JP2005009885A - バイオセンサー装置用セル及びバイオセンサー装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結晶板の両面に電極が設けられた圧電素子を備えるバイオセンサー装置用セルであって、前記電極の周囲を撥水性としたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生化学、医療及び食品分野における化学反応の追跡や状態分析等に使用されるバイオセンサー装置用セル及びバイオセンサー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、バイオセンサー装置は、試料溶液を保持するためのセルを備えている。
前記セルは、一般的には、円筒形状をしており、その底面に、結晶板の両面に電極を備えた水晶振動子や表面弾性波素子等の圧電素子が設けられている。そして、前記電極に対して、測定対象物を固定化するとともに振動を加えることにより生化学反応を生じさせ、結晶板の周波数変動等を測定するようにしている。
前記電極に対して測定対象物である蛋白等を固定化する方法としては、次の2通りの方法がある。即ち、測定対象物をNaClやKCl等を含有するバッファー液(生化学用緩衝液)により調製し、電極の一方の面が試料溶液に浸されるようにして固定化する方法と、測定対象物を純水等により調製し、電極表面に滴下するとともに直接固定化する方法とがある。
【0003】
上記したいずれの固定化方法においても、前回固定化された測定対象物等の不純物が付着したままだと、次の測定の際に測定精度に影響を与えることになるので、前記電極表面を洗浄液により洗浄するようにしている。この洗浄の際に使用される洗浄液としては、ピランハ溶液(過酸化水素水と硫酸とを1対3の割合で調製したもの)等の強酸性の水溶液が使用されている。前記洗浄液は、強酸性であるために、セルの内表面を溶かすことがないように、電極上にのみ数μl滴下して使用される。
しかしながら、前記圧電素子の電極の周囲、即ち、結晶板の表面は、一般的には、石英等の親水性の材料で構成されていたために、前記洗浄液が電極からこぼれてしまい十分な洗浄を行うことができなかった。
【0004】
また、測定対象物を電極表面に直接固定化する場合において、試料溶液が電極からこぼれてしまうと、測定対象物の固定化量を一定にすることが困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、電極表面の洗浄性の向上と、測定対象物を直接電極に固定化する場合において、その固定化量の精度の向上とを図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討の結果、圧電素子の電極の周囲を撥水性とすることにより、上記課題を解決すること見出した。
即ち、本発明のバイオセンサー装置用セルは、請求項1に記載の通り、結晶板の両面に電極が設けられた圧電素子を備えるバイオセンサー装置用セルであって、前記電極の周囲を撥水性としたことを特徴とする。
また、本発明のバイオセンサー装置は、請求項1に記載のバイオセンサー装置用セルを備えたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のバイオセンサー装置用セルは、両面に電極が設けられた圧電素子を備え、圧電素子の片面を試料溶液に浸して振動を加えることができるような構造のものであれば、セルの構造自体に特に制限するものではない。セルの構造として、具体的な例を挙げると、圧電素子を試料が保持可能なカップの底面に配置したものや、2枚の板材間に圧電素子を挟持して、一方の板材に圧電素子の電極の対応する位置に試料を注入可能な孔を設けたもの等が挙げられる。
前記圧電素子としては、例えば、水晶振動子、APM(Acoustic Plate Mode Sensor)、FPW(Flexural Plate−Wave Sensor)、SAW(Surface Acoustic−Wave Sensor)等を使用することができる。
本発明では、前記電極の周囲を撥水性とすることにより、電極上に滴下された洗浄液や試料溶液を、電極上からこぼれにくくするものである。
前記電極の周囲を撥水性とするには、例えば、結晶板の表面にシロキサン等の撥水性の材料を塗布乃至蒸着することにより可能となる。尚、電極の周囲を撥水性とすることに関して、上記塗布乃至蒸着以外にも、結晶板を撥水性の材料で構成する等特に限定するものではない。
【0008】
【実施例】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、バイオセンサー装置用セルに使用される圧電素子の製造方法の一例を示すもので、図示されるように直径8.9mmの石英板1を、容器2の底面に配置し、裏側にシリコーン系接着剤3(信越シリコーン社製の液状シリコーンゴム接着剤 商品名:KE4805)が塗布された蓋2aをして密封する。
上記の状態で、1日程度放置して、シリコーン系接着剤3が硬化する際に発するシロキサンの蒸気により石英板1の表面にシロキサン4を付着させる。尚、シロキサン4の石英板1への付着させることについては、石英板1の表面を撥水性とするようにできるものであれば、石英板1の表面全部を被覆するように付着させること、或いは、分散して付着させることのいずれであってもよい。
次に、前記シロキサン4が付着した石英板1を容器2から取り出し、電極形状に対応させたマスク(図示せず)を用いて、真空蒸着法によりAu電極を石英板1上に成膜し、図2に示される圧電素子5を得る。
【0009】
得られた圧電素子5は、例えば、図3に一例として示すようなバイオセンサー装置用セル10に備えられる。
図3に示すものでは、圧電素子5は、裏面側のAu電極6を収容可能な程度に窪みが設けられた第1のアクリル樹脂板7と、表面側のAu電極6の外径よりも大きな円形状の孔(直径4mm)が設けられている第2のアクリル樹脂板8とにより、挟持固定されている。尚、表面側のAu電極6の外周と、第2のアクリル樹脂板8との間には、シール材9が設けられている。
【0010】
上記のようにして得られたセル10に備えられた圧電素子5のAu電極6の周囲には、撥水性であるシロキサン4が付着しているために、Au電極6上に洗浄液を滴下しても、Au電極6から石英板1にこぼれ落ちることがない。また、蛋白等の試料を純水により調製してAu電極6に直接固定化する場合において、試料溶液がAu電極6から石英板1にこぼれ落ちることがなく、所望量を高い精度で固定化することができる。
【0011】
尚、上記図2に示される電極は、外部からの電流を導くリード部6lも含まれるものであるが、本実施例では、このリード部6lの周囲も撥水性となっている。
【0012】
また、上記実施例では、シリコーン接着剤の硬化時に発生するシロキサンを利用して石英板を撥水性とすることについて説明したが、石英板を撥水性の溶剤に浸漬し、乾燥させるようにして撥水性とすることもできる。
前記撥水性の溶剤としては、例えば、撥水処理用オイル(信越シリコーン社製商品名:KF99)、フッ素シリコーンコーティング剤(同社製 商品名:KP801M)等やこれらに準ずるもの、或いは、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)をアルコール等の溶剤に溶解した溶液等を使用することができる。
【0013】
また、上記の説明において、電極材料としてAuを使用したが、Ag、Pt、Ti、Cu、Cr、Al等の金属を使用することもできる。尚、電極の膜厚について特に制限するものではないが、一般的には、100〜300nm程度となる。
また、Au電極6の形成の際に真空蒸着法を使用しているが、電極形成方法については特に限定するものではなく、スパッタリング法等を使用してもよい。また、電極の形成時に、本実施例では、シロキサンの上に直接Au電極6を成膜するようにしているが、電極と結晶板との密着性を向上させるために、Cr又はTiの薄膜(10nm未満)を介して電極を形成するようにしてもよい。
【0014】
次に、本発明のバイオセンサー装置用セルの効果を確かめるべく、容積500μlの円筒の底部に水晶振動子を備えたセルにおいて、水晶振動子のAu電極周囲にシロキサンを付着させて撥水性としたセルを実施例として、シロキサンを付着させないセルを比較例のセルとして以下の実験を行った。
【0015】
まず、実施例及び比較例のセルをそれぞれ4個ずつ用意して、ピランハ液にて洗浄を行った。次に、それぞれのAu電極上に、濃度1mg/mlのProtein Gを2ml載置し自然乾燥させた。その後、純水によりセルを洗浄して、PBSバッファー液400μlをセル内に注入した。更に、セルにPBSバッファー液により、1/4に濃度を希釈したブロックエースを100μl注入し、Au電極表面を蛋白により被覆した。
そして、セルに注入された全ての溶液を排出してから、セル内にPBSバッファー液500μlを注入し、更に、IgG(Protein Gのみと結合する蛋白)0.24mg/mlを2μl滴下し、水晶振動子に振動を加えて、1時間経過した後の周波数変化(Hz)を以下の表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
上記表1の実施例及び比較例の周波数変化から、それぞれの周波数変化の平均値と再現性(cv(%)=標準偏差/平均×100)を算出したところ、次の通りになった。
実施例:平均=1155Hz cv(%)=3%
比較例:平均= 504Hz cv(%)=35%
上記結果から、実施例のセルは、比較例のセルに比べて、Au電極への固定化量が大きく、セル間のばらつき(cv(%))が少ないことが分かった。
この結果の相違は、セルのAu電極表面に蛋白を固定化する際に、実施例のセルでは、Protein Gが石英板表面にこぼれることなくAu電極表面に均一に広がったことに対して、比較例のセルでは、石英板表面にProtein Gがこぼれ、Au電極表面に均一に広がらなかったことに起因するものと考えられる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、圧電素子の電極表面から洗浄液をこぼれにくくするようにしたことにより、電極表面の洗浄性を高めることができる。また、圧電素子の電極表面から試料溶液をこぼれにくくすることにより、測定対象物を電極表面に直接固定化する場合において、その固定化量の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるバイオセンサー装置用セルの圧電素子の製造方法を説明するための説明図
【図2】同方法により製造された圧電素子の(a)平面図(b)断面図
【図3】同実施例であるバイオセンサー装置用セルの断面図
【符号の説明】
1 石英板
2 蓋付容器
3 シリコーン系接着剤
4 シロキサン
5 圧電素子
6 (Au)電極
6l 電極のリード部
7 第1のアクリル樹脂板
8 第2のアクリル樹脂板
9 シール材
10 セル
Claims (2)
- 結晶板の両面に電極が設けられた圧電素子を備えるバイオセンサー装置用セルであって、前記電極の周囲を撥水性としたことを特徴とするバイオセンサー装置用セル。
- 請求項1に記載のバイオセンサー装置用セルを備えたことを特徴とするバイオセンサー装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003171070A JP2005009885A (ja) | 2003-06-16 | 2003-06-16 | バイオセンサー装置用セル及びバイオセンサー装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003171070A JP2005009885A (ja) | 2003-06-16 | 2003-06-16 | バイオセンサー装置用セル及びバイオセンサー装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005009885A true JP2005009885A (ja) | 2005-01-13 |
Family
ID=34095682
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003171070A Pending JP2005009885A (ja) | 2003-06-16 | 2003-06-16 | バイオセンサー装置用セル及びバイオセンサー装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005009885A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009188239A (ja) * | 2008-02-07 | 2009-08-20 | Toshiba Corp | パターン評価方法、プログラムおよび半導体装置の製造方法 |
JP2021179358A (ja) * | 2020-05-13 | 2021-11-18 | 東芝テック株式会社 | Qcm装置及び液滴分注装置 |
-
2003
- 2003-06-16 JP JP2003171070A patent/JP2005009885A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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