JP2005038802A - 燃料電池 - Google Patents

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孝之 島宗
Akira Yoshikawa
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【課題】主として携帯用に使用する水素あるいはメタノールを燃料とする平板、あるいは平板に近い板上に並べた複数の燃料電池セルを直列に接続するに当たって、接続構造を単純化すると共に、接続距離を最小とし、更にセル面内の電流を均一に保持することによって発電電圧の損失を最小限ととして、簡単な構造と実発電量を多くすることの可能な燃料電池を提供する。
【解決手段】平板上に複数の燃料電池セルが並べられ、該セルが電気的に直列に接続された複極型燃料電池において、燃料電池セルをパッチワーク状に、少なくとも隣り合う燃料電池単位の一組が正極面、負極面を逆転させるよう整列させ、隣り合う正極と負極の間を複極板で電気的に接続するようにした平板状の複極型燃料電池であって、補機類なしに燃料の供給、空気あるいは酸素の供給を行う携帯用燃料電池では必然となる平板状に配置したセルで最も大きな問題となるそれらの直列接続での抵抗損を最も簡単な構造で最小限にすることが出来た。
【選択図】 図1

Description

本発明は主として携帯用に使用する水素、あるいはメタノールを燃料とする低温で作動する高分子固体電解質型の複極平板型燃料電池であり、該燃料電池の構造に関する物である。
携帯型電子機器の機能、性能は飛躍的に向上しているが、それに伴う消費電力の増大が問題になっている。現在それらの電源として二次電池、特に軽量で容量の大きなリチウムイオン電池が使用されているが、連続使用時間はせいぜい3から4時間であり、充電用電源のとれない場所では、軽量とはいっても重量、体積の大きな予備電池を持たなければならない等、また充電に長時間を要する等便利とは言うものの、解決すべき問題が残されている。
このようなことから、最近では携帯機器用の小型燃料電池を目指した検討が行われるようになっており、実用化間近と思わせる多くの新聞記事を見かけるようになっている。つまり、小型電子機器に燃料電池を使うことが出来れば、予備電池を持つ代わりに、小型軽量な予備燃料だけを持てばよいと言うことになる。燃料電池のサイズが十分に小型化が出来る様になれば、その利便性は大きく向上すると共に、煩わしい充電も不要になる。
燃料電池それ自身についても、水素を燃料とする低温型の高分子固体電解質型燃料電池(PEFC)はほぼ室温よりわずかに高い温度から、又メタノールを燃料とするいわゆるDMFCも同じく室温から作動することが確認されており、これらを有効に使う可能性が探られている。これにより電極はナノカーボンを担体として使用しそれに白金を担持して、より触媒の活性をあげるなどの方法が講じられてきており、解決のめどが見えてきているようである。又DMFCでは問題となる固体電解質を通ってメタノールが抜ける問題に関しても新しい膜の開発、あるいは特殊なコーティング技術で解決に近づいているとされる。既に幾つかの企業で実用化に向けた検討がなされ、実用化の検討が進んでいる。これらを組み合わせた携帯用の小型燃料電池技術についてもその検討が始まっており、たとえば特開平10−064567や特開平10−064572では携帯用の燃料電池への燃料の供給システムや方法が示されている。又特開2003−100315では燃料容器の表面に電極を形成し、それを燃料電池としてしまうシステムを提案しており、非常に簡単な構造となることを提案している。更に特開2003−157881では発電に伴って出てくる水分の除去に関連した除外方法並びに構造を提案している。又携帯用の小型燃料電池として構造的にも簡単で考えやすい、直接メタノール型(DMFC)についても多くの提案がなされている。
ところが現実の燃料電池を考えてみると、DMFCでは発電電圧が最大でも0.4V程度、又水素燃料の高分子固体電解質型燃料電池(PEFC)で0.6V程度であること、その一方実際に必要とする電圧は、たとえばコンピュータ用では16V程度であり、そのためにはDMFCでは40セル程度の直列接続が必要であり、水素型PEFCでも25セル程度の直列の接続が必要である。勿論エネルギー効率を無視すれば昇電圧型のDC−DCコンバーター等補機類を使用することは可能である。これに加えて、携帯用として構造を簡単にし、エネルギー消耗を最小限にするためには補機類なしでの運転が必須である。そのためには少なくとも空気極(正極)は全面が空気人さらされているような構造が必要であるので、平板状あるいはそれに近い構造となり、そうするとそれぞれのセルを接続する配線材とその長さ、又均一に電流を取り出す集電体が非常に重要になってくる。しかるに従来の技術では平板に並べると言う思想そのものがなく、従って殆ど考えられていないという問題点がある。唯一それに近い思想である上記に示した特開2003−100315では燃料容器を中心にしてその表面に酸素極を置く構造となっているので、それらの燃料電池を直列に接続する為には燃料容器を通して縦横に配線で接続しなければならなかった。このため非常に構造が複雑になると共に、配線自身が極めて長くなり、その分抵抗損が大きく、発生電圧が低くなってしまうと言う問題を抱えていた。又これにより効率的なセルの配置、構造と言うところまでは考えが及んでいないと言うのが現実である。
特開平10−064567,特開平10−064572,特開2003−100315,特開2003−157881
本発明が解決しようとする課題は平板、あるいは平板に近い板状に並べた複数の燃料電池セルにあって、これらを直列に、しかもセル面内の電流を均一にすることによって発電電圧の損失を最小限とすると共にセル内の負荷を均一化し、全体としては低く保持することによって長寿命を可能とする事である。
本発明は平板上に複数の燃料電池セルが並べられ、該セルが電気的に直列に接続された複極型燃料電池において、燃料電池単位をパッチワーク状に、少なくとも隣り合う燃料電池単位の一組が正極面、負極面を逆転させるよう整列させ、隣り合う正極と負極の間を複極板で電気的に接続するようにした平板状の複極型燃料電池であって、補機類なしに燃料の供給、空気あるいは酸素の供給を行う携帯用燃料電池では必然となる平板状に配置したセルで最も大きな問題となるそれらの直列接続での抵抗損を最も簡単な構造で最小限にすることが出来た。
以下詳細に説明する。上記理由により少なくともこのような燃料電池では空気極への空気の供給がスムースに行われる必要があり、その為に空気極を空間に出すような構造をとることが必要である。ここで言う平板というのはそのような状態、つまり表面がある程度の曲面となっていても同じようなセルの配置になっている場合も含むのである。つまり板面状に電極を並べそれらを直列接続する場合を全て含む物である。ここではその面に各セルの正極と負極が交互にパッチワーク状に整列し、原則として集電体を兼ねた複極板を電極の上面から当てることによって達成する。当然板面に対して反対面にも同様の集電体を兼ねた複極板を置き、終端の集電体から電力を取り出すようにしたものである。尚必ずしも隣り合うセル全てが反対向きになっていなくても良く、接続する一組のセルが正極、負極が反対向きになっていれば良く、これで全てのセルの組が直列につながるようになればよい。
本燃料電池の燃料がメタノールの場合、燃料極にはパッチワークの電極間の隙間を通って燃料が供給される。又反応によって生成するCO2を主体とするガスは集電体を兼ねた複極板を通して外部に放出される。又酸素はこの複極板の編み目を通って外部から導入されると共に、生成する水分が放出される。又燃料電池の燃料が水素の場合はパッチワークの電極間の隙間にある通路(パイプ)を通して水素が水素極に供給される。水素極は発生ガスがないので水素極部分の複極板はメクラになっており、水素を保持する機能を有している。又、空気極はメタノール燃料の場合と同じである。
複極板の材質については特に指定はされないが、集電体としてガスの供給放散と言うこと、又電極面の電流分布を均一にすると言うことからは導電性に優れた金属であることが望ましく、又複極板であると言うことは通常のいわゆるセパレータと同じ条件で使うと考えなければならないことから、電気化学的に、又化学的に安定であり、使用時の電気化学的酸化に対しても腐食せず、通電を保持する為に、表面に不働体防止層を有する耐食性の金属であることが望ましい。たとえば代表的にはチタンなどのいわゆる弁金属表面に酸化ルテニウムや酸化イリジウムなどの導電性の酸化物を被覆した金属を使用することが特に望ましい。尚これらの酸化物はチタン等の弁金属の水素脆化を防ぐ作用があるので水素燃料の場合でも有効に使える。又ステンレスなどでも良いがその場合も表面に白金などの不働体化防止層を形成しておくことが望ましい。尚上記に示した集電体部分となる多孔部分については特には指定されないが、パンチドプレートと呼ばれる孔加工をした板やエクスパンドメッシュが好ましく使用できる。
本発明の燃料電池では構造が極めて簡単となり、
1、 複極式でありながら、そのセル間の接続は電極板面を往復することなく隣接するセル間の最短距離となり、しかも電極幅だけ広くとれることから、電気抵抗に由来する抵抗を最小とすることが可能となった。
2、 集電体と複極板を基本的に兼ねる構造となっているので構造体それ自身も極めて簡単となり、電極面内の電流分布はほぼ完全に均一とすることが可能となった。
3、 空気極への空気の導入に対する抵抗はほぼゼロとなり、又燃料をメタノールとした場合は反応に依るCO2等の発生ガスを電極面から直接大気放出するようになっているので、それによる電流の滞りの問題も完全に解消されている。
4、 水素燃料の場合は電極面を完全に覆う構造となるのでシールが極めて簡単となる。
5、 補機類を使用することなく所定の高電圧を得ることが出来る。

等の多くの効果が得られた。
発明の実施するための最良の形態
燃料電池セルがパッチワーク状に並べられ、そのセルが直列に接続されてなる主に携帯用に使用する小型の燃料電池について、隣り合う燃料電池セルの極を逆となるように並べ、集電体を兼ねた複極板を二つのセルにかかるように並べた。これはセルの両面で行われ、両端から電力を取り出すようにした。又空気の取り入れは板の両面から行い、燃料の供給はパッチワーク状に並べられたセル間の通路を使って行うようにした。これによって、燃料電池の構造は極めて単純となった。以下に実施例により説明するがこれらに制限されないことは言うまでもない。
図1は平板上に並べられた燃料電池セルの模式図であり、本発明では隣りあう各セル(1、2)の極を反転させて並べてあり、そのセル間を集電体を兼ねた複極板3で接続している。又セルの間には燃料供給用の通路4を走らせている。これを繰り返すことによって簡単な構造の複極式で必要とする大きな電圧を取り出すことの出来る燃料電池が得られる。図2は図1に使用する複極板であり、穴あきチタン板から出来ており、表面に酸化ルテニウムのコーティングを熱分解によって行っている。尚DMFC用であるので空気、燃料極の両方共穴あき板となっている。更に図3は本燃料電池の断面の例であり、両面が同じ構造となっており、それを表面ハウジング6で押さえつけて電池自身を保護すると共に取り扱いやすくしている。
燃料を水素とした場合の燃料電池であり、図4に示す片極のみ開口のある集電体を兼ねた複極板を使用した。ここでは酸化イリジウムを被覆したチタン板を使用したが、空気極部分はエクスパンドメッシュとして空気の取り入れが容易になっている。これによって水素燃料PEFCとして有効に活用できる。
産業上の利用の可能性
本発明の燃料電池は現在話題となっている携帯用小型電子機器用の電源用として電話、コンピュータなどに使用し、充電が不要で有り、しかも長時間の使用が可能となる事から、直接的には電子機器業界の発展に、間接的にはそれらを使用する全ての業界に貢献するものである。
は燃料電池モジュールの平面配置をモデル的に示した物である。 はDMFCに使用する複極板の例である。 は燃料電池の断面である。 は水素燃料PEFCに使用する複極板の例である。
符号の説明
1 燃料電池電極(たとえば正極)
2 燃料電池電極(1の対極、たとえば負極)
3 複極板
4 電池基板
5 燃料供給回路
6 燃料電池ハウジング

Claims (10)

  1. 平板上に複数の燃料電池セルが並べられ、該セルが電気的に直列に接続された複極型燃料電池において、燃料電池単位をパッチワーク状に、少なくとも隣り合う燃料電池単位の一組が正極面、負極面を逆転させるよう整列させ、隣り合う正極と負極の間を複極板で電気的に接続するようにした平板状の複極型燃料電池。
  2. 平板面内に固体電解質が有り、平板の両面に電極面が出ている事を特徴とする請求項1の平板状の複極型燃料電池。
  3. 複極板が多孔板であって、電極面の少なくとも一部を覆い集電体となっていることを特徴とする請求項1の平板状の複極型燃料電池
  4. 平板の両面に集電体を兼ねる複極板がおかれた事を特徴とする請求項1の平板状の複極型燃料電池
  5. 燃料電池がメタノールまたはメタノール水溶液を燃料とし、空気を酸化剤とする事を特徴とする請求項1の複極型燃料電池。
  6. 二つの単位セルをつなぐ複極板の一方のセル上にかかる部分は多孔質であり、電極が外気と直接接触できるようになっており、他の一方は電極面をふさぐようになっていて、密閉構造となり燃料の外部揮散を防止するようになっている事を特徴とする請求項1から5の平板状の複極型燃料電池
  7. 複極板が金属製であり必要に応じて表面加工してなることを特徴とする請求項1から6の平板状の複極型燃料電池
  8. 複極板の多孔部分が金属穴あき板であることを特徴とする請求項1から7の平板状の複極型燃料電池
  9. 複極板の多孔部分が金属エクスパンドメッシュであることを特徴とする請求項1から8の平板状の複極型燃料電池
  10. 金属がチタンであり、表面に白金属金属酸化物含有被覆を有することを特徴とする請求項1から9の平板状の複極型燃料電池
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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