【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面弾性波素子及びフィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧電体上に櫛歯状電極を形成させてなる表面弾性波素子は、小型で安定した性能を有するものが得られることからバンドパスフィルター(BPF)等として利用されている。表面弾性波素子は、圧電体に櫛形電極により交流電界を印加することで励起される。最近では、通信の高周波化に伴ってGHz帯で利用できる表面弾性波素子が必要とされている。
【0003】
一般に、基板上に形成させた圧電体層を表面弾性波素子に使用する場合、基板材料の音速が圧電体の音速より大きいときには、伝播速度の異なる複数の表面弾性波(伝播速度の小さいほうから0次モード、1次モード、2次モード、・・・)が励起される。表面弾性波の伝播速度は、圧電体等の膜厚により異なるため、これらの膜厚を制御することで動作周波数を特定できる。また表面弾性波素子は、電気機械結合係数K2(電気的エネルギーが機械的エネルギーに変換される際の変換効率の指標)が大きい方が高い効率で動作する。特許文献1には、圧電層の膜厚と表面弾性波の波長を制御して電気機械結合係数K2を向上させた表面弾性波素子が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−235683号公報
【0005】
ところで、1次モードの表面弾性波を利用する表面弾性波素子においては、電気機械結合係数K2を向上させるために、櫛歯状電極を可能な限り軽量化させることが知られている。例えば、櫛歯状電極をアルミニウム等の軽金属で構成したり、櫛歯状電極を薄くするといった手段が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、櫛歯状電極をアルミニウムで構成したり薄くしたりすると、共振周波数における電気抵抗が大きくなり、通過帯域のインサーションロスが増大してしまうという問題があった。インサーションロスを小さくするには、櫛歯状電極をCu、Agといった比抵抗の低い材料で構成するか、あるいは櫛歯状電極を厚くしなければならない。しかしながら、どちらにしても櫛歯状電極の軽量化に相反することになり、電気機械結合係数K2を向上できないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、櫛歯状電極の電気抵抗を低くしてインサーションロスを低減させると同時に、電気機械結合係数K2を向上させた表面弾性波素子及びフィルタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の表面弾性波素子は、サファイアからなる基板と、該基板上に積層されたZnOからなる圧電層と、該圧電層上に形成された櫛歯状電極とを具備してなり、前記櫛歯状電極が、Cu、Ag、Auのうちのいずれか一種の元素またはこれらの合金を主構成材料として構成され、表面弾性波の2次モードを利用するものであることを特徴とする。
【0009】
上記の表面弾性波素子によれば、サファイア製の基板と、ZnOからなる圧電層と、Cu、Ag、Au等からなる櫛歯状電極との組合せにより、2次モードの表面弾性波を発生させることができる。特に、ZnO上にCu、Ag、Au等の重金属からなる櫛歯状電極を形成することで2次モードの表面弾性波が発生する。2次モードの表面弾性波を利用する表面弾性波素子においては、櫛歯状電極を重くするほど電気機械結合係数が高くなる。またCu、Ag、Au等は比抵抗が低いため、共振周波数帯域における櫛歯状電極のインピーダンスが小さくなる。従って本発明の非可逆回路素子においては、電気機械結合係数と櫛歯状電極のインピーダンスの双方を同時に改善させることができ、損失を低減させることができる。特に、Cu、Ag、Au等からなる櫛歯状電極を用いることで、表面弾性波素子のインサーションロスを低減させることができる。
【0010】
また、本発明の表面弾性波素子においては、前記圧電層の厚みをHとし、表面弾性波の波長をλとしたとき、H/λを0.2以上1.6以下の範囲とすることが好ましい。H/λを前記の範囲に設定することで、電気機械結合係数を高くすることができる。
【0011】
また、本発明の表面弾性波素子においては、前記櫛歯状電極の厚みを0.1μm以上10μm以下の範囲とすることが好ましい。櫛歯状電極の厚みを前記の範囲に設定することで、櫛歯状電極の電気抵抗を低くしてインサーションロスを低減できるとともに、電気機械結合係数を高めることができる。
【0012】
次に本発明のフィルタは、先のいずれかに記載の表面弾性波素子を備えたことを特徴とする。この構成により、損失が少なく、高効率なフィルタを構成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、以下に示す表面弾性波素子及びフィルタは本発明の表面弾性波素子及びフィルタの一例を示すものであり、本発明は下記の各実施形態のみに限定されるものではない。
図1は、本実施形態の表面弾性波素子の1種である1端子対の表面弾性波素子を示す平面図であり、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。図1及び図2示す表面弾性波素子1は、サファイア製の基板2上に圧電体層3となる酸化亜鉛(ZnO)層が形成され、この圧電層3上に電気信号と表面弾性波との間の変換器として機能するCu、Ag、Auのうちのいずれか一種の元素またはこれらの合金を主構成材料として構成された一対の櫛歯状電極(IDT)4,4が互いに対向するように形成されて構成されている。
【0014】
また、圧電体層3の櫛歯状電極4,4両側には、励起された表面弾性波を多重反射させて定在波を生じさせるグレーティング反射器5、5が形成されている。更に表面弾性波素子1には、圧電体層3、櫛歯状電極4,4及びグレーティング反射器5、5を覆う保護層6が形成されている。
【0015】
図3には上記の表面弾性波素子1を複数個備えてなるラダー型フィルタ(フィルタ)の回路図を示す。図3に示すように、本実施形態のラダー型フィルタ11は、1端子対の表面弾性波素子1a、1a…を直列に接続し、これらの表面弾性波素子1a、1a間及び入出力側それぞれに同一構造の複数の1端子対の表面弾性波素子1b、1b…を並列に接続し、一方の端子12、123を入力(IN)側、他方の端子13、13を出力(OUT)側とした構成である。
【0016】
表面弾性波素子1の基板2はサファイアからなるもので、特にR面が露出したものが好ましい。また圧電体層3は、サファイアの基板2のR面上に積層されてなるものであり、周波数2GHz前後の素子を形成する場合には、厚みHは0.6〜3.2μmの範囲が好ましく、1.0〜2.7μmの範囲がより好ましい。また保護層6は、SiOx、SiNx等で構成され、厚みが0.05〜0.3μmの範囲のものが好ましい。
【0017】
また、櫛歯状電極4、4は、Cu、Ag、Auのうちのいずれか一種の元素またはこれらの合金を主構成材料として構成されたものである。櫛歯状電極4は例えば、図4に示すように、下部層4aと、下部層4a上に積層された電極層4bと、電極層4b上に形成された上部層4cとから構成されている。下部層4aは、例えば、Ti膜4a1とTa膜4a2が積層されてなるものが好ましい。また、電極層4bは、Cu、Ag、Auのうちのいずれか一種の元素またはこれらの合金から構成されている。更に上部層4cは例えばCr膜から構成されている。
【0018】
下部層4aの厚みは0.005〜0.1μmの範囲が好ましく、電極層4bの厚みは0.09〜9.8μmの範囲が好ましく、上部層4cの厚みは0.005〜0.1μmの範囲が好ましい。また櫛歯状電極4の全体の厚みは0.1〜10μmの範囲が好ましく、0.2〜2.0μmの範囲がより好ましい。このように、電極層4bの厚みが櫛歯状電極4の全体の厚みの大部分を占めることになる。従って、電極層4bを構成するCu、Ag、Auのうちのいずれか一種の元素またはこれらの合金が、櫛歯状電極4の主要構成材料になる。
【0019】
サファイア基板2上にZnOからなる圧電層3が積層され、かつ圧電層3上にCu、Ag、Au等の元素を主構成材料とする櫛歯状電極4,4が配置された表面弾性波素子は、0次、1次、2次モードの表面弾性波を発生させる。すなわち、比較的比重が大きなCu、Ag、Au等の重金属からなる「重い」櫛歯状電極4をZnO層上に配置することで、0次、1次の他に2次モードの表面弾性波を発生させることが可能になる。2次モードの表面弾性波においては、櫛歯状電極4を重くするほど電気機械結合係数K2が高くなるという性質がある。従って、櫛歯状電極4の全体の厚みが電気機械結合係数K2に比例することになる。
【0020】
櫛歯状電極4の全体の厚みが0.1μm未満であると電気機械結合係数K2が低下してしまうので好ましくなく、また櫛歯状電極4が10μmを越えると櫛歯状電極が厚くなりすぎて櫛歯状電極の成膜自体が困難になるので好ましくない。
【0021】
また、圧電層3の厚みをHとし、表面弾性波(2次モード)の波長をλとしたとき、H/λが0.2以上1.6以下の範囲であることが好ましく、0.37以上1.5以下の範囲がより好ましい。H/λが0.2以上1.6以下の範囲であれば、表面弾性波素子1の比帯域Δf(%)を0.5%以上にすることができ、H/λが0.37以上1.5以下の範囲であれば、比帯域Δf(%)を1%以上にすることができる。
【0022】
ここで、比帯域Δf(%)とは、表面弾性波素子1の共振周波数をfrとし、反共振周波数をfarとしたとき、Δf(%)=(far−fr)/fr×100で表されるものであり、この比帯域Δf(%)は電気機械結合係数K2と比例する関係にある。従って、H/λを上記の範囲にすることにより、電気機械結合係数K2をより向上させることができる。尚、表面弾性波素子1の共振周波数frと表面弾性波の波長λとの関係はfr=v/λで表される。vは表面弾性波の速度である。表面弾性波の波長λは櫛歯状電極の形状により決まる値である。
【0023】
上記の表面弾性波素子1によれば、サファイア製の基板と、ZnOからなる圧電層と、Cu、Ag、Au等からなる櫛歯状電極との組合せにより、2次モードの表面弾性波を発生させることができる。
また櫛歯状電極4の主要構成材料として、Cu、Ag、Au等の比較的比抵抗が低い金属を用いることにより、櫛歯状電極4のインピーダンスを小さくすることができ、インサーションロスを低減させることができる。
更に、櫛歯状電極4の主要構成材料としてCu、Ag、Au等の重金属を用いることにより、櫛歯状電極4の重量が大きくなって電気機械結合係数K2を高めることができる。
【0024】
また、上記のラダー型フィルタ11には、表面弾性波素子1が複数備えられているので、損失が少なく、高効率なフィルタを構成することができる。特に、比帯域Δf(%)が大きな表面弾性波素子1を用いることで、通過帯域の広いフィルタを構成することができる。
【0025】
【実施例】
(実験例1)
サファイア基板上のR面上に、厚さ0.96μmのZnO層(圧電体層)をスパッタリング法によって積層した。次に、厚みが0.005μmのTi膜(下地層)及び、厚みが0.005μmのTa膜(下地層)、厚みが0.125μmのCu−Ag合金膜(電極層)及び厚みが0.005μmのCr膜(上部層)を順次積層して積層膜を形成した。そして、積層膜にレジスト膜を形成するとともに該レジスト膜をパターニングした上で、フォトリソグラフィ法によって、積層膜を所定の形状にエッチングして櫛歯状電極を形成した。波長λは2.0μmとした。更に、櫛歯状電極の両側にグレーティング反射器を形成し、保護層を積層することにより、図1、図2及び図4に示す実施例1の表面弾性波素子を製造した。実施例1の表面弾性波素子について、リアクタンスと周波数との関係(リアクタンス曲線)を調べた。結果を図5に示す
【0026】
図5に示すように、実施例1の表面弾性波素子では、1.3GHz付近に0次モードの表面弾性波が確認され、2.1GHz付近に1次モードの表面弾性波が確認され、更に2.4GHz付近に2次モードの表面弾性波が確認された。尚、図5には2次モードの表面弾性波のfrとfarをそれぞれ示している。frはリアクタンスが最初に(ピーク前に)0Ωになったときの周波数であり、farはリアクタンスがピークを過ぎて0Ωになったときの周波数である。
【0027】
以上のように、サファイア基板上にZnO層が積層され、更にZnO層上にCu−Ag合金膜を主体とする櫛歯状電極が積層されてなる表面弾性波素子は、2次モードの表面弾性波を発現することが分かる。
【0028】
(実験例2)
Cu−Ag合金膜(電極層)の膜厚を0.094μm〜0.23μm、圧電層の厚みHを0.31〜1.22μmとし、λを全て2.0μmとしたこと以外は実験例1と同様にして表面弾性波素子を製造した。得られた表面弾性波素子について、2次モードの表面弾性波のΔf(%)を測定した。結果を図6に示す。図6には、比帯域Δf(%)とH/λとの関係をCu−Ag合金膜(電極層)の膜厚ごとに示す。
【0029】
また、比較例として、Cu−Ag合金膜に代えて、厚さ0.080〜0.3μmのAl膜を用いるとともに、圧電層の厚みHを0.56〜1.12μmとし、λを全て2.8μmとしたこと以外は実験例1と同様にして表面弾性波素子を製造した。得られた表面弾性波素子について、1次モードの表面弾性波のΔf(%)を測定した。結果を図7に示す。図7には、比帯域Δf(%)とH/λとの関係をAl膜(電極層)の膜厚ごとに示す。
【0030】
図6に示すように、2次モードの表面弾性波を用いた表面弾性波素子については、Cu−Ag合金膜の膜厚が大きくなるほど比帯域Δfが高くなることが分かる。一方、図7に示すように、1次モードの表面弾性波を用いた表面弾性波素子については、Al膜の膜厚が大きくなるほど比帯域Δfが低下することが分かる。従って、2次モードの表面弾性波を利用する本発明の非可逆回路素子においては、櫛歯状電極を厚くすることによって電気機械結合係数K2を高めることができ、同時に櫛歯状電極を厚くすることで櫛歯状電極自体の電気抵抗を低減させて共振周波数におけるインピーダンスを低減させることができ、より損失の少ない表面弾性波素子が得られることが分かる。
【0031】
(実験例3)
圧電層の厚みHを0.6〜2.64μmとするとともにλを1.6〜4.0μmとすることによって、H/λを0.15〜1.65とし、Cu−Ag合金膜(電極層)の膜厚を0.23μmとしたこと以外は実験例1と同様にして表面弾性波素子を製造した。得られた表面弾性波素子について、2次モードの表面弾性波のΔf(%)を測定した。結果を図8に示す。図8には、比帯域Δf(%)とH/λとの関係を示す。
【0032】
図8に示すように、H/λが1.0の時に比帯域Δf(%)が極大値を示すことが分かる。また、H/λが0.2以上1.6以下の範囲のときに表面弾性波素子の比帯域Δf(%)が0.5%以上となり、H/λが0.37以上1.5以下の範囲のときに表面弾性波素子の比帯域Δf(%)が1%以上になることが分かる。
【0033】
このように、H/λを好ましくは0.2以上1.6以下の範囲、より好ましくは0.37以上1.5以下の範囲に刷ることにより、電気機械系統合計数K2を向上できることが分かる。
【0034】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の表面弾性波素子によれば、サファイア製の基板と、ZnOからなる圧電層と、Cu、Ag、Au等からなる櫛歯状電極との組合せにより、2次モードの表面弾性波を発生させることができる。特に、ZnO上にCu、Ag、Au等の重金属からなる櫛歯状電極を形成することで2次モードの表面弾性波が発生する。2次モードの表面弾性波を利用する表面弾性波素子においては、櫛歯状電極を重くするほど電気機械結合係数が高くなる。またCu、Ag、Au等は比抵抗が低いため、共振周波数帯域における櫛歯状電極のインピーダンスが小さくなる。従って本発明の非可逆回路素子においては、電気機械結合係数と櫛歯状電極のインピーダンスの双方を同時に改善させることができ、損失を低減させることができる。特に、Cu、Ag、Au等からなる櫛歯状電極を用いることで、表面弾性波素子のインサーションロスを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である表面弾性波素子を示す平面図。
【図2】図1のA−A’線に対応する断面図。
【図3】本発明の実施形態であるラダー型フィルタの回路構成を示す平面図。
【図4】表面弾性波素子の櫛歯状電極の断面構造を示す拡大模式図。
【図5】実施例1の表面弾性波素子の周波数とリアクタンスとの関係を示すグラフ。
【図6】Cu−Ag合金膜からなる櫛歯状電極を備えた表面弾性波素子の比帯域ΔfとH/λとの関係を示すグラフ。
【図7】Al膜からなる櫛歯状電極を備えた表面弾性波素子の比帯域ΔfとH/λとの関係を示すグラフ。
【図8】Cu−Ag合金膜からなる櫛歯状電極を備えた表面弾性波素子の比帯域ΔfとH/λとの関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…表面弾性波素子、2…基板、3…圧電層、4…櫛歯状電極、11…ラダー型フィルタ(フィルタ)[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a surface acoustic wave device and a filter.
[0002]
[Prior art]
A surface acoustic wave element in which comb-like electrodes are formed on a piezoelectric body is used as a band-pass filter (BPF) or the like because it is small and has stable performance. The surface acoustic wave element is excited by applying an alternating electric field to the piezoelectric body by a comb electrode. Recently, a surface acoustic wave element that can be used in the GHz band is required as the frequency of communication increases.
[0003]
In general, when a piezoelectric layer formed on a substrate is used for a surface acoustic wave device, when the acoustic velocity of the substrate material is larger than the acoustic velocity of the piezoelectric body, a plurality of surface acoustic waves having different propagation velocities (from the smaller propagation velocity). The 0th order mode, the first order mode, the second order mode,...) Are excited. Since the propagation speed of the surface acoustic wave varies depending on the film thickness of the piezoelectric body or the like, the operating frequency can be specified by controlling these film thicknesses. The surface acoustic wave device operates with higher efficiency when the electromechanical coupling coefficient K 2 (an index of conversion efficiency when electric energy is converted into mechanical energy) is larger. Patent Document 1, the surface acoustic wave element by controlling the film thickness and the wavelength of the surface acoustic wave of the piezoelectric layer improves the electromechanical coupling coefficient K 2 is disclosed.
[0004]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 5-235683
Incidentally, in the surface acoustic wave device utilizing surface acoustic wave of the primary mode, in order to improve the electromechanical coupling coefficient K 2, be lightweight as possible interdigital electrodes are known. For example, means are known in which the comb-like electrode is made of a light metal such as aluminum or the comb-like electrode is thinned.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, when the comb-like electrode is made of aluminum or thinned, there is a problem in that the electrical resistance at the resonance frequency increases and the insertion loss in the passband increases. In order to reduce the insertion loss, the comb-shaped electrode must be made of a material having a low specific resistance such as Cu or Ag, or the comb-shaped electrode must be thick. However, both the and would be contrary to a reduction in the weight of the comb-shaped electrodes also, there is a problem that can not be improved electromechanical coupling coefficient K 2.
[0007]
The present invention was made in view of the above circumstances, and at the same time reducing the insertion loss by reducing the electrical resistance of the interdigital electrodes, surface acoustic wave devices having improved electromechanical coupling coefficient K 2 And it aims at providing a filter.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the present invention employs the following configuration.
The surface acoustic wave device of the present invention comprises a substrate made of sapphire, a piezoelectric layer made of ZnO stacked on the substrate, and a comb-like electrode formed on the piezoelectric layer. The tooth-like electrode is composed of any one element of Cu, Ag, Au or an alloy thereof as a main constituent material, and uses a secondary mode of surface acoustic waves.
[0009]
According to the surface acoustic wave element, a secondary mode surface acoustic wave is generated by a combination of a sapphire substrate, a piezoelectric layer made of ZnO, and a comb-like electrode made of Cu, Ag, Au, or the like. be able to. In particular, by forming a comb-like electrode made of heavy metal such as Cu, Ag, or Au on ZnO, a secondary mode surface acoustic wave is generated. In a surface acoustic wave device using a secondary mode surface acoustic wave, the heavier the comb-like electrode, the higher the electromechanical coupling coefficient. Moreover, since Cu, Ag, Au, etc. have low specific resistance, the impedance of the comb-like electrode in the resonance frequency band becomes small. Therefore, in the nonreciprocal circuit device of the present invention, both the electromechanical coupling coefficient and the impedance of the comb-like electrode can be improved at the same time, and the loss can be reduced. In particular, the insertion loss of the surface acoustic wave device can be reduced by using a comb-like electrode made of Cu, Ag, Au, or the like.
[0010]
In the surface acoustic wave device of the present invention, when the thickness of the piezoelectric layer is H and the wavelength of the surface acoustic wave is λ, H / λ may be in the range of 0.2 to 1.6. preferable. By setting H / λ within the above range, the electromechanical coupling coefficient can be increased.
[0011]
In the surface acoustic wave device of the present invention, it is preferable that the thickness of the comb-like electrode is in a range of 0.1 μm to 10 μm. By setting the thickness of the comb-shaped electrode within the above range, the electrical resistance of the comb-shaped electrode can be lowered to reduce the insertion loss, and the electromechanical coupling coefficient can be increased.
[0012]
Next, a filter according to the present invention includes the surface acoustic wave element according to any one of the above. With this configuration, it is possible to configure a highly efficient filter with little loss.
[0013]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings. The following surface acoustic wave elements and filters are examples of the surface acoustic wave elements and filters of the present invention, and the present invention is not limited only to the following embodiments.
FIG. 1 is a plan view showing a one-terminal-pair surface acoustic wave element which is a kind of surface acoustic wave element of this embodiment, and FIG. 2 is a cross-sectional view taken along the line AA of FIG. In the surface acoustic wave device 1 shown in FIGS. 1 and 2, a zinc oxide (ZnO) layer to be a piezoelectric layer 3 is formed on a sapphire substrate 2, and an electric signal and surface acoustic waves are generated on the piezoelectric layer 3. A pair of comb-like electrodes (IDT) 4 and 4 formed by using any one element of Cu, Ag, and Au or an alloy thereof as a main constituent material to function as a converter between Formed and configured.
[0014]
Further, on both sides of the comb-like electrodes 4 and 4 of the piezoelectric layer 3, grating reflectors 5 and 5 are formed that cause the excited surface acoustic waves to be multiple-reflected to generate standing waves. Further, the surface acoustic wave element 1 is provided with a protective layer 6 that covers the piezoelectric layer 3, the comb-like electrodes 4, 4 and the grating reflectors 5, 5.
[0015]
FIG. 3 is a circuit diagram of a ladder type filter (filter) including a plurality of the surface acoustic wave elements 1 described above. As shown in FIG. 3, the ladder filter 11 of this embodiment connects a pair of surface acoustic wave elements 1 a, 1 a... In series, and between these surface acoustic wave elements 1 a, 1 a and the input / output side. Are connected in parallel, one terminal 12, 123 is connected to the input (IN) side, and the other terminal 13, 13 is connected to the output (OUT) side. This is the configuration.
[0016]
The substrate 2 of the surface acoustic wave element 1 is made of sapphire, and in particular, the one having an exposed R surface is preferable. The piezoelectric layer 3 is laminated on the R surface of the sapphire substrate 2. When an element having a frequency of about 2 GHz is formed, the thickness H is preferably in the range of 0.6 to 3.2 μm. The range of 1.0 to 2.7 μm is more preferable. The protective layer 6 is made of SiO x , SiN x or the like and preferably has a thickness in the range of 0.05 to 0.3 μm.
[0017]
In addition, the comb-like electrodes 4 and 4 are configured by using any one element of Cu, Ag, and Au or an alloy thereof as a main constituent material. For example, as shown in FIG. 4, the comb-like electrode 4 includes a lower layer 4a, an electrode layer 4b laminated on the lower layer 4a, and an upper layer 4c formed on the electrode layer 4b. . Lower layer 4a is, for example, those Ti film 4a 1 and the Ta film 4a 2 are stacked is preferable. The electrode layer 4b is made of any one element of Cu, Ag, and Au, or an alloy thereof. Furthermore, the upper layer 4c is made of, for example, a Cr film.
[0018]
The thickness of the lower layer 4a is preferably in the range of 0.005 to 0.1 μm, the thickness of the electrode layer 4b is preferably in the range of 0.09 to 9.8 μm, and the thickness of the upper layer 4c is 0.005 to 0.1 μm. A range is preferred. The total thickness of the comb-like electrode 4 is preferably in the range of 0.1 to 10 μm, more preferably in the range of 0.2 to 2.0 μm. Thus, the thickness of the electrode layer 4b occupies most of the entire thickness of the comb-like electrode 4. Therefore, any one element of Cu, Ag, and Au constituting the electrode layer 4 b or an alloy thereof is a main constituent material of the comb-like electrode 4.
[0019]
A surface acoustic wave element in which a piezoelectric layer 3 made of ZnO is laminated on a sapphire substrate 2 and comb-like electrodes 4 and 4 having elements such as Cu, Ag, Au, etc. as main constituent materials are arranged on the piezoelectric layer 3 Generates 0th, 1st and 2nd order surface acoustic waves. That is, by arranging the “heavy” comb-like electrode 4 made of a heavy metal such as Cu, Ag, or Au having a relatively large specific gravity on the ZnO layer, surface acoustic waves of the second order mode as well as the zero order and the first order are obtained. Can be generated. In the surface acoustic wave of the second mode, the property that an electromechanical coupling coefficient K 2 as heavier interdigital electrode 4 becomes high. Therefore, the total thickness of the interdigital electrode 4 is proportional to the electromechanical coupling coefficient K 2.
[0020]
If the total thickness of the comb-like electrode 4 is less than 0.1 μm, the electromechanical coupling coefficient K 2 is lowered, which is not preferable. If the comb-like electrode 4 exceeds 10 μm, the comb-like electrode becomes thick. This is not preferable because it is difficult to form the comb-shaped electrode itself.
[0021]
Further, when the thickness of the piezoelectric layer 3 is H and the wavelength of the surface acoustic wave (second order mode) is λ, H / λ is preferably in the range of 0.2 to 1.6, and 0.37 The range of 1.5 or less is more preferable. If H / λ is in the range of 0.2 to 1.6, the ratio band Δf (%) of the surface acoustic wave device 1 can be set to 0.5% or more, and H / λ is 0.37 or more. If the range is 1.5 or less, the specific band Δf (%) can be set to 1% or more.
[0022]
Here, the specific band Δf (%) means that when the resonance frequency of the surface acoustic wave device 1 is fr and the anti-resonance frequency is far , Δf (%) = ( far −f r ) / fr are those represented by × 100, the relative bandwidth Delta] f (%) is in a relationship proportional to the electromechanical coefficient K 2. Therefore, by setting the H / lambda in the above range, it is possible to improve the electromechanical coupling coefficient K 2. The relationship between the wavelength lambda of the resonance frequency f r and the surface acoustic wave of the surface acoustic wave device 1 is represented by f r = v / lambda. v is the velocity of the surface acoustic wave. The wavelength λ of the surface acoustic wave is a value determined by the shape of the comb-like electrode.
[0023]
According to the surface acoustic wave device 1 described above, a secondary mode surface acoustic wave is generated by a combination of a sapphire substrate, a piezoelectric layer made of ZnO, and a comb-like electrode made of Cu, Ag, Au, or the like. Can be made.
Further, by using a metal having a relatively low specific resistance, such as Cu, Ag, Au, etc. as the main constituent material of the comb-teeth electrode 4, the impedance of the comb-teeth electrode 4 can be reduced and the insertion loss is reduced. Can be made.
Furthermore, Cu as the main constituent material of the comb-shaped electrodes 4, Ag, by using a heavy metal such as Au, it is possible to increase the electromechanical coupling coefficient K 2 weight comb-shaped electrode 4 is increased.
[0024]
In addition, since the ladder filter 11 includes a plurality of surface acoustic wave elements 1, it is possible to configure a highly efficient filter with little loss. In particular, by using the surface acoustic wave device 1 having a large specific band Δf (%), a filter having a wide pass band can be configured.
[0025]
【Example】
(Experimental example 1)
On the R surface on the sapphire substrate, a 0.96 μm thick ZnO layer (piezoelectric layer) was laminated by sputtering. Next, a Ti film (underlayer) having a thickness of 0.005 μm, a Ta film (underlayer) having a thickness of 0.005 μm, a Cu—Ag alloy film (electrode layer) having a thickness of 0.125 μm, and a thickness of 0.005 μm. A 005 μm Cr film (upper layer) was sequentially laminated to form a laminated film. Then, a resist film was formed on the laminated film and the resist film was patterned, and then the laminated film was etched into a predetermined shape by a photolithography method to form a comb-like electrode. The wavelength λ was 2.0 μm. Furthermore, the surface acoustic wave device of Example 1 shown in FIGS. 1, 2 and 4 was manufactured by forming a grating reflector on both sides of the comb-like electrode and laminating a protective layer. For the surface acoustic wave device of Example 1, the relationship (reactance curve) between reactance and frequency was examined. The results are shown in FIG.
As shown in FIG. 5, in the surface acoustic wave device of Example 1, a zero-order mode surface acoustic wave was confirmed near 1.3 GHz, a first-order mode surface acoustic wave was confirmed near 2.1 GHz, and A secondary mode surface acoustic wave was observed in the vicinity of 2.4 GHz. Incidentally, respectively show f r and f ar of the surface acoustic wave of the second mode in Fig. f r is the frequency at which the reactance became the first to (before peak) 0Ω, f ar is the frequency of when it becomes 0Ω past the peak reactance.
[0027]
As described above, the surface acoustic wave device in which the ZnO layer is laminated on the sapphire substrate and the comb-like electrode mainly composed of the Cu-Ag alloy film is laminated on the ZnO layer is a surface acoustic wave of the second mode. It can be seen that waves are developed.
[0028]
(Experimental example 2)
Experimental Example 1 except that the film thickness of the Cu—Ag alloy film (electrode layer) was 0.094 μm to 0.23 μm, the thickness H of the piezoelectric layer was 0.31 to 1.22 μm, and λ was all 2.0 μm. A surface acoustic wave device was manufactured in the same manner as described above. With respect to the obtained surface acoustic wave device, Δf (%) of the surface acoustic wave of the second-order mode was measured. The results are shown in FIG. FIG. 6 shows the relationship between the specific band Δf (%) and H / λ for each film thickness of the Cu—Ag alloy film (electrode layer).
[0029]
As a comparative example, an Al film having a thickness of 0.080 to 0.3 μm is used in place of the Cu—Ag alloy film, the thickness H of the piezoelectric layer is 0.56 to 1.12 μm, and λ is all 2 A surface acoustic wave device was manufactured in the same manner as in Experimental Example 1 except that the thickness was set to 0.8 μm. With respect to the obtained surface acoustic wave device, Δf (%) of the surface acoustic wave of the first mode was measured. The results are shown in FIG. FIG. 7 shows the relationship between the specific band Δf (%) and H / λ for each film thickness of the Al film (electrode layer).
[0030]
As shown in FIG. 6, for the surface acoustic wave element using the second-order mode surface acoustic wave, it is understood that the specific band Δf increases as the film thickness of the Cu—Ag alloy film increases. On the other hand, as shown in FIG. 7, for the surface acoustic wave device using the first-order mode surface acoustic wave, it can be seen that the relative band Δf decreases as the thickness of the Al film increases. Thus, in the nonreciprocal circuit device of the present invention utilizing surface acoustic wave of the second mode, it is possible to increase the electromechanical coupling coefficient K 2 by thickening the comb-shaped electrodes, increasing the comb-shaped electrodes at the same time By doing so, it can be seen that the electric resistance of the comb-like electrode itself can be reduced, the impedance at the resonance frequency can be reduced, and a surface acoustic wave device with less loss can be obtained.
[0031]
(Experimental example 3)
By setting the thickness H of the piezoelectric layer to 0.6 to 2.64 μm and λ to 1.6 to 4.0 μm, H / λ is set to 0.15 to 1.65, and the Cu—Ag alloy film (electrode) A surface acoustic wave device was manufactured in the same manner as in Experimental Example 1 except that the layer thickness was 0.23 μm. With respect to the obtained surface acoustic wave device, Δf (%) of the surface acoustic wave of the second-order mode was measured. The results are shown in FIG. FIG. 8 shows the relationship between the specific band Δf (%) and H / λ.
[0032]
As shown in FIG. 8, it can be seen that the ratio band Δf (%) shows a maximum value when H / λ is 1.0. Further, when H / λ is in the range of 0.2 to 1.6, the ratio band Δf (%) of the surface acoustic wave element is 0.5% or more, and H / λ is 0.37 to 1.5. It can be seen that the ratio band Δf (%) of the surface acoustic wave device is 1% or more in the above range.
[0033]
Thus, preferably the H / lambda in the range of 0.2 to 1.6, by more preferably in the range of 0.37 to 1.5, to be able to improve the electromechanical system Total K 2 I understand.
[0034]
【The invention's effect】
As described above in detail, according to the surface acoustic wave device of the present invention, a combination of a sapphire substrate, a piezoelectric layer made of ZnO, and a comb-like electrode made of Cu, Ag, Au, etc. A secondary mode surface acoustic wave can be generated. In particular, by forming a comb-like electrode made of heavy metal such as Cu, Ag, or Au on ZnO, a secondary mode surface acoustic wave is generated. In a surface acoustic wave device using a secondary mode surface acoustic wave, the heavier the comb-like electrode, the higher the electromechanical coupling coefficient. Moreover, since Cu, Ag, Au, etc. have low specific resistance, the impedance of the comb-like electrode in the resonance frequency band becomes small. Therefore, in the nonreciprocal circuit device of the present invention, both the electromechanical coupling coefficient and the impedance of the comb-like electrode can be improved at the same time, and the loss can be reduced. In particular, the insertion loss of the surface acoustic wave device can be reduced by using a comb-like electrode made of Cu, Ag, Au, or the like.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a plan view showing a surface acoustic wave device according to an embodiment of the present invention.
2 is a cross-sectional view corresponding to the line AA ′ of FIG. 1;
FIG. 3 is a plan view showing a circuit configuration of a ladder filter according to an embodiment of the present invention.
FIG. 4 is an enlarged schematic view showing a cross-sectional structure of a comb-like electrode of a surface acoustic wave device.
5 is a graph showing the relationship between the frequency and reactance of the surface acoustic wave device of Example 1. FIG.
FIG. 6 is a graph showing the relationship between the ratio band Δf and H / λ of a surface acoustic wave device including a comb-like electrode made of a Cu—Ag alloy film.
FIG. 7 is a graph showing the relationship between the ratio band Δf and H / λ of a surface acoustic wave device including a comb-like electrode made of an Al film.
FIG. 8 is a graph showing the relationship between the ratio band Δf and H / λ of a surface acoustic wave device including a comb-like electrode made of a Cu—Ag alloy film.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 ... Surface acoustic wave element, 2 ... Board | substrate, 3 ... Piezoelectric layer, 4 ... Comb-like electrode, 11 ... Ladder type filter (filter)