JP2005006597A - 改質ココダスト及びこれを使用した微生物担体 - Google Patents
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Abstract
【課題】塩類の含有量が低く植物の生育を阻害せず、微生物によってココダスト中の窒素が消費されず、植物の生育に適したpHを有する改質ココダスト及びその製造方法を提供する。また、本発明の改質ココダストに植物に有用な微生物を付着させた微生物担体を提供する。
【解決手段】改質ココダストは、電気伝導度が1.0mS/cm以下であり、生菌数が1.0×104/g以下であり、pH6.0〜8.0である。
改質ココダストは、電気伝導度1.0mS/cm以下のココダストを、酸でココダストのpHを1.5〜3.5にし、次に、アルカリでココダストのpHを6.0〜8.0にすることによって製造される。
改質ココダストは、電気伝導度が1.0mS/cm以下のココダストを、加熱殺菌することによって製造される。
【選択図】 なし
【解決手段】改質ココダストは、電気伝導度が1.0mS/cm以下であり、生菌数が1.0×104/g以下であり、pH6.0〜8.0である。
改質ココダストは、電気伝導度1.0mS/cm以下のココダストを、酸でココダストのpHを1.5〜3.5にし、次に、アルカリでココダストのpHを6.0〜8.0にすることによって製造される。
改質ココダストは、電気伝導度が1.0mS/cm以下のココダストを、加熱殺菌することによって製造される。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農業や園芸用の培土や土壌改良剤に使用できる改質ココダスト及びこれを使用した微生物担体に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、農園芸用や造園土木用の作物、草花、緑化樹木等の混合培土の資材として、有機資材のピートモスやバーク、無機資材のパーライトや赤玉土等が使用されている。また、施設園芸における水耕栽培の作物育成培土として、ロックウールやバーク等が使用されている。ココダストは、機械でヤシ殻からココヤシ繊維を採取する際に出るヤシ殻の残渣物であり、前記資材と同様に、農園芸用、造園土木用、水耕栽培用の資材として、近年使用されるようになった。ココダストは、他の資材と比べて、保水・保肥力が高く、また土壌中で生分解されにくく、長期間ココダストの形状を保って植物栽培に使用できる等の優れた性質を有している。
しかし、ココダストは、塩類、特に塩化ナトリウム(NaCl)の含有量が高いため、ココダストをそのまま培土として使用すると、植物の生育に対して悪影響を与えるという欠点がある。即ち、ココダスト中の塩化ナトリウム含有量が過剰であり、植物の根細胞の周りにあるココダスト培土溶液の浸透圧が、根細胞の浸透圧よりも高くなり、植物による水分吸収を妨害する。また、植物は、ココダスト中のナトリウムイオン(Na+)の濃度が高いと、養分イオン(例えば、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)及びカリウムイオン(K+)等)を根毛に取り込みにくくなる。従って、ココダストがそのまま現場で使用されることは殆どない。そこで、現場で使用できるように、ココダストを少なくとも1〜2年間野外に放置したり、水に浸漬する等の含有塩類を除く処理が行われている。
また、ココダストには微生物が付着しており、微生物がココダスト中の窒素分を消費してしまい、植物の窒素飢餓が生じて、植物の成長遅延、収量低下が生じるという欠点がある。即ち、ココダストに付着している微生物は、自己の増殖のために、ココダスト中の有機窒素化合物であるタンパク質やアミノ酸等を分解し、窒素を消費する。その結果、窒素分が少なくなったココダストを培土として使用すると、植物の生育に必要な窒素が欠乏する。
これらの従来のココダストの欠点を解決するべく、ココダストに鉄塩又はアルミニウム塩、特に硫酸第一鉄を培土改質剤として添加する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−23560号公報(請求項1、段落番号0016)
【0004】
前記特許文献1の発明は、塩化ナトリウム含有量が高く、塩類の除去処理に時間がかかるというココダストの欠点に対して、ココダストに鉄塩又はアルミニウム塩を添加して、ナトリウムイオンを鉄イオン又はアルミニウムイオンの陽イオンに置換し、脱塩を進めること(第2頁右欄40〜42行)で改善している。
また、微生物によってココダスト中の窒素分が消費されるという欠点に対して、ココダストに鉄塩又はアルミニウム塩を添加して、過剰な鉄イオン又はアルミニウムイオンで微生物の生分解性を抑制すること(第2頁右欄36〜40行)で改善している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、硫酸第一鉄で処理したココダストのpHは、一般的に植物の生育に適したpHである5.5〜7.0よりも酸性側のpH5.0〜5.5であり、植物の生育に悪影響を与える問題がある。また、硫酸イオンにより、土壌が急激に酸性化する問題がある。
本発明は、このような前記ココダスト自体が有する欠点及び前記硫酸第一鉄等の培土改質剤で処理されたココダストが有する問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塩類の含有量が低く植物の生育を阻害せず、微生物によってココダスト中の窒素が消費されず、植物の生育に適したpHを有する改質ココダスト及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、改質ココダストに植物に有用な微生物を付着させた微生物担体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、電気伝導度の低いココダストを使用し、かつ生菌数を減少させ、更に植物の生育に適したpHにすることにより、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の改質ココダストは、電気伝導度が1.0mS/cm以下であり、生菌数が1.0×104/g以下であり、pH6.0〜8.0であることを特徴とする。
本発明の改質ココダストの製造方法は、電気伝導度1.0mS/cm以下のココダストを、酸でココダストのpHを1.5〜3.5にし、次に、アルカリでココダストのpHを6.0〜8.0にすることを特徴とする。
また、本発明の改質ココダストの製造方法は、電気伝導度1.0mS/cm以下のココダストを、加熱殺菌することを特徴とする。
本発明の微生物担体は、本発明の改質ココダストに、拮抗菌が更に付着していることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の改質ココダストについて説明する。
原料として使用されるココダストは、スリランカやインド、フィリピン等から輸入され、市販されており、園芸用土や土の増量剤としてよく使用される。ココダストは、ココヤシのヤシ殻に含まれる繊維を採取した残りの木質部であって、大きさ約0.1〜3.0mm程度の粒状である。また、ココダストは、ココダスト単体、あるいはそれにココヤシ短繊維やココヤシ果皮小片等が混ざっていてもよい。ココダストのpHは、約5.5〜6.5である。
本発明に使用するココダストは、ココダストを屋外放置又は水に浸漬して塩を減少させた、電気伝導度(EC値)が1.0mS/cm以下のものである。EC値0mS/cmのココダストの入手は困難であるが、できるだけ低いEC値を有するココダストが好ましい。好ましいEC値は、0.2〜0.7mS/cmである。
なお、EC値は、塩化ナトリウム等の塩類の含有量値を示す値であり、実施例に示す方法で市販の電導度計で測定できる。
【0008】
本発明の原料として使用されるココダストの生菌数は、通常、約1.0×107〜1.0×108/gである。生菌数が1.0×106/g以上であると、ココダスト中の微生物による窒素消費量が急激に多くなる。
本発明の改質ココダスト中の微生物の生菌数は、1.0×104/g以下であり、好ましくは1.0×103/g以下、最も好ましくは、0/gである。
生菌数は、実施例に示す土壌微生物数測定法として用いられる希釈平板法で確認できる。
【0009】
本発明の改質ココダストのpHは、6.0〜8.0であり、好ましくは6.5〜7.0である。植物の種類にもよるが、多くの植物はpH約6以上を好む。植物の養分となるカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)、リン(P)、窒素(N)、硫黄(S)、ホウ素(B)等の溶解度は、pH6.5付近が良好である。従って、pH6.0〜8.0の改質ココダストは、植物の栽培に適している。
強酸性(約pH5.5未満)になると、植物の養分となる元素のうち、鉄(Fe)とアルミニウム(Al)及びマンガン(Mn)の溶解度が高くなる。溶解度が高くなって過剰になったFe、Al及びMgは、植物の種類によるが、根の生育を制限する、収量が悪くなる等、植物の生育に悪影響を与える。更に、Ca、Mg、K、P、N、S、B等の元素の溶解度が下がり、多くの植物の生育に悪影響を与える。また、アルカリ性(約pH8.0超)になると、Fe、Al、Mgの溶解度は下がるが、PやBの溶解度も下がり、全養分の溶解のバランスが変わって、多くの植物の生育に悪影響を与える。
なお、ココダストのpHは、実施例に示す方法で、市販のガラス電極水素濃度測定計で確認できる。
【0010】
本発明の改質ココダストは、P、Ca、Mg等の養分となる元素及びこれらの元素を含む化合物、例えばドロマイトや炭酸カルシウム(CaCO3)を更に含有することができる。ドロマイトは、土壌改良剤としてよく使用されているものであり、主成分はCa、Mg、CO3である。ドロマイトや炭酸カルシウムを含有すると、本発明の改質ココダストのpHを更に安定化することができる。含有量は特に限定されず、栽培植物に応じて適切な量であればよい。
この他、従来使用されている石灰、泥灰土、草木灰、骨類、堆きゅう肥等の天然肥料や、化学的に製造されたN、P、K等を含む化学肥料等の各種添加剤を含有することができる。
また、本発明の改質ココダストの水分率を20〜25%にすると、軽くて運搬が容易で、かつ板状にプレス成形しやすくなり、好ましい。この場合、本発明の改質ココダストは撥水性を有する可能性が高いので、界面活性剤で本発明の改質ココダストの吸水性及び透水性を調節することが好ましい。カチオン、非イオン性の界面活性剤が好ましく、アニオンの界面活性剤は、Ca2+、K+、Mg2+等の陽イオンを吸着する性質があるので、避けることが好ましい。好ましいカチオン界面活性剤の例として、アルキルピリジニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。好ましい非イオン性界面活性剤の例として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアマイド、ポリオキシエチレンヒマシ油等が挙げられる。界面活性剤の具体的商品名として、アクチノールL−15A(松本油脂社製)等が挙げられる。界面活性剤の含有量は特に限定されないが、本発明の改質ココダストの質量に対して、20〜50ppmになることが好ましい。
本発明の改質ココダストは、改質ココダスト100%で培土として使用することができる。また、本発明の改質ココダストは、土壌改良剤として使用でき、土壌に所望量の改質ココダストを添加すればよい。
【0011】
次に、本発明の改質ココダストの製造方法について説明する。
改質ココダストの製造には、電気伝導度1.0mS/cm以下のココダストを使用する。
まず、ココダストを、酸でpH1.5〜3.5、好ましくはpH2.0〜2.5にして殺菌する。酸は、特に限定されないが、リン酸(H3PO4)、硝酸(HNO3)又は酢酸(CH3COOH)が好ましい。特に、リン酸が好ましく、植物の生育に必要なPをココダストに補給することができる。また、硫酸(H2SO4)でpHを1.0〜3.0にすることもできるが、ココダスト中で硫酸イオン(SO4 2−)が還元されて、悪臭を持ち有毒な硫化水素(H2S)を発生し、植物の根を損傷させる等、植物に悪影響を与える可能性があり、好ましくない。更に、硫酸イオン(SO4 2−)は、養分イオンの溶解度を悪くすることがある。例えば、養分イオンのCa+と結合して、水に溶けにくい硫酸カルシウムになる。その結果、カルシウム不足が生じ、植物の生育不良、黄化、トマトの尻腐れ病等が発生する。
酸の添加方法は特に限定されず、水とココダストの混合物に、濃度の高い酸を添加して攪拌してもよいし、あらかじめ適切な濃度の酸水溶液を調製して、ココダストの入った容器に投入又はココダストに直接噴霧して、攪拌してもよい。酸水溶液は、好ましくは濃度0.05〜20%(V/V)、より好ましくは2〜10%にし、好ましくはpH1.0〜3.0、より好ましくはpH2.0〜2.5に調製する。酸でココダストを殺菌する温度及び時間の条件は特に限定されないが、好ましくは20〜40℃、より好ましくは25〜35℃、好ましくは5秒〜30分間、より好ましくは5〜10秒間である。
酸による殺菌は、微生物が生菌数1.0×104/g以下、好ましくは1.0×103/g以下になるように行う。
【0012】
次に、アルカリでココダストのpHを6.0〜8.0、好ましくは6.0〜7.0にして、植物の生育に適したココダストにする。アルカリは、特に限定されないが、消石灰(Ca(OH)2)、生石灰(CaO)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)が好ましい。植物の養分となるCa、K、Mg等を含んでいるアルカリであれば、これらの養分をココダストに補給することができる。
アルカリの添加方法は特に限定されないが、あらかじめアルカリ水溶液を調製して、ココダストの入った容器に投入又はココダストに直接噴霧して、攪拌することが好ましい。アルカリは、危険物であり、取り扱いが難しく、水溶液として使用することが好ましい。アルカリ水溶液は、好ましくは濃度0.1〜25%(V/V)、より好ましくは2〜10%にし、好ましくはpH9〜14、より好ましくはpH10〜12にしたアルカリ水溶液でココダストを処理する。温度条件は、好ましくは20〜40℃、より好ましくは25〜35℃である。アルカリ処理後、更に、常温放置乾燥、加熱乾燥等を行ってもよい。
【0013】
また、電気伝導度1.0mS/cm以下のココダストを加熱殺菌して、本発明の改質ココダストを製造することができる。加熱殺菌条件は、特に限定されないが、温度条件は、好ましくは120〜300℃、より好ましくは150〜250℃である。また、時間条件は、好ましくは、10〜60分、より好ましくは30〜60分である。加熱殺菌時に加圧してもよい。加圧条件は、好ましくは1.2〜2.0Pa、より好ましくは1.2〜1.5Paである。具体的な殺菌方法として、オートクレーブ(高圧蒸気殺菌)法、蒸気殺菌法、熱風殺菌法等を挙げることができる。
ココダストを加熱殺菌した直後は、周囲環境に存在する有用菌以外の菌が付着し、繁殖する可能性があるので、密封したり、隔離保存することが好ましい。
【0014】
次に、本発明の微生物担体について説明する。
本発明の微生物担体は、土壌に添加するだけで、容易に植物の根に有用微生物を供給できるものである。微生物担体として、本発明の改質ココダストを使用し、これに拮抗菌を付着させる。拮抗菌とは、抗菌物質を産生したり、植物病原菌に寄生したり、微生物同士で炭素や窒素等の栄養の吸収において競合したり、病害抵抗性を誘導したり、アレロパシー(植物病原菌の生育を抑えるような物質を産生して、自身の成育環境を作り出す他感作用)によって、植物病原菌を殺菌したり生育制御する、細菌、VA菌根菌及び糸状菌等を含む微生物をいう。本発明に使用する拮抗菌は、特に限定されないが、例えば、VA菌根菌、枯草菌、糸状菌や放線菌に属する拮抗菌が挙げられる。
VA菌根菌(のう状体−樹枝状体菌根菌)としては、グロマス(Glomus)属、ギガスポーラ(Gigaspora)属、スクテリスポーラ(Scutellispora)属、スクレロサイスチス(Sclerocystis)属、エントロフォスポーラ(Entrophospora)属又はアカウロスポーラ(Acaulospora)属に属する菌等が例示され、好ましくはグロマス属、ギガスポーラ属及びスクテリスポーラ属である。より具体的には、グロマス・ファシキュラツム(Glomus fasciculatum)、グロマス・エツニカツム(Glomus etunicutum)、グロマス・モッセ(Glomus mosseae)、グロマス・クララム(Glomus clarum)、グロマス・イントララディクス(Glomus intraradix)、ギガスポーラ・マルガリータ(Gigaspora margarita)、ギガスポーラ・アルビダ(Gigaspora albida)、スクテリスポーラ・グレガリア(Scutellispora gregaria)等が挙げられる。また、VA菌根菌は、例えばフザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)によるトマト萎ちょう病やスクレロチウム・ロルフシ(Sclerotium rolfsii)によるラッカセイの白絹病等を防除できる。更に、VA菌根菌は、不溶性リンや亜鉛、銅を吸収して植物に与え、植物の生育を促進し、植物に環境耐性を付与することができる。
枯草菌は、バチルス(Bacillus)属の細菌であり、具体的には、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・チューリゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)等が挙げられる。枯草菌は、トマト萎ちょう病、プラスモディオフォーラ・ブラッシカエ(Plasmodiophora brassicae)によるハクサイ根こぶ病やフザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)によるイチゴ萎黄病等を防除できる。
糸状菌に属する拮抗菌としては、ペニシリウム(Penicillium)属の菌が例示され、具体的には、ペニシリウム・ジャンティネラム(Penicillium janthinellum)、ペニシリウム・リラシナム(Penicillium lilacinum)、ペニシリウム・パキシー(Penicillium paxii)等が挙げられる。これらの菌は、有機物を分解し、また有機物分解過程で抗菌物質を産生する。
放線菌に属する拮抗菌としては、ストレプトマイセス(Streptomyces)属の細菌が例示でき、具体的には、ストレプトマイセス・シアノゲヌス(Streptomyces cyanogenus)、ストレプトマイセス・ゴミシネシス(Streptomyces gomishinensis)等が挙げられる。放線菌は、フザリウム属による半身萎ちょう病やバーティシリウム・ダリアエ(Verticillium dahliae)によるハクサイの黄化病を防除でき、また、植物の生育促進にも有用である。
【0015】
これらの微生物を、単独で使用してもよいし、植物に応じて適宜組み合わせてもよい。これらの微生物は、市販で容易に入手できる。本発明の改質ココダスト製造後、有用微生物をすぐに付着させ、そのまま放置して繁殖させてもよいし、現場での使用直前に、本発明の改質ココダストに付着させてもよい。担体に使用する本発明の改質ココダストは、殺菌されて生菌数が1.0×104/g以下になっており、ココダストに有用微生物を優先的に繁殖させることができる。
なお、加熱殺菌して調製した本発明の改質ココダストを担体として使用する場合、すぐに有用微生物を付着させると、熱で有用微生物が死ぬ可能性があるので、温度が好ましくは約40℃、更に好ましくは35℃に下がってから有用微生物を付着させるのがよい。また、加熱殺菌して調製した本発明の改質ココダストに有用微生物を付着させるまでの間、周囲環境の微生物が付着して有用微生物よりも優位に繁殖しないよう、ココダストの加熱殺菌後、有用微生物を付着させるまでの時間を短くすることが好ましい。
【0016】
【実施例】
以下、実施例、比較例等により、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0017】
実施例1:テーブルスケールでの改質ココダストの製造
リン酸(リン酸特級試薬、ナカライテスク株式会社)を2.0%、1.0%、0.5%、0.25%、0.125%(v/v)の濃度に、pH7.0、EC値0.1mS/cmの純水で希釈し、リン酸水溶液を調製した。各濃度のリン酸のpHは、1.0、1.2、1.3、1.5、2.0であった。EC値0.22mS/cm、pH6.5、含水率22.5%のココダスト(ナチュラルココダスト、三福商事株式会社より入手)を5つの500mlガラスビーカーに300mlずつとり、各濃度のリン酸水溶液100mlを各ビーカーのココダストに加え、30分間攪拌した。攪拌後、以下のココダストのpH確認方法によって、酸性化を確認した。次に、それぞれに濃度1.5%、pH12に調製した消石灰(消石灰一級試薬、和光純薬工業株式会社)の水溶液1.5mlを加え、混合攪拌した。その後、3日間常温放置して乾燥させ、本発明の改質ココダストを得た。以下のEC値の測定方法、pH測定方法及び希釈平板法により、本発明の改質ココダストのEC値、pH値及び生菌数を確認した。ここで得られた本発明の改質ココダストをNo.1〜5とした。
【0018】
(ココダストのEC値の測定方法)
ココダストを10g秤取して、150mlの蒸留水を加え、スターラーで1時間攪拌後、静置した。24時間後に濾過し、濾液を携帯用電導度計(CM−1K、東亜電波工業株式会社)で測定した。
【0019】
(ココダストのpH測定方法)
ビーカーにココダスト5gを秤取し、蒸留水を100mlずつ添加し、ガラス棒で十分攪拌した後、濾過し、濾液のpHをガラス電極水素濃度測定計(HN−30S、東亜電波工業株式会社)で測定した。
【0020】
(希釈平板法)
殺菌した10枚のペトリ皿に2段階の希釈より1mlずつを各々5枚のペトリ皿に入れた。これを50℃前後に保温した培地を約20mlずつ分注した。培地が固まった後、菌の入った希釈液を流し込み、28℃の低温器内で7〜14日間培養し、観察可能なコロニー数を観察した。2段階希釈の内、コロニー数が20〜200個である方を選び、ペトリ皿5枚の平均を出し、コロニー数の平均数にその希釈倍率をかけて、コロニー形成数を算出した。
【0021】
(表1)
テーブルスケールで製造した改質ココダストNo.1〜5の結果
【0022】
現場仕様スケールでの改質ココダストの実施例
pH6.4、EC値0.2mS/cmの地下水300Lをタンクに入れ、EC値0.05〜0.2mS/cmのナチュラルココダストを1000L投入し、更に濃度85%(v/v)の工業用リン酸溶液(和光社)250mlをタンクに入れ、15分間攪拌機により混合攪拌した。次に、工業用消石灰(1号/JIS 9001)を340ml加え、さらに15分間混合攪拌した。混合攪拌後、固形分を取り出し、コンクリートを下打した乾燥場で24時間天日乾しを行い、改質ココダストを得た。地下水量を350L、400L、400L、工業用リン酸溶液を275ml、300ml、300ml、工業用消石灰を370ml、400ml、500mlとした以外は、同様の操作を繰り返し、改質ココダストNo.6〜9を得た。
【0023】
(表2)
現場仕様スケールの改質ココダストNo.6〜9
【0024】
改質ココダストによるほうれん草の栽培試験
EC値0.22mS/cm、pH6.5、含水率22.5%のナチュラルココダスト約300mlをガラスビーカーにとり、リン酸を蒸留水で希釈した7.0%(v/v)のリン酸水溶液27mlを噴霧し、5分間攪拌した。その後、消石灰を蒸留水に溶解した、7.0%(v/v)の消石灰水溶液を45ml加えた。EC値0.28mS/cm、生菌数1.0×104/g、pH7.0の改質ココダストが得られた。これを改質ココダストNo.10とした。
改質ココダストNo.10の製造方法と同様の操作を繰り返し、更に、改質ココダストNo.10のpHの継続安定を目的として、ドロマイト(吉沢石灰社)とカルシウム(奥多摩工業社)とをそれぞれ1.0gずつ加え、十分攪拌した。得られたドロマイト、カルシウム添加改質ココダストを、改質ココダストNo.11とした。
比較例として、未処理のナチュラルココダスト及び市販の硫酸鉄で処理したココダスト(商品名樽、株式会社誠和)を培土として、点滴栽培によるほうれん草の生育比較試験を行った。
(点滴栽培方法)
点滴チューブにより、培養液をほうれん草の根元に供給して、ほうれん草を栽培した。使用培土による植物への影響をより明確にするため、市販の栄養液である、大塚化学の大塚ハウス1号(商品名)を46g、大塚ハウス2号を31gを、200Lの井戸水に溶解し、窒素濃度約40mg/Lとした液を使用した。
各試験区でほうれん草を50株ずつ栽培し、播種から1週間ごとに、ほうれん草の草丈及び草幅を測定し、平均値を算出した。
【0025】
(表3)
培土別ほうれん草の草丈と草幅の平均値
【0026】
7週の時点で、改質ココダストNo.10及びNo.11区の草丈は、未処理ナチュラルココダスト及び硫酸鉄処理ココダスト区の草丈に比べて倍近くになり、かつ草幅も大きかった。本発明の改質ココダストを培土に使用すると、植物が非常に良く生育することが確認できた。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電気伝導度の低いココダストの生菌数を減少させ、ココダストを植物の生育に適したpHにすることとしたため、塩類の含有量が低く植物の生育を阻害せず、微生物によってココダスト中の窒素が消費されず、植物の生育に適したpHを有する改質ココダスト及びその製造方法を提供することができる。また、本発明の改質ココダストに植物に有用な微生物を付着させた微生物担体を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、農業や園芸用の培土や土壌改良剤に使用できる改質ココダスト及びこれを使用した微生物担体に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、農園芸用や造園土木用の作物、草花、緑化樹木等の混合培土の資材として、有機資材のピートモスやバーク、無機資材のパーライトや赤玉土等が使用されている。また、施設園芸における水耕栽培の作物育成培土として、ロックウールやバーク等が使用されている。ココダストは、機械でヤシ殻からココヤシ繊維を採取する際に出るヤシ殻の残渣物であり、前記資材と同様に、農園芸用、造園土木用、水耕栽培用の資材として、近年使用されるようになった。ココダストは、他の資材と比べて、保水・保肥力が高く、また土壌中で生分解されにくく、長期間ココダストの形状を保って植物栽培に使用できる等の優れた性質を有している。
しかし、ココダストは、塩類、特に塩化ナトリウム(NaCl)の含有量が高いため、ココダストをそのまま培土として使用すると、植物の生育に対して悪影響を与えるという欠点がある。即ち、ココダスト中の塩化ナトリウム含有量が過剰であり、植物の根細胞の周りにあるココダスト培土溶液の浸透圧が、根細胞の浸透圧よりも高くなり、植物による水分吸収を妨害する。また、植物は、ココダスト中のナトリウムイオン(Na+)の濃度が高いと、養分イオン(例えば、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)及びカリウムイオン(K+)等)を根毛に取り込みにくくなる。従って、ココダストがそのまま現場で使用されることは殆どない。そこで、現場で使用できるように、ココダストを少なくとも1〜2年間野外に放置したり、水に浸漬する等の含有塩類を除く処理が行われている。
また、ココダストには微生物が付着しており、微生物がココダスト中の窒素分を消費してしまい、植物の窒素飢餓が生じて、植物の成長遅延、収量低下が生じるという欠点がある。即ち、ココダストに付着している微生物は、自己の増殖のために、ココダスト中の有機窒素化合物であるタンパク質やアミノ酸等を分解し、窒素を消費する。その結果、窒素分が少なくなったココダストを培土として使用すると、植物の生育に必要な窒素が欠乏する。
これらの従来のココダストの欠点を解決するべく、ココダストに鉄塩又はアルミニウム塩、特に硫酸第一鉄を培土改質剤として添加する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−23560号公報(請求項1、段落番号0016)
【0004】
前記特許文献1の発明は、塩化ナトリウム含有量が高く、塩類の除去処理に時間がかかるというココダストの欠点に対して、ココダストに鉄塩又はアルミニウム塩を添加して、ナトリウムイオンを鉄イオン又はアルミニウムイオンの陽イオンに置換し、脱塩を進めること(第2頁右欄40〜42行)で改善している。
また、微生物によってココダスト中の窒素分が消費されるという欠点に対して、ココダストに鉄塩又はアルミニウム塩を添加して、過剰な鉄イオン又はアルミニウムイオンで微生物の生分解性を抑制すること(第2頁右欄36〜40行)で改善している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、硫酸第一鉄で処理したココダストのpHは、一般的に植物の生育に適したpHである5.5〜7.0よりも酸性側のpH5.0〜5.5であり、植物の生育に悪影響を与える問題がある。また、硫酸イオンにより、土壌が急激に酸性化する問題がある。
本発明は、このような前記ココダスト自体が有する欠点及び前記硫酸第一鉄等の培土改質剤で処理されたココダストが有する問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塩類の含有量が低く植物の生育を阻害せず、微生物によってココダスト中の窒素が消費されず、植物の生育に適したpHを有する改質ココダスト及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、改質ココダストに植物に有用な微生物を付着させた微生物担体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、電気伝導度の低いココダストを使用し、かつ生菌数を減少させ、更に植物の生育に適したpHにすることにより、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の改質ココダストは、電気伝導度が1.0mS/cm以下であり、生菌数が1.0×104/g以下であり、pH6.0〜8.0であることを特徴とする。
本発明の改質ココダストの製造方法は、電気伝導度1.0mS/cm以下のココダストを、酸でココダストのpHを1.5〜3.5にし、次に、アルカリでココダストのpHを6.0〜8.0にすることを特徴とする。
また、本発明の改質ココダストの製造方法は、電気伝導度1.0mS/cm以下のココダストを、加熱殺菌することを特徴とする。
本発明の微生物担体は、本発明の改質ココダストに、拮抗菌が更に付着していることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の改質ココダストについて説明する。
原料として使用されるココダストは、スリランカやインド、フィリピン等から輸入され、市販されており、園芸用土や土の増量剤としてよく使用される。ココダストは、ココヤシのヤシ殻に含まれる繊維を採取した残りの木質部であって、大きさ約0.1〜3.0mm程度の粒状である。また、ココダストは、ココダスト単体、あるいはそれにココヤシ短繊維やココヤシ果皮小片等が混ざっていてもよい。ココダストのpHは、約5.5〜6.5である。
本発明に使用するココダストは、ココダストを屋外放置又は水に浸漬して塩を減少させた、電気伝導度(EC値)が1.0mS/cm以下のものである。EC値0mS/cmのココダストの入手は困難であるが、できるだけ低いEC値を有するココダストが好ましい。好ましいEC値は、0.2〜0.7mS/cmである。
なお、EC値は、塩化ナトリウム等の塩類の含有量値を示す値であり、実施例に示す方法で市販の電導度計で測定できる。
【0008】
本発明の原料として使用されるココダストの生菌数は、通常、約1.0×107〜1.0×108/gである。生菌数が1.0×106/g以上であると、ココダスト中の微生物による窒素消費量が急激に多くなる。
本発明の改質ココダスト中の微生物の生菌数は、1.0×104/g以下であり、好ましくは1.0×103/g以下、最も好ましくは、0/gである。
生菌数は、実施例に示す土壌微生物数測定法として用いられる希釈平板法で確認できる。
【0009】
本発明の改質ココダストのpHは、6.0〜8.0であり、好ましくは6.5〜7.0である。植物の種類にもよるが、多くの植物はpH約6以上を好む。植物の養分となるカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)、リン(P)、窒素(N)、硫黄(S)、ホウ素(B)等の溶解度は、pH6.5付近が良好である。従って、pH6.0〜8.0の改質ココダストは、植物の栽培に適している。
強酸性(約pH5.5未満)になると、植物の養分となる元素のうち、鉄(Fe)とアルミニウム(Al)及びマンガン(Mn)の溶解度が高くなる。溶解度が高くなって過剰になったFe、Al及びMgは、植物の種類によるが、根の生育を制限する、収量が悪くなる等、植物の生育に悪影響を与える。更に、Ca、Mg、K、P、N、S、B等の元素の溶解度が下がり、多くの植物の生育に悪影響を与える。また、アルカリ性(約pH8.0超)になると、Fe、Al、Mgの溶解度は下がるが、PやBの溶解度も下がり、全養分の溶解のバランスが変わって、多くの植物の生育に悪影響を与える。
なお、ココダストのpHは、実施例に示す方法で、市販のガラス電極水素濃度測定計で確認できる。
【0010】
本発明の改質ココダストは、P、Ca、Mg等の養分となる元素及びこれらの元素を含む化合物、例えばドロマイトや炭酸カルシウム(CaCO3)を更に含有することができる。ドロマイトは、土壌改良剤としてよく使用されているものであり、主成分はCa、Mg、CO3である。ドロマイトや炭酸カルシウムを含有すると、本発明の改質ココダストのpHを更に安定化することができる。含有量は特に限定されず、栽培植物に応じて適切な量であればよい。
この他、従来使用されている石灰、泥灰土、草木灰、骨類、堆きゅう肥等の天然肥料や、化学的に製造されたN、P、K等を含む化学肥料等の各種添加剤を含有することができる。
また、本発明の改質ココダストの水分率を20〜25%にすると、軽くて運搬が容易で、かつ板状にプレス成形しやすくなり、好ましい。この場合、本発明の改質ココダストは撥水性を有する可能性が高いので、界面活性剤で本発明の改質ココダストの吸水性及び透水性を調節することが好ましい。カチオン、非イオン性の界面活性剤が好ましく、アニオンの界面活性剤は、Ca2+、K+、Mg2+等の陽イオンを吸着する性質があるので、避けることが好ましい。好ましいカチオン界面活性剤の例として、アルキルピリジニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。好ましい非イオン性界面活性剤の例として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアマイド、ポリオキシエチレンヒマシ油等が挙げられる。界面活性剤の具体的商品名として、アクチノールL−15A(松本油脂社製)等が挙げられる。界面活性剤の含有量は特に限定されないが、本発明の改質ココダストの質量に対して、20〜50ppmになることが好ましい。
本発明の改質ココダストは、改質ココダスト100%で培土として使用することができる。また、本発明の改質ココダストは、土壌改良剤として使用でき、土壌に所望量の改質ココダストを添加すればよい。
【0011】
次に、本発明の改質ココダストの製造方法について説明する。
改質ココダストの製造には、電気伝導度1.0mS/cm以下のココダストを使用する。
まず、ココダストを、酸でpH1.5〜3.5、好ましくはpH2.0〜2.5にして殺菌する。酸は、特に限定されないが、リン酸(H3PO4)、硝酸(HNO3)又は酢酸(CH3COOH)が好ましい。特に、リン酸が好ましく、植物の生育に必要なPをココダストに補給することができる。また、硫酸(H2SO4)でpHを1.0〜3.0にすることもできるが、ココダスト中で硫酸イオン(SO4 2−)が還元されて、悪臭を持ち有毒な硫化水素(H2S)を発生し、植物の根を損傷させる等、植物に悪影響を与える可能性があり、好ましくない。更に、硫酸イオン(SO4 2−)は、養分イオンの溶解度を悪くすることがある。例えば、養分イオンのCa+と結合して、水に溶けにくい硫酸カルシウムになる。その結果、カルシウム不足が生じ、植物の生育不良、黄化、トマトの尻腐れ病等が発生する。
酸の添加方法は特に限定されず、水とココダストの混合物に、濃度の高い酸を添加して攪拌してもよいし、あらかじめ適切な濃度の酸水溶液を調製して、ココダストの入った容器に投入又はココダストに直接噴霧して、攪拌してもよい。酸水溶液は、好ましくは濃度0.05〜20%(V/V)、より好ましくは2〜10%にし、好ましくはpH1.0〜3.0、より好ましくはpH2.0〜2.5に調製する。酸でココダストを殺菌する温度及び時間の条件は特に限定されないが、好ましくは20〜40℃、より好ましくは25〜35℃、好ましくは5秒〜30分間、より好ましくは5〜10秒間である。
酸による殺菌は、微生物が生菌数1.0×104/g以下、好ましくは1.0×103/g以下になるように行う。
【0012】
次に、アルカリでココダストのpHを6.0〜8.0、好ましくは6.0〜7.0にして、植物の生育に適したココダストにする。アルカリは、特に限定されないが、消石灰(Ca(OH)2)、生石灰(CaO)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)が好ましい。植物の養分となるCa、K、Mg等を含んでいるアルカリであれば、これらの養分をココダストに補給することができる。
アルカリの添加方法は特に限定されないが、あらかじめアルカリ水溶液を調製して、ココダストの入った容器に投入又はココダストに直接噴霧して、攪拌することが好ましい。アルカリは、危険物であり、取り扱いが難しく、水溶液として使用することが好ましい。アルカリ水溶液は、好ましくは濃度0.1〜25%(V/V)、より好ましくは2〜10%にし、好ましくはpH9〜14、より好ましくはpH10〜12にしたアルカリ水溶液でココダストを処理する。温度条件は、好ましくは20〜40℃、より好ましくは25〜35℃である。アルカリ処理後、更に、常温放置乾燥、加熱乾燥等を行ってもよい。
【0013】
また、電気伝導度1.0mS/cm以下のココダストを加熱殺菌して、本発明の改質ココダストを製造することができる。加熱殺菌条件は、特に限定されないが、温度条件は、好ましくは120〜300℃、より好ましくは150〜250℃である。また、時間条件は、好ましくは、10〜60分、より好ましくは30〜60分である。加熱殺菌時に加圧してもよい。加圧条件は、好ましくは1.2〜2.0Pa、より好ましくは1.2〜1.5Paである。具体的な殺菌方法として、オートクレーブ(高圧蒸気殺菌)法、蒸気殺菌法、熱風殺菌法等を挙げることができる。
ココダストを加熱殺菌した直後は、周囲環境に存在する有用菌以外の菌が付着し、繁殖する可能性があるので、密封したり、隔離保存することが好ましい。
【0014】
次に、本発明の微生物担体について説明する。
本発明の微生物担体は、土壌に添加するだけで、容易に植物の根に有用微生物を供給できるものである。微生物担体として、本発明の改質ココダストを使用し、これに拮抗菌を付着させる。拮抗菌とは、抗菌物質を産生したり、植物病原菌に寄生したり、微生物同士で炭素や窒素等の栄養の吸収において競合したり、病害抵抗性を誘導したり、アレロパシー(植物病原菌の生育を抑えるような物質を産生して、自身の成育環境を作り出す他感作用)によって、植物病原菌を殺菌したり生育制御する、細菌、VA菌根菌及び糸状菌等を含む微生物をいう。本発明に使用する拮抗菌は、特に限定されないが、例えば、VA菌根菌、枯草菌、糸状菌や放線菌に属する拮抗菌が挙げられる。
VA菌根菌(のう状体−樹枝状体菌根菌)としては、グロマス(Glomus)属、ギガスポーラ(Gigaspora)属、スクテリスポーラ(Scutellispora)属、スクレロサイスチス(Sclerocystis)属、エントロフォスポーラ(Entrophospora)属又はアカウロスポーラ(Acaulospora)属に属する菌等が例示され、好ましくはグロマス属、ギガスポーラ属及びスクテリスポーラ属である。より具体的には、グロマス・ファシキュラツム(Glomus fasciculatum)、グロマス・エツニカツム(Glomus etunicutum)、グロマス・モッセ(Glomus mosseae)、グロマス・クララム(Glomus clarum)、グロマス・イントララディクス(Glomus intraradix)、ギガスポーラ・マルガリータ(Gigaspora margarita)、ギガスポーラ・アルビダ(Gigaspora albida)、スクテリスポーラ・グレガリア(Scutellispora gregaria)等が挙げられる。また、VA菌根菌は、例えばフザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)によるトマト萎ちょう病やスクレロチウム・ロルフシ(Sclerotium rolfsii)によるラッカセイの白絹病等を防除できる。更に、VA菌根菌は、不溶性リンや亜鉛、銅を吸収して植物に与え、植物の生育を促進し、植物に環境耐性を付与することができる。
枯草菌は、バチルス(Bacillus)属の細菌であり、具体的には、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・チューリゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)等が挙げられる。枯草菌は、トマト萎ちょう病、プラスモディオフォーラ・ブラッシカエ(Plasmodiophora brassicae)によるハクサイ根こぶ病やフザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)によるイチゴ萎黄病等を防除できる。
糸状菌に属する拮抗菌としては、ペニシリウム(Penicillium)属の菌が例示され、具体的には、ペニシリウム・ジャンティネラム(Penicillium janthinellum)、ペニシリウム・リラシナム(Penicillium lilacinum)、ペニシリウム・パキシー(Penicillium paxii)等が挙げられる。これらの菌は、有機物を分解し、また有機物分解過程で抗菌物質を産生する。
放線菌に属する拮抗菌としては、ストレプトマイセス(Streptomyces)属の細菌が例示でき、具体的には、ストレプトマイセス・シアノゲヌス(Streptomyces cyanogenus)、ストレプトマイセス・ゴミシネシス(Streptomyces gomishinensis)等が挙げられる。放線菌は、フザリウム属による半身萎ちょう病やバーティシリウム・ダリアエ(Verticillium dahliae)によるハクサイの黄化病を防除でき、また、植物の生育促進にも有用である。
【0015】
これらの微生物を、単独で使用してもよいし、植物に応じて適宜組み合わせてもよい。これらの微生物は、市販で容易に入手できる。本発明の改質ココダスト製造後、有用微生物をすぐに付着させ、そのまま放置して繁殖させてもよいし、現場での使用直前に、本発明の改質ココダストに付着させてもよい。担体に使用する本発明の改質ココダストは、殺菌されて生菌数が1.0×104/g以下になっており、ココダストに有用微生物を優先的に繁殖させることができる。
なお、加熱殺菌して調製した本発明の改質ココダストを担体として使用する場合、すぐに有用微生物を付着させると、熱で有用微生物が死ぬ可能性があるので、温度が好ましくは約40℃、更に好ましくは35℃に下がってから有用微生物を付着させるのがよい。また、加熱殺菌して調製した本発明の改質ココダストに有用微生物を付着させるまでの間、周囲環境の微生物が付着して有用微生物よりも優位に繁殖しないよう、ココダストの加熱殺菌後、有用微生物を付着させるまでの時間を短くすることが好ましい。
【0016】
【実施例】
以下、実施例、比較例等により、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0017】
実施例1:テーブルスケールでの改質ココダストの製造
リン酸(リン酸特級試薬、ナカライテスク株式会社)を2.0%、1.0%、0.5%、0.25%、0.125%(v/v)の濃度に、pH7.0、EC値0.1mS/cmの純水で希釈し、リン酸水溶液を調製した。各濃度のリン酸のpHは、1.0、1.2、1.3、1.5、2.0であった。EC値0.22mS/cm、pH6.5、含水率22.5%のココダスト(ナチュラルココダスト、三福商事株式会社より入手)を5つの500mlガラスビーカーに300mlずつとり、各濃度のリン酸水溶液100mlを各ビーカーのココダストに加え、30分間攪拌した。攪拌後、以下のココダストのpH確認方法によって、酸性化を確認した。次に、それぞれに濃度1.5%、pH12に調製した消石灰(消石灰一級試薬、和光純薬工業株式会社)の水溶液1.5mlを加え、混合攪拌した。その後、3日間常温放置して乾燥させ、本発明の改質ココダストを得た。以下のEC値の測定方法、pH測定方法及び希釈平板法により、本発明の改質ココダストのEC値、pH値及び生菌数を確認した。ここで得られた本発明の改質ココダストをNo.1〜5とした。
【0018】
(ココダストのEC値の測定方法)
ココダストを10g秤取して、150mlの蒸留水を加え、スターラーで1時間攪拌後、静置した。24時間後に濾過し、濾液を携帯用電導度計(CM−1K、東亜電波工業株式会社)で測定した。
【0019】
(ココダストのpH測定方法)
ビーカーにココダスト5gを秤取し、蒸留水を100mlずつ添加し、ガラス棒で十分攪拌した後、濾過し、濾液のpHをガラス電極水素濃度測定計(HN−30S、東亜電波工業株式会社)で測定した。
【0020】
(希釈平板法)
殺菌した10枚のペトリ皿に2段階の希釈より1mlずつを各々5枚のペトリ皿に入れた。これを50℃前後に保温した培地を約20mlずつ分注した。培地が固まった後、菌の入った希釈液を流し込み、28℃の低温器内で7〜14日間培養し、観察可能なコロニー数を観察した。2段階希釈の内、コロニー数が20〜200個である方を選び、ペトリ皿5枚の平均を出し、コロニー数の平均数にその希釈倍率をかけて、コロニー形成数を算出した。
【0021】
(表1)
テーブルスケールで製造した改質ココダストNo.1〜5の結果
【0022】
現場仕様スケールでの改質ココダストの実施例
pH6.4、EC値0.2mS/cmの地下水300Lをタンクに入れ、EC値0.05〜0.2mS/cmのナチュラルココダストを1000L投入し、更に濃度85%(v/v)の工業用リン酸溶液(和光社)250mlをタンクに入れ、15分間攪拌機により混合攪拌した。次に、工業用消石灰(1号/JIS 9001)を340ml加え、さらに15分間混合攪拌した。混合攪拌後、固形分を取り出し、コンクリートを下打した乾燥場で24時間天日乾しを行い、改質ココダストを得た。地下水量を350L、400L、400L、工業用リン酸溶液を275ml、300ml、300ml、工業用消石灰を370ml、400ml、500mlとした以外は、同様の操作を繰り返し、改質ココダストNo.6〜9を得た。
【0023】
(表2)
現場仕様スケールの改質ココダストNo.6〜9
【0024】
改質ココダストによるほうれん草の栽培試験
EC値0.22mS/cm、pH6.5、含水率22.5%のナチュラルココダスト約300mlをガラスビーカーにとり、リン酸を蒸留水で希釈した7.0%(v/v)のリン酸水溶液27mlを噴霧し、5分間攪拌した。その後、消石灰を蒸留水に溶解した、7.0%(v/v)の消石灰水溶液を45ml加えた。EC値0.28mS/cm、生菌数1.0×104/g、pH7.0の改質ココダストが得られた。これを改質ココダストNo.10とした。
改質ココダストNo.10の製造方法と同様の操作を繰り返し、更に、改質ココダストNo.10のpHの継続安定を目的として、ドロマイト(吉沢石灰社)とカルシウム(奥多摩工業社)とをそれぞれ1.0gずつ加え、十分攪拌した。得られたドロマイト、カルシウム添加改質ココダストを、改質ココダストNo.11とした。
比較例として、未処理のナチュラルココダスト及び市販の硫酸鉄で処理したココダスト(商品名樽、株式会社誠和)を培土として、点滴栽培によるほうれん草の生育比較試験を行った。
(点滴栽培方法)
点滴チューブにより、培養液をほうれん草の根元に供給して、ほうれん草を栽培した。使用培土による植物への影響をより明確にするため、市販の栄養液である、大塚化学の大塚ハウス1号(商品名)を46g、大塚ハウス2号を31gを、200Lの井戸水に溶解し、窒素濃度約40mg/Lとした液を使用した。
各試験区でほうれん草を50株ずつ栽培し、播種から1週間ごとに、ほうれん草の草丈及び草幅を測定し、平均値を算出した。
【0025】
(表3)
培土別ほうれん草の草丈と草幅の平均値
【0026】
7週の時点で、改質ココダストNo.10及びNo.11区の草丈は、未処理ナチュラルココダスト及び硫酸鉄処理ココダスト区の草丈に比べて倍近くになり、かつ草幅も大きかった。本発明の改質ココダストを培土に使用すると、植物が非常に良く生育することが確認できた。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電気伝導度の低いココダストの生菌数を減少させ、ココダストを植物の生育に適したpHにすることとしたため、塩類の含有量が低く植物の生育を阻害せず、微生物によってココダスト中の窒素が消費されず、植物の生育に適したpHを有する改質ココダスト及びその製造方法を提供することができる。また、本発明の改質ココダストに植物に有用な微生物を付着させた微生物担体を提供することができる。
Claims (6)
- 電気伝導度が1.0mS/cm以下であり、生菌数が1.0×104/g以下であり、pH6.0〜8.0であることを特徴とする、改質ココダスト。
- 電気伝導度1.0mS/cm以下のココダストを、酸でココダストのpHを1.5〜3.5にし、次に、アルカリでココダストのpHを6.0〜8.0にすることを特徴とする、改質ココダストの製造方法。
- 前記酸が、リン酸、硝酸及び酢酸から成る群から選択される、請求項2記載の改質ココダストの製造方法。
- 前記アルカリが、消石灰、生石灰、水酸化カリウム及び水酸化マグネシウムから成る群から選択される、請求項2又は3記載の改質ココダストの製造方法。
- 電気伝導度1.0mS/cm以下のココダストを、加熱殺菌することを特徴とする、改質ココダストの製造方法。
- 請求項1記載の改質ココダストに、拮抗菌が更に付着していることを特徴とする、微生物担体。
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