JP2005055495A - トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005055495A
JP2005055495A JP2003205986A JP2003205986A JP2005055495A JP 2005055495 A JP2005055495 A JP 2005055495A JP 2003205986 A JP2003205986 A JP 2003205986A JP 2003205986 A JP2003205986 A JP 2003205986A JP 2005055495 A JP2005055495 A JP 2005055495A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
toner
structural formula
image
examples
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003205986A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Takada
毅 高田
Sonoo Matsuoka
園生 松岡
Chiaki Tanaka
千秋 田中
Shinko Watanabe
真弘 渡邊
Masahide Yamada
雅英 山田
Masahiro Oki
正啓 大木
Ryuta Inoue
竜太 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2003205986A priority Critical patent/JP2005055495A/ja
Publication of JP2005055495A publication Critical patent/JP2005055495A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】着色剤の分散性が良好で、色再現範囲が広く、透明性及び精彩性を十分に改善でき、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画質が得られるトナー等の提供。
【解決手段】活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を反応させて水系媒体中で接着性基材を生成しつつ粒子状に得られ、可溶性顔料前駆物質から変換されてなる不溶性顔料を含むトナー。接着性基材がポリエステルを含む態様、ポリエステルがウレア変性ポリエステルを含む態様、可溶性顔料前駆物質がA(D)x(式(1))に示す態様等が好ましい。Aは少なくとも1種の発色団の残基を表し、Aはその一部に含まれている窒素原子を介してx個のDと結合している。Dは水素原子又は式(2)に示す基を表し、その少なくとも1つが式(2)に示す基を表す。xは1〜4の整数を表す。式(2)中、Qは水素原子又は式(3)に示す基を表す。
【化1】
Figure 2005055495

【化2】
Figure 2005055495

【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において感光体上に形成された静電荷像を現像するのに好適なトナー及びその製造方法、並びに、該トナーを用いた現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法による画像形成は、一般に、感光体(静電荷像担持体)上に静電荷像を形成し、該静電荷像を現像剤で現像して可視像(トナー像)とした後、該可視像を紙等の記録媒体に転写し定着することにより定着像とする一連のプロセスにより行われる(特許文献1及び2等参照)。該電子写真法による画像形成においては、従来より、フルカラー画像を形成することが検討されてきている。ところが、一般に、前記電子写真法により形成したフルカラー画像の場合、銀塩写真法や印刷法により形成したフルカラー画像に比し、色再現範囲が狭く、見慣れたユーザーの目で判断すると画質の点で未だ十分なレベルに達していない。前記電子写真法により形成したフルカラー画像を、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する程度に高画質化させるためには、前記電子写真法に用いるトナー中に含まれる色材(着色剤)として、色再現範囲が広いものを用いることが必要となる。しかし、従来より前記色材(着色剤)として汎用されてきた顔料の場合、染料に比し耐光性及び耐熱性には優れるものの、前記トナー中での分散性が悪く、均一に分散可能なものが少ないため、選択の幅が狭いという問題がある。その結果、該顔料を含むトナーを用いてフルカラー画像を形成した場合には、色再現範囲が狭く、透明性、精彩性、画像濃度等が十分ではないという問題がある。そこで、前記色材(着色剤)を、高分子分散助剤と、該顔料と該高分子分散剤と強く相互作用する化合物(シナージスト)とによって分散してなるトナーも提案されているが(特許文献3参照)、該トナーの場合、前記色材(着色材)の種類によっては分散性が十分ではないため、色再現範囲がやや狭く、透明性及び精彩性を十分に改善することができないという問題がある。
【0003】
ところで、カラーフィルタ製造用インク等において、化学的手段や熱的手段等により不溶性顔料に変換可能な可溶性顔料前駆物質を用いることが提案されている(特許文献4〜10等参照)。該可溶性顔料前駆物質は、染料及び顔料の利点を併せ持ち、不溶性顔料に変換される前においては、染料と同様に溶剤に対し可溶性であり、均一分散が可能である一方、不溶性顔料に変換された後においては、前記溶剤に対し不溶性であり、耐光性、耐候性及び耐熱性等に優れる。そこで、該可溶性顔料前駆物質を前記トナーにおける前記色材(着色剤)として用いることも考えられる。しかしながら、該可溶性顔料前駆物質を用いて、粉砕法によりトナーを製造すると、即ち該可溶性顔料前駆体を添加したバインダー樹脂を溶融混練し粉砕してトナーを製造すると、溶融混練時に該可溶性顔料前駆物質が不溶性顔料に変換されてしまい、顔料の分散性が十分ではないため、得られたトナーを用いてフルカラー画像を形成しても、色再現範囲がやや狭く、透明性及び精彩性を十分に改善することができないという問題がある。
【0004】
近時、カラー複写機やカラープリンタ等を用いた電子写真による画像形成に関し、様々な角度から高画質化が検討されてきている。該高画質化には、トナーの小径化及び球形化が有効であるが、トナーを小径化すると転写性及び定着性が低下しまう一方、トナーを球形化するとクリーニング性が低下してしまうことが知られている(特許文献11の従来技術の欄等参照)。そして、前記高画質化に加え、更に高速化も検討されてきており、より高速化に対応するためには、迅速な定着性が必要とされる。
【0005】
従来においては、耐凝集性、帯電性、流動性、転写性、定着性等の諸特性に優れ、着色剤の分散性が良好で、色再現範囲が広く、透明性及び精彩性を十分に改善でき、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画質が得られるトナー及びその効率的な製造方法、並びに、該トナーを用いた関連技術は、未だ提供されていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第2297691号明細書
【特許文献2】
特公昭43−24748号公報
【特許文献3】
特開平11−231572号公報
【特許文献4】
特開平7−188234号公報
【特許文献5】
特開平8−6242号公報
【特許文献6】
特開平7−196939号公報
【特許文献7】
特開平9−48929号公報
【特許文献8】
特開2000−28820号公報
【特許文献9】
特開2000−319078号公報
【特許文献10】
特開2001−81350号公報
【特許文献11】
特開平9−258474号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、耐凝集性、帯電性、流動性、転写性、定着性等の諸特性に優れ、着色剤の分散性が良好で、色再現範囲が広く、透明性及び精彩性を十分に改善でき、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画質が得られるトナー及びその効率的な製造方法、並びに、該トナーを用い、高画質化が可能な、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
<1> 活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を反応させて水系媒体中で接着性基材を生成しつつ粒子状に得られ、可溶性顔料前駆物質から変換されてなる不溶性顔料を含むことを特徴とするトナーである。
<2> 可溶性顔料前駆物質が下記構造式(1)で表される前記<1>に記載のトナーである。
A(D)x 構造式(1)
ただし、前記構造式(1)中、Aは、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジン、フタロシアニン、ジケトピロロピロール及びアゾ系列から選択される少なくとも1種の発色団の残基を表し、該Aは、その一部に含まれている窒素原子を介してx個のDと結合している。Dは、水素原子、又は下記構造式(2)で表される基を表し、その少なくとも1つが下記構造式(2)で表される基を表す。xは、1〜4の整数を表す。
【化9】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(2)中、Qは、水素原子、又は下記構造式(3)で表される基を表す。
【化10】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(3)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、又は炭化水素基を表す。Zは、置換基を表す。
<3> 構造式(3)中のZが、下記構造式(4)から(6)のいずれかの基を表す前記<2>に記載のトナーである。
【化11】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(4)中、R〜Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、又は炭化水素基を表す。
【化12】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(5)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又は下記構造式(7)から(9)のいずれかで表される基を表す。
【化13】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(6)中、nは、1〜5の整数を表す。Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、又は下記構造式(7)〜(9)で表されるいずれかの基を表し、nが2以上の場合、Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【化14】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(7)中、Rは、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
【化15】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(8)中、Rは、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。mは、1〜5の整数を表す。
【化16】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(9)中、R10は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
<4> 接着性基材がポリエステル樹脂を含む前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> ポリエステル樹脂がウレア変性ポリエステル樹脂を含む前記<4>に記載のトナーである。
<6> 活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を水系媒体中で分散させかつ反応させて接着性基材を生成させつつトナーを得る接着性基材生成工程と、可溶性顔料前駆物質を変換し不溶性顔料を生成させる顔料生成工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
<7> 顔料生成工程において、化学的手段、熱的手段、光分解的手段及び照射誘導手段から選択される少なくとも1つにより、可溶性顔料前駆物質を変換し不溶性顔料を生成させる前記<6>に記載のトナーの製造方法である。
<8> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤である。
<9> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーを容器中に収容してなることを特徴とするトナー入り容器である。
【0009】
本発明のトナーは、活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を反応させて水系媒体中で接着性基材を生成しつつ粒子状に得られ、可溶性顔料前駆物質から変換されてなる不溶性顔料を含む。本発明のトナーに含まれる前記不溶性顔料は、該トナーの製造前においては前記可溶性顔料前駆体の状態で存在し、該トナーの固形分材料を含む溶剤中に均一に溶解乃至分散されているため、該可溶性顔料前駆体が前記不溶性顔料に変換されて得られた前記トナー中には、該不溶性顔料が高度に分散されている。このため、本発明のトナーは、色再現範囲が広く、透明性及び精彩性を十分に改善でき、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画質が得られる。また、該トナーは、前記活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を水系媒体中で反応させてなる前記接着性基材を含むので、耐凝集性、帯電性、流動性、転写性、定着性等の諸特性に優れる。
【0010】
なお、本発明のトナーにおいては、後述する構造式(3)中のZが、後述する構造式(10)から(12)で表されるいずれかの基である態様、後述する炭化水素基が、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルスルホニル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基及びこれらを置換基で更に置換された基から選択される態様、前記可溶性顔料前駆物質が後述する構造式(13)から(18)で表されるいずれかである態様、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体がポリエステル樹脂である態様、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体がウレア結合生成基で変性されている態様、非反応性ポリエステル樹脂、離型剤及び帯電制御剤から選択される少なくとも1種を含む態様、分光計を用いて測定した彩度(C*)が72以上である態様、ヘーズ度の値が20%未満である態様、分光計を用いて測定した画像濃度値が1.90以上である態様、質量平均粒径が4〜8μmであり、かつ質量平均粒子径と個数平均粒子径との比(質量平均粒径/個数平均粒径)が1.00〜1.25である態様、平均円形度が0.940〜0.995である態様、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーから選択される少なくとも1種である態様、などが好ましい。
【0011】
本発明のトナーの製造方法は、活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を水系媒体中で分散させかつ反応させて接着性基材を生成させつつ該トナーバインダーによる粒子を得る接着性基材生成工程と、可溶性顔料前駆物質を変換し不溶性顔料を生成させる顔料生成工程とを含む。本発明のトナーの製造方法においては、前記接着性基材生成工程において、活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が水系媒体中で分散されかつ反応されて接着性基材が生成され、トナーが得られる。前記顔料生成工程において、可溶性顔料前駆物質が変換され不溶性顔料が生成される。本発明のトナーの製造方法においては、原料である前記不溶性顔料が、該トナーの製造前においては前記可溶性顔料前駆体の状態で存在し、該トナーの固形分材料を含む溶剤中に均一に溶解乃至分散されているため、該可溶性顔料前駆体が前記不溶性顔料に変換されて得られた前記トナー中に、該不溶性顔料が高度に分散されている。その結果、着色剤を極度に微分散させるための特別な工程等が不要であり、耐凝集性、帯電性、流動性、転写性、定着性等の諸特性に優れ、着色剤の分散性が良好で、色再現範囲が広く、透明性及び精彩性を十分に改善でき、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画質が得られるトナーが効率よく製造される。
なお、本発明のトナーの製造方法においては、水系媒体が樹脂微粒子を含む態様、樹脂微粒子が、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種で形成された態様などが好ましい。
【0012】
本発明の現像剤は、前記本発明のトナーを含む。このため、該現像剤を用いて電子写真法により画像形成を行うと、色再現範囲が広く、透明性及び精彩性を十分に改善でき、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画質が得られる。
なお、本発明の現像剤においては、一成分現像剤及び二成分現像剤のいずれかである態様などが好ましい。
【0013】
本発明のトナー入り容器は、前記本発明のトナーを容器中に収容してなる。このため、該トナー入り容器に収容されたトナーを用いて電子写真法により画像形成を行うと、色再現範囲が広く、透明性及び精彩性を十分に改善でき、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画質が得られる。
【0014】
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像を前記本発明のトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有する。該プロセスカートリッジは、画像形成装置に着脱可能であり、利便性に優れ、また、前記本発明のトナーを用いるので、色再現範囲が広く、透明性及び精彩性を十分に改善でき、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画質が得られる。
【0015】
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像を前記本発明のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する。該画像形成装置においては、前記静電潜像形成手段が、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する。前記現像手段が、該静電潜像を前記本発明のトナーを用いて現像して可視像を形成する。前記転写手段が、前記可視像を記録媒体に転写する。前記定着手段が、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる。その結果、色再現範囲が広く、透明性、精彩性が高く、銀塩写真及び印刷画像に匹敵する高画質な画像が形成される。
【0016】
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を前記本発明のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む。該画像形成装置においては、前記静電潜像形成工程において、静電潜像担持体上に静電潜像が形成される。前記現像工程において、前記静電潜像が前記本発明のトナーを用いて現像され、可視像が形成される。前記転写工程において、前記可視像が記録媒体に転写される。前記定着工程において、前記記録媒体に転写された転写像が定着される。その結果、色再現範囲が広く、透明性、精彩性が高く、銀塩写真及び印刷画像に匹敵する高画質な画像が形成される。
【0017】
【発明の実施の形態】
(トナー)
本発明のトナーは、活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を反応させて水系媒体中で接着性基材を生成しつつ粒子状に得られ、可溶性顔料前駆物質から変換されてなる不溶性顔料を含み、更に必要に応じて、離型剤、樹脂微粒子、非反応性ポリエステル樹脂、帯電制御剤等のその他の成分を含む。
【0018】
−接着性基材−
前記接着性基材は、紙等の記録媒体に対し接着性を示し、前記活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を前記水系媒体中で反応させてなるポリマーを少なくとも含み、更に必要に応じて公知のバインダー樹脂から適宜選択した他のバインダーを含んでいてもよい。
【0019】
前記接着性基材の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,000以上が好ましく、2,000〜10,000,000がより好ましく、3,000〜1,000,000が特に好ましい。
前記重量平均分子量が、1,000未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0020】
前記接着性基材のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30〜70℃が好ましく、40〜65℃がより好ましい。
前記ガラス転移温度(Tg)が、30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が十分でないことがある。
【0021】
前記接着性基材の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ポリエステル系樹脂、などが特に好適に挙げられる。
前記ポリエステル系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレア変性ポリエステル系樹脂、などが特に好適に挙げられる。
前記ウレア変性ポリエステル系樹脂は、前記活性水素基含有化合物としてのアミン類(B)と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体としてのイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)とを前記水系媒体中で反応させて得られる。
前記ウレア変性ポリエステル系樹脂は、ウレア結合のほかに、ウレタン結合を含んでいてもよく、この場合、該ウレア結合と該ウレタン結合との含有モル比(ウレア結合/ウレタン結合)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が特に好ましい。
前記ウレア結合が10未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0022】
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の好ましい具体例としては、以下(1)から(10)、即ち、(1)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、(2)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(3)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(4)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(5)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーを、ヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(6)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(7)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをエチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(8)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、(9)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸/ドデセニルコハク酸無水物の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(10)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、などが好適に挙げられる。
【0023】
−−活性水素基含有化合物−−
前記活性水素基含有化合物は、前記水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。
前記活性水素基含有化合物としては、活性水素基を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)である場合には、該イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)と伸長反応、架橋反応等の反応により高分子量化可能な点で、前記アミン類(B)が好適である。
前記活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルコール性水酸基、が特に好ましい。
【0024】
前記アミン類(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)など、が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン(B1)、ジアミン(B1)と少量の3価以上のポリアミン(B2)との混合物、が特に好ましい。
【0025】
前記ジアミン(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン、などが挙げられる。該芳香族ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。該脂環式ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。該脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
前記3価以上のポリアミン(B2)としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、などが挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、などが挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、などが挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸、などが挙げられる。
前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば、前記(B1)から(B5)のいずれかのアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物、などが挙げられる。
【0026】
なお、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体との伸長反応、架橋反応等を停止させるには、反応停止剤を用いることができる。該反応停止剤を用いると、前記接着性基材の分子量等を所望の範囲に制御することができる点で好ましい。該反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、又はこれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)、などが挙げられる。
【0027】
前記アミン類(B)と、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)との混合比率としては、前記イソシアネート基含有プレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、前記アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3〜3/1であるのが好ましく、1/2〜2/1であるのがより好ましく、1/1.5〜1.5/1であるのが特に好ましい。
前記混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがあり、3/1を超えると、前記ウレア変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0028】
−−活性水素基含有化合物と反応可能な重合体−−
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(以下「プレポリマー」と称することがある)としては、前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を少なくとも有しているものであれば特に制限はなく、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの誘導体樹脂、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
【0029】
前記プレポリマーにおける前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、特に制限はなく、公知の置換基等の中から適宜選択することができるが、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基、などが挙げられる。
これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。これらの中でも、イソシアネート基が特に好ましい。
【0030】
前記プレポリマーの中でも、高分子成分の分子量を調節し易く、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着特性、特に定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構のない場合でも良好な離型性及び定着性を確保できる点で、ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)であるのが特に好ましい。
前記ウレア結合生成基としては、例えば、イソシアネート基、などが挙げられる。前記ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)における該ウレア結合生成基が該イソシアネート基である場合、該ポリエステル樹脂(RMPE)としては、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)などが特に好適に挙げられる。
【0031】
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物であり、かつ前記活性水素基含有ポリエステル樹脂をポリイソシアネート(PIC)と反応させてなるもの、などが挙げられる。
【0032】
前記ポリオール(PO)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール(DIO)、3価以上のポリオール(TO)、ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ジオール(DIO)単独、又は前記ジオール(DIO)と少量の前記3価以上のポリオール(TO)との混合物、などが好ましい。
【0033】
前記ジオール(DIO)としては、例えば、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、などが挙げられる。
前記アルキレングリコールとしては、炭素数2〜12のものが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。前記アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。前記脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記脂環式ジオールに対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。前記ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA 、ビスフェノールF 、ビスフェノールS等が挙げられる。前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記ビスフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの混合物が特に好ましい。
【0034】
前記3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、3価以上の多価脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、などが挙げられる。
前記3価以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記3価以上のポリフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
【0035】
前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合物における、前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合質量比(DIO:TO)としては、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
【0036】
前記ポリカルボン酸(PC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸との混合物、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジカルボン酸(DIC)単独、又はDICと少量の3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物が好ましい。
前記ジカルボン酸としては、例えば、アルキレンジカルボン酸、アルケニレンジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、などが挙げられる。
前記アルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。前記アルケニレンジカルボン酸としては、炭素数4〜20のものが好ましく、例えば、マレイン酸、フマール酸等が挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜20のものが好ましく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
【0037】
前記3価以上のポリカルボン酸(TO)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、芳香族ポリカルボン酸、などが挙げられる。
前記芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20のものが好ましく、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0038】
前記ポリカルボン酸(PC)としては、前記ジカルボン酸(DIC)、前記3価以上のポリカルボン酸(TC)、及び、前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸との混合物、から選択されるいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステル物を用いることもできる。前記低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
【0039】
前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物における前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合質量比(DIC:TC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
【0040】
前記ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)とを重縮合反応させる際の混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ポリオール(PO)における水酸基[OH]と、前記ポリカルボン酸(PC)におけるカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が、通常、2/1〜1/1であるのが好ましく、1.5/1〜1/1であるのがより好ましく、1.3/1〜1.02/1であるのが特に好ましい。
【0041】
前記ポリオール(PO)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0042】
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらのフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの、などが挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。前記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。前記イソシアヌレート類としては、例えば、トリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート等が挙げられる。
これらは、1種単独でも使用することができ、2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記ポリイソシアネート(PIC)と、前記活性水素基含有ポリエステル樹脂(例えば水酸基含有ポリエステル樹脂)とを反応させる際の混合比率としては、該ポリイソシアネート(PIC)におけるイソシアネート基[NCO]と、該水酸基含有ポリエステル樹脂における水酸基[OH]との混合当量比([NCO]/[OH])が、通常、5/1〜1/1であるのが好ましく、4/1〜1.2/1でるのがより好ましく、3/1〜1.5/1であるのが特に好ましい。
前記イソシアネート基[NCO]が、5を超えると、低温定着性が悪化することがあり、1未満であると、耐オフセット性が悪化することがある。
【0044】
前記ポリイソシアネート(PIC)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が更に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0045】
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)の1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、1以上が好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4がより好ましい。
前記イソシアネート基の平均数が、1未満であると、前記ウレア結合生成基で変性されているポリエステル樹脂(RMPE)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0046】
−−水系媒体−−
前記水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、該水と混和可能な溶剤、これらの混合物、などが挙げられる。
前記水と混和可能な溶剤としては、前記水と混和可能であれば特に制限はなく、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類、などが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。前記セルソルブ類としては、例えば、メチルセルソルブ等が挙げられる。前記低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
−不溶性顔料−
前記不溶性顔料としては、可溶性顔料前駆物質から変換されたものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記可溶性顔料前駆物質としては、例えば、不溶性顔料における発色団骨格に溶剤可溶性の側鎖が導入されてなる構造を有するもの、などが挙げられ、具体的には、例えば、下記構造式(1)で表される化合物、などが好ましい。
【0048】
A(D)x 構造式(1)
前記構造式(1)中、Aは、例えば、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジン、フタロシアニン、ジケトピロロピロール及びアゾから選択される少なくとも1種の発色団残基を表し、その詳細は後述する。該Aは、その一部に含まれている窒素原子を介してx個のDと結合している。前記Dは、水素原子、又は下記構造式(2)で表される基を表し、その少なくとも1つが下記構造式(2)で表される基を表す。xは、1〜4の整数を表す。
【0049】
【化17】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(2)中、Qは、水素原子、又は下記構造式(3)で表される基を表す。
【0050】
【化18】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(3)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、又は炭化水素基を表す。Zは、置換基を表し、該置換基としては、下記構造式(4)から(6)のいずれかの基が好ましく、下記構造式(10)から(11)で表されるいずれかの基がより好ましい。
【0051】
【化19】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(4)中、R〜Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、又は炭化水素基を表す。
【0052】
【化20】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(5)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又は下記構造式(7)から(9)のいずれかで表される基を表す。
【0053】
【化21】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(6)中、nは、1〜5の整数を表す。Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、又は下記構造式(7)〜(9)で表されるいずれかの基を表し、nが2以上の場合、Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0054】
【化22】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(7)中、Rは、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
【0055】
【化23】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(8)中、Rは、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。mは、1〜5の整数を表す。
【0056】
【化24】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(9)中、R10は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
【0057】
【化25】
Figure 2005055495
【0058】
【化26】
Figure 2005055495
【0059】
【化27】
Figure 2005055495
【0060】
前記炭化水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルスルホニル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基及びこれらを置換基で更に置換された基から選択されるのが好ましい。
【0061】
前記アルキル基としては、炭素数1〜24のものが好ましく、1〜10のものがより好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−デシル基、イソデシル基等が挙げられる。
前記シクロアルキル基としては、炭素数3〜24のものが好ましく、4〜12のものがより好ましく、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロへキサン等が挙げられる。
前記アルキルスルホニル基としては、炭素数1〜24のものが好ましく、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、n−ヘキシルスルホニル基、イソヘキシルスルホニル基、n−ヘプチルスルホニル基、n−オクチルスルホニル基、イソオクチルスルホニル基、n−デシルスルホニル基、イソデシルスルホニル基等が挙げられる。
【0062】
前記アルケニル基としては、炭素数2〜24のものが好ましく、2〜10のものがより好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等が挙げられる。
前記シクロアルケニル基としては、炭素数3〜24のものが好ましく、4〜12のものがより好ましく、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。
前記アリール基としては、炭素数6〜50のものが好ましく、6〜24のものがより好ましく、例えば、単環芳香族環の基、芳香族環が4環以下結合してなる基、5環以下の縮合芳香族環を有し、炭素、酸素、窒素及び硫黄の原子数の合計が50以下である基、などが好適に挙げられる。該単環芳香族環の基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、クメニル、スチリル、メシチル、シンナミル、フェネチル、ベンズヒドリル等が挙げられる。該芳香族環が4環以下結合してなる基としては、例えば、ナフチル、アントリル、フェナントリル、インデニル、アズレニル、ベンズアントラセニル等が挙げられる。該5環以下の縮合芳香族環を有し、炭素、酸素、窒素及び硫黄の原子数の合計が30以下である基としては、例えば、ピロリリル、フリル、チエニル、ピリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾイル、ピリジニル、ピロロピリジニル、チアゾイル、ピリミジニル、チオフェニル、インドリル、キノリニル、ピリニル、アデニル等が挙げられる。
【0063】
前記アリールオキシ基としては、炭素数6〜30のものが好ましく、例えば、フェニルオキシ基等が挙げられる。
前記アラルキル基としては、炭素数7〜24のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニルブチル、ω−フェニルオクチル、ω−フェニルドデシル、3−メチル−(5,1’,3’,3’−テトラメチル)ブチルベンジル、2,4,6−トリ−tert−ブチルベンジル、1−(3,5−ジベンジルフェニル)−3−メチル−2−プロピル等が挙げられる。
前記アルキニル基としては、炭素数2〜24のものが好ましく、2〜10のものがより好ましく、例えば、エチニル基、プロパルギル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜24のものが好ましく、1〜10のものがより好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基等が挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基としては、炭素数1〜24のものが好ましく、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、イソヘキシルカルボニル基、n−ヘプチルカルボニル基、n−オクチルカルボニル基、イソオクチルカルボニル基、n−デシルカルボニル基、イソデシルカルボニル基等が挙げられる。
【0064】
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、ニトロ基、水酸基、アミノ基、アセチル基、アミノアルキル基、ホスホノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、などが挙げられる。
【0065】
前記可溶性顔料前駆物質の好ましい具体例としては、下記構造式(13)から(18)のいずれかで表されるものが挙げられる。
【0066】
【化28】
Figure 2005055495
【0067】
【化29】
Figure 2005055495
【0068】
【化30】
Figure 2005055495
【0069】
【化31】
Figure 2005055495
【0070】
【化32】
Figure 2005055495
【0071】
【化33】
Figure 2005055495
【0072】
ここで、前記A(発色団残基)の好ましい具体例としては、(A)ペリレンカルボキシミド、(B)キナクリドン、(C)ジオキサジン、(D)イソインドリン、(E)イソインドリノン、(F)アントラキノノイド、(G)フタロシアニン、(H)ピロロ〔3,4−c〕ピロール、(I)キノフタロン、(J)アゾ化合物、(K)アントラキノン、(L)インジゴ又はロイコインジゴ誘導体、などの残基が挙げられる。これらの詳細について以下に説明する。なお、以下に示す各構造式において、特に説明がない場合、Eは、水素原子又はDを意味し、Dが2以上の場合には少なくとも1つがBであり、該Bは、溶媒可溶性基を表す。
【0073】
前記(A)ペリレンカルボキシミドとしては、例えば、下記構造式(19)から(20)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。
【0074】
【化34】
Figure 2005055495
【0075】
【化35】
Figure 2005055495
【0076】
ただし、前記構造式(19)及び(20)中、Eは、水素原子、アルキル基、アリール基、又は前記Dを表す。なお、前記アルキル基及びアリール基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のものが挙げられ、該アリール基としては、非置換若しくはハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、ベンジル基、フェネチル(フェニルエチル;CCHCH−)基、などが好ましい。
【0077】
前記(B)キナクリドンとしては、例えば、下記構造式(21)で表される化合物等が挙げられる。
【0078】
【化36】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(21)中、R11及びR12は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を表す。該アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のものが挙げられる。
【0079】
前記(C)ジオキサジンとしては、例えば、下記構造式(22)及び(23)のいずれかで表される化合物などが挙げられる。
【0080】
【化37】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(22)中、R13は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基を表す。該アルキル基又はアリール基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のものが挙げられる。
【0081】
【化38】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(23)中、R14、R15及びR16は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、NECOC−Cアルキル基、NECOフェニル基、又はN(E)を表す。なお、R14、R15及びR16のうち少なくとも一つは、NECOC−Cアルキル基、NECOフェニル基、又はN(E)である。該アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のものが挙げられる。
【0082】
前記(D)イソインドリンとしては、例えば、下記構造式(24)から(26)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。
【0083】
【化39】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(24)において、R17及びR18は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又は下記構造式(27)で表される基を表す。該アルキル基、又はアリール基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のものが挙げられる。
【0084】
【化40】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(25)中、R19は、水素原子、アルキル基、アリール基、E、又は下記構造式(27)で表される基を表す。該アルキル基、又はアリール基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のものが挙げられる。
【0085】
【化41】
Figure 2005055495
【0086】
【化42】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(27)中、R20及びR21は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、アルキル基、又はアルコキシ基を表す。該アルキル基、又はアルコキシ基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のものが挙げられる。
【0087】
前記(E)イソインドリノンとしては、例えば、下記構造式(28)から(29)のいずれかで表される化合物などが挙げられる。
【0088】
【化43】
Figure 2005055495
【化44】
Figure 2005055495
【0089】
前記構造式(28)及び(29)中、R22及びR23は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を表す。該アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のものが挙げられる。
【0090】
前記(F)アントラキノノイドとしては、例えば、下記構造式(30)から(31)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。
【0091】
【化45】
Figure 2005055495
【化46】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(31)中、R24は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を表す。該アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のものが挙げられる。
【0092】
前記(G)フタロシアニンとしては、例えば、下記構造式(32)で表される化合物等が挙げられる。
【0093】
【化47】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(32)中、Mは、H、Cu(II)、Zn(II)、Fe(II)、Ni(II)、Ru(II)、Rh(II)、Pd(II)、Pt(II)、Mn(II)、Mg(II)、Be(II)、Ca(II)、Ba(III)、Cd(II)、Hg(II)、Sn(II)、Co(II)及びPb(II)から選択される二価金属を表し、これらの中でも、Cu(II)、Zn(II)、Fe(II)、Ni(II)、Pd(II)、V(O)、Mn(O)、又はTiOが好ましい。Tは、直接結合、−CHR26−(ただし、R26は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)、−CO−又は−SO−を表す。R25は、水素原子、アルキル基、アルキレン−O−E、−N(E)R26(ただし、R26は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)、−N(E)、−N(E)COR27(ただし、R27は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。)、−COR27(ただし、R27は、上記と同じ意味を表す。)、下記構造式(33)で表される基、又は下記構造式(34)で表される基を表す。zは、0又は1を表す。yは、1〜8の整数を表す。
【0094】
【化48】
Figure 2005055495
【化49】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(33)及び(34)中、R28は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、又はアルコキシ基を表す。該アルキル基、又はアルコキシ基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のものが挙げられる。
【0095】
前記(H)ピロロ〔3,4−c〕ピロールとしては、例えば、下記構造式(35)及び(36)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。
【0096】
【化50】
Figure 2005055495
【化51】
Figure 2005055495
【0097】
前記構造式(35)及び(36)中、G及びGは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、及び下記構造式で表されるいずれかの基である。該アルキル基、又はアリール基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のもの等が挙げられる。
【0098】
【化52】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式中、R29及びR30は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、−CN、−NO、フェニル基、トリフルオロメチル基、シクロアルキル基、−C=N−、下記構造式(37)で表される基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ピペラジニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、モルホリニル基、ピペリジニル基、又はピロリジニル基を表す。該アルキル基、アリール基、又はアルコキシ基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のもの等が挙げられる。Tは、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−CH=N−、−N=N−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、又は−NR−を表す。R31及びR32は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又は−CNを表す。該アルキル基、又はアリール基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のもの等が挙げられる。R33及びR34は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基を表す。該アルキル基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のもの等が挙げられる。
【0099】
【化53】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(37)中、R31及びR32は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又は−CNを表す。該アルキル基、又はアルコキシ基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のもの等が挙げられる。
【0100】
前記(I)キノフタロンとしては、例えば、下記構造式(38)及び(39)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。
【0101】
【化54】
Figure 2005055495
【化55】
Figure 2005055495
【0102】
前記構造式(38)及び(39)中、R35は、水素原子、又はO−Eを表す。
36、R37、R38及びR39は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、−COO−C−Cアルキル基、又は−CONE−C−Cアルキル基を表す。
【0103】
前記(J)アゾ化合物としては、例えば、下記構造式(40)から(45)のいずれかで表されるである。
【0104】
【化56】
Figure 2005055495
【化57】
Figure 2005055495
【化58】
Figure 2005055495
【化59】
Figure 2005055495
【化60】
Figure 2005055495
【化61】
Figure 2005055495
【0105】
前記構造式(40)〜(45)中、R40、R41、R42、R43、及びR44は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、アセチル基、又はSONEC−Cアルキル基を表す。該アルキル基、又はアルコキシ基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のもの等が挙げられる。R45は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表す。該アルキル基、又はアルコキシ基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のもの等が挙げられる。
【0106】
前記(K)アントラキノンとしては、例えば、下記構造式(46)及び(47)のいずれかで表されるである。
【0107】
【化62】
Figure 2005055495
【化63】
Figure 2005055495
【0108】
前記構造式(46)及び(47)中、R46及びR47は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、又はアリール基(ただし、非置換、又はハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、アセチル基、SONEC−Cアルキル基若しくはSONEにより置換されている。)を表す。該アルキル基、又はアルコキシ基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のもの等が挙げられる。R48及びR49は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、CONE、SONEC−Cアルキル基、SONE、SOE、SONa、又はアリール基(ただし、非置換、又はハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、アセチル基、SONEC−Cアルキル基若しくはSONEにより置換されている。)を表す。該アルキル基、又はアルコキシ基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のもの等が挙げられる。R50は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。該アルキル基、又はアルコキシ基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のもの等が挙げられる。
【0109】
前記(L)インジゴ又はロイコインジゴ誘導体としては、例えば、下記構造式(48)及び(49)のいずれかで表されるである。
【0110】
【化64】
Figure 2005055495
【化65】
Figure 2005055495
【0111】
前記構造式(48)及び(49)中、R51は、水素原子、ハロゲン原子、CN基、アルキル基、又はアルコキシ基を表す。該アルキル基、又はアルコキシ基としては、前記構造式(3)のR及びRと同様のもの等が挙げられる。
【0112】
前記A(発色団残基)の好ましい具体例としては、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー194、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン41、C.I.ピグメントブラウン42、C.I.ピグメントブルー25、C.I.ピグメントブルー26、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー64、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット37、3,6−ジ(4’シアノ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ〔3,4−c〕ピロール−1,4−ジオン、3,6−ジ(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ〔3,4−c〕ピロール−1,4−ジオン、3−フェニル−6−(4’−tert−ブチル−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ〔3,4−c〕ピロール−1,4−ジオン、などの残基が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0113】
前記可溶性顔料前駆物質の含有量としては、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、前記活性水素基含有化合物等を含むトナー原料に対し、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
前記含有量が、0.1質量%未満であると、顔料化が不十分で画像の耐候性に劣ることがあり、20質量%を超えると、過度に顔料化が進行し、不溶性顔料が凝集状態となり、着色度の不足、彩度の低下が生ずることがある。
【0114】
前記可溶性顔料前駆物質は、樹脂中に添加されてマスターバッチとして用いてもよい。この場合、該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0115】
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等が挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0116】
前記マスターバッチは、前記樹脂と前記可溶性顔料前駆物質とを高せん断力下で混合乃至混練することにより製造することができる。この際、該樹脂と該可溶性顔料前駆物質との相互作用を高める目的で有機溶剤を添加してもよい。
【0117】
また、前記可溶性顔料前駆物質は、フラッシング法により調製したウエットケーキとしてそのまま用いてもよい。この場合、乾燥が不要な点で有利である。
前記フラッシング法は、前記可溶性顔料前駆物質の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤と共に混合乃至混練し、該可溶性顔料前駆物質を前記樹脂側に移行させて水分及び前記有機溶剤を除去する方法である。前記混合乃至混練には、例えば、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
【0118】
前記可溶性顔料前駆物質を前記不溶性顔料に変換させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外部から刺激を印加して該可溶性顔料前駆物質から前記不溶性顔料に変換させる方法、などが好適に挙げられる。
前記刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学物質の添加、加熱又は冷却、光照射、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記化学物質としては、例えば、酸、塩基などが挙げられる。該酸としては、例えば、酢酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。該塩基としては、例えば、NaOH、KOH、アンモニア等が挙げられる。
前記加熱は、例えば、加熱装置、レーザー照射器等を用いて行うことができ、該加熱の温度としては、30℃〜210℃が好ましく、40℃〜170℃がより好ましく、45℃〜100℃が特に好ましい。
前記光照射は、例えば、公知の光照射装置等を用いて行うことができ、該光照射により照射される光としては、例えば、可視光、紫外線、レーザー光、X線、電子線、中性子線などが挙げられる。
【0119】
なお、前記可溶性顔料前駆物質は、トナーの製造中に前記不溶性顔料に変換させることができ、前記不溶性顔料に変換させるための特別な工程等は不要であるので、効率的である。例えば、前記可溶性顔料前駆物質は、トナーの製造時において、各種添加剤から発生乃至供給等される酸や塩基により前記不溶性顔料に変換させることができ、また、有機溶媒等の除去、乾燥等の際の加熱により前記不溶性顔料に変換させることができる。
【0120】
前記可溶性顔料前駆物質の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、欧州特許第A−648770号明細書、欧州特許第A−648817号明細書、特開平7−188234号公報、特開平8−6242号公報、特開平9−48929号公報などに記載された方法等が好適に挙げられる。
【0121】
前記可溶性顔料前駆物質の製造方法の一例を示すと以下の通りである。即ち、該可溶性顔料前駆物質は、有機溶剤中で、触媒の存在下、所望のモル比で、下記構造式(I)で表される化合物と、ジカーボネート(ジ炭酸エステル)(下記構造式(II))、トリハロアセテート(下記構造式(III))、アジド(下記構造式(IV))、カーボネート(下記構造式(V))、及びアルキリデン−イミノオキシホルメート(下記構造式(VI))から選択される少なくとも1種の化合物とを反応させることにより、合成することができる。
【0122】
A(H)x 構造式(I)
ただし、前記構造式(I)中、A及びxは、前記構造式(1)におけるものと同様である。
【0123】
D−O−D 構造式(II)
ただし、前記構造式(II)中、Dは、前記構造式(1)におけるものと同様である。
【0124】
(R52C―D 構造式(III)
ただし、構造式(III)中、Dは、前記構造式(1)におけるものと同様である。R52は、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表す。
【0125】
DN 構造式(IV)
ただし、前記構造式(IV)中、Dは、前記構造式(1)におけるものと同様である。
【0126】
D−OR53 構造式(V)
ただし、構造式(V)中、Dは、前記構造式(1)におけるものと同様である。R53は、炭素数1〜6のアルキル基、又はアリール基を表す。該アリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は−CNで置換されていてもよい。
【0127】
【化66】
Figure 2005055495
ただし、構造式(VI)中、Dは、前記構造式(1)におけるものと同様である。R54は、−CN、又は−COOR(ただし、Rは、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表す)を表す。R55は、炭素数1〜6のアルキル基、又はアリール基を表す。該アリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は−CNで置換されていてもよい。
【0128】
これらの中でも、前記構造式(I)で表される化合物を前記ジカーボネート(ジ炭酸エステル)(前記構造式(II))と反応させる方法が好ましい。
前記ジカーボネート(ジ炭酸エステル)は、下記構造式(VII)で表され、以下のようにして製造することができる。
【0129】
【化67】
Figure 2005055495
ただし、構造式(VII)中、Qは、前記構造式(1)におけるものと同様のものが挙げられる。
【0130】
即ち、下記構造式(VIII)で表されるエステル炭酸塩を、40〜50モル%の下記構造式(IX)で表されるスルホクロライドと、非極性不活性溶剤中で下記構造式(X)で表される複素環式芳香族アミンの存在下、−10℃〜+25℃の温度範囲で反応させる。なお、このとき、前記エステル炭酸塩、前記スルホクロライド及び前記複素環式芳香族アミンの添加順序としては、特に制限はなく、任意の順序で逐次投入することができる。
前記反応の温度としては、0℃〜+20℃が好ましく、0℃〜+10℃がより好ましい。前記反応の時間としては、複素環式芳香族アミンの種類・量、温度等により異なり、一概に規定することはできないが、例えば、30分間〜100時間が好ましく、30分間〜10時間がより好ましい。
【0131】
【化68】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(VIII)中、Qは、前記構造式(1)におけるものと同様のものが挙げられる。Mは、Na、Li、K、又はNR56575859+を表す(ただし、R56〜R59は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、多環式シクロアルキル基、又はアラルキル基を表す。)。前記アルキル基としては、炭素数1〜18のものが好ましく、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2、2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等が挙げられる。前記シクロアルキル基としては、炭素数3〜12のものが好ましく、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、メンチル等が挙げられる。前記多環式シクロアルキル基としては、例えば、ツイル、ボルニル、1−アダマンチル、2−アダマンチル等が挙げられる。前記アラルキル基としては、炭素数7〜24のものが好ましく、例えば、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニルブチル、ω−フェニルオクチル、ω−フェニルドデシル、3−メチル−(5,1’,3’,3’−テトラメチル)ブチルベンジル、2,4,6−トリ−tert−ブチルベンジル、1−(3,5−ジベンジルフェニル)−3−メチル−2−プロピル等が挙げられる。
【0132】
前記非極性不活性溶剤としては、誘電定数εが10以下であり、かつ水と非混和性を有し、前記構造式(VIII)で表されるエステル炭酸塩、又は前記構造式(IX)で表されるスルホクロライドと反応しないものが好適であり、例えば、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、非環式エーテル、などが挙げられる。
前記芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン等が挙げられる。前記脂肪族炭化水素としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、デカヒドロナフタレン等が挙げられる。前記非環式エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、又はこれらの混合物(例えば、特定沸点のスピリット又はShell−Sol(登録商標)である。)等が挙げられる。
【0133】
【化69】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(IX)中、R60は、水素原子、アルキル基、−Cl、−Br、−OCH、又は−NOを表す。
【0134】
前記構造式(IX)で表されるスルホクロライドとしては、例えば、ベンゼンスルホクロライド、p−トルエンスルホクロライドが好ましく、p−トルエンスルホクロライドが特に好ましい。前記構造式(IX)で表されるスルホクロライドの添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記構造式(VIII)で表されるエステル炭酸塩を基準にして、約45モル%が好ましい。
【0135】
【化70】
Figure 2005055495
ただし、前記構造式(X)中、R56〜R59は、前記構造式(VIII)におけるものと同様のものが挙げられる。Yは、非求核性陰イオンを表す。前記構造式(X)における陽イオンとしては、例えば、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等が好適に挙げられる。前記構造式(X)における陽イオンの添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記構造式(VIII)で表されるエステル炭酸塩を基準にして、0.8〜5モル%が好ましく、1.0〜1.5モル%がより好ましい。前記複素環式芳香族アミンとしては、例えば、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、ドリジン、キノリン、などが挙げられる。これらの中でも、ピリジンが好ましい。前記複素環式芳香族アミンの添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記構造式(VIII)で表されるエステル炭酸塩を基準にして、1〜3モル%が好ましい。
【0136】
前記構造式(I)で表される化合物と、前記構造式(II)から(VI)で表される化合物から選択される少なくとも1種とのモル比は、xで表され、導入されるべき基Dの数に依存する。なお、前記構造式(I)で表される化合物に対し、前記構造式(II)から(VI)で表される化合物から選択される少なくとも1種を2〜10倍過剰量で使用することが好ましい。
【0137】
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、非プロトン有機溶媒などが好適に挙げられる。前記非プロトン有機溶剤としては、例えば、エーテル類、グリコールエーテル類、二極性非プロトン溶剤、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、芳香族N−複素環式化合物、などが挙げられる。
前記エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。前記グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。前記二極性非プロトン溶剤としては、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ニトロベンゼン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。前記ハロゲン化脂肪族炭化水素類又は前記芳香族炭化水素類としては、例えば、トリクロロエタン、ベンゼン、アルキル置換ベンゼン、アルコキシ置換ベンゼン、ハロゲン置換ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、クロロベンゼン等が挙げられる。前記芳香族N−複素環式化合物としては、例えば、ピリジン、ピコリン、キノリン等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンが好ましい。
前記有機溶剤の使用量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、反応物1質量部に対し、5〜20質量部程度が好ましい。
【0138】
前記触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩基が好適に挙げられる。該塩基としては、例えば、アルカリ金属又はその塩、アルカリ金属アミド、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属のアルコレート、アルカリ土類金属のアルコレート、脂肪族窒素塩基類、芳香族窒素塩基類、複素環式窒素塩基類、トリアルキルアミン類、などが挙げられる。
前記アルカリ金属又はその塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はこれらの水酸化物若しくは炭酸塩等が挙げられる。前記アルカリ金属アミドとしては、例えば、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド等が挙げられる。前記アルカリ金属水素化物としては、例えば、リチウムの水素化物、ナトリウムの水素化物、カリウムの水素化物等が挙げられる。前記アルカリ金属のアルコレート又は前記アルカリ土類金属のアルコレートとしては、1〜10個の炭素原子を有する一級、二級又は三級の脂肪族アルコールから誘導されたアルコレートが好ましく、例えば、リチウム、ナトリウム及びカリウムから選択されるアルカリ金属、又は、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムから選択されるアルカリ土類金属のメチレート、エチレート、n−プロピレート、イソプロピレート、n−ブチレート、sec−ブチレート、tert−ブチレート、2−メチル−2−ブチレート、2−メチル−2−ペンチレート、3−メチル−3−ペンチレート、3−エチル−3−ペンチレート等が挙げられる。前記脂肪族窒素塩基類、前記芳香族窒素塩基類又は前記複素環式窒素塩基類としては、例えば、ジアザビシクロオクテン、ジアザビシクロウンデセン、4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。前記トリアルキルアミン類としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアザビシクロオクテン、ジアザビシクロウンデセン、4−ジメチルアミノピリジンが好ましい。
【0139】
前記反応の条件としては、大気圧下で、温度としては、0℃〜400℃程度であり、10℃〜100℃が好ましく、18℃〜40℃がより好ましく、室温が特に好ましく、時間としては、2〜80時間が好ましい。
【0140】
前記可溶性顔料前駆物質の具体的な合成例1〜4について説明する。
−合成例1−
テトラヒドロフラン50ml中に、下記構造式で表されるピロロ[3,4−c]ピロールを添加し、懸濁させる。
【0141】
【化71】
Figure 2005055495
【0142】
前記懸濁液にジメチルアミノピリジンと、大過剰のジ(2−メチル−3−ブテン−2−イル)ジ炭酸エステルとを添加する。該溶液を室温において一晩撹拌する。得られた蛍光オレンジ褐色溶液から溶剤を留去する。この残留物にヘキサンを添加してオレンジ色の固体物質を沈殿させる。この沈殿を濾過分離し、真空乾燥炉中において乾燥させると、下記構造式で表される可溶性顔料前駆物質が合成される。
【0143】
【化72】
Figure 2005055495
【0144】
−合成例2−
前記合成例1において、ジ(2−メチル−3−ブテン−2−イル)ジ炭酸エステルを、ジ(2−メチル−3−ブチン−2−イル)ジ炭酸エステルに代えた以外は合成例1と同様にすると、下記構造式で表される可溶性顔料前駆物質が合成される。
【0145】
【化73】
Figure 2005055495
【0146】
−合成例3−
前記合成例1において、ピロロ[3,4−c]ピロールを下記構造式で表されるキナクリドンに代えた以外は合成例1と同様にする。
【0147】
【化74】
Figure 2005055495
【0148】
すると、下記構造式で表される可溶性顔料前駆物質が合成される。
【0149】
【化75】
Figure 2005055495
【0150】
−合成例4−
前記合成例3において、ジ(2−メチル−3−ブテン−2−イル)炭酸エステルをジ(2−メチル−3−ブチン−1−イル)ジ炭酸エステルに代えた以外は合成例3と同様にすると、下記構造式で表される可溶性顔料前駆物質が合成される。
【0151】
【化76】
Figure 2005055495
【0152】
なお、前記ジ(2−メチル−3−ブチン−2−イル)ジ炭酸エステルは、以下のようにして合成することができる。即ち、例えば、トルエン中に、2−メチル−3−ブチン−2−オールを溶解した溶液を3℃に冷却する。該溶液に60質量%水素化ナトリウムを、不活性ガス雰囲気下、温度が10℃を超過しないように少しずつ添加する。トルエンを添加した後、該混合物を18℃において一晩撹拌した。得られた褐色溶液を5℃に冷却し、次に、5℃〜10℃においてCOを導入する。該反応混合物を18℃に加熱し、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ピリジン、及びトルエン−4−スルホクロライドを順次添加する。得られた懸濁物を室温において3日間撹拌する。次いで、5℃において、5質量%の水性HSOを温度が10℃を超えないように添加する。有機相を単離し、水400mlで5回洗い、NaSOで乾燥し、真空濃縮する。得られた粗生成物をヘキサンで処理することにより、前記ジ(2−メチル−3−ブチン−2−イル)ジ炭酸エステルを合成することができる。
【0153】
前記ジ(2−メチル−3−ブテン−2−イル)ジ炭酸エステルは、以下のようにして合成することができる。即ち、例えば、前記ジ(2−メチル−3−ブチン−2−イル)ジ炭酸エステルの合成において、2−メチル−3−ブチン−2−オールの代わりに2−メチル−3−ブテン−2−オールから出発し、トルエン−4−スルホクロライドの代わりにトルエン−4−スルホクロライドを使用した以外は同様にすると、前記ジ(2−メチル−3−ブテン−2−イル)ジ炭酸エステルを合成することができる。
【0154】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、離型剤、樹脂微粒子、非反応性ポリエステル樹脂、帯電制御剤無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、などが挙げられる。
【0155】
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類、などが好適に挙げられる。
前記ワックス類としては、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトン、などが挙げられる。前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等が挙げられる。前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等が挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド等が挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド等が挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン等が挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックス等が挙げられる。
【0156】
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜160℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、60〜90℃が特に好ましい。
前記融点が、40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
前記離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。
前記溶融粘度が、5cps未満であると、定着不良を起こすことがあり、1000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
【0157】
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0〜40質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。
前記含有量が、40質量%を超えると、耐熱保存性の悪化やキャリアスペント現象を起こすことがある。
【0158】
前記樹脂微粒子は、一般に、トナー形状(平均円形度、粒度分布など)の制御等の目的で添加される。該樹脂微粒子は、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体及び前記活性水素含有化合物が前記水系媒体中で分散されてトナー粒子が形成される際に、該トナーの表面等に付着乃至結合等する。
前記樹脂微粒子としては、前記水系媒体中で水性分散体を形成可能な樹脂であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から適宜選択することができ、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂であってもよく、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られ易い点で、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、これらの混合物が好ましい。
なお、前記ビニル系樹脂は、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーであり、具体例としては、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、などが挙げられる。
【0159】
前記樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)としては、40〜100℃が好ましい。前記樹脂微粒子の重量平均分子量としては、9,000〜200,000が好ましい。前記樹脂微粒子における、前記Tgが40℃未満及び/又は前記重量平均分子量が9,000未満であると、トナーの保存性が悪化してしまい、保管時及び現像機内でブロッキングが発生することがあり、前記Tgが100℃を超え及び/又は前記重量平均分子量が200,000を超えると、樹脂微粒子が定着紙との接着性を阻害し、定着下限温度が上昇してしまうことがある。
【0160】
前記樹脂微粒子の前記トナーにおける含有量としては、0.5〜5.0質量%が好ましく、1.0〜4.0質量%がより好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、トナーの保存性が悪化してしまい、保管時及び現像機内でブロッキングが発生してしまうことがあり、5.0質量%を超えると、樹脂微粒子がワックスのしみ出しを阻害し、ワックスの離型性効果が得られず、オフセットが発生してしまうことがある。
【0161】
前記非反応性ポリエステル樹脂を前記トナー中に含有させると、低温定着性及び光沢性を向上させることができる。
前記非反応性ポリエステル樹脂としては、前記ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂と同様のもの、即ちポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物、などが挙げられる。該非反応性ポリエステル樹脂は、その一部が前記ウレア結合生成基含有ポリエステル系樹脂(RMPE)と相溶していること、即ち互いに相溶可能な類似の構造であるのが、低温定着性、耐ホットオフセット性の点で好ましい。
前記非反応性ポリエステル樹脂の重量平均分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定値で、1,000〜30,000が好ましく、1,500〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が特に好ましい。前記重量平均分子量が、1,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、30,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記非反応性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、5以上が好ましく、10〜120がより好ましく、20〜80が更に好ましい。前記水酸基価が、5未満であると、耐熱保存性と低温定着性とが両立し難くなることがある。
前記非反応性ポリエステル樹脂の酸価としては、1〜30が好ましく、5〜20がより好ましい。一般に前記トナーに酸価をもたせることによって負帯電性となり易くなる。
【0162】
前記非反応性ポリエステル樹脂を前記トナーに含有させる場合、前記ウレア結合生成基含有ポリエステル系樹脂(RMPE)と該非反応性ポリエステル樹脂(PE)との混合質量比(RMPE/PE)としては、5/95〜80/20が好ましく、5/95〜30/70がより好ましく、5/95〜25/75が更に好ましく、7/93〜20/80が特に好ましい。
前記非反応性ポリエステル樹脂(PE)の混合質量比が、95を超えると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とが両立し難くなることがあり、20未満であると、低温定着性が悪化することがある。
【0163】
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、などが挙げられる。
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、あるいは前記トナーの各成分と共に前記有機溶媒に直接、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
【0164】
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記接着性基材の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記接着性基材100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。該含有量が、0.1質量部未満であると、地汚れ、トナー飛散等が生ずることがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
【0165】
前記無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機微粒子の一次粒子径としては、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積としては、20〜500m/gが好ましい。
前記無機微粒子の前記トナーにおける含有量としては、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.01〜2.0質量%がより好ましい。
【0166】
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。
前記クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、などが挙げられる。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、などが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
【0167】
本発明のトナーは、その形状、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下のような顔料分散性、透明性、画像濃度、平均円形度、質量平均粒径等を有していることが好ましい。
【0168】
前記顔料分散性は、前記トナー中の前記不溶性顔料の分散状態を表し、例えば、分光計(X−ライト社製、938 スペクトロデンシトメータ)を用いて測定した彩度(C*)が、72以上が好ましく、76以上がより好ましく、78以上が特に好ましい。
前記顔料分散性が、72未満であると、前記可溶性顔料前駆物質を用いた効果が十分でなく、着色剤の分散性が十分でなく、色再現範囲が狭く、透明性及び精彩性の改善効果が低く、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画質が得られないことがあり、一方、72以上であれば、着色剤としての前記不溶性顔料の分散性が良好であり、色再現範囲が広く、透明性及び精彩性を十分に改善でき、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画質が得られるトナーとすることができる点で有利である。
【0169】
前記透明性は、「曇り度」ともいわれ、ヘーズ度の値が、20%未満が好ましく、10%未満がより好ましい。
前記ヘーズ度が、20%以上であると、透明性が十分でなく、色再現範囲が狭く、透明性及び精彩性の改善効果が低く、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画質が得られないことがあり、一方、20未満であれば、着色剤としての前記不溶性顔料の分散性が良好であり、色再現範囲が広く、透明性及び精彩性を十分に改善でき、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画質が得られるトナーとすることができる点で有利である。
前記ヘーズ度は、例えば、透明シート(例えば、OHPシート)上に形成したトナー画像(ベタ画像)に対し、直読ヘーズコンピュータHGM−2DP型(スガ試験機株式会社製)等を用いて測定することができる。
【0170】
前記画像濃度は、分光計(X−ライト社製、938 スペクトロデンシトメータ)を用いて測定した濃度値が、1.90以上が好ましく、2.00以上がより好ましく、2.10以上が特に好ましい。
前記画像濃度が、1.90未満であると、画像濃度が低く、高画質が得られないことがある。
前記画像濃度は、例えば、imagio Neo 450(株式会社リコー製)を用いて、複写紙(TYPE 6000<70W>;株式会社リコー製)に現像剤の付着量が1.00±0.05mg/cmのベタ画像を定着ローラの表面温度が160±2℃で形成し、得られたベタ画像における任意の6箇所の画像濃度を、分光計(X−ライト社製、938 スペクトロデンシトメータ)を用いて測定しその平均値を算出することにより、測定することができる。
【0171】
前記平均円形度は、前記トナーの形状と投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値であり、例えば、0.940〜0.995が好ましく、0.945〜0.955がより好ましい。なお、前記平均円形度が0.94未満の粒子が10%以下であることが好ましい。
前記平均円形度が、0.940未満であると、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがあり、0.995を超えると、ブレードクリーニングなどを採用している画像形成システムでは、感光体上及び転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れ、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが感光体上に転写残トナーとなって蓄積した画像の地汚れが発生してしまうことがあり、あるいは、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまうことがある。
前記平均円形度は、例えば、トナー粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法などにより計測することができ、例えば、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子株式会社製)等を用いて計測することができる。
【0172】
前記トナーの質量平均粒径としては、4〜8μmが好ましい。
前記質量平均粒径が、4μm未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するため、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、8μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
【0173】
前記トナーにおける質量平均粒子径と個数平均粒子径との比(質量平均粒径/個数平均粒径)としては、1.00〜1.25が好ましく、1.10〜1.25がより好ましい。
前記質量平均粒子径と個数平均粒子径との比(質量平均粒径/個数平均粒径)が、1.25を超えると、二成分現像剤では、現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーが薄層化し、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、また、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
【0174】
前記質量平均粒径、及び、前記質量平均粒子径と個数平均粒子径との比(質量平均粒径/個数平均粒径)は、例えば、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「「コールターカウンターTAII」」を用いて測定することができる。
【0175】
本発明のトナーにおいては、前記不溶性顔料が、該トナーの製造前においては前記可溶性顔料前駆体の状態で存在し、該トナーの固形分材料を含む溶剤中に均一に溶解乃至分散されている。このため、該可溶性顔料前駆体が前記不溶性顔料に変換されて得られた本発明のトナー中には、該不溶性顔料が高度に分散されている。このため、本発明のトナーは、色再現範囲が広く、透明性及び精彩性を十分に改善でき、本発明のトナーを用いて画像形成を行うと、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画質が得られる。また、本発明のトナーは、前記活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を水系媒体中で反応させてなる前記接着性基材を含むので、耐凝集性、帯電性、流動性、転写性、定着性等の諸特性に優れる。このため、本発明のトナーは、各種分野において好適に使用することができ、電子写真法による画像形成に、より好適に使用することができ、以下の本発明のトナー入り容器、現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に特に好適に使用することができる。
【0176】
本発明のトナーは、公知の方法により製造することができるが、後述する本発明のトナーの製造方法により、好適に製造することができる。
【0177】
(トナーの製造方法)
本発明のトナーの製造方法は、接着性基材生成工程と顔料生成工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
【0178】
−接着性基材生成工程−
前記接着性基材生成工程は、前記活性水素基含有化合物及び前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を前記水系媒体中で分散させかつ反応させて接着性基材を生成させつつトナーを得る工程である。
前記接着性基材生成工程においては、例えば、水系媒体相の調製、有機溶媒相の調製、乳化・分散、その他(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)の合成、前記活性水素基含有化合物の合成など)を行う。
【0179】
前記水系媒体相の調製は、例えば、前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させることにより行うことができる。該樹脂微粒子の該水系媒体中の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5〜10質量%が好ましい。
前記有機溶媒相の調製は、前記有機溶媒中に、前記活性水素基含有化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、前記可溶性顔料前駆物質、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記非反応性ポリエステル樹脂等のトナー原料を、溶解乃至分散させることにより行うことができる。
なお、前記トナー原料の中で、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)以外の成分は、前記水系媒体相調製において、前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させる際に該水系媒体中に添加混合してもよいし、あるいは、前記有機溶媒相を前記水系媒体相に添加する際に、該有機溶媒相と共に前記水系媒体相に添加してもよい。
【0180】
前記有機溶媒としては、前記トナー原料を溶解乃至分散可能な溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、除去の容易性の点で沸点が150℃未満の揮発性のものが好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、などが挙げられる。これらの中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、などが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記トナー原料100質量部に対し、40〜300質量部が好ましく、60〜140質量部がより好ましく、80〜120質量部が更に好ましい。
【0181】
前記乳化・分散は、先に調製した前記有機溶媒相を、先に調製した前記水系媒体相中に乳化・分散させることにより行うことができる。そして、該乳化・分散の際、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを伸長反応乃至架橋反応させると、前記接着性基材が生成する。
前記接着性基材(例えば、前記ウレア変性ポリエステル樹脂)は、例えば、(1)前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む前記有機溶媒相を、前記活性水素基含有化合物(例えば、前記アミン類(B))と共に、前記水系媒体相中に乳化・分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、(2)前記有機溶媒相を、予め前記活性水素基含有化合物を添加した前記水系媒体中に乳化・分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、あるいは(3)前記有機溶媒相を、前記水系媒体中に添加混合させた後で、前記活性水素基含有化合物を添加し、分散体を形成し、該水系媒体相中で粒子界面から両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよい。なお、前記(3)の場合、生成するトナー表面に優先的に変性ポリエステル樹脂が生成され、該トナー粒子において濃度勾配を設けることもできる。
【0182】
前記乳化・分散により、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを伸長反応乃至架橋反応させて前記接着性基材を生成させるための反応条件としては、特に制限はなく、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と前記活性水素基含有化合物との組合せに応じて適宜選択することができ、反応時間としては、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましく、反応温度としては、0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。
【0183】
前記水系媒体相中において、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む前記分散体を安定に形成する方法としては、例えば、前記水系媒体相中に、前記有機溶媒に溶解乃至分散させた前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))、前記可溶性顔料前駆物質、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記非反応性ポリエステル樹脂などの前記トナー原料を加えて、せん断力により分散させる方法、などが挙げられる。
前記分散は、その方法としては特に制限はなく、公知の分散機等を用いて適宜選択することができ、該分散機としては、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、などが挙げられる。これらの中でも、前記分散体の粒径を2〜20μmに制御することができる点で、高速せん断式分散機が好ましい。
前記高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度などの条件については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記回転数としては、1000〜30000rpmが好ましく、5000〜20000rpmがより好ましく、前記分散時間としては、バッチ方式の場合は、0.1〜5分が好ましく、前記分散温度としては、加圧下において0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。なお、前記分散温度は高温である方が一般に分散が容易である。
【0184】
前記乳化・分散において、前記水系媒体の使用量としては、前記トナー原料100質量部に対し、50〜2,000質量部が好ましく、100〜1,000質量部がより好ましい。
前記使用量が、50質量部未満であると、前記トナー原料の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがあり、2,000質量部を超えると、生産コストが高くなることがある。
【0185】
前記乳化・分散においては、必要に応じて、粒度分布をシャープにし、安定に分散を行う観点から、分散剤を用いることが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
【0186】
前記界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、などが挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するものが好適に挙げられる。該フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。該フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製);フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
【0187】
前記陽イオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。前記アミン塩型界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等が挙げられる。前記四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。該陽イオン界面活性剤の中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10個)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、などが挙げられる。該カチオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子社製);フロラードFC−135(住友3M社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製);エクトップEF−132(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
【0188】
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
【0189】
前記難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト、などが挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アミド化合物又はこれらのメチロール化合物、クロライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類、などが挙げられる。
前記酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。前記ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。前記ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。前記アミド化合物又はこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、又はこれらのメチロール化合物、などが挙げられる。前記クロライド類としては、例えば、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等が挙げられる。前記窒素原子若しくはその複素環を有するもの等ホモポリマー又は共重合体としては、例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等が挙げられる。前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0190】
前記乳化・分散においては、必要に応じて分散安定剤を用いることができる。
該分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能なものなどが挙げられる。
該分散安定剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法などによって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することができる。
【0191】
前記乳化・分散においては、前記伸長反応乃至前記架橋反応の触媒を用いることができる。該触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、などが挙げられる。
【0192】
−顔料生成工程−
前記顔料生成工程は、前記可溶性顔料前駆物質を変換し前記不溶性顔料を生成させる工程である。該顔料生成工程は、前記接着性基材生成工程と同時に行うことができる。換言すれば、前記接着性基材生成工程を行うことにより、該顔料生成工程を行うことができる。
前記顔料生成工程において、前記可溶性顔料前駆物質を前記不溶性顔料に変換させるには、前記化学物質の添加、前記加熱又は冷却、及び前記光照射から選択される少なくとも1つを行うのが好ましい。これらは、1種単独で行ってもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記加熱又は冷却が好ましく、特に加熱が好ましい。該加熱の場合、前記有機溶媒の除去のために行う加熱を該可溶性顔料前駆物質を前記不溶性顔料に変換させる反応にも利用することができる点で効率的である。
なお、前記有機溶媒の除去は、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、液滴中の前記有機溶媒を完全に蒸発除去する方法、(2)乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法、などが挙げられる。
【0193】
前記顔料生成工程において、前記有機溶媒の除去が行われると、例えば、その際の加熱により前記可溶性顔料前駆物質が前記不溶性顔料に変換され、トナー粒子が形成される。該トナー粒子においては、前記不溶性顔料が均一に分散している。そして、該トナー粒子に対し、洗浄、乾燥等を行うことができ、更にその後、所望により分級等を行うことができる。該分級は、例えば、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができ、乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよい。該分級により得られた不要な微粒子又は粗粒子は、前記接着性基材生成工程に用いることができる。
【0194】
こうして、得られたトナー粒子を、前記離型剤、前記帯電制御剤等の粒子と共に混合したり、更に機械的衝撃力を印加することにより、該トナー粒子の表面から該離型剤等の粒子が脱離するのを防止することができる。
前記機械的衝撃力を印加する方法としては、例えば、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し加速させて粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法、などが挙げられる。この方法に用いる装置としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢、などが挙げられる。
【0195】
ここで、本発明のトナーの製造方法の好適な具体例を以下に示す。
−接着性基材生成工程−
−−水系媒体相(水相)の調製−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、水、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩、スチレン、メタクリル酸、及び過硫酸アンモニウムを仕込み、400回転/分にて15分間撹拌すると、白色の乳濁液が得られる。該乳濁液を加熱し系内温度を75℃まで昇温して5時間反応させ、更に該反応液に1質量%過硫酸アンモニウム水溶液を加え、75℃にて5時間熟成させてビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(以下、「微粒子分散液」と略記する。)を調製する。その後、水、前記微粒子分散液、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液、及び酢酸エチルを混合撹拌し、乳白色の液体(以下「水相」と略記する。)を調製する。
【0196】
−−プレポリマー(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)の合成−−冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物、テレフタル酸、アジピン酸、及びジブチルチンオキサイドを入れ、常圧230℃にて8時間反応させ、更に該反応液を10〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸を入れ、常圧下、180℃にて2時間反応して、低分子ポリエステルを合成する。
その後、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記低分子ポリエステル、イソホロンジイソシアネート、及び酢酸エチルを入れて100℃にて5時間反応させることにより、プレポリマー(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成する。
【0197】
−−ケチミン(前記活性水素基含有化合物)の合成−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン及びメチルエチルケトンを仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(前記活性水素基含有化合物)を合成する。
【0198】
−−有機溶媒相の調製−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、前記低分子ポリエステル、合成エステルワックス(ペンタエリスリトールテトラベヘネート)及び酢酸エチルを仕込み、撹拌下、80℃まで昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間かけて30℃まで冷却する。次いで、反応容器中に、前記可溶性顔料前駆物質及び酢酸エチルを仕込み、1時間混合して原料溶解液を得る。
得られた原料溶解液を反応容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、前記可溶性顔料前駆物質及びワックスの分散を行う。次いで、該分散液に前記低分子ポリエステルの65質量%酢酸エチル溶液を加え、上記同様の条件のビーズミルで1パスし、分散させ、有機溶媒相を調製する。
【0199】
−−乳化・分散−−
前記有機溶媒相、前記プレポリマー(低分子ポリエステル)及び前記ケチミン化合物を反応容器中に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)を用いて5,000rpmにて1分間混合した後、反応容器中に前記水相を加え、TKホモミキサーを用いて、回転数13,000rpmにて20分間混合して、乳化・分散を行い、乳化スラリーを調製する。次いで、撹拌機及び温度計をセットした反応容器中に、該乳化スラリーを投入し、30℃にて8時間脱溶剤し、更に該乳化スラリーを50℃にて6時間静置する。
【0200】
−顔料生成工程−
静置後の前記乳化スラリーを減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後、濾過する。ここで得た濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて30分間)した後、減圧濾過する。この超音波アルカリ洗浄を再度行う(超音波アルカリ洗浄2回)。ここで得た濾過ケーキに10質量%塩酸を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後、濾過する。ここで得た濾過ケーキにイオン交換水を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後で濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。ここで得られた濾過ケーキを循風乾燥機で45℃にて48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩うと、トナー粒子を得ることができる。
そして、得られたトナー粒子に対し、ヘンシェルミキサーを用いて疎水性シリカ及び疎水化酸化チタンを混合することにより、本発明のトナーを製造することができる。
【0201】
(現像剤)
本発明の現像剤は、本発明のトナーを少なくとも含有してなり、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
本発明の前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、本発明の前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
【0202】
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
【0203】
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
【0204】
前記芯材の粒径としては、平均粒径(体積平均粒径(D50))で、10〜150μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。
前記平均粒径(体積平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、150μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
【0205】
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0206】
前記アミノ系樹脂としては、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる前記ポリビニル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。前記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂等が挙げられる。前記ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0207】
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
【0208】
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
【0209】
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01〜5.0質量%が好ましい。
前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
【0210】
前記現像剤が前記二成分現像剤である場合、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90〜98質量%が好ましく、93〜97質量%がより好ましい。
【0211】
本発明の現像剤は、本発明の前記トナーを含有しているので、画像形成時における帯電性と定着性とをバランス良く両立することができ、高画質な画像を安定に形成することができる。
本発明の現像剤は、磁性一成分現像方法、非磁性一成分現像方法、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができ、以下の本発明のトナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に特に好適に用いることができる。
【0212】
(トナー入り容器)
本発明のトナー入り容器は、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を容器中に収容してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナー容器本体とキャップとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記トナー容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、円筒状などが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を有しているもの、などが特に好ましい。
前記トナー容器本体の材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、その中でも、例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、などが好適に挙げられる。
本発明のトナー入り容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、後述する本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置等に、着脱可能に取り付けてトナーの補給に好適に使用することができる。
【0213】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
前記現像手段としては、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
本発明のプロセスカートリッジは、各種電子写真装置に着脱自在に備えさせることができ、後述する本発明の電子写真装置に着脱自在に備えさせるのが好ましい。
【0214】
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
【0215】
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
【0216】
−静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段−
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(「光導電性絶縁体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
【0217】
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
【0218】
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
【0219】
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0220】
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、本発明の前記トナー入り容器を備えた現像器などがより好ましい。
【0221】
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
【0222】
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0223】
前記現像器に収容させる現像剤は、本発明の前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。該現像剤に含まれるトナーは、本発明の前記トナーである。
【0224】
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
【0225】
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
【0226】
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0227】
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0228】
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
【0229】
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0230】
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0231】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図1を参照しながら説明する。図1に示す画像形成装置100は、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム10(以下「感光体10」という)と、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段としての露光装置30と、前記現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
【0232】
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されており、また、最終転写材としての転写紙95に現像像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部との間に配置されている。
【0233】
現像装置40は、前記現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えており、イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えており、シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が感光体10と接触している。
【0234】
図1に示す画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置30が感光ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像して可視像(トナー像)を形成する。該可視像(トナー像)が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
【0235】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図2を参照しながら説明する。図2に示す画像形成装置100は、図1に示す画像形成装置100において、現像ベルト41を備えてなく、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図1に示す画像形成装置100と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図2においては、図1におけるものと同じものは同符号で示した。
【0236】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図3を参照しながら説明する。図3に示すタンデム画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。前記タンデム画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図3中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
なお、前記タンデム画像形成装置においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
【0237】
次に、前記タンデム画像形成装置を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
【0238】
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
【0239】
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、前記タンデム画像形成装置における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、前記タンデム画像形成装置における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図4に示すように、それぞれ、感光体10(ブラック用感光体10K、イエロー用感光体10Y、マゼンタ用感光体10M及びシアン用感光体10C)と、該感光体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記感光体を露光(図4中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー像を形成する現像器61と、該トナー像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、感光体クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0240】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ150を回転して手差しトレイ51上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
【0241】
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
【0242】
本発明の画像形成装置及び画像形成方法では、耐凝集性、帯電性、流動性、転写性、定着性等の諸特性に優れ、着色剤の分散性が良好な本発明のトナーを用いるので、色再現範囲が広く、透明性及び精彩性を十分に改善でき、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画質が効率よく得られる。
【0243】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0244】
−プレポリマー1の合成−
前記プレポリマー1として、ジ(2−メチル−3−ブチン−2−イル)ジ炭酸エステルAを以下のようにして合成した。
即ち、トルエン1.75リットル中に、2−メチル−3−ブチン−2−オールを84.1g(1モル)溶解した溶液を3℃に冷却した。該溶液に60質量%水素化ナトリウム40g(1モル)を、不活性ガス雰囲気下、温度が10℃を超過しないように少しずつ添加した。該溶液にトルエンを250ml添加し、該混合液を18℃において一晩撹拌した。得られた褐色溶液を5℃に冷却し、5℃〜10℃においてCO101.5g(2.3モル)を導入した。該反応混合物を18℃まで加温し、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド3.2g(0.014モル)、ピリジン2.4g(0.03モル)、及びトルエン−4−スルホクロライド82.8g(0.43モル)を順次添加した。
得られた懸濁物を室温において3日間撹拌した。次いで、5℃において、5質量%の水性HSO 260mlを温度が10℃を超えないように添加した。有機溶媒相を単離し、水400mlで5回洗浄し、NaSOで乾燥して、真空濃縮した。
得られた粗生成物(94.8g)をヘキサンで処理して、融点102.8℃のジ(2−メチル−3−ブチン−2−イル)ジ炭酸エステルA 70g(トルエン−4−スルホクロライドを基準に計算して理論値の59%)を合成した。
【0245】
−プレポリマー2の合成−
前記プレポリマー2として、ジ(2−メチル−3−ブテン−2−イル)ジ炭酸エステルBを以下のようにして合成した。
即ち、前記プレポリマー1の合成において、2−メチル−3−ブチン−2−オールの代わりに2−メチル−3−ブテン−2−オールから出発し、トルエン−4−スルホクロライド0.40モルの代わりにトルエン−4−スルホクロライド0.50モルを使用した以外は、前記プレポリマー1の合成と同様にして、ジ(2−メチル−3−ブテン−2−イル)ジ炭酸エステルB(トルエン−4−スルホクロライドを基準に計算して理論値の61%)を合成した。
【0246】
−可溶性顔料前駆物質(着色剤B)の合成−
テトラヒドロフラン50ml中に、下記構造式で表されるピロロ[3,4−c]ピロール(以下「着色剤E」と称する。)2g(6.94×10−3モル)を添加し、懸濁させた。該懸濁液にジメチルアミノピリジン0.085g(6.94×10−4モル)、及びジ(2−メチル−3−ブテン−2−イル)ジ炭酸エステルB 10g(4.1×10−2モル)を添加した。該溶液を室温において一晩撹拌した。得られた蛍光オレンジ褐色溶液から溶剤を留去した。この残留物にヘキサンを添加してオレンジ色の固体物質を沈殿させた。得られた沈殿を濾過分離し、真空乾燥炉中で乾燥することにより、下記構造式で表される可溶性顔料前駆物質(着色剤B)2.39g(理論値の67%)を合成した。
【0247】
【化77】
Figure 2005055495
【0248】
【化78】
Figure 2005055495
【0249】
−可溶性顔料前駆物質(着色剤A)の合成−
前記可溶性顔料前駆物質(着色剤B)の合成において、ジ(2−メチル−3−ブテン−2−イル)ジ炭酸エステルBの代わりに、ジ(2−メチル−3−ブチン−2−イル)ジ炭酸エステルAを等モル量を使用した以外は、前記可溶性顔料前駆物質(着色剤B)の合成と同様にして、下記構造式で表される可溶性顔料前駆物質(着色剤A)を合成した。
【0250】
【化79】
Figure 2005055495
【0251】
−可溶性顔料前駆物質(着色剤C)の合成−
前記可溶性顔料前駆物質(着色剤B)の合成において、ピロロ[3,4−c]ピロールの代わりに下記構造式で表されるキナクリドン(以下、「着色剤F」と略称する。)の等モル量を使用した以外は、可溶性顔料前駆物質(着色剤B)の合成と同様にして、下記構造式で表される可溶性顔料前駆物質(着色剤C)を合成した。
【0252】
【化80】
Figure 2005055495
【0253】
【化81】
Figure 2005055495
【0254】
−可溶性顔料前駆物質(着色剤D)の合成−
前記可溶性顔料前駆物質(着色剤B)の合成において、ジ(2−メチル−3−ブテン−2−イル)炭酸エステルBの代わりに、ジ(2−メチル−3−ブチン−1−イル)ジ炭酸エステルAを等モル量使用した以外は、可溶性顔料前駆物質(着色剤B)の合成と同様にして、下記構造式で表される可溶性顔料前駆物質(着色剤D)を合成した。
【0255】
【化82】
Figure 2005055495
【0256】
(実施例1)
−接着性基材生成工程−
−−水系媒体相(水相)の調製−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」;三洋化成工業製)11質量部、スチレン138質量部、メタクリル酸138質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分にて15分間撹拌し、白色の乳濁液を得た。該乳濁液を加熱し系内温度を75℃まで昇温して5時間反応させた。次いで、該反応液に1質量%過硫酸アンモニウム水溶液を30質量部添加し、75℃にて5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(以下「微粒子分散液」と称する。)を調製した。
その後、水990質量部、前記微粒子分散液80質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業製)40質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、乳白色の液体を調製(以下「水相」と称する。)を調製した。
【0257】
−−プレポリマーの合成−−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物220質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物561質量部、テレフタル酸218質量部、アジピン酸48質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧230℃にて8時間反応させた。次いで、該反応液を10〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸45質量部を添加し、常圧下、180℃にて2時間反応させて、低分子ポリエステルを合成した。
そして、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記低分子ポリエステル410質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、付加反応物を合成して、プレポリマー(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成した。
【0258】
−−ケチミン(前記活性水素基含有化合物)の合成−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170質量部及びメチルエチルケトン75質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(前記活性水素基含有化合物)を合成した。
【0259】
−−有機溶媒相の調製−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、前記低分子ポリエステル378質量部、合成エステルワックス(ペンタエリスリトールテトラベヘネート)110質量部、及び酢酸エチル947質量部を仕込み、撹拌下、80℃まで昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間かけて30℃まで冷却した。次いで、反応容器中に、前記可溶性顔料前駆物質(着色剤A)200質量部、及び酢酸エチル750質量部を仕込み、1時間混合して原料溶解液を得た。
得られた原料溶解液1324質量部を反応容器に移し、ビーズミル(「ウルトラビスコミル」;アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、及び0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスして、前記可溶性顔料前駆物質(着色剤A)、及び合成エステルワックスの分散を行った。次いで、該分散液に前記低分子ポリエステルの65質量%酢酸エチル溶液1324質量部を添加した。上記同様の条件のビーズミルで1パスし、分散させ、有機溶媒相を調製した。
【0260】
−−乳化・分散−−
反応容器中に、前記有機溶媒相664質量部、前記プレポリマー100質量部、及び前記ケチミン化合物4.2質量部を仕込み、TK式ホモミキサー(特殊機化製)を用いて5,000rpmにて1分間混合した後、反応容器中に前記水相1200質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、回転数13,000rpmにて20分間混合して、乳化・分散を行い、乳化スラリーを調製した。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした反応容器中に、前記乳化スラリーを仕込み、30℃にて8時間脱溶剤した。その後、該乳化スラリーを50℃にて6時間静置した。
【0261】
静置後の前記乳化スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後、濾過した。ここで得た濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて30分間)した後、減圧濾過した。この超音波アルカリ洗浄を再度行った(超音波アルカリ洗浄2回)。ここで得た濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後、濾過した。ここで得た濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後で濾過する操作を2回行い、最終濾過ケーキを得た。ここで得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機で45℃にて48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩うと、トナーが得られた。
そして、得られたトナー100質量部に対し、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて疎水性シリカ0.5質量部及び疎水化酸化チタン0.5質量部を混合することにより、実施例1の静電荷像現像用トナーを製造した。
【0262】
(実施例2)
実施例1における可溶性顔料前駆物質(着色剤A)を、前記可溶性顔料前駆物質(着色剤B)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の静電荷像現像用トナーを製造した。
【0263】
(実施例3)
実施例1における可溶性顔料前駆物質(着色剤A)を、前記可溶性顔料前駆物質(着色剤C)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の静電荷像現像用トナーを製造した。
【0264】
(実施例4)
実施例1における可溶性顔料前駆物質(着色剤A)を、前記可溶性顔料前駆物質(着色剤D)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の静電荷像現像用トナーを製造した。
【0265】
(比較例1)
実施例1における可溶性顔料前駆物質(着色剤A)を、前記着色剤E(ピロロ[3,4−c]ピロール)に変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の静電荷像現像用トナーを製造した。
【0266】
(比較例2)
実施例1における可溶性顔料前駆物質(着色剤A)を、前記着色剤F(キナクリドン)に変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の静電荷像現像用トナーを製造した。
【0267】
(比較例3)
実施例1における可溶性顔料前駆物質(着色剤A)200質量部を、前記着色剤E(ピロロ[3,4−c]ピロール)200質量部及びsolsperse 22000(アビシア株式会社製)2質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例3の静電荷像現像用トナーを製造した。
【0268】
得られた実施例1〜4及び比較例1〜3の各静電荷像現像用トナーについて、以下のようにして、質量平均粒径及び粒度分布、平均円形度、並びに、彩度、透明性及び画像濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0269】
<質量平均粒径及び粒度分布>
静電荷像現像用トナーの質量平均粒径及び粒度分布は、粒度測定器(「コールターカウンターTAII」;コールターエレクトロニクス社製)を用い、アパーチャー径が100μmの条件で測定した。これらの結果から(質量平均粒径/個数平均粒径)を算出した。
【0270】
<平均円形度>
静電荷像現像用トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(「FPIA−2100」;東亜医用電子株式会社製)を用いて計測した。具体的には、容器中に、予め不純固形物を除去した水100〜150mlに分散剤としての界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩)を0.1〜0.5ml添加し、更に、各トナーを0.1〜0.5g添加して分散させた。得られた分散液を超音波分散器(ホンダエレクトロニクス社製)で約1〜3分間分散処理して、分散液の濃度を3000〜1万個/μlとして静電荷像現像用トナーの形状及び分布を測定した。これらの測定結果から平均円形度を算出した。
【0271】
<彩度、透明性及び画像濃度>
得られた各静電荷像現像用トナー100質量部に対し、疎水性シリカ0.7質量部、及び疎水化酸化チタン0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)にて混合する外添剤処理を行った。得られた外添剤処理済の静電荷像現像用トナー5質量%と、シリコーン樹脂で被覆した平均粒子径40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95質量%とから常法により現像剤を調製した。
得られた各現像剤について、以下のようにして、(a)彩度、(b)透明性及び(c)画像濃度を測定した。結果を表1に示す。なお、用いたimagio Neo 450(株式会社リコー製)は、毎分A4サイズの用紙を45枚印刷できるタンデム型カラー電子写真装置(画像形成装置)である。
【0272】
(a)彩度
前記タンデム型カラー電子写真装置(imagio Neo 450、株式会社リコー製)を用いて、複写紙(TYPE 6000<70W>、株式会社リコー製)に各現像剤の付着量が1.00±0.05mg/cmであるベタ画像を定着ローラの表面温度が160±2℃で形成した。得られた単色ベタ画像における彩度(C*)を、分光計(「938 スペクトロデンシトメータ、X−Rite社製」を用いて測定し、下記の評価基準により、5段階でランク付け評価を行った。なお、前記彩度(C*)が高い程、トナー中での色材の分散性が高く、濁りのない鮮やかな色であることを意味する。
〔評価基準〕
5 ・・・ 76以上
4 ・・・ 72以上76未満
3 ・・・ 68以上72未満
2 ・・・ 64以上68未満
1 ・・・ 64未満
【0273】
(b)透明性
前記タンデム型カラー電子写真装置(imagio Neo 450、株式会社リコー製)を用いて、転写紙としてOHPシート(TYPE PPC−DX、株式会社リコーエレメックス製)を用い、各現像剤の付着量が1.00±0.05mg/cmのベタ画像を定着ローラの表面温度が160±2℃で形成した。得られた単色ベタ画像におけるヘーズ度を直読ヘーズコンピュータHGM−2DP型(スガ試験機株式会社製)により測定し、下記評価基準に基づいて、5段階のランク付け評価を行った。なお、このヘーズ度は、曇り度とも言われ、トナーの透明性を示す尺度として用いられる。該ヘーズ値が低いほど透明性が高く、着色剤の微分散性が良好であることを示す。
〔評価基準〕
5 ・・・ 20%未満
4 ・・・ 20%以上25%未満
3 ・・・ 25%以上30%未満
2 ・・・ 30%以上35%未満
1 ・・・ 35%以上
【0274】
(c)画像濃度
前記タンデム型カラー電子写真装置(imagio Neo 450、株式会社リコー製)を用いて、複写紙(TYPE 6000<70W>、株式会社リコー製)に各現像剤の付着量が1.00±0.05mg/cmのベタ画像を定着ローラの表面温度が160±2℃で形成した。得られたベタ画像における任意の6箇所の画像濃度を、分光計(「938 スペクトロデンシトメータ、X−Rite社製」を用いて測定した。画像濃度値は、6箇所の画像濃度の平均値で示した。なお、得られた画像濃度値が高い程、画像濃度が高く、高濃度の画像が形成できることを意味する。
【0275】
【表1】
Figure 2005055495
表1に示すように、着色剤として可溶性基を有さない不溶性顔料を用いた比較例1〜4では、実施例1〜5に比べて透明性及び精彩性が劣り、画像濃度が低かったのに対し、実施例1〜5では、着色剤として不溶性顔料に変換可能な可溶性顔料前駆物質を用いており、該着色剤がトナー中で高度に微分散化されている結果、透明性、精彩性が高く、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画像濃度の高画質が得られた。
【0276】
【発明の効果】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、耐凝集性、帯電性、流動性、転写性、定着性等の諸特性に優れ、着色剤の分散性が良好で、色再現範囲が広く、透明性及び精彩性を十分に改善でき、銀塩写真法や印刷法等で形成したフルカラー画像に匹敵する高画質が得られるトナー及びその効率的な製造方法、並びに、該トナーを用い、高画質化が可能な、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の例を示す概略説明図である。
【図2】図2は、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の例を示す概略説明図である。
【図3】図3は、本発明の画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)により本発明の画像形成方法を実施する一例を示す概略説明図である。
【図4】図4は、図3に示す画像形成装置における一部拡大概略説明図である。
【符号の説明】
10 感光体(感光体ドラム)
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ベルト
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像器
45Y イエロー用現像器
45M マゼンタ用現像器
45C シアン用現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 定電流源
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100 画像形成装置
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)

Claims (9)

  1. 活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を反応させて水系媒体中で接着性基材を生成しつつ粒子状に得られ、可溶性顔料前駆物質から変換されてなる不溶性顔料を含むことを特徴とするトナー。
  2. 可溶性顔料前駆物質が下記構造式(1)で表される請求項1に記載のトナー。
    A(D)x 構造式(1)
    ただし、前記構造式(1)中、Aは、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジン、フタロシアニン、ジケトピロロピロール及びアゾ系列から選択される少なくとも1種の発色団の残基を表し、該Aは、その一部に含まれている窒素原子を介してx個のDと結合している。Dは、水素原子、又は下記構造式(2)で表される基を表し、その少なくとも1つが下記構造式(2)で表される基を表す。xは、1〜4の整数を表す。
    Figure 2005055495
    ただし、前記構造式(2)中、Qは、水素原子、又は下記構造式(3)で表される基を表す。
    Figure 2005055495
    ただし、前記構造式(3)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、又は炭化水素基を表す。Zは、置換基を表す。
  3. 構造式(3)中のZが、下記構造式(4)から(6)のいずれかの基を表す請求項2に記載のトナー。
    Figure 2005055495
    ただし、前記構造式(4)中、R〜Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、又は炭化水素基を表す。
    Figure 2005055495
    ただし、前記構造式(5)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又は下記構造式(7)から(9)のいずれかで表される基を表す。
    Figure 2005055495
    ただし、前記構造式(6)中、nは、1〜5の整数を表す。Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、又は下記構造式(7)〜(9)で表されるいずれかの基を表し、nが2以上の場合、Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
    Figure 2005055495
    ただし、前記構造式(7)中、Rは、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
    Figure 2005055495
    ただし、前記構造式(8)中、Rは、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。mは、1〜5の整数を表す。
    Figure 2005055495
    ただし、前記構造式(9)中、R10は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
  4. 接着性基材がポリエステル樹脂を含む請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
  5. ポリエステル樹脂がウレア変性ポリエステル樹脂を含む請求項4に記載のトナー。
  6. 活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を水系媒体中で分散させかつ反応させて接着性基材を生成させつつトナーを得る接着性基材生成工程と、可溶性顔料前駆物質を変換し不溶性顔料を生成させる顔料生成工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  7. 顔料生成工程において、化学的手段、熱的手段、光分解的手段及び照射誘導手段から選択される少なくとも1つにより、可溶性顔料前駆物質を変換し不溶性顔料を生成させる請求項6に記載のトナーの製造方法。
  8. 請求項1から5のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
  9. 請求項1から5のいずれかに記載のトナーを容器中に収容してなることを特徴とするトナー入り容器。
JP2003205986A 2003-08-05 2003-08-05 トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 Pending JP2005055495A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003205986A JP2005055495A (ja) 2003-08-05 2003-08-05 トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003205986A JP2005055495A (ja) 2003-08-05 2003-08-05 トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005055495A true JP2005055495A (ja) 2005-03-03

Family

ID=34363000

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003205986A Pending JP2005055495A (ja) 2003-08-05 2003-08-05 トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005055495A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2169010A2 (en) 2008-09-30 2010-03-31 FUJIFILM Corporation Method of producing organic pigment fine-particles, organic pigment fine-particles obtained thereby, liquid dispersion thereof, and composition thereof
JP2012002845A (ja) * 2010-06-14 2012-01-05 Ricoh Co Ltd トナー、並びに、現像剤及び画像形成方法
EP2434347A1 (en) 2010-09-27 2012-03-28 Fuji Xerox Co., Ltd. Orange toner and toner cartridge for storing the same, orange developer and process cartridge for storing the same, color toner set, and image forming apparatus

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2169010A2 (en) 2008-09-30 2010-03-31 FUJIFILM Corporation Method of producing organic pigment fine-particles, organic pigment fine-particles obtained thereby, liquid dispersion thereof, and composition thereof
JP2012002845A (ja) * 2010-06-14 2012-01-05 Ricoh Co Ltd トナー、並びに、現像剤及び画像形成方法
EP2434347A1 (en) 2010-09-27 2012-03-28 Fuji Xerox Co., Ltd. Orange toner and toner cartridge for storing the same, orange developer and process cartridge for storing the same, color toner set, and image forming apparatus
US8592112B2 (en) 2010-09-27 2013-11-26 Fuji Xerox Co., Ltd. Orange toner and toner cartridge for storing the same, orange developer and process cartridge for storing the same, color toner set, and image forming apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4347174B2 (ja) トナー及びそれを用いた画像形成方法
JP4295034B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP4658010B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置
JP2005115029A (ja) トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP2006085094A (ja) トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法
JP4494317B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法
JP2007248746A (ja) 静電荷像現像用イエロートナー
JP2005107387A (ja) トナー及びその製造方法、並びに、結晶性ポリエステル樹脂分散液及びその製造方法、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP4295144B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP2007079223A (ja) トナー、並びに現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP2008003360A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2008096976A (ja) トナー、及びその製造方法、並びに該トナーを用いた現像剤
JP4838570B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法
JP2005115347A (ja) トナー、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP4295182B2 (ja) カラートナー、カラートナーセット及びそれを用いた画像形成方法、画像形成装置
JP4319634B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法
JP4230384B2 (ja) トナー、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP4322801B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法
JP4180457B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP2005055495A (ja) トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP4233964B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP4208132B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP4365151B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP4327053B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法
JP4607228B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法