JP2005039396A - 広帯域送受信アンテナ対及びそれを用いた無線システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の一態様によると、広帯域送信信号の高域周波数成分を相対的に低遅延特性の下で送信する部分と、前記広帯域送信信号の低域周波数成分を相対的に高遅延特性の下で送信する部分とを備えている広帯域送信または受信アンテナと、広帯域受信信号の高域周波数成分を相対的に高遅延特性の下で受信する部分と、前記広帯域送信信号の低域周波数成分を相対的に低遅延特性の下で受信する部分とを備えている広帯域受信または送信アンテナとを有し、前記広帯域送信または受信アンテナと前記広帯域受信または送信アンテナとが互いに相補的な遅延特性を有し、前記広帯域送信アンテナによって送信される前記広帯域送信信号に生じる歪みを前記広帯域受信アンテナによって受信される前記広帯域受信信号から相殺可能とする群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対が提供される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、広帯域送受信アンテナ対及びそれを用いた無線システムに係り、特に、広帯域アンテナで発生する群遅延特性を補償可能とした広帯域送受信アンテナ対及びそれを用いた超広帯域無線システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、無線通信の分野では、超広帯域(Ultra Wideband:UWB)無線システムが脚光を浴びつつある。
【0003】
このUWB無線システムは、中心周波数の25%以上、または1.5GHz以上の帯域幅(バンド幅)を占有する無線伝送方式であって、その帯域幅は広いが放射電力を、パーソナルコンピュータ(PC)等の電子機器から出る放射雑音程度(−41.3dBm)と極めて低く抑えることによって、既存の無線通信システムへの干渉を小さく抑えることにより、無線システムとして共存を図るものである。
【0004】
このUWB無線システムは、元々、アメリカの軍事技術として発達してきたものであるが、2002年2月米国のFCC(連邦通信委員会)が民生用に電波を開放することにしたため、世界中でUWBの開発に向けた動きが活発になってきている。FCCが民生用に認可した周波数帯は2つある。
【0005】
1つは、マイクロ波帯(3.1〜10.6GHz)であって、その主な用途としては、オフィスや家庭内の近距離領域でPCやAV機器などを高速かつ低コストで接続する無線ネットワークシステムがある。
【0006】
他の1つは、準ミリ波帯(22〜29GHz)であって、その主な用途としては、超高速近距離ワイヤレス通信や自動車などの衝突検知装置がある。この場合、後者のセンシング利用が主として考えられている。
【0007】
UWB無線システムでは、搬送波を用いることなく、わずかに1ns程度の極めて幅が狭いパルス波(ガウス性単一サイクル波など)を用いていることが、既存の無線通信システムと基本的に異っている。
【0008】
このパルス波には、極めて広範な周波数成分が含まれているため、このようなパルス波を用いることにより、周波数軸上で見ると、数GHz幅という非常に広い帯域(UWB)を占有する無線システムが実現可能となる。
【0009】
実際のUWB無線システムでは、このパルス波の時間軸上の位置や波形、位相を変化させることにより、送信すべき情報を付加している。
【0010】
既存の無線通信システムでは、時間軸上で連続的な搬送波の波形や位相に送信すべき情報を乗せるために、入力信号となるベースバンド信号に搬送波をミキシングしてRF部に送るようにしているので、アンテナから送信される波形は連続波となっている。
【0011】
一方、UWB無線システムでは、ベースバンド信号の波形をそのままパルス波に変換して伝送するので、アンテナから送信される波形は不連続のパルス波となっている。
【0012】
このようなUWB無線システムでは、システムを構成するすべての機器や素子が広帯域特性を有していることが必要である。
【0013】
特に、問題となるのは、UWB無線システムに適用すべく広帯域特性を有するアンテナを実現することである。これまでの長い無線の歴史のなかでも広い周波数帯にわたって動作するアンテナの研究が行われ、開発されてきている。
【0014】
最も有名なのは、非特許文献1に示されているような自己補対アンテナであって、この自己補対アンテナでは入力インピーダンスが周波数に無関係に60πオームになる。
【0015】
これは、わが国で発見された原理で、虫明の関係式と呼ばれている。この原理に従うアンテナはインピーダンスだけでなく、指向性も広い周波数範囲にわたってほぼ一定となる。
【0016】
また、この原理から派生したアンテナとしては、対数周期アンテナや誘電体基板上に形成された非特許文献2に示されているような方形スパイラルアンテナなどがあり、現在広く実用されている。
【0017】
これらの広帯域アンテナはインピーダンス特性は広帯域であるが、UWB無線システム応用の場合には短パルスを用いるので、周波数によって遅延に差があると、アンテナによってパルス波形に歪みが生じるという問題が出てくる。
【0018】
このようにパルス波形が歪むと受信側で相関処理をして信号を再生するのが困難になったり、ビット誤り率が劣化したりする。
【0019】
すなわち、UWB無線システムのアンテナには遅延の周波数特性も一定であることが求められるようになり、これが通常のアンテナと大きく異なるところである。
【0020】
現在、AV機器などの無線インタフェースを目的としたUWB無線システム用には、チップ状の小型アンテナが開発されている。しかしながら、このような小型アンテナは必然的に無指向性となり、利得も小さく、典型的な値としては−3dB程度であり、さらに、周波数特性もそれほど広くない。
【0021】
UWB無線システムには、上述したように様々な利用形態があり、上記のように無指向性の小型アンテナが必要な場合もあるが、より距離を延ばした通信サービスやセンシング用にはより高い利得や高い角度分解能が必要となり、指向性アンテナが求められるようになる。
【0022】
そのため、スパイラルなどある程度大きいアンテナが必要になるが、このようなアンテナでは一般的に前述のような遅延の周波数特性を持つためアンテナによるパルス波形歪みが発生する。
【0023】
【非特許文献1】Yasuto Mushiake,“Self−Complementary.Antennas”,Springer,ISBN 3−540−76002−4
【0024】
【非特許文献2】H.Nakano,J.Eto,Y.Okabe,J.Yamauchi,“Tilted−and.Axial−Beam Formation by a Single−Arm Rectangular Spiral Antenna With Compact DielectricSubstrate and Conducting Plane”,IEEE Trans.Antennas and Propag.Vol.5,No.1,Jan.2002
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
次に、本発明が解決しようとする課題として、上述したような従来の広帯域アンテナのUWB無線システムへの適用における群遅延特性の問題について、以下に詳しく説明する。
【0026】
これまで、通信やレーダ、EMC用に様々な広帯域アンテナが使われてきている。その1つとして、前述した非特許文献1による自己補対アンテナは、金属部分と空気の部分が、適当な回転や折り返しをすることによって完全に入れ替わる構造のアンテナである。
【0027】
この自己補対アンテナの入力インピーダンスZは、前述したように周波数に無関係にZ=60π(Ω)となることが証明されている(虫明の関係式)。
【0028】
この自己補対アンテナに準じたアンテナとして、前述した非特許文献2による方形スパイラルアンテナやログペリアンテナなどが実用化されている。
【0029】
これらのアンテナは広い周波数帯にわたり、入力インピーダンス(またはVSWR)、軸比、指向性、利得などがほぼ一定に保たれる。
【0030】
しかし、UWB無線システム応用のアンテナの場合には、短パルスを空間に放射させたり、受信したりするので、パルス波形歪みの原因となる群遅延特性をも問題にしなければならない。これがUWB無線システム応用のアンテナの特徴である。
【0031】
この群遅延特性の観点から従来の広帯域アンテナを眺め直して見ると、非常に問題のあることが分かる。
【0032】
すなわち、これらの広帯域アンテナでは、周波数変化に対して放射される電波の振幅は一定でも、位相はリニアではない、すなわち、周波数によって遅延が異なるので、パルス波形が歪むことになるためてある。
【0033】
次に、パルス波形が歪む原因として、広帯域アンテナで群遅延が発生する理由について説明する。
【0034】
図14は、従来の広帯域アンテナを示す平面図である。ここでは、従来の広帯域アンテナの代表例として、図14に示すように、誘電体基板1上に方形スパイラル状の導電体パターン2が形成された方形スパイラルアンテナの場合について考える。
【0035】
なお、この広帯域アンテナとしては、方形スパイラルアンテナの場合にのみ限らず、自己補対アンテナなど他のアンテナでも、以下の説明は原理的に同じである。
【0036】
今、図14において、導電体パターン2の中央部分である点Aから広帯域信号を給電したとすると、方形スパイラルアンテナではある周波数f1に対し点Aからの周囲長(線路長)がほぼ伝送波長入gになる部分(代表点をPとする)が共振し、強い電流が流れる。
【0037】
すなわち、図14の方形スパイラルアンテナにおいて、周波数f1の電波が強く放射されるのは、P点近辺のワイヤ(導電体)部分からである。
【0038】
この方形スパイラルアンテナは、原理的には進行波型のアンテナであり、ワイヤは放射素子であると共に伝送線路でもあるから、点Pに流れる電流は、給電点Aから点Pまでの線路長の分だけ遅延することになる。
【0039】
言い換えれば、このような広帯域アンテナでは、周波数によって共振位置(電波を放射する位置)が異なるため、周波数によって群遅延特性も異なるということである。
【0040】
このような周波数によって異なる群遅延特性を持つ広帯域アンテナをUWB無線システムへ適用したとすると、前述したように群遅延特性によってパルス波形歪みが発生するという問題がある。
【0041】
図15は、従来の広帯域アンテナを用いた場合のパルス波形歪みを有する送信波形と、パルス波形歪みを有する受信波形とを模擬的に示す図である。
【0042】
すなわち、図15に示すように、元々、パルス波形歪みのない入力波形を送信用広帯域アンテナ3に給電した場合であっても、その送信波形は、送信用広帯域アンテナ3が周波数によって異なる群遅延特性を持つため図示のようなパルス波形歪みを有する電波として放射される。
【0043】
そして、このパルス波形歪みを有する電波は、受信用広帯域アンテナ4で受信されるが、この受信用広帯域アンテナ4も周波数によって異なる群遅延特性を持つために更にパルス波形歪みが加わり、結局、図示のようなパルス波形歪みを有する受信波形が出力されてしまうことになる。
【0044】
なお、送信用広帯域アンテナ3から空間に放射されるパルス波形が図示のように歪むという現象は、時間的にパルスが引き伸ばされるのと等価であって、その結果、パルスのピークレベルが下がることに相当する。
【0045】
ところで、送信波形のピークレベルは電波法で規制されているので、このような送信波形のピークレベルが下がるということは、電波法の規定をクリヤするのを容易にすると共に、他の無線システムへの電波干渉を低減できるというメリットがある。
【0046】
しかるに、このままでは、受信用広帯域アンテナ4からパルス波形歪みを有する受信波形が出力されるため、受信側で相関処理をするのが困難になる。これは、UWB無線システムへの実現に大きな制約となる。
【0047】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、広帯域アンテナで発生する群遅延特性を補償可能とした広帯域送受信アンテナ対及びそれを用いた超広帯域無線システムを提供することを目的とする。
【0048】
【課題を解決するための手段】
本発明は、広帯域アンテナで生じる群遅延特性を広帯域送受信アンテナ対で補償することにより、超広帯域無線伝送システムへの適用において、広帯域アンテナによるパルス波形歪みをなくし、精度よく受信信号を検出可能とした手法を提案するものである。
【0049】
本発明によると、上記課題を解決するために、
(1) 第1の給電点に接続される一端と開放他端との間に前記第1の給電点に給電される広帯域送信または受信信号を送信または受信可能とする所定の線路長で形成された第1の金属線路を有する広帯域アンテナであって、前記第1の金属線路は、前記広帯域送信または受信信号における所定の周波数成分に対して所定の遅延特性の下で送信または受信する線路部分と、前記所定の周波数成分から高域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に低い遅延特性の下で送信または受信する線路部分と、前記所定の周波数成分から低域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に高い遅延特性の下で送信または受信する線路部分とを備えている広帯域送信または受信アンテナと、
第2の給電点に接続される一端と開放他端との間に前記第2の給電点に給電される広帯域受信または送信信号を受信または送信可能とする所定の線路長で形成された第2の金属線路を有する広帯域アンテナであって、前記第2の金属線路は、前記広帯域受信または送信信号における所定の周波数成分に対して所定の遅延特性の下で受信または送信する線路部分と、前記所定の周波数成分から高域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に高い遅延特性の下で受信または送信する線路部分と、前記所定の周波数成分から低域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に低い遅延特性の下で受信または送信する線路部分とを備えている広帯域受信または送信アンテナとを具備し、
前記広帯域送信または受信アンテナと前記広帯域受信または送信アンテナとが互いに相補的な群遅延特性を有していることにより、前記広帯域送信アンテナによって送信される前記広帯域送信信号に生じる歪みを前記広帯域受信アンテナによって受信される前記広帯域受信信号から相殺可能とするように構成されていることを特徴とする群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対が提供される。
【0050】
また、本発明によると、上記課題を解決するために、
(2) 前記広帯域送信または受信アンテナは、
前記第1の金属線路として、第1の地板導体を有する第1の誘電体基板上にスパイラル状に形成された第1の導電体パターンと、
前記第1の給電点として、前記第1の導電体パターンの中央部に形成された中央給電部とを有し、
前記広帯域受信または送信アンテナは、
前記第2の金属線路として、第2の地板導体を有する第2の誘電体基板上にスパイラル状に形成された第2の導電体パターンと、
前記第2の給電点として、前記第2の導電体パターンの外周端に形成された外部給電部とを有することを特徴とする(1)記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対がが提供される。
【0051】
また、本発明によると、上記課題を解決するために、
(3) 前記広帯域送信または受信アンテナの前記第1の導電体パターンのスパイラルの旋回方向と、前記広帯域受信または送信アンテナの前記第2の導電体パターンのスパイラルの旋回方向とが互いに逆方向として形成され、且つ互いに相対する両端から給電することにより、同一旋回の円偏波アンテナを形成し、通信システムに対応したことを特徴とする(2)記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対が提供される。
【0052】
また、本発明によると、上記課題を解決するために、
(4) 前記広帯域送信または受信アンテナの前記第1の導電体パターンのスパイラルの旋回方向と、前記広帯域受信または送信アンテナの前記第2の導電体パターンのスパイラルの旋回方向とが互いに同方向として形成されることにより、レーダシステム対応としたことを特徴とする(2)記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対が提供される。
【0053】
また、本発明によると、上記課題を解決するために、
(5) 前記広帯域送信または受信アンテナは、
前記第1の金属線路として、第1の地板導体を有する第1の誘電体基板上に形成された小さい方から順に等比級数的に大きくなっていく構成を有している対数周期型の第1の導電体パターンと、
前記第1の給電点として、前記第1の導電体パターンの最大部または最小部に形成された給電部とを有し、
前記広帯域受信または送信アンテナは、
前記第2の金属線路として、第2の地板導体を有する第2の誘電体基板上に形成された小さい方から順に等比級数的に大きくなっていく構成を有している対数周期型の第2の導電体パターンと、
前記第2の給電点として、前記第2の導電体パターンの最小部または最大部に形成された給電部とを有することを特徴とする(1)記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対が提供される。
【0054】
また、本発明によると、上記課題を解決するために、
(6) 前記広帯域送信または受信アンテナは、
前記第1の金属線路として、第1の地板導体の上に垂直に立てられた構造の第1のモノポール型対数周期折り返しアンテナ素子と、
前記第1の給電点として、前記第1のモノポール型対数周期折り返しアンテナ素子の背の低いまたは高い一端に接続された第1の給電部とを有し、
前記広帯域受信または送信アンテナは、
前記第2の金属線路として、第2の地板導体の上に垂直に立てられた構造の第2のモノポール型対数周期折り返しアンテナ素子と、
前記第2の給電点として、前記第2のモノポール型対数周期折り返しアンテナ素子の背の高いまたは低い一端に接続された第2の給電部とを有することを特徴とする(1)記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対が提供される。
【0055】
また、本発明によると、上記課題を解決するために、
(7) 前記広帯域送信または受信アンテナは、
前記第1の金属線路として、第1の地板導体の上に配置された金属の円錐モノポールまたは逆円錐モノポールと、
前記第1の給電点として、前記金属の円錐モノポールまたは逆円錐モノポールの下端に接続された第1の給電部とを有し、
前記広帯域受信または送信アンテナは、
前記第2の金属線路として、第2の地板導体の上に配置された金属の逆円錐モノポールまたは円錐モノポールと、
前記第2の給電点として、前記金属の逆円錐モノポールまたは円錐モノポールの下端に接続された第2の給電部とを有することを特徴とする(1)記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対が提供される。
【0056】
また、本発明によると、上記課題を解決するために、
(8) 前記第1の給電点及び前記第2の給電点の少なくとも一方が、前記第1の地板導体及び前記第2の地板導体と、前記第1の誘電体基板及び前記第2の誘電体基板の少なくとも一方から差し込まれている第1の同軸線路及び第2の同軸線路に接続されていることを特徴とする(2)乃至(7)のいずれか一つに記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対が提供される。
【0057】
また、本発明によると、上記課題を解決するために、
(9) 前記第1の給電点及び前記第2の給電点の少なくとも一方が、前記第1の地板導体及び前記第2の地板導体と、前記第1の誘電体基板及び前記第2の誘電体基板の少なくとも一方に形成されたマイクロストリップ線路からスロットを介して電磁結合による給電構造とされていることを特徴とする(2)乃至(7)のいずれか一つに記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対が提供される。
【0058】
また、本発明によると、上記課題を解決するために、
(10) 第1の給電点に接続される一端と開放他端との間に前記第1の給電点に給電される広帯域送信または受信信号を送信または受信可能とする所定の線路長で形成された第1の金属線路を有する広帯域アンテナであって、前記第1の金属線路は、前記広帯域送信または受信信号における所定の周波数成分に対して所定の遅延特性の下で送信または受信する線路部分と、前記所定の周波数成分から高域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に低い遅延特性の下で送信または受信する線路部分と、前記所定の周波数成分から低域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に高い遅延特性の下で送信または受信する線路部分とを備えている広帯域送信または受信アンテナを含む送信または受信系と、
第2の給電点に接続される一端と開放他端との間に前記第2の給電点に給電される広帯域受信または送信信号を受信または送信可能とする所定の線路長で形成された第2の金属線路を有する広帯域アンテナであって、前記第2の金属線路は、前記広帯域受信または送信信号における所定の周波数成分に対して所定の遅延特性の下で受信または送信する線路部分と、前記所定の周波数成分から高域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に高い遅延特性の下で受信または送信する線路部分と、前記所定の周波数成分から低域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に低い遅延特性の下で受信または送信する線路部分とを備えている広帯域受信または送信アンテナを含む受信または送信系とを具備し、
対をなす、前記送信系の送信アンテナと前記受信系の受信アンテナとが互いに相補的な群遅延特性を有していることにより、前記送信系の広帯域送信アンテナによって送信される前記広帯域送信信号に生じる歪みを前記受信系の広帯域受信アンテナによって受信される前記広帯域受信信号から相殺可能とするように構成されている群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対を用いたことを特徴とする超広帯域無線システムが提供される。
【0059】
【発明の実施の形態】
まず、本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の原理について、図面を参照して説明する。
【0060】
図1は、本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の原理を説明するための送受信系を示す図である。
【0061】
図2は、本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の原理を説明するための群遅延補償特性を示す図である。
【0062】
すなわち、図1に示すように、元々、パルス波形歪みのない入力波形を送信用広帯域アンテナ10に給電すると、その送信波形は、図示のようなパルス波形歪みを有する電波として放射される。
【0063】
ここで、送信用広帯域アンテナ10の周波数に対する遅延量の関係、すなわち、群遅延特性は、説明の簡単化のために、例えば、図2に示すA曲線のように、前述したある周波数f1よりも低い周波数領域で大きな遅延量を有し、ある周波数f1よりも高い周波数領域で小さな遅延量を有する右下がりの直線特性となっているものとする。
【0064】
これは、送信用広帯域アンテナ10として、例えば、後述する図3の(a)に示すような広帯域アンテナを用いた場合に、中央給電点Aから広帯域信号を給電したとすると、ある周波数f1よりも高い周波数領域ほど短い線路長領域で共振し、低い周波数領域ほど長い線路長領域で共振することによっている。
【0065】
そして、この送信用広帯域アンテナ10から送信されるパルス波形歪みを有する電波は、受信用広帯域アンテナ20で受信される。
【0066】
ここで、受信用広帯域アンテナ20の周波数に対する遅延量の関係、すなわち、群遅延特性は、説明の簡単化のために、例えば、図2に示すB曲線のように、ある周波数f1よりも低い周波数領域で小さな遅延量を有し、高い周波数領域で大きな遅延量を有する右上がりの直線特性となっているものとする。
【0067】
これは、受信用広帯域アンテナ20として、例えば、後述する図3の(b)に示したような広帯域アンテナを用いた場合に、外周給電点B´から広帯域信号を給電したとすると、ある周波数f1よりも低い周波数領域ほど短い線路長領域で共振し、高い周波数領域ほど長い線路長領域で共振することによっている。
【0068】
すなわち、これは、送信用広帯域アンテナ10の持つ図2に示すA曲線のような右下がりの群遅延特性が、受信用広帯域アンテナ20の持つ図2に示すB曲線のような右上がりの群遅延特性によって、相殺されるように補償される結果、群遅延特性送受信用広帯域アンテナ対として、図2に示すC曲線のような周波数に関係なく平坦な群遅延特性を持つことを示している。
【0069】
この場合、図2に示すA曲線とB曲線とは、説明の簡単化のために、右下がりの直線特性と右上がりの直線特性として示したが、実際には、これに限られるものではなく、互いに相補的な関係にある特性曲線を有していれば良い。
【0070】
したがって、受信用広帯域アンテナ20からは、図1に示すように、パルス波形歪みのない元々の入力波形が復元された状態の受信波形として出力される。
【0071】
なお、送信用広帯域アンテナ10から空間に放射されるパルス波形が図示のように歪むという現象は、時間的にパルスが引き伸ばされるのと等価であって、その結果、パルスのピークレベルが下がることに相当する。
【0072】
ところで、送信波形のピークレベルは電波法で規制されているので、このような送信波形のピークレベルが下がる広帯域アンテナを用いると電波法の規定をクリヤするのが容易になる。
【0073】
しかも、本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対では、受信用広帯域アンテナ20からは、従来のようにパルス波形歪みを有する受信波形が出力されることなく、パルス波形歪みのない元々の入力波形が復元されて出力されることにより、受信側で相関処理するのが容易となるので、UWB無線システムの実現に何ら支障がないものとなる。
【0074】
次に、以上のような原理に基づく本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0075】
なお、以下の各実施の形態の説明では、群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対を構成するアンテナ対の一方を送信アンテナとし、且つ他方を受信アンテナとして用いる場合について説明するが、これは相互に逆の関係として用いるようにしても良い。
【0076】
(第1の実施の形態)
まず、スパイラルアンテナのうち方形スパイラルアンテナに適用される第1の実施の形態について説明する。
【0077】
これは、スパイラルアンテナには、曲線スパイラルアンテナや方形スパイラルアンテナ等の幾つかの種類があるが、最も設計や製作が容易な形状のものは、方形スパイラルアンテナであるからである。
【0078】
図3の(a)は、通信システムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第1の実施の形態に用いられる方形スパイラルアンテナによる広帯域送信アンテナを示す平面図である。
【0079】
図3の(b)は、通信システムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第1の実施の形態に用いられる方形スパイラルアンテナによる広帯域受信アンテナを示す平面図である。
【0080】
すなわち、図3の(a)に示すように、本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第1の実施の形態に用いられる方形スパイラルアンテナによる広帯域送信アンテナは、裏面に図示しない地板導体を有する誘電体基板11の表面上に旋回方向を右旋回方向とする方形スパイラル状の導電体パターン12が形成された方形スパイラルアンテナ13として構成される。
【0081】
この方形スパイラルアンテナ13において、点Aは、給電点であり、点Pは、前述したように、導電体パターン12の所定線路長部分に想定される周波数f1の電波が放射されるワイヤ(金属線路)部分であり、点Bは、導電体パターン12の最外周端としての開放端である。
【0082】
ここで、最外周端としての開放端Bには、当該開放端Bに達する電流を吸収して反射を無くすための回路素子としての終端抵抗14が接続されている。
【0083】
勿論、開放端Bに達する電流が十分に小さい場合には、この終端抵抗14を省略することができるのは言うまでもない。これは、後述する各アンテナの終端抵抗についても同様とする。
【0084】
なお、給電点Aの接続構造については、後述する図12または図13に示す曲線スパイラルアンテナの場合の給電点接続構造を適用することができる。
【0085】
また、図3の(b)に示すように、本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第1の実施の形態に用いられる方形スパイラルアンテナによる広帯域受信アンテナは、裏面に図示しない地板導体を有する誘電体基板21の表面上に旋回方向を左旋回方向とする方形スパイラル状の導電体パターン22が形成された方形スパイラルアンテナ23として構成される。
【0086】
この方形スパイラルアンテナ23において、点B´は、導電体パターン22の最外周端に形成されている給電点であり、点P´は、前述したように、導電体パターン22の所定線路長部分に想定される周波数f1の電波が受信されるワイヤ(金属線路)部分であり、点A´は、導電体パターン22の中央部分としての開放端である。
【0087】
ここで、導電体パターン22の中央部分としての開放端A´には、当該開放端A´に達する電流を吸収して反射を無くすための回路素子としての終端抵抗24が接続されている。
【0088】
なお、最外周端に形成されている給電点B´の接続構造については、後述する図12または図13に示す曲線スパイラルアンテナの場合の中央の給電点Aの接続構造を同様に適用することができる。
【0089】
なお、この広帯域アンテナとしては、スパイラルアンテナの場合にのみ限らず、自己補対アンテナなど他のアンテナでも、以下の説明は原理的に同じである。
【0090】
図4は、以上のように構成される方形スパイラルアンテナ13、23を送受信アンテナとして用いる群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対100として組み込んで構成されるUWB無線伝送システムの概略構成を示すブロック図である。
【0091】
なお、レーダシステムに適用する場合についても、図4に示す構成と同様な構成で、実現することができる。以下では、UWB無線伝送システムに適用する場合について説明する。
【0092】
すなわち、図4に示すように、このUWB無線伝送システムの送信系200では、送信すべき入力信号が変調器231において、パルス発生器232からの、例えば、1ns程度の極めて幅が狭いパルス波で位置変調等を受けた後、電力増幅器(PA)233を介して群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対100の送信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ13から送信電波として空中に放射されるように構成されている。
【0093】
また、このUWB無線伝送システムの受信系300では、送信系200の送信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ13から空中に放射された送信電波を群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対100の受信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ23で受信電波として受信した後、該受信電波を低雑音増幅器(LNA)331を介して復調器332において、パルス発生器333からの、例えば、1ns程度の極めて幅が狭いパルス波で位置復調等を施すことにより、受信信号として出力するように構成されている。
【0094】
このように構成されるUWB無線システムにおいて、今、図3の(a)に示す方形スパイラルアンテナ13を送信アンテナとする送信系200について見てみる。
【0095】
この送信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ13において、導電体パターン12の中央部分である点Aから給電すると、図3の(a)の紙面の手前から紙面の向こう側へ放射される電波は右旋円偏波(RHCP)となる。
【0096】
図14を用いて説明したように、この方形スパイラルアンテナ13からの放射波のうち、周波数f1の成分は、中央部分である点AからP点までの伝送線路長に相当する遅延を受けている。
【0097】
次に、図3の(b)に示す方形スパイラルアンテナ23を受信アンテナとする受信系300について見てみる。
【0098】
この受信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ23は、スパイラルの旋回方向が図3の(a)の送信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ13とは逆で、かつ給電点はスパイラルの最外周端B´である。
【0099】
このような構成では、受信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ23の偏波は、紙面の向こう側から紙面の手前側へ到来する電波を受信する場合には、送信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ13と同じ右旋円偏波(RHCP)となる。
【0100】
そして、この受信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ23において、周波数f1で共振する点P´は、図3の(a)の送信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ13における点Pと折り返し対称になる。
【0101】
この受信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ23の群遅延特性は、最外周端の給電点B´から点P´までの線路長に対応したものとなる。
【0102】
したがって、両方形スパイラルアンテナ13、23の間には、スパイラル全長をLとすると、
(点AからP点までの線路長)+(点B´から点P´までの線路長)=L …(1)
の関係が成立する。
【0103】
すなわち、送信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ13と受信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ23の遅延量の和は、図2を用いて説明したように周波数に依らず一定となる。
【0104】
これによって、UWB無線システムの送信系200において、送信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ13に給電されたパルスは、該方形スパイラルアンテナ13で歪みを有するパルス波形として空中に放射されるが、UWB無線システムの受信系300において、受信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ23で相補的に歪みが補償されることにより、元々のパルス波形が復元される。
【0105】
したがって、このような第1の実施の形態に用いられる方形スパイラルアンテナによる広帯域送受信アンテナ対は、広帯域信号の送受信系における広帯域アンテナによる群遅延を補償することができる。
【0106】
(第2の実施の形態)
次に、スパイラルアンテナのうちより一般的な曲線スパイラルアンテナに適用される第2の実施の形態について説明する。
【0107】
この曲線スパイラルアンテナは、前述した方形スパイラルアンテナのように角を持たないので、全体としての群遅延特性は、滑らかなものとなる。
【0108】
図6の(a)は、通信システムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第2の実施の形態に用いられる曲線スパイラルアンテナによる広帯域送信アンテナを示す平面図である。
【0109】
図6の(b)は、通信システムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第2の実施の形態に用いられる曲線スパイラルアンテナによる広帯域受信アンテナを示す平面図である。
【0110】
すなわち、図6の(a)に示すように、本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第2の実施の形態に用いられる曲線スパイラルアンテナによる広帯域送信アンテナは、裏面に図示しない地板導体を有する誘電体基板151の表面上に旋回方向を右旋回方向とする曲線スパイラル状の導電体パターン152が形成された曲線スパイラルアンテナ153として構成される。
【0111】
この曲線スパイラルアンテナ153において、点Aは、給電点であり、点Pは、前述したように、導電体パターン152の所定線路長部分に想定される周波数f1の電波が放射されるワイヤ(金属線路)部分であり、点Bは、導電体パターン152の最外周端としての開放端である。
【0112】
ここで、最外周端としての開放端Bには、当該開放端Bに達する電流を吸収して反射を無くすための回路素子としての終端抵抗150が接続されている。
【0113】
なお、給電点Aの接続構造については、後述する図12または図13に示す曲線スパイラルアンテナの場合の給電点接続構造を適用することができる。
【0114】
また、図6の(b)に示すように、本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第2の実施の形態に用いられる曲線スパイラルアンテナによる広帯域受信アンテナは、裏面に図示しない地板導体を有する誘電体基板161の表面上に旋回方向を左旋回方向とする曲線スパイラル状の導電体パターン162が形成された曲線スパイラルアンテナ163として構成される。
【0115】
この曲線スパイラルアンテナ163において、点B´は、導電体パターン162の最外周端に形成されている給電点であり、点P´は、前述したように、導電体パターン162の所定線路長部分に想定される周波数f1の電波が受信されるワイヤ(金属線路)部分であり、点A´は、導電体パターン162の中央部分としての開放端である。
【0116】
ここで、導電体パターン162の中央部分としての開放端A´には、当該開放端A´に達する電流を吸収して反射を無くすための回路素子としての終端抵抗160が接続されている。
【0117】
なお、最外周端に形成されている給電点B´の接続構造については、後述する図12または図13に示す曲線スパイラルアンテナの場合の中央の給電点Aの接続構造を同様に適用することができる。
【0118】
そして、このような第2の実施の形態に用いられる曲線スパイラルアンテナによる広帯域送信アンテナ153と広帯域受信アンテナ163とを、前述した第1の実施の形態に用いられる方形スパイラルアンテナによる広帯域送受信アンテナ対と同様な原理によって、図4に示すようなUWB無線システムの群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対100として用いることにより、広帯域信号の送受信系における広帯域アンテナによる群遅延を補償することができる。
【0119】
したがって、以上のような第1及び第2の実施の形態によれば、第1の給電点A(B´)に接続される一端と開放他端B(A´)との間に前記第1の給電点A(B´)に給電される広帯域送信または受信信号を送信または受信可能とする所定の線路長Lで形成された第1の金属線路12、152(22、162)を有する広帯域アンテナであって、前記第1の金属線路12、152(22、162)は、前記広帯域送信または受信信号における所定の周波数(f1)成分に対して所定の遅延特性の下で送信または受信する線路部分P(P´)と、前記所定の周波数(f1)成分から高域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に低い遅延特性の下で送信または受信する線路部分AP(B´P´)と、前記所定の周波数成分(f1)から低域の周波数成分を前記所定の周波数成分(f1)の遅延特性よりも相対的に高い遅延特性の下で送信または受信する線路部分PB(A´P´)とを備えている広帯域送信または受信アンテナ13、153(23、163)と、第2の給電点B´(A)に接続される一端と開放他端A´(B)との間に前記第2の給電点B´(A)に給電される広帯域受信または送信信号を受信または送信可能とする所定の線路長Lで形成された第2の金属線路22、162(12、152)を有する広帯域アンテナであって、前記第2の金属線路22、162(12、152)は、前記広帯域受信または送信信号における所定の周波数成分(f1)に対して所定の遅延特性の下で受信または送信する線路部分P´(P)と、前記所定の周波数成分(f1)から高域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に高い遅延特性の下で受信または送信する線路部分P´A´(PB)と、前記所定の周波数成分(f1)から低域の周波数成分を前記所定の周波数成分(f1)の遅延特性よりも相対的に低い遅延特性の下で受信または送信する線路部分B´P´(AP)とを備えている広帯域受信または送信アンテナ23、163(13、153)とを具備し、前記広帯域送信または受信アンテナ13、153(23、163)と前記広帯域受信または送信アンテナ23、163(13、153)とが互いに相補的な遅延特性を有していることにより、前記広帯域送信アンテナ13、153(23、163)によって送信される前記広帯域送信信号に生じる歪みを前記広帯域受信アンテナ23、163(13、153)によって受信される前記広帯域受信信号から相殺可能とするように構成されていることを特徴とする群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対を実現することができる。
【0120】
また、以上のような第1及び第2の実施の形態によれば、前記広帯域送信または受信アンテナ13、153(23、163)は、前記第1の金属線路12、152として、第1の地板導体を有する第1の誘電体基板11、151上にスパイラル状に形成された第1の導電体パターン12、152と、前記第1の給電点Aとして、前記第1の導電体パターン12、152の中央部に形成された中央給電部Aとを有し、前記広帯域受信または送信アンテナ23、163(13、153)は、前記第2の金属線路22、162として、第2の地板導体を有する第2の誘電体基板21、161上にスパイラル状に形成された第2の導電体パターン22、162と、前記第2の給電点B´として、前記第2の導電体パターン22、162の外周端部に形成された外部給電部B´とを有することを特徴とする群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対を実現することができる。
【0121】
また、以上のような第1及び第2の実施の形態によれば、前記広帯域送信または受信アンテナ13、153(23、163)の前記第1の導電体パターン12、152のスパイラルの旋回方向と、前記広帯域受信または送信アンテナ23、163の前記第2の導電体パターン22、162のスパイラルの旋回方向とが互いに逆方向として形成され、且つ互いに相対する両端から給電することにより、同一旋回の円偏波アンテナを形成し、通信システムに対応したことを特徴とする群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対を実現することができる。
【0122】
また、以上のような第1及び第2の実施の形態によれば、第1の給電点A(B´)に接続される一端と開放他端B(A´)との間に前記第1の給電点A(B´)に給電される広帯域送信または受信信号を送信可能とする所定の線路長で形成された第1の金属線路12、152(22、162)を有する広帯域アンテナであって、前記第1の金属線路12、152(22、162)は、前記広帯域送信または受信信号における所定の周波数(f1)成分に対して所定の遅延特性の下で送信または受信する線路部分P(P´)と、前記所定の周波数(f1)成分から高域の周波数成分を前記所定の周波数(f1)成分の遅延特性よりも相対的に低い遅延特性の下で送信または受信する線路部分AP(B´P´)と、前記所定の周波数(f1)成分から低域の周波数成分を前記周波数成分の遅延特性よりも相対的に高い遅延特性の下で送信または受信する線路部分PB(A´P´)とを備えている広帯域送信または受信アンテナ13を含む送信または受信系200(300)と、第2の給電点B´(A)に接続される一端と開放他端A´(B)との間に前記第2の給電点B´(A)に給電される広帯域受信または送信信号を受信または送信可能とする所定の線路長で形成された第2の金属線路22、162(12、152)を有する広帯域アンテナであって、前記第2の金属線路22、162(12、152)は、前記広帯域受信または送信信号における所定の周波数(f1)成分に対して所定の遅延特性の下で受信または送信する線路部分P´(P)と、前記所定の周波数(f1)成分から高域の周波数成分を前記所定の周波数(f1)成分の遅延特性よりも相対的に高い遅延特性の下で受信または送信する線路部分P´A´と、前記中心周波数成分から低域の周波数成分を前記中心周波数成分の遅延特性よりも相対的に低い遅延特性の下で受信または送信する線路部分B´P´(AP)とを備えている広帯域受信または送信アンテナ23、163(13、153)を含む受信または送信系300(200)とを具備し、対をなす、前記送信系200の送信アンテナと前記受信系300の受信アンテナとが互いに相補的な遅延特性を有していることにより、前記送信系200の広帯域送信アンテナ13、153(23、163)によって送信される前記広帯域送信信号に生じる歪みを前記受信系300の広帯域受信アンテナ23、163(13、153)によって受信される前記広帯域受信信号から相殺可能とするように構成されている群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対100を用いたことを特徴とする超広帯域無線システムを実現することができる。
【0123】
(第3の実施の形態)
図5の(a)は、レーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第3の実施の形態に用いられる方形スパイラルアンテナによる広帯域送信アンテナを示す平面図である。
【0124】
図5の(b)は、レーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第3の実施の形態に用いられる方形スパイラルアンテナによる広帯域受信アンテナを示す平面図である。
【0125】
すなわち、図5の(a)に示すように、レーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第3の実施の形態に用いられる方形スパイラルアンテナによる広帯域送信アンテナは、裏面に図示しない地板導体を有する誘電体基板41の表面上に旋回方向を右旋回方向とする方形スパイラル状の導電体パターン42が形成された方形スパイラルアンテナ43として構成される。
【0126】
この方形スパイラルアンテナ43において、点Aは、導電体パターン42の中央部分に形成されている給電点であり、点Pは、前述したように、導電体パターン42の所定線路長部分に想定される周波数f1の電波が放射されるワイヤ(金属線路)部分であり、点Bは、導電体パターン42の最外周端としての開放端である。
【0127】
ここで、最外周端としての開放端Bには、当該開放端Bに達する電流を吸収して反射を無くすための回路素子としての終端抵抗44が接続されている。
【0128】
なお、給電点Aの接続構造については、後述する図12または図13に示す曲線スパイラルアンテナの場合の給電点接続構造を適用することができる。
【0129】
また、図5の(b)に示すように、レーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第3の実施の形態に用いられる方形スパイラルアンテナによる広帯域受信アンテナは、裏面に図示しない地板導体を有する誘電体基板51の表面上に旋回方向を右旋回方向とする方形スパイラル状の導電体パターン52が形成された方形スパイラルアンテナ53として構成されている。
【0130】
この方形スパイラルアンテナ53において、点B´は、導電体パターン52の最外周端部に形成されている給電点であり、点P´は、前述したように、導電体パターン12の所定線路長部分に想定される周波数f1の電波が受信されるワイヤ(金属線路)部分であり、点A´は、導電体パターン52の中央部分としての開放端である。
【0131】
ここで、導電体パターン52の中央部分に形成されている開放端A´には、当該開放端A´に達する電流を吸収して反射を無くすための回路素子としての終端抵抗54が接続されている。
【0132】
なお、最外周端に形成されている給電点B´の接続構造については、後述する図12または図13に示す曲線スパイラルアンテナの場合の中央の給電点Aの接続構造を同様に適用することができる。
【0133】
そして、レーダ適用の場合には、送信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ43から放射された電波がターゲットにより反射された波として逆旋回の円偏波となる。
【0134】
したがって、図5の(b)に示すように、受信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ53は、図5の(a)に示す送信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ43の旋回方向と同じ右旋回方向のスパイラルの最外周端部に給電点B´を設けることにより、送信アンテナとは逆旋回の円偏波アンテナとなり、ターゲットからの反射波を効率良く受信することができる。
【0135】
このような第3の実施の形態による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の場合にも、式(1)が成立することは明らかであり、前述した第1の実施の形態と同様にして、送信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ43によるパルス歪みが受信アンテナとして用いられる方形スパイラルアンテナ53で相補的に補償される。
【0136】
また、レーダ適用の場合、相関処理によって受信エコーを検出するので、元々のパルス波形を再生することができるということは非常に重要である。
【0137】
(第4の実施の形態)
図7の(a)は、レーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第4の実施の形態に用いられる曲線スパイラルアンテナによる広帯域送信アンテナを示す平面図である。
【0138】
図7の(b)は、レーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第4の実施の形態に用いられる曲線スパイラルアンテナによる広帯域受信アンテナを示す平面図である。
【0139】
すなわち、図7の(a)に示すように、レーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第4の実施の形態に用いられる曲線スパイラルアンテナによる広帯域送信アンテナは、裏面に図示しない地板導体を有する誘電体基板171の表面上に旋回方向を右旋回方向とする曲線スパイラル状の導電体パターン172が形成された曲線スパイラルアンテナ173として構成される。
【0140】
この曲線スパイラルアンテナ173において、点Aは、導電体パターン172の中央部分に形成されている給電点であり、点Pは、前述したように、導電体パターン172の所定線路長部分に想定される周波数f1の電波が放射されるワイヤ(金属線路)部分であり、点Bは、導電体パターン172の最外周端としての開放端である。
【0141】
ここで、最外周端としての開放端Bには、当該開放端Bに達する電流を吸収して反射を無くすための回路素子としての終端抵抗170が接続されている。
【0142】
なお、給電点Aの接続構造については、後述する図12または図13に示す曲線スパイラルアンテナの場合の給電点接続構造を適用することができる。
【0143】
また、図7の(b)に示すように、レーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第4の実施の形態に用いられる曲線スパイラルアンテナによる広帯域受信アンテナは、裏面に図示しない地板導体を有する誘電体基板181の表面上に旋回方向を右旋回方向とする曲線スパイラル状の導電体パターン182が形成された曲線スパイラルアンテナ183として構成されている。
【0144】
この曲線スパイラルアンテナ183において、点B´は、導電体パターン182の最外周端部に形成されている給電点であり、点P´は、前述したように、導電体パターン182の所定線路長部分に想定される周波数f1の電波が受信されるワイヤ(金属線路)部分であり、点A´は、導電体パターン182の中央部分としての開放端である。
【0145】
ここで、導電体パターン182の中央部分に形成されている開放端A´には、当該開放端A´に達する電流を吸収して反射を無くすための回路素子としての終端抵抗180が接続されている。
【0146】
なお、最外周端に形成されている給電点B´の接続構造については、後述する図12または図13に示す曲線スパイラルアンテナの場合の中央の給電点Aの接続構造を同様に適用することができる。
【0147】
そして、レーダ適用の場合には、送信アンテナとして用いられる曲線スパイラルアンテナ173から放射された電波がターゲットにより反射された波として逆旋回の円偏波となる。
【0148】
したがって、図7の(b)に示すように、受信アンテナとして用いられる曲線スパイラルアンテナ183は、図7の(a)に示す送信アンテナとして用いられる曲線スパイラルアンテナ173の旋回方向と同じ右旋回方向のスパイラルの最外周端部に給電点B´を設けることにより、送信アンテナとは逆旋回の円偏波アンテナとなり、ターゲットからの反射波を効率良く受信することができる。
【0149】
このような第4の実施の形態による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の場合にも、式(1)が成立することは明らかであり、前述した第1の実施の形態と同様にして、送信アンテナとして用いられる曲線スパイラルアンテナ172によるパルス歪みが受信アンテナとして用いられる曲線スパイラルアンテナ183で相補的に補償される。
【0150】
また、この第4の実施の形態においても、レーダ適用の場合、前述した第3の実施の形態と同様に、相関処理によって受信エコーを検出するので、元々のパルス波形を再生することができるということは非常に重要である。
【0151】
したがって、以上のような第3及び第4の実施の形態によれば、広帯域送信または受信アンテナ43、173(53、183)の前記第1の導電体パターン42、172(52、182)のスパイラルの旋回方向と、前記広帯域受信または送信アンテナ53、183(43、173)の前記第2の導電体パターン52、182(42、172)のスパイラルの旋回方向とが互いに同方向として形成されることにより、レーダシステム対応としたことを特徴とする群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対を実現することができる。
【0152】
(第5の実施の形態)
図8の(a)は、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第5の実施の形態に用いられる広帯域送信アンテナを示す斜視図である。
【0153】
図8の(b)は、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第5の実施の形態に用いられる広帯域受信アンテナを示す斜視図である。
【0154】
すなわち、図8の(a)に示すように、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第5の実施の形態に用いられる広帯域送信アンテナは、裏面に地板導体70が形成されている誘電体基板71の表面上に台形線状対数周期型の金属ストリップ(金属線路、導電体パターン)72が形成された台形線状対数周期型アンテナ73として構成される。
【0155】
この台形線状対数周期型アンテナ73において、導電体ストリップ72の下端部分には給電ピン75が形成されており、この給電ピン75は、地板導体70側から差し込まれている同軸線路74に接続されている。
【0156】
なお、給電ピン75の接続構造については、後述する図12または図13に示す曲線スパイラルアンテナの場合の給電点接続構造を適用することができる。
【0157】
また、図8の(b)に示すように、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第5の実施の形態に用いられる広帯域受信アンテナは、裏面に地板導体60が形成されている誘電体基板61の表面上に台形線状対数周期型の金属ストリップ(金属線路、導電体パターン)62が形成された台形線状対数周期型アンテナ63として構成されている。
【0158】
この台形線状対数周期型アンテナ63において、導電体ストリップ62の上端部分には給電ピン65が形成されており、この給電ピン65は、地板導体60側から差し込まれている同軸線路64に接続されている。
【0159】
なお、給電ピン65の接続構造については、後述する図12または図13に示す曲線スパイラルアンテナの場合の給電点接続構造を適用することができる。
【0160】
ここで、台形線状対数周期型アンテナというのは、台形歯形のような相似形の構造が繰り返されるアンテナで、各部分の寸法は小さい方から順に等比級数的に大きくなっていく構成を有している。
【0161】
このような台形線状対数周期型アンテナは、広帯域アンテナの代表的なものとして知られているものである。
【0162】
そして、このような第5の実施の形態による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対として用いられる台形線状対数周期型アンテナ73、63は、いずれも、誘電体基板71、61上に製作されたた平面アンテナであって、製作が容易で、量産に適し、低コストであるという特徴を有している。
【0163】
なお、このような第5の実施の形態による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対として用いられる台形線状対数周期型アンテナ73、63において、その放射方向は当然、図8の(a)、(b)の紙面に垂直で地板導体70、60の反対側になる。
【0164】
このような第5の実施の形態による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の場合にも、式(1)が成立することは明らかであり、前述した第1の実施の形態と同様にして、送信アンテナとして用いられる台形線状対数周期型アンテナ73によるパルス歪みが受信アンテナとして用いられる台形線状対数周期型アンテナ63で相補的に補償される。
【0165】
(第6の実施の形態)
図9の(a)は、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第6の実施の形態に用いられる広帯域送信アンテナを示す斜視図である。
【0166】
図9の(b)は、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第6の実施の形態に用いられる広帯域受信アンテナを示す斜視図である。
【0167】
すなわち、図9の(a)に示すように、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第6の実施の形態に用いられる広帯域送信アンテナは、裏面に地板導体90が形成されている誘電体基板91の表面上にジグザグ対数周期型の金属ストリップ(金属線路、導電体パターン)92が形成されたジグザグ対数周期型アンテナ93として構成される。
【0168】
このジグザグ対数周期型アンテナ93において、導電体ストリップ92の下端部分には給電ピン95が形成されており、この給電ピン95は、地板導体90側から差し込まれている同軸線路94に接続されている。
【0169】
なお、給電ピン95の接続構造については、後述する図12または図13に示す曲線スパイラルアンテナの場合の給電点接続構造を適用することができる。
【0170】
また、図9の(b)に示すように、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第6の実施の形態に用いられる広帯域受信アンテナは、裏面に地板導体80が形成されている誘電体基板81の表面上にジグザグ対数周期型の金属ストリップ(金属線路、導電体パターン)82が形成されたジグザグ対数周期型アンテナ83として構成されている。
【0171】
このジグザグ対数周期型アンテナ83において、導電体ストリップ82の上端部分には給電ピン85が形成されており、この給電ピン85は、地板導体80側から差し込まれている同軸線路84に接続されている。
【0172】
なお、給電ピン85の接続構造については、後述する図12または図13に示す曲線スパイラルアンテナの場合の給電点接続構造を適用することができる。
【0173】
ここで、ジグザグ対数周期型アンテナというのは、ジグザグ状のような相似形の構造が繰り返されるアンテナで、前述した第5の実施の形態による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対として用いられる台形線状対数周期型アンテナの場合と同様に、各部分の寸法が小さい方から順に等比級数的に大きくなっていく構成を有している。
【0174】
このようなジグザグ対数周期型アンテナも、広帯域アンテナの代表的なものとして知られているものである。
【0175】
そして、このような第6の実施の形態による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対として用いられるジグザグ対数周期型アンテナ93、83は、いずれも、誘電体基板91、81上に製作されたた平面アンテナであって、製作が容易で、量産に適し、低コストであるという特徴を有している。
【0176】
なお、このような第6の実施の形態による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対として用いられる台形線状対数周期型アンテナ93、83において、その放射方向は当然、図9の(a)、(b)の紙面に垂直で地板導体90、80の反対側になる。
【0177】
そして、このような第6の実施の形態による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の場合にも、式(1)が成立することは明らかであり、前述した第1の実施の形態と同様にして、送信アンテナとして用いられるジグザグ対数周期型アンテナ93によるパルス歪みが受信アンテナとして用いられるジグザグ対数周期型アンテナ83で相補的に補償される。
【0178】
したがって、以上のような第5及び第6の実施の形態によれば、広帯域送信または受信アンテナ73、93(63、83)は、前記第1の金属線路として、第1の地板導体70、90(60、80)を有する第1の誘電体基板71、91 (61、81)上に形成された小さい方から順に等比級数的に大きくなっていく構成を有している対数周期型の第1の導電体パターン72、92(62、82)と、前記第1の給電点として、前記第1の導電体パターン72、92(62、82)の最小部または最大部に形成された給電部75、95(65、85)とを有し、前記広帯域受信または送信アンテナ63、83(73、93)は、前記第2の金属線路として、第2の地板導体60、80(70、90)を有する第2の誘電体基板61、81(71、91)上に形成された小さい方から順に等比級数的に大きくなっていく構成を有している対数周期型の第2の導電体パターン62、82(72、92)と、前記第2の給電点として、前記第2の導電体パターン62、82(72、92)の最大部または最小部に形成された給電部65、85 (75、95)とを有し、前記広帯域送信または受信アンテナ73、93(63、83)と前記広帯域受信または送信アンテナ63、83(73、93)とが互いに相補的な遅延特性を有していることにより、前記広帯域送信アンテナ73、93(63、83)によって送信される前記広帯域送信信号に生じる歪みを前記広帯域受信アンテナ63、83(73、93)によって受信される前記広帯域受信信号から相殺可能とするように構成されていることを特徴とする群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対を実現することができる。
【0179】
(第7の実施の形態)
図10の(a)は、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第7の実施の形態に用いられる広帯域送信アンテナを示す側面図である。
【0180】
図10の(b)は、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第7の実施の形態に用いられる広帯域受信アンテナを示す側面図である。
【0181】
すなわち、図10の(a)に示すように、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第7の実施の形態に用いられる広帯域送信アンテナは、モノポール型対数周期折り返しアンテナ112と呼ばれるアンテナ素子を用いたアレーアンテナで、原形である対数周期折り返しアンテナの半分のアンテナ素子110を地板導体111の上に垂直に立てた構造のアンテナである。
【0182】
このモノポール型対数周期折り返しアンテナ112においては、給電ピン113がアンテナ素子110の背の低い一端において、地板導体111側から差し込まれている同軸線路114に接続されており、アンテナ素子110の背の高い他端が地板導体111に短絡されている。
【0183】
この場合、アンテナ素子110は、金属棒や金属板で形成するようにしても良く、誘電体基板に金属ストリップを印刷するようにして形成しても良い。
【0184】
また、図10の(b)に示すように、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第7の実施の形態に用いられる広帯域受信アンテナは、モノポール型対数周期折り返しアンテナ122と呼ばれるアンテナ素子を用いたアレーアンテナで、原形である対数周期折り返しアンテナの半分のアンテナ素子120を地板導体121の上に垂直に立てた構造のアンテナである。
【0185】
このモノポール型対数周期折り返しアンテナ122においては、給電ピン123がアンテナ素子120の背の高い一端において、地板導体121側から差し込まれている同軸線路124に接続されており、アンテナ素子120の背の低い他端が地板導体121に短絡されている。
【0186】
この場合、アンテナ素子120は、金属棒や金属板で形成するようにしても良く、誘電体基板に金属ストリップを印刷するようにして形成しても良い。
【0187】
そして、これらのモノポール型対数周期折り返しアンテナ112、122において、偏波は垂直偏波で放射方向は、天頂方向でなく、地板導体111、121に沿ってアンテナ素子110、120が並ぶ方向になる(これは、エンドファイヤと言われている)。
【0188】
これらのモノポール型対数周期折り返しアンテナ112、122において、いずれの場合も、給電点が互いに反対側になっており、こうすることで、前述した各実施の形態のアンテナ対と同様に、両アンテナで遅延が補償される。
【0189】
このような第7の実施の形態による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の場合にも、式(1)が成立することは明らかであり、前述した第1の実施の形態と同様にして、送信アンテナとして用いられるモノポール型対数周期折り返しアンテナ112によるパルス歪みが受信アンテナとして用いられるモノポール型対数周期折り返しアンテナ122で相補的に補償される。
【0190】
したがって、以上のような第7の実施の形態によれば、広帯域送信または受信アンテナ112(122)は、前記第1の金属線路として、第1の地板導体111(121)の上に垂直に立てられた構造の第1のモノポール型対数周期折り返しアンテナ112(122)を構成する原形である対数周期折り返しアンテナの半分の第1のアンテナ素子110(120)と、前記第1の給電点として、前記第1のアンテナ素子110(120)の背の低いまたは高い一端に接続された第1の給電部113(123)とを有し、前記広帯域受信または送信アンテナ122(112)は、前記第2の金属線路として、第2の地板導体121(111)の上に垂直に立てられた構造の第2のモノポール型対数周期折り返しアンテナ122を構成する原形である対数周期折り返しアンテナの半分の第2の半分のアンテナ素子120(110)と、前記第2の給電点として、前記第2のアンテナ素子120(110)の背の高いまたは低い一端に接続された第2の給電部123(113)とを有し、前記広帯域送信または受信アンテナ112(122)と前記広帯域受信または送信アンテナ122(112)とが互いに相補的な遅延特性を有していることにより、前記広帯域送信アンテナ112(122)によって送信される前記広帯域送信信号に生じる歪みを前記広帯域受信アンテナ122(112)によって受信される前記広帯域受信信号から相殺可能とするように構成されていることを特徴とする群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対を実現することができる。
【0191】
(第8の実施の形態)
図11の(a)は、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第8の実施の形態に用いられる広帯域送信アンテナを示す側面図である。
【0192】
図11の(b)は、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第8の実施の形態に用いられる広帯域受信アンテナを示す側面図である。
【0193】
すなわち、図11の(a)、(b)に示すように、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第8の実施の形態に用いられる広帯域送信アンテナ及び広帯域受信アンテナは、それぞれ、図示のような円錐形状をした金属の円錐モノポール130、及びこの円錐モノポール130を上下逆に配置したの逆円錐モノポール140をそれぞれ地板導体131、141上に配置し、地板導体131、141側から差し込まれている同軸線路134、144に接続して給電することによって群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対が構成されている。
【0194】
この場合、水平面内で無指向性になることは構造からも明らかで、これも広帯域アンテナとしてよく使われているものである。
【0195】
このような第8の実施の形態による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の場合にも、式(1)が成立することは明らかであり、前述した第1の実施の形態と同様にして、送信アンテナとして用いられる金属の円錐モノポール130(140)によるパルス歪みが受信アンテナとして用いられる金属の逆円錐モノポール140(130)で相補的に補償される。
【0196】
したがって、以上のような第8の実施の形態によれば、広帯域送信または受信アンテナは、前記第1の金属線路として、第1の地板導体131(141)の上に配置された金属の円錐モノポール130または逆円錐モノポール140と、前記第1の給電点として、前記金属の円錐モノポール130または逆円錐モノポール140の下端に接続された第1の第1の給電部134(144)とを有し、前記広帯域受信または送信アンテナは、前記第2の金属線路として、第2の地板導体141(131)の上に配置された金属の逆円錐モノポール140または円錐モノポール130と、前記第2の給電点として、前記金属の逆円錐モノポール140または円錐モノポール130の下端に接続された第2の給電部144(134)とを有し、前記広帯域送信または受信アンテナと前記広帯域受信または送信アンテナとが互いに相補的な遅延特性を有していることにより、前記広帯域送信アンテナによって送信される前記広帯域送信信号に生じる歪みを前記広帯域受信アンテナによって受信される前記広帯域受信信号から相殺可能とするように構成されていることを特徴とする群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対を実現することができる。
【0197】
なお、以上のような各実施の形態では、広帯域アンテナの給電点の少なくとも一方が、地板導体と、誘電体基板の少なくとも一方から差し込まれている同軸線路に接続されている図12に示すような給電構造を適用するようにしている。
【0198】
図12は、曲線スパイラルアンテナの給電点Aの接続構造として同軸線路を用いる場合を例示するための平面図(a)と横断面図(b)である。
【0199】
すなわち、図12に示すように、この曲線スパイラルアンテナ153は、誘電体基板151の表面上に旋回方向を右旋回方向とする曲線スパイラル状の導電体パターン152が形成されている。
【0200】
導電体パターン152の中央部分に形成されている給電点Aは、誘電体基板151の地板導体156を有する裏面側からスルーホール154を介して差し込まれている同軸線路157に接続されている。
【0201】
図12において、開放端Bには、当該開放端Bに達する電流を吸収して反射を無くすための回路素子としての終端抵抗150が接続されている。
【0202】
このような同軸線路を用いる給電構造に代えて、例えば、各広帯域アンテナの給電点の少なくとも一方が、図13に示すように、地板導体と、誘電体基板の少なくとも一方に形成されたマイクロストリップ線路からスロットを介して電磁結合による給電構造を用いることができる。
【0203】
図13は、曲線スパイラルアンテナの給電点Aの接続構造として電磁結合を用いる場合を例示するための平面図(a)と横断面図(b)である。
【0204】
すなわち、図13に示すように、この曲線スパイラルアンテナ193は、誘電体基板191の表面上に旋回方向を右旋回方向とする曲線スパイラル状の導電体パターン192が形成されている。
【0205】
給電点Aは、導電体パターン192の中央部分に形成されており、この給電点Aと対向して誘電体基板191の裏面側の地板導体156にスロット194が形成されている。
【0206】
そして、地板導体195の下面には誘電体層197が形成されており、給電点Aは、この誘電体層197の下面に形成されているマイクロストリップ線路196からスロット194を介して電磁結合による給電構造とされている。
【0207】
図13において、開放端Bには、当該開放端Bに達する電流を吸収して反射を無くすための回路素子としての終端抵抗190が接続されている。
【0208】
【発明の効果】
従って、以上説明したように、本発明によれば、広帯域アンテナで発生する群遅延特性を補償することにより、広帯域アンテナによるパルス波形歪みをなくし、精度よく受信信号を検出可能にすると共に、空間に放射されるパルスのピークレベルを下げることにより、他の無線システムへの電波干渉を低減する広帯域送受信アンテナ対及びそれを用いた広帯域無線システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の原理を説明するための送受信系を示す図である。
【図2】図2は、本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の原理を説明するための群遅延補償特性を示す図である。
【図3】図3の(a)、(b)は、通信システムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第1の実施の形態として方形スパイラルアンテナを用いる広帯域送信アンテナ及び広帯域受信アンテナを示す平面図である。
【図4】図4は、方形スパイラルアンテナ13、23を送受信アンテナとして用いる群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対100として組み込んで構成されるUWB無線システムの概略構成を示すブロック図である。
【図5】図5の(a)、(b)は、レーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第3の実施の形態として方形スパイラルアンテナを用いる広帯域送信アンテナ及び広帯域受信アンテナを示す平面図である。
【図6】図6の(a)、(b)は、通信システムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第2の実施の形態として曲線スパイラルアンテナを用いる広帯域送信アンテナ及び広帯域受信アンテナを示す平面図である。
【図7】図7の(a)、(b)は、レーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第4の実施の形態として曲線スパイラルアンテナを用いる広帯域送信アンテナ及び広帯域受信アンテナを示す平面図である。
【図8】図8の(a)、(b)は、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第5の実施の形態に用いられる広帯域送信アンテナ及び広帯域受信アンテナを示す斜視図である。
【図9】図9の(a)、(b)は、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第6の実施の形態に用いられる広帯域送信アンテナ及び広帯域受信アンテナを示す斜視図である。
【図10】図10の(a)、(b)は、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第7の実施の形態に用いられる広帯域送信アンテナ及び広帯域受信アンテナを示す側面図である。
【図11】図11の(a)、(b)は、通信システムまたはレーダシステムに適用される本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対の第8の実施の形態に用いられる広帯域送信アンテナ及び広帯域受信アンテナを示す側面図である。
【図12】図12は、本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対に適用される曲線スパイラルアンテナの給電点Aの接続構造として同軸線路を用いる場合を例示するための平面図(a)と横断面図(b)である。
【図13】図13は、本発明による群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対に適用される曲線スパイラルアンテナの給電点Aの接続構造として電磁結合を用いる場合を例示するための平面図(a)と横断面図(b)である。
【図14】図14は、従来の広帯域アンテナ示す平面図である。
【図15】図15は、従来の広帯域アンテナを用いた場合のパルス波形歪みを有する送信波形と、パルス波形歪みを有する受信波形とを模擬的に示す図である。
【符号の説明】
10…送信用広帯域アンテナ
20…受信用広帯域アンテナ
11、21、41、51、61、71、81、151、161、171、181191…誘電体基板
12、22、42、52…方形スパイラル状の導電体パターン
13、23、43、53…方形スパイラルアンテナ
152、162、172、182、192…曲線スパイラル状の導電体パターン
153、163、173、183、193…曲線スパイラルアンテナ
14、24、44、54、150、160、170、180、190…終端抵抗
A…中央給電点
A´…中央部開放端
P、P´…周波数f1の電波が放射されるワイヤ(金属線路)部分
B…最外周端部開放端
B´…外部給電点
100…群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対
200…UWB無線システムの送信系
300…UWB無線システムの受信系
131…変調器
132、232…パルス発生器
133、231…電力増幅器
232…復調器
60、70、80、90、111、121、131、141、195…地板導体
62、72、82、…台形線状対数周期型の金属ストリップ(導電体パターン)
63、73、83…台形線状対数周期型アンテナ
64、74、84、94、114、134、144、157…同軸線路
92…グザグ対数周期型の金属ストリップ(導電体パターン)
93…ジグザグ対数周期型アンテナ
112、122…モノポール型対数周期折り返しアンテナ
110、120…モノポール型対数周期折り返しアンテナ素子
113、123…給電ピン
130…金属の円錐モノポール、
140…金属の逆円錐モノポール
154…スルーホール
194…スロット
197…誘電体層、
196…マイクロストリップ線路
Claims (10)
- 第1の給電点に接続される一端と開放他端との間に前記第1の給電点に給電される広帯域送信または受信信号を送信または受信可能とする所定の線路長で形成された第1の金属線路を有する広帯域アンテナであって、前記第1の金属線路は、前記広帯域送信または受信信号における所定の周波数成分に対して所定の遅延特性の下で送信または受信する線路部分と、前記所定の周波数成分から高域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に低い遅延特性の下で送信または受信する線路部分と、前記所定の周波数成分から低域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に高い遅延特性の下で送信または受信する線路部分とを備えている広帯域送信または受信アンテナと、
第2の給電点に接続される一端と開放他端との間に前記第2の給電点に給電される広帯域受信または送信信号を受信または送信可能とする所定の線路長で形成された第2の金属線路を有する広帯域アンテナであって、前記第2の金属線路は、前記広帯域受信または送信信号における所定の周波数成分に対して所定の遅延特性の下で受信または送信する線路部分と、前記所定の周波数成分から高域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に高い遅延特性の下で受信または送信する線路部分と、前記所定の周波数成分から低域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に低い遅延特性の下で受信または送信する線路部分とを備えている広帯域受信または送信アンテナとを具備し、
前記広帯域送信または受信アンテナと前記広帯域受信または送信アンテナとが互いに相補的な群遅延特性を有していることにより、前記広帯域送信アンテナによって送信される前記広帯域送信信号に生じる歪みを前記広帯域受信アンテナによって受信される前記広帯域受信信号から相殺可能とするように構成されていることを特徴とする群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対。 - 前記広帯域送信または受信アンテナは、
前記第1の金属線路として、第1の地板導体を有する第1の誘電体基板上にスパイラル状に形成された第1の導電体パターンと、
前記第1の給電点として、前記第1の導電体パターンの中央部に形成された中央給電部とを有し、
前記広帯域受信または送信アンテナは、
前記第2の金属線路として、第2の地板導体を有する第2の誘電体基板上にスパイラル状に形成された第2の導電体パターンと、
前記第2の給電点として、前記第2の導電体パターンの外周端に形成された外部給電部とを有することを特徴とする請求項1記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対。 - 前記広帯域送信または受信アンテナの前記第1の導電体パターンのスパイラルの旋回方向と、前記広帯域受信または送信アンテナの前記第2の導電体パターンのスパイラルの旋回方向とが互いに逆方向として形成され、且つ互いに相対する両端から給電することにより、同一旋回の円偏波アンテナを形成し、通信システムに対応したことを特徴とする請求項2記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対。
- 前記広帯域送信または受信アンテナの前記第1の導電体パターンのスパイラルの旋回方向と、前記広帯域受信または送信アンテナの前記第2の導電体パターンのスパイラルの旋回方向とが互いに同方向として形成されることにより、レーダシステム対応としたことを特徴とする請求項2記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対。
- 前記広帯域送信または受信アンテナは、
前記第1の金属線路として、第1の地板導体を有する第1の誘電体基板上に形成された小さい方から順に等比級数的に大きくなっていく構成を有している対数周期型の第1の導電体パターンと、
前記第1の給電点として、前記第1の導電体パターンの最大部または最小部に形成された給電部とを有し、
前記広帯域受信または送信アンテナは、
前記第2の金属線路として、第2の地板導体を有する第2の誘電体基板上に形成された小さい方から順に等比級数的に大きくなっていく構成を有している対数周期型の第2の導電体パターンと、
前記第2の給電点として、前記第2の導電体パターンの最小部または最大部に形成された給電部とを有することを特徴とする請求項1記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対。 - 前記広帯域送信または受信アンテナは、
前記第1の金属線路として、第1の地板導体の上に垂直に立てられた構造の第1のモノポール型対数周期折り返しアンテナ素子と、
前記第1の給電点として、前記第1のモノポール型対数周期折り返しアンテナ素子の背の低いまたは高い一端に接続された第1の給電部とを有し、
前記広帯域受信または送信アンテナは、
前記第2の金属線路として、第2の地板導体の上に垂直に立てられた構造の第2のモノポール型対数周期折り返しアンテナ素子と、
前記第2の給電点として、前記第2のモノポール型対数周期折り返しアンテナ素子の背の高いまたは低い一端に接続された第2の給電部とを有することを特徴とする請求項1記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対。 - 前記広帯域送信または受信アンテナは、
前記第1の金属線路として、第1の地板導体の上に配置された金属の円錐モノポールまたは逆円錐モノポールと、
前記第1の給電点として、前記金属の円錐モノポールまたは逆円錐モノポールの下端に接続された第1の給電部とを有し、
前記広帯域受信または送信アンテナは、
前記第2の金属線路として、第2の地板導体の上に配置された金属の逆円錐モノポールまたは円錐モノポールと、
前記第2の給電点として、前記金属の逆円錐モノポールまたは円錐モノポールの下端に接続された第2の給電部とを有することを特徴とする請求項1記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対。 - 前記第1の給電点及び前記第2の給電点の少なくとも一方が、前記第1の地板導体及び前記第2の地板導体と、前記第1の誘電体基板及び前記第2の誘電体基板の少なくとも一方から差し込まれている第1の同軸線路及び第2の同軸線路に接続されていることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一つに記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対。
- 前記第1の給電点及び前記第2の給電点の少なくとも一方が、前記第1の地板導体及び前記第2の地板導体と、前記第1の誘電体基板及び前記第2の誘電体基板の少なくとも一方に形成されたマイクロストリップ線路からスロットを介して電磁結合による給電構造とされていることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一つに記載の群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対。
- 第1の給電点に接続される一端と開放他端との間に前記第1の給電点に給電される広帯域送信または受信信号を送信または受信可能とする所定の線路長で形成された第1の金属線路を有する広帯域アンテナであって、前記第1の金属線路は、前記広帯域送信または受信信号における所定の周波数成分に対して所定の遅延特性の下で送信または受信する線路部分と、前記所定の周波数成分から高域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に低い遅延特性の下で送信または受信する線路部分と、前記所定の周波数成分から低域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に高い遅延特性の下で送信または受信する線路部分とを備えている広帯域送信または受信アンテナを含む送信または受信系と、
第2の給電点に接続される一端と開放他端との間に前記第2の給電点に給電される広帯域受信または送信信号を受信または送信可能とする所定の線路長で形成された第2の金属線路を有する広帯域アンテナであって、前記第2の金属線路は、前記広帯域受信または送信信号における所定の周波数成分に対して所定の遅延特性の下で受信または送信する線路部分と、前記所定の周波数成分から高域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に高い遅延特性の下で受信または送信する線路部分と、前記所定の周波数成分から低域の周波数成分を前記所定の周波数成分の遅延特性よりも相対的に低い遅延特性の下で受信または送信する線路部分とを備えている広帯域受信または送信アンテナを含む受信または送信系とを具備し、
対をなす、前記送信系の送信アンテナと前記受信系の受信アンテナとが互いに相補的な群遅延特性を有していることにより、前記送信系の広帯域送信アンテナによって送信される前記広帯域送信信号に生じる歪みを前記受信系の広帯域受信アンテナによって受信される前記広帯域受信信号から相殺可能とするように構成されている群遅延補償型広帯域送受信アンテナ対を用いたことを特徴とする超広帯域無線システム。
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