JP2005013049A - 農産物の減農薬化または無農薬化方法及び農産物処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】供給された農産物に反転を確率的に発生するように運動させる反転発生部16と、反転発生部16を駆動する駆動部18と、反転発生部16の上方にあって紫外線灯20a、20bを有する紫外線照射部20とを備え、無洗浄状態の農産物に対して、紫外線を直接照射し、農産物に付着している農薬を光分解させる。反転発生部16は複数の階段16a1、16a2・・・からなる階段搬送台16aを有しており、階段16a1、16a2・・・は、搬送進行方向に向かって順次、下がっており、隣接する階段へと落下する際に、農産物の確率的な反転を発生させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、収穫後の残留農薬が付着した農産物の減農薬化または無農薬化をするための方法及び農産物処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
農産物の生産にあたっては、収穫率の向上、労働力の軽減、育成期間の短縮、商品美化等の生産性の向上が望まれている。この要請に応えるべく、農薬メーカーは、殺虫剤、殺菌剤、除草剤を目的として農薬を開発しており、その目的を達成するための成分構成を行っている。そして、現在の農産物の生産には、農薬の使用が必要不可欠となっている。
【0003】
一方、消費者側から農薬の問題を考えると、農薬を摂取することは有害であることは言うまでもない。農薬メーカーは、農産物から農薬を除去する仕組みとして、1.水(または雨水)による洗い流し除去、2.微生物代謝による酵素分解、3.光(太陽光)による分解等、自然の条件下で農薬を除去・分解ができるように考慮して、農薬を開発している。そして、生産者は、収穫前の数日間は農薬を散布しないようにして、前記自然の仕組みを利用して農薬を分解し、残留農薬の残留量を規制値内に抑えている。
【0004】
しかしながら、かかる残留農薬は可能な限り低減することが望ましく、さらなる改良が望まれている。
【0005】
こういった残留農薬を処理するものとして、収穫した野菜、果物、または茶葉を網箱に入れて網蓋で覆い、浸漬タンクのオゾン/水混合液中に浸漬し、浸漬と同時に紫外線を照射して、所定時間に達した後、取出し洗浄することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この構成では、農薬を構成する有機化合物を、オゾン、紫外線及び水を加えて光解離及び酸化させて、二酸化炭素と水とその他の簡単な化合物にしている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−66552号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる特許文献1に記載の構成では、収穫した野菜、果物、または茶葉をオゾン/水混合液中に浸漬しなければならないため、1.農産物の香り、色、有効成分を失う、2.保存性を失う、という問題があり、商品としての価値を著しく損ない、商品として成立しなくなるという問題がある。
【0008】
また、農薬は、農産物の外側の細胞膜を通過し原形質膜まで達しており、その濃度分布は、細胞膜から原形質膜の外側にまで及んでいる。しかしながら、特許文献1のような混合液は、原形質膜までは到達することができないので、有効に農薬を取り除くことができない、という問題がある。
【0009】
さらには、特許文献1では、野菜、果実または茶葉をまとめて網箱内に入れて網蓋で覆い処理するため、農産物の各単位に付着している農薬を隅々にわたり、分解することができない、という問題がある。
【0010】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、その目的は、農産物の商品としての価値を損なうことなく、残留農薬の付着した農産物を低農薬化または無農薬化することができる方法及び装置を提供することである。
【0011】
また、本発明の他の目的は、農産物の各単位隅々にわたり、農薬の残留を低減することができる方法及び装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、請求項1記載の発明は、農産物に残留した農薬の減農薬化または無農薬化するための方法であって、
無洗浄状態の農産物に対して、連続式にまたはバッチ式に紫外線を直接照射し、農産物に付着している農薬を光分解させることを特徴とする。
【0013】
前述のように、本来農薬は光(太陽光)によって分解されるように構成されている。よって、人為的に紫外線を直接農産物に照射することによって、農薬を分解することができる。即ち、本発明の方法は、農産物に太陽光を人為的に照射するのと等価であり、農産物の香り、色、有効成分を失うことなく、また、保存性を変化させることなく、商品価値を保持した状態で処理することができる。
【0014】
紫外線は、波長が短く、農産物の外側の細胞膜を通過して原形質膜まで到達し、この部分に残留している農薬をも分解して、除去することができる。こうして、農産物に残っている農薬を効果的に除去することができる。
【0015】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のものにおいて、前記農産物を強制的に運動させて、確率的に反転させることを繰り返し複数回行い、紫外線を農産物の全表面に向けて照射するようにしたことを特徴とする。
【0016】
農産物を強制的に運動させたときの反転しない確率がn(<1)であるとすると、これをm回繰り返すことにより、1回でも反転する確率は1−(n)mとなる。回数mを増やすことにより、反転を経験する確率を1に限りなく近づけることができ、これにより、農産物の各単位の全体表面に満遍なく紫外線を照射することができる。
【0017】
農産物の強制的な運動は、連続的または間歇的な落下運動、上下運動、回転運動、揺動運動、転倒運動、水平運動及びこれらの運動の任意の組み合わせからなる群から選択されたいずれかの運動とすることができるが、請求項3記載の発明は、前記農産物の強制的な運動が、落下運動であることを特徴とする。農産物の各単位を反転する確率を高くする運動としては、落下運動が最も好ましい。農産物を落下運動をさせる方法としては、例えば、農産物を複数の段差を順次落下させていくこととすることができる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の農産物の減農薬化または無農薬化方法に使用される農産物処理装置であって、供給された農産物に反転を確率的に発生させるように農産物を運動させる反転発生部と、反転発生部を駆動する駆動部と、反転発生部の上方にあって紫外線灯を有する紫外線照射部とを備えることを特徴とする。
【0019】
農産物へと照射する紫外線及び紫外線灯の発生する紫外線の波長は、100nm〜400nmの範囲内のものとすることができる。また、照射する紫外線量は1,000μw・sec/cm2〜500,000μw・sec/cm2の範囲にあると好ましい。
【0020】
さらに、紫外線照射部の紫外線灯の強度及び/または照射時間を制御して紫外線線量を制御する制御手段を設けることもできる。照射時間は、10〜1200secの範囲内で設定できるとよい。
【0021】
また、紫外線照射部と反転発生部との間の距離を調整して紫外線線量を調整する距離調整手段を設けることもできる。照射距離は、5mm〜1000mmの範囲で設定できるとよい。
【0022】
以上の調整は、処理する農産物の量並びに農産物に使用されている農薬の種類及び量に依存して行うとよい。また、反転発生部に供給する農産物の量を定量化する定量手段を設けることも可能である。
【0023】
供給された農産物に反転を確率的に発生させるように農産物を運動させる反転発生部としては、任意の構成をとることができるが、請求項5記載の発明は、前記反転発生部は、複数の階段からなる階段搬送台を有しており、階段は、搬送進行方向に向かって順次、下がっており、農産物が隣接する階段へと落下する際に、農産物の確率的な反転を発生させることを特徴とする。農産物を落下させる場合、反転する確率及び反転しない確率をそれぞれ1/2とすることができ、大きな確率で反転させることができる。階段数を複数とすることにより、落下する回数を増加させることができて、反転を経験する確率1−(1/2)m(mは落下する回数)を限りなく1にすることができる。また、この階段搬送台で農産物を搬送しながら農薬分解処理を行っていくため連続的に処理を行うことができ、生産性を向上させることができる。
【0024】
または、請求項6記載の発明は、反転発生部が、駆動部の駆動によって振動運動、上下運動、回転運動、揺動運動、転倒運動、水平運動及びこれらの運動の任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれかの運動を行い、反転発生部に供給された農産物の確率的な反転を発生させることを特徴とする。
【0025】
または、請求項7記載の発明は、反転発生部が障害物を備えると共に、駆動部の駆動によって振動運動、上下運動、回転運動、揺動運動、転倒運動、水平運動及びこれらの運動の任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれかの運動を行い、これらの運動によって反転発生部に供給された農産物が障害物を超える際に、農産物の確率的な反転を発生させることを特徴とする。障害物を超える際に、落下と同じ現象が起こり、反転が確率的に発生する。
【0026】
または、請求項8記載の発明は、反転発生部が、駆動部の駆動によって振動運動、上下運動、回転運動、揺動運動、転倒運動、水平運動及びこれらの運動の任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれかの運動を間歇的に行い、この間歇的運動によって反転発生部に供給された農産物が運動の開始及び休止を繰り返す際に、農産物の確率的な反転を発生させることを特徴とする。
【0027】
尚、この明細書で農産物として、以下のものが例示される。
【0028】
1.茶葉類(日本茶、紅茶、中国茶、ウーロン茶、ジャスミン茶、果実茶等)
2.煙草の葉(紙巻用、パイプ用、葉巻用等)
3.粉体香辛料類(胡椒、山椒、陳皮、コリアンダー、ココアマス等の粉体スパイス類)
4.穀類(米、大豆、小麦、蕎麦、大麦、大豆、小豆類)
5.種子類(胡麻、麻の実、胡椒の実、南京豆、アーモンド、ナッツ、蕎麦の実、向日葵の種子、栗等)
6.粉体野菜類(キャベツ、人参、アスパラガス、セロリ等)
7.粉体果実類(バナナ、リンゴ、メロン等)
8.菌類(乾燥シイタケ、なめこ等)
9.飼料(雑穀類、とうもろこし等)
10.生薬類
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。尚、以下の実施形態は本発明を限定するものではない。
【0030】
図1及び図2は本発明の第1実施形態による農産物に残留した農薬の減農薬化または無農薬化するための方法を使用する農産物処理装置10を表す図である。図において、農産物処理装置10は、農産物が投入されるホッパー12と、ホッパー12からの農産物を定量ずつ送り込む定量部14と、定量部14から供給された農産物を反転させながら搬送する反転発生部16と、反転発生部16を駆動する駆動部18と、反転発生部16の上方にあって紫外線灯を有する紫外線照射部20と、を備えており、全体が容器22内に収納される。また、照射する紫外線線量を調整するための制御を行うコントローラ24を備える。
【0031】
ホッパー12には、収穫後であって、必要に応じて適宜加工が行われた後の袋詰/箱詰等の商品となって出荷される前の状態の農産物が投入されるとよい。勿論、収穫直後の農産物をホッパー12に投入することでもよい。農産物に加工が施される場合、加工自体は従来と同様に行うことができる。この装置10に処理される前及び処理中において、農産物は無洗浄であり、液体には浸漬されていない。
【0032】
定量部14は、農産物を定量化することができるものであれば、任意の構成を使用することができる。この例では、茶葉のような細かな物体であり、ロータリ弁によって、所定量ずつ順次、反転発生部16へと投入される。
【0033】
反転発生部16は、図3に示したように、複数の階段16a1、16a2、・・・16a5からなる階段搬送台16aを有しており、階段16a1、16a2、・・・16a5は、投入から搬出方向に向かって順次、下がっている。反転発生部16は、階段搬送台16aの一番下の階段16a5に続き、直進搬送台16bを有している。階段搬送台16aは、上下動及び水平動可能なるように、強力バネ16c、16cによって基台に支持されている。
【0034】
反転発生部16の階段搬送台16aには、駆動部18が連結されており、駆動部18には、モータ18aが備えられている。モータ18aの回転により階段搬送台16aに上下方向または水平方向に振動を起こさせる。
【0035】
紫外線照射部20は、反転発生部16の上方に配置され、階段搬送台16aに対応してその上方に複数の紫外線灯20a及び直進搬送台16bに対応してその上方に紫外線灯20bが備えられる。紫外線灯20a、20bは、出力される紫外線の波長が100nm〜400nmの範囲である。また、紫外線照射部20は、吊下げ手段(距離調整手段)20c、20dにより、容器22から吊下げられており、この吊下げ手段20c、20dの長さを調整することにより、上下位置を調整可能である。こうして反転発生部16との間の距離を調整することにより、照射される紫外線の強度を調整することができるようになっている。照射距離は、5mm〜1000mmの範囲で設定できるとよい。
【0036】
容器20は閉じた内部空間を画成するとよく、さらに、その内部空間にはクリーンエアが導入されて換気されるとよい。クリーンエアの吸気量がその排気量よりも多くなるようにし、容器20の内部空間を陽圧に維持するとよい。これにより、容器外部から菌等の異物が侵入することを防ぎ、処理中の農産物に落下する落下菌などを防ぐことができる。また、容器20内をエアで換気することにより、紫外線照射により容器20内に発生した熱を、外部へと排出することができる。
【0037】
制御手段であるコントローラ24は、モータ18aの回転速度をインバータにより、紫外線灯20a、20bの強度をインバータにより、また、照射時間をタイマーにより制御して、農産物に照射する紫外線量を調整するものである。使用者は、処理する農産物量並びに農産物に使用されている農薬の種類及び量に依存して、コントローラ24に対して回転速度、照射強度、照射時間の設定を行う。照射時間は、10〜1200secの範囲内で設定できるとよく、紫外線量は1,000μw・sec/cm2〜500,000μw・sec/cm2の範囲に調整できるとよい。
【0038】
以上のように構成される農産物処理装置10においてその作用を説明する。ホッパー12に投入された農産物Aは、定量部14で一定量ずつ反転発生部16へと送り込まれる。定量部14で1回に送り込まれる量は、反転発生部16の各階段16a1、16a2、・・・の段面上において農産物Aが広がったときに、農産物Aの単位が堆積せずに薄く広がることができる量に設定されるとよい。
【0039】
反転発生部16において農産物Aは、紫外線照射部20からの紫外線に曝される。同時に、反転発生部16は、駆動部18によって駆動されて常時振動しており、農産物Aは、反転発生部16の各階段16a1、16a2、・・・の段面上全体に亘り広がって、積み重なることなく、平らになり、上の階段16a1から順次、階段を下がっていく。ある階段16aから次の階段16aへと落下する際に、農産物Aの各個体単位が反転する確率及び反転しない確率はそれぞれ1/2である。例えば、この実施形態のように、階段搬送台16aの一番上の階段16a1から直進搬送台16bまで、6回落下するとすると、反転を全くしない確率は、(1/2)6=0.0156・・・となり、従って、反転を1回でも経験する確率は、1−(1/2)6=0.984となる。即ち、約98%の確率で少なくとも1回の反転が発生することになり、農産物Aの各個体単位のほぼ全表面に紫外線を照射することができるようになる。仮に、同じ農産物Aに対して、この農産物処理装置10にて5回の処理を繰り返して施すと、少なくとも1回の反転を経験する確率は、1−(1/2)30=0.99999・・・となり、ほとんど100%の確率で反転が発生していることが保証され、処理中の農産物Aのすべての個体単位に満遍なく紫外線を照射することが保証される。
【0040】
コントローラ24の設定値を変えて、駆動部18のモータ18aの回転速度を変えることにより、反転発生部16の振動数を変えることができ、反転発生部16を農産物Aの搬送速度を変化させることができ、農産物Aへ照射する紫外線量を変化させることができる。また、コントローラ24の設定値を変えて、紫外線灯20a、20bの照射強度または照射時間を変えて、農産物Aへ照射する紫外線量を変化させることができる。
【0041】
こうして、紫外線を満遍なく農産物Aに照射することで、農産物Aの残留農薬をほとんど光分解させることができる。
【0042】
反転発生部16の階段数については、図示の例のように6段に限るものではなく、多数の階段数にすることもできる。また、階段16a1、16a2、・・・のそれぞれの段面は、水平に設置してもよいが、または次の階段に向かって下方に傾斜するように設置してもよい。
【0043】
または、以上の実施形態の変形例として、図4に示すように複数の階段搬送台16aを設けて、これらを連続的に繋げることもできる。1つの駆動部18で駆動される階段搬送台に多数の階段を設けると、階段搬送台の長さが長くなり、駆動部18による振動の共振点が発生しやすくなる。かかる共振点の発生を防止するために、図4に示すように別々の駆動部18で駆動される複数の階段搬送台16aを用いるとよい。また、複数の階段搬送台16aを用いる場合に、一列に繋げていく代わりに、図5に示すように、スパイラル状に繋げていくこともできる。
【0044】
以上の実施形態及びその変形例は、農産物を連続式に処理することができ、生産効率を上げることができる。しかしながら、バッチ式のものであってもよいことは勿論である。図6〜図11は、農産物Aを反転させる他の装置の例を表す。図において、符号16は反転発生部、18は駆動部、20は紫外線灯を有する紫外線照射部を共通に表している。図6は反転発生部16の回転運動によって農産物Aを反転させる例、図7は反転発生部16の上下運動によって農産物Aを反転させる例、図8は反転発生部16の間歇的な回転運動によって農産物Aを反転させる例(反転発生部16が回転中は、農産物Aは遠心力により反転発生部16の側面に張り付いており、反転発生部16が回転を中止すると底面に落下し、再び反転発生部16が回転を開始すると、農産物Aは反転発生部16の側面に張り付き、この農産物Aの移動の際に確率的な反転が発生する)、図9は反転発生部16の転倒(揺動)運動にって農産物Aを反転させる例、図10は反転発生部16の揺動運動により、農産物Aが反転発生部16の側面に設けられた障害物16dを乗り越える際に、落下が発生して、この際に確率的な反転が発生する例、図11は反転発生部16の水平往復(揺動)運動により、農産物Aが反転発生部16の側面に設けられた障害物16dを乗り越える際に、落下が発生して、この際に確率的な反転が発生する例、である。いずれの任意の方法をもとることができる。
【0045】
【実施例】
(実施例1)
図1〜図3に示した農産物処理装置10を用いて、下記の条件で実験を行った。
【0046】
A)装置条件
1:紫外線出力:100V、15W×6本=90W相当
2:紫外線波長:253.7nm
3:農産物搬送距離(投入点から搬出点まで):1520mm
4:搬送時間:1分58秒(118秒)
5:実験農産物と紫外線灯との距離:300mm
6:処理能力:60kg/Hr
【0047】
B)実験農産物物性
1:テスト品名:日本茶葉(静岡掛川産、新茶)
2:見掛比重:0.588
3:テスト農薬:ネオニコチノイド系「ダントツ水溶液」
本薬剤の目的は殺虫剤である。
【0048】
C)実験条件
1:希釈濃度:メーカー指定の2000倍ではなく、本実験では、濃度を上げる為に、1000倍の希釈を行ない、茶葉にスプレー散布を施工し、実験農産物とした。
2:茶葉の照射部の厚さ:平均5mm程度(最大8mm)
3:分析法:高速液体クロマトグラフ法
【0049】
D)実験方法
上記条件にて農薬をスプレー散布した実験農産物を、農産物処理装置10に投入し、1回の通過時間が2分であるため、5回投入を繰り返し(10分)、10回投入を繰り返し(20分)後の実験農産物の残留濃度を測定した。尚、装置10への投入に際しては、紫外線灯の出力が安定することを確認するために、点灯後3分経過した後、実験農産物を装置に投入した。
【0050】
E)測定結果
実験開始直前の無照射の実験農産物と、10分、20分照射経過後の実験農産物をそれぞれ高速液体クロマトグラフ法にて測定した。
【0051】
【表1】
この結果から、紫外線照射によって農薬が分解されていることが分かり、無照射品の濃度を100%とすると、10分照射では約87%、20分照射では約97.9%の農薬が分解除去されたことが分かった。
【0052】
(実施例2)
A)装置条件
インバータにて周波数変換して装置を搬送する時間が1分間になるようにした。即ち、
4:搬送時間:1分
あとの装置条件は、実施例1と同じである。
【0053】
B)実験農産物物性
3:テスト農薬:ジクロルボス(DDVP)を使用
あとの実験農産物物性は、実施例1と同じ
【0054】
C)実験条件
1:希釈濃度:メーカー指定通り2000倍の希釈を行ない、茶葉にスプレー散布を施工し、実験農産物とした。
3:分析法:ガスクロマトグラフ法
【0055】
D)実験方法
上記条件にて農薬をスプレーした実験農産物を、農産物処理装置10に投入し、1回の通過時間が1分であるため、5回投入を繰り返し(5分)、10回投入を繰り返し(10分)後の実験農産物の残留濃度を測定した。
【0056】
E)測定結果
実験開始直前の無照射の実験農産物と、5分、10分照射経過後の実験農産物をそれぞれガスクロマトグラフ法にて測定した。
【0057】
【表2】
この結果から、紫外線照射によって農薬が分解されていることが分かり、無照射品の濃度を100%とすると、わずか5分照射では約34.2%、10分照射では約55.3%の農薬が分解除去されたことが分かった。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、無洗浄状態の農産物に対して人為的に紫外線を直接照射することによって、農薬を分解し、低農薬化または無農薬化することができる。本発明の方法は、農産物に太陽光を人為的に照射するのと等価であり、農産物の香り、色、有効成分を失うことなく、また、保存性を変化させることなく、商品価値を保持した状態で処理することができる。また、紫外線は、波長が短いので、農産物の外側の細胞膜を通過して原形質膜まで到達し、この部分に残留している農薬をも分解して、除去することができる。また、紫外線照射により殺菌効果を持たせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による農産物に残留した農薬の減農薬化または無農薬化するための方法を実現する農産物処理装置を表す装置内部の正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による農産物に残留した農薬の減農薬化または無農薬化するための方法を実現する農産物処理装置を表す装置内部の側面図である。
【図3】図1及び図2の農産物処理装置の要部斜視図である。
【図4】農産物処理装置の反転発生部の階段を用いた他の例である。
【図5】農産物処理装置の反転発生部の階段を用いた他の例である。
【図6】農産物処理装置の他の例を表す概略図である。
【図7】農産物処理装置の他の例を表す概略図である。
【図8】農産物処理装置の他の例を表す概略図である。
【図9】農産物処理装置の他の例を表す概略図である。
【図10】農産物処理装置の他の例を表す概略図である。
【図11】農産物処理装置の他の例を表す概略図である。
【符号の説明】
A 農産物
10 農産物処理装置
16 反転発生部
16a 階段搬送台
16a1、16a2、16a3、16a4、16a5 階段
16d 障害物
18 駆動部
20 紫外線照射部
20a、20b 紫外線灯
Claims (8)
- 残留農薬が付着した農産物の減農薬化または無農薬化をするための方法であって、
無洗浄状態の農産物に対して、連続式にまたはバッチ式に紫外線を直接照射し、農産物に付着している農薬を光分解させることを特徴とする農産物の減農薬化または無農薬化方法。 - 前記農産物を強制的に運動させて、確率的に反転させることを繰り返し複数回行い、紫外線を農産物の全表面に向けて照射するようにしたことを特徴とする請求項1記載の農産物の減農薬化または無農薬化方法。
- 前記農産物の強制的な運動とは、落下運動であることを特徴とする請求項2記載の農産物の減農薬化または無農薬化方法。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の農産物の減農薬化または無農薬化方法に使用される農産物処理装置であって、供給された農産物に反転を確率的に発生させるように農産物を運動させる反転発生部と、反転発生部を駆動する駆動部と、反転発生部の上方にあって紫外線灯を有する紫外線照射部とを備えることを特徴とする農産物処理装置。
- 前記反転発生部は、複数の階段からなる階段搬送台を有しており、階段は、搬送進行方向に向かって順次、下がっており、農産物が隣接する階段へと落下する際に、農産物の確率的な反転を発生させることを特徴とする請求項4記載の農産物処理装置。
- 反転発生部は、駆動部の駆動によって振動運動、上下運動、回転運動、揺動運動、転倒運動、水平運動及びこれらの運動の任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれかの運動を行い、反転発生部に供給された農産物の確率的な反転を発生させることを特徴とする請求項4記載の農産物処理装置。
- 反転発生部は障害物を備えると共に、駆動部の駆動によって振動運動、上下運動、回転運動、揺動運動、転倒運動、水平運動及びこれらの運動の任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれかの運動を行い、これらの運動によって反転発生部に供給された農産物が障害物を超える際に、農産物の確率的な反転を発生させることを特徴とする請求項4記載の農産物処理装置。
- 反転発生部は、駆動部の駆動によって振動運動、上下運動、回転運動、揺動運動、転倒運動、水平運動及びこれらの運動の任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれかの運動を間歇的に行い、この間歇的運動によって反転発生部に供給された農産物が運動の開始及び休止を繰り返す際に、農産物の確率的な反転を発生させることを特徴とする請求項4記載の農産物処理装置。
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JP2003180191A JP2005013049A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | 農産物の減農薬化または無農薬化方法及び農産物処理装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016214172A (ja) * | 2015-05-22 | 2016-12-22 | 学校法人上智学院 | 葉菜類の残留農薬除去装置 |
JP2020094741A (ja) * | 2018-12-12 | 2020-06-18 | アクア株式会社 | 分解装置及び分解装置を備えた冷蔵庫 |
CN111802563A (zh) * | 2019-04-12 | 2020-10-23 | 合肥华凌股份有限公司 | 光解方法、计算机存储介质、计算机程序产品及制冷设备 |
CN111938173A (zh) * | 2020-09-02 | 2020-11-17 | 张朝军 | 一种青椒农药去除装置 |
-
2003
- 2003-06-24 JP JP2003180191A patent/JP2005013049A/ja active Pending
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