JP2005027848A - 人工呼吸器を制御する制御方法および制御装置 - Google Patents

人工呼吸器を制御する制御方法および制御装置 Download PDF

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JP2005027848A
JP2005027848A JP2003195896A JP2003195896A JP2005027848A JP 2005027848 A JP2005027848 A JP 2005027848A JP 2003195896 A JP2003195896 A JP 2003195896A JP 2003195896 A JP2003195896 A JP 2003195896A JP 2005027848 A JP2005027848 A JP 2005027848A
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Kenji Ozaki
賢二 尾崎
Kazutoshi Soga
一利 曽我
Haruhiko Nakada
治彦 中田
Yoshiteru Harada
芳輝 原田
Shigeyasu Zen
惠康 全
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Abstract

【課題】管路圧力に外乱が生じる場合であっても、患者の気道圧力を目標気道圧力に近づけて、患者の負担を軽減する人工呼吸器の制御方法を提供する。
【解決手段】管路圧力とともにポンプ圧力Psに基づいて、管路圧力が予め定められる設定圧力になるように、各アクチュエータ31,32を制御する。ポンプ圧力Psは、患者の状態変化などの外乱によって変動することがない。これによって吸気期間W1においては、呼気管路圧力Paiを短時間でかつロバスト性を向上して安定的に設定吸気圧力Paaに達成させることができる。また呼気期間W2においては、吸気管路圧力Paeがポンプ圧力Ps以上に高くなることがなく、安定的に設定呼気圧力Pabに達成させることができる。このようにすることによって、外乱が生じても管路圧力を設定圧力に制御することができ、患者の負担をより軽減することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工呼吸器に用いられる制御装置およびおよび制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12は、従来の技術の人工呼吸器1の一部を簡略化して示すブロック図である。人工呼吸器1は、患者の肺3に酸素を含む気体を供給し、患者の肺の換気を行う。人工呼吸器1は、ポンプ2と、吸気管路5と、呼気管路6と、呼気弁7とを含む。ポンプ2は、酸素を含む気体を吸気管路5に供給する。吸気管路5は、ポンプ2から供給された気体8をマスクまたは気管チューブである装着部材11を介して患者の肺3に導く。また呼気管路6は、患者が吐出する気体9を装置外部に導く。呼気弁7は、呼気管路6に介在されて呼気管路6の開閉を行う。
【0003】
人工呼吸器1は、吸気期間においては、ポンプ2によって患者の肺3へ気体8を供給するとともに、呼気弁7によって呼気管路6を閉じる。また呼気期間においては、ポンプ2による患者の肺3への気体供給を停止するとともに、呼気弁7によって呼気管路6を開く。人工呼吸器1は、このような吸気期間動作と呼気期間動作とを交互に繰り返して、患者の換気機能を支援する(たとえば特許文献1〜3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−731号公報
【特許文献2】
特開2002−200168号公報
【特許文献3】
特開2002−136598号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
人工呼吸器の換気方式には、大別して、一呼吸毎に一定量の気体を患者に送る従量方式、たとえばVCV方法と、呼気期間中に患者の気道圧力を一定に保ち、患者の肺のコンプライアンスに対応した換気量を得る従圧方式、たとえばPCV、PSV方法がある。後者の方式において、患者の肺の換気を良好に行うためには、患者の気道圧力を調整する必要がある。具体的には、人工呼吸器1は、吸気期間中においては、気道圧力が過度に高くならないように調整される。また呼気期間中においては、気道圧力が吸気終末陽圧(Positive End−Expiratory Pressure、略称、PEEP圧)が保たれるように調整される。このように気道圧力が適切に調整されることによって、患者の肺の換気を良好に行うことができる。
【0006】
目標とする目標気道圧力は、人工呼吸器1に設定される。ただし肺の状態たとえば肺の硬さ、いわゆる肺のコンプライアンスは患者ごとに個人差があり、患者ごとに適切な気道圧力が異なる。また同じ患者であっても、患者の症状たとえば前記肺のコンプライアンスや患者の気道抵抗が変化することによって、適切な気道圧力も変化する。
【0007】
従来技術として、人工呼吸器1は、圧力検出器15によって管路圧力を検出し、検出される管路圧力に基づいてフィードバック制御して、管路圧力を設定圧力に調整する。管路圧力を設定圧力に保つことで、気道圧力を目標気道圧力に近づけている。
【0008】
しかしながら管路圧力は、患者の気道圧力とは対応しない場合がある。たとえば管路圧力は、気道圧力の変化に対して時間遅れがある。また管路圧力は、気道圧力にかかわらず、外乱によって変化してしまう。たとえば外乱として、患者の咳および管路に介在される加湿器などがある。
【0009】
外乱によって患者の気道圧力と管路圧力とが対応しない場合には、管路圧力に基づいて管路圧力を制御しても、患者の気道圧力を目標気道圧力に近づけることができない。また外乱の1つである、患者の気道抵抗や肺のコンプライアンスは、患者の症状によって、大きく変化する。この場合、上述した従来技術では、フィードバック制御系の応答性および安定性が損なわれる場合がある。
【0010】
したがって本発明の目的は、こうした外乱が生じる場合であっても、患者の気道圧力を目標気道圧力に近づけて、患者の負担を軽減する人工呼吸器の制御方法および制御装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸素を含む気体を供給する供給手段と、供給手段から気体を患者の気道に導くための吸気管路と、患者の気道から気体を排出場所に導くための呼気管路と、呼気管路に介在されて呼気管路を開閉する開閉手段と、供給手段を駆動する供給駆動手段と、開閉手段を駆動する開閉駆動手段とを備える人工呼吸器を制御する制御方法であって、
供給手段から供給される気体の圧力である供給圧力と、吸気管路および呼気管路のいずれかの管路圧力とを取得し、
患者の気道に気体を供給する吸気期間において、呼気管路を閉じるよう開閉駆動手段を制御するとともに、供給圧力および管路圧力に基づいて、管路圧力が予め定められる設定吸気圧力になるように、供給駆動手段を制御することを特徴とする人工呼吸器の制御方法である。
【0012】
本発明に従えば、管路圧力と供給圧力とを取得し、それらに基づいて供給駆動手段を制御する。供給圧力は、供給駆動手段の駆動に追従して直ちに変化する。したがって供給駆動手段を制御してから管路圧力が変化するまでに時間遅れがある場合でも、供給圧力に基づいて供給駆動手段を制御することで応答性を向上することができ、管路圧力を短時間で設定吸気圧力に達成させることができる。
【0013】
また供給圧力は、患者の状態変化および管路の圧力抵抗変化などの影響をほとんど受けることがない。患者の咳および加湿器などの外乱によって管路圧力が一時的に変化したとしても、直ちに修正制御することができる。これによって管路圧力は、外乱前の圧力に修正される。したがって外乱の影響を小さくして、管路圧力の過剰調整を防ぐことができ、管路圧力を安定して設定吸気圧力に達成することができる。言い換えると安定的でかつロバスト性を向上した管路圧力の制御を実現することができる。
【0014】
患者の気道圧力が設定吸気圧力と一致するまで、吸気管路から気道に向けて気体が流れる。したがって設定吸気圧力を、患者の肺の換気を良好に行うことができる目標気道圧力に設定すると、患者の気道圧力を目標気道圧力に近づけることができる。本発明では、応答性を向上するとともに外乱による影響を小さくして管路圧力を設定呼気圧力にすることができるので、患者の気道圧力もまた目標気道圧力に早くかつ安定して近づけることができる。
【0015】
また本発明は、酸素を含む気体を供給する供給手段と、供給手段から気体を患者の気道に導くための吸気管路と、患者の気道から気体を排出場所に導くための呼気管路と、呼気管路に介在されて呼気管路を開閉する開閉手段と、供給手段を駆動する供給駆動手段と、開閉手段を駆動する開閉駆動手段とを備える人工呼吸器を制御する制御方法であって、
供給手段から供給される気体の圧力である供給圧力と、吸気管路および呼気管路のいずれかの管路圧力とを取得し、
患者の気道から気体が流出することを許容する呼気期間において、管路圧力に基づいて、管路圧力が予め定められる設定呼気圧力になるように、開閉駆動手段を制御するとともに、供給圧力に基づいて、供給圧力が設定呼気圧力よりも予め定める補償圧力分高くなるように、供給駆動手段を制御することを特徴とする人工呼吸器の制御方法である。
【0016】
本発明に従えば、呼気期間において、管路圧力に基づいて開閉駆動手段を制御するとともに、供給圧力に基づいて供給駆動手段を制御する。これによって管路圧力は設定呼気圧力に保たれ、一定量の気体が排出場所に向かって流れる平衡状態に保たれる。
【0017】
仮に管路圧力が設定呼気圧力よりも低くなった場合、開閉手段が呼気管路を平衡状態よりも閉じるとともに、供給手段が吸気管路から所定圧力の気体を供給することで、管路圧力を再び設定呼気圧力に保つことができる。また仮に管路圧力が設定呼気圧力よりも高くなった場合、開閉手段が呼気管路を平衡状態よりも開くことによって、管路圧力を再び設定呼気圧力に保つことができる。
【0018】
本発明によれば、呼気管路を通過する気体の流量ではなく、管路圧力を制御、たとえばフィードバック制御する。仮に管路の気体漏れによって管路圧力が低下したとしても、管路圧力が設定呼気圧力となるように、呼気管路をさらに閉じて、管路圧力が再び設定呼気圧力に保たれる。したがって管路の気体漏れを補償して管路圧力を設定呼気圧力に保つことができる。
【0019】
設定吸気圧力を、患者の肺の換気を良好に行うことができる目標気道圧力に設定すると、患者の気道圧力を目標気道圧力に近づけることができる。本発明では、外乱の影響にかかわらず管路圧力を安定して設定呼気圧力に保つことによって、患者の気道圧力もまた、目標気道圧力に安定して近づけることができる。
【0020】
また本発明は、吸気管路内を流れる気体の流量である吸気管路流量と、呼気管路内を流れる気体の流量である呼気管路流量とを取得し、
吸気管路流量と呼気管路流量との差に基づいて、患者が気体を吸引し始めたことを判断することを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、供給圧力に基づいて供給駆動手段を制御する制御量、すなわち制御特性を調整することによって、管路圧力が設定呼気圧力からずれたときの吸気管路流量の変化率を大きくすることができる。患者が自発呼吸をしている場合、患者が管路内の気体を吸引すると、管路圧力は設定呼気圧力よりも小さくなる。このとき、前述したように調整されることで、吸気管路を流れる気体の流量変化率は、その気体の圧力の変化率に比べて大きく変化する。
【0022】
このように患者が気体を吸引し始めたときに、吸気管路流量と呼気管路流量との差を大きくし、この差を検出することによって、患者が気体を吸引する吸気状態に移行したことを精度よく判断することができる。
【0023】
また本発明は、酸素を含む気体を供給する供給手段と、供給手段から気体を患者の気道に導くための吸気管路と、患者の気道から気体を排出場所に導くための呼気管路と、呼気管路に介在されて呼気管路を開閉する開閉手段と、供給手段を駆動する供給駆動手段と、開閉手段を駆動する開閉駆動手段とを備える人工呼吸器を制御する制御方法であって、
吸気管内において、患者の気道内の圧力が導かれる領域のうち、供給手段から気体が流れる流れ方向上流側の圧力である吸気管路圧力を取得し、
呼気管内において、患者の気道内の圧力が導かれる領域のうち、気道から気体が流れる流れ方向下流側の気体の圧力である呼気管路圧力を取得し、
患者の気道に気体を供給する吸気期間において、呼気管路圧力に基づいて、呼気管路圧力が予め定められる設定吸気圧力になるように、供給駆動手段および開閉駆動手段を制御し、
患者の気道から気体が流出することを許容する呼気期間において、吸気管路圧力に基づいて、吸気管路圧力が予め定められる設定呼気圧力になるように、供給駆動手段および開閉駆動手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする人工呼吸器の制御方法である。
【0024】
本発明に従えば、吸気期間において、呼気管路圧力に基づいて各駆動手段を制御する。吸気期間では吸気管路圧力は、患者の気道圧力よりも高い圧力となる。また吸気管路圧力は、吸気管路に加湿器が介在されることによって振動的になる。これに対して患者の気道から呼気管路に流れる気体の流量はほとんどなく、患者の気道圧力と呼気管路圧力とはほぼ等しい圧力となる。したがって吸気期間において、呼気管路圧力を検出して、その呼気管路圧力に基づいて供給駆動手段を制御、たとえばフィードバック制御することによって、患者の気道圧力をずれなく設定吸気圧力に近づけることができる。
【0025】
また呼気期間において、吸気管路圧力に基づいて供給駆動手段および開閉駆動手段を制御する。呼気期間では、呼気管路圧力は、患者の気道圧力よりも低い圧力となり、患者の気道圧力に対してずれる。これに対して吸気管路圧力と患者の気道圧力とは、ほぼ等しい圧力となる。したがって吸気管路圧力に基づいて供給手段を制御、たとえばフィードバック制御することによって、患者の気道圧力をずれなく設定呼気圧力に近づけることができる。また患者の咳などによって、一時的に患者が吐出する気体の流量が増加した場合であっても、流れ方向上流側の吸気管路圧力は大きく変化することがなく、吸気管路圧力が外乱によって不安定になることを防ぐことができる。
【0026】
このように呼気期間および吸気期間において、患者の気道圧力により近い圧力を検出して、各駆動手段を制御するので、患者の気道圧力を良好に設定圧力に達成させて、患者の負担を軽減することができる。
【0027】
またたとえば各管路に圧力検出孔を形成し、圧力検出孔から圧力導管によって気体を導いて圧力を検出した場合、患者に装着される側部分から遠ざかった位置に圧力検出孔を形成することができる。これによって痰および唾などを患者が吐出したとしても、圧力検出孔が詰まることを防ぐことができ、より正確な気道圧力を検出することができる。また患者に装着される側部分寄りに圧力導管を設ける必要がないので、圧力導管の脱落および装着ミスを無くすことができる。
【0028】
また本発明は、前記制御方法を実行するためのコンピュータである。
また本発明は、前記制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0029】
また本発明は、前期制御方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体である。
【0030】
本発明に従えば、前述した人工呼吸器の制御方法をコンピュータによって実現されるので、短時間で制御量を演算することができる。また供給駆動手段および開閉駆動手段を制御する制御特性を容易に設定することができ、患者ごと、および患者の状態に応じて、最適な制御特性に容易にかつ短時間で設定することができる。また長時間継続して制御しても制御特性が変動することがなく、安定的に患者の気道圧力を調整することができる。また、プログラムをコンピュータに読込ませることによって、前述した人工呼吸器の制御方法を実現することができる。またプログラムは、記録媒体に記録されていてもよい。
【0031】
また本発明は、酸素を含む気体を供給する供給手段と、供給手段から気体を患者の気道に導くための吸気管路と、患者の気道から気体を排出場所に導くための呼気管路と、呼気管路に介在されて呼気管路を開閉する開閉手段と、供給手段を駆動する供給駆動手段と、開閉手段を駆動する開閉駆動手段とを備える人工呼吸器を制御する制御装置であって、
供給手段から供給される気体の圧力である供給圧力を検出する供給圧力検出手段と、
吸気管路および呼気管路のいずれかの管路圧力を検出する管路圧力検出手段と、
患者の気道に気体を供給する吸気期間において、呼気管路を閉じるよう開閉駆動手段を制御する開閉制御手段と、
吸気期間において、検出される供給圧力および管路圧力に基づいて、管路圧力が予め定められる設定吸気圧力になるように、供給駆動手段を制御する供給制御手段とを備えることを特徴とする人工呼吸器の制御装置である。
【0032】
本発明に従えば、供給制御手段は、検出される管路圧力と供給圧力とに基づいて供給駆動手段を制御する。供給圧力は、供給駆動手段の駆動に追従して直ちに変化する。したがって供給駆動手段を制御してから管路圧力が変化するまでに時間遅れがある場合でも、供給圧力に基づいて供給駆動手段を制御することで応答性を向上することができ、管路圧力を短時間で設定吸気圧力に達成させることができる。
【0033】
また、供給圧力は、患者の状態変化および管路の圧力抵抗変化などの影響をほとんど受けることがない。患者の咳および加湿器などの外乱によって管路圧力が一時的に変化したとしても、供給制御手段は、その外乱によって変化された供給圧力に基づいて、供給駆動手段を直ちに修正する。これによって管路圧力は、外乱前の圧力に修正される。すなわち外乱の影響を小さくして、管路圧力の過剰調整を防ぐことができる。したがって管路圧力を安定して設定吸気圧力に達成することができる。言い換えると安定的でかつロバスト性を向上した管路圧力の制御を実現することができる。
【0034】
患者の気道圧力が設定吸気圧力と一致するまで、吸気管路から気道に向けて気体が流れる。したがって設定吸気圧力を、患者の肺の換気を良好に行うことができる目標気道圧力に設定すると、患者の気道圧力を目標気道圧力に近づけることができる。本発明では、応答性を向上するとともに外乱による影響を小さくして管路圧力を設定呼気圧力にすることができるので、患者の気道圧力もまた目標気道圧力に早くかつ安定して近づけることができる。
【0035】
また本発明は、酸素を含む気体を供給する供給手段と、供給手段から気体を患者の気道に導くための吸気管路と、患者の気道から気体を排出場所に導くための呼気管路と、呼気管路に介在されて呼気管路を開閉する開閉手段と、供給手段を駆動する供給駆動手段と、開閉手段を駆動する開閉駆動手段とを備える人工呼吸器を制御する制御装置であって、
供給手段から供給される気体の圧力である供給圧力を検出する供給圧力検出手段と、
吸気管路および呼気管路のいずれかの管路圧力を検出する管路圧力検出手段と、
患者の気道から気体が流出することを許容する呼気期間において、検出される管路圧力に基づいて、管路圧力が予め定められる設定呼気圧力になるように、開閉駆動手段を制御する開閉制御手段と、
呼気期間において、検出される供給圧力に基づいて、供給圧力が設定呼気圧力よりも予め定める補償圧力分高くなるように、供給駆動手段を制御する供給制御手段とを備えることを特徴とする人工呼吸器の制御装置である。
【0036】
本発明に従えば、呼気期間において、管路圧力に基づいて開閉駆動手段を制御するとともに、供給圧力に基づいて供給駆動手段を制御する。これによって管路圧力は設定呼気圧力に保たれ、一定量の気体が排出場所に向かって流れる平衡状態に保たれる。
【0037】
仮に管路圧力が設定呼気圧力よりも低くなった場合、呼気管路を平衡状態よりも閉じて、吸気管路から一定圧力の気体を供給することで、管路圧力を再び設定呼気圧力に保つことができる。また仮に管路圧力が設定呼気圧力よりも高くなった場合、呼気管路を平衡状態よりも開くことによって、管路圧力を再び設定呼気圧力に保つことができる。
【0038】
さらに供給圧力は外乱によって変動することが少なく、吸気管路を流れる気体の圧力は一定に保たれる。管路圧力が外乱によって変化したとしても、開閉駆動手段が制御されて呼気管路の開閉度が調整されるだけであり、気道圧力は、吸気管路を流れる気体の圧力を超えて過度に高くなることがない。すなわち吸気管路圧力を最適に設定することによって、患者の呼気動作の負担となることを防止することができる。
【0039】
また本発明によれば、呼気管路を通過する気体の流量ではなく、管路圧力を制御、たとえばフィードバック制御する。仮に管路の気体漏れによって管路圧力が低下したとしても、管路圧力が設定呼気圧力となるように、呼気管路をさらに閉じ、管路圧力が再び設定呼気圧力に保たれる。したがって管路の気体漏れを補償して管路圧力を設定呼気圧力に保つことができる。
【0040】
設定吸気圧力を、患者の肺の換気を良好に行うことができる目標気道圧力に設定すると、患者の気道圧力を目標気道圧力に近づけることができる。本発明では、外乱の影響にかかわらず管路圧力を安定して設定呼気圧力に保つことによって、患者の気道圧力もまた、目標気道圧力に安定して近づけることができる。
【0041】
また本発明は、吸気管路内を流れる気体の流量である吸気管路流量を検出する吸気管路流量検出手段と、
呼気管路内を流れる気体の流量である呼気管路流量を検出する呼気管路流量検出手段と、
患者が気体を吸引し始めたことを判断する吸気開始判断手段とをさらに備え、吸気開始判断手段は、検出される吸気管路流量と呼気管路流量との差に基づいて、患者が気体を吸引し始めたことを判断することを特徴とする。
【0042】
本発明に従えば、供給圧力に基づいて供給駆動手段の制御する制御量、すなわち制御特性を調整することによって、管路圧力が設定呼気圧力からずれたときの吸気管路流量の変化率を大きくすることができる。患者が自発呼吸をしている場合、患者が管路内の気体を吸引すると、管路圧力は設定呼気圧力よりも小さくなる。このとき、前述したように調整されることで、吸気管路を流れる気体の流量変化率は、その気体の圧力の変化率に比べて大きく変化する。
【0043】
このように患者が気体を吸引し始めたときに、吸気管路流量と呼気管路流量との差を大きくし、吸気開始判断手段によって、この差を検出することによって、患者が気体を吸引する吸気状態に移行したことを精度よく判断することができる。
【0044】
また本発明は、酸素を含む気体を供給する供給手段と、供給手段から気体を患者の気道に導くための吸気管路と、患者の気道から気体を排出場所に導くための呼気管路と、呼気管路に介在されて呼気管路を開閉する開閉手段と、供給手段を駆動する供給駆動手段と、開閉手段を駆動する開閉駆動手段とを備える人工呼吸器を制御する制御装置であって、
吸気管内において、患者の気道内の圧力が導かれる領域のうち、供給手段から気体が流れる流れ方向上流側の気体の圧力である吸気管路圧力を検出する吸気管路圧力検出手段と、
呼気管内において、患者の気道内の圧力が導かれる領域のうち、気道から気体が流れる流れ方向下流側の位置の気体の圧力である呼気管路圧力を検出する呼気管路圧力検出手段と、
患者の気道に気体を供給する吸気期間において、検出される呼気管路圧力に基づいて、呼気管路圧力が予め定められる設定吸気圧力になるように、供給駆動手段および開閉駆動手段を制御し、患者の気道から気体が流出することを許容する呼気期間において、検出される吸気管路圧力に基づいて、吸気管路圧力が予め定められる設定呼気圧力になるように、供給駆動手段および開閉駆動手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする人工呼吸器の制御装置である。
【0045】
本発明に従えば、吸気期間において、呼気管路圧力に基づいて各駆動手段を制御する。吸気期間では呼気管路圧力は、患者の気道圧力よりも高い圧力となる。また吸気管路圧力は、吸気管路に加湿器が介在されることによって振動的になる。これに対して患者の気道から呼気管路に流れる気体の流量はほとんどなく、患者の気道圧力と呼気管路圧力とはほぼ等しい圧力となる。したがって吸気期間において、呼気管路圧力を検出して、その呼気管路圧力に基づいて供給駆動手段を制御、たとえばフィードバック制御することによって、患者の気道圧力をずれなく設定吸気圧力に近づけることができる。
【0046】
また呼気期間において、吸気管路圧力に基づいて各駆動手段を制御する。呼気期間では、呼気管路圧力は、患者の気道圧力よりも低い圧力となり、患者の気道圧力に対してずれる。これに対して吸気管路圧力と患者の気道圧力とは、ほぼ等しい圧力となる。したがって吸気管路圧力に基づいて供給手段を制御、たとえばフィードバック制御することによって、患者の気道圧力をずれなく設定呼気圧力に近づけることができる。また患者の咳などによって、一時的に患者が吐出する気体の流量が増加した場合であっても、流れ方向上流側の吸気管路圧力は大きく変化することがなく、吸気管路圧力が外乱によって不安定になることを防ぐことができる。
【0047】
このように呼気期間および吸気期間において、患者の気道圧力により近い圧力を検出して、各駆動手段を制御するので、患者の気道圧力を良好に設定圧力に達成させて、患者の負担を軽減することができる。
【0048】
またたとえば各管路に圧力検出孔を形成し、圧力検出孔から圧力導管によって気体を導いて圧力を検出した場合、患者に装着される側部分から遠ざかった位置に圧力検出孔を形成することができる。これによって痰および唾などを患者が吐出したとしても、圧力検出孔が詰まることを防ぐことができ、より正確な気道圧力を検出することができる。また患者に装着される側部分寄りに圧力導管を設ける必要がないので、圧力導管の脱落および装着ミスを無くすことができる。
【0049】
また本発明は、気道内の気体の圧力を表示するための表示手段をさらに備え、表示手段は、吸気期間において、検出される呼気管路圧力を患者の気道圧力として表示し、呼気期間において、検出される吸気管路圧力を患者の気道圧力として表示することを特徴とする。
【0050】
本発明に従えば、吸気期間中には呼気管路圧力を表示手段に表示し、患者が呼気を吐出する呼気期間中には吸気管路圧力を表示手段に表示することによって、たとえば加湿器などの管路抵抗の変化および患者の咳などが生じても、患者の気道圧力とほぼ同じ圧力を随時報知することができる。また呼気期間と吸気期間とで、視認者が視線を切り換える必要がなく、同じ表示面で気道圧力を確認することができるので、利便性を向上することができる。
【0051】
また本発明は、前記人工呼吸器と、前記人工呼吸器の制御装置とを備えることを特徴とする人工呼吸設備である。
【0052】
本発明に従えば、前述した制御装置を備えることで、患者の気道圧力を良好に設定値に達成させて、人工呼吸動作時の患者の負担を軽減することができる。
【0053】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態である人工呼吸器20に用いられる制御装置21の構成を説明するためのブロック図である。図2は、人工呼吸器20とその制御装置21を含む人工呼吸設備19の電気的構成を示すブロック図である。人工呼吸器20は、制御装置21によって制御されて、自発呼吸動作が低下または停止している患者の気道に酸素を含む気体を供給し、患者の肺の換気を支援または強制的に行う装置である。
【0054】
制御装置21は、吸気期間に人工呼吸器20を制御する吸気動作部11と、呼気期間に人工呼吸器20を制御する呼気動作部12と、吸気期間か呼気期間かを判断して制御動作を切り換える切換部13とを含む。
【0055】
吸気動作部11と呼気動作部12とは、互いに制御動作が異なる。吸気動作部11と呼気動作部12とは、後述する管路圧力とポンプ圧力とに基づいて、人工呼吸器20からの圧力をフィードバック制御する。切換部13は、吸気期間であるか、呼気期間であるかを示す呼吸モード信号によって吸気動作と呼気動作とを切り換える。
【0056】
図2に示すように、人工呼吸器20は、装着部材24と、ポンプ22と、ポンプ用アクチュエータ31と、呼気弁27と、吸気管路25と、呼気管路26と、呼気弁用アクチュエータ32とを含む。
【0057】
装着部材24は、患者の気道に気体を供給するために患者に装着され、患者の気道に連通する装着孔が形成される。たとえば装着部材24は、患者の口および鼻のいずれかを覆うマスクである。また装着部材24は、患者の気管に直接装着される気管チューブであってもよい。
【0058】
ポンプ22は、酸素を含む気体を装着部材24に向けて供給する供給手段である。ポンプ22は、たとえばベローズ60を有するベローズ型ポンプによって実現される。ポンプ22は、吸入場所71より気体をベローズ60内のポンプ空間65に吸入し、ポンプ空間65の気体を吸気管路25に吐出する。ポンプ22は、たとえば空気を吸気管路25に吐出する。ポンプ22には、ポンプ空間65から吸入場所71に気体が逆流することを防ぐ吸入逆止弁69と、吸気管路25からポンプ空間65に気体が逆流することを防ぐ吐出逆止弁41とが設けられる。
【0059】
ポンプ22には、吐出される気体の圧力を検出するためのポンプ圧力検出孔70が形成される。ポンプ圧力検出孔70は、吐出逆止弁41よりも流れ方向上流側に形成される。ポンプ用アクチュエータ31は、ポンプ22を駆動する供給駆動手段であって、ベローズ60をその軸線方向に伸縮駆動する。本発明において、流れ方向は、吸入場所71からポンプ22、吸気管路25、患者の気道および呼気管路26を介して、排出場所23へ気体が流れる方向である。
【0060】
吸気管路25は、ポンプ22と装着部材24とを接続する管路であり、ポンプ22から供給された気体を患者の気道に導く。吸気管路25には、吸気流量測定手段81および吸気フィルタ83が介在する。吸気流量測定手段81および吸気フィルタ83は、吐出逆止弁41よりも、流れ方向下流側に設けられる。
【0061】
吸気管路25は、吸気管路内の気体の圧力である吸気管路圧力を測定するための吸気側圧力検出孔82が形成される。この吸気側圧力検出孔82は、吸気フィルタ83よりも流れ方向上流側であって、吐出逆止弁41よりも流れ方向下流側に形成される。
【0062】
呼気管路26は、装着部材24と装置外部の排出場所23とを接続する管路であり、患者の気道から流出した気体を装置外部の排出場所23に導く。排出場所23の気体は、大気圧と同じ圧力である。呼気管路26には、呼気弁27、呼気流量測定手段84および呼気フィルタ86が介在する。呼気流量測定手段84は、呼気弁27よりも流れ方向下流側に設けられる。呼気フィルタ84は、呼気弁27よりも流れ方向上流側に設けられる。呼気管路26には、呼気管路内の気体の圧力である呼気管路圧力を測定するための呼気側圧力検出孔85が形成される。呼気側圧力検出孔85は、呼気フィルタ86よりも流れ方向下流側であって、呼気弁27よりも流れ方向上流側に形成される。
【0063】
本実施の形態では、吸気管路25および呼気管路26とが装着部材24側で合流する共通管路18が構成され、総合して略Y字状に形成される。言換えると、装着部材24に接続される共通管路18から吸気管路25および呼気管路26がそれぞれ分岐する。
【0064】
また吸気管路25は、吸気フィルタ83からポンプ22に延びる固定部分25aと、吸気フィルタ83から装着部材24に延びる着脱部分25bとを有する。同様に呼気管路26は、呼気フィルタ86から呼気弁27に延びる固定部分26aと、呼気フィルタ86から装着部材24に延びる着脱部分26bとを有する。吸気管路25および呼気管路26の固定部分25a,26aは、残余の人工呼吸器部分に固定して設けられるのに対して、着脱部分25b,26bは、可撓性を有して固定部分25a,26aから着脱可能に設けられる。
【0065】
呼気弁27は、呼気管路26に介在されて呼気管路26の開閉を行う開閉手段である。呼気弁27は、その弁体90が呼気管路26を無段階的に開閉可能に移動自在に設けられる。また呼気弁用アクチュエータ32は、呼気弁27の弁体90を変位駆動する開閉駆動手段である。
【0066】
呼気弁27を閉じた状態とし、ポンプ22がポンプ用アクチュエータ31によって駆動されてポンプ空間65の気体の圧力であるポンプ圧力が高くなると、ポンプ内の気体が、吸気管路25を介して患者の気道に流れる。ポンプ用アクチュエータ31は、ポンプ圧力が予め設定される値になるようにフィードバック制御される。
【0067】
呼気弁27の弁体90が呼気弁用アクチュエータ32によって駆動されて、呼気管路26が閉じた状態から開いた状態になると、呼気管路26内と排出場所23とが連通する。排出場所23の気体の圧力が患者の気道圧力よりも低い場合には、気道内の気体が呼気管路26を介して排出場所23に向かって流れる。呼気弁27の開閉度が調整されることによって、呼気管路26の管路抵抗が変化し、管路内の圧力が制御される。
【0068】
人工呼吸器20を制御する制御装置21は、コンピュータを含む制御装置本体33と、ポンプ圧力検出器34と、吸気圧力検出器35と、呼気圧力検出器36と、呼気流量検出器37と、吸気流量検出器38と、管理者から与えられる設定情報を取得する入力手段39と、患者の気道圧力を表示するための表示手段40と、ポンプ用サーボアンプ46と、呼気弁用サーボアンプ47とを含む。
【0069】
ポンプ圧力検出器34は、ポンプ22の突出圧であるポンプ圧力を検出し、そのポンプ圧力を電気信号に変換する。ポンプ圧力検出器34は、その電気信号を制御装置本体33に与える。吸気圧力検出器35は、吸気管路25内の気体の圧力を検出し、その圧力を電気信号に変換する。吸気圧力検出器35は、吸気管路内において、患者の気道内の圧力が導かれる領域のうち、可及的にポンプ22寄りであって、吐出逆止弁41および呼気流量検出ヘッドを測定する位置81よりも流れ方向下流側の気体の圧力を検出する。
【0070】
呼気圧力検出器36は、呼気管路26内の気体の圧力を検出し、その圧力を電気信号に変換する。呼気圧力検出器36は、呼気管路内において、患者の気道内の圧力が導かれる領域のうち、可及的に呼気弁27寄りであって、呼気弁27よりも流れ方向上流側の気体の圧力を検出する。吸気圧力検出器35および呼気圧力検出器36は、患者の気道圧力を検出するための気道圧力検出手段となる。
【0071】
吸気流量検出器38は、吸気管路25を流れる気体の流量を電気信号に変換し、その電気信号を制御装置本体33に与える。呼気流量検出器37は、呼気管路26を流れる流量を電気信号に変換し、その電気信号を制御装置本体33に与える。
【0072】
入力手段39は、医師および看護士などの人工呼吸器20または、人工呼吸設備19を管理する管理者からの設定指令が入力される。入力手段39は、たとえばキーボードおよび各種ボタン、つまみなどによって実現される。入力手段39は、入力された指令を示す信号を制御装置本体33に与える。
【0073】
表示手段40は、患者の気道圧力を報知する報知手段であり、液晶ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどによって実現される。表示手段40は、制御装置本体33から受ける表示指令信号に基づいて、たとえば気道圧力として検出される管路圧力の時間的変化を示す波形を表示画面に表示する。
【0074】
ポンプ用サーボアンプ46は、制御装置本体33が演算した演算結果信号を増幅して、ポンプ用アクチュエータ31を駆動するために必要な電力に変換し、その電力をポンプ用アクチュエータ31に与える。また呼気弁用サーボアンプ47は、制御装置本体33が演算した演算結果信号を増幅して、呼気弁用アクチュエータ32を駆動するために必要な電力に変換し、その電力を呼気弁用アクチュエータ32に与える。
【0075】
制御装置本体33は、インターフェース101と、演算部(Central Processing Unit、略称、CPU)102と、一時記憶部(Random Access Memory、略称、RAM)103と、記憶部(Read Only Memory、略称、ROM)104とを含む。インターフェース101は、接続される各手段34〜39からの信号が入力されて、それらの信号を演算部102に与える。記憶部104は、制御装置本体33が実行すべきプログラムが記憶され、演算部102が記憶部104に記憶されるプログラムを読み出して実行することによって、吸気制御部11、呼気制御部12および切換部13となる。これによって制御装置本体33は、後述する人工呼吸器20の制御を行うことができる。
【0076】
また一時記憶部103は、接続される各手段34〜39から入力される信号を記憶するとともに、演算部102の演算結果を記憶する。また制御装置本体33は、接続される各手段34〜39を制御するためのドライバ回路を備えている。記憶部104は、コンパクトディスクなどのコンピュータ読取可能な記録媒体であってもよい。
【0077】
図3は、制御装置33によって制御される患者の気道圧力Pawを示すタイミングチャートである。人工呼吸器20は、患者の換気機能を支援する圧補助換気(Pressure Support Ventilation、略称、PSV)動作および患者の換気を強制的に行う従圧式調節換気(Pressure Control Ventilation、略称、PCV)動作を行うことができる。以後PSV動作について説明する。
【0078】
制御装置本体33は、吸気期間W1と呼気期間W2とで制御動作を切り換えている。吸気期間W1と呼気期間W2との切り換えは、呼吸モード信号gに基づいて切り換えられる。呼吸モード信号gは、吸気トリガー信号g1および呼気トリガー信号g2を含む。吸気トリガー信号g1は、吸気制御動作を開始することを示す信号である。呼気トリガー信号g2は、呼気制御動作を開始することを示す信号である。吸気トリガー信号g1および呼気トリガー信号g2は、PSV動作時には、患者の呼吸状態から検出される。呼吸状態の検出については後述する。
【0079】
制御装置本体33は、患者の気道圧力Pawを最適にする設定圧力が予め設定される。患者が気体を吸引する吸気期間W1においては、設定吸気圧力Paaが設定されている。また患者が気体を吐出する呼気期間W2においては、設定呼気圧力Pabが設定されている。設定呼気圧力Paaおよび設定吸気圧力Pabは、患者ごとおよび患者の状態に応じて変更可能に設定される。各設定圧力Paa,Pabは、管理者によって入力手段39から入力される。
【0080】
吸気設定圧力Paaは、呼気設定圧力Pabよりも大きく設定され、患者の肺の換気機能に負担となる過負荷圧力Prよりも小さく設定される。呼気設定圧力Pabは、たとえば患者の肺胞の虚脱を防止するために、大気圧Paよりも高い圧力である吸気終末陽圧(Positive End−Expiratory Pressure、略称、PEEP圧)以上に設定される。
【0081】
図4は、制御装置本体33の動作手順を示すフローチャートの一例である。制御装置本体33の動作について説明すると、まず図4に示すように、ステップs0で装着部材24が患者に装着され、人工呼吸器20および制御装置21の電源が与えられる。人工呼吸可能な状態になると、ステップs1に進む。
【0082】
ステップs1では、入力手段39から設定圧力が入力され、設定圧力を一時記憶部103に記憶する。また既に記憶している設定圧力が用いられる場合には、記憶部104からその値を読み出して、設定圧力を一時記憶部103に記憶する。設定圧力を取得するとステップs2に進む。
【0083】
ステップs2では、吸気トリガー信号g1を取得するまで待機し、図3に示す第1時刻t3で、吸気トリガー信号g1を取得すると、ステップs3に進む。ステップs3では、設定吸気圧力Paaを示す信号が変更されたか否かを判断し、変更されていないならばステップs5に進む。また設定吸気圧力Paaが変更されているならばステップs4で、一時記憶部103から変更された設定吸気圧力Paaを読出して、設定吸気圧力Paaを更新してステップs5に進む。ステップs5では、吸気動作部11が吸気制御動作を開始する。制御装置本体33は、気道圧力として検出される管路圧力を設定吸気圧力Paaに一致させるように人工呼吸器20を制御する。
【0084】
次に、ステップs6で呼気トリガー信号g2を取得したかどうかを切換部13が判断し、呼気トリガー信号g2を取得していないとステップs3に戻り、吸気制御動作を継続する。ステップs6で、図3に示す第1時刻t1から第2時刻t2に達して、呼気トリガー信号g2を取得すると、ステップs7に進む。
【0085】
ステップs7では、設定呼気圧力Pabを示す信号が変更されたか否かを判断し、変更されていないならばステップs9に進む。また設定呼気圧力Pabが変更されているならばステップs8で一時記憶部103から変更された設定呼気圧力Pabを読出して、設定呼気圧力Pabを更新してステップs9に進む。ステップs9では、呼気制御部12が呼気制御動作を開始する。制御装置本体33は、気道圧力として検出される管路圧力を設定呼気圧力Pabに一致させるように人工呼吸器20を制御する。
【0086】
次に、ステップs10で吸気トリガー信号g1を取得したかどうかを判断し、吸気トリガー信号g1を取得していないとステップs7に戻り、呼気制御動作を継続する。ステップs10で、図3に示す第2時刻t2から第3時刻t3に達して、吸気トリガー信号g1を取得すると、ステップs3に戻る。制御装置本体33は、制御動作の終了命令が与えられるまでこの動作を繰り返し、終了命令が与えられると、制御動作を終了する。
【0087】
このようにして制御装置本体33は、呼吸モード信号gに基づいて、吸気制御動作と呼気制御動作を交互に切り換える。また動作時にあって、入力手段39によって設定圧力が変更された場合には、その変更された設定圧力を反映して、変更後の設定圧力に、気道圧力として検出される管路圧力を一致させるように人工呼吸器20を制御する。これによって動作時に患者の状態が変更した場合であっても、その状態に応じた設定圧力に更新することができる。
【0088】
図5は、管路を流れる気体を示すために人工呼吸器20を簡略化して示す断面図である。図5(1)は、吸気期間W1における人工呼吸器20の状態を示し、図5(2)は、呼気期間W2における人工呼吸器20の状態を示す。
【0089】
図5(1)に示すように、吸気期間W1において、制御装置本体33の吸気制御部11は、ポンプ22を駆動させて、患者の気道に酸素を含む気体を導くとともに、呼気弁27の弁体90を駆動させて、呼気管路26を閉じる。ポンプ22からの吐出される気体28は、吸気管路25を介して患者の気道に供給される。
【0090】
制御装置本体33は、吸気期間W1においては、呼気圧力検出器36によって検出される呼気管路圧力Paiを患者の気道圧力とする。吸気期間W1では、患者の気道から呼気管路26に流れる気体の流量はほとんどなく、患者の気道圧力Pawと呼気管路圧力Paiとは、ほぼ等しい圧力となる。
【0091】
しかしながらポンプ22から患者の気道に気体が流れるので、吸気管路圧力Paeは、患者の気道圧力Pawよりも高い圧力となり、患者の気道圧力Pawに対してずれる。また加湿器などが吸気管路25に接続される場合、吸気管路圧力Paeは、不安定となりさらに患者の気道圧力Pawに対してずれる。
【0092】
本発明の本実施の形態のように、吸気期間W1には、呼気管路圧力Paiを気道圧力として検出して、その呼気管路圧力Paiに基づいてポンプ用アクチュエータ31をフィードバック制御することによって、患者の気道圧力Pawをずれなく設定吸気圧力Paaに近づけることができる。
【0093】
図5(2)に示すように、呼気期間W2において、制御装置本体33の呼気制御部12は、呼気弁27の弁体90を駆動させて、呼気管路26を開く。呼気期間W2中には、患者から吐出される気体29は、呼気管路26を介して排出場所23に排出される。
【0094】
制御装置本体33は、呼気期間W2において、吸気圧力検出器35によって検出される吸気管路圧力Paeを患者の気道圧力とする。呼気期間W2では、吸気管路25から患者の気道に流れる基体の流量はほとんどなく、患者の気道圧力Pawと吸気管路圧力Paeとは、ほぼ等しい圧力となる。
【0095】
これに対して患者の気道から呼気管路26に気体が流れるので、呼気管路圧力Paiは、患者の気道圧力Pawよりも低い圧力となり、患者の気道圧力Pawに対してずれる。特に排出場所23に近い位置では、排出場所23の気体の圧力に近くなる。
【0096】
本発明の実施の形態のように、呼気期間W2には、吸気管路圧力Paeを気道圧力として検出して、その吸気管路圧力Paeに基づいてポンプ用アクチュエータをフィードバック制御することによって、患者の気道圧力Pawをずれなく設定呼気圧力Pabに近づけることができる。また患者の咳などによって、一時的に患者が吐出する気体の流量が増加した場合であっても、流れ方向上流側の吸気管路圧力Paeは大きく変化することがなく、気道圧力として検出される管路圧力が外乱によって不安定になることを防ぐことができる。
【0097】
図6は、制御装置本体33の吸気制御動作および換気制御動作を総合して示すブロック線図である。図7は、制御装置本体33の吸気制御動作を示すブロック線図である。制御装置本体33は、吸気期間W1における動作を実行する吸気動作部11を有する。吸気動作部11は、ポンプ用アクチュエータ31を制御するポンプ吸気制御部110と、呼気弁用アクチュエータ32を制御する弁吸気制御部111とを有する。実際には、制御装置本体33が吸気制御プログラムを実行することによって、吸気動作部11が実現される。この場合、検出される圧力Pai,Psおよび設定される圧力Paaは、電気信号に変換されて演算が行われる。
【0098】
ポンプ吸気制御部110は、呼気管路圧力Paiが設定吸気圧力Paaとなるように、ポンプ用アクチュエータ31をフィードバック制御する。ポンプ吸気制御部110は、2つの制御ループを有する。ポンプ吸気制御部110は、呼気管路圧力Paiととともにポンプ圧力Psをフィードバック量として、ポンプ用アクチュエータ31をカスケード制御する。
【0099】
ポンプ吸気制御部110の2つの制御ループのうち一方の制御ループであるメジャーループ42は、呼気管路圧力Paiをフィードバック量とし、設定吸気圧力Paaを目標値とする。メジャーループ42は、第1比較部48と、第1制御部44とを含む。第1比較部48は、呼気管路圧力Paiと設定吸気圧力Paaとを取得して、それら2つを比較する。第1比較部48は、設定吸気圧力Paaから呼気管路圧力Paiを減算して、その演算結果aを第1制御部44に与える。第1制御部44は、第1比較部48の演算結果aを予め定められる制御動作に従って演算処理し、その演算結果bを後述する第2比較部49に与える。本実施の形態では、第1制御部44は、第1比較部48の演算結果aを積分演算、いわゆるI動作し、演算結果bを第2比較部49に与える。
【0100】
ポンプ吸気制御部110の2つの制御ループのうち他方の制御ループであるマイナーループ43は、ポンプ圧力Psをフィードバック量とし、第1制御部44の演算結果bを目標値とする。マイナーループ43は、第2比較部49と、第2制御部45とを含む。第2比較部49は、第1制御部44の演算結果bとポンプ圧力Psとを取得して、それら2つを比較する。第2比較部49は、第1制御部44の演算結果bからポンプ圧力Psを減算して、その演算結果cを第2制御部45に与える。第2制御部45は、第2比較部49の演算結果cを予め定められる制御動作に従って演算処理し、演算結果dをポンプ用サーボアンプ46に与える。本実施の形態では、第2制御部45は、第2比較部の演算結果cを比例演算、いわゆるP動作し、演算結果dをポンプ用サーボアンプ46に与える。
【0101】
ポンプ吸気制御部110は、第2制御部45の演算結果dをポンプ用サーボアンプ46で増幅した操作量eをポンプ用アクチュエータ31に与えて、ポンプ用アクチュエータ31を駆動する。
【0102】
弁吸気制御部111は、呼気管路26を完全に閉じる呼気管路全閉信号fを呼気弁用サーボアンプ47に与える。弁吸気制御部111は、呼気管路全閉信号fを呼気弁用サーボアンプ47で増幅した操作量hを呼気弁用アクチュエータ32に与えて、呼気弁用アクチュエータ32を駆動する。
【0103】
このように制御装置本体33は、患者の気道圧力として検出される呼気管路圧力Paiのほかにポンプ圧力Psを検出し、それらに基づいてポンプ用アクチュエータ31を制御駆動する。ポンプ圧力Psは、ポンプ用アクチュエータ31の駆動に追従して直ちに変化する。したがってポンプ用アクチュエータ31を制御してから呼気管路圧力Paiが変化するまで時間遅れがある場合でも、ポンプ圧力Psに基づいてポンプ用アクチュエータ31を制御することで応答性を向上することができ、呼気管路圧力Paiを短時間で設定吸気圧力Paaに達成させることができる。
【0104】
またたとえば患者の咳などの外乱によって呼気管路圧力Paiが一時的に変化した場合、ポンプ用アクチュエータ31が、その呼気管路圧力Paiの変化に応じてポンプ22を駆動してしまう。しかし制御装置本体33が、その外乱によって変化されたポンプ圧力Psに基づいて、ポンプ用アクチュエータ31を直ちに修正制御することができる。これによってポンプ圧力Psは、外乱前の圧力に修正される。すなわち外乱によって呼気管路圧力Paiが一時的に急変しても、管路圧力Paiが過度に変化することを阻止することができる。これによって安定的でかつロバスト性を向上した気道圧力の制御を実現することができる。ポンプ吸気制御部110が、このようなカスケード制御を行うことによって、患者の気道圧力を安定して短時間で設定呼気圧力Paaに達成することができ、患者の負担を軽減することができる。
【0105】
また患者の状態変化および吸気管路25に介在される加湿器などの外乱によって、検出される呼気管路圧力Paiが振動的変化または一時的に急変したとしても、第1制御部44の演算結果bは、積分演算されるので振動成分およびインパルス成分を吸収することができる。これによって外乱の影響をさらに小さくして、呼気管路圧力Paiを呼気設定圧力Paaに安定的に近づけることができる。
【0106】
またポンプ圧力Psは、患者の状態変化の影響をほとんど受けることがない。第1制御部44の演算結果bからポンプ圧力Psを減算した演算結果cに対して比例演算を行うので、患者の状態変化による外乱が増幅されることを防いで、ポンプ用アクチュエータ31の駆動が不安定になることを防ぐことができる。これによって安定性を保ったうえで、第2制御部45の比例ゲインを大きくすることができ、さらに応答性を向上するとともに、通常のPI制御の場合に比べて、患者の気道抵抗が大きく変化しても安定性を保つことができる。
【0107】
またポンプ吸気制御部110は、第1制御部44と第2制御部45とによって、呼気管路圧力PaiをあたかもIP動作で制御することになり、設定吸気圧力Paaに対して定常偏差が生じることを防止することができ、管路に気体漏れがある場合であっても、患者の気道圧力Pawを設定吸気圧力Paaにすることができる。
【0108】
図8は、制御装置本体33の呼気制御動作を示すブロック線図である。制御装置本体33は、呼気期間W2における動作を実行する呼気動作部12を有する。呼気動作部12は、ポンプ用アクチュエータ31を制御するポンプ呼気制御部112と、呼気弁アクチュエータ32を制御する弁呼気制御部113とを有する。実際には、制御装置本体33が呼気制御プログラムを実行することによって、呼気動作部12が実現される。この場合、検出される圧力Pae,Psおよび設定される圧力Pab,sは、電気信号に変換されて演算が行われる。
【0109】
ポンプ呼気制御部112は、ポンプ圧力Psが予め定める補償圧力sを設定呼気圧力Pabに加算した目標圧力となるように、ポンプ用アクチュエータ31をフィードバック制御する。具体的には、ポンプ呼気制御部112は、ポンプ圧力Psをフィードバック量として、前記目標圧力を目標値として、ポンプ用アクチュエータ31をフィードバック制御する。
【0110】
ポンプ呼気制御部112の制御ループは、加算部50と、第3比較部51と、第3制御部52とを含む。加算部50は、設定呼気圧力Pabと補償圧力sとを取得して、それら2つを加算する。加算部50は、演算結果jを第3比較部51に与える。第3比較部51は、加算部50の演算結果jとポンプ圧力Psとを取得して、それら2つを比較する。第3比較部51は、加算部50の演算演算jからポンプ圧力Psを減算して、その演算結果kを第3制御部52に与える。第3制御部52は、第3比較部51の演算結果kを予め定められる制御動作に従って演算処理し、その演算結果mをポンプ用サーボアンプ46に与える。本実施の形態では、第3制御部52は、第3比較部51の演算結果kを比例演算、いわゆるP動作し、演算結果mをポンプ用サーボアンプ46に与える。
【0111】
ポンプ呼気制御部112は、第3比較部51の演算結果mをポンプ用サーボアンプ46で増幅した操作量eをポンプ用アクチュエータ31に与えて、ポンプ用アクチュエータ31を駆動する。
【0112】
弁呼気制御部113は、吸気管路圧力Paeが設定呼気圧力Pabとなるように、呼気弁用アクチュエータ32をフィードバック制御する。具体的には、弁呼気制御部113は、吸気管路圧力Paeをフィードバック量として、設定呼気圧力Pabを目標値として、呼気弁用アクチュエータ32を制御する。
【0113】
弁呼気制御部113の制御ループは、第4比較部53と、第4制御部54とを含む。第4比較部53は、設定呼気圧力Pabと吸気管路圧力Paeとを取得して、それら2つを比較する。第4比較部53は、設定呼気圧力Pabから吸気管路圧力Paeを減算して、その演算結果nを第4制御部54に与える。第4制御部54は、第4比較部53の演算結果nを予め定められる制御動作に従って演算処理し、その演算結果rを呼気弁用サーボアンプ47に与える。本実施の形態では、第4制御部54は、第4比較部53の演算結果nを比例演算および積分演算、いわゆるPI動作し、演算結果rを呼気弁用サーボアンプ47に与える。
【0114】
弁呼気制御部113は、第4制御部54の演算結果rを呼気弁用サーボアンプ46で増幅した操作量hを呼気弁用アクチュエータ32に与えて、呼気弁用アクチュエータ32を駆動する。
【0115】
呼気期間W2において、吸気管路圧力Paeが設定呼気圧力Pabよりも高い場合、呼気弁27の弁体90が駆動されて呼気管路26を開く。呼気管路26が開かれると、呼気管路26内の気体は、患者の気道内の気体および吸気管路25内の気体に比べて圧力が低くなる。これによって気道から気体が排出場所23に流れるとともに、ポンプ22から吸気管路25および呼気管路26を介して気体が排出場所23に流れる。
【0116】
しばらくすると気道と吸気管路25との中の気体の圧力差がほとんどなくなり、吸気管路25から気道に流れる気体の流量が小さくなる。ただしポンプ圧力Psは設定呼気圧力Pabよりも高くなるように制御されるので、呼気管路26を流れる気体の流量がゼロになることはない。呼気弁用アクチュエータ32は、吸気管路圧力Paeが高くなると呼気管路26をさらに開き、吸気管路圧力Paeが低くなると呼気管路26をさらに閉じる。これによって吸気管路圧力Paeが設定呼気圧力Pabに保つとともに、呼気管路26に一定量の気体が排出場所23に向かって流れる平衡状態に制御することができる。
【0117】
このように制御することによって、管路圧力が変動しても、気道圧力を設定呼気圧力Pabに達成させることができる。たとえば一時的に検出される吸気管路圧力Paeが設定呼気圧力Pabよりも低くなった場合には、呼気管路26を平衡状態よりも閉じることによって、管路圧力を高くすることができ、再び設定呼気圧力Pabに保つことができる。また吸気管路圧力Paeが設定呼気圧力Pabよりも高くなった場合には、呼気管路26を平衡状態よりも開くことによって、管路圧力を低くすることができ、再び設定呼気圧力Pabに保つことができる。
【0118】
ポンプ用アクチュエータ31は、ポンプ圧力Psに応じて制御される。ポンプ圧力Psは、患者の状態が変化しても、影響を受けることが少ない。したがってポンプ圧力Psは、外乱に対して安定して目標とする圧力にすることができる。また、患者の気道圧力は、ポンプ圧力Psよりも高くなることがなく、前述したようにポンプ圧力Psを安定して制御することができるので、患者の気道圧力が過度に高くなることを防ぐことができる。
【0119】
また第3制御部52が積分演算を含まず、比例演算によるフィードバック制御によって実現されて、呼気弁27による呼気管路26の現在の開閉度に応じてポンプ用アクチュエータ31の制御量を調整する。これによって吸気管路流量と吸気管路圧力とを平衡状態に保つことができる。
【0120】
また患者の状態が変化して、検出される吸気管路圧力Paeが一時的に変化したとしても呼気管路26の開閉を調整するだけであるので、患者の気道圧力Pawが低くなる方向にしか調整されない。したがって吸気管路圧力Paeが外乱を受けても、過度に気道圧力が高くなることが防がれ、患者の負担を軽減することができる。
【0121】
仮に管路に漏れがあった場合には漏れがない場合に比べて吸気管路圧力Paeが低下する。吸気管路圧力Paeが設定呼気圧力Pabよりも低下すると、呼気弁用アクチュエータ32が呼気管路26をさらに閉じる。これによってポンプ圧力Psと吸気管路圧力Paeとの圧力差が大きくなり、ポンプ22から供給される気体の流量が増加し、吸気管路圧力Paeが増加する。したがって管路の気体漏れを補償して吸気管路圧力Paeを設定呼気圧力Pabに保つことができる。
【0122】
図9は、吸気管路25を流れる気体の呼気管路流量tと吸気管路圧力Paeとの関係を示すグラフである。図9において、横軸は、吸気管路流量tであり、縦軸は吸気管路圧力Paeを示す。前述するポンプ呼気制御部112の制御特性に従えば、呼気管路流量tと吸気管路圧力Paeとの関係は、図9に示すポンプ特性直線L1で表わされる。すなわち、吸気管路圧力Paeは、吸気管路流量tが増加するとともに減少する。
【0123】
呼気管路流量tがゼロの場合、図9におけるポンプ特性直線L1の切片で示すように、呼気管路圧力Paeは、補償圧力S分を設定呼気圧力Pabに付加した値となる。また呼気管路圧力Paeの変化に対する呼気管路流量tの変化率は、図9におけるポンプ特性直線L1の傾きで示すように、ポンプ呼気制御部112の制御特性によって決定される。ポンプ特性直線L1の切片および傾きは、ポンプ呼気制御部112に設定される補償圧力Sおよびフィードバックゲインを調整することによって変更可能である。
【0124】
また前述する弁呼気制御部113の制御特性に従えば、呼気管路流量tと吸気管路圧力Paeとの関係は、図9に示す弁特性直線L2で表わされる。すなわち、吸気管路圧力Paeは、吸気管路流量tにかかわらず、設定呼気圧力Pabに制御される。
【0125】
したがって吸気管路流量tおよび吸気管路圧力Paeは、理論的には、平衡状態でポンプ特性直線L1と弁特性直線L2との交点Aで示される。平衡状態における吸気管路流量tは、この交点Aで示される流量Qとなる。またポンプ呼気制御部112の制御特性を調整して、ポンプ特性直線L1の切片および傾きを変えることによって、交点Aを移動させることができ、平衡状態における呼気管路流量tを調整することができる。
【0126】
実際の吸気管路流量tは、ポンプ特性直線L1のほかに、吐出逆止弁41の啓発圧力および吸気管路25の圧力損失などの影響を受ける。ポンプ特性直線L1にさらに吐出逆止弁41の啓発圧力分を考慮した特性を示す逆止弁付加直線L3を図9に一点鎖線で示す。また逆止弁付加直線L3にさらに吸気管路25の圧力損失を考慮した特性を示す管路圧力損失付加直線L4を図9に二点鎖線で示す。したがって現実的な呼気管路流量tは、管路圧力付加直線L4と、弁特性直線L2との交点Bによって決定され、交点Bで示される流量Qが吸気管路流量tとなる。
【0127】
ポンプ22の制御特性は、ポンプ特性直線L1の傾きδP/δQが小さくなるように設定されることが好ましい。すなわち吸気管路圧力Paeの変化率δPに対して、吸気管路流量tの変化率δQが大きくなるように設定されることが好ましい。これによって吸気管路圧力Paeの変化に対して、吸気管路流量tを大きく変化させることができる。言換えると、吸気管路流量tの変化に対して、吸気管路圧力Paeの変化を小さくすることができる。
【0128】
呼気管路26を完全に閉じた状態でも気体漏れが大きくて、吸気管路圧力Paeを設定呼気圧力Pabに保つことができない場合、実際に吸気管路25を漏れる気体の流量Qと管路圧力付加直線L4との交点Cで平衡状態となる。このとき、ポンプ特性直線L1の傾きδP/δQを小さくすることによって、設定呼気圧力Pabから少し低下した圧力Pcで平衡状態に保つことができ、気道圧力Pawが設定呼気圧力Pabから大きくずれることを防止することができる。これによって患者の負担を少なくすることができる。
【0129】
図10は、制御装置本体33の呼吸状態検出動作を示すブロック線図である。患者の吸気開始時の検出について説明する。図3および図4に示すように制御装置本体33は、患者が気道から気体を吐出し終えて、気体を吸引し始める吸引開始時を検出するために、吸気開始を検出する吸気開始検出部115を有する。吸気開始検出部115は、流量比較部55と、設定値比較部56と、吸気トリガー生成部57とを含む。
【0130】
流量比較部55は、吸気管路流量tと呼気管路流量uとを取得し、それら2つを比較する。流量比較部55は、吸気管炉流量tから呼気管路流量uを減算して、その演算結果vを設定値比較部56に与える。設定値比較部56は、流量比較部55の演算結果vと、予め定められる吸気判定値wとを取得し、それら2つを比較する。設定値比較部56は、流量比較部vの演算結果から呼気判定値wを減算して、その演算結果Qpを吸気トリガー生成部57に与える。吸気トリガー生成部57は、演算結果Qpがゼロ以上かどうか判定し、ゼロ以上であるならば、吸気トリガー信号g1を生成する。
【0131】
呼気制御動作を制御装置本体33の呼気動作部12が行っている間に、患者が気体を吸引すると、吸気管路25の気体が吸引され、吸気管路圧力Paeが少し低下する。これによって吸気管路流量tが、吸気管路圧力Paeの変化に応じて変化する。前述したようにポンプ特性直線L1の傾きδP/δQが小さく設定されることによって、吸気管路流量変化量ΔQは、吸気管路圧力ΔPよりも大きく変化する。また吸気管路流量tの増加流量分は、ほとんど患者に吸引される。したがって呼気管路流量uの変化率は小さい。これによって患者が気体を吸引した時には、吸気管路圧力Paeの変化に比べて、吸気管路流量tと呼気管路流量uとの流量差変化のほうが急峻になる。
【0132】
このように患者の吸気開始時の変化を急峻にすることができるので、より敏感に吸引開始時を敏感に検出することができる。またノイズの影響を受けにくくすることができる。これによって呼吸状態の検出を確実に行うことができる。
【0133】
さらに吸気開始時に、吸気制御動作に開始するまでに圧力差によって多くの気体を気道に流すことができる。これによって吸気制御動作に切り換る前であっても患者の気道に多くの気体を導くことができ、患者の負担をさらに軽減することができる。患者の呼気開始時の検出については、たとえば吸気管路を流れる気体の流量を積分して、肺内の気体の体積が予め定めるしきい値に達したか否かで判断してもよい。また吸気流量の最大値を100%とし、予め設定される吸気流量の設定値まで減少したことを検出する従来の技術を用いて呼気開始時を検出してもよい。
【0134】
以上のようにして制御装置は、吸気トリガー信号g1および呼気トリガー信号g2を検出する構成によって、各トリガー信号g1、g2を含む呼吸モード信号gを取得し、呼吸モード信号gを切換部13に与える。切換部13は、呼吸モード信号gに応じて吸気制御動作を行うか呼気制御動作を行うかを切り換える。
【0135】
図11は、検出される気道圧力を表示手段40に表示する動作を説明するための図である。制御装置本体33は、吸気トリガーg1を取得すると、検出される呼気管路圧力Paiを表示手段40に与え続ける。次に呼気トリガーg2を取得すると、吸気管路圧力Paeを表示手段40に与え続ける。
【0136】
これによって加湿器などの管路抵抗の変化が生じても、患者の気道圧力Pawとほぼ同じ圧力を随時報知することができる。また吸気期間W1と呼気期間W2とで、視認者が視線を切り換える必要がなく、同じ表示面で気道圧力Pawに近い値を確認することができるので、利便性を向上することができる。たとえば表示例は、図3(3)に示すような状態で表示される。
【0137】
またPSV動作について説明したが、PCV動作についても、気道の圧力を制御することができる。PCV動作においては、呼吸モードの検出方法と、気道圧力設定値が異なるが、他の構成、動作については前述した制御装置と同様である。また図8、図10で説明した機能は、他の換気方法たとえば従量調節換気(
Volume Control Ventilation)方法の場合にも応用できる。
【0138】
以上のように、本発明の実施の形態である制御装置21によれば、吸気期間W1において、呼気管路圧力Paiに基づいて、ポンプ用アクチュエータ31をフィードバック制御する。吸気期間W1では、患者の気道から呼気管路26に流れる気体の流量はほとんどなく、患者の気道圧力Pawと呼気管路圧力Paiとはほぼ等しい圧力となる。したがって患者の気道圧力Pawをずれなく設定吸気圧力Paaに近づけることができる。
【0139】
また呼気期間W2において、吸気管路圧力Paeに基づいて、各駆動手段を制御する。呼気期間W2では、患者の気道から吸気管路25に流れる気体の流量はほどんどなく、気道圧力Pawと、吸気管路圧力Paeとはほぼ等しい圧力となる。したがって患者の気道圧力Pawをずれなく設定呼気圧力Pabに近づけることができる。また患者の咳などによって、一時的に患者が吐出する気体の流量が増加した場合であっても、流れ方向上流側の吸気管路圧力Paeは大きく変化することがなく、吸気管路圧力Paeが外乱によって不安定になることを防ぐことができる。
【0140】
このように呼気期間W1および吸気期間W2において、患者の気道圧力Pawにより近い圧力を検出することができるので、患者の気道圧力Pawを良好に設定圧力に達成させて、患者の負担を軽減することができる。
【0141】
また各管路25,26から圧力検出器36,37に管路内の気体を導くための圧力検出孔82,83は、気道から遠ざかった位置に形成される。すなわち吸気側圧力検出孔82は、流れ方向上流側に形成され、呼気側圧力検出孔83は、流れ方向下流側に形成される。これによって痰および唾などを患者が吐出したとしても、圧力検出孔82,85が詰まることを防ぐことができ、より正確な気道圧力を検出することができる。
【0142】
さらに本実施の形態では、各フィルタ83,86よりも装着部材24から離れた位置に設けられるので、圧力検出孔82,83の気体は、患者の状態変化による外乱の影響を受けにくくすることができる。また吸気管路25のうちの固定部分25aに圧力検出孔82,83が形成されるので、圧力導管が変位することを防止できる。また吸気管路25および呼気管路26の着脱部分を取替えたとしても、圧力導管を着脱部分25b,26bとともに取外す必要がなく、利便性を向上することができる。これによって圧力導管の脱落および装着ミスを無くすことができる。さらに装着部材24付近を小型化することができ、医師および看護士などが医療活動を円滑に行うことができる。
【0143】
また、吸気期間W1において、呼気管路圧力Paiのほかにポンプ圧力Psに基づいて、各アクチュエータ31,32を制御する。このようにポンプ圧力Psに基づいて制御することによって、呼気管路圧力Paiの変化に時間遅れがある場合であっても、応答性を向上することができ、呼気管路圧力Paiを短時間で設定呼気圧力Paaに達成させることができる。
【0144】
ポンプ圧力Psは、患者の状態変化の影響をほとんど受けることがない。患者の咳などの外乱によって呼気管路圧力Paiが一時的に変化して、その一時変化に応じてポンプ22が駆動されたとしても、ポンプ22が駆動されて変化したポンプ圧力Psに基づいて、ポンプ22の駆動量が直ちに修正される。これによってポンプ圧力Psは、外乱前の圧力に修正される。言い換えると外乱によって呼気管路圧力Paiが一時的に変化しても、患者の気道圧力Pawが過度に変化することを阻止することができ、安定的でかつロバスト性を向上して呼気管路圧力Paiの制御を実現することができる。
【0145】
また呼気期間W2において、吸気管路圧力Paeとポンプ圧力Psとに基づいて、各アクチュエータ31,32を制御する。このように制御することによって、吸気管路流量が変動しても、吸気管路圧力Paeを安定的に設定呼気圧力Pabに達成させることができる。また吸気管路流量tを設定流量にすることができる。
【0146】
仮に検出される吸気管路圧力Paeが外乱によって変化したとしても、呼気弁用アクチュエータ32が制御されて呼気管路26の開閉度が調整されるだけであり、患者の気道圧力Pawは、ポンプ圧力Psを超えて高くなることがない。すなわち患者の気道圧力Pawが過度に高くなることを防ぐことができる。
【0147】
吸気期間W1および呼気期間W2において、検出される管路圧力が外乱によって変動しても、検出される管路圧力を設定気道圧力に設定することができる。これによって患者の気道圧力Pawを設定気道圧力に応答性を向上して安定的に近づけることができる。これによって呼吸動作における患者の負担をさらに軽減することができる。この場合、吸気期間W1においては、気道圧力の検出を呼気管路圧力で行い、呼気期間W2においては、気道圧力の検出を吸気管路圧力で行うほうが好ましいが、装着部材付近の管路内の気体の圧力を気道圧力としてもよい。
【0148】
また実際には、制御装置本体33は、記憶部104に記憶されるプログラムを演算部102が実行することによって、各アクチュエータ31,32を制御する。このようにコンピュータによって制御することによって、短時間で制御量を演算することができる。またポンプ用アクチュエータ31および呼気弁応アクチュエータ32を制御する制御特性を容易に変更することができ、患者ごと、および患者の状態に応じて、最適な制御特性に容易にかつ短時間で設定することができる。また長時間継続して制御しても制御特性が変動することがなく、安定的に患者の気道圧力Pawを調整することができる。本発明は、人工呼吸器20を制御する制御装置21について説明したが、他の制御装置を用いて前述した制御方法を実現することによって、同様の効果を得ることができる。また制御装置21と人工呼吸器30とを含むことによって、患者の負担が少ない人工呼吸設備を実現することができる。
【0149】
以上のような本発明の構成は、発明の例示であって、発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば本発明において、人工呼吸器の詳細な構成については、特に限定しない。
【0150】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の本発明によれば、供給圧力と管路圧力とに基づいて、供給駆動手段を制御する。これによって応答性を向上するとともに外乱の影響を少なくして、患者の気道圧力を目標とする目標気道圧力に近づけることができる。したがって患者の気道圧力を短時間に安定して最適な気道圧力に達成させることができ、肺の換気における患者の負担を低減することができる。
【0151】
また請求項2記載の本発明によれば、漏れなどの外乱によって管路から排出する気体の流量が変動しても、吸気管路圧力を一定にすることができる。これによって呼気期間における患者の気道圧力を設定呼気圧力から変動することを防止し、呼吸動作における患者の負担を軽減することができる。
【0152】
また請求項3記載の本発明によれば、患者が気体を吸引する吸気状態に移行したことを精度よく判断することができる。吸気状態に移行したことを判断すると直ぐに、呼気制御動作から吸気制御動作に移行することで、患者が吸気しているのに、呼気制御動作が行われることを防ぎ、患者の呼吸動作の負担をさらに軽減することができる。
【0153】
また請求項4記載の本発明によれば、吸気期間では、呼気管路圧力に基づいて各駆動手段を制御する。また呼気期間では、吸気管路圧力に基づいて各駆動手段を制御する。これによって患者の気道圧力に近い圧力に基づいて、各駆動手段を制御することができ、患者の気道圧力をずれなく設定圧力に近づけることができる。これによって患者の負担をさらに軽減することができる。
【0154】
またたとえば気道から遠ざかった位置に圧力検出孔を形成することで、圧力検出孔が詰まることを防ぐことができ、より正確な気道圧力を検出することができる。また気道寄りに圧力導管を設ける必要がないので、圧力導管の脱落および装着ミスを無くすことができる。
【0155】
また請求項5〜7記載の本発明によれば、短時間で制御量を演算することができる。また供給駆動手段および開閉駆動手段を制御する制御特性を容易に設定することができ、患者ごと、および患者の状態に応じて、最適な制御特性に容易にかつ短時間で設定することができる。また長時間継続して制御しても制御特性が変動することがなく、安定的に患者の気道圧力を調整することができる。
【0156】
また請求項8記載の本発明によれば、供給圧力と管路圧力とに基づいて、供給駆動手段を制御する。これによって応答性を向上するとともに外乱の影響を少なくして、患者の気道圧力を目標とする目標気道圧力に近づけることができる。すなわち患者の気道圧力を短時間に安定して最適な気道圧力に達成させることができ、肺の換気における患者の負担を低減することができる。
【0157】
また請求項9記載の本発明によれば、漏れなどの外乱によって管路から排出する気体の流量が変動しても、吸気管路圧力を一定にすることができる。これによって呼気期間における患者の気道圧力を設定呼気圧力から変動することを防止し、呼吸動作における患者の負担を軽減することができる。
【0158】
また請求項10記載の本発明によれば、患者が気体を吸引する吸気状態に移行したことを精度よく判断することができる。吸気状態に移行したことを判断すると直ぐに、呼気制御動作から吸気制御動作に移行することで、患者が吸気しているのに、呼気制御動作が行われることを防ぎ、患者の呼吸動作の負担をさらに軽減することができる。
【0159】
また請求項11記載の本発明によれば、吸気期間では、呼気管路圧力に基づいて各駆動手段を制御する。また呼気期間では、吸気管路圧力に基づいて各駆動手段を制御する。これによって患者の気道圧力に近い圧力に基づいて、各駆動手段を制御することができ、患者の気道圧力をずれなく設定圧力に近づけることができる。これによって患者の負担をさらに軽減することができる。
【0160】
またたとえば気道から遠ざかった位置に圧力検出孔を形成することで、圧力検出孔が詰まることを防ぐことができ、より正確な気道圧力を検出することができる。また気道寄りに圧力導管を設ける必要がないので、圧力導管の脱落および装着ミスを無くすことができる。
【0161】
また請求項12記載の本発明によれば、吸気期間中には呼気圧力を表示手段に表示し、患者が呼気を吐出する呼気期間中には呼気圧力を表示手段に表示することによって、加湿器などの管路抵抗の変化および患者の咳などが生じても、患者の気道圧力とほぼ同じ圧力を随時報知することができる。また呼気期間と吸気期間とで、視認者が視線を切り換える必要がなく、同じ表示面で気道圧力を確認することができるので、利便性を向上することができる。
【0162】
また請求項13記載の本発明によれば、人工呼吸設備が前述した制御装置を備えることで、患者の気道圧力を良好に目標気道圧力に近づけることができ、人工呼吸動作時の患者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である人工呼吸器20に用いられる制御装置21の構成を示すブロック図である。
【図2】人工呼吸器20とその制御装置21を含む人工呼吸設備19の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】制御装置33によって制御される患者の気道圧力Pawを示すタイミングチャートである。
【図4】制御装置本体33の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】管路を流れる気体を示すために人工呼吸器20を簡略化して示す断面図である。
【図6】制御装置本体33の吸気制御動作および換気制御動作を総合して示すブロック線図である。
【図7】制御装置本体33の吸気制御動作を示すブロック線図である。
【図8】制御装置本体33の呼気制御動作を示すブロック線図である。
【図9】吸気管路25を流れる気体の呼気管路流量tと吸気管路圧力Paeとの関係を示すグラフである。
【図10】制御装置本体33の呼吸状態検出動作を示すブロック線図である。
【図11】検出される気道圧力を表示手段40に表示する動作を説明するための図である。
【図12】従来の技術の人工呼吸器1の一部を簡略化して示すブロック図である。
【符号の説明】
20 人工呼吸器
21 制御装置
22 ポンプ
23 排出場所
24 装着部材
25 吸気管路
26 呼気管路
27 呼気弁
31 ポンプ用アクチュエータ
32 呼気弁用アクチュエータ
33 制御装置本体
34 ポンプ圧力検出器
35 吸気圧力検出器
36 呼気圧力検出器
37 呼気流量検出器
38 吸気流量検出器
39 入力手段
40 表示手段

Claims (13)

  1. 酸素を含む気体を供給する供給手段と、供給手段から気体を患者の気道に導くための吸気管路と、患者の気道から気体を排出場所に導くための呼気管路と、呼気管路に介在されて呼気管路を開閉する開閉手段と、供給手段を駆動する供給駆動手段と、開閉手段を駆動する開閉駆動手段とを備える人工呼吸器を制御する制御方法であって、
    供給手段から供給される気体の圧力である供給圧力と、吸気管路および呼気管路のいずれかの管路圧力とを取得し、
    患者の気道に気体を供給する吸気期間において、呼気管路を閉じるよう開閉駆動手段を制御するとともに、供給圧力および管路圧力に基づいて、管路圧力が予め定められる設定吸気圧力になるように、供給駆動手段を制御することを特徴とする人工呼吸器の制御方法。
  2. 酸素を含む気体を供給する供給手段と、供給手段から気体を患者の気道に導くための吸気管路と、患者の気道から気体を排出場所に導くための呼気管路と、呼気管路に介在されて呼気管路を開閉する開閉手段と、供給手段を駆動する供給駆動手段と、開閉手段を駆動する開閉駆動手段とを備える人工呼吸器を制御する制御方法であって、
    供給手段から供給される気体の圧力である供給圧力と、吸気管路および呼気管路のいずれかの管路圧力とを取得し、
    患者の気道から気体が流出することを許容する呼気期間において、管路圧力に基づいて、管路圧力が予め定められる設定呼気圧力になるように、開閉駆動手段を制御するとともに、供給圧力に基づいて、供給圧力が設定呼気圧力よりも予め定める補償圧力分高くなるように、供給駆動手段を制御することを特徴とする人工呼吸器の制御方法。
  3. 吸気管路内を流れる気体の流量である吸気管路流量と、呼気管路内を流れる気体の流量である呼気管路流量とを取得し、
    吸気管路流量と呼気管路流量との差に基づいて、患者が気体を吸引し始めたことを判断することを特徴とする請求項2記載の人工呼吸器の制御方法。
  4. 酸素を含む気体を供給する供給手段と、供給手段から気体を患者の気道に導くための吸気管路と、患者の気道から気体を排出場所に導くための呼気管路と、呼気管路に介在されて呼気管路を開閉する開閉手段と、供給手段を駆動する供給駆動手段と、開閉手段を駆動する開閉駆動手段とを備える人工呼吸器を制御する制御方法であって、
    吸気管内において、患者の気道内の圧力が導かれる領域のうち、供給手段から気体が流れる流れ方向上流側の圧力である吸気管路圧力を取得し、
    呼気管内において、患者の気道内の圧力が導かれる領域のうち、気道から気体が流れる流れ方向下流側の気体の圧力である呼気管路圧力を取得し、
    患者の気道に気体を供給する吸気期間において、呼気管路圧力に基づいて、呼気管路圧力が予め定められる設定吸気圧力になるように、供給駆動手段および開閉駆動手段を制御し、
    患者の気道から気体が流出することを許容する呼気期間において、吸気管路圧力に基づいて、吸気管路圧力が予め定められる設定呼気圧力になるように、供給駆動手段および開閉駆動手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする人工呼吸器の制御方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の制御方法を実行するためのコンピュータ。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の制御方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
  8. 酸素を含む気体を供給する供給手段と、供給手段から気体を患者の気道に導くための吸気管路と、患者の気道から気体を排出場所に導くための呼気管路と、呼気管路に介在されて呼気管路を開閉する開閉手段と、供給手段を駆動する供給駆動手段と、開閉手段を駆動する開閉駆動手段とを備える人工呼吸器を制御する制御装置であって、
    供給手段から供給される気体の圧力である供給圧力を検出する供給圧力検出手段と、
    吸気管路および呼気管路のいずれかの管路圧力を検出する管路圧力検出手段と、
    患者の気道に気体を供給する吸気期間において、呼気管路を閉じるよう開閉駆動手段を制御する開閉制御手段と、
    吸気期間において、検出される供給圧力および管路圧力に基づいて、管路圧力が予め定められる設定吸気圧力になるように、供給駆動手段を制御する供給制御手段とを備えることを特徴とする人工呼吸器の制御装置。
  9. 酸素を含む気体を供給する供給手段と、供給手段から気体を患者の気道に導くための吸気管路と、患者の気道から気体を排出場所に導くための呼気管路と、呼気管路に介在されて呼気管路を開閉する開閉手段と、供給手段を駆動する供給駆動手段と、開閉手段を駆動する開閉駆動手段とを備える人工呼吸器を制御する制御装置であって、
    供給手段から供給される気体の圧力である供給圧力を検出する供給圧力検出手段と、
    吸気管路および呼気管路のいずれかの管路圧力を検出する管路圧力検出手段と、
    患者の気道から気体が流出することを許容する呼気期間において、検出される管路圧力に基づいて、管路圧力が予め定められる設定呼気圧力になるように、開閉駆動手段を制御する開閉制御手段と、
    呼気期間において、検出される供給圧力に基づいて、供給圧力が設定呼気圧力よりも予め定める補償圧力分高くなるように、供給駆動手段を制御する供給制御手段とを備えることを特徴とする人工呼吸器の制御装置。
  10. 吸気管路内を流れる気体の流量である吸気管路流量を検出する吸気管路流量検出手段と、
    呼気管路内を流れる気体の流量である呼気管路流量を検出する呼気管路流量検出手段と、
    患者が気体を吸引し始めたことを判断する吸気開始判断手段とをさらに備え、
    吸気開始判断手段は、検出される吸気管路流量と呼気管路流量との差に基づいて、患者が気体を吸引し始めたことを判断することを特徴とする請求項9記載の人工呼吸器の制御装置。
  11. 酸素を含む気体を供給する供給手段と、供給手段から気体を患者の気道に導くための吸気管路と、患者の気道から気体を排出場所に導くための呼気管路と、呼気管路に介在されて呼気管路を開閉する開閉手段と、供給手段を駆動する供給駆動手段と、開閉手段を駆動する開閉駆動手段とを備える人工呼吸器を制御する制御装置であって、
    吸気管内において、患者の気道内の圧力が導かれる領域のうち、供給手段から気体が流れる流れ方向上流側の気体の圧力である吸気管路圧力を検出する吸気管路圧力検出手段と、
    呼気管内において、患者の気道内の圧力が導かれる領域のうち、気道から気体が流れる流れ方向下流側の位置の気体の圧力である呼気管路圧力を検出する呼気管路圧力検出手段と、
    患者の気道に気体を供給する吸気期間において、検出される呼気管路圧力に基づいて、呼気管路圧力が予め定められる設定吸気圧力になるように、供給駆動手段および開閉駆動手段を制御し、患者の気道から気体が流出することを許容する呼気期間において、検出される吸気管路圧力に基づいて、吸気管路圧力が予め定められる設定呼気圧力になるように、供給駆動手段および開閉駆動手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする人工呼吸器の制御装置。
  12. 気道内の気体の圧力を表示するための表示手段をさらに備え、
    表示手段は、吸気期間において、検出される呼気管路圧力を患者の気道圧力として表示し、呼気期間において、検出される吸気管路圧力を患者の気道圧力として表示することを特徴とする請求項4記載の人工呼吸器の制御装置。
  13. 前記人工呼吸器と、請求項8〜12のいずれかに記載の人工呼吸器の制御装置とを備えることを特徴とする人工呼吸設備。
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