【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大豆の香りが豊かで食感の滑らかな豆腐の製造方法に関し、さらに詳しくは大豆の香りが豊かで食感の滑らかな作りたてのおいしさを有する豆腐の製造方法及びその原料となる豆腐用豆乳の製造方法並びに当該豆乳及びその容器と凝固剤とからなる手作り豆腐セットに関する。
【0002】
【従来の技術】
豆腐は古くから広く食されてきている食品である。消費者は多くの場合、作りたて豆腐の特徴である大豆の香ばしく甘い香りを有する豆腐を好む。
【0003】
従来の技術において、家庭においても容易に新鮮な豆腐を作ることができる手作り用豆腐セットは考案されていた(特開平11−346699号公報(特許文献1)参照)が、この技術では新鮮な豆腐を食することはできるものの、できたて豆腐特有の甘く香ばしい香りを楽しむには満足のいくものではなく、より風味の強い豆腐が望まれていた。
【0004】
また、従来において、豆腐の風味を改善する技術としては、豆乳にイソマルトオリゴ糖を添加し「まろやかで上品な甘味」を付与するという技術が知られている(特開平2−190159号公報(特許文献2)参照)が、豆乳に糖を添加しただけでは甘味は改善されやや食べやすくはなるが、糖がイソマルトース、パノース、イソマルトトリオース等の低甘味度のものであり、添加後に蒸煮加熱工程がないので、充分な「できたての豆腐」の甘く香ばしい香りを付与することはできなかった。
【0005】
あるいは、封入水にオリゴ糖などの糖質溶出抑制剤を添加し豆腐内の成分が封入水に溶け出るのを防ぐ方法も知られている(特開平4−11859号公報(特許文献3)参照)が、この方法では、甘味や旨み成分が浸透圧により溶出することは防げても、充分な「できたての豆腐」の甘く香ばしい香りを付与することはできなかった。
【0006】
即ち、従来の技術では達成できなかった「できたての豆腐」のような大豆の香ばしく甘い香りが豊かでかつなめらかな食感の作りたてのおいしさを有する豆腐が求められていた。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−346699号公報
【特許文献2】
特開平2−190159号公報
【特許文献3】
特開平4−11859号公報
【特許文献4】
特開平10−99040号公報
【非特許文献1】
新農産物利用学 (朝倉書店発行,加藤博通ら著,1987年)
【非特許文献2】
エンジニアズブック(技術データ集)11版 (兵進装備株式会社発行,沢田継男ら監修,1998年)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、大豆の香ばしく甘い香りが豊かでかつなめらかな食感の作りたてのおいしさを有する豆腐の製造方法、及びその原料となる豆腐用豆乳の製造方法、並びに当該豆乳を利用した手作り豆腐セットを開発することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者はできたての豆腐の香り成分が、大豆に含まれる糖類とアミノ酸などの蛋白質がアミノカルボニル反応(メイラード反応)によって生じる「ピラジン類」や、大豆中の糖同士のカラメル化などによって生じる「フラノン類」であることに着目した。
【0010】
生呉に糖類を添加した後蒸煮した豆乳を鋭意分析検討した結果、生呉に甘味度が60%以上の糖類を一種類もしくは二種類以上を0.5%(重量/豆乳重量)〜3.0%(重量/豆乳重量)の範囲で添加し蒸煮加熱することでより芳香が強い、できたての豆腐が製造できることを見出し、本発明を完成させることに至ったのである。さらに豆腐製造の段階で得られる豆乳は、豆腐に使用するだけでなく、芳香が強い豆乳として飲料においても使用できることをも見出した。
【0011】
すなわち、請求項1に記載の発明は、生大豆磨砕時の引き水及び/または生呉に、甘味度(蔗糖の甘味度を100%とする)が60%以上の糖類の少なくとも一種類以上を、0.5〜3.0%(重量/豆乳重量)添加し、続いて蒸煮加熱して得た豆乳を使用することを特徴とする豆腐の製造方法である。
【0012】
請求項2に記載の発明は、生大豆磨砕時の引き水及び/または生呉に、甘味度(蔗糖の甘味度を100%とする)が60%以上の糖類の少なくとも一種類以上を、0.5〜3.0%(重量/豆乳重量)添加し、続いて蒸煮加熱することを特徴とする豆乳の製造方法である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、糖類として、蔗糖、グルコース、大豆オリゴ糖、果糖、キシロース、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖、高果糖液糖、キシリトール、マルチトールから選ばれることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、請求項2記載の豆乳、及び前記豆乳が充填された包装容器、及び個別包装された凝固剤からなる豆腐用セットである。
【0014】
ちなみに、豆腐製造段階で糖類を使用する方法としては、前に述べた方法(特許文献2、特許文献3参照)の他に、冷凍耐性豆腐用のドリップ防止や分散性の目的でゼラチンなどのゲル化剤やデキストリンと一緒にイソマルトースやマルトースなどのオリゴ糖類を生呉に添加する方法も考えられている(特開平10−99040号公報(特許文献4)参照)。しかし、この方法は、本発明とは異なり冷凍耐性を向上させるために糖類を使用しており、そのために糖類としてはイソマルトース(甘味度 推定値45〜50%)やマルトース(甘味度35〜46%)のように甘味度の低いものを用いている。さらに糖類の添加の際、ゼラチンなどのゲル化剤やデキストリンを一緒に添加している点でも、本発明とは異なる。
【0015】
なお、本発明において「引き水」とは、下記の豆腐の製造工程の内「磨砕」工程で添加される水のことを言う。
大豆の精選――洗浄――浸漬――磨砕――(生呉)――加熱――(煮呉)――おから分離――(豆乳)――凝固剤添加――凝固――冷却――(豆腐)
上記工程中、()で括られたものは結果物である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、甘味度が60%以上の糖類、大豆、凝固剤からなる豆腐に関するものである。
【0017】
本発明において使用する糖類は大豆オリゴ糖、蔗糖、グルコースなどの甘味度が60%以上の糖類であれば何でも良い。アミノカルボニル反応のような「加熱香気形成反応で重要な反応の一つはストレッカー分解である。この反応でα−アミノ酸からアルデヒドを生じ、アミノ基の窒素は縮合してピラジン、ピリジンなどの環状化合物を生ずる。」(「新農産物利用学 (朝倉書店発行,加藤博通ら著,1987年)」(非特許文献1)P61参照)と記載されているように、本発明ではストレッカー分解により大豆を蒸煮した時に発生する香ばしい臭いの素となるピラジン類やアルデヒド類が発生していると考えられる。一般にアミノカルボニル反応(メイラード反応)はアミノ化合物と還元糖によって反応を起こすといわれており、還元性を持たない蔗糖はメイラード反応を起こさないといわれているが、本発明はメイラード反応に限定されるものではなく、「低分子糖質を加熱して行くと、150℃以上で溶融すると同時に分解が起こり着色する。この変化をカラメル化(caramelization)という。…………カラメル化によって生ずる特徴的な生成物は、マルトール、シクロテン、4−ヒドロシキー2,5−ジメチル3(2H)−フラノンなどの甘い香り(sugary flavorまたはcaramel flavor)を持った化合物と褐色の色をもった構造不詳の重合物である。」(非特許文献1のP57〜58)と記載されているように、糖同士のカラメル化などによって発生する4−ヒドロシキー2,5−ジメチル3(2H)−フラノンなどに代表されるシュガリーフレーバーなどの甘い香りをもった重合物の発生にも起因していると考えられるので蔗糖や糖アルコールなどの還元性を持たない糖類でも良い。
【0018】
大豆オリゴ糖、蔗糖、グルコース以外には果糖(甘味度115〜175%)、キシロース(甘味度67%)、果糖ぶどう糖液糖(果糖含有率が50%以上90%未満のもの)、ぶどう糖果糖液糖(果糖含有率が50%未満のもの)、高果糖液糖(果糖含有率が90%以上のもの)などの還元性の強い糖はもちろんのこと、キシリトール(甘味度65〜100%)、マルチトール(甘味度75〜95%)などの還元性のない糖アルコールでも甘味度が60%以上であれば良い。
【0019】
しかし、イソマルトオリゴ糖、ラフィノース、スタキオースなどの単品で使用する場合甘味度が60%より低いものは、必要な甘さや香りを出すために添加量を増加させても豆乳粘度が増加しなめらかな豆腐ができないため好ましくない。
【0020】
大豆オリゴ糖などのようにラフィノースやスタキオースを多く含むが総合で甘味度が60%以上あることが必要である。単品で甘味度が60%なくても甘味度が高い糖と組み合わせたりすることで甘味度が60%以上になるのであれば、甘味度の低い糖を使用しても構わない。なお、使用した糖類の甘味度については、「エンジニアズブック(技術データ集)11版 (兵進装備株式会社発行,沢田継男ら監修,1998年)」(非特許文献2)のP136の甘味度と酸味度、1.「糖および糖アルコールの比較甘味度」の表を参考にした。
【0021】
本発明に使用する大豆はIOM大豆(アメリカ産大豆)、有機大豆、国産大豆、中国産大豆等いずれでも良い。また丸大豆、脱皮大豆のいずれでも良い。
また、凝固剤も通常の凝固剤でも構わない。例えば、GDL(グルコノデルタラクトン)、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、トランスグルタミナーゼ、食酢、クエン酸、食塩、海水にがり、粗製海水塩化マグネシウムなどである。これらを単品もしくは組み合わせて使用する。添加量としては豆乳に対し0.2〜0.5%と通常の豆腐を製造する基準量で構わない。
【0022】
本発明において製造される豆乳は、おおむね豆乳濃度BRIX11.0〜16.5(豆乳濃度計SM−20E アタゴ社製 10℃測定)が望ましい。通常の絹豆腐や充填豆腐に使用される豆乳の濃度はおおむね10.5〜13.5程度であるが、糖類を0.5〜3.0%添加すると上記の豆乳濃度になる。
【0023】
糖類を添加する順番として、豆乳製造後に添加するのではなく、生大豆磨砕時の引き水の一部もしくは全量に溶解するか、または生呉に直接添加する必要がある。
【0024】
これは豆乳製造後の添加では、蒸煮加熱工程によるアミノカルボニル反応やカラメル化が起きず香気成分が生成されないからである。糖類を加水(大豆に対して約4〜6倍量の加水を行う。これは通常の製法と全く同じ加水量である)する水に予め溶かすか、生呉に添加して良く攪拌し、蒸煮工程後おからを分離して得られたものを豆乳とする。蒸煮工程として、通常の豆乳を製造する条件である90〜110℃で2〜15分加熱すれば良い。高い温度帯で長い時間行えばアミノカルボニル反応やカラメル化は発生しやすいが、豆乳の粘度が増大し、豆腐のなめらかさは失われぼそぼそとしたおいしくない豆腐となってしまうので注意が必要である。2分より短いとアミノカルボニル反応やカラメル化は発生せず豆乳自体が若炊きの状態になり蛋白質が十分変性せずに凝固しなくなる。蒸煮条件としては95〜110℃で5〜15分がより望ましい。
【0025】
本発明の実施の形態としては、香気成分の豊富な上記豆乳に凝固剤を添加して製造される木綿豆腐、絹豆腐、寄せ豆腐、おぼろ豆腐、充填豆腐、焼き豆腐などが挙げられるが、最も望ましくは、当該豆乳を利用した手作り豆腐セットとして消費者に提供することである。すなわち、図1のように当該豆乳を容器に充填包装し、包装された凝固剤を別添付した形態のものである。容器としては、ピロー包装や丸型容器、四角型容器などいずれでも良く、当該豆乳を50〜500g程度充填する。
【0026】
豆乳の殺菌方法として、ホットパック充填又は一度冷却された豆乳を容器に充填後加熱殺菌することが考えられる。殺菌条件は通常の60〜90℃、15〜90分程度の殺菌で充分であり加熱殺菌後すぐに10℃以下に冷却すれば5〜30日間程度日持ちが可能になる。別添付の凝固剤は上記凝固剤を5〜10倍量の加水で溶解したものを豆乳量に合わせて0.2〜0.5%程度になるように小袋として充填する。この当該豆乳による手作り豆腐セットによって、家庭で簡単に電子レンジを使用して「できたて」の豆腐をより香り豊かにおいしく食べることが可能になる。すなわち、豆乳容器のフタを外し、別添付の凝固剤を添加してムラが生じないように充分にかき混ぜ、家庭用の電子レンジで70〜100℃程度になるように温め、1〜20分程度置いて食したものは非常に美味な豆腐である。
【0027】
なお、本発明の製造方法により得られた豆腐はがんもなどの豆腐加工食品にも利用できる。また、豆腐製造の段階で得られる豆乳は、豆腐の原料として使用するだけでなく、芳香が強い豆乳として飲料として使用することもできる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明について実施例をあげて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
<実施例1>
まず、本発明者は最適な糖の生呉への添加量の確認を行った。
国産大豆(スズユタカ)9kgを10℃で15時間浸漬した後、水切りしてトータルの加水量が5倍になるように加水し、グラインダー((株)長沢機械製作所社製、サワーボーイNSG−08F)を用いて磨砕した。磨砕した呉に、消泡剤((株)理研ビタミン:エマルジースーパー88)45gと大豆オリゴ糖(カルピス株式会社 商品名:大豆オリゴ糖シロップSOE 成分:蔗糖20%、スタキオース18%、ラフィノース8%、水分24%、その他30% 甘味度70%(蔗糖を100%とする))を添加し、100℃で10分蒸煮した後、おからを分離し約40kgの豆乳を得た。豆乳は10℃まで冷却した。大豆オリゴ糖の添加量として生呉に対し0%、0.5%、1.5%、3.0%、3.5%の割合で添加し試験を繰り返した。添加方法は大豆オリゴ糖を予め加水する水に溶かして添加した。得られた豆乳に対し、pH、粘度、豆乳BRIXを測定した上で、豆腐試食を実施し、大豆オリゴ糖0%添加区をコントロールとした官能評価を実施した。
その結果、表1に示すような結果が得られた。
【0030】
なお、官能評価の測定方法としては以下の方法を用いた。
長年豆腐の官能評価に携わり熟知した10名のパネリストにより試食を行い、その結果により評価した。試食方法として、10℃に冷却された豆乳60gをリスパック社製インジェクション容器(RP60)に入れ、塩化マグネシウム((株)赤穂化成社製、商品名:クリスタリン)0.21gを2gの水に溶解したものを添加し、良く攪拌した後、表面にラップフィルムをして家庭用電子レンジ(松下電器産業株式会社製ナショナルオーブンレンジNE−N4)にサンプル6個分をセットし、3分10秒間500Wで加熱した。レンジ加熱10分後に取り出し試食を行った。評価の際、薬味、調味料は使用せず、そのまま食べ、大豆風味(5点を強い、4点をやや強い、3点はコントロールと同じ、2点はやや弱い、1点は弱い)、風味嗜好(5点を良い、4点をやや良い、3点はコントロールと同じ、2点はやや悪い、1点は悪い)、甘味(5点を強い、4点をやや強い、3点はコントロールと同じ、2点はやや弱い、1点は弱い)、食感(5点を固い、4点をやや固い、3点はコントロールと同じ、2点はやや柔らかい、1点は柔らかい)、食感(5点をなめらか、4点をややなめらか、3点はコントロールと同じ、2点はぼそぼそしている、1点はぼそぼそしている)、食感嗜好(5点を良い、4点をやや良い、3点はコントロールと同じ、2点はやや悪い、1点は悪い)、総合おいしさ(5点をおいしい、4点をややおいしい、3点はコントロールと同じ、2点はややまずい、1点はまずい)について各々5段階評価し、その平均点を記載した。
【0031】
【表1】
【0032】
表1の結果から、大豆オリゴ糖での適性添加量は0.5%〜3.0%であることが確認できた。最適添加量としては1.5%であることが確認された。添加量が上がるにつれて大豆の風味は強くなり評価が上がっていくが、甘すぎると豆腐としては不自然な味になり、3.5%以上では逆に評価が悪くなった。なお、本実験の1.5%の添加区において詳細は記載していないが、糖の添加方法として、引き水に添加した場合と生呉に直接添加した場合とで豆乳や豆腐の官能評価に差が生じなかったことを確認している。また、豆乳においての官能評価でも豆腐と同様に0.5〜3.0%が好まれた。
【0033】
<実施例2>
次に、「糖を添加する工程の違い」及び「糖の種類の違い(甘味度の違い)」による味の差異の確認を行った。まず、実施例1記載の大豆オリゴ糖1.5%添加品をコントロールとした。次に糖無添加(実施例1で大豆オリゴ糖添加量0%のもの)の冷却豆乳に大豆オリゴ糖を1.5%添加したものを比較した。更に、実施例1記載の大豆オリゴ糖1.5%添加品と同じ製法で、大豆オリゴ糖の代わりに蔗糖、グルコース、スタキオース、ラフィノース、イソマルトオリゴ糖(全て伊勢久株式会社より特級試薬として購入)を各々添加して豆乳を得、豆乳分析、香気成分分析、豆腐官能評価を実施した。
その結果、表2に示すような結果が得られた。
【0034】
【表2】
【0035】
表2の結果より、豆乳に大豆オリゴ糖を添加したものは生呉に添加したものに比べ、甘味は同等であるが大豆風味が非常に弱く、総合評価は非常に低いことがわかった。また、生呉添加系においては蔗糖が非常に評価が高く、グルコースは大豆オリゴ糖と同等の評価であった。これは同一添加量系において甘味度が一番高かったことに起因している可能性が考えられた。実施例には詳細な記載はしないが、大豆オリゴ糖と蔗糖を同一の甘味度合いになるように試料を調整したものは総合でのおいしさ評価に差がなかったことは確認済みである。
【0036】
一方、甘味度の低いスタキオース、ラフィノース、イソマルトオリゴ糖は生呉に添加した割には大豆の風味が弱く評価が低かった。
また、これらの豆腐に関して香気成分の分析を実施したので結果を表3に示す。
【0037】
なお、香気成分の分析についてはガスクロマトグラフ質量分析器を使用して分析を行った。詳細を以下に示す。
ガスクロマトグラフ質量分析器はアジレントテクノロジー社製の5973Nを使用し、これにゲステル社製の加熱脱着導入システムTDS2を接続して使用した。まず試料サンプル(下記に示した官能評価時の豆腐サンプルと同じ作り方)を、スパテルを用いてホモジナイズし、25gを50ml容ナスフラスコにサンプリングした。このナスフラスコを捕集器に接続し、豆腐の揮発成分を捕集管に濃縮トラップした。捕集器はテナックス捕集セット(ジーエルサイエンス社製)を使用した。捕集条件として、捕集管(TENAX−TA 120mg)、パージ N2(50ml/min)10分、ドライパージ 10分、加熱温度 40℃で行った。捕集管を加熱脱着導入システムにセットし、揮発成分を加熱脱着しガスクロマトグラフ質量分析器に導入した。脱着条件は、初期温度20℃から毎分60℃で250℃まで加熱を行い 250℃で4分保持した。導入条件は、初期温度−150℃から毎分12℃で240℃まで加熱し、240℃で10分保持した。ガスクロマトグラフ質量分析器の条件として、カラムはTC−WAX(60m×0.25mmI.D. 0.25μm:ジーエルサイエンス社製)、オーブン温度条件は初期温度50℃で5分保持し、その後、毎分5℃で230℃まで加熱し、230℃で20分保持した。キャリアガスとしてHeを使用し、イオン化法EIで検出を行った。
【0038】
データ解析方法として、アジレントテクノロジー社製のケミステーションを使用し、クロマトグラム中の各ピーク値の積分及び検索(NIST98のPBMライブラリ使用)を行った。検索は一致率が最も高い成分を該当成分とした。さらに、ゲステル社製のスニッフィングポート(ODP2)を使用して、カラムで分離後の香りを嗅ぐことにより香りの特徴や強さの記録を5段階で官能的に評価した。スニッフィングポートの条件として、カラムの終点でクロスピースによって、検出器側とスニッフィング側に分岐をさせ、流量の3/4をスニッフィングに使用した。メイクアップガスとして窒素を使用した。
【0039】
ピラジン類やフラノン類はごく微量にしか存在しないためピークが発生しずらく、ピーク面積からその存在量の多少を推定することが困難なため、スニッフィングによって官能的に強弱を5段階で表現した。
【0040】
ピラジン類としては豆腐中に2,6−Dimethyl pyrazineが存在していると本発明者は推定しており、ガスクロマトグラフ質量分析開始後19分30秒前後にスニッフィングにて確認された。ごく微量なためピークはほとんど発生しないが、2,6−Dimethyl pyrazineを標品として添加したものは同一時間帯にピークが発生し、またスニッフィングによる臭いも同じであることから2,6−Dimethyl pyrazineであると本発明者は同定している。ただし2,6−Dimethyl pyrazineだけに限定するものではなく、他にもピラジン類が存在している可能性はある。
【0041】
フラノン類としては豆腐中にDihydro−5−pentyl−2(3H)−Furanoneが存在していると本発明者は推定しており、ガスクロマトグラフ質量分析開始後35分30秒前後にスニッフィングにて確認された。ごく微量なためピークはほとんど発生しないが、Dihydro−5−pentyl−2(3H)−Furanoneを標品として添加したものは同一時間帯にピークが発生し、またスニッフィングによる臭いも同じであることからDihydro−5−pentyl−2(3H)−Furanoneであると本発明者は同定している。ただしDihydro−5−pentyl−2(3H)−Furanoneだけに限定するものではなく、他にもフラノン類が存在している可能性はある。前述のように、非特許文献1の58ページには、4−ヒドロシキー2,5−ジメチル3(2H)−フラノンなどが代表されるシュガリーフレーバーとして明記されており、本発明実験においては構造の類似するDihydro−5−pentyl−2(3H)−Furanoneが確認された。
【0042】
【表3】
【0043】
表3の結果から豆乳にオリゴ糖を添加した豆腐は青臭みの原因とされるHexanalの発生が多く、一方2,6−Dimethyl pyrazine やDihydro−5−pentyl−2(3H)−Furanoneの臭いはほとんど感じられなかった。これはアミノカルボニル反応やカラメル化によるピラジン類やフラノン類の発生がほとんど起こっていないためと考えられる。生呉に添加した糖の中では蔗糖、グルコース、大豆オリゴ糖に比べスタキオース、ラフィノース、イソマルトオリゴ糖は2,6−Dimethyl pyrazine やDihydro−5−pentyl−2(3H)−Furanoneの臭いが弱かった。何故これらの甘味度の低い糖においてピラジン類やフラノン類の発生が少ないのか因果関係は不明であるが、アミノカルボニル反応やカラメル化が発生しにくくなっていると本発明者は推定している。また、表には記載していないが豆乳の官能評価においても豆腐と同様の結果が得られた。すなわち、豆乳に糖を添加したレベルでは単に青くさい香りの豆乳でありおいしくなかった。しかし、生呉に蔗糖、グルコース、大豆オリゴ糖を添加したものは香ばしく飲み易い豆乳であった。一方スタキオース、ラフィノース、イソマルトオリゴ糖は芳醇な香りに欠ける飲みにくい豆乳であった。
【0044】
<実施例3>
次に、本発明者は甘味度の低いスタキオース、ラフィノース、イソマルトオリゴ糖に関して添加量をあげて試作し官能評価が向上するかについて確認を行った。
【0045】
実施例2の方法に基づき、スタキオースは添加量を3%に、ラフィノースは添加量を6.5%に、イソマルトオリゴ糖は添加量を3%(甘味度として蔗糖と同一の甘味になるように)に上げて再度同じように試作をした。
その結果、表4に示すような結果が得られた。
【0046】
【表4】
【0047】
表4の結果より、甘味度の低い糖においては添加量をあげると豆乳粘度が増大し、にがりが均一に混ざらなくなりぼそぼそとした食感の豆腐になることがわかった。よって甘味度が60%より低いものは、糖添加量を上げても香りが芳醇で食感の良い豆腐を作ることができないと言える。
【0048】
一方、蔗糖、グルコース、大豆オリゴ糖などの甘味度が60%以上の糖類を生呉に添加し蒸煮加熱することで、アミノカルボニル反応やカラメル化によるピラジン類やフラノン類などの香気成分を発生させ、香ばしく甘い香りで、かつ滑らかな食感の豆腐を製造することができると言える。また、表には記載していないが豆乳の官能評価においても豆腐と同様の結果が得られた。すなわち、スタキオース、ラフィノース、イソマルトオリゴ糖の添加量を上げると芳醇な香りはするが粘度が高く飲みにくくおいしくない豆乳であった。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、大豆の香ばしく甘い香りが豊かで、なめらかな食感の作りたてのおいしさを有する豆腐の製造方法及びその原料となる豆腐用豆乳の製造方法並びに当該豆乳を利用した手作り豆腐セットを提供することができ、できたての豆腐をより風味よくおいしく消費者に提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】豆腐用セットを示す側面図。
【符号の説明】
1.豆乳入りカップ
2.オーバーキャップ
3.凝固剤入り小袋
4.トップフィルム[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing a tofu with a rich soybean scent and a smooth texture, and more specifically, a method for producing a tofu having a freshly prepared delicious tofu with a rich soybean scent and a texture. The present invention relates to a method for producing soymilk for tofu and a handmade tofu set comprising the soymilk and its container and a coagulant.
[0002]
[Prior art]
Tofu is a food that has been widely eaten since ancient times. Consumers often prefer tofu with the savory and sweet aroma of soy that is characteristic of freshly prepared tofu.
[0003]
In the prior art, a handmade tofu set has been devised that can easily produce fresh tofu at home (see Japanese Patent Application Laid-Open No. 11-346699 (Patent Document 1)). Although it can be eaten, it is not satisfactory for enjoying the sweet and fragrant fragrance unique to fresh tofu, and a more flavorful tofu has been desired.
[0004]
In addition, conventionally, as a technique for improving the flavor of tofu, a technique of adding isomaltoligosaccharide to soy milk to impart a “mellow and elegant sweetness” is known (Japanese Patent Laid-Open No. 2-190159 (patent) Although the sweetness is improved just by adding sugar to soy milk, the sugar is low in sweetness such as isomaltose, panose, isomalttriose, etc. Since there was no heating step, it was not possible to impart a sufficient “freshly made tofu” sweet and fragrant aroma.
[0005]
Alternatively, a method is known in which a sugar elution inhibitor such as an oligosaccharide is added to encapsulated water to prevent the components in tofu from dissolving in the encapsulated water (see JP-A-4-11859 (Patent Document 3)). However, in this method, even if it was possible to prevent the sweetness and umami components from being eluted by osmotic pressure, it was not possible to impart a sufficient “freshly made tofu” sweet and fragrant aroma.
[0006]
In other words, there has been a demand for a tofu having a freshly made taste that is rich in a fragrant and sweet scent of soybeans, such as “freshly made tofu” that cannot be achieved by conventional techniques.
[0007]
[Patent Document 1]
JP 11-346699 A
[Patent Document 2]
JP-A-2-190159
[Patent Document 3]
JP-A-4-11859
[Patent Document 4]
Japanese Patent Laid-Open No. 10-99040
[Non-Patent Document 1]
New Agricultural Products Utilization (published by Asakura Shoten, written by Hiromichi Kato, 1987)
[Non-Patent Document 2]
Engineers Book (Technical Data Collection) 11th edition (published by Hyoshin Kikai Co., Ltd., supervised by Sadao Sawada et al., 1998)
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention relates to a method for producing tofu having a delicious and freshly savory taste with a rich and savory sweet scent of soybeans, a method for producing soymilk for tofu as a raw material thereof, and a handmade tofu set using the soymilk The issue is to develop.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The present inventor made fresh tofu scent components by “pyrazines” produced by aminocarbonyl reaction (Maillard reaction) of sugars and amino acids and other proteins contained in soybeans, or by caramelization of sugars in soybeans. We focused on the resulting “furanones”.
[0010]
As a result of diligent analysis of soy milk cooked after adding sugar to raw kure, 0.5% (weight / soy milk weight) of one or more sugars having a sweetness of 60% or more in raw kure to 3. It has been found that fresh tofu with a stronger aroma can be produced by adding it in the range of 0% (weight / weight of soy milk) and heating by steaming, and has completed the present invention. Furthermore, the present inventors have found that soy milk obtained at the stage of tofu production can be used not only for tofu but also as a soy milk with a strong aroma in beverages.
[0011]
That is, the invention according to claim 1 is characterized in that at least one kind of saccharides having a sweetness level (the sweetness level of sucrose is 100%) is 60% or more in the pulling water and / or raw koji at the time of grinding raw soybeans. Is added to 0.5 to 3.0% (weight / weight of soy milk), and then the soy milk obtained by steaming and heating is used.
[0012]
The invention according to claim 2 is characterized in that at least one kind of saccharides having a sweetness level (the sweetness level of sucrose is defined as 100%) of 60% or more in the pulling water and / or raw kure at the time of raw soybean grinding, A method for producing soymilk, comprising adding 0.5 to 3.0% (weight / weight of soymilk), followed by steaming and heating.
[0013]
The invention according to claim 3 is characterized in that the saccharide is selected from sucrose, glucose, soybean oligosaccharide, fructose, xylose, fructose glucose liquid sugar, glucose fructose liquid sugar, high fructose liquid sugar, xylitol, and maltitol. The manufacturing method according to claim 1 or 2.
The invention according to claim 4 is a set for tofu comprising the soy milk according to claim 2, the packaging container filled with the soy milk, and the coagulant individually packaged.
[0014]
By the way, as a method of using saccharides in the tofu production stage, in addition to the methods described above (see Patent Document 2 and Patent Document 3), gels such as gelatin for the purpose of preventing drip for freeze-resistant tofu and dispersibility A method is also considered in which oligosaccharides such as isomaltose and maltose are added together with an agent and dextrin to ginger (Japanese Patent Laid-Open No. 10-99040 (Patent Document 4)). However, unlike the present invention, this method uses saccharides to improve freezing tolerance, and as such saccharides, isomaltose (sweetness estimated value 45-50%) or maltose (sweetness 35-46). %), Etc., which have low sweetness. Furthermore, it differs from the present invention in that a gelling agent such as gelatin and dextrin are added together with the addition of saccharides.
[0015]
In the present invention, “pulling water” refers to water added in the “grinding” step in the following tofu production steps.
Soybean Selection-Cleaning-Soaking-Grinding-(Namago)-Heating-(Boiled Kure)-Okara Separation-(Soy Milk)-Coagulant Addition-Solidification-Cooling- -(tofu)
In the above process, what is enclosed in parentheses is the result.
[0016]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
The present invention relates to tofu comprising sugars, soybeans and coagulants having a sweetness of 60% or more.
[0017]
The saccharide used in the present invention may be any saccharide having a sweetness of 60% or more, such as soybean oligosaccharide, sucrose, and glucose. “One of the important reactions in the heated aroma formation reaction such as aminocarbonyl reaction is Strecker decomposition. This reaction produces an aldehyde from an α-amino acid, and the nitrogen of the amino group is condensed to form a cyclic such as pyrazine or pyridine. In the present invention, soybeans are produced by Strecker decomposition, as described in "New agricultural product utilization science (Asakura Shoten, published by Hiroto Kato et al., 1987)" (Non-patent Document 1) P61). It is thought that pyrazines and aldehydes that are the source of the fragrant odor generated when steamed are cooked. In general, the aminocarbonyl reaction (Maillard reaction) is said to cause a reaction with an amino compound and a reducing sugar. It is said that non-reducing sucrose does not cause a Maillard reaction, but the present invention is limited to the Maillard reaction. “When heating low molecular carbohydrates, it melts at 150 ° C or higher and decomposes and becomes colored. This change is called caramelization .... Characteristic of caramelization. The product is a compound having a sweet flavor such as maltol, cycloten, 4-hydrocykey 2,5-dimethyl3 (2H) -furanone and a polymer having an unknown structure with a brown color. It is described (P57-58 of Non-Patent Document 1). In addition, it is also caused by the generation of a polymer having a sweet scent such as sugar leaf flavor such as 4-hydrocykey 2,5-dimethyl3 (2H) -furanone, which is generated by caramelization of sugars. Therefore, saccharides having no reducing ability such as sucrose and sugar alcohol may be used.
[0018]
In addition to soybean oligosaccharide, sucrose and glucose, fructose (sweetness 115-175%), xylose (sweetness 67%), fructose glucose liquid sugar (fructose content of 50% or more and less than 90%), glucose fructose liquid Not only strong reducing sugars such as sugar (fructose content is less than 50%), high fructose liquid sugar (fructose content is 90% or more), xylitol (sweetness 65 to 100%), Even sugar alcohols having no reducing property such as maltitol (sweetness 75 to 95%) may have a sweetness of 60% or more.
[0019]
However, when used alone as isomaltoligosaccharides, raffinose, stachyose, etc., those with a sweetness level lower than 60% increase the soy milk viscosity even if the amount added is increased in order to produce the necessary sweetness and aroma. It is not preferable because it cannot be done.
[0020]
Although it contains a lot of raffinose and stachyose, such as soybean oligosaccharides, it is necessary that the total sweetness is 60% or more. Even if it is a single product and the sweetness level is not 60%, a sugar having a low sweetness level may be used as long as the sweetness level is 60% or more by combining with a sugar having a high sweetness level. In addition, about the sweetness degree of the used saccharides, the sweetness degree of P136 of "Engineer's book (technical data collection) 11th edition (published by Hyojin Equipment Co., Ltd., supervised by Sadao Sawada et al., 1998)" (Non-Patent Document 2) And sourness. The table of “Comparative sweetness of sugar and sugar alcohol” was referred to.
[0021]
The soybean used in the present invention may be any of IOM soybean (American soybean), organic soybean, domestic soybean, Chinese soybean and the like. Further, either whole soybeans or moulted soybeans may be used.
The coagulant may be a normal coagulant. For example, GDL (glucono delta lactone), calcium chloride, magnesium chloride, magnesium sulfate, calcium sulfate, transglutaminase, vinegar, citric acid, salt, seawater bite, crude seawater magnesium chloride and the like. Use these alone or in combination. The added amount may be 0.2 to 0.5% with respect to soy milk and a standard amount for producing normal tofu.
[0022]
The soymilk produced in the present invention preferably has a soymilk concentration of BRIX 11.0 to 16.5 (soymilk concentration meter SM-20E manufactured by Atago Co., Ltd., 10 ° C.). The concentration of soy milk used for normal silk tofu and filled tofu is about 10.5 to 13.5, but when 0.5 to 3.0% of sugar is added, the soy milk concentration is obtained.
[0023]
As an order of adding the sugar, it is necessary not to add it after the production of soymilk but to dissolve it in a part or all of the pulling water at the time of raw soybean grinding or to add it directly to the raw koji.
[0024]
This is because the addition after soymilk production does not cause an aminocarbonyl reaction or caramelization in the steaming heating step, so that no aroma component is generated. Dissolve the sugar in water (add 4 to 6 times the amount of water to soybeans. This is exactly the same amount of water as in the normal manufacturing method) or add it to the raw koji and stir well. The soy milk is obtained by separating the okara after the process. What is necessary is just to heat for 2 to 15 minutes at 90-110 degreeC which is the conditions which manufacture a normal soymilk as a steaming process. Aminocarbonyl reaction and caramelization are likely to occur if it is carried out for a long time at a high temperature range, but the viscosity of soy milk increases and the smoothness of tofu is lost, so it is necessary to be careful as it becomes an unpleasant tofu. . If it is shorter than 2 minutes, aminocarbonyl reaction or caramelization does not occur, soy milk itself is in a state of being cooked, and the protein is not fully denatured without being denatured. As cooking conditions, 95 to 110 ° C. and 5 to 15 minutes are more preferable.
[0025]
Examples of embodiments of the present invention include cotton tofu, silk tofu, miso tofu, rag tofu, filled tofu, baked tofu and the like produced by adding a coagulant to the above-mentioned soy milk rich in aroma components. Is to provide the consumer with a handmade tofu set using the soy milk. That is, as shown in FIG. 1, the soymilk is filled and packaged in a container, and the packaged coagulant is separately attached. The container may be a pillow package, a round container, a square container, or the like, and is filled with about 50 to 500 g of the soy milk.
[0026]
As a method for sterilizing soy milk, it is conceivable to sterilize by heating after filling a hot-packed or once cooled soy milk into a container. Sterilization conditions are sufficient for normal sterilization of 60 to 90 ° C. and 15 to 90 minutes, and if it is cooled to 10 ° C. or less immediately after heat sterilization, it can be kept for about 5 to 30 days. Another attached coagulant is a sachet filled with the above coagulant dissolved in 5 to 10 times the amount of water so as to be about 0.2 to 0.5% in accordance with the amount of soy milk. This homemade tofu set using soy milk makes it possible to easily eat “freshly made” tofu with a fragrance more easily at home using a microwave oven. That is, remove the lid of the soy milk container, add a separate coagulant and stir well so as not to cause unevenness, warm it to about 70-100 ° C. in a home microwave oven, about 1-20 minutes What you ate and eat is very delicious tofu.
[0027]
In addition, the tofu obtained by the production method of the present invention can be used for processed tofu foods such as cancer. Moreover, the soy milk obtained at the stage of tofu production can be used not only as a raw material for tofu but also as a beverage as a highly aromatic soy milk.
[0028]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, although an Example is given and this invention is demonstrated concretely, this invention is not limited to these Examples.
[0029]
<Example 1>
First, the present inventor confirmed the optimum amount of sugar added to the raw koji.
After 9 kg of domestic soybean (Tsuyutaka) was soaked at 10 ° C. for 15 hours, drained and hydrated so that the total amount of water was 5 times, grinder (manufactured by Nagasawa Machinery Co., Ltd., Sourboy NSG-08F) Was used to grind. To ground kure, 45 g of antifoaming agent (RIKEN Vitamin Co., Ltd .: Emergy Super 88) and soybean oligosaccharide (Calpis Co., Ltd., trade name: soybean oligosaccharide syrup SOE Ingredients: 20% sucrose, 18% stachyose, 8% raffinose , 24% moisture, 30% other, 70% sweetness (with sucrose as 100%) and steamed at 100 ° C. for 10 minutes, and then separated from okara to obtain about 40 kg of soy milk. The soy milk was cooled to 10 ° C. The amount of soybean oligosaccharide added was 0%, 0.5%, 1.5%, 3.0%, and 3.5% of the raw koji, and the test was repeated. As the addition method, soybean oligosaccharide was dissolved in water to be added in advance and added. After measuring pH, viscosity, and soymilk BRIX for the obtained soymilk, a tofu taste test was performed, and a sensory evaluation was performed using the 0% soybean oligosaccharide addition group as a control.
As a result, the results shown in Table 1 were obtained.
[0030]
In addition, the following method was used as a measuring method of sensory evaluation.
Ten panelists who have been involved in sensory evaluation of tofu for many years have been sampled and evaluated based on the results. As a tasting method, 60 g of soy milk cooled to 10 ° C. was put into an injection container (RP60) manufactured by Lispack, and 0.21 g of magnesium chloride (manufactured by Ako Kasei Co., Ltd., trade name: Crystallin) was dissolved in 2 g of water. After adding things and stirring well, put a wrap film on the surface, set 6 samples in a home microwave oven (National Microwave oven NE-N4 manufactured by Matsushita Electric Industrial Co., Ltd.), and 500W for 3 minutes and 10 seconds. Heated. The sample was taken out and sampled 10 minutes after the range was heated. When evaluating, do not use condiments and seasonings, eat as it is, soy flavor (5 points are strong, 4 points are slightly strong, 3 points are the same as the control, 2 points are slightly weak, 1 point is weak), flavor Preference (5 points are good, 4 points are slightly good, 3 points are the same as control, 2 points are slightly bad, 1 point is bad), sweetness (5 points are strong, 4 points are slightly strong, 3 points are controls Same, 2 points are slightly weak, 1 point is weak), texture (5 points are hard, 4 points are slightly hard, 3 points are the same as control, 2 points are slightly soft, 1 point is soft), texture ( 5 points are smooth, 4 points are slightly smooth, 3 points are the same as the control, 2 points are soft and 1 point is soft, and taste is good (5 points are good, 4 points are slightly good, 3 points are the same as the control, 2 points are slightly bad, 1 point is bad), overall taste (5 points are delicious, Slightly delicious point, three-point same as control, 2 points somewhat poor, the poor) each 5 out for one point, describing the average point.
[0031]
[Table 1]
[0032]
From the results in Table 1, it was confirmed that the appropriate addition amount of soybean oligosaccharide was 0.5% to 3.0%. It was confirmed that the optimum addition amount was 1.5%. As the amount added increased, the flavor of soybean became stronger and the evaluation increased. However, when it was too sweet, it became an unnatural taste as tofu, and when it was 3.5% or more, the evaluation worsened. In addition, although details are not described in the addition zone of 1.5% of this experiment, as a method of adding sugar, when adding to pulling water and when adding directly to raw Kure, sensory evaluation of soy milk and tofu It is confirmed that there was no difference. Further, in the sensory evaluation in soy milk, 0.5 to 3.0% was preferred as in the case of tofu.
[0033]
<Example 2>
Next, the difference in taste was confirmed by “difference in the process of adding sugar” and “difference in sugar type (difference in sweetness)”. First, the soybean oligosaccharide 1.5% addition product described in Example 1 was used as a control. Next, a comparison was made of chilled soymilk to which 1.5% of soybean oligosaccharide was added without added sugar (in Example 1, the amount of soybean oligosaccharide added was 0%). Furthermore, sucrose, glucose, stachyose, raffinose, isomalt-oligosaccharide (all purchased as a special grade reagent from Isekyu Corporation) in place of soybean oligosaccharide in the same production method as the soybean oligosaccharide 1.5% additive described in Example 1 Each was added to obtain soymilk, and soymilk analysis, aroma component analysis, and tofu sensory evaluation were performed.
As a result, the results shown in Table 2 were obtained.
[0034]
[Table 2]
[0035]
From the results in Table 2, it was found that the soybean oligosaccharide added to soy milk had the same sweetness but the soy flavor was very weak and the overall evaluation was very low compared to the soybean soy added. In addition, sucrose was highly evaluated in the raw kou added system, and glucose was evaluated as equivalent to soybean oligosaccharide. This may be due to the highest degree of sweetness in the same addition amount system. Although not described in detail in the examples, it has been confirmed that there was no difference in the evaluation of the overall deliciousness when the samples were prepared so that soybean oligosaccharide and sucrose had the same sweetness level.
[0036]
On the other hand, stachyose, raffinose, and isomaltoligosaccharides with low sweetness were poor in evaluation due to the weakness of soybeans when added to raw kure.
Moreover, since the analysis of the aroma component was implemented regarding these tofu, a result is shown in Table 3.
[0037]
In addition, about the analysis of the aromatic component, it analyzed using the gas chromatograph mass spectrometer. Details are shown below.
The gas chromatograph mass spectrometer used was 5973N manufactured by Agilent Technologies, and was connected to the heat desorption introduction system TDS2 manufactured by GUSTER. First, a sample sample (the same method as the tofu sample at the time of sensory evaluation shown below) was homogenized using a spatula, and 25 g was sampled in a 50 ml eggplant flask. This eggplant flask was connected to a collector, and the volatile components of tofu were concentrated and trapped in a collection tube. Tenacs collection set (manufactured by GL Sciences Inc.) was used as the collector. As collection conditions, a collection tube (TENAX-TA 120 mg), purge N2 (50 ml / min) 10 minutes, dry purge 10 minutes, and heating temperature 40 ° C. were performed. The collection tube was set in a heat desorption introduction system, and volatile components were heat desorbed and introduced into a gas chromatograph mass spectrometer. Desorption conditions were as follows: the initial temperature was 20 ° C. and the temperature was 60 ° C./minute up to 250 ° C. and held at 250 ° C. for 4 minutes. The introduction conditions were as follows: the initial temperature was −150 ° C., heated at 12 ° C. per minute to 240 ° C., and held at 240 ° C. for 10 minutes. As conditions for the gas chromatograph mass spectrometer, the column was TC-WAX (60 m × 0.25 mm ID 0.25 μm: manufactured by GL Sciences Inc.), and the oven temperature condition was maintained at an initial temperature of 50 ° C. for 5 minutes. Heated to 230 ° C. at 5 ° C. for 20 minutes and held at 230 ° C. for 20 minutes. Detection was performed by an ionization method EI using He as a carrier gas.
[0038]
As a data analysis method, a ChemStation manufactured by Agilent Technologies was used, and integration and retrieval of each peak value in the chromatogram (using PIST library of NIST98) were performed. In the search, the component having the highest matching rate was determined as the corresponding component. Furthermore, by using a sniffing port (ODP2) manufactured by gestell, the scent characteristics and strength were sensorially evaluated in five stages by sniffing the scent after separation with a column. As a condition of the sniffing port, the detector side and the sniffing side were branched by a cross piece at the end of the column, and 3/4 of the flow rate was used for sniffing. Nitrogen was used as the makeup gas.
[0039]
Since pyrazines and furanones are present in very small amounts, peaks are difficult to generate, and it is difficult to estimate the amount of their presence from the peak area, so the strength is expressed functionally in five stages by sniffing.
[0040]
The present inventors presume that 2,6-dimethylpyrazine is present in tofu as pyrazines, and it was confirmed by sniffing around 19 minutes 30 seconds after the start of gas chromatography mass spectrometry. A peak is hardly generated because it is very small amount, but 2,6-dimethylpyrazine added with 2,6-dimethylpyrazine as a standard has a peak in the same time zone, and the smell due to sniffing is the same, so 2,6-dimethylpyrazine The inventor has identified that. However, the present invention is not limited to 2,6-dimethyl pyridine, and there may be other pyrazines.
[0041]
The present inventors estimate that dihydro-5-pentyl-2 (3H) -furanone is present in the tofu as furanones, and confirmed by sniffing around 35 minutes and 30 seconds after the start of gas chromatography mass spectrometry. It was done. The peak is hardly generated because it is very small amount, but the peak added in the same time zone with the addition of Dihydro-5-pentyl-2 (3H) -Furanone as the standard, and the odor due to sniffing is also the same The inventor has identified it as Dihydro-5-pentyl-2 (3H) -Furanone. However, the present invention is not limited to Dihydro-5-pentyl-2 (3H) -Furanone, and there may be other furanones. As described above, on page 58 of Non-Patent Document 1, 4-hydroxycy 2,5-dimethyl 3 (2H) -furanone and the like are clearly specified as sugar leaf flavors. Similar Dihydro-5-pentyl-2 (3H) -Furanone was confirmed.
[0042]
[Table 3]
[0043]
From the results of Table 3, tofu with oligosaccharide added to soy milk has a large amount of hexan which is a cause of blue odor, whereas the smell of 2,6-dimethylpyrazine and Dihydr-5-pentyl-2 (3H) -Furane I could hardly feel it. This is thought to be because pyrazines and furanones are hardly generated by aminocarbonyl reaction or caramelization. Among the sugars added to raw kyu, stachyose, raffinose, and isomaltoligosaccharides had a weaker odor of 2,6-dimethylpyrazine and Dihydro-5-pentyl-2 (3H) -Furanone compared to sucrose, glucose, and soybean oligosaccharide . The causal relationship is unknown as to why the generation of pyrazines and furanones is low in these low-sugar sugars, but the present inventor presumes that aminocarbonyl reaction and caramelization are less likely to occur. Further, although not shown in the table, the same result as that of tofu was obtained in the sensory evaluation of soy milk. That is, at the level where sugar was added to soy milk, it was simply a soy milk with a blue fragrance and was not delicious. However, sucrose added with sucrose, glucose, and soybean oligosaccharide was savory and easy to drink. On the other hand, stachyose, raffinose, and isomaltoligosaccharides were soy milk that was difficult to drink and lacked a rich fragrance.
[0044]
<Example 3>
Next, the inventor made a trial by increasing the addition amount of stachyose, raffinose, and isomaltoligosaccharide having a low sweetness, and confirmed whether the sensory evaluation was improved.
[0045]
Based on the method of Example 2, the addition amount is 3% for stachyose, 6.5% for raffinose, and 3% for isomaltooligosaccharide (so that the sweetness is the same sweetness as sucrose) ) And made a prototype again in the same way.
As a result, the results shown in Table 4 were obtained.
[0046]
[Table 4]
[0047]
From the results shown in Table 4, it was found that when the addition amount of sugar having a low sweetness level is increased, the viscosity of soy milk increases and the bittern is not mixed uniformly, resulting in a tofu with a soft texture. Therefore, it can be said that those having a sweetness level lower than 60% cannot produce tofu with a rich fragrance and good texture even if the amount of added sugar is increased.
[0048]
On the other hand, sucrose, glucose, soybean oligosaccharides and other sugars with a sweetness of 60% or more are added to the raw koji and cooked to generate aromatic components such as pyrazines and furanones by aminocarbonyl reaction or caramelization. It can be said that tofu with a fragrant and sweet scent and a smooth texture can be produced. Further, although not shown in the table, the same result as that of tofu was obtained in the sensory evaluation of soy milk. That is, when the amount of stachyose, raffinose, or isomaltoligosaccharide added was increased, the soymilk had a rich fragrance but was highly viscous and difficult to drink.
[0049]
【The invention's effect】
ADVANTAGE OF THE INVENTION According to this invention, the manufacturing method of the tofu which has the fragrant sweet sweet fragrance of soybean, and has the fresh taste of the smooth texture, the manufacturing method of the tofu soymilk used as the raw material, and the handmade tofu set using the said soymilk It becomes possible to provide freshly made tofu more deliciously and deliciously to consumers.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a side view showing a set for tofu.
[Explanation of symbols]
1. Cup with soy milk
2. Overcap
3. Coagulant sachet
4). Top film