多孔質体を作製し、オクタデシルトリメトキシシランとの反応操作を行わないものを、比較例2とした。
次に、実施例3と同様にシリコンゲルマニウム多孔質体を作製し、オクタデシルトリメトキシシランとの反応操作を行わないものを、比較例3とした。
次に、多孔質体1、2、3及び、比較例1、2、3のサンプルをそれぞれ別に1.0×10−5Mの7,8-ベンゾキノリン水溶液に撹拌しながら浸漬した。
その後、溶液から多孔質体1、2、3、及び比較例1、2、3のサンプルを取り出し、多孔質体、及びサンプルの赤外線吸光分析を行い、スペクトルを比較した。
その結果、多孔質体1、2、3についてのスペクトルでは、7,8-ベンゾキノリンに由来する3060cm-1及び、1400cm-1付近のピークが観測され、多孔質体1、2、3に7,8-ベンゾキノリンが吸着していることが確認された。
一方、比較例1、2、3についてのスペクトルでは、7,8-ベンゾキノリンに由来する3060cm-1及び、1400cm-1付近のピークの強度は非常に弱く、比較例1、2、3のサンプルには7,8-ベンゾキノリンがほとんど吸着していないことが確認された。
以上の結果から、本実施例では、本発明により作製されたシリコン多孔質体にシランカップリング剤を反応させた表面改質多孔質体、ゲルマニウム多孔質体にシランカップリング剤を反応させた表面改質多孔質体、及び、シリコンゲルマニウム多孔質体にシランカップリング剤を反応させた表面改質多孔質体が、疎水性物質に対して良好な吸着材料となりうることが確認された。
本実施例では、実施例4で作製した表面改質多孔質体(以下、多孔質体4と称する)を、アニオン性物質を吸着する吸着材料として用いた例を示す。
まず、基板には石英基板を用い、実施例4と同様な方法で酸化シリコン多孔質体を作製し、N-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(TPTCA)との反応操作を行って多孔質体4とした。尚、酸化処理後の酸化シリコン多孔質体、及びシランカップリング剤処理後の多孔質体4は無色透明であった。
また、N-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(TPTCA)との反応操作を行わないものを、比較例4のサンプルとした。比較例4のサンプルも多孔質体4と同様に透明であった。
次に、多孔質体4、及び、比較例4のサンプルをそれぞれ別にアニオン性染料であるダイレクトブルー199の0.5重量%水溶液に一時間浸漬し静置した。
その後、溶液から多孔質体4、及び比較例4のサンプルを取り出し、それぞれ、エタノールで洗浄し、表面に過剰に付着した染料を除去し、室温で乾燥した。
その後、多孔質体4と比較例4のサンプルを比較したところ、多孔質体4は青色に染色し、アニオン性染料が吸着されたことが確認された。その後、多孔質体4を水で洗浄しても青色の染料の溶出がほとんど見られなかったことから、多孔質体4はアニオン性染料を強く保持していることが確認された。
一方、比較例4のサンプルはほとんど着色せず透明なままであり、アニオン性染料がほとんど吸着していないことが確認された。
以上の結果から、本実施例では、本発明により作製された酸化シリコン多孔質体にシランカップリング剤を反応させた表面改質多孔質体がアニオン性物質に対して良好な吸着材料となりうることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、疎水性、親水性、極性、無極性等細孔表面に所望の性質を有し、非常に微細で、ストレート形状の細孔構造を有する多孔質体を作製することができる。よって、種々の特性を持った物質に対して、良好な吸着材料、認識材料を提供することができる。
本発明の実施形態に係る表面改質多孔質体の構造を示す模式的な断面図である。 本発明の実施形態による柱状物質が形成された混合膜の構造を示す模式図である。 本発明の実施形態による多孔質体の構造を示す模式図である。 (A)〜(D)は、本発明の実施形態に係る表面改質多孔質体の作製方法の一例を示す模式的な断面図である。
符号の説明
11 表面改質多孔質体
12 細孔
13 表面改質層
14 基板
21 基板
22 柱状物質
23 他の成分のマトリクス
24 混合膜
31 基板
32 細孔
33 多孔質体
41 基板
42 柱状物質
43 他成分のマトリクス
44 混合膜
45 細孔
46 多孔質体
47 表面改質多孔質体
48 表面改質層

Claims (10)

  1. 第一の成分を含み構成されている柱状物質が第一の成分と共晶を形成し得る第二の成分を含み構成される部材中に分散している構造体を用意する工程、前記第一の成分を含み構成されている柱状物質を選択的に除去する工程、及び前記柱状物質を除去して形成された柱状孔の表面に前記第一、第二の成分、及びそれらの酸化物以外の物質を形成する工程とを含むことを特徴とする多孔質体の製造方法。
  2. 前記柱状物質を除去して形成された柱状孔の表面に、前記第一、第二の成分、及びそれらの酸化物以外の物質を形成する工程が、前記柱状物質を除去して形成された柱状孔の表面に、該多孔質体を形成する第二の成分の元素と酸素を介して有機ケイ素化合物のケイ素を結合させる工程であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質体の製造方法。
  3. 第一の成分を含み構成されている柱状物質が第一の成分と共晶を形成し得る第二の成分を含み構成される部材中に分散している構造体を用意する工程、前記第一の成分を含み構成されている柱状物質を選択的に除去する工程、さらに前記柱状物質を除去した後の柱状孔を有する多孔質体に化学処理を施す工程、及び前記化学処理後の多孔質体の孔表面に前記第一、第二の成分、及びそれらの酸化物以外の物質を形成する工程とを含むことを特徴とする多孔質体の製造方法。
  4. 前記化学処理が酸化処理であることを特徴とする請求項3に記載の多孔質体の製造方法。
  5. 前記化学処理後の多孔質体の孔表面に前記第一、第二の成分、及びそれらの酸化物以外の物質を形成する工程が、前記化学処理後の多孔質体の孔表面に、該多孔質体を形成する第二の成分の元素と酸素を介して有機ケイ素化合物のケイ素を結合させる工程であることを特徴とする請求項3乃至4のいずれかに記載の多孔質体の製造方法。
  6. 第一の成分を含み構成されている柱状物質が第一の成分と共晶を形成し得る第二の成分を含み構成される部材中に分散している構造体から前記柱状物質を除去して形成されている柱状の孔を有する多孔質体であって、前記多孔質体の孔表面に、前記第一、第二の成分、及びそれらの酸化物以外の物質が形成されていることを特徴とする多孔質体。
  7. 前記柱状の孔を有する多孔質体が、酸化物からなることを特徴とする請求項6に記載の多孔質体。
  8. 前記多孔質体の孔表面に形成されている第一、第二の成分、及びそれらの酸化物以外の物質が、有機ケイ素化合物であり、前記多孔質体の孔表面に、該多孔質体を形成する第二の成分の元素と酸素を介して、有機ケイ素化合物のケイ素が結合していることを特徴とする請求項6乃至7のいずれかに記載の多孔質体。
  9. 前記第一の成分がアルミニウムであり、第二の成分がシリコン、ゲルマニウム、シリコンとゲルマニウムの混合物のうちのいずれかであり、且つ、前記構造体の組成に占める第二の成分の割合が、20 atomic % 以上70 atomic % 以下であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の多孔質体。
  10. 前記柱状の孔の直径が0.5 ナノメートル以上20 ナノメートル以下であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の多孔質体。
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