JP2005029625A - 押出成形用複合体成形材料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水含有量が多く、これまで疎水性プラスチックであるポリオレフィン系樹脂に対して大量に配合することができなかった茶の出し殻粉末を高い配合割合で含み、しかも十分な実用的強度を有する茶殻−ポリオレフィン系樹脂複合体からなる成形材料を提供する。
【解決手段】茶の出し殻粉末と、ポリオレフィン系樹脂と、マレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンとからなる押出成形用複合体成形材料であり、茶の出し殻粉末とポリオレフィン系樹脂とマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンの混合物を、120〜190℃において、せん断応力を加えながら十分に混和したのち、110℃以下に降温し、ペレット化することにより製造する。
【選択図】 なし
【解決手段】茶の出し殻粉末と、ポリオレフィン系樹脂と、マレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンとからなる押出成形用複合体成形材料であり、茶の出し殻粉末とポリオレフィン系樹脂とマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンの混合物を、120〜190℃において、せん断応力を加えながら十分に混和したのち、110℃以下に降温し、ペレット化することにより製造する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、茶葉を水出し又は湯出しした後に残留する、いわゆる茶の出し殻を有効利用した押出成形用複合体成形材料、及びこのものを効率よく安価に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業廃棄物を低減して環境汚染を抑制する資源循環型の社会システムや経済システムの重要性が認識されるようになり、建築分野においては建築リサイクル法が、またプラスチック分野においては、容器包装リサイクル法や家電リサイクル法などが制定され、木質系産業廃棄物やプラスチック産業廃棄物の再利用が社会的な要求課題となってきた。
【0003】
また、緑茶、紅茶、中国茶などを水や熱水で抽出し、飲料として提供した後には、いわゆる茶の出し殻として、かなりの量の残滓が残る。これは、通常、家庭廃棄物の生ごみとして、あるいはドリンク製造工場からは、産業廃棄物として処理されている。
【0004】
ところで、1980年後半にウーロン茶が健康飲料として輸入されるようになって以来、お茶はドリンク飲料の1つとして、缶詰、びん詰めの形で大量に消費され、それに伴って茶の出し殻も各メーカーから大量に排出されるようになった。この茶の出し殻は、各種有機質を含み、かつ殺菌性や消臭性を有することから、それを有効利用する試みは、各分野においてなされている。
【0005】
例えば、不織布、衛生シーツ、衛生紙、模様紙などの原料として(特許文献1参照)、粒状防虫剤、枕の詰め物、糞尿消臭剤などとして(特許文献2参照)利用されているほか、コンポスト肥料(非特許文献1、非特許文献2参照)や、家畜、家禽の飼料(非特許文献3参照)に加工されている。また、これを炭素化して固形炭を製造し、養魚用の浄化に利用したり、その際発生する乾留ガスから酢酸を回収することも行われている(特許文献3参照)。
【0006】
しかしながら、これまでは、大量に消費可能で、しかも付加価値の高い製品として経常的に安定して提供しうる用途については、まだ十分な開発研究がなされていなかった。
【0007】
最近、木材繊維と茶殻を混合して湿式抄造し、木質マットを製造する方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、このような湿分を含む茶殻を、疎水性のポリオレフィンと複合化させるには、十分乾燥させなければならないし、また、乾燥させたものを用いたとしても、茶殻の葉緑素、カテキン、フラバン、タンニンなどのポリフェノールなどの親水性物質を主成分としているため、疎水性のポリオレフィンに配合する割合が制限されるのを免れなかった。
【0008】
このように、これまで茶の出し殻を利用して、十分に強度が高く、各種分野において利用可能な疎水性プラスチックとの複合体を得ること、特に茶の出し殻の配合量を高くしたものを得ることは困難であり、その利用分野も限られていた。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−235198号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献2】
特開平9−38184号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献3】
特開平6−157227号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献4】
特開2002−321205号公報(特許請求の範囲その他)
【非特許文献1】
劉 庭秀、第10回廃棄物学会研究論文発表会
【非特許文献2】
村上敏文、梅宮善章、「圃場と土壌」土づくり特集、別冊11号
【非特許文献3】
畜産試験場養鶏研究所、平成14年度試験研究計画
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水含有量が多く、これまで疎水性プラスチックであるポリオレフィン系樹脂に対して大量に配合することができなかった茶の出し殻粉末を高い配合割合で含み、しかも十分な実用的強度を有する茶殻−ポリオレフィン系樹脂複合体からなる成形材料を提供することを目的としてなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、茶の出し殻粉末をフィラーとしてポリオレフィン系樹脂に配合した成形材料を開発するために鋭意研究を重ねた結果、相容化剤として、マレイン酸又は無水マレイン酸により変性されたポリオレフィンを用い、茶の出し殻粉末とポリオレフィン系樹脂とを加熱下、せん断応力を加えながらブレンドすることにより、茶の出し殻粉末を多量に配合した場合でも、十分な強度を示す成形材料が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、茶の出し殻粉末と、ポリオレフィン系樹脂と、マレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンとからなる押出成形用複合体成形材料、及び茶の出し殻粉末とポリオレフィン系樹脂とマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンの混合物を、120〜190℃において、せん断応力を加えながら十分に混和したのち、110℃以下に降温し、ペレット化することを特徴とする押出成形用複合体成形材料の製造方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明においては、茶の出し殻粉末として、家庭又は工場から排出される茶葉の水又は熱水により抽出された後の残滓を乾燥し、0.2〜2.0mmの粒径に粉砕したものが用いられる。茶の出し殻の乾燥物は、通常3〜10質量%の水を含有するため、これをそのまま粉砕してポリオレフィン系樹脂に配合しようとしても、せいぜい配合割合は50質量%以下であり、しかも成形後の製品は、低い機械的強度のものとなるのを免れなかった。
【0014】
しかしながら、本発明においては、50質量%以上、好ましくは75質量%以上の配合割合で茶の出し殻粉末を配合することができ、しかも十分高い機械的強度の製品を得ることができる。
【0015】
この茶の出し殻粉末は、その水含有量が低ければ低いほど配合割合を高めても強度の低下が認められなくなるので、使用に先立って水含有量10質量%以下、好ましくは5質量%以下になるまで乾燥するのが好ましい。
【0016】
茶葉には、摘葉後、直ちに加熱処理し、揉捻乾燥させた緑茶、半発酵させたウーロン茶、完全発酵させた紅茶、後発酵させた黒茶などの種類があるが、本発明においては、これらのいずれも用いることができる。また、最近、健康飲料としての効果を高める目的で、ハーブ、ハトムギ、玄米などの漢方薬成分を配合した健康茶が市販されているが、これらの異種成分が混合された茶の出し殻を用いてもよい。
【0017】
この茶葉には、セルロースのほか、葉緑素、カテキン、フラバン、タンニンなどが含まれているため、殺菌作用、消臭作用を有することが知られており、本発明の押出成形用複合体成形材料の成形品についても、これが黄色ブドウ球菌に対して殺菌作用を示すことが確認されている。
【0018】
次に、本発明において茶の出し殻粉末とともに用いられるポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリ4‐メチルペンテン‐1などの単独重合体や、エチレンとプロピレンの共重合体、エチレンとブチレンとの共重合体、エチレンと他の炭素数5以上のα‐オレフィンとの共重合体、すなわち低密度線状ポリエチレンのような共重合体などを用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上の混合物として用いてもよい。これらの中で、特にポリエチレン又はポリプロピレンあるいはそれらの混合物が好ましい。
【0019】
また、本発明において相容化剤として用いるマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンは、これまでポリオレフィン系樹脂と木粉などの親水性フィラーの際の相容化剤として慣用されていたものの中から任意に選んで用いることができ、特に制限はない。このようなものとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐α‐オレフィン共重合体、エチレン‐α‐オレフィン−非共役ジエン化合物共重合体(EPDMなど)、エチレン−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン化合物共重合ゴムなどのポリオレフィンを、マレイン酸又は無水マレイン酸を用いてグラフト共重合し、化学変性したものを挙げることができる。
このグラフト共重合は、例えば上記ポリオレフィンを適当な溶媒中において、ベンゾイルパーオキシドなどのラジカル発生剤を用いて、マレイン酸又は無水マレイン酸と反応させることにより行われる。
【0020】
この変性ポリオレフィンは、分子内にカルボキシル基や酸無水物基を有するので、これらの部分は、茶の出し殻中の水酸基をもつ成分、例えばセルロース、ポリフェノール類と容易に反応して親和性を発現し、またポリオレフィン主鎖部分は、併用するポリオレフィンと親和性を示すので、このものは茶の出し殻とポリオレフィンとの相容化に寄与する。
このように、変性ポリオレフィンは、相容化剤として作用するために、これが共存するとポリオレフィンに対する茶の出し殻粉末の含有割合を著しく高めることができる。
【0021】
本発明の押出成形用複合体成形材料における各成分の含有割合としては、特に制限はないが、該成形材料の成形性や、得られる成形体の物性などの面から、茶の出し殻粉末100質量部当り、ポリオレフィン系樹脂10〜20質量部及びマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィン1〜5質量部の割合の範囲で選ぶのが好ましい。
【0022】
また、本発明の押出成形用複合体成形材料には、所望により、従来ポリオレフィン系成形材料に慣用されている各種の添加剤、例えば可塑剤、安定剤、補強剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、着色剤、防カビ剤などをそれぞれの有効濃度で配合することができる。
【0023】
本発明の押出成形用複合体成形材料は、茶の出し殻粉末とポリオレフィン系樹脂とマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンとを、乾式条件下で機械的エネルギーを印加しながらブレンドしたのち押出成形することができる。そして、押出機で成形する場合、シリンダー内での混練り操作などに必要な時間を短縮することができ、熱により分解しやすい成分を多く含む茶の出し殻でも、その分解や変質を抑えることができる。
【0024】
本発明の押出成形用複合体成形材料は、一般のポリオレフィン系成形材料と同様にして、公知の各種成形方法、例えばプレス成形、押出成形、射出成形などの方法により、所望形状の構造体や、フィルム、シートなどの成形体にすることができる。例えば、異形金型を備えた斜軸の二軸押出成形機に供給し、適当な条件、例えばダイ圧10〜20MPa、シリンダー温度180〜210℃、ダイ温度160〜200℃で押出成形することにより、茶の出し殻粉末80質量%以上を含む茶の出し殻粉末とポリオレフィンとの複合体からなる異形状の押出成形体を製造することができる。
【0025】
本発明の押出成形用複合体成形材料の製造方法によると、茶の出し殻粉末とポリオレフィン系樹脂とマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンの混合物を、120〜190℃において、せん断応力を加えながら、十分に混和したのち、110℃以下に降温し、ペレット化することにより、押出成形用複合体成形材料を製造することができる。
なお、茶の出し殻粉末とポリオレフィン及び変性ポリオレフィンの混合物の複合化を容易にするために、所望により、該混合物に上記成分以外に固体状又は液体状の高分子物質、低分子物質、無機化合物などを添加することができる。
【0026】
図1は、本発明の押出成形用複合体成形材料の製造方法の1例を示す工程図である。茶の出し殻粉末は、通常、比較的多くの水分を含んでいることが多いので、変性ポリオレフィン中のマレイン酸基又は無水マレイン酸基の相互作用能力の低下や成形加工時の発泡などを抑えるために、熱風乾燥処理、真空乾燥処理などにより、水分量を10質量%以下まで低下させることが好ましい。
【0027】
この茶の出し殻は、乾燥した後でも、一般に嵩密度が小さくて嵩高いために、運搬、輸送などの取り扱いが不便であるため、複合化を効率よく短時間で終了させるには、減容機を用い、あらかじめ粉末状又はペレット状などにして減容することが好ましい。
【0028】
一方、ポリオレフィン系樹脂やマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンは、粒径が約5mm以下であれば、直接茶の出し殻粉末と混合して、機械的粉砕処理により複合化が可能であるが、複合化を効率よく短時間で行いうるように、あらかじめカッティングミルなどを用いて粒径1mm以下に粉末化しておくのがよい。なお、市販の粉末状ポリオレフィンや粉末状マレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンを用いる場合は、直接複合化に用いてもよい。
【0029】
次に、前記茶の出し殻粉末100質量部に、前記ポリオレフィン系樹脂、好ましくはポリプロピレン系樹脂10〜20質量部程度、及びマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィン、好ましくは無水マレイン酸変性ポリプロピレン1〜5質量部程度を加え、さらに所望により各種添加剤を適宜量を加えて混合し、溶媒の不在下にせん断応力を加えてブレンドする。
【0030】
このブレンド処理においては、最初に茶の出し殻粉末は微粉末化され、さらに減容化する。この際、粉砕の摩擦熱によって温度上昇が起こるが、必要に応じ粉砕装置を外部から加熱熱媒体や蒸気などにより加熱し、120〜190℃の範囲の温度でせん断応力を加えながらブレンドする。この際、ポリオレフィン系樹脂は可塑化し、軟化又は溶融する。複合化完了までの時間は、その際の温度や機械的エネルギーの量により左右されるが、通常は20〜120分間程度である。
このようにして得た複合体を、110℃以下までかきまぜながら冷却すれば、顆粒ないしペレットにすることができるので、そのまま成形に供しうる。この際の顆粒ないしペレットのサイズは撹拌翼の形状、回転数、冷却条件などにより制御可能である。
【0031】
なお、茶の出し殻粉末は、通常10質量%以上の水分を有しているが、乾燥処理せずにそのまま原料として用いても、本発明におけるブレンド処理においては、複合体の温度が均一に上昇するため、水分が蒸発又は分散し、得られる押出成形用複合体成形材料では、その水含有量は通常0.8質量%以下となる。したがって、該押出成形用複合体成形材料は、乾燥処理することなく、そのまま成形することができるが、必要以上の押出成形用複合体成形材料の放置は吸湿を招くため、この押出成形用複合体成形材料製造後は、速やかに使用するのが好ましい。
【0032】
このように、本発明方法によれば、十分乾燥した茶殻にせん断応力を印加しただけで疎水性のポリオレフィン系樹脂と相分離することとなくブレンドできるので、その製造設備は簡単で、製造コストが低いという利点がある。また、得られた押出成形用複合体成形材料の茶の出し殻含有量が高い場合でも、それ自体熱可塑化しているため、成形加工が容易で、生産性の向上や成形機の長寿命化を図ることができる。さらに、本発明方法で得られた押出成形用複合体成形材料を斜軸の二軸押出成形機に投入した場合、通常の混合機で混合して得られた樹脂組成物に比べて押出し時のトルクが低く、かつ押出された成形体の物性が大きく向上する。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、家庭や茶ドリンク製造工場などから廃棄物として排出される茶の出し殻を、ポリオレフィン及び変性ポリオレフィンと複合化し、一般の熱可塑性樹脂と同様に成形材料として再利用し得るので、資源循環型産業の1つとして有用な技術を提供することができる。
また、ポリオレフィン系樹脂としてプラスチック製品の製造加工工程で排出されるポリオレフィン屑や、廃棄物として回収された弱電機器、例えば冷蔵庫などに用いられている射出成形ポリプロピレンなどの廃プラスチックの破砕物を利用すれば、容器包装リサイクル法や家電リサイクル法の推進に貢献することができる。
【0034】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0035】
実施例1
ドリンクメーカーから排出された日本茶の出し殻を3日間天日乾燥したのち、乾燥機に入れ、水含有量4.5質量%まで乾燥した。
スーパーミキサー[(株)カワタ製、製品名「SGM−100」]に、上記の各出し殻83.3質量部、ポリプロピレン系樹脂[サンアロマ−(株)社製、品番「PM930V」]14.7質量部及び無水マレイン酸変性ポリプロピレン[三洋化成(株)製、商品名「ユーメックスCA−60」]2質量部を装入し、ミキサー刃を1500〜2000rpmで回転させ、激しくかきまぜながら140℃まで昇温させた。この間、温度が132℃に達したとき、ポリプロピレン系樹脂が溶融し始め、139℃において粘度が急激に増大し、撹拌機の負荷電流が急速に上昇したので、かきまぜを停止し、クーリングミキサーモードに切り換えて冷却した。そして、徐々に冷却しながら7分間かきまぜると次第に内容物が凝集して径約5mm程度の粒子が形成され始めたので、その時点で室温まで急冷し、球状のアグロメレート粒子として押出成形用複合体成形材料を得た。このようにして得たアグロメレート粒子について光学的顕微鏡で観察したところ、茶の出し殻粉末とポリプロピレン系樹脂とは相分離を起すことなく均一に混合していることが分った。
なお、比較のために、無水マレイン酸変性ポリプロピレンを加えないものについて、同様の操作を行ったところ、アグロメレート粒子は得られず、単にポリプロピレン系樹脂と茶の出し殻粉末の混融物が得られ、その混融物では両者が相分離を起していることが認められた。
【0036】
参考例1
実施例1で得た成形用樹脂組成物を押出成形機[シンシナティ・エクスクルージョン社製、製品名「TITAN45型(SN7178)」]を用い、押出スクリュー温度125℃、吐出口温度180〜200℃、スクリュー回転3.0rpm、フィーダー回転1.3rpmの条件で押出成形した。この際の押出成形用複合体成形材料の押出圧は12.0MPaであり、成形速度は0.5m/minであった。この条件下で吐出に若干負荷をかけると、良好な成形体が形成された。この成形体の強度をJIS A5905に準じて測定し、密度とともに表1に示す。
【0037】
実施例2
茶の出し殻(水含有量5質量%)88.2質量部、実施例1で用いたのと同じポリプロピレン系樹脂9.8質量部及び実施例1で用いたのと同じ無水マレイン酸変性ポリプロピレン2質量部との混合物を、実施例1と同様に処理して押出成形用複合体成形材料を調製した。
この押出成形用複合体成形材料を参考例1と同様にして吐出口温度164℃で連続的に吐出させ押出成形した。このようにして得た成形体の物性を表1に示す。
【0038】
実施例3
茶の出し殻(水含有量5質量%)78.4質量部、実施例1で用いたのと同じポリプロピレン系樹脂19.6質量部及び実施例1で用いたのと同じ無水マレイン酸変性ポリプロピレン2質量部を実施例1と同様に処理して押出成形用複合体成形材料を調製した。
この押出成形用複合体成形材料を参考例1と同様にして吐出口温度164℃で、連続的に吐出させ、押出成形した。このようにして得た成形体の物性を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
参考例2
実施例1で得た成形体について、(財)日本紡績検査協会近畿事業所に依頼して、JIS Z2801のフィルム密着法による抗菌性試験を行った。
この際、試験菌株としては、大腸菌(Escherichia coli)及び黄色ぶどう球菌(Staphylococcus aureus NBRC 12732)を用いた。この結果、大腸菌に対しては抑制作用を示さなかったが、黄色ぶどう球菌に対しては、表2に示すように抑制作用を示した。
この表2における抗菌活性値は、logB−logCで求められる数値であって、これが2.0以上であれば抗菌性能基準を満たしていると認められる。
【0041】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の押出成形用複合体成形材料の製造方法の1例を示す工程図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、茶葉を水出し又は湯出しした後に残留する、いわゆる茶の出し殻を有効利用した押出成形用複合体成形材料、及びこのものを効率よく安価に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業廃棄物を低減して環境汚染を抑制する資源循環型の社会システムや経済システムの重要性が認識されるようになり、建築分野においては建築リサイクル法が、またプラスチック分野においては、容器包装リサイクル法や家電リサイクル法などが制定され、木質系産業廃棄物やプラスチック産業廃棄物の再利用が社会的な要求課題となってきた。
【0003】
また、緑茶、紅茶、中国茶などを水や熱水で抽出し、飲料として提供した後には、いわゆる茶の出し殻として、かなりの量の残滓が残る。これは、通常、家庭廃棄物の生ごみとして、あるいはドリンク製造工場からは、産業廃棄物として処理されている。
【0004】
ところで、1980年後半にウーロン茶が健康飲料として輸入されるようになって以来、お茶はドリンク飲料の1つとして、缶詰、びん詰めの形で大量に消費され、それに伴って茶の出し殻も各メーカーから大量に排出されるようになった。この茶の出し殻は、各種有機質を含み、かつ殺菌性や消臭性を有することから、それを有効利用する試みは、各分野においてなされている。
【0005】
例えば、不織布、衛生シーツ、衛生紙、模様紙などの原料として(特許文献1参照)、粒状防虫剤、枕の詰め物、糞尿消臭剤などとして(特許文献2参照)利用されているほか、コンポスト肥料(非特許文献1、非特許文献2参照)や、家畜、家禽の飼料(非特許文献3参照)に加工されている。また、これを炭素化して固形炭を製造し、養魚用の浄化に利用したり、その際発生する乾留ガスから酢酸を回収することも行われている(特許文献3参照)。
【0006】
しかしながら、これまでは、大量に消費可能で、しかも付加価値の高い製品として経常的に安定して提供しうる用途については、まだ十分な開発研究がなされていなかった。
【0007】
最近、木材繊維と茶殻を混合して湿式抄造し、木質マットを製造する方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、このような湿分を含む茶殻を、疎水性のポリオレフィンと複合化させるには、十分乾燥させなければならないし、また、乾燥させたものを用いたとしても、茶殻の葉緑素、カテキン、フラバン、タンニンなどのポリフェノールなどの親水性物質を主成分としているため、疎水性のポリオレフィンに配合する割合が制限されるのを免れなかった。
【0008】
このように、これまで茶の出し殻を利用して、十分に強度が高く、各種分野において利用可能な疎水性プラスチックとの複合体を得ること、特に茶の出し殻の配合量を高くしたものを得ることは困難であり、その利用分野も限られていた。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−235198号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献2】
特開平9−38184号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献3】
特開平6−157227号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献4】
特開2002−321205号公報(特許請求の範囲その他)
【非特許文献1】
劉 庭秀、第10回廃棄物学会研究論文発表会
【非特許文献2】
村上敏文、梅宮善章、「圃場と土壌」土づくり特集、別冊11号
【非特許文献3】
畜産試験場養鶏研究所、平成14年度試験研究計画
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水含有量が多く、これまで疎水性プラスチックであるポリオレフィン系樹脂に対して大量に配合することができなかった茶の出し殻粉末を高い配合割合で含み、しかも十分な実用的強度を有する茶殻−ポリオレフィン系樹脂複合体からなる成形材料を提供することを目的としてなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、茶の出し殻粉末をフィラーとしてポリオレフィン系樹脂に配合した成形材料を開発するために鋭意研究を重ねた結果、相容化剤として、マレイン酸又は無水マレイン酸により変性されたポリオレフィンを用い、茶の出し殻粉末とポリオレフィン系樹脂とを加熱下、せん断応力を加えながらブレンドすることにより、茶の出し殻粉末を多量に配合した場合でも、十分な強度を示す成形材料が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、茶の出し殻粉末と、ポリオレフィン系樹脂と、マレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンとからなる押出成形用複合体成形材料、及び茶の出し殻粉末とポリオレフィン系樹脂とマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンの混合物を、120〜190℃において、せん断応力を加えながら十分に混和したのち、110℃以下に降温し、ペレット化することを特徴とする押出成形用複合体成形材料の製造方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明においては、茶の出し殻粉末として、家庭又は工場から排出される茶葉の水又は熱水により抽出された後の残滓を乾燥し、0.2〜2.0mmの粒径に粉砕したものが用いられる。茶の出し殻の乾燥物は、通常3〜10質量%の水を含有するため、これをそのまま粉砕してポリオレフィン系樹脂に配合しようとしても、せいぜい配合割合は50質量%以下であり、しかも成形後の製品は、低い機械的強度のものとなるのを免れなかった。
【0014】
しかしながら、本発明においては、50質量%以上、好ましくは75質量%以上の配合割合で茶の出し殻粉末を配合することができ、しかも十分高い機械的強度の製品を得ることができる。
【0015】
この茶の出し殻粉末は、その水含有量が低ければ低いほど配合割合を高めても強度の低下が認められなくなるので、使用に先立って水含有量10質量%以下、好ましくは5質量%以下になるまで乾燥するのが好ましい。
【0016】
茶葉には、摘葉後、直ちに加熱処理し、揉捻乾燥させた緑茶、半発酵させたウーロン茶、完全発酵させた紅茶、後発酵させた黒茶などの種類があるが、本発明においては、これらのいずれも用いることができる。また、最近、健康飲料としての効果を高める目的で、ハーブ、ハトムギ、玄米などの漢方薬成分を配合した健康茶が市販されているが、これらの異種成分が混合された茶の出し殻を用いてもよい。
【0017】
この茶葉には、セルロースのほか、葉緑素、カテキン、フラバン、タンニンなどが含まれているため、殺菌作用、消臭作用を有することが知られており、本発明の押出成形用複合体成形材料の成形品についても、これが黄色ブドウ球菌に対して殺菌作用を示すことが確認されている。
【0018】
次に、本発明において茶の出し殻粉末とともに用いられるポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリ4‐メチルペンテン‐1などの単独重合体や、エチレンとプロピレンの共重合体、エチレンとブチレンとの共重合体、エチレンと他の炭素数5以上のα‐オレフィンとの共重合体、すなわち低密度線状ポリエチレンのような共重合体などを用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上の混合物として用いてもよい。これらの中で、特にポリエチレン又はポリプロピレンあるいはそれらの混合物が好ましい。
【0019】
また、本発明において相容化剤として用いるマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンは、これまでポリオレフィン系樹脂と木粉などの親水性フィラーの際の相容化剤として慣用されていたものの中から任意に選んで用いることができ、特に制限はない。このようなものとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐α‐オレフィン共重合体、エチレン‐α‐オレフィン−非共役ジエン化合物共重合体(EPDMなど)、エチレン−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン化合物共重合ゴムなどのポリオレフィンを、マレイン酸又は無水マレイン酸を用いてグラフト共重合し、化学変性したものを挙げることができる。
このグラフト共重合は、例えば上記ポリオレフィンを適当な溶媒中において、ベンゾイルパーオキシドなどのラジカル発生剤を用いて、マレイン酸又は無水マレイン酸と反応させることにより行われる。
【0020】
この変性ポリオレフィンは、分子内にカルボキシル基や酸無水物基を有するので、これらの部分は、茶の出し殻中の水酸基をもつ成分、例えばセルロース、ポリフェノール類と容易に反応して親和性を発現し、またポリオレフィン主鎖部分は、併用するポリオレフィンと親和性を示すので、このものは茶の出し殻とポリオレフィンとの相容化に寄与する。
このように、変性ポリオレフィンは、相容化剤として作用するために、これが共存するとポリオレフィンに対する茶の出し殻粉末の含有割合を著しく高めることができる。
【0021】
本発明の押出成形用複合体成形材料における各成分の含有割合としては、特に制限はないが、該成形材料の成形性や、得られる成形体の物性などの面から、茶の出し殻粉末100質量部当り、ポリオレフィン系樹脂10〜20質量部及びマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィン1〜5質量部の割合の範囲で選ぶのが好ましい。
【0022】
また、本発明の押出成形用複合体成形材料には、所望により、従来ポリオレフィン系成形材料に慣用されている各種の添加剤、例えば可塑剤、安定剤、補強剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、着色剤、防カビ剤などをそれぞれの有効濃度で配合することができる。
【0023】
本発明の押出成形用複合体成形材料は、茶の出し殻粉末とポリオレフィン系樹脂とマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンとを、乾式条件下で機械的エネルギーを印加しながらブレンドしたのち押出成形することができる。そして、押出機で成形する場合、シリンダー内での混練り操作などに必要な時間を短縮することができ、熱により分解しやすい成分を多く含む茶の出し殻でも、その分解や変質を抑えることができる。
【0024】
本発明の押出成形用複合体成形材料は、一般のポリオレフィン系成形材料と同様にして、公知の各種成形方法、例えばプレス成形、押出成形、射出成形などの方法により、所望形状の構造体や、フィルム、シートなどの成形体にすることができる。例えば、異形金型を備えた斜軸の二軸押出成形機に供給し、適当な条件、例えばダイ圧10〜20MPa、シリンダー温度180〜210℃、ダイ温度160〜200℃で押出成形することにより、茶の出し殻粉末80質量%以上を含む茶の出し殻粉末とポリオレフィンとの複合体からなる異形状の押出成形体を製造することができる。
【0025】
本発明の押出成形用複合体成形材料の製造方法によると、茶の出し殻粉末とポリオレフィン系樹脂とマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンの混合物を、120〜190℃において、せん断応力を加えながら、十分に混和したのち、110℃以下に降温し、ペレット化することにより、押出成形用複合体成形材料を製造することができる。
なお、茶の出し殻粉末とポリオレフィン及び変性ポリオレフィンの混合物の複合化を容易にするために、所望により、該混合物に上記成分以外に固体状又は液体状の高分子物質、低分子物質、無機化合物などを添加することができる。
【0026】
図1は、本発明の押出成形用複合体成形材料の製造方法の1例を示す工程図である。茶の出し殻粉末は、通常、比較的多くの水分を含んでいることが多いので、変性ポリオレフィン中のマレイン酸基又は無水マレイン酸基の相互作用能力の低下や成形加工時の発泡などを抑えるために、熱風乾燥処理、真空乾燥処理などにより、水分量を10質量%以下まで低下させることが好ましい。
【0027】
この茶の出し殻は、乾燥した後でも、一般に嵩密度が小さくて嵩高いために、運搬、輸送などの取り扱いが不便であるため、複合化を効率よく短時間で終了させるには、減容機を用い、あらかじめ粉末状又はペレット状などにして減容することが好ましい。
【0028】
一方、ポリオレフィン系樹脂やマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンは、粒径が約5mm以下であれば、直接茶の出し殻粉末と混合して、機械的粉砕処理により複合化が可能であるが、複合化を効率よく短時間で行いうるように、あらかじめカッティングミルなどを用いて粒径1mm以下に粉末化しておくのがよい。なお、市販の粉末状ポリオレフィンや粉末状マレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンを用いる場合は、直接複合化に用いてもよい。
【0029】
次に、前記茶の出し殻粉末100質量部に、前記ポリオレフィン系樹脂、好ましくはポリプロピレン系樹脂10〜20質量部程度、及びマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィン、好ましくは無水マレイン酸変性ポリプロピレン1〜5質量部程度を加え、さらに所望により各種添加剤を適宜量を加えて混合し、溶媒の不在下にせん断応力を加えてブレンドする。
【0030】
このブレンド処理においては、最初に茶の出し殻粉末は微粉末化され、さらに減容化する。この際、粉砕の摩擦熱によって温度上昇が起こるが、必要に応じ粉砕装置を外部から加熱熱媒体や蒸気などにより加熱し、120〜190℃の範囲の温度でせん断応力を加えながらブレンドする。この際、ポリオレフィン系樹脂は可塑化し、軟化又は溶融する。複合化完了までの時間は、その際の温度や機械的エネルギーの量により左右されるが、通常は20〜120分間程度である。
このようにして得た複合体を、110℃以下までかきまぜながら冷却すれば、顆粒ないしペレットにすることができるので、そのまま成形に供しうる。この際の顆粒ないしペレットのサイズは撹拌翼の形状、回転数、冷却条件などにより制御可能である。
【0031】
なお、茶の出し殻粉末は、通常10質量%以上の水分を有しているが、乾燥処理せずにそのまま原料として用いても、本発明におけるブレンド処理においては、複合体の温度が均一に上昇するため、水分が蒸発又は分散し、得られる押出成形用複合体成形材料では、その水含有量は通常0.8質量%以下となる。したがって、該押出成形用複合体成形材料は、乾燥処理することなく、そのまま成形することができるが、必要以上の押出成形用複合体成形材料の放置は吸湿を招くため、この押出成形用複合体成形材料製造後は、速やかに使用するのが好ましい。
【0032】
このように、本発明方法によれば、十分乾燥した茶殻にせん断応力を印加しただけで疎水性のポリオレフィン系樹脂と相分離することとなくブレンドできるので、その製造設備は簡単で、製造コストが低いという利点がある。また、得られた押出成形用複合体成形材料の茶の出し殻含有量が高い場合でも、それ自体熱可塑化しているため、成形加工が容易で、生産性の向上や成形機の長寿命化を図ることができる。さらに、本発明方法で得られた押出成形用複合体成形材料を斜軸の二軸押出成形機に投入した場合、通常の混合機で混合して得られた樹脂組成物に比べて押出し時のトルクが低く、かつ押出された成形体の物性が大きく向上する。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、家庭や茶ドリンク製造工場などから廃棄物として排出される茶の出し殻を、ポリオレフィン及び変性ポリオレフィンと複合化し、一般の熱可塑性樹脂と同様に成形材料として再利用し得るので、資源循環型産業の1つとして有用な技術を提供することができる。
また、ポリオレフィン系樹脂としてプラスチック製品の製造加工工程で排出されるポリオレフィン屑や、廃棄物として回収された弱電機器、例えば冷蔵庫などに用いられている射出成形ポリプロピレンなどの廃プラスチックの破砕物を利用すれば、容器包装リサイクル法や家電リサイクル法の推進に貢献することができる。
【0034】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0035】
実施例1
ドリンクメーカーから排出された日本茶の出し殻を3日間天日乾燥したのち、乾燥機に入れ、水含有量4.5質量%まで乾燥した。
スーパーミキサー[(株)カワタ製、製品名「SGM−100」]に、上記の各出し殻83.3質量部、ポリプロピレン系樹脂[サンアロマ−(株)社製、品番「PM930V」]14.7質量部及び無水マレイン酸変性ポリプロピレン[三洋化成(株)製、商品名「ユーメックスCA−60」]2質量部を装入し、ミキサー刃を1500〜2000rpmで回転させ、激しくかきまぜながら140℃まで昇温させた。この間、温度が132℃に達したとき、ポリプロピレン系樹脂が溶融し始め、139℃において粘度が急激に増大し、撹拌機の負荷電流が急速に上昇したので、かきまぜを停止し、クーリングミキサーモードに切り換えて冷却した。そして、徐々に冷却しながら7分間かきまぜると次第に内容物が凝集して径約5mm程度の粒子が形成され始めたので、その時点で室温まで急冷し、球状のアグロメレート粒子として押出成形用複合体成形材料を得た。このようにして得たアグロメレート粒子について光学的顕微鏡で観察したところ、茶の出し殻粉末とポリプロピレン系樹脂とは相分離を起すことなく均一に混合していることが分った。
なお、比較のために、無水マレイン酸変性ポリプロピレンを加えないものについて、同様の操作を行ったところ、アグロメレート粒子は得られず、単にポリプロピレン系樹脂と茶の出し殻粉末の混融物が得られ、その混融物では両者が相分離を起していることが認められた。
【0036】
参考例1
実施例1で得た成形用樹脂組成物を押出成形機[シンシナティ・エクスクルージョン社製、製品名「TITAN45型(SN7178)」]を用い、押出スクリュー温度125℃、吐出口温度180〜200℃、スクリュー回転3.0rpm、フィーダー回転1.3rpmの条件で押出成形した。この際の押出成形用複合体成形材料の押出圧は12.0MPaであり、成形速度は0.5m/minであった。この条件下で吐出に若干負荷をかけると、良好な成形体が形成された。この成形体の強度をJIS A5905に準じて測定し、密度とともに表1に示す。
【0037】
実施例2
茶の出し殻(水含有量5質量%)88.2質量部、実施例1で用いたのと同じポリプロピレン系樹脂9.8質量部及び実施例1で用いたのと同じ無水マレイン酸変性ポリプロピレン2質量部との混合物を、実施例1と同様に処理して押出成形用複合体成形材料を調製した。
この押出成形用複合体成形材料を参考例1と同様にして吐出口温度164℃で連続的に吐出させ押出成形した。このようにして得た成形体の物性を表1に示す。
【0038】
実施例3
茶の出し殻(水含有量5質量%)78.4質量部、実施例1で用いたのと同じポリプロピレン系樹脂19.6質量部及び実施例1で用いたのと同じ無水マレイン酸変性ポリプロピレン2質量部を実施例1と同様に処理して押出成形用複合体成形材料を調製した。
この押出成形用複合体成形材料を参考例1と同様にして吐出口温度164℃で、連続的に吐出させ、押出成形した。このようにして得た成形体の物性を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
参考例2
実施例1で得た成形体について、(財)日本紡績検査協会近畿事業所に依頼して、JIS Z2801のフィルム密着法による抗菌性試験を行った。
この際、試験菌株としては、大腸菌(Escherichia coli)及び黄色ぶどう球菌(Staphylococcus aureus NBRC 12732)を用いた。この結果、大腸菌に対しては抑制作用を示さなかったが、黄色ぶどう球菌に対しては、表2に示すように抑制作用を示した。
この表2における抗菌活性値は、logB−logCで求められる数値であって、これが2.0以上であれば抗菌性能基準を満たしていると認められる。
【0041】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の押出成形用複合体成形材料の製造方法の1例を示す工程図。
Claims (5)
- 茶の出し殻粉末と、ポリオレフィン系樹脂と、マレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンとからなる押出成形用複合体成形材料。
- 茶の出し殻粉末100質量部当り、ポリオレフィン系樹脂10〜20質量部及びマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィン1〜5質量部を含有する請求項1記載の押出成形用複合体成形材料。
- ポリオレフィンがポリエチレン及びポリプロピレンの中から選ばれた少なくとも1種である請求項1又は2記載の押出成形用複合体成形材料。
- 茶の出し殻粉末とポリオレフィン系樹脂とマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンの混合物を、120〜190℃において、せん断応力を加えながら十分に混和したのち、110℃以下に降温し、ペレット化することを特徴とする押出成形用複合体成形材料の製造方法。
- 茶の出し殻粉末100質量部当り、ポリプロピレン系樹脂10〜20質量部及び無水マレイン酸変性ポリプロピレン1〜5質量部を用いる請求項4記載の押出成形用複合体成形材料の製造方法。
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- 2003-07-08 JP JP2003193953A patent/JP2005029625A/ja active Pending
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