JP2005026980A - 撮像システム - Google Patents
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Abstract
【課題】人物の検出用と観察用との双方の用途に使用できる撮像システムを提供する。
【解決手段】撮像システムが備える撮像装置は、その動作モードとして、通路における人物を検出してその通過数を計数するための計数用画像を取得する計数モードと、店舗内の様子を示す観察用の監視用画像を取得する監視モードとを備えている。これらの動作モードは、単位時間あたりの人物の通過数が所定の基準値を超えるなどの所定の切替条件が満足されると切り替えられる(ステップS4,S8)。これにより、撮像システムを人物の検出用と観察用との双方の用途に使用できる。
【選択図】 図5
【解決手段】撮像システムが備える撮像装置は、その動作モードとして、通路における人物を検出してその通過数を計数するための計数用画像を取得する計数モードと、店舗内の様子を示す観察用の監視用画像を取得する監視モードとを備えている。これらの動作モードは、単位時間あたりの人物の通過数が所定の基準値を超えるなどの所定の切替条件が満足されると切り替えられる(ステップS4,S8)。これにより、撮像システムを人物の検出用と観察用との双方の用途に使用できる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の領域における移動体の検出のための撮像技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、通路などの所定の領域を通過する人物などの移動体を検出し、その通過数を計数する技術が提案されている。
【0003】
例えば、通路の幅方向に白線を描いておき、その白線を含む領域を所定の時間周期で撮影して画像を取得し、画像中の白線の像の状態によって人物を検出し、その検出結果に基づいて人物の通過数を計数する撮像システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特公平5−23471号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、スーパーマーケットやコンビニエンスストアのような店舗において、人物を検出してその通過数を計数する上記のような撮像システムを導入し、店舗内における顧客の移動経路や移動数を求め、それらに基づいて販売戦略を立てることが提案されている。
【0006】
しかしながら、そのような店舗においては、通常、防犯を目的として観察用の可視画像を撮影する監視カメラを備えた撮像システムが配置されている。したがって、近年の店舗においては、移動体の検出用と観察用との2種類の撮像システムを導入する必要があり、撮像システムの導入コストが高くなるという問題が生じていた。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、移動体の検出用と観察用との双方の用途に使用できる撮像システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、撮像システムであって、所定の領域における移動体の検出用の画像としての第1画像を取得する第1モードと、観察用の可視画像としての第2画像を取得する第2モードとを、動作モードとして有する撮像手段と、所定の基準条件が満足されたとき、前記撮像手段の動作モードを前記第1モードと前記第2モードとの間で切り替える制御手段と、を備えている。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の撮像システムにおいて、前記第1画像に基づいて、前記移動体の状態を示す状態変数を導出する手段、をさらに備え、前記制御手段は、前記状態変数が所定の条件を満足したとき、前記撮像手段の動作モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替える。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の撮像システムにおいて、前記状態変数は、前記所定の領域における前記移動体の通過数に依存した値を含む。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項2に記載の撮像システムにおいて、前記状態変数は、前記移動体の速度に依存した値を含む。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項2に記載の撮像システムにおいて、前記状態変数は、前記移動体のサイズに依存した値を含む。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項1に記載の撮像システムにおいて、計時する計時手段、をさらに備え、前記制御手段は、前記計時手段による計時結果が所定の条件を満足したとき、前記撮像手段の動作モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替える。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項1に記載の撮像システムにおいて、前記第1画像に基づいて、前記所定の領域における前記移動体の存在を検出する手段、をさらに備え、前記制御手段は、前記移動体の存在が検出されたとき、前記撮像手段の動作モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替える。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の撮像システムにおいて、前記制御手段が、前記撮像手段の動作モードを前記第1モードから前記第2モードへ切り替える処理と同期して、前記撮像手段の撮影対象の照明を開始する照明手段、をさらに備えている。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の撮像システムにおいて、前記所定の基準条件が満足されたとき、警告を出力する警告手段、をさらに備えている。
【0017】
【用語の定義】
本明細書において「可視画像」は、「可視光の受光により得られる画像」の意を示す用語である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。なお、以下においては、スーパーマーケットやコンビニエンスストアのような店舗に配置される撮像システムを一例として説明する。
【0019】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.システム構成>
図1は、本実施の形態に係る撮像システム100の概略構成を示す斜視図である。図に示すように、撮像システム100は、店舗内の所定の領域となる通路9の天井に配置される撮像装置1と、各種の情報を表示する監視装置8とを備えている。撮像装置1と監視装置8とは、LANケーブルなどの伝送ケーブル80を介して接続され、装置相互間でデータ通信を行なうことが可能とされている。なお、図1では、撮像装置1は1台のみ図示されているが、複数の撮像装置1が撮像システム100に含まれていてもよい。
【0020】
以下の説明においては、方向および向きを示す際に、適宜、図に示すXYZ3次元直交座標系を用いる。これらXYZ軸は、通路9に対して相対的に固定され、X軸方向は通路9における移動体としての人物の進行方向であり、Y軸方向は通路9の幅方向(人物の進行方向に対して直交する方向)であり、Z軸方向は鉛直方向である。
【0021】
監視装置8は、CPU、メモリ、ハードディスクおよびディスプレイ等を備えたPCなどの一般的なコンピュータで構成される。監視装置8は、通路9から離れた監視室などに配置されている。撮像装置1において得られた情報は、伝送ケーブル80を介して監視装置8に伝送される。なお、撮像装置1から監視装置8へのデータの通信方式は有線方式に限定されず、無線方式であってもよい。
【0022】
撮像装置1は、店舗内を撮影する装置であり、その動作モードとして、通路9における人物を検出してその通過数を計数するための画像(以下、「計数用画像」という。)を取得する計数モードと、店舗内の様子を示す観察用の可視画像(以下、「監視用画像」という。)を取得する監視モードとを備えている。
【0023】
計数モードでは、通路9の幅方向(Y軸方向)に沿った、通路9の幅と同一長さの2本のライン91a,91bが仮想的に設定され、これらの2本のライン91a,91bを通過する人物の数が、通路9における人物の通過数として計数される。以下、X軸−側のライン91aを「第1監視ライン」91aといい、X軸+側のライン91bを「第2監視ライン」91bという。また、第1監視ライン91aと第2監視ライン91bとの双方から同一距離となるライン92を「中心ライン」92という。これらのライン91a,91b,92は、あくまで仮想的に設定されるラインであり、実際に視認可能なラインがその位置に存在しているわけではない。
【0024】
計数モードにおいて撮像装置1は、2本の監視ライン91a,91bをそれぞれ照射対象として、2本のスリット光La,Lb(第1スリット光La,第2スリット光Lb)を照射するとともに、これら2本の監視ライン91a,91bを含む通路9上の所定の領域93を撮影して計数用画像を取得する。そして、撮像装置1は、計数用画像に基づいて通路9における人物を検出してその通過数を計数し、計数結果を監視装置8に送信する。送信された計数結果は、監視装置8のディスプレイに表示されるとともに、監視装置8のハードディスクに記録される。
【0025】
一方、監視モードにおいて撮像装置1は、自装置が配置される位置の周囲一帯を撮影対象とし、所定の時間周期で監視用画像を取得し、その監視用画像を監視装置8に送信する。送信された監視用画像は、監視装置8のディスプレイに表示されるとともに、監視装置8のハードディスクに記録される。撮像システム100を扱うユーザは、このような監視用画像をリアルタイムで、あるいは、事後的に確認することで店舗内の様子を視覚的に把握できる。
【0026】
<1−2.撮像装置構成>
図2および図3は、撮像装置1の外観構成を示す図である。図2は撮像装置1を下面(Z軸−側)から見た図であり、図3は撮像装置1を正面(Y軸−側)から見た図である。
【0027】
これらの図に示すように、撮像装置1は主として、撮影して画像を取得する撮像部4、および、スリット光La,Lbを照射する2つの投光部3a,3bを備えている。また、撮像装置1の下面側には、動作状態を示す光を発光するLED21、および、音を出力するスピーカ22が配置され(図2参照)、また、正面側には伝送ケーブル80を接続するための通信端子24が配置されている(図3参照)。
【0028】
撮像部4は、撮影を行って二次元の画像を取得するものであり、撮像装置1の略中央部においてハウジング10から下方に突出して配置されている。図に示すように撮像部4は、入射光を結像する光学系となる撮影レンズ41と、撮影レンズ41に結像された光像を信号電荷に光電変換する撮像素子であるCCD42と、必要に応じて撮影用補助光を発光して撮影対象を照明する補助光光源49とを備えている。また、撮像部4の下部には、撮像部4の損傷を防止するための半球状の保護カバー40が設けられている。保護カバー40は、撮影レンズ41へ入射する入射光の性質を変化させないように、アクリル樹脂などの透明材料で構成される。
【0029】
撮影レンズ41は、ズーム機能を備えており、撮影倍率(CCD42に結像する像の倍率)を変更することが可能とされている。また、撮影レンズ41の光軸は、X軸方向およびY軸方向に移動することが可能とされている。以下、撮影レンズ41の光軸をX軸方向に移動させる機能をパン機能、撮影レンズ41の光軸をY軸方向に移動させる機能をチルト機能という。
【0030】
監視モードにおいては、パン機能、チルト機能およびズーム機能により、撮影レンズ41の光軸が移動されるとともに、適宜、撮影レンズ41の撮影倍率が変更される。これにより、時間経過に伴って撮影対象が順次変更されるようになっている。一方、計数モードにおいては、図1に示す領域93のみを撮影するように、撮影レンズ41の光軸は鉛直方向(Z軸−向き)に向けられて固定されるとともに、撮影倍率も所定の倍率に固定される。
【0031】
補助光光源49は、その光軸が撮影レンズ41の光軸と平行となるように、撮影レンズ41の近傍に配置されている。パン機能やチルト機能により撮影レンズ41の光軸が移動された場合は、撮影対象を常に照明できるように、補助光光源49の光軸も撮影レンズ41の光軸と同一方向に移動されるようになっている。
【0032】
2つの投光部3a,3bは、撮像装置1のハウジング10内部におけるX軸方向の両端部に配置されている。また、ハウジング10下面のX軸方向両端部には、スリット光La,Lbをそれぞれ投光するための投光窓となる保護ガラス30a,30bが形成されている。投光部3a,3bはそれぞれ保護ガラス30a,30bから鉛直方向(Z軸−向き)に向けて、スリット光La,Lbを投光する。スリット光La,Lbとしては、被計数体としての人物に意識させないように、非可視光である赤外光線が採用されている。
【0033】
2つのスリット光La,Lbの光軸の位置は、鉛直方向に向けられた撮影レンズ41の光軸の位置に関して対称とされる。したがって、スリット光La,Lbは、計数モードにおける撮像部4の撮影レンズ41の鉛直直下からX軸方向に同一距離離れた位置に照射される。つまり、計数モードにおける撮像部4の撮影レンズ41は、中央ライン92の直上に位置することとなる。
【0034】
図4は、撮像装置1の機能構成を模式的に示すブロック図である。図に示すように、撮像装置1は、上述した撮像部4および投光部3a,3bとともに、撮像部4の制御の一部を担うサブコントロール部5と、装置全体を統括的に制御するメインコントロール部6とを備えている。
【0035】
撮像部4は、撮影レンズ41、CCD42および補助光光源49とともに、フィルタ41a、信号処理回路43、タイミングジェネレータ44、フィルタモータ45、ズームモータ46、パンモータ47およびチルトモータ48を備えている。
【0036】
フィルタ41aは、撮影レンズ41への入射光の光路に配置されることにより、入射光の波長帯を調整する。撮像部4では、光路に配置するフィルタ41aの候補となる複数の種類のフィルタが準備されており、動作モードに応じてそれらが変更される。具体的には、計数モードにおいてはスリット光La,Lbの波長帯の光のみを通過するように赤外光用のバンドパスフィルタがフィルタ41aとして配置され、一方、監視モードにおいては可視光を透過する透明フィルタがフィルタ41aとして配置される。これにより、計数モードで取得される計数用画像は赤外光の強度を示す画像となり、監視モードで取得される監視用画像は可視画像となる。このようなフィルタ41aの変更は、フィルタモータ45の駆動によって行なわれる。
【0037】
信号処理回路43は、CDS回路、ADC回路およびA/D変換器等を有しており、CCD42から出力される信号電荷に所定の処理を行なうとともに、アナログの信号電荷を例えば8ビットのデジタルの画像信号に変換する。変換された画像信号(以下、単に「画像」という。)は、メインコントロール部6に入力される。タイミングジェネレータは、各種のタイミング制御信号を生成し、CCD42および信号処理回路43の動作を制御する。
【0038】
ズームモータ46は撮影レンズ41内のレンズ群を駆動して撮影倍率を変更するモータである。また、パンモータ47は撮影レンズ41(および補助光光源49)の光軸をX軸方向に移動させるモータであり、チルトモータ48は撮影レンズ41(および補助光光源49)の光軸をY軸方向に移動させるモータである。これらのモータにより、ズーム機能、パン機能およびチルト機能が実現される。
【0039】
また、フィルタモータ45、ズームモータ46、パンモータ47およびチルトモータ48はそれぞれ、サブコントロール部5が備えるフィルタドライバ55、ズームドライバ56、パンドライバ57およびチルトドライバ58により駆動制御される。これらの各ドライバは、サブコントロール部5が備えるサブCPU51によって制御される。
【0040】
2つの投光部3a,3bは、同一構成となっており、赤外光の光源となるレーザ32と、レーザ32からの赤外光をスリット光に成形して保護ガラス30a,30bを介して外部へ投光する投影光学系31と、レーザ32の駆動を制御するレーザドライバ33とを備えている。
【0041】
メインコントロール部6は、マイクロコンピュータを備えて構成され、上述した撮像装置1の各部を統括制御する。具体的には、メインコントロール部6は、その本体部となるメインCPU61と、撮像部4から出力された画像や各種データを記憶するRAM62と、制御用プログラムを記憶するROM63と、通信端子24を介して監視装置8等とデータ通信を行なう通信部64と、計時機能を有するタイマ65とを備えている。
【0042】
図に示すように、上述した補助光光源49、タイミングジェネレータ44、サブCPU51、レーザドライバ33、LED21、スピーカ22および通信部64は、メインCPU61に電気的に接続され、メインCPU61の制御下にて動作する。また、タイマ65もメインCPU61に電気的に接続され、計時結果はメインCPU61に出力される。
【0043】
メインコントロール部6では、ソフトウェア的に(すなわち、メインCPU61が、ROM63に記憶された制御用プログラムに従ってRAM62を作業領域として使用しつつ演算処理を行なうことにより)、撮像装置1を統括的に制御する機能を含む各種の機能が実現される。図において、画像処理部611、演算部612、条件判定部613およびモード切替部614は、ソフトウェア的に実現される機能を模式的に示している。
【0044】
画像処理部611は、撮像部4から出力されてRAM62に記憶された画像に対して所定の処理を行なう。演算部612は、画像処理部611に処理された計数用画像に基づいて、通路9における人物を検出しその通過数を計数する処理を行なう。また、条件判定部613は、撮像部4による撮像結果に基づいて特定される事象が、動作モードを切り替えるための所定の基準条件(以下、「切替条件」という。)を満足したか否かを判定する。また、モード切替部614は、切替条件が満足されたとき、撮像装置1の動作モードを計数モードと監視モードとの間で切り替える。
【0045】
<1−3.処理>
図5は、撮像装置1の処理の基本的な流れを示す図である。以下、図5を参照して、撮像装置1の処理の基本的な流れを説明する。
【0046】
撮像装置1が起動されると、まず、その動作モードが計数モードに設定され、計数モードのための初期化処理がなされる。すなわち、撮影レンズ41の光軸は鉛直方向(Z軸−向き)に向けられて固定されるとともに、撮影倍率も所定の倍率に固定される。さらに、投光部3a,3bそれぞれからのスリット光La,Lbの照射が開始され、赤外光用のバンドパスフィルタがフィルタ41aとして配置される(ステップS1)。
【0047】
続いて、通路9における人物を検出してその通過数を計数する計数モード処理がなされる(ステップS2)。この計数モード処理は、動作モードが監視モードに切り替わるまでの間(ステップS4にてNoの間)繰り返される。
【0048】
このように計数モード処理が継続されている間、所定の時間周期でモード切替判定処理がなされる(ステップS3)。このモード切替判定処理においては、条件判定部613により、切替条件が満足されたか否かが判定される。そして、切替条件が満足された場合は、内部フラグであるモード切替フラグがONとされ、一方、切替条件が満足されない場合は、モード切替フラグがOFFとされる。
【0049】
モード切替判定処理の後には、設定されたモード切替フラグがモード切替部614に参照される(ステップS4)。そして、モード切替部614の制御により、モード切替フラグがONの場合は動作モードが監視モードに設定され(ステップS5)、一方、モード切替フラグがOFFの場合は動作モードが計数モードに維持される(ステップS2)。
【0050】
動作モードが監視モードに移行した場合は、まず、監視モードのための初期化処理がなされる。すなわち、投光部3a,3bそれぞれからのスリット光La,Lbの照射が停止され、フィルタ41aとして透明フィルタが配置される(ステップS5)。
【0051】
続いて、店舗内の様子を示す監視用画像を取得する監視モード処理がなされる(ステップS6)。この監視モード処理も、動作モードが計数モードに切り替わるまでの間(ステップS8にてNoの間)継続される。
【0052】
監視モード処理が継続されている間においても、所定の時間周期でモード切替判定処理がなされる。このモード切替判定処理においても条件判定部613により切替条件が満足されたか否かが判定され、その判定結果に応じてモード切替フラグが設定される(ステップS7)。そして、モード切替部614の制御により、モード切替フラグがONの場合は動作モードが計数モードに設定され(ステップS1)、一方、モード切替フラグがOFFの場合は動作モードが監視モードに維持される(ステップS6)。
【0053】
このように、撮像装置1においては、動作中において常にモード切替判定処理がなされ(ステップS3,ステップS7)、切替条件が満足されるごとに、動作モードが、計数モードと監視モードとの間で切り替えられる。つまり、動作中に切替条件を満足するイベントが発生すると、そのイベントの発生をトリガとして動作モードが切り替えられるわけである。計数モードから監視モードへ移行するための切替条件と、監視モードから計数モードへ移行するための切替条件とは相違し、それぞれ独自の条件が設定されているが、詳細は後述する。
【0054】
<1−3−1.計数モード処理>
次に、計数モード処理(図5:ステップS2)の処理内容について説明する。図6は、計数モード処理の流れを示す図である。前述したように、この計数モード処理は、動作モードが監視モードに切り替わるまでの間、繰り返し行なわれる。本実施の形態では、計数モード処理を繰り返す時間周期は1/30(s)に設定されている。
【0055】
計数モード処理にあたっては、まず、撮像部4により領域93の撮影がなされる。撮影によって取得された計数用画像は、RAM62に格納される。計数用画像の各画素の値は、領域93における赤外光の強度を示すことから、領域93においてスリット光La,Lbが照射された位置に対応する画素の値は比較的高くなり、逆に、スリット光La,Lbが照射されていない位置に対応する画素の値は比較的低くなる(ステップS21)。
【0056】
RAM62に格納された計数用画像は、続いて、画像処理部611に処理され、スリット光La,Lbが照射されている位置を示す画像に変換される。すなわち、まず、計数用画像の各画素の値が所定の閾値と比較される。そして、値が所定の閾値以上の画素の値は「1」に変換され、逆に、値が所定の閾値未満の画素の値は「0」に変換される。これにより、計数用画像は、スリット光La,Lbが照射されている位置を「1」、スリット光La,Lbが照射されていない位置を「0」でそれぞれ示す二値の画像に変換される(ステップS22)。
【0057】
次に、二値とされた計数用画像に基づいて、演算部612によって、通路9における人物を検出し、その通過数を計数する人物計数処理がなされる(ステップS23)。人物計数処理においては、直前に得られた計数用画像のみならず、過去に得られた計数用画像も参照される。
【0058】
図7ないし図9は、二値とされた計数用画像の例を示している。以下、図7ないし図9を参照して、人物計数処理(図6:ステップS23)について説明する。なお、計数用画像70の横方向は、被写体におけるY軸方向(通路9の幅方向)に対応し、計数用画像70の中心位置70cは撮影レンズ41の光軸位置(すなわち、撮像部4の鉛直直下)に対応している。また、以下の説明では、計数用画像70における方向および向きを示す際には、被写体の座標系と同一のものを用いる。すなわち、図7ないし図8に示すように、計数用画像70の縦方向をX軸方向とし、計数用画像70の横方向をY軸方向とする。
【0059】
図7ないし図9に示すように、計数用画像70には、第1監視ライン91aに向けて照射された第1スリット光Laを示す像(以下、「第1スリット光像」という。)71a、および、第2監視ライン91bに向けて照射された第2スリット光Lbを示す像(以下、「第2スリット光像」という。)71bがそれぞれ含まれている。
【0060】
通路9の監視ライン91a,91b上に人物が存在しなければ、図7に示すように、計数用画像70中のスリット光像71a,71bは、監視ライン91a,91bに相当する位置(以下、「初期位置」という。)に沿った直線形状となる。
【0061】
一方、監視ライン91a,91b上に人物が存在する場合は、人物によってスリット光が遮断されるため、図8および図9に示すように、スリット光像71a,71bの形状が直線形状から変化する。すなわち、スリット光像71a,71bのうち人物が存在する位置に相当する部分は、初期位置よりも画像の端部側に現れる。図8は、第1監視ライン91a上に人物が存在しているときの計数用画像70を示しており、図9は、第2監視ライン91b上に人物が存在しているときの計数用画像70を示している。人物計数処理においては、このようなスリット光像71a,71bの形状の変化に基づいて、人物の存在を検出することができるわけである。
【0062】
また、人物計数処理においては、スリット光像71a,71bの形状が変化した順番によって、人物の進行方向(進行の向き)も求められる。例えば、図8に示す計数用画像70が取得された後、図9に示す計数用画像70が取得された場合は、人物が第1監視ライン91aを通過した後、第2監視ライン91bを通過した場合であるため、人物の進行方向はX軸+向きであると判定される。逆に、図9に示す計数用画像70が取得された後、図8に示す計数用画像70が取得された場合は、人物の進行方向はX軸−向きであると判定される。
【0063】
人物計数処理においては、このようにして人物の存在およびその進行方向が検出される。しかしながら、以上のアルゴリズムのみでは、人物以外の物体が監視ライン91a,91bを通過した場合であっても、その物体が誤って人物として検出されるおそれがある。このため、人物検出処理においては、スリット光La,Lbを遮断したもの(以下、「遮断体」という。)の速度およびサイズが、計数用画像70に基づいて導出されるようになっている。
【0064】
図10および図11は、通路9における領域93(図1参照)の上部の空間を示す図であり、図10はY軸−側からの様子、図11はX軸+側からの様子をそれぞれ示している。以下、これらの図を参照しつつ、遮断体の速度およびサイズを導出する手法について説明する。
【0065】
なお、この説明では簡単のため、遮断体Obは立方体であるものとし、その速度をv、高さをh、X軸方向の長さ(以下、「奥行」という。)をd、Y軸方向の長さ(以下、「幅」という。)をwでそれぞれ表現する。また、図10に示すように、撮像部4の撮影レンズ41の地表面からの高さ(以下、「撮像高さ」という。)をH(m)、2つの監視ライン91a,91b間の距離をDa(m)、中央ライン92から監視ライン91a,91bまでの距離をDb(=Da/2)(m)とそれぞれ表現する。さらに、図11に示すように、撮像部4のY方向の画角をθy(rad)、領域93(撮像部4が画角θyで撮影する領域)のY方向の長さ(以下、「撮像幅」という。)をWH(m)とそれぞれ表現する。これら撮像高さH、距離Da、距離Db、画角θyおよび撮像幅WHはそれぞれ予め求められている。
【0066】
遮断体の速度vは、一方のスリット光像の形状が直線形状から変化してから、他方のスリット光像の形状が直線形状から変化するまでに得られる計数用画像70の数(以下、「第1フレーム数」という。)に基づいて求められる。すなわち、計数用画像70は1/30(s)ごとに得られるため、第1フレーム数をf1とすると、遮断体の速度v(m/s)は次の式(1)で求めることができる。
【0067】
v=Da/(f1/30) …(1)
なお、一方のスリット光像の形状が直線形状から変化し、該スリット光像のその形状が所定の時間以上維持された場合は、遮断体は停止していると判定され、遮断体の速度vは「0」とされる。
【0068】
遮断体の高さhは、スリット光像の初期位置からの離間量に基づいて求められる。例えば図10に示すように、遮断体Obが第1スリット光Laを遮断した場合を想定し、撮像部4の撮影レンズ41と、遮断体Obの上端部を第1スリット光Laが照射する位置P1とを結ぶ直線SLが、地表面と交わる位置をP2とする。
【0069】
この場合、計数用画像70中においては、第1スリット光像71aのうち遮断体Obが存在する位置に対応する部分(以下、「離間部分」という。)は、位置P2に相当する位置に現れる。このため、第1監視ライン91aと位置P2との距離をDcとすると、距離Dcは計数用画像70中におけるスリット光像71aの離間部分の初期位置からの最大の離間量(離間部分と初期位置との最大距離:図8における長さDd)から求めることができる。
【0070】
そして、図10に示すように、遮断体の高さh、撮像高さH、距離Dcおよび距離Dbの間には、次の式(2)の関係がある。
【0071】
h:Dc=H:(Dc+Db) …(2)
したがって、遮断体の高さh(m)は、次の式(3)で求めることができる。
【0072】
h=(Dc/(Dc+Db))・H …(3)
遮断体の奥行dは、一方のスリット光像の形状が直線形状から変化してから、該スリット光像の形状が直線形状に戻るまでに得られる計数用画像70の数(以下、「第2フレーム数」という。)、および、速度vに基づいて求められる。すなわち、第2フレーム数をf2とすると、遮断体の奥行d(m/s)は次の式(4)で求めることができる。
【0073】
d=(f2/30)・v …(4)
遮断体の幅wは、スリット光像の離間部分の長さに基づいて求められる。例えば、図11に示すように、遮断体Obの上端部に照射されたスリット光が、地表面に到達した場合におけるY軸方向の長さをWsとする。この長さWsは、計数用画像70中のスリット光像のうち、初期位置からの離間量が最大となる部分のY軸方向の長さ(図8における長さWd)から求めることができる。
【0074】
また、図11に示すように、遮断体Obの高さ位置におけるY軸方向の撮影可能な範囲の長さをWhとすると、この長さWh(m)は、次の式(5)で求めることができる。
【0075】
Wh=2・(H−h)・tan(θy/2) …(5)
そして、図11に示すように、遮断体の幅w、長さWh、長さWsおよび撮像幅WHには、次の式(6)の関係がある。
【0076】
w:Wh=Ws:WH …(6)
したがって、遮断体の幅w(m)は、次の式(7)で求めることができる。
【0077】
w=(Wh/WH)・Ws …(7)
以上の手法によって、計数用画像70に基づいて遮断体の速度v、高さh、奥行dおよび幅wを求めることができる。人物検出処理においては、スリット光像71aの形状の変化により遮断体が検出されると、その遮断体の速度v、高さh、奥行dおよび幅wが上記手法によって求められる。一般に、遮断体が人物であれば、速度v、高さh、奥行dおよび幅wはそれぞれ所定の範囲内の値となる。このため、本実施の形態では、導出された速度v、高さh、奥行dおよび幅wの全てが所定の範囲内の値となる場合のみ、その遮断体を人物として判定する。そして、そのようにして人物と判定された遮断体の数が、通路9における通過数として計数されることとなる。このような通過数は、人物の進行方向ごとに計数される。
【0078】
このようにして人物検出処理においては、人物の通過数とともに、遮断体(人物)の進行方向、速度v、高さh、奥行d、幅wが求められる。このような演算部612による人物検出処理は、通路9における移動体の状態を示す状態変数を導出する処理であるともいえる。すなわち、状態変数には、上述した通過数、速度vおよびサイズ(高さh、奥行d、幅w)が含まれる。
【0079】
図6に戻り、人物計数処理が完了すると、計数された通過数は監視装置8に送信され、監視装置8のディスプレイに表示される(ステップS24)。
【0080】
<1−3−2.モード切替判定処理>
次に、動作モードを計数モードから監視モードに切り替えるための切替条件が満足されたか否かを判定するモード切替判定処理(図5:ステップS3)について説明する。図12は、モード切替判定処理の流れを示す図である。本実施の形態のモード切替判定処理においては、人物計数処理の結果が参照される。
【0081】
すなわちまず、単位時間あたりの人物の通過数が参照され、その通過数が異常でないか否かが判定される(ステップS31)。具体的には、単位時間あたりの人物の通過数と所定の基準値とが比較され、所定の基準値を超える場合は、その通過数が異常であると判定される。そして、通過数が異常である場合はモード切替フラグがONに設定される(ステップS35)。
【0082】
通過数が異常でない場合は、続いて、遮断体の速度が異常でないか否かが判定される(ステップS32)。具体的には、遮断体の速度と所定の基準値とが比較され、所定の基準値を超える場合は、その速度が異常であると判定される。また、遮断体の速度が「0」である場合も速度が異常であると判定される。そして、遮断体の速度が異常である場合はモード切替フラグがONに設定される(ステップS35)。
【0083】
速度が異常でない場合は、続いて、遮断体のサイズが異常でないか否かが判定される(ステップS33)。具体的には、遮断体の高さ、奥行、幅がそれぞれ対応する所定の基準値と比較され、いずれかが所定の基準値を超える場合は、そのサイズが異常であると判定される。そして、遮断体のサイズが異常である場合はモード切替フラグがONに設定される(ステップS35)。
【0084】
また、遮断体のサイズが異常でない場合、すなわち、人物の通過数、遮断体の速度および遮断体のサイズのいずれもが異常でない場合は、モード切替フラグがOFFに設定される(ステップS34)。
【0085】
このように、モード切替判定処理では、人物の通過数、遮断体の速度および遮断体のサイズのいずれかが異常であった場合は、切替条件が満足されたとして、モード切替フラグがONに設定される。前述したように、モード切替フラグがONの場合は、動作モードが計数モードから監視モードに切り替えられる。したがって、人物の通過数、遮断体の速度および遮断体のサイズのいずれかが異常であった場合は、動作モードが計数モードから監視モードに切り替えられ、これにより、店舗内の様子が視覚的に把握可能な可視画像である監視用画像が撮像装置1に取得されることとなる。
【0086】
単位時間あたりの人物の通過数が所定の基準値を超える場合とは、店舗内に想定以上の顧客が入場した場合などである。このような場合は、店舗内の混雑具合を把握することが好ましい。このため、この場合に動作モードが監視モードに切り替わることで、店舗内の様子を視覚的に把握することができ、混雑具合を容易に把握できる。
【0087】
また、遮断体の速度が所定の基準値を超える場合には、人物以外の動物などが店舗内に進入した可能性や、疾走する人物が存在する可能性がある。一方、遮断体の速度が「0」である場合には、なんらかの物体が通路9に載置され、通路9における顧客の通行を妨げている可能性がある。このような動物、疾走する人物、通路を遮る物体などは、顧客への迷惑となる。したがって、この場合に、動作モードが監視モードに切り替わることで、店舗内の様子を視覚的に把握することができ、店舗内になんらかの動物や異常な人物が進入していないか、あるいは、物体が通路に載置されていないかなどを容易に把握できる。
【0088】
また、遮断体の高さ、奥行、幅がそれぞれ対応する所定の基準値を超える場合には、人物以外の動物や物体などが店舗内に進入した可能性がある。このような動物や物体などは、顧客への迷惑となる可能性があるため、この場合に、動作モードが監視モードに切り替わることで、店舗内の様子を視覚的に把握することができ、店舗内になんらかの動物や物体が進入していないかを容易に把握できる。
【0089】
つまり、通路における移動体の状態が異常の場合などに、撮像装置1の動作モードを計数モードから監視モードに切り替えることで、その移動体の様子を可視画像により詳しく観察できるわけである。
【0090】
<1−3−3.監視モード処理>
次に、監視モード処理(図5:ステップS6)の処理内容について説明する。監視モード処理においては、所定の時間周期で店舗内の様子を示す監視用画像が取得され、この監視用画像が監視装置8に送信され、監視装置8のディスプレイに表示される。撮影時においては、撮像装置1のパン機能、チルト機能およびズーム機能が駆使され、撮影レンズ41の光軸が移動されるとともに、適宜、撮影レンズ41の撮影倍率が変更される。これにより、時間経過に伴って撮影対象が順次変更されつつ撮影が行なわれるため、撮像装置1が配置される周辺一帯の様子を容易に把握することができることとなる。
【0091】
監視モード処理の間になされるモード切替判定処理(図5:ステップS7)においては、動作モードが監視モードに移行してからの時間が所定時間を経過したか否かが切替条件として判定される。そして、監視モードに移行してからの時間が所定時間を経過した場合は、モード切替フラグがONとされ、動作モードが監視モードから計数モードに移行することとなる。
【0092】
以上、第1の実施の形態について説明したように、本実施の形態の撮像システム100においては、切替条件が満足されたとき、撮像装置1の動作モードが計数モードと監視モードとの間で切り替えられる。このため、撮像システム100を移動体の検出用と、観察用との双方の用途に使用することができ、その結果、店舗などにおける撮像システムの導入コストを抑制することができる。
【0093】
また、通路9における遮断体(移動体)の状態を示す通過数、速度、サイズなどの状態変数が導出され、この状態変数が異常となる場合(すなわち、状態変数が基準値を超えるなどの所定の条件を満足する場合)は、撮像装置1の動作モードが計数モードから監視モードに切り替えられる。これにより、異常とされた移動体の様子を可視画像により詳しく観察することができる。
【0094】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、動作モードを計数モードから監視モードに切り替えるための切替条件のみが第1の実施の形態と相違する。本実施の形態では、モード切替判定処理において、遮断体の状態変数ではなく、タイマ65の計時結果が参照される。
【0095】
図13は、本実施の形態のモード切替判定処理(図5:ステップS3)の流れを示す図である。本実施の形態のモード切替判定処理では、まず、条件判定部613によりその時点の日時(以下、「現在日時」)がタイマ65から取得される。続いて、現在日時が、予め設定された設定日時と一致するか否かが判定される(ステップST31)。この設定日時は、撮像システム100の管理者等により予め設定されてRAM62やROM63に記憶されている。設定日時は、日付、曜日、時、分、秒のいずれで定義されるものであってもよい。
【0096】
そして、現在日時が設定日時と一致した場合は、モード切替フラグがONとされ(ステップST33)、一方、現在日時が設定日時と一致しない場合は、モード切替フラグがOFFとされる(ステップST32)。したがって、現在日時が設定日時と一致した場合に、動作モードが計数モードから監視モードに移行する。
【0097】
このように本実施の形態では、タイマ65の計時結果が所定の条件を満足したとき、動作モードが計数モードから監視モードに移行する。これにより、定められた時間における移動体の様子を詳しく観察できることとなる。例えば、予め混雑する時間帯の開始時間が分かっている場合は、その開始時間を設定時間とすることで、その開始時間になったときに店舗内の様子を迅速に把握することができる。
【0098】
<3.第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態においても、動作モードを計数モードから監視モードに切り替えるための切替条件のみが第1の実施の形態と相違する。本実施の形態では、モード切替判定処理において、遮断体の状態変数のうち人物の通過数のみが参照される。
【0099】
図14は、本実施の形態のモード切替判定処理(図5:ステップS3)の流れを示す図である。本実施の形態のモード切替判定処理では、まず、人物の通過数が参照され、この通過数が「1」以上であるか否かが判定される。通過数が「1」以上であるか否かを判定することは、通路9において人物が存在するか否かを判定することに実質的に相当する(ステップSP31)。
【0100】
そして、通過数が「1」以上である場合、すなわち、人物の存在が検出された場合は、モード切替フラグがONとされ(ステップSP33)、一方、通過数が「0」である場合、すなわち、人物の存在が検出されない場合は、モード切替フラグがOFFとされる(ステップSP32)。したがって、人物の存在が検出された場合に、動作モードが計数モードから監視モードに移行する。
【0101】
このように、本実施の形態では通路9において人物が存在したときに、動作モードが計数モードから監視モードに移行する。これにより、その人物の様子を可視画像により詳しく観察できる。
【0102】
このような本実施の形態の切替条件は、店舗の営業時間外(夜間など)において採用することが好ましい。一般に、店舗の営業時間外においては、通路9を人物が通過することはあり得ないが、この場合において人物の存在を検出したときは、その人物は不審人物の可能性が高い。したがって、この場合に、動作モードを計数モードから監視モードに移行することで、その人物の様子を監視用画像として記録しておくことができる。これにより、撮像システム100を営業時間外における店舗内の防犯用に効果的に使用できる。
【0103】
<4.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0104】
例えば、上記実施の形態の撮像システム100においては、人物計数処理およびモード切替判定処理が撮像装置1においてなされていたが、これらの処理は監視装置8においてなされるようになっていてもよい。この場合は、監視装置8のCPUが所定のプログラムに従って演算処理を行なうことにより、図4に示す演算部612、条件判定部613およびモード切替部614と同様の機能が実現される。
【0105】
また、動作モードを計数モードから監視モードに移行する処理と同期して、補助光光源49が撮影用補助光を発光して、撮影対象の照明を開始するようにしてもよい。これによれば、監視モードにおける撮影時に撮影対象が照明されることから、撮影対象の様子をより正確に示す鮮明な監視用画像を得ることができる。
【0106】
また、切替条件が満足されたときには、スピーカ22から所定の音を発したり、LED21を点滅させるなどして、警告を出力するようにしてもよい。例えば、上記第1の実施の形態や第3の実施の形態では、何らかの異常があるときに切替条件が満足されるが、このときに警告を出力することで、異常であることを明瞭に示すことができる。
【0107】
状態変数としては、移動体の通過数、速度、サイズなどを直接に示す値だけではなく、たとえば、各移動体の速度の均一性を示す値など、上記の量に依存した値一般を利用可能である。
【0108】
また、上記実施の形態において移動体は人物であったが、荷物などの物体、自動車などの乗り物、動物など、所定の領域を移動するものであれば、どのようなものであってもよい。
【0109】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1ないし9の発明によれば、撮像手段が、移動体の検出に用いる第1画像を取得する第1モードと、監視用の可視画像としての第2画像を取得する第2モードとを有し、適宜、動作モードが切り替えられる。このため、撮像システムを移動体の検出用と、観察用との双方の用途に使用できる。
【0110】
また特に、請求項2の発明によれば移動体の状態が異常の場合などに、撮像手段の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えることで、移動体の様子を可視画像により詳しく観察できる。
【0111】
また特に、請求項3の発明によれば、移動体の通過数が異常の場合などに、撮像手段の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えることで、移動体の様子を可視画像により詳しく観察できる。
【0112】
また特に、請求項4の発明によれば、移動体の速度が異常の場合などに、撮像手段の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えることで、移動体の様子を可視画像により詳しく観察できる。
【0113】
また特に、請求項5の発明によれば、移動体のサイズが異常の場合などに、撮像手段の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えることで、移動体の様子を可視画像により詳しく観察できる。
【0114】
また特に、請求項6の発明によれば、計時結果に応じて撮像手段の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えることで、定められた時間における移動体の様子を詳しく観察できる。
【0115】
また特に、請求項7の発明によれば、移動体が存在するとき、撮像手段の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えることで、移動体の様子を可視画像により詳しく観察できる。
【0116】
また特に、請求項8の発明によれば、撮影対象を照明するため、第2モードにおいて鮮明な第2画像を得ることができる。
【0117】
また特に、請求項9の発明によれば、移動体の状態が異常の場合などに警告を出力することで、異常であることを明瞭に示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】撮像システムの概略構成を示す斜視図である。
【図2】撮像装置を下面から見た図である。
【図3】撮像装置を正面から見た図である。
【図4】撮像装置の機能構成を模式的に示すブロック図である。
【図5】撮像装置の処理の基本的な流れを示す図である。
【図6】計数モード処理の流れを示す図である。
【図7】計数用画像の例を示す図である。
【図8】計数用画像の例を示す図である。
【図9】計数用画像の例を示す図である。
【図10】通路を示す図である。
【図11】通路を示す図である。
【図12】第1の実施の形態のモード切替判定処理の流れを示す図である。
【図13】第2の実施の形態のモード切替判定処理の流れを示す図である。
【図14】第3の実施の形態のモード切替判定処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
1 撮像装置
8 監視装置
9 通路
70 計数用画像
100 撮像システム
613 条件判定部
614 モード切替部
La,Lb スリット光
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の領域における移動体の検出のための撮像技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、通路などの所定の領域を通過する人物などの移動体を検出し、その通過数を計数する技術が提案されている。
【0003】
例えば、通路の幅方向に白線を描いておき、その白線を含む領域を所定の時間周期で撮影して画像を取得し、画像中の白線の像の状態によって人物を検出し、その検出結果に基づいて人物の通過数を計数する撮像システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特公平5−23471号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、スーパーマーケットやコンビニエンスストアのような店舗において、人物を検出してその通過数を計数する上記のような撮像システムを導入し、店舗内における顧客の移動経路や移動数を求め、それらに基づいて販売戦略を立てることが提案されている。
【0006】
しかしながら、そのような店舗においては、通常、防犯を目的として観察用の可視画像を撮影する監視カメラを備えた撮像システムが配置されている。したがって、近年の店舗においては、移動体の検出用と観察用との2種類の撮像システムを導入する必要があり、撮像システムの導入コストが高くなるという問題が生じていた。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、移動体の検出用と観察用との双方の用途に使用できる撮像システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、撮像システムであって、所定の領域における移動体の検出用の画像としての第1画像を取得する第1モードと、観察用の可視画像としての第2画像を取得する第2モードとを、動作モードとして有する撮像手段と、所定の基準条件が満足されたとき、前記撮像手段の動作モードを前記第1モードと前記第2モードとの間で切り替える制御手段と、を備えている。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の撮像システムにおいて、前記第1画像に基づいて、前記移動体の状態を示す状態変数を導出する手段、をさらに備え、前記制御手段は、前記状態変数が所定の条件を満足したとき、前記撮像手段の動作モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替える。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の撮像システムにおいて、前記状態変数は、前記所定の領域における前記移動体の通過数に依存した値を含む。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項2に記載の撮像システムにおいて、前記状態変数は、前記移動体の速度に依存した値を含む。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項2に記載の撮像システムにおいて、前記状態変数は、前記移動体のサイズに依存した値を含む。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項1に記載の撮像システムにおいて、計時する計時手段、をさらに備え、前記制御手段は、前記計時手段による計時結果が所定の条件を満足したとき、前記撮像手段の動作モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替える。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項1に記載の撮像システムにおいて、前記第1画像に基づいて、前記所定の領域における前記移動体の存在を検出する手段、をさらに備え、前記制御手段は、前記移動体の存在が検出されたとき、前記撮像手段の動作モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替える。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の撮像システムにおいて、前記制御手段が、前記撮像手段の動作モードを前記第1モードから前記第2モードへ切り替える処理と同期して、前記撮像手段の撮影対象の照明を開始する照明手段、をさらに備えている。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の撮像システムにおいて、前記所定の基準条件が満足されたとき、警告を出力する警告手段、をさらに備えている。
【0017】
【用語の定義】
本明細書において「可視画像」は、「可視光の受光により得られる画像」の意を示す用語である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。なお、以下においては、スーパーマーケットやコンビニエンスストアのような店舗に配置される撮像システムを一例として説明する。
【0019】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.システム構成>
図1は、本実施の形態に係る撮像システム100の概略構成を示す斜視図である。図に示すように、撮像システム100は、店舗内の所定の領域となる通路9の天井に配置される撮像装置1と、各種の情報を表示する監視装置8とを備えている。撮像装置1と監視装置8とは、LANケーブルなどの伝送ケーブル80を介して接続され、装置相互間でデータ通信を行なうことが可能とされている。なお、図1では、撮像装置1は1台のみ図示されているが、複数の撮像装置1が撮像システム100に含まれていてもよい。
【0020】
以下の説明においては、方向および向きを示す際に、適宜、図に示すXYZ3次元直交座標系を用いる。これらXYZ軸は、通路9に対して相対的に固定され、X軸方向は通路9における移動体としての人物の進行方向であり、Y軸方向は通路9の幅方向(人物の進行方向に対して直交する方向)であり、Z軸方向は鉛直方向である。
【0021】
監視装置8は、CPU、メモリ、ハードディスクおよびディスプレイ等を備えたPCなどの一般的なコンピュータで構成される。監視装置8は、通路9から離れた監視室などに配置されている。撮像装置1において得られた情報は、伝送ケーブル80を介して監視装置8に伝送される。なお、撮像装置1から監視装置8へのデータの通信方式は有線方式に限定されず、無線方式であってもよい。
【0022】
撮像装置1は、店舗内を撮影する装置であり、その動作モードとして、通路9における人物を検出してその通過数を計数するための画像(以下、「計数用画像」という。)を取得する計数モードと、店舗内の様子を示す観察用の可視画像(以下、「監視用画像」という。)を取得する監視モードとを備えている。
【0023】
計数モードでは、通路9の幅方向(Y軸方向)に沿った、通路9の幅と同一長さの2本のライン91a,91bが仮想的に設定され、これらの2本のライン91a,91bを通過する人物の数が、通路9における人物の通過数として計数される。以下、X軸−側のライン91aを「第1監視ライン」91aといい、X軸+側のライン91bを「第2監視ライン」91bという。また、第1監視ライン91aと第2監視ライン91bとの双方から同一距離となるライン92を「中心ライン」92という。これらのライン91a,91b,92は、あくまで仮想的に設定されるラインであり、実際に視認可能なラインがその位置に存在しているわけではない。
【0024】
計数モードにおいて撮像装置1は、2本の監視ライン91a,91bをそれぞれ照射対象として、2本のスリット光La,Lb(第1スリット光La,第2スリット光Lb)を照射するとともに、これら2本の監視ライン91a,91bを含む通路9上の所定の領域93を撮影して計数用画像を取得する。そして、撮像装置1は、計数用画像に基づいて通路9における人物を検出してその通過数を計数し、計数結果を監視装置8に送信する。送信された計数結果は、監視装置8のディスプレイに表示されるとともに、監視装置8のハードディスクに記録される。
【0025】
一方、監視モードにおいて撮像装置1は、自装置が配置される位置の周囲一帯を撮影対象とし、所定の時間周期で監視用画像を取得し、その監視用画像を監視装置8に送信する。送信された監視用画像は、監視装置8のディスプレイに表示されるとともに、監視装置8のハードディスクに記録される。撮像システム100を扱うユーザは、このような監視用画像をリアルタイムで、あるいは、事後的に確認することで店舗内の様子を視覚的に把握できる。
【0026】
<1−2.撮像装置構成>
図2および図3は、撮像装置1の外観構成を示す図である。図2は撮像装置1を下面(Z軸−側)から見た図であり、図3は撮像装置1を正面(Y軸−側)から見た図である。
【0027】
これらの図に示すように、撮像装置1は主として、撮影して画像を取得する撮像部4、および、スリット光La,Lbを照射する2つの投光部3a,3bを備えている。また、撮像装置1の下面側には、動作状態を示す光を発光するLED21、および、音を出力するスピーカ22が配置され(図2参照)、また、正面側には伝送ケーブル80を接続するための通信端子24が配置されている(図3参照)。
【0028】
撮像部4は、撮影を行って二次元の画像を取得するものであり、撮像装置1の略中央部においてハウジング10から下方に突出して配置されている。図に示すように撮像部4は、入射光を結像する光学系となる撮影レンズ41と、撮影レンズ41に結像された光像を信号電荷に光電変換する撮像素子であるCCD42と、必要に応じて撮影用補助光を発光して撮影対象を照明する補助光光源49とを備えている。また、撮像部4の下部には、撮像部4の損傷を防止するための半球状の保護カバー40が設けられている。保護カバー40は、撮影レンズ41へ入射する入射光の性質を変化させないように、アクリル樹脂などの透明材料で構成される。
【0029】
撮影レンズ41は、ズーム機能を備えており、撮影倍率(CCD42に結像する像の倍率)を変更することが可能とされている。また、撮影レンズ41の光軸は、X軸方向およびY軸方向に移動することが可能とされている。以下、撮影レンズ41の光軸をX軸方向に移動させる機能をパン機能、撮影レンズ41の光軸をY軸方向に移動させる機能をチルト機能という。
【0030】
監視モードにおいては、パン機能、チルト機能およびズーム機能により、撮影レンズ41の光軸が移動されるとともに、適宜、撮影レンズ41の撮影倍率が変更される。これにより、時間経過に伴って撮影対象が順次変更されるようになっている。一方、計数モードにおいては、図1に示す領域93のみを撮影するように、撮影レンズ41の光軸は鉛直方向(Z軸−向き)に向けられて固定されるとともに、撮影倍率も所定の倍率に固定される。
【0031】
補助光光源49は、その光軸が撮影レンズ41の光軸と平行となるように、撮影レンズ41の近傍に配置されている。パン機能やチルト機能により撮影レンズ41の光軸が移動された場合は、撮影対象を常に照明できるように、補助光光源49の光軸も撮影レンズ41の光軸と同一方向に移動されるようになっている。
【0032】
2つの投光部3a,3bは、撮像装置1のハウジング10内部におけるX軸方向の両端部に配置されている。また、ハウジング10下面のX軸方向両端部には、スリット光La,Lbをそれぞれ投光するための投光窓となる保護ガラス30a,30bが形成されている。投光部3a,3bはそれぞれ保護ガラス30a,30bから鉛直方向(Z軸−向き)に向けて、スリット光La,Lbを投光する。スリット光La,Lbとしては、被計数体としての人物に意識させないように、非可視光である赤外光線が採用されている。
【0033】
2つのスリット光La,Lbの光軸の位置は、鉛直方向に向けられた撮影レンズ41の光軸の位置に関して対称とされる。したがって、スリット光La,Lbは、計数モードにおける撮像部4の撮影レンズ41の鉛直直下からX軸方向に同一距離離れた位置に照射される。つまり、計数モードにおける撮像部4の撮影レンズ41は、中央ライン92の直上に位置することとなる。
【0034】
図4は、撮像装置1の機能構成を模式的に示すブロック図である。図に示すように、撮像装置1は、上述した撮像部4および投光部3a,3bとともに、撮像部4の制御の一部を担うサブコントロール部5と、装置全体を統括的に制御するメインコントロール部6とを備えている。
【0035】
撮像部4は、撮影レンズ41、CCD42および補助光光源49とともに、フィルタ41a、信号処理回路43、タイミングジェネレータ44、フィルタモータ45、ズームモータ46、パンモータ47およびチルトモータ48を備えている。
【0036】
フィルタ41aは、撮影レンズ41への入射光の光路に配置されることにより、入射光の波長帯を調整する。撮像部4では、光路に配置するフィルタ41aの候補となる複数の種類のフィルタが準備されており、動作モードに応じてそれらが変更される。具体的には、計数モードにおいてはスリット光La,Lbの波長帯の光のみを通過するように赤外光用のバンドパスフィルタがフィルタ41aとして配置され、一方、監視モードにおいては可視光を透過する透明フィルタがフィルタ41aとして配置される。これにより、計数モードで取得される計数用画像は赤外光の強度を示す画像となり、監視モードで取得される監視用画像は可視画像となる。このようなフィルタ41aの変更は、フィルタモータ45の駆動によって行なわれる。
【0037】
信号処理回路43は、CDS回路、ADC回路およびA/D変換器等を有しており、CCD42から出力される信号電荷に所定の処理を行なうとともに、アナログの信号電荷を例えば8ビットのデジタルの画像信号に変換する。変換された画像信号(以下、単に「画像」という。)は、メインコントロール部6に入力される。タイミングジェネレータは、各種のタイミング制御信号を生成し、CCD42および信号処理回路43の動作を制御する。
【0038】
ズームモータ46は撮影レンズ41内のレンズ群を駆動して撮影倍率を変更するモータである。また、パンモータ47は撮影レンズ41(および補助光光源49)の光軸をX軸方向に移動させるモータであり、チルトモータ48は撮影レンズ41(および補助光光源49)の光軸をY軸方向に移動させるモータである。これらのモータにより、ズーム機能、パン機能およびチルト機能が実現される。
【0039】
また、フィルタモータ45、ズームモータ46、パンモータ47およびチルトモータ48はそれぞれ、サブコントロール部5が備えるフィルタドライバ55、ズームドライバ56、パンドライバ57およびチルトドライバ58により駆動制御される。これらの各ドライバは、サブコントロール部5が備えるサブCPU51によって制御される。
【0040】
2つの投光部3a,3bは、同一構成となっており、赤外光の光源となるレーザ32と、レーザ32からの赤外光をスリット光に成形して保護ガラス30a,30bを介して外部へ投光する投影光学系31と、レーザ32の駆動を制御するレーザドライバ33とを備えている。
【0041】
メインコントロール部6は、マイクロコンピュータを備えて構成され、上述した撮像装置1の各部を統括制御する。具体的には、メインコントロール部6は、その本体部となるメインCPU61と、撮像部4から出力された画像や各種データを記憶するRAM62と、制御用プログラムを記憶するROM63と、通信端子24を介して監視装置8等とデータ通信を行なう通信部64と、計時機能を有するタイマ65とを備えている。
【0042】
図に示すように、上述した補助光光源49、タイミングジェネレータ44、サブCPU51、レーザドライバ33、LED21、スピーカ22および通信部64は、メインCPU61に電気的に接続され、メインCPU61の制御下にて動作する。また、タイマ65もメインCPU61に電気的に接続され、計時結果はメインCPU61に出力される。
【0043】
メインコントロール部6では、ソフトウェア的に(すなわち、メインCPU61が、ROM63に記憶された制御用プログラムに従ってRAM62を作業領域として使用しつつ演算処理を行なうことにより)、撮像装置1を統括的に制御する機能を含む各種の機能が実現される。図において、画像処理部611、演算部612、条件判定部613およびモード切替部614は、ソフトウェア的に実現される機能を模式的に示している。
【0044】
画像処理部611は、撮像部4から出力されてRAM62に記憶された画像に対して所定の処理を行なう。演算部612は、画像処理部611に処理された計数用画像に基づいて、通路9における人物を検出しその通過数を計数する処理を行なう。また、条件判定部613は、撮像部4による撮像結果に基づいて特定される事象が、動作モードを切り替えるための所定の基準条件(以下、「切替条件」という。)を満足したか否かを判定する。また、モード切替部614は、切替条件が満足されたとき、撮像装置1の動作モードを計数モードと監視モードとの間で切り替える。
【0045】
<1−3.処理>
図5は、撮像装置1の処理の基本的な流れを示す図である。以下、図5を参照して、撮像装置1の処理の基本的な流れを説明する。
【0046】
撮像装置1が起動されると、まず、その動作モードが計数モードに設定され、計数モードのための初期化処理がなされる。すなわち、撮影レンズ41の光軸は鉛直方向(Z軸−向き)に向けられて固定されるとともに、撮影倍率も所定の倍率に固定される。さらに、投光部3a,3bそれぞれからのスリット光La,Lbの照射が開始され、赤外光用のバンドパスフィルタがフィルタ41aとして配置される(ステップS1)。
【0047】
続いて、通路9における人物を検出してその通過数を計数する計数モード処理がなされる(ステップS2)。この計数モード処理は、動作モードが監視モードに切り替わるまでの間(ステップS4にてNoの間)繰り返される。
【0048】
このように計数モード処理が継続されている間、所定の時間周期でモード切替判定処理がなされる(ステップS3)。このモード切替判定処理においては、条件判定部613により、切替条件が満足されたか否かが判定される。そして、切替条件が満足された場合は、内部フラグであるモード切替フラグがONとされ、一方、切替条件が満足されない場合は、モード切替フラグがOFFとされる。
【0049】
モード切替判定処理の後には、設定されたモード切替フラグがモード切替部614に参照される(ステップS4)。そして、モード切替部614の制御により、モード切替フラグがONの場合は動作モードが監視モードに設定され(ステップS5)、一方、モード切替フラグがOFFの場合は動作モードが計数モードに維持される(ステップS2)。
【0050】
動作モードが監視モードに移行した場合は、まず、監視モードのための初期化処理がなされる。すなわち、投光部3a,3bそれぞれからのスリット光La,Lbの照射が停止され、フィルタ41aとして透明フィルタが配置される(ステップS5)。
【0051】
続いて、店舗内の様子を示す監視用画像を取得する監視モード処理がなされる(ステップS6)。この監視モード処理も、動作モードが計数モードに切り替わるまでの間(ステップS8にてNoの間)継続される。
【0052】
監視モード処理が継続されている間においても、所定の時間周期でモード切替判定処理がなされる。このモード切替判定処理においても条件判定部613により切替条件が満足されたか否かが判定され、その判定結果に応じてモード切替フラグが設定される(ステップS7)。そして、モード切替部614の制御により、モード切替フラグがONの場合は動作モードが計数モードに設定され(ステップS1)、一方、モード切替フラグがOFFの場合は動作モードが監視モードに維持される(ステップS6)。
【0053】
このように、撮像装置1においては、動作中において常にモード切替判定処理がなされ(ステップS3,ステップS7)、切替条件が満足されるごとに、動作モードが、計数モードと監視モードとの間で切り替えられる。つまり、動作中に切替条件を満足するイベントが発生すると、そのイベントの発生をトリガとして動作モードが切り替えられるわけである。計数モードから監視モードへ移行するための切替条件と、監視モードから計数モードへ移行するための切替条件とは相違し、それぞれ独自の条件が設定されているが、詳細は後述する。
【0054】
<1−3−1.計数モード処理>
次に、計数モード処理(図5:ステップS2)の処理内容について説明する。図6は、計数モード処理の流れを示す図である。前述したように、この計数モード処理は、動作モードが監視モードに切り替わるまでの間、繰り返し行なわれる。本実施の形態では、計数モード処理を繰り返す時間周期は1/30(s)に設定されている。
【0055】
計数モード処理にあたっては、まず、撮像部4により領域93の撮影がなされる。撮影によって取得された計数用画像は、RAM62に格納される。計数用画像の各画素の値は、領域93における赤外光の強度を示すことから、領域93においてスリット光La,Lbが照射された位置に対応する画素の値は比較的高くなり、逆に、スリット光La,Lbが照射されていない位置に対応する画素の値は比較的低くなる(ステップS21)。
【0056】
RAM62に格納された計数用画像は、続いて、画像処理部611に処理され、スリット光La,Lbが照射されている位置を示す画像に変換される。すなわち、まず、計数用画像の各画素の値が所定の閾値と比較される。そして、値が所定の閾値以上の画素の値は「1」に変換され、逆に、値が所定の閾値未満の画素の値は「0」に変換される。これにより、計数用画像は、スリット光La,Lbが照射されている位置を「1」、スリット光La,Lbが照射されていない位置を「0」でそれぞれ示す二値の画像に変換される(ステップS22)。
【0057】
次に、二値とされた計数用画像に基づいて、演算部612によって、通路9における人物を検出し、その通過数を計数する人物計数処理がなされる(ステップS23)。人物計数処理においては、直前に得られた計数用画像のみならず、過去に得られた計数用画像も参照される。
【0058】
図7ないし図9は、二値とされた計数用画像の例を示している。以下、図7ないし図9を参照して、人物計数処理(図6:ステップS23)について説明する。なお、計数用画像70の横方向は、被写体におけるY軸方向(通路9の幅方向)に対応し、計数用画像70の中心位置70cは撮影レンズ41の光軸位置(すなわち、撮像部4の鉛直直下)に対応している。また、以下の説明では、計数用画像70における方向および向きを示す際には、被写体の座標系と同一のものを用いる。すなわち、図7ないし図8に示すように、計数用画像70の縦方向をX軸方向とし、計数用画像70の横方向をY軸方向とする。
【0059】
図7ないし図9に示すように、計数用画像70には、第1監視ライン91aに向けて照射された第1スリット光Laを示す像(以下、「第1スリット光像」という。)71a、および、第2監視ライン91bに向けて照射された第2スリット光Lbを示す像(以下、「第2スリット光像」という。)71bがそれぞれ含まれている。
【0060】
通路9の監視ライン91a,91b上に人物が存在しなければ、図7に示すように、計数用画像70中のスリット光像71a,71bは、監視ライン91a,91bに相当する位置(以下、「初期位置」という。)に沿った直線形状となる。
【0061】
一方、監視ライン91a,91b上に人物が存在する場合は、人物によってスリット光が遮断されるため、図8および図9に示すように、スリット光像71a,71bの形状が直線形状から変化する。すなわち、スリット光像71a,71bのうち人物が存在する位置に相当する部分は、初期位置よりも画像の端部側に現れる。図8は、第1監視ライン91a上に人物が存在しているときの計数用画像70を示しており、図9は、第2監視ライン91b上に人物が存在しているときの計数用画像70を示している。人物計数処理においては、このようなスリット光像71a,71bの形状の変化に基づいて、人物の存在を検出することができるわけである。
【0062】
また、人物計数処理においては、スリット光像71a,71bの形状が変化した順番によって、人物の進行方向(進行の向き)も求められる。例えば、図8に示す計数用画像70が取得された後、図9に示す計数用画像70が取得された場合は、人物が第1監視ライン91aを通過した後、第2監視ライン91bを通過した場合であるため、人物の進行方向はX軸+向きであると判定される。逆に、図9に示す計数用画像70が取得された後、図8に示す計数用画像70が取得された場合は、人物の進行方向はX軸−向きであると判定される。
【0063】
人物計数処理においては、このようにして人物の存在およびその進行方向が検出される。しかしながら、以上のアルゴリズムのみでは、人物以外の物体が監視ライン91a,91bを通過した場合であっても、その物体が誤って人物として検出されるおそれがある。このため、人物検出処理においては、スリット光La,Lbを遮断したもの(以下、「遮断体」という。)の速度およびサイズが、計数用画像70に基づいて導出されるようになっている。
【0064】
図10および図11は、通路9における領域93(図1参照)の上部の空間を示す図であり、図10はY軸−側からの様子、図11はX軸+側からの様子をそれぞれ示している。以下、これらの図を参照しつつ、遮断体の速度およびサイズを導出する手法について説明する。
【0065】
なお、この説明では簡単のため、遮断体Obは立方体であるものとし、その速度をv、高さをh、X軸方向の長さ(以下、「奥行」という。)をd、Y軸方向の長さ(以下、「幅」という。)をwでそれぞれ表現する。また、図10に示すように、撮像部4の撮影レンズ41の地表面からの高さ(以下、「撮像高さ」という。)をH(m)、2つの監視ライン91a,91b間の距離をDa(m)、中央ライン92から監視ライン91a,91bまでの距離をDb(=Da/2)(m)とそれぞれ表現する。さらに、図11に示すように、撮像部4のY方向の画角をθy(rad)、領域93(撮像部4が画角θyで撮影する領域)のY方向の長さ(以下、「撮像幅」という。)をWH(m)とそれぞれ表現する。これら撮像高さH、距離Da、距離Db、画角θyおよび撮像幅WHはそれぞれ予め求められている。
【0066】
遮断体の速度vは、一方のスリット光像の形状が直線形状から変化してから、他方のスリット光像の形状が直線形状から変化するまでに得られる計数用画像70の数(以下、「第1フレーム数」という。)に基づいて求められる。すなわち、計数用画像70は1/30(s)ごとに得られるため、第1フレーム数をf1とすると、遮断体の速度v(m/s)は次の式(1)で求めることができる。
【0067】
v=Da/(f1/30) …(1)
なお、一方のスリット光像の形状が直線形状から変化し、該スリット光像のその形状が所定の時間以上維持された場合は、遮断体は停止していると判定され、遮断体の速度vは「0」とされる。
【0068】
遮断体の高さhは、スリット光像の初期位置からの離間量に基づいて求められる。例えば図10に示すように、遮断体Obが第1スリット光Laを遮断した場合を想定し、撮像部4の撮影レンズ41と、遮断体Obの上端部を第1スリット光Laが照射する位置P1とを結ぶ直線SLが、地表面と交わる位置をP2とする。
【0069】
この場合、計数用画像70中においては、第1スリット光像71aのうち遮断体Obが存在する位置に対応する部分(以下、「離間部分」という。)は、位置P2に相当する位置に現れる。このため、第1監視ライン91aと位置P2との距離をDcとすると、距離Dcは計数用画像70中におけるスリット光像71aの離間部分の初期位置からの最大の離間量(離間部分と初期位置との最大距離:図8における長さDd)から求めることができる。
【0070】
そして、図10に示すように、遮断体の高さh、撮像高さH、距離Dcおよび距離Dbの間には、次の式(2)の関係がある。
【0071】
h:Dc=H:(Dc+Db) …(2)
したがって、遮断体の高さh(m)は、次の式(3)で求めることができる。
【0072】
h=(Dc/(Dc+Db))・H …(3)
遮断体の奥行dは、一方のスリット光像の形状が直線形状から変化してから、該スリット光像の形状が直線形状に戻るまでに得られる計数用画像70の数(以下、「第2フレーム数」という。)、および、速度vに基づいて求められる。すなわち、第2フレーム数をf2とすると、遮断体の奥行d(m/s)は次の式(4)で求めることができる。
【0073】
d=(f2/30)・v …(4)
遮断体の幅wは、スリット光像の離間部分の長さに基づいて求められる。例えば、図11に示すように、遮断体Obの上端部に照射されたスリット光が、地表面に到達した場合におけるY軸方向の長さをWsとする。この長さWsは、計数用画像70中のスリット光像のうち、初期位置からの離間量が最大となる部分のY軸方向の長さ(図8における長さWd)から求めることができる。
【0074】
また、図11に示すように、遮断体Obの高さ位置におけるY軸方向の撮影可能な範囲の長さをWhとすると、この長さWh(m)は、次の式(5)で求めることができる。
【0075】
Wh=2・(H−h)・tan(θy/2) …(5)
そして、図11に示すように、遮断体の幅w、長さWh、長さWsおよび撮像幅WHには、次の式(6)の関係がある。
【0076】
w:Wh=Ws:WH …(6)
したがって、遮断体の幅w(m)は、次の式(7)で求めることができる。
【0077】
w=(Wh/WH)・Ws …(7)
以上の手法によって、計数用画像70に基づいて遮断体の速度v、高さh、奥行dおよび幅wを求めることができる。人物検出処理においては、スリット光像71aの形状の変化により遮断体が検出されると、その遮断体の速度v、高さh、奥行dおよび幅wが上記手法によって求められる。一般に、遮断体が人物であれば、速度v、高さh、奥行dおよび幅wはそれぞれ所定の範囲内の値となる。このため、本実施の形態では、導出された速度v、高さh、奥行dおよび幅wの全てが所定の範囲内の値となる場合のみ、その遮断体を人物として判定する。そして、そのようにして人物と判定された遮断体の数が、通路9における通過数として計数されることとなる。このような通過数は、人物の進行方向ごとに計数される。
【0078】
このようにして人物検出処理においては、人物の通過数とともに、遮断体(人物)の進行方向、速度v、高さh、奥行d、幅wが求められる。このような演算部612による人物検出処理は、通路9における移動体の状態を示す状態変数を導出する処理であるともいえる。すなわち、状態変数には、上述した通過数、速度vおよびサイズ(高さh、奥行d、幅w)が含まれる。
【0079】
図6に戻り、人物計数処理が完了すると、計数された通過数は監視装置8に送信され、監視装置8のディスプレイに表示される(ステップS24)。
【0080】
<1−3−2.モード切替判定処理>
次に、動作モードを計数モードから監視モードに切り替えるための切替条件が満足されたか否かを判定するモード切替判定処理(図5:ステップS3)について説明する。図12は、モード切替判定処理の流れを示す図である。本実施の形態のモード切替判定処理においては、人物計数処理の結果が参照される。
【0081】
すなわちまず、単位時間あたりの人物の通過数が参照され、その通過数が異常でないか否かが判定される(ステップS31)。具体的には、単位時間あたりの人物の通過数と所定の基準値とが比較され、所定の基準値を超える場合は、その通過数が異常であると判定される。そして、通過数が異常である場合はモード切替フラグがONに設定される(ステップS35)。
【0082】
通過数が異常でない場合は、続いて、遮断体の速度が異常でないか否かが判定される(ステップS32)。具体的には、遮断体の速度と所定の基準値とが比較され、所定の基準値を超える場合は、その速度が異常であると判定される。また、遮断体の速度が「0」である場合も速度が異常であると判定される。そして、遮断体の速度が異常である場合はモード切替フラグがONに設定される(ステップS35)。
【0083】
速度が異常でない場合は、続いて、遮断体のサイズが異常でないか否かが判定される(ステップS33)。具体的には、遮断体の高さ、奥行、幅がそれぞれ対応する所定の基準値と比較され、いずれかが所定の基準値を超える場合は、そのサイズが異常であると判定される。そして、遮断体のサイズが異常である場合はモード切替フラグがONに設定される(ステップS35)。
【0084】
また、遮断体のサイズが異常でない場合、すなわち、人物の通過数、遮断体の速度および遮断体のサイズのいずれもが異常でない場合は、モード切替フラグがOFFに設定される(ステップS34)。
【0085】
このように、モード切替判定処理では、人物の通過数、遮断体の速度および遮断体のサイズのいずれかが異常であった場合は、切替条件が満足されたとして、モード切替フラグがONに設定される。前述したように、モード切替フラグがONの場合は、動作モードが計数モードから監視モードに切り替えられる。したがって、人物の通過数、遮断体の速度および遮断体のサイズのいずれかが異常であった場合は、動作モードが計数モードから監視モードに切り替えられ、これにより、店舗内の様子が視覚的に把握可能な可視画像である監視用画像が撮像装置1に取得されることとなる。
【0086】
単位時間あたりの人物の通過数が所定の基準値を超える場合とは、店舗内に想定以上の顧客が入場した場合などである。このような場合は、店舗内の混雑具合を把握することが好ましい。このため、この場合に動作モードが監視モードに切り替わることで、店舗内の様子を視覚的に把握することができ、混雑具合を容易に把握できる。
【0087】
また、遮断体の速度が所定の基準値を超える場合には、人物以外の動物などが店舗内に進入した可能性や、疾走する人物が存在する可能性がある。一方、遮断体の速度が「0」である場合には、なんらかの物体が通路9に載置され、通路9における顧客の通行を妨げている可能性がある。このような動物、疾走する人物、通路を遮る物体などは、顧客への迷惑となる。したがって、この場合に、動作モードが監視モードに切り替わることで、店舗内の様子を視覚的に把握することができ、店舗内になんらかの動物や異常な人物が進入していないか、あるいは、物体が通路に載置されていないかなどを容易に把握できる。
【0088】
また、遮断体の高さ、奥行、幅がそれぞれ対応する所定の基準値を超える場合には、人物以外の動物や物体などが店舗内に進入した可能性がある。このような動物や物体などは、顧客への迷惑となる可能性があるため、この場合に、動作モードが監視モードに切り替わることで、店舗内の様子を視覚的に把握することができ、店舗内になんらかの動物や物体が進入していないかを容易に把握できる。
【0089】
つまり、通路における移動体の状態が異常の場合などに、撮像装置1の動作モードを計数モードから監視モードに切り替えることで、その移動体の様子を可視画像により詳しく観察できるわけである。
【0090】
<1−3−3.監視モード処理>
次に、監視モード処理(図5:ステップS6)の処理内容について説明する。監視モード処理においては、所定の時間周期で店舗内の様子を示す監視用画像が取得され、この監視用画像が監視装置8に送信され、監視装置8のディスプレイに表示される。撮影時においては、撮像装置1のパン機能、チルト機能およびズーム機能が駆使され、撮影レンズ41の光軸が移動されるとともに、適宜、撮影レンズ41の撮影倍率が変更される。これにより、時間経過に伴って撮影対象が順次変更されつつ撮影が行なわれるため、撮像装置1が配置される周辺一帯の様子を容易に把握することができることとなる。
【0091】
監視モード処理の間になされるモード切替判定処理(図5:ステップS7)においては、動作モードが監視モードに移行してからの時間が所定時間を経過したか否かが切替条件として判定される。そして、監視モードに移行してからの時間が所定時間を経過した場合は、モード切替フラグがONとされ、動作モードが監視モードから計数モードに移行することとなる。
【0092】
以上、第1の実施の形態について説明したように、本実施の形態の撮像システム100においては、切替条件が満足されたとき、撮像装置1の動作モードが計数モードと監視モードとの間で切り替えられる。このため、撮像システム100を移動体の検出用と、観察用との双方の用途に使用することができ、その結果、店舗などにおける撮像システムの導入コストを抑制することができる。
【0093】
また、通路9における遮断体(移動体)の状態を示す通過数、速度、サイズなどの状態変数が導出され、この状態変数が異常となる場合(すなわち、状態変数が基準値を超えるなどの所定の条件を満足する場合)は、撮像装置1の動作モードが計数モードから監視モードに切り替えられる。これにより、異常とされた移動体の様子を可視画像により詳しく観察することができる。
【0094】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、動作モードを計数モードから監視モードに切り替えるための切替条件のみが第1の実施の形態と相違する。本実施の形態では、モード切替判定処理において、遮断体の状態変数ではなく、タイマ65の計時結果が参照される。
【0095】
図13は、本実施の形態のモード切替判定処理(図5:ステップS3)の流れを示す図である。本実施の形態のモード切替判定処理では、まず、条件判定部613によりその時点の日時(以下、「現在日時」)がタイマ65から取得される。続いて、現在日時が、予め設定された設定日時と一致するか否かが判定される(ステップST31)。この設定日時は、撮像システム100の管理者等により予め設定されてRAM62やROM63に記憶されている。設定日時は、日付、曜日、時、分、秒のいずれで定義されるものであってもよい。
【0096】
そして、現在日時が設定日時と一致した場合は、モード切替フラグがONとされ(ステップST33)、一方、現在日時が設定日時と一致しない場合は、モード切替フラグがOFFとされる(ステップST32)。したがって、現在日時が設定日時と一致した場合に、動作モードが計数モードから監視モードに移行する。
【0097】
このように本実施の形態では、タイマ65の計時結果が所定の条件を満足したとき、動作モードが計数モードから監視モードに移行する。これにより、定められた時間における移動体の様子を詳しく観察できることとなる。例えば、予め混雑する時間帯の開始時間が分かっている場合は、その開始時間を設定時間とすることで、その開始時間になったときに店舗内の様子を迅速に把握することができる。
【0098】
<3.第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態においても、動作モードを計数モードから監視モードに切り替えるための切替条件のみが第1の実施の形態と相違する。本実施の形態では、モード切替判定処理において、遮断体の状態変数のうち人物の通過数のみが参照される。
【0099】
図14は、本実施の形態のモード切替判定処理(図5:ステップS3)の流れを示す図である。本実施の形態のモード切替判定処理では、まず、人物の通過数が参照され、この通過数が「1」以上であるか否かが判定される。通過数が「1」以上であるか否かを判定することは、通路9において人物が存在するか否かを判定することに実質的に相当する(ステップSP31)。
【0100】
そして、通過数が「1」以上である場合、すなわち、人物の存在が検出された場合は、モード切替フラグがONとされ(ステップSP33)、一方、通過数が「0」である場合、すなわち、人物の存在が検出されない場合は、モード切替フラグがOFFとされる(ステップSP32)。したがって、人物の存在が検出された場合に、動作モードが計数モードから監視モードに移行する。
【0101】
このように、本実施の形態では通路9において人物が存在したときに、動作モードが計数モードから監視モードに移行する。これにより、その人物の様子を可視画像により詳しく観察できる。
【0102】
このような本実施の形態の切替条件は、店舗の営業時間外(夜間など)において採用することが好ましい。一般に、店舗の営業時間外においては、通路9を人物が通過することはあり得ないが、この場合において人物の存在を検出したときは、その人物は不審人物の可能性が高い。したがって、この場合に、動作モードを計数モードから監視モードに移行することで、その人物の様子を監視用画像として記録しておくことができる。これにより、撮像システム100を営業時間外における店舗内の防犯用に効果的に使用できる。
【0103】
<4.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0104】
例えば、上記実施の形態の撮像システム100においては、人物計数処理およびモード切替判定処理が撮像装置1においてなされていたが、これらの処理は監視装置8においてなされるようになっていてもよい。この場合は、監視装置8のCPUが所定のプログラムに従って演算処理を行なうことにより、図4に示す演算部612、条件判定部613およびモード切替部614と同様の機能が実現される。
【0105】
また、動作モードを計数モードから監視モードに移行する処理と同期して、補助光光源49が撮影用補助光を発光して、撮影対象の照明を開始するようにしてもよい。これによれば、監視モードにおける撮影時に撮影対象が照明されることから、撮影対象の様子をより正確に示す鮮明な監視用画像を得ることができる。
【0106】
また、切替条件が満足されたときには、スピーカ22から所定の音を発したり、LED21を点滅させるなどして、警告を出力するようにしてもよい。例えば、上記第1の実施の形態や第3の実施の形態では、何らかの異常があるときに切替条件が満足されるが、このときに警告を出力することで、異常であることを明瞭に示すことができる。
【0107】
状態変数としては、移動体の通過数、速度、サイズなどを直接に示す値だけではなく、たとえば、各移動体の速度の均一性を示す値など、上記の量に依存した値一般を利用可能である。
【0108】
また、上記実施の形態において移動体は人物であったが、荷物などの物体、自動車などの乗り物、動物など、所定の領域を移動するものであれば、どのようなものであってもよい。
【0109】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1ないし9の発明によれば、撮像手段が、移動体の検出に用いる第1画像を取得する第1モードと、監視用の可視画像としての第2画像を取得する第2モードとを有し、適宜、動作モードが切り替えられる。このため、撮像システムを移動体の検出用と、観察用との双方の用途に使用できる。
【0110】
また特に、請求項2の発明によれば移動体の状態が異常の場合などに、撮像手段の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えることで、移動体の様子を可視画像により詳しく観察できる。
【0111】
また特に、請求項3の発明によれば、移動体の通過数が異常の場合などに、撮像手段の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えることで、移動体の様子を可視画像により詳しく観察できる。
【0112】
また特に、請求項4の発明によれば、移動体の速度が異常の場合などに、撮像手段の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えることで、移動体の様子を可視画像により詳しく観察できる。
【0113】
また特に、請求項5の発明によれば、移動体のサイズが異常の場合などに、撮像手段の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えることで、移動体の様子を可視画像により詳しく観察できる。
【0114】
また特に、請求項6の発明によれば、計時結果に応じて撮像手段の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えることで、定められた時間における移動体の様子を詳しく観察できる。
【0115】
また特に、請求項7の発明によれば、移動体が存在するとき、撮像手段の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えることで、移動体の様子を可視画像により詳しく観察できる。
【0116】
また特に、請求項8の発明によれば、撮影対象を照明するため、第2モードにおいて鮮明な第2画像を得ることができる。
【0117】
また特に、請求項9の発明によれば、移動体の状態が異常の場合などに警告を出力することで、異常であることを明瞭に示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】撮像システムの概略構成を示す斜視図である。
【図2】撮像装置を下面から見た図である。
【図3】撮像装置を正面から見た図である。
【図4】撮像装置の機能構成を模式的に示すブロック図である。
【図5】撮像装置の処理の基本的な流れを示す図である。
【図6】計数モード処理の流れを示す図である。
【図7】計数用画像の例を示す図である。
【図8】計数用画像の例を示す図である。
【図9】計数用画像の例を示す図である。
【図10】通路を示す図である。
【図11】通路を示す図である。
【図12】第1の実施の形態のモード切替判定処理の流れを示す図である。
【図13】第2の実施の形態のモード切替判定処理の流れを示す図である。
【図14】第3の実施の形態のモード切替判定処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
1 撮像装置
8 監視装置
9 通路
70 計数用画像
100 撮像システム
613 条件判定部
614 モード切替部
La,Lb スリット光
Claims (9)
- 撮像システムであって、
所定の領域における移動体の検出用の画像としての第1画像を取得する第1モードと、観察用の可視画像としての第2画像を取得する第2モードとを、動作モードとして有する撮像手段と、
所定の基準条件が満足されたとき、前記撮像手段の動作モードを前記第1モードと前記第2モードとの間で切り替える制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像システム。 - 請求項1に記載の撮像システムにおいて、
前記第1画像に基づいて、前記移動体の状態を示す状態変数を導出する手段、をさらに備え、
前記制御手段は、
前記状態変数が所定の条件を満足したとき、前記撮像手段の動作モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替えることを特徴とする撮像システム。 - 請求項2に記載の撮像システムにおいて、
前記状態変数は、前記所定の領域における前記移動体の通過数に依存した値を含むことを特徴とする撮像システム。 - 請求項2に記載の撮像システムにおいて、
前記状態変数は、前記移動体の速度に依存した値を含むことを特徴とする撮像システム。 - 請求項2に記載の撮像システムにおいて、
前記状態変数は、前記移動体のサイズに依存した値を含むことを特徴とする撮像システム。 - 請求項1に記載の撮像システムにおいて、
計時する計時手段、
をさらに備え、
前記制御手段は、
前記計時手段による計時結果が所定の条件を満足したとき、前記撮像手段の動作モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替えることを特徴とする撮像システム。 - 請求項1に記載の撮像システムにおいて、
前記第1画像に基づいて、前記所定の領域における前記移動体の存在を検出する手段、
をさらに備え、
前記制御手段は、
前記移動体の存在が検出されたとき、前記撮像手段の動作モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替えることを特徴とする撮像システム。 - 請求項1ないし7のいずれかに記載の撮像システムにおいて、
前記制御手段が、前記撮像手段の動作モードを前記第1モードから前記第2モードへ切り替える処理と同期して、前記撮像手段の撮影対象の照明を開始する照明手段、
をさらに備えることを特徴とする撮像システム。 - 請求項1ないし8のいずれかに記載の撮像システムにおいて、
前記所定の基準条件が満足されたとき、警告を出力する警告手段、
をさらに備えることを特徴とする撮像システム。
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-
2003
- 2003-07-01 JP JP2003189688A patent/JP2005026980A/ja active Pending
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