JP2005017616A - 屈折率分布型レンズの製造方法、屈折率分布型レンズおよびこれを用いた光部品 - Google Patents
屈折率分布型レンズの製造方法、屈折率分布型レンズおよびこれを用いた光部品 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】屈折率分布型レンズの製造の途中で、屈折率分布型レンズの光学特性、加工状態を判別することにより、製品の生産効率、歩留まりを向上させることができる屈折率分布型レンズの製造方法を提供する。
【解決手段】屈折率分布型レンズの製造方法における一連の工程の途中で、レンズ用母材の光学特性または加工状態を少なくとも1回測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する。一連の製造工程の途中で、レンズ用母材の屈折率分布を少なくとも1回測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する。一連の製造工程の途中で、レンズ用母材の太さを測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する。一連の製造工程の途中で、レンズ用母材の屈折率分布を少なくとも1回測定し、線引き後のレンズ用母材の切断前に当該レンズ用母材の太さを測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する。
【選択図】 なし
【解決手段】屈折率分布型レンズの製造方法における一連の工程の途中で、レンズ用母材の光学特性または加工状態を少なくとも1回測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する。一連の製造工程の途中で、レンズ用母材の屈折率分布を少なくとも1回測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する。一連の製造工程の途中で、レンズ用母材の太さを測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する。一連の製造工程の途中で、レンズ用母材の屈折率分布を少なくとも1回測定し、線引き後のレンズ用母材の切断前に当該レンズ用母材の太さを測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野において、光ファイバコリメータなどに使用される屈折率分布型レンズの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバコリメータなどに使用される屈折率分布型レンズの製造方法として、これまでにも様々な方法が提案されている。
ガラス系レンズの製造方法としては、イオン交換法やゾル−ゲル法などを用いる方法が挙げられるが、ガラス系レンズの中でも石英ガラス系レンズの製造方法としては、光ファイバの製造技術を応用したPCVD法、MCVD法、VAD法などを用いる方法が挙げられる。また、プラスチック系のレンズの製造方法としては、拡散重合法や光共重合法などを用いる方法が挙げられる。
【0003】
これらの製造方法において共通する工程としては、屈折率分布を付与する工程、レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程、レンズ用母材を切断して所定の長さにする工程が挙げられる。これら3つの工程の順番は、それぞれの製造方法によって異なっている。
【0004】
ここでは、図9を用いて、ガラス系屈折率分布型レンズの製造方法の一例として、光ファイバの製造技術を応用したVAD法を用いた製造方法を示す(例えば、特許文献1参照。)。
この屈折率分布型レンズの製造方法では、まず、VAD法により所望の屈折率分布を付与したレンズ用母材10を作製する。レンズ用母材10に屈折率分布を形成するためには、ガラス母材にゲルマニウムなどのドーパントを添加する。このドーパントの種類や添加量を調節することによって、所望の屈折率分布を有するレンズ用母材10が得られる。
【0005】
次いで、このレンズ用母材10を電気炉内で加熱して溶融状態とし、所定の外径となるように線引きをする。
この後、線引きしたレンズ用母材10を所定の長さに切断し、屈折率分布型レンズ20を得る。
【0006】
また、ガラス系屈折率分布型レンズの製造方法の他の例として、イオン交換法を用いる方法では、屈折率分布のないガラス母材をあらかじめ所定の外径となるように線引きした後、ガラス母材にドーパントを添加して屈折率分布を付与し、レンズ用母材を作製する。このようにして作製されたレンズ用母材を、所定の長さに切断し、屈折率分布型レンズを得る。
また、収差の改善や、高開口数化を目的として、屈折率分布型レンズの端面を球面加工することもある。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−311801号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、屈折率分布型レンズは、屈折率分布の制御や、その加工において高い精度が要求される。屈折率分布型レンズは、屈折率分布の僅かなずれや、加工の誤差によって収差が生じる。屈折率分布型レンズを光通信用レンズとして用いる場合、レンズの収差は信号光の損失の原因となる。従来、屈折率分布型レンズの製造において、屈折率分布の制御や加工精度はあまり高くないため、製品の歩留まりが低いという問題があった。
【0009】
また、屈折率分布型レンズの設計において重要な要素は、屈折率分布、レンズの直径、長さなどである。屈折率分布型レンズの端面を球面加工する場合には、球面形状も重要な要素である。
そこで、あらかじめ所望の光学特性を示すように、これらの要素は設計されるが、実際に屈折率分布型レンズを製造すると、それぞれの要素は誤差を生じてしまう。それぞれの要素の誤差は小さいものであっても、全ての要素が重ね合わせられて光学特性が決定するため、最終製品の光学特性は大きくばらついてしまう。
【0010】
そこで、レンズ用母材の切断や、屈折率分布型レンズの端面の球面加工など、比較的容易に変更できる加工条件を調節することによって、所望の光学特性が得られる屈折率分布型レンズの製造方法が望まれている。
【0011】
特許文献1を始めとして、従来の屈折率分布型レンズの製造方法に関する文献には、レンズの製造途中でレンズの特性を調べ、各工程における誤差を修正する手段は開示されていない。
従来、屈折率分布型レンズの製造方法における加工条件の決定では、加工条件を変えていくつかサンプルを作製し、最も良好な光学特性を示した加工条件を最適な加工条件としていた。
【0012】
屈折率分布型レンズの製造において、特に制御が難しいのは屈折率分布である。屈折率分布型レンズに、設計通りの屈折率分布を付与することは非常に難しい。僅かな屈折率分布のずれでも、レンズの光学特性が大きく変化してしまうため、加工条件の設定は非常に手間のかかる作業であった。
【0013】
また、レンズ用母材の屈折率分布を長手方向に一様に作ることは難しいため、同じ加工条件で屈折率分布型レンズを製造すると、製品の歩留まりが悪くなる。そこで、屈折率分布型レンズの光学特性が基準を下回る度に加工条件の調節が必要となる。レンズ用母材の長手方向における光学特性の変化が大きい場合には、頻繁に加工条件を調節しなければならなくなるため、そのためのサンプルの数も膨大な数になる。これでは、作業効率が悪い上に、製品の歩留まりは向上しない。
【0014】
さらに、レンズ用母材の線引き工程においても、その不安定性から、線引き後のレンズ用母材を切断して得られる屈折率分布型レンズの直径にばらつきを生じる。レンズの直径が変わると、レンズの焦点距離が変わるため、設計通りの焦点距離となるようにレンズの長さを調節しなければならなくなる。したがって、屈折率分布型レンズの光学特性が基準を下回る度に、レンズの長さを調節しなければならなくなる。
【0015】
また、加工条件を調節しても、得られる屈折率分布型レンズの光学特性が改善されない場合がある。レンズ用母材における屈折率分布のばらつきが大き過ぎる場合は、レンズとして用いることができない。
レンズの光学特性は、その加工条件やレンズ用母材の屈折率分布などによって決定される。そのため、レンズのサンプルを大量に作製し、その光学特性を直接測定して、その良否を判定するのは非常に効率が悪い。
【0016】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、屈折率分布型レンズの製造の途中で、屈折率分布型レンズの光学特性または加工状態を判別することにより、製品の生産効率、歩留まりを向上させることができる屈折率分布型レンズの製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の光学特性または加工状態を少なくとも1回測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する屈折率分布型レンズの製造方法を提供する。
【0018】
本発明は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の屈折率分布を少なくとも1回測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する屈折率分布型レンズの製造方法を提供する。
【0019】
本発明は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の太さを測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する屈折率分布型レンズの製造方法を提供する。
【0020】
本発明は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の屈折率分布を少なくとも1回測定し、線引き後のレンズ用母材の切断前に当該レンズ用母材の太さを測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する屈折率分布型レンズの製造方法を提供する。
【0021】
上記屈折率分布型レンズの製造方法において、前記測定の結果に基づいて、前記レンズ用母材の良否を判定して、不良の前記レンズ用母材を予め取り除いて、後工程に送り出さないことが好ましい。
【0022】
上記屈折率分布型レンズの製造方法において、前記測定の結果に基づいて、後工程の加工条件を調節することが好ましい。
【0023】
上記屈折率分布型レンズの製造方法において、前記測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、前記レンズ用母材の良否を判定して、不良の前記レンズ用母材を予め取り除いて、後工程に送り出さないことが好ましい。
【0024】
上記屈折率分布型レンズの製造方法において、前記測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、後工程の加工条件を調節することが好ましい。
【0025】
上記屈折率分布型レンズの製造方法において、前記測定の結果に基づいて、屈折率分布型レンズの長さまたは端面形状の少なくとも一方を決定し、線引き後のレンズ用母材を切断または端面加工することが好ましい。
【0026】
上記屈折率分布型レンズの製造方法において、前記測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、屈折率分布型レンズの長さまたは端面形状の少なくとも一方を決定し、線引き後のレンズ用母材を切断または端面加工することが好ましい。
【0027】
本発明は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとした後、当該屈折率分布型レンズの長さ、太さまたは屈折率分布のうち少なくとも1つを測定し、当該測定の結果に基づいて前記屈折率分布型レンズの端面形状を決定し、当該端面形状に応じて端面加工を行う屈折率分布型レンズの製造方法を提供する。
【0028】
本発明は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとした後、当該屈折率分布型レンズの長さ、太さまたは屈折率分布のうち少なくとも1つを測定し、当該測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、前記屈折率分布型レンズの端面形状を決定し、当該端面形状に応じて端面加工を行う屈折率分布型レンズの製造方法を提供する。
【0029】
本発明は、上記屈折率分布型レンズの製造方法で製造された屈折率分布型レンズを提供する。
【0030】
本発明は、上記屈折率分布型レンズを備えた光部品を提供する。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の屈折率分布型レンズの製造方法に係る第一の方法は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有し、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の光学特性または加工状態を少なくとも1回測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定するものである。
【0032】
本発明の屈折率分布型レンズの製造方法に係る第二の方法は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有し、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の屈折率分布を少なくとも1回測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定するものである。
【0033】
本発明の屈折率分布型レンズの製造方法に係る第三の方法は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有し、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の太さを測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定するものである。
【0034】
本発明の屈折率分布型レンズの製造方法に係る第四の方法は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有し、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の屈折率分布を少なくとも1回測定し、線引き後のレンズ用母材の切断前に当該レンズ用母材の太さを測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定するものである。
【0035】
上記第一の方法または第二の方法においては、前記測定の結果に基づいて、前記レンズ用母材の良否を判定して、不良の前記レンズ用母材を予め取り除いて、後工程に送り出さないものとする。また、前記測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、前記レンズ用母材の良否を判定して、不良の前記レンズ用母材を予め取り除いて、後工程に送り出さないものとする。
【0036】
上記第一の方法ないし第四の方法のいずれかにおいては、前記測定の結果に基づいて、後工程の加工条件を調節するものとする。また、前記測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、後工程の加工条件を調節するものとする。また、前記測定の結果に基づいて、屈折率分布型レンズの長さまたは端面形状の少なくとも一方を決定し、線引き後のレンズ用母材を切断または端面加工するものとする。さらに、前記測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、屈折率分布型レンズの長さまたは端面形状の少なくとも一方を決定し、線引き後のレンズ用母材を切断または端面加工するものとする。
【0037】
本発明の屈折率分布型レンズの製造方法に係る第五の方法は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有し、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとした後、当該屈折率分布型レンズの長さ、太さまたは屈折率分布のうち少なくとも1つを測定し、当該測定の結果に基づいて前記屈折率分布型レンズの端面形状を決定し、当該端面形状に応じて端面加工を行うものとする。
【0038】
本発明の屈折率分布型レンズの製造方法に係る第六の方法は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有し、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとした後、当該屈折率分布型レンズの長さ、太さまたは屈折率分布のうち少なくとも1つを測定し、当該測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、前記屈折率分布型レンズの端面形状を決定し、当該端面形状に応じて端面加工を行うものとする。
【0039】
本発明の屈折率分布型レンズは、上記本発明の屈折率分布型レンズの製造方法の第一の方法ないし第六の方法のいずれかの方法で製造されるレンズである。
本発明の光部品は、上記屈折率分布型レンズを構成部材の1つとして含む光部品である。
【0040】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
レンズ用母材の屈折率分布を、プリフォームアナライザにより測定し、その測定結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、屈折率分布型レンズを作製した場合に予想される損失および最適なレンズの長さを予め算出した。この際、予想される損失が大きいレンズ用母材を、不良のレンズ用母材として取り除いた。一方、良品のレンズ用母材については、所望の太さとなるように線引きするか、あるいは、そのままの状態で切断工程へと送り出した。切断工程では、数値的シミュレーションの結果に基づいて、最適なレンズの長さで切断した。
【0041】
ここで、図1(a)、(b)に示すような屈折率分布を有するレンズ用母材について数値的シミュレーションを行い、これらのレンズ用母材の良否を判定した。
屈折率分布型レンズとして理想的な屈折率分布n(r)は下記式(1)において、α=2で表される2乗分布である。下記式(1)において、rはレンズの中心軸からの半径、r0はレンズの有効半径、n0はレンズの有効半径よりも外側の屈折率、n1はレンズの中心軸上の屈折率である。
【0042】
【数1】
【0043】
図1(a)は収差の少ない理想的な2乗分布の屈折率分布で、上記式(1)においてα=2.0で表される屈折率分布であり、(b)は理想的な屈折率分布から少しずれた屈折率分布で、上記式(1)においてα=2.1で表される屈折率分布である。
それぞれの屈折率分布を有するレンズ用母材を作製し、このレンズ用母材を線引きして、半径0.16mmの屈折率分布型レンズおよびこれを用いたコリメータを作製した。
【0044】
それぞれのコリメータの挿入損失は、数値的シミュレーションによると、図1(a)の屈折率分布を有するレンズ用母材(母材A)を用いた場合は0.02dB、図1(b)の屈折率分布を有するレンズ用母材(母材B)を用いた場合は0.56dBであった。ここでは、数値的シミュレーションにはビーム伝搬法(BPM)を用いた。
【0045】
実際にコリメータを作製して挿入損失を測定したところ、それぞれのコリメータの挿入損失は、母材Aを用いた場合は0.05dB、母材Bを用いた場合は0.61dBであった。
数値的シミュレーションの値と実測値とを比較すると、予め数値的シミュレーションによって挿入損失を予想することにより、コリメータを作製しなくても不良の母材Bを判別することができることが確認された。
図1に示したように、母材Aと母材Bの屈折率分布のずれは極めて僅かであるから、実際にコリメータを作製するか、または数値的シミュレーションを行わない限り、不良の母材Bを判別するのは不可能である。
【0046】
このように、予め数値的シミュレーションを行って不良母材を製造ラインから取り除いておけば、その後の工程で無駄な加工を行わなくて済む。屈折率分布型レンズの場合、屈折率分布の僅かなずれで損失が大きく変動する。したがって、数値的シミュレーションによって、レンズ用母材の良否を判別することは、非常に有効な手段である。
【0047】
また、レンズ用母材の良否を判別すると同時に、最適なレンズの長さも算出することができるので、即座にレンズ用母材を切断工程へ送り出すことができる。さらに、レンズの長さを高精度に決めるためにサンプルを用意する場合にも、予めおおよそのレンズの長さが分かっているので、サンプル数が少なくて済み、効率良くレンズの長さを決めることができる。
【0048】
次に、1本のレンズ用母材の長手方向の異なる18箇所において、プリフォームアナライザにより屈折率を測定し、この測定結果に基づいて数値的シミュレーションを行い、このレンズ用母材を用いて作製される屈折率分布型レンズの最適な長さを算出した。目的とする屈折率分布型レンズの半径を0.16mmとした。結果を図2に示す。
図2の結果から、一本のレンズ用母材においても、長手方向の屈折率分布にばらつきがあるため、屈折率の測定箇所毎に算出される最適なレンズの長さには200μm以上の変動があることが分かった。この結果から、屈折率分布型レンズの製造時には、レンズの長さを微調整しなければならないことが分かる。
【0049】
図3は、屈折率分布型レンズを用いたコリメータにおいて、屈折率分布型レンズの長さが最適な長さからずれた場合の挿入損失の変動を示すグラフである。
ここで用いた屈折率分布型レンズの半径を0.16mmとした。
図3から、この屈折率分布型レンズでは、長さが約2000μmの場合に、コリメータの挿入損失が最小になることが分かった。また、屈折率分布型レンズの長さが±50μmずれただけでも挿入損失は1dB以上になるため、光通信用コリメータとしては使用できなくなる。
【0050】
このことを念頭に置いて図2を見ると、屈折率分布型レンズの製造において、頻繁にレンズの長さを微調整しなければばらないことが分かった。
数値的シミュレーションを行わずに、レンズの長さの微調整を行うと、屈折率分布型レンズの製造効率が非常に悪くなるが、数値的シミュレーションを行って、予め図2のようなグラフを作成しておけば、容易にレンズの長さの微調整を行うことができる。この方法によれば、これまでの方法に比べて非常に効率的で、高精度に屈折率分布型レンズを製造することができる。
【0051】
(実施例2)
ホウ素を添加して屈折率分布を付与したレンズ用母材の屈折率分布を、プリフォームアナライザにより測定した。また、このレンズ用母材を線引きして、半径0.16mmの屈折率分布型レンズの屈折率分布を測定した。結果を図4に示す。図4(a)はレンズ用母材の屈折率分布を示し、(b)は線引きして得られた屈折率分布型レンズの屈折率分布を示す。
ホウ素を添加すると、レンズ用母材と、これを線引きして得られた屈折率分布型レンズでは、屈折率分布が異なることが知られている。これは、レンズ用母材作製時と、レンズ用母材の線引き時では、熱履歴が異なることが原因である。図4の結果から、レンズ用母材を線引きして得られた屈折率分布型レンズの屈折率差の方が大きいことが分かった。
【0052】
この実施例においても、レンズ用母材を線引きして得られた屈折率分布型レンズの屈折率分布を測定し、この測定結果に基づいて、実施例1と同様の数値的シミュレーションを行ってもよい。しかしながら、レンズ用母材作製時に屈折率分布を調べ、この時点で数値的シミュレーションを行い、不良のレンズ用母材を取り除いておけば、無駄な線引き作業を行う必要がなくなる。この数値的シミュレーションでは、レンズ用母材の有効レンズ半径周辺部の屈折率1.438を、レンズ用母材を線引きして得られた屈折率分布型レンズの屈折率1.436に置き換えればよい。このように、得られたデータを加工して所望の情報を読み取り、屈折率分布型レンズの加工条件を決定する方法も有効である。
【0053】
(実施例3)
レンズ用母材の屈折率分布の測定結果を上記式(1)に適用し、適切な誤差関数が最小になるようにαの値を決めた。
図5は、有効半径r0=0.16mm、最外周部屈折率n0=1.444、レンズ中心軸上の屈折率n1=1.461の屈折率分布型レンズにおけるαの値と最適なレンズの長さの関係を示すグラフである。
【0054】
このグラフを用いれば、求められたαの値から即座に屈折率分布型レンズの長さを決定することができ、簡便かつ効率的に、高品質かつ品質の揃った屈折率分布型レンズを作製することができる。
また、特定のαの値における加工条件を示した表を予め作成しておき、簡便に加工条件が分かるようにしてもよい。
【0055】
(実施例4)
屈折率分布型レンズの直径を800μmに設計し、レンズ用母材を線引きして、得られた屈折率分布型レンズの長手方向における直径の変動を測定した。結果を図6に示す。
屈折率分布型レンズの直径の変動の測定結果と、レンズ用母材の屈折率分布の測定結果に基づいて数値的シミュレーションを行い、コリメータ用レンズとして最適なレンズの長さを算出したところ、図7のようになった。
【0056】
屈折率分布型レンズの直径の変動の測定結果と、レンズ用母材の屈折率分布の測定結果に基づいて、屈折率分布型レンズの長さの調節を行えば、サンプルを作製して調節するよりも、はるかに容易に低損失のコリメータ用レンズを作製することができる。
【0057】
(実施例5)
屈折率分布型レンズの損失や収差の改善、高開口数化のために切断面を球面または非球面に加工する場合を例示する。
有効半径r0=0.16mm、長さd=1.32mm、最外周部屈折率n0=1.444、レンズ中心軸上の屈折率n1=1.461の屈折率分布型レンズの一方の端面を曲率半径1.02mmの曲面に加工する場合を考える。
【0058】
レンズ用母材を線引きして得られた屈折率分布型レンズについて、屈折率分布、レンズの長さおよび太さを測定し、その測定結果に基づいて、屈折率分布型レンズの端面に関して適切な曲面の曲率を計算して端面形状を決定し、加工条件を調節して、端面を加工した。端面を加工した後の屈折率分布型レンズを用いて、コリメータを作製し、挿入損失を測定した。結果を図8に示す。
比較のために、加工条件を調節せずに端面を加工した屈折率分布型レンズを用いて、コリメータを作製し、挿入損失を測定した。結果を図8に示す。
【0059】
図8の結果から、屈折率分布、レンズの長さおよび太さのずれを考慮して数値的シミュレーションにより最適な曲率半径を算出し、屈折率分布型レンズの端面を加工すると、挿入損失のばらつきを小さくすることができる。
一方、加工条件を調節せずに屈折率分布型レンズの端面を加工すると、屈折率分布、レンズの長さや太さのずれが補正されないので、コリメータの挿入損失に大きなばらつきが生じる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の屈折率分布型レンズの製造方法によれば、一連の製造工程の途中で、レンズ用母材の光学特性または加工状態を評価することで不良のレンズ用母材を早期に判別することができるため、無駄な加工やサンプルの作製をすることがなくなり、製品の歩留まりや、製造効率を向上することができる。
また、レンズ用母材の性能、加工精度に基づいて、後工程の加工条件を決定するので、各工程の加工誤差の修正が可能であり、製品の歩留まりを向上することができる。
【0061】
また、屈折率分布型レンズの光学特性の制御が容易になり、製品の品質を安定に保つことができる。
さらに、加工条件を決定するためのサンプル数を大幅に削減するか、もしくは無くすことができるから、加工条件の決定が簡便になる。その結果、製造コストを削減することができるため、製造効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】レンズ用母材の屈折率分布を示すグラフである。
【図2】レンズ用母材の長手方向における屈折率分布の測定結果に基づいて、数値的シミュレーションにより算出された屈折率分布型レンズの最適な長さを示すグラフである。
【図3】屈折率分布型レンズを用いたコリメータにおいて、屈折率分布型レンズの長さが最適な長さからずれた場合の挿入損失の変動を示すグラフである。
【図4】(a)はレンズ用母材の屈折率分布、(b)はレンズ用母材を線引きして得られた屈折率分布型レンズの屈折率分布を示すグラフである。
【図5】式(1)におけるαの値と最適なレンズの長さの関係を示すグラフである。
【図6】レンズ用母材を線引きして得られた屈折率分布型レンズの長手方向における直径の変動を測定した結果を示すグラフである。
【図7】レンズ用母材の屈折率分布の測定結果に基づいて算出した最適なレンズの長さを示すグラフである。
【図8】加工条件を調節して端面を加工した屈折率分布型レンズを用いたコリメータと、加工条件を調節せずに端面を加工した屈折率分布型レンズを用いたコリメータの挿入損失のばらつきを示すグラフである。
【図9】ガラス系屈折率分布型レンズの製造方法の一例を示す模式図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野において、光ファイバコリメータなどに使用される屈折率分布型レンズの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバコリメータなどに使用される屈折率分布型レンズの製造方法として、これまでにも様々な方法が提案されている。
ガラス系レンズの製造方法としては、イオン交換法やゾル−ゲル法などを用いる方法が挙げられるが、ガラス系レンズの中でも石英ガラス系レンズの製造方法としては、光ファイバの製造技術を応用したPCVD法、MCVD法、VAD法などを用いる方法が挙げられる。また、プラスチック系のレンズの製造方法としては、拡散重合法や光共重合法などを用いる方法が挙げられる。
【0003】
これらの製造方法において共通する工程としては、屈折率分布を付与する工程、レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程、レンズ用母材を切断して所定の長さにする工程が挙げられる。これら3つの工程の順番は、それぞれの製造方法によって異なっている。
【0004】
ここでは、図9を用いて、ガラス系屈折率分布型レンズの製造方法の一例として、光ファイバの製造技術を応用したVAD法を用いた製造方法を示す(例えば、特許文献1参照。)。
この屈折率分布型レンズの製造方法では、まず、VAD法により所望の屈折率分布を付与したレンズ用母材10を作製する。レンズ用母材10に屈折率分布を形成するためには、ガラス母材にゲルマニウムなどのドーパントを添加する。このドーパントの種類や添加量を調節することによって、所望の屈折率分布を有するレンズ用母材10が得られる。
【0005】
次いで、このレンズ用母材10を電気炉内で加熱して溶融状態とし、所定の外径となるように線引きをする。
この後、線引きしたレンズ用母材10を所定の長さに切断し、屈折率分布型レンズ20を得る。
【0006】
また、ガラス系屈折率分布型レンズの製造方法の他の例として、イオン交換法を用いる方法では、屈折率分布のないガラス母材をあらかじめ所定の外径となるように線引きした後、ガラス母材にドーパントを添加して屈折率分布を付与し、レンズ用母材を作製する。このようにして作製されたレンズ用母材を、所定の長さに切断し、屈折率分布型レンズを得る。
また、収差の改善や、高開口数化を目的として、屈折率分布型レンズの端面を球面加工することもある。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−311801号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、屈折率分布型レンズは、屈折率分布の制御や、その加工において高い精度が要求される。屈折率分布型レンズは、屈折率分布の僅かなずれや、加工の誤差によって収差が生じる。屈折率分布型レンズを光通信用レンズとして用いる場合、レンズの収差は信号光の損失の原因となる。従来、屈折率分布型レンズの製造において、屈折率分布の制御や加工精度はあまり高くないため、製品の歩留まりが低いという問題があった。
【0009】
また、屈折率分布型レンズの設計において重要な要素は、屈折率分布、レンズの直径、長さなどである。屈折率分布型レンズの端面を球面加工する場合には、球面形状も重要な要素である。
そこで、あらかじめ所望の光学特性を示すように、これらの要素は設計されるが、実際に屈折率分布型レンズを製造すると、それぞれの要素は誤差を生じてしまう。それぞれの要素の誤差は小さいものであっても、全ての要素が重ね合わせられて光学特性が決定するため、最終製品の光学特性は大きくばらついてしまう。
【0010】
そこで、レンズ用母材の切断や、屈折率分布型レンズの端面の球面加工など、比較的容易に変更できる加工条件を調節することによって、所望の光学特性が得られる屈折率分布型レンズの製造方法が望まれている。
【0011】
特許文献1を始めとして、従来の屈折率分布型レンズの製造方法に関する文献には、レンズの製造途中でレンズの特性を調べ、各工程における誤差を修正する手段は開示されていない。
従来、屈折率分布型レンズの製造方法における加工条件の決定では、加工条件を変えていくつかサンプルを作製し、最も良好な光学特性を示した加工条件を最適な加工条件としていた。
【0012】
屈折率分布型レンズの製造において、特に制御が難しいのは屈折率分布である。屈折率分布型レンズに、設計通りの屈折率分布を付与することは非常に難しい。僅かな屈折率分布のずれでも、レンズの光学特性が大きく変化してしまうため、加工条件の設定は非常に手間のかかる作業であった。
【0013】
また、レンズ用母材の屈折率分布を長手方向に一様に作ることは難しいため、同じ加工条件で屈折率分布型レンズを製造すると、製品の歩留まりが悪くなる。そこで、屈折率分布型レンズの光学特性が基準を下回る度に加工条件の調節が必要となる。レンズ用母材の長手方向における光学特性の変化が大きい場合には、頻繁に加工条件を調節しなければならなくなるため、そのためのサンプルの数も膨大な数になる。これでは、作業効率が悪い上に、製品の歩留まりは向上しない。
【0014】
さらに、レンズ用母材の線引き工程においても、その不安定性から、線引き後のレンズ用母材を切断して得られる屈折率分布型レンズの直径にばらつきを生じる。レンズの直径が変わると、レンズの焦点距離が変わるため、設計通りの焦点距離となるようにレンズの長さを調節しなければならなくなる。したがって、屈折率分布型レンズの光学特性が基準を下回る度に、レンズの長さを調節しなければならなくなる。
【0015】
また、加工条件を調節しても、得られる屈折率分布型レンズの光学特性が改善されない場合がある。レンズ用母材における屈折率分布のばらつきが大き過ぎる場合は、レンズとして用いることができない。
レンズの光学特性は、その加工条件やレンズ用母材の屈折率分布などによって決定される。そのため、レンズのサンプルを大量に作製し、その光学特性を直接測定して、その良否を判定するのは非常に効率が悪い。
【0016】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、屈折率分布型レンズの製造の途中で、屈折率分布型レンズの光学特性または加工状態を判別することにより、製品の生産効率、歩留まりを向上させることができる屈折率分布型レンズの製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の光学特性または加工状態を少なくとも1回測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する屈折率分布型レンズの製造方法を提供する。
【0018】
本発明は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の屈折率分布を少なくとも1回測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する屈折率分布型レンズの製造方法を提供する。
【0019】
本発明は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の太さを測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する屈折率分布型レンズの製造方法を提供する。
【0020】
本発明は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の屈折率分布を少なくとも1回測定し、線引き後のレンズ用母材の切断前に当該レンズ用母材の太さを測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定する屈折率分布型レンズの製造方法を提供する。
【0021】
上記屈折率分布型レンズの製造方法において、前記測定の結果に基づいて、前記レンズ用母材の良否を判定して、不良の前記レンズ用母材を予め取り除いて、後工程に送り出さないことが好ましい。
【0022】
上記屈折率分布型レンズの製造方法において、前記測定の結果に基づいて、後工程の加工条件を調節することが好ましい。
【0023】
上記屈折率分布型レンズの製造方法において、前記測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、前記レンズ用母材の良否を判定して、不良の前記レンズ用母材を予め取り除いて、後工程に送り出さないことが好ましい。
【0024】
上記屈折率分布型レンズの製造方法において、前記測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、後工程の加工条件を調節することが好ましい。
【0025】
上記屈折率分布型レンズの製造方法において、前記測定の結果に基づいて、屈折率分布型レンズの長さまたは端面形状の少なくとも一方を決定し、線引き後のレンズ用母材を切断または端面加工することが好ましい。
【0026】
上記屈折率分布型レンズの製造方法において、前記測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、屈折率分布型レンズの長さまたは端面形状の少なくとも一方を決定し、線引き後のレンズ用母材を切断または端面加工することが好ましい。
【0027】
本発明は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとした後、当該屈折率分布型レンズの長さ、太さまたは屈折率分布のうち少なくとも1つを測定し、当該測定の結果に基づいて前記屈折率分布型レンズの端面形状を決定し、当該端面形状に応じて端面加工を行う屈折率分布型レンズの製造方法を提供する。
【0028】
本発明は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとした後、当該屈折率分布型レンズの長さ、太さまたは屈折率分布のうち少なくとも1つを測定し、当該測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、前記屈折率分布型レンズの端面形状を決定し、当該端面形状に応じて端面加工を行う屈折率分布型レンズの製造方法を提供する。
【0029】
本発明は、上記屈折率分布型レンズの製造方法で製造された屈折率分布型レンズを提供する。
【0030】
本発明は、上記屈折率分布型レンズを備えた光部品を提供する。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の屈折率分布型レンズの製造方法に係る第一の方法は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有し、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の光学特性または加工状態を少なくとも1回測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定するものである。
【0032】
本発明の屈折率分布型レンズの製造方法に係る第二の方法は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有し、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の屈折率分布を少なくとも1回測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定するものである。
【0033】
本発明の屈折率分布型レンズの製造方法に係る第三の方法は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有し、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の太さを測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定するものである。
【0034】
本発明の屈折率分布型レンズの製造方法に係る第四の方法は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有し、上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の屈折率分布を少なくとも1回測定し、線引き後のレンズ用母材の切断前に当該レンズ用母材の太さを測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定するものである。
【0035】
上記第一の方法または第二の方法においては、前記測定の結果に基づいて、前記レンズ用母材の良否を判定して、不良の前記レンズ用母材を予め取り除いて、後工程に送り出さないものとする。また、前記測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、前記レンズ用母材の良否を判定して、不良の前記レンズ用母材を予め取り除いて、後工程に送り出さないものとする。
【0036】
上記第一の方法ないし第四の方法のいずれかにおいては、前記測定の結果に基づいて、後工程の加工条件を調節するものとする。また、前記測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、後工程の加工条件を調節するものとする。また、前記測定の結果に基づいて、屈折率分布型レンズの長さまたは端面形状の少なくとも一方を決定し、線引き後のレンズ用母材を切断または端面加工するものとする。さらに、前記測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、屈折率分布型レンズの長さまたは端面形状の少なくとも一方を決定し、線引き後のレンズ用母材を切断または端面加工するものとする。
【0037】
本発明の屈折率分布型レンズの製造方法に係る第五の方法は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有し、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとした後、当該屈折率分布型レンズの長さ、太さまたは屈折率分布のうち少なくとも1つを測定し、当該測定の結果に基づいて前記屈折率分布型レンズの端面形状を決定し、当該端面形状に応じて端面加工を行うものとする。
【0038】
本発明の屈折率分布型レンズの製造方法に係る第六の方法は、レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有し、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとした後、当該屈折率分布型レンズの長さ、太さまたは屈折率分布のうち少なくとも1つを測定し、当該測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、前記屈折率分布型レンズの端面形状を決定し、当該端面形状に応じて端面加工を行うものとする。
【0039】
本発明の屈折率分布型レンズは、上記本発明の屈折率分布型レンズの製造方法の第一の方法ないし第六の方法のいずれかの方法で製造されるレンズである。
本発明の光部品は、上記屈折率分布型レンズを構成部材の1つとして含む光部品である。
【0040】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
レンズ用母材の屈折率分布を、プリフォームアナライザにより測定し、その測定結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、屈折率分布型レンズを作製した場合に予想される損失および最適なレンズの長さを予め算出した。この際、予想される損失が大きいレンズ用母材を、不良のレンズ用母材として取り除いた。一方、良品のレンズ用母材については、所望の太さとなるように線引きするか、あるいは、そのままの状態で切断工程へと送り出した。切断工程では、数値的シミュレーションの結果に基づいて、最適なレンズの長さで切断した。
【0041】
ここで、図1(a)、(b)に示すような屈折率分布を有するレンズ用母材について数値的シミュレーションを行い、これらのレンズ用母材の良否を判定した。
屈折率分布型レンズとして理想的な屈折率分布n(r)は下記式(1)において、α=2で表される2乗分布である。下記式(1)において、rはレンズの中心軸からの半径、r0はレンズの有効半径、n0はレンズの有効半径よりも外側の屈折率、n1はレンズの中心軸上の屈折率である。
【0042】
【数1】
【0043】
図1(a)は収差の少ない理想的な2乗分布の屈折率分布で、上記式(1)においてα=2.0で表される屈折率分布であり、(b)は理想的な屈折率分布から少しずれた屈折率分布で、上記式(1)においてα=2.1で表される屈折率分布である。
それぞれの屈折率分布を有するレンズ用母材を作製し、このレンズ用母材を線引きして、半径0.16mmの屈折率分布型レンズおよびこれを用いたコリメータを作製した。
【0044】
それぞれのコリメータの挿入損失は、数値的シミュレーションによると、図1(a)の屈折率分布を有するレンズ用母材(母材A)を用いた場合は0.02dB、図1(b)の屈折率分布を有するレンズ用母材(母材B)を用いた場合は0.56dBであった。ここでは、数値的シミュレーションにはビーム伝搬法(BPM)を用いた。
【0045】
実際にコリメータを作製して挿入損失を測定したところ、それぞれのコリメータの挿入損失は、母材Aを用いた場合は0.05dB、母材Bを用いた場合は0.61dBであった。
数値的シミュレーションの値と実測値とを比較すると、予め数値的シミュレーションによって挿入損失を予想することにより、コリメータを作製しなくても不良の母材Bを判別することができることが確認された。
図1に示したように、母材Aと母材Bの屈折率分布のずれは極めて僅かであるから、実際にコリメータを作製するか、または数値的シミュレーションを行わない限り、不良の母材Bを判別するのは不可能である。
【0046】
このように、予め数値的シミュレーションを行って不良母材を製造ラインから取り除いておけば、その後の工程で無駄な加工を行わなくて済む。屈折率分布型レンズの場合、屈折率分布の僅かなずれで損失が大きく変動する。したがって、数値的シミュレーションによって、レンズ用母材の良否を判別することは、非常に有効な手段である。
【0047】
また、レンズ用母材の良否を判別すると同時に、最適なレンズの長さも算出することができるので、即座にレンズ用母材を切断工程へ送り出すことができる。さらに、レンズの長さを高精度に決めるためにサンプルを用意する場合にも、予めおおよそのレンズの長さが分かっているので、サンプル数が少なくて済み、効率良くレンズの長さを決めることができる。
【0048】
次に、1本のレンズ用母材の長手方向の異なる18箇所において、プリフォームアナライザにより屈折率を測定し、この測定結果に基づいて数値的シミュレーションを行い、このレンズ用母材を用いて作製される屈折率分布型レンズの最適な長さを算出した。目的とする屈折率分布型レンズの半径を0.16mmとした。結果を図2に示す。
図2の結果から、一本のレンズ用母材においても、長手方向の屈折率分布にばらつきがあるため、屈折率の測定箇所毎に算出される最適なレンズの長さには200μm以上の変動があることが分かった。この結果から、屈折率分布型レンズの製造時には、レンズの長さを微調整しなければならないことが分かる。
【0049】
図3は、屈折率分布型レンズを用いたコリメータにおいて、屈折率分布型レンズの長さが最適な長さからずれた場合の挿入損失の変動を示すグラフである。
ここで用いた屈折率分布型レンズの半径を0.16mmとした。
図3から、この屈折率分布型レンズでは、長さが約2000μmの場合に、コリメータの挿入損失が最小になることが分かった。また、屈折率分布型レンズの長さが±50μmずれただけでも挿入損失は1dB以上になるため、光通信用コリメータとしては使用できなくなる。
【0050】
このことを念頭に置いて図2を見ると、屈折率分布型レンズの製造において、頻繁にレンズの長さを微調整しなければばらないことが分かった。
数値的シミュレーションを行わずに、レンズの長さの微調整を行うと、屈折率分布型レンズの製造効率が非常に悪くなるが、数値的シミュレーションを行って、予め図2のようなグラフを作成しておけば、容易にレンズの長さの微調整を行うことができる。この方法によれば、これまでの方法に比べて非常に効率的で、高精度に屈折率分布型レンズを製造することができる。
【0051】
(実施例2)
ホウ素を添加して屈折率分布を付与したレンズ用母材の屈折率分布を、プリフォームアナライザにより測定した。また、このレンズ用母材を線引きして、半径0.16mmの屈折率分布型レンズの屈折率分布を測定した。結果を図4に示す。図4(a)はレンズ用母材の屈折率分布を示し、(b)は線引きして得られた屈折率分布型レンズの屈折率分布を示す。
ホウ素を添加すると、レンズ用母材と、これを線引きして得られた屈折率分布型レンズでは、屈折率分布が異なることが知られている。これは、レンズ用母材作製時と、レンズ用母材の線引き時では、熱履歴が異なることが原因である。図4の結果から、レンズ用母材を線引きして得られた屈折率分布型レンズの屈折率差の方が大きいことが分かった。
【0052】
この実施例においても、レンズ用母材を線引きして得られた屈折率分布型レンズの屈折率分布を測定し、この測定結果に基づいて、実施例1と同様の数値的シミュレーションを行ってもよい。しかしながら、レンズ用母材作製時に屈折率分布を調べ、この時点で数値的シミュレーションを行い、不良のレンズ用母材を取り除いておけば、無駄な線引き作業を行う必要がなくなる。この数値的シミュレーションでは、レンズ用母材の有効レンズ半径周辺部の屈折率1.438を、レンズ用母材を線引きして得られた屈折率分布型レンズの屈折率1.436に置き換えればよい。このように、得られたデータを加工して所望の情報を読み取り、屈折率分布型レンズの加工条件を決定する方法も有効である。
【0053】
(実施例3)
レンズ用母材の屈折率分布の測定結果を上記式(1)に適用し、適切な誤差関数が最小になるようにαの値を決めた。
図5は、有効半径r0=0.16mm、最外周部屈折率n0=1.444、レンズ中心軸上の屈折率n1=1.461の屈折率分布型レンズにおけるαの値と最適なレンズの長さの関係を示すグラフである。
【0054】
このグラフを用いれば、求められたαの値から即座に屈折率分布型レンズの長さを決定することができ、簡便かつ効率的に、高品質かつ品質の揃った屈折率分布型レンズを作製することができる。
また、特定のαの値における加工条件を示した表を予め作成しておき、簡便に加工条件が分かるようにしてもよい。
【0055】
(実施例4)
屈折率分布型レンズの直径を800μmに設計し、レンズ用母材を線引きして、得られた屈折率分布型レンズの長手方向における直径の変動を測定した。結果を図6に示す。
屈折率分布型レンズの直径の変動の測定結果と、レンズ用母材の屈折率分布の測定結果に基づいて数値的シミュレーションを行い、コリメータ用レンズとして最適なレンズの長さを算出したところ、図7のようになった。
【0056】
屈折率分布型レンズの直径の変動の測定結果と、レンズ用母材の屈折率分布の測定結果に基づいて、屈折率分布型レンズの長さの調節を行えば、サンプルを作製して調節するよりも、はるかに容易に低損失のコリメータ用レンズを作製することができる。
【0057】
(実施例5)
屈折率分布型レンズの損失や収差の改善、高開口数化のために切断面を球面または非球面に加工する場合を例示する。
有効半径r0=0.16mm、長さd=1.32mm、最外周部屈折率n0=1.444、レンズ中心軸上の屈折率n1=1.461の屈折率分布型レンズの一方の端面を曲率半径1.02mmの曲面に加工する場合を考える。
【0058】
レンズ用母材を線引きして得られた屈折率分布型レンズについて、屈折率分布、レンズの長さおよび太さを測定し、その測定結果に基づいて、屈折率分布型レンズの端面に関して適切な曲面の曲率を計算して端面形状を決定し、加工条件を調節して、端面を加工した。端面を加工した後の屈折率分布型レンズを用いて、コリメータを作製し、挿入損失を測定した。結果を図8に示す。
比較のために、加工条件を調節せずに端面を加工した屈折率分布型レンズを用いて、コリメータを作製し、挿入損失を測定した。結果を図8に示す。
【0059】
図8の結果から、屈折率分布、レンズの長さおよび太さのずれを考慮して数値的シミュレーションにより最適な曲率半径を算出し、屈折率分布型レンズの端面を加工すると、挿入損失のばらつきを小さくすることができる。
一方、加工条件を調節せずに屈折率分布型レンズの端面を加工すると、屈折率分布、レンズの長さや太さのずれが補正されないので、コリメータの挿入損失に大きなばらつきが生じる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の屈折率分布型レンズの製造方法によれば、一連の製造工程の途中で、レンズ用母材の光学特性または加工状態を評価することで不良のレンズ用母材を早期に判別することができるため、無駄な加工やサンプルの作製をすることがなくなり、製品の歩留まりや、製造効率を向上することができる。
また、レンズ用母材の性能、加工精度に基づいて、後工程の加工条件を決定するので、各工程の加工誤差の修正が可能であり、製品の歩留まりを向上することができる。
【0061】
また、屈折率分布型レンズの光学特性の制御が容易になり、製品の品質を安定に保つことができる。
さらに、加工条件を決定するためのサンプル数を大幅に削減するか、もしくは無くすことができるから、加工条件の決定が簡便になる。その結果、製造コストを削減することができるため、製造効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】レンズ用母材の屈折率分布を示すグラフである。
【図2】レンズ用母材の長手方向における屈折率分布の測定結果に基づいて、数値的シミュレーションにより算出された屈折率分布型レンズの最適な長さを示すグラフである。
【図3】屈折率分布型レンズを用いたコリメータにおいて、屈折率分布型レンズの長さが最適な長さからずれた場合の挿入損失の変動を示すグラフである。
【図4】(a)はレンズ用母材の屈折率分布、(b)はレンズ用母材を線引きして得られた屈折率分布型レンズの屈折率分布を示すグラフである。
【図5】式(1)におけるαの値と最適なレンズの長さの関係を示すグラフである。
【図6】レンズ用母材を線引きして得られた屈折率分布型レンズの長手方向における直径の変動を測定した結果を示すグラフである。
【図7】レンズ用母材の屈折率分布の測定結果に基づいて算出した最適なレンズの長さを示すグラフである。
【図8】加工条件を調節して端面を加工した屈折率分布型レンズを用いたコリメータと、加工条件を調節せずに端面を加工した屈折率分布型レンズを用いたコリメータの挿入損失のばらつきを示すグラフである。
【図9】ガラス系屈折率分布型レンズの製造方法の一例を示す模式図である。
Claims (14)
- レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、
上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の光学特性または加工状態を少なくとも1回測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定することを特徴とする屈折率分布型レンズの製造方法。 - レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、
上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の屈折率分布を少なくとも1回測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定することを特徴とする屈折率分布型レンズの製造方法。 - レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、
上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の太さを測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定することを特徴とする屈折率分布型レンズの製造方法。 - レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、
上記一連の工程の途中で、前記レンズ用母材の屈折率分布を少なくとも1回測定し、線引き後のレンズ用母材の切断前に当該レンズ用母材の太さを測定し、当該測定の結果に基づいて、製造条件を決定することを特徴とする屈折率分布型レンズの製造方法。 - 請求項1または2に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記測定の結果に基づいて、前記レンズ用母材の良否を判定して、不良の前記レンズ用母材を予め取り除いて、後工程に送り出さないことを特徴とする屈折率分布型レンズの製造方法。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記測定の結果に基づいて、後工程の加工条件を調節することを特徴とする屈折率分布型レンズの製造方法。 - 請求項1または2に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、前記レンズ用母材の良否を判定して、不良の前記レンズ用母材を予め取り除いて、後工程に送り出さないことを特徴とする屈折率分布型レンズの製造方法。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、後工程の加工条件を調節することを特徴とする屈折率分布型レンズの製造方法。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記測定の結果に基づいて、屈折率分布型レンズの長さまたは端面形状の少なくとも一方を決定し、線引き後のレンズ用母材を切断または端面加工することを特徴とする屈折率分布型レンズの製造方法。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、屈折率分布型レンズの長さまたは端面形状の少なくとも一方を決定し、線引き後のレンズ用母材を切断または端面加工することを特徴とする屈折率分布型レンズの製造方法。 - レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、
線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとした後、当該屈折率分布型レンズの長さ、太さまたは屈折率分布のうち少なくとも1つを測定し、当該測定の結果に基づいて前記屈折率分布型レンズの端面形状を決定し、当該端面形状に応じて端面加工を行うことを特徴とする屈折率分布型レンズの製造方法。 - レンズ用母材に屈折率分布を付与する工程と、当該レンズ用母材を線引きして所定のレンズの直径にする工程と、線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとする工程とを有する屈折率分布型レンズの製造方法において、
線引き後のレンズ用母材を切断して屈折率分布型レンズとした後、当該屈折率分布型レンズの長さ、太さまたは屈折率分布のうち少なくとも1つを測定し、当該測定の結果に基づいて、数値的シミュレーションを行い、当該数値的シミュレーションの結果に基づいて、前記屈折率分布型レンズの端面形状を決定し、当該端面形状に応じて端面加工を行うことを特徴とする屈折率分布型レンズの製造方法。 - 請求項1ないし12のいずれかに記載の屈折率分布型レンズの製造方法で製造されたことを特徴とする屈折率分布型レンズ。
- 請求項13に記載の屈折率分布型レンズを備えたことを特徴とする光部品。
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JP2017194525A (ja) * | 2016-04-19 | 2017-10-26 | 株式会社フジクラ | 光デバイスの製造方法、レーザ装置の製造方法、レーザ装置のビーム品質の調整方法 |
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2003
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