JP2005029917A - 積層成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この積層成形体の製造方法は、天然繊維由来の繊維を70重量%以上含有する抄紙を形成し(S1,S3)、熱硬化性バインダ液に浸漬させて(S5)乾燥する(S7)層体形成工程1と、層体を複数積層して、前記熱硬化性バインダの硬化温度以上の温度に加熱して加圧し(S9)、この加圧に係る圧縮状態を維持して50℃以下まで冷却する(S11)成形工程3とを備える。この方法では、抄紙の表面に良好に熱硬化性バインダを付与することができる。したがって、この層体を積層して加熱加圧によって熱硬化性バインダを硬化させることにより、剥離しにくい積層成形体が得られる。また、加熱加圧の圧縮状態を維持した状態で50℃以下に冷却することにより、成形終了後の圧力解放の後で起こる変形を低減することができる。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、繊維、特に古紙などから再生される繊維に好適な積層成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
新聞、雑誌、チラシ、印刷用紙、コピー用紙など、いわゆる紙の多くは、パルプより形成されている。これらは、木材自体が備えていた繊維構造をそのまま保持しており、使用後の紙、いわゆる古紙を加工してより高強度の材料としたり、水系溶媒中で攪拌することでスラリー状のパルプに再生したりできることが公知である。例えば、古紙の利用方法として、型枠材や壁材など、種々用途に利用されるボードの原料として利用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、再生パルプのスラリーにフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を混合し、これを抄造、圧搾、乾燥させたシートを複数重ねた状態で、熱硬化温度以上の温度で加熱加圧することで、ボードを製造することができる。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−239918号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法では、寸法安定性があまり高くなく、成形後に反りや撓みが発生する場合がある。また、成形前に重ねたシートどうしの剥離強度が小さく、特に、水に浸漬したり、濡れたりしやすい環境では、剥離しやすい。
そこで、本発明では、変形性を抑制してパルプを用いた積層成形体を製造する方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、積層成形体の製造方法であって、天然繊維由来の繊維を70重量%以上含有する抄紙を熱硬化性バインダ液に浸漬させてから乾燥する層体形成工程と、前記層体を複数積層して、前記熱硬化性バインダの硬化温度以上の温度に加熱して加圧した後、この加圧に係る圧縮状態を維持して50℃以下まで冷却する成形工程とを備える方法を提供する。
この方法では、抄紙を熱硬化性バインダ液に浸漬させるため、抄紙の表面に良好に熱硬化性バインダを付与することができる。したがって、この層体を積層して加熱加圧によって熱硬化性バインダを硬化させることにより、剥離しにくい積層成形体を得ることができる。また、加熱加圧のときの圧縮状態を維持した状態で50℃以下に冷却することにより、成形終了後の圧力解放の後で起こる変形を低減することができ、反りや撓み、歪みなどの変形が小さい積層成形体を得ることができる。
また、層体形成工程では、含水率5%以下の抄紙を熱硬化性バインダ液に浸漬させると、抄紙への熱硬化性バインダ液の含浸を均一且つ良好にすることができ、寸法安定性を向上させることができる。
また、冷却工程では、冷却工程の後で、圧力開放したときの膨張率が2%以下となる温度まで冷却すると、得られる積層成形体における反りや撓みを良好に低減することができる。
また、成形工程では、層体を複数積層した積層体の少なくとも一面に、印刷が施されたシートを重ねて加熱加圧することにより、意匠性を付与することができる。また、シートによって表面硬度や釘、ビスなどの保持力を向上させることが可能である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の積層成形体の製造方法では、各種ボードを製造することができ、特に、強度、剛性、耐熱性などが求められるボードの製造に適する。例えば、建築物の床材や、机の天板、家具の構造材とされるボードの製造に適する。特に、少なくとも一面に印刷が施されたシートを付与して製造した積層成形体は、視認される部位に好適に使用できる。また、少なくとも一面に釘、ビスなどの保持力を高めるシートを付与して製造した積層成形体は、ビス、釘などが打たれるボードとしての使用に好ましく、例えば、机の天板などでは、脚部へのビス止めが可能である。
【0007】
本製造方法の実施形態について、図1〜4を参照して詳細に説明する。図1に示す製造方法では、大きく分けて層体形成工程1と、成形工程3とを備えている。以下、各工程について詳細に説明する。
【0008】
(層体形成工程)
層体形成工程1は、積層成形体の各層を形成する層体を形成する。層体形成工程1は、図1に示すように、抄紙形成処理S1と、圧搾・乾燥処理S3と、バインダ付与処理S5と、乾燥処理S7とを備えている。
【0009】
抄紙の原料として利用可能な材料は、少なくとも70重量%のパルプを含む。パルプは、ヴァージンパルプを使用しても良いが、古紙より再生した再生パルプを好適に用いることができる。再生パルプの原料とされる古紙は、新聞紙、電話帳、雑誌、段ボール、チラシ、包装紙、オフィスで使用されるコピー用紙や印刷用紙など、いわゆる紙や、パルプ由来の紙製品、例えば、紙おむつの該当部分や紙ナプキンなどである。ヴァージンパルプおよび古紙を構成するパルプは、特に限定されず、機械パルプやセミケミカルパルプ、ケミメカニカルパルプ、ケミカルパルプのいずれでも良い。歩留まりを良好にするため、リグニンの少ないケミカルパルプを用いることが好ましい。また、層体形成工程1で形成される複数の層体のうち、両表面に露出しない層体については、物性の調整を必要としない場合、漂白処理しないものを利用しても良い。再生パルプは、一般的には、古紙を適宜、リファイナなどで粉砕した後、脱インキ処理、除塵処理、また留め具、接着剤などの夾雑物の除去処理を施すことで得られる。
【0010】
抄紙の原料には、パルプ以外に樹脂、エラストマー、ゴムなどの樹脂系材料が含まれていても良い。例えば、紙おむつでパルプシートと積層状に一体化されている樹脂フィルムが混入しても良い。樹脂系材料は、抄紙の形成を阻害しない大きさ、柔軟性を備えることが好ましい。例えば、粉砕、切断などによって粒子状、薄片状など微小化しておくことが好ましい。樹脂系材料は、抄紙の原料全体の30重量%以下とされる。30重量%を超えると、抄紙の形成を阻害したり、得られる積層成形体の物性を悪化させたりするおそれがある。
なお、抄紙の原料に無機質繊維や防腐剤、防虫剤など公知の添加材を添加しておくことができる。
【0011】
抄紙形成処理S1では、水中に分散されたパルプ(スラリー)をシート状に漉く。抄紙形成処理S1は、公知の抄造法によって行うことができる。例えば、帯状の網を利用する長網式、円筒状の網を利用する円網式、また、一組の無端ベルト状の網を利用するツインワイヤ式を利用することができる。図2に、長網式の抄造装置を示す。この装置は、装置後端(図2中左端)に所定の流量でスラリーを供給可能なヘッドボックス11を備え、ヘッドボックス11の先端にフォードリニアテーブル13を備えている。フォードリニアテーブル13は、金網材料で形成された無端縁のコンベヤベルトを有するベルトコンベヤ15を備えている。この装置で抄紙形成処理S1を行うには、ヘッドボックス11にスラリー状の抄紙原料を投入し、フォードリニアテーブル13のコンベヤベルトの上にスラリーを所定の速度で供給する。フォードリニアテーブル13では、スラリーを搬送するとともに、コンベヤベルト21から重力によって水を切り、コンベヤベルト上にパルプが堆積して得られる湿紙を形成する。抄紙形成処理S1で得られる湿紙は、そのまま連続して圧搾・乾燥処理S3に送ることができる。
【0012】
圧搾・乾燥処理S3は、抄紙形成処理S1で得られる湿紙から水分を除去する処理であり、抄造法で利用される公知の方法とすることができる。圧搾・乾燥処理S3は、抄紙形成処理S1に連続して行うことが一般的であり、図2に示す装置のように、抄紙形成処理S1の装置に後続して圧搾・乾燥処理S3の装置を備える公知の抄造機を用いて行うことができる。
【0013】
圧搾では、湿紙に含まれる水分をシート53を破断等しない範囲で除去するとともに、ろ過によって堆積したパルプに圧を加えて高密度化する。図2に示す装置は、抄紙形成処理部分の先端側に、複数段に配置された対を成すプレスロール17を備えており、プレスロール17間に図示しないフェルトを備えている。圧搾は、プレスロール17によって湿紙を挟みつつフェルトを押し付けて、湿紙から水を搾出するとともに、押し付けに係る圧力でフェルトを圧縮する。その後、プレスロール17による押し付け圧力が解除されるときのフェルトの復元を利用して湿紙の水分を吸い取る。
【0014】
乾燥処理では、湿紙を熱によって乾燥させて抄紙42とする。乾燥方法は、公知の方法であり、熱風を吹き付けるファンドライヤを用いる形態でも良いし、加熱されたドラム表面を接触させて乾燥させるシリンダドライヤを用いる形態でも良い。図2に示す装置では、乾燥処理部分は、圧搾処理部分の先端から進行方向(図2中右方向)に向かって、上下に二段で複数配列されたシリンダ19と、シリンダ19の外表面に密接するように配置された無端縁状のコンベヤベルト21とを備えている。シリンダ19は、その外表面が所定の温度に加熱されるようになっている。乾燥処理では、圧搾処理後の湿紙をコンベヤベルト21に沿って搬送することにより、シリンダ19からの熱によって湿紙を乾燥させて、抄紙42とする。
乾燥処理では、できるだけ抄紙42の含水率を低くすることが好ましく、少なくとも抄紙42の含水率が気乾含水率以下にする。好ましくは、含水率5%以下にすると、後述するバインダ付与処理S5で、バインダ液の含浸を抄紙42全体でより均一にすることができる。
【0015】
圧搾・乾燥処理S3で得られる抄紙の性質は、特に限定されない。例えば、机の天板(釘保持力の良い板材)を製造する場合には、3mmの抄紙とすると、バインダ付与処理S5において、熱硬化性バインダ液を良好に吸収できるとともに、浸漬によっても抄紙を構成するパルプが分散しにくいため、好ましい。
【0016】
図2に示す装置では、公知の抄造装置にあるように、乾燥処理部分の先端側にカレンダスタック23とリール25とを備えている。カレンダスタック23により、得られた抄紙42をさらに平滑にし、連続帯状に作製した抄紙42をリール25で巻き取ってロールにすることができる。
【0017】
バインダ付与処理S5では、熱硬化性バインダ液51に抄紙42を浸漬して、抄紙42全体に熱硬化性バインダを付与する。熱硬化性バインダ液51は、熱硬化性バインダ成分が溶解または分散した液である。熱硬化性バインダとしては、フェノール樹脂、ウレア樹脂、ウレタン樹脂など公知のバインダを選択できるが、得られる積層成形体をより高強度とするために、フェノール樹脂を用いることが好ましい。また、熱硬化性バインダ液51の溶媒(分散媒)は、親水性であると、抄紙42に吸収されやすいため、好ましい。したがって、フェノール樹脂として水溶性フェノール樹脂を用いると、水や水と有機溶媒との混合溶媒などを用いることができ、好ましい。なお、溶媒としての水は、有機溶媒を用いる場合と異なり作業環境が悪化しにくい点からも好ましい。
【0018】
バインダ付与処理S5では、熱硬化性バインダ液の浴に、抄紙42を所定時間だけ浸漬する。図3に、バインダ付与処理装置の一実施形態を示す。図3の装置は、熱硬化性バインダ液51を貯留するバインダ槽27と、ロール状の抄紙42を回転可能に保持する回転軸29とを備えている。また、バインダ槽27内には、抄紙42を挟みつけて搬送する複数の誘導ロール31が設けられており、熱硬化性バインダ液51に浸漬しない位置に抄紙42を挟みつける除去ロール33が設けられている。この装置では、回転軸29に抄紙42のロールを設置して所定の回転で抄紙42を繰り出し、誘導ロール31によって抄紙42をバインダ槽27内に誘導する。これにより、抄紙42をバインダ槽27に貯留する熱硬化性バインダ液51に浸漬させる。その後、除去ロール33によって抄紙42を誘導して熱硬化性バインダ液51から取り出すとともに除去ロール33で余分な熱硬化性バインダ液51を搾り取る。その後、更に除去ロール33より先端側(図3中右側)に配置されたロール等の搬送手段によって乾燥処理S7に送る。
【0019】
抄紙42に付与するバインダの量は、主として熱硬化性バインダ濃度によって調節することができる。例えば、厚さ3mm、含水率5%の抄紙を作製した場合、水:水溶性フェノール樹脂の重量比が7:3の熱硬化性バインダ液を用いると、良好に熱硬化性バインダを抄紙42に付与することができる。
【0020】
乾燥処理S7では、熱硬化性バインダの硬化温度より低い温度で抄紙42を乾燥させる。例えば、硬化温度が135℃である水溶性フェノール樹脂をバインダとした場合、100℃以下の温度で乾燥させることにより、確実に硬化を防いで乾燥させることができる。この時点の乾燥では、後工程である成形工程において水蒸気が発生することによる破裂やガス膨れの発生を防止できる程度まで乾燥させる。具体的には、含水率20%以下であると良好に成形することができる。したがって、この乾燥処理S7は、常温での自然乾燥や送風乾燥でも良い。乾燥処理S7が完了すると、熱硬化性バインダを付与した抄紙を得ることができる。図3に示す乾燥処理の装置は、除去ロール33を通った抄紙42を搬送するコンベヤ35と、コンベヤ35を包囲するように設けられたファンドライヤ37とを備えている。この装置は、搬送と同時に抄紙42を乾燥させる。また、図3の先端(右端)には、カッター38が配置されており、この抄紙42を所定の大きさにカットして層体44に形成する。
【0021】
(成形工程)
成形工程3では、図4の上に示すように所望の数の層体44を積層状態にして、所望の厚み、形状に加圧成形するのと同時に積層状態で層体どうしを一体化する。成形工程3は、加熱加圧処理S9と冷却処理S11とを備えている。成形は、典型的には、図4の下に示すように、積層した複数の層体を両面から挟みつけることで加圧する一対の型39を用いて行う。
【0022】
図4の上に示すように、複数の層体44の積層時に、少なくとも一方の表面にシートを積層状態に配置して、複数の層体と同時に加熱加圧しても良い。これにより、少なくとも一面にシート53を備える積層成形体を得ることができる。シート53は、種々の機能を付与するために設けることができ、例えば、積層成形体への意匠の付与や、表面硬度や釘の保持力の向上、あるいは反りやパルプの欠け落ちの抑制などを目的として設けることができる。このように付与されるシート53は、成形工程3の熱に耐え得る素材から選択することができる。例えば、古紙の原料として前述した紙を用いることができる。また、熱硬化性バインダの硬化温度より融点の高い樹脂シートを用いることができ、例えば、ポリエステルシート(フィルム)やポリオレフィンシートでも良い。また、意匠性を目的として、適宜、織物、編物、手漉き和紙など表面に風合いを付与するシートを利用することができる。
シート53には、意匠性を付与するために、適宜、印刷を施しておくことができる。印刷は、シート53の材質に合わせて公知のインキで公知の印刷技術を用いて行うことができる。インキについても成形工程3における加熱に耐え得るものとされる。具体的には、油性インキを利用できる。
【0023】
例えば、画用紙やチタン紙などの紙をシートとして用いると、釘保持力を向上させることが可能であり、好ましい。また、これらは、紙への通常の印刷を行うことができるとともに、透明性が小さいため、釘保持力と意匠性の両方を向上させることができる。
なお、印刷は、層体形成工程1で作製した層体のうち、表面に配置されるものの表面に直接付与しておいても良い。
【0024】
加熱加圧処理S9での加熱は、上述した一対の型39として、型面の温度を所望に設定できる、いわゆるホットプレスを用いて行うことができる。加熱加圧処理S9では、積層された層体44の内部まで熱を伝達し、積層された層体全体の熱硬化性バインダを硬化させる。例えば、上述の硬化温度135℃の水溶性フェノール樹脂を含み、含水率20%程度の層体を6枚積み重ねた場合、150℃に加熱して約30分加圧すると良い。加熱加圧処理S9により、隣接する層体どうしが熱硬化性バインダによって互いに結合され、一体化する。
【0025】
冷却処理S11では、加熱加圧処理S9での圧縮状態を維持して50℃以下まで冷却する。加熱加圧処理S9と冷却処理S11との間で、圧力の解放を発生させないように、典型的には、加熱加圧処理S9で加圧をした対を成す型間の距離を保ったまま、すなわち、図4の下に示す位置関係を保持したままとする。冷却処理S11は、型39の型面の温度設定を解除して、あるいは、50℃未満の所望の温度に設定して放置することで行える。冷却時間は、例えば、上述の加熱加圧処理S9の条件で行った積層一体化された層体(積層成形体)では、型面の温度設定を解除することにより、約30分で50℃以下まで冷却することが可能である。
【0026】
ここで、冷却処理S11の後、型39を開いて圧力を解放すると、積層成形体46は若干膨張する。このときの膨張率が大きい場合、この時点において反り、歪み、撓みが発生しやすい。したがって、冷却処理S11では、上記温度条件に加えて圧力解放前後での膨張率が層体積層方向、すなわち厚み方向において0.3%以下となるように冷却することが好ましい。
冷却処理S11の完了後、圧力解放して積層成形体46を得る。この後、適宜、バリ取りやカッティングなどして所望の製品5とすることができる。
【0027】
この方法によって得られる積層成形体46は、反り、撓み、歪みなどの変形が小さく剥離強度が高い。すなわち、成形工程3で加熱加圧処理S9の後に冷却処理S11を設けることにより、熱硬化性バインダが十分硬くなった状態で圧力解放するため、内部応力によっても積層成形体46が変形しにくい。また、抄紙42を形成後に、抄紙42を熱硬化性バインダ液51へ浸漬させて熱硬化性バインダを抄紙42に付与するため、抄紙42の表面に確実、且つ均一に熱硬化性バインダを付与することができる。この結果、加熱加圧処理S9によって層体44間を確実に結合することができ、剥離しにくくなる。また、水に浸漬させても、剥離しにくく、例えば、耐水性が必要とされる洗面室や台所の床材への利用可能性がある。特に、バインダ付与処理S5前に、抄紙42を含水率5%以下まで乾燥させることにより、より均一に熱硬化性バインダ液51を抄紙42に浸透させることができる。これにより、積層成形体46の変形を良好に抑制することができる。また、熱硬化性バインダ液51の浸透性が良いため、熱硬化性バインダが良好に浸潤する。したがって、積層成形体46全体の強度をより均一に高めることができ、強度や剛性、釘保持力などの向上が期待できる。
【0028】
また、上記製造方法では、プラスチックなどを含む材料をパルプとして使用することができる。したがって、本製造方法で得られる積層成形体46を使用後、粉砕し、再生パルプ化することで、本製造方法の抄紙の原料として使用できることが期待される。なお、上述の方法で作製した積層成形体46におけるフェノール樹脂含有量は、例えば、3%程度であり、これをパルプ化した場合、70重量%以上がパルプより成る原料が得られるものと考えられる。
さらに、シート53を少なくとも一面に付与した積層成形体46は、シート53によって所望の機能が付与された機能性成形体となる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態に限定されないことはもちろんである。
例えば、抄紙42をロール形成することなくそのままバインダ付与処理S5から乾燥処理S7まで一連の工程で行っても良い。あるいは、抄紙42を所定の大きさにカットしてからバインダ付与処理S5以降を行っても良い。
【0030】
【発明の効果】
本発明では、変形性を抑制してパルプを用いた積層成形体を製造する方法を提供することにより、より広範な用途で良好に使用できる積層成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層成形体の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】抄紙形成処理から圧搾・乾燥処理までを一連の操作で行う装置の一実施形態を示す平面図である。
【図3】バインダ付与処理を行う装置の一実施形態を示す平面図である。
【図4】成形工程を示す平面図である。
【符号の説明】
1 層体形成工程
3 成形工程
5 製品
11 ヘッドボックス
13 フォードリニアテーブル
15 ベルトコンベヤ
17 プレスロール
19 シリンダ
21 コンベヤベルト
23 カレンダスタック
25 リール
27 バインダ槽
29 回転軸
31 誘導ロール
33 除去ロール
35 コンベヤ
37 ファンドライヤ
38 カッター
39 型
42 抄紙
44 層体
46 積層成形体
51 熱硬化性バインダ液
53 シート
S1 抄紙形成処理
S3 圧搾・乾燥処理
S5 バインダ付与処理
S7 乾燥処理
S9 加熱加圧処理
S11 冷却処理
Claims (4)
- 積層成形体の製造方法であって、
天然繊維由来の繊維を70重量%以上含有する抄紙を熱硬化性バインダ液に浸漬させてから乾燥する層体形成工程と、
前記層体を複数積層して、前記熱硬化性バインダの硬化温度以上の温度に加熱して加圧した後、この加圧に係る圧縮状態を維持して50℃以下まで冷却する成形工程と
を備える、積層成形体の製造方法。 - 層体形成工程では、含水率5%以下の抄紙を熱硬化性バインダ液に浸漬させる、請求項1に記載の積層成形体の製造方法。
- 冷却工程では、冷却工程の後で、圧力開放したときの膨張率が2%以下となる温度まで冷却する、請求項1又は2に記載の積層成形体の製造方法。
- 成形工程では、層体を複数積層した積層体の少なくとも一面に、印刷が施されたシートを重ねて加熱加圧する、請求項1から3のいずれかに記載の積層成形体の製造方法。
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