JP2005055485A - マイクロレンズアレイを用いた表示板 - Google Patents
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Abstract
【課題】レンズ機能を果さない面積(空間)を最小にすることが可能なマイクロレンズアレイを用いた表示板を提供する。
【解決手段】透明な基板12の表面に所定の直径を有する略半球状のマイクロレンズ16を配列してなるマイクロレンズアレイを形成した表示板において、前記マイクロレンズ間に、前記所定の直径よりも実質的に小さな直径を有する補助マイクロレンズ18を形成する。これにより、レンズ機能を果さない面積(空間)を最小にする。
【選択図】 図1
【解決手段】透明な基板12の表面に所定の直径を有する略半球状のマイクロレンズ16を配列してなるマイクロレンズアレイを形成した表示板において、前記マイクロレンズ間に、前記所定の直径よりも実質的に小さな直径を有する補助マイクロレンズ18を形成する。これにより、レンズ機能を果さない面積(空間)を最小にする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、球面状、或いは非球面状のマイクロレンズを配列してマイクロレンズアレイを形成した表示板に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロレンズアレイは微細加工技術などによって、面状の基板上などに制御された凹凸形状の微小単位レンズを多数配列して形成したものであり、例えば液晶ディスプレイ(またはスクリーン)、光結合光学素子、画像入出力装置などへの応用が期待されている。
上記したディスプレイにはセルに表示された像を直接観察する直視型のディスプレイと、表示像を正面、或いは背面からスクリーンに投影して観察する投写型のディスプレイとがある。
【0003】
背面投写型(リアプロジェクション型)のディスプレイの表示スクリーンとして一般的なものは、レンチキュラーレンズアレイシートであり、レンチキュラーレンズアレイシートの製造方法としては押出成形や射出成形が知られている。
また画像や表示品位の良好な視野角拡大効果の大きいマイクロレンズアレイシートを効率的に製造する製造方法が特許文献1に記載されている。この特許文献1には、マイクロレンズアレイシートの反対面に、微小単位レンズと相補的な機能を有する光学機能層を設けるようにした点が示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−39108号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レンチキュラーレンズのように円弧などの曲線を平行移動させた軌跡で示される曲面(かまぼこ状曲面)を一方向にのみ配列した1次元凹凸レンズアレイでは、マイクロレンズ化した微細なアレイシートであっても水平・垂直の一方向のみの視野角拡大効果しか得られない、という問題があった。
このため、ガラスビーズ球などのような透明球を用いてその一部が面状の樹脂基板シート上に埋没するように敷き詰めた投写型ディスプレイが開発されている。これを用いると円周方向、すなわち水平・垂直の両方向の視野角拡大効果が得られるが、透明体が球状、或いは円状であるがため面状の基板シート面積に対するレンズ機能を有する面積の占有率が100%よりもかなり低下する、という欠点があった。
【0006】
例えば図6(A)に示すように、半球状の微小なマイクロレンズ2を、平面図の上で円の中心が縦横一直線上になるように整列してマイクロレンズアレイを形成した場合、面状基板面積に対するレンズ機能を有する面積の占有率は78.5%程度である。図6及びこれ以降説明する図示例には部分的に平面図に対して断面図が併せて記載されている。そして、断面図中のA−A’、B−B’は、これに対応する平面図中の切断箇所を示す。
また図7に示すように、マイクロレンズ2を最密充填状態となるように整列しても、面状基板面積に対するレンズ機能を有する面積の占有率は90.7%程度である。
【0007】
また図8に示すように、マイクロレンズ2をアトランダムに配列した場合には、面状基板面積に対するレンズ機能を有する面積の占有率は75〜85%程度が上限と考えられ、全面に光線を照射した場合の使用できる全光線透過率、或いは全光線反射率は必然的に低下するという欠点があった。すなわち、球面状、或いは非球面状のマイクロレンズを最密充填状態にして配列してもレンズ間には平らなレンズの機能を果たさない空間が必然的に出来てしまう。そして、通常は、マイクロレンズ2としてガラスビーズ球などを用いた場合には、ビーズの充填率(占有率)は80%程度が上限となり、残りの20%はレンズの機能を果たさず光学特性の損失となっていた。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、レンズ機能を果さない面積(空間)を最小にすることが可能なマイクロレンズアレイを用いた表示板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、透明な基板の表面に所定の直径を有する略半球状のマイクロレンズを複数配列してなるマイクロレンズアレイを形成した表示板において、前記複数のマイクロレンズの隙間に、前記所定の直径よりも実質的に小さな直径を有する補助マイクロレンズが形成されたことを特徴とするマイクロレンズアレイを用いた表示板である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るマイクロレンズアレイを用いた表示板の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
<第1実施例>
図1は本発明のマイクロレンズアレイを表示板の第1実施例を示す図であり、ここでは図1(A)に平面図を示し、図1(B)にはA−A’線及びB−B’線に沿った断面図を示している。図2はマイクロレンズアレイの樹脂雌型の製造工程を示す図、図3は樹脂雌型を用いたマイクロレンズアレイを用いた表示板の製造工程を示す図である。
【0010】
図1に示すように、このマイクロレンズアレイを用いた表示板10(以下、単に表示板とも称す)は、透明な基板12上にマイクロレンズアレイ14を形成して構成されている。図1に示す場合には、このマイクロレンズアレイ14は、所定の直径L1を有する略半球状のマイクロレンズ16を縦方向及び横方向に半球或いは円の中心が一致するようにそれぞれ整列して配列されている。尚、本明細書中で略半球状とは、完全な半球状の場合のみならず、半球よりもやや大きい場合、小さい場合、或いは断面が完全な円弧ではなく、円弧よりも曲率がずれた曲線状になって、例えば半楕円形状になったような場合も含むものとする。そして、上記マイクロレンズ16の相互間に形成された空間を埋めるようにして上記所定の直径L1よりも実質的に小さな直径L2を有する略半球状の補助マイクロレンズ18が形成されている。この補助マイクロレンズ18は、図示例では周囲が4つのマイクロレンズ16で囲まれた全ての空間に配列されている。ここで上記直径L1は100μm程度、直径L2は40μm程度である。この場合、上記マイクロレンズ16は、その半球、もしくはそのレンズの曲率半径がレンズ曲面頂部から底面までの距離より大きいことが、製造工程上の問題で、マイクロレンズアレイのシート状表示板をアレイ樹脂雌型より剥離し易くなる、という理由で望ましい。図1中の平面図では補助マイクロレンズ18は高さの高い部分だけ輪郭として記載されているが、補助マイクロレンズ18は実際にはマイクロレンズ16間の隙間内に充填されたような状態で形成されている。この点は、これ以降に説明する他の実施例においても同様である。
【0011】
またマイクロレンズアレイ14とは、微小単位レンズ配列体として機能するレンズ層を有するものである。ここでいう微小単位レンズとは凹レンズ・凸レンズなどのレンズ機能を持つ微小な単位部分であり、単位部分(単位レンズ)の大きさに対して配列体であるレンズ層の面積が十分に大きいことを意味する。
また本発明におけるマイクロレンズアレイ14のレンズ層を形成する物質としては、少なくとも可視光に透明であれば特に限定されるものではなく、例えば光線透過率の高い公知の熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ガラスなどが挙げられる。
【0012】
本発明で好ましく使用されるのは光硬化性樹脂であり、特に紫外線硬化性樹
脂を使用することが生産効率や形状の正確さ、硬化性、設備の簡便さなどの点
から最も適している。また透明な基板12としては、特に限定されるものではないが、例えば光線透過率の高い公知のプラスチック平板、ガラス平板及び可撓性を持つプラスチックフィルム等が挙げられる。
【0013】
次に、上記表示板10の製造方法について説明する。
この表示板10を形成するには、まず、マイクロレンズアレイ14を形成するためのアレイ樹脂雌型を作製し、その後、このアレイ機能樹脂雌型を用いて表示板10を形成することになる。
【0014】
<アレイ樹脂雌型の作製>
図2はアレイ樹脂雌型の製造工程を示しており、図中、必要に応じて平面図が併記されており、またA−A’線、B−B’線は、その方向に沿って切断した時の断面図を示す。この点は図3も同様である。
まず、図2(A)に示すように、例えば縦横が100mm×100mmのガラス基板20上に粘度が例えば450mPa・sの紫外線硬化性樹脂を厚みが例えば10μmになるよう塗布して半硬化させて樹脂層22を形成する。
次に、図2(B)に示すように、上記樹脂層22の上に直径が約100μmのビーズ球24を図2に示す配列と同じになるように縦横に整列して配置した。このビーズ球24としては例えばプラスチック球や金属球等を用いることができる。尚、図2(B)にはこの時の平面図を併記している。
【0015】
次に、図2(C)に示すように、更に同様の粘度が450mPa・sの紫外線硬化性樹脂を上記ビーズ球24が略半球分埋まるよう流し込み完全硬化させて肉厚な樹脂層26を形成する。
次に、図2(D)に示すように、上記肉厚な樹脂層26中に略半球分埋まっている上記ビーズ球24を化学エッチングにより溶かして除去し、これによってビーズ球24が除去された部分に略半球状の大凹部30が形成され、またこの大凹部30の相互間にこれより直径の小さな小凹部32が形成されることになり、アレイ樹脂雌型28を作製することができる。
この化学エッチング処理のエッチング液としては、例えばプラスチック樹脂であるポリスチレン球を用いた場合は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、トルエン等を、また、金属球を用いた場合は、強酸である塩酸や硝酸等をそれぞれ用いることができる。またこのアレイ樹脂雌型の製造工程で重要な点は、上記紫外線硬化樹脂等の液体樹脂を用いて上記小凹部32を形成する点である。すなわち、上記した小凹部32が形成されるのは、液体樹脂で雌型を作製することによる特異な現象であり、図2(C)において肉厚な樹脂層26を形成する際に、この樹脂が液体であるがため固体のビーズ球24と接した時に起こる表面張力と、ビーズ球同士が接した時の狭い空隙に毛細管現象とが生じ、これらを利用して上記小凹部32が形成される。
【0016】
<アレイ樹脂雌型を用いて表示板の作製>
次に、上述のように作製したアレイ樹脂雌型28を用いて表示板を作製する。図3(A)に示すように、まず上記したように作製した紫外線硬化性樹脂製のアレイ樹脂雌型28に、上記樹脂層26よりも低粘度である170mPa・s程度の光線透過率の良好な紫外線硬化性樹脂34を上記大凹部30内や小凹部32内が埋まるように充填し、その上に50μm厚の例えばPC(ポリカーボネート)フィルム36を重ね合わせた後、紫外線を照射して硬化させる。次に、図3(B)に示すように、これをアレイ樹脂雌型28よりPCフィルム36ごと剥離することにより、直径が約100μmの半球状のマイクロレンズ16(34)が図1に示す配列のように形成された表示板10を得る。この時、直径が100μmの半球状のマイクロレンズ16(34)間に更に小さい直径が約40μmの半球状の補助マイクロレンズ18(34)が形成されることになる。
【0017】
以上のようにして、図1に示すように透明な基板12上に、マイクロレンズ16と補助マイクロレンズ18とが配列された表示板10を得ることができる。このように、直径の大きなマイクロレンズ16の他に、マイクロレンズ16の相互間の隙間、或いは空間部に直径の小さな補助マイクロレンズ18を設けるようにしたので、視野角や可視光線透過率等の光学特性を向上させることが可能となる。
【0018】
次に以上のようにして作製した表示板を評価するために、比較例1を作製した。この比較例1では、アレイ樹脂雌型28を用いる替わりに、直径が100μmの半球状の凹部を図1に示す配列と同様になるように100mm×100mmのエリアに多数刻印した銅製の雌金型を用いた(小凹部32に相当するものは無し)。この銅製の雌金型を用いて実施例1と同様に紫外線硬化性樹脂からなる直径が約100μmの半球状のマイクロレンズを有する表示板を作製した(補助マイクロレンズ18は無し)。
【0019】
この時の実施例1と比較例1の評価結果を表1に示す。尚、実施例1ではビーズ球24としてプラスチック(ポリスチレン)製ビーズ球と金属(鉄)製ビーズ球の2種類を用いた。この評価時の光学特性は、(株)村上色彩技術研究所製の変角光度計GP−200型を用いて測定した。
【0020】
【表1】
【0021】
ここでピークゲイン値は完全拡散板を1.0とした時の相対値であり、また、このピークゲイン値は視野角0deg.の時のゲイン値である。但し、本測定でのピークゲイン値は直線光が完全直線透過(マイクロレンズを通過していない光線)するサンプルであるため、視野角±5deg.でスムージング処理を行い求めたものである。
表1より明らかなように、実施例1の場合には可視光線透過率は92〜94%であってビーズ球24の種類にほとんど関係なく可視光線透過率は高く、これに対して、比較例1の可視光線透過率は73%であり、このように、実施例1の場合には比較例1と比較して最重要光学特性であるピークゲイン値・視野角・可視光線透過率が大幅に向上して良好となることが判る。
【0022】
<第2実施例及び第3実施例>
上記第1実施例では略半球状のマイクロレンズ16を縦方向及び横方向へその直径が一致するように配列した場合を例にとって説明したが、この配列に限定されない。例えば図4に示す第2実施例は、先の図7に対応する配列であり、マイクロレンズ16は最密充填状態となるように整列して配列されており、図5に示す第3実施例は、先の図8に対応する配列であり、マイクロレンズ16はアトランダムに配列されている。これらの第2及び第3実施例の場合にも、マイクロレンズ16の相互間の隙間、或いは空間に補助マイクロレンズ18を配置して、第1実施例の場合と同様に、光学的特性の向上を図ることが可能となる。図4及び図5の平面図において補助マイクロレンズ18は高さの高い部分の輪郭のみを記載しているが、実際には併記した断面図に示すように、隣接する補助マイクロレンズ18同士はその周辺部において僅かに繋がった状態となっている。
尚、上記実施例では透明な基板12として可撓性のある樹脂フィルムを用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、透明なガラス板等を用いてもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上詳述したように、本願発明によれば、マイクロレンズ間に補助マイクロレンズを設けるようにしたので、平らなレンズ機能を果たさない空間が最小面積となり、光学特性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロレンズアレイを表示板の第1実施例を示す図である。
【図2】マイクロレンズアレイの樹脂雌型の製造工程を示す図である。
【図3】樹脂雌型を用いたマイクロレンズアレイを用いた表示板の製造工程を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例を示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施例を示す断面図である。
【図6】半球状の微小なマイクロレンズの従来の配列状態の一例を示す図である。
【図7】半球状の微小なマイクロレンズの従来の配列状態の他の一例を示す図である。
【図8】半球状の微小なマイクロレンズの従来の配列状態の更に他の一例を示す図である。
【符号の説明】
10…表示板、12…透明な基板、14…マイクロレンズアレイ、16…マイクロレンズ、18…補助マイクロレンズ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、球面状、或いは非球面状のマイクロレンズを配列してマイクロレンズアレイを形成した表示板に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロレンズアレイは微細加工技術などによって、面状の基板上などに制御された凹凸形状の微小単位レンズを多数配列して形成したものであり、例えば液晶ディスプレイ(またはスクリーン)、光結合光学素子、画像入出力装置などへの応用が期待されている。
上記したディスプレイにはセルに表示された像を直接観察する直視型のディスプレイと、表示像を正面、或いは背面からスクリーンに投影して観察する投写型のディスプレイとがある。
【0003】
背面投写型(リアプロジェクション型)のディスプレイの表示スクリーンとして一般的なものは、レンチキュラーレンズアレイシートであり、レンチキュラーレンズアレイシートの製造方法としては押出成形や射出成形が知られている。
また画像や表示品位の良好な視野角拡大効果の大きいマイクロレンズアレイシートを効率的に製造する製造方法が特許文献1に記載されている。この特許文献1には、マイクロレンズアレイシートの反対面に、微小単位レンズと相補的な機能を有する光学機能層を設けるようにした点が示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−39108号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レンチキュラーレンズのように円弧などの曲線を平行移動させた軌跡で示される曲面(かまぼこ状曲面)を一方向にのみ配列した1次元凹凸レンズアレイでは、マイクロレンズ化した微細なアレイシートであっても水平・垂直の一方向のみの視野角拡大効果しか得られない、という問題があった。
このため、ガラスビーズ球などのような透明球を用いてその一部が面状の樹脂基板シート上に埋没するように敷き詰めた投写型ディスプレイが開発されている。これを用いると円周方向、すなわち水平・垂直の両方向の視野角拡大効果が得られるが、透明体が球状、或いは円状であるがため面状の基板シート面積に対するレンズ機能を有する面積の占有率が100%よりもかなり低下する、という欠点があった。
【0006】
例えば図6(A)に示すように、半球状の微小なマイクロレンズ2を、平面図の上で円の中心が縦横一直線上になるように整列してマイクロレンズアレイを形成した場合、面状基板面積に対するレンズ機能を有する面積の占有率は78.5%程度である。図6及びこれ以降説明する図示例には部分的に平面図に対して断面図が併せて記載されている。そして、断面図中のA−A’、B−B’は、これに対応する平面図中の切断箇所を示す。
また図7に示すように、マイクロレンズ2を最密充填状態となるように整列しても、面状基板面積に対するレンズ機能を有する面積の占有率は90.7%程度である。
【0007】
また図8に示すように、マイクロレンズ2をアトランダムに配列した場合には、面状基板面積に対するレンズ機能を有する面積の占有率は75〜85%程度が上限と考えられ、全面に光線を照射した場合の使用できる全光線透過率、或いは全光線反射率は必然的に低下するという欠点があった。すなわち、球面状、或いは非球面状のマイクロレンズを最密充填状態にして配列してもレンズ間には平らなレンズの機能を果たさない空間が必然的に出来てしまう。そして、通常は、マイクロレンズ2としてガラスビーズ球などを用いた場合には、ビーズの充填率(占有率)は80%程度が上限となり、残りの20%はレンズの機能を果たさず光学特性の損失となっていた。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、レンズ機能を果さない面積(空間)を最小にすることが可能なマイクロレンズアレイを用いた表示板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、透明な基板の表面に所定の直径を有する略半球状のマイクロレンズを複数配列してなるマイクロレンズアレイを形成した表示板において、前記複数のマイクロレンズの隙間に、前記所定の直径よりも実質的に小さな直径を有する補助マイクロレンズが形成されたことを特徴とするマイクロレンズアレイを用いた表示板である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るマイクロレンズアレイを用いた表示板の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
<第1実施例>
図1は本発明のマイクロレンズアレイを表示板の第1実施例を示す図であり、ここでは図1(A)に平面図を示し、図1(B)にはA−A’線及びB−B’線に沿った断面図を示している。図2はマイクロレンズアレイの樹脂雌型の製造工程を示す図、図3は樹脂雌型を用いたマイクロレンズアレイを用いた表示板の製造工程を示す図である。
【0010】
図1に示すように、このマイクロレンズアレイを用いた表示板10(以下、単に表示板とも称す)は、透明な基板12上にマイクロレンズアレイ14を形成して構成されている。図1に示す場合には、このマイクロレンズアレイ14は、所定の直径L1を有する略半球状のマイクロレンズ16を縦方向及び横方向に半球或いは円の中心が一致するようにそれぞれ整列して配列されている。尚、本明細書中で略半球状とは、完全な半球状の場合のみならず、半球よりもやや大きい場合、小さい場合、或いは断面が完全な円弧ではなく、円弧よりも曲率がずれた曲線状になって、例えば半楕円形状になったような場合も含むものとする。そして、上記マイクロレンズ16の相互間に形成された空間を埋めるようにして上記所定の直径L1よりも実質的に小さな直径L2を有する略半球状の補助マイクロレンズ18が形成されている。この補助マイクロレンズ18は、図示例では周囲が4つのマイクロレンズ16で囲まれた全ての空間に配列されている。ここで上記直径L1は100μm程度、直径L2は40μm程度である。この場合、上記マイクロレンズ16は、その半球、もしくはそのレンズの曲率半径がレンズ曲面頂部から底面までの距離より大きいことが、製造工程上の問題で、マイクロレンズアレイのシート状表示板をアレイ樹脂雌型より剥離し易くなる、という理由で望ましい。図1中の平面図では補助マイクロレンズ18は高さの高い部分だけ輪郭として記載されているが、補助マイクロレンズ18は実際にはマイクロレンズ16間の隙間内に充填されたような状態で形成されている。この点は、これ以降に説明する他の実施例においても同様である。
【0011】
またマイクロレンズアレイ14とは、微小単位レンズ配列体として機能するレンズ層を有するものである。ここでいう微小単位レンズとは凹レンズ・凸レンズなどのレンズ機能を持つ微小な単位部分であり、単位部分(単位レンズ)の大きさに対して配列体であるレンズ層の面積が十分に大きいことを意味する。
また本発明におけるマイクロレンズアレイ14のレンズ層を形成する物質としては、少なくとも可視光に透明であれば特に限定されるものではなく、例えば光線透過率の高い公知の熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ガラスなどが挙げられる。
【0012】
本発明で好ましく使用されるのは光硬化性樹脂であり、特に紫外線硬化性樹
脂を使用することが生産効率や形状の正確さ、硬化性、設備の簡便さなどの点
から最も適している。また透明な基板12としては、特に限定されるものではないが、例えば光線透過率の高い公知のプラスチック平板、ガラス平板及び可撓性を持つプラスチックフィルム等が挙げられる。
【0013】
次に、上記表示板10の製造方法について説明する。
この表示板10を形成するには、まず、マイクロレンズアレイ14を形成するためのアレイ樹脂雌型を作製し、その後、このアレイ機能樹脂雌型を用いて表示板10を形成することになる。
【0014】
<アレイ樹脂雌型の作製>
図2はアレイ樹脂雌型の製造工程を示しており、図中、必要に応じて平面図が併記されており、またA−A’線、B−B’線は、その方向に沿って切断した時の断面図を示す。この点は図3も同様である。
まず、図2(A)に示すように、例えば縦横が100mm×100mmのガラス基板20上に粘度が例えば450mPa・sの紫外線硬化性樹脂を厚みが例えば10μmになるよう塗布して半硬化させて樹脂層22を形成する。
次に、図2(B)に示すように、上記樹脂層22の上に直径が約100μmのビーズ球24を図2に示す配列と同じになるように縦横に整列して配置した。このビーズ球24としては例えばプラスチック球や金属球等を用いることができる。尚、図2(B)にはこの時の平面図を併記している。
【0015】
次に、図2(C)に示すように、更に同様の粘度が450mPa・sの紫外線硬化性樹脂を上記ビーズ球24が略半球分埋まるよう流し込み完全硬化させて肉厚な樹脂層26を形成する。
次に、図2(D)に示すように、上記肉厚な樹脂層26中に略半球分埋まっている上記ビーズ球24を化学エッチングにより溶かして除去し、これによってビーズ球24が除去された部分に略半球状の大凹部30が形成され、またこの大凹部30の相互間にこれより直径の小さな小凹部32が形成されることになり、アレイ樹脂雌型28を作製することができる。
この化学エッチング処理のエッチング液としては、例えばプラスチック樹脂であるポリスチレン球を用いた場合は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、トルエン等を、また、金属球を用いた場合は、強酸である塩酸や硝酸等をそれぞれ用いることができる。またこのアレイ樹脂雌型の製造工程で重要な点は、上記紫外線硬化樹脂等の液体樹脂を用いて上記小凹部32を形成する点である。すなわち、上記した小凹部32が形成されるのは、液体樹脂で雌型を作製することによる特異な現象であり、図2(C)において肉厚な樹脂層26を形成する際に、この樹脂が液体であるがため固体のビーズ球24と接した時に起こる表面張力と、ビーズ球同士が接した時の狭い空隙に毛細管現象とが生じ、これらを利用して上記小凹部32が形成される。
【0016】
<アレイ樹脂雌型を用いて表示板の作製>
次に、上述のように作製したアレイ樹脂雌型28を用いて表示板を作製する。図3(A)に示すように、まず上記したように作製した紫外線硬化性樹脂製のアレイ樹脂雌型28に、上記樹脂層26よりも低粘度である170mPa・s程度の光線透過率の良好な紫外線硬化性樹脂34を上記大凹部30内や小凹部32内が埋まるように充填し、その上に50μm厚の例えばPC(ポリカーボネート)フィルム36を重ね合わせた後、紫外線を照射して硬化させる。次に、図3(B)に示すように、これをアレイ樹脂雌型28よりPCフィルム36ごと剥離することにより、直径が約100μmの半球状のマイクロレンズ16(34)が図1に示す配列のように形成された表示板10を得る。この時、直径が100μmの半球状のマイクロレンズ16(34)間に更に小さい直径が約40μmの半球状の補助マイクロレンズ18(34)が形成されることになる。
【0017】
以上のようにして、図1に示すように透明な基板12上に、マイクロレンズ16と補助マイクロレンズ18とが配列された表示板10を得ることができる。このように、直径の大きなマイクロレンズ16の他に、マイクロレンズ16の相互間の隙間、或いは空間部に直径の小さな補助マイクロレンズ18を設けるようにしたので、視野角や可視光線透過率等の光学特性を向上させることが可能となる。
【0018】
次に以上のようにして作製した表示板を評価するために、比較例1を作製した。この比較例1では、アレイ樹脂雌型28を用いる替わりに、直径が100μmの半球状の凹部を図1に示す配列と同様になるように100mm×100mmのエリアに多数刻印した銅製の雌金型を用いた(小凹部32に相当するものは無し)。この銅製の雌金型を用いて実施例1と同様に紫外線硬化性樹脂からなる直径が約100μmの半球状のマイクロレンズを有する表示板を作製した(補助マイクロレンズ18は無し)。
【0019】
この時の実施例1と比較例1の評価結果を表1に示す。尚、実施例1ではビーズ球24としてプラスチック(ポリスチレン)製ビーズ球と金属(鉄)製ビーズ球の2種類を用いた。この評価時の光学特性は、(株)村上色彩技術研究所製の変角光度計GP−200型を用いて測定した。
【0020】
【表1】
【0021】
ここでピークゲイン値は完全拡散板を1.0とした時の相対値であり、また、このピークゲイン値は視野角0deg.の時のゲイン値である。但し、本測定でのピークゲイン値は直線光が完全直線透過(マイクロレンズを通過していない光線)するサンプルであるため、視野角±5deg.でスムージング処理を行い求めたものである。
表1より明らかなように、実施例1の場合には可視光線透過率は92〜94%であってビーズ球24の種類にほとんど関係なく可視光線透過率は高く、これに対して、比較例1の可視光線透過率は73%であり、このように、実施例1の場合には比較例1と比較して最重要光学特性であるピークゲイン値・視野角・可視光線透過率が大幅に向上して良好となることが判る。
【0022】
<第2実施例及び第3実施例>
上記第1実施例では略半球状のマイクロレンズ16を縦方向及び横方向へその直径が一致するように配列した場合を例にとって説明したが、この配列に限定されない。例えば図4に示す第2実施例は、先の図7に対応する配列であり、マイクロレンズ16は最密充填状態となるように整列して配列されており、図5に示す第3実施例は、先の図8に対応する配列であり、マイクロレンズ16はアトランダムに配列されている。これらの第2及び第3実施例の場合にも、マイクロレンズ16の相互間の隙間、或いは空間に補助マイクロレンズ18を配置して、第1実施例の場合と同様に、光学的特性の向上を図ることが可能となる。図4及び図5の平面図において補助マイクロレンズ18は高さの高い部分の輪郭のみを記載しているが、実際には併記した断面図に示すように、隣接する補助マイクロレンズ18同士はその周辺部において僅かに繋がった状態となっている。
尚、上記実施例では透明な基板12として可撓性のある樹脂フィルムを用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、透明なガラス板等を用いてもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上詳述したように、本願発明によれば、マイクロレンズ間に補助マイクロレンズを設けるようにしたので、平らなレンズ機能を果たさない空間が最小面積となり、光学特性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロレンズアレイを表示板の第1実施例を示す図である。
【図2】マイクロレンズアレイの樹脂雌型の製造工程を示す図である。
【図3】樹脂雌型を用いたマイクロレンズアレイを用いた表示板の製造工程を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例を示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施例を示す断面図である。
【図6】半球状の微小なマイクロレンズの従来の配列状態の一例を示す図である。
【図7】半球状の微小なマイクロレンズの従来の配列状態の他の一例を示す図である。
【図8】半球状の微小なマイクロレンズの従来の配列状態の更に他の一例を示す図である。
【符号の説明】
10…表示板、12…透明な基板、14…マイクロレンズアレイ、16…マイクロレンズ、18…補助マイクロレンズ。
Claims (1)
- 透明な基板の表面に所定の直径を有する略半球状のマイクロレンズを複数配列してなるマイクロレンズアレイを形成した表示板において、
前記複数のマイクロレンズの隙間に間に、前記所定の直径よりも実質的に小さな直径を有する補助マイクロレンズが形成されたことを特徴とするマイクロレンズアレイを用いた表示板。
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2003
- 2003-08-04 JP JP2003205832A patent/JP2005055485A/ja active Pending
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