JP2005032058A - 高分子材料の相分離構造を予測する方法及びその予測方法により高分子材料を製造する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 自己無撞着理論における繰り返し計算に要する時間を短縮し、周囲境界条件の仮定値をより真の値にし、自由エネルギ密度をより安定な構造へ収束させることができ、安定状態の相構造、相転移の様子を正確に歪みなくシミュレーションできる高分子材料の相分離構造を予測する方法及びその予測方法により高分子材料を製造する方法を提供する。
【解決手段】 高分子材料の成分となる高分子化合物の一次構造パラメータを入力する工程、モノマー相互作用エネルギパラメータχを入力する工程、成分組成比を入力する工程、粗視化モデルを作成する工程、及び格子定数最適化法を用いて動的平均場近似(自己無撞着場理論など)でミクロ相分離構造を計算する工程を含む高分子材料の相分離構造を予測する方法。
【選択図】 図3。
【解決手段】 高分子材料の成分となる高分子化合物の一次構造パラメータを入力する工程、モノマー相互作用エネルギパラメータχを入力する工程、成分組成比を入力する工程、粗視化モデルを作成する工程、及び格子定数最適化法を用いて動的平均場近似(自己無撞着場理論など)でミクロ相分離構造を計算する工程を含む高分子材料の相分離構造を予測する方法。
【選択図】 図3。
Description
本発明は高分子材料の相分離構造を予測する方法及びその予測方法により高分子材料を製造する方法に関し、さらに詳細には、格子定数最適化法を用いて動的平均場法でミクロ相分離構造を計算して高分子材料の相分離構造を予測する方法及びその予測方法により所望の相分離構造を与える高分子化合物のパラメータ等を求め、該パラメータを持つ高分子化合物で所望の相分離構造を有する高分子材料を製造する方法に関する。
高分子化合物は、長くて曲がりやすい紐状の分子からなる物質であり、複数の種類の高分子を化学的につなぎ合わせたり、他の化合物を混合したりすることで、複雑な枝分かれ形状や分子構造を設計することができる。このような高分子の持つ自由度の大きさのため、高分子は機能性材料として広く利用されている。
複数種の高分子化合物の機能を併せ持った材料を得るために、高分子化合物を混合することがよく行われている。しかしながら、異種高分子化合物は一般に相溶性が悪く、容易に相分離してしまう。従って、高分子材料の物性を制御するためには、このような相分離構造を制御することが重要となる。
高分子混合系での相分離構造はメソスコピック領域であり、相溶化剤やフィラーが添加された系、反応を伴う系、塗布膜などでは、分子構造や境界条件に応じた複雑なドメイン構造を示す。これらの構造の空間−時間スケールはモノマー単位の大きさや運動のスケールよりも十分に大きいため、ミクロなモデル化の粗視化よりも統計力学的手法による粗視化モデル、たとえば、高分子の多体相互作用を平均場として扱う方法が有効であることが知られている。その一つの方法とし、高分子化合物のセグメントの空間分布をガウス鎖を仮定した経路積分法により求め、セグメント間相互作用の存在下で非圧縮性の条件を満たすように、一本鎖が従う平均場を繰り返し計算により求める自己無撞着法(SCF法)が提案されている。この自己無撞着法は系の安定状態を直接求める静的な平衡計算に利用され、例えばジブロックコポリマーが形成するミクロ相分離構造の相図の予測に利用されている。また、相分離のような非定常状態の時間変化を追う動的平均場法にも利用されている(非特許文献1)。
複数種の高分子化合物の機能を併せ持った材料を得るために、高分子化合物を混合することがよく行われている。しかしながら、異種高分子化合物は一般に相溶性が悪く、容易に相分離してしまう。従って、高分子材料の物性を制御するためには、このような相分離構造を制御することが重要となる。
高分子混合系での相分離構造はメソスコピック領域であり、相溶化剤やフィラーが添加された系、反応を伴う系、塗布膜などでは、分子構造や境界条件に応じた複雑なドメイン構造を示す。これらの構造の空間−時間スケールはモノマー単位の大きさや運動のスケールよりも十分に大きいため、ミクロなモデル化の粗視化よりも統計力学的手法による粗視化モデル、たとえば、高分子の多体相互作用を平均場として扱う方法が有効であることが知られている。その一つの方法とし、高分子化合物のセグメントの空間分布をガウス鎖を仮定した経路積分法により求め、セグメント間相互作用の存在下で非圧縮性の条件を満たすように、一本鎖が従う平均場を繰り返し計算により求める自己無撞着法(SCF法)が提案されている。この自己無撞着法は系の安定状態を直接求める静的な平衡計算に利用され、例えばジブロックコポリマーが形成するミクロ相分離構造の相図の予測に利用されている。また、相分離のような非定常状態の時間変化を追う動的平均場法にも利用されている(非特許文献1)。
しかしながら、前記繰り返し計算には非常に長い時間を要する。またこの計算には周囲境界条件を仮定しなければならないが、高分子のミクロ相分離構造を予測する場合、この仮定により入力される上記発展方程式中のセルサイズLiと実際のミクロ相分離構造が有する特徴的なドメイン間の長さDは必ずしも一致せず、偽の安定構造を与える系全体の自由エネルギ密度に収束して、真の安定構造を与える系全体の自由エネルギ密度に収束しない。そのため、計算によって得られるセグメント分布は、真のセグメント分布に比べ歪みが生じている。
図1は、鎖長Nが20、ブロック比が0.3、χが1のブロックコポリマーをセルサイズ32×32の系に固定し、完全な無秩序状態から始めた自己無撞着場理論による動的平均場法の計算結果である。系は体積分率の少ないセグメントが六方格子上に配置したシリンダ構造の断面構造へ収束しようとする。図2は同計算の系全体の自由エネルギ密度の時間変化を示している。図2からわかるように系全体の自由エネルギ密度は0.042付近で収束し、構造は図1に示したように欠陥を含んでいる。
さらに、従来の計算方法では、高分子化合物を混合したときに不安定状態から、スフェア構造、シリンダ構造、ジャイロイド構造、ラメラ構造などの安定状態に相転移していく様子を正確に求めることができなかった(特許文献2参照)。
特開2003−106989号公報
特開2003−105090号公報
高分子論文集「平均場理論による高分子のメソ領域シミュレーション」Vol.56, No.12, pp.762-771(Dec., 1999)高分子学会
さらに、従来の計算方法では、高分子化合物を混合したときに不安定状態から、スフェア構造、シリンダ構造、ジャイロイド構造、ラメラ構造などの安定状態に相転移していく様子を正確に求めることができなかった(特許文献2参照)。
本発明の目的は、自己無撞着理論における繰り返し計算に要する時間を短縮し、周囲境界条件を課したセルサイズの仮定値をより真の値にし、系全体の自由エネルギ密度をより安定な構造へ収束させることができ、安定状態の相構造、相転移の様子を正確に歪みなくシミュレーションできる高分子材料の相分離構造を予測する方法及びその予測方法により高分子材料を製造する方法を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討をした結果、セルサイズを格子定数最適化法で求めることによって、好適にはセルサイズを式(2)の関係式で求めることによって、上記目的を達成できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討をした結果、セルサイズを格子定数最適化法で求めることによって、好適にはセルサイズを式(2)の関係式で求めることによって、上記目的を達成できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、〔1〕高分子材料の成分となる高分子化合物の一次構造パラメータを入力する工程、モノマー相互作用エネルギパラメータχを入力する工程、成分組成比を入力する工程、粗視化モデルを作成する工程、及び格子定数最適化法を用いて動的平均場近似でミクロ相分離構造を計算する工程を含む高分子材料の相分離構造を予測する方法。
〔2〕動的平均場法の計算を自己無撞着場理論を用いて行った〔1〕記載の高分子材料の相分離構造を予測する方法。
〔3〕格子定数最適化法を用いて動的平均場近似でミクロ相分離構造を計算する工程が、場所rにおけるK種のセグメント密度φK(r)、系全体の自由エネルギF、K種セグメントの運動係数MKによるセグメントの拡散を表す時間発展方程式(1)
〔2〕動的平均場法の計算を自己無撞着場理論を用いて行った〔1〕記載の高分子材料の相分離構造を予測する方法。
〔3〕格子定数最適化法を用いて動的平均場近似でミクロ相分離構造を計算する工程が、場所rにおけるK種のセグメント密度φK(r)、系全体の自由エネルギF、K種セグメントの運動係数MKによるセグメントの拡散を表す時間発展方程式(1)
との連立方程式を数値計算によって解くことを含む請求項1記載の高分子材料の相分離構造を予測する方法。
〔4〕場所rにおけるK種のセグメント密度φK(r)、系全体の自由エネルギF、K種セグメントの運動係数MKによるセグメントの拡散を表す時間発展方程式が式(3)で表されるものである〔3〕記載の高分子材料の相分離構造を予測する方法。
〔5〕場所rにおけるK種のセグメント密度φK(r)、系全体の自由エネルギF、K種セグメントの運動係数MKによるセグメントの拡散を表す時間発展方程式が式(4)で表されるものである〔3〕記載の高分子材料の相分離構造を予測する方法。
本発明によれば、自己無撞着理論における繰り返し計算に要する時間を短縮し、周囲境界条件を課したセルサイズの仮定値をより真の値にし、系全体の自由エネルギ密度をより安定な構造へ収束させることができ、真の安定状態の相構造、相転移の様子を正確に歪みなくシミュレーションできる高分子材料の相分離構造を予測する方法及びその予測方法により高分子材料を製造する方法を提供することができる。さらに、本発明の方法によれば、高分子化合物を混合したときに不安定状態から、スフェア構造、シリンダ構造、ジャイロイド構造、ラメラ構造などの安定状態に相転移していく様子を求めることができる。この方法によって、高分子材料のナノ構造のシミュレーションが可能になる。従来、高分子材料を用いて実験を多数回繰り返して所望の材料特性を持つものを見つけ出していたが、この方法によって、所望特性の高分子材料を構成する成分高分子化合物を少ない実験で見つけ出すことができる。さらに、この方法によって導電性物質と絶縁性物質との相分離構造のシミュレーションが容易に行うことができ、電子素子、電気素子などの設計の速力を大幅に向上させることが可能である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図3は高分子材料の相分離構造を予測する方法の手順を示すフロー図である。
図3は高分子材料の相分離構造を予測する方法の手順を示すフロー図である。
まず、S301では、高分子材料の成分となる高分子化合物の一次構造のパラメータを入力する。一次構造のパラメータとしては、例えば、分子量、分子量分布、分岐構造、シーケンス長、ポリマーブロック長、などが挙げられる。これらのパラメータは高分子化合物を直接に分析して求めることもできるし、モノマー種、モノマー組成比、モノマー添加タイミング、モノマーの反応速度比、溶媒、温度、圧力、触媒などの製造条件から予測して得たものであってもよい。この予測はモンテカルロ法などの公知のシミュレーション法によって行うことができる。
次いで、S302では、モノマー間或いはセグメント間の相互作用エネルギパラメータχを入力する。χパラメータはFloryのχパラメータとして知られているものである。
このχパラメータは、原子を最小単位とする分子動力学法(文献:D. Reith et al.; Macromolecules, vol.34(2001), 2335など参照)、経験的なパラメータを用いた原子団寄与法(文献:van Krevelen,D.W.; Properties of Polymers, Elsevier (1990))によって又は実験値によって決定する。
このχパラメータは、原子を最小単位とする分子動力学法(文献:D. Reith et al.; Macromolecules, vol.34(2001), 2335など参照)、経験的なパラメータを用いた原子団寄与法(文献:van Krevelen,D.W.; Properties of Polymers, Elsevier (1990))によって又は実験値によって決定する。
S303では、相分離構造を予測したい系に存在させる異種重合体化合物の組成比を入力する。重合体化合物としては、ブロック共重合体、例えばA−B型ブロック共重合体、A−(B−A)n型ブロック共重合体、B−(A−B)n型ブロック共重合体などのマルチブロック共重合体が挙げられる。
S304では前記で入力されたパラメータに基づいて動的平均場シミュレーションに用いる粗視化モデルを作成する。モノマー構造を十分多く含み高分子の統計がガウス鎖とみなせる原子団を1セグメントとし、粗視化した鎖長を決定し、χパラメータを鎖長にあわせてスケールする。重合体のモノマー組成からブロック比を計算する。
そして、S305で格子定数最適化法を用いた動的平均場近似で計算を行い、S306としてミクロ相分離構造を算出する。
動的平均場法としては、SCF(自己無撞着場)法と、TDGL(Time dependent Ginzburg Laudau)法などがある。前者は鎖の配位のエントロピー効果を考慮したもので、より正確な高分子混合系のシミュレーションに使われる。後者は計算が非常に早いのであるが、鎖の配位のエントロピー効果を無視しているので正確さに欠ける。
動的平均場におけるモデルは、式(1)で表される。
動的平均場法としては、SCF(自己無撞着場)法と、TDGL(Time dependent Ginzburg Laudau)法などがある。前者は鎖の配位のエントロピー効果を考慮したもので、より正確な高分子混合系のシミュレーションに使われる。後者は計算が非常に早いのであるが、鎖の配位のエントロピー効果を無視しているので正確さに欠ける。
動的平均場におけるモデルは、式(1)で表される。
動的平均場法は相分離や反応による高分子の濃度の時間発展を計算する方法である。動的平均場法では、分子動力学のようなすべての分子を認識する手法と、有限要素法や有限差分法のように分子集合体を完全な連続場にする手法との中間的手法で計算する。
式(3)は遥動散逸定理を満たすようにノイズを考慮したモデルであり、(4)はさらにシェアを考慮したモデルである。これらのモデルを用いることによって、計算の安定性、収束性が高くなり、真の安定状態の構造を求めやすくなる。
これらのモデルを用いて計算するために、周囲境界条件を課したセルサイズを入力する必要がある。従来はセルサイズを鎖長やブロック比などからモデル計算して求めていた。セルサイズは既知構造の高分子化合物についてはモデル計算によって近似値を得ることができるが、その近似値は実際の値と必ずしも一致しない。また未知構造の高分子化合物についてはモデル計算ができなった。
本発明では、周囲境界条件を課した系のセルサイズを式(2)で求める。
本発明では、周囲境界条件を課した系のセルサイズを式(2)で求める。
この式(2)で系全体の自由エネルギ密度が最小になるようにセルサイズを変化させることによって、未知構造の高分子化合物であっても、真の安定構造を求めることができる。
本発明の高分子材料の製造方法は、上記予測方法によって、相分離構造を予測し、所望の相分離構造を与えるときの高分子化合物の一次構造パラメータ、成分組成比、モノマー相互作用エネルギパラメータχを求め、これらの値を持つ高分子化合物を合成し、必要に応じて添加剤を混合して、所望のミクロ相分離構造を有する高分子材料を製造する方法である。
高分子化合物の一次構造パラメータ、成分組成比、モノマー相互作用エネルギパラメータχは、上記予測方法で入力したパラメータである。上記予測方法で所望の相分離構造を与えるような入力パラメータを探し出することによって、高分子化合物の一次構造パラメータ、成分組成比、モノマー相互作用エネルギパラメータχを求めるのである。この方法によって、所望相分離構造になる高分子化合物を容易に設計し製造することができるのである。
以下に、本発明の方法を適用した例を示す。
高分子化合物の一次構造パラメータ、成分組成比、モノマー相互作用エネルギパラメータχは、上記予測方法で入力したパラメータである。上記予測方法で所望の相分離構造を与えるような入力パラメータを探し出することによって、高分子化合物の一次構造パラメータ、成分組成比、モノマー相互作用エネルギパラメータχを求めるのである。この方法によって、所望相分離構造になる高分子化合物を容易に設計し製造することができるのである。
以下に、本発明の方法を適用した例を示す。
鎖長Nが20、ブロック比が0.3、χが1のブロックコポリマーを、初期セルサイズが32×32である完全な無秩序状態におき、Qi=0.01とした格子定数最適化法を導入した自己無撞着場理論による動的平均場法の計算を行った。計算は、SUSHI(Sumilation Utilities for Soft and Hard Interfaces:経済産業省の出資・補助を受け、エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が(財)化学技術戦略推進機構に委託した、大学連携型産業科学技術研究開発プロジェクト「高機能材料設計プラットフォーム」の下で開発され、現在OCTA管理委員会が権利を有するフリーソフトウェア)に、格子定数最適化のルーチンを組み入れて行った。
本発明の予測方法によれば、図4に示すとおり、格子欠陥がない六方格子上に配置したシリンダ構造の断面構造が得られている。また図5に示すとおり、系全体の自由エネルギがより低い状態になりセルサイズの影響を受けない真の安定構造が得られた。
本発明の予測方法によれば、図4に示すとおり、格子欠陥がない六方格子上に配置したシリンダ構造の断面構造が得られている。また図5に示すとおり、系全体の自由エネルギがより低い状態になりセルサイズの影響を受けない真の安定構造が得られた。
比較例
鎖長Nが20、ブロック比が0.3、χが1のブロックコポリマーを固定したセルサイズ32×32の系におき、完全な無秩序状態から始めた自己無撞着場理論による動的平均場法の計算を行った。この計算方法によった場合、図2からわかるように系全体の自由エネルギ密度は0.042付近で密度低下が鈍くなっている。さらに密度を低下させた結果を得るためにはこの計算をさらに長時間続けなければならないことがわかる。時間2500における構造は図1に示したように欠陥を含んでいた。
鎖長Nが20、ブロック比が0.3、χが1のブロックコポリマーを固定したセルサイズ32×32の系におき、完全な無秩序状態から始めた自己無撞着場理論による動的平均場法の計算を行った。この計算方法によった場合、図2からわかるように系全体の自由エネルギ密度は0.042付近で密度低下が鈍くなっている。さらに密度を低下させた結果を得るためにはこの計算をさらに長時間続けなければならないことがわかる。時間2500における構造は図1に示したように欠陥を含んでいた。
本発明方法によって、高分子材料のナノ構造のシミュレーションが可能になる。従来、高分子材料を用いて実験を多数回繰り返して所望の材料特性を持つものを見つけ出していたが、この方法によって、所望特性の高分子材料を構成する成分高分子化合物を少ない実験で見つけ出すことができる。さらに、この方法によって導電性物質と絶縁性物質との相分離構造のシミュレーションが容易に行うことができ、電子素子、電気素子などの設計の速力を大幅に向上させることが可能である。
Claims (6)
- 高分子材料の成分となる高分子化合物の一次構造パラメータを入力する工程、モノマー相互作用エネルギパラメータχを入力する工程、成分組成比を入力する工程、粗視化モデルを作成する工程、及び格子定数最適化法を用いて動的平均場法でミクロ相分離構造を計算する工程を含む高分子材料の相分離構造を予測する方法。
- 動的平均場法の計算を自己無撞着場理論を用いて行った請求項1記載の高分子材料の相分離構造を予測する方法。
- 格子定数最適化法を用いて動的平均場近似でミクロ相分離構造を計算する工程が、
場所rにおけるK種のセグメント密度φK(r)、系全体の自由エネルギF、K種セグメントの運動係数MKによるセグメントの拡散を表す時間発展方程式(1)
との連立方程式を数値計算によって解くことを含む請求項1記載の高分子材料の相分離構造を予測する方法。 - 請求項1〜5記載の方法で高分子材料の相分離構造を予測し、所望の相分離構造を与えるときの高分子化合物の一次構造パラメータ、成分組成比、モノマー相互作用エネルギパラメータχを求め、これらの値を持つ高分子化合物を合成し、必要に応じて添加剤を混合して、所望のミクロ相分離構造を有する高分子材料を製造する方法。
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