JP2005022403A - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、接着剤を用いたり、表面処理を行うことなく、しかもビニリデンユニットの含有量や有無に無関係に、熱可塑性樹脂、その中でも特にフッ素樹脂にゴムを直接接着させた積層体を得る為の製造方法及び該積層体を提供することである。
【解決手段】ゴムからなる層または反応性官能基を有する熱可塑性樹脂からなる層の少なくとも一方に多官能性化合物を配合し、ゴムからなる層および該熱可塑性樹脂からなる層を、直接積層させた状態で熱処理を行なうことを特徴とする積層体の製造方法。または、ゴムからなる層に直接接着なされている反応性官能基を有する熱可塑性樹脂からなる層を有し、ゴムからなる層または該熱可塑性樹脂からなる層の少なくとも一方に多官能性化合物を配合した積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴムからなる層または反応性官能基を有する熱可塑性樹脂からなる層の少なくとも一方に、多官能性化合物を配合し、前記ゴムからなる層および前記熱可塑性樹脂からなる層を、直接積層させた状態で熱処理を行なうことを特徴とする積層体の製造方法および該積層体に関する。さらには、該積層体よりなる燃料配管に関する。
近年、自動車において性能向上や燃費向上を目的として益々エンジンルーム内の温度が高温化してきており、燃料配管もより耐熱性能の向上した材料が要求されている。さらに蒸散ガス規制に伴い、より低燃料透過性が要求されている。したがって従来から、最内層に耐熱性と耐燃料透過性に優れたフッ素ゴム加硫物からなる層を配し、それに直接積層される層にエピクロロヒドリン系ゴム加硫物からなる層を配した積層配管が用いられてきた。しかしながら昨今のさらなる蒸散ガス規制強化に対しては、該積層配管では耐燃料透過性を満足させることができなくなってきている。このような問題を解決すべくフッ素ゴムに代わりより耐燃料透過性に優れたフッ素樹脂(熱可塑性樹脂の一例)を積層化する方法が検討されている。
例えば、ゴムとフッ素樹脂を接着させる方法としては、接着剤を用いる方法、フッ素樹脂に放電処理やエッチング処理などのような表面活性処理を行なう方法(たとえば、特許文献1参照)が検討されている。しかし、いずれの方法であっても、接着剤を用いたり、表面処理を行なう必要があるなど、作業性、経済性の点で不利である。また、ビニリデンユニットを有するフッ素樹脂、たとえばTHV(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体)を用いて、加硫接着させる方法が検討されている(たとえば、特許文献2、3参照)が、ビニリデンユニットが無いか少ない場合は接着できず、使用できるフッ素樹脂が限定されていた。
特開2002−59486号公報 特開平8−169085号公報 特開2001−107013号公報
本発明の目的は、接着剤を用いたり、表面処理を行うことなく、しかもビニリデンユニットの含有量や有無に無関係に、熱可塑性樹脂、その中でも特にフッ素樹脂にゴムを直接接着させた積層体を得る為の製造方法及び該積層体を提供することである。
本発明は、ゴムからなる層または反応性官能基を有する熱可塑性樹脂からなる層の少なくとも一方に多官能性化合物を配合し、ゴムからなる層および該熱可塑性樹脂からなる層を、直接積層させた状態で熱処理を行うことを特徴とする積層体の製造方法に関する。
多官能性化合物をゴムからなる層に配合することが好ましい。
多官能性化合物は、ゴムからなる層に過剰量配合することが好ましい。
熱処理は、熱可塑性樹脂の融点〜300℃で行うことが好ましい。
熱可塑性樹脂は、含フッ素エチレン性重合体からなることが好ましい。
熱可塑性樹脂の融点は、160〜260℃であることが好ましい。
含フッ素エチレン性重合体が、少なくとも、テトラフルオロエチレン20〜89モル%、エチレン10〜79モル%、式(1):
CF2=CF−Rf1 (1)
(式中、Rf1は、−CF3またはORf2を示す。Rf2は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を示す。)で表される化合物1〜70モル%を重合してなる共重合体であることが好ましい。
ゴムは、フッ素ゴムであることが好ましい。
反応性官能基は、カルボニル基であることが好ましい。
また、本発明は、ゴムからなる層に直接接着なされている反応性官能基を有する熱可塑性樹脂からなる層を有し、ゴムからなる層または該熱可塑性樹脂からなる層の少なくとも一方に多官能性化合物を配合した積層体に関する。
多官能性官能基をゴムからなる層に配合することが好ましい。
また、本発明は、前記積層体からなる燃料配管に関する。
本発明によれば、接着剤を用いたり、表面処理を行うことなく、しかもビニリデンユニットの含有量や有無に無関係に、熱可塑性樹脂、その中でも特にフッ素樹脂にゴムを直接接着させた積層体を得る為の製造方法及び該積層体を提供することができ、さらにその積層体の熱可塑性樹脂層とゴム層との接着強度を充分なものとすることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ゴムからなる層(以下、ゴム層という)および反応性官能基を有する熱可塑性樹脂からなる層(以下、熱可塑性樹脂層という)の少なくとも一方に多官能性化合物を配合し、前記ゴム層および前記熱可塑性樹脂層を、直接積層させた状態で熱処理を行うことを特徴とする積層体の製造方法に関する。
本発明において、多官能性化合物をゴム層に配合することは、熱可塑性樹脂層が薬液透過性などの優れた物性を維持しやすいという点で好ましい。また、熱可塑性樹脂層に配合することは、少量の配合により接着性が向上するという点で好ましい。また、多官能性化合物をゴム層、熱可塑性樹脂層の両方に配合してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂は、通常熱可塑性樹脂として認識されているものであればよい。熱可塑性樹脂は、含フッ素エチレン性重合体からなるものであることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂は、反応性官能基を有する。反応性官能基を有しなければ、ゴム層と充分に接着しない。反応性官能基としては、カルボニル基、水酸基、スルホ基、エポキシ基、オキサゾリン基、アミン基、塩素末端があげられる。なかでも、カルボニル基であることが、強固な接着が得られる点で好ましい。
本発明におけるカルボニル基とは、カルボニル基そのもの[−C(=O)−]とカルボニル基を有する官能基との両方を有するものであって、たとえば、ホルミル基、カルボキシル基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基、酸無水物結合[−C(=O)O−C(=O)−]、カーボネート基、カルバモイルオキシ基[NH2−C(=O)O−]、イソシアネート基、アミド基、イミド基[−C(=O)−NH−C(=O)−]、カルバモイル基[NH2−C(=O)−]、ウレタン結合[−NH−C(=O)O−]、カルバモイルオキシ基[NH2−C(=O)O−]、オキサモイル基[NH2−C(=O)−C(=O)−]、スクシンアモイル基[NH2−C(=O)−CH2−CH2−C(=O)−]、ウレイド基[NH2−C(=O)−NH−]等が挙げられる。
カルボニル基としては、導入が容易であり、ゴム層との反応性が高い点から、カーボネート基の一部であるもの、ハロホルミル基の一部であるものが好ましい。
カーボネート基は、一般に−OC(=O)O−で表される結合を有する基であり、−OC(=O)O−R基(Rは有機基またはVII族原子を示し、有機基としては、たとえばC1〜C20アルキル基であり、特にC1〜C10アルキル基、エーテル結合を有するC2〜C20アルキル基などを示す。)で表されるものである。カーボネート基としては、たとえば−OC(=O)OCH3、−OC(=O)OC37、−OC(=O)OC817、−OC(=O)OCH2CH2CH2OCH2CH3などが好ましくあげられる。
ハロホルミル基は、−COY(YはVII族原子を示す。)で表されるものであり、−COF、−COClなどがあげられる。
熱可塑性樹脂をなす重合体がカルボニル基を有するものであり、たとえば、カーボネート基および/またはハロホルミル基を有するものである場合、カーボネート基を有する場合にあっては、そのカーボネート基の数が熱可塑性樹脂をなす重合体の主鎖炭素数1×106個あたり3〜1000個であり、ハロホルミル基を有する場合にあっては、そのハロホルミル基の数が熱可塑性樹脂をなす重合体の主鎖炭素数1×106個あたり3〜1000個であり、カーボネート基とハロホルミル基の両方を有する場合にあっては、それらの基の合計数が熱可塑性樹脂をなす重合体の主鎖炭素数1×106個あたり3〜1000個であるものが好ましい。なお、ゴム層との反応性に特に優れるハロホルミル基が熱可塑性樹脂をなす重合体の主鎖炭素数1×106個あたり20個以上存在していれば、カルボニル基合計の含有量を主鎖炭素数1×106個あたり150個未満にしても、ゴム層と熱可塑性樹脂層との層間接着力が優れたものとなる。
本発明における熱可塑性樹脂は反応性官能基を有するが、たとえば、熱可塑性樹脂をなす重合体の末端に結合していてもよいし、側鎖に結合していてもよい。なかでも、重合体の末端に反応性官能基を有するものが、耐熱性、機械特性および耐薬品性を著しく低下させない点で、また、生産性、コスト面で有利である点で、好ましいものである。
熱可塑性樹脂をなす重合体の末端にカルボニル基を有する場合、たとえば、パーオキシカーボネートやパーオキシエステルのようなカルボニル基を有するか、または、カルボニル基に変換し得る官能基を有する重合開始剤を使用して重合体末端にパーオキサイドに由来するカルボニル基を導入することができ、この方法は、カルボニル基の導入が非常に容易で、しかも導入量の制御も容易なことから好ましい。なお、パーオキサイドに由来するカルボニル基とは、パーオキサイドに含まれる官能基から直接または間接的に導かれるカルボニル基をいう。
また、熱可塑性樹脂は、すべての重合体が反応性官能基を有している必要はなく、反応性官能基を含まない重合体が存在していても、熱可塑性樹脂全体として重合体の主鎖炭素1×106個あたり合計で上述した範囲の数の反応性官能基を有していればよい。
熱可塑性樹脂の融点は、160〜260℃であることが好ましい。融点以上で熱処理を行なえることでゴムとの密着性が良くなり接着にも好適であるが、熱処理温度が高いとゴムが熱劣化する。また融点がこの範囲内であると熱可塑性樹脂層の透明性が向上するので好ましい。より好ましい上限は240℃であり、更には220℃が好ましい。
熱可塑性樹脂をなす重合体としては特に限定されないが、含フッ素エチレン性重合体であることが好ましい。含フッ素エチレン性重合体は、フッ素樹脂の特徴である耐薬品性、耐溶剤性、耐候性、防汚性、非粘着性、耐バクテリア性などの優れた特性を有しており、得られる積層体にこのような優れた特性を付与することができる。含フッ素エチレン性重合体は、少なくとも1種類のフッ素含有エチレン性単量体を重合してなるものであり、フッ素含有エチレン性単量体とフッ素非含有エチレン性単量体とを重合してなるものであってもよい。フッ素含有エチレン性単量体およびフッ素非含有エチレン性単量体は、それぞれ1種または2種以上を使用してもよい。
フッ素含有エチレン性単量体としては、たとえば、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、へキサフルオロプロピレン、へキサフルオロイソブテン、式(2):
CH2=CX1(CF2n2 (2)
(式中、X1は、HまたはF、X2はH、FまたはCl、nは1〜10の整数を示す。)で表される単量体、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類などが、あげられる。
フッ素非含有エチレン性単量体は、得られる含フッ素エチレン性重合体の耐熱性や耐薬品性などを低下させない点から、炭素数5以下のエチレン性単量体であることが好ましく、たとえば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどがあげられる。
フッ素含有エチレン性単量体とフッ素非含有エチレン性単量体とを重合して含フッ素エチレン性重合体を得る場合、その単量体組成は、フッ素含有エチレン性単量体10〜100モル%、下限はたとえば30モル%、および、フッ素非含有エチレン性単量体0〜90モル%、上限はたとえば70モル%の量比であってよい。フッ素含有エチレン性単量体が10モル%未満であると、上述した含フッ素エチレン性重合体のフッ素樹脂としての特性が発現されないので、好ましくない。
含フッ素エチレン性重合体においては、フッ素含有エチレン性単量体およびフッ素非含有エチレン性単量体の種類、組合せ、組成比などを選ぶことによって得られる含フッ素エチレン性重合体の融点またはガラス転移点を調節することができ、また、樹脂状のもの、エラストマー状のもののどちらにもなりうる。接着の目的や用途、得られる積層体の目的や用途に応じて、含フッ素エチレン性重合体の性状は適宜選択し得る。
含フッ素エチレン性重合体の分子量については、含フッ素エチレン性重合体が熱分解温度以下で成形でき、しかも得られた積層体が含フッ素エチレン性重合体本来の優れた耐燃料透過性などを発現できるような範囲であることが好ましい。メルトフローレート(MFR)を分子量の指標として、一般のフッ素樹脂の成形温度範囲である約200〜350℃の範囲の温度におけるMFRが0.5〜100g/10分であることが好ましい。本明細書において、MFRは、後述するMFRの測定方法により得られる値である。
本発明における含フッ素エチレン性重合体としては、耐熱性および耐薬品性の面でテトラフルオロエチレン単位を必須成分とする含フッ素エチレン性重合体が好ましい。なお、本明細書において、「単位」とは、重合体の分子構造の一部分であって、その単量体に由来する部分を意味する。
本発明における含フッ素エチレン性重合体の好ましい具体例としては、耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性、非粘着性に優れている点から、下記の単量体を重合してなる含フッ素エチレン性重合体(I)〜(III)などがあげられる。なお、本明細書において、含フッ素エチレン性重合体をなす単量体の組成は、反応性官能基を側鎖に有する含フッ素エチレン性重合体を得る場合に共重合する反応性官能基含有エチレン性単量体以外の単量体の合計に対する値である。
(I)少なくとも、テトラフルオロエチレンおよびエチレンを重合してなる共重合体、
(II)少なくとも、テトラフルオロエチレンおよび式(1):
CF2=CF−Rf1 (1)
(式中、Rf1はCF3またはORf2を示し、Rf2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を示す。)で表される化合物を重合してなる共重合体、
(III)少なくとも、フッ化ビニリデンを重合してなる共重合体、
なかでも、得られる樹脂体を低融点にしやすく、溶融成形性が優れている点から、含フッ素エチレン性重合体は、共重合体(I)であることが好ましい。
共重合体(I)として、たとえば、少なくともテトラフルオロエチレン20〜89モル%、上限はたとえば60モル%、エチレン10〜79モル%、下限はたとえば20モル%、上限はたとえば60モル%、および、これらと共重合可能な単量体0〜70モル%を重合してなる共重合体などがあげられる。
テトラフルオロエチレンおよびエチレンと共重合可能な単量体としては、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、式(2):
CH2=CX1(CF2n2 (2)
で表される単量体、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類、プロピレンなどがあげられ、通常これらの1種または2種以上が用いられる。
共重合体(I)のような含フッ素エチレン性重合体は、特に耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性、非粘着性、ガスバリアー性、非溶出性、耐バクテリア性に優れている。
共重合体(I)のなかでも、
(I−1)少なくとも、テトラフルオロエチレン62〜80モル%、エチレン20〜38モル%、テトラフルオロエチレンおよびエチレンと共重合可能な単量体0〜10モル%を重合してなる共重合体、
(I−2)少なくとも、テトラフルオロエチレン20〜80モル%、エチレン10〜80モル%、へキサフルオロプロピレン0〜30モル%、テトラフルオロエチレンおよびエチレンと共重合可能な単量体0〜10モル%を重合してなる共重合体などが、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体の優れた性能を維持し、融点を比較的低くすることができ、積層される相手材との接着性を最大限に発揮できる点で好ましい。
共重合体(II)としては、たとえば、
(II−1)少なくとも、テトラフルオロエチレン65〜95モル%、好ましい下限は75モル%、ヘキサフルオロプロピレン5〜35モル%、好ましい上限は25モル%を重合してなる共重合体、
(II−2)少なくとも、テトラフルオロエチレン70〜97モル%、CF2=CFORf2(Rf2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を示す)で表される単量体3〜30モル%を重合してなる共重合体、
(II−3)少なくとも、テトラフルオロエチレン、へキサフルオロプロピレンおよびCF2=CFORf2(Rf2は上記と同じものを示す。)で表される単量体を重合してなる共重合体であって、へキサフルオロプロピレンとCF2=CFORf2で表される単量体との合計が5〜30モル%である共重合体などが好ましい。
共重合体(II−2)および共重合体(II−3)は、パーフルオロ系共重合体であり、耐熱性、耐薬品性、撥水性、非粘着性、電気絶縁性、バリア性、非溶出性、耐バクテリア性などが特に優れている。
共重合体(III)としては、少なくともフッ化ビニリデン15〜99モル%、テトラフルオロエチレン0〜80モル%、ヘキサフルオロプロピレンまたはクロロトリフルオロエチレンのいずれか1種以上0〜30モル%を重合してなる共重合体などがあげられる。
たとえば、
(III−1)少なくとも、フッ化ビニリデン30〜99モル%、テトラフルオロエチレン1〜70モル%を重合してなる共重合体、
(III−2)少なくとも、フッ化ビニリデン60〜90モル%、テトラフルオロエチレン0〜30モル%、クロロトリフルオロエチレン1〜20モル%を重合してなる共重合体、
(III−3)少なくとも、フッ化ビニリデン60〜95モル%、テトラフルオロエチレン0〜30モル%、ヘキサフルオロプロピレン5〜30モル%を重合してなる共重合体、
(III−4)少なくとも、フッ化ビニリデン15〜60モル%、テトラフルオロエチレン35〜80モル%、ヘキサフルオロプロピレン5〜30モル%を重合してなる共重合体などがあげられる。
本発明における含フッ素エチレン性重合体の製造方法としては特に限定されず、上述したように、側鎖にカルボニル基を有する含フッ素エチレン性重合体を製造する場合、カルボニル基含有エチレン性単量体を、目的の含フッ素エチレン性重合体に合わせた種類、配合のフッ素含有エチレン性単量体およびフッ素非含有エチレン性単量体と共重合することにより得ることができる。好適なカルボニル基含有エチレン性単量体としては、パーフルオロアクリル酸フルオライド、1−フルオロアクリル酸フルオライド、アクリル酸フルオライド、1−トリフルオロメタクリル酸フルオライド、パーフルオロブテン酸などのフッ素を有する単量体;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸クロライド、ビニレンカーボネートなどのフッ素を有さない単量体がそれぞれあげられる。
側鎖に水酸基、スルホ基、エポキシ基、オキサゾリン基またはアミン基を有する含フッ素エチレン性重合体の製造方法としては、水酸基、スルホ基、エポキシ基、オキサゾリン基またはアミン基を含有するエチレン性単量体を共重合することがあげられる。ここで、前記反応性基を有するエチレン性単量体はフッ素を含有していてもしていなくても良い。
重合体末端にカルボニル基を有する含フッ素エチレン性重合体を得るためには種々の方法を採用することができるが、パーオキサイド、特に、パーオキシカーボネートやパーオキシエステルを重合開始剤として用いて上述の含フッ素エチレン性重合体をなす単量体を重合する方法が、経済性の面、耐熱性、耐薬品性など品質の面で好ましく採用できる。この方法によれば、パーオキサイドに由来するカルボニル基、たとえば、パーオキシカーボネートに由来するカーボネート基、パーオキシエステルに由来するエステル基またはこれらの官能基を変換してハロホルミル基を、重合体末端に導入することができる。これらの重合開始剤のうち、パーオキシカーボネートを用いることが、重合温度を低くすることができ、開始反応に副反応を伴わないことからより好ましい。
上記パーオキシカーボネートとしては式(3)〜(6):
Figure 2005022403
(式中、RおよびR1は、同一または異なっていてもよく、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状の一価飽和炭化水素基、または、末端にアルコキシル基を有する炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状の一価飽和炭化水素基を示し、R2は、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状の二価飽和炭化水素基、またはアルコキシル基を有する炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状の二価飽和炭化水素基を示す。)で表される化合物が好ましい。
なかでも、パーオキシカーボネートとしては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−pエチルヘキシルパーオキシジカーボネートなどが好ましい。
パーオキシカーボネート、パーオキシエステルなどの重合開始剤の使用量は、目的とする含フッ素エチレン性重合体の種類や組成、分子量、重合条件、使用する開始剤の種類などによって異なるが、得られる含フッ素エチレン性重合体100重量部に対して0.05〜20重量部であることが好ましく、特に好ましい下限は0.1重量部であり、特に好ましい上限は10重量部である。
重合体末端に水酸基、スルホ基、エポキシ基、オキサゾリン基、アミン基または塩素末端を有する含フッ素エチレン性重合体は、前記反応性基のそれぞれの基を有する重合開始剤を使用する方法により得ることができる。
重合方法としては、特に限定されず、たとえば、溶液重合、乳化重合、塊状重合などがあげられるが、工業的にはフッ素系溶媒を用い、重合開始剤としてパーオキシカーボネートなどを使用した水性媒体中での懸濁重合が好ましい。
懸濁重合においては、フッ素系溶媒を水に添加して使用することができる。懸濁重合に用いるフッ素系溶媒としては、たとえばCH3CClF2、CH3CCl2F、CF3CF2CCl2H、CF2ClCF2CFHClなどのハイドロクロロフルオロアルカン類;CF2ClCFClCF2CF3、CF3CFClCFClCF3などのクロロフルオロアルカン類;パーフルオロシクロブタン、CF3CF2CF2CF3、CF3CF2CF2CF2CF3、CF3CF2CF2CF2CF2CF3などのパーフルオロアルカン類などがあげられ、なかでも、パーフルオロアルカン類が好ましい。フッ素溶媒の使用量は、懸濁性および経済性の面から、水に対して10〜100重量%とするのが好ましい。
重合温度は特に限定されず、0〜100℃でよい。重合圧力は、用いる溶媒の種類、量および蒸気圧、重合温度などの他の重合条件に応じて適宜定められるが、通常0〜9.8MPaGであってよい。
分子量調整のために、通常の連鎖移動剤、たとえば、イソペンタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素;メタノール、エタノールなどのアルコール;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチルなどのハロゲン化炭化水素などを用いることができる。末端のカーボネート基またはエステル基の含有量は、パーオキシカーボネートまたはパーオキシエステルの使用量、連鎖移動剤の使用量、重合温度などの重合条件によって制御できる。
末端にハロホルミル基を有する含フッ素エチレン性重合体を得るためには種々の方法を採用できるが、たとえば、上述のカーボネート基またはエステル基を末端に有する含フッ素エチレン性重合体を加熱して、熱分解(脱炭酸)させることにより得ることができる。加熱温度は、カーボネート基またはエステル基の種類、含フッ素エチレン性重合体の種類などによって異なるが、重合体自体が270℃以上、好ましくは280℃以上、より好ましくは300℃以上になるように加熱することが好ましく、また、重合体自体が含フッ素エチレン性重合体のカーボネート基またはエステル基以外の部位の熱分解温度以下になるように加熱することが好ましく、より好ましくは400℃以下、更に好ましくは350℃以下である。
本発明における含フッ素エチレン性重合体は、単独で用いることが好ましいが、目的や用途に応じて含フッ素エチレン性重合体自体が有する接着性、耐熱性、耐薬品性などを損なわない範囲で、無機質粉末、ガラス繊維、炭素繊維、金属酸化物、カーボンなどの種々の充填剤、顔料、紫外線吸収剤、その他任意の添加剤とともに用いて熱可塑性樹脂層を形成することができる。機械特性の改善、耐候性の改善、意匠性の付与、静電防止、成形性改善などの目的で、また、添加剤以外に、上記含フッ素エチレン性重合体からなるもの以外のその他のフッ素樹脂やポリアミド系樹脂などのようなフッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などの樹脂、合成ゴムなどをともに用いることもできる。
無機質粉末、ガラス繊維、炭素繊維、金属酸化物、カーボンなどの充填剤を用いることは、濡れ性が向上し、接着性が良好となる点で好ましい。特に、カーボンブラック、アセチレンブラックなどの導電性材料をともに用いると、得られる積層体が燃料配管などに用いられる場合、静電荷蓄積防止に有利である。
本発明における熱可塑性樹脂層は、導電性のものであってもよい。なお、本発明でいう「導電性」とは、たとえば、ガソリンのような引火性の流体が樹脂のような絶縁体と連続的に接触した場合に静電荷が蓄積して引火する可能性があるのであるが、この静電荷が蓄積しない程度の電気特性を有することをいい、たとえば、SAEJ2260では表面抵抗が106Ω/sq以下であると定められている。
熱可塑性樹脂層を導電性のものとする場合の導電性材料の配合割合は、熱可塑性樹脂および必要に応じて配合されるその他の成分との合計の20重量%以下であることが好ましく、15重量%以下がより好ましい。下限は、上記した表面抵抗値を付与することができる量であればよい。
本発明におけるゴム層を形成するゴム成分としては、特に限定されるものではなく、以下のものが例としてあげられる。たとえば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、水添されたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、天然ゴム、ポリイソプレン、プロピレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、エピクロルヒドリンと他の不飽和のエポキシドなどとの共重合体、クロロプレン重合体、ポリ1−クロロブタジエン、1−クロロブタジエン−ブタジエン共重合体、塩素化ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、塩素化または臭素化ブチルゴム、アクリルゴム、アクリル酸エステルとビニル化合物、またはオレフィン化合物、またはジエン化合物、またはα,β−エチレン系不飽和カルボン酸などとの共重合体、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系フッ素ゴム、ヘキサフルオロプロピレン−エチレン系フッ素ゴム、フルオロ(アルキルビニルエーテル)−オレフィン系(たとえばテトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体)フッ素ゴムなどのフッ素ゴムなどがあげられる。
本発明のゴムは、接着させるための熱処理に対する耐熱老化性の点で、前記フッ素ゴムであることが好ましい。フッ素ゴムは、ゴム層の全量に対して、50重量%以上含有することが好ましい。フッ素ゴムが、50重量%より少ないと、柔軟性に欠ける傾向にある。
また、フッ素ゴムのなかでも、ビニリデンフルオライド(VdF)単位含有フッ素ゴムが、経済性の点で好ましい。
VdF単位含有フッ素ゴムとしては、たとえばVdF−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、VdF−テトラフルオロエチレン(TFE)−HFP共重合体、VdF−クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体、TFE−プロピレン−VdF共重合体、HFP−エチレン−VdF共重合体、フルオロ(アルキルビニルエーテル)−オレフィン共重合体(たとえばパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)−VdF−TFE)共重合体などがあげられる。
フルオロ(アルキルビニルエーテル)は複数個のエーテル結合を含むものであっても良い。VdFは、20〜88モル%、好ましくは45〜83モル%のものが良い。好ましい分子量は、通常、ムーニー粘度表示でML1+4(100℃)=10〜150程度である。
また、いずれの共重合体においても、もちろん架橋性基含有単量体として、ビニル基やアリル基を複数有する多官能モノマーやヨウ素や臭素含有モノマーを共重合しても良い。もちろんVdF単量体含有フッ素ゴムの2種類以上のブレンドゴムや、VdF単量体不含有ゴムの1種または2種類以上のゴムとのブレンドゴムも含まれる。
本発明のゴム層には、充填剤を添加しても良い。充填剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化珪素、酸化アルミニウムなどの金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム、珪酸アルミニウムなどの珪酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;合成ハイドロタルサイト、二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅などの金属硫化物;珪藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、カーボンブラック、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、湿式シリカ、乾式シリカ、石英微粉末、亜鉛華、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤などがあげられる。
これらの充填剤の中でも、優れた補強性に起因する高剥離強度、低燃料透過性の点で、カーボンブラックが好ましい。また、高温下で積層体を保持した場合に発生するフッ酸をトラップするため、酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの受酸剤を添加することが好ましい。
本発明のゴム層には、加工助剤を添加しても良い。加工助剤としてはステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチルなどの高級脂肪酸エステル、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの高級脂肪族アミン;カルナバワックス、セレシンワックスなどの石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどのポリグリコール;ワセリン、パラフィンなどの脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、燐酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、(ハロゲン化)ジアルキルスルフォン、界面活性剤などがあげられる。
本発明のゴム層には、可塑剤として、たとえばフタル酸誘導体やセバシン酸誘導体、軟化剤としては、たとえば潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油、ステアリン酸カルシウム、老化防止剤としては、たとえばフェニレンジアミン類、フォスフェート類、キノリン類、クレゾール類、フェノール類、ジチオカルバメート金属塩、そのほか着色剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、粘着付与剤、滑剤などを任意に配合できる。
本発明における多官能性化合物は、二重結合を複数有する化合物、ポリアミン化合物、ポリヒドロキシ化合物、ポリチオール化合物などがあげられる。これらの中でも、多官能性化合物は二重結合を複数有する化合物が好ましい。たとえば、ゴム層に配合する加硫剤として、有機パーオキサイド化合物を用いると、多官能性化合物が加硫助剤としても機能する。
二重結合を複数有する化合物は、パーオキサイド加硫が可能なもの、すなわち、パーオキシラジカルとポリマーラジカルとに対して反応活性を有するものであれば原則的に有効であって、特に種類は制限されないが、多価ビニル化合物、多価アリル化合物、多価(メタ)アクリル酸エステルなどを例示できる。好ましいものとしては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フッ素化トリアリルイソシアヌレート、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、エチレンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタールアミド、トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン、亜燐酸トリアリル、N,N−ジアリルアクリルアミド、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどがあげられる。
これらの中でも、優れた架橋体の物理特性、耐熱安定性の点で、多官能性化合物がトリアリルイソシアヌレートであることが好ましい。
パーオキサイド加硫に使用する有機パーオキサイド化合物としては、一般には熱や還元剤の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生するものが良く、たとえば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどを例示することができる。中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが、分解後の臭気が少なく好適に用いられる。
有機パーオキサイド化合物は、ゴム100重量部に対して、5重量部以下の添加にすることが好ましい。5重量部をこえると、有機パーオキサイド化合物の揮発性の分解生成物が多くなり、良好な接着を得るのが困難になる傾向がある。
ポリアミン加硫に使用するポリアミン化合物としては、分子中に2個以上の塩基性窒素原子を結合する一級アミンまたは二級アミンであり、多くの場合はこれらを塩の形にして反応性を抑えて使用する。具体例としては、たとえばエチレンジアミンカーバメート、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、4,4−ジアミンシクロヘキシルメタンカーバメートなどのアルキレンジアミン類;N,N'−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミンなどのSchiff baseなどがあげられる。そのほか、塩基性に乏しい芳香族ポリアミン化合物も他の塩基性化合物と併用することにより加硫剤として使用できる。他の塩基性化合物としては、たとえば、ジフェニルグアニジン、ジ−O−トリグアニジン、ジフェニルチオウレア、2−メルカプトイミダゾリンや、合成ゴム用の加硫促進剤であって分子内に−NH2および/または−NH−を有する化合物、2価の金属水酸化物などがあげられる。
ポリオール加硫に使用するポリヒドロキシ化合物としては、フェノール性水酸基、
Figure 2005022403
を有するポリヒドロキシ化合物、または式(7):
Rf(CH2OH)2 (7)
(式中、Rfは炭素数1〜20のポリフルオロアルキレン基またはパークロロフルオロアルキレン基)で示されるジヒドロキシ化合物またはこれらのアルカリ金属塩、これらの混合物などが好適にあげられる。
具体例としては、たとえば、ヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、HOCH2(CF23CH2OH、HOCH2CF2CFH(CF23CFHCF2CH2OH、HOCH2CH2CH2(CF23CH2CH2CH2OH、HOCH2CF2CH2(CF23CH2CF2CH2OHまたはこれらのアルカリ金属塩などがあげられる。
ポリチオール化合物としては、ジメルカプトジメチルエーテル、ジメルカプトメチルサルファイド、1,6−ヘキサンジチオール、エチレンビスメルカプトアセテート、1,5−ナフタレンジチオール、4,4’−ジメルカプトジフェニル、2−アニリノ−4,6−ジチオール−S−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジチオール−S−トリアジンまたはこれらのアルカリ金属塩などがあげられる。
本発明では、多官能性化合物をゴム層または熱可塑性樹脂層に過剰量配合することが、充分な接着強度を有する積層体を得ることができる点で好ましい。
ここで、ゴム層に多官能性化合物を配合する場合の過剰量とは、多官能性化合物を配合した未加硫ゴム配合物を、2本のロール間を通過させて、ロール表面に転写された物質を分析した場合に、多官能性化合物を検出することのできる多官能性化合物の配合量をいう。分析には、例えば転写された物質をトルエンのような溶剤に溶かして乾燥後、赤外分光分析でスペクトルを観察すればよい。
ゴム層表面に、多官能性化合物を移行あるいは高密度にするために、ゴムからなるゴム層に対して多官能性化合物を過剰量配合することが好ましく、ゴム100重量部に対して、多官能性化合物を0.5重量部以上配合して接着用ゴム組成物とすることが好ましい。ゴム100重量部に対して、多官能性化合物0.5〜20重量部がより好ましく、5.5〜10重量部がさらに好ましい。多官能性化合物の配合量が少ないと、後で説明する剥離試験で凝集破壊が起こりにくく、接着性が不充分となる傾向がある。多官能性化合物の配合量が多いと、柔軟性に欠く傾向がある。
熱可塑性樹脂層に多官能性化合物を配合する場合は、反応性官能基を有する熱可塑性樹脂100重量部に対して、多官能性化合物を0.2〜10重量部とすることが好ましく、0.2〜5重量部がより好ましい。多官能性化合物の配合量が0.5重量部より少ないと、接着不良の傾向にあり、20重量部より多いと熱可塑性樹脂の薬液の低透過性などの物性が低下する傾向がある。
本発明の積層体のゴム層および熱可塑性樹脂層は、ゴムの加硫成形体と熱可塑性樹脂の成形体とを別々に成型してから、圧着等で積層させた後、熱処理によって層間接着力をそれぞれ充分なものとすることができる。したがって熱可塑性樹脂とゴムの、それぞれ単独での成形方法を適用することができる。すなわち、熱可塑性樹脂層は、加熱圧縮成形、押出成形、射出成形、塗装などの方法により成形できるが、優れた生産性の点で、溶融押出してなるものであることが好ましく、通常用いられる熱可塑性樹脂の成形機、たとえば、射出成形機、ブロー成形機、押出成形機などを使用して製造することができ、シート状、チューブ状など、各種形状の積層体を得ることが可能である。積層体を多層チューブ、多層ホース、多層タンクなどの多層成形品とする場合には、多層押出成形、多層ブロー成形、多層射出成形などの成形方法を適用し得る。積層体のゴム層は、従来から用いられている任意の方法、例えば、練ロール機、バンバリーミキサー、各種ニーダー、混練押出機などで配合され、加熱圧縮成形、トランスファー成形、押出成形、射出成形、塗装、カレンダー成形などにより成形できる。さらにシート状、チューブ状など、各種形状の積層体を得ることも可能であり、積層体を多層チューブ、多層ホース、多層タンクなどの多層成形品とする場合には、多層圧縮成形、多層トランスファー成形、多層押出成形、多層射出成形、ダブリングなどの成形方法を適用し得る。
本発明の積層体の成形については、上記方法の他にゴム層および熱可塑性樹脂層を、多層圧縮成形、多層トランスファー成形、多層押出成形、多層射出成形、ダブリングなどの方法により同時に成形することが可能である。これにより熱可塑性樹脂層と未加硫成形体であるゴム層を積層できる為、熱可塑性樹脂層とゴム層との密着性が容易に得られ、後の強固な接着を得るのに好適である。
本発明において熱処理方法は特に制限されるものではないが、たとえば、加硫済みのゴム層に熱可塑性樹脂を積層させたのちに熱処理を行なう方法、未加硫成形体であるゴム層に熱可塑性樹脂を積層させたのちに熱処理を行ない、同時にゴム層を加硫させる方法、未加硫成形体であるゴム層に熱可塑性樹脂を積層させたのちに、比較的単時間であらかじめ熱処理を行ない、同時にゴム層を加硫させ(以下、前処理という)、さらに長時間かけて熱処理を行なう方法がある。この中でも、特に、未加硫成形体であるゴム層に熱可塑性樹脂層を積層させたのちに前処理を行ない、さらに長時間かけて熱処理を行なう方法が、前処理でゴム層と熱可塑性樹脂層との密着性を容易に得られ、その後の熱処理では、既にゴム層が加硫して形状安定化しているので、積層体の保持方法をさまざまに選択することができるので好適である。
熱処理の条件は特に制限されるものではなく、通常の条件で行なうことができるが、150〜300℃で、30分〜50時間、スチーム、プレス、オーブン、エアーバス、赤外線、マイクロウェーブ、被鉛加硫などを用いて処理を行うことが好ましい。より好ましくは、230〜300℃で、16〜50時間かけて行なう。さらには、熱可塑性樹脂の融点〜300℃で行うことが好ましい。
前処理の条件は特に制限されないが、150〜300℃で、30秒〜1時間、スチーム、プレス、オーブン、エアーバス、赤外線、マイクロウェーブ、被鉛加硫などを用いて処理を行うことが好ましい。
本発明の積層体は、必要により繊維補強層を施してもよいし、他の基材と積層してライニング体を製造することもできる。また他のゴム層あるいは樹脂層を形成しても良い。例えば、形状安定化の為にゴム層に積層される熱可塑性樹脂に、他の熱可塑性樹脂が積層されていても良い。このとき熱可塑性樹脂の融点が熱処理の温度よりも高いことが好ましい。また燃料配管などの接合部でシール性が要求される場合は、シール性保持の点で熱可塑性樹脂層の両面がゴム層で挟まれた積層体であることが好ましい。
本発明の積層体は、苛酷な条件下での使用に充分耐えうるものであり、各種用途を有し、たとえば、自動車用エンジンのエンジン本体、主運動系、動弁系、潤滑・冷却系、燃料系、吸気・排気系など、駆動系のトランスミッション系など、シャーシのステアリング系、ブレーキ系など、電装品の基本電装部品、制御系電装部品、装備電装部品などの、耐熱性・耐油性・耐燃料油性・耐LLC性・耐スチーム性が要求されるガスケットや非接触型および接触型のパッキン類(セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカニカルシール、オイルシールなど)などのシール、ベローズ、ダイヤフラム、ホース、チューブ、電線などとして好適な特性を備えている。
具体的には、以下に列記する用途に使用可能である。
エンジン本体の、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバーガスケット、オイルパンパッキン、一般ガスケットなどのガスケット、O−リング、パッキン、タイミングベルトカバーガスケットなどのシール、コントロールホースなどのホース、エンジンマウントの防振ゴムなど。
主運動系の、クランクシャフトシール、カムシャフトシールなどのシャフトシールなど。
動弁系の、エンジンバルブのバルブステムシールなど。
潤滑・冷却系の、エンジンオイルクーラーのエンジンオイルクーラーホース、オイルリターンホース、シールガスケットなどや、ラジエータ周辺のウォーターホース、バキュームポンプのバキュームポンプオイルホースなど。
燃料系の、燃料ポンプのオイルシール、ダイヤフラム、バルブなど、フィラー(ネック)ホース、燃料供給ホース、燃料リターンホース、ベーパー(エバポ)ホースなどの燃料ホース、燃料タンクのインタンクホース、フィラーシール、タンクパッキン、インタンクフューエルポンプマウントなど、燃料配管チューブのチューブ本体やコネクターO−リングなど、燃料噴射装置のインジェクタークッションリング、インジェクターシールリング、インジェクターO−リング、プレッシャーレギュレーターダイヤフラム、チェックバルブ類など、キャブレターのニードルバルブ花弁、加速ポンプピストン、フランジガスケット、コントロールホースなど、複合空気制御装置(CAC)のバルブシート、ダイヤフラムなど。
吸気・排気系の、マニホールドの吸気マニホールドパッキン、排気マニホールドパッキンなど、EGR(排気際循環)のダイヤフラム、コントロールホース、エミッションコントロールホースなど、BPTのダイヤフラムなど、ABバルブのアフターバーン防止バルブシートなど、スロットルのスロットルボディパッキン、ターボチャージャーのターボオイルホース(供給)、ターボオイルホース(リターン)、ターボエアホース、インタークーラーホース、タービンシャフトシールなど。
トランスミッション系の、トランスミッション関連のベアリングシール、オイルシール、O−リング、パッキン、トルコンホースなど、ATのミッションオイルホース、ATFホース、O−リング、パッキン類など。
ステアリング系の、パワーステアリングオイルホースなど。
ブレーキ系の、オイルシール、O−リング、パッキン、ブレーキオイルホースなど、マスターバックの大気弁、真空弁、ダイヤフラムなど、マスターシリンダーのピストンカップ(ゴムカップ)など、キャリパーシール、ブーツ類など。
基本電装品の、電線(ハーネス)の絶縁体やシースなど、ハーネス外装部品のチューブなど。
制御系電装品の、各種センサー線の被覆材料など。
装備電装品の、カーエアコンのO−リング、パッキン、クーラーホースなど。
また自動車用以外では、たとえば、船舶、航空機などの輸送機関における耐油、耐薬品、耐熱、耐スチーム、あるいは耐候用のパッキン、O−リング、ホース、その他のシール材、ダイヤフラム、バルブに、また化学プラントにおける同様のパッキン、O−リング、シール材、ダイヤフラム、バルブ、ホース、ロール、チューブ、耐薬品用コーティング、ライニングに、食品プラント機器および食品機器(家庭用品を含む)における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ベルト、ダイヤフラム、バルブ、ロール、チューブに、原子力プラント機器における同様のパッキング、O−リング、ホース、シール材、ダイヤフラム、バルブ、チューブに、一般工業部品における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ダイヤフラム、バルブ、ロール、チューブ、ライニング、マンドレル、電線、フレキシブルジョイント、ベルト、ゴム板、ウエザーストリップ、PPC複写機のロールブレードなどへの用途に好適である。
本発明における前記積層体からなる燃料配管は通常の方法によって製造することができ、特に制限されることはない。また、本発明の燃料配管には、コルゲートチューブも含まれる。
これらの中でも、特に前記積層体からなる燃料配管は、耐熱性、燃料低透過性の点で好ましい。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
合成例1
オートクレーブに蒸留水380Lを投入し、充分に窒素置換を行なったのち、1−フルオロ−1,1−ジクロロエタン75kg、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)155kgおよびパーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)(HF−Pe)0.5kgを仕込み、系内を35℃、攪拌速度200rpmに保った。その後、テトラフルオロエチレン(TFE)を0.7MPaまで圧入し、更に引き続いてエチレン(Et)を1.0MPaまで圧入したのち、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート2.4kgを投入して重合を開始した。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、テトラフルオロエチレン/エチレン/ヘキサフルオロプロピレン=46.5/44.5/9.0モル%の混合ガスを連続して供給し、系内圧力を1.0MPaに保った。そして、パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)を合計量1.5kgとなるように連続して仕込み、20時間、攪拌を継続した。そして、放圧して大気圧に戻したのち、反応生成物を水洗、乾燥して205kgの粉末を得た。このようにして得られた共重合体中のEt:TFE:HFP:HF−Peのモル比を19F−NMRにより測定したところ、46.5:44:9:0.5であった。また、示差走査熱量計(DSC)(セイコー社製)により測定した融点は、195℃であった。また、得られた共重合体について、以下の方法を用いてカルボニル基の含有率およびメルトフローレート値(MFR)を測定した。カルボニル基の数は、共重合体の主鎖炭素数1×106個あたり、210個であった。MFRは40g/10分(265℃、5kgf)であった。
(カルボニル基の数の測定)
上述のようにして得られた共重合体の粉末を室温にて圧縮成形し、厚さ0.05〜0.2mmのフィルムを作成した。得られたフィルムの赤外吸収スペクトル分析において、カーボネート基[−OC(=O)O−]のカルボニル基に由来するピークが1809cm-1(νC=O)の吸収波長に現れるので、そのνC=Oピークの吸光度を測定した。カーボネート基以外のカルボニル基の吸収は確認できなかった。
下記数式(1)によって主鎖炭素数106個当たりのカーボネート基の個数(N)を算出した。
N=500AW/εdf (1)
A:カーボネート基[−OC(=O)O−]由来のνC=Oピークの吸光度
ε:カーボネート基[−OC(=O)O−]由来のνC=Oピークのモル吸光度係数(l・cm-1・mol-1)。モデル化合物からε=170とした。
W:モノマー組成から計算される単量体単位の平均分子量
d:フィルムの密度(g/cm3
f:フィルムの厚さ(mm)
なお、赤外吸収スペクトル分析は、Perkin−Elmer FTIRスペクトロメーター1760X(パーキンエルマー社製)を用いて40回スキャンして行った。得られたIRスペクトルをPerkin−Elmer Spectrum for Windows(登録商標) Ver. 1.4Cを用いて自動でベースラインを判定し、1809cm-1のピークの吸光度を測定した。また、フィルムの厚さはマイクロメーターにて測定した。
(組成の測定)
19F−NMR分析により測定した。
(融点(Tm)の測定)
セイコー型DSC装置を用い、10℃/minの速度で昇温したときの融解ピークを記録し、極大値に対応する温度を融点(Tm)とした。
(MFR(Melt Flow Rate)の測定)
メルトインデクサー(東洋精機製作所製)を用い、温度265℃、5kg荷重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから単位時間(10分間)に流出するポリマーの重量(g)を測定した。
実施例1
合成例1で得られた共重合体100重量部とカーボンブラック12重量部とを、二軸押出機(池貝株式会社製、PCM46)にて、250℃、100rpmで押し出し、ペレットを得た。そののち、得られたペレットを用いて、30mmφ一軸押出機でフィルムを作成することにより、含フッ素樹脂フィルムを作成した。
ダイエルG−701(ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリオール系加硫剤および加硫促進剤含有、ダイキン工業(株)製)100重量部、MTカーボンブラック(CanCarb社製)20重量部、酸化マグネシウム3重量部、水酸化カルシウム6重量部、トリアリルイソシアヌレート(日本化成(株)製)7重量部からなるゴム配合物をそれぞれ8インチロールを用いて、50℃で混練して2mmの未加硫ゴムシートを作製した。ついで未加硫ゴムシートを4cm×7cm角の短冊に切り、同様に4cm×7cm角の短冊に切った125μmの含フッ素樹脂フィルムを組み合わせて積層し、プレス圧1MPa、160℃で、10分間、前処理を行なった。室温まで冷却し4.5cm×7.5cm角で厚みが2mmの積層体を得た。
また、得られた積層体を230℃の炉中、16時間で保持することにより、熱処理を行なった。
なお、未加硫ゴム配合物は、多官能性官能基がブリードアウトしており、ゴム層に多官能性官能基が過剰量配合されていることが、確認できた。
(ペンチによる剥離試験)
前処理後および熱処理後に得られた積層体について、ペンチによる剥離試験を行なった。剥離試験時にペンチあるいはチャックでつかむ部分には、あらかじめプレス前にセロハンフィルムをはさんで接着しないようにした。剥離は、ゴム層と熱可塑性樹脂層とをペンチでつかみ、180°方向に、手で凝集破壊しにくいように、できるだけゆっくりと引張った。そして、ほぼ凝集破壊している場合は○、一部凝集破壊している場合は△、界面剥離している場合は×として評価した。結果を表1に示す。
(剥離強度)
また、熱処理したのちに得られた積層体のなかで、前記のペンチによる剥離試験で凝集破壊と評価されたものについて、JIS K6256に準拠して剥離強度を測定した。その結果を、表1に示す。
(多官能性化合物のブリードアウト)
多官能性化合物を配合した未加硫ゴム配合物を、8インチロールを用い、間隙を2mm、ロールの温度を50℃、低速ロールの回転速度を毎分24回転、ロールの回転比を1:1.4に調整して丸め通しを行い、ロール表面に転写された物質をスクレーパーを用いて削ぎ取り、臭化カリウム結晶板に塗布して、赤外分光分析でスペクトルを観察し、多官能性化合物のブリードアウトの有無を観察した。
実施例2
ダイエルG−701の代わりにダイエルG−555(ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリオール系加硫剤および加硫促進剤含有、ダイキン工業(株)製)100重量部を使用し、パーヘキサ25B(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、日本油脂(株)製)1.5重量部をゴム配合物に用いた以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。得られた積層体についてペンチによる剥離試験、剥離強度の測定を行なった。その結果を、表1に示す。また、実施例1と同様、未加硫ゴム配合物は、多官能性官能基がブリードアウトしており、ゴム層に多官能性化合物が過剰量配合されていることが、確認できた。
実施例3
ダイエルG−555の代わりにダイエルG−902(ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ダイキン工業(株)製)100重量部を使用し、酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムを用いなかった以外は、実施例2と同様にして、積層体を作製した。得られた積層体についてペンチによる剥離試験、剥離強度の測定を行なった。その結果を、表1に示す。また、実施例1と同様、未加硫ゴム配合物は、多官能性官能基がブリードアウトしており、ゴム層に多官能性化合物が過剰量配合されていることが、確認できた。
実施例4
TAICの使用量を7重量部から5.5重量部に減量した以外は、実施例3と同様にして、積層体を作製した。得られた積層体についてペンチによる剥離試験、剥離強度の測定を行なった。その結果を、表1に示す。また、実施例1と同様、未加硫ゴム配合物は、多官能性官能基がブリードアウトしており、ゴム層に多官能性化合物が過剰量配合されていることが、確認できた。
実施例5
TAICを1重量部使用した以外は実施例3と同様にして、積層体を作製した。得られた積層体についてペンチによる剥離試験の測定を行なった。その結果を、表1に示す。未加硫ゴム配合物は、多官能性化合物がブリードアウトしていないことが確認できた。
比較例1
TAICを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。得られた積層体についてペンチによる剥離試験の測定を行なった。その結果を、表1に示す。
比較例2
合成例で得られた粉末50kg、純水400Lを1000Lガラスライニング製オートクレーブに入れ、28%アンモニア水3Lを加え、攪拌を行いながら80℃で5時間加熱した。内容物の粉末を取り出し、水洗、乾燥して50kgの含フッ素樹脂を得た。得られた含フッ素樹脂のカルボニル基の数について調べたところ、ポリマー鎖に痕跡程度しか含まれず、重合体の主鎖炭素数1×106個あたり、本発明でいうカルボニル基は見いだせなかった。MFRは41g/10分(265℃、5kgf)であった。
得られた含フッ素樹脂から、実施例1と同様にして含フッ素樹脂フィルムを作製した以外は、実施例3と同様にして、積層体を作製した。得られた積層体についてペンチによる剥離試験の測定を行なった。その結果を、表1に示す。
Figure 2005022403
実施例1〜4では、熱処理前はペンチにより界面剥離するが、熱処理後はいずれも凝集破壊しており、熱処理を行なうことで、積層体の接着強度が大幅に向上することがわかる。一方、実施例5と比較例1〜2では、熱処理後においても、ペンチにより界面剥離している。
このことから、ゴム層に過剰量の多官能性化合物を配合することで、多官能性化合物がゴム層表面にブリードアウトし、熱処理により前処理後に未反応であった多官能性化合物が反応性官能基と反応し、熱可塑性樹脂層とゴム層が強固に接着されることがわかる。また、熱可塑性樹脂が反応性官能基を有しない場合は、ゴム層表面にブリードアウトした多官能性化合物は、熱可塑性樹脂と反応を行なわず、その結果、熱可塑性樹脂層とゴム層が充分に接着しないことがわかる。

Claims (13)

  1. ゴムからなる層または反応性官能基を有する熱可塑性樹脂からなる層の少なくとも一方に多官能性化合物を配合し、ゴムからなる層および該熱可塑性樹脂からなる層を、直接積層させた状態で熱処理を行なうことを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 多官能性化合物をゴムからなる層に配合した請求項1記載の積層体の製造方法。
  3. 多官能性化合物を配合するにあたり、ゴムからなる層に過剰量配合することを特徴とする請求項1または2記載の積層体の製造方法。
  4. 熱処理を、熱可塑性樹脂の融点〜300℃で行うことを特徴とする請求項1、2または3記載の積層体の製造方法。
  5. 熱可塑性樹脂が、含フッ素エチレン性重合体からなる請求項1、2、3または4記載の積層体の製造方法。
  6. 熱可塑性樹脂の融点が、160〜260℃である請求項1、2、3、4または5記載の積層体の製造方法。
  7. 含フッ素エチレン性重合体が、少なくとも、テトラフルオロエチレン20〜89モル%、エチレン10〜79モル%、式(1):
    CF2=CF−Rf1 (1)
    (式中、Rf1は、−CF3または−ORf2を示す。Rf2は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を示す。)で表される化合物1〜70モル%を重合してなる共重合体である請求項5記載の積層体の製造方法。
  8. ゴムがフッ素ゴムである請求項1、2、3、4、5、6または7記載の積層体の製造方法。
  9. 反応性官能基がカルボニル基である請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の積層体の製造方法。
  10. ゴムからなる層に直接接着なされている反応性官能基を有する熱可塑性樹脂からなる層を有し、ゴムからなる層または該熱可塑性樹脂からなる層の少なくとも一方に多官能性化合物を配合した積層体。
  11. 多官能性化合物をゴムからなる層に配合した請求項10記載の積層体。
  12. 反応性官能基がカルボニル基である請求項10または11記載の積層体。
  13. 請求項10、11または12記載の積層体からなる燃料配管。
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