JP2005049371A - 熱現像感光材料 - Google Patents

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Keiichi Suzuki
啓一 鈴木
Yoshihisa Tsukada
芳久 塚田
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Abstract

【課題】画像の暗熱保存性が改良された熱現像感光材料を提供する。また、熱現像した試料を重ねて保存したときの耐ブロッキング性などの取り扱い性が改良された熱現像感光材料を提供する。
【解決手段】支持体の同一面上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層と非感光性層とを有する熱現像感光材料であって、前記最外層のバインダーの50質量%以上が動物性蛋白質由来でないポリマーであって、該ポリマーの架橋剤を含有し、特性曲線における平均階調が10未満であることを特徴とする熱現像感光材料。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・イメージャーにより効率的に露光させることができ、高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる医療診断用および写真技術用途の光感光性熱現像写真材料に関する技術が必要とされている。これら光感光性熱現像写真材料では、溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することができる。
【0003】
一般画像形成材料の分野でも同様の要求はあるが、医療用画像は微細な描写が要求されるため鮮鋭性、粒状性に優れる高画質が必要であるうえ、診断のし易さの観点から冷黒調の画像が好まれる特徴がある。現在、インクジェットプリンター、電子写真など顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステムが一般画像形成システムとして流通しているが、医療用画像の出力システムとしては満足できるものがない。
【0004】
一方、有機銀塩を利用した熱画像形成システムが知られている。特に、熱現像感光材料は、一般に、触媒活性量の光触媒(例、ハロゲン化銀)、還元剤、還元可能な銀塩(例、有機銀塩)、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した感光性層を有している。熱現像感光材料は、画像露光後、高温(例えば80℃以上)に加熱し、ハロゲン化銀あるいは還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により、黒色の銀画像を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。そのため、黒色の銀画像は、露光領域に形成される。そして熱現像感光材料による医療用画像形成システムとして富士メディカルドライイメージャーFM−DP Lが発売された。
【0005】
有機銀塩を利用した熱画像形成システムの製造においては、溶剤塗布により製造する方法と、主バインダーとしてポリマー微粒子を水分散として含有する塗布液を塗布・乾燥して製造する方法がある。後者の方法は溶剤の回収等の工程が不要なため製造設備が簡単であり、かつ大量生産に有利である。
【0006】
そのような水系塗布された感光性層を有する有機銀塩を利用した熱画像形成システムの場合、写真性能に対する水分の影響を排除するなどの目的で、感光性層を疎水性のラテックスを主たるバインダーとする方法(例えば、特許文献1〜3参照。)など、鋭意改良がなされて鮮明な画像を得るにいたっている。しかしながら、得られた画像は、種々の環境条件下で保存されるので、それらのいずれの条件下でも画像が安定に保存され、画質が維持されなければならないが、従来の湿式現像ハロゲン化銀感光材料のレベルにはまだ至っているとは言えない。熱現像感光材料では、画像形成に必要なあらゆる薬剤が予め膜中に内蔵され、熱現像後も残存するので、画像安定性は極めて重要な課題であり、常に継続的に新たな技術開発が求められている課題であった。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−186568号公報
【特許文献2】
特開2000−227643号公報
【特許文献3】
特開2000−19678号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、画像安定性が改良された熱現像感光材料を提供することにある。特に、暗熱画像保存性が改良された熱現像感光材料を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、以下の熱現像感光材料によって達成された。
<1> 支持体の同一面上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層と非感光性層とを有する熱現像感光材料であって、前記最外層のバインダーの50質量%以上が動物性蛋白質由来でないポリマーであって、該ポリマーの架橋剤を含有し、特性曲線における平均階調が10未満であることを特徴とする熱現像感光材料。
<2> 前記架橋剤が、(1)カルボン酸およびカルバミン酸誘導体、(2)スルホン酸エステルおよびスルホニル化合物、(3)エポキシ化合物、(4)アジリジン類、(5)イソシアネート類、(6)カルボジイミド化合物および(7)オキサゾリン化合物よりなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする<1>に記載の熱現像感光材料。
<3> 前記架橋剤が水分散性イソシアネートである<1>また<2>に記載の熱現像感光材料。
<4> 前記架橋剤が水分散性エポキシ化合物である<1>または<2>に記載の熱現像感光材料。
<5> 前記動物性蛋白質由来でない水溶性ポリマーが、カルボキシル基またはその塩、チオール基、フェノール性水酸基、無水カルボン酸基、アミド基、または芳香族アミノ基、を有する<1>〜<4>のいずれかに記載の熱現像感光材料。
<6> 前記動物性蛋白質由来でない水溶性ポリマーが、カルボキシル基またはその塩を有する<1>〜<5>のいずれかに記載の熱現像感光材料。
<7> 前記動物性蛋白質由来でないポリマーが、水分散性ラテックスより形成されたポリマーである<1>〜<4>のいずれかに記載の熱現像感光材料。
<8> 前記ポリマーラテックスが、カルボキシル基またはその塩、チオール基、フェノール性水酸基、無水カルボン酸基、アミド基、または芳香族アミノ基を有する<7>に記載の熱現像感光材料。
<9> 前記ポリマーラテックスが、カルボキシル基またはその塩を有する<7>または<8>に記載の熱現像感光材料。
<10> 前記ポリマーラテックスのTgが−20℃〜70℃である<7>〜<9>のいずれかに記載の熱現像感光材料。
<11> 前記ポリマーラテックスのTgが−20℃〜20℃である<7>〜<10>のいずれかに記載の熱現像感光材料。
<12> 少なくとも1種の現像促進剤を含有する<1>〜<11>のいずれかに記載の熱現像感光材料。
<13> 前記最外層が、温度低下によりゲル化し得るバインダーを含有する<1>〜<12>のいずれかに記載の熱現像感光材料。
<14> 前記最外層に隣接する層が、温度低下によりゲル化し得るバインダーを含有する<1>〜<13>のいずれかに記載の熱現像感光材料。
【0010】
【発明の実施の形態】
1.熱現像感光材料
本発明の熱現像材料は、支持体上に少なくとも1層の画像形成層と非感光性層を含む構成層を有するものであり、該画像形成層は、感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩、還元剤およびバインダーとを含有する。
【0011】
本発明の熱現像材料は、支持体の一方の面のみに画像形成層を有する片面タイプのものが好ましい。この場合、支持体に対し画像形成層を有する側とは反対の面(以下、バック面と称する)にバック層を有することが好ましい。
【0012】
本発明において、写真特性曲線とは、露光エネルギーである露光量の常用対数(LogE)を横軸にとり、光学濃度、すなわち散乱光写真濃度(D)を横軸にとって両者の関係を表したD−LogE曲線のことをいう。本発明における平均階調とは、特性曲線上のかぶり濃度+光学濃度0.5の点とかぶり濃度+光学濃度2.5を結ぶ直線の傾き(この直線と横軸のなす角をθとするときのtanθ)のことである。
本発明の熱現像感光材料は、平均階調が10未満である。好ましくは、平均階調は6以下2以上であって、より好ましくは5以下2以上、さらに好ましくは4以下2以上である。従来、前記平均階調の熱現像感光材料においては、最外層にはゼラチンなどの動物性タンパク質由来のポリマーが用いられていた。本発明の架橋剤を含有する最外層は、前記平均階調の熱現像感光材料において特に顕著な効果を発揮することを本発明者らは見いだした。
【0013】
1−1.架橋剤
本発明に用いることの出来る架橋剤としては、カルボキシル基と反応する基を分子内に複数含有すればよく、架橋剤の種類については特に限定されない。架橋剤の例としては、T.H.James著”THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION”(Macmillan Publishing Co., Inc.刊、1977年刊)77〜87頁に記載されており、無機化合物の架橋剤(例えば、クロムみょうばん)および有機化合物の架橋剤のいずれも好ましいが、有機化合物の架橋剤がより好ましい。
【0014】
有機化合物の架橋剤として好ましい化合物は、カルボン酸誘導体、カルバミン酸誘導体、エポキシ化合物、アミン化合物、アジリジン化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、およびオキサゾリン化合物を挙げることができる。より好ましくは、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物およびオキサゾリン化合物である。
【0015】
具体的には、以下の化合物を挙げることが出来るが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0016】
(カルボジイミド化合物)
水溶性または水分散性のカルボジイミド化合物が好ましく、例として、特開昭59−187029号公報および特公平5−27450号公報に記載のイソホロンジイソシアネート由来のポリカルボジイミド、特開平7−330849号公報記載のテトラメチルキシリレンジイソシアネート由来のカルボジイミド化合物、特開平10−30024号公報記載の他分岐型カルボジイミド化合物、および特開2000−7642号公報記載のジシクロヘキシルメタンジイソシアネート由来のカルボジイミド化合物を挙げることが出来る。
【0017】
(オキサゾリン化合物)
水溶性または水分散性のオキサゾリン化合物が好ましく、例として、特開2001−215653号公報記載のオキサゾリン化合物を挙げることが出来る。。
【0018】
(イソシアネート化合物)
水と反応し得る化合物であるので、ポットライフの点で水分散性のイソシアネート化合物が好ましく、特に自己乳化性を有するものが好ましい。例として、特開平7−304841号公報、特開平8−277315号公報、特開平10−45866号公報、特開平9−71720号公報、特開平9−328654号公報、特開平9−104814号公報、特開2000−194045号公報、特開2000−194237号公報、および特開2003−64149号公報記載の水分散性イソシアネート化合物を挙げることが出来る。
【0019】
(エポキシ化合物)
水溶性または水分散性のエポキシ化合物が好ましく、例として、特開平6−329877号公報、および特開平7−309954号公報記載の水分散性エポキシ化合物を挙げることが出来る。
【0020】
本発明に用いることの出来る架橋剤のより具体的な例を以下に示すが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0021】
(エポキシ化合物)
商品名:ディックファイン EM−60(大日本インキ化学工業(株))
【0022】
(イソシアネート化合物)
商品名:デュラネート WB40−100(旭化成(株))
デュラネート WB40−80D(旭化成(株))
デュラネート WT20−100(旭化成(株))
デュラネート WT30−100(旭化成(株))
CR−60N (大日本インキ化学工業)
【0023】
(カルボジイミド化合物)
商品名:カルボジライト V−02(日清紡(株))
カルボジライト V−02−L2(日清紡(株))
カルボジライト V−04(日清紡(株))
カルボジライト V−06(日清紡(株))
カルボジライト E−01(日清紡(株))
カルボジライト E−02(日清紡(株))
【0024】
(オキサゾリン化合物)
商品名:エポクロス K−1010E(日本触媒(株))
エポクロス K−1020E(日本触媒(株))
エポクロス K−1030E(日本触媒(株))
エポクロス K−2010E(日本触媒(株))
エポクロス K−2020E(日本触媒(株))
エポクロス K−2030E(日本触媒(株))
エポクロス WS−500(日本触媒(株))
エポクロス WS−700(日本触媒(株))
【0025】
本発明に用いられる架橋剤は、バインダー溶液にあらかじめ混合した状態で添加してもよく、また塗布液の調製過程の最後に添加されてもよく、あるいは塗布する直前に添加することもできる。
【0026】
本発明に用いられる架橋剤の使用量としては、含まれる構成層のバインダー100質量部に対して0.5〜200質量部であることが好ましく、2〜100質量部であることがより好ましく、さらには3〜50質量部であることがより好ましい。
【0027】
1−2.最外層のバインダー
前記最外層のバインダーの50質量%以上は動物性蛋白質由来でないポリマーである。本発明の動物性蛋白質由来でないポリマーとして、動物性蛋白質由来でない水溶性ポリマー、および水分散性ポリマーラテックスを用いることが出来る。
【0028】
1−2−1.動物性蛋白質由来でない水溶性ポリマー
本願に用いられる動物性蛋白質由来でない水溶性ポリマーとは、動物系蛋白質以外の天然高分子(多糖類系、微生物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)および合成高分子(ビニル系、その他)であり、以下に述べるポリビニルアルコールを始めとする合成ポリマーや、植物由来のセルロース等を原料とする天然あるいは半合成ポリマーが本発明で使用できる水溶性ポリマーに該当する。
【0029】
1)ポリビニルアルコール類
本発明の動物性蛋白質由来でない水溶性ポリマーとして、ポリビニルアルコール類が好ましい。
本発明に好ましく用いられるポリビニルアルコール(PVA)として、以下に列挙するように種々の鹸化度、重合度、中和度、変性体、および種々のモノマーとの共重合体がある。
【0030】
完全鹸化物としては、PVA−105[ポリビニルアルコール(PVA)含有率94.0質量% 以上、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.5質量% 以下、揮発分5.0質量t% 以下、粘度(4質量% 、20℃)5.6±0.4CPS]、PVA−110[PVA含有率94.0質量% 、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.5質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)11.0±0.8CPS]、PVA−117[PVA含有率94.0質量% 、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)28.0±3.0CPS]、PVA−117H[PVA含有率93.5質量% 、けん化度99.6±0.3モル%、酢酸ナトリウム含有率1.85質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)29.0±3.0CPS]、PVA−120[PVA含有率94.0質量% 、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)39.5±4.5CPS]、PVA−124[PVA含有率94.0質量% 、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)60.0±6.0CPS]、PVA−124H[PVA含有率93.5質量% 、けん化度99.6±0.3モル%、酢酸ナトリウム含有率1.85質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)61.0±6.0CPS]、PVA−CS[PVA含有率94.0質量% 、けん化度97.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)27.5±3.0CPS]、PVA−CST[PVA含有率94.0質量% 、けん化度96.0±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)27.0±3.0CPS]、PVA−HC[PVA含有率90.0質量% 、けん化度99.85モル%以上、酢酸ナトリウム含有率2.5質量% 、揮発分8.5質量% 、粘度(4質量% 、20℃)25.0±3.5CPS](以上、いずれもクラレ(株)製の商品名)などより選ぶことができる。
【0031】
部分けん化物としては、PVA−203[PVA含有率94.0質量% 、けん化度88.0±1.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)3.4±0.2CPS]、PVA−204[PVA含有率94.0質量% 、けん化度88.0±1.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)3.9±0.3CPS]、PVA−205[PVA含有率94.0質量% 、けん化度88.0±1.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)5.0±0.4CPS]、PVA−210[PVA含有率94.0質量% 、けん化度88.0±1.0モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)9.0±1.0CPS]、PVA−217[PVA含有率94.0質量% 、けん化度88.0±1.0モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)22.5±2.0CPS]、PVA−220[PVA含有率94.0質量% 、けん化度88.0±1.0モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)30.0±3.0CPS]、PVA−224[PVA含有率94.0質量% 、けん化度88.0±1.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)44.0±4.0CPS]、PVA−228[PVA含有率94.0質量% 、けん化度88.0±1.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)65.0±5.0CPS]、PVA−235[PVA含有率94.0質量% 、けん化度88.0±1.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)95.0±15.0CPS]、PVA−217EE[PVA含有率94.0質量% 、けん化度88.0±1.0モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)23.0±3.0CPS]、PVA−217E[PVA含有率94.0質量% 、けん化度88.0±1.0モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)23.0±3.0CPS]、PVA−220E[PVA含有率94.0質量% 、けん化度88.0±1.0モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)31.0±4.0CPS]、PVA−224E[PVA含有率94.0質量% 、けん化度88.0±1.0モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)45.0±5.0CPS]、PVA−403[PVA含有率94.0質量% 、けん化度80.0±1.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)3.1±0.3CPS]、PVA−405[PVA含有率94.0質量% 、けん化度81.5±1.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)4.8±0.4CPS]、PVA−420[PVA含有率94.0質量% 、けん化度79.5±1.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% ]、PVA−613[PVA含有率94.0質量% 、けん化度93.5±1.0モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量% 、揮発分5.0質量% 、粘度(4質量% 、20℃)16.5±2.0CPS]、L−8[PVA含有率96.0質量% 、けん化度71.0±1.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%(灰分)、揮発分3.0質量%、粘度(4質量% 、20℃)5.4±0.4CPS](以上、いずれもクラレ(株)製の商品名)などより選ぶことができる。
【0032】
なお、上記の測定値はJISK−6726−1977に準じて求めたものである。
【0033】
変性ポリビニルアルコールについては、カチオン変性、アニオン変性、−SH化合物による変性、アルキルチオ化合物による変性、シラノールによる変性体より選ぶことができる。その他、「ポバール」長野浩一ら共著 高分子刊行会発行に記載の変性ポリビニルアルコールを用いることができる。
【0034】
このような変性ポリビニルアルコール(変性PVA)としては、CポリマーとしてC−118、C−318、C−318−2A、C−506(以上、いずれもクラレ(株)製の商品名)、HLポリマーとしてHL−12E、HL−1203(以上、いずれもクラレ(株)製の商品名)、HMポリマーとしてHM−03、HM−N−03(以上、いずれもクラレ(株)製の商品名)、KポリマーとしてKL−118、KL−318、KL−506、KM−118T、KM−618(以上、いずれもクラレ(株)製の商品名)、MポリマーとしてM−115(クラレ(株)製の商品名)、MPポリマーとしてMP−102、MP−202、MP−203(以上、いずれもクラレ(株)製の商品名)、MPKポリマーとして、MPK−1、MPK−2、MPK−3、MPK−4、MPK−5、MPK−6(以上、いずれもクラレ(株)製の商品名)、RポリマーとしてR−1130、R−2105、R−2130(以上、いずれもクラレ(株)製の商品名)、VポリマーとしてV−2250(クラレ(株)製の商品名)などがある。
【0035】
ポリビニルアルコールは、その水溶液に添加する微量の溶剤あるいは無機塩類によって粘度調整をしたり粘度安定化させたりすることが可能であって、詳しくは上記文献「ポバール」長野浩一ら共著 高分子刊行会発行144頁から154頁記載のものを使用することができる。その代表例としてホウ酸を含有させることで塗布面質を向上させることができ、好ましい。ホウ酸の添加量は、ポリビニルアルコールに対し0.01〜40質量% であることが好ましい。
【0036】
また、ポリビニルアルコールは加熱処理によって結晶化度が向上し、耐水性が向上することが上述の文献「ポバール」に記載されている。本発明の最外層に使用するバインダーは、塗布乾燥の際に加熱されるか、もしくは乾燥後に追加過熱処理することが可能であるので、これらの過程によって耐水性が向上するポリビニルアルコールは水溶性ポリマーの中でも特に好ましい。
さらに耐水性を高めるには、同書256頁〜261頁に記載されているような耐水化剤を添加するのが好ましい。例えば、アルデヒド類、メチロール化合物類(N−メチロール尿素、N−メチロールメラミンなど)、活性化ビニル化合物類(ジビニルスルホンやその誘導体など)、ビス(β−ヒドロキシエチルスルホン)、エポキシ化合物類(エピクロルヒドリンやその誘導体など)、多価カルボン酸類(ジカルボン酸、ポリカルボン酸としてポリアクリル酸、メチルビニルエーテル−マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体など)、ジイソシアネート類、無機系架橋剤(Cu、B、Al、Ti、Zr、Sn、V、Crなどの化合物)が挙げられる。
しかしながら、これらの耐水化剤の多くは、耐水化の効果はあるが本発明の熱現像感光材料に用いると写真感光性や現像性に悪い影響を及ぼすため、適用することが困難である。本発明に好ましい耐水化剤としては、無機系架橋剤を挙げることができ、その中でもホウ酸やその誘導体が好ましく、特に好ましいのはホウ酸である。以下、ホウ酸誘導体の具体例を挙げる。
【0037】
【化1】
Figure 2005049371
【0038】
これら、耐水化剤の添加量は、ポリビニルアルコールに対し0.01〜40質量% の範囲で調節して使用することが好ましい。
【0039】
2)その他の動物性蛋白質由来でない水溶性ポリマー
本発明の動物性蛋白質由来でない水溶性ポリマーとしては、上記ポリビニルアルコール以外に以下のようなものを挙げることができる。
【0040】
具体的には、植物系多糖類が挙げられ、アラビアガム、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、グアガム(Squalon製 Supercol(実施例中のZP−1)など)、ローカストビーンガム、ペクチン、トラガント、トウモロコシデンプン(National Starch & Chemical Co.製Purity−21(実施例中のZP−2)など)、リン酸化デンプン(National Starch & Chemical Co.製National 78−1898(実施例中のZP−3)など)などがある。
また、微生物系多糖類として、キサンタンガム(Kelco製 Keltrol T(実施例中のZP−4)など)、デキストリン(National Starch & Chemical Co.製Nadex360(実施例中のZP−5)など)など、動物系多糖類として、コンドロイチン硫酸ナトリウム(Croda製 Cromoist CS(実施例中のZP−6)など)などがあげられる。
あるいは、セルロース系ポリマーとして、エチルセルロース(I.C.I.製Cellofas WLD(実施例中のZP−7)など)、カルボキシメチルセルロース(ダイセル製CMC(実施例中のZP−8)など)、ヒドロキシエチルセルロース(ダイセル製HEC(実施例中のZP−9)など)、ヒドロキシプロピルセルロース(Aqualon製 Klucel(実施例中のZP−10)など)、メチルセルロース(Henkel製Viscontran(実施例中のZP−11)など)、ニトロセルロース(Hercules製 Isopropyl Wet(実施例中のZP−12)など)、カチオン化セルロース(Croda製 Crodacel QM(実施例中のZP−13)など)などがあげられる。アルギン酸系としては、アルギン酸ナトリウム(Kelco製Keltone(実施例中のZP−14)など)、アルギン酸プロピレングリコールなど、その他の分類として、カチオン化グアガム(Alcolac製Hi−care1000(実施例中のZP−15)など)、ヒアルロン酸ナトリウム(Lifecare Biomedial製Hyalure(実施例中のZP−16)など)があげられる。
その他にに、カンテン、ファーセルラン、グァーガム、カラヤガム、ラーチガム、グアシードガム、サイリュウムシードガム、キンスシードガム、タマリンドガム、ジェランガム、タラガムなどを挙げることができる。これらの中でも水溶性が高いものが好ましく、5℃以上95℃以下の温度範囲における温度変化によって24時間以内にゾル−ゲル変性する水溶液になるものが好ましく用いられる。
【0041】
合成ポリマーでは、アクリル系としてはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド共重合体など、ビニル系としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体など、その他としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルフォン酸又はその共重合体、ポリビニルスルファン酸又はその共重合体、ポリアクリル酸又はその共重合体、アクリル酸又はその共重合体等、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸又はその共重合体、など)などを挙げることができる。
【0042】
また、米国特許第4,960,681号明細書、特開昭62−245,260号公報等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SO3M(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマーの共重合体(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、住友化学(株)製のスミカゲルL−5H)も使用することができる。
【0043】
これらの中でも好ましく用いられる水溶性ポリマーは、アルギン酸ナトリウム、デキストラン、デキストリン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリスチレンスルフォン酸又はその共重合体、ポリアクリル酸又はその共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸又はその共重合体などである。これらの化合物は、「新・水溶性ポリマーの応用と市場(株式会社シーエムシー発行、長友新治編集、1988年11月4日発行)」に詳細に記載されている。
【0044】
3)特に好ましい水溶性ポリマー
本発明で使用する好ましい水溶性ポリマーとしては、オキサゾリン基と反応し得る官能基を有するものが好ましい。また、これらからなる群から選ばれた1種または2種以上のポリマーであれば特に制限なく使用できる。
【0045】
前記水溶性ポリマー中に含有されるオキサゾリン基と反応し得る官能基としては、例えば、カルボキシル基またはその塩、チオール基、フェノール性水酸基、無水カルボン酸基、エポキシ基、アミド基、芳香族アミノ基、またはイソシアネート基等を挙げることができ、これらを併用することもできる。オキサゾリン基との反応性の点からカルボキシル基またはその塩、無水カルボン酸基が好ましく、反応性の点でカルボキシル基が特に好ましい。官能基の量としては特に制限されず、適宜選択すれば良いが、官能基1等量当たりの分子量が100〜2万、好ましくは500〜1万となる割合で官能基を含有させるのが良い。官能基が多すぎると硬化皮膜が硬脆くなり、耐水性及び基材への密着性が損なわれる傾向にあり、また逆に少なすぎると硬化の程度が不充分であり、耐久性や耐水性等が損なわれる傾向にある。
【0046】
本発明で好ましい水溶性ポリマーは、カルボキシル基またはその塩、チオール基、フェノール性水酸基、無水カルボン酸基、エポキシ基、アミド基、芳香族アミノ基、またはイソシアネート基を有する水溶性ポリマーである。
【0047】
上記のカルボキシル基を有する水溶性ポリマー(以下、ポリマー(A)と称する)は、特に限定されるものではない。ポリマー(A)は、カルボキシル基を有する単量体(以下、カルボキシル基含有単量体と称する)を含む単量体組成物を、例えばラジカル重合させることにより、容易に得られる。
【0048】
カルボキシル基含有単量体としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸;これら不飽和ジカルボン酸のモノエステル化物;これら不飽和ジカルボン酸のモノアミド;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸の無水物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらカルボキシル基含有単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記例示のカルボキシル基含有単量体のうち、不飽和ジカルボン酸、該ジカルボン酸のモノエステル化物、該ジカルボン酸のモノアミド、および、該ジカルボン酸の無水物がより好ましい。即ち、エチレン結合を有するジカルボン酸、および、その誘導体がより好ましい。
【0049】
カルボキシル基含有単量体を含む単量体組成物(以下、単量体組成物(A)と称する)におけるカルボキシル基含有単量体の割合は、1重量%〜30重量%の範囲内が好ましい。
【0050】
単量体組成物(A)に含まれるカルボキシル基含有単量体以外の単量体は、カルボキシル基含有単量体と共重合し、かつ、カルボキシル基に対して不活性な化合物であればよく、特に限定されるものではない。該単量体としては、具体的には、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、スチレンスルホン酸およびその塩、等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;(メタ)アクリル酸を炭素数1〜18のアルコールでエステル化してなる、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコール若しくはポリエチレングリコールとのモノエステル化物、等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル;エチレン、プロピレン、n−ブテン等のオレフィン;(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチルおよびその塩、ビニルスルホン酸およびその塩、等の不飽和スルホン酸;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル;(メタ)アクリロニトリル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等のビニルエーテル;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン等の塩基性不飽和単量体;(メタ)アクリル酸を、例えば、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールでエステル化してなる、分子内にエチレン結合を2個以上有する多官能(メタ)アクリル酸エステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシ(メタ)アクリルアミド等のN−置換(メタ)アクリルアミド;ビニルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン等の有機ケイ素含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−2−メチルグリシジル、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有単量体;(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチル等のアジリジニル基含有単量体;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート;4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等のピペリジン誘導体;等が挙げられる。これら単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。尚、ピペリジン誘導体は、紫外線安定性を有する単量体である。
【0051】
ポリマー(A)の製造方法、即ち、単量体組成物(A)の重合方法は、特に限定されるものではなく、公知の種々の重合方法を採用することができる。該重合方法としては、例えば、水と均一に混合する溶媒中で、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、または塊状重合させる方法が挙げられる。
【0052】
上記の溶媒としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0053】
反応条件は、単量体組成物(A)の組成等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、反応温度は、室温〜200℃程度が好適である。また、単量体組成物(A)は、例えば、反応器に一括して仕込んでもよく、滴下等の方法によって連続的或いは逐次的に仕込んでもよい。上記の重合反応は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことがより好ましい。
【0054】
上記の重合反応においては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩等のアゾ化合物;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物;等の重合開始剤を用いる。重合開始剤の使用量は、単量体組成物(A)の組成等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、単量体組成物(A)の0.1重量%〜10重量%程度が好適である。重合開始剤は、単量体組成物(A)と共に反応器に一括して仕込んでもよく、滴下等の方法によって連続的或いは逐次的に仕込んでもよい。
【0055】
また、上記の重合反応においては、必要に応じて、界面活性剤や連鎖移動剤、連鎖調整剤等を用いることができる。上記の重合反応により、溶媒に溶解若しくは分散した状態でポリマー(A)が得られる。ポリマー(A)は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。なお、ポリマー(A)の平均分子量(重合度)は、特に限定されるものではない。また、必要に応じて、溶媒の一部または全部を留去してもよい。
【0056】
ところで、不飽和ジカルボン酸の無水物をカルボキシル基含有単量体として用いると、得られるポリマー(A)においては、該無水物は開環して2つのカルボキシル基となる。この場合、何れか一方のカルボキシル基は、重合反応後に、エステル化またはアミド化することがより好ましい。エステル化剤としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、メチルセロソルブ、ジメチルアミノエチルアルコール、ジエチルアミノエチルアルコール、アセトニルアルコール等の比較的低分子量のアルコールが挙げられる。上記例示のエステル化剤のうち、t−ブチルアルコール、ジメチルアミノエチルアルコール、ジエチルアミノエチルアルコール、アセトニルアルコールがより好ましい。アミド化剤としては、具体的には、例えば、エチルアミン、ブチルアミン、アニリン等の比較的低分子量のアミンが挙げられる。上記例示のアミド化剤のうち、アニリンがより好ましい。尚、エステル化またはアミド化の反応条件は、重合体(A)の組成等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、反応温度は、室温〜120℃程度が好適である。
【0057】
なお、上記のポリマー(A)として、アクリル樹脂の他に、例えば、フッ素樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂等の公知の樹脂を用いることもできる。
【0058】
そして、ポリマー(A)の酸価は、30mgKOH/g〜200mgKOH/gの範囲内であることがより好ましい。ポリマー(A)の酸価を上記の範囲内に調節することにより、樹脂組成物水分散体を例えば塗料やコーティング材、シーリング材等に用いた場合に得られる硬化物の、耐水性、耐溶剤性、硬度、耐酸性雨性、耐汚染性、加工性、密着性、伸び、耐衝撃性等の各種物性がより一層向上する。
【0059】
ポリマー(A)の例として、前述したカルボキシル基変性ポリビニルアルコールも好ましく使用できる。
【0060】
カルボキシル基変性ポリビニルアルコールとは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有重合性単量体と酢酸ビニルを共重合した後、部分的あるいは完全に懸化することによって得られるものであり、市販品としては株式会社クラレ製のKポリマーKL−118、KL−318、KL−506、KM−118等がある。
【0061】
本発明で好ましい水溶性ポリマーのうち、カルボキシル基以外の官能基(チオール基、フェノール性水酸基、無水カルボン酸基、エポキシ基、アミド基、芳香族アミノ基、またはイソシアネート基)を有する水溶性ポリマーも、カルボキシル基含有単量体に代えて、それぞれの官能基を有する単量体を使用するか、または重合後に変性することで官能基を付与できる単量体を使用することにより、同様の手順(例えばラジカル重合させること)により、容易に得ることができる。これらの官能基は、水溶性ポリマー中に複数の種類有していても構わない。
【0062】
特に好ましいのは、カルボキシル基またはその塩を有する水溶性ポリマーである。
【0063】
これらの水溶性ポリマーの使用量は、塗布量(支持体1m当たり)としては0.3g/m〜4.0g/mが好ましく、0.5g/m〜2.0g/mがより好ましい。なお、バック面の最外層に本発明の水溶性ポリマーを添加する場合にも、同程度の塗布量(1層当たり)が好ましい。
なお、塗布液中での濃度は、添加した時に粘度が同時重層塗布に適した値になるように調整することが好ましいが、特に限定されない。一般には液中の濃度が0.01〜30質量%である、より好ましくは0.05〜20質量%であり、特に好ましくは0.1〜10質量%である。これらによって得られる粘度は、初期の粘度からの上昇分として1〜200mPa・sが好ましく、より好ましくは5〜100mPa・sである。なお、測定に当たってはB型回転粘度計で25℃で測定した値を示す。本発明に好ましく用いられる水溶性ポリマーのガラス転移温度として特に限定は無いが、熱現像によるベルトマーク及び加工時のゴミの発生等の脆性の観点から60℃〜220℃が好ましい。より好ましくは70℃〜200℃である。更に、好ましくは80℃〜180℃が好ましい。最も好ましくは90℃〜170℃である。
【0064】
本発明の水溶性ポリマーや疎水性ポリマーラテックスとともに、水系溶媒に分散可能なポリマーを併用しても良い。
好適な水系溶媒に分散可能なポリマーは後述する(画像形成層のバインダーの説明)ポリマーラテックスの説明で述べられているが、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類を挙げることができる。
これらのポリマーは水溶性ポリマーに対して1質量%〜70質量%、好ましくは5質量%〜50質量%混合するのが良い。
【0065】
1−2−2.ポリマーラテックス
本発明の最外層のバインダーとして用いることのできるポリマーラテックスとは、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が水中で分散している状態のものをいう。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、好ましくは5〜1000nmの範囲で、より好ましくは10〜500nmの範囲、さらに好ましくは50〜200nmの範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
【0066】
本発明においてラテックスポリマーとしては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜200000がよい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。また、架橋性のポリマーラッテクスは特に好ましく使用される。
本発明の最外層に使用できるポリマーラテックスのTgは、−20℃〜70℃の範囲にあるものが好ましい。さらに好ましくは、−20℃〜40℃であり、最も好ましくは−20℃〜20℃である。ただし、このようなTgとするために、2種以上のポリマーを用いて調製することも可能である。すなわち、上記範囲外のTgを有するポリマーであっても、その重量平均Tgが上記の範囲にはいることが好ましい。
【0067】
1)本発明の好ましいポリマーラテックス
本発明で使用する好ましいポリマーラテックスとしては、オキサゾリン基と反応し得る官能基を有するものが好ましい。また、これらからなる群から選ばれた1種または2種以上のポリマーラテックスであれば特に制限なく使用できる。
【0068】前記ポリマーラテックス中に含有されるオキサゾリン基と反応し得る官能基としては、例えば、カルボキシル基またはその塩、チオール基、フェノール性水酸基、無水カルボン酸基、エポキシ基、アミド基、芳香族アミノ基、またはイソシアネート基等を挙げることができ、これらを併用することもできる。オキサゾリン基との反応性の点からカルボキシル基またはその塩、無水カルボン酸基が好ましく、反応性の点でカルボキシル基が特に好ましい。官能基の量としては特に制限されず、適宜選択すれば良いが、官能基1等量当たりの分子量が100〜2万、好ましくは500〜1万となる割合で官能基を含有させるのが良い。官能基が多すぎると硬化皮膜が硬脆くなり、耐水性及び基材への密着性が損なわれる傾向にあり、また逆に少なすぎると硬化の程度が不充分であり、耐久性や耐水性等が損なわれる傾向にある。
水性ラテックスの具体例は、アクリル系水分散液、酢酸ビニル系水分散液、スチレン−ブタジエン系水分散液、天然ゴムラテックス等を挙げることができる。これらのポリマーラテックスに、2−オキサゾリン基と反応し得る官能基(たとえば、カルボキシル基、メルカプト基等の官能基)を導入すると好ましいポリマーラテックスとして使用できる。
本発明の好ましいポリマーラテックスは、カルボキシル基またはその塩、チオール基、フェノール性水酸基、無水カルボン酸基、エポキシ基、アミド基、芳香族アミノ基、またはイソシアネート基を有するポリマーラテックスであって、特に好ましくは、カルボキシル基またはその塩を有するポリマーラテックスである。
【0069】
2)ラテックスの具体例
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
【0070】
LP−1;−MMA(70)−EA(27)−MAA(3)−のラテックス(分子量37000、Tg61℃)
LP−2;−MMA(70)−2EHA(20)−St(5)−AA(5)−のラテックス(分子量40000、Tg59℃)
LP−3;−St(50)−Bu(47)−MAA(3)−のラテックス(架橋性、Tg−17℃)
LP−4;−St(68)−Bu(29)−AA(3)−のラテックス(架橋性、Tg17℃)
LP−5;−St(71)−Bu(26)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg24℃)
LP−6;−St(70)−Bu(27)−IA(3)−のラテックス(架橋性)
LP−7;−St(75)−Bu(24)−AA(1)−のラテックス(架橋性、Tg29℃)
LP−8;−St(60)−Bu(35)−DVB(3)−MAA(2)−のラテックス(架橋性)
LP−9;−St(70)−Bu(25)−DVB(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性)
LP−10;−VC(50)−MMA(20)−EA(20)−AN(5)−AA(5)−のラテックス(分子量80000)
LP−11;−VDC(85)−MMA(5)−EA(5)−MAA(5)−のラテックス(分子量67000)
LP−12;−Et(90)−MAA(10)−のラテックス(分子量12000)
LP−13;−MMA(42)−BA(56)−AA(2)のラテックス(分子量540000、Tg−4℃)
LP−14;−MMA(63)−EA(35)− AA(2)のラテックス(分子量33000、Tg47℃)
LP−15;−St(70.5)−Bu(26.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg23℃)
LP−16;−St(69.5)−Bu(27.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg20.5℃)
LP−17;−St(70)−2EHA(27)−AA(3)のラテックス(分子量130000、Tg43℃)
【0071】
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート,EA ;エチルアクリレート、MAA;メタクリル酸,2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート,St;スチレン,Bu;ブタジエン,AA;アクリル酸,DVB;ジビニルベンゼン,VC;塩化ビニル,AN;アクリロニトリル,VDC;塩化ビニリデン,Et;エチレン,IA;イタコン酸。
【0072】
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
【0073】
(市販品)
このほか、本発明において使用できる好ましい、水溶性ポリマーまたはポリマーラテックスの例として、種々の市販品の水性樹脂を用いることができる。市販品の水性樹脂としては、具体的には、例えば、「アクリセット」(商品名;株式会社日本触媒製)、「アロロン」(商品名;株式会社日本触媒製)等の水分散性あるいは水溶性のアクリル樹脂;「ハイドラン」(商品名;大日本インキ化学工業株式会社製)、「ボンディック」(商品名;大日本インキ化学工業株式会社製)、「ポイズ」(商品名;花王株式会社製)、「スーパーフレックス」(商品名;第一工業製薬株式会社製)、「ネオレッツ」(商品名;ゼネカ株式会社製)等の水性ポリウレタン;「バイロナール」(商品名;東洋紡績株式会社製)、「ファインテックス」(商品名;大日本インキ化学工業株式会社製)等の水性ポリエステル;「ホルス」(商品名;関西ペイント株式会社製)等の水分散性、水希釈もしくは水溶性のアルキド樹脂;「イソバン」(商品名;クラレイソプレンケミカル社製)、商品名「プリマコール」(ダウケミカル社製)、「ハイテック」(商品名;東邦化学工業株式会社製)等の水分散、水希釈もしくは水溶性のポリオレフィン系樹脂;「エピクロン」(商品名;大日本インキ化学工業株式会社製)等の水分散エポキシ樹脂;塩化ビニルエマルジョン;「ジュリマー」、「ジュンロン」、「レオジック」、「アロンビス」(商品名;日本純薬株式会社製)等の水分散性あるいは水溶性のアクリル樹脂等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0074】
具体例として、アクリセット19E、アクリセット210E、アクリセット260E、アクリセット288E、アロロン453(いずれも株式会社日本触媒製)、セビアンA−4635,4718,4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)等の水分散性あるいは水溶性アクリル樹脂;ソフラネートAE−10、ソフラネートAE−40(いずれも日本ソフラン加工株式会社製)、ハイドランAP−10、20、30、40、HW−110、ハイドランHW−131、ハイドランHW−135、ハイドランHW−320、ECOS−3000、ボンディック2250、72070(いずれも大日本インキ化学工業株式会社製)、ポイズ710、ポイズ720(いずれも花王株式会社製)、メルシー525、メルシー585、メルシー414、メルシー455(いずれも東洋ポリマー株式会社製)等の水分散性ポリウレタン樹脂;バイロナールMD−1200、バイロナールMD−1400、バイロナールMD−1930(いずれも東洋紡績株式会社製)、WD−size、WMS、WD3652、WJL6342(いずれもイーストマンケミカル社製)、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)等の水分散性ポリエステル樹脂;イソバン−10、イソバン−06、イソバン−04(いずれもクラレイソプレンケミカル株式会社製)、プリマコール5981、プリマコール5983、プリマコール5990、プリマコール5991(いずれもダウ・ケミカル社製)、ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)等の水溶性、水希釈性もしくは水分散性のポリオレフィン系樹脂、ジュリマーAC−103、10S、AT−510、ET−410、SEK−301、FC−60、SP−50TF、SPO−602、AC−70N(いずれも日本純薬製)等の水分散性あるいは水溶性アクリル樹脂、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以 上大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼオン(株)製)等の水分散性のゴム類、G351、G576(以上日本ゼオン(株)製)等の水分散性のポリ(塩化ビニル)類、L502、L513(以上旭化成工業(株)製)等のポリ(塩化ビニリデン)類等を挙げることができる。
【0075】
3)併用できるバインダー
最外層には、上記ラテックスとともに、必要に応じて前述した水溶性ポリマーを併用してもよく、特に、これらのうち温度が低下することでゲル化するバインダー(最外層に隣接する層の説明で後述)を用いることが好ましい。
【0076】
4)併用できる造膜助剤
ポリマーラテックスの最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもより。造膜助剤は一時可塑剤とも呼ばれ、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))に記載されている。好ましい造膜助剤は以下の化合物であるが、本発明で用い得る化合物は、以下の具体例に限定されるものではない。
Z−1:ベンジルアルコール
Z−2:2,2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート
Z−3:2−ジメチルアミノエタノール
Z−4:ジエチレングリコール
【0077】
5)添加量
ラテックスポリマーは、塗布液全体に対して、好ましくは3質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは、5質量%以上30質量%以下である。
ラテックスポリマーの塗布量は、0.3g/m〜4.0g/mが好ましく、0.5g/m〜2.0g/mがより好ましい。なお、バック面の最外層に本発明のラテックスポリマーを添加する場合にも、同程度の塗布量(1層当たり)が好ましい。
【0078】
1−3.フッ素化合物
本発明の熱現像感光材料は、炭素原子数が2以上でフッ素原子数が12以下のフッ化アルキル基を有するフッ素化合物を含有するのが好ましい。本発明のフッ素化合物は、界面活性剤として用いることができる。
本発明で用いるフッ素化合物は、上記フッ化アルキル基(以下、フッ素原子で置換されたアルキル基を「Rf」という)を有していれば、あとはいかなる構造であってもよい。また、フッ素化合物は少なくともRfを1つ以上有していればよく、2つ以上有していてもよい。好ましくは、2つ以上有しているフッ素化合物である。
【0079】
Rfの具体例としては、以下の基が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
−C基、−C基、−C基、−C11基、−CH−C基、−C−H基、−C−C基、−C−C基、−C12−C基、−C16−C基、−C−C基、−C−C基、−C−C11基、−C16−C基、−C−C−H基、−C−C−H基、−C12−C−H基−C12−C−H基、−C16−C−H基、−C12−C−CH基、−C−C基、−C−C11基、−C−CF(CF基、−CHCF基、−C−CH(C基、−C−CH(CF基、−C−C(CF基、―CH−C−H基、―CH−C12−H基。
【0080】
Rfは、フッ素原子数が12以下であるが、好ましくは3〜11の範囲で、より好ましくは5〜9の範囲である。また、炭素原子数は2以上であるが、好ましくは4〜16、より好ましくは5〜12の範囲である。
【0081】
Rfは、炭素原子数が2以上でフッ素原子数が12以下であれば、とくに構造は限定されないが、好ましくは下記一般式(A)で表される基である。
【0082】
一般式(A)
−Rc―Re−W
【0083】
一般式(A)においてRcは、炭素数1から4のアルキレン基を表すが、好ましくは炭素数1〜3の範囲で、より好ましくは1〜2の範囲である。
Rcで表されるアルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。Reは炭素数2〜6パーフルオロアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基である。ここでパーフルオロアルキレン基とはアルキレン基のすべての水素原子がフッ素原子で置き換えられたアルキレン基をいう。前記パーフルオロアルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また環状構造を有していてもよい。
Wは水素原子、フッ素原子またはアルキル基を表し、好ましくは水素原子またはフッ素原子である。特に好ましいのは、フッ素原子である。
【0084】
本発明のフッ素化合物はカチオン性の親水基を有することもできる。
カチオン性の親水性基とは、水に溶解したときに、陽イオンとなるものを言う。具体的には、第四級アンモニウム、アルキルピリジウム、アルキルイミダゾリニウム、第一級〜第三級脂肪族アミンなどが挙げられる。
カチオンとして好ましくは、有機のカチオン性置換基であり、より好ましくは窒素または燐原子を含む有機カチオン性基である。さらに好ましくはピリジニウムカチオンまたはアンモニウムカチオンである。
塩類を形成するアニオン種は、無機アニオンでも有機アニオンでもかまわない。無機アニオンとして好ましくは、ヨードイオン、臭素イオン、塩素イオン等が挙げられ、有機アニオンとして好ましくは、p−トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。
【0085】
本発明において好ましいカチオン性フッ素化合物は下記一般式(1)で表される。
【0086】
一般式(1)
【化2】
Figure 2005049371
【0087】
式中、RおよびRはそれぞれ置換または無置換のアルキル基を表すが、RおよびRの少なくとも1つは前述のフッ化アルキル基(Rf)である。好ましいのは、RおよびRの双方がRfの場合である。R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、X、XおよびZはそれぞれ独立に2価の連結基または単結合を表し、Mはカチオン性の置換基を表す。Yは対アニオンを表すが、分子内で荷電が0になる場合にはYはなくてもよい。mは0または1である。
【0088】
前記一般式(1)中、RおよびRはそれぞれRf以外の置換または無置換のアルキル基を表す場合、前記アルキル基は、炭素数1以上であって、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれであってもよい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アルケニル基、アリール基、アルコキシル基、フッ素以外のハロゲン原子、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、燐酸エステル基等が挙げられる。
【0089】
またはRがRf以外のアルキル基、即ち、フッ素原子で置換されていないアルキル基を表す場合、該アルキル基としては、炭素数1〜24の置換または無置換のアルキル基、より好ましくは炭素数6〜24の置換または無置換のアルキル基である。炭素数6〜24の無置換アルキル基の好ましい例としては、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、2−オクチルドデシル基、ドコシル基、テトラコシル基、2−デシルテトラデシル基、トリコシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。また、置換基を有する総炭素数が6〜24のアルキル基の好ましい例としては、2−ヘキセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基、ベンジル基、β−フェネチル基、2−メトキシエチル基、4−フェニルブチル基、4−アセトキシエチル基、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、18−フェニルオクタデシル基、12−(p−クロロフェニル)ドデシル基、2−(燐酸ジフェニル)エチル基等を挙げることができる。
【0090】
およびRでそれぞれ表されるRf以外のアルキル基としては、更に好ましくは炭素数6〜18の置換または無置換のアルキル基である。炭素数6〜18の無置換のアルキル基の好ましい例としては、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。また、置換基を有する総炭素数が6〜18の置換アルキル基の好ましい例としては、フェネチル基、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等が挙げられる。
【0091】
およびRでそれぞれ表されるRf以外のアルキル基としては、特に好ましくは、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基であり、最も好ましくは炭素数8〜16の直鎖状、環状または分岐状の無置換アルキル基である。
【0092】
前記一般式(1)中、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または置換基を表す。該置換基としては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる)、
【0093】
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12アシル基であり、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、
【0094】
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
【0095】
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
【0096】
、RおよびRとしては、好ましくはアルキル基または水素原子であり、更に好ましくは水素原子である。
【0097】
前記式中、XおよびXはそれぞれ2価の連結基または単結合を表す。前記2価の連結基については特に制約はないが、好ましくはアリーレン基、−O−、−S−または−NR31−(R31は水素原子または置換基を表し、置換基としてはR、RおよびRがそれぞれ表す置換基の例と同様であり、−R31として好ましくは、アルキル基、前述のRfまたは水素原子であり、更に好ましくは水素原子である)を単独またはそれらを組合せて得られる基であり、より好ましくは−O−、−S−または−NR31である。XおよびXとしてより好ましくは、−O−または−NR31−であり、更に好ましくは−O−または−NH−であり、特に好ましくは−O−である。
【0098】
前記式中Zは2価の連結基または単結合を表す。前記2価の連結基については特に制約はないが、好ましくはアルキレン基、アリーレン基、−C(=O)−、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−または−NR32−(R32は水素原子または置換基を表し、置換基としてはR、RおよびRが表す置換基の例と同様であり、R32として好ましくはアルキル基または水素原子であり、更に好ましくは水素原子である)を単独またはそれらを組合せて得られる基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、−C(=O)−、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−または−NR32−を単独またはそれらを組合せて得られる基である。Zとして更に好ましくは、炭素数1〜8のアルキレン基、−C(=O)−、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−または−NR32−を単独またはそれらを組合せて得られる基であり、例えば、
【0099】
【化3】
Figure 2005049371
等が挙げられる。
【0100】
前記式中、Mはカチオン性の置換基を表し、Mとして好ましくは、有機のカチオン性置換基であり、より好ましくは窒素または燐原子を含む有機カチオン性基である。さらに好ましくはピリジニウムカチオンまたはアンモニウムカチオンであり、より好ましくは下記一般式(2)で表されるトリアルキルアンモニウムカチオンである。
【0101】
【化4】
Figure 2005049371
【0102】
前記式中、R13、R14およびR15はそれぞれ独立に置換または無置換のアルキル基を表す。該置換基としては前記R、RおよびRの置換基として挙げたものが適用できる。また、R13、R14およびR15は可能な場合にはお互いが結合して環を形成してもよい。R13、R14およびR15として好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、メチルカルボキシル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0103】
前記式中、Yは対アニオンを表し、無機アニオンでも有機アニオンでもよい。また、分子内で荷電が0になる場合にはYはなくてもよい。無機アニオンとして好ましくは、ヨードイオン、臭素イオン、塩素イオン等が挙げられ、有機アニオンとして好ましくは、p−トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。Yとしてより好ましくは、ヨードイオン、p−トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオンであり、更に好ましくはp−トルエンスルホン酸である。
【0104】
前記式中、mは0または1を表し、好ましくは0である。
【0105】
上記一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(1−a)で表される化合物が好ましい。
【0106】
【化5】
Figure 2005049371
【0107】
式中、R11およびR21はそれぞれ置換または無置換のアルキル基を表すが、RおよびRの少なくとも1つは前述のRfを表し、R11とR21の炭素数の総計は19以下である。R13、R14およびR15はそれぞれ独立に置換または無置換のアルキル基を表し、互いに結合して環を形成していてもよい。X11およびX21はそれぞれ独立に−O−、−S−または−NR31−を表し、R31は水素原子または置換基を表し、Zは2価の連結基または単結合を表す。Yは対アニオンを表すが、分子内で荷電が0になる場合にはYはなくてもよい。
mは0または1である。式中、ZおよびYはそれぞれ上記一般式(1)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。R13、R14、R15およびmについては、それぞれ上記一般式(1)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0108】
式中、X11およびX12はそれぞれ−O−、−S−または−NR31−(R31は水素原子または置換基を表し、該置換基としては前記R、RおよびRの置換基として挙げたものが適用できる。R31として好ましくはアルキル基、前述のRf、または水素原子であり、更に好ましくは水素原子である)である。X11およびX21としてより好ましくは−O−、−NH−であり、更に好ましくは−O−である。
【0109】
前記式中、R11およびR21はそれぞれ一般式(1)におけるRおよびRと同義であり、好ましい範囲も同様である。ただし、R11およびR21の炭素数の総計は19以下である。mは0または1である。
【0110】
上記一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は、以下の具体例によってなんら制限されるものではない。なお、下記例示化合物の構造表記の中で特に断りのない限り、アルキル基、パーフルアロアルキル基は直鎖の構造を意味する。また、表記中の略号の内2EHは、2−ethylhexylを意味する。
【0111】
【化6】
Figure 2005049371
【0112】
【化7】
Figure 2005049371
【0113】
【化8】
Figure 2005049371
【0114】
【化9】
Figure 2005049371
【0115】
【化10】
Figure 2005049371
【0116】
【化11】
Figure 2005049371
【0117】
【化12】
Figure 2005049371
【0118】
【化13】
Figure 2005049371
【0119】
【化14】
Figure 2005049371
【0120】
【化15】
Figure 2005049371
【0121】
【化16】
Figure 2005049371
【0122】
【化17】
Figure 2005049371
【0123】
次に、本発明の上記一般式(1)、(1−a)で表される化合物の一般的な合成法の一例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0124】
本発明の化合物は、フマル酸誘導体、マレイン酸誘導体、イタコン酸誘導体、グルタミン酸誘導体、アスパラギン酸誘導体等を原料にして合成できる。例えば、フマル酸誘導体、マレイン酸誘導体、イタコン酸誘導体を原料とした場合は、それらの2重結合に、求核種によるマイケル付加反応を行った後、アルキル化剤によるカチオン化を行うことにより合成できる。
【0125】
本発明のフッ素化合物はアニオン性の親水基を有することもできる。
アニオン性の親水基とは、pKaが7以下の酸性基およびそのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を言う。具体的には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホン酸基、カルバモイルスルファモイル基、スルファモイルスルファモイル基、アシルスルファモイル基およびこれらの塩類などが挙げられる。このうち、好ましくはスルホ基、カルボキシル基、ホスホン酸基およびその塩類で、より好ましくはスルホ基およびその塩類である。塩類を形成するカチオン種としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルピリジニウムなどが挙げられるが、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウムである。
【0126】
本発明においてアニオン性の親水基を有するフッ素化合物で好ましいものは、下記一般式(3)で表される。
一般式(3)
【0127】
【化18】
Figure 2005049371
【0128】
式中、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基を表すが、少なくとも一方はRfを表す。RおよびRがフッ化アルキル基でないアルキル基を表すとき炭素数は2ないし18のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数4ないし12のアルキル基である。RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または置換または無置換のアルキル基を表す。
およびRで表されるフッ化アルキル基の具体例は前述の基があげられ、好ましい構造も同様に前述の一般式(A)で表される構造である。また、その中での好ましい構造も前述のフッ化アルキル基の記載と同様である。RおよびRで表されるアルキル基はいずれも前述のフッ化アルキル基であることが好ましい。
およびRで表される置換または無置換のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、また環状構造を有していてもよい。前記置換基としては、どんな置換基でもよいが、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子(好ましくはCl)、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、燐酸エステル基等が好ましい。
Aは−L−SOMを表し、Mはカチオンを表す。ここで、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。これらのうち、より好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンまたはアンモニウムイオンであり、さらに好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンであり、一般式(3)の化合物の総炭素数や置換基、アルキル基の分岐の程度等により適切に選択することができる。R、R、RおよびRの炭素数の合計が16以上の場合に、Mをリチウムイオンとすると溶解性(特に水に対して)と帯電防止能または塗布均一性の両立の観点で優れている。
は、単結合または置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。置換基はRで挙げたものが好ましい。Lがアルキレン基である場合、炭素数は2以下であるのが好ましい。Lは、単結合または−CH−基であることが好ましく、−CH−基であることが最も好ましい。
上記一般式(3)は、上記のそれぞれの好ましい態様を組み合わせることが、より好ましい。
【0129】
本発明で用いるフッ素化合物の具体例を以下に例示するが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
下記例示化合物の構造表記の中で特に断りのない限りアルキル基、パーフルオロアルキル基は直鎖の構造を意味する。
【0130】
【化19】
Figure 2005049371
【0131】
【化20】
Figure 2005049371
【0132】
【化21】
Figure 2005049371
【0133】
【化22】
Figure 2005049371
【0134】
本発明のフッ素化合物は、ノニオン性の親水基を有することもできる。
ノニオン性の親水性基とは、イオンに解離することなく水に溶解する基をいう。具体的には、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテルや多価アルコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
本発明において、ノニオン性を有するフッ素化合物で好ましいものは、下記一般式(4)で表される。
【0136】
一般式(4)
【化23】
Figure 2005049371
【0137】
一般式(4)で、Rfは前述のフッ化アルキル基であり、Rfの具体例は前述の基があげられ、好ましい構造も同様に前述の一般式(A)で表される構造である。また、その中での好ましい構造も前述のRfの記載と同様である。
【0138】
一般式(4)中のXは2価の連結基を表し、特に制約はないが例えば、下記の基等があげられる。
【0139】
【化24】
Figure 2005049371
【0140】
一般式(4)において、nは2または3の整数を表し、mは1〜30の整数を表す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、RfまたはRfを1つ以上置換基として有する基である。
【0141】
本発明で用いるノニオン性フッ素化合物具体例を以下に例示するが、本発明は以下の具体例によって何ら制限されるものではない。
【0142】
【化25】
Figure 2005049371
【0143】
【化26】
Figure 2005049371
【0144】
上記本発明で用いるフッ素化合物は、界面活性剤として、画像形成層が設けられた面側のいずれかの層を形成するための塗布組成物に好ましく用いられている。なかでも、写真感光材料の最外層の形成に用いると、効果的な帯電防止能と塗布の均一性を得ることができるので特に好ましい。本発明のフッ素化合物は帯電防止能と塗布の均一性を示す点でも有用であるが、保存安定性、使用環境依存性を改良するためにも有効である。
【0145】
本発明におけるフッ素化合物の使用量については特に制約はなく、用いるフッ素化合物の構造や用いる場所、組成物中に含まれる他の素材の種類や量等に応じて、その使用量を任意に決定することができる。例えば、熱現像感光材料の最外層用塗布液として用いる場合、フッ素化合物の塗布組成物中の塗布量としては、0.1〜100mg/mであることが好ましく、0.5〜20mg/mであることがより好ましい。
【0146】
本発明においては、フッ素化合物は1種類を単独で用いてもよいし、また2種類以上を混合して用いてもよい。さらに、本発明におけるフッ素化合物以外のフッ素化合物を混合して使用しても良い。加えて、フッ素化合物以外の界面活性剤を本発明におけるフッ素化合物と併用しても良い。
【0147】
1−4.最外層に隣接する隣接層
1)ゲル化し得るバインダー
本発明においては、最外層に隣接する層に、温度が低下することでゲル化するバインダーを用いることが好ましい。ゲル化するバインダーとは、上述した最外層に使用することができる水溶性ポリマーや、以下に示すゲル化剤を添加した水溶性ポリマー若しくは疎水性ポリマーをいう。
【0148】
ゲル化することで、塗布により形成された層の流動性が失われることから、画像形成層の表面は、塗布工程後の乾燥工程で、乾燥のための風に対して影響を受け難くなり、塗布面状が均一な熱現像感光材料を得ることができる。
ここで、塗布時には、塗布液はゲル化していないことが重要である。作業のし易さを考慮し、塗布時には塗布液は流動性を有し、塗布後乾燥工程に入る前の時点でゲル化し流動性を失う。
塗布時の該塗布液の粘度は、好ましくは5mPa・s〜200mPa・sであり、より好ましくは、10mPa・s〜100mPa・sである。
【0149】
本発明において、塗布液の溶媒は、水系溶媒を用いることが好ましい。
【0150】
塗布後乾燥工程に入る前の時点(この時点でゲル化している)での形成層の粘度を測定することは困難であるが、概ね200mPa・s〜5000mPa・sであり、好ましくは、500mPa・s〜5000mPa・s程度であると推測される。
【0151】
ゲル化する温度については特に制限されることはないが、塗布の作業効率を配慮して、ゲル化する温度は室温近辺であることが好ましい。なぜなら、塗布し易いように塗布液の流動性を上げることが簡易にできる温度であり、かつその流動性を保つことができる温度であり(すなわち、昇温した温度を容易に保っていることができる程度の温度である)、塗布後、形成層の流動性を失わせるための冷却が容易な温度であるからである。具体的に、好ましいゲル化の温度は、0℃以上40℃以下であり、より好ましくは、0℃以上35℃以下である。
【0152】
塗布時の塗布液の温度は、ゲル化温度より高く設定しておけば、特に制限は無く、また、塗布後乾燥工程前の冷却温度は、ゲル化温度より低く設定しておけば特に制限は無い。しかしながら、塗布液の温度と冷却温度との差を小さく設定しておくと、塗布途中でゲル化が始まってしまい、均一に塗れないなどの問題が生じる。また、これらの温度差を大きくするために、塗布液の温度を高く設定し過ぎると、塗布液の溶媒が蒸発し、粘度が変化するなどの問題が発生する。したがって、該温度差は、好ましくは5℃以上50℃以下、より好ましくは、10℃以上40℃以下に設定しておくと良い。
【0153】
2)ゲル化剤
本発明におけるゲル化剤は、本発明における水溶性ポリマー水溶液又は疎水性ポリマーのラテックス水溶液に添加して、冷却すると溶液がゲル化を起こす物質、若しくは、さらにゲル化促進物質と併用することによってゲル化を起こす物質である。ゲル化を起こすことにより、流動性が著しく低下する。
【0154】
ゲル化剤としては、本発明の最外層に使用できる水溶性ポリマーとして説明した動物性蛋白質由来の水溶性ポリマーや、以下の水溶性多糖類を上げることができる。すなわち、ゼラチン、寒天、カラギナン類、アルギン酸,アルギン酸塩,アガロース、ファーセレラン、ジェランガム,グルコノデルタラクトン,アゾトバクタービネランジガム,キサンタンガム,ペクチン,ローメトキシルペクチン,グアーガム,ローカストビーンガム,タラガム,カシアガム,グルコマンナン,トラガントガム,カラヤガム,プルラン,アラビアガム,アラビノガラクタン,デキストラン,カルボキシメチルセルロースナトリウム塩,メチルセルロース,サイリュームシートガム,デンプン,キチン,キトサン及びカードランから選ばれる少なくとも一種である。
【0155】
加熱して溶解後、冷却によりゲル化する物質としては、ゼラチン、寒天、カラギナン、ジュランガム等の物質が上げられる。
【0156】
これらのゲル化剤の中で、より好ましい化合物としてはκ−カラギナン(例:台糖(株)製:K−9F、新田ゼラチン(株)製:K−15:K−21〜24、I−3)、ι−カラギナン、寒天が挙げられ、特に好ましいのはκ−カラギナンである。
【0157】
ゲル化剤は、バインダーポリマーに対して、0.01質量%〜10.0質量%、好ましくは0.02質量%〜5.0質量%、より好ましくは0.05質量%〜2.0質量%用いるのが好ましい。
【0158】
ゲル化剤は、ゲル化促進剤とともに用いることが好ましい。本発明におけるゲル化促進剤は、ゲル化剤との接触によりゲル化が促進する化合物であり、ゲル化剤との特異的な組合せによってその機能が発揮される。本発明においては、ゲル化剤とゲル化促進剤の組み合わせとしては、以下のような組み合わせを利用することができる。
【0159】
(1)ゲル化促進剤としてカリウム等のアルカリ金属イオン、又はカルシウム,マグネシウム等のアルカリ土類金属イオンと、ゲル化剤としてカラギナン,アルギン酸塩,ジェランガム,アゾトバクタービネランジガム,ペクチン,カルボキシメチルセルロースナトリウム塩等の組み合わせ。
【0160】
(2)ゲル化促進剤として硼酸その他の硼素化合物と、ゲル化剤としてグアーガム,ローカストビーンガム,タラガム,カシアガム等の組み合わせ。
【0161】
(3)ゲル化促進剤として酸又はアルカリと、ゲル化剤としてアルギン酸塩,グルコマンナン,ペクチン,キチン,キトサン,カードラン等の組み合わせ。
【0162】
(4)ゲル化剤と反応してゲルを形成する水溶性多糖類をゲル化促進剤として用いる。具体的には、ゲル化剤にキサンタンガムを用い、ゲル化促進剤にカシアガムを用いる組合せ、ゲル化剤にカラギナンを用い、ゲル化促進剤にローカストビーンガムを用いる組合せ等を例示することができる。
【0163】
これらのゲル化剤とゲル化促進剤との組み合わせの具体例として以下のa)〜g)を例示することができる。
a)κ−カラギナンとカリウムの組み合わせ
b)ι−カラギナンとカルシウムの組み合わせ
c)ロ−メトキシルペクチンとカルシウムの組み合わせ
d)アルギン酸ナトリウムとカルシウムの組み合わせ
e)ジェランガムとカルシウムの組み合わせ
f)ジェランガムと酸の組み合わせ
g)ロ−カストビンガムとキサンタンガムの組み合せ
このような組み合わせは、複数の組み合わせを同時に使用しても良い。
【0164】
これらのゲル化促進剤は、ゲル化剤を添加する同一層に添加してもかまわないが、異なる層に添加して作用させることが好ましい。より好ましくは、ゲル化剤を添加する層と直接隣接層しない層に添加することが好ましい。即ち、ゲル化剤を含有する層とゲル化促進剤を含有する層との間にゲル化剤もゲル化促進剤のいずれも含有しない層を有することがより好ましい。
【0165】
ゲル化促進剤は、ゲル化剤に対して0.1質量%〜200質量%、好ましくは1.0質量%〜100質量%用いるのが好ましい。
【0166】
1−5.非感光性層の各種添加剤
本発明の非感光性層には、マット剤、硬膜剤、フッ素系界面活性剤、つや消し剤、フィルター染料などの各種添加剤を含有してもよいが、これら各種添加剤については、他の層とも共通するので詳細な説明は後述する。
【0167】
マット剤を含有する層としては、最外層の非感光性層が最適であるが、場合により最外層より支持体に近い側のいずれかの層に添加することもできる。最外層を含んで表面保護層は必要に応じて2層以上にすることができ、現像に関与する添加剤、膜面pH調節剤、帯電調整剤、紫外線吸収剤、滑り剤や、界面活性剤などを複数の層に分散して添加することにより、塗布性などの製造に際して好ましい特性と画質性能とが両立できるように設計することができる。
【0168】
1−6.有機銀塩
1)組成
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀イオン供給体として機能し、銀画像を形成せしめる銀塩である。有機銀塩は還元剤により還元されうる銀イオンを供給できる任意の有機物質であってよい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10−62899号の段落番号0048〜0049、欧州特許公開第0803764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号等に記載されている。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。脂肪酸銀塩の好ましい例としては、リグノセリン酸銀、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、エルカ酸銀およびこれらの混合物などを含む。本発明においては、これら脂肪酸銀の中でも、ベヘン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上100モル%以下、より好ましくは90モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは95モル%以上100モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。更に、エルカ酸含有率が2モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.1モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。
【0169】
2)形状
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよい。
【0170】
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
【0171】
3)調製
本発明に用いられる有機酸銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば上記の特開平10−62899号、欧州特許公開第0803763A1、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号、同2001−163889号、同2001−163890号、同2001−163827号、同2001−33907号、同2001−188313号、同2001−83652号、同2002−6442、同2002−49117号、同2002−31870号、同2002−107868号等を参考にすることができる。
【0172】
なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本発明では、分散される水分散液中での感光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1molに対し1mol%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1mol%以下であり、さらに好ましいのは積極的な感光性銀塩の添加を行わないものである。
【0173】
本発明において有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液を混合して感光材料を製造することが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1〜30モル%の範囲が好ましく、更に2〜20モル%、特に3〜15モル%の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
【0174】
4)添加量
本発明の有機銀塩は所望の量で使用できるが、ハロゲン化銀も含めた全塗布銀量として0.1〜5.0g/mが好ましく、より好ましくは0.3〜3.0g/m、さらに好ましくは0.5〜2.0g/mである。特に、画像保存性を向上させるためには、全塗布銀量が1.8g/m以下、より好ましくは1.6g/m以下であることが好ましい。
【0175】
1−7.還元剤
本発明の熱現像感光材料には有機銀塩のための還元剤である熱現像剤を含むことが好ましい。有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質(好ましくは有機物質)であってよい。このような還元剤の例は、特開平11−65021号の段落番号0043〜0045や、欧州特許公開第0803764A1号の第7ページ第34行〜第18ページ第12行に記載されている。
本発明において、還元剤としてはフェノール性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダードフェノール系還元剤あるいはビスフェノール系還元剤が好ましく、下記一般式(R)で表される化合物がより好ましい。
一般式(R)
【0176】
【化27】
Figure 2005049371
【0177】
(一般式(R)において、R11およびR11’は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12およびR12’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。XおよびX’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。)
【0178】
一般式(R)について詳細に説明する。
1)R11およびR11
11およびR11’は各々独立に置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基、ハロゲン原子等があげられる。
【0179】
2)R12およびR12’、XおよびX
12およびR12’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基であり、XおよびX’も各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルアミノ基があげられる。
【0180】
3)L
Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。R13の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基などがあげられる。 アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基などがあげられる。
【0181】
4)好ましい置換基
11およびR11’として好ましくは炭素数3〜15の2級または3級のアルキル基であり、具体的にはイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロプロピル基などがあげられる。R11およびR11’としてより好ましくは炭素数4〜12の3級アルキル基で、その中でもt−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
【0182】
12およびR12’として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基などがあげられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基である。
およびX’は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基で、より好ましくは水素原子である。
【0183】
Lは好ましくは−CHR13−基である。
13として好ましくは水素原子または炭素数1〜15のアルキル基であり、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基が好ましい。R13として特に好ましいのは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基またはイソプロピル基である。
【0184】
13が水素原子である場合、R12およびR12’は好ましくは炭素数2〜5のアルキル基であり、エチル基、プロピル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。
13が炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基である場合、R12およびR12’はメチル基が好ましい。R13の炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基が更に好ましい。
11、R11’、R12およびR12’がいずれもメチル基である場合には、R13は2級のアルキル基であることが好ましい。この場合R13の2級アルキル基としてはイソプロピル基、イソブチル基、1−エチルペンチル基が好ましく、イソプロピル基がより好ましい。
上記還元剤はR11、R11’、R12、R12’およびR13の組み合わせにより、熱現像性、現像銀色調などが異なる。2種以上の還元剤を組み合わせることでこれらを調整することができるため、目的によっては2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
【0185】
以下に本発明の一般式(R)で表される化合物をはじめとする本発明の還元剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0186】
【化28】
Figure 2005049371
【0187】
【化29】
Figure 2005049371
【0188】
【化30】
Figure 2005049371
【0189】
上記以外の本発明の好ましい還元剤の例は特開2001−188314号、同2001−209145号、同2001−350235号、同2002−156727号に記載された化合物である。
本発明において還元剤の添加量は0.1〜3.0g/mであることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5g/mで、さらに好ましくは0.3〜1.0g/mである。画像形成層を有する面の銀1モルに対しては5〜50モル%含まれることが好ましく、より好ましくは8〜30モル%であり、10〜20モル%で含まれることがさらに好ましい。還元剤は画像形成層に含有させることが好ましい。
【0190】
還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
【0191】
また、固体微粒子分散法としては、還元剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作成する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
特に好ましいのは、還元剤の固体粒子分散法であり、平均粒子サイズ0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.1μm〜2μmの微粒子して添加するのが好ましい。本願においては他の固体分散物もこの範囲の粒子サイズに分散して用いるのが好ましい。
【0192】
1−8.現像促進剤
本発明の熱現像感光材料は、現像促進剤を含有するのが好ましい。本発明に用いられる現像促進剤としては、特開2000−267222号明細書や特開2000−330234号明細書等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開平2001−92075記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10−62895号明細書や特開平11−15116号明細書等に記載の一般式(I)、特開2002−156727号の一般式(D)や特願2001−074278号明細書に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物、特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物が好ましく用いられる。これらの現像促進剤は還元剤に対して0.1〜20モル%の範囲で使用され、好ましくは0.5〜10モル%の範囲で、より好ましくは1〜5モル%の範囲である。感材への導入方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物または乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の補助溶剤を使用して分散した乳化分散物として添加するか、もしくは高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
本発明においては上記現像促進剤の中でも、特開2002−156727号明細書に記載の一般式(D)で表されるヒドラジン系の化合物および特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物がより好ましい。
【0193】
本発明の特に好ましい現像促進剤は下記一般式(A−1)および(A−2)で表される化合物である。
一般式(A−1)
Q1−NHNH−Q2
(式中、Q1は炭素原子で−NHNH−Q2と結合する芳香族基、またはヘテロ環基を表し、Q2はカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基、またはスルファモイル基を表す。)
【0194】
一般式(A−1)において、Q1で表される芳香族基またはヘテロ環基としては5〜7員の不飽和環が好ましい。好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、1,3,5−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、チオフェン環などが好ましく、さらにこれらの環が互いに縮合した縮合環も好ましい。
【0195】
これらの環は置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、およびアシル基を挙げることができる。これらの置換基が置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、およびアシルオキシ基を挙げることができる。
【0196】
Q2で表されるカルバモイル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のカルバモイル基であり、例えば、無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−sec−ブチルカルバモイル、N−オクチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−tert−ブチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、N−{3−(2,4−tert−ペンチルフェノキシ)プロピル}カルバモイル、N−(2−ヘキシルデシル)カルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)カルバモイル、N−ナフチルカルバモイル、N−3−ピリジルカルバモイル、N−ベンジルカルバモイルが挙げられる。
【0197】
Q2で表されるアシル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアシル基であり、例えば、ホルミル、アセチル、2−メチルプロパノイル、シクロヘキシルカルボニル、オクタノイル、2−ヘキシルデカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−ドデシルオキシベンゾイル、2−ヒドロキシメチルベンゾイルが挙げられる。Q2で表されるアルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルが挙げられる。
【0198】
Q2で表されるアリールオキシカルボニル基は、好ましくは炭素数7〜50、より好ましくは炭素数7〜40のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、4−オクチルオキシフェノキシカルボニル、2−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニル、4−ドデシルオキシフェノキシカルボニルが挙げられる。Q2で表されるスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、ブチルスルホニル、オクチルスルホニル、2−ヘキサデシルスルホニル、3−ドデシルオキシプロピルスルホニル、2−オクチルオキシ−5−tert−オクチルフェニルスルホニル、4−ドデシルオキシフェニルスルホニルが挙げられる。
【0199】
Q2で表されるスルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルファモイル基で、例えば、無置換スルファモイル、N−エチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル、N−デシルスルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル、N−{3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル}スルファモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)スルファモイル、N−(2−テトラデシルオキシフェニル)スルファモイルが挙げられる。Q2で表される基は、さらに、置換可能な位置に前記のQ1で表される5〜7員の不飽和環の置換基の例として挙げた基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それ等の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0200】
次に、式(A−1)で表される化合物の好ましい範囲について述べる。Q1としては5〜6員の不飽和環が好ましく、ベンゼン環、ピリミジン環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、およびこれらの環がベンゼン環もしくは不飽和ヘテロ環と縮合した環が更に好ましい。また、Q2はカルバモイル基が好ましく、特に窒素原子上に水素原子を有するカルバモイル基が好ましい。
【0201】
一般式(A−2)
【0202】
【化31】
Figure 2005049371
【0203】
一般式(A−2)においてRはアルキル基、アシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、炭酸エステル基を表す。R、Rはそれぞれ一般式(A−1)の置換基例で挙げたベンゼン環に置換可能な基を表す。RとRは互いに連結して縮合環を形成してもよい。
は好ましくは炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基など)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基、4−シアノフェニルウレイド基など)、カルバモイル基(n−ブチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、2−クロロフェニルカルバモイル基、2,4−ジクロロフェニルカルバモイル基など)でアシルアミノ基(ウレイド基、ウレタン基を含む)がより好ましい。
は好ましくはハロゲン原子(より好ましくは塩素原子、臭素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ナフトキシ基など)である。
は好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基であり、ハロゲン原子がもっとも好ましい。Rは水素原子、アルキル基、アシルアミノ基が好ましく、アルキル基またはアシルアミノ基がより好ましい。これらの好ましい置換基の例はRと同様である。Rがアシルアミノ基である場合RはRと連結してカルボスチリル環を形成することも好ましい。
【0204】
一般式(A−2)においてRとRが互いに連結して縮合環を形成する場合、縮合環としてはナフタレン環が特に好ましい。ナフタレン環には一般式(A−1)で挙げた置換基例と同じ置換基が結合していてもよい。一般式(A−2)がナフトール系の化合物であるとき、Rはカルバモイル基であることが好ましい。その中でもベンゾイル基であることが特に好ましい。Rはアルコキシ基、アリールオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
【0205】
以下、本発明の現像促進剤の好ましい具体例を挙げる。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0206】
【化32】
Figure 2005049371
【0207】
1−9.水素結合性化合物
本発明における還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)またはアミノ基(−NHR、Rは水素原子またはアルキル基)を有する場合、特に前述のビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
水酸基またはアミノ基と水素結合を形成する基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物は下記一般式(D)で表される化合物である。
【0208】
一般式(D)
【化33】
Figure 2005049371
【0209】
一般式(D)においてR21ないしR23は各々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
21ないしR23が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基などがあげられ、置換基として好ましいのはアルキル基またはアリール基でたとえばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、4−アシルオキシフェニル基などがあげられる。
21ないしR23のアルキル基としては具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2−フェノキシプロピル基などがあげられる。
アリール基としてはフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としてはフェノキシ基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
【0210】
21ないしR23としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。本発明の効果の点ではR21ないしR23のうち少なくとも一つ以上がアルキル基またはアリール基であることが好ましく、二つ以上がアルキル基またはアリール基であることがより好ましい。また、安価に入手する事ができるという点ではR21ないしR23が同一の基である場合が好ましい。
以下に本発明における一般式(D)の化合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0211】
【化34】
Figure 2005049371
【0212】
【化35】
Figure 2005049371
【0213】
水素結合性化合物の具体例は上述の他に欧州特許1096310号明細書、特開2002−156727号、特願2001−124796号に記載のものがあげられる。
本発明の一般式(D)の化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、感光材料中で使用することができるが、固体分散物として使用することが好ましい。本発明の化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基、アミノ基を有する化合物と水素結合性の錯体を形成しており、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。
このようにして単離した結晶粉体を固体分散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物を粉体で混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
本発明の一般式(D)の化合物は還元剤に対して、1〜200モル%の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10〜150モル%の範囲で、さらに好ましくは20〜100モル%の範囲である。
【0214】
1−10.感光性ハロゲン化銀
1)ハロゲン組成
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀を用いることができる。その中でも臭化銀、ヨウ臭化銀およびヨウ化銀が好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀、臭化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀やヨウ化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
【0215】
2)粒子形成方法
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開平11−119374号公報の段落番号0217〜0224に記載されている方法、特開平11−352627、特開2000−347335号記載の方法も好ましい。
【0216】
3)粒子サイズ
感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
【0217】
4)粒子形状
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い[100]面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数[100]面の比率は増感色素の吸着における[111]面と[100]面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
【0218】
5)重金属
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第1〜18族までを示す)の第8族〜第10族の金属または金属錯体を含有することができる。周期律表の第8族〜第10族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくは、ロジウム、ルテニウム、イリジウムである。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10−9モルから1×10−3モルの範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法については特開平7−225449号、特開平11−65021号段落番号0018〜0024、特開平11−119374号段落番号0227〜0240に記載されている。
【0219】
本発明においては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)4−、[Fe(CN)3−、[Ru(CN)4−、[Os(CN)4−、[Co(CN)3−、[Rh(CN)3−、[Ir (CN)3−、[Cr(CN)3−、[Re(CN)3−などが挙げられる。本発明においては六シアノFe錯体が好ましい。
【0220】
六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合しているナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン)を用いることが好ましい。
【0221】
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
【0222】
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10−5モル以上1×10−2モル以下が好ましく、より好ましくは1×10−4モル以上1×10−3モル以下である。
【0223】
六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セレン増感およびテルル増感のカルコゲン増感や金増感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終了前、水洗工程中、分散工程中、または化学増感工程前に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好ましい。
【0224】
尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加した後から開始してもよく、98質量%添加した後から開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特に好ましい。
【0225】
これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほとんどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。この六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可能となった。
【0226】
さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)4−)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法については特開平11−84574号段落番号0046〜0050、特開平11−65021号段落番号0025〜0031、特開平11−119374号段落番号0242〜0250に記載されている。
【0227】
6)ゼラチン
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持することが必要であり、分子量は、10,000〜1,000,000のゼラチンを使用することが好ましい。また、ゼラチンの置換基をフタル化処理することも好ましい。これらのゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、粒子形成時に使用することが好ましい。
【0228】
7)増感色素
本発明に適用できる増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。増感色素及び添加法については、特開平11−65021号の段落番号0103〜0109、特開平10−186572号一般式(II)で表される化合物、特開平11−119374号の一般式(I) で表される色素及び段落番号0106、米国特許第5,510,236号、同第3,871,887号実施例5に記載の色素、特開平2−96131号、特開昭59−48753号に開示されている色素、欧州特許公開第0803764A1号の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特開2001−272747号、特開2001−290238号、特開2002−23306号等に記載されている。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。本発明において増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、脱塩工程後、塗布までの時期が好ましく、より好ましくは脱塩後から化学熟成が終了する前までの時期である。
本発明における増感色素の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量にすることができるが、感光性層のハロゲン化銀1モル当たり10−6〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10−4〜10−1モルである。
【0229】
本発明は分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。
本発明に用いる強色増感剤としては、欧州特許公開第587,338号、米国特許第3,877,943号、同第4,873,184号、特開平5−341432号、同11−109547号、同10−111543号等に記載の化合物が挙げられる。
【0230】
8)化学増感
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、硫黄増感法、セレン増感法もしくはテルル増感法にて化学増感されていることが好ましい。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物、例えば、特開平7−128768号等に記載の化合物等を使用することができる。特に本発明においてはテルル増感が好ましく、特開平11−65021号段落番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5−313284号中の一般式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好ましい。
【0231】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、上記カルコゲン増感と組み合わせて、あるいは単独で金増感法にて化学増感されていることが好ましい。金増感剤としては、金の価数が+1価または+3価が好ましく、金増感剤としては通常用いられる金化合物が好ましい。代表的な例としては塩化金酸、臭化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムブロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴールドなどが好ましい。また、米国特許第5858637号、特願2001−79450号に記載の金増感剤も好ましく用いられる。
【0232】
本発明においては、化学増感は粒子形成後で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。
本発明で用いられる硫黄、セレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10−8〜10−2モル、好ましくは10−7〜10−3モル程度を用いる。
金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10−7モルから10−3モル、より好ましくは10−6モル〜5×10−4モルである。
本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、温度としては40〜95℃程度である。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,917号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0233】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、還元剤を用いることが好ましい。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素が好ましく、その他に塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが好ましい。還元増感剤の添加は、結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でも良い。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することが好ましく、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することも好ましい。
【0234】
9)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物
本発明の熱現像感光材料は、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物を含有することが好ましい。該化合物は、単独、あるいは前記の種々の化学増感剤と併用して用いられ、ハロゲン化銀の感度増加をもたらすことができる。
【0235】
本発明の熱現像感光材料に含有される1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、以下のタイプ1およびタイプ2の化合物が好ましい。
【0236】
(タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を経た後に、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
【0237】
まずタイプ1の化合物について説明する。
タイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子を放出し得る化合物としては、特開平9−211769号(具体例:28〜32頁の表E及び表Fに記載の化合物PMT−1〜S−37)、特開平9−211774号、特開平11−95355号(具体例:化合物INV1〜36)、特表2001−500996号(具体例:化合物1〜74、80〜87、92〜122)、米国特許5,747,235号、米国特許5,747,236号、欧州特許786692A1号(具体例:化合物INV1〜35)、欧州特許893732A1号、米国特許6,054,260号、米国特許5,994,051号などの特許に記載の「1光子2電子増感剤」又は「脱プロトン化電子供与増感剤」と称される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
【0238】
またタイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(1)(特開平2003−114487号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(2)(特開平2003−114487号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(3)(特開平2003−114488号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(4)(特開平2003−114488号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(5)(特開平2003−114488号に記載の一般式(3)と同義)、一般式(6)(特開平2003−75950号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(7)(特開平2003−75950号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(8)(特願平2003−25886号に記載の一般式(1)と同義)、又は化学反応式(1)(特願平2003−33446号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物のうち一般式(9)(特願平2003−33446号に記載の一般式(3)と同義)で表される化合物が挙げられる。またこれらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
【0239】
【化36】
Figure 2005049371
【0240】
一般式(1)及び(2)中、RED、REDは還元性基を表す。Rは、炭素原子(C)とREDとともに、5員若しくは6員の芳香族環(芳香族複素環を含む)のテトラヒドロ体、又はオクタヒドロ体に相当する環状構造を形成しうる非金属原子団を表す。R、R、Rは、各々独立に水素原子又は置換基を表す。Lv、Lvは脱離基を表す。EDは電子供与性基を表す。
【0241】
【化37】
Figure 2005049371
【0242】
一般式(3)、(4)及び(5)中、Zは、窒素原子とベンゼン環の2つの炭素原子とともに6員環を形成しうる原子団を表す。R、R、R、R、R10、R11、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。R20は、水素原子又は置換基を表すが、R20がアリール基以外の基を表すとき、R16、R17は互いに結合して芳香族環を形成する。R、R12は、各々独立にベンゼン環に置換可能な置換基を表し、m1、m2は、各々独立に0〜3の整数を表す。Lv、Lv、Lvは、脱離基を表す。
【0243】
【化38】
Figure 2005049371
【0244】
一般式(6)及び(7)中、RED、REDは、還元性基を表す。R21〜R30は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。Zは、−CR111112−、−NR113−、又は−O−を表す。R111、R112は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。R113は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
【0245】
【化39】
Figure 2005049371
【0246】
一般式(8)中、REDは、アリールアミノ基又はヘテロ環アミノ基を表す。R31は、水素原子又は置換基を表す。Xは、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。Lvは、カルボキシ基若しくはその塩、又は水素原子を表す。
【0247】
【化40】
Figure 2005049371
【0248】
化学反応式(1)中、R32、R33は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。Zは、C=Cとともに5員のヘテロ環を形成する基を表す。Zは、C=Cとともに5員又は6員のアリール基又はヘテロ環基を形成する基を表す。Mは、ラジカル、ラジカルカチオン、又はカチオンを表す。一般式(9)中、R32、R33、Zは、化学反応式(1)中のものと同義である。Zは、C−Cとともに5員又は6員の環状脂肪族炭化水素基又はヘテロ環基を形成する基を表す。
【0249】
次にタイプ2の化合物について説明する。
タイプ2の化合物で1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を伴って、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(10)(特開平2003−140287号に記載の一般式(1)と同義)、化学反応式(1)(特願平2003−33446号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物であって一般式(11)(特願平2003−33446号に記載の一般式(2)と同義)で表される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
【0250】
【化41】
Figure 2005049371
【0251】
一般式(10)中、REDは、1電子酸化される還元性基をあらわす。Yは、REDが1電子酸化されて生成する1電子酸化体と反応して、新たな結合を形成しうる炭素−炭素2重結合部位、炭素−炭素3重結合部位、芳香族基部位、又はベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環部位を含む反応性基を表す。Qは、REDとYを連結する連結基を表す。
【0252】
【化42】
Figure 2005049371
【0253】
化学反応式(1)中、R32、R33は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。Zは、C=Cとともに5員のヘテロ環を形成する基を表す。Zは、C=Cとともに5員又は6員のアリール基又はヘテロ環基を形成する基を表す。Mは、ラジカル、ラジカルカチオン、又はカチオンを表す。一般式(11)中、R32、R33、Z、Zは、化学反応式(1)中のものと同義である。
【0254】
タイプ1、2の化合物のうち好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、又は「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。ハロゲン化銀への吸着性基とは特開平2003−156823号明細書の16頁右1行目〜17頁右12行目に記載の基が代表的なものである。分光増感色素の部分構造とは同明細書の17頁右34行目〜18頁左6行目に記載の構造である。
【0255】
タイプ1、2の化合物として、より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を少なくとも1つ有する化合物」である。さらに好ましくは「同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物」である。吸着性基が単一分子内に2個以上存在する場合には、それらの吸着性基は同一であっても異なっても良い。
【0256】
吸着性基として好ましくは、メルカプト置換含窒素ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)である。特に好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、及びベンゾトリアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、及び5−メルカプトテトラゾール基である。
【0257】
吸着性基として、分子内に2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する場合もまた特に好ましい。ここにメルカプト基(−SH)は、互変異性化できる場合にはチオン基となっていてもよい。2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素テロ環基など)の好ましい例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基が挙げられる。
【0258】
また窒素又はリンの4級塩構造も吸着性基として好ましく用いられる。窒素の4級塩構造としては具体的にはアンモニオ基(トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリール(又はヘテロアリール)アンモニオ基、アルキルジアリール(又はヘテロアリール)アンモニオ基など)又は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。リンの4級塩構造としては、フォスフォニオ基(トリアルキルフォスフォニオ基、ジアルキルアリール(又はヘテロアリール)フォスフォニオ基、アルキルジアリール(又はヘテロアリール)フォスフォニオ基、トリアリール(又はヘテロアリール)フォスフォニオ基など)が挙げられる。より好ましくは窒素の4級塩構造が用いられ、さらに好ましくは4級化された窒素原子を含む5員環あるいは6員環の含窒素芳香族ヘテロ環基が用いられる。特に好ましくはピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基が用いられる。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよい。
【0259】
4級塩の対アニオンの例としては、ハロゲンイオン、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、BF 、PF 、Ph等が挙げられる。分子内にカルボキシレート基等に負電荷を有する基が存在する場合には、それとともに分子内塩を形成していても良い。分子内にない対アニオンとしては、塩素イオン、ブロモイオン又はメタンスルホネートイオンが特に好ましい。
【0260】
吸着性基として窒素又はリンの4級塩構造有するタイプ1、2で表される化合物の好ましい構造は一般式(X)で表される。
一般式(X): (P−Q−)−R(−Q −S)
【0261】
一般式(X)においてP、Rは、それぞれ独立して増感色素の部分構造ではない窒素又はリンの4級塩構造を表す。Q、Qは、それぞれ独立して連結基を表し、具体的には単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NR−、−C(=O)−、−SO−、−SO−、−P(=O)−の各基の単独、又はこれらの基の組み合わせからなる基を表す。ここにRは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。Sは、タイプ(1)又は(2)で表される化合物から原子を一つ取り除いた残基である。iとjは、1以上の整数であり、i+jが2〜6になる範囲から選ばれるものである。好ましくはiが、1〜3、jが、1〜2の場合であり、より好ましくはiが1又は2、jが1の場合であり、特に好ましくはiが1、jが1の場合である。一般式(X)で表される化合物はその総炭素数が10〜100の範囲のものが好ましい。より好ましくは10〜70、さらに好ましくは11〜60であり、特に好ましくは12〜50である。
【0262】
以下にタイプ1、タイプ2で表される化合物の具体例を列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0263】
【化43】
Figure 2005049371
【0264】
【化44】
Figure 2005049371
【0265】
【化45】
Figure 2005049371
【0266】
【化46】
Figure 2005049371
【0267】
【化47】
Figure 2005049371
【0268】
本発明にかかるタイプ1および2の化合物は乳剤調製時、感材製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することもできる。添加位置として好ましくは、粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時、塗布前である。
【0269】
本発明にかかるタイプ1および2の化合物は水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高く又は低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高く又は低くして溶解し、これを添加しても良い。
【0270】
本発明にかかるタイプ1および2の化合物は画像形成層中に使用するのが好ましいが、画像形成層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。本発明にかかる化合物の添加時期は増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10−9モル以上5×10−2モル以下、更に好ましくは1×10−8モル以上2×10−3モル以下の割合で画像形成層に含有する。
【0271】
10)感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合
別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。また、混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法である。
【0272】
11)ハロゲン化銀の塗布液への混合
本発明のハロゲン化銀の画像形成層塗布液中への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳“液体混合技術”(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
【0273】
1−11.画像形成層のバインダー
本発明の画像形成層のバインダーはいかなるポリマーを使用してもよく、好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
【0274】
本発明では、画像形成層に用いられるバインダーのガラス転移温度は0℃以上80℃以下である(以下、高Tgバインダーということあり)ことが好ましく、10℃〜70℃であることがより好ましく、15℃以上60℃以下であることが更に好ましい。
【0275】
なお、本明細書においてTgは下記の式で計算した。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、 Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用した。
【0276】
バインダーは必要に応じて2種以上を併用しても良い。また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その重量平均Tgが上記の範囲にはいることが好ましい。
【0277】
本発明においては、画像形成層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布、乾燥して被膜を形成させることが好ましい。
本発明においては、画像形成層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾燥して形成される場合に、さらに画像形成層のバインダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶または分散可能である場合に、特に25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。最も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製されたものであり、このような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法が挙げられる。
【0278】
ここでいう前記ポリマーが可溶または分散可能である水系溶媒とは、水または水に70質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したものである。水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミドなどを挙げることができる。
【0279】
なお、ポリマーが熱力学的に溶解しておらず、いわゆる分散状態で存在している系の場合にも、ここでは水系溶媒という言葉を使用する。
【0280】
また「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの重量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの重量W0を用いて以下のように表すことができる。
25℃60%RHにおける平衡含水率=[(W1−W0)/W0]×100(質量%)
【0281】
含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
【0282】
本発明のバインダーポリマーの25℃60%RHにおける平衡含水率は2質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1質量%以下が望ましい。
【0283】
本発明においては水系溶媒に分散可能なポリマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分散しているものなどいずれでもよいが、ラテックス分散した粒子がより好ましい。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、好ましくは5〜1000nmの範囲で、より好ましくは10〜500nmの範囲、さらに好ましくは50〜200nmの範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
【0284】
本発明において水系溶媒に分散可能なポリマーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜200000がよい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。また、架橋性のポリマーラ ッテクスは特に好ましく使用される。
【0285】
(ラテックスの具体例)
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
【0286】
P−1;−MMA(70)−EA(27)−MAA(3)−のラテックス(分子量37000、Tg61℃)
P−2;−MMA(70)−2EHA(20)−St(5)−AA(5)−のラテックス(分子量40000、Tg59℃)
P−3;−St(50)−Bu(47)−MAA(3)−のラテックス(架橋性、Tg−17℃)
P−4;−St(68)−Bu(29)−AA(3)−のラテックス(架橋性、Tg17℃)
P−5;−St(71)−Bu(26)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg24℃)
P−6;−St(70)−Bu(27)−IA(3)−のラテックス(架橋性)
P−7;−St(75)−Bu(24)−AA(1)−のラテックス(架橋性、Tg29℃)
P−8;−St(60)−Bu(35)−DVB(3)−MAA(2)−のラテックス(架橋性)
P−9;−St(70)−Bu(25)−DVB(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性)
P−10;−VC(50)−MMA(20)−EA(20)−AN(5)−AA(5)−のラテックス(分子量80000)
P−11;−VDC(85)−MMA(5)−EA(5)−MAA(5)−のラテックス(分子量67000)
P−12;−Et(90)−MAA(10)−のラテックス(分子量12000)
P−13;−St(70)−2EHA(27)−AA(3)のラテックス(分子量130000、Tg43℃)
P−14;−MMA(63)−EA(35)− AA(2)のラテックス(分子量33000、Tg47℃)
P−15;−St(70.5)−Bu(26.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg23℃)
P−16;−St(69.5)−Bu(27.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg20.5℃)
【0287】
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート,EA ;エチルアクリレート、MAA;メタクリル酸,2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート,St;スチレン,Bu;ブタジエン,AA;アクリル酸,DVB;ジビニルベンゼン,VC;塩化ビニル,AN;アクリロニトリル,VDC;塩化ビニリデン,Et;エチレン,IA;イタコン酸。
【0288】
以上に記載したポリマーラテックスは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA−4635,4718,4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以 上大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上旭化成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。
【0289】
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
【0290】
(好ましいラテックス)
本発明に用いられるポリマーラテックスとしては、特に、スチレン−ブタジエン共重合体のラテックスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体におけるスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との重量比は40:60〜95:5であることが好ましい。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との共重合体に占める割合は60〜99質量%であることが好ましい。また、本発明のポリマーラッテクスはアクリル酸またはメタクリル酸をスチレンとブタジエンの和に対して1〜6質量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜5質量%含有する。本発明のポリマーラテックスはアクリル酸を含有することが好ましい。好ましい分子量の範囲は前記と同様である。
【0291】
本発明に用いることが好ましいスチレン−ブタジエン酸共重合体のラテックスとしては、前記のP−3〜P−8,15、市販品であるLACSTAR−3307B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられる。
【0292】
本発明の感光材料の有機銀塩含有層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は有機銀塩含有層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
【0293】
本発明の有機銀塩含有層(即ち、画像形成層)は、ポリマーラテックスを用いて形成されたものが好ましい。有機銀塩含有層のバインダーの量は、全バインダー/有機銀塩の重量比が1/10〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1の範囲、さらに好ましくは1/1〜3/1の範囲である。
【0294】
また、このような画像形成層は、通常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された感光性層でもあり、このような場合の、全バインダー/ハロゲン化銀の重量比は400〜5、より好ましくは200〜10の範囲である。
【0295】
本発明の画像形成層の全バインダー量は好ましくは0.2〜30g/m、より好ましくは1〜15g/m、さらに好ましくは2〜10g/mの範囲である。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
(好ましい塗布液の溶媒)
【0296】
本発明において感光材料の画像形成層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよい。塗布液の溶媒の水含有率は50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が好ましい。好ましい溶媒組成の例を挙げると、水の他、水/メチルアルコール=90/10、水/メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質量%)。
【0297】
1−12.かぶり防止剤
本発明に用いることのできるカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は特開平10−62899号の段落番号0070、欧州特許公開第0803764A1号の第20頁第57行〜第21頁第7行に記載の特許のもの、特開平9−281637号、同9−329864号記載の化合物、米国特許6,083,681号、同6,083,681号、欧州特許1048975号に記載の化合物が挙げられる。また、本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤は有機ハロゲン化物であり、これらについては、特開平11−65021号の段落番号0111〜0112に記載の特許に開示されているものが挙げられる。特に特開2000−284399号の式(P)で表される有機ハロゲン化合物、特開平10−339934号の一般式(II)で表される有機ポリハロゲン化合物、特開2001−31644号および特開2001−33911号に記載の有機ポリハロゲン化合物が好ましい。
【0298】
1)有機ポリハロゲン化合物
以下、本発明で好ましい有機ポリハロゲン化合物について具体的に説明する。本発明の好ましいポリハロゲン化合物は下記一般式(H)で表される化合物である。
一般式(H)
Q−(Y)n−C(Z)(Z)X
一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0または1を表し、ZおよびZはハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電子求引性基を表す。
一般式(H)においてQは好ましくはアリール基またはヘテロ環基である。
一般式(H)において、Qがヘテロ環基である場合、窒素原子を1ないし2含有する含窒素ヘテロ環基が好ましく、2−ピリジル基、2−キノリル基が特に好ましい。
一般式(H)において、Qがアリール基である場合、Qは好ましくはハメットの置換基定数σpが正の値をとる電子求引性基で置換されたフェニル基を表す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216 等を参考にすることができる。このような電子求引性基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43))、アルキニル基(例えば、C≡CH(σp値:0.23))、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.44))、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)、スルホキシド基、ヘテロ環基、ホスホリル基等があげられる。σp値としては好ましくは0.2〜2.0の範囲で、より好ましくは0.4から1.0の範囲である。電子求引性基として特に好ましいのは、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルホスホリル基で、なかでもカルバモイル基が最も好ましい。
Xは、好ましくは電子求引性基であり、より好ましくはハロゲン原子、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−または−SO −を表し、より好ましくは−C(=O)−、−SO −であり、特に好ましくは−SO −である。nは、0または1を表し、好ましくは1である。
【0299】
以下に本発明の一般式(H)の化合物の具体例を示す。
【0300】
【化48】
Figure 2005049371
【0301】
【化49】
Figure 2005049371
【0302】
上記以外の本発明の好ましいポリハロゲン化合物としては特開2001−31644号、同2001−56526号、同2001−209145号に記載の化合物が挙げられる。
本発明の一般式(H)で表される化合物は画像形成層の非感光性銀塩1モルあたり、10−4〜1モルの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10−3〜0.5モルの範囲で、さらに好ましくは1×10−2〜0.2モルの範囲で使用することが好ましい。
本発明において、カブリ防止剤を感光材料に含有せしめる方法としては、前記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げられ、有機ポリハロゲン化合物についても固体微粒子分散物で添加することが好ましい。
【0303】
2)その他のかぶり防止剤
その他のカブリ防止剤としては特開平11−65021号段落番号0113の水銀(II)塩、同号段落番号0114の安息香酸類、特開2000−206642号のサリチル酸誘導体、特開2000−221634号の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合物、特開平11−352624号の請求項9に係るトリアジン化合物、特開平6−11791号の一般式(III)で表される化合物、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン等が挙げられる。
【0304】
本発明における熱現像感光材料はカブリ防止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。アゾリウム塩としては、特開昭59−193447号記載の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−12581号記載の化合物、特開昭60−153039号記載の一般式(II)で表される化合物が挙げられる。アゾリウム塩は感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては感光性層を有する面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加することがさらに好ましい。アゾリウム塩の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。本発明においてアゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり1×10−6モル以上2モル以下が好ましく、1×10−3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
【0305】
1−13.その他の添加剤
1)メルカプト、ジスルフィド、およびチオン類
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができ、特開平10−62899号の段落番号0067〜0069、特開平10−186572号の一般式(I)で表される化合物及びその具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1号の第20ページ第36〜56行に記載されている。その中でも特開平9−297367号、特開平9−304875号、特開2001−100358号、特願2001−104213号、特願2001−104214等に記載されているメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
【0306】
2)色調剤
本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開平10−62899号の段落番号0054〜0055、欧州特許公開第0803764A1号の第21ページ第23〜48行、特開2000−356317号や特開2000−187298号に記載されており、特に、フタラジノン類(フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウムおよびテトラクロロ無水フタル酸)との組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチルフラタジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジンおよび2,3−ジヒドロフタラジン);フタラジン類とフタル酸類との組合せが好ましく、特にフタラジン類とフタル酸類の組合せが好ましい。そのなかでも特に好ましい組み合わせは6−イソプロピルフタラジンとフタル酸または4−メチルフタル酸との組み合わせである。
【0307】
3)可塑剤、潤滑剤
本発明の感光性層に用いることのできる可塑剤および潤滑剤については特開平11−65021号段落番号0117に記載されている。滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特願平11−106881号段落番号0049〜0062記載されている。
【0308】
4)染料、顔料
本発明の感光性層には色調改良、レーザー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料(例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue64、C.I.Pigment Blue15:6)を用いることができる。これらについてはWO98/36322号、特開平10−268465号、同11−338098号等に詳細に記載されている。
【0309】
5)超硬調化剤
印刷製版用途に適した超硬調画像形成のためには、画像形成層に超硬調化剤を添加することが好ましい。超硬調化剤やその添加方法及び添加量については、特開平11−65021号公報段落番号0118、特開平11−223898号公報段落番号0136〜0193、特願平11−87297号明細書の式(H)、式(1)〜(3)、式(A)、(B)の化合物、特願平11−91652号明細書記載の一般式(III)〜(V)の化合物(具体的化合物:化21〜化24)、硬調化促進剤については特開平11−65021号公報段落番号0102、特開平11−223898号公報段落番号0194〜0195に記載されている。
【0310】
蟻酸や蟻酸塩を強いかぶらせ物質として用いるには、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を有する側に銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下で含有することが好ましい。
【0311】
本発明の熱現像感光材料で超硬調化剤を用いる場合には五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩を併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがある。
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩の使用量(感光材料1mあたりの塗布量)は感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1〜500mg/mが好ましく、0.5〜100mg/mがより好ましい。
本発明の還元剤、水素結合性化合物、現像促進剤およびポリハロゲン化合物は固体分散物として使用することが好ましく、これらの固体分散物の好ましい製造方法は特開2002−55405号に記載されている。
【0312】
6)塗布液の調製
本発明の画像形成層塗布液の調製温度は30℃以上65℃以下がよく、さらに好ましい温度は35℃以上60℃未満、より好ましい温度は35℃以上55℃以下である。また、ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液の温度が30℃以上65℃以下で維持されることが好ましい。
【0313】
1−14.層構成、およびその他の構成成分
本発明の画像形成層は、支持体上に一またはそれ以上の層で構成される。一層で構成する場合は有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤およびバインダーよりなり、必要により色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望による追加の材料を含む。二層以上で構成する場合は、第1画像形成層(通常は支持体に隣接した層)中に有機銀塩および感光性ハロゲン化銀を含み、第2画像形成層または両層中にいくつかの他の成分を含まなければならない。多色感光性熱現像写真材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載されているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各乳剤層は、一般に、米国特許第4,460,681号に記載されているように、各感光性層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
本発明の熱現像感光材料は、画像形成層に加えて少なくとも1層の非感光性層を有する。非感光性層は、その配置から(a)画像形成層の上(支持体よりも遠い側)に設けられる表面保護層、(b)複数の画像形成層の間や画像形成層と保護層の間に設けられる中間層、(c)画像形成層と支持体との間に設けられる下塗り層、(d)画像形成層の反対側に設けられるバック層に分類できる。
【0314】
また、光学フィルターとして作用する層を設けることができるが、(a)または(b)の層として設けられる。アンチハレーション層は、(c)または(d)の層として感光材料に設けられる。
【0315】
1)表面保護層
本発明における熱現像感光材料は、画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層は単層でもよいし、複数層であってもよい。
本発明においては、表面保護層がそのまま最外層であっても良い。あるいは、表面保護層の上にさらに層を設け、これを最外層としても良い。
表面保護層については、特開平11−65021号段落番号0119〜0120、特開2000−171936号に記載されている。
本発明の表面保護層のバインダーとしてはゼラチンが好ましいがポリビニルアルコール(PVA)を用いる若しくは併用することも好ましい。ゼラチンとしてはイナートゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用することができる。PVAとしては、特開2000−171936号の段落番号0009〜0020に記載のものがあげられ、完全けん化物のPVA−105、部分けん化物のPVA−205,PVA−335、変性ポリビニルアルコールのMP−203(以上、クラレ(株)製の商品名)などが好ましく挙げられる。保護層(1層当たり)のポリビニルアルコール塗布量(支持体1m当たり)としては0.3〜4.0g/mが好ましく、0.3〜2.0g/mがより好ましい。
【0316】
表面保護層(1層当たり)の全バインダー(水溶性ポリマー及びラテックスポリマーを含む)塗布量(支持体1m当たり)としては0.3〜5.0g/mが好ましく、0.3〜2.0g/mがより好ましい。
【0317】
2)アンチハレーション層
本発明の熱現像感光材料においては、アンチハレーション層を感光性層に対して光源から遠い側に設けることができる。
【0318】
アンチハレーション層については特開平11−65021号段落番号0123〜0124、特開平11−223898号、同9−230531号、同10−36695号、同10−104779号、同11−231457号、同11−352625号、同11−352626号等に記載されている。
アンチハレーション層には、露光波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含有する。露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない染料が好ましい。
可視域に吸収を有する染料を用いてハレーション防止を行う場合には、画像形成後には染料の色が実質的に残らないようにすることが好ましく、熱現像の熱により消色する手段を用いることが好ましく、特に非感光性層に熱消色染料と塩基プレカーサーとを添加してアンチハレーション層として機能させることが好ましい。これらの技術については特開平11−231457号等に記載されている。
【0319】
消色染料の添加量は、染料の用途により決定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用する。光学濃度は、0.15〜2であることが好ましく0.2〜1であることがより好ましい。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.001〜1g/m程度である。
【0320】
なお、このように染料を消色すると、熱現像後の光学濃度を0.1以下に低下させることができる。二種類以上の消色染料を、熱消色型記録材料や熱現像感光材料において併用してもよい。同様に、二種類以上の塩基プレカーサーを併用してもよい。
このような消色染料と塩基プレカーサーを用いる熱消色においては、特開平11−352626号に記載のような塩基プレカーサーと混合すると融点を3℃(deg)以上降下させる物質(例えば、ジフェニルスルホン、4−クロロフェニル(フェニル)スルホン)、2−ナフチルベンゾエート等を併用することが熱消色性等の点で好ましい。
【0321】
3)バック層
本発明に適用することのできるバック層については特開平11−65021号段落番号0128〜0130に記載されている。
【0322】
本発明においては、銀色調、画像の経時変化を改良する目的で300〜450nmに吸収極大を有する着色剤を添加することができる。このような着色剤は、特開昭62−210458号、同63−104046号、同63−103235号、同63−208846号、同63−306436号、同63−314535号、特開平01−61745号、特開平2001−100363などに記載されている。このような着色剤は、通常、0.1mg/m〜1g/mの範囲で添加され、添加する層としては画像形成層の反対側に設けられるバック層が好ましい。
また、ベース色調を調整するために580〜680nmに吸収ピークを有する染料を使用することが好ましい。この目的の染料としては短波長側の吸収強度が小さい特開平4−359967、同4−359968記載のアゾメチン系の油溶性染料、特願2002−96797号記載のフタロシアニン系の水溶性染料が好ましい。この目的の染料はいずれの層に添加してもよいが、画像形成層側の非感光層またはバック面側に添加することがより好ましい。
【0323】
本発明における熱現像感光材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む画像形成層を有し、他方の側にバック層を有する、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0324】
4)マット剤
本発明において、搬送性改良のためにマット剤を添加することが好ましく、マット剤については、特開平11−65021号段落番号0126〜0127に記載されている。マット剤は感光材料1m当たりの塗布量で示した場合、好ましくは1〜400mg/m、より好ましくは5〜300mg/mである。
本発明においてマット剤の形状は定型、不定形のいずれでもよいが好ましくは定型で、球形が好ましく用いられる。平均粒径は0.5〜10μmであることが好ましく、より好ましくは1.0〜8.0μm、さらに好ましくは2.0〜6.0μmの範囲である。また、サイズ分布の変動係数としては50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは、30%以下である。ここで変動係数とは(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100で表される値である。また、変動係数が小さいマット剤で平均粒径の比が3より大きいものを2種併用することも好ましい。
また、画像形成層面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が30秒以上2000秒以下が好ましく、特に40秒以上1500秒以下が好ましい。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
【0325】
本発明においてバック層のマット度としてはベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、800秒以下20秒以上が好ましく、さらに好ましくは500秒以下40秒以上である。
【0326】
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
【0327】
5)ポリマーラテックス
特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の熱現像感光材料を用いる場合には、表面保護層やバック層にポリマーラテックスを用いることが好ましい。このようなポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などにも記載され、具体的にはメチルメタクリレート(33.5質量%)/エチルアクリレート(50質量%)/メタクリル酸(16.5質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(47.5質量%)/ブタジエン(47.5質量%)/イタコン酸(5質量%)コポリマーのラテックス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(58.9質量%)/2−エチルヘキシルアクリレート(25.4質量%)/スチレン(8.6質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.1質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(64.0質量%)/スチレン(9.0質量%) /ブチルアクリレート(20.0質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.0質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックスなどが挙げられる。さらに、表面保護層用のバインダーとして、特願平11−6872号明細書のポリマーラテックスの組み合わせ、特開2000−267226号明細書の段落番号0021〜0025に記載の技術、特願平11−6872号明細書の段落番号0027〜0028に記載の技術、特開2000−19678号明細書の段落番号0023〜0041に記載の技術を適用してもよい。表面保護層のポリマーラテックスの比率は全バインダーの10質量%以上90質量%以下が好ましく、特に20質量%以上80質量%以下が好ましい。
【0328】
6)膜面pH
本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理前の膜面pHが7.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは6.6以下である。その下限には特に制限はないが、3程度である。最も好ましいpH範囲は4〜6.2の範囲である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pHを達成する上で好ましい。
また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮発性の塩基とアンモニアを併用することも好ましく用いられる。なお、膜面pHの測定方法は、特開2000−284399号明細書の段落番号0123に記載されている。
【0329】
7)界面活性剤
本発明に適用できる界面活性剤については特開平11−65021号段落番号0132、溶剤については同号段落番号0133、支持体については同号段落番号0134、帯電防止又は導電層については同号段落番号0135、カラー画像を得る方法については同号段落番号0136に、滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特願平11−106881号段落番号0049〜0062記載されている。
【0330】
8)帯電防止剤
本発明においては金属酸化物あるいは導電性ポリマーを含む導電層を有することが好ましい。帯電防止層は下塗り層、バック層表面保護層などと兼ねてもよく、また別途設けてもよい。帯電防止層の導電性材料は金属酸化物中に酸素欠陥、異種金属原子を導入して導電性を高めた金属酸化物が好ましく用いられる。金属酸化物の例としてはZnO、TiO、SnOが好ましく、ZnOに対してはAl、Inの添加、SnOに対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、TiOに対してはNb、Ta等の添加が好ましい。特にSbを添加したSnOが好ましい。異種原子の添加量は0.01〜30mol%の範囲が好ましく、0.1から10mol%の範囲がより好ましい。金属酸化物の形状は球状、針状、板状いずれでもよいが、導電性付与の効果の点で長軸/単軸比が2.0以上、好ましくは3.0〜50の針状粒子がよい。金属酸化物の使用量は好ましくは1mg/m〜1000mg/mの範囲で、より好ましくは10mg/m〜500mg/mの範囲、さらに好ましくは20mg/m〜200mg/mの範囲である。本発明の帯電防止層は乳剤面側、バック面側のいずれに設置してもよいが、支持体とバック層との間に設置することが好ましい。本発明の帯電防止層の具体例は特開平11−65021号段落番号0135、特開昭56−143430号、同56−143431号、同58−62646号、同56−120519号、特開平11−84573号の段落番号0040〜0051、米国特許第5,575,957号、特開平11−223898号の段落番号0078〜0084に記載されている。
【0331】
9)支持体
透明支持体は二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。医療用の熱現像感光材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8−240877号実施例記載の染料−1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。支持体には、特開平11−84574号の水溶性ポリエステル、同10−186565号のスチレンブタジエン共重合体、特開2000−39684号や特願平11−106881号段落番号0063〜0080の塩化ビニリデン共重合体などの下塗り技術を適用することが好ましい。支持体に乳剤層もしくはバック層を塗布するときの、支持体の含水率は0.5wt%以下であることが好ましい。
【0332】
10)その他の添加剤
熱現像感光材料には、さらに、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤を添加してもよい。各種の添加剤は、画像形成層あるいは非感光性層のいずれかに添加する。それらについてWO98/36322号、EP803764A1号、特開平10−186567号、同10−18568号等を参考にすることができる。
【0333】
11)塗布方式
本発明における熱現像感光材料はいかなる方法で塗布されても良い。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、または米国特許第2,681,294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを 含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F. Kistler、Petert M. Schweizer著“LIQUID FILM COATING”(CHAPMAN & HALL社刊、1997年)399頁から536頁記載のエクストルージョンコーティング、またはスライドコーティング好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は同書427頁のFigure 11b.1に ある。また、所望により同書399頁から536頁記載の方法、米国特許第2,761,791 号および英国特許第837,095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。本発明において特に好ましい塗布方法は特開2001−194748号、同2002−153808号、同2002−153803号、同2002−182333号に記載された方法である。
【0334】
本発明における画像形成層塗布液は、いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。この技術については特開平11−52509号を参考にすることができる。
本発明における画像形成層塗布液は剪断速度0.1S−1における粘度は400mPa・s以上100,000 mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは500mPa・s以上20,000 mPa・s以下である。また、剪断速度1000S−1においては1mPa・s以上200 mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは5mPa・s以上80 mPa・s以下である。
【0335】
本発明の塗布液を調合する場合において2種の液を混合する際は公知のインライン混合機、インプラント混合機が好ましく用いられる。本発明の好ましいインライン混合機は特開2002−85948号に、インプラント混合機は特開2002−90940号に記載されている。
本発明における塗布液は塗布面状を良好に保つため脱泡処理をすることが好ましい。本発明の好ましい脱泡処理方法については特開2002−66431号に記載された方法である。
本発明の塗布液を塗布する際には支持体の耐電による塵、ほこり等の付着を防止するために除電を行うことが好ましい。本発明において好ましい除電方法の例は特開2002−143747に記載されている。
本発明においては非セット性の画像形成層塗布液を乾燥するため乾燥風、乾燥温度を精密にコントロールすることが重要である。本発明の好ましい乾燥方法は特開2001−194749号、同2002−139814号に詳しく記載されている。
本発明の熱現像感光材料は成膜性を向上させるために塗布、乾燥直後に加熱処理をすることが好ましい。加熱処理の温度は膜面温度で60℃〜100℃の範囲が好ましく、加熱時間は1秒〜60秒の範囲が好ましい。より好ましい範囲は膜面温度が70〜90℃、加熱時間が2〜10秒の範囲である。本発明の好ましい加熱処理の方法は特開2002−107872号に記載されている。
また、本発明の熱現像感光材料を安定して連続製造するためには特開2002−156728号、同2002−182333号に記載の製造方法が好ましく用いられる。
【0336】
熱現像感光材料は、モノシート型(受像材料のような他のシートを使用せずに、熱現像感光材料上に画像を形成できる型)であることが好ましい。
【0337】
12)包装材料
本発明の感光材料は生保存時の写真性能の変動を押えるため、もしくはカール、巻癖などを改良するために、酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料で包装することが好ましい。酸素透過率は25℃で50ml/atm・m・day以下であることが好ましく、より好ましくは10ml/atm・m・day以下、さらに好ましくは1.0ml/atm・m・day以下である。水分透過率は10g/atm・m・day以下であることが好ましく、より好ましくは5g/atm・m・day以下、さらに好ましくは1g/atm・m・day以下である。
該酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料の具体例としては、たとえば特開平8−254793号。特開2000−206653号明細書に記載されている包装材料である。
13)その他の利用できる技術
【0338】
本発明の熱現像感光材料に用いることのできる技術としては、EP803764A1号、EP883022A1号、WO98/36322号、特開昭56−62648号、同58−62644号、特開平9−43766、同9−281637、同9−297367号、同9−304869号、同9−311405号、同9−329865号、同10−10669号、同10−62899号、同10−69023号、同10−186568号、同10−90823号、同10−171063号、同10−186565号、同10−186567号、同10−186569号〜同10−186572号、同10−197974号、同10−197982号、同10−197983号、同10−197985号〜同10−197987号、同10−207001号、同10−207004号、同10−221807号、同10−282601号、同10−288823号、同10−288824号、同10−307365号、同10−312038号、同10−339934号、同11−7100号、同11−15105号、同11−24200号、同11−24201号、同11−30832号、同11−84574号、同11−65021号、同11−109547号、同11−125880号、同11−129629号、同11−133536号〜同11−133539号、同11−133542号、同11−133543号、同11−223898号、同11−352627号、同11−305377号、同11−305378号、同11−305384号、同11−305380号、同11−316435号、同11−327076号、同11−338096号、同11−338098号、同11−338099号、同11−343420号、特開2000−187298号、同2000−10229号、同2000−47345号、同2000−206642号、同2000−98530号、同2000−98531号、同2000−112059号、同2000−112060号、同2000−112104号、同2000−112064号、同2000−171936号も挙げられる。
【0339】
多色カラー熱現像感光材料の場合、各画像形成層は、一般に、米国特許第4,460,681号に記載されているように、各画像形成層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
多色カラー熱現像感光材料の場合の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載されているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。
【0340】
2.画像形成方法
2−1.露光
本発明の感光材料はいかなる方法で露光されても良いが、レーザー光で走査露光するのが好ましい。レーザー光としては、赤〜赤外発光のHe−Neレーザー、赤色半導体レーザー、あるいは青〜緑発光のAr,He−Ne,He−Cdレーザー、青色半導体レーザーを用いることができる。好ましくは、赤色〜赤外半導体レーザーであり、レーザー光のピーク波長は、600nm〜900nm、好ましくは620nm〜850nmである。 一方、近年、特に、SHG(Second Harmonic Generator)素子と半導体レーザーを一体化したモジュールや青色半導体レーザーが開発されてきて、短波長領域のレーザー出力装置がクローズアップされてきた。青色半導体レーザーは、高精細の画像記録が可能であること、記録密度の増大、かつ長寿命で安定した出力が得られることから、今後需要が拡大していくことが期待されている。青色レーザー光のピーク波長は、300nm〜500nm、特に400nm〜500nmが好ましい。
レーザー光は、高周波重畳などの方法によって縦マルチに発振していることも好ましく用いられる。
【0341】
2−2.熱現像
本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80〜250 ℃であり、好ましくは100〜140℃、さらに好ましくは110〜130℃である。現像時間としては1〜60秒が好ましく、より好ましくは3〜30秒、さらに好ましくは5〜25秒、7〜15秒が特に好ましい。
【0342】
熱現像の方式としてはドラム型ヒーター、プレート型ヒーターのいずれを使用してもよいが、プレート型ヒーター方式がより好ましい。プレート型ヒーター方式による熱現像方式とは特開平11−133572号に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレートヒーターからなり、かつ前記プレートヒーターの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレートヒーターとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレートヒーターを2〜6段に分けて先端部については1〜10℃程度温度を下げることが好ましい。
例えば、独立に温度制御できる4組のプレートヒーターを使用し、それぞれ112℃、119℃、121℃、120℃になるように制御する例が挙げられる。このような方法は特開昭54−30032号にも記載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を抑えることもできる。
【0343】
熱現像機の小型化および熱現像時間の短縮のためには、より安定なヒーター制御ができることが好ましく、また、1枚のシート感材を先頭部から露光開始し、後端部まで露光が終わらないうちに熱現像を開始することが望ましい。本発明に好ましい迅速処理ができるイメージャーは例えば特願2001−088832号および同−091114号に記載されている。このイメージャーを使用すれば例えば、107℃−121℃−121℃に制御された3段のプレート型ヒーターで14秒で熱現像処理ができ、1枚目の出力時間は約60秒に短縮することができる。
【0344】
2−3.システム
露光部及び熱現像部を備えた医療用のレーザーイメージャーとしては富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DP−LおよびDRYPIX7000を挙げることができる。FM−DPー−Lに関しては、Fuji Medical Review No.8,page 39〜55に記載されており、それらの技術は本発明の熱現像感光材料のレーザーイメージャーとして適用することは言うまでもない。また、DICOM規格に適応したネットワークシステムとして富士フィルムメディカル(株)が提案した「AD network」の中でのレーザーイメージャー用の熱現像感光材料としても適用することができる。
【0345】
3.本発明の用途
本発明の熱現像感光材料、および画像形成方法は、銀画像による黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、工業写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、COM用の熱現像感光材料として使用することができる。
【0346】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
【0347】
(PET支持体の作成)
1)製膜
テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作成した。
【0348】
これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cmで巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
【0349】
2)表面コロナ放電処理
ピラー社製ソリッドステートコロナ放電処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/mの処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0350】
3)下塗り
<下塗層塗布液の作成>
Figure 2005049371
【0351】
Figure 2005049371
【0352】
Figure 2005049371
【0353】
<下塗り>
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(感光性層面)に上記下塗り塗布液処方▲1▼をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6ml/m(片面当たり)になるように塗布して180 ℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方▲2▼をワイヤーバーでウエット塗布量が5.7ml/mになるように塗布して180℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方▲3▼をワイヤーバーでウエット塗布量が7.7ml/mになるように塗布して180 ℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
【0354】
(バック層)
1)バック層塗布液の調整
(塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)
塩基プレカーサー化合物1を、2.5kg、および界面活性剤(商品名:デモールN、花王(株)製) 300g 、ジフェニルスルホン800g、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩1.0gおよび蒸留水を加えて総量を8.0kgに合わせて混合し、混合液を横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散した。分散方法は、混合液をを平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填したUVM−2にダイアフラムポンプで送液し、内圧50hPa以上の状態で、所望の平均粒径が得られるまで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における450nmにおける吸光度と650nmにおける吸光度の比(D450/D650)が3.0まで分散した。得られた分散物は、塩基プレカーサーの濃度で25重量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにろ過(平均細孔径:3μmのポリプロピレン製フィルター)を行って実用に供した。
【0355】
2)染料固体微粒子分散液の調製
シアニン染料化合物−1を6.0kgおよびp−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0kg、花王(株)製界面活性剤デモールSNB 0.6kg、および消泡剤(商品名:サーフィノール104E、日信化学(株)製)0.15kg を蒸留水 と混合して、総液量を60kgとした。混合液を横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)を用いて、0.5mmのジルコニアビーズで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における650nmにおける吸光度と750nmにおける吸光度の比(D650/D750)が5.0以上であるところまで分散した。得られた分散物は、シアニン染料の濃度で6質量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにフィルターろ過(平均細孔径:1μm)を行って実用に供した。
【0356】
3)ハレーション防止層塗布液の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン40g、単分散ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒子サイズ8μm、粒径標準偏差0.4)20g、ベンゾイソチアゾリノン0.1g、水490mlを加えてゼラチンを溶解させた。さらに1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液2.3ml、上記染料固体微粒子分散液40g、上記塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)を90g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液12ml、、SBRラテックス10質量%液180g、を混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液80mlを混合し、ハレーション防止層塗布液とした。
【0357】
4)バック面保護層塗布液の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン40g、ベンゾイソチアゾリノン35mg、水840mlを加えてゼラチンを溶解させた。さらに1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液5.8ml、流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして1.5g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5質量%水溶液10ml、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液20ml、フッ素系界面活性剤(F−1)2質量%溶液を2.4ml、フッ素系界面活性剤(F−2)2質量%溶液を2.4ml、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液32gを混合した。塗布直前に N,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液25mlを混合しバック面保護層塗布液とした。
【0358】
5)バック層の塗布
上記下塗り支持体のバック面側に、アンチハレーション層塗布液をゼラチン塗布量が0.52g/mとなるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.7g/mとなるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を作成した。
【0359】
(画像形成層、中間層、および表面保護層)
1.塗布用材料の準備
1)ハロゲン化銀乳剤
(ハロゲン化銀乳剤1の調製)
蒸留水1421mlに1質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、30℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mlに希釈した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cと臭化カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量400mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10−4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10−4モル全量添加した。
0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作成した。
【0360】
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10−5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10−4モル加えて91分間熟成した。その後、分光増感色素Aと増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液を銀1モル当たり増感色素AとBの合計として1.2×10−3モル加え、1分後にN,N’−ジヒドロキシ−N”−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10−3モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10−3モルおよび1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10−3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作成した。
【0361】
調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の[100]面比率は、クベルカムンク法を用いて80%と求められた。
【0362】
(ハロゲン化銀乳剤2の調製)
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を47℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量400mlに希釈することに変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアノ鉄(II)カリウムを除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤2の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。更に、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり1.1×10−4モル、分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液の添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として7.0×10−4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに対して3.3×10−3モルおよび1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを銀1モルに対して4.7×10−3モル添加に変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2の乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0363】
(ハロゲン化銀乳剤3の調製)
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を27℃に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3の調製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で1:1を固体分散物(ゼラチン水溶液)として添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として6×10−3モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり5.2×10−4モルに変え、テルル増感剤の添加3分後に臭化金酸を銀1モル当たり5×10−4モルとチオシアン酸カリウムを銀1モルあたり2×10−3モルを添加したこと以外は乳剤1と同様にして、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳剤3の乳剤粒子は、平均球相当径0.034μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。
【0364】
(塗布液用混合乳剤Aの調製)
ハロゲン化銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10−3モル添加した。さらに塗布液用混合乳剤1kgあたりハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように加水し、塗布液用混合乳剤1kgあたり0.34gとなるように1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを添加した。
【0365】
2)脂肪酸銀分散物の調製
(脂肪酸銀分散物Aの調製)
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)87.6kg、蒸留水423L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Aを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液Aの全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液Aを添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Aのみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液Aの添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液Aの添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
【0366】
ベヘン酸ナトリウム溶液Aを添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
【0367】
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.14μm、b=0.4μm、c=0.6μm、平均アスペクト比5.2、平均球相当径0.52μm、球相当径の変動係数15%のりん片状の結晶であった。(a,b,cは本文の規定)
【0368】
乾燥固形分260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kgおよび水を添加し、全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
【0369】
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1260kg/cmに調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
【0370】
(脂肪酸銀分散物Bの調製)
<再結晶ベヘン酸の調製>
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)100kgを、1200kgのイソプロピルアルコールにまぜ、50℃で溶解し、10μmのフィルターで濾過した後、30℃まで、冷却し、再結晶を行った。再結晶をする際の、冷却スピードは、3℃/時間にコントロールした。得られた結晶を遠心濾過し、100kgのイソプルピルアルコールでかけ洗いを実施した後、乾燥を行った。得られた結晶をエステル化してGC−FID測定をしたところ、ベヘン酸含有率は96モル%、それ以外にリグノセリン酸が2モル%、アラキジン酸が2モル%、エルカ酸0.001モル%含まれていた。
【0371】
<脂肪酸銀分散物Bの調製>
再結晶ベヘン酸88kg、蒸留水422L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液Bの全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Bのみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
【0372】
ベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、球相当径の変動係数11%の結晶であった。(a,b,cは本文の規定)
【0373】
乾燥固形分260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kgおよび水を添加し、全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
【0374】
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1150kg/cmに調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
【0375】
3)還元剤分散物の調製
(還元剤−1分散物の調製)
還元剤―1(2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール))10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤―1分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0376】
(還元剤−2分散物の調製)
還元剤―2(6,6’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジメチル−2,2’−ブチリデンジフェノール)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加熱処理し、還元剤―2分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.50μm、最大粒子径1.6μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0377】
4)水素結合性化合物−1分散物の調製
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。
このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合性化合物の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加温し、水素結合性化合物―1分散物を得た。こうして得た水素結合性化合物分散物に含まれる水素結合性化合物粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0378】
5)現像促進剤−1分散物の調製
現像促進剤−1を10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤の濃度が20質量%になるように調製し、現像促進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤分散物に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
現像促進剤−2および色調調整剤−1の固体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、それぞれ20質量%、15質量%の分散液を得た。
【0379】
6)ポリハロゲン化合物の調製
(有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製)
有機ポリハロゲン化合物―1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgと、水14kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が26質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合物―1分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0380】
(有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製)
有機ポリハロゲン化合物―2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調製した。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物―2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0381】
7)フタラジン化合物−1溶液の調製
8kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP203を水174.57kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15kgとフタラジン化合物―1(6−イソプロピルフタラジン)の70質量%水溶液14.28kgを添加し、フタラジン化合物―1の5質量%溶液を調製した。
【0382】
8)メルカプト化合物の調製
(メルカプト化合物−1水溶液の調製)
メルカプト化合物―1(1−(3−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水993gに溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
【0383】
(メルカプト化合物−2水溶液の調製)
メルカプト化合物―2(1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール)20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
【0384】
9)顔料−1分散物の調製
C.I.Pigment Blue 60を64gと花王(株)製デモールNを6.4gに水250gを添加し良く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジルコニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し、水を加えて顔料の濃度が5質量%になるように調製して顔料−1分散物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒子は平均粒径0.21μmであった。
【0385】
10)SBRラテックス液の調製
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に、蒸留水287g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製):固形分48.5質量%)7.73g、1mol/リットルNaOH14.06ml、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.15g、スチレン255g、アクリル酸11.25g、tert−ドデシルメルカプタン3.0gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度200rpmで撹拌した。真空ポンプで脱気し窒素ガス置換を数回繰返した後に、1,3−ブタジエン108.75gを圧入して内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.875gを水50mlに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、1mol/リットルのNaOHとNHOHを用いてNaイオン:NH イオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、SBRラテックスを774.7g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、145ppmであった。
【0386】
上記ラテックスは平均粒径90nm、Tg=17℃、固形分濃度44質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.80mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し、ラテックス原液(44質量%)を25℃にて測定)であった。
【0387】
2.塗布液の調製
1)画像形成層塗布液−1の調製
上記で得た脂肪酸銀分散物B1000g、水135ml、顔料−1分散物36g、有機ポリハロゲン化合物−1分散物25g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物39g、フタラジン化合物―1溶液171g、SBRラテックス(Tg:17℃)液1060g、還元剤−2分散物153g、水素結合性化合物−1分散物55g、現像促進剤−1分散物4.8g、現像促進剤−2分散物5.2g、色調調整剤−1分散物2.1g、メルカプト化合物−2水溶液8mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A140gを添加して良く混合した画像形成層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
上記画像形成層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で40[mPa・s]であった。
Haake社製RheoStress RS150を使用した38℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒] においてそれぞれ30、43、41、28、20 [mPa・s]であった。
【0388】
塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり0.30mgであった。
【0389】
2)画像形成層塗布液−2の調製
上記で得た脂肪酸銀分散物B1000g、水135ml、顔料−1分散物35g、有機ポリハロゲン化合物−1分散物19g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物58g、フタラジン化合物―1溶液162g、SBRラテックス(Tg:17℃)液1060g、還元剤−1分散物75g、還元剤−2分散物75g、水素結合性化合物−1分散物106g、現像促進剤−1分散物4.8g、メルカプト化合物−1水溶液9ml、メルカプト化合物−2水溶液27mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A118gを添加して良く混合した画像形成層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
【0390】
上記画像形成層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で25[mPa・s]であった。
Haake社製RheoStress RS150を使用した38℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒] においてそれぞれ32、35、33、26、17 [mPa・s]であった。
【0391】
塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり0.32mgであった。
3)中間層塗布液−1の調製
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1000g、顔料−1分散物163g、、フタロシアニン化合物(日本化薬(株)製:カヤフェクトターコイズRNリキッド150)水溶液33g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5%水溶液27ml、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を135ml、総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、8.9ml/mになるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
【0392】
4)表面保護層第1層塗布液−1の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水840mlに溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を46ml、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を5.4mlを加えて混合し、塗布直前に4質量%のクロムみょうばん40mlをスタチックミキサーで混合したものを塗布液量が26.1ml/mになるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
【0393】
5)表面保護層第2層塗布液−1の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水800mlに溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸15質量%メタノール溶液40ml、フッ素系界面活性剤(F−1)の1質量%溶液を5.5ml、フッ素系界面活性剤(F−2)の1質量%水溶液を5.5ml、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を28ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.5μm)21gを混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3ml/mの塗布量になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
【0394】
6)表面保護層第2層塗布液−2〜10の調製
表面保護層第2層塗布液−1の調製において、イナートゼラチンの代わりに本発明の水溶性バインダー(表1に記載)を用いて、さらに、本発明の架橋剤(表1に示す)を添加して、表面保護層第2層塗布液−2〜10を調製した。本発明の水溶性バインダーは、イナートゼラチンと等重量用いた。本発明の本発明の架橋剤は、水溶性バインダーに対して10質量%添加した。
【0395】
7)表面保護層第2層塗布液−11〜23の調製
表面保護層第2層塗布液−1の調製において、イナートゼラチンとメチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液を除き、代わりにポリビニルアルコール−2:商品名PVA−205(クラレ製)とスチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体LP−4(共重合質量比68/29/3;架橋性、Tg17℃)ラテックス20質量%水溶液を始めとするポリマーラテックス(表2に記載)を用いて、さらに、本発明の架橋剤(表2に示す)を添加して、表面保護層第2層塗布液−11〜23を調製した。本発明のポリビニルアルコールとポリマーラテックスの固形分の添加比率はX:Y(質量比:X+Y=100、表2記載)である。本発明のポリビニルアルコールとポリマーラテックスの固形分総量は、イナートゼラチンとメチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックスの固形分総量と同質量になるようにした。本発明の架橋剤は、ラテックスに対して20質量%添加した。
なお、架橋剤(ロ)は、水分散物で供給されているためそのまま使用した。架橋剤(イ)、(ハ)〜(ヘ)については、水溶媒に対し自己乳化する性質を有しているので、予め使用の前に公知の乳化装置(例えば、高速攪拌機(マルチディスパーザPB95,丸羽根型:(株)エスエムテー製))を用いて水分散物にして、使用した。
【0396】
【表1】
Figure 2005049371
【0397】
変性ポリビニルアルコール−1:商品名KL−318(クラレ製)
ポリビニルアルコール−2:商品名PVA−205(クラレ製)
ポリアクリル酸Na:ジュリマーAC103(日本純薬製)
架橋剤:
(イ)デュラネート WB40−100(旭化成(株)製)
(ロ)ディックファイン EM−60(大日本インキ化学工業(株)製)
(ハ)デュラネート WB40−80D(旭化成(株)製)
(ニ)デュラネート WT20−100(旭化成(株)製)
(ホ)デュラネート WT30−100(旭化成(株)製)
【0398】
3.熱現像感光材料の作製
1)熱現像感光材料−1〜10の作成
バック面と反対の面に下塗り面から画像形成層塗布液−1を用いた画像形成層、中間層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料を作成した。表面保護層第2層塗布液として、表面保護層第2層塗布液−1〜10を用いて、それぞれに対応する熱現像感光材料−1〜10の試料を作成した。このとき、画像形成層と中間層は31℃に、保護層第1層は36℃に、保護層第2層は37℃に温度調整した。
画像形成層の各化合物の塗布量(g/m)は以下の通りである。
【0399】
Figure 2005049371
【0400】
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
塗布はスピード160m/minで行い、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。
引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10〜20℃の風にて塗布液を冷却した後、無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
乾燥後、25℃で湿度40〜60%RHで調湿した後、膜面を70〜90℃になるように加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で画像形成層面側が550秒、バック面が130秒であった。また、画像形成層面側の膜面のpHを測定したところ6.0であった。
【0401】
2)熱現像感光材料−11〜23の作成
熱現像感光材料−1〜10に対して、表面保護層第2層塗布液として、表面保護層第2層塗布液−11〜23を用いて、それぞれに対応する熱現像感光材料−11〜23の試料を作成した。
【0402】
【表2】
Figure 2005049371
【0403】
架橋剤:
(イ)デュラネート WB40−100(旭化成(株)製)
(ロ)ディックファイン EM−60(大日本インキ化学工業(株)製)
(ハ)デュラネート WB40−80D(旭化成(株)製)
(ニ)デュラネート WT20−100(旭化成(株)製)
(ホ)デュラネート WT30−100(旭化成(株)製)
(ヘ)CR−60N (大日本インキ化学工業(株)製)
【0404】
【0405】
3)熱現像感光材料−101〜123の作成
熱現像感光材料−1〜23に対して、画像形成層塗布液―1を画像形成層塗布液―2に代え、表面保護層第2層塗布液として、それぞれに対応する表面保護層第2層塗布液−1〜23を用いて、それぞれに対応する熱現像感光材料−101〜123の試料を作成した。
このときの画像形成層の各化合物の塗布量(g/m)は以下の通りである。
【0406】
Figure 2005049371
【0407】
以下に本発明の実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
【0408】
【化50】
Figure 2005049371
【0409】
【化51】
Figure 2005049371
【0410】
【化52】
Figure 2005049371
【0411】
【化53】
Figure 2005049371
【0412】
【化54】
Figure 2005049371
【0413】
4.写真性能の評価
1)準備
得られた試料は半切サイズに切断し、25℃50%RHの環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
2)包装材料
PET 10μm/PE 12μm/アルミ箔9μm/Ny 15μm/カーボン3質量%を含むポリエチレン50μm
酸素透過率:0.02ml/atm・m・25℃・day、水分透過率:0.10g/atm・m・25℃・day
【0414】
3)感光材料の露光・現像
熱現像感光材料−1〜23は、DRYPIX7000(最大50mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて露光・熱現像(107℃−121℃−121℃に設定した3枚のパネルヒータで合計14秒)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。
熱現像感光材料−101〜123は、富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DPL(最大60mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて露光・熱現像(112℃−119℃−121℃−121℃に設定した4枚のパネルヒータで合計24秒)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。
【0415】
4)評価項目と結果
4−1)かぶり
未露光部の濃度をかぶり値とした。試料―1〜10については、試料―1のかぶり値を100として相対値で示した。試料―11〜23については、試料―11のかぶり値を100として相対値で示した。
4−2)感度
濃度1.0を与える露光量の逆数で表した。試料―1〜10については、試料―1の感度を100として相対値で示した。試料―11〜23については、試料―11の感度を100として相対値で示した。
4−3)暗所における画像保存性試験
本試験は、画像保存性を評価するための強制試験である。
NaClの7.5gを水を加えて溶解し、500mLに精秤した食塩水を用意する。各試料を、露光・熱現像した試料を用意する。画像の最低濃度部について、暗所にて、食塩水を染み込ませたろ紙と重ねて、5秒間押し付ける。ろ紙を除去したのち、試料の1/2の部分を、50℃50%RHの条件下で、3日間保存し、試料の残りの1/2の部分と比較する。
また、画像の最高濃度部についても同様に、暗所にて、食塩水を染み込ませたろ紙と重ねて、5秒間押し付ける。ろ紙を除去したのち、試料の1/2の部分を50℃50%RHの条件下で、3日間保存し、試料の残りの1/2の部分と比較する。
得られた試料を目視にて評価し、以下のように判定した。本評価は、強制的な条件での評価であるので、実用上は、ランク2以上であれば問題ない。
【0416】
ランク4:最低濃度部、最高濃度部ともに、濃度ムラは認められない。表面の光沢にムラが生じない。
ランク3:僅かな濃度ムラが認められる。表面の光沢にムラが僅かに生じる。
ランク2:僅かな濃度ムラが認められる。表面の光沢にムラが生じる。
ランク1:最低濃度部、最高濃度部ともに、明らかに濃度ムラが認められる。表面の光沢にムラが生じる。
【0417】
結果をそれぞれ表1と表2に示した。
本発明の試料は、いずれも低いかぶり濃度で高い感度を維持して、暗熱画像保存性に優れることがわかる。
特に、試料8,9と試料16,17,21,22とが良好な結果を示した。
また、試料101〜123においても、同様の結果を示した。
なお、試料8の階調は3.00であって、試料1〜23全てが階調2以上4以下の範囲であった。また、試料108の階調は3.40であって、試料101〜123全てが階調2以上4以下の範囲であった。
【0418】
実施例2
実施例1の試料について、下記の耐ブロッキング性をテストした。
【0419】
(耐ブロッキング性の評価条件)
未露光で熱現像処理した試料を3.5cm×3.5cmに2枚切り出し、25℃、75%RHの環境で2時間調整した後、試料の画像形成層側の面を互いに重ね合わせて、200gの重りを載せて、40℃下に5日間放置した。その後、取りだし、重ね合わせた面を剥がして、表面の状態を視覚的観察し、官能評価した。
得られた結果を表3に示した。
【0420】
ランク 判断基準
5 ブロッキング(接着跡)が全く認められない。
4 膜剥がれが鳴く剥がれるが、表面光沢ムラがあるがある。
3 膜剥がれした面積が全体面積の10%未満である。
2 膜剥がれした面積が全体面積の10%以上40%未満である。
1 膜剥がれした面積が全体面積の40%以上である。
【0421】
【表3】
Figure 2005049371
【0422】
表3の結果より、本発明の試料は、耐ブロッキング性が改良され、画像形成後の試料の取り扱い性により優れることがわかる。
【0423】
実施例3
実施例1の試料―15において、表面保護第1層のイナートゼラチン100gを、ポリビニルアルコール(PVA−205:商品名、クラレ製)98gと表4に記載のゲル化剤2g、ゲル化促進剤0.3gに変更し添加した以外は、試料―15と同様にして試料―201〜206を作成した。実施例1と同様に評価した結果を表4に示した。
【0424】
【表4】
Figure 2005049371
【0425】
(注)かぶり・感度は、それぞれ試料−201を基準(100)とした。
【0426】
表4の結果より、ゲル化剤とゲル化促進剤の使用により、さらに画像の暗熱保存性、および耐ブロッキング性が向上した。
【0427】
【発明の効果】
本発明により、画像の暗熱保存性が改良された熱現像感光材料が提供される。また、熱現像した試料を重ねて保存したときの耐ブロッキング性も改良され、取り扱い性に優れた熱現像感光材料が提供される。

Claims (14)

  1. 支持体の同一面上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層と非感光性層とを有する熱現像感光材料であって、前記最外層のバインダーの50質量%以上が動物性蛋白質由来でないポリマーであって、該ポリマーの架橋剤を含有し、特性曲線における平均階調が10未満であることを特徴とする熱現像感光材料。
  2. 前記架橋剤が、(1)カルボン酸およびカルバミン酸誘導体、(2)スルホン酸エステルおよびスルホニル化合物、(3)エポキシ化合物、(4)アジリジン類、(5)イソシアネート類、(6)カルボジイミド化合物および(7)オキサゾリン化合物よりなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
  3. 前記架橋剤が水分散性イソシアネートである請求項1または請求項2に記載の熱現像感光材料。
  4. 前記架橋剤が水分散性エポキシ化合物である請求項1または請求項2に記載の熱現像感光材料。
  5. 前記動物性蛋白質由来でない水溶性ポリマーが、カルボキシル基またはその塩、チオール基、フェノール性水酸基、無水カルボン酸基、アミド基、または芳香族アミノ基を有する請求項1〜請求項4のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  6. 前記動物性蛋白質由来でない水溶性ポリマーが、カルボキシル基またはその塩を有する請求項1〜請求項5のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  7. 前記動物性蛋白質由来でないポリマーが、水分散性ラテックスより形成されたポリマーである請求項1〜請求項4のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  8. 前記ポリマーラテックスが、カルボキシル基またはその塩、チオール基、フェノール性水酸基、無水カルボン酸基、アミド基、または芳香族アミノ基を有する請求項7に記載の熱現像感光材料。
  9. 前記ポリマーラテックスが、カルボキシル基またはその塩を有する請求項7または請求項8に記載の熱現像感光材料。
  10. 前記ポリマーラテックスのTgが−20℃〜70℃である請求項7〜請求項9のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  11. 前記ポリマーラテックスのTgが−20℃〜20℃である請求項7〜請求項10のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  12. 少なくとも1種の現像促進剤を含有する請求項1〜請求項11のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  13. 前記最外層が、温度低下によりゲル化し得るバインダーを含有する請求項1〜請求項12のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  14. 前記最外層に隣接する層が、温度低下によりゲル化し得るバインダーを含有する請求項1〜請求項13のいずれかに記載の熱現像感光材料。
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