以下、図面とともに本発明によるエンコーダ用光モジュール及び光学式エンコーダの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
まず、エンコーダ用光モジュールの構成について説明する。
図1は、本発明によるエンコーダ用光モジュールの一実施形態の構成を示す側面断面図である。この光モジュールは、後述するように、回転軸、及び回転軸に取り付けられ所定パターンのスリットが円周方向に形成された複数のトラックを有する回転板を備える光学式エンコーダに用いられるものであり、発光素子4と、光センサ5とを備えて構成されている。
発光素子4は、光学式エンコーダにおいて回転角の測定に用いられる測定光を出射する光源である。この発光素子4は基板50の実装面51上に、実装面51と略直交する方向を光軸として設置されている。
また、基板50の実装面51上には、上記した発光素子4とともに、光センサ5が設置されている。光センサ5は、入射した光を検出して、その光強度に応じた電荷Qを生成するものである。この光センサ5は、複数の画素が一次元に配置された光検出部6を有しており、各画素において電荷Qを生成する。また、本実施形態においては、光センサ5は、光検出部6の複数の画素が発光素子4の設置位置を通る直線に略沿うように基板50上に配置されている。
これらの発光素子4及び光センサ5に対し、基板50に対して実装面51に対向するように、光路変更部材60が位置決め固定されている。この光路変更部材60は、発光素子4から出射された測定光の光路を光センサ5に向かう光路へと変更する光路変更手段としての機能を有する。本実施形態においては、光路変更部材60は、第1反射部61と、第2反射部62と、支持部65とを有して構成されている。
第1反射部61は、基板50の実装面51のうちで発光素子4が設置された面部分に対向するように設けられ、その基板50側の面が反射面61aとなっている。反射面61aは、図1に示すように、発光素子4から上方に出射された測定光の光路P1を、基板50と略平行な光路P2へと変更する反射手段である。一方、第2反射部62は、基板50の実装面51のうちで光センサ5が設置された面部分に対向するように設けられ、その基板50側の面が反射面62aとなっている。反射面62aは、反射面61aで反射された測定光の光路P2を、下方の光センサ5の光検出部6に向かう光路P3へと変更する反射手段である。
また、これらの第1反射部61及び第2反射部62は、支持部65を介して基板50、及び基板50上に実装された発光素子4、光センサ5に対して位置決め固定されている。図1においては、支持部65は、基板50の実装面51に直交する側面のうちで発光素子4側の側面52に固定されている。
次に、エンコーダ用光モジュールを用いた光学式エンコーダの一例としてアブソリュートエンコーダの構成について説明する。
図2は、本発明による光学式エンコーダの一実施形態の構成を示す斜視図である。この光学式エンコーダは、回転軸の回転角の絶対値を測定するアブソリュートエンコーダとして構成されており、また、その測定光学系として図1に示した光モジュールが用いられている。
本実施形態のアブソリュートエンコーダ1は、回転軸2、回転板3、発光素子4、及び光センサ5を備えている。回転軸2は、回転角を検出する対象物に取り付けられており、図示しないアブソリュートエンコーダ1の筐体に支持されている。回転板3は、例えば金属や樹脂等から形成された円板状の部材であり、その中心が回転軸2に取り付けられて固定されている。回転板3は、該回転板3の円周方向に設けられた複数のトラックからなるトラック群10を有しており、トラック群10の各トラックには、所定パターンのスリット7a、7bが形成されている。
光センサ5は、複数の画素が一次元に配置された光検出部6を有し、発光素子4から出射されてスリット7aを通過した光及びスリット7bを通過した光を検出して、各画素において光強度に応じた電荷Qを生成する。そして、光センサ5は、生成した電荷Qを回転軸2に近い画素から順に変換部20(後述)へ出力する。光センサ5としては、例えばラインイメージセンサなどを用いることができる。光センサ5は、光検出部6が回転板3の径方向を長手方向として、回転軸2の方向から見て回転板3のトラック群10を横切るように設けられている。また、発光素子4は点光源であり、例えばLEDなどを用いることができる。
これらの発光素子4及び光センサ5は、上述したように基板50の実装面51上に実装されており、この基板50は、図1及び図2に示すように、その実装面51が回転板3の下面(第1面)3aに対向するように設置されている。これにより、発光素子4及び光センサ5は、いずれも回転板3に対して下面3a側に配置される。
また、基板50に固定された光路変更部材60は、光路変更手段として機能する反射部61、62が回転板3に対して上面(第2面)3b側となるように、すなわち基板50と光路変更部材60の反射部61、62とで回転板3を挟むように配置されている。光路変更部材60は、発光素子4から出射された測定光の光路を光センサ5に向かうとともに回転板3に設けられた複数のトラックからなるトラック群10を通る光路へと変更する。なお、図1においては、回転板3を点線で図示している。また、図2においては、光路変更部材60については図示を省略している。光路変更部材60の具体的な構成及び機能については、図1に関して上述した通りである。
また、回転板3に形成された複数のトラックからなるトラック群10は、少なくとも1つの角度検出用トラックを含んでいる。そして、発光素子4から出射され、光路変更部材60の反射面61a、62aで反射された測定光のうち、角度検出用トラックのスリットを通過した光を光センサ5の光検出部6で検出することによって、回転軸2の回転角が測定される。なお、回転角の測定に用いられる回転板3のトラック群10の具体的な構成、及び回転角の測定方法等については後述する。
上記した実施形態によるエンコーダ用光モジュール、及び光学式エンコーダの効果について説明する。
図1及び図2に示した光モジュール、及びそれを用いた光学式エンコーダにおいては、発光素子4と光センサ5とを同一基板50上に設けるとともに、光路変更手段である光路変更部材60の反射面61a、62aを介して発光素子4からの測定光を光センサ5に照射する構成としている。このような構成によれば、光路変更部材60を含む光学系を用いて、発光素子4と、光センサ5との間の光路長を充分に確保することができる。したがって、光学式エンコーダ1において、測定光の光強度分布や光の指向性のばらつき等に起因する回転角の測定精度の低下が防止される。また、発光素子4と光センサ5との距離を直線的に長くするのではなく、光路変更部材60を介した光路を用いる上記構成の光学系により、光路長を長くすると同時に装置全体を小型化することが可能となる。
また、本実施形態においては、発光素子4と光センサ5とを基板50の実装面51上に実装している。これにより、両者の位置合わせ、アセンブリが容易となる。また、光センサ5での光の検出結果に応じて発光素子4から出射される測定光の光量をフィードバック制御する場合などの制御回路の設置が実装上容易となる。ただし、エンコーダ1の構成としては、発光素子4と光センサ5とを同一基板50上に実装しない構成を用いても良い。一般には、発光素子4と光センサ5とを回転板3に対して第1面(図中の下面3a)側に配置し、光路変更手段である光路変更部材60の反射部61、62を回転板3に対して第2面(上面3b)側に配置することによって測定光学系を構成すれば良い。
また、光センサ5の光検出部6は、その複数の画素が発光素子4を通る直線に略沿うように一次元に配置されている。これにより、複数のトラックからなるトラック群10を用いて回転軸2の回転角を測定する光学式エンコーダを好適に構成することができる。
また、図1に示した構成では、光路変更手段として、測定光の光路を変更する複数の反射手段として機能する反射面61a、62aを用いている。このような光路変更手段によれば、簡単な構成の光学系で、発光素子4から光センサ5への測定光の光路を制御することができる。ただし、複数の反射手段を用いた光学系の具体的な構成については、図1に示したもの以外にも様々な構成を用いることができる。あるいは、反射手段以外にも、プリズムやレンズなどの光学素子を用いても良い。ただし、光モジュールまたは光学式エンコーダの装置全体が過度に大型化されないようにすることが好ましい。
光路変更部材60としては、例えば、光沢性のある白色プラスチックなどから部材60を形成し、その一定の反射率を有するプラスチック面を反射面61a、62aとして用いる構成がある。あるいは面上にアルミニウム膜等の反射膜を形成して鏡面として用いる構成や、部材60自体をアルミニウムなどの金属から形成する構成を用いることも可能である。
また、上記のように複数の反射手段から光路変更手段を構成する場合、その反射手段については、図1に示したように平面状の反射面61a、62aを用いる構成には限られない。
図3は、エンコーダ用光モジュールの他の実施形態の構成を示す側面断面図である。本構成例においては、発光素子4、光センサ5、基板50については図1に示した構成と同様であるが、光路変更部材60に代えて、第1反射部71と、第2反射部72と、支持部75とを有する光路変更部材70が用いられている。そして、反射部71、72に設けられた反射面71a、72aは、それぞれ凹面状に形成されている。このような光学系は、光センサ5に入射される測定光を平行光に近付けたい場合に有効である。
図4は、エンコーダ用光モジュールの他の実施形態の構成を示す側面断面図である。本構成例においては、発光素子4、光センサ5、基板50については図1に示した構成と同様であるが、光路変更部材60に代えて、第1反射部81と、第2反射部82と、支持部85とを有する光路変更部材80が用いられている。そして、反射部81、82に設けられた反射面81a、82aは、それぞれ凸面状に形成されている。このような光学系は、光センサに入射される測定光の入射範囲を広げたい場合に有効である。
次に、図2に示したアブソリュートエンコーダ1において回転角の測定に用いられる回転板3のトラック群10の具体的な構成について説明する。
図5は、図2に示したエンコーダ1に用いられている回転板3を一部拡大して示す平面図である。図5を参照すると、本実施形態においては、トラック群10には、少なくとも2本の補正用トラックからなる補正用トラック群8と、複数の角度検出用トラックからなる角度検出用トラック群9が含まれている。図5に示した構成例では、トラック群10は11本のトラックを有しており、そのうちの2本(補正用トラック群8)は、第1の補正用トラックである補正用トラック8a、及び第2の補正用トラックである補正用トラック8bである。また、他の9本(角度検出用トラック群9)は、角度検出用トラック9a〜9iである。これら11本のトラックは、互いに略一定の間隔をあけて配置されている。また、ここでは、補正用トラック群8は角度検出用トラック群9よりも回転軸2寄りに設けられている。
補正用トラック8a及び8bには、それぞれ所定パターンのスリット7bが円周方向に形成されている。スリット7bは、回転板3を厚さ方向に貫通して形成され、各補正用トラックにおいて回転板3の円周方向に複数並んで形成されている。補正用トラック8aのスリット7bと、補正用トラック8bのスリット7bとは、その円周方向の位置がそれぞれ交互になるように配置されている。スリット7bは、補正用トラック8a及び8bのそれぞれにおいて、回転板3の回転角によらず発光素子4と光検出部6との間の光路上に少なくとも1つのスリット7bが存在するように配置されている。具体的には、図1及び図2に示した構成では、光路変更部材60の第2反射部62と光検出部6との間に少なくとも1つのスリット7bが存在するように配置される。
また、角度検出用トラック9a〜9iには、グレイコードなどの所定のパターンを表すスリット7aが円周方向に形成されている。スリット7aは、回転板3を厚さ方向に貫通して形成されている。なお、本実施形態において角度検出用トラックが9本設定されているのは、9桁のグレイコードによって最大512通りのコードを生成できるため、グレイコードによって回転板3の回転角(0度〜360度)を表現し、回転軸2の回転角を検出する際の分解能を1度またはそれ以下とするためである。
図6(a)は、回転板3及び光センサ5の相対位置関係を示す側面断面図である。ここでは、発光素子4、基板50、及び光路変更部材60については、図示を省略している。また、図6(b)は、スリット7aを通過した光及びスリット7bを通過した光の照射領域16及び17と、光センサ5の光検出部6との位置関係を説明するための図である。図6(a)及び(b)を参照すると、発光素子4から光路変更部材60を介して回転板3に照射された光Lの一部は、スリット7aまたは7bを通過して光センサ5の光検出部6に達する。このとき、角度検出用トラック9a〜9iのスリット7aを通過した光は、角度検出用トラック9a〜9iに対応するライン19a〜19i上に、スリット7aの形状に相似した形状の照射領域16を形成する。また、補正用トラック8a、8bのスリット7bを通過した光は、補正用トラック8a、8bに対応するライン18a及び18b上に、スリット7bの形状に相似した形状の照射領域17を形成する。
ここで、ライン19a〜19i並びに18a及び18bは、回転板3からの距離が光検出部6とほぼ等しい面上における架空のラインであり、照射領域16及び17は、光検出部6上に形成される領域を除き、回転板3からの距離が光検出部6とほぼ等しい面上に形成される架空の領域である。光検出部6は、該光検出部6上の照射領域16及び17に入射する光を検出することとなる。
図6(a)に示すように、回転板3と光センサ5との間に所定の距離Dが存在するため、発光素子4から光路変更部材60の反射面61a、62aを介して照射される光Lは、回転板3のスリット7aまたは7bを通過した後、一定の広がりをもって光検出部6に入射する。したがって、図6(b)に示したライン18a、18b、及び19a〜19iの間隔は、回転板3の各トラック間隔よりも大きい。また、照射領域16及び17は、それぞれ回転板3に形成されたスリット7a及び7bよりも大きい。
ここで、図7(a)及び図7(b)並びに図8(a)及び図8(b)は、回転板3の位置が光検出部6に対して相対的に変化した場合を説明するための図である。図7(a)及び図7(b)は、回転板3が光検出部6に近づいて、回転板3と光検出部6との間の距離がDminとなった場合を示している。ここで、Dminは、製造誤差等によって回転板3と光検出部6との間の距離が変化することを見込んで設定された、該距離の最小許容値である。このように、回転板3と光検出部6との間の距離が小さくなると、ライン18a、18b、及び19a〜19i同士の間隔が狭まり、照射領域16及び17の幅及び長さも小さくなる。
これに対して、図8(a)及び図8(b)は、回転板3が光検出部6から遠ざかって、回転板3と光検出部6との間の距離がDmaxとなった場合を示している。ここで、Dmaxは、製造誤差等によって回転板3と光検出部6との間の距離が変化することを見込んで設定された、該距離の最大許容値である。このように、回転板3と光検出部6との間の距離が大きくなると、ライン18a、18b、及び19a〜19i同士の間隔が拡がり、照射領域16及び17の幅及び長さも大きくなる。また、図8(a)に示した回転板3は、光検出部6に対して相対的に回転板3と平行な方向にずれている。このような状態は、主に回転板3が回転軸2に対して偏心して取り付けられることにより生じる。
光検出部6の長手方向の長さは、回転板3と光検出部6との間の距離がDmaxとなる場合であり、且つ、回転板3が光検出部6に対して相対的に回転板3に平行な方向に偏心している場合においても、各ライン18a、18b、19a〜19iの照射領域16及び17を全て含むことができる長さに設定されるとよい。換言すれば、光検出部6の必要長さは{(回転板3のトラック群10の幅)+(回転板3の最大偏心量)×2}×(回転板3と光検出部6との距離変化による照射領域16及び17の最大倍率)として算出される。また、光検出部6の長手方向と交差する方向の幅は、スリット7aのうち円周方向の長さが最も短いスリット7aによる照射領域16の長さよりも短くなるように設定されるとよい。換言すれば、光検出部6の最大幅は、(最も短いスリット7aの長さ)×(回転板3と光検出部6との距離変化による照射領域16の最小倍率)として算出される。
また、図6(b)、図7(b)、及び図8(b)に示すとおり、照射領域17が回転板3の回転角によらず光検出部6内に少なくとも1つ含まれるように、スリット7bの円周方向の長さ及びスリット7b同士の間隔がそれぞれ設けられている。特に、回転板3と光検出部6との間の距離がDmaxとなる際(図8(b)参照)には照射領域17が拡がるため、回転板3と光検出部6との間の距離がDmaxとなる場合を基準としてスリット7bの円周方向の長さ及びスリット7b同士の間隔がそれぞれ設けられるとよい。
次に、図2に示したアブソリュートエンコーダ1において光センサ5の出力信号等に対して設けられる信号処理系の構成等について説明する。
図1に示すアブソリュートエンコーダ1は、変換部20、入射位置推定部21、レベル判定部22、及びコード生成部23をさらに備えている。これらのうち、変換部20は光センサ5に電気的に接続された電気回路によって主に実現される。また、入射位置推定部21、レベル判定部22、及びコード生成部23は、例えば中央演算装置を内蔵したコンピュータによって実現することができる。或いは、これらの手段は電気回路によっても実現することができる。
変換部20は、光センサ5の光検出部6に電気的に接続されている。変換部20は、光検出部6の複数の画素それぞれから取り出された電荷Qを電圧信号に変換して光強度信号S1及びS3を生成するための変換手段である。変換部20は、第1の入射位置12a及び第2の入射位置12b付近の画素(図6(b)参照)からの電荷Qを増幅し、入射位置12a、12bに入射した光の強度を示す光強度信号S1を生成して、光強度信号S1を入射位置推定部21及びレベル判定部22へ出力する。また、変換部20は、入射位置推定部21からの指示信号S2によって指示された入射位置付近の画素から電荷Qを取り出し、この電荷Qを積分するとともに電圧信号に変換して光強度信号S3を生成し、光強度信号S3をレベル判定部22へ出力する。
また、変換部20は、各画素と発光素子4との間の光路長など測定光の照射条件に応じた増幅率で光強度信号S1及びS3を増幅する回路をさらに備えてもよい。具体的には、変換部20において、発光素子4からの光路長が小さい画素からの電荷Qによる光強度信号S1及びS3の増幅率を小さくし、発光素子4からの光路長が大きい画素からの電荷Qによる光強度信号S1及びS3の増幅率を大きくするとよい。光強度信号S1及びS3をこのように増幅することによって、各画素と発光素子4との間の光路長の相違に起因する各画素間における光強度の差を補正することができる。
入射位置推定部21は、複数のトラックを通過した光が入射した光検出部6における入射位置のうち、補正用トラック8aに対する第1の入射位置12aと、補正用トラック8bに対する第2の入射位置12bとに基づいて、角度検出用トラック9a〜9iのそれぞれに対する補正された入射位置13a〜13iを推定するための入射位置推定手段である(図6(b)参照)。ここで、光検出部6とライン18aとが交差する位置が第1の入射位置12aとなり、光検出部6とライン18bとが交差する位置が第2の入射位置12bとなり、光検出部6とライン19a〜19iとが交差する位置が入射位置13a〜13iとなる。入射位置推定部21における推定方法を、図6(b)及び図9を用いて以下に説明する。
図6(b)を参照すると、第1の入射位置12aと第2の入射位置12bとは間隔P1を隔てている。同様に、第2の入射位置12b及び入射位置13a〜13iも、それぞれ互いに間隔P1を隔てている。間隔P1は、発光素子4、光路変更部材60、回転板3、及び光検出部6の相対位置、並びに回転板3のトラック間隔によって定まる。ここで、補正用トラック8a及び8bのスリット7bは、前述したように補正用トラック8a及び8bのそれぞれにおいて、回転板3の回転角によらず発光素子4と光検出部6との間の光路上に少なくとも1つのスリット7bが存在するように配置されている。従って、光検出部6には、回転板3の回転角によらず常に補正用トラック8aを通過した光及び補正用トラック8bを通過した光が入射する。
図9は、光検出部6の複数の画素のうち第1の入射位置12a及び第2の入射位置12b付近の画素6aと、画素6aにおいて取り出された電荷Qに基づいて生成された光強度信号S1の一例とをあわせて示す図である。図9を参照すると、光検出部6では、第1の入射位置12aに近い画素6aほど光強度信号S1が大きくなっている。これは、第1の入射位置12a上に補正用トラック8aが位置しているためである。入射位置推定部21は、まず、変換部20から得た光強度信号S1に基づいて、補正用トラック8aに対応する第1の入射位置12aの位置を検出する。
本実施形態では、補正用トラック8aはトラック群10のなかで最も回転軸2の近くに配置されており、光検出部6においても回転軸2に近い画素から電荷Qを取り出すので、光検出部6における光強度信号S1のピークのうち最初に検出されるピークが補正用トラック8aに対応するピークとなる。従って、そのピークの中心位置を第1の入射位置12aの位置とするとよい。次に、2番目に検出されるピークの中心位置を第2の入射位置12bの位置とする。続いて、入射位置推定部21は、入射位置12a、12bとの間の間隔P1を求め、第2の入射位置12bの位置を基準として、間隔P1でもって入射位置13a〜13iそれぞれの位置を推定する。このとき、第2の入射位置12bに代えて第1の入射位置12aの位置を基準としてもよい。そして、入射位置推定部21は、推定した入射位置13a〜13i付近の画素から順次電荷Qを取り込むように指示するための指示信号S2を変換部20へ出力する。
レベル判定部22は、光検出部6において検出された、補正用トラック8a、8bを通過した光の強度に基づいて、入射位置13a〜13iにおいて検出された光がスリット7aを通過した光であるか否かを判定するためのレベル判定手段である。具体的には、レベル判定部22は、変換部20から光強度信号S1及びS3を受ける。そして、レベル判定部22は、第1の入射位置12a付近の各画素に対応する光強度信号S1と、第2の入射位置12b付近の各画素に対応する光強度信号S1とを加算することにより、補正用トラック8aを通過した光の強度と補正用トラック8bを通過した光の強度との合計値を得る。続いて、レベル判定部22は、補正用トラック8a、8bを通過した光の強度の合計値に基づいて閾値を設定する。このとき、閾値を、例えば光強度の合計値の2分の1に設定してもよいし、これ以外の任意の割合としてもよい。そして、レベル判定部22は、変換部20から入力した光強度信号S3と閾値とを比較することにより、光強度信号S3がスリット7aを通過した光による信号であるか否かを判定して判定結果S4を生成する。レベル判定部22は、判定結果S4をコード生成部23へ出力する。
コード生成部23は、レベル判定部22からの判定結果S4に基づいて、回転軸2及び回転板3の回転角の絶対値を表すグレイコードS5を生成するための手段である。コード生成部23は、入射位置13a〜13i付近の画素に関する光強度信号S3が、角度検出用トラック9a〜9iのスリット7aを通過した光によるものであるか否かを判定結果S4から知ることができる。そして、光強度信号S3がスリット7aを通過した光によるものである場合(すなわち、光強度信号S3が閾値より大きい場合)、その入射位置に対応するグレイコードのビットを1とする。光強度信号S3がスリット7aを通過した光によるものでない場合(すなわち、光強度信号S3が閾値より小さい場合)、その入射位置に対応するグレイコードのビットを0とする。こうして、9桁のグレイコードS5を生成する。コード生成部23は、生成したグレイコードS5をアブソリュートエンコーダ1の外部へ出力する。
次に、以上の構成を備えるアブソリュートエンコーダ1の動作の説明として、アブソリュートエンコーダ1を用いた角度検出方法を説明する。なお、以下に説明する方法において、アブソリュートエンコーダ1が備える変換部20、入射位置推定部21、レベル判定部22、及びコード生成部23を用いるが、これらの手段はアブソリュートエンコーダ1の外部に設けられていてもよい。
図10は、本実施形態による角度検出方法を示すフローチャートである。この角度検出方法では、まず、発光素子4から光路変更部材60の反射面61a、62aを介して、回転板3のトラック群10へ向けて光を照射する(照射ステップ、S11)。このとき、光センサ5の光検出部6では、スリット7a、7bを通過した光が入射して電荷Qが発生する。次に、変換部20により、補正用トラック8a、8bのスリット7bを通過した光により生じた電荷Qが取り出される。取り出された電荷Qは、変換部20において電圧信号に変換され、第1の光強度信号S1となる(第1の検出ステップ、S12)。
続いて、光強度信号S1が変換部20から入射位置推定部21及びレベル判定部22へ出力される。入射位置推定部21では、光強度信号S1が最初にピークとなる光検出部6の位置を検出し、この位置を、補正用トラック8aを通過した光が入射した第1の入射位置12aとする(補正用データ取得ステップ、S13)。続いて、入射位置推定部21では、光強度信号S1が2番目にピークとなる光検出部6の位置を検出し、この位置を、補正用トラック8bを通過した光が入射した第2の入射位置12bとする(補正用データ取得ステップ、S14)。
続いて、入射位置推定部21において、第1の入射位置12a及び第2の入射位置12bに基づき、角度検出用トラック9a〜9iのそれぞれを通過する光が入射する入射位置13a〜13iを推定する。すなわち、入射位置推定部21では、第1の入射位置12aと第2の入射位置12bとの間の間隔P1を求め、第2の入射位置12bの位置を基準として、間隔P1でもって入射位置13a〜13iそれぞれの位置を推定する(入射位置推定ステップ、S15)。
一方、レベル判定部22においては、変換部20からの光強度信号S1に基づいて閾値が定められる(S16)。そして、変換部20が、入射位置推定部21において推定された入射位置13a付近の画素から電荷Qを取り出し、これを積分するとともに電圧信号に変換して光強度信号S3を生成する(第2の検出ステップ、S17)。光強度信号S3はレベル判定部22へ出力され、レベル判定部22において、光強度信号S3と閾値とが比較される。これにより、入射位置13aにおいて検出された光がスリット7aを通過した光であるか否かが判定される(S18)。この入射位置13aに関する判定結果S4が、レベル判定部22からコード生成部23へ出力される。以降、入射位置13b〜13iについて第2の検出ステップ(S17及びS18)が繰り返される。
コード生成部23では、レベル判定部22からの判定結果S4に基づいて、グレイコードS5が生成される(コード生成ステップ、S19)。生成されたグレイコードS5は、アブソリュートエンコーダ1の外部へ出力される。このグレイコードS5によって、回転軸2及び回転板3の回転角の絶対値が読みとられる。
以上に説明したアブソリュートエンコーダ1の構成例及び角度検出方法によれば、補正用トラック8a及び8bそれぞれにおいて、スリット7bが回転板3の回転角によらず発光素子4と光検出部6との間の光路上に少なくとも1つ存在するように配置されているので、入射位置12a、12bを常に得ることができる。そして、この入射位置12a、12bを利用することにより、回転板3の位置が変化した場合であっても、光検出部6上における各角度検出用トラック9a〜9iのスリット7aの有無を正確に検出することができる。
一般的に、光学式エンコーダが光源を1つだけ備える場合、回転板の回転軸への取り付け誤差や偏心によって、図7、図8に示したように光検出部への入射位置が本来の位置からずれる場合がある。上記構成例によれば、回転板3の位置が変化するなどの場合であっても、上述した光源、光センサ5、及び光路変更手段から構成される測定光学系を用いて光路長を充分に長くとることにより、回転軸2の回転角を正確に検出することができる。さらに、補正用トラック8a、8bを利用することにより、測定光学系による効果と併せて、回転軸2の回転角をより正確に検出することが可能となる。また、このとき、発光素子4を1つだけ備えればよく、また、装置を大型化する複雑な光学系や長い光路長のスペースを必要としないので、装置がより小型化される。
また、上記した角度検出方法では、アブソリュートエンコーダ1を用い、入射位置12a、12bに基づいて、補正された入射位置13a〜13iを推定している。従って、回転板3の位置が変化した場合であっても、推定した入射位置13a〜13iへの光の入射状態に基づいて、光検出部6上における各角度検出用トラック9a〜9iのスリット7aの有無を正確に検出することができる。これにより、回転板3の回転角の絶対値を示すグレイコードS5を正確に生成することが可能となり、回転軸2の回転角の絶対値を正確に検出することができる。
また、アブソリュートエンコーダ1は、照射領域17が回転板3の回転角によらず光検出部6内に少なくとも1つ含まれるように、スリット7bの円周方向の長さ、及びスリット7b同士の間隔が設けられていることが好ましい。これによって、補正用トラック8aまたは8bを通過して光検出部6に入射する光の強度を回転板3の回転角によらずほぼ一定に保つことができるので、入射位置12a、12bをさらに正確に得ることができる。また、補正用トラック8a、8bを通過した光の強度を安定して得ることができるので、レベル判定部22において安定した閾値を求めることができる。
また、上記構成例のように、アブソリュートエンコーダ1は、第1の入射位置12aと第2の入射位置12bとに基づいて入射位置13a〜13iを推定する入射位置推定部21を備えることが好ましい。これによって、推定した入射位置13a〜13iへの光の入射状態に基づいて、光検出部6上における各角度検出用トラック9a〜9iのスリット7aの有無を正確に検出することができる。さらに、入射位置推定部21は、第1の入射位置12aまたは第2の入射位置12b、及び第1の入射位置12aと第2の入射位置12bとの間隔に基づいて、入射位置13a〜13iを推定することが好ましい。これによって、入射位置13a〜13iを好適に推定することができる。
また、上記構成例のように、アブソリュートエンコーダ1は、光検出部6において検出された補正用トラック8aを通過した光及び補正用トラック8bを通過した光の光強度に基づいて、入射位置推定部21によって推定された入射位置13a〜13iにおいて検出された光がスリット7aを通過した光であるか否かを判定するレベル判定部22を備えることが好ましい。これによって、光検出部6上における各角度検出用トラック9a〜9iのスリット7aの有無をより正確に判断することができるので、回転軸2の回転角の絶対値をより正確に検出することができる。
次に、アブソリュートエンコーダにおいて用いられる信号処理系の構成の具体例について説明する。
図11は、図2に示したエンコーダにおける信号処理系の構成例を示す回路図である。この回路図は、変換部30、入射位置推定部31、及びレベル判定部32の回路構成を示している。本実施例では、上記した実施形態の変換部20、入射位置推定部21、及びレベル判定部22の具体例として、これらの手段を説明する。
図11を参照すると、変換部30は、積分器30a、差動増幅器30b、及びメモリ30cを備えている。積分器30aの入力は光センサ5に電気的に接続されており、積分器30aの出力は差動増幅器30b及びメモリ30cに電気的に接続されている。積分器30aは光センサ5の各画素からの電荷を積分するとともに電圧信号に変換する回路であり、後述する制御器31aからの初期化信号φINTを入力することによって積分動作が初期化される。
メモリ30cは、積分器30aが光センサ5から電荷を受けていないときの、積分器30aからの出力レベル(ダーク出力レベル)を記憶するための回路である。メモリ30cの入力は積分器30aに電気的に接続されており、メモリ30cの出力は差動増幅器30bに電気的に接続されている。メモリ30cは、後述する制御器31aからの記憶信号φRMをトリガとして、発光素子4が点灯する前に積分器30aからの出力レベルを記憶する。或いは、メモリ30cには、アブソリュートエンコーダ1の製造時において、所定のレベルが記憶されてもよい。
差動増幅器30bは、積分器30aの出力レベルと、メモリ30cに記憶されたレベルとの差分を生成するための回路である。差動増幅器30bの一方の入力は積分器30aに電気的に接続されており、差動増幅器30bの他方の入力はメモリ30cに電気的に接続されている。差動増幅器30bの出力は、レベル判定部32に電気的に接続されている。差動増幅器30bは、積分器30aの出力レベルからメモリ30cに記憶されたレベルを差し引くことによって、積分器30aの出力レベルからダーク出力レベルを除く。
また、レベル判定部32は、比較器32a及びメモリ32bを備えている。メモリ32bは、補正用トラック8a、8bを通過した光の強度に基づいて閾値を求め、該閾値を記憶する回路である。メモリ32bの入力は差動増幅器30bの出力に電気的に接続されており、メモリ32bの出力は比較器32aに電気的に接続されている。メモリ32bは、制御器31aからの記憶信号φDMをトリガとして所定の演算式に基づいて閾値を計算し、これを記憶する。
比較器32aは、差動増幅器30bの出力レベルと、メモリ32bに記憶された閾値とを比較して比較結果を出力する回路である。比較器32aの一方の入力は差動増幅器30bに電気的に接続されており、比較器32aの他方の出力はメモリ32bに電気的に接続されている。比較器32aの出力は、図示しないコード生成手段及び制御器31aに電気的に接続されている。比較器32aは、差動増幅器30bの出力レベルが閾値よりも大きい場合は所定レベルの電圧信号(論理1)を、それ以外の場合は他のレベルの電圧信号(論理0)を出力する。
また、制御器31aは、積分器30a、メモリ30c、及びメモリ32bを制御するとともに、光センサ5の光検出部6において電荷を取り出す画素の間隔を計算して電荷を取り出すタイミングを制御する回路である。制御器31aは、比較器32aに電気的に接続されており、補正用トラック8a、8bを通過した光に関する信号が比較器32aから出力されるタイミングに基づいて、第1の入射位置12a及び第2の入射位置12bを記憶する。そして、制御器31aは、第1の入射位置12aと第2の入射位置12bとの間隔を計算し、第2の入射位置12bを基点としてこの間隔でもって積分器30aが電荷を積分するようなタイミングで、積分器30aに初期化信号φINTを送る。すなわち、制御器31aは、第1の入射位置12a及び第2の入射位置12bに基づいて、入射位置13a〜13iを推定する入射位置推定部31を構成する。また、制御器31aは、所定のタイミングで記憶信号φRMをメモリ30cへ、記憶信号φDMをメモリ32bへ、それぞれ送る。
以上の構成を有する変換部30、入射位置推定部31、及びレベル判定部32の動作は次の通りである。まず、発光素子4が光を照射していない時に、制御器31aからメモリ30cへ記憶信号φRMが送られる。そして、メモリ30cにおいて、積分器30aのダーク出力レベルが記憶される。次に、発光素子4が光を照射して光センサ5が光を検出すると、まず補正用トラック8aを通過した光により発生した電荷が積分器30aによって積分され、光強度信号が生成される。そして、差動増幅器30bによって光強度信号からダーク出力レベルが除かれた後、この光強度信号のレベルがメモリ32bに記憶されるとともに、光強度信号が比較器32aを介して制御器31aに送られる。
続いて、補正用トラック8bを通過した光により発生した電荷が積分器30aによって積分され、光強度信号が生成される。そして、補正用トラック8aを通過した光の場合と同様に、光強度信号のレベルがメモリ32bに記憶されるとともに、光強度信号が制御器31aに送られる。この後、制御器31aからメモリ32bへ記憶信号φDMが送られる。メモリ32bでは、補正用トラック8aを通過した光および補正用トラック8bを通過した光のそれぞれに関する光強度信号に基づいて、閾値が計算される。また、制御器31aでは、第1の入射位置12a及び第2の入射位置12bが求められ、これらの間隔が計算される。
続いて、制御器31aが、第2の入射位置12bを基点として、計算した間隔でもって積分器30aへ初期化信号φINTを送る。積分器30aでは、初期化信号φINTを受ける度に積分動作が初期化されるので、入射位置13a〜13i付近において発生した電荷を順に積分することとなる。電荷が積分されることにより生成された光強度信号は、差動増幅器30bによってダーク出力レベルが除かれた後、比較器32aに入力される。そして、光強度信号が比較器32aにおいて閾値と比較され、その比較結果が図示しないコード生成手段へ出力される。コード生成手段では、比較結果に基づいてグレイコードが生成される。
本発明によるエンコーダ用光モジュール、及び光学式エンコーダは、上記した実施形態及び構成例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記した構成例においては変換手段、入射位置推定手段、及びレベル判定手段を電気回路によって実現しているが、これらの手段を所定のソフトウェアが組み込まれたコンピュータによって実現してもよいし、電気回路とコンピュータとを適宜組み合わせて実現してもよい。また、光センサについては、その長手方向と交差する方向の複数の画素のそれぞれの幅が、画素と発光素子との間の光路長に基づいて設定された構成としても良い。これにより、各位置での光強度に応じて画素の大きさが好適に設定される。
また、上記した構成例では、回転軸の回転角の絶対値を測定するアブソリュートエンコーダを例として説明したが、インクリメンタル方式の光学式エンコーダにおいても、上記した測定光学系を適用することが可能である。一般には、光学式エンコーダは、回転軸、及び回転軸に取り付けられ複数のトラックを有する回転板を備え、複数のトラックに含まれる角度検出用トラックのスリットを通過した光を検出することによって回転軸の回転角を測定するように構成されていれば良い。また、複数のトラックが補正用トラックを含まずに、角度検出用トラックのみから構成されていても良い。
また、上記した構成例においては、回転板は9本の角度検出用トラックを有している。回転板の角度検出用トラックの本数はこれに限らず、必要な分解能に応じて様々な本数とすることができる。また、各トラックのスリットについては、発光素子からの測定光に対して透明な材料によって形成しても良い。また、補正用トラックの本数については、3本以上設ける構成としても良い。
1…アブソリュートエンコーダ(光学式エンコーダ)、2…回転軸、3…回転板、4…発光素子、5…光センサ、6…光検出部、6a…画素、7a〜7c…スリット、8…補正用トラック群、8a、8b…補正用トラック、9…角度検出用トラック群、9a〜9i…角度検出用トラック、10…トラック群、12a…第1の入射位置、12b…第2の入射位置、13a〜13i…入射位置、16、17…照射領域、18a、18b…ライン、20…変換部、21…入射位置推定部、22…レベル判定部、23…コード生成部、30…変換部、30a…積分器、30b…差動増幅器、30c…メモリ、31…入射位置推定部、31a…制御器、32…レベル判定部、32a…比較器、32b…メモリ、50…基板、51…実装面、52…側面、60…光路変更部材、61…第1反射部、61a…反射面、62…第2反射部、62a…反射面、65…支持部。