JP2005025016A - 合分波器 - Google Patents

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Koichi Hadama
恒一 葉玉
Takeshi Sakamoto
健 坂本
Yoshimitsu Arai
芳光 新井
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Abstract

【課題】伝播ビームを多重反射させる方式により、特定の波長のビームを複数の光伝送路に対して抽出又は挿入する合分波器のコスト増大を抑える。
【解決手段】ガウシアンビームが光反射集光素子108-110に入反射し、その反射ビームが波長選択素子105-107に入反射し、波長選択素子からの反射ビームが前記とは別の光反射集光素子に入反射する合分波器であって、光反射集光素子と波長選択素子が、平行に対向する二つの仮想平面111,112上に配置されており、波長選択素子からの反射ビームは、二つの仮想平面で反射を繰り返しながら伝搬する多重反射ビームとなり、一つの波長選択素子から仮想平面の反射を経て隣接する別の波長選択素子に至る光路長が何れも等しく、ビームは、合分波器外部から光反射集光素子からの反射を経て入力されるか、或いは、光反射集光素子からの反射を経て合分波器外部へ波長多重光信号として伝播するように構成されることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に用いられる合分波器に関するものであり、より詳細には、波長多重光伝送などで利用され、複数の光伝送路を有する装置において、特定の波長の光信号を、各光伝送路に対して抽出又は挿入することを可能とする合分波器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の、波長多重伝送技術の発展に伴い、複数の光伝送路(ポート)をもつ機能デバイスに注目が集まっている。
【0003】
特に、一つの共通ポート(コモンポート)と複数の入出力ポート(チャネルポート)を有し、それぞれのチャネルポートから、特定の波長の光信号を抽出又は挿入することができる合分波素子は、小型低コスト化、低損失化などの特性を実現するために、多様な方式及び構造のものが提案されている。
【0004】
合分波器に関する技術の例を図11に示す(特許文献1参照)
この合分波器は、図11に具体的に示されているように、光学ブロックの表面に、特定の波長の光線のみを透過させ、それ以外の波長の光線を反射させる波長特定フィルタ01〜04を複数配置し、光学ブロックの別の表面に収束リフレクタ05〜07を複数形成する構成となっている。
【0005】
また、各波長特定フィルタ01〜04から反射される光線を、収束リフレクタ05〜07を利用して、他の波長特定フィルタ01〜04に向かって再収束させ、リレー式に光線を伝播させる方式を採用している。
【0006】
従って、入射光012のうちの特定波長は、各波長特定フィルタ01〜04で反射され、その光線が収束リフレクタ05〜07により反射され、他の波長特定フィルタ01〜04に向かって再収束する。
【0007】
一方、各波長フィルタ01〜04を透過した光線は、各波長特定フィルタ01〜04ごとに用意された検出器08〜011又は光ファイバにおいて、単一波長の光信号として検出される。
【0008】
この合分波器を分波器として利用する場合は、合分波器内部にビームを出射する出射点は一つに限られていた。
【0009】
また、分波されたビームを受光する部品がマルチモードファイバやフォトダイオードなどの比較的受光径が大きい場合は、伝播光軸ずれに対する許容誤差はそれほど厳しくなかった。
【0010】
しかし、以下のような場合にはチャネル数増大にともなう最適設計コスト、設計どおりの部品を入手・製造するコスト、部品を設計どおりにアライメントする実装コストが増大してしまうという問題があった。
1)シングルモードファイバ(SMF)へ伝播ビームを入力又は出力させる場合、SMFのモード径が比較的小さいため、伝播光軸のずれに対して急激に結合効率が低下する。
【0011】
従って、結合効率を低下させないためには、光学ブロックを設計どおりに精度よく製造する必要があり、製造コストが増大するという問題があった。
【0012】
同様に、各チャネルに配置するレンズ系やSMFも設計どおりに精度よく実装する必要があるため、部品実装コストが増大するという問題があった。
2)また、合波器として利用する場合、合分波器内部にビームを出射する出射点が複数存在し、出射点とその直近レンズ系の相対的な位置ずれは伝播光軸ずれに大きな影響を与える。
【0013】
従って、結合効率を低下させないためには、複数の出射点を設計どおりに精度よくアライメントする必要があり、チャネル数の増大に伴いアライメント作業量も増大するため、部品実装コストが増大するという問題があった。
【0014】
【特許文献1】
特開2000−162466号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上述べたような課題、即ち、合分波器内部の伝播ビームを多重反射させる方式により、特定の波長のビームを、複数の光伝送路に対して抽出又は挿入する場合に発生する、
1)部品製造コスト増大
2)部品実装コスト増大
などの課題を解決することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
(1)第1の発明はガウシアンビーム等の光線(以下、単にガウシアンビームという)が、特定の位置にビームウェストを形成するように反射させる光反射集光素子に入反射し、上記光反射集光素子からの反射ビームが、特定の波長域のビームを透過させそれ以外の波長域のビームを反射させる波長選択素子に入反射し、上記波長選択素子からの反射ビームが、前記光反射集光素子とは別の光反射集光素子に入反射するように光学設計されている合分波器であって、前記光反射集光素子と前記波長選択素子は、平行に対向する二つの仮想平面上に配置されており、波長選択素子からの反射ビームは、二つの仮想平面で反射を繰り返しながら伝搬する多重反射ビームとなり、一つの波長選択素子から仮想平面の反射を経て隣接する別の波長選択素子までに入射する多重反射ビームの光路長が何れも等しく、上記多重反射ビームは、合分波器外部から少なくとも一つの光反射集光素子からの反射を経て入力されるか、或いは、少なくとも一つの光反射集光素子からの反射を経て合分波器外部へ波長多重光信号として伝播するように構成されることを特徴とする合分波器である。
【0017】
ここで、「ガウシアンビーム」とは、一般的にいえば、強度分布がガウス分布であることを特徴としており、ビーム光軸、ビームウェスト位置、スポットサイズ、ビーム波面曲率半径などを正確に定義できる単一モードのガウシアンビームのことを指している。
【0018】
従って、端面発光型レーザダイオードやシングルモードファイバから出射されるビームは単一モードのガウシアンビームとして扱えるが、面発光型レーザダイオードやマルチモードファイバから出射されるビームは、厳密には単一モードのガウシアンビームとして扱うことはできない。
【0019】
しかし、これらのビームも、場合によっては単一モードのガウシアンビームを出射する点光源の重ね合わせとして扱うことも可能である。
【0020】
よって、本発明におけるガウシアンビームは、対象とする光学系のそれぞれの場合に応じて、単一モードガウシアンビームの特徴を有するビームとみなすことができるような、広義のビームを想定している。
【0021】
ガウシアンビームの複素ビームパラメータ(q)とは、波長(λ)、円周率(π)、ビームウェストからの距離(z)、スポットサイズ(w(z))、ビーム波面曲率半径(R(z))を用いて下式(1)のように表現され、ガウシアンビームの特性を示すw(z)とR(z)を、一つの複素数(q)で表示することができるものとして知られている。
【0022】
1/q=1/R(z)−iλ/(π−w(z)) …(1)
以降の詳細説明の便宜のため、合分波器外部からの信号を、ガウシアンビームとして内部に出射する部分を「出射点」、合分波器内部の伝播ビームを受光し、外部に信号として伝える部分を「受光点」、出射点、及び、出射点からのビームを効率よく合分波器内部に伝播させるためのレンズ系から構成される部品を「送信ポート」、受光点、及び、合分波器内部の伝播ビームを効率よく受光点に結合させるためのレンズ系から構成される部品を「受信ポート」、単一波長の光信号を入出力するための送信又は受信ポートを「チャネルポート」、波長多重化された光信号を入出力するための送信又は受信ポートを「コモンポート」と定義する。
【0023】
出射点又は受光点の具体例としては、シングルモードファイバの端面、マルチモードファイバの端面、先球ファイバの先端などが考えられる。
【0024】
また、出射点にはレーザダイオード、受光点にはフォトダイオードを利用し、合分波器外部に入出力する信号を電気信号とすることもできる。
【0025】
送信ポート又は受信ポートを構成するレンズ系の具体例としては、ポールレンズ、平凸レンズ、両凸レンズ、非球面レンズ、GRINレンズなどの光学レンズ、及び、それらの光学レンズが複数組み合わせられたものが考えられる。
【0026】
波長選択素子の具体例としては、特定の波長を固定して利用する場合は、誘電体多層膜を利用したバンドパスフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタなどが考えられる。
【0027】
また、透過させる波長は外部からの制御によりそれぞれ独立に変化させてもよい。
【0028】
その場合は、電気光学効果又は熱光学効果を利用した波長可変フィルタ、MEMS技術を利用したエタロンフィルタなどが考えられる。
【0029】
また、波長選択素子が透過させる波長帯が、入射光線の全ての波長帯を含む場合も考えられ、その場合は光学的な透過窓に相当する。
【0030】
逆に、入射光線の全ての波長帯を透過させない場合は、平面ミラーと同等の機能を有する。
【0031】
光反射集光素子の具体例としては、凹面ミラー、平凸レンズの平面側の表面に反射膜を形成したもの、フレネルレンズの原理を応用したフレネルミラーなど一が考えられる。
【0032】
上記の部品群の配置を決定するため、平行に対向させられた二つの平面を考え「仮想平面」と定義する。
【0033】
送信ポートから出射されたビームが、仮想平面を透過し、受信ポートに伝播されるように、送信ポート、受信ポートが配置されており、少なくとも一組の送信ポートと受信ポートについては、送信ポートから出射されたビームが二つの仮想平面の間をジグザグ状に反射する「多重反射ビーム」となり、そのビームが受信ポートに伝播されるように配置されており、多重反射ビームの仮想平面における反射点には、波長選択素子、光反射集光素子、平面状の反射面のいずれかの「制御素子」が配置されている。
【0034】
前記波長多重光信号が伝播しているビームの光路のうち、コモンポートと、コモンポートにもっとも近接しているチャネルポート(以下、「最近接チャネルポート」と呼ぶ)とを光学的に結合する光路に注目する。
【0035】
当該光路上に配置されている制御素子の全体を「ビーム制御系」、また、多重反射ビームの光路上において、隣接する波長選択素子の間に配置されている制御素子の全体を「リレイ光学系」と定義する。
【0036】
更に、チャネルポート直近の波長選択素子の表面を「チャネルポート基準面」とし、チャネルポートから出射、又は、チャネルポートに入射するビームの、チャネルポート基準面上の複素ビームパラメータを「チャネルビームパラメータ」とする。
【0037】
また、コモンポート直近の仮想平面のうち、コモンポートから出射、又は、コモンポートに入射する伝搬ビームが透過する微小平面を「コモンポート基準面」、前記伝搬ビームのコモンポート基準面における複素ビームパラメータを「コモンビームパラメータ」とする。
【0038】
対向させられた二つの仮想平面の間の領域は、伝播ビームが多重反射する領域であるが、空間中をビームが多重反射する場合は、複数の制御素子が表面に形成されたアレイ素子搭載ブロックを二つ用意し、それらを平行に対向させる構成が考えられる。
【0039】
ガラス又は透明樹脂などの媒質中をビームが多重反射する場合は、ガラス又は透明樹脂などで形成された平板状の光導波ブロックの両方の表面に、複数の制御素子を形成する構成が考えられる。
【0040】
本発明の分波動作の原理は以下のとおりである。
【0041】
コモンポートは送信ポートであり、複数のチャネルポートは受信ポートであり、コモンポートから出力された波長多重光信号が、それぞれの波長選択素子が透過させる波長域に応じて、複数のチャネルポートに分波される。
【0042】
即ち、送信ポートから出射されたビームは、仮想平面を通過して、第一の波長選択素子に到達する。
【0043】
ビームが第一の波長選択素子に到達するまでに、複数の制御素子からの反射を経ることもある。
【0044】
第一の波長選択素子において、特定の波長域のビームは透過され、受信ポートに向けて出射される。
【0045】
それ以外の波長域のビームは反射され、対向する仮想平面の別の制御素子に届けられ、更に反射を繰り返すことで第二の波長選択素子に到達する。
【0046】
以上のような動作を繰り返しおこなうように、送受信ポートの設置位置と設置角度、仮想平面に配置された制御素子を光学設計する。
【0047】
また、本発明の合波動作の原理は以下のとおりである。
【0048】
複数のチャネルポートは送信ポートであり、コモンポートは受信ポートであり、チャネルポートから出力された複数の単一波長の光信号が、それぞれの波長選択素子が透過させる波長域に応じて、コモンポートに合波される。
【0049】
即ち、第一の送信ポートから出射されたビームは、第一の仮想平面上に形成された第一の波長選択素子に到達する。
【0050】
第一の波長選択素子において、特定の波長域のビームは透過され、第二の仮想平面上に形成された制御素子に向けて出射される。
【0051】
それ以外の波長域のビームは反射され合波されることはない。
【0052】
第二の仮想平面に到達した前記透過ビームは多重反射ビームとなり、第二の波長選択素子に到達するが、到達までには、少なくとも一つの光反射集光素子からの反射を経る。
【0053】
前記多重反射ビームは、第二の送信ポートから出射され第二の波長選択素子を透過するビームと合波され、再び多重反射ビームとなり、第三の波長選択素子に到達する。
【0054】
以上のような動作を繰り返しおこなうように、送受信ポートの設置位置と設置角度、仮想平面に配置された制御素子を光学設計する。
【0055】
第1の発明が奏する作用・効果は以下のとおりである。
【0056】
効果1−1)コモンポートと最近接チャネルポートとを光学的に結合する光路上に光反射集光素子がない場合、即ち、ビーム制御系に光反射集光素子がない場合は、最近接チャネルポートに対応するチャネルビームパラメータとコモンビームパラメータは連動して変化し、これらを独立に制御することはできないが、ビーム制御系に光反射集光素子を導入することで、以下のような光学設計が可能となる。
【0057】
ビーム制御系の光反射集光素子は、伝播ビームのスポットサイズ(W)を維持しつつ、ビーム波面曲率半径(R)を変換することができる。
【0058】
従って、前記光反射集光素子から最近接チャネルポート基準面(又はコモンポート基準面)までの距離に応じ、前記光反射集光素子の光学パラメータを適当に設計することで、最近接チャネルポート基準面(又はコモンポート基準面)における伝播ビームのwとRのどちらか一方を特定の範囲内で制御することができる。
【0059】
よって、コモンポートが送信ポートでチャネルポートが受信ポートである場合、サイズ上、コスト上、製造技術上などの制約から、コモンポートの光学系を自由に設計することができなくても、ビーム制御系の光学設計により、チャネルポート基準面におけるビームのwとRのどちらか一方を特定の範囲内で制御することができるため、チャネルポートに伝搬されるビームの結合効率が向上するように、チャネルポートの光学系に対応させたビーム制御系を設計することができる。
【0060】
従って、コモンポートの受光点・出射点やレンズ系を市販の部品から構成し、コモンポートの光学系を自由に設計できなくても、チャネルポート光学系とビーム制御系を光学設計することで、結合効率の低下を招かないようにすることができ、部品コストを低減できる。
【0061】
効果1−2)同様に、チャネルポートが送信ポートでコモンポートが受信ポートである場合、サイズ上、コスト上、製造技術上などの制約から、チャネルポートの光学系を自由に設計することができなくても、ビーム制御系の光学設計により、コモンポート基準面におけるビームのwとRのどちらか一方を特定の範囲内で制御することができるため、コモンポートに伝搬されるビームの結合効率が向上するように、コモンポートの光学系に対応させたビーム制御系を設計することができる。
【0062】
従って、チャネルポートの受光点・出射点やレンズ系を市販の部品から構成し、チャネルポートの光学系を自由に設計できなくても、コモンポート光学系とビーム制御系を光学設計することで、結合効率の低下を招かないようにすることができ、部品コストを低減できる。
【0063】
効果1−3)コモンポートが送信ポートでチャネルポートが受信ポートである場合、サイズ上、コスト上、製造技術上などの制約から、コモンポートの光学系を自由に設計することができなくても、ビーム制御系の光学設計により、チャネルポート基準面にビームウェストを形成することができる。
【0064】
更に、リレイ光学系の光学設計により、全ての波長選択素子上にもビームウェストを形成することができる。
【0065】
従って、コモンポートの受光点・出射点やレンズ系に市販の部品を利用し、部品コストの低減をはかりつつ、ビーム制御系及びリレイ光学系の設計により、すべての波長選択素子上にビームウェストを形成することができる。
【0066】
効果1−4)コモンポートと最近接チャネルポートとを光学的に結合する光路上に光反射集光素子がない場合、即ち、ビーム制御系に光反射集光素子がない場合は、コモンポートと最近接チャネルポートに対応する送受信ポートの組合せについて、送信ポート又は受信ポートの理想的な配置点からの位置ずれは、そのまま受信ポートヘ入射するビームの光軸位置ずれになり、受信ポートの理想的な配置点からの角度ずれは、そのまま受信ポートヘ入射するビームの光軸角度ずれになり、送信ポートの理想的な配置点からの角度ずれは、そのまま受信ポートヘ入射するビームの光軸角度ずれ、及び、送受信ポート間光路長に応じて増大する光軸位置ずれになる。
【0067】
図8は、上記の光軸ずれの原理を説明するための概念図であり、ビーム制御系に光反射集光手段が存在しない場合に、送信ポートの位置ずれや角度ずれが発生した場合の現象を説明している。
【0068】
尚、この図面では光反射集光手段は光学レンズに置き換え、コモンポートと最近接チャネルポートを結ぶ光学系を抽出して説明する。
【0069】
図8(a)は送受信ポートが設計どおりに配置され、光軸ずれが発生していない場合の概念図であり、図8(b)は送信ポートを配置する際に角度ずれが発生している場合の概念図であり、図8(c)は送信ポート、又は受信ポートを配置する際に位置ずれが発生している場合の概念図であり、図8(d)は受信ポートを配置する際に角度ずれが発生している場合の概念図である。
【0070】
図中において、801−804は送信ポート、805−808は受信ポート、809−810は角度ずれの発生を表す矢印、811は位置ずれの発生を表す矢印、812−815は実際に伝播するビームの光軸を表す矢印である。
【0071】
図8(b)に示されているように、送信ポート802の理想的な配置点からの角度ずれ809は、そのまま受信ポート806へ入射するビームの光軸角度ずれ、及び、送受信ポート間光路長に応じて増大する光軸位置ずれになる。
【0072】
図8(c)に示されているように、送信ポート803又は受信ポート807の理想的な配置点からの位置ずれ811は、そのまま受信ポートヘ入射するビームの光軸位置ずれになる。
【0073】
図8(d)に示されているように、受信ポート808の理想的な配置点からの角度ずれ810は、そのまま受信ポートヘ入射するビームの光軸角度ずれになる。
【0074】
以上、コモンポートと最近接チャネルポートとをむすぶ光路上に光反射集光素子が配置されない場合について説明してきたが、ここで、コモンポートと最近接チャネルポートとをむすぶ光路上に光反射集光素子を配置し、送受信ポートの光学系を含めて光学設計をすることで以下のような効果が得られる。
【0075】
伝播ビーム光軸の角度や位置が、設計値からずれている状態で制御素子に入射する場合、制御素子が平面状の反射面であれば、伝播ビーム光軸の角度ずれや位置ずれは、その状態が維持されたまま反射されるが、制御素子が光反射集光素子であれば、光反射集光素子の光学パラメータに応じて、伝播ビーム光軸の位置ずれは角度ずれに、角度ずれは位置ずれと新たな角度ずれに変換される形態で反射される。
【0076】
よって、ビーム制御系に少なくとも一つの光反射集光素子を配置することで、送信ポートで発生する理想的な配置点からの位置ずれや角度ずれの大部分を、受信ポートヘ入射する伝播ビームの入射光軸位置ずれに置き換える代わりに、入射光軸角度ずれが低減されるように光学設計することが可能である。
【0077】
例えば、実装条件により送信ポートの位置ずれが発生しやすい場合や、光軸角度ずれに対して結合効率が低下しにくい受信ポートを有する場合、伝播ビームの光軸位置ずれの大部分を光軸角度ずれに変換するビーム制御系を設計することで、送信ポートの実装時に位置ずれが発生しても急激な結合効率の低下を招かない。
【0078】
従って、送信ポートを設計どおりにアライメントするための実装コストを低減することが可能である。
【0079】
逆に、送信ポートで発生する理想的な配置点からの位置ずれや角度ずれの大部分を、受信ポートヘ入射する伝播ビームの入射光軸角度ずれに置き換える代わりに、入射光軸位置ずれが低減されるように光学設計することも可能である。
【0080】
例えば、実装条件により送信ポートの角度ずれが発生しやすい場合や、光軸位置ずれに対して結合効率が低下しにくい受信ポートを有する場合、伝播ビームの光軸角度ずれの大部分を光軸位置ずれに変換するビーム制御系を設計することで、送信ポートの実装時に角度ずれが発生しても急激な結合効率の低下を招かない。
【0081】
従って、送信ポートを設計どおりにアライメントするための実装コストを低減することが可能である。
【0082】
以上説明したように、ビーム制御系に少なくとも一つの光反射集光素子を配置することで、結合効率の急激な低下を招かないように、送受信ポートの光学系や実装形態に最適化させた光反射集光素子を光学設計することができる。
【0083】
図9は、上記の効果を説明するための概念図であり、ビーム制御系に一つの光反射集光手段が存在する場合に、送信ポートで発生した位置ずれや角度ずれが補正される原理を説明している。
【0084】
尚、この図面でも光反射集光手段は光学レンズに置き換え、コモンポートと最近接チャネルポートを結ぶ光学系を抽出して説明する。
【0085】
図9(a)は送信ポートを配置する際に角度ずれが発生している場合の概念図であり、図9(b)は送信ポートを配置する際に位置ずれが発生している場合の概念図である。
【0086】
図中において、901−902は送信ポート、903−904は受信ポート、905−906は光反射集光素子に相当する光学レンズ、907は角度ずれの発生を表す矢印、908は位置ずれの発生を表す矢印、909−912は実際に伝播するビームの光軸を表す矢印である。
【0087】
図9(a)に示されているように、送信ポート901の理想的な配置点からの角度ずれ907は、光反射集光素子905へ入射するビーム909の光軸角度ずれ、及び、送信ポート901と光反射集光素子905の間の光路長に応じて増大する光軸位置ずれになるが、光反射集光素子905によって前記の光軸位置ずれ、光軸角度ずれが縮小されるように補正され、受信ポート903に到達するビーム910となる。
【0088】
但し、受信ポート903に到達する際のビームの光軸位置ずれを0に近づけるように光反射集光素子905を設計すると、逆に角度ずれが増幅されることに注意する必要がある。
【0089】
図9(b)に示されているように、送信ポート902の理想的な配置点からの位置ずれ908は、光反射集光素子906へ入射するビーム911の光軸位置ずれになるが、光反射集光素子905によって前記の光軸位置ずれが縮小されるように補正され、受信ポート903に到達するビーム912となる。
【0090】
但し、受信ポート903に到達する際のビーム912は光軸角度ずれが発生する。
【0091】
また、受信ポート903に到達する際のビーム光軸位置ずれをOに近づけるように光反射集光素子905を設計すると、逆に角度ずれが増幅されることに注意する必要がある。
【0092】
これらの場合、送信ポート、光反射集光素子、受信ポートの光学パラメータはガウシアンビームの結合効率が最適になるように設計する必要がある。
【0093】
また、上記の場合では受信ポートを配置する際の位置ずれ及び角度ずれについて特に説明をしなかったが、受信ポートの位置ずれは送信ポートの位置ずれと等価であり、受信ポートの角度ずれは、送信ポートに角度ずれが発生した場合において、受信ポートに入射するビーム光軸の位置ずれ量が0である場合に相当する。
【0094】
ビーム制御系やリレイ光学系を構成する全ての光反射集光素子や平面状の反射面を、一つの仮想平面に一括形成できるように光学系を設計することにより、部品の製造コスト低減、光反射集光素子の形状精度−位置精度向上が可能である。
【0095】
(2)第2の発明は請求項1に記載の合分波器において、上記多重反射ビームが、合分波器外部から少なくとも二つの光反射集光素子からの反射を経て入力されるか、或いは、少なくとも二つの光反射集光素子からの反射を経て合分波器外部へ波長多重光信号として伝播するように構成されることを特徴とする合分波器である。
【0096】
第2の発明が奏する作用・効果は以下のとおりである。
【0097】
効果2−1)複数の光反射集光素子からなるビーム制御系を導入することで、以下のような光学設計が可能となる。
【0098】
ビーム制御系を構成する複数の光反射集光素子のうち、コモンポート直近の光反射集光素子を「コモン側光反射集光素子」、最近接チャネルポート直近の光反射集光素子を「チャネル側光反射集光素子」とする。
【0099】
コモンビームパラメータは、コモン側光反射集光素子における伝搬ビームのスポットサイズ(Wcm)とビーム波面曲率半径(Rcm)を一意に決定する。
【0100】
同様に、チャネルビームパラメータは、チャネル側光反射集光素子における伝搬ビームのスポットサイズ(wch)とビーム波面曲率半径(Rch)を一意に決定する。
【0101】
ここで、前記のパラメータwcm,Rcmを初期条件とし、コモン側光反射集光素子により反射されチャネル側光反射集光素子側へ伝播する第一の仮想ビームと、前記のパラメータwch,Rchを初期条件とし、チャネル側光反射集光素子により反射されコモン側光反射集光素子側へ伝播する第二の仮想ビームを考える。
【0102】
コモン側光反射集光素子とチャネル側光反射集光素子の光学パラメータを制御することで、コモン側光反射集光素子とチャネル側光反射集光素子をむすぶ光路上の特定の地点において、第一の仮想ビームと第二の仮想ビームのビーム波面曲率半径を一致させることができる。
【0103】
更に、第一の仮想ビームと第二の仮想ビームのビーム波面曲率半径を一致させた状態を維持しつつ、それらのビーム波面曲率半径の一致地点を制御することで、それらの仮想ビームのスポットサイズを近づけることができ、特定の初期条件wcm,Rcm,wch,Rchのもとでは完全に一致させることができる。
【0104】
二つの仮想ビームが形成する波面曲率半径とそのスポットサイズはビームの進行方向に依存しない。
【0105】
したがって、二つの仮想ビームの波面曲率半径の一致地点とそのスポットサイズが完全に一致するようにビーム制御系の光反射集光素子を光学設計できれば、前記のパラメータwcm,Rcmを初期条件とし、コモン側光反射集光素子により反射され、チャネル側光反射集光素子側へ伝播するビームが、チャネル側光反射集光素子に到達し反射された直後には、wch,Rchというパラメータを有するビームとして伝播させることができる。
【0106】
以上の議論において、wcm,Rcm,wch,Rchはそれぞれ独立にコモンビームパラメータ、及び、チャネルビームパラメータから一意に決まるものであった。
【0107】
従って、任意のコモンビームパラメータ(又はチャネルビームパラメータ)は、ビーム制御系の光学設計により、任意のチャネルビームパラメータ(又はコモンビームパラメータ)に変換できることを意味している。
【0108】
また、コモン側光反射集光素子とチャネル側光反射集光素子の間の光路上に別の光反射集光素子が含まれていても、任意の二つの光反射集光素子の間で上記の議論を繰り返すことで、同様の効果を得ることができる。
【0109】
効果2−2)上記の効果により、コモンポートの光学系によらずビーム制御系を光学設計することで、チャネル基準面に到達する伝播ビームのw及びRを特定の範囲内において任意に制御することができる。
【0110】
同様に、チャネルポートの光学系によらずビーム制御系を光学設計することで、コモン基準面に到達する伝播ビームのw及びRを特定の範囲内において任意に制御することができる。
【0111】
従って、サイズ上、コスト上、製造技術上などの制約から、コモンポート及びチャネルポートの光学系を自由に設計できなくても、ビーム制御系、リレイ光学系を最適化することで、結合効率の向上が可能である。
【0112】
効果2−3)上記の効果により、コモンポート及びチャネルポートの受光点・出射点やレンズ系に市販の部品を利用することができるため、部品コストの大幅な低減が可能である。
【0113】
効果2−4)上記の効果により、コモンポートの光学系によらず、ビーム制御系、リレイ光学系を光学設計することで、すべての波長選択素子上のビームのスポットサイズを任意に制御することができる。
【0114】
従って、コモンポートの受光点・出射点やレンズ系に市販の部品を利用することができるため、部品コストの低減が可能であり、フィルタ特性に最適なスポットサイズを波長選択素子上に形成することができる。
【0115】
効果2−5)コモンポートと最近接チャネルポートとをむすぶ光路上に配置された光反射集光素子が一つに限られている場合、伝播ビームの光軸ずれのうち、位置ずれと角度ずれのどちらか一方を低減させると、他方のずれ量が増大してしまい、位置ずれと角度ずれのそれぞれを独立に低減するのが困難であった。
【0116】
ところが、当該光路上に複数の光反射集光素子を導入することで、位置ずれと角度ずれのそれぞれを別に低減することができる。
【0117】
また、位置ずれ、角度ずれを別の光反射集光素子で低減することにより、一方の光反射集光素子で位置ずれ(又は角度ずれ)を低減する際に発生・増大する角度ずれ(又は位置ずれ)を、他方の光反射集光素子で角度ずれ(位置ずれ)を低減する際に見込んで設計することができる。
【0118】
従って、伝播ビームがビーム制御系において複数の光反射集光素子からの反射を経ることで、位置ずれと角度ずれのそれぞれを独立に低減するような光学設計が可能であり、結合効率の急激な低下を招かないように、送受信ポートの光学系や実装形態に対応させた光反射集光素子を光学設計する上で、その設計自由度を更に向上できる。
【0119】
図10は、上記の効果を説明するための概念図であり、ビーム制御系に二つの光反射集光手段が存在する場合に、送信ポートの位置ずれや角度ずれが補正される原理を説明している。
【0120】
尚、この図面でも光反射集光手段は光学レンズに置き換え、コモンポートと最近接チャネルポートを結ぶ光学系を抽出して説明する。
【0121】
図10(a)は送信ポートを配置する際に角度ずれが発生している場合の概念図であり、図10(b)は送信ポートを配置する際に位置ずれが発生している場合の概念図である。
【0122】
図中において、1001−1002は送信ポート、1003−1004は受信ポート、1005−1008は光反射集光素子に相当する光学レンズ、1009は角度ずれの発生を表す矢印、1010は位置ずれの発生を表す矢印、1011−1016は実際に伝播するビームの光軸を表す矢印である。
【0123】
図10(a)において、送信ポート1001の理想的な配置点からの角度ずれ1009は、第一の光反射集光素子1005へ入射するビーム1011の光軸角度ずれ、及び、送信ポート1001と第一の光反射集光素子1005の間の光路長に応じて増大する光軸位置ずれとなる。
【0124】
第一の光反射集光素子1005では、前記の光軸角度ずれは増大しても前記の光軸位置ずれを縮小するように補正され、第二の光反射集光素子1006に到達するビーム1012となる。
【0125】
第二の光反射集光素子1006では、第一の光反射集光素子1005で増大された光軸角度ずれを縮小するように補正され、受信ポート1003に到達するビーム1013となる。
【0126】
図10(b)において、送信ポート1002の理想的な配置点からの位置ずれ1010は、第一の光反射集光素子1007へ入射するビーム1014の光軸位置ずれとなる。
【0127】
第一の光反射集光素子1007では、新たに光軸角度ずれを発生させても前記の光軸位置ずれを縮小するように補正され、第二の光反射集光素子1008に到達するビーム1015となる。
【0128】
第二の光反射集光素子1008では、第一の光反射集光素子1005で発生した光軸角度ずれを縮小するように補正され、受信ポート1004に到達するビーム1016となる。
【0129】
これらの場合、送信ポート、光反射集光素子、受信ポートの光学パラメータはガウシアンビームの結合効率が最適になるように設計する必要がある。
【0130】
また、送信ポートや受信ポートに市販の部品を適用し、それらの光学系が自由に設計できない場合でも、複数の光反射集光素子の光学パラメータを設計することで、特定の範囲内において光軸ずれ補正機能を実現できる。
【0131】
(3)第3の発明は請求項1乃至2に記載の合分波器において、波長選択素子に到達するビームの複素ビームパラメータが、すべての波長選択素子上で同一になるように光反射集光素子の光学パラメータが光学設計されていることを特徴とする合分波器である。
【0132】
第3の発明が奏する作用・効果は以下のとおりである。
【0133】
効果3−1)全てのチャネルビームパラメータが同一になるように、制御素子が配置及び光学設計されているので、受光又は出射点、受信又は送信レンズ系、波長選択素子のそれぞれの素子について、素子間距離の組合せを全てのチャネルポートで同一化し、チャネルポートの送信又は受信レンズ系を全てのチャネルポートで同一化しても、各チャネルポートにおける光損失のポート間ばらつきが発生しない。
【0134】
従って、各チャネルポートのそれぞれについて、光損失を低減し、ポート間ばらつきをなくすための光学設計コスト、設計どおりの部品を入手するための部品コスト、それらの部品を設計どおりに位置決めするための実装コストなどを大幅に低減できる。
【0135】
効果3−2)上記の効果により、レンズアレイ、ファイバアレイ、LDアレイ、PDアレイなどの、同一の出射又は受光点、同一のレンズ系がアレイ状に一体形成されてある部品を利用することが可能である。
【0136】
従って、設計どおりの部品を入手する際の製造公差低減、各チャネルポートごとに部品を位置決めするための実装コストを低減できる。
【0137】
効果3−3)上記の効果により、レンズファイバモジュール、LD/PD及びレンズ内蔵型CANパッケージモジュールなどの、送信又は受信レンズ系と、出射又は受光点が一体形成されてある同一部品を複数利用することが可能である。
【0138】
従って、市販の部品を利用することで光学設計コスト、部品コストが低減でき、各チャネルポート内部の、送信又は受信レンズ系と、出射又は受光点を位置決めするための実装コストも低減できる。
【0139】
効果3−4)上記の効果により、レンズファイバモジュールとして市販のファイバコリメータなどを利用することができるため、チャネルポートの小型化、高精度化、部品コストの大幅な低減が可能である。
【0140】
(4)第4の発明は請求項1乃至3に記載の合分波器において、すべての波長選択素子は、二つの仮想平面の一方に配置されていることを特徴とする合分波器である。
【0141】
第4の発明が奏する作用・効果は以下のとおりである。
【0142】
効果4−1)波長選択素子は全て一つの仮想平面に配置されているので、全てのチャネルポートをひとつの仮想平面の片側に配置することができる。
【0143】
従って、複数のチャネルポートを一括形成することができ、アライメントの作業性を向上させることができ、実装スペースを節約することができるため、部品コスト、実装コストを低減できる。
【0144】
(5)第5の発明は請求項1乃至4に記載の合分波器において、合分波器内部を伝播するビームが、波長選択素子上でビームウェストを形成するように光反射集光素子の光学パラメータが光学設計されていることを特徴とする合分波器である。
【0145】
第5の発明が奏する作用・効果は以下のとおりである。
【0146】
効果5−1)波長選択素子の配置点に多重反射ビームのビームウェストを形成することで、波長選択素子に入射するビームはほぼ平面波とみなすことができる。
【0147】
従って、波長選択手段に入射するビーム波面はほぼ単一角度で入射するとみなせるため、均質なフィルタ特性を得ることができる。
【0148】
効果5−2)波長選択素子上に多重反射ビームのビームウェストを形成することで、多重反射ビームの光軸ずれに対して、波長選択素子の表面における面内の光軸位置ずれが低減できる。
【0149】
従って、波長選択素子の有効面積を低減し、素子を小型化することが可能であり、フィルタ特性については、波長選択素子の面内依存性の影響を低減することができる。
【0150】
効果5−3)コモンポートが送信ポートで、複数のチャネルポートを有する場合、チャネル数の増大に伴い、コモンポートからそれぞれの波長選択素子までの光路長が増大する。
【0151】
このとき、理想的な配置位置からの光軸ずれが発生し、コモンポートからの光路長が増大しても、波長選択素子の配置点に多重反射ビームのビームウェストを形成することで、波長選択素子における光軸位置ずれ及び角度ずれを単調増大させず抑制し、それらのずれを光路長に対して周期的に変動させることができる。
【0152】
従って、チャネルポートの数が増大しても、フィルタ特性の劣化、及び、結合効率の低下を抑えることが可能である。
【0153】
(6)第6の発明は請求項1乃至5に記載の合分波器において、光反射集光素子の少なくとも一つが、球面状のミラーであることを特徴とする合分波器である。
【0154】
第6の発明が奏する作用・効果は以下のとおりである。
【0155】
効果6−1)球面ミラーを利用することで、光反射集光素子において反射される光線の波長依存性を無視することができる。
【0156】
従って、合分波器内部の伝播ビームの可用波長帯を広帯域化することが可能である。
【0157】
効果6−2)球面ミラーを利用することで、光反射集光素子の光学設計パラメータは曲率半径のみに限られる。
【0158】
従って、部品製造トレランス設計を容易化でき、設計時間を短縮することが可能であり、これらのことから製造コストを低減できる。
【0159】
効果6−3)球面ミラーを利用すると、ミラー表面に入射するビームを平行移動し、入射位置を微小変化させることで、曲率半径などの光学パラメータを維持しつつ、反射ビームの光軸方向を三次元的に変化させることができる。
【0160】
従って、合分波器内部の伝播ビームの光軸設計自由度を大幅に向上させることができる。
【0161】
つまり、本発明は合分波器内部の伝播ビームを多重反射させる方式により、特定の波長のビームを、複数の光伝送路に対して抽出又は挿入する場合に発生する課題を解決することを目的としており、以上述べたように、本発明によれば
1)光学設計コスト低減
2)市販品利用、製造公差低減、部品一括形成などにより、設計どおりの部品を入手するための部品コスト低減
3)アライメントの作業性向上、複数のチャネルポートの一括形成、伝播光軸ずれトレランスの最適化などにより、部品を設計どおりにアライメントするための実装コスト低減
4)チャネルポートの小型化、高精度化
5)チャネルポート数増大にともなう特性劣化の抑制
6)波長選択素子の小型化、面内依存性低減、均質なフィルタ特性実現
7)伝播ビームの可用波長帯の広帯域化
8)伝播ビームの光軸設計自由度向上などの効果を有する合分波器を提供することができる。
【0162】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を具体的に説明するが、以下の実施形態は本発明を限定するものではない。
【0163】
[実施例1]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る合分波器の概略構成図である。
【0164】
尚、同図には、合分波器内部を伝播するガウシアンビームを概念的に示してある。
【0165】
図中において、101はコモンポート、102−104はチャネルポート、105−107は波長選択素子、108−110は光反射集光素子、111−112は平行に対向させられた仮想平面を意味し、113−115はビームウェストの形成位置を意味している。
【0166】
コモンポート101及びチャネルポート102−104は、出射点又は受光点116−119及びレンズ系120−123から構成されている。
【0167】
第一の仮想平面111には複数の波長選択素子105−107がアレイ状に等間隔に配置されており、第二の仮想平面112には複数の光反射集光素子108−110がアレイ状に等間隔に配置されている。
【0168】
波長選択素子105−107及び光反射集光素子108−110の素子反射面は、すべて仮想平面111−112と平行に配置されているため、伝播ビームの光軸と仮想平面のなす入射角及び反射角はすべて同一であり、波長選択素子105−107の配置間隔、及び光反射集光素子108−110の配置間隔も同一である。
【0169】
また、多重反射ビームの光路上で、波長選択素子105−107の間に配置された二つの制御素子である光反射集光素子109−110はリレイ光学系Xに相当し、リレイ光学系Xとコモンポート101の間に配置された一つの制御素子である光反射集光素子108はビーム制御系Yに相当する。
【0170】
リレイ光学系Xを構成する全ての光反射集光素子109−110は、全ての波長選択素子105−107に到達する伝播ビームの複素ビームパラメータを同一化するため、同一の光学パラメータを持っている。
【0171】
従って、伝播ビームのビームウェストは隣接する光反射集光素子をむすぶ光路の中間地点、即ち、波長選択素子上に形成される。
【0172】
以下具体例として、本実施形態に係る合分波器を、分波器として利用する場合の動作原理を説明する。
【0173】
送信ポート101から出射された波長多重化信号であるガウシアンビームが、仮想平面111を通過し、ビーム制御系Yに相当する第一の光反射集光素子108に入射し、その反射ビームは第一の波長選択手段105に入射する。
【0174】
第一の波長選択手段105において、特定の波長域を含むビームが第一の波長選択手段を透過し、第一の受信ポート102に伝播される。
【0175】
第一の波長選択手段105において透過されない波長域を含むビームは反射され、第二の光反射集光素子109に入反射し、隣接する第二の波長選択素子106に伝播される。
【0176】
このように、多重反射ビームは、それぞれの波長選択素子に入射するたびに、特定の波長を含むビームが受信ポートに向けて出射され、それ以外の波長を含むビームは反射され、光反射集光素子を経由して、隣接する波長選択素子に伝播される。
【0177】
これらの過程を繰り返すことにより、伝播ビームが分波される。
【0178】
上記のように分波器として利用する場合のビームの進行方向を逆向きにすることで、合波器として利用することもできる。
【0179】
即ち、複数の送信ポート102−104から出射されたビームを、複数の波長選択素子105−107を通過するように互いに平行に入射させる。
【0180】
その際に、波長選択素子105−107を透過し、内部に入射した特定の波長を含むビームが、光反射集光素子108−110により反射され、その反射ビームが隣接する波長選択素子に入射するような入射角度に設置する。
【0181】
このようにして、複数の送信ポート102−104からの出射ビームが内部を多重反射することにより重ね合わせられ、受信ポート101にむけて一本の伝播ビームとなって伝播されることにより合波される。
【0182】
但し、合波器としての利用形態の場合は、送信ポート102−104から波長選択素子105−107に入射したビームのうち、反射される波長域を含むビーム、及び、伝播ビームが内部を多重反射する際に、別の波長選択素子により透過させられ、多重反射ビームとならない波長域のビームは、合波されない。
【0183】
上記の合分波器としての利用例において、波長選択素子の数は3個、光反射集光素子の数は3個、チャネルポートの数は3個であるが、これらの数は限定するものではない。
【0184】
チャネルポート102−104がすべて送信ポートの場合、コモンポート101は受信ポートとなるため、合波器として動作するが、チャネルポート102−104がすべて受信ポートの場合、コモンポート101は送信ポートとなるため、分波器として動作する。
【0185】
従って、ビーム制御系に相当する制御素子108はそれぞれの動作形態やポートの実装形態に応じて最適設計するのが望ましい。
【0186】
また、チャネルポートとして送信ポートと受信ポートが両方含まれる場合、一つのコモンポートを有する一つの合分波器によって合波動作と分波動作の両方を同時に実現することが可能である。
【0187】
この場合、分波動作用の波長選択素子と合波動作用の波長選択素子の間に、合分波動作の波長の干渉を防止するための波長選択素子を配置し、合分波動作で不要な波長域のビームを合分波器外部に出射することもできる。
【0188】
またこの場合、コモンポート101は送受信共用となるので、ビーム制御系Yに相当する制御素子108はそのどちらかの機能とも極端に劣化しないように光学設計することが望ましい。
【0189】
以下、本実施形態に係る合分波器の効果の具体例を説明する。
【0190】
コモンポート101を市販の部品から構成し、コモンポートからビーム制御系Yの光反射集光素子108までの光路長に制約がある分波器として利用する場合亡も、ビーム制御系Yの光反射集光素子108の光学パラメータを設計して波長選択素子113上にビームウェストを形成することができ、リレイ光学系Xである光反射集光素子109−110の光学パラメータを設計して全ての波長選択素子114−115にビームウェストを形成することができ、波長選択素子113−115を透過するビームを効率よく受光するようにチャネルポート102−104の光学系を設計ずれば、すべてのチャネルポートで一定の結合効率を実現することができる。
【0191】
チャネルポート102−104を市販の部品から構成する合波器として利用する場合でも、チャネルポート102−104から出射されるビームのビームウェストが波長選択素子上に形成されるような位置にチャネルポート102−104を配置し、リレイ光学系Xである光反射集光素子109−110の光学パラメータを設計することで全ての波長選択素子113−115にビームウェストを形成することができる。
【0192】
更に、コモンポート101からビーム制御系Yの光反射集光素子108までの光路長に制約がある場合、又は、コモンポート101を市販の部品から構成する場合でも、ビーム制御系Yの光反射集光素子108の光学パラメータを設計することで理想的な結合効率を実現することができる。
【0193】
コモンポート101を市販の部品から構成し、波長選択素子113−115上のビームのスポットサイズを制御するための分波器として利用する場合でも、波長選択素子113−115上に目的のスポットサイズのビームウェストを形成するように、コモンポートからビーム制御系Yの光反射集光素子108までの光路長と、ビーム制御系Yの光反射集光素子108の光学パラメータを設計することができる。
【0194】
コモンポートの実装形態が原因で、コモンポートから出射されるビームの光軸位置ずれが容易に発生するような分波器として利用する場合でも、コモンポートからの出射ビームが仮想平面111に入射する際のスポットサイズ(入射スポットサイズ)とチャネルポートヘの入射ビームが仮想平面111から出射する際のスポットサイズ(出射スポットサイズ)を比較して、入射スポットサイズが出射スポットサイズよりも大きくなるようにコモンポート、チャネルポート、ビーム制御系Y、リレイ光学系Xを光学設計することで、コモンポートから出射されるビームの光軸位置ずれ量に対してチャネルポートヘ入射するビームの光軸位置ずれ量を縮小することができ、コモンポート実装上の光軸位置ずれに対する結合効率トレランスを拡大する効果がある。
【0195】
コモンポートの実装形態が原因で、コモンポートから出射されるビームの光軸角度ずれが容易に発生するような分波器として利用する場合でも、コモンポートからの出射ビームが仮想平面111に入射する際のスポットサイズ(入射スポットサイズ)とチャネルポートヘの入射ビームが仮想平面111から出射する際のスポットサイズ(出射スポットサイズ)を比較して、入射スポットサイズが出射スポットサイズよりも小さくなるようにコモンポート、チャネルポート、ビーム制御系Y、リレイ光学系Xを光学設計することで、コモンポートから出射されるビームの光軸角度ずれ量に対してチャネルポートヘ入射するビームの光軸角度ずれ量を縮小することができ、コモンポート実装上の光軸角度ずれに対する結合効率トレランスを拡大する効果がある。
【0196】
[実施例2]
図2は、本発明の第2の実施形態に係る合分波器の概略構成図であり、図1に示した第1の実施形態の応用例である。
【0197】
以下、第1の実施形態の場合と異なる点について説明する。
【0198】
図中において、213は平面状の反射面であり、波長選択素子205−207が配置されている仮想平面211と同一の仮想平面に配置されている。
【0199】
この平面状の反射面213と光反射集光素子208がビーム制御系Yに相当する。
【0200】
上記のような構成により、ビーム制御系Yである反射面213と光反射集光素子208の光路を仮想平面211で折り返すことができるため、コモンポート201をチャネルポート202−204と反対側の仮想平面212に配置することができ、実装上の自由度が向上する。
【0201】
[実施例3]
図3は、本発明の第3の実施形態に係る合分波器の概略構成図であり、図1に示した第1の実施形態の応用例である。
【0202】
以下、第1の実施形態の場合と異なる点について説明する。
【0203】
図中において、308−311は光反射集光素子、314は平面状の反射面である。
【0204】
コモンポートに近い方の二つの光反射集光素子308,309及び平面状の反射面314がビーム制御系に相当する。
【0205】
平面状の反射面314は第一の仮想平面312に配置され、光反射集光素子308−311は第二の仮想平面311に配置されている。
【0206】
平面状の反射面314及び光反射集光素子308−311の微小反射面は仮想平面312−313と平行になるように配置されている。
【0207】
ビーム制御系のうち、コモンポート301に近い方の光反射集光素子から第一光反射集光素子308、第二光反射集光素子309とする。
【0208】
以下、本実施形態に係る合分波器の効果の具体例を説明する。
【0209】
コモンポートの実装形態が原因で、コモンポートから出射されるビームの光軸角度ずれが容易に発生するような分波器として利用する場合でも、第一光反射集光素子308と平面状の反射面314とをむすぶ光路上にビームウェストを形成するように、即ち、第二光反射集光素子309よりも第一光反射集光素子308に近い領域にビームウェストを形成するようにビーム制御系を光学設計することにより、第一光反射集光素子308に入射する伝播ビーム光軸の角度ずれ量に起因するビームウェストの位置ずれ量を、ビームウェストが第二光反射集光素子309に近い領域に形成されている場合よりも小さくすることができる。
【0210】
従って、コモンポート301の理想的な配置点からの角度ずれに対して、チャネルポート302−304に入射するビームの光軸角度ずれ量を縮小することができ、コモンポート301実装上の角度ずれに対する結合効率トレランスを拡大する効果がある。
【0211】
コモンポート301の実装形態が原因で、コモンポートから出射されるビームの光軸位置ずれが容易に発生するような分波器として利用する場合でも、第二光反射集光素子309と平面状の反射面314とをむすぶ光路上にビームウェストを形成するように、即ち、第一光反射集光素子308よりも第二光反射集光素子309におけるスポットサイズを小さくするようにビーム制御系を光学設計することにより、第一光反射素子308における伝播ビーム光軸の位置ずれ量に起因する第二光反射素子309における伝播ビーム光軸の位置ずれ量を、第一光反射集光素子308よりも第二光反射集光素子309におけるスポットサイズの方が大きくなるように設計されている場合よりも小さくすることができる。
【0212】
従って、コモンポートの理想的な配置点からの位置ずれに対して、チャネルポートに入射するビームの光軸位置ずれ量を縮小することができ、コモンポート実装上の位置ずれに対する結合効率トレランスを拡大する効果がある。
【0213】
上記の効果により、コモンポート301が受信ポートであり、チャネルポート302−304が送信ポートである合波器の場合でも、第一光反射集光素子308と、第二光反射集光素子309の光学パラメータを入れ替えてに設計することで、チャネルポート実装上の光軸ずれに対する結合効率トレランスを拡大する効果がある。
【0214】
上記の効果により、コモンポート301及びチャネルポート302−304の実装形態と発生する位置ずれ又は角度ずれに応じて、ビーム制御系と送受信ポートを光学設計することで結合効率トレランスを最適化することができる。
【0215】
コモンポート301を市販の部品から構成し、コモンポートからビーム制御系の光反射集光素子308−309までの光路長に制約がある分波器として利用する場合でも、ビーム制御系の光反射集光素子308−309の光学パラメータを設計することで、特定の範囲内で任意のスポットサイズのビームウェストを波長選択素子305上に形成することができ、リレイ光学系Xである光反射集光素子310−311の光学パラメータを設計することで、全ての波長選択素子305−307に同じスポットサイズのビームウェストを形成することができる。
【0216】
従って、以下のような効果を有する。
【0217】
1)フィルタ特性に最適なスポットサイズを配置する光学設計が可能である。
【0218】
2)チャネルポートの光学パラメータに応じて、伝播ビームの結合効率を向上させるスポットサイズ設計が可能である。そのためチャネルポートに適用できる市販の部品の選択肢が広がるため、部品コストの低減が可能である。
【0219】
3)コモンポートを市販の部品から構成することができ、部品コストの低減が可能である。
【0220】
[実施例4]
図4は、本発明の第4の実施形態に係る合分波器の概略構成図であり、図3に示した第3の実施形態の応用例である。
【0221】
以下、第3の実施形態の場合と異なる点について説明する。
【0222】
図中において、408−411は光反射集光素子である。
【0223】
コモンポートに近い方の二つの光反射集光素子408−409がビーム制御系に相当する。
【0224】
第二の光反射集光素子408は第一の仮想平面412に配置され、第二の光反射集光素子409は第二の仮想平面413に配置されている。
【0225】
この場合、ビーム制御系の光路を第一の光反射集光素子408で折り返すことができるため、コモンポート401をチャネルポート402−404と反対側の仮想平面に配置することができ、実装上の自由度が向上する。
【0226】
[実施例5]
図5は、本発明の第5の実施形態に係る合分波器の概略構成図であり、図3に示した第3の実施形態の応用例である。
【0227】
以下、第3の実施形態の場合と異なる点について説明する。
【0228】
図中において、501は送信ポートである第一のコモンポート、502は受信ポートである第二のコモンポート、503−504は送信ポートであるチャネルポート、505−506は受信ポートであるチャネルポートである。
【0229】
507−513は光反射集光素子、518−519は平面状の反射面である。
【0230】
第一のコモンポート501に近い二つの光反射集光素子507−508及び平面状の反射面518が第一のコモンポートに対応する第一のビーム制御系に相当する。
【0231】
第二のコモンポート502に近い二つの光反射集光素子512−513及び平面状の反射面519が第二のコモンポートに対応する第二のビーム制御系に相当する。
【0232】
矢印522−525はビームウェストの形成位置を示している。
【0233】
第一のコモンポート501、及び、送信用のチャネルポート503−504から出射されたビームは、合分波器内部を多重反射し、受信用のチャネルポート505−506、或いは、第二のコモンポート502に伝播される。
【0234】
この構成により、外部の波長多重光信号が第一のコモンポート501から合分波器内部に入力し、チャネルポート503−506により各波長の光信号ごとに分岐挿入され、新たな波長多重光信号となって第二のコモンポート502から合分波器外部へ出力される光アドドロップマルチプレクサ(OADM)装置を実現できる。
【0235】
各波長選択素子が透過させる特定の波長を外部から制御する設計にすることで、波長可変型のOADM装置を一つの合分波器で実現できるため、製造コスト、装置サイズを大幅に低減できる。
【0236】
第一のビーム制御系と第二のビーム制御系は、それぞれ、送信用のコモンポート501と受信用のコモンポート502に対応するように最適設計することが望ましい。
【0237】
本実施形態では、二つの送信ポート503−504と二つの受信ポート505−506からなる四つのチャネルポート503−506を有する構成となっているが、チャネルポートの数や配置位置、及び、送信ポートと受信ポートの内訳は限定されるものではない。
【0238】
特に、送信用のチャネルポートと受信用のチャネルポートが交互に配置されている場合、一組の送信ポートと受信ポートにより送受信器を構成することができる。
【0239】
従って、その送受信器を合分波器に複数配置することや、必要に応じて着脱することが可能である。
【0240】
また、チャネルポートをすべて送信ポートとする構成、或いは、すべて受信ポートとする構成にしてもよい。
【0241】
更に、一つの波長選択素子に送信用のチャネルポートからのビームが入射し、同一の波長選択素子からの透過ビームが受信用のチャネルポートに伝播するように各部材を実装することも可能である。
【0242】
[実施例6]
図6は、本発明の第6の実施形態に係る合分波器の概略構成図であり、図5に示した第5の実施形態の応用例である。
【0243】
以下、第5の実施形態の場合と異なる点について説明する。
【0244】
図中において、604,606は送信ポートであるチャネルポート、603,605は受信ポートであるチャネルポートである。
【0245】
送信ポートと受信ポートは隣接するように交互に組み合わされて配置されている。
【0246】
矢印622−627はビームウェストの形成位置を意味している。
【0247】
リレイ光学系Xを構成している光反射集光手段609,611の光学パラメータは二種類に限られており、隣接する光反射集光手段が互いに異なる光学パラメータを持つように配置されている。
【0248】
従って、ビームウエストは波長選択素子上に形成されていない。
【0249】
また、第一のコモンポート601から第二のコモンポート602までをむすぶ光路上に配置されている制御素子607−619の位置や、光路上に形成されているビームウェスト622−627の位置は、光路の中心に対して対称になるように光学設計されている。
【0250】
以下、本実施形態に係る合分波器の効果の具体例を説明する。
【0251】
チャネルポートの光学系を自由に設計することができず、波長選択素子上にビームウェストを形成することができない場合でも、リレイ光学系を設計することにより合分波器の内部の任意地点にビームウェストを形成でき、ビームを安定に伝播させることができる。
【0252】
従って、チャネルポートを市販の部品から構成することができ、コスト低減が可能である。送信用及び受信用チャネルポートの光学系は、送受信を問わずおなじ光学系を適用することができる。
【0253】
従って、全てのチャネルポートを同一のレンズ系と光ファイバから構成することが可能であり、コスト低減が可能である。
【0254】
[具体例]
図7は、本発明の第1の実施形態に係る合分波器の具体例である。
【0255】
尚、同図には、合分波器内部を伝播するビーム光軸を概念的に示してある。
【0256】
図7(a)は空間中を多重反射ビームが伝播する場合の概略構成図であり、図中において、701−703は波長選択素子、704−706は光反射集光素子、708−709は波長選択素子又は光反射集光素子がアレイ状に搭載されたアレイ素子搭載ブロックである。
【0257】
第一のアレイ素子搭載ブロック708には波長選択素子が形成されており、外部からのビームを透過させる透過領域707があってもよい。
【0258】
第二のアレイ素子搭載ブロック709には光反射集光素子704−706が形成されており、第一のアレイ素子搭載ブロックを支えるための支持構造が一体形成されていてもよい。
【0259】
また、第二のアレイ素子搭載ブロック709の一部にビームの透過領域を形成し、その領域を経てビームを入出力させコモンポートに結合させることで、第2の実施形態に係る合分波器の具体例にも応用できる。
【0260】
上記のような構成により、多重反射ビームは空間中を伝播できるため、伝播損、反射損の低減が可能であり、支持構造が一体形成されているため、対向させられている仮想平面の位置決め精度の向上も可能である。
【0261】
また、アレイ素子搭載ブロックの製造の際、目的に応じた材質、形状、精度に応じた最適な加工技術を選択することができる。
【0262】
図7(b)はガラス又は透明樹脂の内部を多重反射ビームが伝播する場合の概略構成図であり、図中において、710−712は波長選択素子、713,715は光反射集光素子、716はアレイ状の光反射集光素子713−715が表面に一体形成され、内部をビーム伝播させることができる平板状の光導波ブロックである。
【0263】
光導波ブロック716の表面のうち、光反射集光素子713−715が形成されていない表面には、波長選択素子710−712がアレイ状に貼り付けられている。
【0264】
また、光導波ブロック716の表面のうち、光反射集光素子が形成されている方の表面からビームを入出力させ、コモンポートに結合させることで、第1の実施形態に係る合分波器の具体例にも応用できる。
【0265】
上記のような構成により、二つの仮想平面、及び、光反射集光手段が一体形成できるため、各部品の位置決め精度の向上が可能である。
【0266】
また、波長選択素子についても、光導波ブロック表面に貼り付けるだけでよく、部品の位置決めのための構造や部品が不要なので、小型化や工程数の削減が可能である。
【0267】
以上、説明したように、本発明は、平行に対向する2つの仮想平面上に配置された光反射集光素子と波長選択素子とにより光ビームを仮想平面間で多重反射させながら伝播させる間に波長選択素子から特定の波長の光ビーム(光信号)を抽出たり、あるいは波長選択素子から特定の波長の光ビーム(光信号)を挿入することで光信号を合分波させるもので、合分波器外部からの入力または外部への出力となる波長多重光信号として伝播している光ビームの光路上に少なくとも一つの光反射集光素子を配置した構成としているので、各チャネルポート等の実装にズレがあってもこの光反射集光素子の光学パラメータの調整により合分波された光信号の各チャネルポート等での結合効率を容易に最適化できるので、高精度、低コストの合分波器が実現される。
【0268】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明に係る合分波器によれば、合分波器内部の伝播ビームを多重反射させる方式により、特定の波長のビームを、複数の光伝送路に対して抽出又は挿入する場合に発生する課題を解決することが可能であり
1)光学設計コスト低減
2)市販品利用、製造公差低減、部品一括形成などにより、設計どおりの部品を入手するための部品コスト低減
3)アライメントの作業性向上、複数のチャネルポートの一括形成などによる、部品を設計どおりに位置決めするための実装コスト低減
4)チャネルポートの小型化、高精度化
5)チャネルポート数増大にともなう特性劣化の抑制
6)波長選択素子の小型化、面内依存性低減、均質なフィルタ特性
7)伝播ビームの可用波長帯の広帯域化
8)伝播ビームの光軸設計自由度向上
9)伝播ビームの光軸位置ずれ・光軸角度ずれのトレランス最適化
等の効果を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る合分波器の概略構成図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る合分波器の概略構成図であり、図1に示した第1の実施形態の応用例である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る合分波器の概略構成図であり、図1に示した第1の実施形態の応用例である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る合分波器の概略構成図であり、図3に示した第3の実施形態の応用例である。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る合分波器の概略構成図であり、図3に示した第3の実施形態の応用例である。
【図6】本発明の第6の実施形態に係る合分波器の概略構成図であり、図5に示した第5の実施形態の応用例である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る合分波器の具体例である。
【図8】本発明の動作原理を説明するための概念図である。
【図9】本発明の動作原理を説明するための概念図である。
【図10】本発明の動作原理を説明するための概念図である。
【図11】特許文献1に記載される合分波器の具体例を示す概略図である。
【符号の説明】
101 コモンポート
102−104 チャネルポート
105−107 波長選択素子
108−110 光反射集光素子
111−112 仮想平面
113−115 ビームウェストの形成位置
116−119 出射点又は受光点
120−123 レンズ系
201 コモンポート
202−204 チャネルポート
205−207 波長選択素子
208−210 光反射集光素子
211−212 仮想平面
213 平面状の反射面
301 コモンポート
302−304 チャネルポート
305−307 波長選択素子
308−311 光反射集光素子
312,313 仮想平面
314 平面状の反射面
401 コモンポート
402−404 チャネルポート
405,407 波長選択素子
408−411 光反射集光素子
412−413 仮想平面
501,502 コモンポート
503−506 チャネルポート
507−513 光反射集光素子
514−517 波長選択素子
518−519 平面状の反射台
520−521 仮想平面
601−602 コモンポート
603−606 チャネルポート
607−613 光反射集光素子
614−617 波長選択素子
618−619 平面状の反射面
620−621 仮想平面
622−627 ビームウェストの形成位置
701−703 波長選択素子
704,706 光反射集光素子
708−709 アレイ素子搭載ブロック
710−712 波長選択素子
713−715 光反射集光素子
716 光導波ブロック
801−804 送信ポート
805−808 受信ポート
809−810 角度ずれ
811−812 位置ずれ
813−817 伝播ビームの光軸
901−902 送信ポート
903,904 受信ポート
905−906 光反射集光素子に相当する光学レンズ
907 角度ずれ
908 位置ずれ
909−912 伝播ビームの光軸
1001−1002 送信ポート
1003−1004 受信ポート
1005−1008 光反射集光素子に相当する光学レンズ
1009 角度ずれ
1010 位置ずれ
1011−1016 伝播ビームの光軸

Claims (6)

  1. ガウシアンビーム等の光線が、特定の位置にビームウェストを形成するように反射させる光反射集光素子に入反射し、上記光反射集光素子からの反射ビームが、特定の波長域のビームを透過させそれ以外の波長域のビームを反射させる波長選択素子に入反射し、上記波長選択素子からの反射ビームが、前記光反射集光素子とは別の光反射集光素子に入反射するように光学設計されている合分波器であって、前記光反射集光素子と前記波長選択素子は、平行に対向する二つの仮想平面上に配置されており、波長選択素子からの反射ビームは、二つの仮想平面で反射を繰り返しながら伝搬する多重反射ビームとなり、一つの波長選択素子から仮想平面の反射を経て隣接する別の波長選択素子までに入射する多重反射ビームの光路長が何れも等しく、上記多重反射ビームは、合分波器外部から少なくとも一つの光反射集光素子からの反射を経て入力されるか、或いは、少なくとも一つの光反射集光素子からの反射を経て合分波器外部へ波長多重光信号として伝播するように構成されることを特徴とする合分波器。
  2. 請求項1に記載の合分波器において、上記多重反射ビームが、合分波器外部から少なくとも二つの光反射集光素子からの反射を経て入力されるか、或いは、少なくとも二つの光反射集光素子からの反射を経て合分波器外部へ波長多重光信号として伝播するように構成されることを特徴とする合分波器。
  3. 請求項1乃至2に記載の合分波器において、波長選択素子に到達するビームの複素ビームパラメータが、すべての波長選択素子上で同一になるように光反射集光素子の光学パラメータが光学設計されていることを特徴とする合分波器。
  4. 請求項1乃至3に記載の合分波器において、すべての波長選択素子は、二つの仮想平面の一方に配置されていることを特徴とする合分波器。
  5. 請求項1乃至4に記載の合分波器において、合分波器内部を伝播するビームが、波長選択素子上でビームウェストを形成するように光反射集光素子の光学パラメータが光学設計されていることを特徴とする合分波器。
  6. 請求項1乃至5に記載の合分波器において、光反射集光素子の少なくとも一つが、球面状のミラーであることを特徴とする合分波器。
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