JP4163469B2 - 熱現像感光材料の画像形成方法 - Google Patents

熱現像感光材料の画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性の熱現像感光材料(以下、「熱現像感光材料」と称することがある)に関し、更に詳しくは、処理時間の短縮化に対応した揮散物質の少ない熱現像感光材料による画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療診断用フィルム分野や写真製版フィルム分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・イメージャーにより効率的に露光させることができ、高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる医療診断用フィルムおよび写真製版用フィルムとして熱現像感光材料に関する技術が必要とされている。これら熱現像感光材料によれば、溶液系の処理化学薬品を必要とせず、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することができる。
【0003】
一般の画像形成材料の分野でも同様の要求はあるが、特に医療診断用画像は微細な描写が要求されるため鮮鋭性、粒状性に優れる高画質が必要であるうえ、診断のし易さの観点から冷黒調の画像が好まれる特徴がある。現在、インクジェットプリンター、電子写真など顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステムが一般画像形成システムとして流通しているが、医療用画像の出力システムとしては満足できるものがない。
【0004】
一方、有機銀塩を利用した熱画像形成システムが、例えば、米国特許3152904号、同3457075号の各明細書およびD.クロスタボーア(Klosterboer)著「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、J.スタージ(Sturge)、V.ウオールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第9章、第279頁、1989年)に記載されている。
特に、熱現像感光材料は、一般に、触媒活性量の光触媒(例えば、ハロゲン化銀)、還元剤、還元可能な銀塩(例えば、有機銀塩)、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した画像形成層を有している。
熱現像感光材料は、画像露光後、高温(例えば80℃以上)に加熱し、還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により、黒色の銀画像を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。そのため、黒色の銀画像は、露光領域に形成される。米国特許2910377号、特公昭43−4924号をはじめとする多くの文献に開示されている。
【0005】
前記熱現像感光材料においても、熱現像処理の能力を上げ、処理時間を短縮することは日常から要求されている課題であった。この問題に対し、EP-0915395号等では、露光部と現像部の間の距離が短かい熱現像機を用いることにより、この問題の課題の解決に至っている。
【0006】
しかし、上記の熱現像機により処理時間の短縮は大幅に図れることとなったが、露光部と現像部の距離が短いため、熱現像により揮散した熱現像感光材料中の低分子成分が露光部にまで影響を及ぼし、露光装置の揮散物質による汚染が新たな問題となった。
【0007】
このような露光部の汚れは画像形成に重大な影響を与えるため、処理時間を短縮しつつ露光部の汚れを抑える技術の開発は、熱望されるものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の課題は、処理時間の短縮化に対応した揮散物質の少ない熱現像感光材料による画像形成方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、以下の熱現像感光材料によって達成された。
(1) 支持体の少なくとも一方面上に、感光性ハロゲン化銀、銀イオンのための還元剤、バインダーおよび非感光性有機銀塩を含む画像形成層を有する熱現像感光材料を、露光および熱現像のみによって銀画像による黒白画像を形成する画像形成方法であって、
前記非感光性有機銀塩が脂肪酸銀よりなり、脂肪酸モル換算で10mmol/m以上15mmol/m以下の塗布量であることを特徴とする熱現像感光材料を、
露光部と現像部の距離が5cm以上30cm以下であり、プレートヒーター及び冷却プレートを有する熱現像機によって現像されることを特徴とする画像形成方法。
(2) 支持体に対し画像形成層と同一面上であって、画像形成層よりも支持体から遠い位置に保護層を有し、該保護層に熱現像による揮散物と化学的に反応して不揮散物を形成する化合物を揮散物トラップ剤として含有することを特徴とする前記(1)に記載の画像形成方法。
(3) 前記揮散物トラップ剤が−NH−結合を有する化合物であることを特徴とする前記(2)に記載の画像形成方法。
(4) 支持体に対し画像形成層と同一面上であって、画像形成層よりも支持体から遠い位置に、熱現像による揮散物の透過を防止するバリア層を有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の画像形成方法。
(5) 前記バリアー層が、ポリビニルアルコール、ポリスチレンならびにその共重合体、塩化ビニルならびに酢酸ビニルの共重合体、水溶性ポリエステル、水不溶性ポリエステル、ゼラチンならびにその誘導体、およびポリビニルピロリドンより選ばれた少なくとも1つのポリマーを含有することを特徴とする前記(4)に記載の画像形成方法。
(6) 前記バリアー層が、ガラス転移温度が150℃以上で数平均分子量が10,000以上の水不溶性ポリエステルを含有することを特徴とする前記(5)に記載の画像形成方法。
(7) 前記バリアー層が、鹸化率が88%以上のポリビニルアルコールを含有することを特徴とする前記(5)に記載の画像形成方法。
(8) 前記バリアー層が、エポキシ基を分子内に2つ以上有するポリスチレンを含有することを特徴とする前記(4)に記載の画像形成方法。
(9) 前記バリアー層が、ポリアクリレートまたはポリメタクリレートを含有することを特徴とする前記(4)に記載の画像形成方法。
(10) 前記バリアー層が、エポキシ基を分子内に2つ以上有するポリアクリレートまたはポリメタクリレートを含有することを特徴とする前記(4)に記載の画像形成方法。
(11) 前記保護層の厚みが1μm以上5μm以下である熱現像感光材料を用いた前記(2)〜(10)のいずれかに記載の画像形成方法。
(12) 前記バリアー層の厚みが1μm以上5μm以下である熱現像感光材料を用いた前記(4)〜(11)のいずれかに記載の画像形成方法。
(13)前記熱現像感光材料からなる一枚のシート感材で、一部が露光されながら、同時に既に露光がなされたシートの一部分で現像が開始されることを特徴とする前記(1)〜(12)のいずれかに記載の画像形成方法。
(14) 前記脂肪酸銀のうち、ベヘン酸銀の含有量が50モル%以上である熱現像感光材料を用いた前記(1)〜(13)のいずれかに記載の画像形成方法。
(15) 前記銀イオンのための還元剤が、下記一般式(R)で表される還元剤を含むことを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれかに記載の画像形成方法。
一般式(R)中、R11およびR11’は炭素数3〜15の2級または3級のアルキル基であり、R12およびR12’は炭素数1〜20のアルキル基を表す。XおよびX1’は水素原子、ハロゲン原子、またはアルキル基を表す。Lは−S−基または−CHR13−基を表し、R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。
(16) 前記プレートヒーターが3段からなり、先端部のプレートが他のプレートより温度が低いことを特徴とする前記(1)〜(15)のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0010】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
1.感光性ハロゲン化銀
1)ハロゲン組成
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀を用いることができる。その中でも臭化銀、ヨウ臭化銀およびヨウ化銀が好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀、臭化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀やヨウ化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
【0012】
2)粒子形成方法
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開平11-119374号公報の段落番号0217〜0224に記載されている方法、特開平11-352627、特開2000-347335号記載の方法も好ましい。
【0013】
3)粒子サイズ
感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
【0014】
4)粒子形状
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い[100]面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数[100]面の比率は増感色素の吸着における[111]面と[100]面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
【0015】
5)重金属
本発明においては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)6]4-、[Fe(CN)6]3-、[Ru(CN)6]4-、[Os(CN)6]4-、[Co(CN)6]3-、[Rh(CN)6]3-、[Ir (CN)6]3-、[Cr(CN)6]3-、[Re(CN)6]3-などが挙げられる。本発明においては六シアノFe錯体が好ましい。
【0016】
六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合しているナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラ(n-ブチル)アンモニウムイオン)を用いることが好ましい。
【0017】
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
【0018】
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10-5モル以上1×10-2モル以下が好ましく、より好ましくは1×10-4モル以上1×10-3モル以下である。
【0019】
六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セレン増感およびテルル増感のカルコゲン増感や金増感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終了前、水洗工程中、分散工程中、または化学増感工程前に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好ましい。
【0020】
尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加した後から開始してもよく、98質量%添加した後から開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特に好ましい。
【0021】
これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほとんどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。この六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可能となった。
【0022】
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第1〜18族までを示す)の第8族〜第10族の金属または金属錯体を含有することができる。周期律表の第8族〜第10族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくは、ロジウム、ルテニウム、イリジウムである。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9モルから1×10-3モルの範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法については特開平7-225449号、特開平11-65021号段落番号0018〜0024、特開平11-119374号段落番号0227〜0240に記載されている。
【0023】
さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)6]4-)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法については特開平11-84574号段落番号0046〜0050、特開平11-65021号段落番号0025〜0031、特開平11-119374号段落番号0242〜0250に記載されている。
【0024】
6)ゼラチン
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持することが必要であり、分子量は、10,000〜1,000,000のゼラチンを使用することが好ましい。また、ゼラチンの置換基をフタル化処理することも好ましい。これらのゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、粒子形成時に使用することが好ましい。
【0025】
7)増感色素
本発明に適用できる増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。増感色素及び添加法については、特開平11-65021号の段落番号0103〜0109、特開平10-186572号一般式(II)で表される化合物、特開平11-119374号の一般式(I) で表される色素及び段落番号0106、米国特許第5,510,236号、同第3,871,887号実施例5に記載の色素、特開平2-96131号、特開昭59-48753号に開示されている色素、欧州特許公開第0803764A1号の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特開2001-272747号、特開2001-290238号、特開2002-23306号等に記載されている。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。本発明において増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、脱塩工程後、塗布までの時期が好ましく、より好ましくは脱塩後から化学熟成が終了する前までの時期である。
本発明における増感色素の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量にすることができるが、画像形成層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10-4〜10-1モルである。
【0026】
本発明は分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色増感剤としては、欧州特許公開第587,338号、米国特許第3,877,943号、同第4,873,184号、特開平5-341432号、同11-109547号、同10-111543号等に記載の化合物が挙げられる。
【0027】
8)化学増感
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、硫黄増感法、セレン増感法もしくはテルル増感法にて化学増感されていることが好ましい。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物、例えば、特開平7-128768号等に記載の化合物等を使用することができる。特に本発明においてはテルル増感が好ましく、特開平11-65021号段落番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5-313284号中の一般式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好ましい。
【0028】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、上記カルコゲン増感と組み合わせて、あるいは単独で金増感法にて化学増感されていることが好ましい。金増感剤としては、金の価数が+1価または+3価が好ましく、金増感剤としては通常用いられる金化合物が好ましい。代表的な例としては塩化金酸、臭化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムブロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴールドなどが好ましい。また、米国特許第5858637号、特願2001−79450号に記載の金増感剤も好ましく用いられる。
【0029】
本発明においては、化学増感は粒子形成後で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。
本発明で用いられる硫黄、セレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モル程度を用いる。
金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7モルから10-3モル、より好ましくは10-6モル〜5×10-4モルである。
本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、温度としては40〜95℃程度である。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,917号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0030】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、還元剤を用いることが好ましい。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素が好ましく、その他に塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが好ましい。還元増感剤の添加は、結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でも良い。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することが好ましく、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することも好ましい。
【0031】
本発明における感光性ハロゲン化銀乳剤は、1光子で2電子を発生させる化合物としてFED増感剤(Fragmentable electron donating sensitizer)を含有することが好ましい。FED増感剤としては、米国特許第5747235号、同5747236、同6054260号、同5994051号、特願2001−86161号に記載の化合物が好ましい。FED増感剤の添加する工程としては結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でも好ましい。添加量としては、種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7モルから10-1モル、より好ましくは10-6モル〜5×10-2モルである。
【0032】
9)ハロゲン化銀の複数併用
本発明に用いられる感光材料中の感光性ハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化銀を複数種用いることで階調を調節することができる。これらに関する技術としては特開昭57-119341号、同53-106125号、同47-3929号、同48-55730号、同46-5187号、同50-73627号、同57-150841号などが挙げられる。感度差としてはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせることが好ましい。
【0033】
10)塗布量
感光性ハロゲン化銀の添加量は、感材1m2当たりの塗布銀量で示して、0.03〜0.6g/m2であることが好ましく、0.05〜0.4g/m2であることがさらに好ましく、0.07〜0.3g/m2であることが最も好ましく、有機銀塩1モルに対しては、感光性ハロゲン化銀は0.001〜0.7モル、好ましくは0.03〜0.5モル使用する。
【0034】
2.非感光性有機銀塩
本発明の特徴は、非感光性有機銀塩が脂肪酸銀よりなり、かつ、支持体への塗布量が脂肪酸モル換算で10mmol/m2以上15mmol/m2以下である熱現像感光材料を用いている点である。これ以外については非感光性有機銀塩として制限無く使用できるが、その詳細を以下に説明する。
【0035】
1)組成
本発明に係る非感光性有機銀塩粒子(以下、単に「有機銀塩」と称することがある。)は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。
有機銀塩としては、銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平06−130543号、同08−314078号、同09−127643号、同10−62899号の段落番号0048〜0049、特開平10−94074号、同10−94075号、欧州特許公開第0803764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号、同第1004930A2号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号、同2000−112057号、同2000−155383号の各公報等に記載されている。
【0036】
本発明の課題である揮散物質を低減した熱現像感光材料の実現は、この有機酸に大きく依存していることがわかった。また、熱現像により揮散する物質に有機酸およびその銀塩がかなりの割合で含まれているという事実を突き止めた。この事実をもとに、脂肪酸銀の構造および添加量について検討を重ね、画質を低下させること無く、揮散物質の低減を図る手法を確立した。
【0037】
本発明における非感光性有機銀塩としては、有機酸としては脂肪酸を使用し、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましく、有機酸の銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、これらの混合物などが挙げられる。これら有機銀塩の中でも、ベヘン酸銀含有率30モル%以上99モル%以下の有機酸銀を用いることが好ましい。特にベヘン酸銀含有率は50モル%以上99モル%以下であることが好ましい。最も好ましくは、80モル%以上99モル%以下のベヘン酸含有率の有機銀塩である。残りの有機銀塩としては、長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩、好ましくは炭素数10〜30、特に15〜28の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。
【0038】
2)形状
有機銀塩の形状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状結のものが好ましい。ハロゲン化銀写真感光材料分野で銀塩結晶粒子のサイズとその被覆力の間にある反比例の関係は良く知られている。この関係は本発明における熱現像感光材料においても成立し、熱現像感光材料の画像形成部である有機銀粒子が大きいと被覆力が低下し画像濃度が低くなることを意味する。従って、有機銀サイズを小さくすることが好ましい。本発明においては、短軸が0.01μm〜0.15μm、長軸が0.10μ〜5.0μmが好ましく、短軸が0.01μm〜0.15μm、長軸が0.10μ〜4.0μmがより好ましく、短軸が0.01μm〜0.15μm、長軸が0.10μ〜4.0μmがより好ましい。
【0039】
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。
【0040】
3)調製
3−1)有機溶媒添加用有機銀塩の調整
有機溶媒に添加して塗布溶液を調整する場合には、有機銀塩は有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属ソープを作製した後に水溶性銀塩(例えば硝酸銀)との混合によって作成されるが、ハロゲン化銀はそのどの段階でも混合することができる。主な混合段階としては、A)ハロゲン化銀を予め有機酸に添加しておき、アルカリ金属塩を加えた後に水溶性銀塩と混合する、B)有機酸のアルカリ金属ソープとハロゲン化銀を混合しておき、その後水溶性銀塩と混合する、C)有機酸のアルカリ金属ソープの一部を銀塩化してからハロゲン化銀を混合し、その後残りの銀塩化を行う、D)有機銀塩の終了した後の工程で、ハロゲン化銀を混合するの4工程がある。好ましいのは、B)またはC)であり、特に好ましいのはB)である。
【0041】
B)とC)においては、予め調製された感光性ハロゲン化銀を有機銀塩の調製の過程で混合し、ハロゲン化銀を含む有機銀塩の分散物を調製することが重要である。すなわち感光性ハロゲン化銀は非感光性有機銀塩の存在しないところで形成された後、有機銀塩の調整過程で混合される。有機銀塩に対してハロゲン化剤を添加することによってハロゲン化銀を形成する方法では十分な感度が達成できない場合があるからである。
D)としてハロゲン化銀と有機銀塩を混合する方法としては、別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があげられる。いずれの方法でも本発明の効果を好ましく得ることができる。
【0042】
これらの塩形成工程は、すべて水溶媒で行われ、その後、脱水、乾燥した後、MEK等の溶媒への再分散される。乾燥は気流式フラッシュジェットドライヤーにおいて酸素分圧15vol%以下で行うことが好ましく、15vol%以下0.01vol%以上で行うことがより好ましく、10vol%以下0.01vol%以上で行うことがさらに好ましい。
【0043】
3−2)水溶媒添加用有機銀塩の調整
溶媒として水を使用し、塗布溶液を調整する場合には、 公知の方法等を適用することができる。例えば上記の特開平10-62899号、欧州特許公開第0803763A1、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11-349591号、特開2000-7683号、同2000-72711号、同2001-163889号、同2001-163890号、同2001-163827号、同2001-33907号、同2001-188313号、同2001-83652号、同2002-6442、同2002-49117号、同2002-31870号、同2002-107868号等を参考にすることができる。
【0044】
なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本発明では、分散される水分散液中での感光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1molに対し1mol%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1mol%以下であり、さらに好ましいのは積極的な感光性銀塩の添加を行わないものである。
【0045】
本発明において有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液を混合して感光材料を製造することが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1〜30モル%の範囲が好ましく、更に2〜20モル%、特に3〜15モル%の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
【0046】
有機銀塩は、脂肪酸モル換算として10mmol/m2以上15mmol/m2以下である。ここで、脂肪酸モル換算とは、銀塩となった脂肪酸銀および原料として残存している脂肪酸の合計量を脂肪酸としてモル換算したものをいう。この範囲より多く脂肪酸および脂肪酸銀を含有する熱現像感光材料では、揮散物質が多くなり、露光機(ミラー等)や熱現像感光材料自身を汚染する。また、この範囲より少ない場合には、画像形成に問題を生じ、画像の保存安定性にも影響を与える。
【0047】
3.揮散防止手段
熱現像時に加熱されることにより熱現像感光材料中に含まれる種々の有機物の一部が気体化して膜外に揮発する。また、熱現像反応によって揮散性物質が生成することもある。このようにして生成した揮散性物質は、臭気の原因となったり、写真性能に影響を及ぼし、かぶり生じたり、あるいは逆に感度を低下させたりする。あるいは、露光装置や熱現像装置に付着し、露光のムラや現像ムラの原因となりうる。
従って、これらの悪影響がないように揮散性物質を感光材料に接触しないように装置に工夫をこらしたり、装置に揮散性物質を捕集するフィルターを設けるなどの対策を施す必要があった。このような対策は装置の複雑、大型化、および迅速処理性を損なうのもであった。
【0048】
一方、熱現像システムとして、迅速に大量の画像を露光し熱現像処理を可能にすること、また装置のコンパクト化することが要求されている。このような要求に応えるために熱現像感光材料は、高活性設計が要求され、膜厚を薄層化し中に含有する機能素材を高密度に含有し熱伝導の迅速化と反応の迅速化が図る努力が試みられている。
しかしながら、このような設計は上記の揮散性物質の発生と膜外への揮散をさらに増長せしめることになる。
【0049】
本発明においては、特に露光部と現像部の距離が30cmと短い熱現像機において、上記揮散物質による画像への影響を防止するために、画像形成層の上に熱現像中に発生した揮散物質の熱現像感光材料外に揮散するのを防止する手段を設けるのが好ましい。
本発明においては、支持体に対し画像形成層と同一面上であって、画像形成層よりも支持体から遠い位置に、揮散物質の発生を抑制する揮散防止手段を設けるのが好ましい。揮散防止手段は、支持体から最も遠い位置に設けられる表面保護層に設けても良いし、中間層に設けても良い。画像形成層が支持体に対して両面に設けられている場合には、揮散防止手段も両面に施すことが好ましい。本発明においては、これらの層を保護層またはバリアー層として機能させることが好ましく、下記に詳細を説明する。
また、以下に本発明において好ましい揮散防止手段を記載するが、これらの手段に限定されず、他の方法により揮散防止手段を設けることができる。
【0050】
1)保護層
揮散物質をトラップし揮散を防止する目的で、揮散物質と化学的あるいは物理的に結合する化合物を保護層に添加することができる。
このような揮散物質をトラップする化合物としては、−NH−結合を有する化合物が好ましい。分子中に−NH−結合を有する化合物としては、とりわけアミノ結合、尿素結合、アミド結合又はイミド結合を有する化合物が有効である。具体的にはヘキサメチレンジアミン、モルホリン、2−アミノ−4,5−ジシアノイミダゾール、3−アザヘキサン−1,6−ジアミン、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、α−アミノ−カプロラクタム、アセトグアナミン、グアニン、アセトアルデヒドアンモニア、4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリアニリン等がある。尿素結合を持った化合物としては尿素、チオ尿素、メチル尿素、エチル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、エチレン尿素、グアニル尿素、グアニルチオ尿素、アゾジカルボンアミド、グリコリルウレア、アセチルウレア等がある。アミド結合を持った化合物としてはホルムアミド、アセトアミド、ベンズアミド、オキサミド、オキサミン酸、コハク酸アミド、マロンアミド等がある。イミド結合を持った化合物としてはスクシンイミド、フタルイミド、マレイミド、1−メチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、アラントイン化合物、イソシアヌル酸、アゾール化合物、アジン化合物、ピリダジン化合物等がある。
【0051】
アゾール化合物としては、例えばジアゾール化合物、トリアゾール化合物、チアジアゾール化合物等を挙げることができ、ジアゾール化合物及びトリアゾール化合物が好ましく使用される。
【0052】
ジアゾール化合物の具体例としては、例えば3−メチル−5−ピラゾロン、1,3−ジメチル−5−ピラゾロン、3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン、3−フェニル−6−ピラゾロン、3−メチル−1−(3−スルホフェニル)−5−ピラゾロン等のピラゾロン化合物、ピラゾール、3−メチルピラゾール、1,4−ジメチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3,5−ジメチル−1−フェニルピラゾール、3−アミノピラゾール、5−アミノ−3−メチルピラゾール、3−メチルピラゾール−5−カルボン酸、3−メチルピラゾール−5−カルボン酸メチルエステル、3−メチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル、3,5−メチルピラゾールジカルボン酸等のピラゾール化合物等を挙げることができる。
【0053】
トリアゾール化合物の具体例としては、例えば1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジ−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール−3−オン、ウラゾール(3,5−ジオキシ−1,2,4−トリアゾール)、1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸、5−ヒドロキシ−7−メチル−1,3,8−トリアザインドリジン等を挙げることができる。
【0054】
これらの中でも、アゾール化合物が好ましく、アゾール化合物の中でも1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール等のトリアゾール化合物、3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール化合物及び3−メチル−5−ピラゾロン等のピラゾロン化合物が特に好ましい。
【0055】
チアジアゾール化合物の具体例としては、例えば2−アミノ−5−エチル−1,3,4−チアジアゾール、5−アミノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−t−ブチル−2−メチルアミノ−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール等を挙げることができる。
【0056】
アジン化合物としては、例えばジアジン化合物、トリアジン化合物、ピリダジン化合物等を挙げることができ、これらの中でもピリダジン化合物が好ましく使用できる。
【0057】
ジアジン化合物の具体例としては、例えば1,3−ジアジン、2−アミノ−4,6−ジメチル−1,3−ジアジン、4,6−ジヒドロキシ−1,3−ジアジン、2−メルカプト−1,3−ジアジン、2−アミノ−1,3−ジアジン、2,4−ジヒドロキシ−1,3−ジアジン等の1,3−ジアジン類、2−アミノ−1,4−ジアジン、2,3−ジメチル−1,4−ジアジン、2−メチル−1,4−ジアジン、1,4−ジアジン−2−カルボン酸、2,3,5−トリメチル−1,4−ジアジン等の1,4−ジアジン類等を挙げることができる。
【0058】
トリアジン化合物の具体例としては、例えば3−アミノ−5,6−ジメチル−1,2,4−トリアジン、3−ヒドロキシ−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン、ベンゾ−1,2,3−トリアジン−4(3H)−オン、3−(2−ピリジル)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン等を挙げることができる。
【0059】
ピリダジン化合物の具体例としては、例えば、ピリダジン、6−メチル−8−ヒドロキシトリアゾロピリダジン、4,5−ジクロロ−3−ピリダジン、6−メチル−3−ピリダゾン等を挙げることができる。
【0060】
1−アミノピロリジン化合物の具体例としては、例えば1−アミノピロリジン及びその無機酸塩等を挙げることができる。1−アミノピロリジン化合物の無機酸塩としては、より具体的には1−アミノピロリジン化合物の塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩等が挙げられる。
【0061】
本発明における−NH−結合を有する化合物の添加量は多ければ多いほど、熱現像時の低分子物質の揮散は抑えられるが、写真性能への影響や化合物のブリードアウト、添加した化合物自身の臭気により、添加できる量は制限される。
【0062】
好ましい添加量としては0.2〜5g/m2、より好ましくは0.5〜2g/m2である。ポリマーの側鎖あるいは主鎖として含まれている場合にはより多く用いることができる。好ましい添加量としては0.2〜20g/m2、より好ましくは1〜10g/m2である。
【0063】
保護層は、−NH−結合を有する化合物のほかにバインダーを含有する。
バインダーとしては、いかなるポリマーを使用してもよい。このバインダーの例としては、ポリエステル、ゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体などがあるが、セルロース誘導体が好ましい。セルロース誘導体の例を以下に挙げるがこれらに限られるわけではない。セルロース誘導体としては、例えば、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルコース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどやこれらの混合物がある。
【0064】
上記−NH−結合を有する化合物は前述のバインダーの構造中に側鎖又は主鎖とに含有させてもよい。このように−NH−結合を有する化合物をバインダーの構造中に側鎖又は主鎖として含有させることは、熱現像感光材料の写真性能への影響や化合物のブリードアウトを防止できる点から好ましい。
保護層は、その機能を発現するためには0.2μm以上10μm以下であることが望ましい。好ましくは、1μm以上5μm以下であり、さらに好ましくは1.5μm以上3.0μm以下である。
【0065】
保護層は、単層であっても多層であっても良い。多層を設ける場合に、同一の−NH−結合を有する化合物であっても、異なる化合物であっても良い。
【0066】
2)バリアー層
熱現像中に発生した揮散物質の熱現像感光材料外に揮散するのを防止する手段として、画像形成層よりも外層に揮散するのを防止しうるバリア層を設けることが好ましい。バリアー層としては、US特許第6352819、同6352820、同6350561などに記載されているポリマーを用いることができる。
【0067】
バリアー層には、ポリビニルアルコール、ポリスチレンならびにその共重合体、塩化ビニルや酢酸ビニルの共重合体、水溶性ならびに水不溶性ポリエステル、ゼラチンならびにその誘導体、およびポリビニルピロリドンより選ばれる少なくとも1つのポリマーを含有することが好ましい。特に好ましくはポリスチレン、酢酸ビニルポリマー、およびポリビニルアルコールである。ポリスチレンとしては平均分子量が10万以上が好ましい。ここで分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)のスチレン換算により算出した数平均分子量をいう(以下、分子量と記載してある箇所は、すべてこの数平均分子量を意味する)。ポリビニルアルコールとしては鹸化率が88%以上の高結晶性ポリビニルアルコールが好ましい。
さらに好ましくは、これらのポリマーは分子内にエポキシ基を反応基として2つ以上有する架橋性ポリマーである。例えば、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートを共重合したポリスチレンが好ましい。
【0068】
ポリエステルとしては、ガラス転移温度(Tg)が150℃以上で平均分子量が10,000以上の水不溶性、皮膜形成ポリマーが好ましい。
さらに好ましくはTgが170℃以上、最も好ましくは190℃以上である。皮膜性の点からTgは300℃以下である必要がある。分子量は、より好ましくは20,000以上、25万以下である。
好ましいポリエステルは水不溶性ポリエステルである有機溶剤可溶性の芳香族ポリエステルであり、芳香族ニ塩基酸類とジヒドロキシフェノール類の反応で合成される。
芳香族ニ塩基酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,5−ジブロモテレフタル酸などがある。テレフタル酸とイソフタル酸を混合して用いることが特に好ましい。
ジヒドロキシフェノールとしては、4,4’−(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフェノール(ビスフェノールAF)、4,4’−(イソプロピリデン)ジフェノール(ビスフェノールA)、4,4’−イソプロピリデンー2,2’,6,6’−テトラクロロビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンー2,2’,6,6’−テトラブロモビスフェノールなどがある。特に好ましいのは4,4’−(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフェノール(ビスフェノールAF)である。
【0069】
バリアー層として好ましいポリマーのもう一つの群は、皮膜形成性ポリアクリレートあるいはポリメタクリレートである。通常良く知られているアクリレートモノマー、およびメタクリレートモノマーを用いて定法により用意に合成することができる。
好ましくは、分子内にエポキシ基を反応基として2つ以上有する架橋性ポリマーである。例えば、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートを共重合したポリアクリレートあるいはポリメタクリレートが好ましい。
平均分子量は、好ましくは8000以上、25万以下である。
【0070】
本発明のバリアー層は、その皮膜性を損なわない限りその他のポリマーを含んでも良い。例えば、セルロースエステル類、ポリエステル類、ポリウレタン類などを併用しても良い。好ましくは、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシメチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステルである。
混合比率は、バリアー層全体に対して0質量%〜95質量%、好ましくは50質量%〜75質量%である。
【0071】
バリアー層には、界面活性剤、潤滑剤、マット剤、架橋剤、熱現像のために色調剤、イラジェーション防止染料などの添加剤を含んでも良い。
【0072】
バリアー層の厚みは、その機能を発現するためには0.2μm以上10μm以下であることが望ましい。好ましくは、1μm以上5μm以下であり、さらに好ましくは1.5μm以上3.0μm以下である。
【0073】
バリアー層に前記の揮散物質をトラップする化合物として、‐NH‐基を有する化合物を併用することができる。
【0074】
3)その他
前記の揮散物質をトラップする化合物を含む層とバリアー層を併用することができ、揮散防止手段としてより好ましい。この際、支持体に対し画像形成層よりも遠い位置であれば、これらの層の支持体上に積層する順序には制限が無い。
【0075】
4.還元剤
本発明の熱現像感光材料は、有機銀塩のための還元剤を含む。該還元剤は、銀イオンを金属銀に還元できる任意の物質(好ましくは有機物)でよい。該還元剤の例は、特開平11―65021号、段落番号0043〜0045や、欧州特許0803764号、p.7、34行〜p.18、12行に記載されている。
【0076】
本発明においては、フェノール性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダードフェノール系還元剤、あるいはビスフェノール系還元剤が好ましく、ビスフェノール系還元剤がより好ましい。特に次の一般式(R)で表される化合物が好ましい。
【0077】
一般式(R)
【化1】
Figure 0004163469
【0078】
一般式(R)においては、R11およびR11'は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12およびR12'は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。X1およびX1'は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。
【0079】
各置換基について詳細に説明する。
1)R11およびR11'
11およびR11'は各々独立に置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等があげられる。
【0080】
2)R12およびR12'、X1およびX1'
12およびR12'は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。
1およびX1'は、各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルアミノ基があげられる。
【0081】
3)L
Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。
13の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基などがあげられる。
【0082】
アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基などがあげられる。
【0083】
4)好ましい置換基
11およびR11'として好ましくは炭素数3〜15の2級または3級のアルキル基であり、具体的にはイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロプロピル基などがあげられる。R11およびR11'としてより好ましくは炭素数4〜12の3級アルキル基で、その中でもt−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
【0084】
12およびR12'として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基などがあげられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基である。
【0085】
1およびX1'は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基で、より好ましくは水素原子である。
【0086】
Lは好ましくは−CHR13−基である。
【0087】
13として好ましくは水素原子または炭素数1〜15のアルキル基であり、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基が好ましい。R13として特に好ましいのは水素原子、メチル基、プロピル基またはイソプロピル基である。
【0088】
13が水素原子である場合、R12およびR12'は好ましくは炭素数2〜5のアルキル基であり、エチル基、プロピル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。
【0089】
13が炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基である場合、R12およびR12'はメチル基が好ましい。R13の炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基が更に好ましい。
【0090】
11、R11'およびR12、R12'とがいずれもメチル基である場合、R13は2級のアルキル基であることが好ましい。この場合、R13の2級アルキル基としてはイソプロピル基、イソブチル基、1−エチルペンチル基が好ましく、イソプロピル基がより好ましい。
【0091】
上記還元剤は、R11、R11'およびR12およびR12'、およびR13の組合せにより、種々の熱現像性能が異なる。2種以上の還元剤を種々の混合比率で併用することによってこれらの熱現像性能を調整することができるので、目的によっては還元剤を2種類以上組み合わせて使用することが好ましい。
【0092】
以下に本発明の一般式(R)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0093】
【化2】
Figure 0004163469
【0094】
【化3】
Figure 0004163469
【0095】
【化4】
Figure 0004163469
【0096】
本発明において還元剤の添加量は0.01〜5.0g/m2であることが好ましく、0.1〜3.0g/m2であることがより好ましく、画像形成層を有する面の銀1モルに対しては5〜50%モル含まれることが好ましく、10〜40モル%で含まれることがさらに好ましい。
【0097】
本発明の還元剤は、有機銀塩、および感光性ハロゲン化銀を含む画像形成層、およびその隣接層に添加することができるが、画像形成層に含有させることがより好ましい。
【0098】
本発明の還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。好ましくは、還元剤を塗布溶媒に溶解して感光材料に含有させる溶液形態の方法である。
【0099】
5.カブリ防止剤
本発明の熱現像感光材料において、ハロゲン化銀乳剤または/及び有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤及び安定剤前駆体によって、付加的なかぶりの生成に対して更に保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化させることができる。単独または組合せて使用することができる適当なカブリ防止剤、安定剤及び安定剤前駆体は、米国特許第2,131,038号明細書及び同第2,694,716号明細書に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,487号明細書及び同第2,444,605号明細書に記載のアザインデン、特開平9−329865号及び米国特許第6,083,681号明細書に記載の化合物、米国特許第2,728,663号明細書に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号明細書に記載のウラゾール、米国特許第3,235,652号明細書に記載のスルホカテコール、英国特許第623,448号明細書に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405号明細書に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号明細書に記載のチウロニウム塩、米国特許第2,566,263号明細書及び同第2,597,915号明細書に記載のパラジウム、白金及び金塩、米国特許第4,108,665号明細書及び同第4,442,202号明細書に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557号明細書、同第4,137,079号明細書、第4,138,365号明細書及び同第4,459,350号明細書に記載のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号明細書に記載のリン化合物などがある。
【0100】
カブリ防止剤としては有機ハロゲン化物が好適であり、中でもポリハロメチル化合物、特にトリハロメチルスルホン化合物が好ましい。更には、次の一般式(PO)の化合物であることが好ましい。
一般式(PO): Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X
式中、Qはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0または1を表し、Z1、Z2はハロゲン原子を表し、Xは水素原子、または電子求引性基を表す。
【0101】
Qは窒素原子を1ないし3含有する含窒素へテロ環基が好ましく、2−ピリジル基、2−キノリル基が特に好ましい。
【0102】
Xは、好ましくは電子求引性基であり、より好ましくはハロゲン原子、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0103】
Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表し、より好ましくは−C(=O)−、−SO2−であり、特に夕子ましくは−SO2−である。nは、0または1を表し、好ましくは1である。
【0104】
以下に本発明の一般式(PO)の化合物を示すが本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0105】
【化5】
Figure 0004163469
【0106】
本発明の一般式(PO)で表される化合物は画像形成層の非感光性銀塩1モルあたり10-4〜1モルの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10-3〜0.5モルの範囲で、さらに好ましくは1×10-2〜0.2モルの範囲で使用することが好ましい。
【0107】
6.現像促進剤
本発明の熱現像感光材料では、現像促進剤を添加することが好ましい。現像促進剤としては特開2000-267222号や特開2000-330234号等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開平2001-92075号に記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10-62895号や特開平11-15116号等に記載の一般式(I)、特願2001-074278号に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物、特開2001-264929号に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物が好ましく用いられる。これらの現像促進剤は還元剤に対して0.1〜20モル%の範囲で使用され、好ましくは0.5〜10モル%の範囲で、より好ましくは1〜5モル%の範囲である。感材への導入方法は還元剤と同様の方法があげられるが、特に溶液形態として添加することが好ましい。
本発明においては上記現像促進剤の中でも、特願2001-074278号に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物および特開2001-264929号に記載されている一般式(2)で表されるナフトール系の化合物が特に好ましい。
以下、本発明の現像促進剤の好ましい具体例を挙げる。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0108】
【化6】
Figure 0004163469
【0109】
7.水素結合性化合物
本発明では、還元剤基の芳香族性の水酸基(−OH)と反応し、水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。水酸基と水素結合を形成する基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物は下記一般式(D)で表される化合物である。
一般式(D)
【0110】
【化7】
Figure 0004163469
【0111】
一般式(D)においてR21ないしR23は各々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。R21ないしR23が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基などがあげられ、置換基として好ましいのはアルキル基またはアリール基でたとえばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、4−アシルオキシフェニル基などがあげられる。
21ないしR23のアルキル基としては具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2−フェノキシプロピル基などがあげられる。アリール基としてはフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としてはフェノキシ基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
【0112】
21ないしR23としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。本発明の効果の点ではR21ないしR23のうち少なくとも一つ以上がアルキル基またはアリール基であることが好ましく、二つ以上がアルキル基またはアリール基であることがより好ましい。また、安価に入手する事ができるという点ではR21ないしR23が同一の基である場合が好ましい。
以下に本発明における一般式(D)で表される化合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0113】
【化8】
Figure 0004163469
【0114】
【化9】
Figure 0004163469
【0115】
水素結合性化合物の具体例は上述の他に欧州特許1096310号、特願2000-270498号、同2001-124796号に記載のものがあげられる。
本発明で用いられる一般式(D)で表される化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、感光材料中で使用することができるが、溶液形態としてから使用することが好ましい。この一般式(D)で表される化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基を有する化合物と水素結合性の錯体を形成しており、還元剤と一般式(D)で表される化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。このようにして単離した結晶粉体を塗布溶媒に溶解した溶液形態として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。
この一般式(D)で表される化合物は還元剤に対して、1〜200モル%の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10〜150モル%の範囲で、さらに好ましくは20〜100モル%の範囲である。
【0116】
8.バインダーの説明
本発明の感光材料における画像形成層のバインダーはいかなるポリマーを使用してもよく、好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。
【0117】
バインダーは必要に応じて2種以上を併用しても良い。この場合、ガラス転移温度(以下Tgと記載する)が異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用しても良い。
【0118】
なお、本明細書においてTgは下記の式で計算した。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、 Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley-Interscience、1989))の値を採用した。
【0119】
1)有機溶媒用バインダー
バインダーは下記に示すような有機溶媒を用いて塗布される場合、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ブチルエチルセルロース、メタクリレートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ポリスチレン及びブタジエン―スチレンコポリマーなどから任意のものを使用することができる。特に、画像形成層では、バインダーとしてポリビニルブチラールを含むことが好ましく、具体的にはバインダーとしてポリビニルブチラールを画像形成層のバインダー全組成分に対して50質量%以上使用するものである。当然ながら、コポリマー及びターポリマーも含まれる。ポリビニルブチラールの好ましい総量は、画像形成層のバインダー全組成分に対して50質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以上100質量%以下である。バインダーのTgは40〜90℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは50〜80℃である。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その重量平均Tgが上記の範囲にはいることが好ましい。
【0120】
バインダー総量は、例えば、画像形成層の成分をその層中に保持するのに十分な量で使用される。すなわち、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で使用される。効果的な範囲は、当業者が適切に決定することができる。少なくとも有機銀塩を保持する場合の目安として、バインダーと有機銀塩との割合は質量比で15:1〜1:3、特に8:1〜1:2の範囲が好ましい。
【0121】
溶剤の例としては新版溶剤ポケットブック(オーム社、1994年刊)などに挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本発明で使用する溶剤の沸点としては40℃以上180℃以下のものが好ましい。溶剤の例として具体的には、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、1,1,1−トリクロロエタン、テトラヒドロフラン、トリエチルアミン、チオフェン、トリフルオロエタノール、パーフルオロペンタン、キシレン、n−ブタノール、フェノール、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、炭酸ジエチル、クロロベンゼン、ジブチルエーテル、アニソール、エチレングリコールジエチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、モルホリン、プロパンスルトン、パーフルオロトリブチルアミン、水などが挙げられる。中でも、メチルエチルケトンが適度な沸点を有し、塗布膜の均一な面状を得てかつ乾燥の負荷が軽く溶剤の残留量が少なくできるため好ましく用いられる。
【0122】
塗布に用いた溶剤は塗布乾燥後、膜中に残存する量は出来るだけ少なくすることが好ましい。残留溶剤は、一般には現像感光材料を露光あるいは熱現像時に環境に初揮発して不快にさせまた健康上にも好ましくない。
【0123】
本発明では、MEKを使用した場合、MEKの残留溶剤量は、好ましくは0.1mg/m2〜150mg/m2、より好ましくは0.1mg/m2〜80mg/m2、さらに好ましくは0.1mg/m2〜40mg/m2である。
本発明においては、上記の有機溶媒を用いて塗布溶液を調整することが好ましいが、次に挙げるように水溶媒で塗布溶液を調整することも可能である。
【0124】
1)水溶媒用バインダー
有機銀塩含有層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾燥して形成される場合に、さらに有機銀塩含有層のバインダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶または分散可能である場合には、特に25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。最も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製されたものであり、このような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法が挙げられる。
【0125】
ここでいう前記ポリマーが可溶または分散可能である水系溶媒とは、水または水に70質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したものである。水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミドなどを挙げることができる。
【0126】
なお、ポリマーが熱力学的に溶解しておらず、いわゆる分散状態で存在している系の場合にも、ここでは水系溶媒という言葉を使用する。
【0127】
また「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの重量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの重量W0を用いて以下のように表すことができる。
25℃60%RHにおける平衡含水率=[(W1-W0)/W0]×100(質量%)
【0128】
含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
【0129】
25℃60%RHにおける平衡含水率は2質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1質量%以下が望ましい。
【0130】
分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分散しているものなどいずれでもよいが、ラテックス分散した粒子がより好ましい。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、好ましくは5〜1000nmの範囲で、より好ましくは10〜500nmの範囲、さらに好ましくは50〜200nmの範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
【0131】
本発明において水系溶媒に分散可能なポリマーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜200000がよい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。また、架橋性のポリマーラッテクスは特に好ましく使用される。
【0132】
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
【0133】
P-1;-MMA(70)-EA(27)-MAA(3)-のラテックス(分子量37000、Tg61℃)
P-2;-MMA(70)-2EHA(20)-St(5)-AA(5)-のラテックス(分子量40000、Tg59℃)
P-3;-St(50)-Bu(47)-MAA(3)-のラテックス(架橋性、Tg-17℃)
P-4;-St(68)-Bu(29)-AA(3)-のラテックス(架橋性、Tg17℃)
P-5;-St(71)-Bu(26)-AA(3)-のラテックス(架橋性,Tg24℃)
P-6;-St(70)-Bu(27)-IA(3)-のラテックス(架橋性)
P-7;-St(75)-Bu(24)-AA(1)-のラテックス(架橋性、Tg29℃)
P-8;-St(60)-Bu(35)-DVB(3)-MAA(2)-のラテックス(架橋性)
P-9;-St(70)-Bu(25)-DVB(2)-AA(3)-のラテックス(架橋性)
P-10;-VC(50)-MMA(20)-EA(20)-AN(5)-AA(5)-のラテックス(分子量80000)
P-11;-VDC(85)-MMA(5)-EA(5)-MAA(5)-のラテックス(分子量67000)
P-12;-Et(90)-MAA(10)-のラテックス(分子量12000)
P-13;-St(70)-2EHA(27)-AA(3)のラテックス(分子量130000、Tg43℃)
P-14;-MMA(63)-EA(35)- AA(2)のラテックス(分子量33000、Tg47℃)
P-15;-St(70.5)-Bu(26.5)-AA(3)-のラテックス(架橋性,Tg23℃)
P-16;-St(69.5)-Bu(27.5)-AA(3)-のラテックス(架橋性,Tg20.5℃)
【0134】
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート,EA ;エチルアクリレート、MAA;メタクリル酸,2EHA;2-エチルヘキシルアクリレート,St;スチレン,Bu;ブタジエン,AA;アクリル酸,DVB;ジビニルベンゼン,VC;塩化ビニル,AN;アクリロニトリル,VDC;塩化ビニリデン,Et;エチレン,IA;イタコン酸。
【0135】
以上に記載したポリマーラテックスは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA-4635,4718,4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD-size、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以 上大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上旭化成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。
【0136】
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
【0137】
本発明に用いられるポリマーラテックスとしては、特に、スチレン-ブタジエン共重合体のラテックスが好ましい。スチレン-ブタジエン共重合体におけるスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との重量比は40:60〜95:5であることが好ましい。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との共重合体に占める割合は60〜99質量%であることが好ましい。また、本発明のポリマーラッテクスはアクリル酸またはメタクリル酸をスチレンとブタジエンの和に対して1〜6質量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜5質量%含有する。本発明のポリマーラテックスはアクリル酸を含有することが好ましい。好ましい分子量の範囲は前記と同様である。
【0138】
本発明に用いることが好ましいスチレン-ブタジエン酸共重合体のラテックスとしては、前記のP-3〜P-8,15、市販品であるLACSTAR-3307B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられる。
【0139】
本発明の感光材料の有機銀塩含有層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は有機銀塩含有層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
【0140】
また、有機銀塩含有層は、通常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された感光性層(乳剤層)でもあり、このような場合の、全バインダー/ハロゲン化銀の重量比は400〜5、より好ましくは200〜10の範囲である。
【0141】
水溶媒で調整した場合の画像形成層の全バインダー量は好ましくは0.2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2、さらに好ましくは2〜10g/m2の範囲である。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0142】
10.界面活性剤
本発明に適用できる界面活性剤については特開平11-65021号段落番号0132、溶剤については同号段落番号0133、支持体については同号段落番号0134、帯電防止又は導電層については同号段落番号0135、カラー画像を得る方法については同号段落番号0136に、滑り剤については特開平11-84573号段落番号0061〜0064や特願平11-106881号段落番号0049〜0062記載されている。
本発明においてはフッ素系の界面活性剤を使用することが好ましい。フッ素系界面活性剤の具体例は特開平10-197985号、特開2000-19680号、特開2000-214554号等に記載された化合物があげられる。また、特開平9-281636号記載の高分子フッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。本発明の熱現像感光材料においては特開2002-82411号、特願2001-242357号および特願2001-264110号記載のフッ素系界面活性剤の使用が好ましい。特に特願2001-242357号および特願2001-264110号記載のフッ素系界面活性剤は水系の塗布液で塗布製造を行う場合、帯電調整能力、塗布面状の安定性、スベリ性の点で好ましく、特願2001-264110号記載のフッ素系界面活性剤は帯電調整能力が高く使用量が少なくてすむという点で最も好ましい。
本発明においてフッ素系界面活性剤は乳剤面、バック面のいずれにも使用することができ、両方の面に使用することが好ましい。また、前述の金属酸化物を含む導電層と組み合わせて使用することが特に好ましい。この場合には導電層を有する面のフッ素系界面活性剤の使用量を低減もしくは除去しても十分な性能が得られる。
フッ素系界面活性剤の好ましい使用量は乳剤面、バック面それぞれに0.1mg/m2〜100mg/m2の範囲で、より好ましくは0.3mg/m2〜30mg/m2の範囲、さらに好ましくは1mg/m2〜10mg/m2の範囲である。特に特願2001-264110号記載のフッ素系界面活性剤は効果が大きく、0.01〜10mg/m2の範囲が好ましく、0.1〜5mg/m2の範囲がより好ましい。
【0143】
11.色調剤の説明
本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開平10−62899号の段落番号0054〜0055、欧州特許0803764A1号のp.21,23行〜48行、特開2000−356317号や特願2000−187298号に記載されており、特に、フタラジノン類(フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロー1,4−フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウムおよびテトラクロロ無水フタル酸)の組み合わせ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチルフタラジン、6−クロロフタラジン、5.7−ジメトキシフタラジン、および2,3−ジヒドロフタラジン)が好ましく、特に、ヨウ化銀含有率の高い組成のハロゲン化銀との組み合わせにおいては、フタラジン類とフタル酸類の組み合わせが好ましい。
【0144】
また、本発明においては、フタラジン類を添加することにより、フタラジン類が揮散物質として露光部および現像部周辺加えて熱現像感光材料自身を汚染する恐れがあるので、下記一般式(I)で表されるフタラジンを用いることが好ましい。
【0145】
【化10】
Figure 0004163469
【0146】
11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表し、これらの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。但し、R11、R12、R13、R14、R15およびR16が全て水素原子であることはない。置換基としては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、更に好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、更に好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、更に好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、更に好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、更に好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、更に好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、更に好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、更に好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、更に好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、更に好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、更に好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、更に好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、更に好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシル、などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、ヘテロ環基(例えばイミダゾリル、ピリジル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、チエニルなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されていてもよく、塩形成可能な置換基は塩を形成していてもよい。R11〜R16が結合して形成される環としては、ジオキソレン環、ベンゼン環等がある。
【0147】
本発明において一般式(I)の化合物は、R11、R12、R13およびR14として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基であり、特に好ましくは、水素原子、アルキル基である。R15およびR16として好ましくは水素原子である。
【0148】
本発明の一般式(I)で表される化合物は、例えば、R.G.ElderField, "Heterocyclic Compounds", John Wiley and Sons,Vol.1〜9,(1950-1967)やA.R.Katritzky,"Comprehensive Heterocyclic Chemistry",Pergamon Press,(1984)などに記載されている既知の方法によって、当業者であれば容易に合成することができる。
【0149】
以下に一般式(I)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0150】
【化11】
Figure 0004163469
【0151】
【化12】
Figure 0004163469
【0152】
【化13】
Figure 0004163469
【0153】
【化14】
Figure 0004163469
【0154】
【化15】
Figure 0004163469
【0155】
【化16】
Figure 0004163469
【0156】
【化17】
Figure 0004163469
【0157】
【化18】
Figure 0004163469
【0158】
尚、従来医療診断用の出力画像の色調に関しては、冷調な画像調子の方が、レントゲン写真の判読者にとってより的確な記録画像の診断観察結果が得やすいと言われている。ここで、冷調な画像調子とは、純黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であり、温調な画像調子とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調であることをいう。
【0159】
11.その他の添加剤
本発明では、現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができ、特開平10-62899号の段落番号0067〜0069、特開平10-186572号の一般式(I)で表される化合物及びその具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1号の第20ページ第36〜56行に記載されている。その中でも特開平9-297367号、特開平9-304875号、特開2001-100358号、特願2001-104213号、特願2001-104214等に記載されているメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
【0160】
本発明の画像形成層に用いることのできる可塑剤および潤滑剤については特開平11-65021号段落番号0117に記載されている。滑り剤については特開平11-84573号段落番号0061〜0064や特願平11-106881号段落番号0049〜0062記載されている。
【0161】
本発明の画像形成層には色調改良、レーザー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料(例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができる。これらについてはWO98/36322号、特開平10-268465号、同11-338098号等に詳細に記載されている。
【0162】
印刷製版用途に適した超硬調画像形成のためには、画像形成層に超硬調化剤を添加することが好ましい。超硬調化剤やその添加方法及び添加量については、同号公報段落番号0118、特開平11−223898号公報段落番号0136〜0193、特願平11−87297号明細書の式(H)、式(1)〜(3)、式(A)、(B)の化合物、特願平11−91652号明細書記載の一般式(III)〜(V)の化合物(具体的化合物:化21〜化24)、硬調化促進剤については特開平11−65021号公報段落番号0102、特開平11−223898号公報段落番号0194〜0195に記載されている。
【0163】
蟻酸や蟻酸塩を強いかぶらせ物質として用いるには、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を有する側に銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下で含有させることが好ましい。
本発明の熱現像感光材料で超硬調化剤を用いる場合には五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩を併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩の使用量(感光材料1m2あたりの塗布量)は感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1〜500mg/m2が好ましく、0.5〜100mg/m2がより好ましい。
【0164】
12.層構成の説明およびその他の構成成分の説明
本発明の熱現像感光材料は、支持体上に少なくとも1層の画像形成層を有していれば良い。また、支持体に対して一方の側に画像形成性層を1層または多層設けられていても良く、支持体の両側に画像形成層を1層または多層設けられていても良い。
【0165】
画像形成層に加えて非画像形成層を有することができ、少なくとも1層の非画像形成層を有していることが好ましい。
非画像形成層は、その配置から(a)画像形成層の上(支持体よりも遠い側)に設けられる表面保護層、(b)複数の画像形成層の間や画像形成層と保護層の間に設けられる中間層、(c)画像形成層と支持体との間に設けられる下塗り層、(d)画像形成層の反対側に設けられるバック層に分類できる。
【0166】
また、光学フィルターとして作用する層を設けることができるが、(a)または(b)の層として設けられる。アンチハレーション層は、(c)または(d)の層として感光材料に設けられる。
【0167】
これらの層は、それぞれ1層からなっていても、2層以上からなっていてもよいが、本発明においては、画像形成層が2層以上からなることが好ましい。
【0168】
1)表面保護層
本発明における熱現像感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。本発明においては、特に熱現像感光材料からの揮散を抑えるため、表面保護層を設けることが好ましい。表面保護層は単層でもよいし、複数層であってもよい。表面保護層については、特開平11-65021号段落番号0119〜0120、特願2000-171936号に記載されている。
【0169】
表面保護層のバインダーとしては、いかなるポリマーを使用してもよい。このバインダーの例としては、ポリエステル、ゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体などがあるが、セルロース誘導体が好ましい。
【0170】
表面保護層には、いかなる付着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例としては、ワックス、流動パラフィン、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー性ブロックコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン)、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートやこれらの混合物などがある。
【0171】
本発明では、熱現像時の低分子物質の揮散を抑えるため、表面保護層の厚さは0.1〜10μmが好ましく、特に2μm〜10μm以上であることが好ましい。
【0172】
2)アンチハレーション層
本発明の熱現像感光材料においては、アンチハレーション層を画像形成層に対して露光光源から遠い側に設けることができる。アンチハレーション層については特開平11-65021号段落番号0123〜0124、特開平11-223898号、同9-230531号、同10-36695号、同10-104779号、同11-231457号、同11-352625号、同11-352626号等に記載されている。
【0173】
アンチハレーション層には、露光波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含有する。露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない染料が好ましい。
【0174】
可視域に吸収を有する染料を用いてハレーション防止を行う場合には、画像形成後には染料の色が実質的に残らないようにすることが好ましく、熱現像の熱により消色する手段を用いることが好ましく、特に非画像形成層に熱消色染料と塩基プレカーサーとを添加してアンチハレーション層として機能させることが好ましい。これらの技術については特開平11-231457号等に記載されている。
【0175】
消色染料の添加量は、染料の用途により決定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用する。光学濃度は、0.2〜2であることが好ましい。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.001〜1g/m2程度である。
【0176】
なお、このように染料を消色すると、熱現像後の光学濃度を0.1以下に低下させることができる。二種類以上の消色染料を、熱消色型記録材料や熱現像感光材料において併用してもよい。同様に、二種類以上の塩基プレカーサーを併用してもよい。
【0177】
このような消色染料と塩基プレカーサーを用いる熱消色においては、特開平11-352626号に記載のような塩基プレカーサーと混合すると融点を3℃以上降下させる物質(例えば、ジフェニルスルホン、4−クロロフェニル(フェニル)スルホン)を併用することが熱消色性等の点で好ましい。
【0178】
3)バック層
本発明に適用することのできるバック層については特開平11-65021号段落番号0128〜0130に記載されている。
【0179】
バック層のバインダーとしては、透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水または有機溶媒またはエマルジョンから被覆形成してもよい。
【0180】
本発明においては、銀色調、画像の経時変化を改良する目的で300〜450nmに吸収極大を有する着色剤を添加することができる。このような着色剤は、特開昭62-210458号、同63-104046号、同63-103235号、同63-208846号、同63-306436号、同63-314535号、特開平01-61745号、特願平11-276751号などに記載されている。このような着色剤は、通常、0.1mg/m2〜1g/m2の範囲で添加され、添加する層としては画像形成層の反対側に設けられるバック層が好ましい。
【0181】
4)帯電防止層
また、本発明では、公知の種々の金属酸化物あるいは導電性ポリマーなどを含む帯電防止層を有しても良い。帯電防止層は前述の下塗り層、バック層表面保護層などと兼ねても良く、また別途設けてもよい。帯電防止層については、特開平11-65021号段落番号0135、特開昭56-143430号、同56-143431号、同58-62646号、同56-120519号、特開平11-84573号の段落番号0040〜0051、米国特許第5,575,957号、特開平11-223898号の段落番号0078〜0084に記載の技術を適用することができる。
【0182】
5)添加剤
5−1).マット剤
本発明において、搬送性改良のためにマット剤を表面保護層、およびバック層に添加することが好ましい。マット剤については、特開平11-65021号段落番号0126〜0127に記載されている。
マット剤は感光材料1m2当たりの塗布量で示した場合、好ましくは1〜400mg/m2、より好ましくは5〜300mg/m2である。
【0183】
乳剤面のマット度は、画像部に小さな白抜けが生じ、光漏れが発生するいわゆる星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が200秒以上10000秒以下が好ましく、特に300秒以上8000秒以下が好ましい。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
【0184】
本発明においてバック層のマット度としてはベック平滑度が250秒以下10秒以上が好ましく、180秒以下50秒以上がさらに好ましい。
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
【0185】
本発明に用いることのできるマット剤は、塗布溶媒に不溶性の有機または無機の微粒子である。例えば米国特許第1,939,213号明細書、同2,701,245号明細書、同2,322,037号明細書、同3,262,782号明細書、同3,539,344号明細書、同3,767,448号明細書等の各明細書に記載の有機マット剤、同1,260,772号明細書、同2,192,241号明細書、同3,257,206号明細書、同3,370,951号明細書、同3,523,022号明細書、同3,769,020号明細書等の各明細書に記載の無機マット剤など当業界で良く知られたものを用いることができる。例えば具体的にはマット剤として用いることのできる有機化合物の例としては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素−ホルムアルデヒド−澱粉反応物など、公知の硬化剤で硬化したゼラチン及びコアセルベート硬化して微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなど好ましく用いることができる。無機化合物の例としては二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀(ガラス、珪藻土などを好ましく用いることができる。上記のマット剤は必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いることができる。マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径のものを用いることができる。本発明の実施に際しては0.lμm〜30μmとの粒径のものを用いるのが好ましい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広くても良い。一方、マット剤は感光材料のヘイズ、表面光沢に大きく影響することから、マット剤作製時あるいは複数のマット剤の混合により、粒径、形状及び粒径分布を必要に応じた状態にすることが好ましい。
【0186】
5−2).硬膜剤
本発明の画像形成層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としてはT.H.James著"THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION"(Macmillan Publishing Co., Inc.刊、1977年刊)77頁から87頁に記載の各方法があり、クロムみょうばん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、N,N−エチレンビス(ビニルスルフォンアセトアミド)、N,N−プロピレンビス(ビニルスルフォンアセトアミド)の他、同書78頁など記載の多価金属イオン、米国特許4,281,060号、特開平6-208193号などのポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号などのエポキシ化合物類、特開昭62-89048号などのビニルスルホン系化合物類が好ましく用いられる。特に、ビニルスルホン系化合物が好ましく、耐拡散化したビニルスルホン系化合物がより好ましい。
【0187】
硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。
【0188】
具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳"液体混合技術"(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
5−3).その他の添加剤
熱現像感光材料には、各層に応じて、さらに酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤を添加してもよい。特開平11-65021号段落番号0133の記載の溶剤を添加しても良い。各種の添加剤は、画像形成層あるいは非画像形成層のいずれかに添加する。それらについてWO98/36322号、EP803764A1号、特開平10-186567号、同10-18568号等を参考にすることができる。
【0189】
6)膜面pH
本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理前の膜面pHが7.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは6.6以下である。その下限には特に制限はないが、3程度である。最も好ましいpH範囲は4〜6.2の範囲である。
【0190】
膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pHを達成する上で好ましい。
また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮発性の塩基とアンモニアを併用することも好ましく用いられる。なお、膜面pHの測定方法は、特願平11-87297号明細書の段落番号0123に記載されている。
【0191】
7)膜面pAg
本発明の感材の好ましい膜面pAgは1以上7以下である。より好ましくは3以上5以下である。膜面pAgは1cm2の面積の感材に300μlの蒸留水をたらして、電極で電位を測定することによって得ることができる。
【0192】
8)支持体
支持体しては、ポリエステルフィルム、下塗りポリエステルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロースフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルム及び関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、紙、金属などが挙げられる。また、可撓性基材、特に、部分的にアセチル化された、もしくはバライタ及び/またはα−オレフィンポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン(エチレン−ブテンコポリマーなどの炭素数2〜10のα−オレフィン・ポリマーによりコートされた紙支持体も用いることができる。支持体は透明であっても不透明であってもよいが、透明であることが好ましい。
【0193】
支持体は二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
【0194】
医療用の熱現像感光材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8-240877号実施例記載の染料-1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。 具体的な支持体の例は、特開平11-65021同号段落番号0134に記載されている。
【0195】
支持体には、特開平11-84574号の水溶性ポリエステル、同10-186565号のスチレンブタジエン共重合体、特開2000-39684号や特願平11-106881号段落番号0063〜0080の塩化ビニリデン共重合体などの下塗り技術を適用することが好ましい。
【0196】
9)塗布方式
本発明における熱現像感光材料はいかなる方法で塗布されても良い。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、または米国特許第2,681,294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを 含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F. Kistler、Petert M. Schweizer著"LIQUID FILM COATING"(CHAPMAN & HALL社刊、1997年)399頁から536頁記載のエクストルージョンコーティング、またはスライドコーティング好ましく用いられ、特に好ましくはエクストルージョンコーティングが用いられる。
【0197】
10)包装材料
本発明の熱現像感光材料は、使用される前の保存時に写真性能の変質を防ぐため、あるいはロール状態の製品形態の場合にはカールしたり巻き癖が付くのを防ぐために、酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料で密閉包装するのが好ましい。酸素透過率は、25℃で50ml/atm/m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは10ml/atm/m2・day以下であり、さらに好ましくは1.0ml/atm/m2・day以下である。水分透過率は、10g/atm/m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは5g/atm/m2・day以下であり、さらに好ましくは1g/atm/m2・day以下である。酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料の具体例としては、例えば特開平8-254793号、特開2000-206653号に記載されているものを利用することができる。
【0198】
11)その他の利用できる技術
本発明の熱現像感光材料に用いることのできる技術としては、EP803764A1号、EP883022A1号、WO98/36322号、特開昭56-62648号、同58-62644号、特開平9-43766、同9-281637、同9-297367号、同9-304869号、同9-311405号、同9-329865号、同10-10669号、同10-62899号、同10-69023号、同10-186568号、同10-90823号、同10-171063号、同10-186565号、同10-186567号、同10-186569号〜同10-186572号、同10-197974号、同10-197982号、同10-197983号、同10-197985号〜同10-197987号、同10-207001号、同10-207004号、同10-221807号、同10-282601号、同10-288823号、同10-288824号、同10-307365号、同10-312038号、同10-339934号、同11-7100号、同11-15105号、同11-24200号、同11-24201号、同11-30832号、同11-84574号、同11-65021号、同11-109547号、同11-125880号、同11-129629号、同11-133536号〜同11-133539号、同11-133542号、同11-133543号、同11-223898号、同11-352627号、同11-305377号、同11-305378号、同11-305384号、同11-305380号、同11-316435号、同11-327076号、同11-338096号、同11-338098号、同11-338099号、同11-343420号、特願2000-187298号、同2000-10229号、同2000-47345号、同2000-206642号、同2000-98530号、同2000-98531号、同2000-112059号、同2000-112060号、同2000-112104号、同2000-112064号、同2000-171936号も挙げられる。
【0200】
13.画像形成方法の説明
1)露光
本発明の感光材料はいかなる方法で露光されても良いが、露光光源としてレーザー光が好ましい。特に、ヨウ化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤は、従来はその感度が低くて問題であったが、レーザー光のような高照度で書き込むことで低感度の問題も解消され、しかもより少ないエネルギーで画像記録できることがわかった。このような強い光で短時間に書き込むことによって目標の感度を達成することができる。
【0201】
特に最高濃度(Dmax)を出すような露光量を与える場合、感光材料表面の好ましい光量は0.1W/mm2〜100W/mm2である。より好ましくは0.5W/mm2〜50W/mm2であり、最も好ましくは1W/mm2〜50W/mm2である。
【0202】
本発明によるレーザー光としては、ガスレーザー(Ar+,He−Ne,He−Cd)、YAGレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなどが好ましい。また、半導体レーザーと第2高調波発生素子などを用いることもできる。好ましく用いられるレーザーは、熱現像感光材料の分光増感色素などの光吸収ピーク波長に対応して決まるが、赤〜赤外発光のHe−Neレーザー、赤色半導体レーザー、あるいは青〜緑発光のAr+,He−Ne,He−Cdレーザー、青色半導体レーザーである。 近年、特に、SHG(Second Harmonic Generator)素子と半導体レーザーを一体化したモジュールや青色半導体レーザーが開発されてきて、短波長領域のレーザー出力装置がクローズアップされてきた。青色半導体レーザーは、高精細の画像記録が可能であること、記録密度の増大、かつ長寿命で安定した出力が得られることから、今後需要が拡大していくことが期待されている。
【0203】
レーザー光は、高周波重畳などの方法によって縦マルチに発振していることも好ましく用いられる。縦単一モードの走査レーザ光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。
【0204】
縦マルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳をかける、などの方法がよい。なお、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
【0205】
2)熱現像
本発明の熱現像感光材料は通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像されるが、その熱現像の方法はいかなる方法であっても良い。好ましい現像温度としては80〜250 ℃であり、好ましくは100〜140℃、さらに好ましくは110〜130℃である。現像時間としては1〜60秒が好ましく、より好ましくは3〜30秒、さらに好ましくは5〜25秒、7〜15秒が特に好ましい。
【0206】
熱現像の方式としては、プレート型ヒーターを使用する。プレートヒーター方式による熱現像方式とは特開平11-133572号に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレートヒーターからなり、かつ前記プレートヒーターの一方の面に沿って複数個の押えローラーが対向配設され、前記押えローラーと前記プレートヒーターとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレートヒーターを2〜6段に分けて先端部については1〜10℃程度温度を下げることが好ましい。例えば、独立に温度制御できる4組のプレートヒーターを使用し、それぞれ112℃、119℃、121℃、120℃になるように制御する例が挙げられる。このような方法は特開昭54-30032号にも記載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を抑えることもできる。
【0207】
本発明においては、露光部と現像部の間の距離がcm以上30cm以下であり、これにより露光・現像の一連の処理時間が極めて短くなる。
ここで露光部とは、露光光源からの光が熱現像感光材料に照射される位置をいい、現像部とは、熱現像感光材料が熱現像を行うために初めて加熱される位置をいう。図2におけるXが露光部であり、図1の53から搬送された感材が51aのプレートに初めて接したYが現像部である。この距離が30cm以下である現像機において、本発明にかかる熱現像感光材料を用いることで、発明の目的を達成した。
【0208】
特に、シート感材の一部分を露光しながら、すでに露光がなされたシートの一部分で現像が開始されていても、本発明における熱現像感光材料を使用することで、揮散物質により露光部が汚染されるという問題は解消される。しかもこの方法では、さらに処理時間の短縮が図られる。
【0209】
14.システム
露光部及び熱現像部を備えた医療用のレーザーイメージャーとしては富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DP Lを挙げることができる。FM−DP Lに関しては、Fuji Medical Review No.8,page 39〜55に記載されており、それらの技術は本発明の熱現像感光材料のレーザーイメージャーとして適用することは言うまでもない。また、DICOM規格に適応したネットワークシステムとして富士メディカルシステムが提案した「AD network」の中でのレーザーイメージャー用の熱現像感光材料としても適用することができる。
【0210】
15.本発明の用途
本発明の熱現像感光材料は、銀画像による黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、工業写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、COM用の熱現像感光材料として使用されることが好ましい。
【0211】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0212】
参考例1)
1.PET支持体の作成、および下塗り
1−1.製膜
【0213】
テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66 (フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融し下記構造の染料BBを0.04wt%含有させた。その後T型ダイから押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作成した。
【0214】
【化19】
Figure 0004163469
【0215】
これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cm2で巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
【0216】
1−2.表面コロナ処理
ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0217】
2.バック層塗布液の調製と塗布
830gのMEKを攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社、CAB381−20)84.2g及びポリエステル樹脂(Bostic社、VitelPE2200B)4.5gを添加し溶解した。この溶解した液に、染料Bを0.30g添加し、さらにメタノール43.2gに溶解したフッ素径界面活性剤(旭硝子社、サーフロンHK40)4.5gとフッ素径界面活性剤(大日本インキ社、メガファッグF120K)2.3gを添加して、溶解するまで十分に攪拌を行った。最後に、メチルエチルケトンに1重量%の濃度でディゾルバー型ホモジナイザーにて分散したシリカ(W.R.Grace社、シロイド64X6000)75gを添加、攪拌し、バック面の塗布液を調製した。
【0218】
【化20】
Figure 0004163469
【0219】
このように調整したバック面保護層塗布液を、支持体上に、乾燥膜厚が3.5μmになるように押し出しコーターにて塗布乾燥を行った。乾燥温度100℃、露天温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて乾燥した。
【0220】
3.画像形成層および表面保護層
3−1.塗布用材料の準備
1)ハロゲン化銀乳剤
(ハロゲン化銀乳剤‐1の調製)
水5429mlに、フェニルカルバモイルゼラチン88.3g、PAO化合物(HO(CH2CH2O) n−(CH(CH3)CH2O)17−(CH2CH2O) m−H;m+n=5〜7)の10%メタノール水溶液10ml、臭化カリウム0.32gを添加溶解し45℃に保った中へ、0.67mol/lの硝酸銀水溶液659mlと1リットルあたり0.703molのKBrおよび0.013molのKIを溶解した液とを特公昭58−58288号、同58−58289号に示される混合攪拌機を用い、pAg8.09に制御しながら同時混合方により4分45行を要して添加し核形成を行った。1分後,0.63Nの水酸化カリウム溶液20mlを添加した。6分経過後、0.67mol/lの硝酸銀水溶液1976mlと1リットルあたり0.657molのKBr、0.013molのヨウ化カリウムおよび30μmolの六塩化イリジウム酸二カリウムを溶解した液とを、温度45℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により14分15秒かけて添加した。5分間攪拌した後、40℃に降温した。
これに、56%酢酸水溶液18mlを添加してハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2リットルを残して上澄み液を取り除き、水10リットルを加え、攪拌後、再度ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。さらに、沈降部分1.5リットルを残し、上澄み液を取り除き、更に10リットルを加え、攪拌後,ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1.5リットルを残し、上澄み液を取り除いた後、水151mlに無水炭酸ナトリウム1.72g溶解した液を加え、60℃に昇温した。さらに120分攪拌した。最後にpHが5.0になるように調製し、銀量1molあたり1161gになるように水を加えた。
【0221】
この乳剤中の粒子は、平均球相当径0.058μm、球相当径の変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体ヨウ臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。
【0222】
2)脂肪酸銀の調製
《脂肪酸銀−1の調製》
4720mlの純水にベヘン酸含有率40モル%、アラキジン酸30モル%、ステアリン酸20モル%の組成である脂肪酸0.7552モルを添加し80℃で溶解した後、1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し、濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。上記の有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、上記ハロゲン化銀乳剤を45.3gと純水450mlを添加し、IKA JAPAN社製ホモジナイザー(ULTRA−TURRAXT−25)により13200rpm(機械振動周波数として21.1KHz)にて5分間撹拌した。次に、1mol/lの硝酸銀溶液702.6mlを2分間かけて添加し、10分間攪拌し、有機銀塩分散物を得た。その後、得られた有機銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて攪拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、40℃にて重量減がなくなるまで酸素分圧容量10%の温風で循環乾燥機にて乾燥を行い、感光性ハロゲン化銀を含む粉末脂肪酸銀−1を得た。
【0223】
3)有機銀塩の有機溶剤への再分散
《有機銀塩の再分散物‐1の調製》
ポリビニルブチラール粉末(Monsant社 Butvar B−79)14.57gをメチルエチルケトン(MEK)1457gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバーDISPERMAT CA−40M型にて攪拌しながら上記の粉末脂肪酸銀−1の500gを徐々に添加して十分に混合しスラリー状とした。
【0224】
上記スラリーをエスエムテー社製GM−2型圧力式ホモジナイザーで、2パス分散することにより有機銀塩の再分散物‐1を調製した。この際、1パス時の処理圧は280kg/cm2であり、2パス時の処理圧は560kg/cm2とした。
【0225】
4)画像形成層塗布液−1の調製
前記有機銀塩の再分散物−1の50gにMEK15.1gを加え、ヂゾルバー型ホモジナイザーで1000rpmにて攪拌しながら21℃に保温し、N,N−ジメチルアセトアミド2分子/シュウ酸1分子/臭素1分子の会合体の10質量%メタノール溶液390μlを加え、1時間攪拌した。さらに臭化カルシウムの10質量%メタノール溶液494μlを添加して20分攪拌した。続いて、15.9質量%のジベンゾ−18−クラウン−6と4.9質量%の酢酸カリウムとを含むメタノール溶液167mgを添加して10分間攪拌した後、0.24質量%の色素A、18.3質量%の2−クロロ安息香酸、34.2質量%のサリチル酸−p−トルエンスルホネートおよび4.5質量%の5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールのMEK溶液2.6gを添加して1時間攪拌した。その後、温度を13℃まで降温して更に30分間攪拌した。13℃に保温したまま、ポリビニルブチラール(Monsant社 Butvar B−79)13.31gを添加して30分間攪拌した後、9.4質量%のテトラクロロフタル酸溶液1.08gを添加して15分間攪拌した。攪拌を続けながら、20質量%の前記の還元剤I−2を10.0g添加し、1.1質量%の4−メチルフタル酸および染料−1のMEK溶液12.4gを添加し、10質量%のDesmodur N3300(モーベイ社脂肪族イソシアネート)1.5gを続けて添加し、さらに7.4質量%のトリブロモメチル−2−アザフェニルスルフォンと7.2質量%のフタラジンのMEK溶液4.27gを添加して、画像形成層塗布液−1を得た。
【0226】
5)表面保護層塗布液−1の調製
MEK865gを攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社、CAB171−15)96g、ポリメチルメタクリル酸(ローム&ハース社、パラロイドA−21)4.5g、1,3−ジ(ビニルスルフォニル)−2−プロパノール1.5g、ベンゾトリアゾール1.0g、フッ素系高分子界面活性剤(旭硝子社、サーフロンKH40)1.0gを添加し溶解した後、13.6質量%のセルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社、CAB171−15)と9質量%の炭酸カルシウム(Speciality Minerals社、Super−Pflex200)をMEKにディゾルバー型ホモジナイザーにて8000rpmで30分間分散したもの30gを添加して拡販し、表面保護層塗布液−1を調製した。
【0227】
3−2.熱現像感光材料の作製
1)熱現像感光材料−1,−2の作製
上記のように調製した画像形成層塗布液−1と表面保護層塗布液−1をデュアルナイフコーターで、バック層を塗布した支持体のバック層とは反対の面に同時重層塗布し、脂肪酸銀と脂肪酸の脂肪酸モル換算の塗布量が表1の値となるように画像形成層を塗布して、熱現像感光材料−1および2を作成した。表面保護層は乾燥膜厚で1.5μmになるように塗布した。この塗布装置は並んだ2本のナイフコーティング刃から成る。支持体を使用した溶液の体積に見合う長さにカットした後、蝶番のついたナイフを上昇させてコーター床上の位置に配置させた。次いでナイフを下げて所定の位置に固定した。スクリュウノブで制御される電流計で測定されるウェッジを用いてナイフの高さを調節した。ナイフ#1を支持体の厚みと画像形成層(層#1)の所望の湿潤厚みとの合計の厚みに合わせた厚みに対応する隙間まで上昇させた。ナイフ#2を支持体+画像形成層の湿潤厚み(層#1)+表面保護層の所望の厚み(層#2)の合計の厚みに等しい高さまで上昇させた。その後、乾燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて、15分間乾燥した。
【0228】
2)熱現像感光材料−3〜−5の作製
熱現像感光材料−1,−2の作製において、表面保護層の厚みを1.5μmとしたところを3.0μmに変更した以外は全く同様にして、熱現像感光材料−3〜−5を作製した。
以下に、本発明の実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
【0229】
【化21】
Figure 0004163469
【0230】
4.写真性能の評価
(準備)
得られた試料は半切サイズ(43cm長×35cm幅)に切断し、25℃50%の環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した。
(包装材料)
PET10μm/PE12μm/アルミ箔9μm/Ny15μm/カーボン3%を含むポリエチレン50μm、酸素透過率:0.02ml/atm・m2・25℃・day、水分透過率:0.10g/atm・m2・25℃・day。
【0231】
上記の感光材料を以下のように評価を行った。
(感光材料の露光・現像)
高周波重量にて波長800nm〜820nmの縦マルチモード化された半導体レーザーを露光源とした露光機を試作し、上記の作成した試料No.1〜No.39の画像形成層面側から、この露光機によりレーザー走査による露光を与えた。この際に、感光材料の露光面への走査レーザー光の入射角度を75度として画像を記録した。その後、ヒートドラムを有する自動現像機を用いて感光材料の保護層とドラム表面が接触するようにして、124℃で15秒熱現像し、得られた画像の評価を濃度計で行った。この際、感光材料の露光面にレーザー光が照射されている部分を露光部とし、その後露光された感光材料がヒートドラムに接触し始めた部分を現像部とするとき、露光部と現像部との間の距離は15cmであった。
このような処理機において、半切サイズの感材を濃度1.2になるように均一に露光を行い、5000枚連続で処理を行った。
【0232】
(写真性能の評価)
1.揮散物質による影響の評価
連続処理された最後の感材の画像において、濃度の均一性の評価を行った。
A:均一画像であり好ましい。
B:わずかに濃淡が見える。
C:実用上許容できる範囲であるが、濃淡が見える。
D:明らかにスジ状の濃淡が見られ問題である。
【0233】
【表1】
Figure 0004163469
【0234】
表1に示すように、脂肪酸モル換算で5mmmol/m2以上18mmmol/m2以下である熱現像感光材料-2,4,5において、画像濃度の不均一が改善されていることが分かる。
特に、脂肪酸モル換算で14mmmol/m2で、表面保護層の厚みが3μmである熱現像感光材料−5において、良好な結果であった。
また、明らかに濃淡の見られた熱現像感光材料−1を用いて5000枚連続処理を行った後、露光部周辺(ミラー等)と現像部周辺をきれいに拭い、再度、熱現像感光材料−1および熱現像感光材料−5を1枚処理した。熱現像感光材料−1、熱現像感光材料−5ともにAの評価結果であった。これより、画像の濃度の濃淡は、連続処理によって感材から発生する揮散物質による露光部周辺および現像部周辺の汚染によるものであると考えられる。
【0235】
参考例2)
《表面保護層塗布液−2〜−11の調製》
表面保護層塗布液−1の調製において、表2に記載の10種類の−NH−結合を有する化合物を、表2に記載の量で添加したほかは表面保護層塗布液−1と同様にして、表面保護層塗布液−2〜11の熱現像感光材料を作製した。
【0236】
《熱現像感光材料−6〜−15の作製》
実施例1で調製した画像形成層塗布液−1と上記のように調製した表面保護層塗布液−1〜12のいずれかをデュアルナイフコーターで、バック層を塗布した支持体のバック層とは反対の面に同時重層塗布することにより、熱現像感光材料−6〜−15を作製した。脂肪酸銀と脂肪酸の脂肪酸モル換算の塗布量が17mmol/m2になるように画像形成層を塗布し、表面保護層は乾燥膜厚で1.5μmになるように塗布した。
【0237】
【表2】
Figure 0004163469
【0238】
表2に示すように、表面保護層に−NH−結合を有する化合物を添加することで、画像の濃度が均一となり、良好な結果となった。
【0239】
参考例3)
《バリアー層塗布液−1の調製》
セルロースアセテートブチレート(CAB171-15S,Eastman Chemicals社製)15gにVS―1(次式で表されるビニルスルホン化合物)0.26gをMEK183gに溶かした液を加えて塗布液とした。
VS−1:(CH2=CHSO2CH22CHOH
《バリアー層塗布液−2の調製》
ポリビニルアルコール(クラレ社製;PVA−217)15gにコロイダルシリカを50質量%混合し、さらにVS―1(次式で表されるビニルスルホン化合物)0.26gをMEK183gに溶かした液を加えて塗布液とした。
【0240】
《バリアー層塗布液−3〜8の調製》
バリアー層塗布液−2の調整において使用したポリビニルアルコールを下記ポリエステルー1〜6のいずれかに変更して調製した以外はバリアー層塗布液−2の調製と同様の方法で、塗布液を作製した。
【0241】
【化22】
Figure 0004163469
【0242】
《バリアー層塗布液−9〜10の調製》
バリアー層塗布液−2の調整において使用したポリビニルアルコールをセルロースアセテートブチレート(CAB171-15S,Eastman Chemicals社製)とポリグリシジルメタクリレート(Mn;25,000)の混合物(50/50,25/75の2種)のいずれかに変更して調製した以外はバリアー層塗布液−2の調製と同様の方法で、塗布液を作製した。
【0243】
《熱現像感光材料−16〜25の作成》
上記のように調製した画像形成層塗布液−1と表面保護層塗布液−1とバリアー層塗布液−1〜−10のいずれかをデュアルナイフコーターで、バック層を塗布した支持体のバック層とは反対の面に同時重層塗布することにより、熱現像感光材料−16〜−25を作製した。脂肪酸銀と脂肪酸の脂肪酸モル換算の塗布量が17mmol/m2になるように画像形成層を塗布し、表面保護層は乾燥膜厚で1.5μm、バリアー層は乾燥膜で2.7g/m2になるように塗布した。
【0244】
【表3】
Figure 0004163469
【0245】
実施例1と同様の評価方法を行ったときの結果を表3に示す。表3に示すように、特定の組成からなるバリアー層を設けることで、より画像の濃度が均一となり、良好な結果となった。
【0246】
参考例4)
《脂肪酸銀−2の調製》
脂肪酸銀−1の調製において使用した脂肪酸銀を、ベヘン酸含有率80モル%、アラキジン酸15モル%、ステアリン酸5モル%の組成である脂肪酸に変更した以外は、脂肪酸銀−1の調製とまったく同様の方法によって、脂肪酸銀−2を調製した。
《有機銀塩の再分散物‐2の調製》
有機銀塩の再分散物‐1の調製において、脂肪酸銀−1を使用したところを脂肪酸銀−2に変更した以外は、全く同様の方法により有機銀塩の再分散物‐2の調製をおこなった。
【0247】
《画像形成層塗布液−2の調製》
前記画像形成層塗布液−1の調製において、有機銀塩の再分散物−1を使用したところを有機銀塩の再分散物−2に変更した以外は、画像形成層塗布液−1の調整と同様の方法で、画像形成層塗布液−2を調製した。
《熱現像感光材料−26の作成》
画像形成層塗布液−2と表面保護層塗布液−1をデュアルナイフコーターで、バック層を塗布した支持体のバック層とは反対の面に同時重層塗布することにより、熱現像感光材料−26を作製した。脂肪酸銀と脂肪酸の脂肪酸モル換算の塗布量が17mmol/m2になるように画像形成層を塗布し、表面保護層は乾燥膜厚で1.5μmになるように塗布した。
【0248】
【表4】
Figure 0004163469
【0249】
表4に示すように、肪酸銀のうち、ベヘン酸銀の含有量が50モル%以上である熱現像感光材料を用いた場合、より画像の濃度が均一となり、良好な結果となった。
【0250】
(実施例5)
1.下塗層塗布液の作成
処方▲1▼(感光層側下塗り層用)
高松油脂(株)製ペスレジンA-520(30質量%溶液) 59g
ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル(平均エチレンオキシド数=8.5) 10質量%溶液 5.4g
綜研化学(株)製 MP-1000(ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm) 0.91g
蒸留水 935ml
【0251】
処方▲2▼(バック面第1層用)
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス 158g
(固形分40質量%、スチレン/ブタジエン重量比=68/32)
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩 8質量%水溶液 20g
ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
蒸留水 854ml
【0252】
処方▲3▼(バック面側第2層用)
SnO2/SbO (9/1質量比、平均粒径0.038μm、17質量%分散物) 84g
ゼラチン(10質量%水溶液) 89.2g
信越化学(株)製 メトローズTC-5(2質量%水溶液) 8.6g
綜研化学(株)製 MP-1000 0.01g
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
NaOH(1質量%) 6ml
プロキセル(ICI社製) 1ml
蒸留水 805ml
【0253】
2.下塗り
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(感光性層面)に上記下塗り塗布液処方▲1▼をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)になるように塗布して180 ℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方▲2▼をワイヤーバーでウエット塗布量が5.7ml/m2になるように塗布して180 ℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方▲3▼をワイヤーバーでウエット塗布量が7.7ml/m2になるように塗布して180 ℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
【0254】
3.バック層塗布液の調整
(塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)
塩基プレカーサー化合物−1を2.5kg、および界面活性剤(商品名:デモールN、花王(株)製) 300g 、ジフェニルスルホン 800g、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩1.0gおよび蒸留水を加えて総量を 8.0kgに合わせて混合し、混合液を横型サンドミル(UVM-2:アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散した。分散方法は、混合液をを平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填したUVM-2にダイアフラムポンプで送液し、内圧50hPa以上の状態で、所望の平均粒径が得られるまで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における450nmにおける吸光度と650nmにおける吸光度の比(D450/D650)が3.0まで分散した。得られた分散物は、塩基プレカーサーの濃度で25重量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにろ過(平均細孔径:3μmのポリプロピレン製フィルター)を行って実用に供した。
【0255】
4.ハレーション防止層塗布液の調製
(染料固体微粒子分散液の調製)
シアニン染料化合物−1を6.0kgおよびp-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0kg、花王(株)製界面活性剤デモールSNB 0.6kg、および消泡剤(商品名:サーフィノール104E、日信化学(株)製) 0.15kg を蒸留水 と混合して、総液量を60kgとした。混合液を横型サンドミル(UVM-2:アイメックス(株)製)を用いて、0.5mmのジルコニアビーズで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における650nmにおける吸光度と750nmにおける吸光度の比(D650/D750)が5.0以上であるところまで分散した。得られた分散物は、シアニン染料の濃度で 6質量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにフィルターろ過(平均細孔径:1μm)を行って実用に供した。
【0256】
(ハレーション防止層塗布液の調製)
容器を40℃に保温し、ゼラチン40g、単分散ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒子サイズ8μm、粒径標準偏差0.4)20g、ベンゾイソチアゾリノン0.1g、水490mlを加えてゼラチンを溶解させた。さらに1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液2.3ml、上記染料固体微粒子分散液40g、上記塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)を90g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3%水溶液12ml、、SBRラテックス10%液180g、を混合した。塗布直前にN,N-エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4%水溶液 80mlを混合し、ハレーション防止層塗布液とした。
【0257】
5.バック面保護層塗布液の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン40g、ベンゾイソチアゾリノン35mg、水840mlを加えてゼラチンを溶解させた。さらに1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液5.8ml、流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして1.5g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5%水溶液10ml、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3%水溶液20ml、フッ素系界面活性剤(F−1)2%溶液を2.4ml、フッ素系界面活性剤(F−2)2%溶液を2.4ml、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液32gを混合した。塗布直前に N,N-エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4%水溶液 25mlを混合しバック面保護層塗布液とした。
【0258】
6.バック層の塗布
上記下塗り支持体のバック面側に、アンチハレーション層塗布液をゼラチン塗布量が0.52g/m2となるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.7g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を作成した。
【0259】
7.画像形成層、中間層、および表面保護層の作成
1)塗布用材料の準備
(ハロゲン化銀乳剤)
《ハロゲン化銀乳剤1の調製》
蒸留水1421mlに1質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、30℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mlに希釈した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cと臭化カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量400mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作成した。
【0260】
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-4モル加えて91分間熟成した。その後、分光増感色素Aと増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液を銀1モル当たり増感色素AとBの合計として1.2×10-3モル加え、1分後にN,N'-ジヒドロキシ-N"-ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5-メチル-2-メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モルおよび1−(3−メチルウレイド)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩を水溶液で銀1モルに対して8.5×10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作成した。
【0261】
調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の[100]面比率は、クベルカムンク法を用いて80%と求められた。
【0262】
《ハロゲン化銀乳剤2の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を47℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量400mlに希釈することに変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアノ鉄(II)カリウムを除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤2の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。更に、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり1.1×10-4モル、分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液の添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として7.0×10-4モル、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-トリアゾールを銀1モルに対して3.3×10-3モルおよび1−(3−メチルウレイド)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩を銀1モルに対して4.7×10-3モル添加に変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5-メチル-2-メルカプトベンゾイミダゾール、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2の乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0263】
《ハロゲン化銀乳剤3の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を27℃に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3の調製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で1:1を固体分散物(ゼラチン水溶液)として添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として6×10-3モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり5.2×10-4モルに変え、テルル増感剤の添加3分後に臭化金酸を銀1モル当たり5×10-4モルとチオシアン酸カリウムを銀1モルあたり2×10-3モルを添加したこと以外は乳剤1と同様にして、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳剤3の乳剤粒子は、平均球相当径0.034μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。
【0264】
《塗布液用混合乳剤Aの調製》
ハロゲン化銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添加した。さらに塗布液用混合乳剤1kgあたりハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように加水し、塗布液用混合乳剤1kgあたり0.34gとなるように1−(3−メチルウレイド)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩を添加した。
【0265】
(脂肪酸銀分散物の調製)
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22-85R)87.6Kg、蒸留水423L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Aを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液Aの全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液Aを添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Aのみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液Aの添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液Aの添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
【0266】
ベヘン酸ナトリウム溶液Aを添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
【0267】
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.14μm、b=0.4μm、c=0.6μm、平均アスペクト比5.2、平均球相当径0.52μm、球相当径の変動係数15%のりん片状の結晶であった。(a,b,cは本文の規定)
【0268】
乾燥固形分260Kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA-217)19.3Kgおよび水を添加し、全体量を1000Kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
【0269】
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1260kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
【0270】
(還元剤分散物の調製)
《還元剤−1分散物の調製》
還元剤−1(2,2'-メチレンビス-(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール))10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16Kgに、水10Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤―1分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0271】
《還元剤−2分散物の調製》
還元剤−2(6,6'-ジ-t-ブチル-4,4'-ジメチル-2,2'-ブチリデンジフェノール)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16Kgに、水10Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加熱処理し、還元剤―2分散物を得た。こうして得た還元剤−2分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.50μm、最大粒子径1.6μm以下であった。得られた還元剤−2分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0272】
(水素結合性化合物分散物の調製)
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16Kgに、水10Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合性化合物の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加温し、水素結合性化合物分散物を得た。こうして得た水素結合性化合物−1分散物に含まれる水素結合性化合物粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた水素結合性化合物−1分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0273】
(現像促進剤−1分散物の調製)
現像促進剤−1を10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20Kgに、水10Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤の濃度が20質量%になるように調製し、現像促進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤分散物に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。現像促進剤−2および色調調整剤−1の固体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、それぞれ20質量%、15質量%の分散液を得た。
【0274】
(ポリハロゲン化合物の調製)
《有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物―1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10Kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4Kgと、水14Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が26質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合物―1分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0275】
《有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物―2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20Kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調製した。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物―2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0276】
(フタラジン化合物−1溶液の調製)
8Kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP203を水174.57Kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15Kgとフタラジン化合物―1(6-イソプロピルフタラジン)の70質量%水溶液14.28Kgを添加し、フタラジン化合物―1の5質量%溶液を調製した。
【0277】
(メルカプト化合物の調製)
《メルカプト化合物−1水溶液の調製》
メルカプト化合物―1(1−(3−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水993gに溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
【0278】
《メルカプト化合物−2水溶液の調製》
メルカプト化合物―2(1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
【0279】
(顔料−1分散物の調製)
C.I.Pigment Blue 60を64gと花王(株)製デモールNを6.4gに水250gを添加し良く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジルコニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し、水を加えて顔料の濃度が5質量%になるように調製して顔料−1分散物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒子は平均粒径0.21μmであった。
【0280】
(SBRラテックス液の調製)
SBRラテックスは以下により調整した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に、蒸留水287g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製):固形分48.5%)7.73g、1mol/リットルNaOH14.06ml、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.15g、スチレン255g、アクリル酸11.25g、tert−ドデシルメルカプタン3.0gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度200rpmで撹拌した。真空ポンプで脱気し窒素ガス置換を数回繰返した後に、1,3−ブタジエン108.75gを圧入して内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.875gを水50mlに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、1mol/リットルのNaOHとNH4OHを用いてNa+イオン:NH4+イオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、SBRラテックスを774.7g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、145ppmであった。
【0281】
上記ラテックスは平均粒径90nm、Tg=17℃、固形分濃度44質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.80mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM-30S使用し、ラテックス原液(44質量%)を25℃にて測定)であった。
【0282】
(画像形成層塗布液−3の調製)
上記で得た脂肪酸銀分散物G1000g、水135ml、顔料−1分散物36g、有機ポリハロゲン化合物−1分散物25g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物39g、フタラジン化合物―1溶液171g、SBRラテックス(Tg:17℃)液1060g、還元剤−2分散物153g、水素結合性化合物−1分散物55g、現像促進剤−1分散物4.8g、現像促進剤−2分散物5.2g、色調調整剤−1分散物2.1g、メルカプト化合物−2水溶液8mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A140gを添加して良く混合した画像形成層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
【0283】
上記画像形成層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で40[mPa・s]であった。
Haake社製RheoStress RS150を使用した38℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒] においてそれぞれ30、43、41、28、20 [mPa・s]であった。
【0284】
塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり0.32mgであった。
【0285】
8.乳剤面中間層塗布液の調製
ポリビニルアルコールPVA-205(クラレ(株)製)1000g、顔料-1分散物163g、、青色染料化合物−1(日本化薬(株)製:カヤフェクトターコイズRNリキッド150)水溶液33g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5%水溶液27ml、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を135ml、総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、8.9ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
【0286】
9.乳剤面保護層第1層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水840mlに溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を46ml、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を5.4mlを加えて混合し、塗布直前に4質量%のクロムみょうばん40mlをスタチックミキサーで混合したものを塗布液量が26.1ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
【0287】
10.乳剤面保護層第2層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水800mlに溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸15質量%メタノール溶液40ml、フッ素系界面活性剤(F−1)の1質量%溶液を5.5ml、フッ素系界面活性剤(F−2)の1質量%水溶液を5.5ml、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を28ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.5μm)21gを混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
【0288】
11.熱現像感光材料−27の作製
上記下塗り支持体のバック面側に、アンチハレーション層塗布液をゼラチン塗布量が0.52g/m2となるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.7g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を作成した。
【0289】
バック面と反対の面に下塗り面から画像形成層、中間層、保護層第1層、保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料を作成した。このとき、脂肪酸銀と脂肪酸の脂肪酸モル換算の塗布量が13mmol/m2になるように画像形成層を塗布して、熱現像感光材料−27を作成した。保護層第一層と保護層第二層とを合計した厚みは、乾燥膜厚で3.0μmであった。
画像形成層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りである。
【0290】
ベヘン酸銀 表5に記載の量
顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036
ポリハロゲン化合物−1 0.14
ポリハロゲン化合物−2 0.28
フタラジン化合物−1 0.18
SBRラテックス 9.43
還元剤−2 0.77
水素結合性化合物−1 0.28
現像促進剤−1 0.019
現像促進剤−2 0.016
色調調整剤−1 0.006
メルカプト化合物−2 0.003
ハロゲン化銀(Agとして) 0.13
【0291】
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
塗布はスピード160m/minで行い、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。
引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10〜20℃の風にて塗布液を冷却した後、無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
乾燥後、25℃で湿度40〜60%RHで調湿した後、膜面を70〜90℃になるように加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で感光性層面側が550秒、バック面が130秒であった。また、感光層面側の膜面のpHを測定したところ6.0であった。また膜面pAgを測定したところ4.0であった。
【0292】
以下に本発明の実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
【0293】
【化23】
Figure 0004163469
【化24】
Figure 0004163469
【化25】
Figure 0004163469
【化26】
Figure 0004163469
【0294】
12.写真性能の評価
1)準備および包装材料
準備および包装材料は実施例1と同様である。
【0295】
2)感光材料の露光・現像
特願2002−088832および特願2002−091114に記載されたレーザーイメージャー(最大50mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて露光・熱現像(107℃−121℃−121℃に設定した3枚のパネルヒータで合計14秒)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。露光部と現像部との距離は12cmであった。このときの線速度は28.6mm/秒であった。
この様な熱現像機によって、実施例1と同様に半切サイズの感材を濃度1.2になるように均一に露光を行い、5000枚連続処理を行った。
3)写真性能の評価
実施例1と同様の方法により、写真性能の評価を行い、その結果を表5に示す。
【0296】
【表5】
Figure 0004163469
表5に示すように、溶媒が水である塗布溶液でサンプルを作製した場合でも、脂肪酸モル換算で10mmol/m2以上15mmol/m2以下の塗布量であれば、露光部と現像部が接近した処理機で処理を行っても、画像濃度が均一な良好な熱現像感光材料となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーザ記録装置の搭載された熱現像記録装置の概略構成図である。
【図2】レーザ記録装置におけるシート状の熱現像記録材料を搬送するための搬送部と、走査露光部の概略構成を示す構成図である。
【符号の説明】
3 熱現像記録材料
10a,10b,10c 感光材料トレー
13a,13b,13c 枚葉搬送ローラー
15a,15b,15c 感光材料
16 上部遮光カバー
17 副走査搬送部(副走査手段)
19 走査露光部(レーザ照射手段)
21,22 駆動ローラ
23 ガイド板
25,26 スロープ部
29 押し当て部
31 ガイド板
35 半導体レーザー
37 駆動回路
39 強度変調器
41 ポリゴンミラー
43 集光レンズ
45 ミラー
51a,51b,51c 熱現像プレート
52 駆動ローラー
53 減速ギア
55 搬送対向ローラー
57 冷却ローター
59 冷却ローター
61 冷却プレート
63 排出ローラー
100 レーザ記録装置
150 熱現像記録装置

Claims (16)

  1. 支持体の少なくとも一方面上に、感光性ハロゲン化銀、銀イオンのための還元剤、バインダーおよび非感光性有機銀塩を含む画像形成層を有する熱現像感光材料を、露光および熱現像のみによって銀画像による黒白画像を形成する画像形成方法であって、
    前記非感光性有機銀塩が脂肪酸銀よりなり、脂肪酸モル換算で10mmol/m以上15mmol/m以下の塗布量であることを特徴とする熱現像感光材料を、
    露光部と現像部の距離が5cm以上30cm以下であり、プレートヒーター及び冷却プレートを有する熱現像機によって現像されることを特徴とする画像形成方法。
  2. 支持体に対し画像形成層と同一面上であって、画像形成層よりも支持体から遠い位置に保護層を有し、該保護層に熱現像による揮散物と化学的に反応して不揮散物を形成する化合物を揮散物トラップ剤として含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記揮散物トラップ剤が−NH−結合を有する化合物であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 支持体に対し画像形成層と同一面上であって、画像形成層よりも支持体から遠い位置に、熱現像による揮散物の透過を防止するバリアー層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. 前記バリアー層が、ポリビニルアルコール、ポリスチレンならびにその共重合体、塩化ビニルならびに酢酸ビニルの共重バリアー水溶性ポリエステル、水不溶性ポリエステル、ゼラチンならびにその誘導体、およびポリビニルピロリドンより選ばれた少なくとも1つのポリマーを含有することを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
  6. 前記バリアー層が、ガラス転移温度が150℃以上で数平均分子量が10,000以上の水不溶性ポリエステルを含有することを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
  7. 前記バリアー層が、鹸化率が88%以上のポリビニルアルコールを含有することを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
  8. 前記バリアー層が、エポキシ基を分子内に2つ以上有するポリスチレンを含有することを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
  9. 前記バリアー層が、ポリアクリレートまたはポリメタクリレートを含有することを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
  10. 前記バリアー層が、エポキシ基を分子内に2つ以上有するポリアクリレートまたはポリメタクリレートを含有することを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
  11. 前記保護層の厚みが1μm以上5μm以下である熱現像感光材料を用いた請求項2〜10のいずれかに記載の画像形成方法。
  12. 前記バリアー層の厚みが1μm以上5μm以下である熱現像感光材料を用いた請求項4〜11のいずれかに記載の画像形成方法。
  13. 前記熱現像感光材料からなる一枚のシート感材で、一部が露光されながら、同時に既に露光がなされたシートの一部分で現像が開始されることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の画像形成方法。
  14. 前記脂肪酸銀のうち、ベヘン酸銀の含有量が50モル%以上である熱現像感光材料を用いた請求項1〜13のいずれかに記載の画像形成方法。
  15. 前記銀イオンのための還元剤が、下記一般式(R)で表される還元剤を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の画像形成方法。
    一般式(R)
    Figure 0004163469
    (式中、R11およびR11’は炭素数3〜15の2級または3級のアルキル基であり、R12およびR12’は炭素数1〜20のアルキル基を表す。XおよびX1’は水素原子、ハロゲン原子、またはアルキル基を表す。Lは−S−基または−CHR13−基を表し、R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
  16. 前記プレートヒーターが3段からなり、先端部のプレートが他のプレートより温度が低いことを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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