JP2005027841A - 感染症患者搬送バッグ - Google Patents
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Abstract
【課題】搬送スタッフの安全を確保しながら、手軽にかつ低コストな構成で感染症患者を搬送することができる感染症患者搬送バッグを提供する。
【解決手段】患者3を合成樹脂材からなるシート状の下カバー1a上に載せて上カバー1bを重ね合わせ、2重ファスナー2で両者の外周縁部を密閉して密閉空間に患者3を収容し、給排気装置6で汚染除去した空気を排気して内部を負圧した状態で、複数の搬送スタッフが各把持部10を握って搬送を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】患者3を合成樹脂材からなるシート状の下カバー1a上に載せて上カバー1bを重ね合わせ、2重ファスナー2で両者の外周縁部を密閉して密閉空間に患者3を収容し、給排気装置6で汚染除去した空気を排気して内部を負圧した状態で、複数の搬送スタッフが各把持部10を握って搬送を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細菌やウィルスなどの感染症に感染した患者若しくは感染症に感染した疑いのある患者を収容して搬送するための感染症患者搬送バッグに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば新型肺炎(重症急性呼吸器症候群:SARS)などの感染症に感染した感染症患者、若しくはこれらの感染症に感染した疑いのある患者が発生した場合には、周囲の人に感染が広がらないように、かつ搬送スタッフの安全を確保して、患者を救急車で医療施設の感染症患者専用病室に迅速に搬送する必要がある。
【0003】
しかしながら、従来では国内で深刻な感染症に感染した感染症患者の発生がほとんど報告されていないこともあり、感染症患者の発生に対して自治体での備えや装備が不十分なのが現状である。このため、最近では、新型肺炎(SARS)などの感染症患者(以下、感染症に感染した疑いのある患者も含む)が発生した場合に備えて、感染症患者及び搬送スタッフを安全に搬送できるように改造した特別な救急車(感染症患者搬送車)又は隔離収容型ストレッチャーが用意されるようになってきた。
【0004】
なお、感染症患者の搬送に用いるための本願発明に係るような感染症患者搬送バッグは従来なかった新規な発明であり、本願発明に係る感染症患者搬送バッグに対応した先行技術文献情報はありませんでした。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような感染症患者を搬送可能な特別な救急車(感染症患者搬送車)や隔離収容型ストレッチャーは、高価なため台数はまだ少なく、多数の感染症患者が発生した場合に、迅速に対処することができない。また、このような特別な救急車(感染症患者搬送車)及び隔離収容型ストレッチャーは、感染症患者を搬送するごとに内部を完全に消毒する必要があり、運用性が悪かった。
【0006】
また、従来では、感染症患者を専用の医療施設等に搬送する際においては、感染症患者にマスクをさせるていどなので、空気感染、飛沫感染、接触感染などによって汚染が周囲に広がるおそれがあった。
【0007】
そこで本発明は、特に搬送スタッフの安全を確保しながら、手軽にかつ低コストな構成で感染症患者の搬送を行うことができる感染症患者搬送バッグを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、感染症に感染した患者若しくは感染症に感染した疑いのある患者を内部に収容して搬送するための感染症患者搬送バッグであって、収容する患者の全身が載せられる合成樹脂材からなるシート状の下カバーと、前記下カバーと隣接する縁部同士の少なくとも一部が一体的に接合されており、前記隣接する縁部で折り返したときにその外周縁部が前記下カバーの外周縁部上に重ねられる、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも顔面部近傍が位置する部分が透明又は半透明な合成樹脂材からなるシート状の上カバーと、前記下カバーと前記上カバーとを重ね合わせたときにその内部に患者を収容する密閉空間を形成するように、前記下カバーと前記上カバー同士の外周縁部を開閉自在に密閉する密閉手段と、前記上カバーを前記下カバー上に重ねたときに、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも胴部近傍よりも上方に位置するようにして前記上カバーに設けた、汚染されていない空気だけを通すフィルター部と、前記上カバーを前記下カバー上に重ねたときに、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも胴部近傍よりも上方に位置するようにして前記上カバーに設けた、前記密閉空間内に患者を収容したときに該密閉空間内からフィルターを通して汚染除去されたクリーンな空気だけを外に排気して前記密閉空間内を負圧にする排気装置を着脱自在に装着するための装着部と、前記下カバーの外周縁部に所定間隔で複数取付けた、前記密閉空間内に患者を収容して搬送する際に搬送スタッフがつかむ把持部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、感染症に感染した患者若しくは感染症に感染した疑いのある患者を内部に収容して搬送するための感染症患者搬送バッグであって、収容する患者の全身が載せられる合成樹脂材からなるシート状の下カバーと、前記下カバーと隣接する縁部同士の少なくとも一部が一体的に接合されており、前記隣接する縁部で折り返したときにその外周縁部が前記下カバーの外周縁部上に重ねられる、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも顔面部近傍が位置する部分が透明又は半透明な合成樹脂材からなるシート状の上カバーと、前記下カバーと前記上カバーとを重ね合わせたときにその内部に患者を収容する密閉空間を形成するように、前記下カバーと前記上カバー同士の外周縁部を開閉自在に密閉する密閉手段と、前記上カバーを前記下カバー上に重ねたときに、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも胴部近傍よりも上方に位置するようにして前記上カバーに設けた、汚染されていない空気だけを通すフィルター部と、前記上カバーを前記下カバー上に重ねたときに、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも胴部近傍よりも上方に位置するようにして前記上カバーに設けた、前記密閉空間内に患者を収容したときに該密閉空間内からフィルターを通して汚染除去されたクリーンな空気だけを外に排気して前記密閉空間内を負圧にする、又は外からフィルターを通して汚染除去されたクリーンな空気だけを前記密閉空間内に給気して前記密閉空間内を正圧にするように切換え自在な給排気装置を着脱自在に装着するための装着部と、前記下カバーの外周縁部に所定間隔で複数取付けた、前記密閉空間内に患者を収容して搬送する際に搬送スタッフがつかむ把持部と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
また、前記密閉空間内に収容される患者の少なくとも顔面部上に空間が確保されるように、患者の顔面部周囲を囲むようにして前記密閉空間内にスペーサ部材を設置することを特徴としている。
【0011】
また、前記下カバー上に、前記密閉空間内に収容される患者を前記下カバー上に固定する固定部材を取付けたことを特徴としている。
【0012】
また、前記上カバーに、前記密閉空間内に収容される患者に対して非接触で医療処置するための一対の手袋を設けたことを特徴としている。
【0013】
また、前記上カバーに、前記密閉空間内に収容される患者に対して所定の医療器具を装着するための密閉自在な装着口を設けたことを特徴としている。
【0014】
また、前記上カバーの内側に位置するようにして所定の大きさの収納部を前記上カバーに一体的に設け、前記収納部の前記上カバー表面側の収納口と該収納部の底部に、前記収納部の収納口と底部を開閉自在に密閉する密閉手段をそれぞれ取付けたことを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0016】
〈実施の形態1〉
図1は、本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグを示す斜視図、図2は、本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグを開いた状態を示す平面図である。
【0017】
本実施の形態に係る感染症患者搬送バッグ1は、長方形のシート状の下カバー1aと外周縁部を除いた部分1b′が略透明のシート状の上カバー1bとを備え、2重ファスナー2によって下カバー1aと上カバー1bは密閉良好に開閉自在である。下カバー1aと上カバー1bは、仰向け状態で一般的な体格の人(以下、患者という)3が余裕で載せられる大きさ(例えば、縦(長手)方向の寸法が200cmで、横(短手)方向の寸法が100cm)であり、下カバー1a上に上カバー1bを重ねたときに両者の外周縁部同士が重なり合うように形成されている。
【0018】
下カバー1aと上カバー1bは、耐破断性や耐候性等に優れた合成樹脂材(例えばポリエステルなど)で形成されており、使用しない通常時には丸めたり、折り畳んでコンパクトに収納することができる。また、下カバー1aは特に丈夫に形成されている。
【0019】
上カバー1bの周囲にはまちが形成されており、下カバー1a上に2重ファスナー2で閉じたときにその内部に十分な広さの患者を収容する密閉空間を確保することができ、更に、2重ファスナー2で下カバー1aと上カバー1bを閉じる前に、中に収容した患者3の顔面部を跨ぐようにしてアーチ状のスペーサ部材4を設置することにより、上カバー1bが収容した患者3の顔面部の鼻や口に密着することはない。
【0020】
下カバー1aと上カバー1bは、図2に示すように、両者の隣接する長辺部の中央の接合部1cで両者の縁部同士が一体的に接合されており、2重ファスナー2によって接合部1cの両側から閉じることができる。なお、下カバー1aと上カバー1bを良好に、かつ不用意に開かないように密閉できるファスナーであれば、1重ファスナーでもよい。
【0021】
上カバー1bの、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に収容される患者3の顔面部近傍が位置する両側部には、細菌やウィルスを通さずに汚染されていないクリーンな空気だけを通すことができるフィルター部5a、5bがそれぞれ取付けられている。また、上カバー1bの、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に収容される患者3の頭部近傍が位置する上方(上カバー1bの上端部)には、装着向きを換えることによって感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に対して排気と給気の切換えが可能な小型で軽量な給排気装置6が装着される装着部1dが設けられている。
【0022】
更に、上カバー1bの、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に収容される患者3の両肩近傍が位置する部分には、内部に収容した患者3に対して医者が直接触れずに外から簡単な治療や診断等を行えるように一対の手袋7a、7bが取付けられている。手袋7a、7bは収縮自在な材質で形成されている。
【0023】
また、図1〜図3に示すように、上カバー1bの、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に収容される患者3の頚部近傍が位置する部分には、内部に収容した患者3に対して人口呼吸器の管や輸血用や点滴用の管などの医療器具の管(不図示)を装着するための装着口1eが設けられており、装着口1eには、上記の医療器具の管を装着していないときにこの装着口1eを密閉する取外し自在な蓋8が取付けられている。
【0024】
即ち、患者3に対して例えば人口呼吸器(不図示)を取付ける必要がある場合には、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に患者3を収容したときに予め患者3に人口呼吸器(不図示)を装着し、手袋7a、7bを介して非接触でこの人口呼吸器に、蓋8を外して開口した装着口1eを通して外部の人口呼吸器本体(不図示)に連結されている管(不図示)を装着する。なお、この管(不図示)は装着口1eに密着して装着されるように構成されているので、装着口1eから内部の汚染されている空気が外に漏れることはない。
【0025】
また、上カバー1bの、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に収容される患者3の腕近傍が位置する片方の側面部分には、治療器具や薬品類などを収納するための袋状の収納部1fが一体的に形成されており、下カバー1a上に上カバー1bを重ね2重ファスナー2で閉じた際に、この収納部1fは感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に位置する。
【0026】
収納部1fの上カバー1b表面側の収納口とその底部には、それぞれファスナー(1重ファスナー)1g、1hが取付けられており、各ファスナー1g、1hによって収納部1fの収納口と底部をそれぞれ独立して開閉することができる。ファスナー1g、1hの少なくともどちらか一方を閉じていれば、感染症患者搬送バッグ1内の汚染された空気が収納部1fを通して外に漏れることはない。
【0027】
下カバー1a上には、収容される患者3が仰向けに寝た状態で搬送時に動かないように肩部と胴部をそれぞれ固定するマジックテープ式の固定ベルト9a、9b、9cが取付けられている。また、下カバー1aの各長辺部の両縁部には、複数の搬送スタッフが手で持って感染症患者搬送バッグ1を搬送するための複数(図では、片方に4つ)の把持部10が取付けられている。
【0028】
上カバー1bの装着部1dに装着される給排気装置6は、図4に示すように、その両端部に感染症患者搬送バッグ1内を負圧(陰圧)にする際に装着部1dに装着する排気用管11と、感染症患者搬送バッグ1内を正圧(陽圧)にする際に装着部1dに装着する給気用管12をそれぞれ有し、内部には細菌やウィルスを通さずに汚染されていないクリーンな空気だけを通すことができる取外し自在なフィルター13と、モータ15に連結されたファン14と、モータ15を回転駆動するための電池16を備えている。
【0029】
電池16はどこでも容易に手に入る一般的な乾電池である。排気用管11と給気用管12は、フレキシブルな管であり自由に曲げることができる。また、上カバー1bの装着部1dには、給排気装置6の排気用管11又は給気用管12を装着した際に不用意に外れないようにロック部(不図示)が設けられている。更に、給排気装置6には、車やヘリコプターなどに備えられている電源(直流電源)からケーブルを介して電力供給ができるように外部電力端子(不図示)を備えている。
【0030】
感染症患者搬送バッグ1は、患者(感染症患者若しくはその疑いのある患者)3を一回搬送するごとに廃棄(焼却)処分し、給排気装置6は、内部のフィルター13を交換して再利用する。また、感染症患者搬送バッグ1をまだ使用していない未使用時には、図5に示すように、コンパクトに丸めた状態で、取外している給排気装置6と一緒に保管しておくことができる。
【0031】
次に、上記した本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグ1の取り扱いについて説明する。
【0032】
例えば新型肺炎(SARS)などの感染症患者若しくはその疑いのある患者が発生した場合に、複数の搬送スタッフ(不図示)はコンパクトに丸められている感染症患者搬送バッグ(図5参照)1と給排気装置6とを持って、患者がいる場所に駆けつける。この際、搬送スタッフは防護マスク、状況によっては防護服も同時に身につけて防備している。
【0033】
そして、図2に示すように、感染症患者搬送バッグ1を床や地面上に開いて下カバー1a上に患者3を仰向けに寝せ、搬送中に患者3の位置が片寄ったり動かないように各固定ベルト9a、9b、9cで肩部と胴部を固定する。そして、別に用意しておいたアーチ状のスペーサ部材4を患者3の顔面部を跨ぐようにして下カバー1a上に配置して、上カバー1bを接合部1cで折り返して下カバー1a上に重ね、2重ファスナー2で両者の外周縁部を閉じて感染症患者搬送バッグ1を素早く密閉して内部の密閉空間に患者3を収容し、患者3を外部から隔離する。
【0034】
なお、患者3を収容して2重ファスナー2で感染症患者搬送バッグ1を密閉する前に、上カバー1bに取付けた手袋7a、7bを通して救急車内や医療施設等で治療を行うための薬品類や治療用具を収めた小さい容器(不図示)を感染症患者搬送バッグ1内に入れておく。
【0035】
そして、感染症患者搬送バッグ1の装着部1dに、排気用管10を装着するようにして給排気装置6を連結し、モータ15を駆動してファン14を回転させて一定量の排気を行い、感染症患者搬送バッグ1内を大気圧に対して少し負圧にし、感染症患者搬送バッグ1内の汚染された空気がフィルター部5a、5bや2重ファスナー2で閉じた隙間から外部に漏れるのを確実に防止する。この際、フィルター部5a、5bを通して感染症患者搬送バッグ1内に汚染されていないクリーンな空気が供給され、給排気装置6内のフィルター12で細菌やウィルスの透過を防止して汚染のないクリーンな空気を排気する。
【0036】
これにより、感染症患者搬送バッグ1内の換気を行うことができるので、患者3の自発呼吸を確保することができる。この際、感染症患者搬送バッグ1内の患者3は、アーチ状のスペーサ部材4によって上カバー1bが顔面部の鼻や口に密着することはなく、安定した呼吸動作を確保することができる。
【0037】
即ち、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に収容される患者3の顔面部上に、スペーサ部材4によってその周囲に十分な空間が確保されることにより、患者3の顔面部の両側に位置するようにして上カバー1bの両側部にフィルター部5a、5bを設けたことで、給排気装置6で排気して感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間を負圧にする場合に、このフィルター部5a、5bを通してクリーンな空気を患者3の口や鼻に安定して効果的に供給することができる。なお、フィルター部5a、5bを、収容される患者3の胴部より上方で患者3の口や鼻から遠く離れていない位置に取付ければ、問題なくクリーンな空気を患者3の口や鼻に供給することができる。
【0038】
更に、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に収容される患者3の顔面部上に、スペーサ部材4によってその周囲に十分な空間が確保されることにより、患者3の頭部の上方に位置するようにして設けた装着部1dに給排気装置6を装着することで、給排気装置6で安定して効果的に排気することができるので、感染症患者搬送バッグ1の密閉空間内を安定して換気することができる。なお、給排気装置6を装着する装着部1dを、収容される患者3の胴部より上方で患者3の口や鼻から遠く離れていない位置に取付ければ、問題なく排気を行うことができる。
【0039】
そして、この状態で数人の搬送スタッフが感染症患者搬送バッグ1の長手方向の両側から各把持部10を握って持ち上げて搬送し、例えば近くに待機させているストレッチャー(不図示)の上に載せて、救急車で専用の医療施設に移送する。
【0040】
なお、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に患者3を収容して搬送スタッフで搬送する際において、給排気装置6は感染症患者搬送バッグ1の外側で垂れ下がった状態となるが、給排気装置6は軽量でコンパクトであり、かつ給排気装置6の排気用管11が上カバー1bの装着部1dにロック部(不図示)によって確実に装着されているので、給排気装置6が外れたり、搬送の邪魔になることはない。
【0041】
また、給排気装置6は、収容される患者3の頭部側が位置する感染症患者搬送バッグ1の上端部に装着されることにより、感染症患者搬送バッグ1の長辺部側に取付けた各把持部10を持って搬送する搬送スタッフに邪魔になることもなく、排気が搬送スタッフにかかることもない。
【0042】
また、感染症患者搬送バッグ1内に患者3を収容して搬送する際に、感染症患者搬送バッグ1の両側の各長辺部の縁部に沿って一対の長棒(不図示)を各把持部10に通して担架のようにして、各長棒の前後を持って搬送することもできる。また、感染症患者搬送バッグ1内に患者3を収容して搬送する際に、感染症患者搬送バッグ1の下カバー1aの下面に剛性を有する薄板(不図示)を置いて、この薄板の前後を持って搬送することもできる。
【0043】
また、感染症患者搬送バッグ1の上カバー1bに手袋7a、7bを取付けているので、救急車内や医療施設などおいて医者はこの手袋7a、7bを通して、感染症患者搬送バッグ1内に入れておいた前記容器(不図示)から薬品類や治療用具を取り出して必要な治療を安全に行うことができる。また、上カバー1bの大部分は透明なので、患者3の全身の様子を見ながら治療や観察を行うことができる。
【0044】
また、薬品類や治療用具を入れた前記容器(不図示)を感染症患者搬送バッグ1内に患者3を収容する際に感染症患者搬送バッグ1内に入れておかなかった場合でも、感染症患者搬送バッグ1内に患者3を収容した後において、収納部1fの底部のファスナー1hを閉じた状態で収納部1f内に薬品類や治療用具を収納して、収納口のファスナー1gを閉じておくことにより、必要に応じて医者は手袋7a、7bを通して収納部1fの底部のファスナー1hを開けることによって収納部1f内から薬品類や治療用具を取り出して必要な治療を安全に行うことができる。
【0045】
この際、収納部1fの収納口のファスナー1gは閉じられているので、感染症患者搬送バッグ1内の汚染された空気が漏れることはない。なお、この場合は収納部1fの底部のファスナー1hが開けられることにより、収納部1fには汚染された空気が充満しているので、収納口のファスナー1gを開けて再度別の薬品類や治療用具を入れることはできない。
【0046】
また、患者3に対して例えば人口呼吸器(不図示)を取付ける必要がある場合などには、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に患者3を収容したときに予め患者3に人口呼吸器(不図示)を装着し、この人口呼吸器に、蓋8を外して開口した装着口1eを通して外部の人口呼吸器本体(不図示)に連結されている管(不図示)を装着することができるので、感染症患者搬送バッグ1内に収容した患者3に対して安全に必要な処置を行うことができる。
【0047】
そして、感染症患者搬送バッグ1内に患者3を収容した状態で専用の医療施設に搬送した後においては、この感染症患者搬送バッグ1を廃棄(焼却)処分し、給排気装置6は、内部のフィルター13を交換して再利用する。
【0048】
このように本実施の形態に係る感染症患者搬送バッグ1は、未使用時には丸められて軽量でコンパクトな状態なので手軽に持ち運びすることができることにより、感染症患者(若しくはその疑いのある患者)がどこで発生しても迅速に駆けつけて、素早く容易に感染症患者を収容して安全に搬送することができる。
【0049】
また、感染症患者を感染症患者搬送バッグ1内に収容した状況で、感染症患者搬送バッグ1内をフィルター13を通して排気して負圧にすることにより、感染症患者搬送バッグ1内の汚染された空気が外に漏れることはないので、感染症患者搬送バッグ1を搬送する搬送スタッフの安全を確実に確保することができ、かつ周囲の環境汚染を防止することができる。
【0050】
更に、感染症患者搬送バッグ1は、合成樹脂材からなる下カバー1aと上カバー1bを2重ファスナー2で密閉自在に開閉するだけなので、メンテナンス性もよく、また、製作も容易なので低コスト化を図ることができる。
【0051】
また、感染症患者搬送バッグ1は、使用しないときは丸めたり、折り畳んでコンパクト状態にして保管することができるので、狭いスペースでも多数収納して保管することができる。
【0052】
〈実施の形態2〉
上記した実施の形態1では、給排気装置6の排気用管11側を上カバー1bの装着部1dに装着して感染症患者搬送バッグ1内を負圧にする構成であったが、本実施の形態では、図6に示すように、給排気装置6の給気用管12側を上カバー1bの装着部1dに装着して、感染症患者搬送バッグ1内を大気圧に対して正圧にする構成である。他の構成は図1〜図5に示した実施の形態1と同様であり、重複する説明は省略する。
【0053】
即ち、給排気装置6の給気用管12を上カバー1bの装着部1dに装着することにより、図4に示す内部のファン14の回転によってフィルター13を通して汚染を除去したクリーンな空気を外から給気し、患者3を収容した感染症患者搬送バッグ1内が大気圧に対して少し高くなるように正圧にする。
【0054】
感染症患者搬送バッグ1内を正圧にする状況としては、例えば感染症患者(若しくはその疑いのある患者)が発生した特定地域が既に細菌やウィルスによって重度に汚染されている場合(或いは汚染されている可能性がある場合)が想定される。このような状況下においても、上述した本発明の感染症患者搬送バッグ1を用いて迅速に患者3を感染症患者搬送バッグ1内に収容することにより、感染症患者搬送バッグ1内に汚染された空気が入るのを確実に防止して、安全な地域まで搬送することができる。
【0055】
上述した各実施の形態1、2では、上カバー1bの装着部1dへの装着の向きを逆にすることによって感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間を負圧又は正圧にすることができる給排気装置6を用いた構成であったが、排気専用の排気装置を上カバー1bの装着部1dに装着するようにしてもよい。
【0056】
この場合は、上述した実施の形態1と同様に感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間を負圧にすることができるので、感染症患者搬送バッグ1内の汚染された空気が外に漏れることが防止されることにより、感染症患者搬送バッグ1を搬送する搬送スタッフの安全を確実に確保することができ、かつ周囲の環境汚染を防止することができる。更に、この場合は排気専用の排気装置を用いることにより、上記した給排気装置を用いる場合よりもコストの低減を図ることができる。
【0057】
また、上記した感染症患者搬送バッグ1は一般的な体格の人(患者)を搬送する場合に用いる構成であったが、子供や大きな体格の人でも収容できるように、複数のサイズの感染症患者搬送バッグ1を用意しておくことにより、子供から大きな体格の人まで全てに人(患者)に対応することができる。
【0058】
また、上述した各実施の形態1、2における感染症患者搬送バッグ1は、感染症患者を搬送する以外にも、例えば放射能などで汚染された人間を搬送する場合などにおいても用いることができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る感染症患者搬送バッグは、合成樹脂材からなるシート状の上カバーと下カバーとを重ね合わせ、外周縁部を密閉して使用する構成により、未使用時には丸めたり折り畳むことによって軽量でコンパクトな状態なので手軽に持ち運びすることができるので、感染症患者(若しくはその疑いのある患者)がどこで発生しても迅速に駆けつけて、素早く容易に感染症患者を収容して安全に搬送することができる。
【0060】
また、本発明に係る感染症患者搬送バッグは、感染症患者(若しくはその疑いのある患者)を感染症患者搬送バッグ内に収容した状況で、装着される給排気装置(又は排気装置)による排気によって感染症患者搬送バッグ内を負圧にすることができるので、感染症患者搬送バッグ内の汚染された空気が外に漏れることが防止されることによって、感染症患者搬送バッグを搬送する搬送スタッフの安全を確実に確保することができ、かつ周囲の環境汚染を防止することができる。
【0061】
また、本発明に係る感染症患者搬送バッグは、合成樹脂材からなるシート状の上カバーと下カバーとを重ね合わせて密閉手段で密閉する簡易な構成により、メンテナンス性もよく、また、製作も容易なので低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグを示す斜視図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグを開いた状態を示す平面図。
【図3】本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグの上カバーに形成した、蓋で密閉自在な装着口を示す断面図。
【図4】本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグに装着される給排気装置を示す一部破断した断面図。
【図5】本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグと給排気装置の収納時を示す斜視図。
【図6】本発明の実施の形態2に係る感染症患者搬送バッグを示す斜視図。
【符号の説明】
1 感染症患者搬送バッグ
1a 下カバー
1b 上カバー
1d 装着部
1e 装着口
1f 収納部
2 2重ファスナー(密閉手段)
4 スペーサ部材
5a、5b フィルター部
6 給排気装置
7a、7b 手袋
8 蓋
9a、9b 固定ベルト(固定部材)
10 把持部
11 排気用管
12 給気用管
13 フィルター
14 ファン
【発明の属する技術分野】
本発明は、細菌やウィルスなどの感染症に感染した患者若しくは感染症に感染した疑いのある患者を収容して搬送するための感染症患者搬送バッグに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば新型肺炎(重症急性呼吸器症候群:SARS)などの感染症に感染した感染症患者、若しくはこれらの感染症に感染した疑いのある患者が発生した場合には、周囲の人に感染が広がらないように、かつ搬送スタッフの安全を確保して、患者を救急車で医療施設の感染症患者専用病室に迅速に搬送する必要がある。
【0003】
しかしながら、従来では国内で深刻な感染症に感染した感染症患者の発生がほとんど報告されていないこともあり、感染症患者の発生に対して自治体での備えや装備が不十分なのが現状である。このため、最近では、新型肺炎(SARS)などの感染症患者(以下、感染症に感染した疑いのある患者も含む)が発生した場合に備えて、感染症患者及び搬送スタッフを安全に搬送できるように改造した特別な救急車(感染症患者搬送車)又は隔離収容型ストレッチャーが用意されるようになってきた。
【0004】
なお、感染症患者の搬送に用いるための本願発明に係るような感染症患者搬送バッグは従来なかった新規な発明であり、本願発明に係る感染症患者搬送バッグに対応した先行技術文献情報はありませんでした。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような感染症患者を搬送可能な特別な救急車(感染症患者搬送車)や隔離収容型ストレッチャーは、高価なため台数はまだ少なく、多数の感染症患者が発生した場合に、迅速に対処することができない。また、このような特別な救急車(感染症患者搬送車)及び隔離収容型ストレッチャーは、感染症患者を搬送するごとに内部を完全に消毒する必要があり、運用性が悪かった。
【0006】
また、従来では、感染症患者を専用の医療施設等に搬送する際においては、感染症患者にマスクをさせるていどなので、空気感染、飛沫感染、接触感染などによって汚染が周囲に広がるおそれがあった。
【0007】
そこで本発明は、特に搬送スタッフの安全を確保しながら、手軽にかつ低コストな構成で感染症患者の搬送を行うことができる感染症患者搬送バッグを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、感染症に感染した患者若しくは感染症に感染した疑いのある患者を内部に収容して搬送するための感染症患者搬送バッグであって、収容する患者の全身が載せられる合成樹脂材からなるシート状の下カバーと、前記下カバーと隣接する縁部同士の少なくとも一部が一体的に接合されており、前記隣接する縁部で折り返したときにその外周縁部が前記下カバーの外周縁部上に重ねられる、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも顔面部近傍が位置する部分が透明又は半透明な合成樹脂材からなるシート状の上カバーと、前記下カバーと前記上カバーとを重ね合わせたときにその内部に患者を収容する密閉空間を形成するように、前記下カバーと前記上カバー同士の外周縁部を開閉自在に密閉する密閉手段と、前記上カバーを前記下カバー上に重ねたときに、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも胴部近傍よりも上方に位置するようにして前記上カバーに設けた、汚染されていない空気だけを通すフィルター部と、前記上カバーを前記下カバー上に重ねたときに、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも胴部近傍よりも上方に位置するようにして前記上カバーに設けた、前記密閉空間内に患者を収容したときに該密閉空間内からフィルターを通して汚染除去されたクリーンな空気だけを外に排気して前記密閉空間内を負圧にする排気装置を着脱自在に装着するための装着部と、前記下カバーの外周縁部に所定間隔で複数取付けた、前記密閉空間内に患者を収容して搬送する際に搬送スタッフがつかむ把持部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、感染症に感染した患者若しくは感染症に感染した疑いのある患者を内部に収容して搬送するための感染症患者搬送バッグであって、収容する患者の全身が載せられる合成樹脂材からなるシート状の下カバーと、前記下カバーと隣接する縁部同士の少なくとも一部が一体的に接合されており、前記隣接する縁部で折り返したときにその外周縁部が前記下カバーの外周縁部上に重ねられる、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも顔面部近傍が位置する部分が透明又は半透明な合成樹脂材からなるシート状の上カバーと、前記下カバーと前記上カバーとを重ね合わせたときにその内部に患者を収容する密閉空間を形成するように、前記下カバーと前記上カバー同士の外周縁部を開閉自在に密閉する密閉手段と、前記上カバーを前記下カバー上に重ねたときに、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも胴部近傍よりも上方に位置するようにして前記上カバーに設けた、汚染されていない空気だけを通すフィルター部と、前記上カバーを前記下カバー上に重ねたときに、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも胴部近傍よりも上方に位置するようにして前記上カバーに設けた、前記密閉空間内に患者を収容したときに該密閉空間内からフィルターを通して汚染除去されたクリーンな空気だけを外に排気して前記密閉空間内を負圧にする、又は外からフィルターを通して汚染除去されたクリーンな空気だけを前記密閉空間内に給気して前記密閉空間内を正圧にするように切換え自在な給排気装置を着脱自在に装着するための装着部と、前記下カバーの外周縁部に所定間隔で複数取付けた、前記密閉空間内に患者を収容して搬送する際に搬送スタッフがつかむ把持部と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
また、前記密閉空間内に収容される患者の少なくとも顔面部上に空間が確保されるように、患者の顔面部周囲を囲むようにして前記密閉空間内にスペーサ部材を設置することを特徴としている。
【0011】
また、前記下カバー上に、前記密閉空間内に収容される患者を前記下カバー上に固定する固定部材を取付けたことを特徴としている。
【0012】
また、前記上カバーに、前記密閉空間内に収容される患者に対して非接触で医療処置するための一対の手袋を設けたことを特徴としている。
【0013】
また、前記上カバーに、前記密閉空間内に収容される患者に対して所定の医療器具を装着するための密閉自在な装着口を設けたことを特徴としている。
【0014】
また、前記上カバーの内側に位置するようにして所定の大きさの収納部を前記上カバーに一体的に設け、前記収納部の前記上カバー表面側の収納口と該収納部の底部に、前記収納部の収納口と底部を開閉自在に密閉する密閉手段をそれぞれ取付けたことを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0016】
〈実施の形態1〉
図1は、本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグを示す斜視図、図2は、本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグを開いた状態を示す平面図である。
【0017】
本実施の形態に係る感染症患者搬送バッグ1は、長方形のシート状の下カバー1aと外周縁部を除いた部分1b′が略透明のシート状の上カバー1bとを備え、2重ファスナー2によって下カバー1aと上カバー1bは密閉良好に開閉自在である。下カバー1aと上カバー1bは、仰向け状態で一般的な体格の人(以下、患者という)3が余裕で載せられる大きさ(例えば、縦(長手)方向の寸法が200cmで、横(短手)方向の寸法が100cm)であり、下カバー1a上に上カバー1bを重ねたときに両者の外周縁部同士が重なり合うように形成されている。
【0018】
下カバー1aと上カバー1bは、耐破断性や耐候性等に優れた合成樹脂材(例えばポリエステルなど)で形成されており、使用しない通常時には丸めたり、折り畳んでコンパクトに収納することができる。また、下カバー1aは特に丈夫に形成されている。
【0019】
上カバー1bの周囲にはまちが形成されており、下カバー1a上に2重ファスナー2で閉じたときにその内部に十分な広さの患者を収容する密閉空間を確保することができ、更に、2重ファスナー2で下カバー1aと上カバー1bを閉じる前に、中に収容した患者3の顔面部を跨ぐようにしてアーチ状のスペーサ部材4を設置することにより、上カバー1bが収容した患者3の顔面部の鼻や口に密着することはない。
【0020】
下カバー1aと上カバー1bは、図2に示すように、両者の隣接する長辺部の中央の接合部1cで両者の縁部同士が一体的に接合されており、2重ファスナー2によって接合部1cの両側から閉じることができる。なお、下カバー1aと上カバー1bを良好に、かつ不用意に開かないように密閉できるファスナーであれば、1重ファスナーでもよい。
【0021】
上カバー1bの、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に収容される患者3の顔面部近傍が位置する両側部には、細菌やウィルスを通さずに汚染されていないクリーンな空気だけを通すことができるフィルター部5a、5bがそれぞれ取付けられている。また、上カバー1bの、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に収容される患者3の頭部近傍が位置する上方(上カバー1bの上端部)には、装着向きを換えることによって感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に対して排気と給気の切換えが可能な小型で軽量な給排気装置6が装着される装着部1dが設けられている。
【0022】
更に、上カバー1bの、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に収容される患者3の両肩近傍が位置する部分には、内部に収容した患者3に対して医者が直接触れずに外から簡単な治療や診断等を行えるように一対の手袋7a、7bが取付けられている。手袋7a、7bは収縮自在な材質で形成されている。
【0023】
また、図1〜図3に示すように、上カバー1bの、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に収容される患者3の頚部近傍が位置する部分には、内部に収容した患者3に対して人口呼吸器の管や輸血用や点滴用の管などの医療器具の管(不図示)を装着するための装着口1eが設けられており、装着口1eには、上記の医療器具の管を装着していないときにこの装着口1eを密閉する取外し自在な蓋8が取付けられている。
【0024】
即ち、患者3に対して例えば人口呼吸器(不図示)を取付ける必要がある場合には、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に患者3を収容したときに予め患者3に人口呼吸器(不図示)を装着し、手袋7a、7bを介して非接触でこの人口呼吸器に、蓋8を外して開口した装着口1eを通して外部の人口呼吸器本体(不図示)に連結されている管(不図示)を装着する。なお、この管(不図示)は装着口1eに密着して装着されるように構成されているので、装着口1eから内部の汚染されている空気が外に漏れることはない。
【0025】
また、上カバー1bの、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に収容される患者3の腕近傍が位置する片方の側面部分には、治療器具や薬品類などを収納するための袋状の収納部1fが一体的に形成されており、下カバー1a上に上カバー1bを重ね2重ファスナー2で閉じた際に、この収納部1fは感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に位置する。
【0026】
収納部1fの上カバー1b表面側の収納口とその底部には、それぞれファスナー(1重ファスナー)1g、1hが取付けられており、各ファスナー1g、1hによって収納部1fの収納口と底部をそれぞれ独立して開閉することができる。ファスナー1g、1hの少なくともどちらか一方を閉じていれば、感染症患者搬送バッグ1内の汚染された空気が収納部1fを通して外に漏れることはない。
【0027】
下カバー1a上には、収容される患者3が仰向けに寝た状態で搬送時に動かないように肩部と胴部をそれぞれ固定するマジックテープ式の固定ベルト9a、9b、9cが取付けられている。また、下カバー1aの各長辺部の両縁部には、複数の搬送スタッフが手で持って感染症患者搬送バッグ1を搬送するための複数(図では、片方に4つ)の把持部10が取付けられている。
【0028】
上カバー1bの装着部1dに装着される給排気装置6は、図4に示すように、その両端部に感染症患者搬送バッグ1内を負圧(陰圧)にする際に装着部1dに装着する排気用管11と、感染症患者搬送バッグ1内を正圧(陽圧)にする際に装着部1dに装着する給気用管12をそれぞれ有し、内部には細菌やウィルスを通さずに汚染されていないクリーンな空気だけを通すことができる取外し自在なフィルター13と、モータ15に連結されたファン14と、モータ15を回転駆動するための電池16を備えている。
【0029】
電池16はどこでも容易に手に入る一般的な乾電池である。排気用管11と給気用管12は、フレキシブルな管であり自由に曲げることができる。また、上カバー1bの装着部1dには、給排気装置6の排気用管11又は給気用管12を装着した際に不用意に外れないようにロック部(不図示)が設けられている。更に、給排気装置6には、車やヘリコプターなどに備えられている電源(直流電源)からケーブルを介して電力供給ができるように外部電力端子(不図示)を備えている。
【0030】
感染症患者搬送バッグ1は、患者(感染症患者若しくはその疑いのある患者)3を一回搬送するごとに廃棄(焼却)処分し、給排気装置6は、内部のフィルター13を交換して再利用する。また、感染症患者搬送バッグ1をまだ使用していない未使用時には、図5に示すように、コンパクトに丸めた状態で、取外している給排気装置6と一緒に保管しておくことができる。
【0031】
次に、上記した本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグ1の取り扱いについて説明する。
【0032】
例えば新型肺炎(SARS)などの感染症患者若しくはその疑いのある患者が発生した場合に、複数の搬送スタッフ(不図示)はコンパクトに丸められている感染症患者搬送バッグ(図5参照)1と給排気装置6とを持って、患者がいる場所に駆けつける。この際、搬送スタッフは防護マスク、状況によっては防護服も同時に身につけて防備している。
【0033】
そして、図2に示すように、感染症患者搬送バッグ1を床や地面上に開いて下カバー1a上に患者3を仰向けに寝せ、搬送中に患者3の位置が片寄ったり動かないように各固定ベルト9a、9b、9cで肩部と胴部を固定する。そして、別に用意しておいたアーチ状のスペーサ部材4を患者3の顔面部を跨ぐようにして下カバー1a上に配置して、上カバー1bを接合部1cで折り返して下カバー1a上に重ね、2重ファスナー2で両者の外周縁部を閉じて感染症患者搬送バッグ1を素早く密閉して内部の密閉空間に患者3を収容し、患者3を外部から隔離する。
【0034】
なお、患者3を収容して2重ファスナー2で感染症患者搬送バッグ1を密閉する前に、上カバー1bに取付けた手袋7a、7bを通して救急車内や医療施設等で治療を行うための薬品類や治療用具を収めた小さい容器(不図示)を感染症患者搬送バッグ1内に入れておく。
【0035】
そして、感染症患者搬送バッグ1の装着部1dに、排気用管10を装着するようにして給排気装置6を連結し、モータ15を駆動してファン14を回転させて一定量の排気を行い、感染症患者搬送バッグ1内を大気圧に対して少し負圧にし、感染症患者搬送バッグ1内の汚染された空気がフィルター部5a、5bや2重ファスナー2で閉じた隙間から外部に漏れるのを確実に防止する。この際、フィルター部5a、5bを通して感染症患者搬送バッグ1内に汚染されていないクリーンな空気が供給され、給排気装置6内のフィルター12で細菌やウィルスの透過を防止して汚染のないクリーンな空気を排気する。
【0036】
これにより、感染症患者搬送バッグ1内の換気を行うことができるので、患者3の自発呼吸を確保することができる。この際、感染症患者搬送バッグ1内の患者3は、アーチ状のスペーサ部材4によって上カバー1bが顔面部の鼻や口に密着することはなく、安定した呼吸動作を確保することができる。
【0037】
即ち、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に収容される患者3の顔面部上に、スペーサ部材4によってその周囲に十分な空間が確保されることにより、患者3の顔面部の両側に位置するようにして上カバー1bの両側部にフィルター部5a、5bを設けたことで、給排気装置6で排気して感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間を負圧にする場合に、このフィルター部5a、5bを通してクリーンな空気を患者3の口や鼻に安定して効果的に供給することができる。なお、フィルター部5a、5bを、収容される患者3の胴部より上方で患者3の口や鼻から遠く離れていない位置に取付ければ、問題なくクリーンな空気を患者3の口や鼻に供給することができる。
【0038】
更に、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に収容される患者3の顔面部上に、スペーサ部材4によってその周囲に十分な空間が確保されることにより、患者3の頭部の上方に位置するようにして設けた装着部1dに給排気装置6を装着することで、給排気装置6で安定して効果的に排気することができるので、感染症患者搬送バッグ1の密閉空間内を安定して換気することができる。なお、給排気装置6を装着する装着部1dを、収容される患者3の胴部より上方で患者3の口や鼻から遠く離れていない位置に取付ければ、問題なく排気を行うことができる。
【0039】
そして、この状態で数人の搬送スタッフが感染症患者搬送バッグ1の長手方向の両側から各把持部10を握って持ち上げて搬送し、例えば近くに待機させているストレッチャー(不図示)の上に載せて、救急車で専用の医療施設に移送する。
【0040】
なお、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に患者3を収容して搬送スタッフで搬送する際において、給排気装置6は感染症患者搬送バッグ1の外側で垂れ下がった状態となるが、給排気装置6は軽量でコンパクトであり、かつ給排気装置6の排気用管11が上カバー1bの装着部1dにロック部(不図示)によって確実に装着されているので、給排気装置6が外れたり、搬送の邪魔になることはない。
【0041】
また、給排気装置6は、収容される患者3の頭部側が位置する感染症患者搬送バッグ1の上端部に装着されることにより、感染症患者搬送バッグ1の長辺部側に取付けた各把持部10を持って搬送する搬送スタッフに邪魔になることもなく、排気が搬送スタッフにかかることもない。
【0042】
また、感染症患者搬送バッグ1内に患者3を収容して搬送する際に、感染症患者搬送バッグ1の両側の各長辺部の縁部に沿って一対の長棒(不図示)を各把持部10に通して担架のようにして、各長棒の前後を持って搬送することもできる。また、感染症患者搬送バッグ1内に患者3を収容して搬送する際に、感染症患者搬送バッグ1の下カバー1aの下面に剛性を有する薄板(不図示)を置いて、この薄板の前後を持って搬送することもできる。
【0043】
また、感染症患者搬送バッグ1の上カバー1bに手袋7a、7bを取付けているので、救急車内や医療施設などおいて医者はこの手袋7a、7bを通して、感染症患者搬送バッグ1内に入れておいた前記容器(不図示)から薬品類や治療用具を取り出して必要な治療を安全に行うことができる。また、上カバー1bの大部分は透明なので、患者3の全身の様子を見ながら治療や観察を行うことができる。
【0044】
また、薬品類や治療用具を入れた前記容器(不図示)を感染症患者搬送バッグ1内に患者3を収容する際に感染症患者搬送バッグ1内に入れておかなかった場合でも、感染症患者搬送バッグ1内に患者3を収容した後において、収納部1fの底部のファスナー1hを閉じた状態で収納部1f内に薬品類や治療用具を収納して、収納口のファスナー1gを閉じておくことにより、必要に応じて医者は手袋7a、7bを通して収納部1fの底部のファスナー1hを開けることによって収納部1f内から薬品類や治療用具を取り出して必要な治療を安全に行うことができる。
【0045】
この際、収納部1fの収納口のファスナー1gは閉じられているので、感染症患者搬送バッグ1内の汚染された空気が漏れることはない。なお、この場合は収納部1fの底部のファスナー1hが開けられることにより、収納部1fには汚染された空気が充満しているので、収納口のファスナー1gを開けて再度別の薬品類や治療用具を入れることはできない。
【0046】
また、患者3に対して例えば人口呼吸器(不図示)を取付ける必要がある場合などには、感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間に患者3を収容したときに予め患者3に人口呼吸器(不図示)を装着し、この人口呼吸器に、蓋8を外して開口した装着口1eを通して外部の人口呼吸器本体(不図示)に連結されている管(不図示)を装着することができるので、感染症患者搬送バッグ1内に収容した患者3に対して安全に必要な処置を行うことができる。
【0047】
そして、感染症患者搬送バッグ1内に患者3を収容した状態で専用の医療施設に搬送した後においては、この感染症患者搬送バッグ1を廃棄(焼却)処分し、給排気装置6は、内部のフィルター13を交換して再利用する。
【0048】
このように本実施の形態に係る感染症患者搬送バッグ1は、未使用時には丸められて軽量でコンパクトな状態なので手軽に持ち運びすることができることにより、感染症患者(若しくはその疑いのある患者)がどこで発生しても迅速に駆けつけて、素早く容易に感染症患者を収容して安全に搬送することができる。
【0049】
また、感染症患者を感染症患者搬送バッグ1内に収容した状況で、感染症患者搬送バッグ1内をフィルター13を通して排気して負圧にすることにより、感染症患者搬送バッグ1内の汚染された空気が外に漏れることはないので、感染症患者搬送バッグ1を搬送する搬送スタッフの安全を確実に確保することができ、かつ周囲の環境汚染を防止することができる。
【0050】
更に、感染症患者搬送バッグ1は、合成樹脂材からなる下カバー1aと上カバー1bを2重ファスナー2で密閉自在に開閉するだけなので、メンテナンス性もよく、また、製作も容易なので低コスト化を図ることができる。
【0051】
また、感染症患者搬送バッグ1は、使用しないときは丸めたり、折り畳んでコンパクト状態にして保管することができるので、狭いスペースでも多数収納して保管することができる。
【0052】
〈実施の形態2〉
上記した実施の形態1では、給排気装置6の排気用管11側を上カバー1bの装着部1dに装着して感染症患者搬送バッグ1内を負圧にする構成であったが、本実施の形態では、図6に示すように、給排気装置6の給気用管12側を上カバー1bの装着部1dに装着して、感染症患者搬送バッグ1内を大気圧に対して正圧にする構成である。他の構成は図1〜図5に示した実施の形態1と同様であり、重複する説明は省略する。
【0053】
即ち、給排気装置6の給気用管12を上カバー1bの装着部1dに装着することにより、図4に示す内部のファン14の回転によってフィルター13を通して汚染を除去したクリーンな空気を外から給気し、患者3を収容した感染症患者搬送バッグ1内が大気圧に対して少し高くなるように正圧にする。
【0054】
感染症患者搬送バッグ1内を正圧にする状況としては、例えば感染症患者(若しくはその疑いのある患者)が発生した特定地域が既に細菌やウィルスによって重度に汚染されている場合(或いは汚染されている可能性がある場合)が想定される。このような状況下においても、上述した本発明の感染症患者搬送バッグ1を用いて迅速に患者3を感染症患者搬送バッグ1内に収容することにより、感染症患者搬送バッグ1内に汚染された空気が入るのを確実に防止して、安全な地域まで搬送することができる。
【0055】
上述した各実施の形態1、2では、上カバー1bの装着部1dへの装着の向きを逆にすることによって感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間を負圧又は正圧にすることができる給排気装置6を用いた構成であったが、排気専用の排気装置を上カバー1bの装着部1dに装着するようにしてもよい。
【0056】
この場合は、上述した実施の形態1と同様に感染症患者搬送バッグ1内の密閉空間を負圧にすることができるので、感染症患者搬送バッグ1内の汚染された空気が外に漏れることが防止されることにより、感染症患者搬送バッグ1を搬送する搬送スタッフの安全を確実に確保することができ、かつ周囲の環境汚染を防止することができる。更に、この場合は排気専用の排気装置を用いることにより、上記した給排気装置を用いる場合よりもコストの低減を図ることができる。
【0057】
また、上記した感染症患者搬送バッグ1は一般的な体格の人(患者)を搬送する場合に用いる構成であったが、子供や大きな体格の人でも収容できるように、複数のサイズの感染症患者搬送バッグ1を用意しておくことにより、子供から大きな体格の人まで全てに人(患者)に対応することができる。
【0058】
また、上述した各実施の形態1、2における感染症患者搬送バッグ1は、感染症患者を搬送する以外にも、例えば放射能などで汚染された人間を搬送する場合などにおいても用いることができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る感染症患者搬送バッグは、合成樹脂材からなるシート状の上カバーと下カバーとを重ね合わせ、外周縁部を密閉して使用する構成により、未使用時には丸めたり折り畳むことによって軽量でコンパクトな状態なので手軽に持ち運びすることができるので、感染症患者(若しくはその疑いのある患者)がどこで発生しても迅速に駆けつけて、素早く容易に感染症患者を収容して安全に搬送することができる。
【0060】
また、本発明に係る感染症患者搬送バッグは、感染症患者(若しくはその疑いのある患者)を感染症患者搬送バッグ内に収容した状況で、装着される給排気装置(又は排気装置)による排気によって感染症患者搬送バッグ内を負圧にすることができるので、感染症患者搬送バッグ内の汚染された空気が外に漏れることが防止されることによって、感染症患者搬送バッグを搬送する搬送スタッフの安全を確実に確保することができ、かつ周囲の環境汚染を防止することができる。
【0061】
また、本発明に係る感染症患者搬送バッグは、合成樹脂材からなるシート状の上カバーと下カバーとを重ね合わせて密閉手段で密閉する簡易な構成により、メンテナンス性もよく、また、製作も容易なので低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグを示す斜視図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグを開いた状態を示す平面図。
【図3】本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグの上カバーに形成した、蓋で密閉自在な装着口を示す断面図。
【図4】本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグに装着される給排気装置を示す一部破断した断面図。
【図5】本発明の実施の形態1に係る感染症患者搬送バッグと給排気装置の収納時を示す斜視図。
【図6】本発明の実施の形態2に係る感染症患者搬送バッグを示す斜視図。
【符号の説明】
1 感染症患者搬送バッグ
1a 下カバー
1b 上カバー
1d 装着部
1e 装着口
1f 収納部
2 2重ファスナー(密閉手段)
4 スペーサ部材
5a、5b フィルター部
6 給排気装置
7a、7b 手袋
8 蓋
9a、9b 固定ベルト(固定部材)
10 把持部
11 排気用管
12 給気用管
13 フィルター
14 ファン
Claims (7)
- 感染症に感染した患者若しくは感染症に感染した疑いのある患者を内部に収容して搬送するための感染症患者搬送バッグであって、
収容する患者の全身が載せられる合成樹脂材からなるシート状の下カバーと、
前記下カバーと隣接する縁部同士の少なくとも一部が一体的に接合されており、前記隣接する縁部で折り返したときにその外周縁部が前記下カバーの外周縁部上に重ねられる、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも顔面部近傍が位置する部分が透明又は半透明な合成樹脂材からなるシート状の上カバーと、
前記下カバーと前記上カバーとを重ね合わせたときにその内部に患者を収容する密閉空間を形成するように、前記下カバーと前記上カバー同士の外周縁部を開閉自在に密閉する密閉手段と、
前記上カバーを前記下カバー上に重ねたときに、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも胴部近傍よりも上方に位置するようにして前記上カバーに設けた、汚染されていない空気だけを通すフィルター部と、
前記上カバーを前記下カバー上に重ねたときに、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも胴部近傍よりも上方に位置するようにして前記上カバーに設けた、前記密閉空間内に患者を収容したときに該密閉空間内からフィルターを通して汚染除去されたクリーンな空気だけを外に排気して前記密閉空間内を負圧にする排気装置を着脱自在に装着するための装着部と、
前記下カバーの外周縁部に所定間隔で複数取付けた、前記密閉空間内に患者を収容して搬送する際に搬送スタッフがつかむ把持部と、を備えた、
ことを特徴とする感染症患者搬送バッグ。 - 感染症に感染した患者若しくは感染症に感染した疑いのある患者を内部に収容して搬送するための感染症患者搬送バッグであって、
収容する患者の全身が載せられる合成樹脂材からなるシート状の下カバーと、
前記下カバーと隣接する縁部同士の少なくとも一部が一体的に接合されており、前記隣接する縁部で折り返したときにその外周縁部が前記下カバーの外周縁部上に重ねられる、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも顔面部近傍が位置する部分が透明又は半透明な合成樹脂材からなるシート状の上カバーと、
前記下カバーと前記上カバーとを重ね合わせたときにその内部に患者を収容する密閉空間を形成するように、前記下カバーと前記上カバー同士の外周縁部を開閉自在に密閉する密閉手段と、
前記上カバーを前記下カバー上に重ねたときに、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも胴部近傍よりも上方に位置するようにして前記上カバーに設けた、汚染されていない空気だけを通すフィルター部と、
前記上カバーを前記下カバー上に重ねたときに、前記下カバー上に載せられる患者の少なくとも胴部近傍よりも上方に位置するようにして前記上カバーに設けた、前記密閉空間内に患者を収容したときに該密閉空間内からフィルターを通して汚染除去されたクリーンな空気だけを外に排気して前記密閉空間内を負圧にする、又は外からフィルターを通して汚染除去されたクリーンな空気だけを前記密閉空間内に給気して前記密閉空間内を正圧にするように切換え自在な給排気装置を着脱自在に装着するための装着部と、
前記下カバーの外周縁部に所定間隔で複数取付けた、前記密閉空間内に患者を収容して搬送する際に搬送スタッフがつかむ把持部と、を備えた、
ことを特徴とする感染症患者搬送バッグ。 - 前記密閉空間内に収容される患者の少なくとも顔面部上に空間が確保されるように、患者の顔面部周囲を囲むようにして前記密閉空間内にスペーサ部材を設置する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の感染症患者搬送バッグ。 - 前記下カバー上に、前記密閉空間内に収容される患者を前記下カバー上に固定する固定部材を取付けた、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の感染症患者搬送バッグ。 - 前記上カバーに、前記密閉空間内に収容される患者に対して非接触で医療処置するための一対の手袋を設けた、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の感染症患者搬送バッグ。 - 前記上カバーに、前記密閉空間内に収容される患者に対して所定の医療器具を装着するための密閉自在な装着口を設けた、
ことを特徴とする請求項5に記載の感染症患者搬送バッグ。 - 前記上カバーの内側に位置するようにして所定の大きさの収納部を前記上カバーに一体的に設け、前記収納部の前記上カバー表面側の収納口と該収納部の底部に、前記収納部の収納口と底部を開閉自在に密閉する密閉手段をそれぞれ取付けた、
ことを特徴とする請求項5に記載の感染症患者搬送バッグ。
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