JP2005006576A - 遺伝子等送達用キャリアー - Google Patents

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Tetsuji Yamaoka
哲二 山岡
Osamu Matsuda
修 松田
Akira Murakami
章 村上
Hiroyuki Ogata
裕之 緒方
Jiro Imanishi
二郎 今西
Kakei Yasutomi
花景 安富
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Abstract

【課題】本発明は、細胞内酵素の作用により負電荷を有する物質を遊離することができる水溶性化合物に関する。さらに当該水溶性化合物を含む高分子、及び当該水溶性化合物および/または当該高分子をキャリアーとして含む、負電荷を持つ物質を細胞内に送達することができる薬剤に関する。
【解決手段】負電荷を持つ物質と複合体を形成することができる水溶性化合物であって、細胞内酵素によって認識される認識部位を少なくとも1つ含み、かつ正電荷数が3以上であり、正電荷数(C)と水溶性化合物を構成する総原子数(N)の比(C/N)が、1/100以上であることを特徴とする水溶性化合物、当該水溶性化合物を含む高分子、及び当該水溶性化合物および/または当該高分子を含む薬剤。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞内酵素の作用により、負電荷を持つ物質を遊離することができる水溶性化合物に関するものであり、例えば負電荷を持つ薬剤や遺伝子を細胞内に導入するために利用し得る。さらに当該水溶性化合物を含む高分子、及びキャリアーとして、当該水溶性化合物および/または当該高分子を含む、負電荷を持つ物質を細胞内に送達する薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
細胞内に核酸を導入する技術は、特定の遺伝子の機能解析や遺伝子組換え産物の大量生産など、基本研究から医薬品開発などの応用研究まで、数多くの目的に利用される技術であり、様々な導入技術が開発されているが、なお遺伝子治療の分野でも安全かつ効率のよい遺伝子導入技術が求められている。
【0003】
例えば、近年注目されている遺伝子治療では、高効率の遺伝子ベクター(遺伝子の運び手)が重要である。遺伝子ベクターは、ウィルスベクターと非ウィルスベクターに分類される。ウイルスベクターとして、レトロウィルス、アデノウィルス、アデノ随伴ウイルスなどが、高い遺伝子発現を示すとして利用されてきた。しかし、1999年にアメリカで行われた臨床遺伝子治療において、過剰量のアデノウィルス投与が原因とされる死亡事故が報告され、非ウィルスベクターへのニーズが高まっている。非ウィルスベクターとしては、カチオニックリポソームやカチオニックポリマーが検討されているが、非ウィルスベクターは生物学的危険性の回避や、化学修飾の容易性、高い操作性、低コストなどの利点がある反面、導入効率がウイルスに比べて低いという欠点がある。
【0004】
カチオニックリポソームは、比較的高い導入効率を有するので、生体外での遺伝子導入に利用されているが、生体内では安定性が低く、また、肝臓や脾臓といった細網内皮系組織に累積する欠点がある。一方、カチオニックポリマーとしてはジエチルアミノエチルデキストラン(DEAE−デキストラン)、ポリエチレンイミン(PEI)(非特許文献1参照)、ポリアミドアミンデンドリマー(非特許文献2参照)、カチオン性ペプチド(非特許文献3参照)、キトサン(非特許文献4参照)などが検討されているが、いずれもその遺伝子導入効率は低い。
【0005】
そこで、標的細胞の表面レセプターをターゲットとして、トランスフェリン、アシアロ糖タンパク質、糖などのリガンドと結合したリガンド−ポリカチオン結合体が用いられている。その他、核への輸送を目的として、核移行シグナル(NLS)配列のポリペプチドとの結合体が検討され、有意な核移行性が確認されている。また最近では、エンドソームを破壊するキャリヤー分子の検討も進んでいる。しかしながら、満足できる遺伝子発現頻度は達成されていない。
【0006】
また、標的細胞内においてのみ遺伝子を発現させるための新しい試みもなされており、例えば、細胞シグナル応答型遺伝子転写制御系(特許文献1)がある。
【0007】
これは、水溶性高分子の骨格にペプチドを結合させた遺伝子複合体形成材料であり、例えば炭化水素の高分子の主鎖に、ペプチドが測鎖として結合したものである。当該ペプチドは細胞内シグナル応答の酵素の基質となるアミノ酸配列及びカチオン性を与える塩基性アミノ酸を含有するものである。酵素の作用により、ペプチドにカチオン性を与えている部分が切断され分離され、高分子鎖からカチオン性を与えている部分が除去され、遺伝子と当該遺伝子複合体形成材料とからなる複合体が崩壊する。利用されている酵素は、細胞におけるシグナル伝達系、シグナル応答系に関与している酵素である。
【0008】
上記のように、様々な技術が開発されているが、いまだ確立した導入技術はなく、依然安全で遺伝子発現効率の高い核酸導入物質の開発が求められている。従って本発明の目的は、安全性が高い非ウイルスベクターであって、かつ優れた遺伝子発現効率を示す核酸導入物質を提供する事であり、より詳しくは細胞内酵素の作用により核酸を遊離することができる水溶性化合物、さらに当該水溶性化合物を含む高分子、及び当該水溶性化合物および/または当該高分子を含む、核酸を細胞内に送達するための薬剤を提供することであり、また、核酸以外にも負電荷を持つ物質、例えば負電荷を持つ薬剤・蛋白質なども細胞内に送達することができる水溶性化合物・高分子を提供することである。
【0009】
本発明者らは前記課題を解決するために、新たな核酸導入物質について独自に検討を行い、細胞に導入される核酸と、キャリアーとなる物質との複合体の諸特性と、核酸導入効率の相関について鋭意研究した結果、細胞内で核酸をアクティブに遊離するキャリアーが、優れた効果を奏することを見出した。すなわち、核酸と複合体を形成して、核酸を分解する酵素から保護するとともに、エンドサイトーシス等によって細胞内に取り込まれた後には、細胞内に存在する酵素の作用により、前記複合体形成能力が低下し核酸を遊離するキャリアーが優れた効果を有するとの知見を得て本発明を完成するに至った。
【0010】
【非特許文献1】
W. T. Godbey, K. K. Wu, A. G. Mikos., J Biomed Mater Res, 1997, 45, 268−275
【非特許文献2】
J. Haensler, F. C. Szoka, Jr., Bioconjug Chem, 1993, 4, 372−9
【非特許文献3】
N. Emi, Kidoai. K, Yoshikawa. H, H. Saito., Biochem Biophys Res Commun, 1997, 231, 421−4
【非特許文献4】
Minhyong Lee, Youngmin Kwon, Jae Joon Koh, Kyung Soo Ko, Sung Wan Kim., Pharm Res, 2001, 18(4), 427−431
【特許文献1】
特開2003−33178号公報
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様は、負電荷を持つ物質、例えば核酸と複合体を形成することができる水溶性化合物であって、細胞内酵素によって認識される認識部位を少なくとも1つ含み、かつ正電荷数が3以上であり、正電荷数(C)と水溶性化合物を構成する総原子数(N)の比(C/N)が、1/100以上であることを特徴とする、水溶性化合物に関する。
【0012】
本発明は、核酸と複合体を形成するためには、一定以上の正電荷が必要であることに着目してなされたものである。すなわち、当該水溶性化合物は、核酸と静電相互作用により結合するに足る正電荷を有することにより、核酸と複合体を形成する。しかし、当該複合体がエンドサイトーシス等により細胞内に取り込まれると、前記細胞内酵素が前記認識部位を認識して作用することにより、水溶性化合物内に切断が生じる。正電荷数が一定以下になる部位で水溶性化合物が切断されれば、核酸と複合体を形成する能力は失われる。また、当該水溶性化合物は核酸以外の負電荷を持つ物質、例えば負電荷を持つ薬剤や蛋白質とも複合体を形成できるため、核酸の場合と同様にこれらの物質を細胞内に送達し、細胞内酵素の作用により遊離させるために用いることもできる。
【0013】
具体例で説明すると(図1参照)、下記の配列A(配列番号1)はアミノ酸16個からなるポリペプチドである。このうち15個が、正電荷を生じさせる塩基性アミノ酸であるリジンとアルギニンであり、正電荷数3以上を満たす。また、C/Nは約1/25であり、1/100以上を満たす。また、当該ポリペプチドには、細胞内酵素であるフューリンに認識される配列RXXR(Rはアルギニン、Xは任意のアミノ酸を示す)が3箇所含まれる。配列A(配列番号1)では認識配列が重なって存在している。
配列A(配列番号1):HN−CKRRRKR KRR RKR KRR−COOH(Cはシステイン、Kはリジン、Rはアルギニン)
【0014】
正電荷数は好ましくは7以上であり、さらに好ましくは10以上である。また、正電荷が連続して並んでいる必要はなく、間に正電荷を有しない物質を含んでいてもよい。また、C/Nは好ましくは約1/60以上であり、さらに好ましくは約1/30以上である。
【0015】
細胞内酵素が認識部位に作用し、水溶性化合物が切断されて、各切断片の正電荷数が6以下、好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下になったとき、複合体が崩壊し、核酸等の負電荷を持つ物質が遊離する。
【0016】
前記細胞内酵素は、異なる2種以上の組み合わせであってもよいし、加水分解酵素であってもよい。
【0017】
細胞内酵素がプロテアーゼの場合は、認識部位は、該プロテアーゼによって認識されるアミノ酸配列である。アミノ酸配列は塩基性アミノ酸を含んでいてもよい。
【0018】
また、水溶性化合物はポリペプチドであってもよい。
【0019】
前記プロテアーゼがフューリンの場合は、前記認識アミノ酸配列が、アミノ酸の一文字表記でRXXR(Rはアルギニン、Xは任意のアミノ酸を示す)である。
【0020】
本発明の水溶性化合物は、前記認識アミノ酸配列RXXRを2〜約100個、好ましくは3〜約10個含んでおり、またスペーサーを介していてもよい(ただしこの場合、スペーサー部位の原子数は総原子数Nには含まれない)。
【0021】
前記水溶性化合物は、担体分子と結合して高分子を形成してもよい。前記担体分子は、好ましくは細胞指向性または組織指向性である。また、水溶性化合物が、負電荷を持つ物質との結合能力を失った場合に、速やかに当該物質と分離し得るように、正電荷を帯びていない方が好ましい。
【0022】
前記担体分子として、例えばプルランを挙げることができる。
【0023】
上述の水溶性化合物および高分子は、負電荷を持つ物質を細胞内に送達するためのキャリアーとして用いることができる。従って、当該水溶性化合物および高分子は、負電荷を持つ物質を細胞内に送達するための薬剤の材料として用いることが可能である。この際、当該薬剤は、キャリアーとして1種以上の水溶性化合物および/または1種以上の高分子を含んでいてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の負電荷を持つ物質としては、例えば核酸、負電荷を有する薬剤・蛋白質等がある。
【0025】
本発明でいう核酸は、DNA又はRNAであれば特に制限されない。本発明の核酸の例としては、特定の蛋白質をコードする遺伝子やアンチセンスDNA・アンチセンスRNA、siRNAなどが挙げられる。本発明の水溶性化合物は、前記核酸と静電相互作用により結合する。
【0026】
本発明の細胞内酵素は、細胞内に存在する酵素であって、好ましくは加水分解酵素である。加水分解酵素として、例えばプロテアーゼ、エステラーゼ、グルコシダーゼが挙げられる。当該細胞内酵素は異なる2種以上の組み合わせであってもよい。
【0027】
本発明の水溶性化合物に含まれる、細胞内酵素によって認識される認識部位は、プロテアーゼの場合にはアミノ酸配列であり、エステラーゼの場合にはエステル結合であり、グルコシダーゼの場合にはグルコシド結合である。水溶性化合物に含まれる認識部位は複数であってもよく、同一または異なっていてもよい。
【0028】
本発明の水溶性化合物の正電荷は、通常はアミノ基から生じる。
【0029】
前記認識部位のアミノ酸配列が、塩基性アミノ酸を含むときには、認識部位が正電荷を有することになり、当該部位が核酸と結合しうる。当該配列中の塩基性アミノ酸の割合が0.5〜1.0であることが、好ましく、より好ましい割合は約0.75である。塩基性アミノ酸としては、アルギニン、リジン、ヒスチジンが挙げられる。また、認識アミノ酸配列が複数存在する場合には、該配列同士は離れて、または隣接して存在していてもよく、重なって存在していてもよい。
【0030】
本発明の水溶性化合物は、ポリペプチドであってもよい。ポリペプチドのアミノ酸残基数は3〜400である。より核酸と複合体を形成しやすいのは、10個以上であり、より好ましくは15個以上である。また、ポリペプチド中の塩基性アミノ酸の割合が0.5〜1.0であることが、好ましく、さらに好ましい割合は約0.75以上である。
【0031】
本発明のプロテアーゼとしては、例えばフューリン、カルパイン、PACE4、カスパーゼ、細胞内メタロプロテアーゼ、PC8、PC1/PC3、PC2、PC4等があるが、好ましくはフューリンである。本発明の水溶性化合物に含まれる認識部位を、特定のプロテアーゼに特異的に認識されるアミノ酸配列とすることもでき、その場合には、特定の酵素の作用によって負電荷を持つ物質を遊離する、水溶性化合物・高分子とすることができる。
【0032】
フューリンの認識配列はRXXR(Rはアルギニン、Xは任意のアミノ酸である)である。アルギニンは塩基性アミノ酸であるため、当該配列自体が核酸と静電相互作用により結合しうる。本発明の水溶性化合物の一例として、フューリンの認識配列RXXRが、2〜約100個含まれるものがある。好ましくは2〜約30個含むものであり、さらに好ましくは3〜約10個含まれる。またスペーサーを介していてもよい(ただしこの場合、スペーサー部位の原子数は総原子数Nには含まれない)。スぺーサーはアミノ酸であっても良く、他の物質であっても良い。
【0033】
本発明の水溶性化合物は、担体分子と結合して高分子を形成することができる。本発明の担体分子は、正電荷に乏しい分子であって、前記負電荷を持つ物質と静電相互作用により結合することができない分子であり、このような分子であれば特に制限はない。
【0034】
担体分子は、前記高分子中の水溶性化合物が、負電荷を持つ物質との結合能力を失った場合に、速やかに当該物質と離れ得るように、正電荷を帯びていない方が好ましい。また、担体分子自体は水溶性である必要はなく、水溶性化合物と結合することにより高分子が水溶性になってもよい。
【0035】
担体分子として、水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコールを挙げることができ、本発明の水溶性化合物は、水溶性ポリマーの直鎖および/または側鎖に含まれて高分子を形成してもよい。また、担体分子は、正電荷に乏しい分子であればよいため、例えば塩基性アミノ酸の含有率の低いポリペプチド等も本発明の担体分子に含まれる。
【0036】
担体分子としては、細胞指向性または組織指向性があるものがより好ましく、例えば肝細胞指向性であるプルランを挙げることができる。
【0037】
本発明の高分子は、水溶性であることが好ましいが、水に完全に溶ける必要はなく、例えば水溶液中にコロイドのように分散して存在するものであってもよい。また、高分子は、直鎖状であってもよく、側鎖を有する形態であってもよく、微粒子状の形態であってもよい。また、高分子が集合し、ミセル状の形態を取ってもよい。
【0038】
高分子中の水溶性化合物が、負電荷を持つ物質と静電相互作用により結合し、高分子もまた当該物質と複合体を形成することになる。細胞内酵素の作用をうけ、水溶性化合物が当該物質と結合する能力を失うと、複合体が崩壊し、負電荷を持つ物質が高分子から遊離する。
【0039】
従って、本発明の水溶性化合物および高分子は、負電荷を持つ物質を細胞内に送達するキャリアーとして使用することができる。本発明の薬剤は、キャリアーとして1種以上の水溶性化合物および/または1種以上の高分子を含む。すなわち当該薬剤は、1種のみの水溶性化合物または高分子を含んでいてもよく、異なる2種以上の水溶性化合物・高分子を含んでいてもよい。
【0040】
また、本発明の高分子の分子量は1×10〜5×10である。
【0041】
【実施例】
以下、実施例を用いて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0042】
実施例1 フューリンの認識配列を含む水溶性化合物の合成
a)フューリンの認識配列はArg−X−X−Arg(Argはアルギニンを、Xは任意のアミノ酸を示す)であり、配列A(配列番号1)(HN−CKRRRKR KRR RKR KRR−COOH)(Cはシステイン、Kはリジン、Rはアルギニンを示す)を、0.1mmolスケールでペプチド自動合成装置を用いて合成した。
得られた樹脂つきの粗ペプチドを以下の手順で切り出し、脱保護を行った。まず、樹脂つき粗ペプチドにチオアニソール0.75ml、m−クレゾール4.5ml、トリフルオロ酢酸30ml、エタンジチオール2.5mlの混合溶液を加え、室温で2時間攪拌した。これをろ過し濃縮を行った。濃縮液を約20倍容のジエチルエーテルに対して再沈殿を行い、遠心後に上清を除去する操作を繰り返し、凍結乾燥を行って、目的とする水溶性化合物である配列A(配列番号1)を得た。
b)上記と同様にして、水溶性化合物である配列B(配列番号2)(HN−RKKR RKKR RKKR RKKR C−COOH)も合成した。
【0043】
実施例2 高分子の合成
a)実施例1で合成した配列A(配列番号1)(水溶性化合物)を用いて、以下の方法により水溶性多糖であるプルラン(担体分子)の側鎖に導入することで、遺伝子発現効率がさらに上昇する。35mgのプルランを2.5Nの水酸化ナトリウム水溶液3.5mlに溶解させ、プルラン水溶液とした。プルラン水溶液2mlに所定量のクロロエチルアミンを加え、40℃で4時間撹拌を行った。セルロース透析チューブ(分画分子量:10000)を用いて、超純水に対して透析を一晩行い、凍結乾燥した。反応物(17.8mg/ml)の水溶液500μlにPBS(Phosphate Buffer Saline)500μlを加え、さらにSPDP(N−Succinimidyl 3−(2−pyridyldithio)propionate)のエタノール溶液(24mg/ml)500μlを徐々に加え、室温で6時間反応した。20mlのエタノールに対して再沈を行い、得られた沈殿を1mlの水に溶解させてた後、凍結乾燥を行った。その後、2.7mgを190μlの超純水に溶解し、310μlのPBSを加え、さらに500μlの配列A(配列番号1)を含有する水溶液(10.9mg/500μl PBS)を加えて、室温で2.5時間反応を行った。セルロース透析チューブ(分画分子量:10000)を用いて、超純水に対して透析を一晩行い、凍結乾燥して、目的とする高分子を得た。
b)実施例1で合成した配列B(配列番号2)を用いて、上記と同様に、水溶性多糖であるプルランの側鎖に導入し、目的とする高分子を得た。
【0044】
実施例3 実施例2 a)で合成した、配列A(配列番号1)を含む高分子(以下、フューリン応答型高分子という)を用いた遺伝子導入実験
10cmシャーレ中で培養を行ったCOS−1細胞(SV40により形質転換したアフリカミドリザルの腎臓由来細胞)を96穴プレートに1穴あたり1×10になるように播種し、一晩培養した。
200ngのpCMV−Luc(ルシフェラーゼをコードしたプラスミドDNA)を45μlの無血清DMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium)に溶解し、所定濃度のフューリン応答型高分子のDMEM溶液5μlを加え、37℃で30分間インキュベートし、フューリン応答型高分子/pCMV−Luc複合体を形成した。
細胞上清をPBSで洗浄した後、フューリン応答型高分子/pCMV−Luc複合体溶液を添加し、200μMのクロロキン50μlを加えた。37℃で5時間インキュベートし、PBSで洗浄後、DMEM(10% FBS( fetal bovine serum)) 100μlを添加し、37℃で20時間培養した。
コントロールポリマーとしては、直鎖ポリエチレンイミン(l−PEI)、分岐ポリエチレンイミン(b−PEI)を用い、上記の方法で細胞への遺伝子導入を行った。
【0045】
実施例4 遺伝子発現効率の評価実験
細胞内で生成されたルシフェラーゼとD−ルシフェリンとの酵素反応からの発光量を遺伝子発現効率として評価した。
クロロキン処理を施した細胞をPBSで洗浄後、50μlの細胞溶解液(25mM Tris−phosphate, 2mM DTT, 2mM diaminocyclo−hexane−N,N,N’,N’acetate, 1v/v% glycerol, 1% Triton X−100)を添加し、室温中30分間の放置により細胞を溶解した。細胞溶解液25μlを100μlのルシフェラーゼ基質反応液(20mM Tricyne−NaOH(pH=7.8), 1.07mM basic MgSO, 2.67mM MgSO, 0.1mM EDTA(ethylenediaminetetraacetic acid), 270μM co−enzyme A, 530μM ATP, 33.3mM DTT(dithiothreitol), 470μM D−luciferin)に添加し、添加後20秒から30秒の10秒間の発光量を計測した。細胞溶解液5μlを用いて、クマシーブルー染色法を改変したDc Protein Assay Kit(Bio−Rad (株))のプロトコールに沿って全細胞中のタンパク質量を測定した。発光計測値を細胞内タンパク質量で除したRLU/mg proteinを遺伝子発現効率とした。測定結果を図2に示す。
【0046】
結果
図2で示すように、本発明にかかるフューリン応答型高分子は、従来より高発現効率キャリヤーとして知られている直鎖ポリエチレンイミンより高い遺伝子発現効率を示した。前記複合体における高分子と核酸との比率を、高分子の正電荷数(C)と核酸のリン酸基数(A)との比率(これをC/A比という)で表した場合、C/A比3程度から遺伝子発現効率は急激に上昇し、その後、C/A比20程度まで継続的に高い発現効率を示した。
【0047】
【発明の効果】
本発明は細胞内に存在する酵素の作用により核酸を遊離することができる水溶性化合物を含む高分子を用いて、高い遺伝子発現効率を実現することができる。従って、当該水溶性化合物、高分子は、安全性が高い非ウイルスキャリアーとして、核酸、また、核酸以外にも負電荷を持つ薬剤・蛋白質などを効率よく細胞内に送達することができる。
【0048】
「配列表フリーテキスト」フューリンの認識配列を含むポリペプチド
【0049】
【配列表】
Figure 2005006576
Figure 2005006576

【図面の簡単な説明】
【図1】図1 (a)は、フューリンの認識配列、(b)は配列A・Bである。矢印はフューリンにより切断される箇所を示す。
【図2】図2 C/A比に対するルシフェラーゼ遺伝子の発現効率を示す折れ線グラフである。
【符号の説明】
● フューリン応答型高分子/pCMV−Luc
□ 直鎖ポリエチレンイミン/pCMV−Luc
△ 分岐ポリエチレンイミン/pCMV−Luc
◇ pCMV−Lucのみ
× 細胞のみ

Claims (10)

  1. 負電荷を持つ物質と複合体を形成することができる水溶性化合物であって、細胞内酵素によって認識される認識部位を少なくとも1つ含み、かつ正電荷数が3以上であり、正電荷数(C)と水溶性化合物を構成する総原子数(N)の比(C/N)が、1/100以上であることを特徴とする、水溶性化合物。
  2. 前記負電荷を持つ物質が核酸である、請求項1記載の水溶性化合物。
  3. 前記正電荷数が7以上である、請求項1または2記載の水溶性化合物。
  4. 前記細胞内酵素が前記認識部位に作用して、前記水溶性化合物が切断されたとき、各切断片の正電荷数が6以下になる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水溶性化合物。
  5. 前記細胞内酵素が、プロテアーゼであり、前記認識部位が該プロテアーゼによって認識されるアミノ酸配列である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水溶性化合物。
  6. 前記水溶性化合物が、ポリペプチドである、請求項5記載の水溶性化合物。
  7. 前記プロテアーゼがフューリンであり、前記認識アミノ酸配列が、アミノ酸の一文字表記でRXXR(Rはアルギニン、Xは任意のアミノ酸を示す)である、請求項5または6記載の水溶性化合物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水溶性化合物が、担体分子と結合してなる高分子。
  9. 前記担体分子が、細胞指向性または組織指向性である、請求項8記載の高分子。
  10. 負電荷を持つ物質を細胞内に送達するための薬剤であって、キャリアーとして、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水溶性化合物、および請求項8または9記載の高分子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする薬剤。
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