JP2005005434A - 温度伝達装置、温度伝達方法、および温度伝達装置用ブロック本体の製造方法 - Google Patents

温度伝達装置、温度伝達方法、および温度伝達装置用ブロック本体の製造方法 Download PDF

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Takanori Anazawa
孝典 穴澤
Atsushi Teramae
敦司 寺前
Tetsuo Takada
哲生 高田
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Abstract

【課題】例えばマイクロ流体素子のような被温度伝達材料の微小な距離範囲に所定の温度差を設けた温度勾配を精度良く形成し、しかも、ヒーターや放熱器が小型化でき、エネルギーの無駄を無くした温度伝達装置及び被温度伝達材料に所定の温度差を設けた温度勾配を形成する方法を提供すること。
【解決手段】ブロック本体と温度調節部とを具備し、該ブロック本体のある表面に温度勾配を生じさせることができ、該ある表面の温度を被温度伝達材料に伝達する温度伝達装置であって、前記ブロック本体において、ある表面に対して平行で、且つ前記温度勾配を生じ得る方向の熱伝導率が、ある表面に対する垂直方向の熱伝導率よりも低く、且つ0.3〜10W・m−1・K−1の範囲であり、更に前記ブロック本体が、部材(1)からなるマトリックス中に、前記部材(1)とは熱伝導率の異なる部材(2)が異方性を持って充填された構成であることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被温度伝達材料の微小な範囲に大きな温度勾配を形成する温度伝達装置及びその方法に関し、詳しくは表面に温度勾配を設けたブロックを被温度伝達材料に当接又は近接させることによって、該被試験体の前記当接又は近接面に平行な面内に温度勾配を形成し得る温度伝達装置及びかかる温度勾配を付与する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
被試験体の表面に温度分布を形成することは、例えば、マイクロ流体素子の温度調節に有用である。かかるマイクロ流体素子は、マイクロ流体デバイス、マイクロ・フルイディック・デバイス、マイクロ・ファブリケイテッド・デバイス、ラブ・オン・チップ、又はマイクロ・トータル・アナリティカル・システム(μ−TAS)とも呼ばれるものであり、内部に微細な毛細管状の流路を設け、該流路中で(生)化学反応、(生)化学分析、或いは化学工学的処理を行うものであり、該素子中の液体量を極めて微量にすることが出来るため、該液体の熱容量も極めて小さくすることが出来る。そのため、マイクロ流体素子に必要な温度の領域を設け、そこに流体を流すことによって、液体の容器(この場合はマイクロ流体素子)の温度を時間的に変化させること無く、迅速な温度追従性と均一な温度分布を得ることが出来る。これにより、反応時間や分析時間の短縮、副生成物の抑制などが可能となるという特長を有している。
【0003】
被試験体の表面に温度分布を形成する方法として、例えば、加熱したエアーを熱源とする温度調節部で互いに異なる温度に調節された3つのブロックを、板状の被試験体(マイクロ流体素子)に当接して、該被試験体に3つの温度領域を設ける方法(非特許文献1)や、該ブロックで板状の被試験体を挟んで、該被試験体に3つの温度領域を設ける方法(特許文献1)が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−058470号公報
【非特許文献1】
コップ(Kopp)等、「サイエンス(Science)誌」、第280巻、1998年5月15日号
【0005】
しかしながら、これらの方法によれば、非試験体に温度勾配を設ける場合のように、細かい階調で温度分布を形成する為には、極めて多数のブロックが必要となり、温調機構が複雑になり、限られた狭い範囲で正確に温度勾配を形成することが困難であるという問題があった。
【0006】
一方、ブロック内に温度分布を形成し、該ブロックを被試験体に当接又は近接させることによって、該ブロックと同じ温度勾配を被試験体に形成する方法も考えられるが、被試験体がマイクロ流体素子のように小さい場合には新たに固有の問題が生じる。即ち、一定の温度差の温度勾配を持たせようとすると、高温部と低温部の距離が近いために、形成すべき温度勾配が急峻となって、ブロックにこのような急峻な温度勾配を付けることが困難である。また、例えブロックに急峻な温度勾配を持たせることを想像したとしても、該温度ブロックを貫通する熱貫流量が多大となり、エネルギーの無駄が生じるだけでなく、該ブロックに大きなヒーターと大きな放熱器(又は冷却器)が必要となり、小型化することが難しくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような実情に鑑みて、例えばマイクロ流体素子のような被温度伝達材料の微小な距離範囲に所定の温度差を設けた急峻な温度勾配を有する温度分布を精度良く形成し、しかも、ヒーターや放熱器が小型化でき、エネルギーの無駄を無くした温度伝達装置及び被温度伝達材料に所定の温度差を設けた急峻な温度勾配を形成する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、温度伝達装置により被温度伝達材料に一定の温度差を有する温度分布を設ける場合その距離的な範囲が小さくなるほど、温度伝達装置のブロックの熱伝導率を小さくする必要があるが、前記ブロックの熱伝導率を小さくするほど、被温度伝達材料の温調精度が低下することを知見し、その問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ブロックの前記被温度伝達材料との接触面又は近接面に平行な方向の熱伝導率とそれに垂直な方向の熱伝導率が異なる構造にすることによって、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、ブロック本体と、該ブロック本体を加熱又は冷却する温度調節部とを具備し、前記ブロック本体のある表面に、前記ある表面に平行な方向の温度勾配を生じさせることができ、前記ある表面の温度を被温度伝達材料に伝達する温度伝達装置であって、前記ブロック本体において、前記ある表面に対して平行で、且つ前記温度勾配を生じ得る方向の熱伝導率が、前記ある表面に対する垂直方向の熱伝導率よりも低く、且つ0.3〜10W・m−1・K−1の範囲であり、更に前記ブロック本体が、部材(1)からなるマトリックス中に、前記部材(1)とは熱伝導率の異なる部材(2)が異方性を持って充填された構成であることを特徴とする温度伝達装置に関する。
【0010】
また、本発明は、前記温度伝達装置のブロック本体を加熱又は冷却することで前記ブロック本体のある表面の温度を他の表面と温度差が生じるように調整し、温度勾配を生じさせた前記ある表面に被温度伝達材料を当接または近接することを特徴とする温度伝達方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の温度伝達装置の主体となるブロック本体は、被温度伝達材料に温度を伝達するある表面(以下、温度伝達面という)で、該温度伝達面に平行な方向温度勾配を生じるものであり、温度伝達面に対して平行で、且つ前記温度勾配を生じうる方向の熱伝導率が、該温度伝達面に対して垂直方向の熱伝導率よりも低く、且つ0.3〜10W・m−1・K−1の範囲にあるものからなる。
【0012】
このようなブロック本体の熱伝導率の異方性は、部材(1)からなるマトリックス中に、前記部材(1)とは熱伝導率の異なる部材(2)が、異方性を持って充填された構成により実現できる。該ブロック本体は、任意の構造と材料を使用できる。例えば、マトリックスを構成する部材(1)としては、均一な固体、いわゆるバルクであってもよいし、何らかの微細構造、例えば粉末の焼結体のような多孔質材料であってもよい。マトリックスに充填する部材(2)としては、粉末や粒状のように寸法異方性を実質的に持たない形状、長繊維状、短繊維状、針状、棒状などの、一方向に長い寸法異方性を持つ形状、薄片状や板状のように、2方向に長い寸法異方性を持つ形状、であり得る。
【0013】
ブロック本体に熱伝導率の異方性を持たせるためには、部材(1)に部材(2)を異方性を持って充填する必要がある。熱伝導率に異方性を生じさせる充填構造は、部材(2)の形状により異なるため好適な構造を採用すればよい。例えば、
(A)部材(2)が粉体、粒状、球状などのように、ほぼ等方的な形状である場合には、温度伝達面に垂直な方向(以下、この方向を、ブロック本体に固定したxyz直角座標を考え、「z軸方向」と称する場合がある。)の部材(2)間の平均距離と、温度勾配を有する方向(以下、この方向を「x軸方向」と称する場合がある。)の部材(2)間の平均距離を変えて部材(1)中に部材(2)を充填させた構造が挙げられ、
(B)部材(2)が長繊維、短繊維、針状、棒状などのように、一つの方向の長さが他の方向の長さより長い形状である場合には、
(i)部材(2)の長さ方向を特定の一方向にそろえて部材(1)中に充填させた(一軸配向)構造、
(ii)部材(2)の長さ方向を特定の面に平行な面内にそろえて部材(1)中に充填させた(面内配向)構造、
(iii)z軸方向の部材(2)間の距離と、x軸方向の部材(2)間の平均距離を変えて部材(1)中に充填させた構造(部材(2)の配向方向はランダムであってよい。)
が挙げられ、
(C)部材(2)が薄片状や板状のように、2つの方向の長さが残る一方向の長さより長い形状である場合には、
(i)部材(2)の面が互いに平行な向きに配向させた構造、
(ii)部材(2)の面が特定の軸に平行方向に配向させた構造、
(iii)z軸方向の部材(2)間距離と、x軸方向の部材(2)間の平均距離を変えた構造(部材(2)の配向方向はランダムであってよい。)
が挙げられる。
【0014】
また、部材(2)の熱伝導率が部材(1)の熱伝導率より高い組み合わせと、部材(2)の熱伝導率が部材(1)の熱伝導率より低い組み合わせを採用しうるが、部材(2)の熱伝導率が部材(1)の熱伝導率より高い組み合わせが、素材の選択範囲が広く、製造が容易なため好ましい。前記ブロック本体において、x軸方向とz軸方向で熱伝導率の比を大きくするには、部材(1)と部材(2)の熱伝導率の違いが大きくなる材料をそれぞれ選択することが好ましい。また、部材(2)として、部材(1)の熱伝導率より高い部材と低い部材を同時に使用することも可能である。両者をそれぞれ異方性をもって充填することによって、高い熱伝導率異方性を実現することができる。
【0015】
これらの中で、部材(2)の熱伝導率が部材(1)より高い場合の上記(B)−(i)、(B)−(ii)、又は(C)−(i)が、熱伝導率の異方性を大きくでき、x軸方向の熱伝導率を所定の体に調節することが容易であり、且つ、製造も容易であるため特に好ましい。
【0016】
部材(1)と部材(2)の内、相対的に熱伝導率の低い方を構成する材料(以下、「低熱伝導率材料」と称する。)は、熱伝導率が5W・m−1・K−1以下であることが好ましく、0.1〜1W・m−1・K−1がさらに好ましい。このような材料としては、例えばガラス、セラミック、セメント、石膏、炭素などの無機質材料、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー、ポリ塩化ビニルや塩化ビニリデンなどの塩素含有ポリマー、ポリ4フッ化エチレンなどのフッ素系ポリマー、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル系ポリマー、ポリスルホンやポリエーテルスルホン等のポリスルホン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレンなどのポリスチレン系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのポリアミド系ポリマー、ポリエチレンテラフタレートなどのポリエステル系ポリマー、天然ゴムやニトリルゴムやシリコンゴム等のゴムやエラストマー、エボナイト、セルロースや酢酸セルロースやニトロセルロースなどのセルロース類等の天然高分子、ポリジメチルシロキサンなどのシリコン含有高分子等の有機高分子が挙げられる。これらは、単独でも共重合体でも、混合物であってもよい。これらの中で、特に、有機質材料が好ましい。また、低熱伝導率材料を部材(2)として用いる場合には、空気などの気体即ち気泡であってもよい。
【0017】
また、部材(1)と部材(2)の内、相対的に熱伝導率の高い方を構成する材料(以下、「高熱伝導率材料」と称する)は、熱伝導率が低熱伝導率材料の2倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがさらに好ましい。また、高熱伝導率材料の熱伝導率は、好ましくは10W・m−1・K−1以上、より好ましくは10〜1000W・m−1・K−1の材料である。この範囲とするこによって、熱伝導率の異方性を大きくしやすく、本発明の効果を十分に発現させることができる。このような材料としては、例えば、鉄、銅、アルミニュウム、黄銅、ステンレススチールなどの金属、水晶やダイヤモンドの結晶などの無機材料が挙げられる。又、部材(2)の場合には、ヒートパイプのような構造物であってもよい。
【0018】
前記ブロック本体の大きさは特に制限されないが、温度伝達面の大きさのうち、その温度勾配形成方向の長さがあまり長いと、温度勾配が雰囲気温度や被熱伝導材料の使用状態などによる外乱を受けやすくなる上、公知の等方的な熱伝導率を有するブロック本体を使用する方法に対する優位性が減少し、本発明の効果が減じる。また、その長さがあまり短いと、互いに異なる温度に調節された2つのブロック本体を被温度伝達材料に接触又は近接させる方法に対する優位性が減少し、やはり本発明の効果が減じる。本発明の効果を発揮するためには、温度勾配を生じる方向の長さが5〜20mmとなる程度が好ましい。
【0019】
前記ブロック本体を構成する部材(1)の寸法は、本発明のブロック本体の寸法そのものであってよいし、複数の部材に分けて形成し、それを合わせてブロック本体としてもよい。前記複数の部材の寸法は任意である。
【0020】
部材(2)の寸法は、ブロック本体に比べて十分小さければ任意である。例えば、粒状の場合には、粒径は1〜1000μmが好ましく、〜500μmがさらに好ましい。繊維状、針状、棒状の場合には、直径は、1〜1000μmが好ましく、10〜500μmがさらに好ましい。短繊維の場合には、その長軸方向長さは、0.1〜10mmが好ましく1〜6mmがさらに好ましい。長繊維の場合には、ブロック本体の端から端まで貫通する長さであってよい。薄片状や板状の場合には、厚みは1〜1000μmが好ましく、3〜100μmがさらに好ましい。また、面と平行方向の最大距離は0.1〜10mmが好ましく1〜6mmがさらに好ましい。これらの寸法範囲とすることで、微細にすぎて製造が困難となることもなく、過大に過ぎて、ブロック本体の温度伝達面の温度勾配の滑らかさが低下することもない。
【0021】
前記ブロック本体は、上述のように熱伝導率が異方性を有すると同時に、前記温度伝達面における前記温度勾配を生じうる方向の熱伝導率が0.3〜10W・m−1・K−1であることが好ましく、0.5〜5W・m−1・K−1がさらに好ましい。温度勾配を生じうる方向の熱伝導率がその範囲であれば、温度伝達面に於いてより正確で、室温の変動、室内気流の変動、被温度伝達材料内の流体流量変化、被温度伝達材料内の発熱反応や吸熱反応などの外乱を受けにくく、且つ、エネルギー消費も少ない、効率的な温度勾配をもたらすことができる。
【0022】
前記ブロック本体の前記x軸、y軸、z軸方向の熱伝導率は、ブロック本体を形成する際に、構成する部材(1)と部材(2)の熱伝導率、形状、寸法、配置により設計出来る。例えば、部材(2)の熱伝導率が部材(1)より大きい時には、部材(2)相互間の平均距離を小さくするほどブロック本体の熱伝導率は大きくなる。具体的な計算方法は、薄片状や板状の充填材が互いに平行に等間隔に充填されている構造の場合には、例えば「新版化学機械の理論と計算」(亀井三郎編、産業図書(株)、1959年)に記載されているように解析計算により求めることも可能である。これより複雑な構造であって、上記熱伝導率、形状、寸法、配置の全てが既知の時、あるいは、全部が既知でなくても十分な確かさで仮定することが出来れば、有限要素法によるコンピューターシミュレーションで求めることが可能である。有限要素法による熱伝導率のシミュレーションソフトとしては、例えば、ヒビット・カールソン・アンド・ソレンセン社製「アバカスVer.6.1」等、各種市販されている。また、上記の、各部材の熱伝導率、形状、寸法、配置の一部又は全部が不明であっても、ブロック本体の各方向の熱伝導率を、例えば、東洋精機製作所製KシステムII等の市販の固体熱伝導率測定装置によって直接測定することができる。このように、シミュレータによる計算結果や測定結果をもとに、任意の熱伝導率のブロック本体を設計できる。
【0023】
本発明の温度伝達装置に使用するブロック本体の製造方法としては、部材(2)で形成された充填材の表面に、所定厚みの部材(1)をコートし、該コートされた部材(2)を互いに接触する密度で前記部材(1)のマトリックス中に充填することによって前記ブロック本体を製造することができる。本発明の温度伝達装置のブロック本体に大きな熱伝導率異方性を設けるには、部材(1)及び部材(2)として、両部材間の熱伝導率の差が大きくなる素材を選ぶことが好ましい。そして、そのような場合に、ブロック本体のx軸方向の熱伝導率を所定の値にしたり、z軸方向の熱伝導率を出来るだけ高くするためには、部材(1)からなるマトリックス中の部材(2)間の平均間隙を、出来るだけ小さくする必要がある。該製造方法においては、部材(1)として低熱伝導率材料を使用し、部材(2)として高熱伝導率材料を使用することにより、ブロック本体の形成が容易であるため好ましい。
【0024】
前記製造方法において、部材(2)をコートする方法としては、コートする部材に樹脂などの有機材料を使用する場合には、揮発性溶剤の溶液の塗工と乾燥、熱硬化性樹脂の塗工と熱硬化、光硬化性樹脂の塗工と光硬化、界面重合法、気相重合法などを例示できる。また、コートする部材に無機材料を使用する場合には、蒸着、溶融メッキ、液相メッキ、プラズマ溶射、CVD(気相沈積法)などを例示でき、銅やアルミニウムなどの金属を使用すると加工が容易であるため好ましい。
【0025】
前記製造方法によると、表面コートされた部材(2)を互いに接触させて充填するという簡単な製造方法によって、熱的には、部材(2)間の平均間隙をμmオーダーに制御することが容易に可能となる。
【0026】
表面コートされた部材(2)を異方性をもって充填する方法は任意であり、例えば液体状の部材(1)からなるマトリックス中で表面コートされた部材(2)を配向させた後に該マトリックスを固化させてもよいし、表面コートされた部材(2)の堆積物をあらかじめ配向させ、該堆積物にマトリックスとなる部材(1)を含浸させて硬化させてもよい。
【0027】
部材(2)を配向させる方法としては、例えば、機械的な配列操作、寸法異方性のある部材(2)の紙漉き方式による堆積、寸法異方性のある部材(2)の液体中の沈降堆積(遠心法を含む)、寸法異方性のある部材(2)堆積物の振動による自発的な配向、堆積した寸法異方性のある部材(2)の特定方向からの圧迫、寸法異方性のある部材(2)の分散液からの分散媒の蒸発による自発的な配向堆積、液状の媒体中での撹拌やノズルからの押し出しなどによる剪断応力による配向、溶融樹脂などの粘稠液体中での延伸による配向、磁場や電場による配向、などを例示できる。これらの方法によって得られた部材(2)の堆積物が例えば板状であるように、目的とするブロック本体の寸法より小さい場合には、これらを集合させてマトリックスを固化させてもよいし、分割して作製した例えば板状の部材を積層固着して形成してもよい。
【0028】
上記製造方法において、部材(2)をコートする材料としては、マトリックスを形成する部材(1)を使用することが好ましいが、部材(1)とは異なる材料を使用することも可能である。
【0029】
本発明においては、ブロック本体が、温度伝達面に対して平行方向かつ温度勾配形成方向に平行な方向が、温度伝達面の垂直方向よりも低い熱伝導率を示すことから、温度勾配は保ちながら、各温度域においてブロック本体から被温度伝達材料への熱の授受が効率よく行われるので、被温度伝達材料にも正確で安定した温度勾配を形成することができる。即ち、垂直方向の熱伝導率が平行方向の熱伝導率よりも高いため、熱源から伝導された熱エネルギーを垂直方向により大きく伝導することになり、ブロック本体や被温度伝達体に気流が当たった場合や、被温度伝達材料中の液体流量が変化したり、被温度伝達材料中で発熱反応や吸熱反応が生じた場合でも、温度勾配が受ける影響は少なく、温度が安定している。また、上記にもかかわらず、温度勾配が形成される方向の熱伝導率が小さいため、高温部から低温部へと流れる熱貫流量が小さく、エネルギー効率がよいということになる。
【0030】
また、一方向の熱伝導率が他の二方向より高い熱伝導異方性を有する材料を用いて、温度伝達面に平行な方向で、且つ、前記温度勾配を生じうる方向に直角な方向(以下、この方向を「y軸方向」と称する場合がある。)も、前記z軸方向よりも低い熱伝導率とすることができるため、温度伝達面及び温度勾配形成のための温度調節面以外の面からの熱の出入り量を少なくすることができるため、さらに高精度の温度分布と、エネルギーの節約が計れる。
【0031】
前記ブロック本体を加熱または冷却する温度調節部は、通常前記ブロック本体の端部又は内部に、該ブロック本体を加熱若しくは冷却する温度調節部が設けられており、例えば電気ヒーター、セラミックヒーター、オイルヒーター、冷却装置などが使用され、加熱する場合には電気ヒーターが温度の調節に容易であることから好ましい。前記ブロック本体と前記温度調節部との構成については、例えば(i)前記ブロック本体の端部に加熱又は冷却する温度調節部を有し、同時に前記ブロック本体の他端部に前記端部と温度差を生じるための温度調節部とを有するか、又は当該ブロック本体の他端部に温度調節部を有しておらず、又は(ii)前記ブロック本体の内部に加熱又は冷却する温度調節部を有し、同時に前記ブロック本体の端部に前記ブロック本体の内部の温度調節部と温度差を生じるための温度調節部とを有するか、又は有していないような構造があげられる。
【0032】
例えば、最高温度部と最低温度部の両方を加熱する方法、最高温度部を加熱し、最低温度部を冷却又は放冷しつつ加熱する方法、最高温度部を加熱し、最低温度部は特に温調せず放冷する方法、最高温度部を加熱し、最低温度部を冷却する方法、最高温度部も最低温度部も冷却する方法、最高温度部は特に温調せず最低温度部を冷却する方法などが挙げられる。これらは設定すべき温度勾配の最高温度と最低温度や、最高温度部や最低温度部を温調する機構によって最適の方式を採用しうる。
【0033】
また、温度調節部がブロック本体より小さい場合、ブロック本体への熱伝導をより効率的に行うために、該温度調節部は、好ましくは熱伝導度の高い伝熱板、例えば金属板を有していてもよい。
【0034】
本発明の温度伝達装置においては、前記ブロック本体に、温度伝達面を除く任意の面、好ましくは、温度伝達面を除く全ての面に断熱カバーを装着することが好ましい。ブロック本体は少なからず全体から熱を発するので、あるいは熱を吸収するので、温度伝達面を除いて断熱カバーを装着することによって、温度伝達面以外の周囲へ発散する、または周囲から吸収する熱量の損失を低減できる上、温度勾配の直線性が増す。ブロック本体の加熱や冷却機構のよっては、これらが装着された面の断熱カバーを除いてもよい。尚、前記ブロック本体にかかる平行方向の熱伝導率および垂直方向の熱伝導率については、断熱カバーはブロック本体に含めないものとする。
【0035】
本発明の温度伝達装置を用いて被温度伝達材料に温度を伝導する場合、温度範囲は目的によって異なるため限定されないが、冷却するときには−160℃〜−80℃程度であり、また加熱するときには100℃〜250℃程度であり、特にブロック本体の高い温度の部分と低い部分との温度差は10℃〜100℃程度が好ましい。また、本発明の温度伝達方法においては、温度伝達面の温度勾配を、0.3〜10℃/mmとすることが好ましく、特に1〜5℃/mmが好ましい。
【0036】
本発明の温度伝達方法において、前記被温度伝達材料は、一般的には、前記ブロック本体の温度勾配形成方向に平行な方向の熱伝導率の10倍以下が好ましく、3倍以下がさらに好ましく、1倍以内が最も好ましく、より正確な温度勾配を行う観点からすると前記ブロック本体にかかる平行方向の熱伝導率よりも低い熱伝導率からなるものが好適である。かかる平行方向の熱伝導率よりも大幅に、例えば10倍以上、高いものからなると、前記ブロック本体の温度伝達面から伝導された勾配のある温度が損なわれ、温度伝達面の温度勾配が反映されないことになる。かかる被温度伝達材料の熱伝導率の上限は、被温度伝達材料の厚みや、ブロック本体の各方向の熱伝導率、ブロック本体の高さなどによって変わりうることになり、また被温度伝達材料の熱伝導率の下限は、要求される温度追従性、例えば被温度伝達材料内に形成された流路の深さ、流路内に流す液体の流量などによっても変わりうるが、一般的には、0.01W・m−1・K−1以上が好ましく、0.05W・m−1・K−1以上がさらに好ましい。この下限以上とすることによって、充分な温度追従性で流路内を温調することができ、流量などの影響も受けにくくなる。
【0037】
本発明で使用される被温度伝達材料としては、有機重合体からなるものが好ましく、その内部に、流体を流す流路や槽を有していてもよいし、温度によって変色したり、乖離定数が相違したり、反応したりする成分や試験体を包含していてもよい。
【0038】
本発明の温度伝達装置を用いた温度伝達方法によれば、例えばマイクロ流体デバイス、マイクロ・フルイディック・デバイス、マイクロ・ファブリケイテッド・デバイス、ラブ・オン・チップ、又はマイクロ・トータル・アナリティカル・システム(μ−TAS)などのマイクロ流体素子に必要な温度の領域を設け、そこに流体を流すことによって、液体の容器(この場合はマイクロ流体素子)の温度を時間的に変化させること無く、迅速な温度追従性と均一な温度分布を得ることが出来る。これにより、反応時間や分析時間の短縮、副生成物の抑制などが可能とすることができる。特に、急峻な温度勾配を有する温度分布を精度良く形成することができ、ヒーターや放熱器を小型化できるので、エネルギーの消費量を削減することができる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明のさらに具体的な実施例を説明する。なお、以下の実施例において、数量の単位を表す「部」は、特に断りがない限り「質量部」を表わす。
また、説明の簡略化のため、温度勾配を生じさせる方向、即ち、熱伝導板2とフィン型放熱部材4を結ぶ方向をx軸方向、ブロック本体が被温度伝達材料と接触する面に垂直な方向をz軸方向、残る1方向をy軸方向として、x軸方向を地面に平行に置いた姿勢で説明する。
【0040】
[マイクロ流体素子(被温度伝達体)の製造例]
平均分子量約2000の三官能ウレタンアクリレートオリゴマー(大日本インキ化学工業株式会社製の「ユニディックV−4263」)を35部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(第一工業製薬株式会社製の「ニューフロンティアHDDA」)を35部、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(n=17)アクリレート(第一工業製薬株式会社製の「N−177E」)を30部、紫外線重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製の「イルガキュアー184」)を5部、及び重合遅延剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学株式会社製)を0.1部を均一に混合してエネルギー線硬化性の組成物Xを調製した。
【0041】
まず、図1に示すように、75mm×35mm×1mmのアクリル樹脂製の基材11に組成物Xを塗布し、窒素雰囲気中で100mw/cmの紫外線(以下同条件)を3秒間照射して、該塗膜を半硬化させ、該半硬化した厚さ90μmの樹脂第1層12を形成した。
【0042】
この樹脂第1層12の上に、組成物Xを塗布し、フォトマスクを使用して、長さ40mmの直線上の部分とその両端から90℃の角度で伸びた二本の長さ20mmのコの字形の流路14となる部分、熱電対20が装着される、前記流路14に近接した部分、及び熱電対のリード線21が装着される部分、の三者以外の部分に、紫外線を1秒間照射して、照射部分の塗膜を半硬化させた後、水流にて未照射部の未硬化の組成物を除去し、幅150μm、深さ90μm、長さ20mm+40mm+20mmのコの字形の流路14となるべき溝14、熱電対20が装着される凹部20、及び熱電対のリード線21が装着される溝21が樹脂層の欠損部として形成された樹脂第2層13を形成した。次いで、凹部20及び溝21に、線径80μmのアルメル線とクロメル線を溶接して作製した熱電対20とそのリード線21となる前記アルメル線とクロメル線を装着した。
【0043】
別途、片面がコロナ放電処理された厚さ30μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(二村化学株式会社製、OPPフィルム)(図示せず)のコロナ放電処理面に組成物Xを塗布し、紫外線をフォトマスク無しで1秒間照射し、塗膜を半硬化させて厚さ90μmの半硬化塗膜と成し、該半硬化塗膜を樹脂第2層13と密着させて、その状態で紫外線をさらに30秒間照射して全ての樹脂層を硬化させた後、前記ポリプロピレンフィルム(図示せず)を剥離して樹脂第3層15とすることにより樹脂第2層13の溝14を毛細管状の流路14と成し、また、熱電対20を前記流路14に近接した位置に封入し、そのリード線21が外部に引き出されたマイクロ流体素子Dの前駆体を得た。
【0044】
マイクロ流体素子Dの前駆体の流路14の両端部16、17に於いて、樹脂第3層15に、ドリルにて直径1.6mmの穴16、17を穿ち、その部分の樹脂し第3層15の表面に配管接続用のルアーフィッテイング18、19を接着して流入口18及び流出口19を形成して、図1に示された形状のマイクロ流体素子Dを作製した。
【0045】
なお、基板11に使用したアクリル板の熱伝導率は約0.15W・m−1・K−1(化学便覧、丸善、1975年)であり、樹脂層に使用したアクリル系のエネルギー線硬化性組成物硬化物もほぼ同じ値と推定された。
【0046】
[実施例1]
〔ブロック本体の作製〕
図2に示したように、厚み約5μmのエナメル被服した線径500μmの銅線37(熱伝導率398W・m−1・K−1、化学便覧、丸善、1975年より)の束を、重合開始剤のパーブチルオー0.5質量%を添加したメチルメタクリレートから成る重合性組成物Fに浸漬して、ポリエチレン製の容器(図示せず)中に寝かせて置いた。これを繰り返して、前記銅線37を同じ向きに配向させて積層し、これをポリエチレン容器ごと台に繰り返し軽く打ちつけた後、上部から圧迫することにより銅線37をほぼ最密充填状態とし、45℃の加熱炉中に15時間静置して、前記重合性組成物Fを重合硬化させ、ポリメチルメタクリレート(熱伝導率0.15W・m−1・K−1、化学便覧、丸善、1975年より)36のマトリックス中に、導線37が一方向に配向して、高密度に充填された硬化物を得た。
【0047】
得られた硬化物から一辺20mmの立方体切り出してブロック本体1とし、該ブロック本体1の前記銅線の配向した方向をz軸方向とした。このブロック本体1は、x軸方向とy軸方向の熱伝導率が共に約4.8W・m−1・K−1、z軸方向の熱伝導率が約350W・m−1・K−1であると計算された[「アバカスVer. 6.1」(ヒビット・カールソン・アンド・ソレンセン社製の、有限要素法による構造解析ソフト)によるシミュレーションによる、但し、被服エナメルの熱伝導率はポリメチルメタクリレートと同じと仮定し、また、各エナメル線は断面方向から見て六方細密充填されていると仮定した。]。即ち、このブロック本体1はz軸方向の熱伝導率が、x軸方向とy軸方向の熱伝導率より高い熱伝導率異方性を有していた。
【0048】
〔温度伝達装置の作製〕
図3に示したように、ブロック本体1のx軸に直角な端面の一つに、20mm×20mm×厚さ3mmのアルミニウム製の伝熱板2を接着し、その外側に、最大発熱量約10Wの板状の電気ヒーター3を接着した。また、前記ブロック本体1の上記の面に対向する面にアルミニウム製のフィン型放熱部材4を接着し、該フィン型放熱部材4のフィンの一つに電気ヒーター5を接着した。
【0049】
さらに、上記伝熱板2のy軸に垂直な20mm×3mmの面の一つの中央部に直径1.1mm、深さ15mmのドリル穴を開け、直径1mmのシース型の熱伝対6を挿入して接着した。また、上記フィン型放熱部材4にも同様にしてシース型の熱伝対7を装着した。上記の接着は全てセラミック系の接着剤、スミセラムS−10A(朝日化学工業製)を用いた。
以上のようにして、温度伝達装置H1を作製した。
【0050】
〔温調試験〕
室温20℃で、ファン(図示せず)にて弱い気流を温度伝達装置H1のフィン型放熱部材4に当てながら、温度調節器(図示せず)を、フィン型放熱部材4の温度を45℃、伝熱板2を95℃に設定した。
【0051】
フェノール樹脂コートの木製机上に厚さ3mmのポリメチルメタクリレート板を置き、その上に設置したマイクロ流体素子の上に、上記のように温度調節した温度伝達装置H1を、x軸方向をマイクロ流体素子Dの流路14の40mm直線部分に平行な方向にして、当接させて配置し、流路14の長さ40mmの直線部分に流線方向の温度勾配を形成した。
【0052】
ルアーフィッテイング19にシリンジポンプ(図示せず)を接続して、流路14に蒸留水を充填した後、送液を止め、温度分布曲線を測定するために、熱電対20で温度測定しつつ、温度伝達装置H1を流路14の40mm直線部分に沿って、温度分布が平衡を保つ程度にゆっくり移動させたところ、伝熱板2に相対する位置である高温部温度、フィン型放熱部材4に相対する位置である低温部温度、及びその中間の10mm位置に於ける中間温度は、表1に示したように、ほぼ直線的な温度勾配を示した。
【0053】
次いで、上記の中間位置において温度伝達装置H1の移動を止め、シリンジポンプ(図示せず)を駆動して、流路14に蒸留水を0.01〜1mm3/分の流量で流したが、熱電対20で測定される温度に変化はなく、安定していた。
【0054】
[実施例2]
〔断熱カバーの作製〕
木綿製の織布(ネル)を2枚重ねにして、内寸が、縦24mm×横20mm×高さ20mmの、図6に示したような直方体の3面を構成するコの字形の断熱カバー42を作製した。
【0055】
〔温調試験〕
温度伝達装置H1の、被温度伝達材料Dと接する面、フィン型放熱部材4が装着された面、及び温度伝達板2が装着された面、以外の3面を被うように、前記断熱カバー42を装着したこと以外は実施例1と同様の試験を行ったところ、表1に示したように、温度の直線性が向上し、雰囲気気流の影響を受けにくくなると共に、ヒーター3の消費電力が減少した。
【0056】
[比較例1]
本比較例は、ブロック本体1を、等方的で低い熱伝導率を持つ素材で形成した例について述べる。
ブロック本体1をポリメチルメタクリレート(熱伝導率0.15W・m−1・K−1、化学便覧、丸善、1975年より)で形成したこと以外は実施例と同様にして温度伝達装置H2を作製し、これを被試験体として用いたこと以外は、実施例と同様の試験を行った。その結果、前記温調節装置H2をマイクロ流体素子Dに当接した状態で流路14の40mm直線部分に沿ってゆっくり移動させて熱電対20で温度測定したところ、高温部温度は89℃であったが、熱電対20に相対して当接される部分がブロック本体1になると急激に温度が下がり、ブロック本体の面1aから5mmの位置で50℃、10mmで32℃、15mmで36℃となり、低温部温度は44℃であった。このように、温度分布は中央部で低く両端で高い曲線となり、直線に近い温度勾配は得られなかった。また、熱電対20が計測した温度は経時的に不安定な上、流路14に流す液体の流量によっても変化した。
【0057】
[比較例2]
本比較例は、ブロック本体1が、x軸方向の熱伝導率がz方向の熱伝導率より高い場合の例を述べる。
ブロック本体部材B2のx軸方向とz軸方向を逆にして使用した以外は、実施例2と同様にして温度伝達装置HC1を作製し、これを用いたこと以外は、実施例2と同様の試験を行った。
その結果、表1に示したように、伝熱板2の温度を95℃にすべく設定しても61℃までしか上がらず、また、フィン型放熱部材4の温度を45℃に設定しても温度は57℃になり、温度勾配はほとんど付かなかった。
【0058】
【表1】
Figure 2005005434
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、例えばマイクロ流体素子のような被熱伝導体の微小な距離範囲に所定の温度差を設けた急峻な温度勾配を有する温度分布を精度良く形成することができる。しかも、ヒーターや放熱器を小型化できるので、エネルギーの消費量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例で作製したマイクロ流体素子(被温度伝達体)の見取り図である。
【図2】実施例1で作製したブロック本体の見取り図である。
【図3】実施例1で作製した温度伝達装置の構造を示す見取り図である。
【図4】実施例2で使用した断熱カバーの見取り図である。
【符号の説明】
1 :ブロック本体
2 :伝熱板
3、5 :ヒーター
4 :フィン型放熱部材
6、7、20 :熱電対
11 :基材
12 :樹脂第1層
13 :樹脂第2層
14 :流路
15 :樹脂第3層
16 :流入口
17 :流出口
18、19 :ルアーフィッテイング
21 :リード線
31 :ポリメチルメタクリレート
32 :銅線

Claims (11)

  1. ブロック本体と、該ブロック本体を加熱又は冷却する温度調節部とを具備し、前記ブロック本体のある表面に、前記ある表面に平行な方向の温度勾配を生じさせることができ、前記ある表面の温度を被温度伝達材料に伝達する温度伝達装置であって、前記ブロック本体において、前記ある表面に対して平行で、且つ前記温度勾配を生じ得る方向の熱伝導率が、前記ある表面に対する垂直方向の熱伝導率よりも低く、且つ0.3〜10W・m−1・K−1の範囲であり、更に前記ブロック本体が、部材(1)からなるマトリックス中に、前記部材(1)とは熱伝導率の異なる部材(2)が異方性を持って充填された構成であることを特徴とする温度伝達装置。
  2. 前記部材(2)の形状が、粒状、繊維状、または小片状である請求項1に記載の温度伝達装置。
  3. 前記部材(1)と前記部材(2)の内の熱伝導率の低い方の材料の熱伝導率が5W・m−1・K−1以下であり、かつ熱伝導率の高い方の材料の熱伝導率が10〜1000W・m−1・K−1である請求項1または2に記載の温度伝達装置。
  4. 前記ある表面の温度勾配が生じる方向の長さが、5mm〜20mmである請求項1〜3のいずれかに記載の温度伝達装置。
  5. 前記ブロック本体の端部又は内部に、該ブロック本体を加熱若しくは冷却する温度調節部が設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の温度伝達装置。
  6. 前記ブロック本体に、前記ある表面以外の面に断熱カバーが装着されている請求項1〜5のいずれかに記載の温度伝達装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の温度伝達装置のブロック本体を加熱又は冷却することで前記ブロック本体のある表面の温度を他の表面と温度差が生じるように調整し、温度勾配を生じさせた前記ある表面に被温度伝達材料を当接または近接することを特徴とする温度伝達方法。
  8. 前記ある表面の温度勾配を、1〜10℃/mmとする請求項7に記載の温度伝達方法。
  9. 前記被温度伝達材料が、有機重合体である請求項6または7に記載の温度伝達方法。
  10. 前記ブロック本体に、前記ある表面以外の面に断熱カバーを装着する請求項7〜9のいずれかに記載の温度伝達方法。
  11. 前記部材(2)で形成された充填材の表面に、所定厚みの前記部材(1)をコートし、該コートされた充填材を互いに接触する密度で前記部材(1)からなるマトリックス中に充填することを特徴とする温度伝達装置用ブロック本体の製造方法。
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