JP2005027879A - 排痰装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来技術によると、患者は、若年層の慢性気管支炎患者が主であり、最も患者数の多い体力の弱った高齢患者や強く息を吐き出せない肺気腫患者には使えないという問題がある。
【解決手段】患者の口に接続する接続具にフレキシブルパイプを介して加振装置および圧力発生装置を接続し、圧力発生装置からの気流によって加振装置により振動気流を発生させ、それによって患者の気管支内の排痰の除去を促進させることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】患者の口に接続する接続具にフレキシブルパイプを介して加振装置および圧力発生装置を接続し、圧力発生装置からの気流によって加振装置により振動気流を発生させ、それによって患者の気管支内の排痰の除去を促進させることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、肺炎、慢性気管支炎、喘息、胸膜圧等の種々の原因による呼吸不全を示す患者および老人における排痰を補助する排痰装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、肺炎による死亡原因の上位に、痰が気道を閉塞させることによる窒息死がある。そこで、患者の身体に負担をかけずに排痰を効果的に促進させる装置が求められており従来から研究されている。
従来の排痰装置として、垂直空気通路に連結さた水平空気通路を有し、この垂直空気通路に設けた漏斗状の脱出チャンネル中にボールを配置し、このボールの重量によって呼気前に脱出チャンネルを塞ぎ、このボールが呼気に際してその脱出チャンネルから持ち上げられ、それ自体の重量作用で呼気に対して抵抗する装置がある。
【0003】
さらに、このような装置の改良装置として図10に示す技術がある。
この装置は、患者の呼気の導入オリフィス101を備えた第1管状部分102と、円錐形の呼気脱出チャンネル103を備えた第2部分104とを有し、この第2部分104の呼気脱出チャンネル103は第1管状部分102に対して30度乃至80度の傾斜角度で上方に傾斜するように配置され、呼気脱出チャンネル103の内部に呼気脱出チャンネル103の小径側開口105の直径より大きい直径のボール106が患者の呼気前において導入オリフィス101を塞ぐように配置され、ボール106は呼気脱出チャンネル103の中を自由に移動してそれ自体の重量作用で患者の呼気に対抗する構造である。
【0004】
この装置によると、導入オリフィス101の部分を患者が口にくわえて息を強く吹くと、内部の呼気脱出チャンネル103の空気通路内にあるボール106が呼気に対する正圧揺動抵抗となって振動浮上し、その振動と空気の流れが喉に引っ掛かっている痰を排出し易くするものである(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特許番号第2515358号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来技術によると、この排痰装置を使用できる患者は、若年層の慢性気管支炎患者が主であり、最も患者数の多い体力の弱った高齢患者や強く息を吐き出せない肺気腫患者には使えないという問題がある。
また、患者が吹いた陽圧の場合にのみボールが振動して排痰を促進させるが、患者が吸う陰圧でボールは振動しないために患者の気管支内壁に張りついている痰を流動化させることができないという問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、患者の口に接続する接続具にフレキシブルパイプを介して加振装置および圧力発生装置を接続し、圧力発生装置からの気流によって加振装置により振動気流を発生させ、それによって患者の気管支内の排痰の除去を促進させることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態例を図面を用いて説明する。
図1は構成を示す全体説明図である。図において、1は圧力発生装置、2は加振装置、3はマウスピースやフェイスマスク等の患者の口との接続具であり、これ等が気流伝達用のフレキシブルチューブ4によって一体に連結されている。
【0009】
上記圧力発生装置1の例を図2を用いて以下に説明する。
5は圧力発生部であり、陽圧と陰圧とを同時に発生させ、それぞれの排出口を流通路6、7に連結し、その流通路6、7の接合部を陽圧と陰圧との切替えバルブ等による切替え装置8を介して上記フレキシブルチューブ4に接続する。
さらに、上記圧力発生部1には圧力コントローラ9を接続し、流通路6、7の途中にはそれぞれ圧力調整器10、11が設けてある。
【0010】
上記切替え装置8の切替え手段は、手動でも電動でもよいが、患者が自由に行える手動は電動の場合にも併用できるようにしておくとよい。これにより、患者は呼吸のタイミングや気管内での痰の位置状態に合わせた排痰を行うことができる。
また、上記装置では陽圧を用いて患者の呼吸を補助することができるが、上記圧力発生部5と切替え装置8を一体にして陰圧のみの気流を患者に供給するようにしてもよく、これにより、患者に対する陰圧のみによる痰の吸い出しを行える装置とすることで装置の構成を単純で小型にすると共に操作を簡単にすることもできる。
【0011】
つぎに、上記加振装置2の例を図3を用いて説明する。
直管部12とそれに対して傾斜させた斜管部13とよりなる屈曲させた筒状体14の斜管部13内に、切頭円錐形体15をその大径口16を斜管部13の開口側で取り付け、小径口17を直管部12側に位置させて大径口16で支えて切頭円錐形体15を浮かせるようにして取り付けてある。
【0012】
この切頭円錐形体15内に、小径口17の径より大きく大径口16の径よ小さい径の金属等製の球18を切頭円錐形体15の内側面に当接するように配置して切頭円錐形体15を塞ぐようにしてある。19は球18の脱落を防ぐ蓋体であり、斜管部13の開口端に取り付けられ、上面に設けた通気孔や網状体等により通気可能になっている。
【0013】
このようにした加振装置2の直管部12の開口端を上記フレキシブルチューブ4に接続することにより、陽圧気流および陰圧気流によって球18が揺動し、それにより空気振動が発生し、その振動が気管内の痰に影響して痰の離脱を促し、陰圧気流によって痰の吸い出しが行えるものである。
したがって、球18が揺動して空気振動が発生している期間を、音およびもしくは光によってそれを報知するようにしておくと患者や介助者に判り易いためにそのような報知手段を加振装置2に接続するか取り付けておくとよい。
【0014】
なお、上記圧力発生装置1の電源は交流電源でも蓄電池でもよいが、両方が併用できるようにしておくことがよく、それにより、交流電源のないところでも排痰作業を行うことができるために、使用環境を拡げることができる。また、不使用時に交流電源を整流して蓄電池に充電して使用できるようにすることもできる。
【0015】
なお、加振装置2は上記構成に限るものではなく、加振装置ならどのような構造のものでもよい。例えば、図4に示す如く、切頭円錐形体15の小径口17を直管部12に直接接続し、切頭円錐形体15内に球18を入れ、大径口16に脱落を防ぐ蓋体19を取り付けた構造のものでもよい。
また、従来技術で説明した排痰装置を用いてもよい。さらには、電動によるバイブレータを利用した加振装置でもよい。
【0016】
上記加振装置2のフレキシブルチューブ4への接続位置は、どこでもよいが、その位置によって効果は異なる。以下にその位置の違いによる作用の違いを説明する。
応用例1
図1では加振装置2を接続具3の近傍に取り付けてある。これによると、空気振動が患者に伝わり易くなるため、排痰が効果的に行える。
【0017】
患者に対する陽圧ならびに陰圧を手動により任意に各約2秒間ずつ切り替えた場合の測定値を図5に示す。図において、横軸が経過時間(秒)、左軸が気流(単位はml/秒)、右軸が圧力(cmH2 O)である。
気流ならびに圧力の単位がプラスの場合は、圧力発生装置1から患者に対して陽圧、マイナスの場合は、圧力発生装置1から患者に対して陰圧である。なお、圧力ならびに気流量の計測点は圧力発生装置1の排出口直近である。
【0018】
この図において、計測開始後0.8秒から3秒までの2.2秒間の期間は、患者に対して平均約1.3cmH2 Oの陽圧の振動気流(振動数約30Hz)が印加され、その振動気流の平均は23.8ml/秒である。
その陽圧の後、圧力発生装置1の切替え装置8により患者に対して陰圧になるように手動で切り替えた。この切り替え時間は約0.5秒かかったが、さらに短時間で切り替えることにより陽圧および陰圧の圧力差を用いることができ排痰効果を促進することができる。
【0019】
さらに同図において、上記陰圧は測定開始後3.5秒から5.2秒までの2.3秒間の期間は、最初の圧力切り替え時においては約0.4cmH2 Oの陰圧がピーク的に発生するものの、平均約−0.2cmH2 Oの陰圧である。気流は、平均−27.4ml/秒である。この患者に対して陰圧の場合、加振装置2内の球18が振動しないため、この陰圧気流は加振されない。なお、陰圧であっても気流が振動する圧力発生装置を用いると更なる排痰促進効果が得られる。そのような気流加振用の圧力発生装置は、圧力発生部で発生した気流に約10〜30Hzの振動を与えることができるものであればよい。
【0020】
上記陽圧の平均気流は23.8ml/秒で通気時間が2.2秒であるから、約53mlの空気が患者の肺に流入することになるが、人間の呼吸1回当たりの換気量は、体重1Kg当たり約10mlであり、例えば体重50Kgの人間の場合、500mlが1回当たりの換気量となることからその範囲内である。
さらに、気胸が発生せず、人体に安全な陽圧ならびに陰圧の限度は±20cmH2 Oといわれており、上記気圧はその範囲内である。なお、気管に大量の痰が詰まっていて危険な状態にある患者に対しては、±20cmH2 Oの限界値での適用が必要である。
【0021】
応用例2
図6では接続具3の近傍に直径約2cm、長さ約50cmの気流伝達用のフレキシブルチューブ20を取り付けて分岐させ、その先端に加振装置2を取り付けてある。
これによると、患者に対して陽圧のみを印加した場合の気流ならびに圧力の状態を計測した結果を図7に示す。
【0022】
計測開始から2秒後から6秒の期間において、患者に対して平均約2.3cmH2 Oの陽圧の振動気流(振動数約18Hz)が印加され、その振動気流の平均は20.8ml/秒である。
図7と図5の気流、圧力ならびに気流振動周波数の状態を比較すると、図7の平均圧力は高いものの、圧力発生装置からの気流は減少しており、さらに気流振動周波数も約半分に低下している。
【0023】
応用例3
図8では圧力発生装置1の近傍に加振装置2を取り付けてある。
これによると、患者に対して陽圧のみを断続的に印加した場合の気流ならびに圧力の状態を計測した結果を図9に示す。
計測開始から0.5秒後から3.6秒後の3.1秒の期間において、患者に対して平均約3.1cmH2 Oの陽圧の振動気流(振動数約20Hz)が印加され、その振動気流の平均は18.4ml/秒である。
【0024】
図9と図5の気流、圧力ならびに気流振動周波数の状態を比較すると、図9では、圧力発生装置1の近傍に加振装置2を設けたことにより、圧力が約2.4倍になり、この圧力が高まったことにより、気流が0.8倍に低下している。このときの気流振動周波数は図5の30Hzに比べて図9では20Hzに低下している。
【0025】
以上の各応用例から、患者の排痰量の最も多いのは応用例1に示す接続具の近傍に加振装置2を取り付けた場合である。これらのことから、患者の排痰を促進する効果に最も影響するものは、加振装置の気流振動周波数が30Hz前後であることがわかる。
【0026】
【発明の効果】
以上詳細に説明した本発明によると、患者の口に接続する接続具にフレキシブルパイプを介して加振装置および圧力発生装置を接続し、圧力発生装置からの気流によって加振装置により振動気流を発生させ、気管支内の排痰の除去を促進させ、さらに患者に対する陰圧により、剥離した痰を吸引することができる効果を有する。
【0027】
さらにと小型で運搬可能な構造としたことにより、患者ならびに介助者の負担を軽減させることが可能となると共にどこでも使用可能となる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1応用例の構成を示す全体説明図
【図2】圧力発生装置の構成図
【図3】加振装置の構成図
【図4】他の加振装置の構成図
【図5】第1応用例の作動時の測定値を示すグラフ
【図6】第2応用例の構成を示す全体説明図
【図7】第2応用例の作動時の測定値を示すグラフ
【図8】第3応用例の構成を示す全体説明図
【図9】第3応用例の作動時の測定値を示すグラフ
【図10】従来技術の説明図
【符号の簡単な説明】
1 圧力発生装置
2 加振装置
3 接続具
4 フレキシブルチューブ
5 圧力発生部
6、7 流通路
8 切替え装置
9 圧力コントローラ
10、11 圧力調整器
12 直管部
13 斜管部
14 筒状体
15 切頭円錐形体
16 大径口
17 小径口
18 球
19 蓋体
20 フレキシブルチューブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、肺炎、慢性気管支炎、喘息、胸膜圧等の種々の原因による呼吸不全を示す患者および老人における排痰を補助する排痰装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、肺炎による死亡原因の上位に、痰が気道を閉塞させることによる窒息死がある。そこで、患者の身体に負担をかけずに排痰を効果的に促進させる装置が求められており従来から研究されている。
従来の排痰装置として、垂直空気通路に連結さた水平空気通路を有し、この垂直空気通路に設けた漏斗状の脱出チャンネル中にボールを配置し、このボールの重量によって呼気前に脱出チャンネルを塞ぎ、このボールが呼気に際してその脱出チャンネルから持ち上げられ、それ自体の重量作用で呼気に対して抵抗する装置がある。
【0003】
さらに、このような装置の改良装置として図10に示す技術がある。
この装置は、患者の呼気の導入オリフィス101を備えた第1管状部分102と、円錐形の呼気脱出チャンネル103を備えた第2部分104とを有し、この第2部分104の呼気脱出チャンネル103は第1管状部分102に対して30度乃至80度の傾斜角度で上方に傾斜するように配置され、呼気脱出チャンネル103の内部に呼気脱出チャンネル103の小径側開口105の直径より大きい直径のボール106が患者の呼気前において導入オリフィス101を塞ぐように配置され、ボール106は呼気脱出チャンネル103の中を自由に移動してそれ自体の重量作用で患者の呼気に対抗する構造である。
【0004】
この装置によると、導入オリフィス101の部分を患者が口にくわえて息を強く吹くと、内部の呼気脱出チャンネル103の空気通路内にあるボール106が呼気に対する正圧揺動抵抗となって振動浮上し、その振動と空気の流れが喉に引っ掛かっている痰を排出し易くするものである(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特許番号第2515358号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来技術によると、この排痰装置を使用できる患者は、若年層の慢性気管支炎患者が主であり、最も患者数の多い体力の弱った高齢患者や強く息を吐き出せない肺気腫患者には使えないという問題がある。
また、患者が吹いた陽圧の場合にのみボールが振動して排痰を促進させるが、患者が吸う陰圧でボールは振動しないために患者の気管支内壁に張りついている痰を流動化させることができないという問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、患者の口に接続する接続具にフレキシブルパイプを介して加振装置および圧力発生装置を接続し、圧力発生装置からの気流によって加振装置により振動気流を発生させ、それによって患者の気管支内の排痰の除去を促進させることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態例を図面を用いて説明する。
図1は構成を示す全体説明図である。図において、1は圧力発生装置、2は加振装置、3はマウスピースやフェイスマスク等の患者の口との接続具であり、これ等が気流伝達用のフレキシブルチューブ4によって一体に連結されている。
【0009】
上記圧力発生装置1の例を図2を用いて以下に説明する。
5は圧力発生部であり、陽圧と陰圧とを同時に発生させ、それぞれの排出口を流通路6、7に連結し、その流通路6、7の接合部を陽圧と陰圧との切替えバルブ等による切替え装置8を介して上記フレキシブルチューブ4に接続する。
さらに、上記圧力発生部1には圧力コントローラ9を接続し、流通路6、7の途中にはそれぞれ圧力調整器10、11が設けてある。
【0010】
上記切替え装置8の切替え手段は、手動でも電動でもよいが、患者が自由に行える手動は電動の場合にも併用できるようにしておくとよい。これにより、患者は呼吸のタイミングや気管内での痰の位置状態に合わせた排痰を行うことができる。
また、上記装置では陽圧を用いて患者の呼吸を補助することができるが、上記圧力発生部5と切替え装置8を一体にして陰圧のみの気流を患者に供給するようにしてもよく、これにより、患者に対する陰圧のみによる痰の吸い出しを行える装置とすることで装置の構成を単純で小型にすると共に操作を簡単にすることもできる。
【0011】
つぎに、上記加振装置2の例を図3を用いて説明する。
直管部12とそれに対して傾斜させた斜管部13とよりなる屈曲させた筒状体14の斜管部13内に、切頭円錐形体15をその大径口16を斜管部13の開口側で取り付け、小径口17を直管部12側に位置させて大径口16で支えて切頭円錐形体15を浮かせるようにして取り付けてある。
【0012】
この切頭円錐形体15内に、小径口17の径より大きく大径口16の径よ小さい径の金属等製の球18を切頭円錐形体15の内側面に当接するように配置して切頭円錐形体15を塞ぐようにしてある。19は球18の脱落を防ぐ蓋体であり、斜管部13の開口端に取り付けられ、上面に設けた通気孔や網状体等により通気可能になっている。
【0013】
このようにした加振装置2の直管部12の開口端を上記フレキシブルチューブ4に接続することにより、陽圧気流および陰圧気流によって球18が揺動し、それにより空気振動が発生し、その振動が気管内の痰に影響して痰の離脱を促し、陰圧気流によって痰の吸い出しが行えるものである。
したがって、球18が揺動して空気振動が発生している期間を、音およびもしくは光によってそれを報知するようにしておくと患者や介助者に判り易いためにそのような報知手段を加振装置2に接続するか取り付けておくとよい。
【0014】
なお、上記圧力発生装置1の電源は交流電源でも蓄電池でもよいが、両方が併用できるようにしておくことがよく、それにより、交流電源のないところでも排痰作業を行うことができるために、使用環境を拡げることができる。また、不使用時に交流電源を整流して蓄電池に充電して使用できるようにすることもできる。
【0015】
なお、加振装置2は上記構成に限るものではなく、加振装置ならどのような構造のものでもよい。例えば、図4に示す如く、切頭円錐形体15の小径口17を直管部12に直接接続し、切頭円錐形体15内に球18を入れ、大径口16に脱落を防ぐ蓋体19を取り付けた構造のものでもよい。
また、従来技術で説明した排痰装置を用いてもよい。さらには、電動によるバイブレータを利用した加振装置でもよい。
【0016】
上記加振装置2のフレキシブルチューブ4への接続位置は、どこでもよいが、その位置によって効果は異なる。以下にその位置の違いによる作用の違いを説明する。
応用例1
図1では加振装置2を接続具3の近傍に取り付けてある。これによると、空気振動が患者に伝わり易くなるため、排痰が効果的に行える。
【0017】
患者に対する陽圧ならびに陰圧を手動により任意に各約2秒間ずつ切り替えた場合の測定値を図5に示す。図において、横軸が経過時間(秒)、左軸が気流(単位はml/秒)、右軸が圧力(cmH2 O)である。
気流ならびに圧力の単位がプラスの場合は、圧力発生装置1から患者に対して陽圧、マイナスの場合は、圧力発生装置1から患者に対して陰圧である。なお、圧力ならびに気流量の計測点は圧力発生装置1の排出口直近である。
【0018】
この図において、計測開始後0.8秒から3秒までの2.2秒間の期間は、患者に対して平均約1.3cmH2 Oの陽圧の振動気流(振動数約30Hz)が印加され、その振動気流の平均は23.8ml/秒である。
その陽圧の後、圧力発生装置1の切替え装置8により患者に対して陰圧になるように手動で切り替えた。この切り替え時間は約0.5秒かかったが、さらに短時間で切り替えることにより陽圧および陰圧の圧力差を用いることができ排痰効果を促進することができる。
【0019】
さらに同図において、上記陰圧は測定開始後3.5秒から5.2秒までの2.3秒間の期間は、最初の圧力切り替え時においては約0.4cmH2 Oの陰圧がピーク的に発生するものの、平均約−0.2cmH2 Oの陰圧である。気流は、平均−27.4ml/秒である。この患者に対して陰圧の場合、加振装置2内の球18が振動しないため、この陰圧気流は加振されない。なお、陰圧であっても気流が振動する圧力発生装置を用いると更なる排痰促進効果が得られる。そのような気流加振用の圧力発生装置は、圧力発生部で発生した気流に約10〜30Hzの振動を与えることができるものであればよい。
【0020】
上記陽圧の平均気流は23.8ml/秒で通気時間が2.2秒であるから、約53mlの空気が患者の肺に流入することになるが、人間の呼吸1回当たりの換気量は、体重1Kg当たり約10mlであり、例えば体重50Kgの人間の場合、500mlが1回当たりの換気量となることからその範囲内である。
さらに、気胸が発生せず、人体に安全な陽圧ならびに陰圧の限度は±20cmH2 Oといわれており、上記気圧はその範囲内である。なお、気管に大量の痰が詰まっていて危険な状態にある患者に対しては、±20cmH2 Oの限界値での適用が必要である。
【0021】
応用例2
図6では接続具3の近傍に直径約2cm、長さ約50cmの気流伝達用のフレキシブルチューブ20を取り付けて分岐させ、その先端に加振装置2を取り付けてある。
これによると、患者に対して陽圧のみを印加した場合の気流ならびに圧力の状態を計測した結果を図7に示す。
【0022】
計測開始から2秒後から6秒の期間において、患者に対して平均約2.3cmH2 Oの陽圧の振動気流(振動数約18Hz)が印加され、その振動気流の平均は20.8ml/秒である。
図7と図5の気流、圧力ならびに気流振動周波数の状態を比較すると、図7の平均圧力は高いものの、圧力発生装置からの気流は減少しており、さらに気流振動周波数も約半分に低下している。
【0023】
応用例3
図8では圧力発生装置1の近傍に加振装置2を取り付けてある。
これによると、患者に対して陽圧のみを断続的に印加した場合の気流ならびに圧力の状態を計測した結果を図9に示す。
計測開始から0.5秒後から3.6秒後の3.1秒の期間において、患者に対して平均約3.1cmH2 Oの陽圧の振動気流(振動数約20Hz)が印加され、その振動気流の平均は18.4ml/秒である。
【0024】
図9と図5の気流、圧力ならびに気流振動周波数の状態を比較すると、図9では、圧力発生装置1の近傍に加振装置2を設けたことにより、圧力が約2.4倍になり、この圧力が高まったことにより、気流が0.8倍に低下している。このときの気流振動周波数は図5の30Hzに比べて図9では20Hzに低下している。
【0025】
以上の各応用例から、患者の排痰量の最も多いのは応用例1に示す接続具の近傍に加振装置2を取り付けた場合である。これらのことから、患者の排痰を促進する効果に最も影響するものは、加振装置の気流振動周波数が30Hz前後であることがわかる。
【0026】
【発明の効果】
以上詳細に説明した本発明によると、患者の口に接続する接続具にフレキシブルパイプを介して加振装置および圧力発生装置を接続し、圧力発生装置からの気流によって加振装置により振動気流を発生させ、気管支内の排痰の除去を促進させ、さらに患者に対する陰圧により、剥離した痰を吸引することができる効果を有する。
【0027】
さらにと小型で運搬可能な構造としたことにより、患者ならびに介助者の負担を軽減させることが可能となると共にどこでも使用可能となる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1応用例の構成を示す全体説明図
【図2】圧力発生装置の構成図
【図3】加振装置の構成図
【図4】他の加振装置の構成図
【図5】第1応用例の作動時の測定値を示すグラフ
【図6】第2応用例の構成を示す全体説明図
【図7】第2応用例の作動時の測定値を示すグラフ
【図8】第3応用例の構成を示す全体説明図
【図9】第3応用例の作動時の測定値を示すグラフ
【図10】従来技術の説明図
【符号の簡単な説明】
1 圧力発生装置
2 加振装置
3 接続具
4 フレキシブルチューブ
5 圧力発生部
6、7 流通路
8 切替え装置
9 圧力コントローラ
10、11 圧力調整器
12 直管部
13 斜管部
14 筒状体
15 切頭円錐形体
16 大径口
17 小径口
18 球
19 蓋体
20 フレキシブルチューブ
Claims (9)
- 患者の口に接続する接続具にフレキシブルパイプを介して加振装置および圧力発生装置を接続し、圧力発生装置からの気流によって加振装置により振動気流を発生させ、それによって患者の気管支内の排痰の除去を促進させることを特徴とする排痰装置。
- 請求項1において、加振装置を接続具の近傍に配置したことを特徴とする排痰装置。
- 請求項1において、圧力発生装置の発生気流の圧力を可変させる圧力調整器を設けたことを特徴とする排痰装置。
- 請求項1、請求項2および請求項3において、圧力発生装置から陽圧気流および陰圧気流の両方を発生させることを特徴とする排痰装置。
- 請求項4において、陽圧気流と陰圧気流とがそれぞれ別に流れる流通路を形成し、上記フレキシブルパイプにどちらかの気流を選択して患者に供給することができる切替え装置を設けたことを特徴とする排痰装置。
- 請求項1において、陽圧気流か陰圧気流かによる加振装置の作動時に、その作動時であることを知らせる報知手段を加振装置に設けたことを特徴とする排痰装置。
- 請求項1において、加振装置による気流振動周波数を30Hz前後としたことを特徴とする排痰装置。
- 請求項1、請求項2および請求項3において、圧力発生装置から陰圧気流を発生させることを特徴とする排痰装置。
- 請求項1において、圧力発生装置の動力源を交流電源およびもしくは蓄電池としたことを特徴とする排痰装置。
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