JP2005046715A - ラジカル含有液体及びその製造方法、制御方法、製造装置、ならびにその液体を用いた化合物の反応方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機能性物質の合成や難分解性有機物質の分解処理などにおいて、酸化性ラジカルと還元性ラジカルの両方の反応性をそれぞれ有効に利用し、且つラジカルの生成量、種類、安定性、反応性などを制御することにより、目的の反応を効果的に促進させ、少ないエネルギーで迅速かつ効率的な反応を得る反応制御方法およびその装置を提供する。
【解決手段】 反応溶媒中に少なくとも一対の電極を設け、前記電極に通電することによって酸化性ラジカルと還元性ラジカルを発生させることで、両ラジカルが反応空間で反応時間中に共存しているラジカル含有液体を得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液相中の化合物を還元・酸化・分解するための液体ならびにその製造方法、制御方法、製造装置、ならびに化合物の化学反応を制御する方法に関する。更に詳しくはラジカルを用いた新たな反応原理に基づく、難分解の有機物質をはじめとする化合物の化学反応を行う際に好適なものであって、ラジカルを含有する液体ならびにその製造方法、制御方法、製造装置、ならびに化合物のラジカルによる化学反応を制御する方法、その応用方法に関するものである。
高度な機能性を持った化学物質の合成や難分解性物質の処理などに、ラジカル反応を用いる方法が活発に研究されている。この方法は、近年注目されているグリーンケミストリーの代表的な反応方法であり、ラジカルの特異な反応性を利用することにより、有害物質や副生成物の発生を少なくし、環境に安全でかつ効率的な生産プロセスを構築するものである。また、ラジカルは一般に高い反応性を有しており、難分解性物質の処理などにおいて、迅速な分解処理が可能とされている。
ところが、ラジカルは一般に不安定であり、活性な状態を維持しておくことが難しい。このため、反応時にその場で分子やイオンに必要なエネルギーを与え、これらを励起または解離させてラジカルを生成させ、反応に利用する方法が用いられる(例えば、非特許文献1『「ラジカル反応・活性種・プラズマによる脱臭・空気清浄技術とマイナス空気イオンの生体への影響と応用」(エヌ・ティー・エス 2002年)第5−13頁』参照)。
ラジカルを溶液中に生成する方法としては、電気分解を用いる方法が知られている(例えば、非特許文献2『高須芳雄、外2名編著「電極触媒科学の新展開」(北海道大学図書刊行会 2001年)第249−254頁、第277−281頁、第322頁』参照)。上記文献によれば、水の電気分解において、陽極で酸素が発生する過程では酸素ラジカルが生成し、陰極で水素が発生する過程では水素ラジカルが生成する。さらに、非特許文献2には、水の電気分解において陰極表面に生成した活性の高い水素を利用して、有機塩素化合物の脱塩素化を行う方法が記されている。
一方、酸素ラジカルを用いた有機物質の分解方法も知られている(例えば、特許文献1(特開2002−79258号公報)参照)。この文献に記載された方法によれば、陽極と陰極の間にパルス電圧を印加することにより、当該電極間に配置された電気パルス活性型触媒部が活性化され、廃水中の酸素を還元して過酸化水素、ヒドロキシラジカル等の酸素ラジカルが発生し、この酸素ラジカルによって廃水中の有機物質の酸化させている。
また、最近では高周波電圧を用いた電気分解方法も開発されている(例えば、特許文献2(特開2000−263050号公報)あるいは特許文献3(特許第2611080号)参照)。特許文献2に記載された方法によれば、水に高周波の電圧を印加して電気分解し、電極金属を溶解させ、水素の発生を促進させることにより、水の酸化還元電位を低下させて水質の浄化を行っている。
又、特許文献3には、水中に3電極を配置し、このうち第1、第2の電極間に交流波形のプラス側とマイナス側の波高値、波数、又はデュティ比等が非対称な交流を印加するとともに第3の電極を設置することによって各電極間に直流電流を流し、この電流によって水を電分解させる構成が記載されている。ここで、第1、第2は電極では金属イオンの溶出がおこっており、このような構成によって、水中の有機化合物はガス化もしくは沈殿し、取り除くことが可能となる。
特開2002−79258号 特開2000−263050号 第2611080号 「ラジカル反応・活性種・プラズマによる脱臭・空気清浄技術とマイナス空気イオンの生体への影響と応用」(エヌ・ティー・エス 2002年)第5−13頁 高須芳雄、外2名編著「電極触媒科学の新展開」(北海道大学図書刊行会 2001年)第249−254頁、第277−281頁、第322頁
上述したように、ラジカルを利用すると選択的な反応が得られ、理論的には効率的に水中の有機化合物等を分解・除去することが可能となると考えられている。しかしながらラジカルを用いる有機化合物等の分解・水の改質には種々の問題が存在している。
第1に、ラジカル自身の寿命が短いことがあげられる。一般に、ラジカルの活性が高くなるほどその寿命は短く、拡散とほぼ同時に失活すると言われており、十分に反応に寄与することは困難である。このようなラジカルの失活の影響を防ぐには、反応場により多くのエネルギーや薬品を投入し、ラジカルを大過剰に生成させることが必要になるが、反応対象となる化合物は低減できても反応プロセス全体の環境負荷が増加してしまうという新たな問題が生じる。
第2に、ラジカル自身の高い反応性によって、ラジカル同士の合一や目的以外の物質との反応が生じ、ラジカルが失活してしまうことがあげられる。前述のとおり寿命の短いラジカルがさらにこのような反応によって失活してしまうことは効率的な反応を促進する点において致命的な問題となりうる。
第3に、耐性のある物質が存在することによって反応が抑制されてしまうことがあげられる。例えば難分解性有機物質の分解処理において酸化力の強いヒドロキシラジカル等が一般に利用されるが、実際の環境下では反応場に酸化耐性のある物質が共存したり、中間生成物として生じたりする場合が多く、酸化反応が抑制されてしまい、迅速な一括処理が困難となる問題が生じる。還元耐性のある物質が共存する場合には還元性ラジカルを用いた還元反応が抑制され、同様な問題が生じる。
これらの問題は、前述の特許文献等に記載された技術にも内在している。
例えば、前記特許文献1に記載された有機物質の処理方法では、酸化性ラジカルにより有機物質が酸化される過程において、酸化された有機物質の沈殿あるいは親水性の中間生成物が生じ、沈殿凝集分離や微生物分解が後処理として必要となる。一般に、酸化性ラジカルは、有機物質を選択的に酸化分解する作用がある一方で、有機物質の酸化過程で生じる、炭化水素基を有するカルボン酸等の中間生成物は、更なる酸化に対して抵抗を示すため、上記酸化性ラジカルの作用だけでは迅速な処理を行うことができず、後処理が必要になるものと考えられる。
前記特許文献2あるいは前記特許文献3記載された高周波を用いた電気分解方法は、何れも水の酸化還元電位を低下させて水質を浄化することが目的であり、ラジカルの関与については記載がなく不明であるが、発明者らによる検討よれば電極金属を溶解させて水素の発生を促進させているこれらの方法では、酸素の発生が著しく抑制され酸化性ラジカルはほとんど生成していないことが確認された。さらに、酸化還元電位の低い水では、一般に水素ガスが多く含まれており、酸化性ラジカルは水素ガスとの反応で容易に水に変化するため、有効に反応に利用することができないという問題も確認された。
このように、実際の反応環境下では、酸化耐性あるいは還元耐性のある物質が共存したり、副生成物として生じる場合が多く、目的の有機物質の分解反応が抑制される問題があった。酸化耐性のある物質の分解には還元性ラジカルが、還元耐性のある物質の分解には酸化性ラジカルが、それぞれより有効であるが、これらのラジカルは共存させると合一失活するという問題があり、上述の従来技術では、何れか一方のラジカルの利用に限られるという実質上の制約があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、機能性物質の合成や難分解性有機物質の分解処理などにおいて、酸化性ラジカルと還元性ラジカルの両方の反応性をそれぞれ有効に利用し、且つラジカルの生成量、種類、安定性、反応性などを制御することにより、目的の反応を効果的に促進させ、少ないエネルギーで迅速かつ効率的な反応を得る反応制御方法およびその装置を提供することにある。
発明者らは、化合物の分解において、ラジカルの優れた反応性を有効に利用する方法を検討し、マイクロ秒〜ミリ秒という極めて短い時間単位で進行するラジカルの特異な反応性に加え、ラジカルの生成過程を考慮し、実験および理論の双方からラジカルの制御方法の検討を試みた。
その結果、反応性の高い酸化性ラジカルと還元性ラジカルの両方を利用することにより、有機物質等の水中に存在する化合物の分解等の反応を著しく促進できることを見出した。その一方で、酸化性ラジカルと還元性ラジカルは、お互いに極めて反応し易いため、それぞれのラジカルを有効に利用するためには、特定の条件下でこれらのラジカルを生成させる必要があることも明らかになった。すなわち、酸化性ラジカルと還元性ラジカルの両方を有効に利用するには、ラジカルの生成過程および反応場の状態を制御することが、最も重要かつ有効な手段であることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち本発明は、酸化性ラジカルと、還元性ラジカルが反応空間で反応時間中に共存していることを特徴とするラジカル含有液体及びその製造方法、制御方法、製造装置、それを用いた化学反応方法に関する。
ここで「酸化性ラジカル」とは目的の反応対象物質に対して酸化作用を有するラジカルをいう。酸化作用は、反応対象物質との反応性において決定されるものである。酸化力の強いラジカルは、多くの反応において酸化性ラジカルとして働く。例えば・OH、・O-、・OOH、・O2 -などの酸素ラジカルが挙げられる。これ以外にも、・SO4 -などの硫酸ラジカル、・Cl、・ClOなどの塩素ラジカル、・Brや・I、・CH3、Nオキシルラジカル等の種々の酸化物や有機化合物のラジカルは、多くの反応において酸化性ラジカルとして用いることができる。
また、「還元性ラジカル」とは、目的の反応対象物質に対して還元作用を有するラジカルをいう。還元性とは、反応対象物質との反応において決定されるものである。還元力の強いラジカルは、多くの反応において還元性ラジカルとして働く。例えば・Hやヒドリド化合物などが知られている。これ以外にも、・CO3 -などの炭酸ラジカル、・Na、Nオキシルラジカル等の種々の酸化物や有機化合物のラジカルなどは、多くの反応において還元性ラジカルとして用いることができる。
さらに、「反応空間」とは、1種または複数種の酸化性ラジカルのうち最も半減期が長いものと、1種または複数種の還元性ラジカルのうち最も半減期の長いものとのうち、半減期の短いものの平均移動距離を半径とする球のことであり、「反応時間」とは、1種または複数種の酸化性ラジカルのうち最も半減期が長いものと、1種または複数種の還元性ラジカルのうち最も半減期の長いものとのうち、短いものの半減期であり、「共存」とは、反応空間において1種または複数種の酸化性ラジカル及び1種または複数種の還元性ラジカルが反応時間に共に存在(出現)している状態である。
なお、前述の従来技術ではいずれも酸化性ラジカル、還元性ラジカルの一方の性質を積極的に活用しようとしたものであって、難分解性物質の生成、耐性物質による反応の抑制が生じる。
本発明は微少な反応時間であっても反応空間中に酸化性ラジカル、還元性ラジカルを共存させることで両ラジカルによる分解反応が混在した特異な反応状態とし、酸化もしくは還元の一方のみでは分解し難いような難分解性物質を分解可能であるため、最終的には酸化・還元の両方に耐性のある二酸化炭素、もしくは水に至るまで分解反応を進めることが可能となったものである。
本発明によれば、難分解性有機物質の分解処理などにおいて、酸化性ラジカルと還元性ラジカルの両方の反応性を利用することにより、目的の反応を制御して、少ないエネルギーで迅速かつ効率的な反応を得ることができる。
本発明は、酸化性ラジカルと還元性ラジカルが、反応空間において共存していることに特徴を有するものである。したがって、本発明におけるラジカルとは、酸化性あるいは還元性を有する2類以上の異なるラジカルであれば、特に限定されず、種々のラジカルを適用することができる。
また、本発明では、反応場に、酸化性ラジカルと還元性ラジカルのそれぞれのラジカルが、反応を起こさせる時間内において継続的あるいは周期的に生成、あるいは存在することが必要であり、このような状態を形成することにより、反応対象物質に対して、酸化性ラジカルによる酸化反応、および還元性ラジカルによる還元反応が生じ、当該対象物質の酸化分解と還元分解がそれぞれ進行する状態が得られる。これにより、酸化分解と還元分解が混在した特異な反応状態が得られ、通常の酸化性ラジカルのみによる酸化反応、あるいは還元性ラジカルのみによる還元反応では分解し難いような難分解性物質を分解することが可能である。さらに、酸化耐性あるいは還元耐性を有する物質が共存した場合でも、酸化性ラジカルと還元性ラジカルがそれぞれ有効に反応し、分解反応が行われる。
本発明に用いられる反応溶媒として、水の他、種々の有機溶媒、超臨界流体、亜臨界流体、ガス、液化ガスなどを用いることができる。何れを用いた場合も、溶媒あるいは溶質の励起あるいは解離が生じ、ラジカルを生成させることができる。しかし、上記のうち、特定のものを選択することにより、さらに多くの利点を得ることができる。例えば、水および有機溶媒などの液体は、常温常圧において多くの無機物質や有機物質を安定に溶存させることができるため、種々の溶存物質に由来したラジカルを生成させることができる。また、ラジカル捕捉剤などを添加することができ、特定のラジカルの生成を低減させることが可能となるため、目的の反応に応じてラジカルの種類を選択することもできる。さらに、液体中では、気体中に比べて一般にラジカルの拡散速度が小さくなり、ラジカルの寿命が長くなるために、ラジカル利用効率が増加する利点も得られる。とりわけ、水を反応溶媒に用いた場合は、水の分解により、酸化力の極めて強い酸素ラジカルと還元力の極めて強い水素ラジカルの両方を生成させることができるため、特に難分解性有機物質の分解などに有効である。また、溶媒の液性を制御することにより、反応場のラジカルの安定性を制御することもできる。例えば、酸素ラジカルは、アルカリ性領域では水酸化物イオンと容易に反応するために失活し易くなり、逆に、水素ラジカルは、酸性領域では水素ラジカル同士の合一消滅速度が大きくなり不安定となるために失活し易くなる等の例が挙げられる。また、溶媒の液性を制御することにより、反応空間のラジカルの安定性を制御することもできる。例えば、酸素ラジカル類は、アルカリ性領域では水酸化物イオンと容易に反応するために失活し易く、逆に、水素ラジカル類は、酸性領域では水素ラジカルの対消滅速度が大きくなるため不安定となる。なお、液性の制御では、ラジカルだけでなく、反応物や生成物の安定性も同様に変化するため、目的の反応を容易に促進させたり緩和させたりすることが可能であり、目的の反応に応じて、適宜、最適な液性を選択することができる。
本発明における還元性ラジカルあるいは酸化性ラジカルを生成させる方法として、電気分解を用いる方法(以下、電気分解法という。)、紫外線等の電磁波や放射線を照射する方法、高温加熱による方法、放電プラズマを用いる方法、キャビテーションを用いる方法、放射線を用いる方法、薬品の反応を用いる方法、およびこれらを組み合わせた方法などを用いることができる。何れの方法を用いた場合にも、分子やイオンの励起あるいは解離が生じて、酸化性ラジカル、あるいは還元性ラジカル、あるいはその両方のラジカル種を生成させることができる。
しかし、上記のうち、特定の方法を選択することにより、さらに多くの利点を得ることができる。例えば、電気分解法は、分子やイオンの活性電位以上の電位差を電極間に与えることにより、当該分子やイオン由来のラジカルを容易に生成させることができる。さらに、電圧および波形等の印加電圧の特性、溶媒の種類、溶質の種類および濃度、電極の材質および表面特性等、ならびに電気分解の温度を調整することにより、発生するラジカルの種類および濃度等を容易に制御することが可能である。なお、発生するラジカルを効率的に利用するには、印加電圧の周波数や電圧印加のON/OFF周期も重要である。加えて、高温加熱や高電圧、高濃度薬品などを必要とせず、装置やシステムも簡易な構成にできるという利点が得られる。
本発明において電気分解法を行う際、時間とともに電流値と電流(あるいは電圧)の向きの少なくともいずれかが変化する電流を供給することが好ましく、例えば交流の印加があげられる。ここでいう交流とは、時間と共に電流(あるいは電圧)の向きが変化する電流である。印加電圧の波形に関しては、通常の交流のような正弦波以外に、方形波、三角波、パルス波等も選択できる。本発明では少なくとも一対の電極を反応空間に設け、交流の電圧を印加する。従来の電気分解方法は、直流の定電圧を用いるのが一般的であるが、従来の方法では、陰極側と陽極側にそれぞれ別々のラジカルが分かれて生成するため、本発明のような異種ラジカルが反応場に継続的あるいは周期的に生成し存在する状態をつくることができない。これに対し、交流を用いた場合には、同一電極において陰極と陽極が周期的に入れ替わるため、電極近傍の反応場において酸化性ラジカルと還元性ラジカルの両方を生成できることに加えて、電極近傍の溶媒や溶質の酸化と還元に伴って拡散が促進される効果も得られる。
これらのラジカルの発生量が交流の周波数に強く依存し、特定の周波数範囲においてのみ有機物の分解反応が効率的に進行することを、発明者らは実験により見出した。
実験の詳細は実施例1において述べるが、図2に示す装置を用いクロロベンゼンを分解し、分解率に対する周波数依存性を調べた。図1に示すように、クロロベンゼンの分解反応において、500mHz〜500kHzの範囲が望ましく、10Hz〜100kHzの範囲がより望ましいことが分かった。また、方形波のように急激に極性が反転するものよりも、反転が徐々に起き所定以上の電流値が維持される波形、例えば正弦波の方が、投入エネルギーあたりの分解効率が向上する傾向が見られた。
このような周波数依存性がある理由については、今のところ明らかにはなっていないが、反応空間におけるラジカルの生成速度、拡散速度などが強く影響するものと発明者らは推測している。以下に発明者が考える、ラジカルの生成と周波数の関係についての仮説を説明する。
電極間に所定の電位差を与えると、まず、電界が生じ、分子およびイオンの移動が起こり、電極/溶液界面での電子の授受が進行する。この電子の授受により、電極表面で生じる不安定な化学種は、さらに分解等を繰り返して準安定なラジカルへと変化する。この準安定なラジカルは、複数の段階を経て生成するものと考えられ、この生成には有限の時間を要することが予測される。
準安定なラジカル生成に要する時間が拡散速度よりも長いと、電極の極性が反転した直前直後の所定期間では、前記不安定な化学種の多くが準安定なラジカルに変化することなく消失する。
また、準安定なラジカルに変化したとしても、酸化性ラジカルと還元性との合一反応の速度が、分解対象物のラジカルによる分解の素反応の速度や、ラジカルの拡散速度に比べ速い場合には、酸化性ラジカルと還元性ラジカルとが近接共存していると、処理対象物の分解にラジカルを効果的に利用できない。ここで近接共存しているとは、例えば、特定の酸化性ラジカル分子が処理対象物分子と衝突し反応する確率よりも、還元性ラジカル分子と衝突し反応する確率の方が大きくような距離に、当該酸化性ラジカルと還元性ラジカルとが存在する状況を言う。電極の極性が反転した直前直後の所定期間で準安定なラジカルへの変化が起き難い状況が生じることは上述の通りであるが、当該期間よりも前記近接共存が起きる期間は長いと推定している。
したがって、近接共存が起きる期間よりも十分長い期間、同一の極性を維持しないとラジカルを有効利用できず分解効率は下がることになる。すなわち、周波数が高すぎると分解効率が低下することになる。また、投入エネルギーが同一となる条件の中では、前記近接共存が起きる期間には電流値を小さくし、近接共存が起きない期間に電流値を大きくする方が、分解効率がよくなることになる。分解効率の低下が起こり始める周波数で比較すると、極性を周期的に反転させて直流電圧を印加する場合、すなわち方形波電圧を印加する場合よりも、正弦波の交流を印加する方が、投入エネルギーあたりの分解効率が向上する傾向が見られた。
一方、周波数を極めて小さくし、実質的に極性固定で直流電圧を印加した場合と同じにすると、分解対象物の完全分解の障害となる反応が起きたり、電極表面に反応の障害となる堆積物が生成したりし、分解効率が低下する。しかしながら、周波数の下限は一律に定まるものではない。分解対象物の完全分解の障害となる反応が遅ければ、周波数が小さくても、当該反応が進まない内に、異なる酸化性および還元性のラジカルが供給できるからである。
以上述べたような考察により、図1に示した結果、すなわち反応対象物を効率的に分解できる特定の周波数領域が存在することを定性的に理解できる。この周波数の適正領域は、準安定なラジカルが生成するのに要する時間(ラジカルの生成速度)、ラジカルの拡散速度、ラジカルと分解対象物との反応速度、ラジカルの寿命などから、それぞれ理論的には算出可能である。しかしながら、ラジカルの生成速度や拡散速度、反応速度等は、ラジカルの種類、溶媒、溶質、温度、圧力等によって変化し、これらを正確に測定することは現状の技術では困難であるため、本発明においては、実験によりその範囲を求め、上述したように、500mHz〜500kHzの範囲が望ましく、10Hz〜100kHzの範囲がより望ましいとしている。
本発明の電気分解法では、交流以外に、脈流を用いて電気分解することができる。本発明での脈流とは、時間と共に電圧あるいは電流の大きさが変化し、且つその向きが変わらない状態を指す。このような脈流で電気分解を行うことにより、従来の一般的な直流による電気分解に比べて、電極近傍の分子、イオン、あるいはラジカルの拡散が促進され、反応対象物の分解効率が向上する。これは、反応空間に対して電解の周期的変化が生じることにより、拡散が促進するものと考えられる。
本発明では、電位や電流をパルスで断続的に印加し、電気分解することもできる。電位や電流をパルスで断続的に印加することにより、消費電力を大幅に削減できる利点が得られる。特に、前記近接共存が起きる期間で電圧印加を中止するようにパルスの周期を設計すれば、消費電力の効率を高めることができる。また、直流電圧を用いる場合において正負反転するパルスを用いれば、正弦波の交流と同様な効果が得られる。個々のパルスの波形は、山型、方形、三角形等のいずれでもよいし、その他の波形でもよい。ただし、高い周波数での投入エネルギーあたりの分解率では、正弦波が優れている。
本発明の電気分解法では、交流、脈流、正負反転パルスの電圧を印加する一対の電極以外に、当該電極の電位の最小電位以下もしくは最大電位以上の定電位部となる第3の電極を設けることにより、当該第3の電極では酸化性ラジカルあるいは還元性ラジカルの何れか一方のラジカルを定常的に生成させることができる。このような第3の電極の設置は、反応空間に、酸化性ラジカルあるいは還元性ラジカルの何れかの供給量を増加させ、酸化優先あるいは還元優先の反応に制御したい場合などに特に有効である。最終的には酸化分解したい場合であっても、分解され易い中間体が生成する段階が還元性ラジカルの係わる反応であって、この中間体生成が律速段階である場合には、前記第3の電極から還元性ラジカルを生成させることが有効である。このような例としてトリクロロベンゼンの分解が挙げられる。トリクロロベンゼンの分解では、まず脱塩素化が起こり、次いでC−C間、C−H間の解離・酸化が進む。初期の脱塩素化に対して還元性のラジカルである・Hが有効に働く。
本発明の電気分解法では、印加電圧(振幅)および/または印加電圧の波形を制御することにより、ラジカルの生成量、種類を制御することができる。生成するラジカルの前駆体となる分子やイオンは、それぞれ異なる活性電位を有しており、当該活性電位以上の電位差を与えることにより、酸化性ラジカルあるいは還元性ラジカルが生成する。したがって、印加電圧の大きさに応じてラジカルの種類や生成量が変化するため、目的とする反応に応じて、適宜選択することが可能である。
本発明において電気分解法に用いる装置は、前述の交流あるいは脈流電圧あるいはパルス電圧を印加する電極を1対以上備えていることが好ましい。さらに、当該電圧を印加する電極に加えて、定電位部を設けるための電極を1つ以上備えていることが好ましい。これにより、酸化性ラジカルと還元性ラジカルを継続的あるいは周期的に生成させると共に、特定のラジカルを生成する反応場を形成することができる。
本発明では、反応場に、触媒あるいはガス吸蔵体などの固体表面を共存させることにより、ラジカルの生成や存在形態を制御することができる。例えば、パラジウムやチタンなどの水素化物を形成し易い金属は、表面および内部に水素を分子状あるいは原子状で吸蔵させることができるため、当該金属近傍において水素ガスを高い濃度で維持しておくことができ、水素ラジカルが安定に存在し易い状況を形成することができる。また、白金やロジウム、イリジウム、タングステンなどの水素化触媒表面では、分子状の水素が解離吸着する作用があり、一旦生じた水素ガスから水素ラジカルが生成するという効果も得られる。上記のような金属を、例えば、水での電気分解の陰極として用いると、水素ラジカルの生成に有効である。
本発明の電気分解法の電極に用いる材料としては、難溶性の金属(導電性に影響しない程度の酸化膜を表面に形成する金属を含む)、導電性金属酸化物、導電性の炭素材など、酸化を受け難い導電性材料が好ましい。易溶性の電極を用いると、それ自体の溶解により脱電子反応が生じ、溶媒あるいは溶質の酸化が起こり難くなるため、酸化性ラジカルの生成が著しく抑制される上、電極の溶出によって溶液が汚染される問題が生じる。好適な電極材料としては、Ti、Pt、Pd、Au、Ir、IrO2、Ru、RuO2、導電性の炭素材あるいはこれらの材料の合金、混合焼結体、もしくは積層物が挙げられる。前記電極材料をCu等の他の金属表面にめっき等により成膜したものを電極に使用してもよい。ただし、特定の電極を専ら還元性ラジカル発生極として使用する場合には、当該還元性ラジカル発生極の電極は、酸化性ラジカル発生極ほど高い酸化耐性を必要としない。当該還元性ラジカル発生極の電極材料としては、前記好適な電極材料の他にCu、Ni、Ag等の金属も使用できる。
本発明の電気分解法に用いる電極は、表面の少なくとも一部が、他の部分とは過電圧が異なる材料で形成された電極を用いることにより、酸化性ラジカルあるいは還元性ラジカルの生成を促進あるいは抑制することができる。例えば、水の電気分解において、PtとRuO2が同一電極上に露出した電極を用いると、Pt部分では水素発生の過電圧が小さいために水素ラジカルが優先的に生成し、RuO2部分では酸素発生の過電圧が小さいために酸素ラジカルが優先的に生成する。このように、電極材料の過電圧の差を利用することによっても、酸化性ラジカルと還元性ラジカルの生成をそれぞれ制御することができる。また、電極の一部に、溶質や溶媒を選択的に吸着するような、材料選択特異性を有する材料を使用することにより、特定のラジカルを生成し易くしたり、生成し難くしたりすることができる。例えば、水溶媒の電気分解において、水素ラジカルを特異的に吸着する三酸化タングステンを電極の一部に用いると、その部分では水素ラジカルが生成し難くなり、酸素ラジカルが優先的に生成する。また、カーボンフェルトなどの多孔質炭素材料を電極に用いると、有機物を特異的に吸着するため、有機ラジカルが効率的に生成する。
本発明において、反応場の温度は特に限定されず、反応対象物質や溶媒等の種類に応じて最適な温度条件を選択すればよいが、例えば、溶媒が水ならば5〜110℃の温度範囲が好ましい。
本発明では、適宜撹拌を行うことにより、ラジカルと反応対象物質との反応速度をより一層大きくすることができる。
以下、実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、印加電圧の周波数が分解効率に及ぼす影響を、難分解性有機物であるクロロベンゼンを分解対象物として検討した。
本実施例に用いた反応装置を、図2に示す。本装置では、反応溶液1は、反応槽2において電極3、電極4、電極5(何れの電極もPt板)と接触している。電極3および電極5には、それぞれ電圧増幅器6、7、およびファンクションジェネレーター8、9が接続されている。電極3と電極5に対して、振幅15Vの正弦波の交流電圧をそれぞれ逆位相で印加した。周波数は100mHzから1MHzの範囲で選んだ。逆位相で電圧を印加する理由は、電極3と電極5の間に生じる電解の極性の反転効果を、より効果的に得るためである。さらに、電極3と電極5に、+15Vの直流オフセット電圧を付加すると同時に、第3の電極として電極4を設けて接地しておくことにより、電極4は上記交流電圧の最小電位以下となる定電位部とした。この時の各電極の電位の関係を図3に示す。例えば、時間T1において、電極3と電極5の関係を調べると、電極3がアノードになり、電極5がカソードになる。さらに、時間T2まで経過すると、電位が逆転するため、電極3がカソードになり、電極5がアノードになる。また、T3では、電極3と電極5の電位が同じなので、これらの電極間には電位差が生じない。しかしながら、電極4に対しては、電極3、電極5共に、ほぼ常に電位差が生じているため、電極4は定常的にカソードの状態が形成される。これにより、電極3と電極5では、酸化性ラジカルと還元性ラジカルが交互に発生すると共に、電極4からは還元性ラジカルが定常的に発生する。還元性ラジカルを過剰供給することは、トリクロロベンゼンの分解の最初の反応ステップである脱塩素化に有効に働く。一方、反応槽2には、マグネチック撹拌子10とマグネチック撹拌機11が設置してあり、反応溶液1を撹拌した。反応装置の操作はタイマー制御部12で行った。反応溶液1としては、1,2,3−トリクロロベンゼンを1ppm含み、電解質として水酸化ナトリウムを2mmol/Lを含む水溶液800mlを用いた。
電気分解30分後、反応溶液に残存するトリクロロベンゼンをガスクロマトグラフを用いて分析した。
クロロベンゼンの分解率に対する周波数依存性を図1に示す。100mHz〜20kHZの範囲では周波数が高いほど分解効率が高いこと、20kHzを超えると分解効率が下がること、500mHz〜500kHzの範囲が利用できること、10Hz〜100kHzの範囲が実用的に有効な範囲であること、特にクロロベンゼンの分解に対しては1kHz〜100kHzが好適であることが明らかになった。
(実施例2)
本実施例では、難分解性有機物であるクロロベンゼンを本発明の電気分解法で分解したときに生成する副生成物を検討した。合わせて、反応溶液中の水酸化ナトリウム濃度を0.2mol/Lに高め、電解質濃度の影響も検討した。周波数は実施例1で最良の結果が得られた50kHzに設定した。これら以外の装置構成・実験条件は実施例1と同様にして、酸化性ラジカルと還元性ラジカルを発生させ、分解処理を行った。
電気分解30分後、反応溶液の成分をガスクトマトグラフ質量分析装置(GC−MS)を用いて分析した。1ppmのクロロベンゼンの約30%が水と二酸化炭素にまで分解していた。そして、副生成物として30ppbのオクタノールが検出された。すなわち、有害な副生成物や反応中間体をほとんど生成させることなく、難分解性物質であるトリクロロベンゼンを効果的に分解処理することができた。電解質濃度を2mmol/Lとした実施例1の場合と比較すると、分解率は約2倍になった。反応溶液の電気伝導度が高くなったことが、ラジカル生成量を増大させたと考えられる。ガスクロマトグラフでの分析において高塩濃度の試料の導入は適当ではないので、他の実施例では電解質濃度を2mmol/Lとした。本実施例の結果から明らかのように、電解質濃度を高めることは分解率の改善に効果的である。
(実施例3)
本実施例では、酸化耐性のある有機物と還元耐性のある有機物が共存する場合においても、本発明の電気分解法を用いると、これらを効果的に分解処理できることを検証した。
反応溶液として、酸化耐性のある有機物である四塩化炭素と、還元耐性のある有機物である2−プロパノールを含み、2mmol/Lの水酸化ナトリウムを電解質として含む水溶液を用いた。周波数は50kHzとした。また、中間生成物確認するために、電気分解時間は実施例2の1/2の15分とした。これらの条件以外は、実施例1と同様にして酸化性ラジカルと還元性ラジカルを発生させ、分解処理を行った。
電気分解を15分行った後、反応溶液1の成分をガスクトマトグラフ質量分析装置(GC−MS)を用いて分析した。その結果、二酸化炭素と共に、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、メタノールが生成した。クロロホルムとジクロロメタンの生成は、四塩化炭素の分解における中間生成物として生じたものであり、還元性ラジカルである水素ラジカル(・H)によって還元的脱塩素化反応が生じたことを示している。一方、アセトンとメタノールの生成は、2−プロパノールの分解の中間生成物として生じたものであり、酸化性ラジカルである水酸化ラジカル(・OH)によって酸化分解反応が生じたことを示している。
以上の結果から、反応溶液中に生成させた酸化性ラジカル、還元性ラジカルの両ラジカルが、還元耐性あるいは酸化耐性のある有機物にそれぞれ有効に作用することにより、効果的に分解反応が進行した。なお、本実験で生成した前記副生成物は四塩化炭素に比べ分解し易いものであるので、四塩化炭素の残存量が少なくなると、副生成物の濃度も下がりだし、最終的には二酸化炭素と水に完全分解することができる。
(比較例1)
本比較例では、実施例2における電解質を水酸化ナトリウムから塩化ナトリウムに替えて、分解処理を行った。その結果、電気分解30分後において、1ppmのクロロベンゼンの約30%が分解した。同時に、300ppbのクロロホルムが検出された。分解したクロロベンゼンが炭素源となり、これがすべてクロロホルムになった場合で計算すると、分解したクロロベンゼンに対してモル量で6倍量、質量で4倍量のクロロホルムが生成することになる。本実験では、分解したクロロベンゼンに相当する質量のクロロホルムが生成したので、分解したクロロベンゼンから生じた炭素の約1/4は二酸化炭素にならずにクロロホルムに変化したことになる。このことは、電解質を塩化ナトリウムに替えたことにより、塩化物イオン由来の塩素ラジカル(・Cl)が生じ、クロロホルムの生成反応が進行したことを示している。実施例2のように水酸化ナトリウムを電解質として電気分解すれば、本実験で生成する程度のクロロホルムは最終的に完全分解できる。しかしながら、塩素ラジカルが存在する場合には、クロロホルム分子の塩素原子交換が起き、十分な時間掛けても完全分解することは難しいと予測される。したがって、本発明の電解質の適正な選択が必要であることが示された。有機塩素化合物の分解において好適な電解質は、アルカリ金属の水酸化物塩である。
(実施例4)
本実施例では、脈流の電圧を用いた場合、すなわち極性を反転させずに電流値を変動させて電気分解を行った場合の2−プロパノールの分解処理を検証した。
反応溶液として、2−プロパノールを10ppm含み、電解質として2mmol/Lの塩化ナトリウムを含む水溶液を用い、反応溶液中に設けた一対のPt板電極に、振幅15V、周波数50kHzの脈流の電圧を印加して分解処理を行った。電気分解15分後の2−プロパノールの分解率を表1に示す。
(比較例2)
本比較例では、一般的な直流の電圧を用いた電気分解により、2−プロパノールの分解処理実験を行った。+15Vの直流の電圧を印加したこと以外は、実施例3と同様にして実験を行った。電気分解15分後の2−プロパノールの分解率を表1に示す。
(実施例5)
本実施例では、ラジカルを効果的に発生できる実施例1の反応装置を用いて、2−プロパノールの分解処理実験を行った。
反応溶液としては、実施例4と同様に、2−プロパノールを10ppm含み、電解質として2mmol/Lの塩化ナトリウムを含む水溶液を用い、反応装置および装置条件は実施例1と同様にして実験を行った。電気分解15分後の2−プロパノールの分解率を表1に示す。
(実施例6)
本実施例では、反応溶液として、2−プロパノールを10ppm含む、2mmol/Lの塩酸溶液を用いた。実施例5とは電解質が異なる。その他の実験条件は実施例5と同一にして分解処理実験を行った。電気分解15分後の2−プロパノールの分解率を表1に示す。
Figure 2005046715
比較例2は、一般的な直流の電圧を用いた方法であり、2−プロパノール分解率が2.6%であった。これに対して、実施例5では、分解率は19%にまで大幅に向上した。実施例5に使用した装置は、電極3と電極5に対して正弦波の交流電圧をそれぞれ逆位相で印加すること、周波数を50kHzに最適化すること、電極3と電極5に直流オフセット電圧を付加すること、および第3の電極として電極4を設けて接地し前記交流電圧の最小電位以下となる定電位部とすることにより、電極3と電極5からは酸化性ラジカルと還元性ラジカルが交互に発生すると共に、電極4からは還元性ラジカルが定常的に発生させ、ラジカルを効率的に発生させ、効率的に分解反応に利用できるようにしたものである。さらに、実施例4に使用した装置は、マグネチック撹拌子10とマグネチック撹拌機11により、反応槽2内の反応溶液1が撹拌され、分解反応が効率的に進むようにした。以上の処理装置および処理条件上の工夫により、一般的な直流の電圧を用いた方法に比べると、8倍を超える高い分解率が得ることができた。
実施例6は、電解質を塩化ナトリウムから塩化水素に替えて、溶液の液性を酸性にした方法であり、分解率が31%と最も高い結果となった。これは、液性を酸性にしたことにより、酸化性ラジカルの安定性が増したことが起因していると考えられ、すなわち、本実施例の2−プロパノールの分解では、主に酸化反応が優先的に進行することを示している。分解対象物の反応性に合わせて、反応溶液の溶媒の種類や電解質を最適化することで、分解率が向上できることが判った。
ラジカルを効率的に発生させることのできる反応装置を用いた場合に比べると遠く及ばないものの、脈流の電圧を用いた実施例4でも分解率が3.8%に向上した。従来の一般的な直流による電気分解に比べて、電極近傍の分子、イオン、あるいはラジカルの拡散が促進され、反応対象物の分解効率が向上したと考えられる。
(実施例7)
本実施例では、電気分解法に用いる電極の表面の一部に、過電圧が異なる材料を用いることの効果を検証した。実施例2においては電極3、電極4、電極5としてPt板を用いたが、Pt板に代えてPt板13の一部にPd板14を圧着したものを用い、クロロベンゼンの分解処理を行った。本実施例に用いた電極の構造の概略を図4に示す。実験条件および装置条件は実施例2と同様である。
電極構造の違いによるクロロベンゼンの減少速度の変化を調べた結果を表2に示す。Pt板に比べて、PtとPdを圧着した電極では、クロロベンゼンの減少速度が約1.6倍に増加し、反応が促進された。
Figure 2005046715
(実施例8)
本実施例では、染色廃水の分解処理のモデル実験として、実施例3と同様の方法で酸化性ラジカルと還元性ラジカルを生成させ、インク含有水溶液の分解を行った。純水800mlにインクジェットプリンター用の赤色インクを0.5ml添加し、表3に示す実験条件で電気分解を行った。1時間毎に溶液をサンプリングし、531nmにおける吸光度を調べることにより、赤色インクの残存量を分析した。本実施例の結果を図5に示した。
Figure 2005046715
条件1では、電気分解4時間後に約40%の残存が認められたのに対して、プラスのオフセット電圧を付加した条件2では、残存量は約30%まで低下し、分解速度が向上した。さらに、電解質をNaOHとした条件3では、アルカリ性条件における有機物の加水分解作用が加わり、残存量は約15%まで低下し、分解速度が向上した。 一方、電解質をHClとした条件4では、酸性条件下のため、・OHラジカルの安定性が増し、酸化反応が促進されたことにより、残存量はほぼ5%まで低下し、本実験範囲においては、最も効率的にインクが分解された。
本実施例の結果から、オフセット電圧をプラスに設定することにより、酸化性ラジカルの発生量が増加し、酸化優先の反応環境が形成されたため、上記赤色インクの酸化分解が促進された。
また、実施例5と同様、分解対象物の反応性に合わせて、反応溶液の溶媒の種類や電解質を最適化することで、分解率が向上できることを検証できた。
(実施例9)
本実施例では、図6に示す装置を用いて水溶液中にラジカルを発生させ、ガラス基板の表面に付着した有機物の分解洗浄を行った。また、槽の底部に設けた超音波発生部(図示していない)により超音波を印加して微粒子の除去も同時に行った。
図6の装置において、反応槽15には電解質水溶液16が溜められており、電極17、18、19に電圧制御器23から所定電圧を加えることにより、水が電気分解してラジカルが生成する。この電圧制御器23には、電圧増幅器24、25、26、およびファンクションジェネレーター22が接続されており、上記電圧を任意に出力することができる。
本実施例では、電解質水溶液16に0.5mMの水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を使用し、電極17、18、19には白金板を使用した。電極17と電極19には、周波数500mHz、振幅1.5Vの正弦波電圧を、マイナス1.5Vの直流オフセットを付加し、それぞれ逆位相で印加した。電極18はアースした。これにより、電極17と電極19では、水の酸化と還元が周期的に起こり、酸化性ラジカルと還元性ラジカルが生成すると共に、電極18では、定常的に水の酸化が起き酸化性ラジカルが連続的に生成した。超音波の周波数は1MHzに設定した。周波数が800kHz〜1.2MHzの範囲であれば、基板にダメージを与えることもなく、ほぼ同等の洗浄効果が得られた。洗浄対象物の材質や形状によって最適な周波数が異なり、20kHz〜1.5MHzの範囲で選ぶことで最良の洗浄効果が得られる。
このようにして、ラジカルを生成させた電解質溶液16の中に、LCD用ガラス基板20をキャリアー21にセットして浸漬し、3分間洗浄を行った。洗浄前後でのガラス基板表面の有機物量を加熱脱離ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて分析し、有機物の分解反応の進行を評価した。評価結果を、表4に、電気分解を行わなかった場合の結果と併せて示す。
Figure 2005046715
電気分解を行った場合には、ガラス基板表面の有機物付着量は、洗浄前に比べて半分以下にまで低下しているのに対し、電気分解を行わなかった場合には、ほとんど変化しなかった。すなわち、本発明において生成させたラジカルは、ガラス基板等の固体表面に付着した有機物汚染の分解洗浄にも利用することができた。また、付着微粒子の除去も促進できることを確認できた。微粒子と基板の界面に存在する有機物を分解することで、微粒子の基板に対する付着力を弱めることができたと推察される。
(実施例10)
本実施例では、図7に示す装置を用いて水溶液中にラジカルを発生させ、導電性金属基板の表面に付着した有機物の分解洗浄を行った。図7の装置において、反応槽27には水28が溜められ、板状電極29、30、メッシュ状電極31が設置されている。これらの電極に、電圧制御器33から所定電圧を加えることにより、水が電気分解してラジカルが生成する。メッシュ状電極31には、洗浄対象の導電性金属基板32が固定されており、上記で生成したラジカルによって、表面の有機物汚染が分解し、洗浄される。なお、電圧制御器33には、電圧増幅器34、35、36、およびファンクションジェネレーター37が接続されており、上記電圧を任意に出力することができる。
本実施例では、二酸化炭素を溶解させて電気伝導性を付与した純水28に、白金で作製した電極29,30、31を設置し、電極29と電極30には、周波数500mHz、振幅1.5Vの正弦波電圧を、プラス1.5Vの直流オフセットを付加して、それぞれ逆位相で印加した。電極31はアースした。これにより、電極29と電極30では、水の酸化と還元が周期的に起こり、酸化性ラジカルと還元性ラジカルが生成すると共に、電極31では、定常的に水の還元が起き還元性ラジカルが連続的に生成した。
このようにして、ラジカルを生成させた純水28の中に、銅メッキを施したデバイス基板32をメッシュ状電極31の上部に固定し、3分間洗浄を行った。洗浄前後でのデバイス基板表面の有機物量を加熱脱離ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて分析し、有機物の分解反応の進行を評価した。評価結果を、表5に、電気分解を行わなかった場合の結果と併せて示す。
Figure 2005046715
電気分解を行った場合、デバイス基板表面の有機物付着量は、洗浄前に比べて半分以下にまで分解しているのに対し、電気分解を行わなかった場合には、ほとんど変化しなかった。すなわち、本発明において生成させたラジカルは、デバイス基板等の固体表面に付着した有機物汚染の分解洗浄に利用することができた。また、デバイス基板を固定させた電極31は、常にカソードの状態となっており、すなわち、電極31およびデバイス基板は共に還元性の状態が維持されるため、デバイス基板表面の銅は全く腐食することがなかった。
本発明の電気分解方法において、有機物の分解率に対する交流周波数の関係の一例を示すグラフである。 本発明の電気分解装置の一実施例を示す概念図である。 本発明の電気分解法における各電極電位の関係を示す概念図である。 本発明の電気分解装置の電極の一実施例を示す概念図である。 本発明の電気分解による有機物の分解効果の一効果を示すグラフである。 本発明の電気分解を用いた洗浄装置の一実施例を示す概念図である。 本発明の電気分解を用いた洗浄装置の他の一実施例を示す概念図である。
符号の説明
1 反応溶液
2 反応槽
3 電極
4 電極
5 電極
6 電圧増幅器
7 電圧増幅器
8 ファンクションジェネレーター
9 ファンクションジェネレーター
10 マグネチック撹拌子
11 マグネチック撹拌機
12 タイマー制御部
13 Pt板部分
14 Pd板部分
15 反応槽
16 電解質水溶液
17 電極
18 電極
19 電極
20 ガラス基板
21 キャリアー
22 ファンクションジェネレーター
23 電圧制御器
24 電圧増幅器
25 電圧増幅器
26 電圧増幅器
27 反応槽
28 水
29 電極
30 電極
31 メッシュ状電極
32 デバイス基板
33 電圧制御器
34 電圧増幅器
35 電圧増幅器
36 電圧増幅器
37 ファンクションジェネレーター

Claims (39)

  1. 酸化性ラジカルと、還元性ラジカルが反応空間で反応時間中に共存していることを特徴とするラジカル含有液体。
  2. 反応溶媒中に少なくとも一対の電極を設け、前記電極に通電することによって酸化性ラジカルと還元性ラジカルを発生させることを特徴とする請求項1記載のラジカル含有液体の製造方法。
  3. 前記反応溶媒が、水、有機溶媒、超臨界流体、液化ガスのいずれかであることを特徴とする請求項2記載のラジカル含有液体の製造方法。
  4. 前記反応溶媒中にラジカル発生剤を含有することを特徴とする請求項2または3記載のラジカル含有液体の製造方法。
  5. 前記反応溶媒中にラジカル捕捉剤を添加することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のラジカル含有液体の製造方法。
  6. 前記反応溶媒中に前記一対の電極と、第3の電極が設けられ、前記第3の電極は電位が固定されていることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載のラジカル含有液体の製造方法。
  7. 前記一対の電極間に、時間とともに電流値と電流の向きの少なくともいずれかが変化する電流を供給することによって酸化性ラジカル及び還元性ラジカルを供給することを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載のラジカル含有液体の製造方法。
  8. 前記一対の電極間に、時間とともに電流値と電流の向きの少なくともいずれかが変化する電流を供給することによって電極の極性を周期的に変化させ、酸化性ラジカル及び還元性ラジカルを各々の電極から交互に周期的に供給することを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載のラジカル含有液体の製造方法。
  9. 前記電流が、交流電流であることを特徴とする請求項7または8記載のラジカル含有液体の製造方法。
  10. 前記電流が、直流電圧に正負反転するパルス電圧を印加することによって得られることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のラジカル含有液体の製造方法。
  11. 前記電流の周波数が、500mHz〜500kHzであることを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載のラジカル含有液体の製造方法。
  12. 前記反応溶媒中に前記一対の電極と、第3の電極が設けられ、前記第3の電極の電位を固定することによって、前記一対の電極を構成する第1の電極及び第2の電極と前記第3の電極との間に脈流を発生させ、前記第3の電極に酸化性ラジカルあるいは還元性ラジカルのいずれかを生成させることを特徴とする請求項2から10のいずれかに記載のラジカル含有液体の製造方法。
  13. 酸化性ラジカルと、還元性ラジカルが反応空間で反応時間中に共存していることを特徴とする請求項1記載のラジカル含有液体の制御方法であって、反応溶媒中に少なくとも一対の電極を設け、前記電極間に、時間とともに電流値と電流の向きの少なくともいずれかが変化する電流を周波数、振幅、強度を制御しながら供給することによって、電極の極性を周期的に変化させ、各々の電極から交互に周期的に、酸化性ラジカル及び還元性ラジカルを量、含有割合を制御しながら供給することを特徴とするラジカル含有液体の制御方法。
  14. 前記周波数が500mHz〜500kHzであることを特徴とする請求項13記載のラジカル含有液体の制御方法。
  15. 前記反応溶媒中に前記一対の電極と、第3の電極が設けられ、前記反応溶媒中に要する酸化性ラジカルもしくは還元性ラジカルの種類に応じて前記第3の電極の電位を設定することによって、前記一対の電極を構成する第1の電極及び第2の電極と前記第3の電極との間に脈流を発生させ、前記第3の電極に酸化性ラジカルあるいは還元性ラジカルのいずれかを生成させることを特徴とする請求項13もしくは14のいずれかに記載のラジカル含有液体の制御方法。
  16. 前記第3の電極の電位を、前記一対の電極の電位の最小電位以下に固定することによって、前記第3の電極より還元性ラジカルを生成させることを特徴とする請求項15記載のラジカル含有液体の制御方法。
  17. 前記第3の電極の電位を、前記一対の電極の電位の最大電位以上に固定することによって、前記第3の電極より酸化性ラジカルを生成させることを特徴とする請求項15記載のラジカル含有液体の制御方法。
  18. 前記反応溶媒の液性を制御することを特徴とする請求項13から17のいずれかに記載のラジカル含有液体の制御方法。
  19. 前記反応溶媒の液性をアルカリ性領域とすることによって還元性ラジカルを安定化することを特徴とする請求項18記載のラジカル含有液体の制御方法。
  20. 前記反応溶媒の液性を酸性領域とすることによって酸化性ラジカルを安定化することを特徴とする請求項18記載のラジカル含有液体の制御方法。
  21. 酸化性ラジカルと、還元性ラジカルが反応空間で反応時間中に共存していることを特徴とする請求項1記載のラジカル含有液体を製造するための装置であって、
    反応容器と、
    反応容器中に設けられた少なくとも一対の電極と、
    前記一対の電極に時間とともに電流値と電流の向きの少なくともいずれかが変化する電流を供給する手段と
    を備えたことを特徴とするラジカル含有液体の製造装置。
  22. さらに第3の電極と、
    前記第3の電極に定電位を印加する手段と
    を有することを特徴とする請求項21記載のラジカル含有液体の製造装置。
  23. 前記反応容器中に、触媒あるいはガス吸蔵体を共存させることを特徴とする請求項21または22記載のラジカル含有液体の製造装置。
  24. 前記ガス吸蔵体がパラジウムもしくはチタンであることを特徴とする請求項23記載のラジカル含有液体の製造装置。
  25. 前記触媒が水素化触媒であることを特徴とする請求項23記載のラジカル含有液体の製造装置。
  26. 前記触媒が白金、ロジウム、タングステン、イリジウムより選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項25記載のラジカル含有液体の製造装置。
  27. 前記電極において、それぞれの電極は水素過電圧と酸素過電圧が互いに異なる難溶性の材料が単独あるいは組み合わせて用いられていることを特徴とする請求項21または22記載のラジカル含有液体の製造装置。
  28. 前記電極の表面の少なくとも一部が、他の部分とは過電圧が異なる材料で形成されていることを特徴とする請求項21または22記載のラジカル含有液体の製造装置。
  29. 前記電極の少なくとも一部に、材料選択特異性を有する材料を用いることを特徴とする請求項21または22記載のラジカル含有液体の製造装置。
  30. 前記材料選択特異性を有する材料が水素ラジカルを特異的に吸着する三酸化タングステンであることを特徴とする請求項29記載のラジカル含有液体の製造装置。
  31. 前記材料選択特異性を有する材料が有機物質を特異的に吸着する多孔質炭素材料であることを特徴とする請求項29記載のラジカル含有液体の製造装置。
  32. 化合物を、酸化性ラジカルと、還元性ラジカルが反応空間で反応時間中に共存しているラジカル含有液体中で化学反応させることを特徴とする液相中の化合物の分解方法。
  33. 有機化合物を、酸化性ラジカルと、還元性ラジカルが反応空間で反応時間中に共存しているラジカル含有液体中で化学反応させることによって、酸化分解と還元分解が混在した反応状態を経て二酸化炭素もしくは水にまで分解すること特徴とする液相中の化合物の分解方法。
  34. 酸化性ラジカルと、還元性ラジカルが反応空間で反応時間中に共存している液体中に存在する化合物の化学反応の制御方法であって、前記化合物が酸化耐性のある物質であり、還元性ラジカルを多く供給することを特徴とする化学反応の制御方法。
  35. 酸化性ラジカルと、還元性ラジカルが反応空間で反応時間中に共存している液体中に存在する化合物の化学反応の制御方法であって、前記化合物が還元耐性のある物質であり、酸化性ラジカルを多く供給することを特徴とする化学反応の制御方法。
  36. 酸化性ラジカルと、還元性ラジカルが反応空間で反応時間中に共存している液体中に存在する化合物の化学反応の制御方法であって、前記液体の液性を制御することによって前記化合物より発生した副次化合物の安定性を制御することを特徴とする化学反応の制御方法。
  37. 酸化性ラジカルと、還元性ラジカルが反応空間で反応時間中に共存しているラジカル含有液体中で材料表面を活性化させることを特徴とする活性化方法。
  38. 電極表面を酸化性ラジカルと、還元性ラジカルが反応空間で反応時間中に共存しているラジカル含有液体中で処理することによって、電極表面を活性化させることを特徴とする電極の活性化方法。
  39. 請求項38に記載の活性化方法で活性化された電極を用いた電池。
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