JP2005016531A5 - - Google Patents

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圧縮機
本発明は、圧縮機に関し、特に、圧縮機構の吐出口に設けられる吐出弁機構の構造に係るものである。
従来より、圧縮機は、例えば蒸気圧縮式冷凍サイクルの冷媒回路を備えた冷凍装置において、冷媒を圧縮するのに用いられている。この圧縮機として、例えば、密閉型のケーシング内に圧縮機構と該圧縮機構を駆動する電動機とが収納された回転式圧縮機が知られている。
上記圧縮機構は、シリンダと、シリンダの内周面に実質的に接触しながら偏心回転(旋回)運動をするピストンとを備えている。シリンダとピストンの間には、圧縮室が形成されている。この圧縮室には、該圧縮室を低圧側(吸い込み側)と高圧側(圧縮/吐出側)の2つに区画するブレードが装着されており、該圧縮室の低圧側と高圧側は、ピストンが1回転するごとに交互に切り換わるようになっている。
この圧縮機において電動機を起動すると、冷媒回路の蒸発器から圧縮室の低圧側へ低圧のガス冷媒が吸入されるとともに、該圧縮室の高圧側ではガス冷媒が圧縮されて高圧になり、ケーシング内へ吐出される。ケーシング内のガス冷媒は圧縮機の吐出管から流出して冷媒回路の凝縮器へ送られる。圧縮機構は、圧縮室の高圧側と低圧側が交互に切り換わりながら以上の動作を繰り返すことにより、低圧のガス冷媒を実質的に連続して吸入しながら、同時に高圧のガス冷媒を吐出する。
上記圧縮機構には、圧縮室から高圧のガス冷媒をケーシング内に吐出する吐出口が形成されている。この吐出口には吐出弁機構が設けられている。吐出弁機構には、一般に弁体としてリード弁が用いられている。このリード弁は、圧縮室の高圧側の圧力がケーシング内の圧力よりも所定値以上に高くなると、その圧力差によって吐出口を開口する動作を行う一方、圧縮室からケーシング内にガス冷媒が流出することで高圧側が低圧側に切り換わると、上記圧力差が小さくなるため吐出口を閉鎖する動作を行う。
ところで、上記吐出弁機構では、リード弁のリフト量が小さい場合や、吐出口の開口面積が小さい場合、高圧のガス冷媒の通過抵抗が大きくなるため、圧縮室内で冷媒を過圧縮することになって動力を損失する問題がある(過圧縮損失)。これに対して、リード弁のリフト量を大きくすると、弁体の閉じ遅れが生じ、ケーシング内から圧縮室内へ高圧のガス冷媒が逆流して体積効率が低下するおそれがある。また、吐出口の開口面積を大きくすると、リード弁も大きくなってその質量が増加するため、弁が開くときの応答性が低下して過圧縮損失が生じるおそれがある。
さらに、吐出口の開口面積を大きくすると、一旦圧縮した冷媒が再膨張し、圧縮機の効率が低下する問題がある(再膨張損失)。具体的には、冷媒の吐出時は吐出口の容積内に残る高圧冷媒が存在し、吐出口の開口面積を大きくすると該吐出口内に残る高圧冷媒の量が増えてしまい、吐出後に圧縮室内で膨張する冷媒量が多くなって圧縮効率が低下する。
そこで、以上のような問題に対して、弁体の一部が吐出口に嵌入するような円錐形状に形成されたポペット弁を用いる吐出弁機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の吐出弁機構では、ポペット弁を用いることにより、吐出口の開口面積をかせぐ一方で、吐出後に吐出口に残存するガス冷媒の量を少なくして、過圧縮損失や再膨張損失を抑えるようにしている。
特開2001−289254号公報
しかし、ポペット弁を用いた場合でも、電動機をインバータ制御により可変速にして運転容量を可変にすると、吐出口におけるガス冷媒の流量が増減するために過圧縮損失が問題になる。
具体的には、小流量に適した弁体は一般に小リフト量、小開口面積であり、これを大流量で使用すると、リフト量不足や開口面積不足のために流速が上昇し、吐出抵抗が大きくなるため、過圧縮損失が生じてしまう。また、大流量に適した弁体を小流量で使用すると、流量の割に弁体が大きくなり、しかも流速が遅くなって弁体に作用する圧力が低くなるため、開放時の応答性が悪くなり、やはり過圧縮損失が生じてしまう。
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、可変容量の圧縮機において小容量から大容量に至るまで過圧縮損失を抑制し、圧縮機の運転効率を高めることである。
本発明は、吐出弁機構(40)の吐出口(29a,29b) を複数にするとともに、運転中の吐出ガスの圧力や流量によって、開く吐出口(29a,29b) の数を異ならせるようにしたものである。
具体的に、本発明は、圧縮機構(20)と該圧縮機構(20)を駆動する駆動機構(30)とを備え、該圧縮機構(20)に吐出弁機構(40)が設けられた可変容量の圧縮機を前提としている。
そして、第1の発明は、上記吐出弁機構(40)が、一の吐出口(29a) を第1弁体(41A) で開閉する第1弁機構(40A) と、他の吐出口(29b) を第2弁体(41B) で開閉する第2弁機構(40B) とから構成され、第1弁体(41A) と第2弁体(41B) の両方がリード弁により構成されるとともに、第1弁体(41A) の剛性が第2弁体(41B) の剛性よりも弱く設定され、小容量の運転時には第1弁体(41A) が開閉する一方、それよりも大容量の運転時には両方の弁体(41A,41B) が開閉するように構成されていることを特徴としている。
この第1の発明では、吐出弁機構(40)に2枚のリード弁(41A,41B) を用いるとともに、2枚の剛性を相違させることで一方が他方よりも先に開閉するようにしているので、小容量の運転時には応答性の高い第1弁体(41A) が確実に開閉し、大容量の運転時には2枚の弁体(41A,41B) が両方とも開閉することで十分な開口面積を得ることができる。
また、第2の発明は、第1の発明の圧縮機において、第2弁体(41B) のリフト量が第1弁体(41A) のリフト量よりも小さく設定されていることを特徴としている。
この第2の発明では、剛性の高い第2弁体(41B) の閉じるときの動作の応答性が低下しない。
また、第3の発明は、上記吐出弁機構(40)が、一の吐出口(29a) を第1弁体(41A) で開閉する第1弁機構(40A) と、他の吐出口(29b) を第2弁体(41B) で開閉する第2弁機構(40B) とから構成され、第1弁体(41A) と第2弁体(41B) の両方がリード弁により構成されるとともに、第1弁体(41A) の剛性が第2弁体(41B) の剛性よりも弱く設定され、第2弁体(41B) のリフト量が第1弁体(41A) のリフト量よりも小さく設定されていることを特徴としている。
また、第4の発明は、第1,第2または第3の発明の圧縮機において、圧縮機構(20)が、円筒状のシリンダ(21)と、該シリンダ(21)の一端面に固定されるフロントヘッド(22)と、該シリンダ(21)の他端面に固定されるリヤヘッド(23)と、シリンダ(21)、フロントヘッド(22)及びリヤヘッド(23)の中に区画形成された圧縮室(25)の内部で旋回する回転ピストン(24)または揺動ピストンとを備え、第1弁機構(40A) 及び第2弁機構(40B) の一方がフロントヘッド(22)に、他方がリヤヘッド(23)に配置されていることを特徴としている。
また、第5の発明は、第4の発明の圧縮機において、フロントヘッド(22)とリヤヘッド(23)の一方が他方に対して相対的に上方に位置するように配置され、第1弁機構(40A) がフロントヘッド(22)とリヤヘッド(23)の内の下方に位置する部材に配置され、第2弁機構(40B) がフロントヘッド(22)とリヤヘッド(23)の内の上方に位置する部材に配置されていることを特徴としている。
また、第6の発明は、第1から第5のいずれか1の発明の圧縮機において、第1弁体(41A) の厚さが第2弁体(41B) の厚さよりも薄いことを特徴としている。
第1の発明によれば、剛性の異なる2枚のリード弁(41A,41B) を用い、吐出口(29a,29b) の開口面積が圧力や流量によって段階的に変化するようにしている。したがって、圧縮機(1) を大容量で運転したときには開口面積が広くなるので吐出抵抗が抑えられ、流速の上昇やそれに伴う過圧縮損失を抑えられる。また、圧縮機(1) を小容量で運転したときには、開口面積が狭くなるので流速が遅くなりすぎることはなく、しかも第1弁体(41A) の剛性が第2弁体(41B) の剛性よりも弱いため、応答性の低下やそれに伴う過圧縮損失を抑えられる。このように、小容量時の応答性の高さと大容量時の十分な開口面積を満足することができる。したがって、小容量の運転時から大容量の運転時まで、過圧縮損失が少なくて効率のよい運転が可能となる。
第2の発明によれば、剛性の高い第2弁体(41B) を閉じるときの動作の応答性が低下しないので、同様に小容量の運転時から大容量の運転時まで過圧縮損失を低減できる。
また、第6の発明によれば、2枚のリード弁(41A,41B) の厚さを相違させるだけで第1の発明の作用効果を実現できるので、吐出弁機構(40)の構成を簡単にすることができ、コストアップを防止できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の前提技術1》
前提技術1は、回転ピストン型の圧縮機(1) に関するものである。図1に示すように、この圧縮機(1) は、ケーシング(10)内に、圧縮機構(20)と、該圧縮機構を駆動する電動機(駆動機構)(30)とが収納されたもので、全密閉型に構成されている。この圧縮機(1) は、電動機(30)により圧縮機構(20)を駆動することにより、冷媒を吸入、圧縮した後に吐出して、冷媒回路内で循環させるものである。
上記ケーシング(10)は、該ケーシング(10)の周壁を構成する円筒状の胴部(11)と、この胴部(11)の上下両端に固定された鏡板(12,13) とによって構成されている。また、圧縮機構(20)と電動機(30)とは、いずれもケーシング(10)の胴部(11)に固定され、圧縮機構(20)が電動機(30)の下方に位置している。
上記ケーシング(10)には、胴部(11)の下側寄りの部分に吸入管(14)が設けられている。一方、上部鏡板(12)には、ケーシング(10)の内外を連通する吐出管(15)が設けられている。また、上部鏡板(12)には、電動機(30)へ電力を供給するためのターミナル(16)が設けられている。
上記圧縮機構(20)は、シリンダ(21)と、フロントヘッド(22)と、リヤヘッド(23)と、回転ピストン(24)とを備え、ケーシング(10)内の下部側に配置されている。シリンダ(21)、フロントヘッド(22)及びリヤヘッド(23)は、ボルト等の締結手段により締結されて一体に組み立てられており、シリンダ(21)の上端にフロントヘッド(22)が、下端にリヤヘッド(23)が固定されている。また、この圧縮機構(20)は、フロントヘッド(22)を胴部(11)にスポット溶接することによってケーシング(10)に固定されている。
上記シリンダ(21)は厚肉の円筒状に形成されている。そして、シリンダ(21)の内周面と、フロントヘッド(22)の下端面と、リヤヘッド(23)の上端面との間に、回転ピストン(24)が旋回動作をする圧縮室(25)が区画形成されている。
上記電動機(30)は、インバータによる可変回転数制御が可能である。そして、上記圧縮機(1) は、電動機(30)の回転数を調整することにより運転容量を変化させることが可能になっている。
上記電動機(30)は、固定子(31)と回転子(32)とを備え、固定子(31)がケーシング(10)に上記圧縮機構(20)の上方において固定されている。具体的には、上記固定子(31)は、ケーシング(10)の周壁である胴部(11)に焼き嵌めによって固定されている。この固定子(31)は、コイルが図外のリード線を介してターミナル(16)の端子ピンと電気的に接続されている。また、上記回転子(32)には駆動軸(33)が連結されている。該駆動軸(33)は、ケーシング(10)の中心を通り、かつ上記圧縮室(25)を上下方向に貫通している。この駆動軸(33)を支持するため、圧縮機構(20)のフロントヘッド(22)とリヤヘッド(23)には、それぞれ軸受け部(22a,23a) が形成されている。
上記駆動軸(33)は、圧縮室(25)の中に位置する部分が、その上下の部分よりも大径で、該駆動軸(33)の回転中心から所定量偏心した偏心部(33a) に構成されている。そして、この偏心部(33a) に、上記圧縮機構(20)の回転ピストン(24)が装着されている。回転ピストン(24)は、圧縮機構(20)の横断面図である図2に表しているように円環状で、その外周面が、シリンダ(21)の内周面と実質的に一点で接触するように形成されている。
上記シリンダ(21)には、該シリンダ(21)の径方向に沿ってブレード溝(21a) が形成されている。このブレード溝(21a) には、長方形の板状に形成されたブレード(26)が該ブレード溝(21a) 内をシリンダ(21)の径方向へ摺動可能に装着されている。ブレード(26)は、スプリング(27)によって径方向内方へ付勢され、先端が上記回転ピストン(24)の外周面に常に圧接した状態で、駆動軸(33)の回転に伴ってブレード溝(21a) 内を進退するように構成されている。
上記ブレード(26)は、シリンダ(21)の内周面と回転ピストン(24)の外周面との間の圧縮室(25)を、吸い込み側の低圧室(25a) と圧縮/吐出側の高圧室(25b) とに区画している。そして、シリンダ(21)には、シリンダ(21)の外周面から内周面へ径方向に貫通して吸入管(14)と低圧室(25a) とを連通する吸入口(28)と、フロントヘッド(22)を軸方向に貫通して高圧室(25b) とケーシング(10)内の空間とを連通する吐出口(29)が形成されている。
上記吸入口(28)には、上記吸入管(14)を介して、図示していないアキュムレータからの吸入配管が接続されている。一方、上記フロントヘッド(22)には、吐出弁機構(40)が設けられている。吐出弁機構(40)は、上記フロントヘッド(22)に、吐出口(29)を開閉する弁体(41)が装着されたものである。
この吐出弁機構(40)では、拡大断面図である図3に示すように、フロントヘッド(22)に2つの吐出口(第1吐出口(29a)及び第2吐出口(29b))が並んで形成されている。弁体(41)にはリード弁が用いられており、該弁体(41)は、一端側がフロントヘッド(22)に固定されるとともに、他端側が2つの吐出口(29a,29b) を開閉するように構成されている。この弁体(41)は、圧縮室(25)(高圧室(25b) )が所定の高圧圧力になることで該圧縮室(25)とケーシング(10)内との圧力差が所定値に達すると吐出口(29a,29b) を開き、高圧のガス冷媒を圧縮室(25)から吐出する一方、吐出後に圧縮室(25)の圧力が下がって上記圧力差が小さくなると吐出口(29a,29b) を閉鎖するように構成されている。
また、上記フロントヘッド(22)には弁体(41)の撓み量(リフト量)を規制するための弁押さえ(ストッパ)(42)が設けられていて、弁体(41)が過剰に撓むのを防止している。なお、上記フロントヘッド(22)には、その上面を覆うマフラ(45)が取り付けられている(図2)。
図4(a)に示すように、上記弁体(41)には、該弁体(41)の先端側に位置する第1吐出口(29a) に対応する部分と、それよりも基端側に位置する第2吐出口(29b) に対応する部分との間に、幅寸法の小さな小幅部(41a) が形成されている。弁体(41)をこのような形状にした結果、該弁体(41)は、各吐出口(29a,29b) に対応する部分のたわみ強度ないし剛性が相違し、第1吐出口(29a) に対応する先端部分がたわみやすくなる。したがって、弁体(41)は、該弁体(41)に作用する圧力が変化すると、開口する吐出口(29a,29b) の個数が1つまたは2つに変化する。
一方、上記駆動軸(33)には、給油ポンプ(35)と、給油路(図示せず)とが設けられている。給油ポンプ(35)は駆動軸(33)の下端部に設けられ、該駆動軸(33)の回転に伴ってケーシング(10)内の下部に貯留する冷凍機油を汲み上げるように構成されている。給油路は、駆動軸(33)内を上下方向に延びるとともに、給油ポンプ(35)が汲み上げた冷凍機油を圧縮機構(20)の各摺動部分へ供給するように、各部に設けられた給油口(図示せず)と連通している。具体的には、給油路及び給油口は、シリンダ(21)の内周面とピストン(24)の外周面とが摺動する部分や、フロントヘッド(22)及びリヤヘッド(23)における軸受部(22a,23a) の軸受面などに給油するように構成されている。
−運転動作−
次に、この前提技術1に係る圧縮機(1) の運転動作について説明する。
まず、インバータにより所定の周波数に制御された電流が電動機(30)に流れることにより回転子(32)が回転し、該回転子(32)の回転が駆動軸(33)を介して圧縮機構(20)の回転ピストン(24)に伝達される。これによって、圧縮機構(20)が所定の圧縮動作を行う。
具体的に、図2を参照しながら圧縮機構(20)の圧縮動作について説明する。まず、シリンダ(21)の内周における吸入口(28)の開口部のすぐ右側においてシリンダ(21)の内周面と回転ピストン(24)の外周面とが実質的に接触する仮想線の状態から説明する。この状態で圧縮室(25)の低圧室(25a) の容積は最小であり、電動機(30)の駆動によって回転ピストン(24)が図の右回り(時計回り)に回転すると、回転ピストン(24)の回転に従って低圧室(25a) の容積が拡大し、該低圧室(25a) に低圧のガス冷媒が吸入される。その際、回転ピストン(24)は圧縮室(25)内で偏心運動するが、ブレード(26)が回転ピストン(24)に常に押圧されているため、高圧室(25b) から低圧室(25a) へのガス冷媒の流入は生じない。低圧室(25a) へのガス冷媒の吸入は、回転ピストン(24)が1回公転して再び吸入口(28)の開口部のすぐ右側でシリンダ(21)と回転ピストン(24)とが接触する状態となるまで続く。
このようにしてガス冷媒の吸入を終えた部分は、今度はガス冷媒が圧縮される高圧室(25b) になる。そして、この時点で高圧室(25b) の容積は最大であり、この高圧室(25b) には低圧のガス冷媒が満たされている。また、高圧室(25b) の隣には新たに低圧室(25a) が形成され、該低圧室(25a) において冷媒の吸入が繰り返される。
このとき、上記高圧室(25b) 内はまだ低圧であるため、吐出口(29)は弁体(41)で閉鎖され、該高圧室(25b) は密閉空間となっている。この状態から回転ピストン(24)が回転すると、高圧室(25b) の容積が減少し、高圧室(25b) 内のガス冷媒が圧縮される。そして、高圧室(25b) の圧力が所定値に達して圧縮室(25)の内外の圧力差が設定値になると、高圧室(25b) の高圧のガス冷媒に押されて弁体(41)がたわみ、吐出口(29)が開口状態となる。したがって、高圧のガス冷媒が高圧室(25b) からケーシング(10)内に吐出される。
ここで、本前提技術1では、2つの吐出口(29a,29b) を形成し、かつ両方の吐出口(29a,29b) を一つの弁体(41)で開閉するとともにその剛性が基端側よりも先端側で弱くなるようにしている。したがって、運転容量が少ないときは吐出流量が少ないため、弁体(41)の内面側と外面側の圧力差の関係で先端側の第1吐出口(29a) のみが開口するようにできる。このとき、弁体(41)の先端側がたわみやすいため、第1吐出口(29a) を開閉する際の応答性は低下しない。
一方、電動機(30)の回転速度を増すことにより運転容量が増大して単位時間あたりの吐出流量が増えると、上記圧力差が大きくなって両方の吐出口(29a,29b) が開口する。したがって、運転容量が大きいときは開口面積が比較的大きくなり、吐出抵抗が抑えられる。また、大容量の運転時は、回転ピストン(24)が1回転する間の吐出初期に第1吐出口(29a) が素早く開くことで、この吐出初期の過圧縮を確実に防止できる。
以上のような動作によって圧縮機構(20)からケーシング(10)内に吐出されたガス冷媒は、マフラ(45)の内部から外部へ流出した後、電動機(30)の固定子(31)と回転子(32)の間の隙間や、固定子(31)とケーシング(10)の間に設けられている図示しない空隙を、下方から上方へ通過する。そして、電動機(30)の上方へ流出した高圧のガス冷媒は、吐出管(15)からケーシング(10)の外へ吐出され、図示しない冷媒回路を循環する。
前提技術1の効果−
前提技術1によれば、2つの吐出口(29a,29b) を1枚の弁体(リード弁)(41)で開閉する構成において、各吐出口(29a,29b) を弁体(41)の基端側から先端側の間の2カ所に配置しているため、吐出口(29a,29b) の開口面積を比較的大きくすることができるうえ、弁体(41)の幅を従来と同程度にしておくことができる。このため、この構成では弁体(41)の幅を広くすることは不要である。したがって、弁体(41)を小さくしておけるので開閉の応答性が低下しない。一方、吐出口(29a,29b) を2つにしているので開口面積は広くすることができる。したがって、圧縮機構(20)を大容量で運転しても吐出抵抗が大きくなりすぎるのを抑えることが可能である。
また、本前提技術では、弁体(41)の剛性を部分的に相違させ、流量や圧力によって開く吐出口(29a,29b) の数が変わるようにしているので、圧縮機(1) を大容量で運転したときには、開口面積を広くすることで吐出抵抗を抑えることができ、流速の増大やそれに伴う過圧縮損失を確実に抑えられる。さらに、圧縮機(1) を小容量で運転したときでも、弁体(41)が剛性の弱い先端部分において容易にたわんで先端側の第1吐出口(29a) が開閉するので、応答性の低下やそれに伴う過圧縮損失を抑えられる。そして、このように運転容量が変化しても過圧縮損失を抑えることができるため、従来よりも運転効率を高めることが可能となる。
また、弁体(41)は、図4(a)に示すように第1吐出口(29a) と第2吐出口(29b) の間の幅を狭くするだけで、第1吐出口(29a) に対応する先端側部分の剛性を弱くすることができるため、吐出弁機構(40)を簡単な構成にすることができ、コストアップを抑えられる。
前提技術1の変形例−
図4(a)に示した例では、弁体(41)に、第1吐出口(29a) に対応する部分と第2吐出口(29b) に対応する部分との間に位置する小幅部(41a) を形成しているが、弁体(41)は、図4(b)に示すように、第1吐出口(29a) に対応する部分(41b) の幅が細い形状に形成してもよい。このように構成しても、弁体(41)は第1吐出口(29a) に対応する先端部分(41b) が開口しやすくなるため、低容量での運転時には第1吐出口(29a) が素早く開口し、応答性のよい運転が行われる。また、大容量での運転時には、両方の吐出口(29a,29b) が開口する。したがって、この変形例においても、過圧縮損失を抑えた効率のよい運転を行うことが可能となる。
《発明の前提技術2》
本発明の前提技術2は、吐出弁機構(40)の構造を前提技術1とは変更した例である。
この吐出弁機構(40)は、図1に仮想線で示しているようにリヤヘッド(23)側に設けられている第1弁機構(40A) と、フロントヘッド(22)側に設けられている第2弁機構(40B) とから構成されている。
この前提技術2では、図6に示すように、第1吐出口(29a) はリヤヘッド(23)に形成されており、第1弁機構(40A) は、第1吐出口(29a) をリード弁である第1弁体(41A) で開閉するように構成されている。また、図5に示すように、第2吐出口(29b) はフロントヘッド(22)に形成されており、第2弁機構(40B) は、第2吐出口(29b) をポペット弁である第2弁体(41B) で開閉するように構成されている。このポペット弁(41B) は、リード弁の一部が吐出口(29b) に嵌入するように形成されたものである。
上記第1吐出口(29a) は、吐出ポート径(φDd1)とシート径(φDs1)が等しく形成されている。一方、第2吐出口(29b) は、吐出ポート径(φDd2)よりもシート径(φDs2)の方が大きなテーパ孔に形成されている。また、第1吐出口(29a) の吐出ポート径(φDd1)及びシート径(φDs1)は、それぞれ、第2吐出口(29b) の吐出ポート径(φDd2)及びシート径(φDs2)よりも小さく形成されている。さらに、第1弁体(41A) のリフト量(L1)は、第2弁体(41B) のリフト量(L2)よりも大きく定められている。
この前提技術2においては、圧縮機構(20)の2つの吐出口(29a,29b) を第1弁体(リード弁)(41A) と第2弁体(ポペット弁)(41B) で開閉するようにしているので、リード弁(41A) の応答性の高さと、ポペット弁(41B) の流量の多さを利用できる。このため、小容量時には、応答性の高い第1弁体(41A) が開くことで過圧縮を防止でき、大容量時には、十分な開口面積が得られる第2弁体(41B) も開いて冷媒の流速を抑えられるため、吐出抵抗を少なくできる。また、大容量時でも、第1弁体であるリード弁(41A) が先に開くため、回転ピストン(24)が一回転する間の吐出初期の過圧縮を防止できる。
また、第1弁機構(40A) の吐出ポート径(φDd1)及びシート径(φDs1)を第2弁機構(40B) の吐出ポート径(φDd2)及びシート径(φDs2)よりも小さくしているため、小容量時に、リード弁である第1弁体(41A) の開閉の応答性を確実に高められる。さらに、大容量時に開く第2弁体(41B) のリフト量(L2)が第1弁体(41A) のリフト量(L1)よりも小さいため、第2弁体(41B) の閉じ遅れや、それに起因する圧縮室(25)内への冷媒の逆流も生じにくくなる。
このように、本前提技術では、第1弁体(41A) としてのリード弁と第2弁体(41B) としてのポペット弁とを組み合わせることにより、リード弁(41A) の応答性の高さで小容量時の過圧縮を抑えることができ、ポペット弁(41B) の十分な開口面積により大流量時の過圧縮も抑えられる。したがって、運転容量に関わらず、圧縮機(1) の運転効率を高められる。特に、第1弁機構(40A) と第2弁機構(40B) における吐出ポート径(φDd1)(φDd2)、シート径(φDs1)(φDs2)、及びリフト量(L1)(L2)の関係を上述のように特定したことにより、その効果を高められる。
《発明の実施形態
本発明の実施形態は、それぞれがリード弁である2枚の弁体を用いて吐出弁機構(40)を構成した例である。
この吐出弁機構(40)は、前提技術2と同様に、リヤヘッド(23)側に設けられた図8の第1弁機構(40A) と、フロントヘッド(22)側に設けられた図7の第2弁機構(40B) とから構成されている。第1弁機構(40A) 及び第2弁機構(40B) には、それぞれリード弁である第1弁体(41A) 及び第2弁体(41B) が用いられている。第1弁体(41A) 及び第2弁体(41B) は、いずれも図9に示すように先端部分の外郭が円弧状で、基端部より太くなっている。
第1弁体(41A) は、第2弁体(41B) よりも厚さが薄いリード弁により構成されている。このことにより、第1弁体(41a) は第2弁体(41B) よりも剛性が弱く設定されている。また、第2弁体(41B) は、閉じるときの動作の応答性が低下しないように、リフト量を第1弁体(41A) よりも小さく設定しておくとよい。
この実施形態において、圧縮室(25)からの冷媒の吐出時は、まず第1弁機構(40A) が開き、次いで第2弁機構(40B) が開く。したがって、小容量時には応答性の高い第1弁機構(40A) が確実に開閉するので、過圧縮損失を低減できる。また、大容量時には両方の弁機構(40A,40B) が開閉するため、流速が速くなりすぎることがなく、この場合も過圧縮損失を低減できる。
したがって、この実施形態においても、上述の各実施形態と同様に、小容量の運転時から大容量の運転時まで、過圧縮損失が少なく効率のよい運転を行うことが可能となる。
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
例えば、上記実施形態では、回転ピストン型の圧縮機(1) に本発明を適用した例を説明したが、本発明は、圧縮機構(20)に吐出弁機構(40)が設けられる圧縮機(1) であれば、適用対象を回転ピストン型に限定するものではない。例えば、本発明は、ピストンとブレードが一体で、ピストンの旋回時にブレードが揺動するタイプ(揺動ピストン型)の圧縮機にも適用可能である。
また、上記実施形態においては、インバータにより電動機(30)の速度を制御することにより運転容量を可変にする場合について説明したが、運転容量を可変にする手段は、上記実施形態に限定されることはない。
例えば、電動機の巻線の極数を変化させることにより電動機を速度制御する場合や、電動機の速度制御をせず、圧縮機構の容積を可変とする場合(例えばレシプロ式の圧縮機構においてストロークを可変にする場合)などにも、本発明は適用可能である。このように、本発明は、吐出口から流出しようとする冷媒の量が運転条件によって変化するような圧縮機に有効である。
以上説明したように、本発明は、圧縮機構の吐出口に吐出弁機構が設けられた圧縮機について有用である。
本発明の前提技術1に係る圧縮機の断面構造図である。 圧縮機構の横断面図である。 吐出弁機構の拡大断面図である。 (a)図及び(b)図は吐出弁の平面図である。 前提技術2に係る吐出弁機構の第2弁機構を示す拡大断面図である。 前提技術2に係る吐出弁機構の第1弁機構を示す拡大断面図である。 実施形態に係る吐出弁機構の第2弁機構を示す拡大断面図である。 実施形態に係る吐出弁機構の第1弁機構を示す拡大断面図である。 吐出弁の平面図である。
符号の説明
(1) 圧縮機
(10) ケーシング
(20) 圧縮機構
(21) シリンダ
(22) フロントヘッド
(23) リヤヘッド
(24) 回転ピストン
(25) 圧縮室
(29) 吐出口
(29a) 第1吐出口
(29b) 第2吐出口
(30) 電動機(駆動機構)
(40) 吐出弁機構
(40A) 第1弁機構
(40B) 第2弁機構
(41) 弁体
(41A) 第1弁体
(41B) 第2弁体
(41a) 小幅部
(42) 弁押さ

Claims (6)

  1. 圧縮機構(20)と該圧縮機構(20)を駆動する駆動機構(30)とを備え、該圧縮機構(20)に吐出弁機構(40)が設けられた可変容量の圧縮機であって、
    上記吐出弁機構(40)は、一の吐出口(29a) を第1弁体(41A) で開閉する第1弁機構(40A) と、他の吐出口(29b) を第2弁体(41B) で開閉する第2弁機構(40B) とから構成され、
    第1弁体(41A) と第2弁体(41B) の両方がリード弁により構成されるとともに、第1弁体(41A) の剛性が第2弁体(41B) の剛性よりも弱く設定され、
    小容量の運転時には第1弁体(41A) が開閉する一方、それよりも大容量の運転時には両方の弁体(41A,41B) が開閉するように構成されていることを特徴とする圧縮機。
  2. 請求項1に記載の圧縮機において、
    第2弁体(41B) のリフト量が第1弁体(41A) のリフト量よりも小さく設定されていることを特徴とする圧縮機。
  3. 圧縮機構(20)と該圧縮機構(20)を駆動する駆動機構(30)とを備え、該圧縮機構(20)に吐出弁機構(40)が設けられた可変容量の圧縮機であって、
    上記吐出弁機構(40)は、一の吐出口(29a) を第1弁体(41A) で開閉する第1弁機構(40A) と、他の吐出口(29b) を第2弁体(41B) で開閉する第2弁機構(40B) とから構成され、
    第1弁体(41A) と第2弁体(41B) の両方がリード弁により構成されるとともに、第1弁体(41A) の剛性が第2弁体(41B) の剛性よりも弱く設定され、
    第2弁体(41B) のリフト量が第1弁体(41A) のリフト量よりも小さく設定されていることを特徴とする圧縮機。
  4. 請求項1,2または3に記載の圧縮機において、
    圧縮機構(20)は、円筒状のシリンダ(21)と、該シリンダ(21)の一端面に固定されるフロントヘッド(22)と、該シリンダ(21)の他端面に固定されるリヤヘッド(23)と、シリンダ(21)、フロントヘッド(22)及びリヤヘッド(23)の中に区画形成された圧縮室(25)の内部で旋回する回転ピストン(24)または揺動ピストンとを備え、
    第1弁機構(40A) 及び第2弁機構(40B) の一方がフロントヘッド(22)に、他方がリヤヘッド(23)に配置されていることを特徴とする圧縮機。
  5. 請求項4に記載の圧縮機において、
    フロントヘッド(22)とリヤヘッド(23)の一方が他方に対して相対的に上方に位置するように配置され、
    第1弁機構(40A) がフロントヘッド(22)とリヤヘッド(23)の内の下方に位置する部材に配置され、
    第2弁機構(40B) がフロントヘッド(22)とリヤヘッド(23)の内の上方に位置する部材に配置されていることを特徴とする圧縮機。
  6. 請求項1から5のいずれか1に記載の圧縮機において、
    第1弁体(41A) の厚さが第2弁体(41B) の厚さよりも薄いことを特徴とする圧縮機。
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