JP2005050560A - 複合超電導導体および超電導磁石 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温超電導導体の長所と低温超電導導体の長所をあわせもちコンパクトで安定な複合超電導導体および超電導磁石を提供する。
【解決手段】複数の異なる特性の超電導導体を並列して成り、前記超電導導体の少なくとも2つが超電導臨界電流密度、超電導臨界磁界及び超電導転移温度の少なくとも1つにおいて2.5倍以上異なる構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の異なる特性の超電導導体を並列して成り、前記超電導導体の少なくとも2つが超電導臨界電流密度、超電導臨界磁界及び超電導転移温度の少なくとも1つにおいて2.5倍以上異なる構成とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超電導電力貯蔵装置やパルス磁場発生装置等に用いられる複合超電導導体および超電導磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】
超電導電力貯蔵装置やパルス磁場発生装置等の超電導磁石において、蓄積エネルギーを短時間に放出する場合、磁石自体の交流損失で磁石温度が上昇する。この温度上昇が超電導導体の超電導転移温度を超えると、超電導磁石はクエンチ(常電導転移)する。低温超電導導体からなる超電導磁石の場合には、クエンチまでの温度マージンが高温超電導導体からなる超電導磁石に比較して小さいため、急激な温度上昇を伴う運転には不向きである。
【0003】
他方、高温超電導導体の場合には、超電導臨界温度が低温超電導導体に比較して高いために、クエンチまでの温度マージンが大きい。しかし、超電導臨界温度以下でクエンチに至らない場合においても、温度上昇に伴う超電導臨界電流密度の低下のために超電導磁石のフロー損失が増加して、冷却が不足すると超電導磁石が熱暴走する場合がある。そのために、エネルギー放出は、交流損失やフロー損失による発熱に対して、超電導導体が熱的に安定であることが一つの条件になっている。(下記非特許文献1参照)
【0004】
また、高温超電導導体は低温超電導導体に比較して、超電導臨界磁界と超電導転移温度が高い反面、一般に高価で、交流損失が大きく、また許容歪が小さい上に剛性が低いため巻線作業が難しい等の欠点がある。このため、超電導磁石装置における高温超電導導体の適用は、低温超電導導体では実現できない運転温度や、高温超電導導体でしか到達できない高磁界発生箇所、あるいは低温超電導導体よりも超電導臨界電流が高くとれるような条件下で適用するのが一般的である。(下記非特許文献2参照)
更に、多くの場合、高温超電導導体の剛性の低さを補う目的で、高温超電導導体には金属材料の補強材を付与してコイルにすることが一般的である。
【0005】
【非特許文献1】
1999年度秋季低温工学・超電導学会講演予稿集B3−15
「高速励磁型Nb3Snマグネット」
【非特許文献2】
2002年度秋季低温工学・超電導学会講演予稿集2D−a05
「Bi2223線材による高温超電導パンケーキ型コイルの開発(2)」
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように高温超電導導体を用いた超電導磁石は、低温超電導導体を用いた超電導磁石に比較して、超電導臨界温度が高いために許容温度上昇に関する温度マージンが大きい反面、交流損失が大きいために上昇温度も高いという問題がある。また高温超電導導体の剛性を補強する場合、補強材を設けることによりコイル電流密度が低下するため、必要な起磁力を確保しようとすると、コイルが大型化するという問題がある。
【0007】
更に、交流損失で超電導磁石の温度が上昇した直後にも依然として超電導状態であって、かつ、通電できることが求められる場合、仮に温度上昇以前には低温超電導導体によっても通電電流の一部を担えたとしても、温度上昇後の通電の条件から、高価な高温超電導導体による磁石構成を選択せざるを得ないという問題がある。
【0008】
そこで本発明は、高温超電導導体の長所と低温超電導導体の長所をあわせもちコンパクトで安定な複合超電導導体および超電導磁石を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は複合超電導導体であり、複数の異なる特性の超電導導体を並列して成り、前記超電導導体の少なくとも2つが超電導臨界電流密度、超電導臨界磁界及び超電導転移温度の少なくとも1つにおいて2.5倍以上異なる構成とする。
【0010】
請求項2の発明は、前記複数の超電導導体は、交流損失の相異が10倍以下である構成とする。
請求項3の発明は、前記複数の超電導導体は、相互に電気的に接触し、あるいはツイストされ、あるいは所定間隔毎に転位されている構成とする。
【0011】
請求項4の発明は、前記複数の超電導導体の長さ方向に沿う補強材を備えている構成とする。
請求項5の発明は超電導磁石であり、請求項1に記載の複合超電導導体を巻回されてなるコイルを備え、前記複合超電導導体の超電導特性が前記コイルの内周部と外周部で異なる構成とする。
【0012】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の複合超電導導体の断面図である。
図1(a)に示す複合超電導導体3は1本の円形断面の高温超電導導体1と1本の円形断面の低温超電導導体2を並列にした構成であり、図1(b)に示す複合超電導導体3は複数本の円形断面の高温超電導導体1と複数本の円形断面の低温超電導導体2を矩形に並列にした構成であり、図1(c)に示す複合超電導導体3は複数本の円形断面の高温超電導導体1と複数本の円形断面の低温超電導導体2を円形に並べた構成であり、図1(d)に示す複合超電導導体3は矩形断面の高温超電導導体1と矩形断面の低温超電導導体2を並列にした構成である。
【0013】
高温超電導導体1および低温超電導導体2としては、図2に示すように、それぞれBi2Sr2CaCu2O8,(BiPb)2Sr2Ca2Cu3O10,YBa2Cu3O7,およびNbTi,Nb3Sn,Nb3Alを用いることができる。図2にはこれらの超電導導体の超電導臨界電流密度、上部臨界磁場および超電導転移温度も示してある。
【0014】
本実施の形態に係る複合超電導導体は、高温超電導導体1と低温超電導導体2を一体化させて、一つにまとめた複合超電導導体3に形成したものである。高温超電導導体1と低温超電導導体2の種類と本数は、それぞれ異なる種類を異なる本数備えてもよい。その際、高温超電導導体1と低温超電導導体2の少なくとも2つが、その超電導臨界電流密度、超電導臨界磁界及び超電導転移温度の少なくとも1つが、2.5倍以上異なるようにするのがよい。また、高温超電導導体1の交流損失に対して低温超電導導体2の交流損失が1/10倍以下の組合せにするのがよい。
【0015】
本実施の形態では、高温超電導導体1と低温超電導導体2を組み合わせた複合超電導導体3にすることで、低温超電導導体2が単独の場合における温度マージンが低い問題、一方、高温超電導導体1が単独の場合における、剛性が低く、かつ、導体コストが高い問題を回避することができる。本実施の形態の複合超電導導体は、高温超電導と低温超電導の両方の特長を備えている。したがって安定で蓄積エネルギーを短時間で放出することができるコンパクトな超電導磁石を実現することができる。
【0016】
図3は、本発明の第2の実施の形態の複合超電導導体を示す概念図である。本実施の形態では高温超電導導体1と低温超電導導体2とが電気的に接触しており、図3(a)では、所定の区間ごとに転位を施してある。図3(b)では高温超電導導体1と低温超電導導体2をツイスト(より合せ)してある。
【0017】
本実施の形態では、複合超電導導体3を構成する高温超電導導体1と低温超電導導体2のインピーダンスの差異を解消することができるので、超電導導体1,2における電流の偏流を回避することができる。また超電導導体1,2間の転流の時定数を小さくすることができるので、超電導導体1,2間の転流に長時間必要とする問題を回避することができる。
【0018】
このように、本実施の形態の複合超電導導体は、複数の高温超電導導体1と低温超電導導体2を電気的に接触させて、かつ転位が施されているので、高温超電導と低温超電導の両方の特長を備えている。したがって安定で蓄積エネルギーを短時間で放出することができるコンパクトな超電導磁石を実現することができる。
【0019】
図4は、本発明の第3の実施の形態の複合超電導導体を示す断面図である。本実施の形態の複合超電導導体3は高温超電導導体1と低温超電導導体2と補強部材4からなる。補強部材4としては、ステンレス鋼、チタン合金、銅合金、アルミ合金、ニッケル合金、金属酸化物繊維、カーボン繊維のいずれかのうち少なくとも1つを用いる。
【0020】
本実施の形態の複合超電導導体3は、ステンレス鋼、チタン合金、銅合金、アルミ合金、ニッケル合金、酸化物繊維、カーボン繊維のいずれかのうち少なくとも1つからなる補強部材4を備えているので、高い機械的強度を有し、高温超電導と低温超電導の両方の特長を備えている。したがって、安定でコンパクトな超電導磁石を実現することができる。
【0021】
つぎに本発明の第4の実施の形態の超電導磁石について説明する。
本実施の形態の超電導磁石は図5に示すように、同芯状に配置された超電導コイル5および6からなる。超電導コイル5と超電導コイル6はグレーディングされ、異なる構成の複合超電導導体3a,3bにより構成されている。
【0022】
すなわち、複合超電導導体3aにおける高温超電導導体の占積率を複合超電導導体3bに比較して大きくするか、または構成する超電導導体の本数を増やすかの少なくともどちらか一方とする。この構成によって、超電導コイル5が超電導コイル6に比較して高磁界側に位置することから、磁場の大きさに応じた適切な通電容量を有する超電導磁石を実現することができる。
【0023】
あるいは、複合超電導導体3aを複合超電導導体3bに比較して、より交流損失が小さい超電導導体で構成するか、または交流損失が小さい超電導導体の占積率を大きくするかの少なくともどちらか一方とする。この構成によって、超電導磁石をパルス運転する際に、超電導コイル5では超電導コイル6に比較してより磁場変化量が大きくなることから、磁場変化量に応じた適切な低損失化を実現することができる。
【0024】
あるいはまた超電導コイル5の温度環境が超電導コイル6の温度環境と異なる場合に、より温度が高い環境におかれる側の複合超電導導体において、他方の複合超電導導体に比較して、高温超電導導体の占積率を大きくする。このようにすることで、温度環境に応じた適切な通電容量を有する超電導磁石を実現することができる。
【0025】
なお、超電導コイル5,6の数は3個以上あってもよいし、1個の超電導コイル5,6の内部を複数の複合超電導導体でグレーディングしてもよい。また、超電導コイル5,6は蓄積エネルギーの一部あるいは全体を放出した直後にも超電導状態を保持していることが望ましい。
【0026】
このように、本実施の形態の超電導磁石は、複合超電導導体3aにより構成される超電導コイル5と複合超電導導体3bにより構成される超電導コイル6とでグレーディングされているため、高温超電導と低温超電導の両方の特長を備え、安定で、かつ蓄積エネルギーを短時間で放出が可能で、コンパクトな超電導磁石を実現することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、高温超電導導体の長所と低温超電導導体の長所をあわせもちコンパクトで安定な複合超電導導体および超電導磁石を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の4種類の複合超電導導体を示す断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の複合超電導導体を構成する高温超電導導体および低温超電導導体を示す表。
【図3】本発明の第2の実施の形態の2種類の複合超電導導体を示す側面図。
【図4】本発明の第3の実施の形態の4種類の複合超電導導体を示す断面図。
【図5】本発明の第4の実施の形態の超電導磁石を示す断面図。
【符号の説明】
1…高温超電導導体、2…低温超電導導体、3,3a,3b…複合超電導導体、4…補強部材、5,6…超電導コイル。
【発明の属する技術分野】
本発明は、超電導電力貯蔵装置やパルス磁場発生装置等に用いられる複合超電導導体および超電導磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】
超電導電力貯蔵装置やパルス磁場発生装置等の超電導磁石において、蓄積エネルギーを短時間に放出する場合、磁石自体の交流損失で磁石温度が上昇する。この温度上昇が超電導導体の超電導転移温度を超えると、超電導磁石はクエンチ(常電導転移)する。低温超電導導体からなる超電導磁石の場合には、クエンチまでの温度マージンが高温超電導導体からなる超電導磁石に比較して小さいため、急激な温度上昇を伴う運転には不向きである。
【0003】
他方、高温超電導導体の場合には、超電導臨界温度が低温超電導導体に比較して高いために、クエンチまでの温度マージンが大きい。しかし、超電導臨界温度以下でクエンチに至らない場合においても、温度上昇に伴う超電導臨界電流密度の低下のために超電導磁石のフロー損失が増加して、冷却が不足すると超電導磁石が熱暴走する場合がある。そのために、エネルギー放出は、交流損失やフロー損失による発熱に対して、超電導導体が熱的に安定であることが一つの条件になっている。(下記非特許文献1参照)
【0004】
また、高温超電導導体は低温超電導導体に比較して、超電導臨界磁界と超電導転移温度が高い反面、一般に高価で、交流損失が大きく、また許容歪が小さい上に剛性が低いため巻線作業が難しい等の欠点がある。このため、超電導磁石装置における高温超電導導体の適用は、低温超電導導体では実現できない運転温度や、高温超電導導体でしか到達できない高磁界発生箇所、あるいは低温超電導導体よりも超電導臨界電流が高くとれるような条件下で適用するのが一般的である。(下記非特許文献2参照)
更に、多くの場合、高温超電導導体の剛性の低さを補う目的で、高温超電導導体には金属材料の補強材を付与してコイルにすることが一般的である。
【0005】
【非特許文献1】
1999年度秋季低温工学・超電導学会講演予稿集B3−15
「高速励磁型Nb3Snマグネット」
【非特許文献2】
2002年度秋季低温工学・超電導学会講演予稿集2D−a05
「Bi2223線材による高温超電導パンケーキ型コイルの開発(2)」
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように高温超電導導体を用いた超電導磁石は、低温超電導導体を用いた超電導磁石に比較して、超電導臨界温度が高いために許容温度上昇に関する温度マージンが大きい反面、交流損失が大きいために上昇温度も高いという問題がある。また高温超電導導体の剛性を補強する場合、補強材を設けることによりコイル電流密度が低下するため、必要な起磁力を確保しようとすると、コイルが大型化するという問題がある。
【0007】
更に、交流損失で超電導磁石の温度が上昇した直後にも依然として超電導状態であって、かつ、通電できることが求められる場合、仮に温度上昇以前には低温超電導導体によっても通電電流の一部を担えたとしても、温度上昇後の通電の条件から、高価な高温超電導導体による磁石構成を選択せざるを得ないという問題がある。
【0008】
そこで本発明は、高温超電導導体の長所と低温超電導導体の長所をあわせもちコンパクトで安定な複合超電導導体および超電導磁石を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は複合超電導導体であり、複数の異なる特性の超電導導体を並列して成り、前記超電導導体の少なくとも2つが超電導臨界電流密度、超電導臨界磁界及び超電導転移温度の少なくとも1つにおいて2.5倍以上異なる構成とする。
【0010】
請求項2の発明は、前記複数の超電導導体は、交流損失の相異が10倍以下である構成とする。
請求項3の発明は、前記複数の超電導導体は、相互に電気的に接触し、あるいはツイストされ、あるいは所定間隔毎に転位されている構成とする。
【0011】
請求項4の発明は、前記複数の超電導導体の長さ方向に沿う補強材を備えている構成とする。
請求項5の発明は超電導磁石であり、請求項1に記載の複合超電導導体を巻回されてなるコイルを備え、前記複合超電導導体の超電導特性が前記コイルの内周部と外周部で異なる構成とする。
【0012】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の複合超電導導体の断面図である。
図1(a)に示す複合超電導導体3は1本の円形断面の高温超電導導体1と1本の円形断面の低温超電導導体2を並列にした構成であり、図1(b)に示す複合超電導導体3は複数本の円形断面の高温超電導導体1と複数本の円形断面の低温超電導導体2を矩形に並列にした構成であり、図1(c)に示す複合超電導導体3は複数本の円形断面の高温超電導導体1と複数本の円形断面の低温超電導導体2を円形に並べた構成であり、図1(d)に示す複合超電導導体3は矩形断面の高温超電導導体1と矩形断面の低温超電導導体2を並列にした構成である。
【0013】
高温超電導導体1および低温超電導導体2としては、図2に示すように、それぞれBi2Sr2CaCu2O8,(BiPb)2Sr2Ca2Cu3O10,YBa2Cu3O7,およびNbTi,Nb3Sn,Nb3Alを用いることができる。図2にはこれらの超電導導体の超電導臨界電流密度、上部臨界磁場および超電導転移温度も示してある。
【0014】
本実施の形態に係る複合超電導導体は、高温超電導導体1と低温超電導導体2を一体化させて、一つにまとめた複合超電導導体3に形成したものである。高温超電導導体1と低温超電導導体2の種類と本数は、それぞれ異なる種類を異なる本数備えてもよい。その際、高温超電導導体1と低温超電導導体2の少なくとも2つが、その超電導臨界電流密度、超電導臨界磁界及び超電導転移温度の少なくとも1つが、2.5倍以上異なるようにするのがよい。また、高温超電導導体1の交流損失に対して低温超電導導体2の交流損失が1/10倍以下の組合せにするのがよい。
【0015】
本実施の形態では、高温超電導導体1と低温超電導導体2を組み合わせた複合超電導導体3にすることで、低温超電導導体2が単独の場合における温度マージンが低い問題、一方、高温超電導導体1が単独の場合における、剛性が低く、かつ、導体コストが高い問題を回避することができる。本実施の形態の複合超電導導体は、高温超電導と低温超電導の両方の特長を備えている。したがって安定で蓄積エネルギーを短時間で放出することができるコンパクトな超電導磁石を実現することができる。
【0016】
図3は、本発明の第2の実施の形態の複合超電導導体を示す概念図である。本実施の形態では高温超電導導体1と低温超電導導体2とが電気的に接触しており、図3(a)では、所定の区間ごとに転位を施してある。図3(b)では高温超電導導体1と低温超電導導体2をツイスト(より合せ)してある。
【0017】
本実施の形態では、複合超電導導体3を構成する高温超電導導体1と低温超電導導体2のインピーダンスの差異を解消することができるので、超電導導体1,2における電流の偏流を回避することができる。また超電導導体1,2間の転流の時定数を小さくすることができるので、超電導導体1,2間の転流に長時間必要とする問題を回避することができる。
【0018】
このように、本実施の形態の複合超電導導体は、複数の高温超電導導体1と低温超電導導体2を電気的に接触させて、かつ転位が施されているので、高温超電導と低温超電導の両方の特長を備えている。したがって安定で蓄積エネルギーを短時間で放出することができるコンパクトな超電導磁石を実現することができる。
【0019】
図4は、本発明の第3の実施の形態の複合超電導導体を示す断面図である。本実施の形態の複合超電導導体3は高温超電導導体1と低温超電導導体2と補強部材4からなる。補強部材4としては、ステンレス鋼、チタン合金、銅合金、アルミ合金、ニッケル合金、金属酸化物繊維、カーボン繊維のいずれかのうち少なくとも1つを用いる。
【0020】
本実施の形態の複合超電導導体3は、ステンレス鋼、チタン合金、銅合金、アルミ合金、ニッケル合金、酸化物繊維、カーボン繊維のいずれかのうち少なくとも1つからなる補強部材4を備えているので、高い機械的強度を有し、高温超電導と低温超電導の両方の特長を備えている。したがって、安定でコンパクトな超電導磁石を実現することができる。
【0021】
つぎに本発明の第4の実施の形態の超電導磁石について説明する。
本実施の形態の超電導磁石は図5に示すように、同芯状に配置された超電導コイル5および6からなる。超電導コイル5と超電導コイル6はグレーディングされ、異なる構成の複合超電導導体3a,3bにより構成されている。
【0022】
すなわち、複合超電導導体3aにおける高温超電導導体の占積率を複合超電導導体3bに比較して大きくするか、または構成する超電導導体の本数を増やすかの少なくともどちらか一方とする。この構成によって、超電導コイル5が超電導コイル6に比較して高磁界側に位置することから、磁場の大きさに応じた適切な通電容量を有する超電導磁石を実現することができる。
【0023】
あるいは、複合超電導導体3aを複合超電導導体3bに比較して、より交流損失が小さい超電導導体で構成するか、または交流損失が小さい超電導導体の占積率を大きくするかの少なくともどちらか一方とする。この構成によって、超電導磁石をパルス運転する際に、超電導コイル5では超電導コイル6に比較してより磁場変化量が大きくなることから、磁場変化量に応じた適切な低損失化を実現することができる。
【0024】
あるいはまた超電導コイル5の温度環境が超電導コイル6の温度環境と異なる場合に、より温度が高い環境におかれる側の複合超電導導体において、他方の複合超電導導体に比較して、高温超電導導体の占積率を大きくする。このようにすることで、温度環境に応じた適切な通電容量を有する超電導磁石を実現することができる。
【0025】
なお、超電導コイル5,6の数は3個以上あってもよいし、1個の超電導コイル5,6の内部を複数の複合超電導導体でグレーディングしてもよい。また、超電導コイル5,6は蓄積エネルギーの一部あるいは全体を放出した直後にも超電導状態を保持していることが望ましい。
【0026】
このように、本実施の形態の超電導磁石は、複合超電導導体3aにより構成される超電導コイル5と複合超電導導体3bにより構成される超電導コイル6とでグレーディングされているため、高温超電導と低温超電導の両方の特長を備え、安定で、かつ蓄積エネルギーを短時間で放出が可能で、コンパクトな超電導磁石を実現することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、高温超電導導体の長所と低温超電導導体の長所をあわせもちコンパクトで安定な複合超電導導体および超電導磁石を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の4種類の複合超電導導体を示す断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の複合超電導導体を構成する高温超電導導体および低温超電導導体を示す表。
【図3】本発明の第2の実施の形態の2種類の複合超電導導体を示す側面図。
【図4】本発明の第3の実施の形態の4種類の複合超電導導体を示す断面図。
【図5】本発明の第4の実施の形態の超電導磁石を示す断面図。
【符号の説明】
1…高温超電導導体、2…低温超電導導体、3,3a,3b…複合超電導導体、4…補強部材、5,6…超電導コイル。
Claims (5)
- 複数の異なる特性の超電導導体を並列して成り、前記超電導導体の少なくとも2つが超電導臨界電流密度、超電導臨界磁界及び超電導転移温度の少なくとも1つにおいて2.5倍以上異なることを特徴とする複合超電導導体。
- 前記複数の超電導導体は、交流損失の相異が10倍以下であることを特徴とする請求項1記載の複合超電導導体。
- 前記複数の超電導導体は、相互に電気的に接触し、あるいはツイストされ、あるいは所定間隔毎に転位されていることを特徴とする請求項1記載の複合超電導導体。
- 前記複数の超電導導体の長さ方向に沿う補強材を備えていることを特徴とする請求項1記載の複合超電導導体。
- 請求項1に記載の複合超電導導体を巻回されてなるコイルを備え、前記複合超電導導体の超電導特性が前記コイルの内周部と外周部で異なることを特徴とする超電導磁石。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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WO2008093883A1 (ja) * | 2007-04-20 | 2008-08-07 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | 超電導コイルおよびそれに用いる超電導導体 |
JP2010045176A (ja) * | 2008-08-12 | 2010-02-25 | Toshiba Corp | 超電導マグネット |
-
2003
- 2003-07-29 JP JP2003203120A patent/JP2005050560A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008093883A1 (ja) * | 2007-04-20 | 2008-08-07 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | 超電導コイルおよびそれに用いる超電導導体 |
JP2008270517A (ja) * | 2007-04-20 | 2008-11-06 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 超電導コイルおよびそれに用いる超電導導体 |
KR101016857B1 (ko) | 2007-04-20 | 2011-02-22 | 스미토모 덴키 고교 가부시키가이샤 | 초전도 코일 및 그것에 이용하는 초전도 도체 |
US8565845B2 (en) | 2007-04-20 | 2013-10-22 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Superconducting coil and superconducting conductor for use therein |
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