JP2005034870A - 重ね溶接のリトラクトアークスタート方法 - Google Patents

重ね溶接のリトラクトアークスタート方法 Download PDF

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一蔵 矢澤
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Abstract

【課題】溶接トーチ4を重ね継手2cの溶接線2d上に設けた溶接開始位置Psに移動させ、溶接ワイヤ1を前進送給、後退送給及び再前進送給してアークスタートさせる重ね溶接のリトラクトアークスタート方法において、溶接ワイヤ1と上板2aとが干渉してアークスタートに失敗することがある。
【解決手段】本発明は、前記溶接開始位置Psから重ね継手2cの下板2b側方向へ所定距離Lpだけ離れた位置を先行スタート位置Ppとして設け、溶接トーチ4をまず前記先行スタート位置Ppに移動させて前記リトラクトアークスタートによってアークを発生させ、続いてアークを発生させながら溶接トーチ4を前記溶接開始位置Psに移動させた後に前記溶接線2dに沿って移動させる重ね溶接のリトラクトアークスタート方法である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接ワイヤを前進送給、後退送給及び再前進送給させてアークスタートさせるリトラクトアークスタート方法に関し、特に、重ね溶接におけるリトラクトアークスタート方法の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、リトラクトアークスタートを行う溶接装置の構成図である。以下、同図を参照して説明する。
【0003】
溶接電源装置6は、外部に設けた溶接開始信号発生回路STからの溶接開始信号St受けて、アークを発生させるための溶接電圧Vw及び溶接電流Iwを出力すると共に、溶接ワイヤ1の送給を制御するための送給制御信号Fcをワイヤ送給モータWMへ出力する。溶接ワイヤ1は、ワイヤ送給モータWMと直結された送給ロール5の回転によって、溶接トーチ4内を通って送給されると共に、給電チップ4aを介して給電されて、母材2との間にアーク3が発生する。ワイヤ送給モータWMが正回転すると溶接ワイヤ1は母材2へ前進送給され、逆回転すると溶接ワイヤ1は母材2から離れる方向に後退送給される。前進送給時の溶接ワイヤ1の送給速度Fsは正の値として表記し、後退送給時の送給速度Fsは負の値として表記することにする。溶接ワイヤ1と母材2との間が接触(短絡)状態又はアーク発生状態であるときは溶接電流Iwが通電する。他方、溶接ワイヤ1と母材2とが離れていてアーク3も発生していない無負荷状態のときは溶接電圧Vwは最大値の無負荷電圧となり、溶接電流Iwは通電しない。また、溶接ワイヤ1の先端と母材2との距離がワイヤ先端・母材間距離Lw[mm]となる。したがって、アーク発生中のこのワイヤ先端・母材間距離Lwはアーク長と略等しくなる。
【0004】
上記において溶接ロボットを使用した場合には、溶接トーチ4は溶接ロボット本体の先端に取り付けられて移動する。この場合には、上記の溶接開始信号発生回路STはロボット制御装置に内臓されることが多い。
【0005】
図8は、重ね継手においてリトラクトアークスタートを行うときの継手外観図である。同図(A)は上面から見た外観図を示し、同図(B)は溶接方向から見た断面図である。同図(A)に示すように、上板2aと下板2bによって重ね継手部2cが形成される。そして、通常は、この重ね継手部2cに溶接開始位置Ps、溶接終了位置Pe及び溶接線2dを設定する。また、同図(B)に示すように、溶接ワイヤ1の溶接狙い位置は、通常、重ね継手部2cに設定される。
【0006】
溶接手順は以下のようになる。同図(A)に示すように、溶接トーチ4を溶接開始位置Psに移動して停止し、後述するリトラクトアークスタートによってアークを発生させる。その後に、アークを発生させながら溶接トーチ4を溶接線2dに沿って移動させ溶接する。溶接トーチ4が溶接終了位置Peに到達すると溶接は終了する。
【0007】
図9は、リトラクトアークスタート方法を示すタイミングチャートである。同図(A)は溶接トーチの移動速度Tsの、同図(B)は溶接ワイヤの送給速度Fsの、同図(C)は溶接電圧Vwの、同図(D)は溶接電流Iwの、同図(E)はワイヤ先端・母材間距離Lwの時間変化を示す。以下、同図を参照して説明する。
【0008】
▲1▼ 時刻t1〜t2の期間(前進送給期間)
同図(A)に示すように、溶接トーチが移動して時刻t1に図8で上述した溶接開始位置Psに到達すると、溶接トーチはその位置で停止するので移動速度Tsは零となる。同時に、同図(B)に示すように、溶接ワイヤは初期送給速度Fsiで前進送給を開始し、同図(C)に示すように、溶接電源装置の溶接電圧Vwの出力も開始する。時刻t1〜t2の期間中は前進送給が継続されるので、同図(E)に示すように、ワイヤ先端・母材間距離Lwは次第に短くなる。この期間中、ワイヤ先端と母材との間は無負荷状態になるので、同図(C)に示すように、溶接電圧Vwは無負荷電圧Vnlとなり、同図(D)に示すように、溶接電流Iwは通電しない。
【0009】
▲2▼ 時刻t2〜t3の期間(後退送給期間)
時刻t2において、同図(E)に示すように、ワイヤ先端・母材間距離Lwが零となりワイヤ先端が母材に接触すると、同図(C)に示すように、溶接電圧Vwは数V程度の短絡電圧値に変化する。ワイヤ先端と母材との接触(短絡)したことを、溶接電圧Vwが予め定めた基準電圧値Vth以下になったことによって判別すると、同図(B)に示すように、溶接ワイヤは後退送給を開始するので送給速度Fsは負の値の後退送給速度Fsrとなる。同時に、同図(D)に示すように、小電流値の初期電流Isが通電する。時刻t2から後退送給に転じるが、ワイヤ送給モータ等が反転するのに時間がかかるために、時刻t1〜t2の期間中はワイヤ先端と母材とは接触したままである。
【0010】
▲3▼ 時刻t3〜t4の期間(後退送給期間のつづき)
時刻t3において、同図(E)に示すように、上記の後退送給によってワイヤ先端が母材から離れると初期アークが発生し、同図(C)に示すように、溶接電圧Vwは上記の基準電圧値Vthを超えるアーク電圧値となる。他方、同図(D)に示すように、溶接電流Iwは上記の初期電流Isの通電が維持される。初期アークの発生を溶接電圧Vwが基準電圧値Vthを超えたことによって判別し、その時点t3から予め定めた遅延時間Tdが経過するまでの間は、同図(B)に示すように、後退送給を継続する。この遅延時間Tdを設ける理由は、初期アーク発生直後に即時に後退送給から再前進送給に転じると、ワイヤ先端が母材に再接触してアークスタートに失敗することがあり、これを防止するためである。
【0011】
▲4▼ 時刻t4以降の期間(再前進送給期間)
時刻t4において、上記の遅延時間Tdが経過すると、同図(B)に示すように、溶接ワイヤは定常送給速度Fscで再前進送給される。同時に、同図(D)に示すように、溶接電流Iwは定常送給速度Fscに応じた定常溶接電流Icが通電し、定常アークへと移行する。また、同図(A)に示すように、溶接トーチは移動を開始し、アークを発生させながら溶接線に沿って溶接を行う。
【0012】
上述した時刻t1〜t4の期間中のリトラクトアークスタートによって、確実にアークを発生させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
また、アーク発生部にレーザを照射しながら溶接を行うレーザ照射アーク溶接(例えば、特許文献2参照)では、2m/minを超える高速溶接が可能であることが大きな特徴の1つである。このときに、良好な高速溶接を行うためには、確実なアークスタート性が欠かせない。このために、レーザ照射アーク溶接に上述したリトラクトアークスタートを採用することによって、確実なアークスタート性を確保して良好な高速溶接を行うことができる。
【0014】
【特許文献1】
特開2002−178145号公報
【特許文献2】
特開2002−248571号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、リトラクトアークスタート方法は、ワイヤ先端を一旦母材に接触させて初期電流を通電し、その後に後退送給(リトラクト)に転じることによってワイヤ先端を引き上げて初期アークを確実に発生させる方法である。しかしながら、重ね継手においては、図10(A)に示すように、ワイヤ先端が上板2aのエッジと干渉して接触したために不要な初期電流が通電され、次の瞬間にワイヤ先端が上板2aのエッジ5からはじかれて離れると一瞬だけ初期アークが発生してアーク切れに至ることになる。また、図10(B)に示すように、上板2aと下板2bとの間にギャップ2eが存在することは多い。この場合に、母材の加工精度のバラツキ、溶接トーチの移動軌跡のバラツキ等によって溶接狙い位置が上板2a側にずれると、ワイヤ先端が上板2aと接触してもギャップ2eの存在によって初期電流の通電が不完全となりアークスタートに失敗することになる。
【0016】
そこで、本発明では、上述した溶接ワイヤと上板との干渉及び溶接狙い位置の上板側へのバラツキに起因するアークスタート失敗を防止することができる重ね溶接のリトラクトアークスタート方法を提供する。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、溶接トーチを重ね継手の溶接線上に設けた溶接開始位置に移動させ、前記溶接トーチから溶接ワイヤを母材へ前進送給し、この前進送給によって前記溶接ワイヤが母材に接触したことを判別すると前記溶接ワイヤを母材から後退送給すると共に小電流値の初期電流を通電し、この後退送給によって前記溶接ワイヤが母材から離れて初期アークが発生した後に前記溶接ワイヤを再前進送給すると共に定常の溶接電流を通電して前記初期アーク発生状態から定常のアーク発生状態へと移行させるリトラクトアークスタートを行い、続いてアークを発生させながら前記溶接トーチを前記溶接線に沿って移動させる重ね溶接のリトラクトアークスタート方法において、
前記溶接開始位置から重ね継手の下板側方向へ前記溶接ワイヤが重ね継手の上板と干渉しない所定距離だけ離れた位置を先行スタート位置として設け、前記溶接トーチをまず前記先行スタート位置に移動させて前記リトラクトアークスタートによってアークを発生させ、続いてアークを発生させながら前記溶接トーチを前記溶接開始位置に移動させた後に前記溶接線に沿って移動させることを特徴とする重ね溶接のリトラクトアークスタート方法である。
【0018】
また、請求項2の発明は、先行スタート位置から溶接開始位置への溶接トーチの移動速度を、前記溶接開始位置以降の移動速度とは異なる値に設定する請求項1記載の重ね溶接のリトラクトアークスタート方法である。
【0019】
また、請求項3の発明は、先行スタート位置を、溶接開始位置から斜め後方又は斜め前方の重ね継手の下板側方向へ溶接ワイヤが重ね継手の上板と干渉しない所定距離だけ離れた位置に設定する請求項1又は請求項2記載の重ね溶接のリトラクトアークスタート方法である。
【0020】
また、請求項4の発明は、リトラクトアークスタートによってアークが発生した以後は、このアーク発生部にレーザを照射しながら溶接を行う請求項1記載の重ね溶接のリトラクトアークスタート方法である。
【0021】
また、請求項5の発明は、溶接トーチが先行スタート位置から溶接開始位置へと移動する期間中のレーザの出力値を、この期間中の溶接トーチの移動速度に応じて設定する請求項4記載の重ね溶接のリトラクトアークスタート方法である。
【0022】
また、請求項6の発明は、溶接トーチが溶接開始位置に到達した以後は、アーク発生部にレーザを照射しながら溶接を行う請求項1記載の重ね溶接のリトラクトアークスタート方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態に係る重ね溶接のリトラクトアークスタート方法を示す重ね継手の外観図である。同図(A)は上面から見た外観図であり、同図(B)は溶接方向から見た断面図である。本発明では、溶接開始位置Psから下板2b側に所定距離Lpだけ離れた位置を先行スタート位置Ppとして設定する。この所定距離Lpは、上述した溶接ワイヤと上板2aが干渉しない距離であり、かつ、溶接狙い位置のバラツキによっても溶接狙い位置が下板2b側ととなる距離である。数値例としては、2〜10mm程度である。
【0025】
同図において、溶接トーチ4はまず先行スタート位置Ppに移動して停止する。そして、この位置で上述したリトラクトアークスタートを行いアークを発生させる。このとき、同図(B)に示すように、ワイヤ先端は下板2bと確実に接触するので、リトラクトアークスタートによって確実にアークを発生させることができる。続いて,同図(A)に示すように、アークを発生させながら溶接トーチ4は溶接開始位置Psに移動した後に,溶接線2dに沿って移動する。
【0026】
図2は、本発明の実施の形態に係る重ね溶接のリトラクトアークスタート方法を示すタイミングチャートである。同図(A)は溶接トーチの移動速度Tsの、同図(B)は溶接ワイヤの送給速度Fsの、同図(C)は溶接電圧Vwの、同図(D)は溶接電流Iwの、同図(E)はワイヤ先端・母材間距離Lwの時間変化を示す。以下,同図を参照して説明する。
【0027】
溶接トーチが移動して時刻t1において先行スタート位置Ppに到達すると、溶接トーチは停止するので移動速度Tsは零となる。これ以降の時刻t1〜t4の期間中のリトラクトアークスタート動作については、上述した図9のときと同一であるので説明は省略する。続いて、時刻t4において、リトラクトアークスタートによって定常アークが発生すると、同図(A)に示すように、溶接トーチは先行移動速度Tspで移動して、時刻t5に溶接開始位置Psに到達する。その後に、溶接トーチは定常移動速度Tscで溶接線に沿って移動し溶接が進行する。
【0028】
上記において、先行移動速度Tspと定常移動速度Tscとを同一値に設定することもできる。また、定常移動速度Tscが速い場合には、溶接開始位置Psの溶接ビードが細くなる場合がある。この場合には、先行移動速度Tspを遅くして、溶接ビードが細くなるのを防止することができる。また、定常移動速度Tscが遅い場合には、溶接開始位置Psの溶接ビードが太くなる場合がある。この場合には、先行移動速度Tspを速くして、溶接ビードが太くなるのを防止することができる。したがって、先行移動速度Tspは、溶接品質を良好にするために定常移動速度Tscとは異なる値に設定することもできる。
【0029】
また、先行スタート位置Ppは、図1(A)で上述したように、溶接線2d方向に対して溶接開始位置Psと同じ位置である場合だけでなく、以下のように設定される場合もある。すなわち、図3(A)に示すように、先行スタート位置Ppを、溶接開始位置Psから斜め後方に下板2b側に離れた位置に設定しても良い。同様に、図3(B)に示すように、先行スタート位置Ppを、溶接開始位置Psから斜め前方に下板2b側に離れた位置に設定しても良い。このような種々の位置は、アークスタート部の溶接品質が良好になるように設定される。例えば、溶接開始位置Psの溶接ビードが細くなるのを防止したい場合には、図3(B)の位置に設定すれば良く、逆に太くなるのを防止したい場合には、図3(A)の位置に設定すれば良い。
【0030】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2は、上述した実施の形態1において、アーク溶接法としてレーザ照射アーク溶接法を使用するものである。上述したように、レーザ照射アーク溶接は高速溶接に使用されることが多いので、高速溶接時でもアークスタート性が良好なことが強く求められる。したがって、アークスタート性を良好にすることができるリトラクトアークスタートが採用される。以下、図面を参照して説明する。
【0031】
図4は、レーザ照射アーク溶接のための溶接装置の構成図である。同図において、上述した図7と同一の構成物には同一符号を付してそれらの説明は省略する。以下、図7とは異なる構成物について同図を参照して説明する。
【0032】
レーザ発振装置7は、溶接開始信号Stが入力されると、YAGレーザ、半導体レーザ等によるレーザ9を出力値Pw[W]で出力する。レーザトーチ8は、アーク発生部にレーザ9を照射する。このレーザトーチ8と溶接トーチ4とによって加工ヘッドを構成し、両トーチは同時に移動する。すなわち、溶接トーチ4が移動すると、同時にレーザトーチ8も移動する。
【0033】
図5は、本発明の実施の形態2に係る重ね溶接のリトラクトアークスタート方法を示すタイミングチャートである。同図(A)〜(E)の各信号の動作は、上述した図2と同一であり、同図(F)に示すレーザ出力値Pwの時間変化を追加したものである。以下、同図を参照して説明する。
【0034】
先行スタート位置Ppにおいてリトラクトアークスタートを行い、時刻t4に定常アークが発生すると、同図(F)に示すように、初期レーザ出力値Pwpでのレーザ照射が開始される。時刻t5において、溶接トーチが溶接開始位置Psに移動すると、レーザ出力値Pwを定常レーザ出力値Pwcに切り換えてレーザの照射を続行する。レーザ照射をリトラクトアークスタートが完了した時点から開始するのは、リトラクトアークスタートによってアークスタートは確実に行うことができるのでレーザ照射のアシストは必要ないからである。また、上記の初期レーザ出力値Pwpは、同図(A)に示す先行移動速度Tspに応じた値に設定する。したがって、先行移動速度Tspが定常移動速度Tscと等しいいときには、初期レーザ出力値Pwpを定常レーザ出力値Pwcと等しく設定しても良い。
【0035】
また、図6(F)に示すように、レーザの照射を時刻t5の溶接開始位置Psから開始しても良い。このようにする理由は、以下のとおりである。本来、アーク発生部にレーザを照射するのは、高速溶接時の入熱をレーザ照射によって補充することで、適正な溶け込み深さ及び良好なビードを形成するためである。このために、溶接線上にビードを形成する溶接開始位置Ps以降からレーザ照射を開始し、良好なビード形成をアシストする。図6(A)〜(E)の各信号の動作は、上述した図2と同一である。
【0036】
【発明の効果】
請求項1記載の重ね溶接のリトラクトアークスタート方法によれば、溶接開始位置から下板側に離れた位置に先行スタート位置を設け、この先行スタート位置で確実にリトラクトアークスタートを行った後に溶接開始位置に移動して溶接を行うので、溶接ワイヤと上板との干渉又はリトラクトアークスタートの位置が上板側にずれることがなく、常に良好なアークスタート性を得ることができる。
【0037】
請求項2記載の重ね溶接のリトラクトアークスタート方法によれば、先行スタート位置から溶接開始位置への溶接トーチの移動速度(先行移動速度)を、溶接開始位置以降の移動速度(定常移動速度)と異なる値に設定することによって、溶接開始位置での溶接ビード幅を適正化することができる。
【0038】
請求項3記載の重ね溶接のリトラクトアークスタート方法によれば、先行スタート位置を溶接開始位置から斜め後方又は斜め前方の下板側に離れた位置に設定することによって、溶接開始位置での溶接ビード幅を適正化することができる。
【0039】
請求項4〜6記載の重ね溶接のリトラクトアークスタート方法によれば、アーク溶接にレーザ照射アーク溶接を使用することによって、特に良好なアークスタート性が要求されるレーザ照射アーク溶接において確実なアークスタート性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る重ね溶接のリトラクトアークスタート方法を示す継手外観図である。
【図2】図1において重ね溶接のリトラクトアークスタート方法を行ったときのタイミングチャートである。
【図3】本発明の別の実施の形態に係る重ね溶接のリトラクトアークスタート方法を示す継手外観図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るレーザ照射アーク溶接装置の構成図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る重ね溶接のリトラクトアークスタート方法を行ったときのタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る重ね溶接のリトラクトアークスタート方法を行ったときの図5とは別のタイミングチャートである。
【図7】従来技術のリトラクトアークスタート方法を実施するための溶接装置の構成図である。
【図8】従来技術における重ね溶接のリトラクトアークスタート方法を示す継手外観図である。
【図9】図8において重ね溶接のリトラクトアークスタート方法を行ったときのタイミングチャートである。
【図10】課題を説明するための図8に対応する継手外観図である。
【符号の説明】
1 溶接ワイヤ
2 母材
2a 上板
2b 下板
2c 重ね継手部
2d 溶接線
2e ギャップ
3 アーク
4 溶接トーチ
4a 給電チップ
5 送給ロール
6 溶接電源装置
7 レーザ発振装置
8 レーザトーチ
9 レーザ
Fc 送給制御信号
Fs 送給速度
Fsc 定常送給速度
Fsi 初期送給速度
Fsr 後退送給速度
Ic 定常溶接電流
Is 初期電流
Iw 溶接電流
Lp 所定距離
Lw ワイヤ先端・母材間距離
Pe 溶接終了位置
Pp 先行スタート位置
Ps 溶接開始位置
Pw レーザ出力値
Pwc 定常レーザ出力値
Pwp 初期レーザ出力値
ST 溶接開始信号発生回路
St 溶接開始信号
Td 遅延時間
Ts 移動速度
Tsc 定常移動速度
Tsp 先行移動速度
Vnl 無負荷電圧
Vth 基準電圧値
Vw 溶接電圧
WM ワイヤ送給モータ

Claims (6)

  1. 溶接トーチを重ね継手の溶接線上に設けた溶接開始位置に移動させ、前記溶接トーチから溶接ワイヤを母材へ前進送給し、この前進送給によって前記溶接ワイヤが母材に接触したことを判別すると前記溶接ワイヤを母材から後退送給すると共に小電流値の初期電流を通電し、この後退送給によって前記溶接ワイヤが母材から離れて初期アークが発生した後に前記溶接ワイヤを再前進送給すると共に定常の溶接電流を通電して前記初期アーク発生状態から定常のアーク発生状態へと移行させるリトラクトアークスタートを行い、続いてアークを発生させながら前記溶接トーチを前記溶接線に沿って移動させる重ね溶接のリトラクトアークスタート方法において、
    前記溶接開始位置から重ね継手の下板側方向へ前記溶接ワイヤが重ね継手の上板と干渉しない所定距離だけ離れた位置を先行スタート位置として設け、前記溶接トーチをまず前記先行スタート位置に移動させて前記リトラクトアークスタートによってアークを発生させ、続いてアークを発生させながら前記溶接トーチを前記溶接開始位置に移動させた後に前記溶接線に沿って移動させることを特徴とする重ね溶接のリトラクトアークスタート方法。
  2. 先行スタート位置から溶接開始位置への溶接トーチの移動速度を、前記溶接開始位置以降の移動速度とは異なる値に設定する請求項1記載の重ね溶接のリトラクトアークスタート方法。
  3. 先行スタート位置を、溶接開始位置から斜め後方又は斜め前方の重ね継手の下板側方向へ溶接ワイヤが重ね継手の上板と干渉しない所定距離だけ離れた位置に設定する請求項1又は請求項2記載の重ね溶接のリトラクトアークスタート方法。
  4. リトラクトアークスタートによってアークが発生した以後は、このアーク発生部にレーザを照射しながら溶接を行う請求項1記載の重ね溶接のリトラクトアークスタート方法。
  5. 溶接トーチが先行スタート位置から溶接開始位置へと移動する期間中のレーザの出力値を、この期間中の溶接トーチの移動速度に応じて設定する請求項4記載の重ね溶接のリトラクトアークスタート方法。
  6. 溶接トーチが溶接開始位置に到達した以後は、アーク発生部にレーザを照射しながら溶接を行う請求項1記載の重ね溶接のリトラクトアークスタート方法。
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