JP2005031726A - 航行安全性評価方法、航行安全性評価システム及び航行安全性評価用プログラム - Google Patents

航行安全性評価方法、航行安全性評価システム及び航行安全性評価用プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2005031726A
JP2005031726A JP2003192685A JP2003192685A JP2005031726A JP 2005031726 A JP2005031726 A JP 2005031726A JP 2003192685 A JP2003192685 A JP 2003192685A JP 2003192685 A JP2003192685 A JP 2003192685A JP 2005031726 A JP2005031726 A JP 2005031726A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ship
time
speed
predetermined
maneuvering
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003192685A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3769269B2 (ja
Inventor
Kinzo Inoue
欣三 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Marine Science Inc
Original Assignee
Japan Marine Science Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Marine Science Inc filed Critical Japan Marine Science Inc
Priority to JP2003192685A priority Critical patent/JP3769269B2/ja
Publication of JP2005031726A publication Critical patent/JP2005031726A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3769269B2 publication Critical patent/JP3769269B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】船舶の操船状態が事故の背後に潜在する不安全な状態であるか否かを客観的に判定可能な航行安全性評価方法を提供する。
【解決手段】船舶100の操船過程における所定の時点t1の操縦状態を継続したと仮定した場合に時点t1から船舶100が他船201等に衝突するまでの時間を計算するとともに、時点t1の船舶100の速力を所定の変換規則に従って基準時間に変換し、衝突するまでの時間が基準時間よりも短いか否かの判定結果に基づいて、船舶の航行の安全性を評価する。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、実際の船舶航行やシミュレーションによって計算される船舶航行の安全性を評価する航行安全性評価方法、航行安全性評価システム及び航行安全性評価用プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
航行安全性を評価する方法として、事故の背後に潜在するニアミスを検出して評価する方法が知られている(非特許文献1)。この評価方法では、実船の操舵室を模した操舵室と、操舵室の周囲に模擬景観を表示するスクリーンとを備えた操船シミュレータを用いた操船シミュレータ実験により、所定の水域を航行するときの操船過程に関するデータを得る。そして、得られたデータの複数の時点についてニアミス状態であるか否かを判定し、ニアミス状態であった時点の比率を求めることにより航行の安全性を評価する。
【0003】
【非特許文献1】
「日本航海学会論文集」、社団法人日本航海学会、平成12年3月、第102号、p.203−209
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ニアミスは操船者が主観的にヒヤリハットを感じる状態であるから、ニアミスであるか否かの判定を客観的に下すことは困難である。
【0005】
そこで、本発明は、船舶の操船状態が事故の背後に潜在する不安全な状態であるか否かを客観的に判定可能な航行安全性評価方法、航行安全性評価システム、航行安全性評価用プログラムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0007】
本発明の航行安全性評価方法は、所定の水域内の船舶(100)の操船過程における所定の時点の操縦状態を継続したと仮定した場合に前記時点から前記船舶が前記水域内の障害物(200、201)に衝突するまでの時間を計算するとともに、前記時点の前記船舶の速力を所定の変換規則に従って基準時間に変換し、前記衝突するまでの時間が前記基準時間よりも短いか否かの判定結果に基づいて、前記船舶の航行の安全性を評価することにより、上述した課題を解決する。
【0008】
請求項1の評価方法によれば、そのままの操縦状態を継続すると危険が顕在化するまでの時間が基準時間よりも短いか否かが判定されるから、事故の背後に潜在する不安全な操船状態が検出される。しかも、基準時間は、速力を所定の変換規則に従って変換したものであるから、物理的な側面から定められる客観的な判定基準により不安全な操船状態であるか否かが判定される。従って、その判定結果に基づいて航行安全性を評価することにより、事故発生の可能性が客観的に評価される。
【0009】
なお、所定の変換規則は、例えば、所定の時点の船舶の速力が特定の操船手順により所定の停止状態の速力になるまでの時間としてもよいし、その時間に所定の係数を乗算したり定数を加算して補正したものでもよい。請求項1の評価方法により、実船又はシミュレーションにおける過去の操船過程について航行安全性を評価してもよいし、実船又はリアルタイムシミュレーションにおいて実行中の操船過程について、現時点の操縦状態を継続したと仮定し、リアルタイムで航行安全性を評価してもよい。
【0010】
請求項1の評価方法において、前記変換規則には、クラッシュアスターン時において前記時点の前記船舶の速力が所定の停止状態の速力になるまでに要する時間を前記基準時間とする規則が含まれていてもよい。
【0011】
ハインリッヒの法則では、1件の重大事故の背後には300件のヒヤリ、ハットを感じるニアミスが存在し、さらにその背後には数千(10オーダー)の不安全状態が潜在するとされている。一方、基準時間に主としてクラッシュアスターン時に停止するまでの時間を用い、衝突までの時間が基準時間よりも短い状態を不安全な操船状態として検出すると、事故発生率と不安全な操船状態の出現率との比率は10オーダー又はこれに近いオーダー(10オーダー、10オーダー)となる。従って、ハインリッヒの法則でいえば、請求項2の好ましい態様において不安全な操船状態を検出することは、1件の重大事故の陰に潜む数千の不安全状態を検出することに対応する。すなわち、所定の時点における事故発生の可能性が10−3オーダー又はこれに近いオーダーであるか否かの判定結果が得られ、航行安全性が客観的に評価される。
【0012】
なお、停止状態は、船舶が停止したとみなせる状態であり適宜に設定してよい。例えば、船舶の前進する速力がゼロになる状態でもよいし、衝突しても船舶に損害が発生しない程度にまで速力が小さくなった状態でもよい。
【0013】
請求項1の評価方法において、前記変換規則には、前記時点の前記船舶の速力が所定の設定速力未満の場合には、クラッシュアスターン時において前記時点の前記船舶の速力が所定の停止状態の速力になるまでに要する時間を前記基準時間とし、前記時点の前記船舶の速力が所定の設定速力以上の場合には、操船者の危険感が所定の基準レベルに達するときの衝突までの時間を前記基準時間とする規則が含まれていてもよい。
【0014】
この場合、クラッシュアスターン時において船舶が停止状態になるまでに要する時間を基準時間とするときは、上述のように所定の時点における事故発生の可能性が10−3オーダー又はこれに近いオーダーであるか否かの判定結果が得られ、航行安全性が客観的に評価される。一方、船型が大きくなるとある程度の速力以上ではクラッシュアスターンをかけてから停止するまでの時間が極端に長くなる場合も生じる。例えば、VLCCが12ノットで航行する場合を想定すると、クラッシュアスターンをかけてから停止するまでの時間は20分程度となるから、衝突までに20分もの時間があっても不安全操船状態であると判定されることになる。しかし、20分もの時間余裕の間には十分危険回避の余地があるとも考えられ、このような場合にもクラッシュアスターンをかけてから停止するまでの時間に基づいてTTCを評価することは合理的とはいえない。請求項3の好ましい態様では、船舶の速力が設定速力よりも大きい場合には操船者の危険感が所定の基準レベルに達する時間に基づいて衝突までの時間を評価するから、上述の不合理が解消される。
【0015】
請求項1の評価方法において、前記変換規則には、前記時点の前記船舶の速力が所定の基準速力を超える場合には、クラッシュアスターン時において前記時点の前記船舶の速力が所定の停止状態になるまでに要する時間を前記基準時間とし、前記時点における船舶の速力が所定の基準速力以下の場合には、前記基準速力で前進する前記船舶を全速後進で所定の停留状態にするのに要する時間を前記基準時間とする規則が含まれていてもよい。
【0016】
この場合、クラッシュアスターン時において船舶が停止状態になるまでに要する時間を基準時間とするときは、上述のように所定の時点における事故発生の可能性が10−3オーダー又はこれに近いオーダーであるか否かの判定結果が得られ、航行安全性が客観的に評価される。一方、バース近傍で離着岸操船に入る時などにおいては自船速力は十分小さくなり、この場合は、船の運動はもはや前進(u)が主たる運動ではなくなり、横流れ(v)、旋回(r)、時には後進(−u)も現れる。バース近傍で生じるこのような運動に対する不安全操船状態の判断までを、その運動の前進速力をキャンセルすることを念頭に置いた時間により衝突までの時間を評価することは合理的とはいえない。横流れ、旋回、時には後進の運動又はこれらが複合した運動は、通常、主機やスラスター、タグによって消去されるが、その対処方法は一律ではない。そこで典型的なバース近傍での運動状態を操船実務者がタグまたはスラスターを使ってこれらの運動を消去する様子をこれまでの操船シミュレータ実験のデータをもとに調査するとともに、典型的な運動を消去するに要する時間をシミュレーションによって実験的に求めてみると、どの船型においてもその船の所定速力の前進運動を消去するに必要な時間とオーダー的に一致することが判明した。従って、請求項4の好ましい態様のように、基準速力で前進する船舶を全速後進で所定の停留状態にするのに要する時間により衝突までの時間を評価することにより、上述した不合理が解消される。
【0017】
なお、基準速力は、全速後進で消去するに要する時間が離着岸操船における運動を消去する時間に一致する速力を求めて、適宜に設定してよい。例えば、基準速力を2ノットとしてもよい。また、停留状態は、船舶が停止したとみなせる状態であり適宜に設定してよい。例えば、船舶の前進行脚がゼロになる状態でもよいし、衝突しても船舶に損害が発生しない程度にまで速力が小さくなった状態でもよい。上述した停止状態と同じ状態であってもよいし、異なる状態でもよい。
【0018】
請求項1〜4の評価方法において、前記操船過程における複数の前記時点について前記衝突するまでの時間が前記基準時間よりも短いか否かを判定し、前記衝突するまでの時間が前記基準時間よりも短いと判定された時点の数と前記複数の時点の数との比率を算出してもよい。
【0019】
この場合、算出した比率から事故の発生率が推定される。また、クラッシュアスターン時において船舶が停止状態になるまでに要する時間を基準時間とする場合には、1件の事故の背後に潜在する10オーダー又はこれに近いオーダーの不安全操船状態が検出されるから、算出した比率に10−3等を乗算すれば事故の発生率が求められる。さらに、不安全状態の出現率はニアミスの出現率よりも高いから、ニアミスの出現率を求めて事故の発生率を推定する場合に比較して、母数となる操船過程の数が少なくても精度よく事故の発生率が推定される。例えば、港湾計画等に関連して航行安全性を評価する場合、操船シミュレータを用いた実験が行なわれているが、操船シミュレータ実験は時間的、経済的に多くの実験ケースをこなすことが難しい。しかし、不安全操船状態を検出する場合には、ニアミス状態を検出する場合に比較して、少ない実験ケースで事故発生率を求めることができる。
【0020】
請求項6の航行安全性評価システム(1、20、40)は、所定の水域内の船舶(100)の操船過程における所定の時点の操縦状態を継続したと仮定した場合に前記時点から前記船舶が前記水域内の障害物(200、201)に衝突するまでの時間を計算する計算手段(2)と、前記時点の前記船舶の速力を所定の変換規則に従って基準時間に変換する変換手段(2)と、前記衝突するまでの時間が前記基準時間よりも短いか否かの判定結果を特定可能な情報を出力する出力手段(2)とを備えることにより、上述した課題を解決する。
【0021】
請求項6の評価システムによれば、出力手段により出力された情報に基づいて、航行安全性を評価することができるから、請求項1の航行安全性評価方法が実現される。
【0022】
なお、出力手段の出力する情報は、衝突するまでの時間及び基準時間自体でもよいし、衝突するまでの時間が基準時間よりも短いか否かの判定結果でもよい。出力手段は、例えばディスプレイに情報を表示するものでもよいし、紙に情報を印刷するものであってもよいし、記憶媒体に情報を記録するものでもよい。
【0023】
請求項7の評価システム(20)は、模擬操舵室(22)における操縦状態に応じて前記模擬操舵室周囲の擬似景観を変化させる操船シミュレータ(21)のユーザに前記模擬操舵室において操縦される船舶の航行安全性に関連する情報を提示する航行安全性評価システムにおいて、前記船舶の現時点の操縦状態を継続したと仮定した場合に前記船舶が前記船舶周囲の障害物に衝突するまでの時間を計算する計算手段(2)と、前記現時点の前記船舶の速力を所定の変換規則に従って基準時間に変換する変換手段(2)と、前記衝突するまでの時間が前記基準時間よりも短いか否かの判定結果を特定可能な情報を前記ユーザに提示する提示手段(32)とを備えることにより、上述した課題を解決する。
【0024】
請求項7の航行安全性評価システムによれば、出力手段により出力された情報に基づいて航行安全性を評価できるから、請求項1の航行安全性評価方法が実現される。さらに、提示手段によりリアルタイムで情報が提示されるから、ユーザは模擬景観を視認することによる主観的な安全性評価と、提示された情報を踏まえた客観的な安全性評価とを並行して行なうことができる。従って、航行安全性の多面的な評価が可能となり、操船シミュレータの安全性評価への活用が促進される。
【0025】
なお、提示手段は、画面に情報を表示する等して視覚的に情報を提示してもよいし、評価結果が所定の値になったときに警告音を発する等して聴覚的に情報を提示してもよい。提示手段により情報を提示されるユーザは、操船者等の模擬操舵室内部のユーザでもよいし、インストラクター等の模擬操舵室外部のユーザでもよい。
【0026】
請求項8の航行安全性評価システム(40)は、実際の船舶(100)に設けられた情報取得手段により前記船舶の位置及び前記船舶周囲の障害物(200、201)の位置を含む航行情報を取得して、前記船舶の操船者に前記船舶の航行安全性に関連する情報を提示する航行安全性評価システムにおいて、前記船舶の現時点の操縦状態を継続したと仮定した場合に前記船舶が前記船舶周囲の障害物に衝突するまでの時間を計算する計算手段(2)と、前記現時点の前記船舶の速力を所定の変換規則に従って基準時間に変換する変換手段(2)と、前記衝突するまでの時間が前記基準時間よりも短いか否かの判定結果を特定可能な情報を前記ユーザに提示する提示手段(32)とを備えることにより、上述した課題を解決する。
【0027】
請求項8の航行安全性評価システムによれば、出力手段により出力された情報に基づいて航行安全性を評価できるから、請求項1の航行安全性評価方法が実現される。さらに、提示手段によりリアルタイムで情報が提示されるから、操船者は自己の操船の安全性を客観的に評価することができ、海上交通の安全性が確保される。
【0028】
請求項9の航行安全性評価プログラム(PG)は、コンピュータ(1、20、40)を、所定の水域内の操船過程における所定の時点の操縦状態を継続したと仮定した場合に前記時点から前記船舶が前記水域内の障害物に衝突するまでの時間を計算する計算手段(2)、前記時点の前記船舶の速力を所定の変換規則に従って基準時間に変換する変換手段(2)、前記衝突するまでの時間が前記基準時間よりも短いか否かの判定結果を特定可能な情報を出力する出力手段(2)として機能させることを特徴とする航行安全性評価用プログラム。
【0029】
請求項7の航行安全性評価用プログラムによれば、請求項2の航行安全性評価用システムが実現される。
【0030】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る航行安全性評価システム1の構成を示している。評価システム1は、例えばCPU2、ROM3、RAM4、外部記憶装置5、入力装置6、モニタ7を備えたコンピュータとして構成されている。CPU2が外部記憶装置5に記録された評価用プログラムPGを実行することにより、CPU2は本発明の評価システムとして機能する。
【0031】
外部記憶装置5には、航行安全の評価に必要な種々の評価用データD0が含まれている。評価用データD0には、例えば、評価対象となる船舶(自船)の操船過程に関する情報を内容とする操船結果データD1、自船の船体形状の情報を内容とする船体形状データD2、自船が航行した地形情報を内容とする地形データD3、自船航行時の他船の航行状況に関する情報を内容とする他船交通流データD4、自船航行時の風浪や潮流等の外乱に関する情報を内容とする自然外乱データD5が記録されている。
【0032】
図2を参照して評価システム1により実行される航行安全性の評価の概要を説明する。
【0033】
図2(a)は、所定の水域において自船100が他船200や陸岸201を避けるようにして航行している状況を示している。この図において、実線L1は実際の自船の航跡を、実線L1上の自船100…100は所定の時間間隔でプロットした自船の位置を、実線L2は他船200の航跡を、実線L2上の他船200は所定の時間間隔でプロットした他船の位置を示している。評価システム1は、実線L1上の自船100…100において、その時点の舵や機関等の操作状態が固定されたと仮定したときの予測航跡L3…L3をそれぞれ計算する。なお、1本の予測航跡L3、又は、予測航跡L3…L3の集合、及び、予測航跡L3…L3の集合によって形成される閉じた領域を潜在的操船水域ということがある。
【0034】
評価システム1は、予測航跡L3における自船100が障害物に衝突するまでのTTC(危険が顕在化するまでの余裕時間、Time To Collision)を計算する。例えば、位置p1の時点から位置p2で他船200と衝突するまでの時間や、位置p3の時点から位置p4で陸岸201に乗り揚げるまでの時間を計算する。この際、評価システム1は、船体のどの部分が衝突するかの情報も得る。
【0035】
評価システム1は、計算したTTCが所定の基準時間(図7(a)参照)以下であるか否かを判定し、基準時間以下である場合、不安全操船状態(そのままの操縦状態を継続すると近い将来危険が顕在化するような状態)であると判定する。そして、不安全操船状態と判定された回数を不安全操船状態か否かの判定を行なった回数で除算して不安全操船状態の出現率を求める。
【0036】
図3(a)は、操船結果データD1の内容を示している。操船結果データD1は、例えばファーストタイムシミュレーションやリアルタイムシミュレーションにおいて計算された自船100の状態が所定の時間間隔で記録されることにより、又は実船に搭載された計器の測定値が所定の時間間隔で記録されることにより生成され、記録媒体や通信装置を介して評価システム1の外部記憶装置5にコピーされている。操船結果データD1は、例えば、時刻と、重心座標(X、Y)と、船首方位角(ψ)と、運動状態量と、操作(操縦)状態量とを対応付けて保持している。運動状態量としては、例えば速度(u、v)と、回頭角速度(r)とを保持している。操作状態量としては、例えば操舵角(δ)、主機回転数(E)とを保持している。なお、これらは一例であり、運動状態量、操作状態量として種々の情報を保持してよい。例えば、運動状態量として自船の加速度を保持してもよいし、操作状態量としてタグ、スラスター、係留索、錨と錨鎖の係駐力に関する情報を保持してもよい。
【0037】
図3(b)は、船体形状データD2の内容を示している。船体形状データD2は、自船100の船体形状(外形)を5角形で近似した場合の頂点P1〜P5(図2(b)参照)の重心Gに対する相対座標を保持している。
【0038】
図4は、CPU2が実行する安全性評価ルーチンの手順を示すフローチャートである。このルーチンは、例えばユーザが入力装置6に対して所定の入力操作を行なったときに開始される。ステップS1では、CPU2は、操船結果データD1のうち、一つの時間断面に対応するデータ、例えば図3(a)の時刻t1に対応する1行分のデータdを読み込む。ステップS2では、読み込んだデータdに基づいて、その時刻の操縦状態を継続したと仮定したときの予測航跡L3(潜在的操船水域)を計算する。ステップS3では、計算された予測航跡L3に基づいて、不安全操船状態であるか否かを判定する。ステップS4では、所定の終了条件が満たされたか否か、例えば、最終行のデータdまで読み込んだか否か判定する。終了条件が満たされていないと判定した場合は、ステップS1〜S3を繰り返し実行し、以降のデータdについても順次不安全操船状態か否かを判定する。終了条件が満たされたと判定した場合は、ステップS3において不安全操船状態と判定された回数を不安全操船状態か否か判定した回数で除算して不安全操船状態の出現率を算出し、算出した出現率を外部記憶装置5に記録する(ステップS5)。その後、ルーチンを終了する。
【0039】
図5は、CPU2が重心Gについて予測航跡L3を計算するために実行する潜在的操船水域計算ルーチンの手順を示すフローチャートである。このルーチンは、図4のステップS2にて実行される。CPU2は、まず、ステップS1(図4)で読み込まれたデータの内容を現在時刻Tにおける自船100の状態として設定する(ステップS11)。次に、現在時刻TをΔtだけ増加させたときの自船100の重心座標や船首方位角等の運動状態を計算し、計算結果を外部記憶装置5又はRAM4に記録する(ステップS12、S13)。この際、自船100の舵角や主機回転数等の操作状態は、初期設定のままとする。また、自然外乱データD5に基づいて、風浪や潮流が自船100に及ぼす影響を考慮する。ステップS14では所定の終了条件が満たされたか否か、例えばTの初期設定からの増加分が設定した時間を経過したか否かを判定し、終了条件が満たされていないと判定した場合はステップS12、S13を繰り返し実行する。終了条件が満たされたと判定した場合はルーチンを終了する。なお、ステップS13では、例えばMMGモデルやMMSモデル等の船体重心の運動を表した運動方程式を解くことにより、船舶の運動状態を計算する。
【0040】
図6は、CPU2が実行する不安全操船状態検出ルーチンの手順を示すフローチャートである。このルーチンは、図4のステップS3において実行される。まず、CPU2は潜在的操船水域計算ルーチン(図5)の計算結果、地形データD3、他船交通量データD4に基づいて、予測航跡L3の重心Gが他船200、陸岸201等の障害物と衝突するか否かを判定する(ステップS21、S22)。衝突すると判定した場合は、TTCを計算する(ステップS23)。衝突しないと判定した場合は、ステップS23をスキップする。
【0041】
ステップS24では、予測航跡L3の重心座標に対して座標変換を行い、予測航跡L3における点P1〜P5の座標を算出する。この座標変換は、船体形状データD2の保持する点P1〜P5の相対座標及び予測航跡L3における船首方位角に基づいて行なう。予測航跡L3における点P1〜P5の座標が算出されることにより、予測航跡L3における各線分SL1〜SL5(図2(b)参照)の位置が把握される。ステップS25では、線分SL1〜SL5のいずれか一つについて障害物と衝突するか否かを判定し(ステップS25)、衝突すると判定した場合はTTCを計算する。衝突しないと判定した場合はステップS26をスキップする。ステップS27では、線分SL1〜SL5の全てについて計算が終了したか否か判定する。終了していないと判定した場合はステップS25〜S26を繰り返し実行し、残りの線分について順次TTCの計算を行なう。
【0042】
全ての線分SL1〜SL5について計算が終了したと判定した場合は、計算したTTCと所定の基準時間とを比較して、不安全操船状態か否か判定する(ステップS28)。この判定においては、各線分SL1〜SL5毎に求められたTTCを適宜に利用してよい。例えば線分SL1〜SL5について計算されたTTCのうち、最も短いTTCと基準時間とを比較し、TTCが基準時間以下である場合に不安定操船状態と判定してもよいし、線分SL1〜SL5及び重心座標のTTCを平均したものと基準時間とを比較し、TTCが基準時間以下である場合に不安全操船状態と判定してもよい。
【0043】
なお、線分SL1〜SL5において、最もTTCが短いものを特定することにより線分SL1〜SL5のいずれが衝突するかについての情報を得ることができる。この際、各線分SL1〜SL5のいずれが衝突するかを特定するだけでもよいし、さらに衝突する線分のどの位置(点)が衝突するかについて特定してもよい。
【0044】
ステップS28において、TTCと比較する基準時間は、自船の船型、船速、操縦性等の種々の条件に基づいて適宜に設定してよいが、例えば図7(a)及び図7(b)に示すように設定してもよい。図7(a)において横軸は自船100の速力(u)、縦軸はTTC、実線L10は基準時間を示しており、基準時間は、速力がsp1以下の範囲、sp1〜sp2の範囲、sp2以上の範囲に分けてそれぞれ設定されている。
【0045】
自船100の速力がsp1以下の範囲では、自船100の前進行脚sp1ノットを全速後進で消去するのに必要な時間を基準時間としている。sp1は例えば2ノットとしてよい。
【0046】
自船100の速力がsp1〜sp2の範囲では、その速力に応じた最短停止時間(Short Stopping Time、以下「SST」ということがある。)を基準時間としている。具体的には、クラッシュアスターン時に速力がゼロになるまでに要する時間を基準時間としている。
【0047】
自船100のクラッシュアスターン時に速力がゼロになるまでに要する時間は、シミュレーションや実船実験等により適宜に算定してよいが、図7(a)では、次式に示す推定式により、速力に応じたSSTを算定している。
【数1】
Figure 2005031726
この式において、SSTは、速力Vのときにクラッシュアスターンをかけて距離SSD(Short Stopping Distance)で停止する性能を有する船舶における、速力Vのときの最短停止時間である。速力Vに応じたSSTは、速力Vの減少とともに比例的に減少する。図7(a)の点線L11は、上式においてVが12ノットのときにSSDが6L(Lは船長)となる性能を想定した算定結果を示している。
【0048】
自船100の速力がsp2以上の範囲では、操船者の危険感が所定のレベルに達するときのTTCを基準時間としている。操船者の危険感が所定のレベルに達するときのTTCは、種々の方法により特定してよい。例えば、操船シミュレータ実験において船舶を障害物に向けて航行させつつ、操船者にどの程度危険を感じるかアンケートを行なって、操船者の危険感が所定のレベルに達するときのTTCを求めてもよい。このような方法により得られた操船者の危険感とTTCとの関係を示す式として、例えば、SJ値の計算式(「日本航海学会論文集」、社団法人日本航海学会、平成10年3月、第98号、p.235−245)を利用してもよい。SJ値は操船者の危険感を示すものであり、SJ=6(極めて危険)、5(かなり危険)、4(やや危険)、3(どちらともいえない)、2(やや安全)、1(かなり安全)、0(極めて安全)と感覚ランク別に基準が設定されている。そして、以下の式によりSJ値が所定のレベルになるときのTTC(以下、「SJT」ということがある。)を算出すればよい。
【数2】
Figure 2005031726
【数3】
Figure 2005031726
SJは、護岸への接近に対して操船者が感じる危険感であり、SJは、他船との接近に対して操船者が感じる危険感である。SJ値は感覚ランク別に基準が設定されているから、所定のレベルとしていずれかの感覚ランクを適宜に選択可能であり、不安全操船状態の検出にセンシティビティーを取り入れることができる。図7(a)及び図7(b)では、SJ=6となるSJTを基準時間として用いている。なお、sp2はSSTとSJTとが一致するときの速力として求められる。以上のように基準時間を設定すると、SSTやSJTは船型によって異なるため、図7(b)に示すように、大型船ほど基準時間が長くなる。
【0049】
上述した評価システム1により航行安全性を評価した例を示す。
【0050】
図8は、神戸港をモデルに第三航路を入港し麻耶埠頭に向けて航行する間の操船について、時々刻々のTTCの計算結果を自船の速力低減の様子とともに図示したものである。図の横軸は時間経過、左縦軸はTTC、右縦軸は速力である。また、実線L20は自船の速力、実線L21は計算したTTC、実線L22は速力に応じた基準時間である。
【0051】
TTCの値のプロットが、判定基準線の下方に落ちるとき不安全操船状態と判定される。横軸1000秒付近までは防波堤入口を通過する時点に対応し、そこでは不安全操船状態が出現しているが、港内に入った後は速力を十分落としたことにより不安全な操船状態が減少している。
【0052】
陸岸に対するTTCと比較する基準時間として図7(a)に示した基準時間(sp1=2ノット、V=12ノット、SSD=6L)を用い、他船に対するTTCと比較する基準時間として、自船速力に関らずSJT(SJ=6)を用いた評価結果を図9(a)及び図9(b)に示す。
【0053】
図9(a)及び図9(b)は、横浜港、神戸港、大阪港における操船シミュレータ実験の操船結果(社団法人日本海難防止協会、「入出港等航行援助業務に関する調査報告書」、平成9年3月、平成11年3月)において検出された不安全操船状態の出現率と、当該港湾において発生した衝突と乗り揚げの事故発生率(社団法人日本海難防止協会、「入出港等航行援助業務に関する調査報告書」、平成12年3月)とを対比して示している。横軸は自船100の船型を、円形のマークm1…m1は不安全操船状態の出現率を、矩形のマークm2…m2は事故発生率を示している。なお、図9(a)は船長による操船結果を評価したもの、図9(b)は水先人による操船結果を評価したものである。
【0054】
これらの図に示すように、不安全操船状態の出現率と、それぞれ対応する海域での事故発生率は、両者の比がほぼ10−3のオーダーで一致している。これは、ハインリッヒの法則でいえば、不安全操船状態の検出は、1件の顕在化した事故の陰に潜む数千(10オーダー)の不安全状態を検出していることに対応する。従って、一連の操船過程から不安全操船状態の発生回数を求めて、10−3の比率の関係からその操船過程に潜在する事故危険度を推定できる。
【0055】
(第2の実施形態)
図10は、本発明の第2の実施形態に係る不安全操船状態検出システム20の構成を示している。検出システム20は、操船シミュレータ21とリンクしたシステムとして構成されている。
【0056】
操船シミュレータ21は、実船の操舵室を模した操舵室22と、操舵室22の前面側に配置されたスクリーン23と、スクリーン23上に景観画像を表示するプロジェクタ24、24と、シミュレーション計算を行なう制御装置25とを備えている。操舵室21には、例えば機器スタンド26・・・26、操舵スタンド27が設けられている。機器スタンド26には、例えば主機操作パネル、レーダー表示パネル等の種々の機器が設けられている。操舵室22の外側には、インストラクターが他船の操船を行なったり、見学者がシミュレーションの様子を監視する等、操舵室22外部の者が種々の目的に使用可能な外部操作部28が設けられている。
【0057】
検出システム20は、図10(b)に示すように、コンピュータ30、31を備えている。コンピュータ30、31の構成は、それぞれ図1に示すコンピュータと同様である(図示省略)。但し、コンピュータ31の外部記憶装置5には、操船評価プログラムPGのうち潜在的操船水域計算ルーチン(図5)を実行するためのモジュールが、コンピュータ30の外部記憶装置5には、不安全操船状態検出ルーチン(図6)を実行するためのモジュールが記録されている。コンピュータ30は、制御装置24及びコンピュータ31とバス等を介して接続されている。また、機器スタンド26や外部操作部28等に設けられるディスプレイ32と接続されている。
【0058】
以上の構成を有する検出システム20の動作を説明する。
【0059】
図11は、コンピュータ30のCPU2が実行するリアルタイム検出ルーチンの手順を示すフローチャートである。この処理は、例えば操船シミュレータ21においてシミュレーションが開始されたときに開始される。
【0060】
なお、操船シミュレータ21においてシミュレーションが開始されると、制御装置24は、機器スタンド26…26や操舵スタンド27からの信号に基づいて、時々刻々の自船の運動計算を行ない、その計算結果に基づいてスクリーン22に表示される景観画像を変化させるようにプロジェクタ23、23の動作を制御するとともに、計算結果を含んだ信号を適宜な時間間隔で検出システム20に出力する。
【0061】
まず、コンピュータ30のCPU2は、制御装置24の信号から図3(a)の操船結果データD1の1行分のデータdに相当するデータを取得する(ステップS41)。次に、取得したデータをコンピュータ31に転送するとともに、そのデータに基づいて潜在的操船水域計算ルーチンを実行するようにコンピュータ31に指示信号を出力する(ステップS42)。ステップS43ではコンピュータ31から潜在的操船水域ルーチンの計算結果が出力されるまで待機し、コンピュータ31から計算結果を受取ると、その計算結果に基づいて不安全操船状態検出ルーチンを実行する(ステップS44)。ステップS45では、不安全操船状態検出ルーチンの実行結果をディスプレイ32に表示させる。ステップS46では、シミュレーションが終了したか否かを判定し、終了していないと判定した場合はステップS41からS45を繰り返し実行する。シミュレーションが終了したと判定した場合はルーチンを終える。
【0062】
ステップS45では、種々の画面をディスプレイ32に表示してよいが、例えば図12に示す画面300を表示してもよい。画面300は5つの分割画面301〜305を有している。
【0063】
分割画面301では、現在の自船100周囲の鳥瞰図が表示されており、例えば、自船100、他船200、防波堤201が表示されている。分割画面301では更に、現時点における各点P1〜P5の予測航跡L4…L4が表示されている。
【0064】
分割画面302では、自船100と、TTC表示部306…306とが表示されている。TTC表示部306…306は、それぞれ線分SL1〜SL5に対応している。各TTC表示部306では、バー307、307の表示される高さによりTTCの長さが表示されており、左側のバー307が他船に対するTTCを、右側のバー307が陸岸に対するTTCを示している。また、線分SL1〜SL5のTTCが基準時間を超える場合には、TTCの最も短い線分に対応するTTC表示部306の画面の色が変化することにより、いずれの線分が衝突するかの情報が表示される。
【0065】
分割画面303及び304では、それぞれ縦軸をTTC、横軸をシミュレーション開始からの経過時間とするグラフが表示され、実線308、308によりTTCの経時変化が表示されている。なお、分割画面303では他船に対するTTCの変化が、分割画面304では陸岸に対するTTCの変化が表示されている。
【0066】
画面305では、分割画面301よりも小さい縮尺で自船周囲の鳥瞰図が表示されている。
【0067】
(第3の実施形態)
図13は、本発明の第3の実施形態に係る検出システム40を示している。検出システム40は、実船41に搭載されるシステムとして構成されている。検出システム40は、図10(b)に示す検出システム20と同様にコンピュータ30、コンピュータ31を備えている(図示省略)。但し、コンピュータ30には、レーダ装置42、スピードログ43、ジャイロコンパス44、GPS受信機45、主機制御装置46、操舵装置47等の実船41に搭載されている機器とバス等を介して接続されている。また、実船41の操舵室にはディスプレイ32が設けられている。
【0068】
検出システム40は、検出システム20と同様にリアルタイム検出ルーチン(図11)を実行することにより、不安全操船状態を検出して操船者に提示する。但し、ステップS41では、検出システム40は各装置43〜47から出力される信号に基づいて、現在の自船の船位、船首方位各、速力等の運動状態量、エンジン回転数、舵角等の操作状態量を特定し、図3(a)の1行分のデータdに相当するデータを取得する。また、ステップS44では、レーダ装置42からの信号に基づいて自船周囲の障害物を検出し、衝突の判定を行なう。
【0069】
発明は以上の実施形態に限定されず、本発明の技術的思想と実質的に同一である限り、種々の形態で実施してよい。
【0070】
船体の外形と障害物との衝突は種々の方法により判定してよい。例えば、5角形以外の多角形や楕円等の曲線を有する形状により船体形状を近似して判定してもよい。実施形態のように船体の外形上の線群(SL1〜SL5)と障害物との衝突を判定してもよいし、船体の外形上の点群(P1〜P5)と障害物との衝突を判定してもよい。
【0071】
【実施例】
(実施例1)
第1の実施形態の評価システム1を用いて操船シミュレータ実験の操船結果を評価した。具体的な条件を以下に示す。
【0072】
基準時間として、陸岸に対するTTC及び他船に対するTTC双方とも図14に示すものを用いた。ただし、他船に対するTTCについては、ある他船に対するTTCと基準時間とを比較して不安全操船状態が検出された場合、それ以降、当該他船に対するTTCについては不安全操船状態の判定の対象とはしないこととした。これは、自船と同航する他船が存在する場合等に当該他船に対して繰り返し不安全操船状態が検出され、不安全操船状態の出現率が過大になるおそれを回避するためである。
【0073】
図14において、0〜2ノットまでは図7(a)と同様である。すなわち、実線L30で示すように、自船の前進行脚sp1ノット(2ノット)を全速後進で消去するのに必要な時間を基準時間とした。2ノット以上では、実線L31で示すように、その速力に応じたSSTを用いた。従って、SJTは用いていない。SSTは評価対象となる個々の船舶(自船)が有する停止性能に基づいて設定した。具体的には、操船シミュレータ実験により所定の速度Vのときの最短停止時間SSTを各船ごとに求め、数式1の上段の式においてV=V、SST=SSTとして設定した。Vには主に各船の港内操船の最大速力を用いた。なお、今回評価対象とされた各自船における船型(SIZE)と港内操船の最大速力に対するSSDとの関係は概ね図16(a)に示すようになっている。不安全操船状態か否かを判定する時刻(図3(a)の時刻参照)の時間間隔は1秒とした。
【0074】
横浜港、神戸港、大阪港における操船シミュレータ実験の操船結果(社団法人日本海難防止協会、「入出港等航行援助業務に関する調査報告書」、平成9年3月、平成11年3月)を上述の条件で評価した結果と、当該港湾において発生した衝突と乗り揚げの事故発生率(社団法人日本海難防止協会、「入出港等航行援助業務に関する調査報告書」、平成12年3月)とを対比して図15及び図16に示す。
【0075】
図15(a)、(b)は評価結果を船型ごとに、図16(a)、(b)は評価結果をSSDごとに示している。図15(a)及び図16(a)において、「Total」は不安全操船状態か否かを判定(ステップS3)した回数を、「US」はそのうち不安全操船状態が検出された回数を、「Freq.1」は「US」を「Total」で除した値(出現率)を、「海難発生数」は上述した3港における所定期間における海難発生数を、「入港隻数」は前記3港における前記所定期間における入港隻数を、「Freq.2」は「海難発生数」を「入港隻数」で除した値(事故発生率)を、「発生比」は「Freq.2」を「Freq.1」で除した値を示している。「average」は、「Freq.1」及び「Freq.2」それぞれの平均値である。図15(b)及び図16(b)は「Freq.1」及び「Freq.2」を船型ごと又はSSDごとにプロットしたものである。なお、各船型ごと、各SSDごとの評価結果は、何れも10〜数十隻の船舶について評価した結果を積算したものである。
【0076】
これらの図においても、図9(a)及び図9(b)で示したのと同様に、不安全操船状態の出現率と、事故発生率とは両者の比がほぼ10−3のオーダーで一致している。従って、ハインリッヒの法則でいえば、不安全操船状態の検出は、1件の顕在化した事故の陰に潜む数千(10オーダー)の不安全状態を検出していることに対応する。
【0077】
図16(a)の「発生比」に示すようにSSDが最も小さい5Lでは発生比が10−2のオーダーに近く、SSDが最も大きい11Lでは発生比が10−4のオーダーとなっている。SSD=5L〜11Lは操船シミュレータ実験から得られた値であり、実際の船舶の停止性能の範囲を示しているといえる。従って、実際の船舶におけるSSTの範囲を超えた時間を、TTCと比較する基準時間として用いても、ハインリッヒの法則でいう不安全状態を検出することはできない。換言すれば、ハインリッヒの法則でいう不安全状態を検出することができるのは、基準時間としてSSTを用いていることによる効果である。なお、数式1によりSSTを計算する場合、SSDは5L〜11Lの範囲、より好適には5L〜10Lの範囲とすることが望ましい。
【0078】
(実施例2)
他船に対するTTCについても、陸岸に対するTTCと同様に全ての時刻毎に不安全操船状態か否かを判定することとし、実施例1と同様の条件により操船シミュレータ実験の操船結果を評価した結果を図17(a)、(b)、図18(a)、(b)に示す。
【0079】
これらの図に示すように、不安全操船状態の出現率と、事故発生率との比は、いずれの船型又はSSDにおいても、ほぼ10−4のオーダーとなっている。すなわち、基準時間としてSSTを用いることにより、不安全操船状態の出現率と、事故発生率との間に一定の相関関係が成立し、かつ、その比率が10−3のオーダーに近づくことが示されている。このことから、基準時間としてSSTを用いることにより、1件の顕在化した事故の陰に一定のオーダーで潜む不安全な操船状態を検出できることがわかる。
【0080】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、そのままの操縦状態を継続すると危険が顕在化するまでの時間が基準時間よりも短いか否かが判定されるから、事故の背後に潜在する不安全な操船状態が検出される。しかも、基準時間は、速力を所定の変換規則に従って変換したものであるから、物理的な側面から定められる客観的な判定基準により不安全な操船状態であるか否かが判定される。従って、その判定結果に基づいて航行安全性を評価することにより、事故発生の可能性が客観的に評価される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る評価システムの構成を示す図。
【図2】図1の評価システムにより実行される評価方法の概念を示す図。
【図3】図1の評価システムの記憶装置に記録されるデータの内容を示す図。
【図4】図1の評価システムのCPUが実行する安全性評価ルーチンの手順を示すフローチャート。
【図5】図1の評価システムのCPUが実行する潜在的操船水域計算ルーチンの手順を示すフローチャート。
【図6】図1の評価システムのCPUが実行する不安全操船状態検出ルーチンの手順を示すフローチャート。
【図7】図6の不安全操船状態検出ルーチンで参照される基準時間を示す図。
【図8】図1の評価システムの出力例。
【図9】図1の評価システムの出力例。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る評価システムの構成を示す図。
【図11】図10の評価システムのCPUが実行するリアルタイム検出ルーチンの手順を示すフローチャート。
【図12】図10の評価システムのディスプレイに表示される画面の例。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る評価システムの構成を示す図。
【図14】本発明の実施例の判定基準を示す図。
【図15】本発明の実施例の評価結果を示す図。
【図16】本発明の実施例の評価結果を示す図。
【図17】本発明の実施例の評価結果を示す図。
【図18】本発明の実施例の評価結果を示す図。
【符号の説明】
1 評価システム
2 CPU
5 記憶手段
20 評価システム
21 操船シミュレータ
22 操舵室
32 ディスプレイ
40 評価システム
41 実船
42 レーダ装置
43 スピードログ
44 ジャイロコンパス
45 GPS受信機
100 自船
200 他船
201 陸岸
PG 評価用プログラム

Claims (9)

  1. 所定の水域内の船舶の操船過程における所定の時点の操縦状態を継続したと仮定した場合に前記時点から前記船舶が前記水域内の障害物に衝突するまでの時間を計算するとともに、前記時点の前記船舶の速力を所定の変換規則に従って基準時間に変換し、前記衝突するまでの時間が前記基準時間よりも短いか否かの判定結果に基づいて、前記船舶の航行の安全性を評価することを特徴とする航行安全性評価方法。
  2. 前記変換規則には、クラッシュアスターン時において前記時点の前記船舶の速力が所定の停止状態の速力になるまでに要する時間を前記基準時間とする規則が含まれることを特徴とする請求項1に記載の航行安全性評価方法。
  3. 前記変換規則には、前記時点の前記船舶の速力が所定の設定速力未満の場合には、クラッシュアスターン時において前記時点の前記船舶の速力が所定の停止状態の速力になるまでに要する時間を前記基準時間とし、前記時点の前記船舶の速力が所定の設定速力以上の場合には、操船者の危険感が所定の基準レベルに達するときの衝突までの時間を前記基準時間とする規則が含まれることを特徴とする請求項1に記載の航行安全性評価方法。
  4. 前記変換規則には、前記時点の前記船舶の速力が所定の基準速力を超える場合には、クラッシュアスターン時において前記時点の前記船舶の速力が所定の停止状態の速力になるまでに要する時間を前記基準時間とし、前記時点における船舶の速力が所定の基準速力以下の場合には、前記基準速力で前進する前記船舶を全速後進で所定の停留状態にするのに要する時間を前記基準時間とする規則が含まれることを特徴とする請求項1に記載の航行安全性評価方法。
  5. 前記操船過程における複数の前記時点について前記衝突するまでの時間が前記基準時間よりも短いか否かを判定し、前記衝突するまでの時間が前記基準時間よりも短いと判定された時点の数と前記複数の時点の数との比率を算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の航行安全性評価方法。
  6. 所定の水域内の船舶の操船過程における所定の時点の操縦状態を継続したと仮定した場合に前記時点から前記船舶が前記水域内の障害物に衝突するまでの時間を計算する計算手段と、
    前記時点の前記船舶の速力を所定の変換規則に従って基準時間に変換する変換手段と、
    前記衝突するまでの時間が前記基準時間よりも短いか否かの判定結果を特定可能な情報を出力する出力手段と、
    を備えることを特徴とする航行安全性評価システム。
  7. 模擬操舵室における操縦状態に応じて前記模擬操舵室周囲の擬似景観を変化させる操船シミュレータのユーザに前記模擬操舵室において操縦される船舶の航行安全性に関連する情報を提示する航行安全性評価システムにおいて、
    前記船舶の現時点の操縦状態を継続したと仮定した場合に前記船舶が前記船舶周囲の障害物に衝突するまでの時間を計算する計算手段と、
    前記現時点の前記船舶の速力を所定の変換規則に従って基準時間に変換する変換手段と、
    前記衝突するまでの時間が前記基準時間よりも短いか否かの判定結果を特定可能な情報を前記ユーザに提示する提示手段と、
    を備えることを特徴とする航行安全性評価システム。
  8. 実際の船舶に設けられた情報取得手段により前記船舶の位置及び前記船舶周囲の障害物の位置を含む航行情報を取得して、前記船舶の操船者に前記船舶の航行安全性に関連する情報を提示する航行安全性評価システムにおいて、
    前記船舶の現時点の操縦状態を継続したと仮定した場合に前記船舶が前記船舶周囲の障害物に衝突するまでの時間を計算する計算手段と、
    前記現時点の前記船舶の速力を所定の変換規則に従って基準時間に変換する変換手段と、
    前記衝突するまでの時間が前記基準時間よりも短いか否かの判定結果を特定可能な情報を前記ユーザに提示する提示手段と、
    を備えることを特徴とする航行安全性評価システム。
  9. コンピュータを、所定の水域内の操船過程における所定の時点の操縦状態を継続したと仮定した場合に前記時点から前記船舶が前記水域内の障害物に衝突するまでの時間を計算する計算手段、
    前記時点の前記船舶の速力を所定の変換規則に従って基準時間に変換する変換手段、及び
    前記衝突するまでの時間が前記基準時間よりも短いか否かの判定結果を特定可能な情報を出力する出力手段として機能させることを特徴とする航行安全性評価用プログラム。
JP2003192685A 2003-07-07 2003-07-07 航行安全性評価方法、航行安全性評価システム及び航行安全性評価用プログラム Expired - Fee Related JP3769269B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003192685A JP3769269B2 (ja) 2003-07-07 2003-07-07 航行安全性評価方法、航行安全性評価システム及び航行安全性評価用プログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003192685A JP3769269B2 (ja) 2003-07-07 2003-07-07 航行安全性評価方法、航行安全性評価システム及び航行安全性評価用プログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005031726A true JP2005031726A (ja) 2005-02-03
JP3769269B2 JP3769269B2 (ja) 2006-04-19

Family

ID=34204402

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003192685A Expired - Fee Related JP3769269B2 (ja) 2003-07-07 2003-07-07 航行安全性評価方法、航行安全性評価システム及び航行安全性評価用プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3769269B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101388091B1 (ko) 2013-12-18 2014-04-25 한국해양과학기술원 선박운항 평가 관리 시스템 및 이를 이용한 선박운항 평가관리방법
US10192449B2 (en) 2016-03-31 2019-01-29 Fujitsu Limited Collision risk calculation method, collision risk calculation device, and computer-readable recording medium
CN115410419A (zh) * 2022-08-23 2022-11-29 交通运输部天津水运工程科学研究所 一种船舶系泊预警方法、系统、电子设备及存储介质

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06325300A (ja) * 1993-05-11 1994-11-25 Tokimec Inc 船舶の航行支援システム
JPH07129872A (ja) * 1993-11-01 1995-05-19 Unyusho Senpaku Gijutsu Kenkyusho 船舶衝突予防航行支援装置
JPH0922499A (ja) * 1995-07-07 1997-01-21 Tokimec Inc 避航支援装置
JP2002367099A (ja) * 2001-06-12 2002-12-20 Nissan Motor Co Ltd 車両用情報処理装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06325300A (ja) * 1993-05-11 1994-11-25 Tokimec Inc 船舶の航行支援システム
JPH07129872A (ja) * 1993-11-01 1995-05-19 Unyusho Senpaku Gijutsu Kenkyusho 船舶衝突予防航行支援装置
JPH0922499A (ja) * 1995-07-07 1997-01-21 Tokimec Inc 避航支援装置
JP2002367099A (ja) * 2001-06-12 2002-12-20 Nissan Motor Co Ltd 車両用情報処理装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101388091B1 (ko) 2013-12-18 2014-04-25 한국해양과학기술원 선박운항 평가 관리 시스템 및 이를 이용한 선박운항 평가관리방법
US10192449B2 (en) 2016-03-31 2019-01-29 Fujitsu Limited Collision risk calculation method, collision risk calculation device, and computer-readable recording medium
CN115410419A (zh) * 2022-08-23 2022-11-29 交通运输部天津水运工程科学研究所 一种船舶系泊预警方法、系统、电子设备及存储介质
CN115410419B (zh) * 2022-08-23 2024-02-02 交通运输部天津水运工程科学研究所 一种船舶系泊预警方法、系统、电子设备及存储介质

Also Published As

Publication number Publication date
JP3769269B2 (ja) 2006-04-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN105185162B (zh) 一种基于ais信息的多目标防撞预警方法
KR101693981B1 (ko) 선박의 충돌 회피 방법 및 장치
JPH0922499A (ja) 避航支援装置
JP6667590B1 (ja) 航空機の着陸支援装置、航空機の着陸支援方法及び航空機の着陸支援プログラム
CN113012472B (zh) 一种适用于vts系统的船舶预警方法、设备及存储介质
KR101693982B1 (ko) 선박의 충돌 회피 방법 및 장치
JP5102886B2 (ja) 画像表示システム及び画像表示方法及びプログラム
JP3760159B2 (ja) 航行安全性評価方法、航行安全性評価システム及び航行安全性評価用プログラム
RU2501708C1 (ru) Способ автоматической проводки судна
JPH0922500A (ja) 避航支援装置
JP3769269B2 (ja) 航行安全性評価方法、航行安全性評価システム及び航行安全性評価用プログラム
Lu et al. Motion pose estimation of inshore ships based on point cloud
Okuda et al. Maneuvering simulations at large drift angles of a ship with a flapped rudder
JPH07304495A (ja) 避航支援装置
Benedict et al. 1 Manoeuvring simulation on the bridge for predicting motion of real ships and as training tool in ship handling simulators
Procee et al. Using augmented reality to improve collision avoidance and resolution
CN115019561A (zh) 互见情况下船舶拖曳系统的外部碰撞风险预警系统
JP7127145B2 (ja) 船舶の係留施設に対する衝突の防止を支援するためのシステム及びプログラム
JP2021179674A (ja) 操船計算装置
JPS63108500A (ja) 衝突予防装置
Melia et al. Identifying Potential Racing Yacht Collision Scenarios Using GPS Data
Zhang et al. Intelligent ship-bridge collision avoidance algorithm research based on a modified Gaussian Mixture Model
EP4191559A1 (en) Replay system and method of ship collision accidents using free running model test
Hall Extending the Operational Limits for the Reception of Ships-Determining When Enough is Enough
CN106875775A (zh) 单屏副本船分系统

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050817

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050830

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060131

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060203

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3769269

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100210

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110210

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120210

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130210

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140210

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees