JP2005048653A - 差圧弁機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】 異音の発生を抑制することが可能な差圧弁機構を提供すること。
【解決手段】 スクロールタイプの圧縮機において、可動スクロール部材の背面側には、背圧室75が区画形成されている。背圧室75と吸入室51とを接続する抽気通路77上には、背圧室75の圧力を調節するための圧力調節弁78が配設されている。圧力調節弁78は、抽気通路77上に形成された弁室72と、弁室よりも上流側に配置された弁孔73と、弁室72に収容され、背圧室75側の圧力が弁孔73を開放する方向に作用するとともに吸入室51側の圧力が弁孔73を閉塞する方向に作用する弁体79と、弁体79を弁閉方向に付勢する付勢バネ82とを備えている。弁孔73内には、該弁孔73から弁室72に流入する冷媒ガスの流れを乱すピン85が遊挿配置されている。
【選択図】 図3
【解決手段】 スクロールタイプの圧縮機において、可動スクロール部材の背面側には、背圧室75が区画形成されている。背圧室75と吸入室51とを接続する抽気通路77上には、背圧室75の圧力を調節するための圧力調節弁78が配設されている。圧力調節弁78は、抽気通路77上に形成された弁室72と、弁室よりも上流側に配置された弁孔73と、弁室72に収容され、背圧室75側の圧力が弁孔73を開放する方向に作用するとともに吸入室51側の圧力が弁孔73を閉塞する方向に作用する弁体79と、弁体79を弁閉方向に付勢する付勢バネ82とを備えている。弁孔73内には、該弁孔73から弁室72に流入する冷媒ガスの流れを乱すピン85が遊挿配置されている。
【選択図】 図3
Description
本発明は、例えば空調装置の冷凍サイクルを構成する圧縮機に用いられる差圧弁機構に関する。
この種の圧縮機としては、例えば、スクロールタイプのものが存在する。スクロールタイプの圧縮機においては、密閉室で圧縮される冷媒ガスの圧縮反力に基づくスラスト荷重が、可動スクロール部材に作用される。従って、可動スクロール部材と、該可動スクロール部材の背面をスラスト受けするハウジングとの摺動環境が厳しくなり、圧縮機の耐久性が低下する問題がある。また、密閉室のシール性が低下して、圧縮機の効率が低下する問題もある。
このような問題を解決するために、例えば、図11に示す態様においては、可動スクロール部材91の背面側に、低圧領域(吸入圧領域)92よりも高圧となる背圧室93を形成し、さらには該背圧室93の圧力を圧力調節弁94によって好適値に調節するようになっている(例えば特許文献1参照。)。
すなわち、前記背圧室93は、抽気通路95を介して低圧領域92に接続されており、該抽気通路95上には弁室96が形成されている。抽気通路95の一部を構成する弁孔97は、弁室96よりも上流側に位置して該弁室96に接続されている。弁室96には弁体98がスライド移動可能に収容されている。弁体98には、背圧室93側の圧力が弁孔97を開放する方向に作用されるとともに、低圧領域92側の圧力が弁孔97を閉塞する方向に作用される。弁室96には付勢バネ99が収容されており、該付勢バネ99は弁体98を弁閉方向に付勢する。
そして、前記圧力調節弁94は、背圧室93の圧力が好適値よりも大きくなると作動して弁体98が弁孔97を弁室96へ開放し、該背圧室93の圧力を低下傾向とする。
特開平7−229484号公報(第4頁、第5図)
ところが、前記圧力調節弁94においては、弁体98が弁孔97を開放した状態つまり冷媒ガスの通過時に、異音(詳しくは笛が吹かれた時の様な「ピー」音)を発生する問題があった。この異音発生について本願発明者は、弁孔97から弁室96に流入する冷媒ガスが、弁体98で絞られて流体振動を起こすことに原因があると推定した。
なお、冷凍サイクルの圧縮機に用いられる差圧弁機構としては、前述した背圧室93の圧力調節弁94以外にも、冷媒ガスの逆流を防止する逆止弁や、容量可変型にあっては吐出容量を制御する容量制御弁等、様々なものが存在する。また、差圧弁機構は、圧縮機内のガス通路上に配設されるもの以外にも、圧縮機外部の配管等に配設されるものも存在する。つまり、前述した異音発生の問題は、スクロールタイプの圧縮機に内蔵された、背圧室93の圧力調節弁94に限って生じるとは言い切れなく、その他の差圧弁機構においても同様に生じるおそれがある。
本発明の目的は、異音の発生を抑制することが可能な差圧弁機構を提供することにある。
上記目的を達成するために請求項1の発明の差圧弁機構は、弁孔から弁室に流入するガスの流れを乱す乱流手段を備えている。従って、弁孔から弁室に流入するガス言い換えれば弁体の周囲を流れるガスには、弁体での絞りによっても流体振動が生じ難くなり、差圧弁機構の開放時に異音が発生することを抑制できる。
請求項2の発明は請求項1において、前記乱流手段は、弁体と別体のピン又はボールよりなっている。ピン又はボールは弁孔に遊挿されている。従って、弁孔内におけるガスの流れがピン又はボールによって妨げられ、該弁孔から弁室に流入するガスの流れに乱れが生じることとなる。
また、前記弁孔に遊挿されているピン又はボールは、重力影響等に起因して、弁孔に対して偏心した状態となっている。従って、弁孔とピン又はボールとの隙間は、ピン又はボールの周囲の一部に偏って広く形成されることとなる。よって、弁孔内を流動するガスは、弁孔とピン又はボールとの隙間を通過する際に、流れが大きく乱されて弁室に流入することとなる。その結果、差圧弁機構でのガスの流体振動つまり異音発生を、さらに効果的に抑制できる。
なお、形状に方向性があるピンは、形状に方向性がないボールと比較して、弁孔内で安定する。従って、ピンは、外部から振動を受けても弁孔内で過度に暴れることがない。よって、この過度な暴れに起因した、弁孔の内周面等への衝撃的な衝突の繰り返しによる、異音振動の発生を抑制することができる。
前記ボールは、ピンよりも安価に調達できる。
請求項3の発明は請求項2において、前記ピン又はボールは、弁孔の延在方向に沿って移動可能であるとともに弁体に当接可能とされている。従って、弁孔内でガスの流れが発生すると、このガスの流れに押されたピン又はボールが、弁体に押圧接触される。ここで、前述したように、ピン又はボールは弁孔に対して偏心されている。このため、弁体に対するピン又はボールの押圧接触は、弁孔の軸線に対してズレた位置で行われる。従って、差圧弁機構の開放時において弁体には、ピン又はボールによる押圧に起因して傾動モーメントが作用され、該弁体は傾動されることとなる。この弁体の傾きにより、該弁体によるガスの絞り量が各部位においてバラつくこととなり、弁孔から弁室へ流入するガスの流れが、弁体を通過する際にも大きく乱される。よって、差圧弁機構でのガスの流体振動つまり異音発生を、さらに効果的に抑制できる。
請求項3の発明は請求項2において、前記ピン又はボールは、弁孔の延在方向に沿って移動可能であるとともに弁体に当接可能とされている。従って、弁孔内でガスの流れが発生すると、このガスの流れに押されたピン又はボールが、弁体に押圧接触される。ここで、前述したように、ピン又はボールは弁孔に対して偏心されている。このため、弁体に対するピン又はボールの押圧接触は、弁孔の軸線に対してズレた位置で行われる。従って、差圧弁機構の開放時において弁体には、ピン又はボールによる押圧に起因して傾動モーメントが作用され、該弁体は傾動されることとなる。この弁体の傾きにより、該弁体によるガスの絞り量が各部位においてバラつくこととなり、弁孔から弁室へ流入するガスの流れが、弁体を通過する際にも大きく乱される。よって、差圧弁機構でのガスの流体振動つまり異音発生を、さらに効果的に抑制できる。
請求項4の発明は請求項1において、前記乱流手段は、弁体に設けられ弁孔内に遊挿された柱状部よりなっている。従って、弁孔におけるガスの流れが柱状部によって妨げられ、該弁孔から弁室に流入するガスの流れが乱されることとなる。また、乱流手段(柱状部)が弁体に設けられているため、例えば乱流手段として、弁体と別体のピン又はボールを用いた場合等のように、外部からの振動を受けて乱流手段が弁孔内で暴れて異音振動を発生する危惧がない。
請求項5の発明は請求項1において、前記付勢バネはコイルバネよりなり、該付勢バネは、可動端を以て弁体の背面を押圧することで該弁体を付勢する。乱流手段は、弁体の背面に設けられ、該背面において付勢バネの可動端との対向領域の一部を該可動端との当接から逃す逃し手段よりなっている。
従って、前記弁体の背面において付勢バネの可動端との対向領域には、逃し手段が設けられた部分に作用する付勢バネの付勢力が弱くなる(ゼロも含む)。つまり、背面において付勢バネの可動端との対向領域には、該付勢バネの付勢力が偏作用されている。よって、弁体に弁孔内の圧力が弁開方向に強く作用されることで、前述した付勢バネの付勢力の偏作用とで、該弁体には傾動モーメントが作用されることとなる。その結果、差圧弁機構の開放時において弁体は、傾きつつ弁孔と弁室との間を開放することとなる。この弁体の傾きにより、該弁体によるガスの絞り量が各部位においてバラつくこととなり、弁孔から弁室へ流入するガスの流れが、弁体を通過する際に大きく乱される。よって、差圧弁機構でのガスの流体振動つまり異音の発生を、抑制することができる。
また、本発明においても上記請求項4の発明と同様に、乱流手段が弁体に一体化されている。従って、例えば、乱流手段として、弁体と別体のピンやボールを用いた場合等のように、外部から振動を受けて乱流手段が弁孔内で暴れて異音振動を発生する危惧がない。
請求項6の発明は請求項5において、好適な一態様について言及するものである。すなわち、前記逃し手段は、弁体の背面において付勢バネの可動端との対向領域の一部に形成された切欠よりなっている。
請求項7の発明は請求項5において、好適な一態様について言及するものである。すなわち、前記逃し手段は、弁体の背面を付勢バネの中心軸線に対して傾斜した斜面とすることよりなっている。
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか一項の差圧弁機構を適用するのに好適な一態様について言及するものである。すなわち、前記ガス通路は、スクロールタイプの圧縮機に備えられている。圧縮機が備える可動スクロール部材の背面側には、背圧室が区画形成されている。背圧室と高圧領域とは給気通路を介して接続され、背圧室と低圧領域とは抽気通路を介して接続されている。そして、給気通路又は抽気通路が前記ガス通路をなしている。つまり、本発明の差圧弁機構は、給気通路又は抽気通路上に配設され、背圧室と高圧領域との圧力差、又は背圧室と低圧領域との圧力差に応じて通路を開閉することで、背圧室の圧力を好適値に調節する。
以上のように、請求項1〜8の発明の差圧弁機構によれば、ガス通路の開放時における異音の発生を抑制することが可能となる。特に、請求項8の発明によれば、静粛性に優れた圧縮機を提供することができる。
以下、本発明の差圧弁機構を、車両用空調装置の冷凍サイクルを構成する圧縮機に適用した第1〜第6実施形態について説明する。なお、第2〜第6実施形態においては第1実施形態との相違点についてのみ説明し、同一又は相当部材には同じ番号を付して説明を省略する。
○第1実施形態
(圧縮機)
図1に示すように、圧縮機のハウジング11は、第1ハウジング構成体21と第2ハウジング構成体22の二つのハウジング構成体を接合固定することで構成されている。第1ハウジング構成体21は、円筒部23の図面左方側に底部24を有する有底円筒状をなしている。第2ハウジング構成体22は有蓋円筒状をなしている。ハウジング11内には、第1ハウジング構成体21と第2ハウジング構成体22とで囲まれて密閉空間12が形成されている。
(圧縮機)
図1に示すように、圧縮機のハウジング11は、第1ハウジング構成体21と第2ハウジング構成体22の二つのハウジング構成体を接合固定することで構成されている。第1ハウジング構成体21は、円筒部23の図面左方側に底部24を有する有底円筒状をなしている。第2ハウジング構成体22は有蓋円筒状をなしている。ハウジング11内には、第1ハウジング構成体21と第2ハウジング構成体22とで囲まれて密閉空間12が形成されている。
前記第1ハウジング構成体21において底部24の内壁面の中央部には、円筒状の軸支部24aが一体に突設されている。第1ハウジング構成体21内において円筒部23の開口端側には、中央部に挿通孔32aが貫通形成された軸支部材32が固定されている。第1ハウジング構成体21内には回転軸33が収容されている。
前記回転軸33の左端側は、ベアリング34を介することで、軸支部24aによって回転可能に支持されている。回転軸33の右端側は軸支部材32の挿通孔32aを挿通され、該挿通孔32a内においてベアリング35を介することで、軸支部材32によって回転可能に支持されている。軸支部材32と回転軸33との間には、該回転軸33を封止するシール部材38が配置されている。従って、密閉空間12内には、軸支部材32を境とした図面左方側にモータ収容室12aが区画されている。
前記密閉空間12のモータ収容室12a内において、第1ハウジング構成体21の円筒部23の内周面には、ステータ36が設けられている。モータ収容室12a内において回転軸33には、ステータ36の内側に位置するようにしてロータ37が固定されている。ステータ36及びロータ37によって電動モータ13が構成されている。電動モータ13は、ステータ36への給電によって、ロータ37と回転軸33とを一体的に回転させる。
前記第1ハウジング構成体21内において円筒部23の開口端側には、固定スクロール部材41が収容配置されている。固定スクロール部材41は、円板状をなす基板61の外周側に円筒状の外周壁62が立設されているとともに、基板61において外周壁62の内側に渦巻壁63が立設されてなる。固定スクロール部材41は、外周壁62の先端面を以て軸支部材32の外周部に接合されている。従って、密閉空間12内には、固定スクロール部材41の基板61、固定スクロール部材41の外周壁62、及び軸支部材32によって囲まれるとともに、回転軸33がシール部材38によって封止されることで、スクロール収容室58が区画形成されている。
前記回転軸33において、スクロール収容室58内に位置する固定スクロール部材41側の端面には、回転軸33の軸線Lに対して偏心した位置に偏心軸43が設けられている。偏心軸43にはブッシュ44が外嵌固定されている。ブッシュ44には、スクロール収容室58内に収容配置された可動スクロール部材45が、固定スクロール部材41と対向するようにベアリング46を介して相対回転可能に支持されている。可動スクロール部材45は、円板状をなす基板65に、固定スクロール部材41へ向かって渦巻壁66が立設されてなる。
前記固定スクロール部材41と可動スクロール部材45とは、スクロール収容室58内において渦巻壁63,66を以って互いに噛み合わされているとともに、各渦巻壁63,66の先端面が相手のスクロール部材41,45の基板61,65に接合されている。従って、固定スクロール部材41の基板61及び渦巻壁63、可動スクロール部材45の基板65及び渦巻壁66は、スクロール収容室58内において密閉室47を区画形成する。
前記可動スクロール部材45の基板65とそれに対向する軸支部材32との間には、自転阻止機構48が配設されている。自転阻止機構48は、可動スクロール部材45において基板65の背面の外周部に複数設けられた円環孔48aと、軸支部材32の外周部に複数(図面においては一つのみ示す)突設され円環孔48aに遊嵌されたピン48bとからなっている。
前記固定スクロール部材41の背面側には、第2ハウジング構成体22との間に、吸入室51及び吐出室52がそれぞれ区画形成されている。吸入室51には、図示しない外部回路の蒸発器につながる外部配管が接続されている。吐出室52には、図示しない外部回路のガスクーラにつながる外部配管が接続されている。
前記固定スクロール部材41の基板61の中心には吐出孔41aが形成され、該吐出孔41aを介して中心側の密閉室47と吐出室52とが接続されている。吐出室52内において固定スクロール部材41の基板61には、吐出孔41aを開閉するためのリード弁よりなる吐出弁55が配設されている。吐出弁55の開度は、固定スクロール部材41の基板61に固定配置されたリテーナ56によって規制される。
そして、前記電動モータ13によって回転軸33が回転駆動されると、圧縮機構14においては、可動スクロール部材45が偏心軸43を介して固定スクロール部材41の軸心(回転軸33の軸線L)の周りで公転される。このとき、可動スクロール部材45は、自転阻止機構48によって自転が阻止されて、公転運動のみが許容される。この可動スクロール部材45の公転運動により、密閉室47が両スクロール部材41,45の渦巻壁63,66の外周側から中心側へ容積を減少しつつ移動されることで、吸入室51から密閉室47内に取り込まれた低圧冷媒ガスの圧縮が行われる。圧縮済みの高圧冷媒ガスは、吐出孔41aから吐出弁55を介して吐出室52に吐出される。
(可動スクロール部材の背圧調節構造)
図1及び図2に示すように、前記スクロール収容室58内において可動スクロール部材45の基板65の背面側には、軸支部材32との間に背圧室75が区画形成されている。固定スクロール部材41の外周壁62及び軸支部材32には、高圧領域(吐出圧領域)としての吐出室52と背圧室75とを接続する給気通路76が形成されている。給気通路76は、その途中にフィルタ76a及び固定絞り76bを有している。
図1及び図2に示すように、前記スクロール収容室58内において可動スクロール部材45の基板65の背面側には、軸支部材32との間に背圧室75が区画形成されている。固定スクロール部材41の外周壁62及び軸支部材32には、高圧領域(吐出圧領域)としての吐出室52と背圧室75とを接続する給気通路76が形成されている。給気通路76は、その途中にフィルタ76a及び固定絞り76bを有している。
従って、前記吐出室52の高圧冷媒ガスの一部は、フィルタ76aで異物が除去された後、固定絞り76bで絞られて背圧室75に導入される。この吐出室52からの高圧冷媒ガスの供給により、背圧室75の圧力は吸入室51の圧力(低圧)よりも高められることとなる。よって、背圧室75の高い圧力に基づく力が可動スクロール部材45に作用し、該可動スクロール部材45は固定スクロール部材41に向けて付勢される。
前記固定スクロール部材41の外周壁62及び軸支部材32には、背圧室75と低圧領域(吸入圧領域)としての吸入室51とを接続する、ガス通路としての抽気通路77が形成されている。固定スクロール部材41の外周壁62において抽気通路77の途中には、差圧弁機構としての圧力調節弁78が配設されている。圧力調節弁78は、背圧室75の圧力を好適値に調節するためのものである。圧力調節弁78は、背圧室75の圧力が好適値よりも大きくなると作動して抽気通路77を開放し、背圧室75の圧力を低下傾向とする。
(圧力調節弁)
図3及び図4に示すように、前記固定スクロール部材41の外周壁62には、抽気通路77の下流側を構成する連通孔77aが貫通形成されている。連通孔77aは、吸入室51側から背圧室75側に向かって段階的に径が小さくなる一線状をなしている。連通孔77aの最大径部内には、吸入室51への開口端に球体よりなるバネ荷重調節部材71が圧入固定されることで、弁室72が区画形成されている。弁室72の内周面には、該弁室72の延在方向に沿って複数の連通溝72aが形成されている。弁室72と吸入室51とは、連通溝72aを介することで、バネ荷重調節部材71を迂回して連通されている。
図3及び図4に示すように、前記固定スクロール部材41の外周壁62には、抽気通路77の下流側を構成する連通孔77aが貫通形成されている。連通孔77aは、吸入室51側から背圧室75側に向かって段階的に径が小さくなる一線状をなしている。連通孔77aの最大径部内には、吸入室51への開口端に球体よりなるバネ荷重調節部材71が圧入固定されることで、弁室72が区画形成されている。弁室72の内周面には、該弁室72の延在方向に沿って複数の連通溝72aが形成されている。弁室72と吸入室51とは、連通溝72aを介することで、バネ荷重調節部材71を迂回して連通されている。
図3に示すように、前記連通孔77aにおいて、弁室72よりも背圧室75寄りの部分つまり弁室72よりも上流側に位置する部分は、弁孔73をなしている。弁孔73は、弁室72に対して背圧室75側で連続しかつ該弁室72よりも小径な大径部73aと、該大径部73aに対して背圧室75側で連続しかつ該大径部73aよりも小径な小径部73bとからなっている。弁孔73内において大径部73aと小径部73bとの接続部分には、段差73cが形成されている。
前記弁室72と弁孔73の大径部73aとの接続部分に形成された段差は、弁座74をなしている。弁座74において弁室72内に臨む平面状の段差面が、大径部73aの弁室72への開口を取り囲む座面74aをなしている。
前記弁室72には弁体79が収容されている。弁体79は、弁座74の座面74aに対して接離する方向へスライド移動が可能である。弁体79は、実質的に円柱状をなす本体80と、該本体80の背面80aに設けられ、該本体80よりも小径な円柱状をなすバネ保持部81とからなっている。弁体79の本体80は、弁座74の座面74aに対向する平面状のシール面80bを有している。本体80は、シール面80b側の半部が該シール面80b側に小径となる先細り形状をなしている。この先細り形状は、弁体79の弁室72への挿入作業を容易とする。弁体79は、シール面80bが弁座74の座面74aと平行状態で該座面74aに圧接することで、弁孔73(大径部73a)と弁室72との連通を遮断する。
前記弁体79において本体80のシール面80bには、弁孔73内の圧力つまり背圧室75側の圧力が、弁体79が弁孔73を開放する方向つまり弁体79が弁座74の座面74aから離間する方向に作用されている。弁体79の背面80a(バネ保持部81の先端面も含む)には、弁室72内の圧力つまり吸入室51側の圧力が、弁体79が弁孔73を閉塞する方向つまり弁体79が弁座74の座面74aに接近する方向に作用されている。
前記弁室72内において、弁体79とバネ荷重調節部材71との間には、コイルバネよりなる付勢バネ82が介在されている。付勢バネ82の固定端82aは、バネ荷重調節部材71の球面71aに当接支持されている。付勢バネ82の可動端82bは、弁体79のバネ保持部81に外嵌され、本体80の背面80aに当接されている。弁体79は、付勢バネ82によって、座面74a側につまり弁閉方向に付勢されている。
そして、本実施形態においては、前記弁孔73の大径部73a内に、乱流手段としての円柱状のピン85が挿入配置されている。ピン85において弁体79側の端面85aは、凸球面状をなしている。ピン85としては、大径部73aの内径よりも小さくかつ小径部73bの内径よりも大きな外径を有するものが用いられている。ピン85としては、大径部73aの通路長よりも短いものが用いられている。従って、ピン85は、弁体79のシール面80bに当接する位置と、弁孔73の段差73cに当接する位置との間で、弁孔73の延在方向(図面の左右方向)に沿ってスライド移動可能である。
さて、前記圧力調節弁78において弁体79は、弁孔73内の圧力に基づく弁開方向への付勢力と、弁室72内の圧力に基づく弁閉方向への付勢力及び付勢バネ82の弁閉方向への付勢力との大小関係によって位置決めされる。
すなわち、例えば、図3に示すように、前記背圧室75の圧力が好適値以下の場合には、前述した弁閉方向の付勢力が弁開方向の付勢力を上回り、弁体79は弁座74に着座して弁孔73と弁室72との間の連通を遮断する。従って、背圧室75の圧力は、給気通路76を介した吐出室52からの高圧冷媒ガスの導入により、上昇傾向となっている。
なお、前述した「好適値」とは、吸入室51の圧力よりも所定値だけ高い値であって、この所定値は、付勢バネ82の初期バネ荷重により設定されている。この付勢バネ82の初期バネ荷重は、バネ荷重調節部材71の弁室72への圧入量により調節することができる。
前記圧力調節弁78は、背圧室75の圧力が好適値よりも大きくなると、前述した弁開方向の付勢力が弁閉方向の付勢力を上回り、弁体79は弁座74から離間して弁孔73と弁室72との間を開放する。従って、背圧室75の圧力が抽気通路77を介して吸入室51へと逃されて、該背圧室75の圧力は低下傾向となる。
ここで、前記弁孔73(大径部73a)に収容配置されたピン85は、弁閉状態(図3参照)にある圧力調節弁78が弁開状態に移行する過程、及び圧力調節弁78が弁開状態に移行した後において、次のような作用効果を奏する。
(1)図5に示すように、前記弁体79が弁座74から離間して抽気通路77が開放され、該抽気通路77に冷媒ガスの流れが発生すると、この冷媒ガスは弁孔73の大径部73a内において、該大径部73aの内周面73dとピン85の外周面85bとの隙間Sを通過される。つまり、ピン85は、弁孔73内における冷媒ガスの流動を妨げるようにして配置されており、該弁孔73内を流動する冷媒ガスは、大径部73aとピン85との隙間Sを経由することで流れが乱されて弁室72に流入されることとなる。よって、弁孔97から弁室96に流入する冷媒ガス言い換えれば弁体79の周囲を流れる冷媒ガスに、弁体79による絞りによっても流体振動が生じ難くなり、圧力調節弁78で異音が発生することを抑制できる。その結果、本実施形態の圧縮機は、静粛性に優れたものとなる。
(2)前記大径部73aに遊挿されているピン85は、大径部73aが水平方向に延在されていることでの重力影響等に起因して、該大径部73aの軸線Pに対して下方側に偏心した状態となっている。従って、大径部73aとピン85との隙間Sは、大径部73aの上方側に偏って形成されることとなる。よって、弁孔73内を流動する冷媒ガスは、大径部73aとピン85との隙間Sを通過する際に流れが大きく乱されて弁室72に流入されることとなり、前記作用効果(1)がさらに有効に奏される。
(3)前記弁体79が弁座74から離間して抽気通路77が開放され、該抽気通路77に冷媒ガスの流れが発生すると、この冷媒ガスの流れに押されたピン85が、その端面85aを以て弁体79のシール面80bに押圧接触される。前述したように、ピン85は、大径部73aの軸線Pに対して偏心されている。このため、弁体79のシール面80bに対する、端面85aを介したピン85の押圧接触は、大径部73aの軸線Pよりも下方側にズレた位置で行われる。
従って、前記圧力調節弁78の開放時において弁体79には、ピン85による押圧に起因して傾動モーメントが作用され、該弁体79は、シール面80bが弁座74の座面74aに対して傾斜するように傾動されることとなる。このシール面80bの座面74aに対する傾きにより、該シール面80bと座面74aとの隙間(言い換えれば冷媒ガスの絞り量)に軸線P周りでバラツキが生じる。よって、弁孔73から弁室72へ流入する冷媒ガスの流れが、シール面80bと座面74aとの間の通過によっても乱されることとなり、前記作用効果(1)がさらに有効に奏される。
上記構成の本実施形態においては、前記作用効果(1)〜(3)の他にも次のような作用効果も奏する。
(4)形状に方向性があるピン85は、例えば形状に方向性がないボール(後述する第2実施形態(図6。ボール86)参照)と比較して、弁孔73内で安定する。従って、ピン85は、車両の走行振動等を受けても弁孔73(大径部73a)内で過度に暴れることがない。よって、この過度な暴れに起因した、大径部73aの内周面73dや弁体79のシール面80bへの衝撃的な衝突の繰り返しによる、異音振動の発生を抑制することができる。つまり、乱流手段をピン85に具体化した本実施形態の圧力調節弁78は、振動環境下で用いられることとなる車載用の圧縮機に適用するのに特に好適である。
(4)形状に方向性があるピン85は、例えば形状に方向性がないボール(後述する第2実施形態(図6。ボール86)参照)と比較して、弁孔73内で安定する。従って、ピン85は、車両の走行振動等を受けても弁孔73(大径部73a)内で過度に暴れることがない。よって、この過度な暴れに起因した、大径部73aの内周面73dや弁体79のシール面80bへの衝撃的な衝突の繰り返しによる、異音振動の発生を抑制することができる。つまり、乱流手段をピン85に具体化した本実施形態の圧力調節弁78は、振動環境下で用いられることとなる車載用の圧縮機に適用するのに特に好適である。
(5)ピン85において、弁体79に当接する端面85aは、凸球面状をなしている。従って、例えば、ピン85が弁体79(特にシール面80b)に角当たりして該シール面80bが損傷されることを防止でき、該シール面80bの損傷に起因した、弁閉時における冷媒ガスの漏れを防止することができる。
(6)バネ荷重調節部材71は球体よりなっており、例えば円柱状のもの(後述する第3実施形態(図7。バネ荷重調節部材87)参照)と比較して、安価で調達できかつ連通孔77aへの圧入作業も容易に行い得る。
○第2〜第4実施形態
図6に示す第2実施形態においては、上記第1実施形態からピン85が削除されているとともに、弁孔73の大径部73aには、乱流手段としてのボール86が収容配置されている。ボール86としては、大径部73aの内径よりも小さくかつ小径部73bの内径よりも大きい直径を有するものが用いられている。ボール86としては、大径部73aの通路長よりも小さい直径を有するものが用いられている。従って、ボール86は、上記第1実施形態のピン85と同様に機能して、弁孔73から弁室72に流入する冷媒ガスの流れを乱す。
図6に示す第2実施形態においては、上記第1実施形態からピン85が削除されているとともに、弁孔73の大径部73aには、乱流手段としてのボール86が収容配置されている。ボール86としては、大径部73aの内径よりも小さくかつ小径部73bの内径よりも大きい直径を有するものが用いられている。ボール86としては、大径部73aの通路長よりも小さい直径を有するものが用いられている。従って、ボール86は、上記第1実施形態のピン85と同様に機能して、弁孔73から弁室72に流入する冷媒ガスの流れを乱す。
本実施形態においては、上記第1実施形態の(1)〜(3)及び(5)並びに(6)と同様な作用効果を奏する。その他にも、乱流手段として形状に方向性がないボール86を用いることで、該ボール86の弁孔73内への挿入作業が容易となるし、該弁孔73内での傾きによる動作不良の問題も生じない。また、ボール86は、例えばピン85と比較して安価に調達できる。
図7に示す第3実施形態においては、バネ荷重調節部材87として、平面状の端面87aを以て弁室72に臨む円柱状のものが用いられている点が、上記第1実施形態と異なっている。従って、付勢バネ82の固定端82aは、バネ荷重調節部材87(端面87a)によって平面受けされることとなる。よって、付勢バネ82の姿勢が安定され、圧力調節弁78の動作が安定するし、例えば付勢バネ82の固定端82aが球体(第1実施形態のバネ荷重調節部材71。図3参照)の球面71aに沿って広がって、該付勢バネ82の初期バネ荷重つまりは圧力調節弁78の動作特性が変化してしまうことを防止できる。なお、本実施形態においても、上記第1実施形態の(1)〜(5)と同様な作用効果を奏する。
図8に示す第4実施形態においては、上記第1実施形態からピン85が削除されているとともに、弁体79のシール面80bの中央部には、乱流手段として円柱状の柱状部88が突設されている。柱状部88は、その中心軸線が軸線Pに一致するように弁孔73に遊挿されている。従って、弁孔73における冷媒ガスの流れが柱状部88によって妨げられることとなり、弁孔73から弁室72に流入する冷媒ガスの流れを乱すことができる。なお、柱状部88を、弁孔73の軸線Pに対して偏心するように弁体79に設ければ、弁孔73から弁室72に流入する冷媒ガスの流れを乱す効果がより高まる。
本実施形態においても上記第1実施形態の効果(1)及び(6)と同様な作用効果を奏する。その他にも、乱流手段(柱状部88)が弁体79に一体化されているため、例えば乱流手段として、弁体79と別体のピン85(図3参照)やボール86(図6参照)を用いた場合等のように、車両の走行振動等を受けて乱流手段が弁孔73内で暴れて異音振動を発生する危惧がない。つまり、本実施形態の圧力調節弁78は、振動環境下において用いられることとなる車載用の圧縮機に適用するのに特に好適である。
また、乱流手段(柱状部88)が弁体79に一体化されていることで、例えば上記第1実施形態のように、弁孔73内にピン85の移動を規制するための段差73cを設ける必要がない。つまり、弁孔73に大径部73aと小径部73bとを設定する必要がなく、該弁孔73の形状が簡単となってその加工が容易となる。
○第5及び第6実施形態
図9に示す第5実施形態及び図10に示す第6実施形態においては、上記第1実施形態の圧力調節弁78からピン85が削除されている。また、圧力調節弁78には、乱流手段として、弁体79の背面80aに、該背面80aにおいて付勢バネ82の可動端82bとの対向領域(バネ保持部81の周囲の円環状領域)の一部を、該可動端82bとの当接から逃す逃し手段が設けられている。
図9に示す第5実施形態及び図10に示す第6実施形態においては、上記第1実施形態の圧力調節弁78からピン85が削除されている。また、圧力調節弁78には、乱流手段として、弁体79の背面80aに、該背面80aにおいて付勢バネ82の可動端82bとの対向領域(バネ保持部81の周囲の円環状領域)の一部を、該可動端82bとの当接から逃す逃し手段が設けられている。
すなわち、図9に示すように、第5実施形態において逃し手段は、弁体79の背面80aに形成された切欠80cよりなっている。従って、背面80aにおいて付勢バネ82の可動端82bとの対向領域には、切欠80cの部分に付勢バネ82の付勢力が作用しない。つまり、背面80aにおいて付勢バネ82の可動端82bとの対向領域には、該付勢バネ82の付勢力が一部(切欠80c以外の部分)に偏って作用されている。よって、圧力調節弁78の開放時において、弁体79のシール面80bに弁孔73内の圧力が弁開方向に作用されることで、前述した付勢バネ82の付勢力の偏作用とで、該弁体79にはシール面80bを弁座74の座面74aに対して傾斜させる傾動モーメントが作用されることとなる。
その結果、前記圧力調節弁78の開放時において弁体79は、シール面80bを弁座74の座面74aに対して傾斜させつつ、言い換えればシール面80bを開閉方向(図面左右方向)に対して傾斜させつつ、弁孔73と弁室72との間を開放することとなる。この座面74aに対するシール面80bの傾きにより、該座面74aとシール面80bとの隙間(言い換えれば弁体79による冷媒ガスの絞り量)に、軸線P周りでバラツキが生じる。よって、弁孔73から弁室72へ流入する冷媒ガスの流れが、シール面80bと座面74aとの間を通過する際に乱されることとなる。その結果、弁孔97から弁室96に流入する冷媒ガスに流体振動が生じ難くなり、圧力調節弁78で異音が発生することを抑制できる。
図10に示すように、第6実施形態において逃し手段は、弁体79の背面80aの全体を、シール面80bに対して傾斜された斜面言い換えれば付勢バネ82の中心軸線Qに対して傾斜された斜面とすることよりなっている。従って、弁体79の背面80aにおいて付勢バネ82の可動端82bとの対向領域には、付勢バネ82の付勢力が強く作用する部分(図面上方側の領域)と、付勢バネ82の付勢力が弱く作用する部分(図面下方側の領域)とが生じる。よって、本実施形態においても上記第5実施形態と同様に、付勢バネ82の付勢力の偏作用に基づいて、圧力調節弁78の開放時に弁体79を傾かせることができ、上記第5実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
また、第5及び第6実施形態においても上記第4実施形態と同様に、乱流手段が弁体79に一体化されているため、例えば乱流手段として、弁体79と別体のピン85(図3参照)やボール86(図6参照)を用いた場合等のように、車両の走行振動等を受けて乱流手段が弁孔73内で暴れて異音振動を発生する危惧がない。つまり、第5及び第6実施形態の圧力調節弁78は、振動環境下において用いられる車載用の圧縮機に適用するのに特に好適である。
さらに、乱流手段が弁体79に一体化されていることで、例えば上記第1実施形態のように、弁孔73内にピン85の移動を規制するための段差73cを設ける必要がない。つまり、弁孔73に大径部73aと小径部73bとを設定する必要がなく、該弁孔73の形状が簡単となってその加工が容易となる。
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で例えば以下の態様でも実施できる。
○上記第1及び第3実施形態においては、ピン85として円柱状のものが用いられていた。これを変更し、ピン85として、三角柱状や四角柱状等の横断面が角形状をなすものを用いること。
○上記第1及び第3実施形態においては、ピン85として円柱状のものが用いられていた。これを変更し、ピン85として、三角柱状や四角柱状等の横断面が角形状をなすものを用いること。
○上記第1〜第3実施形態を変更し、ピン85又はボール86が、弁孔73内で該弁孔73の延在方向へ移動しないように(弁体79に当接しないように)、該弁孔73内においてピン85又はボール86と弁体79との間にも、サークリップ等によって段差を設けること。
○上記各実施形態において圧力調節弁78の弁体79には、平面状のシール面80bを有するものが用いられていた。これを変更し、圧力調節弁78の弁体79として凸球面状のシール面を有する、球状又は半球状のものを用いること。なお、平面状のシール面80bの方が凸球面状のシール面よりも、平面で以て冷媒ガスの流れに対峙する分だけ、弁体79が傾いた時において(例えば図5参照)、弁孔73から弁室72に流入する冷媒ガスの流れを乱す効果は高い。
○上記各実施形態において圧力調節弁78は、抽気通路77上に配設されていた。つまり、上記各実施形態においては、背圧室75からの冷媒ガスの導出を調節することで、該背圧室75の圧力を調節する構成であった。これを変更し、圧力調節弁78を給気通路76上に配設すること。そして、吐出室52から背圧室75への冷媒ガスの導入を、弁開方向に作用する吐出室52側の圧力と、弁閉方向に作用する背圧室75側の圧力との差に応じて動作する圧力調節弁78によって調節することで、該背圧室75の圧力を好適値に調節するようにすること。
○上記第5実施形態を変更し、弁体79の背面80aに切欠80cを形成することに換えて、付勢バネ82の可動端82bの一部を切除するか、又は可動端82bの一部を弁体79(背面80a)と反対方向に屈曲させて乱流手段とすること。また、上記第3実施形態を変更し、ピン85を削除するとともに、バネ荷重調節部材87の端面87aを弁座74の座面74aに対して傾斜させて乱流手段とすること。前者及び後者の態様においても上記第5及び第6実施形態と同様に、圧力調節弁78の開放時において弁体79を傾かせることができる。つまり、付勢バネ82の付勢力が、弁体79の中心軸線周りにおいて偏って作用するように構成すれば、上記第5及び第6実施形態以外の態様であっても該第5及び第6実施形態と同様な作用効果を奏することができる。言い換えれば、逃し手段は、弁体79に設けることに限定されるものではなく、付勢バネ82やバネ荷重調節部材87に設けるようにしてもよい。
○上記各実施形態においては、付勢バネ82としてコイルバネが用いられていた。しかし、これに限定されるものではなく、付勢バネ82として例えば板バネや気体バネを用いてもよい。
○上記各実施形態において差圧弁機構は、可動スクロール部材45の背圧を調節する圧力調節弁78に具体化されていた。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、吸入室51から外部回路への冷媒ガスの逆流を防止するための逆止弁、又は外部回路から吐出室52への冷媒ガスの逆流を防止するための逆止弁に、本発明の差圧弁機構を具体化してもよい。また、クランク室の圧力を調節することで吐出容量を変更可能なピストン式の容量可変型圧縮機にあっては、吐出室とクランク室とを接続する冷媒ガス通路上に配設された容量制御弁、又はクランク室と吸入室とを接続する冷媒ガス路上に配設された容量制御弁に、本発明の差圧弁機構を具体化してもよい。
○本発明の差圧弁機構を適用可能な冷媒ガス通路は、圧縮機内に設けられたものに限定されるものではなく、例えば外部回路の配管や機器内の冷媒ガス通路であってもよい。つまり、本発明の差圧弁機構は、圧縮機に内蔵されるものに限定されない。
○本発明の差圧弁機構は、冷凍サイクルに適用することに限定されるものではなく、例えばエア回路に適用してもよい。
上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(1)前記乱流手段は前記ピンよりなっており、該ピンにおいて前記弁体に当接可能な端面は凸球面状をなしている請求項3に記載の差圧弁機構。
(2)前記付勢バネはコイルバネよりなり、該付勢バネは前記弁体の背面を押圧することで該弁体を付勢し、前記乱流手段は、前記付勢バネに設けられ、該付勢バネの可動端の一部を前記背面との当接から逃す逃し手段(例えば上述した別例にあっては可動端の一部を切除又は屈曲する)よりなっている請求項1に記載の差圧弁機構。
(2)前記付勢バネはコイルバネよりなり、該付勢バネは前記弁体の背面を押圧することで該弁体を付勢し、前記乱流手段は、前記付勢バネに設けられ、該付勢バネの可動端の一部を前記背面との当接から逃す逃し手段(例えば上述した別例にあっては可動端の一部を切除又は屈曲する)よりなっている請求項1に記載の差圧弁機構。
(3)前記ガス通路は車載用の圧縮機に備えられており、前記乱流手段は前記ピンよりなっている請求項2又は3に記載の差圧弁機構。
(4)前記ガス通路は車載用の圧縮機に備えられている請求項4〜7のいずれか一項に記載の差圧弁機構。
(4)前記ガス通路は車載用の圧縮機に備えられている請求項4〜7のいずれか一項に記載の差圧弁機構。
45…可動スクロール部材、51…低圧領域としての吸入室、52…高圧領域としての吐出室、72…弁室、73…弁孔、75…背圧室、76…給気通路、77…ガス通路としての抽気通路、78…差圧弁機構としての圧力調節弁、79…弁体、80a…弁体の背面、80c…乱流手段(逃し手段)としての切欠(第5実施形態)、82…付勢バネ(82b…可動端)、85…乱流手段としてのピン(第1及び第3実施形態)、86…乱流手段としてのボール(第2実施形態)、88…乱流手段としての柱状部(第4実施形態)、Q…付勢バネの中心軸線。
Claims (8)
- ガス通路上に形成された弁室と、前記ガス通路の一部を構成し前記弁室よりも上流側に位置する弁孔と、前記弁室にスライド移動可能に収容され、前記弁孔内の圧力が該弁孔を開放する方向に作用するとともに前記ガス通路の下流側の圧力が前記弁孔を閉塞する方向に作用する弁体と、前記弁室に収容され前記弁体を弁閉方向に付勢する付勢バネとを備えた差圧弁機構において、
前記弁孔から前記弁室に流入するガスの流れを乱す乱流手段を備えたことを特徴とする差圧弁機構。 - 前記乱流手段は、前記弁体と別体のピン又はボールよりなり、前記ピン又は前記ボールは前記弁孔に遊挿配置されている請求項1に記載の差圧弁機構。
- 前記ピン又は前記ボールは、前記弁孔の延在方向に沿って移動可能であるとともに前記弁体に当接可能とされている請求項2に記載の差圧弁機構。
- 前記乱流手段は、前記弁体に設けられ前記弁孔内に遊挿された柱状部よりなっている請求項1に記載の差圧弁機構。
- 前記付勢バネはコイルバネよりなり、該付勢バネは前記弁体の背面を可動端を以て押圧することで該弁体を付勢し、前記乱流手段は、前記弁体の前記背面に設けられ、該背面において前記可動端との対向領域の一部を該可動端との当接から逃す逃し手段よりなっている請求項1に記載の差圧弁機構。
- 前記逃し手段は、前記弁体の前記背面において、前記付勢バネの前記可動端との対向領域の一部に形成された切欠よりなっている請求項5に記載の差圧弁機構。
- 前記逃し手段は、前記弁体の前記背面を、前記付勢バネの中心軸線に対して傾斜した斜面とすることよりなっている請求項5に記載の差圧弁機構。
- 前記ガス通路はスクロールタイプの圧縮機に備えられ、該圧縮機が備える可動スクロール部材の背面側には背圧室が区画形成され、該背圧室と高圧領域とは給気通路を介して接続され、前記背圧室と低圧領域とは抽気通路を介して接続されており、前記給気通路又は前記抽気通路が前記ガス通路をなしている請求項1〜7のいずれか一項に記載の差圧弁機構。
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JP2003281176A JP2005048653A (ja) | 2003-07-28 | 2003-07-28 | 差圧弁機構 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010071256A (ja) * | 2008-09-22 | 2010-04-02 | Sanden Corp | 圧縮機 |
US9360012B2 (en) | 2012-01-20 | 2016-06-07 | Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki | Differential pressure regulating valve and motor-driven compressor having differential pressure regulating valve |
WO2022027852A1 (zh) * | 2020-08-06 | 2022-02-10 | 艾默生环境优化技术(苏州)有限公司 | 喷气增焓套管组件和压缩机 |
-
2003
- 2003-07-28 JP JP2003281176A patent/JP2005048653A/ja active Pending
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