JP2005034105A - 原形質膜粒子の放出を促進する方法 - Google Patents

原形質膜粒子の放出を促進する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005034105A
JP2005034105A JP2003277021A JP2003277021A JP2005034105A JP 2005034105 A JP2005034105 A JP 2005034105A JP 2003277021 A JP2003277021 A JP 2003277021A JP 2003277021 A JP2003277021 A JP 2003277021A JP 2005034105 A JP2005034105 A JP 2005034105A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
virus
protein
particles
minus
gene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003277021A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Akiba
栄治 秋葉
Makoto Inoue
誠 井上
Yasuji Ueda
泰次 上田
Mamoru Hasegawa
護 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dnavec Research Inc
Original Assignee
Dnavec Research Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dnavec Research Inc filed Critical Dnavec Research Inc
Priority to JP2003277021A priority Critical patent/JP2005034105A/ja
Publication of JP2005034105A publication Critical patent/JP2005034105A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、原形質膜粒子の放出を増強する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、原形質膜粒子を放出する細胞においてマイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質を発現させることにより、粒子放出を増強する方法を提供する。本発明の方法は、ウイルス粒子の製造およびリポソームの製造において、細胞からの粒子放出を増大させるために用いることができる。本発明の方法により製造されたウイルス粒子およびリポソームは、遺伝子治療などにおける遺伝子導入担体として用いることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、マイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質を細胞で発現させることにより、細胞からの原形質膜粒子の放出を促進する方法に関する。本発明の方法は、ウイルスおよび細胞膜リポソームの製造において有用である。
マイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質は、マイナス鎖RNAウイルスゲノムにコードされる比較的低分子(多くは250残基以内)の塩基性蛋白質である。ウイルスゲノム上では、通常、C蛋白質のコード領域はP(ホスホ)蛋白質のそれと重複しており、P蛋白質とは異なる読み枠を使って翻訳される。C蛋白質の発現は感染細胞内においては見られるが、ビリオン中には低いレベルでしか存在しないことから、基本的にはC蛋白質はウイルスの構成蛋白質ではないと考えられている(Lamb RA The non-structural proteins of paramyxo viruses. In: The Paramyxoviruses; ed Kingsbury DW, pp181- 214 New York Plenum Press)。
C蛋白質に関するこれまでの研究から、C蛋白質はIFN-α/βおよびINF-γのシグナル伝達を阻害し、宿主の抗ウイルス作用の発動を抑制する機能を有することが提唱されている(Garcin D et al.. Sendai Virus C proteins Counteract the Interferon-Mediated Induction of an Antiviral State. J. Virol. 73 6559-65, 1999)。しかしながら、C蛋白質が原形質膜粒子の放出にどのような影響を及ぼすかについては不明である。
Lamb RA The non-structural proteins of paramyxo viruses. In: The Paramyxoviruses; ed Kingsbury DW, pp181- 214 New York Plenum Press Garcin D et al.. Sendai Virus C proteins Counteract the Interferon-Mediated Induction of an Antiviral State. J. Virol. 73 6559-65, 1999
本発明は、マイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質を利用して、生体膜粒子の放出を促進する方法を提供する。本発明の方法は、ウイルス粒子の製造およびウイルス様粒子の形成を利用したリポソームの製造において、粒子放出を増強するために有用である。
本発明者らは、ウイルス粒子の放出に関与するマイナス鎖RNAウイルスのウイルス蛋白質を細胞内で発現させる時にC蛋白質を強制発現させ、粒子放出に及ぼす影響を調べた。その結果、C蛋白質を発現させることによって、粒子放出が顕著に増大することを見出した。すなわち本発明は、以下の発明に関する。
〔1〕細胞からの原形質膜粒子の放出を促進する方法であって、該細胞においてマイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質を発現または発現を上昇させる工程を含む方法。
〔2〕原形質膜粒子がウイルス蛋白質の作用により放出される粒子である、〔1〕に記載の方法。
〔3〕ウイルス蛋白質がマイナス鎖RNAウイルスのウイルス蛋白質である、〔2〕に記載の方法。
〔4〕該C蛋白質がパラミクソウイルス科ウイルスのC蛋白質である、〔1〕に記載の方法。
〔5〕該C蛋白質がセンダイウイルスのC蛋白質である、〔1〕に記載の方法。
〔6〕〔1〕に記載の方法により原形質膜粒子の放出を促進する工程を含む、原形質膜粒子の製造方法。
〔7〕マイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質の発現ベクターを含む、原形質膜粒子の放出促進剤。
本発明により、細胞からの原形質膜粒子の放出を増強することが可能となった。本発明の方法は、例えばウイルス粒子の製造において、あるいはウイルス様リポソームの製造において、細胞からの粒子放出を増大させるために有用である。
本発明は、細胞からの原形質膜粒子の放出を促進する方法であって、該細胞においてマイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質を発現または発現を上昇させる工程を含む方法に関する。細胞からの原形質膜粒子の放出は、典型的には細胞からのウイルス粒子の放出が挙げられるが、ウイルス蛋白質を人為的に細胞で発現させることなどにより、原形質膜で囲まれた粒子(これをウイルス様粒子という)を細胞から放出させることもできる。本発明においては、このような粒子も原形質膜粒子と呼ぶ。この時に、マイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質を発現させることによって、原形質膜粒子の放出を上昇させることができる。原形質膜粒子の放出に際して、細胞でマイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質が発現していない場合は、C蛋白質をこの細胞で発現させることで、また、C蛋白質が発現している場合は、C蛋白質の発現量をさらに上昇させることで、原形質膜粒子の放出を上昇させることができる。
発現させるマイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質としては、パラミクソウイルス科、ラブドウイルス科などのウイルスが持つ所望のC蛋白質であってよいが、好ましくはパラミクソウイルス科ウイルスのC蛋白質、より好ましくはパラミクソウイルス亜科ウイルスのC蛋白質、より好ましくはレスピロウイルス属ウイルスおよびモルビリウイルス属ウイルスのC蛋白質であり、具体的にはセンダイウイルス、麻疹ウイルス、パラインフルエンザウイルスなどのC蛋白質が挙げられる。
具体的には、センダイウイルス [GenBank accession numbers (AB065189), (AB065188), (AB065186), (J. Gen. Virol. 78; 3207-3215 (1997), NC_001552), (Virus Genes 22; 47-52 (2001), AB039658), (J. Gen. Virol. 78; 3207-3215 (1997), AB005796), (J. Gen. Virol. 78; 3207-3215 (1997), AB005795), (J. Virol. 76; 8540-8547 (2002), AB065187)]、麻疹ウイルス [(J. Virol. 72; 8690-8696 (1998) , AB012948), (J. Virol. 72 (11), 8690-8696 (1998) , AB012949), (Cell 55; 255-265 (1988) , X16568), (Cell 55; 255-265 (1988) , X16567), (Cell 55; 255-265 (1988) , X16569)]、パラインフルエンザウイルス [(Virus Genes 24; 77-92 (2002), NC_003461), (Virology 261; 319-330 (1999), NC_001796), (Virus Genes 24; 77-92 (2002), AF457102), (Virology 189; 340-343 (1992), M74082), (Virology 189; 340-343 (1992), M74080), (Nucleic Acids Res. 11; 7317-7330 (1983), X00087)] などのC蛋白質を例示することができる。
例えばセンダイウイルス(例えばGenbank accession No. NC_001552)などにおいては、C蛋白質には長分子型(C' (配列番号:5) およびC (配列番号:6))および短分子型(Y1 (配列番号:7) およびY2 (配列番号:8))が存在し、同じC末端領域を共有する(これらをC蛋白質と総称する)。本発明においてはそれらの分子種のいずれを用いてもよいが、好ましくは長分子型の少なくとも1つを発現させるとよい。また複数の分子種を発現させてもよい。例えば、配列番号:2のDNAを発現ベクターに組み込んで発現させることにより、良好に粒子放出を促進することができる。
原形質膜粒子を放出する細胞でC蛋白質を発現させるには、C蛋白質をコードする遺伝子を所望の発現ベクターに組み込み、これを細胞に導入すればよい。発現ベクターとしては特に制限はなく、プラスミドベクターおよびウイルスベクターなどが例示できる。DNAベクターの場合は、例えばCAGプロモーター(ニワトリβアクチンプロモーターとCMVエンハンサーとのキメラプロモーター) (Niwa, H. et al. (1991) Gene. 108: 193-199) などのプロモーターを利用することができる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、マイナス鎖RNAウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、セムリキ森林ウイルスベクター、シンドビスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、フォウルポックスウイルスベクター、その他の所望のウイルスベクターが例示できる。
これらの組み換えウイルスベクターは当業者に周知の方法に従って調製することができる。例えば、遺伝子治療などに最も普通に利用されるアデノウイルスベクターの作製は、斎藤らの方法および他(Miyakeら、1996、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、93巻、1320-24頁;Kanegaeら、1996、Acta Paediatr.Jpn、38巻、182-188頁;鐘ヶ江ら、バイオマニュアルシリーズ4-遺伝子導入と発現・解析法、1994、43-58頁、羊土社;鐘ヶ江ら、1994、細胞工学、13巻、8号、757-763頁)に従って製造することができる。また、例えばレトロウイルスベクター(脇本ら、1995、蛋白質核酸酵素、40巻、2508-2513頁)、およびアデノ随伴ウイルスベクター(玉寄ら、1995、蛋白質核酸酵素、40巻、2532-2538頁)なども、公知の方法により調製することができる。哺乳動物に遺伝子導入可能なその他のウイルスベクターを製造するための詳細は、組換えワクシニアウイルスを製造する方法としては、特表平6-502069、特公平6-95937、特公平6-71429が知られている。組換えパピローマウイルスを製造する方法としては特公平6-34727、特表平6-505626が知られている。組換えアデノ随伴ウイルスを製造する方法としては、特開平5-308975が知られている。組換えアデノウイルスを製造する方法としては、特表平6-508039が知られている。マイナス鎖RNAウイルスであれば、国際公開番号 WO97/16539、WO97/16538、WO00/70055、WO00/70070などに記載の方法が知られている。
またC蛋白質は、粒子形成の促進機能を損なわない限りにおいて天然型のアミノ酸配列から改変してもよい。また、天然のC蛋白質の断片または他の蛋白質またはペプチド断片が付加された融合蛋白質であってもよい。アミノ酸配列が改変されたC蛋白質としては、野生型C蛋白質のアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加したアミノ酸配列を含む蛋白質、野生型C蛋白質のアミノ酸配列と70%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ配列を含む蛋白質、ならびに野生型C遺伝子のコード領域の一部または全部を含む核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸がコードする蛋白質であって、原形質膜粒子の放出を促進する活性を保持している所望の蛋白質を用いることができる。変異の導入は、公知の変異導入方法に従って実施することができる。例えば目的の変異を入れたオリゴヌクレオチドを用いて変異蛋白質をコードする核酸を構築することが可能である。
アミノ酸の置換、欠失、および/または付加においては、改変されるアミノ酸数は、通常15以内、好ましくは11以内、より好ましくは9以内、より好ましくは7以内、より好ましくは5以内である。特にアミノ酸を保存的に置換した蛋白質は活性が維持されやすい。保存的置換は、例えば塩基性アミノ酸(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性アミノ酸 (例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性アミノ酸 (例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性アミノ酸 (例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐アミノ酸 (例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族アミノ酸 (例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)などの各グループ内のアミノ酸間の置換などが挙げられる。アミノ酸配列の同一性は、例えばBLASTPプログラム(Altschul, S. F. et al., 1990, J. Mol. Biol. 215: 403-410)を用いて決定することができる。例えばNCBI(National Center for Biothchnology Information)のBLASTのウェブページにおいてLow complexityを含むフィルターは全てOFFにして、デフォルトのパラメータを用いて検索を行う(Altschul, S.F. et al. (1993) Nature Genet. 3:266-272; Madden, T.L. et al. (1996) Meth. Enzymol. 266:131-141; Altschul, S.F. et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402; Zhang, J. & Madden, T.L. (1997) Genome Res. 7:649-656)。例えば2つの配列の比較を行うblast2sequencesプログラム(Tatiana A et al. (1999) FEMS Microbiol Lett. 174:247-250)により、2配列のアライメントを作成し、配列の同一性を決定することができる。ギャップはミスマッチと同様に扱い、例えば野生型C蛋白質のアミノ酸配列全体に対する同一性の値を計算する。また、ハイブリダイゼーションにおいては、野生型C蛋白質のコード配列を含む核酸、またはハイブリダイズの対象とする核酸のどちらかからプローブを調製し、それが他方の核酸にハイブリダイズするかを検出することにより同定することができる。ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件は、例えば 5xSSC、7%(W/V) SDS、100μg/ml 変性サケ精子DNA、5xデンハルト液(1xデンハルト溶液は0.2%ポリビニールピロリドン、0.2%牛血清アルブミン、および0.2%フィコールを含む)を含む溶液中、48℃、好ましくは50℃、より好ましくは52℃でハイブリダイゼーションを行い、その後ハイブリダイゼーションと同じ温度、より好ましくは60℃、さらにこの好ましくは65℃、最も好ましくは68℃で2xSSC中、好ましくは1xSSC中、より好ましくは0.5xSSC中、より好ましくは0.1xSSC中で、振蘯しながら2時間洗浄する条件である。
本発明の方法は、細胞膜由来のエンベロープを有する所望のウイルスベクターの製造において適用することができ、マイナス鎖RNAウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルスなどのウイルス粒子の製造において適用され得る。好適な一例としては、マイナス鎖RNAウイルスのウイルス粒子またはマイナス鎖RNAウイルスの粒子放出能を利用したリポソームの製造において、本発明の方法を利用することができる。
マイナス鎖RNAウイルスとは、マイナス鎖(ウイルス遺伝子をコードするセンス鎖に対するアンチセンス鎖)のRNAをゲノムとして含むウイルスである。マイナス鎖RNAはネガティブ鎖RNAとも呼ばれる。マイナス鎖RNAウイルスとしては、例えばパラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)ウイルスのセンダイウイルス(Sendai virus)、ニューカッスル病ウイルス(Newcastle disease virus)、おたふくかぜウイルス(Mumps virus)、麻疹ウイルス(Measles virus)、RSウイルス(Respiratory syncytial virus)、牛疫ウイルス(rinderpest virus)、ジステンパーウイルス(distemper virus)、サルパラインフルエンザウイルス(SV5)、ヒトパラインフルエンザウイルス1,2,3型、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)のインフルエンザウイルス(Influenza virus)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)の水疱性口内炎ウイルス(Vesicular stomatitis virus)、狂犬病ウイルス(Rabies virus)等が挙げられる。
本発明において産生するウイルス粒子としては、特に一本鎖マイナス鎖RNAウイルス(非分節型(non-segmented)マイナス鎖RNAウイルスとも言う)が挙げられる。「一本鎖ネガティブ鎖RNAウイルス」とは、一本鎖ネガティブ鎖[すなわちマイナス鎖]RNAをゲノムに有するウイルスを言う。このようなウイルスとしは、パラミクソウイルス(Paramyxoviridae; Paramyxovirus, Morbillivirus, Rubulavirus, および Pneumovirus属等を含む)、ラブドウイルス(Rhabdoviridae; Vesiculovirus, Lyssavirus, および Ephemerovirus属等を含む)、フィロウイルス(Filoviridae)、オルトミクソウイルス(Orthomyxoviridae; Infuluenza virus A, B, C, および Thogoto-like viruses 等を含む)、ブニヤウイルス(Bunyaviridae; Bunyavirus, Hantavirus, Nairovirus, および Phlebovirus属等を含む)、アレナウイルス(Arenaviridae)などの科に属するウイルスが含まれる。具体的に挙げれば、例えば Sendai virus (SeV)、human parainfluenza virus-1 (HPIV-1)、human parainfluenza virus-3 (HPIV-3)、phocine distemper virus (PDV)、canine distemper virus (CDV)、dolphin molbillivirus (DMV)、peste-des-petits-ruminants virus (PDPR)、measles virus (MV)、rinderpest virus (RPV)、Hendra virus (Hendra)、Nipah virus (Nipah)、human parainfluenza virus-2 (HPIV-2)、simian parainfluenza virus 5 (SV5)、human parainfluenza virus-4a (HPIV-4a)、human parainfluenza virus-4b (HPIV-4b)、mumps virus (Mumps)、およびNewcastle disease virus (NDV) などが含まれる。より好ましくは、Sendai virus (SeV)、human parainfluenza virus-1 (HPIV-1)、human parainfluenza virus-3 (HPIV-3)、phocine distemper virus (PDV)、canine distemper virus (CDV)、dolphin molbillivirus (DMV)、peste-des-petits-ruminants virus (PDPR)、measles virus (MV)、rinderpest virus (RPV)、Hendra virus (Hendra)、および Nipah virus (Nipah) からなる群より選択されるウイルスが例示できる。
より好ましくは、パラミクソウイルス亜科(レスピロウイルス属、ルブラウイルス属、およびモルビリウイルス属を含む)に属するウイルスまたはその誘導体であり、より好ましくはレスピロウィルス属(Respirovirus)(パラミクソウィルス属(Paramyxovirus)とも言う)に属するウィルスまたはその誘導体である。本発明を適用可能なレスピロウィルス属ウィルスとしては、例えばヒトパラインフルエンザウィルス1型(HPIV-1)、ヒトパラインフルエンザウィルス3型(HPIV-3)、ウシパラインフルエンザウィルス3型(BPIV-3)、センダイウィルス(Sendai virus; マウスパラインフルエンザウィルス1型とも呼ばれる)、およびサルパラインフルエンザウィルス10型(SPIV-10)などが含まれる。本発明においてパラミクソウィルスは、最も好ましくはセンダイウィルスである。これらのウィルスは、天然株、野生株、変異株、ラボ継代株、および人為的に構築された株などに由来してもよい。
例えばパラミクソウィルスのゲノムは、3'リーダー領域と5'トレイラー領域の間に、ウイルス遺伝子がアンチセンスとして並んだ構成をしている。各遺伝子のORFの間には、転写終結配列(E配列)-介在配列(I配列)-転写開始配列(S配列)が存在し、これにより各遺伝子のORFをコードするRNAが別々のシストロンとして転写される。製造する組み換えウイルスのゲノムRNAは、該RNAにコードされる遺伝子群の発現およびRNA自身の自律的な複製に必要なウイルス蛋白質である N(ヌクレオキャプシド)、P(ホスホ)、およびL(ラージ)をアンチセンスにコードしている。また該RNAは、隣接細胞への該RNAの伝播に必要な細胞膜融合を起こす蛋白質であるF(フュージョン)蛋白質をアンチセンスにコードしていてもよい。また、ゲノムRNAはさらにHN(ヘマグルチニン-ノイラミニダーゼ)(またはH)蛋白質をアンチセンスにコードしていてもよい。但し、ある種の細胞では感染にHN蛋白質は必要なく(Markwell, M.A. et al., Proc. Natil. Acad. Sci. USA 82(4):978-982 (1985))、F蛋白質のみで感染が成立する。また、細胞に結合し得るHN以外の蛋白質をF蛋白質と組み合わせて感染性ウイルス粒子を得ることもできる。従って、HN遺伝子をコードしないゲノムRNAを用いても、感染性ウイルス粒子を構築することは可能である。
例えばパラミクソウィルス亜科に属する各ウィルスにおける各遺伝子は、一般に次のように表記される。一般に、N遺伝子は"NP"と表記されることもある。
レスピロウィルス属 NP P/C/V M F HN - L
ルブラウィルス属 NP P/V M F HN (SH) L
モービリウィルス属 NP P/C/V M F H - L
例えばパラミクソウィルス科(Paramyxoviridae)のレスピロウィルス(Respirovirus)に分類されるセンダイウィルスの各遺伝子の塩基配列のデータベースのアクセッション番号は、NP遺伝子については M29343、M30202, M30203, M30204, M51331, M55565, M69046, X17218、P遺伝子については M30202, M30203, M30204, M55565, M69046, X00583, X17007, X17008、M遺伝子については D11446, K02742, M30202, M30203, M30204, M69046, U31956, X00584, X53056、F遺伝子については D00152, D11446, D17334, D17335, M30202, M30203, M30204, M69046, X00152, X02131、HN遺伝子については D26475, M12397, M30202, M30203, M30204, M69046, X00586, X02808, X56131、L遺伝子については D00053, M30202, M30203, M30204, M69040, X00587, X58886を参照のこと。またその他のウイルスがコードするウイルス遺伝子を例示すれば、N遺伝子については、CDV, AF014953; DMV, X75961; HPIV-1, D01070; HPIV-2, M55320; HPIV-3, D10025; Mapuera, X85128; Mumps, D86172; MV, K01711; NDV, AF064091; PDPR, X74443; PDV, X75717; RPV, X68311; SeV, X00087; SV5, M81442; および Tupaia, AF079780、P遺伝子については、CDV, X51869; DMV, Z47758; HPIV-l, M74081; HPIV-3, X04721; HPIV-4a, M55975; HPIV-4b, M55976; Mumps, D86173; MV, M89920; NDV, M20302; PDV, X75960; RPV, X68311; SeV, M30202; SV5, AF052755; および Tupaia, AF079780、C遺伝子については CDV, AF014953; DMV, Z47758; HPIV-1. M74081; HPIV-3, D00047; MV, ABO16162; RPV, X68311; SeV, AB005796; および Tupaia, AF079780、M遺伝子については CDV, M12669; DMV Z30087; HPIV-1, S38067; HPIV-2, M62734; HPIV-3, D00130; HPIV-4a, D10241; HPIV-4b, D10242; Mumps, D86171; MV, AB012948; NDV, AF089819; PDPR, Z47977; PDV, X75717; RPV, M34018; SeV, U31956; および SV5, M32248、F遺伝子については CDV, M21849; DMV, AJ224704; HPN-1. M22347; HPIV-2, M60182; HPIV-3. X05303, HPIV-4a, D49821; HPIV-4b, D49822; Mumps, D86169; MV, AB003178; NDV, AF048763; PDPR, Z37017; PDV, AJ224706; RPV, M21514; SeV, D17334; および SV5, AB021962、HN(HまたはG)遺伝子については CDV, AF112189; DMV, AJ224705; HPIV-1, U709498; HPIV-2. D000865; HPIV-3, AB012132; HPIV-4A, M34033; HPIV-4B, AB006954; Mumps, X99040; MV, K01711; NDV, AF204872; PDPR, Z81358; PDV, Z36979; RPV, AF132934; SeV, U06433; および SV-5, S76876 が例示できる。但し、各ウイルスは複数の株が知られており、株の違いにより上記に例示した以外の配列からなる遺伝子も存在する。
複製型ウイルスの製造は、(a)複製型ウイルス、またはそのゲノムRNAとウイルス蛋白質とを含むRNP(リボヌクレオプロテイン)成分を細胞に導入する工程、および(b)該細胞またはその培養上清からウイルス粒子を回収する工程、により製造することができる。工程(a)において、マイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質を発現させることによって、ウイルス粒子の形成を促進することができる。マイナス鎖RNAウイルス粒子をcDNAから製造するには、一般的には、細胞内においてマイナス鎖RNAウイルスのゲノムRNA(マイナス鎖)またはその相補的RNA(プラス鎖)を、パラミクソウイルスのゲノムRNAを含むRNPの再構成に必要なウイルス蛋白質、すなわちN、P、およびL蛋白質の存在下で転写させることにより再構成させる。ウイルス粒子の再構成効率を高めるには、好ましくはプラス鎖(アンチゲノム)を転写する。RNA末端は、天然のウイルスゲノムと同様に3'リーダー配列と5'トレイラー配列の末端をなるべく正確に反映させることが好ましい。転写産物の5'端を正確に制御するためには、例えば転写開始部位としてT7 RNAポリメラーゼ認識配列を利用し、該RNAポリメラーゼを細胞内で発現させればよい。転写産物の3'端を制御するには、例えば転写産物の3'端に自己切断型リボザイムをコードさせておき、このリボザイムにより正確に3'が切り出されるようにすることができる(Hasan, M. K. et al., J. Gen. Virol. 78: 2813-2820, 1997、Kato, A. et al., 1997, EMBO J. 16: 578-587 及び Yu, D. et al., 1997, Genes Cells 2: 457-466)。cDNAからマイナス鎖RNAウイルスを再構成させる具体的な手順は、(a)ウィルスゲノムRNA(マイナス鎖RNA)またはその相補鎖(プラス鎖)をコードするcDNAを、N、P、およびL蛋白質を発現する細胞で転写させる工程、(b)該細胞またはその培養上清からウイルス粒子を回収する工程、により製造することができる。転写されたゲノムRNAは N、L、およびP蛋白質の存在下で複製されRNP複合体を形成する。工程(a)において、マイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質を発現させることによって、ウイルス粒子の形成を促進することができる。
DNAからの最初のゲノムRNAの転写に必要なT7 RNAポリメラーゼ等の酵素は、これを発現するプラスミドやウイルスベクターの導入によって実施することができるし、または、例えば細胞の染色体にこの遺伝子の発現を誘導できるように組み込んでおき、ウイルス再構成時に発現を誘導することにより供給することもできる。またゲノムRNA、およびベクター再構成に必要なウイルス蛋白質は、例えばこれらを発現するプラスミドの導入によって供給する。
組み換えマイナス鎖RNAウイルスの再構成は公知の方法を利用して行うことができる(国際公開番号 WO97/16539; 国際公開番号 WO97/16538; 国際公開番号 WO00/70055; 国際公開番号 WO00/70070; 国際公開番号 WO03/025570; 特開2002-272465; Durbin, A. P. et al., 1997, Virology 235: 323-332; Whelan, S. P. et al., 1995, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 8388-8392; Schnell. M. J. et al., 1994, EMBO J. 13: 4195-4203; Radecke, F. et al., 1995, EMBO J. 14: 5773-5784; Lawson, N. D. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 4477-4481; Garcin, D. et al., 1995, EMBO J. 14: 6087-6094; Kato, A. et al., 1996, Genes Cells 1: 569-579; Baron, M. D. and Barrett, T., 1997, J. Virol. 71: 1265-1271; Bridgen, A. and Elliott, R. M., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 15400-15404; Hasan, M. K. et al., J. Gen. Virol. 78: 2813-2820, 1997; Kato, A. et al., 1997, EMBO J. 16: 578-587; Yu, D. et al., 1997, Genes Cells 2: 457-466)。これらの方法により、パラインフルエンザ、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス、麻疹ウイルス、リンダーペストウイルス、センダイウイルスなどを含むマイナス鎖RNAウイルスベクターをDNAから再構成させることができる。このときに、ウイルス粒子産生細胞でマイナス鎖RNAのC蛋白質を発現させることによって、ウイルス粒子放出を上昇させることができる。産生させるウイルスがもともとC蛋白質を発現している場合は、そのC蛋白質の発現を上昇させてもよいし、別途C蛋白質を発現させてもよい。
産生させるウィルス粒子は、例えば、エンベロープ表面に特定の細胞に接着しうるような接着因子、リガンド、受容体等の蛋白質、抗体またはその断片、あるいはこれらの蛋白質を細胞外領域に有し、ウィルスエンベロープ由来のポリペプチドを細胞内領域に有するキメラ蛋白質などを含むものであってもよい。これにより、特定の組織を標的として感染するベクターを作り出すこともできる。これらはウィルスベクターの再構成時に、細胞内で発現させることによりトランスに供給することができる。具体的には、例えばサイトカインなどの可溶性因子の受容体結合ドメインを含む断片、または細胞表面蛋白質に対する抗体断片などが挙げられる(WO01/20989)。
また、上記の方法で得られたウィルスベクターを発育鶏卵に感染させ、該ベクターを増幅する際に、本発明の方法を適用してもよい。鶏卵を使ったウィルスベクターの製造の基本的な方法は既に開発されている(中西ら編,(1993),「神経科学研究の先端技術プロトコールIII, 分子神経細胞生理学」, 厚生社, 大阪, pp.153-172)。具体的には、例えば、受精卵を培養器に入れ9〜12日間 37〜38℃で培養し、胚を成長させる。ウィルスベクターを尿膜腔へ接種し、数日間卵を培養してウィルスベクターを増殖させる。この鶏卵中で、マイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質を発現させることができる。例えば増幅するマイナス鎖RNAウイルスと共に、C蛋白質の発現ベクターを共感染させる。培養期間等の条件は、増幅する組み換えウィルスにより変わり得る。その後、ウィルスを含んだ尿液を回収する。尿液からのウィルスベクターの分離・精製は常法に従って行うことができる(田代眞人,「ウィルス実験プロトコール」, 永井、石浜監修, メジカルビュー社, pp.68-73 (1995))。
作製したウイルス粒子は、それ自体を遺伝子導入用ベクターとして使用する以外に、例えば不活化したり、または破砕してリポソームを再構成させることもできる。不活化したウイルスまたは破砕ウイルスの再構成生成物は、細胞に薬物または遺伝子を導入するためのトランスフェクション試薬として用いられる。マイナス鎖RNAウイルスの不活化は、例えばUV照射により行うことができる。また、HVJ (Hemmaggulutinating Virus of Japan)-リポソームなど、不活化ウイルスを用いたリポソームの製造方法は、例えば震盪および超音波により調製することができる(「ライフサイエンスにおけるリポソーム/実験マニュアル」シュプリンガー・フェアラーク東京 (1992) pp.282〜287参照)。また不活性化したセンダイウイルス粒子、またはリポソーム及び核酸を混合した組成物(膜融合リポソーム)の製造が知られている(金田安史:BIOTHERAPY,8,1265(1994))。あるいは破砕ウイルスの再構成は、例えば、ウイルス可溶化物からリポソームを再構成させ、いわゆるビロソーム(virosome)を調製することにより実施できる(Bagai et al., 1993, Biochem. Biophys. Acta 1152, 15-25)。具体的には、マイナス鎖RNAウイルスを Triton X-100 などの界面活性剤で可溶化した後、不溶性のRNPを遠心除去する。エンベロープおよびエンベロープ蛋白質を含む可溶化液から界面活性剤を除くことにより粒子を再構成させ、ビロソームを調製することができる。ビロソームは粒子径を均一化するために、遠心分離(例えば12000rpm, 10分)により粒子サイズが揃ったビロソームを分離して回収することができる。
また、本発明の方法は、マイナス鎖RNAウイルスの粒子形成機構を利用したリポソームの製造においても適用することができる。例えばマイナス鎖RNAウイルスの粒子形成に関与する膜結合蛋白質を細胞で発現させると、ウイルスゲノムや他のウイルス遺伝子産物が存在しなくても細胞からウイルス様粒子の放出が起きる(Takimoto, T., J. Virol. 75; 11384-11391(2001); 実施例参照)。この性質を利用して、人工的にウイルス蛋白質を細胞で発現させリポソームを製造することができる。この時に、C蛋白質を発現させることによって、粒子の放出を促進することができる。マイナス鎖RNAウイルスの粒子放出を誘導する膜結合蛋白質としては、M(マトリックス)蛋白質が挙げられる。すなわち本発明は、マイナス鎖RNAウイルスのM蛋白質を発現する細胞からの原形質膜粒子の放出を促進する方法であって、該細胞においてマイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質を発現または発現を上昇させる工程を含む方法にも関する。M蛋白質が粒子放出に貢献することは、センダイウィルス(SeV)や他のマイナス鎖RNAウィルスにおける報告によって支持されている。例えば、vesicular stomatitis virus(VSV)ではM蛋白の強発現のみでウィルス様粒子(VLP: virus like particle)の発芽が観察されており(Justice, P.A. et al., J. Virol. 69; 3156-3160 (1995))、またParainfluenza virusの場合もM蛋白のみの強発現でVLPが生じることが報告されている(Coronel, E.C. et al., J. Virol. 73; 7035-7038 (1999))。また、M蛋白質はマイナス鎖RNAウイルスの粒子形成に重要な役割を果たしていることが知られている(Garoff, H. et al., Microbiol. Mol. Biol. Rev. 62; 1171-1190 (1998))。
M蛋白質をコードする遺伝子(M遺伝子)は、マイナス鎖RNAウイルスで広く保存されている。M蛋白質のアミノ酸配列はマイナス鎖RNAウイルスで類似しており、特にパラミクソウイルス亜科においては既知のM蛋白質は共通して全長約330〜380アミノ酸からなる塩基性蛋白質であり、全領域にわたって類似性がある(Gould, A. R. Virus Res. 43:17-31 (1996)、Harcourt, B.H. et al., Virology 271:334-349 (2000))。ウイルス様粒子を放出させるために、例えば Sendai virus (SeV)、human parainfluenza virus-1 (HPIV-1)(括弧は略称)、human parainfluenza virus-3 (HPIV-3)、phocine distemper virus (PDV)、canine distemper virus (CDV)、dolphin molbillivirus (DMV)、peste-des-petits-ruminants virus (PDPR)、measles virus (MV)、rinderpest virus (RPV)、Hendra virus (Hendra)、Nipah virus (Nipah)、simian parainfluenza virus 5 (SV5)、human parainfluenza virus-2 (HPIV-2)、human parainfluenza virus-4a (HPIV-4a)、human parainfluenza virus-4b (HPIV-4b)、mumps virus (Mumps)、Newcastle disease virus (NDV) などを含む所望のマイナス鎖RNAウイルスのM蛋白質を用いることができる。M蛋白質のアミノ酸配列は適宜改変してもよい。
また、M蛋白質に加えて、マイナス鎖RNAウイルスのスパイク蛋白質を発現させてもよい。スパイク蛋白質とは、ウイルス粒子のエンベロープに局在する蛋白質であり、ウイルスの細胞への感染の成立などに関与している。マイナス鎖RNAウイルスのスパイク蛋白質としては、ウイルスによって HN、H、HA、NA、G、F などが知られている。粒子形成においては、これらの1種または複数のスパイク蛋白質を発現させてもよい。例えば、レスピロウイルス属のM蛋白質およびHN蛋白質を発現させることで、効率よくウイルス様粒子を形成させることができる。
また本発明の粒子形成の促進は、レトロウイルスの粒子形成を促進するためにも用いられ得る。レトロウイルスとは、センス鎖RNAをゲノムに持ち、逆転写酵素を有することを特徴とするウイルスで、標的細胞に感染すると、逆転写酵素により自身のRNAゲノムをDNAに変換して標的細胞の染色体にこのDNAを組み込むウイルスの総称である。具体的にはモロニーマウス白血病ウイルス(Moloney Murine Leukaemia Virus; MoMLV)およびマウス幹細胞ウイルス(Murine Stem Cell Virus; MSCV)などを含むオンコウイルス亜科(Oncovirus)に属するレトロウイルス(本発明においてオンコウイルスと呼ぶ)、およびヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus; HIV)(例えばHIV1またはHIV2)、サル免疫不全ウイルス(simian immunodeficiency virus; SIV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、マエディ・ビスナウイルス、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)などを含むレンチウイルス亜科(Lentivirus)に属するレトロウイルス(本発明においてレンチウイルスと呼ぶ)が挙げられる。HIV-1としては、全てのメジャー(M)サブタイプ(AからJを含む)、Nおよび outlier(O)が含まれる(Hu, D. J. et al., JAMA 1996; 275: 210-216; Zhu, T. et al., Nature 1998, 5; 391(6667): 594-7; Simon, F. et al., Nat. Med. 1998, 4(9): 1032-7)。SIV単離株としては、SIVagm、SIVcpz、SIVmac、SIVmnd、SIVsnm、SIVsyk等が例示できる。また、スプーマウイルス(Spumavirus)に由来するレトロウイルスなどであってもよく、例えばフォーミーウイルス(Foamyvirus)が含まれる(DE4318387; WO9607749; Virology (1995) 210, 1, 167-178; J. Virol. (1996) 70, 1, 217-22)。生産するレトロウイルスは、野生型レトロウイルスの改変体であってもよい。通常ベクターとして産生されるレトロウイルスは、gag、pol、envなどのウイルス遺伝子を欠損しており、複製能を欠損している。このようなウイルスの製造にも、本発明の方法を適用することができる。
組み換えレトロウイルスベクターは、具体的には、例えば、(a)レトロウイルスのgag蛋白質およびpol蛋白質を発現する細胞(ウイルス産生細胞)で、レトロウイルスのゲノムRNAを転写させる工程、および(b)該細胞またはその培養上清からウイルス粒子を回収する工程、を含む方法により製造することができる。例えば工程(a)において、該細胞でマイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質を発現させることによって、ウイルス粒子の放出を促進することができる。レトロウイルスのゲノムRNAは、ウイルス粒子中にパッケージングされ、標的細胞の染色体に組み込まれる機能を有する限り、野生型ウイルスのゲノムから改変されていてよく、例えば両端にLTRを持ち、内部にパッケージングシグナル配列を含むRNAであれば、ウイルス遺伝子を欠失したり、外来遺伝子が組み込まれていてもよい。組み込まれた外来遺伝子は、LTRのプロモーター活性により発現させることもできるし、ゲノムの内部に他のプロモーターを組み込んでそのプロモーターから発現させてもよい。
ウイルス産生細胞で発現させるgagおよびpol蛋白質、およびゲノムRNAは、これらがアセンブルされてウイルスが形成される限り、異なるウイルスに由来するものであってもよい。例えば、HIV由来のウイルス蛋白質を発現するパッケージング細胞を用いて、SIVのゲノムRNAをパッケージングすることができる。このとき、ウイルス産生細胞でC蛋白質を発現させることにより、ウイルス粒子放出を促進し得る。この培養物あるいは培養上清を回収することにより、産生されたウイルス粒子を得ることができる。
ウイルス産生の際に、産生細胞で所望の膜蛋白質を発現させることにより、その蛋白質をエンベロープに含むウイルス粒子を生産することができる。例えば、マイナス鎖RNAウイルスのM蛋白質を細胞で発現させ、これを含むウイルスを製造することができる。また、マイナス鎖RNAウイルスのHA(またはHN)蛋白質などのヘマグルチニン活性を有するエンベロープ蛋白質および/またはマイナス鎖RNAウイルスのF蛋白質などの膜融合に関わるエンベロープ蛋白質を発現させてもよい。また、それ以外の所望のウイルス由来のエンベロープ蛋白質をさらに含むことができる。例えばヒト細胞に感染するウイルスに由来するエンベロープ蛋白質が好適に用いられる。このような蛋白質としては、特に制限はないが、レトロウイルスのアンフォトロピックエンベロープ蛋白質、水疱性口内炎ウイルス(Vesicular stomatitis virus; VSV)のG蛋白質などが挙げられる(WO01/92508)。VSV-G蛋白質は1種類の糖蛋白が安定な3量体を形成して膜上に存在するため、精製過程でのベクター粒子の破壊が起こりにくく、遠心による高濃度の濃縮が可能となる(Yang, Y. et al., Hum Gene Ther: Sep, 6(9), 1203-13. 1995)。水疱性口内炎ウイルスG蛋白(VSV-G)としては、例えば Indiana血清型株(J. Virology 39: 519-528 (1981))由来の蛋白を用いることができる。VSV-G発現ベクターとしては、pVSV-Gなどが知られている(Burns, J. C. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 8033-8037)。また、ヘルペスウイルス科のヘマグルチニン活性を持つ蛋白質、具体的には、単純ヘルペスウイルスのgB、gD、gH、gp85蛋白質、EBウイルスのgp350、gp220蛋白質などを発現させてもよい。ヘパドナウイルス科の蛋白質としては、B型肝炎ウイルスのS蛋白質などが挙げられる。また、レトロウイルスのアンフォトロピックエンベロープ蛋白質としては、例えばマウス白血病ウイルス(MuLV)4070A株由来のエンベロープ蛋白質を用い得る。また、MuLV 10A1由来のエンベロープ蛋白質を用いることもできる(例えばpCL-10A1(Imgenex)(Naviaux, R. K. et al., J. Virol. 70: 5701-5705 (1996))。エコトロピックエンベロープ蛋白質としては、例えばモロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)由来のエンベロープ蛋白質を用いることができる。これら以外にも、所望の株由来の蛋白質を用いることができる。
好ましい態様では、レトロウイルスの産生細胞でマイナス鎖RNAウイルスのヘマグルチニン活性を有するエンベロープ蛋白質を発現させる。そのような蛋白質としては、具体的には、パラミクソウイルスのHN蛋白質、オルソミクソウイルスのHA蛋白質、インフルエンザウイルスのHA蛋白質、ブニヤウイルスのG1蛋白質、ラブドウイルスのG蛋白質、フィロウイルスのVP1蛋白質などが挙げられる。例えばセンダイウイルスZ株由来のHN蛋白質を好適に用いることができる。センダイウイルスのHN遺伝子の塩基配列は、GenBankアクセッション番号 D26475, M12397, M30202, M30203, M30204, M69046, X00586, X02808, X56131 などに記載されている。センダイウイルスの遺伝子は、例えばセンダイウイルスZ株の全長ゲノムDNA pSeV18+b(+)(Hasan, M. K. et al., 1997, J. General Virology 78: 2813-2820)から切り出すことによって取得できる。
ネガティブ鎖RNAウイルスのHA(またはHN)、F、G、M、あるいはレトロウイルスエンベロープ蛋白質など、上記のエンベロープ蛋白質は、野生型ウイルスが持つインタクトな蛋白質であってもよいし、天然または人為的に変異が導入されていてもよい。例えば、細胞表面の抗原分子となりうるエンベロープ蛋白質の抗原提示エピトープ等を解析し、これを利用して抗原提示能を弱めた蛋白質を用いてウイルスを作成することも可能である。
また、例えば HA(またはHN)蛋白質および/またはF蛋白質などのエンベロープ蛋白質の細胞質側領域を欠失、置換、および/または付加により改変した蛋白質を用いてもよい。また、例えばマイナス鎖RNAウイルスのHA(またはHN)蛋白質および/またはF蛋白質の細胞質側領域を他の膜蛋白質(例えばレンチウイルスなどのレトロウイルスのエンベロープ蛋白質)の細胞質側領域で置換または付加した改変蛋白質は、感染効率の高いウイルスベクターを製造するために好適に用いられる(WO01/92508)。また、ウイルスエンベロープ蛋白質の細胞外領域を、細胞に接着する活性を持つ他の膜蛋白質、接着因子、リガンド、受容体等の蛋白質、抗体またはその断片に置換したキメラ蛋白質などを用いて、広範な組織または特定の組織を標的として感染するベクターを作り出すこともできる。
ウイルス粒子の製造においては、ウイルスに適宜外来遺伝子を搭載させてよい。外来遺伝子としては、ウイルスを導入する細胞において発現させたい所望の遺伝子を用いることができる。例えば、遺伝子治療などを目的とする場合には、ウイルスベクターに対象となる疾患の治療用遺伝子を搭載させる。
放出された原形質膜粒子は電子顕微鏡等で直接確認することができる。あるいは、粒子に含まれる核酸または蛋白質を指標に検出および定量することも可能である。例えば、粒子中に含まれるゲノム核酸をPCR等の一般的な核酸検出法で検出および定量してもよい。あるいは、外来遺伝子を持つ粒子は、これを細胞に導入して該遺伝子の発現を検出することにより定量することができる。そのままでは感染能を持たない粒子(VLP等)の検出は、例えばリポフェクション試薬を用いたトランスフェクションにより行うことができる。具体的には、例えばDOSPER Liposomal Transfection Reagent(Roche, Basel, Switzerland; Cat No. 1811169)を用いて行うことができる。ウイルス粒子を含むあるいは含まない溶液 100μlにDOSPER 12.5μl を混合し、室温で10分放置後、6 wellプレートにコンフルエントに培養した細胞に15分毎に振盪しながらトランスフェクションする。2日後に感染細胞の有無を検出することでVLPの検出が可能である。
また、マイナス鎖RNAウイルス粒子などであれば、例えばCIU(Cell-Infected Unit)測定または赤血球凝集活性(HA)の測定することにより決定することができる(WO00/70070; Kato, A. et al., 1996, Genes Cells 1: 569-579; Yonemitsu, Y. & Kaneda, Y., Hemaggulutinating virus of Japan-liposome-mediated gene delivery to vascular cells. Ed. by Baker AH. Molecular Biology of Vascular Diseases. Method in Molecular Medicine: Humana Press: pp. 295-306, 1999)。また、GFPなどのマーカー遺伝子を搭載したウイルスベクターについては、マーカーの指標に直接的に感染細胞をカウントすることにより力価を定量することができる(例えばGFP-CIUとして)。このようにして測定した力価は、CIUと同等に扱うことができる(WO00/70070)。
原形質膜粒子は、好ましい態様においては薬剤または遺伝子を細胞に導入する能力を保持している。例えばマイナス鎖RNAウイルスなどのエンベロープ蛋白質を含む粒子は、標的細胞との細胞膜融合能を有しており、これにより薬剤または遺伝子を標的細胞に送達することができる。細胞膜融合能とは、粒子が細胞膜に吸着した後、融合活性により細胞内に粒子内の成分が取り込まれる能力を言う。例えば、マイナス鎖RNAウイルスのフュージョン(F)蛋白質を持つ粒子は、このような性質を有するため好ましい。細胞との融合能は、例えば赤血球の溶血を指標として検出したり、あるいは粒子内に蛍光物質を含ませておき、融合による膜の流動により蛍光物質が希釈され蛍光強度の変化が起きることを利用して検出することができる。あるいは、内水層に薬物を封入したリポソームを細胞膜のモデルとして、その漏出を指標として検出するなどの方法により検出することができる。
また、薬物または遺伝子の細胞への導入能力は、細胞内に導入されたこれらの薬剤または遺伝子を検出することにより確認することができる。薬剤であれば、例えば標識された薬剤の細胞内への取り込みを検出したり、あるいは生理活性物質を取り込ませ、これによる細胞の形質の変化を検出することによって検出することができる。遺伝子であれば、細胞内における該遺伝子の発現を、RT-PCR、ノーザンブロットハイブリダイゼーション、免疫沈降、ウェスタンブロット等の方法によりRNAレベルまたは蛋白質レベルで検出することができる。また、生理活性蛋白質をコードする遺伝子を取り込ませ、該蛋白質による細胞の形質の変化を検出することによって検出することができる。
薬剤または遺伝子を導入する能力を持つ原形膜粒子は、これらを生体に投与するための担体として利用することができる。すなわち、各種細胞に対するインビトロまたはインビボでの遺伝子導入試薬として、または、エクスビボまたはインビボでの遺伝子治療のための医薬として有用である。患者への投与は、一般的には、例えば、動脈内注射、静脈内注射、腹腔内注射、皮下注射、経腸投与、経口投与、鼻腔内投与、エクスビボ投与など当業者に公知の方法により行いうる。投与対象としては特に制限はないが、例えば、ニワトリ、ウズラ、マウス、ラット、イヌ、ブタ、ネコ、ウシ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、サル、およびヒトなどを含む鳥類、哺乳動物、およびその他の脊椎動物が挙げられる。
細胞に導入する薬剤は所望の化合物であってよく、例えば天然化合物、合成化合物、無機または有機化合物、低分子または高分子化合物などが挙げられる。また遺伝子は所望の核酸であってよく、DNAまたはRNAなどの核酸およびその誘導体が挙げられる。核酸としては、環状および直鎖状の1本鎖もしくは2本鎖のデオキシリボ核酸であっても、リボ核酸であってもよい。核酸の誘導体としては、例えば、ホスフォロチオエート、ホスフォロジチオエート等が例示される。本発明の組成物で運搬する薬剤または遺伝子としては、具体的には、例えば、アンチセンス核酸(Drug Delivery System,10,91-97,1995)、デコイ(The Journal of Biological Chemistry,267,12403-12406,1994)、リボザイム(The Drug Delivery System,10,91-97,1995)、三重鎖DNA(細胞工学、13巻、No.4、277-285、1994)、プラスミドDNA(Methods Enzymology,221,317-327,1993)、RNAベクター、および、これらとキャリアー(Proceedings of National Academy of Sciences of United States of America,89,7934-7938,1992)または、蛋白(Journal of Biological Chemistry,266 (6),3361-3364,1991)との複合体、あるいは、抗癌剤、抗ウイルス剤、トキシン(ジフテリアトキシン;Biochim Biophys Acta,1192,253-262,1994/リシン;Biochim Biophys Acta,1070,246-252,1991)、酵素(Immunology,81,280-284,1994)、あるいはその他の所望の生理活性物質を用いることができる。所望の遺伝子をウイルスゲノム核酸中に挿入し、組み換えウイルスから該遺伝子を発現させることもできる。
回収した粒子は実質的に純粋になるよう精製することができる。精製方法はフィルトレーション(濾過)、遠心分離、吸着、およびカラム精製等を含む公知の精製・分離方法またはその組み合わせにより行うことができる。「実質的に純粋」とは、粒子を含む溶液中で粒子成分が主要な割合を占めることを言う。粒子に蛋白質が含まれる場合は、実質的に純粋な粒子組成物は、溶液中に含まれる全蛋白質(但しキャリアーや安定剤として加えた蛋白質は除く)のうち、粒子の成分として含まれる蛋白質の割合が10%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上を占めることにより確認することができる。パラミクソウィルスのウイルス粒子であれば、具体的な精製方法としては、例えばセルロース硫酸エステルまたは架橋ポリサッカライド硫酸エステルを用いる方法(特公昭62-30752号公報、特公昭62-33879号公報、および特公昭62-30753号公報)、およびフコース硫酸含有多糖および/またはその分解物に吸着させる方法(WO97/32010)等を例示することができる。
本発明の方法で製造された原形質膜粒子は、必要に応じて薬学的に許容される担体または媒体と適宜組み合わせて組成物とすることができる。「薬学的に許容される担体または媒体」とは、粒子と共に投与することが可能であり、原形質膜粒による薬剤または遺伝子の細胞への導入を有意に阻害しない材料である。このような担体または媒体としては、例えば滅菌水、生理食塩水、培養液、血清、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などと適宜組み合わせて製剤化することが考えられる。また本発明の組成物は、脱イオン水、デキストロース水溶液等の担体または媒体を含んでいてもよい。また、リポソームの膜安定化剤(例えばコレステロール等のステロール類)を含んでいてもよい。また、抗酸化剤(例えばトコフェロールまたはビタミンEなど)を含んでいてもよい。さらに、その他にも、植物油、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、殺生物剤等が含有されていてもよい。また保存剤やその他の添加剤を添加することができる。本発明の組成物は、水溶液、カプセル、懸濁液、シロップなどの形態であり得る。また本発明の組成物は溶液、凍結乾燥物、またはエアロゾルの形態の組成物であってよい。凍結乾燥物の場合は安定化剤としてソルビトール、シュークロース、アミノ酸及び各種蛋白質等を含んでいてもよい。本組成物は試薬として、および医薬として有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。なお、本明細書中に引用された文献は、すべて本明細書の一部として組み込まれる。
C蛋白質によるウイルス様粒子放出の増強
ヒト胚腎臓由来293T細胞を、10% FBSを含むDMEM培地を使用し、6ウェルプレートで培養した。約80%コンフルエントになった状態で、センダイウイルス(SeV)のM蛋白質(配列番号:10)、HN蛋白質(配列番号:12)、および C蛋白質(配列番号:6-8)をコードする発現プラスミド(pCAGGSベース (Niwa, H. et al. (1991) Gene. 108: 193-199))(それぞれ配列番号:9、11、および2-4のDNAを含む)をそれぞれ1ウェル当たり360 ng、240 ng、90 ng使用してトランスフェクトした。対照として、C蛋白質をコードするプラスミドの代わりに空のプラスミドを用いてトランスフェクションを行った。トランスフェクションには、リポフェクトアミン試薬およびプラス試薬(インビトロジェン)を用いた。遺伝子導入した翌日に培地を交換し、その24時間後に培養上清を回収した。培養上清を0.45μmのフィルターで濾過した。
(1)
HA活性の測定のために、濾過した培養上清をPBSにより96ウェルプレート上で段階希釈した。等量の0.5%ニワトリ保存血液を加え、4℃に1.5時間放置した。その後、HA活性の判定を行った。図1に示すように、SeV M蛋白質とHN蛋白質に加え、C蛋白質を同時に発現させることにより、HA活性の上昇が認められた。C蛋白質を発現させた細胞の上清中のHA活性は、対照に比べ約8倍であった。
(2)
HN蛋白質のノイラミニダーゼ活性の測定により上清中のウイルス粒子を定量した。1容のノイラミニダーゼ試料を1容の基質-バッファー(2'(4 methylumbelliferyl)-α-D-N-acetylneuraminic acid [4MU-NANA] を0.1 M 酢酸ナトリウムバッファー [pH5.5] に200μM になるように溶解したもの)と混合し、37℃で0.5〜1時間反応させた。反応液を5〜10容の反応停止液(200 mM Glycine/NaOH buffer [pH10.4] - 20% エタノール)と混合したのち、蛍光プレートリーダーにて蛍光を測定した(励起波長 360 nm / 蛍光波長 460 nm)。図2に示すように、C蛋白質を発現させることで、上清中のNA活性は1.7倍に上昇した。
(3)
M抗体を用いたウェスタンブロッティングによりトランスフェクション後の細胞および培養上清のM蛋白質を検出した。その結果、M蛋白質量は細胞中では差がないものの、C蛋白質を発現させた細胞の上清中では対照に比べ顕著に増加した(図3)。この結果は、上清中のM蛋白質を含む粒子放出がC蛋白質の発現により増強されることを示している。
本発明により、細胞からの原形質膜粒子の放出を増強することが可能となった。本発明の方法は、例えばウイルス粒子の製造において、あるいはリポソームの製造において、細胞からの粒子放出を増大させるために有用である。本発明の方法は、例えば既存のウイルス生産系またはリポソーム生産系にマイナス鎖RNAウイルスC蛋白質を発現させるだけで実施することが可能である。生産されたウイルス粒子およびリポソームは、遺伝子治療等において所望の治療遺伝子または薬剤を投与するために用いられる。
C蛋白質による粒子放出の上昇をHAアッセイにより検証した結果を示す図である。 C蛋白質による粒子放出の上昇をNAアッセイにより検証した結果を示す図である。 C蛋白質による粒子放出の上昇をM蛋白質に対する抗体を用いたウェスタンブロッティングにより検証した結果を示す図である。

Claims (7)

  1. 細胞からの原形質膜粒子の放出を促進する方法であって、該細胞においてマイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質を発現または発現を上昇させる工程を含む方法。
  2. 原形質膜粒子がウイルス蛋白質の作用により放出される粒子である、請求項1に記載の方法。
  3. ウイルス蛋白質がマイナス鎖RNAウイルスのウイルス蛋白質である、請求項2に記載の方法。
  4. 該C蛋白質がパラミクソウイルス科ウイルスのC蛋白質である、請求項1に記載の方法。
  5. 該C蛋白質がセンダイウイルスのC蛋白質である、請求項1に記載の方法。
  6. 請求項1に記載の方法により原形質膜粒子の放出を促進する工程を含む、原形質膜粒子の製造方法。
  7. マイナス鎖RNAウイルスのC蛋白質の発現ベクターを含む、原形質膜粒子の放出促進剤。
JP2003277021A 2003-07-18 2003-07-18 原形質膜粒子の放出を促進する方法 Withdrawn JP2005034105A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003277021A JP2005034105A (ja) 2003-07-18 2003-07-18 原形質膜粒子の放出を促進する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003277021A JP2005034105A (ja) 2003-07-18 2003-07-18 原形質膜粒子の放出を促進する方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005034105A true JP2005034105A (ja) 2005-02-10

Family

ID=34213151

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003277021A Withdrawn JP2005034105A (ja) 2003-07-18 2003-07-18 原形質膜粒子の放出を促進する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005034105A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8741650B2 (en) Methods for producing minus-strand RNA viral vectors using hybrid promoter comprising cytomegalovirus enhancer and chicken β-actin promoter
JP3602058B2 (ja) エンベロープ遺伝子欠損パラミクソ科ウイルスベクター
JP3766596B2 (ja) パラミクソウイルスに由来するrnp
EP2034014A1 (en) Therapeutic agent for alzheimer's disease
US20080031855A1 (en) Anticancer Agent Containing Minus-Strand Rna Virus
JPWO2003025570A1 (ja) 粒子形成能が低下した(−)鎖rnaウィルスベクターの検査方法および製造方法
EP1891215B1 (en) Highly safe intranasally administrable gene vaccines for treating alzheimer's disease
WO2016125364A1 (ja) 改良されたマイナス鎖rnaウイルスベクター
JP6927883B2 (ja) 改良されたパラミクソウイルスベクター
CA2627485C (en) Gene transfer into airway epithelial stem cell by using lentiviral vector pseudotyped with rna virus or dna virus spike protein
WO2006137517A1 (ja) 幼少個体への遺伝子導入用ベクター
EP2363472B1 (en) Method for enhancing expression of recombinant protein
JP4903159B2 (ja) アルツハイマー病の治療のための安全性に優れた鼻腔内投与可能遺伝子ワクチン
JP2005034105A (ja) 原形質膜粒子の放出を促進する方法
US20060216824A1 (en) Paramyxovirus vector encoding ribozyme and utilization thereof
US20070105208A1 (en) Minus strand rna virus vector carrying gene modified in high mutation region

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060627

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20070613

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20090309