JP2005049433A - 光路抑制レンズとこれを用いた集光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】入射面側への全入射角度に対する放射面側からの放射光の進行方向を常に略一定に保てる光路抑制レンズとこれを用いた集光装置を提供する。
【解決手段】一端面方向から見て入射面側略中央に位置する平面部と、前記平面部の左右の各端に続いて放射面側に略45°で傾斜する傾斜面部と、各集光部の放射面側略中央に位置し凹状曲面をなし臨界角度で入射する入射光を全反射により跳ね上げる跳ね上げ面と、前記跳ね上げ面に続く凸状曲面をなす集光面と、前記集光面に続いて凹状の曲面をなす分散面と、前記分散面に続き収束して突出する第一氷柱状部及び第二氷柱状部と備える複数の光路抑制レンズ1を放射光が受光部22に向かう角度になるように配置して、時々刻々と変化する入射光を常に受光部22へと集光させる。
【選択図】 図11
【解決手段】一端面方向から見て入射面側略中央に位置する平面部と、前記平面部の左右の各端に続いて放射面側に略45°で傾斜する傾斜面部と、各集光部の放射面側略中央に位置し凹状曲面をなし臨界角度で入射する入射光を全反射により跳ね上げる跳ね上げ面と、前記跳ね上げ面に続く凸状曲面をなす集光面と、前記集光面に続いて凹状の曲面をなす分散面と、前記分散面に続き収束して突出する第一氷柱状部及び第二氷柱状部と備える複数の光路抑制レンズ1を放射光が受光部22に向かう角度になるように配置して、時々刻々と変化する入射光を常に受光部22へと集光させる。
【選択図】 図11
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽光のように時事刻々と入射角度が変化する入射光を入射角度に関係なく略一定方向へと制限して放射させる光路抑制レンズとこれを用いた集光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
100年後には化石燃料は枯渇し、200年後には原子力発電も無くなると言われており、人類にとって近い将来、残されたエネルギー源は太陽光によるエネルギーと核融合のみとなる厳しい現実を迎えなくてはいけない。また、化石燃料依存による二酸化炭素増加の結果、地球の温暖化が促進され人類絶滅の危機さえ懸念されている。これを回避する意味でもエネルギー源の多くを太陽光エネルギーへと早期に切り替えることが必要である。そのためには、太陽光エネルギーを効率良く利用する技術開発が不可欠である。そこで、これまでに太陽光エネルギーを凝縮させる為に凸レンズや凹面鏡を用いた研究がなされている。凸レンズや凹面鏡によれば太陽光を焦点に集光させることで濃縮が可能であった。しかし、凸レンズや凹面鏡によれば常時、入射光を一定方向から入射させる必要があるため時事刻々と変化する太陽光の入射角度に応じて、入射光の向きが常に一定になるように追尾させる必要があった。そのため、制御系も複雑になる等設備が大掛かりになってしまい希薄な太陽光エネルギーを利用する割りには設備費が高額なものとなり実用には不向きとされていた。また、曇天の日には、太陽光は散乱してしまうため集光不能であった。
【0003】
そこで、鈴木は、これまでに「集光レンズと前記集光レンズを用いた集光方法」(特開2000−56102号公報)、光路抑制レンズ(特開2002−214406号公報)、光路抑制レンズ(特開2002−357702号公報)にて開示しているように、地表面の1平方メートルあたりに1kW程度と極めて希薄なエネルギーである太陽光を従来の集光技術では実現しえない程に効率よく濃縮する集光レンズを開発した。これらのレンズによれば、様々な方向から入射する光の透過後の進行方向を入射角度に関係なく略一定に保つことができた。例えば、時事刻々と入射角度が変化する太陽光を略鉛直下向きに保つことができる等、入射角度に関係なく透過後の光の進行方向を自在に設定できた。したがって、複数のレンズを使用して各レンズの透過光が一定の位置に集中する様に配置するだけで、時刻の変化で太陽光の入射角度が変化しようとも、曇りの日で入射光が散乱光であっても、太陽光を集光させることができた。また、全体を略平板状に構成でき、設備の省スペース、低コストの面でも有効であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記レンズによれば、全ての入射角度に対して透過光の進行方向を完全に一定方向に保つことができるわけではなく、少しでも精度を高めることが望まれていた。また、透過光の進行方向を略一定方向に保てる入射角度の上限を少しでも大きくすることが望まれていた。
【0005】
そこで、本発明は、透過光の進行方向を略一定方向に保てる精度と、透過光の進行方向を略一定方向に保てる入射角度範囲とを従来よりも高めた光路抑制レンズとこれを用いた集光装置の提供を課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にかかる光路抑制レンズは、一端面方向から見た同一断面形状を保って奥行き方向に略線状に連なる複数の集光部が幅方向に略平行に並んで連結されてなる透明な略平板状体であり、前記各集光部が、一端面方向から見て入射面側略中央に位置する平面部と、前記平面部の左右の各端に続いて放射面側に略45°で傾斜し前記平面部の4乃至5倍の幅を有する傾斜面部と、前記各傾斜面部の他端に続いて凹状曲面をなし隣接する他の集光部の傾斜面部へと繋がる連結面と、各集光部の放射面側略中央に位置し凹状曲面をなし臨界角度で入射する入射光を全反射により跳ね上げる跳ね上げ面と、前記跳ね上げ面に続き凸状曲面で前記傾斜面の5分の2乃至5分の3の幅を有する集光面と、前記集光面に続いて凹状の曲面をなし前記傾斜面の5分の1乃至3分の1の幅を有する分散面と、前記分散面に続き収束して突出する第一氷柱状部と、前記第一氷柱状部に続き隣接する他の集光部の第一氷柱状部へと繋がり収束して突出する第二氷柱状部とを備えるものである。なお、光路抑制レンズを構成する透明な素材には屈折率が1.49のメタアクリル(MMA)がある。
【0007】
したがって、請求項1の発明の光路抑制レンズによれば、入射光の入射角度が60°以上と比較的大きい場合には、1つの集光部の有する2つの傾斜面部のうちの一方から入射光の大部分が入射し、その対向する放射面から放射後に再び別の放射面から入射面へと逆進行し他方の傾斜面部で全反射され透過光の進行方向が略一定方向に制限される。また、集光面は一方の傾斜面部から入射した光を凸状形状していることにより収束させて他方の傾斜面部へと到達しやすくする。また、入射面のうち比較的上方である平面部及びその近傍より入射した光は、入射光の入射角度が60°以上と比較的大きい場合に跳ね上げ面により全反射されて傾斜面部へと導かれ最終的に略鉛直下向きに補正される。また、傾斜面部の下方或は連結面より入射した入射光は、第一氷柱状部或は第二氷柱状部により、対向する面間で入射角度に応じて複数回全反射されて透過光の進行方向を略鉛直下向きに制限される。集光面や第一氷柱状部、第二氷柱状部へと至ることのできなかった透過光は、凹面状をしている分散面により放射状に拡散され直接鉛直下向きに放射される光と他の傾斜面部へ戻って全反射により鉛直下向きにされる光とに切り分けられる。
【0008】
請求項2の発明にかかる光路抑制レンズは、請求項1の光路抑制レンズにおいて、入射面側から前記第二氷柱状部の内部へと肉厚を略一定に保って切り欠かれた切欠部を備えたものある。
【0009】
したがって、請求項2の発明の光路抑制レンズによれば、請求項1の発明の光路抑制レンズに作用に加えて、集光部全領域の中でもそのままでは最も肉厚が大きくなる第二氷柱状部の肉厚が切欠部によって大きくなるのを阻止される。
【0010】
請求項3の発明にかかる光路抑制レンズは、請求項1の光路抑制レンズにおいて、光路抑制レンズが奥行き方向の一端面方向から見て幅方向の一端に曲率一定で凸状の曲面からなる凸状連結曲面を有し、他端に前記凸状連結曲面と略同一曲率で前記凸状連結曲面に噛み合わせ自在な凹状の曲面からなる凹状連結曲面を有し、これら凸状連結曲面と凹状連結曲面の位置関係が2つの光路抑制レンズにおいて一方の光路抑制レンズの凸状連結曲面と他方の光路抑制レンズの凹状連結曲面とを噛み合わせたとき、2つの光路抑制レンズが略線対称な位置関係を保つ位置であり、2つの光路抑制レンズの略線対称な対称軸に中心を置くものである。
【0011】
したがって、請求項3の発明の光路抑制レンズによれば、請求項1の発明の光路抑制レンズに作用に加えて、2つの光路抑制レンズの集光部が連結位置で角度を変えても略線対称な位置関係に保たれる。
【0012】
請求項4の発明にかかる集光装置は、太陽光のエネルギーを受光して取り出す受光部を有し、南北方向に見て複数の請求項1の各光路抑制レンズを放射光が前記受光部に向かう角度になるように配置したものである。
【0013】
ここで、受光部には太陽光のエネルギーを熱エネルギーとして蓄積する蓄熱槽あるいは、太陽電池や蒸気機関を用いて電気エネルギーに変換するもの、吸収冷凍サイクルの再成器等がある。
【0014】
したがって、請求項4の発明の集光装置によれば、複数の請求項1の各光路抑制レンズのいずれに入射した入射光も時事刻々と変化する入射角度に略依存することなく透過後には全て受光部へと向って集光される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明をする。図1は本発明の実施の形態の光路抑制レンズを奥行き方向の一端面から見たところを示す端面図である。本発明の実施の形態の光路抑制レンズ1は、屈折率が略1.49の透明なメタアクリル樹脂(以降の説明では単にMMAと呼ぶ)からなり、図1に示すように、奥行き方向の一端面から見ると同一形状をした複数の集光部2が連結された形状をしている。各集光部2は奥行き方向に略線状に連なっており、光路抑制レンズ1は全体が略平板状をしている。本発明の実施の形態の光路抑制レンズ1は、以下に説明するように、地球の自転の影響により時事刻々と入射角度が変化する太陽光の進行方向を略一定の範囲に抑制できる。特に、その効果が日の出から日没に至る全日照時間帯において得られるため据え置きで使用することができる。しかも、全体が平板状で、省スペース化と製造コストの低減ができる。
【0016】
図2に示すように、各集光部2は一端面方向から見て入射面側略中央に位置する平面部3と、前記平面部3の左右の各端に続いて放射面側に略45°で傾斜し前記平面部3の4乃至5倍の幅を有する傾斜面部4と、前記各傾斜面部4の他端に続いて凹状曲面をなし隣接する他の集光部2の傾斜面部4へと繋がる連結面5とを備えている。図2は本発明の実施の形態の光路抑制レンズの集光部を示す拡大端面図である。また、集光部2は、放射面側に各集光部2の放射面側略中央に位置し凹状曲面をなし臨界角度で入射する入射光を全反射により跳ね上げる跳ね上げ面6と、前記跳ね上げ面6に続き凸状曲面で前記傾斜面の5分の2乃至5分の3の幅を有する集光面7と、前記集光面7に続いて凹状の曲面をなし前記傾斜面4の5分の1乃至3分の1の幅を有する分散面8と、前記分散面8に続き収束して突出する第一氷柱状部9と、前記第一氷柱状部9に続き隣接する他の集光部2の第一氷柱状部9へと繋がり収束して突出する第二氷柱状部10とを備えている。第二氷柱状部10は第一氷柱状部9に比べて大きめであるが、入射面側の連結面5に第二氷柱状部10全体の肉厚が略一定になるように切欠部5aが形成されている。切欠部5aは集光部2全領域の中でもそのままでは最も肉厚が大きくなる第二氷柱状部10の肉厚が大きくなるのを阻止し、金型による成形加工時の変形歪みを最小限に低減し設計通りの光路抑制効果を発揮できる。
【0017】
前記光路抑制レンズ1の奥行き方向の一端面方向から見て幅方向の一端には、図3の(a)に示すように、曲率一定で凸状の曲面からなる凸状連結曲面11が形成され、他端には、図3の(b)に示すように、前記凸状連結曲面11と略同一曲率で前記凸状連結曲面11に噛み合わせ自在な凹状の曲面からなる凹状連結曲面12が形成されている。図3の(a)は本発明の実施の形態の光路抑制レンズの凸状連結曲面11を示す説明図、(b)は本発明の実施の形態の光路抑制レンズの凹状連結曲面12を示す説明図である。これら凸状連結曲面11と凹状連結曲面12の位置関係は、図4に示すように、2つの光路抑制レンズ1において一方の光路抑制レンズ1の凸状連結曲面11と他方の光路抑制レンズ1の凹状連結曲面12とを噛み合わせたとき、2つの光路抑制レンズ1が略線対称な位置関係を保つ位置であり、2つの光路抑制レンズ1の略線対称な対称軸13に中心14が位置している。図4は複数の本発明の実施の形態の光路抑制レンズの連結状態を示す説明図である。そのため、図5に示すように、2つの光路抑制レンズ1が連結位置で角度を変えても略線対称な位置関係に保たれ、複数の光路抑制レンズ1を容易に見栄え良く配列させることができる。図5は図4に続く複数の本発明の実施の形態の光路抑制レンズの連結状態を示す説明図である。
【0018】
続いて、本発明の実施の形態の光路抑制レンズ1の特性について図6乃至図10に従って説明する。なお、以下の説明においては、集光部2の線状に連続する方向を南北に向けて使用するものとする。図6は本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度15°で光を入射させた様子を示す説明図である。図7は本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度30°で光を入射させた様子を示す説明図である。図8は本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度45°で光を入射させた様子を示す説明図である。図9は本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度60°で光を入射させた様子を示す説明図である。図10は本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度75°で光を入射させた様子を示す説明図である。図6乃至図10に示すように、本実施の形態の光路抑制レンズ1によれば、入射角度を様々に変えても透過光の進行方向は略鉛直下向きとなり略一定方向に保たれる。この特性は、全ての入射角度において図示したわけではないが、入射角度が0°から90°に至る全範囲において発揮される。
【0019】
では、透過光の進行方向を入射角度に関係なく略一定に保てる原理について詳述する。傾斜面部4は図9や図10に示すように入射角度が60°以上と比較的大きい場合に、集光部2の2つの傾斜面部4の一方から入射した光がその対向する放射面から放射後に再び他の放射面から入射面へと逆進行する場合に全反射させることにより再び光の進行方向を放射面側へと戻してやるものである。これにより透過光の進行方向が図面に向かって鉛直した向きに保たれる。また、このように入射角度が比較的大きい場合には1つの集光部2の有する2つの傾斜面部4のうちの一方から入射光の大部分が入射し他方の傾斜面部4で全反射されるが、集光面7は一方の傾斜面部4から入射した光を凸状形状していることにより収束させて他方の傾斜面部4へと到達しやすくするものである。
【0020】
なお、入射面のうち比較的上方(特に平面部3)より入射した光は、何もしなければ進行方向を鉛直下向きに変えないまま透過しようとするので、入射角度が比較的大きい場合には問題であるが、図9および図10に示すように、跳ね上げ面6により全反射させることで傾斜面部4へと入射光が導かれ最終的に略鉛直下向きに補正される。
【0021】
図7乃至図9に示すように、傾斜面部4の下方或は連結面5より入射した入射光は、第一氷柱状部9或は第二氷柱状部10により、対向する面間で入射角度に応じて複数回全反射させて透過光の進行方向を略鉛直下向きに制限する。分散面8は、図9に示すように、集光面7や第一氷柱状部9、第二氷柱状部10へと至ることのできなかった透過光を凹面状をしていることで放射状に拡散することによって、直接鉛直下向きに放射させる光と他の傾斜面部4へ戻して全反射により鉛直下向きにする光とに切り分けている。以上のような原理により本実施の形態の光路抑制レンズ1は、様々な入射角度で入射する入射光の進行方向を略一定の方向に保って放射させることができる。
【0022】
なお、光路抑制レンズ1の1つの集光部2は一端面方向から見て左右対称形であり、入射角度が上記説明で示した場合と反対方向へと90°に至る全範囲においても同様に透過光の進行方向を略一定方向へと抑制する。したがって、入射角度が0°から±90°に至る全範囲において透過光の進行方向を略一定の方向に保つことができる。
【0023】
以上のような特性を有する本発明の実施の形態の光路抑制レンズ1は、図11に示すように、ドーム状に複数配置するだけで地球の自転の影響により時事刻々と変化する太陽光を所定範囲に集光させることができる。図11は本発明の実施の形態の光路抑制レンズを用いた集光装置の一例を示す説明図である。図11に示す集光装置21は、南北方向に見て複数の光路抑制レンズ1を図3乃至図5で説明した凸状連結曲面11と凹状連結曲面12とで回動自在に連結して、各光路抑制レンズ1からの放射光が1点に集中する角度になるように配置したものであり、放射光が集中する位置には太陽光のエネルギーを受光して取り出す受光部22が配置されている。ここで、受光部22には太陽光のエネルギーを熱エネルギーとして蓄積する蓄熱槽あるいは、太陽電池や蒸気機関を用いて電気エネルギーに変換するもの、吸収冷凍サイクルの再成器等がある。
【0024】
そして、上方からの入射光は、図11に2点鎖線で示すように、入射前は時事刻々と入射角度が変化しているが、光路抑制レンズ1へと入射する入射角度に略依存することなく受光部22に向って集光される。
【0025】
このように、本発明の実施の形態の光路抑制レンズ1を用いた集光装置21によれば、受光部22には太陽光エネルギーが凝縮され、直射日光よりも高濃度の太陽光エネルギーを得ることができる。特に、冬期や曇天の日のように太陽光が通常より希薄或いは散乱している場合であっても太陽光を集光できる。しかも、本発明の実施の形態の光路抑制レンズ1は、入射角度が0°から±90°に至る全範囲において透過光の進行方向を略一定の方向に保つことができるので、設置した光路抑制レンズ1を入射光の入射角度に合わせて追尾させる等の複雑な処理を1日を通して一切する必要がない。そのため、極めて安価に、太陽光エネルギーの凝縮が行え、有効に利用することができる。例えば、受光部22が蓄熱槽の場合には、温湯を得る他、暖房の熱源、吸収冷凍サイクルの熱源、太陽熱発電等様々な用途が考えられる。また、受光部22が太陽電池パネルである場合には太陽光発電を直接行うことができる。特に、吸収式冷凍サイクルを稼動させる場合や太陽光発電を行う場合には、エネルギーの有効利用ができるだけでなく、電力需要のピークカットを促進でき、電力会社の発電設備を縮小できる。
【0026】
ところで、本発明の実施の形態の光路抑制レンズ1は、屈折率が1.49の透明なメタアクリル樹脂(MMA)からなっており、この屈折率の場合に最適に透過光の進行方向を略一定角度範囲に保てる形状に設計されているが、屈折率に見合って最適に透過光の進行方向を略一定角度範囲に保てる形状に設計されていれば屈折率の異なる他の素材からなっていても構わない。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0028】
請求項1の発明の光路抑制レンズによれば、入射光の入射角度が60°以上と比較的大きい場合には、1つの集光部の有する2つの傾斜面部のうちの一方から入射する入射光の大部分が他方の傾斜面部で全反射され透過光の進行方向が略一定方向に制限され、凸状形状をした集光面が傾斜面部から入射した光を収束させて他方の傾斜面部へと到達しやすくし、また、入射面のうち比較的上方である平面部及びその近傍より60°以上と比較的大きい入射角度で入射した入射光が跳ね上げ面により全反射されて傾斜面部へと導かれ最終的に略鉛直下向きに補正され、さらに、傾斜面部の下方或は連結面より入射した入射光が、第一氷柱状部或は第二氷柱状部により、対向する面間で入射角度に応じて複数回全反射されて透過光の進行方向を略鉛直下向きに制限され、さらに、集光面や第一氷柱状部、第二氷柱状部へと至ることのできなかった透過光が、凹面状をしている分散面により放射状に拡散され直接鉛直下向きに放射される光と他の傾斜面部へ戻って全反射により鉛直下向きにされる光とに切り分けられるので、時事刻々と入射角度が変化する入射光の進行方向を日の出から日没までの終日を通して、極めて効率良く略一定方向に抑制することができる。
【0029】
請求項2の発明の光路抑制レンズによれば、請求項1の発明の光路抑制レンズに効果に加えて、集光部全領域の中でもそのままでは最も肉厚が大きくなる第二氷柱状部の肉厚が切欠部によって大きくなるのを阻止されるので、金型による成形加工時の変形歪みを最小限に低減され設計通りの光路抑制効果を発揮できる。
【0030】
請求項3の発明の光路抑制レンズによれば、請求項1の発明の光路抑制レンズに効果に加えて、2つの光路抑制レンズが連結位置で角度を変えても略線対称な位置関係に保たれるので、複数の光路抑制レンズを容易に見栄え良く配列させることができる。
【0031】
請求項4の発明の集光装置によれば、複数の請求項1の各光路抑制レンズのいずれに入射した入射光も時事刻々と変化する入射角度に略依存することなく透過後には全て受光部へと向って集光されるので、受光部には太陽光エネルギーが凝縮され、直射日光よりも高濃度の太陽光エネルギーを得ることができる。特に、冬期や曇天の日のように太陽光が通常より希薄或いは散乱している場合であっても太陽光を集光できる。しかも、入射角度が0°から±90°に至る全範囲において透過光の進行方向を略一定の方向に保つことができるので、設置した光路抑制レンズを入射光の入射角度に合わせて追尾させる等の複雑な処理を1日を通して一切する必要がない。そのため、極めて安価に、太陽光エネルギーの凝縮が行え、有効に利用することができる。例えば、受光部が蓄熱槽の場合には、温湯を得る他、暖房の熱源、吸収冷凍サイクルの熱源、太陽熱発電等様々な用途が考えられる。また、受光部が太陽電池パネルである場合には太陽光発電を直接行うことができる。特に、吸収式冷凍サイクルを稼動させる場合や太陽光発電を行う場合には、エネルギーの有効利用ができるだけでなく、電力需要のピークカットを促進でき、電力会社の発電設備を縮小できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の光路抑制レンズを奥行き方向の一端面から見たところを示す端面図である。
【図2】本発明の実施の形態の光路抑制レンズの集光部を示す拡大端面図である。
【図3】(a)が本発明の実施の形態の光路抑制レンズの凸状連結曲面を示す説明図、(b)が本発明の実施の形態の光路抑制レンズの凹状連結曲面を示す説明図である。
【図4】複数の本発明の実施の形態の光路抑制レンズの連結状態を示す説明図である。
【図5】図4に続く複数の本発明の実施の形態の光路抑制レンズの連結状態を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度15°で光を入射させた様子を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度30°で光を入射させた様子を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度45°で光を入射させた様子を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度60°で光を入射させた様子を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度75°で光を入射させた様子を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態の光路抑制レンズを用いた集光装置の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 光路抑制レンズ
2 集光部
3 平面部
4 傾斜面部
5 連結面
5a 切欠部
6 跳ね上げ面
7 集光面
8 分散面
9 第一氷柱状部
10 第二氷柱状部
11 凸状連結曲面
12 凹状連結曲面
13 対称軸
14 中心
21 集光装置
22 受光部
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽光のように時事刻々と入射角度が変化する入射光を入射角度に関係なく略一定方向へと制限して放射させる光路抑制レンズとこれを用いた集光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
100年後には化石燃料は枯渇し、200年後には原子力発電も無くなると言われており、人類にとって近い将来、残されたエネルギー源は太陽光によるエネルギーと核融合のみとなる厳しい現実を迎えなくてはいけない。また、化石燃料依存による二酸化炭素増加の結果、地球の温暖化が促進され人類絶滅の危機さえ懸念されている。これを回避する意味でもエネルギー源の多くを太陽光エネルギーへと早期に切り替えることが必要である。そのためには、太陽光エネルギーを効率良く利用する技術開発が不可欠である。そこで、これまでに太陽光エネルギーを凝縮させる為に凸レンズや凹面鏡を用いた研究がなされている。凸レンズや凹面鏡によれば太陽光を焦点に集光させることで濃縮が可能であった。しかし、凸レンズや凹面鏡によれば常時、入射光を一定方向から入射させる必要があるため時事刻々と変化する太陽光の入射角度に応じて、入射光の向きが常に一定になるように追尾させる必要があった。そのため、制御系も複雑になる等設備が大掛かりになってしまい希薄な太陽光エネルギーを利用する割りには設備費が高額なものとなり実用には不向きとされていた。また、曇天の日には、太陽光は散乱してしまうため集光不能であった。
【0003】
そこで、鈴木は、これまでに「集光レンズと前記集光レンズを用いた集光方法」(特開2000−56102号公報)、光路抑制レンズ(特開2002−214406号公報)、光路抑制レンズ(特開2002−357702号公報)にて開示しているように、地表面の1平方メートルあたりに1kW程度と極めて希薄なエネルギーである太陽光を従来の集光技術では実現しえない程に効率よく濃縮する集光レンズを開発した。これらのレンズによれば、様々な方向から入射する光の透過後の進行方向を入射角度に関係なく略一定に保つことができた。例えば、時事刻々と入射角度が変化する太陽光を略鉛直下向きに保つことができる等、入射角度に関係なく透過後の光の進行方向を自在に設定できた。したがって、複数のレンズを使用して各レンズの透過光が一定の位置に集中する様に配置するだけで、時刻の変化で太陽光の入射角度が変化しようとも、曇りの日で入射光が散乱光であっても、太陽光を集光させることができた。また、全体を略平板状に構成でき、設備の省スペース、低コストの面でも有効であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記レンズによれば、全ての入射角度に対して透過光の進行方向を完全に一定方向に保つことができるわけではなく、少しでも精度を高めることが望まれていた。また、透過光の進行方向を略一定方向に保てる入射角度の上限を少しでも大きくすることが望まれていた。
【0005】
そこで、本発明は、透過光の進行方向を略一定方向に保てる精度と、透過光の進行方向を略一定方向に保てる入射角度範囲とを従来よりも高めた光路抑制レンズとこれを用いた集光装置の提供を課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にかかる光路抑制レンズは、一端面方向から見た同一断面形状を保って奥行き方向に略線状に連なる複数の集光部が幅方向に略平行に並んで連結されてなる透明な略平板状体であり、前記各集光部が、一端面方向から見て入射面側略中央に位置する平面部と、前記平面部の左右の各端に続いて放射面側に略45°で傾斜し前記平面部の4乃至5倍の幅を有する傾斜面部と、前記各傾斜面部の他端に続いて凹状曲面をなし隣接する他の集光部の傾斜面部へと繋がる連結面と、各集光部の放射面側略中央に位置し凹状曲面をなし臨界角度で入射する入射光を全反射により跳ね上げる跳ね上げ面と、前記跳ね上げ面に続き凸状曲面で前記傾斜面の5分の2乃至5分の3の幅を有する集光面と、前記集光面に続いて凹状の曲面をなし前記傾斜面の5分の1乃至3分の1の幅を有する分散面と、前記分散面に続き収束して突出する第一氷柱状部と、前記第一氷柱状部に続き隣接する他の集光部の第一氷柱状部へと繋がり収束して突出する第二氷柱状部とを備えるものである。なお、光路抑制レンズを構成する透明な素材には屈折率が1.49のメタアクリル(MMA)がある。
【0007】
したがって、請求項1の発明の光路抑制レンズによれば、入射光の入射角度が60°以上と比較的大きい場合には、1つの集光部の有する2つの傾斜面部のうちの一方から入射光の大部分が入射し、その対向する放射面から放射後に再び別の放射面から入射面へと逆進行し他方の傾斜面部で全反射され透過光の進行方向が略一定方向に制限される。また、集光面は一方の傾斜面部から入射した光を凸状形状していることにより収束させて他方の傾斜面部へと到達しやすくする。また、入射面のうち比較的上方である平面部及びその近傍より入射した光は、入射光の入射角度が60°以上と比較的大きい場合に跳ね上げ面により全反射されて傾斜面部へと導かれ最終的に略鉛直下向きに補正される。また、傾斜面部の下方或は連結面より入射した入射光は、第一氷柱状部或は第二氷柱状部により、対向する面間で入射角度に応じて複数回全反射されて透過光の進行方向を略鉛直下向きに制限される。集光面や第一氷柱状部、第二氷柱状部へと至ることのできなかった透過光は、凹面状をしている分散面により放射状に拡散され直接鉛直下向きに放射される光と他の傾斜面部へ戻って全反射により鉛直下向きにされる光とに切り分けられる。
【0008】
請求項2の発明にかかる光路抑制レンズは、請求項1の光路抑制レンズにおいて、入射面側から前記第二氷柱状部の内部へと肉厚を略一定に保って切り欠かれた切欠部を備えたものある。
【0009】
したがって、請求項2の発明の光路抑制レンズによれば、請求項1の発明の光路抑制レンズに作用に加えて、集光部全領域の中でもそのままでは最も肉厚が大きくなる第二氷柱状部の肉厚が切欠部によって大きくなるのを阻止される。
【0010】
請求項3の発明にかかる光路抑制レンズは、請求項1の光路抑制レンズにおいて、光路抑制レンズが奥行き方向の一端面方向から見て幅方向の一端に曲率一定で凸状の曲面からなる凸状連結曲面を有し、他端に前記凸状連結曲面と略同一曲率で前記凸状連結曲面に噛み合わせ自在な凹状の曲面からなる凹状連結曲面を有し、これら凸状連結曲面と凹状連結曲面の位置関係が2つの光路抑制レンズにおいて一方の光路抑制レンズの凸状連結曲面と他方の光路抑制レンズの凹状連結曲面とを噛み合わせたとき、2つの光路抑制レンズが略線対称な位置関係を保つ位置であり、2つの光路抑制レンズの略線対称な対称軸に中心を置くものである。
【0011】
したがって、請求項3の発明の光路抑制レンズによれば、請求項1の発明の光路抑制レンズに作用に加えて、2つの光路抑制レンズの集光部が連結位置で角度を変えても略線対称な位置関係に保たれる。
【0012】
請求項4の発明にかかる集光装置は、太陽光のエネルギーを受光して取り出す受光部を有し、南北方向に見て複数の請求項1の各光路抑制レンズを放射光が前記受光部に向かう角度になるように配置したものである。
【0013】
ここで、受光部には太陽光のエネルギーを熱エネルギーとして蓄積する蓄熱槽あるいは、太陽電池や蒸気機関を用いて電気エネルギーに変換するもの、吸収冷凍サイクルの再成器等がある。
【0014】
したがって、請求項4の発明の集光装置によれば、複数の請求項1の各光路抑制レンズのいずれに入射した入射光も時事刻々と変化する入射角度に略依存することなく透過後には全て受光部へと向って集光される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明をする。図1は本発明の実施の形態の光路抑制レンズを奥行き方向の一端面から見たところを示す端面図である。本発明の実施の形態の光路抑制レンズ1は、屈折率が略1.49の透明なメタアクリル樹脂(以降の説明では単にMMAと呼ぶ)からなり、図1に示すように、奥行き方向の一端面から見ると同一形状をした複数の集光部2が連結された形状をしている。各集光部2は奥行き方向に略線状に連なっており、光路抑制レンズ1は全体が略平板状をしている。本発明の実施の形態の光路抑制レンズ1は、以下に説明するように、地球の自転の影響により時事刻々と入射角度が変化する太陽光の進行方向を略一定の範囲に抑制できる。特に、その効果が日の出から日没に至る全日照時間帯において得られるため据え置きで使用することができる。しかも、全体が平板状で、省スペース化と製造コストの低減ができる。
【0016】
図2に示すように、各集光部2は一端面方向から見て入射面側略中央に位置する平面部3と、前記平面部3の左右の各端に続いて放射面側に略45°で傾斜し前記平面部3の4乃至5倍の幅を有する傾斜面部4と、前記各傾斜面部4の他端に続いて凹状曲面をなし隣接する他の集光部2の傾斜面部4へと繋がる連結面5とを備えている。図2は本発明の実施の形態の光路抑制レンズの集光部を示す拡大端面図である。また、集光部2は、放射面側に各集光部2の放射面側略中央に位置し凹状曲面をなし臨界角度で入射する入射光を全反射により跳ね上げる跳ね上げ面6と、前記跳ね上げ面6に続き凸状曲面で前記傾斜面の5分の2乃至5分の3の幅を有する集光面7と、前記集光面7に続いて凹状の曲面をなし前記傾斜面4の5分の1乃至3分の1の幅を有する分散面8と、前記分散面8に続き収束して突出する第一氷柱状部9と、前記第一氷柱状部9に続き隣接する他の集光部2の第一氷柱状部9へと繋がり収束して突出する第二氷柱状部10とを備えている。第二氷柱状部10は第一氷柱状部9に比べて大きめであるが、入射面側の連結面5に第二氷柱状部10全体の肉厚が略一定になるように切欠部5aが形成されている。切欠部5aは集光部2全領域の中でもそのままでは最も肉厚が大きくなる第二氷柱状部10の肉厚が大きくなるのを阻止し、金型による成形加工時の変形歪みを最小限に低減し設計通りの光路抑制効果を発揮できる。
【0017】
前記光路抑制レンズ1の奥行き方向の一端面方向から見て幅方向の一端には、図3の(a)に示すように、曲率一定で凸状の曲面からなる凸状連結曲面11が形成され、他端には、図3の(b)に示すように、前記凸状連結曲面11と略同一曲率で前記凸状連結曲面11に噛み合わせ自在な凹状の曲面からなる凹状連結曲面12が形成されている。図3の(a)は本発明の実施の形態の光路抑制レンズの凸状連結曲面11を示す説明図、(b)は本発明の実施の形態の光路抑制レンズの凹状連結曲面12を示す説明図である。これら凸状連結曲面11と凹状連結曲面12の位置関係は、図4に示すように、2つの光路抑制レンズ1において一方の光路抑制レンズ1の凸状連結曲面11と他方の光路抑制レンズ1の凹状連結曲面12とを噛み合わせたとき、2つの光路抑制レンズ1が略線対称な位置関係を保つ位置であり、2つの光路抑制レンズ1の略線対称な対称軸13に中心14が位置している。図4は複数の本発明の実施の形態の光路抑制レンズの連結状態を示す説明図である。そのため、図5に示すように、2つの光路抑制レンズ1が連結位置で角度を変えても略線対称な位置関係に保たれ、複数の光路抑制レンズ1を容易に見栄え良く配列させることができる。図5は図4に続く複数の本発明の実施の形態の光路抑制レンズの連結状態を示す説明図である。
【0018】
続いて、本発明の実施の形態の光路抑制レンズ1の特性について図6乃至図10に従って説明する。なお、以下の説明においては、集光部2の線状に連続する方向を南北に向けて使用するものとする。図6は本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度15°で光を入射させた様子を示す説明図である。図7は本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度30°で光を入射させた様子を示す説明図である。図8は本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度45°で光を入射させた様子を示す説明図である。図9は本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度60°で光を入射させた様子を示す説明図である。図10は本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度75°で光を入射させた様子を示す説明図である。図6乃至図10に示すように、本実施の形態の光路抑制レンズ1によれば、入射角度を様々に変えても透過光の進行方向は略鉛直下向きとなり略一定方向に保たれる。この特性は、全ての入射角度において図示したわけではないが、入射角度が0°から90°に至る全範囲において発揮される。
【0019】
では、透過光の進行方向を入射角度に関係なく略一定に保てる原理について詳述する。傾斜面部4は図9や図10に示すように入射角度が60°以上と比較的大きい場合に、集光部2の2つの傾斜面部4の一方から入射した光がその対向する放射面から放射後に再び他の放射面から入射面へと逆進行する場合に全反射させることにより再び光の進行方向を放射面側へと戻してやるものである。これにより透過光の進行方向が図面に向かって鉛直した向きに保たれる。また、このように入射角度が比較的大きい場合には1つの集光部2の有する2つの傾斜面部4のうちの一方から入射光の大部分が入射し他方の傾斜面部4で全反射されるが、集光面7は一方の傾斜面部4から入射した光を凸状形状していることにより収束させて他方の傾斜面部4へと到達しやすくするものである。
【0020】
なお、入射面のうち比較的上方(特に平面部3)より入射した光は、何もしなければ進行方向を鉛直下向きに変えないまま透過しようとするので、入射角度が比較的大きい場合には問題であるが、図9および図10に示すように、跳ね上げ面6により全反射させることで傾斜面部4へと入射光が導かれ最終的に略鉛直下向きに補正される。
【0021】
図7乃至図9に示すように、傾斜面部4の下方或は連結面5より入射した入射光は、第一氷柱状部9或は第二氷柱状部10により、対向する面間で入射角度に応じて複数回全反射させて透過光の進行方向を略鉛直下向きに制限する。分散面8は、図9に示すように、集光面7や第一氷柱状部9、第二氷柱状部10へと至ることのできなかった透過光を凹面状をしていることで放射状に拡散することによって、直接鉛直下向きに放射させる光と他の傾斜面部4へ戻して全反射により鉛直下向きにする光とに切り分けている。以上のような原理により本実施の形態の光路抑制レンズ1は、様々な入射角度で入射する入射光の進行方向を略一定の方向に保って放射させることができる。
【0022】
なお、光路抑制レンズ1の1つの集光部2は一端面方向から見て左右対称形であり、入射角度が上記説明で示した場合と反対方向へと90°に至る全範囲においても同様に透過光の進行方向を略一定方向へと抑制する。したがって、入射角度が0°から±90°に至る全範囲において透過光の進行方向を略一定の方向に保つことができる。
【0023】
以上のような特性を有する本発明の実施の形態の光路抑制レンズ1は、図11に示すように、ドーム状に複数配置するだけで地球の自転の影響により時事刻々と変化する太陽光を所定範囲に集光させることができる。図11は本発明の実施の形態の光路抑制レンズを用いた集光装置の一例を示す説明図である。図11に示す集光装置21は、南北方向に見て複数の光路抑制レンズ1を図3乃至図5で説明した凸状連結曲面11と凹状連結曲面12とで回動自在に連結して、各光路抑制レンズ1からの放射光が1点に集中する角度になるように配置したものであり、放射光が集中する位置には太陽光のエネルギーを受光して取り出す受光部22が配置されている。ここで、受光部22には太陽光のエネルギーを熱エネルギーとして蓄積する蓄熱槽あるいは、太陽電池や蒸気機関を用いて電気エネルギーに変換するもの、吸収冷凍サイクルの再成器等がある。
【0024】
そして、上方からの入射光は、図11に2点鎖線で示すように、入射前は時事刻々と入射角度が変化しているが、光路抑制レンズ1へと入射する入射角度に略依存することなく受光部22に向って集光される。
【0025】
このように、本発明の実施の形態の光路抑制レンズ1を用いた集光装置21によれば、受光部22には太陽光エネルギーが凝縮され、直射日光よりも高濃度の太陽光エネルギーを得ることができる。特に、冬期や曇天の日のように太陽光が通常より希薄或いは散乱している場合であっても太陽光を集光できる。しかも、本発明の実施の形態の光路抑制レンズ1は、入射角度が0°から±90°に至る全範囲において透過光の進行方向を略一定の方向に保つことができるので、設置した光路抑制レンズ1を入射光の入射角度に合わせて追尾させる等の複雑な処理を1日を通して一切する必要がない。そのため、極めて安価に、太陽光エネルギーの凝縮が行え、有効に利用することができる。例えば、受光部22が蓄熱槽の場合には、温湯を得る他、暖房の熱源、吸収冷凍サイクルの熱源、太陽熱発電等様々な用途が考えられる。また、受光部22が太陽電池パネルである場合には太陽光発電を直接行うことができる。特に、吸収式冷凍サイクルを稼動させる場合や太陽光発電を行う場合には、エネルギーの有効利用ができるだけでなく、電力需要のピークカットを促進でき、電力会社の発電設備を縮小できる。
【0026】
ところで、本発明の実施の形態の光路抑制レンズ1は、屈折率が1.49の透明なメタアクリル樹脂(MMA)からなっており、この屈折率の場合に最適に透過光の進行方向を略一定角度範囲に保てる形状に設計されているが、屈折率に見合って最適に透過光の進行方向を略一定角度範囲に保てる形状に設計されていれば屈折率の異なる他の素材からなっていても構わない。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0028】
請求項1の発明の光路抑制レンズによれば、入射光の入射角度が60°以上と比較的大きい場合には、1つの集光部の有する2つの傾斜面部のうちの一方から入射する入射光の大部分が他方の傾斜面部で全反射され透過光の進行方向が略一定方向に制限され、凸状形状をした集光面が傾斜面部から入射した光を収束させて他方の傾斜面部へと到達しやすくし、また、入射面のうち比較的上方である平面部及びその近傍より60°以上と比較的大きい入射角度で入射した入射光が跳ね上げ面により全反射されて傾斜面部へと導かれ最終的に略鉛直下向きに補正され、さらに、傾斜面部の下方或は連結面より入射した入射光が、第一氷柱状部或は第二氷柱状部により、対向する面間で入射角度に応じて複数回全反射されて透過光の進行方向を略鉛直下向きに制限され、さらに、集光面や第一氷柱状部、第二氷柱状部へと至ることのできなかった透過光が、凹面状をしている分散面により放射状に拡散され直接鉛直下向きに放射される光と他の傾斜面部へ戻って全反射により鉛直下向きにされる光とに切り分けられるので、時事刻々と入射角度が変化する入射光の進行方向を日の出から日没までの終日を通して、極めて効率良く略一定方向に抑制することができる。
【0029】
請求項2の発明の光路抑制レンズによれば、請求項1の発明の光路抑制レンズに効果に加えて、集光部全領域の中でもそのままでは最も肉厚が大きくなる第二氷柱状部の肉厚が切欠部によって大きくなるのを阻止されるので、金型による成形加工時の変形歪みを最小限に低減され設計通りの光路抑制効果を発揮できる。
【0030】
請求項3の発明の光路抑制レンズによれば、請求項1の発明の光路抑制レンズに効果に加えて、2つの光路抑制レンズが連結位置で角度を変えても略線対称な位置関係に保たれるので、複数の光路抑制レンズを容易に見栄え良く配列させることができる。
【0031】
請求項4の発明の集光装置によれば、複数の請求項1の各光路抑制レンズのいずれに入射した入射光も時事刻々と変化する入射角度に略依存することなく透過後には全て受光部へと向って集光されるので、受光部には太陽光エネルギーが凝縮され、直射日光よりも高濃度の太陽光エネルギーを得ることができる。特に、冬期や曇天の日のように太陽光が通常より希薄或いは散乱している場合であっても太陽光を集光できる。しかも、入射角度が0°から±90°に至る全範囲において透過光の進行方向を略一定の方向に保つことができるので、設置した光路抑制レンズを入射光の入射角度に合わせて追尾させる等の複雑な処理を1日を通して一切する必要がない。そのため、極めて安価に、太陽光エネルギーの凝縮が行え、有効に利用することができる。例えば、受光部が蓄熱槽の場合には、温湯を得る他、暖房の熱源、吸収冷凍サイクルの熱源、太陽熱発電等様々な用途が考えられる。また、受光部が太陽電池パネルである場合には太陽光発電を直接行うことができる。特に、吸収式冷凍サイクルを稼動させる場合や太陽光発電を行う場合には、エネルギーの有効利用ができるだけでなく、電力需要のピークカットを促進でき、電力会社の発電設備を縮小できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の光路抑制レンズを奥行き方向の一端面から見たところを示す端面図である。
【図2】本発明の実施の形態の光路抑制レンズの集光部を示す拡大端面図である。
【図3】(a)が本発明の実施の形態の光路抑制レンズの凸状連結曲面を示す説明図、(b)が本発明の実施の形態の光路抑制レンズの凹状連結曲面を示す説明図である。
【図4】複数の本発明の実施の形態の光路抑制レンズの連結状態を示す説明図である。
【図5】図4に続く複数の本発明の実施の形態の光路抑制レンズの連結状態を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度15°で光を入射させた様子を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度30°で光を入射させた様子を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度45°で光を入射させた様子を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度60°で光を入射させた様子を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態の光路抑制レンズに奥行き方向の一端面方向から見て入射角度75°で光を入射させた様子を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態の光路抑制レンズを用いた集光装置の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 光路抑制レンズ
2 集光部
3 平面部
4 傾斜面部
5 連結面
5a 切欠部
6 跳ね上げ面
7 集光面
8 分散面
9 第一氷柱状部
10 第二氷柱状部
11 凸状連結曲面
12 凹状連結曲面
13 対称軸
14 中心
21 集光装置
22 受光部
Claims (4)
- 一端面方向から見た同一断面形状を保って奥行き方向に略線状に連なる複数の集光部が幅方向に略平行に並んで連結されてなる透明な略平板状体であり、前記各集光部は、一端面方向から見て入射面側略中央に位置する平面部と、前記平面部の左右の各端に続いて放射面側に略45°で傾斜し前記平面部の4乃至5倍の幅を有する傾斜面部と、前記各傾斜面部の他端に続いて凹状曲面をなし隣接する他の集光部の傾斜面部へと繋がる連結面と、各集光部の放射面側略中央に位置し凹状曲面をなし臨界角度で入射する入射光を全反射により跳ね上げる跳ね上げ面と、前記跳ね上げ面に続き凸状曲面で前記傾斜面の5分の2乃至5分の3の幅を有する集光面と、前記集光面に続いて凹状の曲面をなし前記傾斜面の5分の1乃至3分の1の幅を有する分散面と、前記分散面に続き収束して突出する第一氷柱状部と、前記第一氷柱状部に続き隣接する他の集光部の第一氷柱状部へと繋がり収束して突出する第二氷柱状部とを具備することを特徴とする光路抑制レンズ。
- 入射面側から前記第二氷柱状部の内部へと肉厚を略一定に保って切り欠かれた切欠部を具備することを特徴とする請求項1に記載の光路抑制レンズ。
- 前記光路抑制レンズは奥行き方向の一端面方向から見て幅方向の一端には曲率一定で凸状の曲面からなる凸状連結曲面を有し、他端には前記凸状連結曲面と略同一曲率で前記凸状連結曲面に噛み合わせ自在な凹状の曲面からなる凹状連結曲面を有し、これら凸状連結曲面と凹状連結曲面の位置関係は2つの光路抑制レンズにおいて一方の光路抑制レンズの凸状連結曲面と他方の光路抑制レンズの凹状連結曲面とを噛み合わせたとき、2つの光路抑制レンズが略線対称な位置関係を保つ位置であり、2つの光路抑制レンズの略線対称な対称軸に中心を置くことを特徴とする請求項1に記載の光路抑制レンズ。
- 太陽光のエネルギーを受光して取り出す受光部を有し、南北方向に見て複数の前記請求項1の各光路抑制レンズを放射光が前記受光部に向かう角度になるように配置したことを特徴とする集光装置。
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Cited By (2)
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KR100970083B1 (ko) * | 2010-02-12 | 2010-07-16 | 김재우 | 태양광 집광 장치 |
CN110161750A (zh) * | 2019-05-22 | 2019-08-23 | 京东方科技集团股份有限公司 | 透镜结构、光源结构、背光模组和显示装置 |
-
2003
- 2003-07-30 JP JP2003203610A patent/JP2005049433A/ja active Pending
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WO2020233282A1 (zh) * | 2019-05-22 | 2020-11-26 | 京东方科技集团股份有限公司 | 透镜结构、光源结构、背光模组和显示装置 |
CN110161750B (zh) * | 2019-05-22 | 2022-06-03 | 京东方科技集团股份有限公司 | 透镜结构、光源结构、背光模组和显示装置 |
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