JP2005010242A - 光ファイバの再被覆形成方法及び再被覆形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、異径の光ファイバ同士が被覆を除去されて融着された部分を樹脂材料で覆った場合において、被覆を除去された部分の両端部分での樹脂材料の割れの発生を抑制することができる光ファイバの再被覆形成方法及び装置を提供することにある。
【解決手段】一端側が各光ファイバ201a,201bのうちの被覆径の大きい側の被覆部202aの外径よりも大きな内径を有するとともに、他端側が各光ファイバ201a,201bのうちの被覆径の小さい側の被覆部202bの外径よりも大きな内径を有し、かつ、各光ファイバ201a,201bの被覆が除去された部分203a,203bの長さよりも長い略円錐状のキャビティ部を有する雌型を用いて略円錐形状のリコート部9を形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】一端側が各光ファイバ201a,201bのうちの被覆径の大きい側の被覆部202aの外径よりも大きな内径を有するとともに、他端側が各光ファイバ201a,201bのうちの被覆径の小さい側の被覆部202bの外径よりも大きな内径を有し、かつ、各光ファイバ201a,201bの被覆が除去された部分203a,203bの長さよりも長い略円錐状のキャビティ部を有する雌型を用いて略円錐形状のリコート部9を形成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、異径の光ファイバ同士によって作製した光ファイバカプラを再被覆するための光ファイバの再被覆形成方法及び光ファイバの再被覆形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報輸送の大量化、高速化に伴い、通信経路として、光ファイバが多用されている。光ファイバによる情報通信には、光ファイバグレーティングや光合成器、光分波器など、光ファイバ型光部品は必要不可欠となる。
【0003】
一般に、光ファイバは、石英ガラス系のクラッド部(光ファイバ裸線)が合成樹脂等の有機材料により被覆されて構成されている。この被覆は、ガラス製のクラッド部に外部環境の塵挨や異物等が衝突して傷が生じ光ファイバの破断強度が低下することを防ぐためのものである。
【0004】
したがって、光ファイバグレーティングや光合成器、光分波器などの光ファイバ型光部品の製造においては、光ファイバの任意の中間部における被覆を剥離することが必要になる。
【0005】
そして、光ファイバのクラッド部が光ファイバ型光部品として製造された後には、露出したクラッド部に対する塵挨等の付着や、このクラッド部の浸食、機械強度の低下を防ぐために、露出したクラッド部を再び樹脂材料で覆う再被覆(以下、リコートという。)を行う必要がある。
【0006】
クラッド部をリコートする樹脂材料としては、紫外線硬化型樹脂が用いられている。そして、このリコートを行う従来の技術としては、「ダイス方式」や、特許文献1乃至特許文献5等に開示された「モールド方式」がある。これらのうち、「モールド方式」が主流となっている。
【0007】
「モールド方式」のリコートを行う光ファイバ再被覆装置(リコータ)は、図3に示すように、雌型(以下、モールドという。)101を有している。このモールド101は、図4に示すように、石英ガラスからなる上下一対の成形部材102,103より構成されている。これら成形部材102,103は、互いに突き合わされる面の中央部に、リコート用の溝104,104を有している。これら溝104,104は、各成形部材102,103が互いに突き合わされたときに、円柱状の空隙部であるキャビティ部を構成する。このキャビティ部は、光ファイバ201の被覆部の外径と略同一の内径となっている。
【0008】
このモールド101の一方の成形部材102の他方の成形部材103に突き合わされる面は、図5に示すように、溝104以外の部分が、クローム(Cr)膜105でコーティングされている。
【0009】
このリコータによってリコートを行うには、まず、図4に示すように、モールド101のいずれか一方の成形部材の溝104内に光ファイバ201をセットする。このとき、光ファイバ201の被覆が除去された部分が溝104の略中央に位置するようにする。そして、各成形部材102,103を互いに突き合わせ、キャビティ部を閉じ、このキャビティ部内に光ファイバ201を収納する。このとき、光ファイバ201の両端側部分は、モールド101の両側にキャビティ部より引き出された状態となる。
【0010】
このようにモールド101の両側に引き出された光ファイバ201の両端側部分は、図3に示すように、モールド101の両側に設置された一対のクランプ106,107によって保持される。
【0011】
モールド101には、図4に示すように、キャビティ部の略中央部に、樹脂注入口108を有している。この樹脂注入口108は、モールド101の外方側から、キャビティ部内に液体状の樹脂材料を注入するための孔である。
【0012】
そして、キャビティ部内に光ファイバ201が収納された状態において、樹脂注入口108を介して、キャビティ部内に液体状の樹脂材料を注入する。このとき、この樹脂材料は、キャビティ部の内面と、被覆が除去されて露出している光ファイバ201のクラッド部と、この光ファイバ201の被覆が除去された部分の両側の被覆の断面部とに囲まれた空間に充填される。次に、モールド101の外方側より、紫外線を照射し、キャビティ部内の液体状の樹脂材料を硬化させる。
【0013】
このように、キャビティ部内の樹脂材料が硬化されることにより、光ファイバ201にリコート部が成形される。なお、リコート後には、リコート部の表面に、樹脂注入口108内や上下の成形部材102,103間の隙間から液状の樹脂材料が若干付着することがあるので、このリコート部の表面をアルコールを含浸させた綿棒によって拭き取ることにより、リコートが完成する。
【0014】
【特許文献1】
特開2001−249248公報
【0015】
【特許文献2】
特開2002−72001公報
【0016】
【特許文献3】
特開2002−72000公報
【0017】
【特許文献4】
特開平8−54530号公報
【0018】
【特許文献5】
特開平7−311316号公報
【0019】
【特許文献6】
特開平4−275507号公報
【0020】
【特許文献7】
特開2000−258651公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年になって、光ファイバを用いる装置の小型化のため、各光部品の小型化が進められている。そのため、クラッド径が80μm、被覆径が170μmの光ファイバをリードファイバとして有する光学部品が提案されている。リードファイバのクラッド径を80μmとすることにより、このリードファイバの曲げ半径を小さくしても、機械的信頼性を確保できるという利点がある。
【0022】
そのため、クラッド径が80μmの光ファイバと、広く用いられているクラッド径が125μm、被覆径が250μmの光ファイバとを融着接続する必要が生じ、このような異径の光ファイバ同士を融着接続する必要性が生じている。また、装置の小型化のためには、これら光ファイバの融着接続部において曲げる必要も生じている。
【0023】
図6に示すように、前述した従来のリコータによって形成されるリコート部109は、異径の光ファイバ201a,201b同士を融着接続した場合であっても、光ファイバ201a,201bの長手方向について直径が均一な円筒形状に形成される。そのため、小径の光ファイバ201b側のリコート部の端部110においては、リコート部109の外周部と光ファイバ201bの被覆部の表面部との間に、大きな段差部ができてしまう。
【0024】
リコート部109の端部にこのような大きな段差部が存在すると、光ファイバ201bを小さな曲げ半径で曲げようとしたときに、その段差部において大きな歪みが発生してしまい、この部分が割れてしまう虞れがある。さらに、リコート部の端部にこのような大きな段差部があることは、外観上も好ましくない。
【0025】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、異径の光ファイバ同士が被覆を除去されて融着された部分を樹脂材料で覆った場合において、被覆を除去された部分の両端部分での樹脂材料の割れの発生を抑制することができる光ファイバ再被覆方法及び装置を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、異径の光ファイバ同士が被覆を除去されて融着された部分を樹脂材料で覆うことを行う光ファイバ再被覆方法であって、一端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の大きい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有するとともに他端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の小さい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有しかつ各光ファイバの被覆が除去された部分の長さよりも長い略円錐状のキャビティ部を有する雌型を用い、前記キャビティ部内に前記各光ファイバの被覆が除去された部分を設置した状態で該キャビティ部内に樹脂材料を充填し硬化させることにより前記光ファイバの被覆が除去された部分及びこの部分の両側の各被覆部の一部に亘り該各被覆部の外径よりも大径となされた略円錐形状の前記樹脂材料からなる再被覆を成形することを要旨とする。
【0027】
請求項2記載の発明は、上記課題を解決するため、異径の光ファイバ同士が被覆を除去されて融着された部分を樹脂材料で覆うことを行う光ファイバ再被覆装置であって、一端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の大きい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有するとともに他端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の小さい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有しかつ各光ファイバの被覆が除去された部分の長さよりも長い略円錐状のキャビティ部を有する雌型を備え、前記キャビティ部内に前記各光ファイバの被覆が除去された部分が設置された状態で該キャビティ部内に樹脂材料が充填され硬化されることにより前記光ファイバの被覆が除去された部分及びこの部分の両側の各被覆部の一部に亘り該各被覆部の外径よりも大径となされた略円錐形状の前記樹脂材料からなる再被覆を成形することを要旨とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る光ファイバの再被覆形成装置の構成を示す斜視図である。
【0030】
なお、本発明に係る光ファイバの再被覆形成装置は、異径の光ファイバ同士が被覆を除去されて先端部同士を融着接続された部分を樹脂材料で再被覆する装置である。そして、本発明に係る光ファイバの再被覆形成方法は、この光ファイバの再被覆形成装置を使用することによって実施される方法である。
【0031】
また、以下に説明する実施の形態に適用される異径の光ファイバは、それぞれ軸心からクラッド部と、このクラッド部の外周側に被覆された被覆とが同心状に形成されている。この実施の形態においては、大径の光ファイバとして、クラッド径が125μm、被覆径が250μmの光ファイバ、小径の光ファイバとして、クラッド径が80μm、被覆径が170μmの光ファイバを想定している。
【0032】
また、光ファイバの被覆は、例えば、特願平8−158643号(特開平10−10379号公報)に開示されているように、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリブタジェンアクリレート系、シリコーンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系などの紫外線硬化型樹脂により形成されている。
【0033】
この光ファイバの再被覆形成装置は、図1に示すように、モールド1を有している。
【0034】
モールド1は、図1に示すように、石英ガラスの如き透明材料からなる上下一対の成形部材2,3より構成されている。これら成形部材2,3は、互いに突き合わされる面の中央部に、リコート(再被覆)用の溝4,4を有している。これら溝4,4は、各成形部材2,3が互いに突き合わされたときに、略円錐状の空隙部であるキャビティ部を構成する。このとき、モールド1の各成形部材2,3は、キャビティ部を上下から挟み込んだ状態となる。
【0035】
このモールド1において、下側の成形部材3は固定されており、上側の成形部材2は、下側の成形部材3の後縁部分を中心にして、回動可能に支持されている。すなわち、上側の成形部材2は、下側の成形部材3に対して、この下側の成形部材3に突き合わされてキャビティ部を締める状態と、この下側の成形部材3から離間されてキャビティ部を開く状態との間に亘って回動可能となっている。
【0036】
このキャビティ部は、リコート成形部となる中央部分が、一端側より他端側にかけて、テーパになるように緩やかに内径が変化してゆく形状を有している。そして、モールド1の両端部において各成形部材2,3の各溝4,4の両端側部分が形成するファイバ被覆把持部5a,5bは、各光ファイバの被覆径よりも少し太めの内径となされている。これらファイバ被覆把持部5a,5bは、各光ファイバを固定するファイバガイド部となる。この実施の形態においては、ファイバ被覆把持部5a,5bの内径は、それぞれ、260μm,180μmとなされている。なお、これらファイバ被覆把持部5a,5bの内径は、各光ファイバの被覆に対して大きな段差が生じない程度なら、さらに太くてもよく、また、各光ファイバの被覆径に対応して設定される。
【0037】
そして、モールド1の上側の成形部材2には、キャビティ部の両側部分に位置して、一対の樹脂注入口6,6が設けられている。これら樹脂注入口6,6は、モールド1の外方側から、キャビティ部内に液体状の樹脂材料を注入するための孔である。
【0038】
一対の樹脂注入口6,6は、締めた状態におけるモールド1の上方側より、キャビティ部内に樹脂材料を注入できるようになっている。これら樹脂注入口6,6は、モールド1を締めた状態において、キャビティ部よりも上方側に位置するように形成されている。
【0039】
各樹脂注入口6,6とキャビティ部との間には、上側の成形部材2に設けられた凹部7,7により、モールド1を締めた状態において空隙部が形成される。
【0040】
そして、モールド1の上側の成形部材2の下側の成形部材3に突き合わされる面には、溝4以外の部分に、クローム(Cr)膜からなる遮蔽部8が設けられている。この遮蔽部8は、上側の成形部材2に対してクロームがコーティングされることにより形成されている。この遮蔽部8は、キャビティ部内の樹脂材料を硬化させるための紫外線が各樹脂注入口6,6及びこれら樹脂注入口6,6につながる空隙部内にある樹脂材料に照射されないようにするためのものである。
【0041】
ところで、このモールド1において、リコート成形部を構成する円錐形状の部分は、このモールド1にセットされる各光ファイバの被覆が除去されてクラッド部が露出された部分よりも長くなっている。また、キャビティ部の両端側のファイバガイド部は、各光ファイバの被覆の外径と略同一の内径となっており、このモールド1にセットされる各光ファイバを固定する。
【0042】
このモールド1は、図3に示すように、従来のモールド101と同様に、紫外線発光部109の上側に設置される。このとき、下側の成形部材3が紫外線発光部109に対して固定される。このモールド1に対しては、紫外線発光部109により、下方側より、紫外線が照射されることとなる。この紫外線発光部109は、基台110上に設置される。
【0043】
そして、基台110上には、モールド1の両側に位置して、一対のクランプ106,107が設置されている。これらクランプ106,107は、モールド1に各光ファイバ201a,201bをセットしたときに、このモールド1の両側に引き出された状態となる各光ファイバ201a,201bを保持するためのものである。これらクランプ106,107は、モールド1のファイバガイド部と同じ高さにする必要がある。
【0044】
しかし、各光ファイバ201a,201bの位置は、モールド1においてリコート成形部と一体化されたファイバガイド部によって決定されるので、クランプ106,107の位置精度によって各光ファイバ201a,201bのキャビティ部内における位置が影響されることはない。すなわち、この光ファイバ再被覆装置においては、モールド1のファイバガイド部が、リコート成形部と同じモールド1上に一体的に形成されているため、例えモールド1を取り替えたとしても、設置される各光ファイバ201a,201bがリコート成形部に対して偏心することはない。このモールド1においては、各光ファイバ201a,201bの被覆のある部分をファイバガイド部に嵌め込むことにより、これら光ファイバ201a,201bの位置がリコート成形部の中心に固定されるので、リコートの偏肉やリコート不完全の問題を防ぐことができる。
【0045】
この光ファイバの再被覆形成装置によってリコートを行うには、まず、図1に示すように、モールド1のキャビティ部を開いた状態で、下側の成形部材3の溝4内に各光ファイバをセットする。このとき、各光ファイバの被覆が除去された部分がリコート成形部を構成する溝4の略中央に位置するようにする。そして、各光ファイバの被覆のある部分を溝4の両端側のファイバガイド部となる部分に嵌め込む。
【0046】
そして、上側の成形部材2を下側の成形部材3に対して突き合わせ、キャビティ部を締め、このキャビティ部内に各光ファイバを収納する。このとき、各光ファイバの両端側部分は、モールド1の両側にキャビティ部より引き出された状態となる。また、これら光ファイバは、キャビティ部の両端側の部分をファイバガイド部によって位置決めされ、リコート成形部に対して偏心のない状態となされる。なお、モールド1の両側に引き出された各光ファイバ201a,201bの両端側部分は、一対のクランプ106,107によって保持される。
【0047】
次に、モールド1の外方側から、一対の樹脂注入口6,6を介して、キャビティ部内に液体状の樹脂材料を注入する。各樹脂注入口6,6から注入された樹脂材料は、凹部7,7からなる空隙部を経て、キャビティ部内に至る。このように注入される樹脂材料は、キャビティ部の内面と、被覆が除去されて露出している各光ファイバのクラッド部と、これら光ファイバの被覆が除去された部分の両側の被覆の断面部とに囲まれた空間に充填されてゆく。
【0048】
そして、キャビティ部内に樹脂材料が充填されたならば、下側の成形部材3を透して、紫外線発光部109により、キャビティ部内の樹脂材料に紫外線を照射し、この樹脂材料の硬化を始める。キャビティ部内の樹脂材料が硬化された後も、樹脂注入口6,6内及び凹部7,7からなる空隙部内には、液体状の樹脂材料が残る。これら液体状のまま残った樹脂材料は、遮蔽部8によって紫外線が遮断されるので、硬化することはない。
【0049】
図2は、完成されたリコート部を示す側面図である。
【0050】
このように、キャビティ部内の樹脂材料が硬化され、モールド1を開いて各光ファイバ201a,201bをモールド1からはずすことにより、図2に示すように、各光ファイバ201a,201bにリコート部9が成形される。このリコート部9は、両端側において、各光ファイバ201a,201bの被覆部202a,202bを薄く覆ってオーバラップ部10,10を形成し、中央部分において、各光ファイバ201a,201bのクラッド部203a,203bを覆っている。なお、これらクラッド部203a,203bは、互いの先端部である融着接続部204において、互いに融着接続されている。
【0051】
オーバラップ部10,10の長さは、キャビティ部に注入する樹脂材料の量をモールド1の外部から制御することによって、所望の長さとすることができる。
【0052】
なお、リコート後には、リコート部9の表面に、樹脂注入口6,6内及び凹部7,7からなる空隙部内からの液状の樹脂材料が若干付着することがあるので、このリコート部9の表面をアルコールを含浸させた綿棒によって拭き取ることにより、リコートが完成する。
【0053】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、一端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の大きい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有するとともに他端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の小さい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有しかつ各光ファイバの被覆が除去された部分の長さよりも長い略円錐状のキャビティ部を有する雌型を用い、前記キャビティ部内に前記各光ファイバの被覆が除去された部分を設置した状態で該キャビティ部内に樹脂材料を充填し硬化させることにより前記光ファイバの被覆が除去された部分及びこの部分の両側の各被覆部の一部に亘り該各被覆部の外径よりも大径となされた略円錐形状の前記樹脂材料からなる再被覆を成形するので、異径の光ファイバ同士を融着接続した場合でも、この融着接続部を覆う円錐形状(テーパ状)のリコート部を形成することができる。このリコート部は、曲げられても、局所的に歪みを発生させることがなく、割れを生ずることがない。また、このリコート部は、外観上も優れている。
【0054】
請求項2記載の発明によれば、一端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の大きい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有するとともに他端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の小さい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有しかつ各光ファイバの被覆が除去された部分の長さよりも長い略円錐状のキャビティ部を有する雌型を備え、前記キャビティ部内に前記各光ファイバの被覆が除去された部分が設置された状態で該キャビティ部内に樹脂材料が充填され硬化されることにより前記光ファイバの被覆が除去された部分及びこの部分の両側の各被覆部の一部に亘り該各被覆部の外径よりも大径となされた略円錐形状の前記樹脂材料からなる再被覆を成形するので、異径の光ファイバ同士を融着接続した場合でも、この融着接続部を覆う円錐形状(テーパ状)のリコート部を形成することができる。このリコート部は、曲げられても、局所的に歪みを発生させることがなく、割れを生ずる可能性が十分低い。また、このリコート部は、外観上も優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバの再被覆形成装置の要部の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る光ファイバの再被覆形成装置により完成されたリコート部を示す側面図である。
【図3】光ファイバの再被覆形成装置の全体の構成を示す斜視図である。
【図4】従来の光ファイバの再被覆形成装置のモールドの構成を示す斜視図である。
【図5】従来の光ファイバの再被覆形成装置のモールドの構成を示す平面図である。
【図6】従来の光ファイバの再被覆形成装置によって形成されたリコート部の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 モールド
2,3 成形部材
4 溝
5a,5b ファイバ被覆把持部
6 樹脂注入口
7 凹部
8 遮蔽部
109 紫外線発光部
201a,201b 光ファイバ
202a,202b 被覆
203a,203b クラッド部
204 融着接続部
【発明の属する技術分野】
本発明は、異径の光ファイバ同士によって作製した光ファイバカプラを再被覆するための光ファイバの再被覆形成方法及び光ファイバの再被覆形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報輸送の大量化、高速化に伴い、通信経路として、光ファイバが多用されている。光ファイバによる情報通信には、光ファイバグレーティングや光合成器、光分波器など、光ファイバ型光部品は必要不可欠となる。
【0003】
一般に、光ファイバは、石英ガラス系のクラッド部(光ファイバ裸線)が合成樹脂等の有機材料により被覆されて構成されている。この被覆は、ガラス製のクラッド部に外部環境の塵挨や異物等が衝突して傷が生じ光ファイバの破断強度が低下することを防ぐためのものである。
【0004】
したがって、光ファイバグレーティングや光合成器、光分波器などの光ファイバ型光部品の製造においては、光ファイバの任意の中間部における被覆を剥離することが必要になる。
【0005】
そして、光ファイバのクラッド部が光ファイバ型光部品として製造された後には、露出したクラッド部に対する塵挨等の付着や、このクラッド部の浸食、機械強度の低下を防ぐために、露出したクラッド部を再び樹脂材料で覆う再被覆(以下、リコートという。)を行う必要がある。
【0006】
クラッド部をリコートする樹脂材料としては、紫外線硬化型樹脂が用いられている。そして、このリコートを行う従来の技術としては、「ダイス方式」や、特許文献1乃至特許文献5等に開示された「モールド方式」がある。これらのうち、「モールド方式」が主流となっている。
【0007】
「モールド方式」のリコートを行う光ファイバ再被覆装置(リコータ)は、図3に示すように、雌型(以下、モールドという。)101を有している。このモールド101は、図4に示すように、石英ガラスからなる上下一対の成形部材102,103より構成されている。これら成形部材102,103は、互いに突き合わされる面の中央部に、リコート用の溝104,104を有している。これら溝104,104は、各成形部材102,103が互いに突き合わされたときに、円柱状の空隙部であるキャビティ部を構成する。このキャビティ部は、光ファイバ201の被覆部の外径と略同一の内径となっている。
【0008】
このモールド101の一方の成形部材102の他方の成形部材103に突き合わされる面は、図5に示すように、溝104以外の部分が、クローム(Cr)膜105でコーティングされている。
【0009】
このリコータによってリコートを行うには、まず、図4に示すように、モールド101のいずれか一方の成形部材の溝104内に光ファイバ201をセットする。このとき、光ファイバ201の被覆が除去された部分が溝104の略中央に位置するようにする。そして、各成形部材102,103を互いに突き合わせ、キャビティ部を閉じ、このキャビティ部内に光ファイバ201を収納する。このとき、光ファイバ201の両端側部分は、モールド101の両側にキャビティ部より引き出された状態となる。
【0010】
このようにモールド101の両側に引き出された光ファイバ201の両端側部分は、図3に示すように、モールド101の両側に設置された一対のクランプ106,107によって保持される。
【0011】
モールド101には、図4に示すように、キャビティ部の略中央部に、樹脂注入口108を有している。この樹脂注入口108は、モールド101の外方側から、キャビティ部内に液体状の樹脂材料を注入するための孔である。
【0012】
そして、キャビティ部内に光ファイバ201が収納された状態において、樹脂注入口108を介して、キャビティ部内に液体状の樹脂材料を注入する。このとき、この樹脂材料は、キャビティ部の内面と、被覆が除去されて露出している光ファイバ201のクラッド部と、この光ファイバ201の被覆が除去された部分の両側の被覆の断面部とに囲まれた空間に充填される。次に、モールド101の外方側より、紫外線を照射し、キャビティ部内の液体状の樹脂材料を硬化させる。
【0013】
このように、キャビティ部内の樹脂材料が硬化されることにより、光ファイバ201にリコート部が成形される。なお、リコート後には、リコート部の表面に、樹脂注入口108内や上下の成形部材102,103間の隙間から液状の樹脂材料が若干付着することがあるので、このリコート部の表面をアルコールを含浸させた綿棒によって拭き取ることにより、リコートが完成する。
【0014】
【特許文献1】
特開2001−249248公報
【0015】
【特許文献2】
特開2002−72001公報
【0016】
【特許文献3】
特開2002−72000公報
【0017】
【特許文献4】
特開平8−54530号公報
【0018】
【特許文献5】
特開平7−311316号公報
【0019】
【特許文献6】
特開平4−275507号公報
【0020】
【特許文献7】
特開2000−258651公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年になって、光ファイバを用いる装置の小型化のため、各光部品の小型化が進められている。そのため、クラッド径が80μm、被覆径が170μmの光ファイバをリードファイバとして有する光学部品が提案されている。リードファイバのクラッド径を80μmとすることにより、このリードファイバの曲げ半径を小さくしても、機械的信頼性を確保できるという利点がある。
【0022】
そのため、クラッド径が80μmの光ファイバと、広く用いられているクラッド径が125μm、被覆径が250μmの光ファイバとを融着接続する必要が生じ、このような異径の光ファイバ同士を融着接続する必要性が生じている。また、装置の小型化のためには、これら光ファイバの融着接続部において曲げる必要も生じている。
【0023】
図6に示すように、前述した従来のリコータによって形成されるリコート部109は、異径の光ファイバ201a,201b同士を融着接続した場合であっても、光ファイバ201a,201bの長手方向について直径が均一な円筒形状に形成される。そのため、小径の光ファイバ201b側のリコート部の端部110においては、リコート部109の外周部と光ファイバ201bの被覆部の表面部との間に、大きな段差部ができてしまう。
【0024】
リコート部109の端部にこのような大きな段差部が存在すると、光ファイバ201bを小さな曲げ半径で曲げようとしたときに、その段差部において大きな歪みが発生してしまい、この部分が割れてしまう虞れがある。さらに、リコート部の端部にこのような大きな段差部があることは、外観上も好ましくない。
【0025】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、異径の光ファイバ同士が被覆を除去されて融着された部分を樹脂材料で覆った場合において、被覆を除去された部分の両端部分での樹脂材料の割れの発生を抑制することができる光ファイバ再被覆方法及び装置を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、異径の光ファイバ同士が被覆を除去されて融着された部分を樹脂材料で覆うことを行う光ファイバ再被覆方法であって、一端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の大きい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有するとともに他端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の小さい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有しかつ各光ファイバの被覆が除去された部分の長さよりも長い略円錐状のキャビティ部を有する雌型を用い、前記キャビティ部内に前記各光ファイバの被覆が除去された部分を設置した状態で該キャビティ部内に樹脂材料を充填し硬化させることにより前記光ファイバの被覆が除去された部分及びこの部分の両側の各被覆部の一部に亘り該各被覆部の外径よりも大径となされた略円錐形状の前記樹脂材料からなる再被覆を成形することを要旨とする。
【0027】
請求項2記載の発明は、上記課題を解決するため、異径の光ファイバ同士が被覆を除去されて融着された部分を樹脂材料で覆うことを行う光ファイバ再被覆装置であって、一端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の大きい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有するとともに他端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の小さい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有しかつ各光ファイバの被覆が除去された部分の長さよりも長い略円錐状のキャビティ部を有する雌型を備え、前記キャビティ部内に前記各光ファイバの被覆が除去された部分が設置された状態で該キャビティ部内に樹脂材料が充填され硬化されることにより前記光ファイバの被覆が除去された部分及びこの部分の両側の各被覆部の一部に亘り該各被覆部の外径よりも大径となされた略円錐形状の前記樹脂材料からなる再被覆を成形することを要旨とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る光ファイバの再被覆形成装置の構成を示す斜視図である。
【0030】
なお、本発明に係る光ファイバの再被覆形成装置は、異径の光ファイバ同士が被覆を除去されて先端部同士を融着接続された部分を樹脂材料で再被覆する装置である。そして、本発明に係る光ファイバの再被覆形成方法は、この光ファイバの再被覆形成装置を使用することによって実施される方法である。
【0031】
また、以下に説明する実施の形態に適用される異径の光ファイバは、それぞれ軸心からクラッド部と、このクラッド部の外周側に被覆された被覆とが同心状に形成されている。この実施の形態においては、大径の光ファイバとして、クラッド径が125μm、被覆径が250μmの光ファイバ、小径の光ファイバとして、クラッド径が80μm、被覆径が170μmの光ファイバを想定している。
【0032】
また、光ファイバの被覆は、例えば、特願平8−158643号(特開平10−10379号公報)に開示されているように、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリブタジェンアクリレート系、シリコーンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系などの紫外線硬化型樹脂により形成されている。
【0033】
この光ファイバの再被覆形成装置は、図1に示すように、モールド1を有している。
【0034】
モールド1は、図1に示すように、石英ガラスの如き透明材料からなる上下一対の成形部材2,3より構成されている。これら成形部材2,3は、互いに突き合わされる面の中央部に、リコート(再被覆)用の溝4,4を有している。これら溝4,4は、各成形部材2,3が互いに突き合わされたときに、略円錐状の空隙部であるキャビティ部を構成する。このとき、モールド1の各成形部材2,3は、キャビティ部を上下から挟み込んだ状態となる。
【0035】
このモールド1において、下側の成形部材3は固定されており、上側の成形部材2は、下側の成形部材3の後縁部分を中心にして、回動可能に支持されている。すなわち、上側の成形部材2は、下側の成形部材3に対して、この下側の成形部材3に突き合わされてキャビティ部を締める状態と、この下側の成形部材3から離間されてキャビティ部を開く状態との間に亘って回動可能となっている。
【0036】
このキャビティ部は、リコート成形部となる中央部分が、一端側より他端側にかけて、テーパになるように緩やかに内径が変化してゆく形状を有している。そして、モールド1の両端部において各成形部材2,3の各溝4,4の両端側部分が形成するファイバ被覆把持部5a,5bは、各光ファイバの被覆径よりも少し太めの内径となされている。これらファイバ被覆把持部5a,5bは、各光ファイバを固定するファイバガイド部となる。この実施の形態においては、ファイバ被覆把持部5a,5bの内径は、それぞれ、260μm,180μmとなされている。なお、これらファイバ被覆把持部5a,5bの内径は、各光ファイバの被覆に対して大きな段差が生じない程度なら、さらに太くてもよく、また、各光ファイバの被覆径に対応して設定される。
【0037】
そして、モールド1の上側の成形部材2には、キャビティ部の両側部分に位置して、一対の樹脂注入口6,6が設けられている。これら樹脂注入口6,6は、モールド1の外方側から、キャビティ部内に液体状の樹脂材料を注入するための孔である。
【0038】
一対の樹脂注入口6,6は、締めた状態におけるモールド1の上方側より、キャビティ部内に樹脂材料を注入できるようになっている。これら樹脂注入口6,6は、モールド1を締めた状態において、キャビティ部よりも上方側に位置するように形成されている。
【0039】
各樹脂注入口6,6とキャビティ部との間には、上側の成形部材2に設けられた凹部7,7により、モールド1を締めた状態において空隙部が形成される。
【0040】
そして、モールド1の上側の成形部材2の下側の成形部材3に突き合わされる面には、溝4以外の部分に、クローム(Cr)膜からなる遮蔽部8が設けられている。この遮蔽部8は、上側の成形部材2に対してクロームがコーティングされることにより形成されている。この遮蔽部8は、キャビティ部内の樹脂材料を硬化させるための紫外線が各樹脂注入口6,6及びこれら樹脂注入口6,6につながる空隙部内にある樹脂材料に照射されないようにするためのものである。
【0041】
ところで、このモールド1において、リコート成形部を構成する円錐形状の部分は、このモールド1にセットされる各光ファイバの被覆が除去されてクラッド部が露出された部分よりも長くなっている。また、キャビティ部の両端側のファイバガイド部は、各光ファイバの被覆の外径と略同一の内径となっており、このモールド1にセットされる各光ファイバを固定する。
【0042】
このモールド1は、図3に示すように、従来のモールド101と同様に、紫外線発光部109の上側に設置される。このとき、下側の成形部材3が紫外線発光部109に対して固定される。このモールド1に対しては、紫外線発光部109により、下方側より、紫外線が照射されることとなる。この紫外線発光部109は、基台110上に設置される。
【0043】
そして、基台110上には、モールド1の両側に位置して、一対のクランプ106,107が設置されている。これらクランプ106,107は、モールド1に各光ファイバ201a,201bをセットしたときに、このモールド1の両側に引き出された状態となる各光ファイバ201a,201bを保持するためのものである。これらクランプ106,107は、モールド1のファイバガイド部と同じ高さにする必要がある。
【0044】
しかし、各光ファイバ201a,201bの位置は、モールド1においてリコート成形部と一体化されたファイバガイド部によって決定されるので、クランプ106,107の位置精度によって各光ファイバ201a,201bのキャビティ部内における位置が影響されることはない。すなわち、この光ファイバ再被覆装置においては、モールド1のファイバガイド部が、リコート成形部と同じモールド1上に一体的に形成されているため、例えモールド1を取り替えたとしても、設置される各光ファイバ201a,201bがリコート成形部に対して偏心することはない。このモールド1においては、各光ファイバ201a,201bの被覆のある部分をファイバガイド部に嵌め込むことにより、これら光ファイバ201a,201bの位置がリコート成形部の中心に固定されるので、リコートの偏肉やリコート不完全の問題を防ぐことができる。
【0045】
この光ファイバの再被覆形成装置によってリコートを行うには、まず、図1に示すように、モールド1のキャビティ部を開いた状態で、下側の成形部材3の溝4内に各光ファイバをセットする。このとき、各光ファイバの被覆が除去された部分がリコート成形部を構成する溝4の略中央に位置するようにする。そして、各光ファイバの被覆のある部分を溝4の両端側のファイバガイド部となる部分に嵌め込む。
【0046】
そして、上側の成形部材2を下側の成形部材3に対して突き合わせ、キャビティ部を締め、このキャビティ部内に各光ファイバを収納する。このとき、各光ファイバの両端側部分は、モールド1の両側にキャビティ部より引き出された状態となる。また、これら光ファイバは、キャビティ部の両端側の部分をファイバガイド部によって位置決めされ、リコート成形部に対して偏心のない状態となされる。なお、モールド1の両側に引き出された各光ファイバ201a,201bの両端側部分は、一対のクランプ106,107によって保持される。
【0047】
次に、モールド1の外方側から、一対の樹脂注入口6,6を介して、キャビティ部内に液体状の樹脂材料を注入する。各樹脂注入口6,6から注入された樹脂材料は、凹部7,7からなる空隙部を経て、キャビティ部内に至る。このように注入される樹脂材料は、キャビティ部の内面と、被覆が除去されて露出している各光ファイバのクラッド部と、これら光ファイバの被覆が除去された部分の両側の被覆の断面部とに囲まれた空間に充填されてゆく。
【0048】
そして、キャビティ部内に樹脂材料が充填されたならば、下側の成形部材3を透して、紫外線発光部109により、キャビティ部内の樹脂材料に紫外線を照射し、この樹脂材料の硬化を始める。キャビティ部内の樹脂材料が硬化された後も、樹脂注入口6,6内及び凹部7,7からなる空隙部内には、液体状の樹脂材料が残る。これら液体状のまま残った樹脂材料は、遮蔽部8によって紫外線が遮断されるので、硬化することはない。
【0049】
図2は、完成されたリコート部を示す側面図である。
【0050】
このように、キャビティ部内の樹脂材料が硬化され、モールド1を開いて各光ファイバ201a,201bをモールド1からはずすことにより、図2に示すように、各光ファイバ201a,201bにリコート部9が成形される。このリコート部9は、両端側において、各光ファイバ201a,201bの被覆部202a,202bを薄く覆ってオーバラップ部10,10を形成し、中央部分において、各光ファイバ201a,201bのクラッド部203a,203bを覆っている。なお、これらクラッド部203a,203bは、互いの先端部である融着接続部204において、互いに融着接続されている。
【0051】
オーバラップ部10,10の長さは、キャビティ部に注入する樹脂材料の量をモールド1の外部から制御することによって、所望の長さとすることができる。
【0052】
なお、リコート後には、リコート部9の表面に、樹脂注入口6,6内及び凹部7,7からなる空隙部内からの液状の樹脂材料が若干付着することがあるので、このリコート部9の表面をアルコールを含浸させた綿棒によって拭き取ることにより、リコートが完成する。
【0053】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、一端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の大きい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有するとともに他端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の小さい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有しかつ各光ファイバの被覆が除去された部分の長さよりも長い略円錐状のキャビティ部を有する雌型を用い、前記キャビティ部内に前記各光ファイバの被覆が除去された部分を設置した状態で該キャビティ部内に樹脂材料を充填し硬化させることにより前記光ファイバの被覆が除去された部分及びこの部分の両側の各被覆部の一部に亘り該各被覆部の外径よりも大径となされた略円錐形状の前記樹脂材料からなる再被覆を成形するので、異径の光ファイバ同士を融着接続した場合でも、この融着接続部を覆う円錐形状(テーパ状)のリコート部を形成することができる。このリコート部は、曲げられても、局所的に歪みを発生させることがなく、割れを生ずることがない。また、このリコート部は、外観上も優れている。
【0054】
請求項2記載の発明によれば、一端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の大きい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有するとともに他端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の小さい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有しかつ各光ファイバの被覆が除去された部分の長さよりも長い略円錐状のキャビティ部を有する雌型を備え、前記キャビティ部内に前記各光ファイバの被覆が除去された部分が設置された状態で該キャビティ部内に樹脂材料が充填され硬化されることにより前記光ファイバの被覆が除去された部分及びこの部分の両側の各被覆部の一部に亘り該各被覆部の外径よりも大径となされた略円錐形状の前記樹脂材料からなる再被覆を成形するので、異径の光ファイバ同士を融着接続した場合でも、この融着接続部を覆う円錐形状(テーパ状)のリコート部を形成することができる。このリコート部は、曲げられても、局所的に歪みを発生させることがなく、割れを生ずる可能性が十分低い。また、このリコート部は、外観上も優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバの再被覆形成装置の要部の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る光ファイバの再被覆形成装置により完成されたリコート部を示す側面図である。
【図3】光ファイバの再被覆形成装置の全体の構成を示す斜視図である。
【図4】従来の光ファイバの再被覆形成装置のモールドの構成を示す斜視図である。
【図5】従来の光ファイバの再被覆形成装置のモールドの構成を示す平面図である。
【図6】従来の光ファイバの再被覆形成装置によって形成されたリコート部の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 モールド
2,3 成形部材
4 溝
5a,5b ファイバ被覆把持部
6 樹脂注入口
7 凹部
8 遮蔽部
109 紫外線発光部
201a,201b 光ファイバ
202a,202b 被覆
203a,203b クラッド部
204 融着接続部
Claims (2)
- 異径の光ファイバ同士が被覆を除去されて融着された部分を樹脂材料で覆うことを行う光ファイバの再被覆形成方法であって、
一端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の大きい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有するとともに、他端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の小さい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有し、かつ、各光ファイバの被覆が除去された部分の長さよりも長い略円錐状のキャビティ部を有する雌型を用い、
前記キャビティ部内に前記各光ファイバの被覆が除去された部分を設置した状態で該キャビティ部内に樹脂材料を充填し硬化させることにより、前記光ファイバの被覆が除去された部分及びこの部分の両側の各被覆部の一部に亘り該各被覆部の外径よりも大径となされた略円錐形状の前記樹脂材料からなる再被覆を成形する
ことを特徴とする光ファイバの再被覆形成方法。 - 異径の光ファイバ同士が被覆を除去されて融着された部分を樹脂材料で覆うことを行う光ファイバの再被覆形成装置であって、
一端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の大きい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有するとともに、他端側が前記各光ファイバのうちの被覆径の小さい側の被覆部の外径よりも大きな内径を有し、かつ、各光ファイバの被覆が除去された部分の長さよりも長い略円錐状のキャビティ部を有する雌型を備え、
前記キャビティ部内に前記各光ファイバの被覆が除去された部分が設置された状態で該キャビティ部内に樹脂材料が充填され硬化されることにより、前記光ファイバの被覆が除去された部分及びこの部分の両側の各被覆部の一部に亘り該各被覆部の外径よりも大径となされた略円錐形状の前記樹脂材料からなる再被覆を成形する
ことを特徴とする光ファイバの再被覆形成装置。
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-
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