JP2005049204A - 流体の流速測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、プローブ等を用いる接触方式ではなく、かつ流れに及ぼす影響が少なく、精度良く流体の速度を測定することができ、かつ高温においても使用可能な方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明に係る流体の流速測定方法は、トレーサーガスを含む被測定流体に、第1の特定の波長を有する解離用レーザ光パルスを照射することにより前記トレーサーガスを解離させるステップと、第2の特定の波長を有する発光用レーザ光パルスを前記被測定流体に照射して解離した前記トレーサーガスを発光させるステップと、前記解離用レーザ光パルスの照射の位置及び時刻を基準として、前記発光の位置及び時刻から被測定流体の流速を演算するステップとを備える。
【選択図】 図1


Description

本発明は、レーザ光による気体の解離及び励起による気体の発光現象を利用する、流体の流速測定方法に関する。
気体流れの速度を測定する方法は、流れ場に直接プローブなどを挿入して測定する方法とレーザなどを用いることで流れに対して非接触的な方法に分類される。ピトー管を用いた測定や、熱線風速計を用いた測定は前者に相当する。このようなプローブを直接流れ場に挿入する方法は、流れ場に挿入されたプローブが流れ場を乱す原因となるのに加え、化学反応や発熱がある場合にはプローブ表面への熱損失、活性化学種の失活が問題となり、また、熱線風速計においては、熱量の収支によって流速を測定する性格から、熱線の触媒的な反応による発熱や、流体中の発熱等により、流速を正確に測定することが困難であり、使用範囲が限定される。
一方、非接触的な方法としては、放電した火花を追跡する方法、粒子を追跡する方法、LDV(Laser Doppler Velocimetry)やPIV(Particle Image Velocimetry)などがある。
LDVやPIVなどは、ミクロンオーダの粒子を流体中に添加し、レーザを照射することでその粒子からの散乱光を計測することで測定されるため、プローブが流れ場を乱すことや、化学反応や発熱等による影響はない。
このため、LDVやPIVなどのレーザを用いた速度測定方法は、レーザ技術の発展と共に近年大きく発展しており、さまざまな場において応用されている(例えば非特許文献1参照)。
また、粒子をトレーサとして用いる上記LDVやPIVのかわりに、特定の気体分子をトレーサとして使用した例もある(例えば非特許文献2参照)。
流れの計測懇談会、「LDVの基礎と応用」日刊工業新聞社、1980 Boedeker,L.R.,"Velocity measurements by H2O photolysis and laser induced fluorescence of OH",Optics Letters,Vol.14,No.10,pp.473−475,1989
ところで、LDVや、PIVによる測定方法は、流体の速度そのものではなく粒子の速度を測定する方法であるので、粒子速度と流体速度とのずれが発生し、測定値の誤差要因となる。
また、粒子を流体中に添加することにより、反応性流体においては、粒子表面における失活および乱流への寄与の可能性があり、それらも測定値の誤差要因となりうる。
前述のように、気体をトレーサとして速度を求める例として、OHやO3を使用したものがあるが、これらの活性化学種(ラジカル)は、分子の存在寿命が短く、安定性が低いことから、限られた測定対象を除くと、トレーサには不向きであった。
上記の事情に鑑み、本発明は、プローブ等を用いる接触方式ではなく、かつ流れに及ぼす影響が少なく、精度良く流体の速度を測定することができ、かつ厳しい条件下、例えば高温においても使用可能な方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、請求項1の発明によっては、トレーサーガスを含む被測定流体に、第1の特定の波長を有する解離用レーザ光パルスを照射することにより前記トレーサーガスを解離させるステップと、第2の特定の波長を有する発光用レーザ光パルスを前記被測定流体に照射して解離した前記トレーサーガスを発光させるステップと、前記解離用レーザ光パルスの照射の位置及び時刻を基準として、前記発光の位置及び時刻から被測定流体の流速を演算するステップとを備えることを特徴とする流体の流速測定方法が提供される。
請求項1の発明は、LDVのように、被測定流体中に浮遊して被測定流体とともに移動している粒子にレーザ光を照射して散乱光を測定するのではなく、被測定流体に含有されているトレーサーガスの気体分子を解離させて生じ、かつ寿命が長い気体分子にレーザ光を照射して発光させてその発光分布から速度を求めるものである。
そのようなトレーサーガスとして好適なものは特に限定しないが、例えば、二酸化窒素(NO2)があげられる。二酸化窒素をトレーサーガスとして使用した場合(請求項6)、被測定流体中のトレーサーガスを、第1の特定の波長(波長355nm)の解離用レーザ光で一瞬照射すると、下式の反応により、照射された部分のトレーサーガスの分子のみが、その位置において解離して一酸化窒素を形成する。
NO2 + hν(355nm) → NO + O
形成された一酸化窒素は、形成した各位置を基準点(又は基準面)として、被測定流体の流れ方向へ移動していく。ある時間の経過後、被測定流体の流れに沿って移動した一酸化窒素分子が、それぞれの速度に従い、流れ場の速度分布に対応して分布することになる。そこで、かかる一酸化窒素分子に、波長約226nmの第2の特定の波長の発光用レーザ光を一瞬照射し、一酸化窒素分子を発光させ、その発光位置と時刻から、解離用レーザ光の照射から発光用レーザ光の照射によって発光するまでに、一酸化窒素分子が移動した距離を求め、流速を測定するものである。なお、流速測定に際しては、一酸化窒素を追跡することができれば、解離用と発光用レーザ光パルス照射時刻間の時間間隔を一定として発光用レーザ光パルスの照射位置を適宜変えて一酸化窒素の所在を確認してもよく、逆に照射位置を固定し、発光を観察することによって照射位置に達するまでの時間を検出するようにしてもよい。
このため、プローブを使用する方法と異なり、被測定流体の流れそのものに影響を与えることはなく、また、LDV等と異なり、被測定流体の流速分布と、測定に使用している浮遊粒子との間の速度差による誤差もなく、極めて正確に流速を測定することが出来る。
また、解離用レーザ光及び発光用レーザ光ともにパルス照射とするが、その照射時間は、トレーサーガスを二酸化窒素とした場合、例えば、解離用レーザ光パルスで、14nsec、発光用レーザ光パルスで、数nsecが好適である。
なお、照射時間が長引くと、照射中に二酸化窒素分子、一酸化窒素分子がともに移動してしまうので、ある一瞬に解離して生成した一酸化窒素分子の、次のある一瞬における位置を点でとらえることが出来なくなり(トレースする一酸化窒素分子を特定できなくなり)、流速を算出することが不可能になってしまう。
請求項2の発明は、前記解離用レーザ光パルスの照射と同時又は所定の時間遅れをおいて前記発光用レーザ光パルスを前記被測定流体に照射して解離した前記トレーサーガスを発光させ、該発光位置及び時刻を基準とするステップを含むことを特徴とする。
本測定方法においては、測定精度を向上させるためには、測定の基準点(又は基準面)の位置と、基準点(又は基準面)において発生した一酸化窒素が移動した位置とを正確に把握することが重要である。請求項1の発明においては、基準点(又は基準面)から移動した一酸化窒素の位置を発光用レーザ光パルスの照射により正確に捉えることとしたが、請求項2の発明においては、それに加えて、発光用レーザ光パルスの照射により基準点(又は基準面)位置に存在する一酸化窒素を励起発光させることにより、基準点(又は基準面)そのものの位置についても正確に捉えることとし、測定の精度を向上させたものである。
請求項3の発明は、前記発光の位置及び時刻は、該発光の撮像により求めることを特徴とする。発光用レーザ光によって励起発光するトレーサーガスを、その発光持続期間中の既知のタイミングで撮像することにより、容易に、発光現象の位置及び発光時刻(撮像時刻が、すなわち、発光時刻になる)を求めることができる。
請求項4の発明は、前記解離用レーザ光パルスは、前記被測定流体の流れ方向に垂直に横切るシート状の第1の照射面を有し、前記発光用レーザ光パルスは、前記第1の照射面に垂直なシート状の第2の照射面を有することを特徴とする。
解離用レーザ光パルスで、被測定流体の流れを垂直に横切るシート状に照射することにより、被測定流体流れの断面全体を基準点(又は基準面)とすることができ、かつ、発光用レーザ光パルスによって解離されたトレーサーガスを、被測定流体の流れの方向に平行なシート状に照射する。このため、励起発光を撮像すると、流れに沿った流速分布を一度に求めることができる。
請求項5の発明は、前記トレーサーガスを、前記被測定流体に予め注入するステップを含むことを特徴とする。
例えば、前述の二酸化窒素の例では、それが解離して生じた一酸化窒素はppbのオーダーの濃度が必要である。被測定流体中に、必要量の二酸化窒素が含まれていない場合に、本測定方法による流速測定のためには測定に先立ち、トレーサーガスを注入することにより、本流速測定方法の適用範囲をトレーサーガスが全く含まれていない流体にまで拡げることを可能としたものである。
前記トレーサーガスとしては、二酸化窒素を用いることもできる(請求項6)。二酸化窒素は、安定であるので、高温下における使用が可能であり、例えば、火焔中の未燃焼ガスの流速測定も可能である。
しかも前述のように、トレーサーガスとしての必要濃度はppbオーダーであり、トレーサーガスとしての注入量を微量とすることが可能である。
請求項1の発明は、LDVのように、被測定流体中に浮遊して被測定流体とともに移動している粒子にレーザ光を照射して散乱光を測定するのではなく、被測定流体に含有されているトレーサーガスの気体分子を解離させて生じる気体分子にレーザ光を照射して発光させてその発光分布から速度を求めるものであり、被測定流体の流れそのものに影響を与えることはなく、また、LDV等と異なり、被測定流体の流速分布と、測定に使用している浮遊粒子との間の速度差による誤差もなく、極めて正確に流速を測定することが出来るという優れた効果を奏する。
請求項2の発明は、請求項1の発明に加え、解離用レーザ光照射と同時又は時間遅れをおいて発光用レーザ光パルス照射を行うステップを加え、測定の基準点(又は基準面)そのものの位置についても正確に捉えることとしたので測定の精度を向上させることが出来るという優れた効果を奏する。
請求項3の発明は、発光用レーザ光によって励起発光するトレーサーガスを、その発光持続期間中の既知のタイミングで撮像することとしたので、容易に、発光現象の位置及び発光時刻を求めることが可能であるという優れた効果を奏する。
請求項4の発明は、解離用レーザ光パルスで、被測定流体の流れを垂直に横切るシート状に照射することにより、被測定流体流れの断面全体を基準点(又は基準面)とすることができ、かつ、発光用レーザ光パルスによって解離されたトレーサーガスを、被測定流体の流れの方向に平行なシート状に照射する。このため、励起発光を撮像すると、流れに沿った流速分布を一度に求めることができるという更に優れた効果を奏する。
請求項5の発明は、被測定流体中に、必要量の二酸化窒素が含まれていない場合に、本測定方法による流速測定のためには測定に先立ち、トレーサーガスを注入することとしたので、本流速測定方法の適用範囲をトレーサーガスが全く含まれていない流体にまで拡げることができるという一層優れた効果を奏する。
トレーサーガスとしては、二酸化窒素を用いることもでき(請求項6)、二酸化窒素は、安定であるので、高温下における使用が可能であり、しかも、トレーサーガスとしての注入量を微量とすることが可能という優れた効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態につき図1乃至図4に基づいて詳細に説明する。
本発明の流体の流速測定方法及びその有効性を説明するにあたり、流速分布を理論的に解析できる円管状のノズルからの噴出流の流速測定を例に説明することとし、まず、測定装置全体の概略構成を説明し、その後、本装置を使用した流速測定方法を説明する。
本実施形態においては、流速測定を実施するためのトレーサーガスとして二酸化窒素が使用されており、レーザ光照射による解離により一酸化窒素が発生する。
本実施形態にかかる流速測定装置は、計測チャンバ2を備えており、計測チャンバ2には、被測定流体が流入する配管8が接続されている。なお、本実施形態における被測定流体は乾燥空気が使用される。配管8の、計測チャンバ2への接続点より上流には、二酸化窒素をトレーサーガスとして微量注入するための配管8aが接続している。なお、トレーサーガスを、配管8内で被測定流体と完全に混合させて均一分布させるために、配管8の径や長さの調整、サージタンク、整流装置などを必要とするがそれらは省略する。また、トレーサーガスや被測定流体の流量を計量するための流量計なども省略されている。計測チャンバ2は、その内部に円筒形のノズル21を備える。ノズル21には配管8が接続しており、被測定流体を、図2中上向きに噴出させることができる。ノズル21から噴出した被測定流体を定常的に流すために、図示しない排気ポンプへ接続する配管9が、ノズル21の噴孔21aに対向して計測チャンバ2に接続しており、内部の気体は、ノズル21から配管9へ向かって、すなわち、図1中の矢印Aの方向へ、定常的に一定速度で流れる。
計測チャンバ2には、解離用レーザ光パルス及び発光用レーザ光パルスを計測チャンバ2内に導く窓22、及び、発光用レーザ光パルスの照射により生じる発光現象を、計測チャンバ2の外側から撮像するための窓23を備える。
図2に示すように窓22と窓23は互いに直交するように配置され、計測チャンバ2の外側に、解離用レーザ光を発生する解離用レーザ光装置3、及び発光用レーザ光を発生する発光用レーザ光装置4が配設され、各々のレーザ光が誘導路を介して窓22へと導びかれる。解離用レーザ光のシート状の照射面L1がノズル噴孔21a直上を図2中水平に、すなわち被測定流体の流れを垂直に横切って通過するように入射し、また、発光用レーザ光のシート状の照射面L2がノズル噴孔21a直上を図2中鉛直に、すなわち照射面L1に垂直に通過するように入射する。
また、計測チャンバ2の外部の窓23を臨む位置に撮像装置5が配設されている。この撮像装置5は、窓23を介して、発光用レーザ光パルスの照射による発光を撮像する。なお、撮影画像はコンピュータ7により表示又は必要な処理を行う。
解離用レーザ光装置3、発光用レーザ光装置4及び撮像装置5は、すべて、パルスジェネレータ6に接続され、パルスジェネレータ6から供給される制御信号にしたがって、所定のタイミングで、レーザ光の励起照射、撮像等が行われる。
以下に各装置について説明する。
解離用レーザ光装置3は、特に限定されないが、以下の要件を満足する必要がある。
1)トレーサーガスの解離反応を生ぜしめるために適切な波長のレーザ光を十分な反応を生ぜしめるために必要な強度で発生させることができること。
2)パルスジェネレータ6からの信号により正確なタイミングでレーザ光を発光できること。
なお、解離用レーザ光装置3のレーザ光出口には、レーザー光を直線状ではなく、平面状に発生できる光学系を有する。
トレーサーガスを二酸化窒素とした場合、約355nmのレーザ光を発生する、例えば、Nd:YAGレーザ装置(出力10mJ:Solar Laser System、LQ129)が好適に使用できる。
発光用レーザ光装置4も、特に限定されないが、トレーサーガスの解離によって生じる気体の分子が励起発光するのに適切な波長のレーザ光を十分な反応を生ぜしめるために必要な強度で発生させることができ、かつ前述の2)の要件を満足できる必要がある。また、発光用レーザ装置4のレーザ光出口にもレーザー光を直線状ではなく、平面状に発生できる光学系を有する。
一酸化窒素の励起、発光には、例えば、約226nmのレーザ光を発生するレーザ光発生装置が好適に使用できる。
本実施形態においては、約226nmのレーザ光を発生するレーザ光発生装置として、色素レーザ(出力約1mJ:Lamda Physics、Scanmate)装置を使用し、色素レーザの励起のため、308nmのレーザ光を発生するエキシマレーザ装置(Lamda Physics、Compex100)を使用した。
撮像装置5は、計測チャンバ2の外側、窓23の近傍に窓23に対向して配置され、窓23を通して計測チャンバ2内で生じる解離生成物の気体の励起発光を撮像する。ここで、撮像装置5の撮像方向が、発光用レーザ光の照射と垂直になるように撮像装置5の配置と向きとが調整されている。
撮像装置5は、特に限定しないが、以下の要件を満足することが必要である。
1)感度が高いこと。
2)撮像のタイミングやシャッタースピードを、正確に制御できること。
3)パルスジェネレータ6による撮像の制御や、コンピュータ7による撮像画像の処理等が容易であること。
上記条件を満足する撮像装置5としては、例えば、イメージインテンシファイア搭載のCCDカメラ(ICCD:LAVision、Flamestar)が好適に使用できる。
パルスジェネレータ6(例えば、BNC、555)は、解離用レーザ光の発光パルスと、それから一定の時間遅れ(例えば、5msec)をおいての発光用レーザ光の発光パルス、さらに発光用レーザ光発光と同時に撮像を行うための信号パルスを発生させる。より詳しくは、発光用レーザ光を照射すると、一酸化窒素が励起され一定時間発光するが、撮像装置のシャッタースピードは、その時間よりも長く(例えば、200nsec)に設定する。なお、撮像装置5により撮像された画像を表示、又は処理するためにコンピュータ7が使用される。
次に、本装置を使用して気体の流速を測定する方法について説明する。
まず、配管8から被測定流体を計測チャンバ2に流すとともに配管8aから二酸化窒素を微量注入し、被測定流体を計測チャンバ2のノズル21より供給する。このとき、計測チャンバ2の配管9に接続した排気ポンプを作動させ、ノズル21から供給される被測定流体の流量が一定になるように調整する。
被測定流体流量が一定に達した時点で、解離用レーザ光装置3で、解離用レーザ光を発光させ、被測定流体に対し解離用レーザ光パルスを照射する。この時点を時刻T=0とする。
このとき、図2に示すように、解離用レーザ光パルスの照射面L1は、ノズル21から噴出する被測定流体の流れの方向(矢印Aの方向)に垂直に横切るように照射される。
解離用レーザ光L1の照射により、T=0において、照射平面に存在した二酸化窒素は、前述の光化学反応により、一酸化窒素(NO)を生成する。
この結果、それまで被測定流体中に含まれていなかった一酸化窒素が、T=0において平面状に発生する(図1、図2のD1参照)。この平面状に発生した一酸化窒素が流速測定の基準面となるため、その位置を正確に捉えるために解離用レーザ光パルスの照射と同時か僅かに遅れて(例えば、10μsec)、発光用レーザ光パルス照射を行い、それによる一酸化窒素の励起発光を撮像し、基準面の位置を記録しておく。
その後、上記、平面状に発生した一酸化窒素は、被測定流体の流れにのって、流れの下流方向へ移動する。被測定流体の流速は、円筒のノズル21の中央部において周辺部より大であるため、被測定流体中の一酸化窒素分子の分布は、図3中T=0に示すように当初は平面状であるが、T1、T2と時間が経過するに従い、徐々に中央が膨らんだ回転体形状を呈するに至る。この流れは、円筒ノズルから噴出する気体によるポアズイユの流れであるので、流れに沿った断面の流速分布は、放物線状を形成している(図4)。
次に、例えば5msecの時間遅れをおいて発光用レーザ光を、その照射面L2が、解離用レーザ光パルスの照射面L1に垂直になるように照射する(図2参照)。
すると、その発光用レーザ光の照射平面L2上の一酸化窒素分子のみ、言い換えれば、前述の中央に膨らんだ回転体の縦断面上に存在している一酸化窒素のみが励起され、発光用レーザ光照射と同時に(厳密には、発光用レーザ光による励起、発光にごく僅かの時間遅れが発生する場合もあるが殆ど無視できる)、発光する。その形状は、図1、図2のD2に示すように前述の中央が膨らんだ回転体形状の断面として示される。
このため、発光用レーザ光の照射面L2に垂直な方向(図2中の矢印B方向)から、発光用レーザ光照射と同時に、撮像装置5により撮像(例えば、200nsecの間開放して撮像)を行うことにより、上記、一酸化窒素分子の分布を求めることができ、先に基準点(又は基準面)として求めたT=0における一酸化窒素の位置からの移動量とその間の時間から、一酸化窒素分子の流速分布、すなわち、被測定流体そのものの流速分布を求めることができる。
試験例を図4に示す。図4は流速分布の理論値と解離用レーザ光発光と発光用レーザ光発光との間の時間遅れを変化させて測定した測定値とを比較したものである。円筒ノズルからから噴出する被測定流体の流れはおよそポアゼイユ流れとなっており、図4中、太い実線の放物線で示された理論値に対し、点線、細線或いは点で示された測定値がよく一致していることが分かる。
なお、燃焼炉等の燃焼排気ガスが存在する流れ場においては、被測定流体中にもともと一酸化窒素が含まれている場合があり、そのような場合には、解離用レーザ光パルス照射により発生する一酸化窒素との区別が困難であるため、測定に支障をきたす可能性がある。その場合には、以下のように対処できる。すなわち、まず、解離用レーザ光パルスの照射を行わずに発光用レーザ光パルスの照射を行い、バックグラウンドの発光量を求める。次に本発明による流速測定を行い、得られたデータからバックグラウンド分を除去し、流速を求める。
また、燃焼炉などの炉内の流れ場分布や燃焼排ガスの流速測定に本測定方法を適用することも可能であり、その場合には、排ガス中に必要量の二酸化窒素が含まれる場合があるので、予め二酸化窒素の注入を行う必要がない。
また、本実施形態においては、トレーサーガスとしては、二酸化窒素を採用したが、OH、O3等の他の気体を使用することも可能である。
さらに、本実施形態においては、レーザ光をシート状とし、しかも、流体の流れの方向、解離用レーザ照射面、発光用レーザ光パルス照射面、及び撮像面(撮像装置)の互いの位置関係と向きを規定することにより、流れ方向の流速分布を一度に求めている。しかし、例えば、特定の流れ線にそったある特定の位置(一点)の速度を測定する場合には、解離用レーザ光パルスで照射、生成された、例えば一酸化窒素分子を発光用レーザ光パルスでピンポイント照射すればよい。すなわち、レーザ光で励起されて発生する発光を撮像できればよく、上述の照射面等の位置関係を規定する必要はなく、レーザ光もシート状でなくともよい。
本発明の流速測定方法は、上述の説明からその有用性が明らかなように適用できる測定対象分野は広く、物体周りの流速の分布の測定のみならず、レーザ光の照射方法を適宜工夫することにより流体機械等の境界層の流れ分布の測定や、種々の燃焼器内の流れの解析に利用することができる。又、前述のように二酸化窒素が高温下において比較的安定であることから、燃焼性の気体を燃焼させ、未燃焼ガスの流速分布の測定などを行うことも可能である。
本発明の1実施形態にかかる装置の構成を示す模式図である。 本発明の1実施形態にかかる、計測チャンバ2内部の流体の流れ方向と、解離及び発光用レーザ光パルスと、撮像方向の互いの位置関係を示す模式図である。 二酸化窒素の解離により発生した一酸化窒素の分布の時間変化を示す模式図である。 本発明の実施により得られた流速分布のグラフの例である。
符号の説明
2 計測チャンバ
3 解離用レーザ光装置
4 発光用レーザ光装置
5 撮像装置
6 パルスジェネレータ
7 コンピュータ
8 配管
8a 配管
9 配管
21 ノズル
21a ノズル噴孔
22 窓
23 窓
L1 解離用レーザ光パルス(第1の特定の波長のレーザ光パルス)の照射面
L2 発光用レーザ光パルス(第2の特定の波長のレーザ光パルス)の照射面

Claims (6)

  1. トレーサーガスを含む被測定流体に、第1の特定の波長を有する解離用レーザ光パルスを照射することにより前記トレーサーガスを解離させるステップと、
    第2の特定の波長を有する発光用レーザ光パルスを前記被測定流体に照射して解離した前記トレーサーガスを発光させるステップと、
    前記解離用レーザ光パルスの照射の位置及び時刻を基準として、前記発光の位置及び時刻から被測定流体の流速を演算するステップとを
    備えることを特徴とする流体の流速測定方法。
  2. 前記解離用レーザ光パルスの照射と同時又は所定の時間遅れをおいて前記発光用レーザ光パルスを前記被測定流体に照射して解離した前記トレーサーガスを発光させ、該発光位置及び時刻を基準とするステップを含むことを特徴とする、請求項1の流体の流速測定方法。
  3. 前記発光の位置及び時刻は、該発光の撮像により求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体の流速測定方法。
  4. 前記解離用レーザ光パルスは、
    前記被測定流体の流れ方向に垂直に横切るシート状の第1の照射面を有し、
    前記発光用レーザ光パルスは、
    前記第1の照射面に垂直なシート状の第2の照射面を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の流体の流速測定方法。
  5. 前記トレーサーガスを、前記被測定流体に予め注入するステップを含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の流体の流速測定方法。
  6. 前記トレーサーガスは、二酸化窒素であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の流体の流速測定方法。
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