JP2005002541A - タイルカーペット - Google Patents

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Kazunari Yamamoto
和成 山本
Hiroaki Sakiyama
弘昭 崎山
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Yamamoto Sangyo KK
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Abstract

【課題】既製のPVC温和物軟質シートを基材部下層に用いるタイルカーペットにおいて、これと、ガラス繊維集合体布層、PVC混和ペーストからのPVC混和物軟質層、カーペット部の層の各層が、強固に一体化し、ガラス繊維集合体布の挿入効果である寸法安定性を十分に発揮させる層構造と方法の提供。
【解決手段】製造工程で、接着増強剤包接ガラス繊維集合体布として用いることによって、製品層構造において、ガラス繊維集合体布を構成する各ガラス単繊維57が接着増強材58に包接されていると共に、PVC温和物軟質シート層28、PVC混和物軟質層30と互いに親和性があるので強固に接合している構造を得た。前記構造によりガラス繊維集合体布挿入の効果である寸法安定性を十分に発揮させる層構造を提供できた。
【選択図】 図 2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、敷設すべき床との接触層となる基材部下層に、別工程で作ったPVC(塩化ビニル)混和物軟質シートを用いるタイルカーペット、ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献】
特開平7−32520号公報
【0003】
なお、前記特許文献の引用ならびに説明などについては、前記特許文献の表現をそのまま用いる。
前記特許文献には、前記特許文献の
【0003】に、バッキング層は、特殊グレードのペースト用塩化ビニルポリマーをベースにD.O.P.等のフタル酸エステル系の可塑剤を使用し、200〜400部の粒状炭酸カルシュームを混合したペースト状の樹脂をゾルコートし、ゲル化して作成されるという、塩化ビニルゾルから作るタイルカーペット製造法の内容が開示されている。
また、前記特許文献の
【0004】には、従来の技術として、床面に接するハードバック層と、パイルを固定するパイル接着層、並びにその間にカーペットタイルの寸法安定性のために挿入されたガラス繊維製のシート層の三層からなる積層構造で形成される、との開示がある。
【0004】
また、前記特許文献の
【請求項1】には、20wt%以上の塩化ビニル樹脂を含有し、カレンダー圧延方式により作成されたバッキング材を前記ハードバック層とし、塩化ビニルペーストゾルコートによるゲル化シートを前記パイル接着層として作成する、との内容が開示されている。
また、前記特許文献の
【0011】には製造方法として、ハードバック層とパイル接着層を分離して製造する方法。則ち、前記ハードバック層をリサイクル可能なカレンダー圧延法で作成し、前記パイル接着層をペーストゾルコート法で作成する方法、との内容が開示されている。
【0005】
その目的とするところとして、前記特許文献の
【0012】に、工場廃材、又は使用済みのカーペットタイルを粉砕機で細かく粉砕し、ブロック化したものを混練して圧延した再生バッキング材を前記ハードバック層とし、この上にガラスメッシュを、中間層として、PVCペーストゾルをコートして前記パイル接着層を構成しながらカーペットタイルを作成する、との開示がある。
【0006】
タイルカーペットの層構造は、表面のカーペット部とこれを支える基材部から成る。タイルカーペットの開発初期段階には、基材にビチューメン(アスファルト)混和物を用いるビチューメンタイルカーペットと、PVC混和物を基材に用いるPVCタイルカーペットが、ほぼ同時期に上市された。
しかしながら、製品の収縮などの物性の問題、施工性などから、現在では前記PVCタイルカーペットが主流になっている。
【0007】
従前において、PVCタイルカーペットは、基布部を含むパイルを有するカーペット部を、基材部であるPVC混和物シートに接着剤あるいは熱溶着法などで貼付して作る「シート法」で作られていた。
その後当業界の技術開発が進み、「ペースト法」として、安定剤、可塑剤、充填材などを混和したPVC混和ペーストを、160〜230℃程度の高温熱処理することによって、ゲル化と溶融過程を経て、PVC/可塑剤の均一溶融が達成され、この段階で冷却して、良質な軟質PVC混和物軟質シート状物が容易に得られるようになった。これにより前記「ペースト法」がPVCタイルカーペットの製法や製品の主流になった。
【0008】
すなわち、「ペースト法」によるタイルカーペットの層構造は、下層から上層へ順に、基材部下層であるPVC混和物ペーストから溶融、冷却過程を経て樹脂化して成るPVC混和物軟質層、ガラス繊維集合体布層、基材部上層であるPVC混和物ペーストから溶融、冷却過程を経て樹脂化して成るPVC混和物軟質層、および基布部を含むカーペット層の4層からなる積層体である。
【0009】
図7は、従来の技術である「ペースト法」によるタイルカーペットの製造工程の略図である。
図7において、エンドレスベルト1が矢印進行方向2に進行している。
図7の左端部に描くエンドレスベルト1上の、基材部下層用のPVC混和ペーストの形成工程18において、基材部下層となるべき基材部下層用PVC混和ペースト5が第1コータナイフ6によって、エンドレスベルト1の進行に伴ってエンドレスベルト1上に、厚さ約2mm程度の基材部下層用PVC混和ペーストの延展体が形成される。
基材部下層用PVC混和ペースト5の補充供給は、図7の図面と直交方向、つまりエンドレスベルト1の幅方向に、ほぼ等間隔で7本前後備えられている基材部下層用固定式ペースト供給ノズル3によって行われる。
ペースト供給ノズルは、図7の図面と直交方向、つまりエンドレスベルト1の幅方向に往復運動するトラバス式ペースト供給ノズル4によってでもよく、この場合は1本でもペーストの補充供給ができる。
【0010】
図7において、エンドレスベルト1の進行にともなって、次にガラス繊維集合体布7が上方から矢印進行方向8より供給され、前記ペースト延展体の上に積層される。次いでエンドレスベルト1上の、基材部上層用PVC混和ペースト10が第2コータコンマナイフ11によって、ガラス繊維集合体布7上に、厚さ約1mm程度の延展体が形成される。
次いで、カーペット部乾燥炉19を経たパイルと基布から成るカーペット部12が、矢印進行方向13より供給され、 エンドレスベルト1の進行にともなって基材部上層用PVC混和ペースト延展状体の上に積層される。
【0011】
これらの積層体は、加圧ローラー14で加圧され、加熱炉15で、PVC混和ペーストがゲル化と溶融過程を経て、塩化ビニルと可塑剤の均一溶融が達成されるのに十分な温度と時間を与えられて後、水冷式冷却部16で冷却され、矢印進行方向17にタイルカーペット連続物として完成する。
前記タイルカーペット連続物を、一辺50cmなどの適宜角に裁断し、タイルカーペット製品となる。
【0012】
近年、リサイクルの展開に呼応して再生PVC混和物軟質シートが供給されるようになり、図7における基材部下層用PVC混和ペースト形成工程18に代えて、シート状で供給することが行われるようになった。
図8は、従来の技術である「シート・ペースト併用法」によるタイルカーペットの製造工程略図である。
図8には、図7における基材部下層用材のPVC混和ペーストの形成工程18がなく、これに代えて、基材部下層用として、別工程で製造したPVC混和物軟質シート24を用いる方法である。
図8において、別工程で製造したPVC混和物軟質シートのロール巻23から引き出された、PVC混和物軟質シート24は、エンドレスベルト1の進行にともなって矢印進行方向25より供給される。
【0013】
ガラス繊維集合体布7が上方から矢印進行方向8より供給され、エンドレスベルト1の進行にともなって、PVC混和物軟質シート24の上に積層され、積層されたガラス繊維集合体布の上に、ペースト10が第2コータコンマナイフ11によって、基材部上層となるべき、基材部上層用PVC混和ペースト延展体が形成される。以降の工程は、図7の場合と同様である。
図8の如くすれば、図7の「ペースト法」の製造工程における、基材部下層用材の形成工程18を使わずに、別工程で作ったPVC混和物軟質シート24が使用できる。
【0014】
前記基材部上層用PVC混和ペーストは、PVC系レジンとしてはホモポリマーも用いるが、酢酸ビニルなどとの中重合度(1300〜1700程度)のコポリマー(共重合体)が一般に用いられる。
前記PVC混和ペーストは、これらPVC系レジンと、DOP(ジオクチルフタレート)などの可塑剤、安定剤、重質炭酸カルシュームなどの充填剤などの混和物から成り、一般に流動性を殆ど示さず、その粘度は、25℃のとき大凡4〜30Pa・s(パスカル・秒;40〜300P(ポアズ))程度である。
したがって、流動性、高粘度という面かみて、ガラス繊維集合体布を構成する個々のガラス単繊維間に、万遍なく入り込んで全てガラス単繊維に接触する形態にはなり難いといえる。
【0015】
図9は、図8の「シート・ペースト併用法」によって得られたタイルカーペットの層構造の断面略図である。
図9において、基材部の全厚さは大凡3〜5mm程度である。
その層構造は、基材部下層である厚さ2〜3mm程度のPVC混和物軟質シート層28、ガラス繊維集合体布の層29(図9の例では不織布)の層、基材部上層である厚さ1〜2mm程度のPVC混和物軟質層30、ならびにパイル31と基布32から成るカーペット層33の4層の積層体である。
【0016】
図9において、ガラス繊維集合体布の層29とその近傍の一部を、破線囲み部34として示し、図10に破線囲み部34の拡大略図を示す。
図10において、PVC混和物軟質シート層28、PVC混和物軟質層30、ガラス繊維集合体布層29が不織布である場合を示し、前記不織布を構成する個々のガラス単繊維36をそれぞれ示す。
【0017】
ガラス繊維集合体布の層29において、図10に描くように、基材部下層が表面35が滑らかで平坦な、固体のシート状態で供給されたことに由来して、接合性が十分でない。
すなわちその製造過程において、基材部上層になるべきPVC混和ペーストが、個々のガラス単繊維の間隙を通って基材部下層のPVC混和物軟質シート層に至っても、シート状物質である固体と、高粘度物質である前記PVC混和物ペーストとの境界部なので相互の親和性が低い。
したがって、PVC混和物軟質シート28の表面35とPVC混和ペーストからのPVC混和物軟質層30とが十分には接着していない。
【0018】
さらに、基材部上層になるべき高粘度の前記PVC混和ペーストが前記ガラス繊維集合体布内部に充分には浸入せず、したがって前記ガラス繊維集合体布の個々のガラス単繊維とも充分には接合せず、ガラス繊維集合体布の内部やPVC混和物との境界部に空隙部37が多数存在する構造となる。
【0019】
タイルカーペットの基材部に、不織布、交差布、織布などのガラス繊維集合体布を挿入する目的は、寸法安定性を高めるためであり、その目指すところは置き敷きできるタイルカーペットとするためである。
しかしながら、図8に代表される従来の「シート・ペースト併用法」によるタイルカーペットは、ガラス繊維集合体布を挿入しても寸法安定性、すなわち冬季と夏季など温度の差による収縮、伸長の差が大きく、また、シャンプークリーニングによる寸法変化など、単なる置き敷きできる域ではなく、施工時に床上に接着剤や粘着剤で強固に貼布することを要する。
このようなわけで、基材部下層用材として、別工程で製造した前記PVC混和物軟質シートを使用する従来の「シート・ペースト併用法」によるタイルカーペットは、寸法安定性において従前の「ペースト法」によるそれよりさらに低いという問題点がある。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
主として季節要因である敷設場所の温度変化に伴う寸法安定性、結露やシャンプークリーニングのときの湿潤/乾燥時の寸法安定性などは、タイルカーペットの重要な性能であり、その向上が望まれている。
前記寸法安定性向上の終局的な目的は、単に置き敷きするのみで施工できることにある。タイルカーペットにおける基材部へのガラス繊維集合体布の挿入の目的は、寸法安定性の向上である。
「シート・ペースト併用法」において、ガラス繊維集合体布を挿入しても、なお寸法安定性が不十分である要因は、タイルカーペットの基材部の層において、前記ガラス繊維集合体布を構成する個々の単繊維と、別工程で製造したPVC混和物軟質シート層、およびPVC混和物軟質層との3者が、十分には接合してなく、一体化してないことに由来する。
したがって、せっかくガラス繊維集合体布を挿入しながら、期待効果であるところの、寸法安定性や補強の効果が十分に発揮されないという問題があった。
【0021】
本発明は上記従来の課題を考慮し、「シート・ペースト併用法」における製品タイルカーペットの層構造において、基材部下層用として別工程で製造した前記PVC混和物軟質シート層、前記ガラス繊維集合体布層、前記PVC混和物ペーストが樹脂化した前記PVC混和物軟質層、およびカーペット部層の4者が、強固に一体化し、ガラス繊維集合体布を挿入することによる寸法安定性や補強の効果を十分に発揮させる層構造と方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
別工程で作られた前記PVC混和物軟質シートは、固体のシート状物であり、表面が滑らかで平坦である。
製造過程において基材部上層になるべき高粘度のPVC混和ペーストは、前記ガラス繊維集合体布の中に十分には浸入せず、したがって、前記基材部下層の前記PVC混和物軟質シートの表面まで十分には至らず、接合も十分でない。
また、前記ガラス繊維集合体布の個々のガラス単繊維にも十分には接合していない。
【0023】
発明者は鋭意検討し、製造過程において、基材上下層との接着増強剤をガラス繊維集合体布に含浸させ、接着増強剤包接ガラス繊維集合体布としてから、タイルカーペットの基材部に挿入することによって、前記基材部下層、前記ガラス繊維集合体布層、ならびに前記基材部上層とが互いに強固な接合体となることを見いだしたものである。
【0024】
本発明は、図1に示す如く、タイルカーペットの断面の層構造の下層から上層へ、次に記載のア)〜エ)の如く積層されている。
すなわち、ア)前記基材部下層のPVC混和物軟質シートの層28。
イ)次層のガラス繊維集合体布層部55においては、ガラス繊維集合体布およびその近傍部を示す図1における破線囲み円部56の拡大略図である図2に示すように、前記ガラス繊維集合体布を構成する各個のガラス単繊維57が、PVC混和物軟質シート層28およびPVC混和物軟質層30の双方との接着増強材58で、実質的に包接されている接着増強材包接ガラス繊維集合体布層55。
ウ)基材部上層の塩化ビニル混和物軟質層30。
エ)図1における基布部を含むカーペット部の層33、の順で積層されている。
しかして、前記ア)、イ)、ウ)、エ)の各層が相互に強固に接合していることを特徴とするタイルカーペットの発明に至った。
【0025】
また、タイルカーペットの製造方法においては、タイルカーペットの下層部になるべき基材部下層用材が、PVC混和物軟質シート状態で供給される。
次いで、PVCとの接着増強剤をガラス繊維集合体布に含浸させることによって、前記ガラス繊維集合体を構成する各単繊維を前記接着増強剤で実質的に包接している接着増強剤包接ガラス繊維集合体布とする。
これを前記PVC混和物軟質シートの上部面に積層し、この上部面に、基材部上層用材になるべきPVC混和物ペースト、さらに、基布部を含む前記カーペット部の層の順で積層する。
しかして後、前記PVC混和物ペーストがゲル化と溶融過程を経て、PVCと可塑剤の均一溶融が達成されるのに十分な温度と時間を与えて後、冷却することを特徴とするタイルカーペットの製造方法の発明である。
【0026】
また、前記ガラス繊維集合体布が、不織布、交差布、あるいは織布であることを特徴とするタイルカーペットの発明である。
また、前記タイルカーペットの製造方法において、前記接着増強剤が低粘度PVCプラスチゾルであって、その粘度が25℃のとき900mPa・s以下であることを特徴とするタイルカーペットの製造方法の発明である。
さらに、前記タイルカーペットにおける下層部のPVC混和物軟質シートが、ガラス細片を含むことを特徴とする再生PVC混和物軟質シートであることを特徴とするタイルカーペットおよびその製造方法の発明である。
【0027】
また、前記タイルカーペットの製造方法において、前記接着増強剤をガラス繊維集合体布に含浸させる方法について以下とする。
すなわち、工程進行順において、基材部下層用の前記PVC混和物軟質シート上面に、前記ガラス繊維集合体布の積層に至る迄の位置において、図4に示す如き接着増強剤を滞留体43の如く塗布する。
しかして後、前記ガラス繊維集合体布を積層することによって、前記接着増強剤を前記ガラス繊維集合体布に含浸させ、前記接着増強剤包接ガラス繊維集合体布46としてから、この上面に前記PVC混和ペーストを積層することを特徴とするタイルカーペットの製造方法の発明である。
【0028】
また、前記タイルカーペットの製造方法において、前記接着増強剤をガラス繊維集合体布に含浸させる方法について以下とする。
すなわち、工程進行順において、前記ガラス繊維集合体布が積層される前に、図6に示す如く、ロールコーター50などによって前記ガラス繊維集合体布に前記接着増強剤を直接含浸させ、接着増強剤包接ガラス繊維集合体布とする。
これをPVC混和物軟質シート上面に積層して後、前記塩化ビニル混和ペーストを積層するることを特徴とするタイルカーペットの製造方法の発明である。
【0029】
加えて、前記タイルカーペットの製造方法において、接着増強剤包接ガラス繊維集合体布の加工部に代えて、別工程で加工された接着増強材包接ガラス繊維集合体布を用いることを特徴とするタイルカーペットの製造方法の発明である。
また、前記タイルカーペットの製造方法において、接着増強剤包接ガラス繊維集合体、あるいは接着増強材包接ガラス繊維集合体布の使用に加えて、図5の54に示す如く、前記カーペット部裏面に、接着増強剤を塗布することを特徴とするタイルカーペットの製造方法の発明である。
【0030】
本発明の実施によって、基材部下層用の別工程で作ったPVC混和物軟質シート層、ガラス繊維集合体布層、塩化ビニル混和物ペーストから樹脂化した前記PVC混和物軟質層、およびカーペット部層の4者が、強固に一体化し、ガラス繊維集合体布を挿入することによる、寸法安定性や補強の効果を十分に発揮する層構造を提供できる。
【0031】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき、図面と表を参照して説明する。
なお、各図面において、寸法、寸法比、相互の位置関係などについては、説明を容易にするため実物とは相違する。
なお、タイルカーペットの基材部において、基材部下層とは補強材であるガラス繊維集合体布部を境にして下側の層、基材部上層とはその上側の層をいう。
【0032】
先ず、接着増強剤包接ガラス繊維集合体とする加工方法、および前記接着増強剤包接ガラス繊維集合体布を基材部に挿入する工程部分の幾つかの例について、前記接着増強剤として低粘度PVCプラスチゾルを用いる例で説明する。
図3は、接着増強剤包接ガラス繊維集合体布を形成する、タイルかーペット製造工程略図である。
図3において、図7に示す「ペースト法」によるタイルカーペット製造工程略図における基材部下層用PVC混和ペースト形成工程18における、基材部下層用固定式ペースト供給ノズル3、あるいは基材部下層用トラバス式ペースト供給ノズル4の装置を利用するなどして、図3に描くように、別工程で作られたPVC混和物軟質シート24上に、ノズル41から接着増強剤である低粘度PVCプラスチゾルをシャワー状などで均一に垂れ落として塗布する。
【0033】
しかして後、図3において、接着増強剤である前記低粘度PVCプラスチゾルを塗布したPVC混和物軟質シート24上にガラス繊維集合体布7が積層される。
このとき、ガラス繊維集合体布7の毛細管現象で直ちに接着増強剤である前記PVC低粘度プラスチゾルが個々のガラス単繊維表面に行き渡り、接着増強剤包接ガラス繊維集合体布となる。
次いで、エンドレスベルト1の進行に伴って、ペースト10が第2コータコンマナイフ11によって、前記接着増強剤包接ガラス繊維集合体布上に、基材部上層用PVC混和ペースト延展体が形成され積層される。
次いで、カーペット部12を積層する。なお、カーペット部12は、これに水分が存在すると、水蒸気によるブリスター欠陥が基材中に生じるので、乾燥炉19で十分乾燥した状態にする。
次いで、加圧ローラー14にて加圧されて各層が接合される。以降の工程は、図7の場合と同様である。
【0034】
図3における破線囲み部42は、ガラス繊維集合体布の接着増強剤包接加工部、および加工された接着増強剤包接ガラス繊維集合体布を基材部に挿入する工程部分を示している。
図4は、この破線囲み部42の拡大略図で、接着増強剤包接ガラス繊維集合体布化部分の拡大略図である。
図4において、エンドレスベルト1の矢印方進行向2への進行にともなって、PVC混和物軟質シート24上に、接着増強剤である前記低粘度PVCプラスチゾルをノズル41からシャワー状などで均一に垂れ落とし、PVC混和物軟質シート24の上面に接着増強剤である前記低粘度PVCプラスチゾルの滞留体43を形成させる。
【0035】
その上にガラス繊維集合体布7を矢印進行方向8から積層すると、ガラス繊維集合体布7の毛細管現象、および変向ローラー44で加圧が加わることによって、主として吸着ゾーン45で、接着増強剤である前記低粘度PVCプラスチゾルがガラス繊維集合体布を構成する個々のガラス単繊維表面に行き渡り、接着増強剤包接ガラス繊維集合体布46となる。
この接着増強剤包接ガラス繊維集合体布46の上に、基材部上層用PVC混和ペースト10の延展体47が積層される。
【0036】
さらに、別な例であるところの、接着増強剤包接ガラス繊維集合体を形成する加工方法、および前記接着増強剤包接ガラス繊維集合体布を基材部に挿入する工程部分の方法の説明をする。
図6は、接着増強剤包接ガラス繊維集合体布によるタイルかーペット製造工程の略図である。
図6においては、図7に示す「ペースト法」によるタイルカーペット製造工程略図における基材部下層PVC混和ペースト形成工程18部分を全く使わない。
図6において、ガラス繊維集合体布7が矢印進行方向8に進行する途上に、接着増強剤である低粘度PVCプラスチゾルを塗布するローラー式コータ50を設け、ローラー式コータ50によって、接着増強剤である前記低粘度PVCプラスチゾルをガラス繊維集合体布7に塗布する。
【0037】
ガラス繊維集合体布7の毛細管現象で直ちに接着増強剤である前記低粘度PVCプラスチゾルが個々のガラス単繊維に行きわたり、接着増強剤である前記低粘度PVCプラスチゾルに包接された前記接着増強剤包接ガラス繊維集合体布となる。
次いで、ペースト10が第2コータコンマナイフ11によって、エンドレスベルト1の進行にともなって、前記接着増強剤包埋ガラス繊維集合体布上に、基材部上層用PVC混和ペースト延展体が形成され、加圧ローラー14にて加圧されて各層が接合される。以降の工程は、図7の場合と同様である。
【0038】
図3に示す工程は、ペースト供給ノズル4などを利用して、前記接着増強剤包接ガラス繊維集合体布とする工程の一例であるが、図5に示す工程は、図3に示す工程に加えて、カーペット部12の基布部に接着増強剤を塗布する工程を加えた工程図である。
すなわち、図5において、カーペット部12が矢印進行方向13に進行する途上に、接着増強剤である低粘度PVCプラスチゾルを塗布するローラー式コータ54を設け、ローラー式コータ54によって、カーペット部12の裏面の基布部に接着増強剤であるPVC低粘度プラスチゾルなどを塗布する。
【0039】
このように、前記接着増強剤包接ガラス繊維集合体布を用い、これに加えてカーペット部12の裏面の前記基布部に接着増強剤を塗布したカーペット部を用いると、タイルカーペットの層構造が堅牢になって、さらに寸法安定性が向上する。
【0040】
以上、接着増強剤包接ガラス繊維集合体とする加工方法、および前記接着増強剤包接ガラス繊維集合体布を基材部に挿入する工程部分の3例を、前記接着増強剤が低粘度PVCプラスチゾルの場合の例で説明した。
要は従来の「ペースト法」によるタイルカーペットの製造工程を大きく変更することなしに、ガラス繊維集合体布を接着増強剤包接ガラス繊維集合体布としてから、基材部に挿入する方法である。
したがって、接着増強剤包接ガラス繊維集合体とする加工方法、および前記接着増強剤包接ガラス繊維集合体布を基材部に挿入する工程部分について、前記3例に本発明が限定されるものではない。
たとえば、図6に示すローラー式コータ50に代えて、シャワー式含浸法や浸積法なども適用できる。
【0041】
ところで、接着増強剤包接ガラス繊維集合体とする加工方法、および前記接着増強剤包接ガラス繊維集合体布を基材部に挿入する工程方法で得られた、本発明のタイルカーペットの層構造の説明をする。
図1は本発明のタイルカーペットの層構造の一例で、本発明のタイルカーペットの断面略図である。
図1に示すタイルカーペットの層構造は、基材部下層であるPVC混和物軟質シート層28、繊維集合体が不織布である場合の接着増強材包接ガラス繊維集合体布層55、基材部上層であるPVC混和物軟質層30、パイル31と基布32から成るカーペット層33で構成し、各層が互いに強固に接合している。
【0042】
図1において、破線囲み部56は、接着増強材包接ガラス繊維集合体布層55の近傍の基材部上下層を含めた一部分を示す。
図2は、破線囲み部56の拡大略図であり、ガラス繊維集合体が不織布である場合の、接着増強材包接ガラス繊維集合体布層55の近傍の基材部上下層を含めた一部分の拡大略図である。
【0043】
図2において、PVC混和物軟質シート層28、接着増強材包接ガラス繊維集合体布層55、PVC混和物軟質層30を示し、接着増強材包接ガラス繊維集合体布層55は接着増強材58および個々のガラス単繊維57から成る。
図2における接着増強材包接ガラス繊維集合体布層55の接着増強材層58は、例えば、図4に示す接着増強剤包接ガラス繊維集合体布46において、ガラス繊維集合体布を包接した接着増強剤である例えば前記低粘度PVCプラスチゾルが、加熱により樹脂化した層である。
【0044】
接着増強材として前記低粘度PVCプラスチゾルの樹脂化物の場合で説明すると、PVC系である接着増強材58は、基材部下層の平滑な表面35を特徴とするPVC混和物軟質シート層28、および基材部上層のPVC混和物軟質層30と互いに親和性があるので強固に接合している。
また、接着増強剤である低粘度PVCプラスチゾルの前記樹脂化物である接着増強材58が、個々のガラス単繊維57の間隙に行きわたって接合している。
したがって、図8に示す如き従来の工程によって作られたタイルカーペットの、ガラス繊維不織布とその近傍の層構造断面拡大略図である図10にみられる如き間隙37は殆どない。
【0045】
次に、接着増強剤として前記低粘度PVCプラスチゾルを用いた場合について述べる。PVCレジンとしては、ホモポリマー、あるいは酢酸ビニルなどとのコポリマーのレジンでもよいが、重合ラテックス中で0.05〜2μm程度の粒径の小さいペーストレジンが適する。
粒径が比較的大きいブルンディングレジンを添加してもよい。重合度は低〜中重合度(700〜1700程度)を用い、これに可塑剤、安定剤、二次可塑剤、充填剤などで構成する。
前記可塑剤は、DOP、DiNP(ジイソノニルフタレート)、DBP(ジブチルフタレート)などを適宜用いることができる。
前記安定剤は、分散性や流動性の向上のため液状安定剤が適合する。
前記二次可塑剤は粘度を下げる目的で、塩素化パラフィン、アルキルベンゼンなどを用いることができ、浸透性を上げるため、使用レジンや可塑剤などとの適応性の吟味が重要である。
また、粒径1〜60μm程度の重炭酸カルシュームを適量添加してもよい。
【0046】
流動性を殆ど示さないプラスチゲルとも呼ばれるPVCペーストに対し、接着増強剤である前記低粘度PVCプラスチゾルは、流動性を示し、その粘度は25℃のとき大凡400〜900mPa・s(400〜900cP)程度とする。
このように、低粘度で流動性があることと、二次可塑剤などの効果で、接着増強剤である前記低粘度PVCプラスチゾルは、基材部下層用PVC混和物軟質シートとガラス繊維集合体布間、また、基材部上層になるべきPVC混和ペーストと前記ガラス繊維集合体布間に万遍なく行きわたって、相互の接着性を増強する役割を担う。
【0047】
つまり、ガラス繊維集合体布において、これを構成する個々のガラス単繊維表面にPVC低粘度プラスチゾルが行きわたることによって、接着増強剤である前記PVC低粘度プラスチゾルに包接された接着増強剤包接ガラス繊維集合体布となって、同じPVC系である基材部上下層との親和性を増大させることができるからである。
【0048】
本発明に適用できるガラス繊維集合体布は、不織布、交差布、あるいは織布の何れでもよい。
一般名が定かでないので交差布と称する前記交差布は、織り組織でなく、糸がタテヨコに直交して接触しているだけで、その交差点が接合している布状物を指し、紙、軟質プラスチックシートなどの補強用として提供されていて、例えばクレネット(倉敷紡績商標)などがある。
交差布や織布を使用の場合、接着補強剤である低粘度プラスチゾルで包接したときに、布を構成する個々のガラス単繊維間に接着増強材が行き渡るように、隙間が無いような強撚糸は好ましくなく、中〜無撚糸が適合する。
布組織は隙間のある構造がよく、不織布構造では単位面積当りの質量が大凡30〜100g/m程度、交差布や織布では大凡200g/m程度以下が適合する。
【0049】
本発明のポイントの一つは、タイルカーペット製造工程において、PVC系との接着増強剤による接着増強剤包接ガラス繊維集合体布としてから、基材部下層用PVC混和物軟質シートと、基材部上層用PVC混和ペーストとの間に挿入積層することである。
したがって、前記タイルカーペット製造工程とは別工程で加工した、接着増強材包接ガラス繊維集合体布を用いてもよい。
【0050】
この場合に、前記接着増強剤としては低粘度PVCプラスチゾル以外も適用できる。すなわち、接着増強剤としては、NBR(ニトリルゴム)系、アクリル/PVAc(ポリ酢酸ビニル)系、EVA(エチレン/酢酸ビニル)系、PU(ポリウレタン)系などのPVCと親和性のある接着剤による接着増強材包接ガラス繊維集合体布も使用できる。
また、ガラスなどの無機物とPVCなどの有機物との親和性を増し、接着力を強化するケイ素化合物系処理(シラン処理)剤による接着増強材包接ガラス繊維集合体布も使用できる。
かような場合、前記接着増強剤は熱処理などで固形化し、水分を完全に除去した状態で、前記タイルカーペット製造工程に供給することが肝要である。
【0051】
本発明における、基材部下層用材のPVC混和物軟質シートは、一般的には厚さ1.0〜4.0mm程度であるが、特殊な用途用では任意である。
PVC混和物軟質シートの幅は、適用するタイルカーペット製造工程によるが、一般的には、実効幅(最終使用幅)で1〜3m幅である。
【0052】
基材部下層用材のPVC混和物軟質シートとして、再生PVC混和物軟質シートが利用できる。
再生PVC混和物軟質シートは、使用済みPVCタイルカーペット、PVCホモジニアスタイル、長尺PVCシートなどのPVC混和物部分を、粉砕してフレーク化した後、溶融し、カレンダー圧延法などでシート状にして得られる。
本発明のタイルカーペットの基材部下層用には、かような再生PVC混和物軟質シートの何れも使用できる。
しかしながら、カーペット・ツー・カーペット(再生カーペットはカーペットから)というリサイクルの視点から、使用済みPVCタイルカーペットからの再生PVC混和物シートの利用が望ましい。
【0053】
前記使用済みPVCタイルカーペットからの再生PVC混和物軟質シートの特徴は、ガラス短繊維と、有機繊維の短繊維の混入である。
前記ガラス短繊維は、前記使用済みPVCタイルカーペットの基材部に挿入されていたガラス繊維集合体布が破砕されたものである。
前記使用済みPVCタイルカーペットの基材部からの再生品を40〜50%使用するのが一般的ゆえ、再生PVC混和物シートは、長さ0.1〜0.5mm程度のガラス短繊維が、質量で大凡0.4%以上含まれている。
一般に繊維状の充填材は引張強度を上げ、引張伸度を下げるので、寸法安定性上は好ましい方向であると云い得る。
【0054】
合成繊維や天然繊維の有機繊維の前記短繊維は、カーペット部のパイル繊維が破砕され、再生時に除去できなかった繊維分であるが、溶融して樹脂化してしまったものから、そのまま繊維状として残っているものまであり、繊維種類によって異なるので混入形態の特定はできない。
前記使用済みPVCタイルカーペットの基材部からの再生PVC混和物軟質シートの密度は1.7g/cm程度で、一般品の例では、厚さ大凡1.8mm程度で、単位面積当たり質量は大凡3kg/m程度である。
【0055】
基材部上層用PVC混和ペーストは、当業者に知られている処方の基材部上層用PVC混和ペーストがそのまま適用できる。
さらに言及すれば、PVC系レジンとしてはホモポリマーや、酢酸ビニルなどとのコポリマーの中重合度のレジンを用いることができ、DOPなどの可塑剤、安定剤、重質炭酸カルシュームなどの充填材などから成るが、カーペット部との接着性を強めるために充填材の添加をやや低めにした方がよい。
基材部上層用PVC混和ペーストは、接着増強剤包接ガラス繊維集合体布の上に積層され、その上に積層されるカーペット部に挟み込まれる形態になるので、熱処理によりゲル、化溶融して冷却後に樹脂化した、PVC混和物軟質シートとしての厚さを把握し難い。
したがって製造過程でいえば、基材部上層用PVC混和ペースト延展体の厚さは0.5〜2.0mm程度である。
【0056】
基材部上層用PVC混和ペースト、および接着増強剤である低粘度PVCプラスチゾルを、樹脂化する熱処理温度について述べる。
PVC混和ペースト、および接着増強剤の一例である低粘度PVCプラスチゾルは、70〜120℃程度でゲル化し、この段階では粒子界面が存在し強度も殆どないが、さらに加熱して120〜160℃程度で前記粒子界面が消失し、さらに加熱して160〜230℃程度でPVC可塑剤系の均一溶融が達成され、この段階で冷却して得られた樹脂である必要がある。
PVC/可塑剤系の均一溶融が達成される温度と時間は、ホモポリマーかコポリマーかなど、また、可塑剤などの種類によって若干異なり、したがって、大凡160〜230℃の範囲に存在するPVC可塑剤系の均一溶融が達成される温度と時間ということになる。
【0057】
カーペット部は、図1においてパイル部31としてループパイルで描いているが、カットパイルでもよい。
カーペット部については、タイルカーペットのカーペット部として知られている繊維素材、糸、スタイルなど何れも適用できる。
パイル糸と基布との接着、ならびに基層部上層との接合性を上げるため、カーペット部の裏面に接着剤を筆布して乾燥したカーペット部を用いてもよい。
この場合、カーペット部と接合する基層部上層がPVC系なので、前記接着剤は低粘度PVCプラスチゾルはもとより、NBR系、アクリル/PVAc系、EVA系などのPVCと親和性のある接着剤も用いることができる。
かように、カーペット部の裏面に接着増強剤を予め塗布したカーペット部を用いると、さらに製品タイルカーペットの寸法安定性が向上する。
【0058】
次に、実施例について述べる。
図3に示す、本発明の接着増強剤包接ガラス繊維集合体布によるタイルカーペット製造工程略図に示す方法でタイルカーペットを試作した。
基材部下層用のPVC混和物軟質シートとしては、使用済みタイルカーペットの基材部からの再生PVC混和物軟質シートを使用し、厚さ1.8mm、単位面積当たり質量が3.0kg/mのものを用いた。
【0059】
接着増強剤については低粘度PVCプラスチゾルを用い、図3に示すノズル41からこれをシャワー状に垂れ落した。この低粘度PVCプラスチゾルの処方を以下に記す。
PVCレジンは、ペースト加工用コポリマータイプZEST P38J(新第一塩ビ社製品)を用い、これに可塑剤はDOP、安定剤は液体状のBa/Zn系複合安定剤、二次可塑剤として塩素化パラフィンなどを用い、これに充填材として炭酸カルシュームを加え、25℃のときの粘度400mPa・s(400cP)の接着増強剤である低粘度PVCプラスチゾルを調製した。
【0060】
図3に示すノズル41からの接着増強剤である前記低粘度PVCプラスチゾルの垂れ落し量は、単位面積当たり105g/mとし、基材部下層用再生PVC混和物軟質シート上にシャワー状で均一に垂れ落して塗布し、これを図4の低粘度PVCプラスチゾル帯留体43の如く滞留させた。
次いで、この上に単位面積当たり質量35g/mのガラス繊維不織布を積層し、図4に示す吸着ゾーン45で、接着増強剤包接ガラス繊維不織布とした。
次いで、前記接着増強包接ガラス繊維不織布上に、PVCと酢酸ビニルとのコポリマーレジン、DOP、安定剤、重質炭酸カルシュームなどの充填材などから成る、25℃のときの粘度で大凡8Pa・s(80P)程度のPVC混和ペーストによる厚さ約1.2mmの延展体を積層した。
【0061】
その上に、ポリエステル不織布の基布に、ナイロンBCF糸をループパイルにタフトしたカーペット部12を積層した。
この積層体を、図3に示す加圧ローラー14で加圧し、加熱炉15で195℃まで加熱し、直接水冷方式で冷却し、長尺のタイルカーペットとした。
この長尺のタイルカーペットを、一辺50cmの正方形に裁断しタイルカーペットを得て、これを試料1とした。
【0062】
さらに、接着増強剤である低粘度PVCプラスチゾルについて、前記安定剤、可塑剤、二次可塑剤などの比率を変更することによって、25℃のときの粘度について900、1000、および1100mPa・sに各調製した。
接着増強剤である低粘度PVCプラスチゾルおよびその粘度以外は、試料1と同様として試作した。これをおのおの試料2、3、4とした。
【0063】
また、図5に示す工程は、図3に示す工程に加えてカーペット部の基布裏側に接着増強剤を塗布する工程を加えた工程略図である。
図5に示す工程において、試料1と同じ材料について、試料1の工程に加えてローラー式コータ54によって、カーペット部の基布部裏面に接着増強剤として低粘度PVCプラスチゾル塗布するをことをつけ加えたタイルカーペットとし、これを試料5とした。
前記接着増強剤は、試料1を作るときの前記低粘度PVCプラスチゾルを用い、塗布量は単位面積当り質量で約80g/mとした。
【0064】
また、試料1の製造方法、つまり図3に示す方法における前記ガラス繊維不織布に替えて、ガラス繊維集合体布についてガラス繊維糸1110dtex(デシテックス)使いで、そのピッチが0.5cmであるガラス繊維糸の交差布として、クレネット5521(倉敷紡績製品)を用い、これ以外は試料1と同様な工程でタイルカーペットを試作して、これを試料6とした。
【0065】
さらに、図8に描く従来法「シート・ペースト併用法」により、図8のPVC混和物シート24、および基材部上層用PVC混和ペースト10については試料1と同様とし、ガラス繊維集合体布として、前記ガラス繊維不織布を用いたタイルカーペットを試料7、前記ガラス繊維交差布を用いたタイルカーペットを試料8としてそれぞれ試作した。
これらの内容と評価結果を表1に示す。
【0066】
【表 1】
Figure 2005002541
【0067】
表1における寸法変化率とは、JIS L 4406:2000 7.8「熱及び水の影響による寸法の変化率」、反りとは、同JIS 7.9 「熱及び水の影響による反り」で、長期に亘る温度変化、シャンプークリーニングおよび結露などを考慮した評価方法である。
また、規格としては同JISで、前者が0.10%以下、後者が1.5mm以下となっている。
【0068】
表1によると、本発明の図1ならびに図2に示すように、ガラス繊維集合体布である不織布が接着増強材58で包接され、接着増強材ガラス繊維集合体複合体層55となっている本発明による試料1、2が従来法の試料7に比較して、製品評価における寸法変化および反りの値が低く、寸法安定性がよいことを示した。
【0069】
また、接着増強剤である低粘度PVCプラスチゾルについて、粘度1000mPa・s以上では、図示はしてないがガラス繊維集合体布を構成する個々のガラス単繊維の包接性が不十分、つまり個々の前記ガラス単繊維の囲み込みが不十分であり、粘度として高すぎることが分かった。
したがって、粘度1000mPa・s以上の場合の、試料3、4の製品評価における寸法変化率、反りの値もやや高いものとなった。
したがって、接着増強剤である低粘度PVCプラスチゾルの粘度は、25℃のときの粘度で大凡900mPa・s程度以下が好ましいことが分かった。
【0070】
また、カーペット部の裏面に接着増強材を有する試料5は、試料1よりさらに寸法安定性がよいことを示した。
また、ガラス繊維集合体布が交差布の試料6も同様に、従来法の試料8に比較して寸法安定性がよいことを示した。
【0071】
また、図4に示す方法の製造過程で、接着増強剤である低粘度PVCプラスチゾルの粘度400mPa・sにおけるガラス繊維の織布についても実験したが、試料1、5の場合同様に、接着増強剤が各個のガラス単繊維間に行きわたり、良好な接着増強剤包接ガラス繊維織布の形態になることが確認された。
さらに、図6に示す方法は、ローラー式コータ50で接着増強剤である低粘度PVCプラスチゾルをガラス繊維集合体布7に直接塗布し、接着増強剤包接ガラス繊維集合体布とする方法を示している。
この方法の製造過程で、ガラス繊維不織布、ガラス繊維交差布、およびガラス繊維の織布について実験の結果、接着増強剤である前記低粘度PVCプラスチゾルが何れも各個のガラス単繊維間に行きわたり、良好な接着増強剤包接ガラス繊維集合体布となることが確認された。
【0072】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0073】
1. 本発明の実施によって、「シート・ペースト併用法」における製品タイルカーペットの層構造において、基材部下層用の別工程で作ったPVC混和物軟質シート層、ガラス繊維集合体布層、塩化ビニル混和物ペーストから樹脂化した前記PVC混和物軟質層、およびカーペット部層の4者が、強固に一体化し、ガラス繊維集合体布を挿入することによる、寸法安定性や補強の効果を十分に発揮する層構造を提供できた。
2. 寸法安定性が格段に良好になることによって、施工において単なる置き敷き法が可能になり、タイルカーペット施工面における単純化や合理化に資する。
3. 本発明によれば、当業者のタイルカーペット製造設備としてに広く普及している「PVCペースト法」設備を少々改造するだけで、製品タイルカーペットの性能を著しく向上させる製造工程とすることができるので、合理性があり経済的である。
4. タイルカーペットからの再生PVC混和物シートの利用は、その夾雑物の面などから問題視されているが、かようなリサイクル推進の面からも、本発明の適用で、広範囲な仕様の再生PVC混和物シートが困難なく使用でき、したがって、カーペット・ツー・カーペットの実践が容易に可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイルカーペットの層構造の断面略図
【図2】接着増強材包接ガラス繊維不織布とその近傍の層構造の断面拡大略図
【図3】接着増強剤包接ガラス繊維集合体布化部の付加タイルカーペット製造工程略図
【図4】接着増強剤包接ガラス繊維集合体布化部の拡大略図
【図5】カーペット部の裏に接着増強剤塗布部付加のタイルカーペット製造工程略図
【図6】接着増強剤包接ガラス繊維集合体布化部の付加タイルカーペット製造工程略図
【図7】従来技術のペースト法のタイルカーペット製造工程略図
【図8】従来技術のシート・ペースト併用法のタイルカーペット製造工程略図
【図9】従来技術のシート・ペースト併用法によるタイルカーペットの層構造断面略図
【図10】従来技術のガラス繊維不織布とその近傍の層構造断面拡大略図
【符号の説明】
1 エンドレスベルト
3 基材部下層用固定式ペースト供給ノズル
4 基材部下層用トラバス式ペースト供給ノズル
5 基材部下層用PVC混和ペースト
6 第1コータナイフ
7 ガラス繊維集合体布
9 基材部上層用ペースト供給ノズル
10 基材部上層用PVC混和ペースト
11 第2コータコンマナイフ
12 カーペット部
14 加圧ローラー
15 加熱炉
16 水冷式冷却部
18 基材部下層用PVC混和ペースト形成工程
19 カーペット部乾燥炉
23 PVC混和物軟質シートのロール巻
24 PVC混和物軟質シート
28 PVC混和物軟質シート層
29 ガラス繊維集合体布層
30 PVC混和物軟質層
31 パイル
32 基布
33 カーペット部層
34 破線囲み部
35 PVC混和物軟質シートの表面部
36 ガラス単繊維
37 間隙部
41 ノズル
42 破線囲み部
43 低粘度PVCプラスチゾル帯留体
44 変向ローラー
45 吸着ゾーン
46 接着増強剤包接ガラス繊維集合体布
47 PVC混和ペースト延展体
50 ローラー式コータ
54 ローラー式コータ
55 接着増強材包接ガラス繊維集合体布層
56 破線囲み部
57 ガラス単繊維
58 接着増強材層

Claims (9)

  1. タイルカーペットの断面の層構造において、敷設状態における下層から上層順に、
    ガラス繊維集合体布を境にして基材部下層の塩化ビニル混和物軟質シートの層、次層の前記ガラス繊維集合体布の層およびその近傍層において、前記ガラス繊維集合体布を構成する各ガラス単繊維が、基材部上下層との接着増強材で実質的に覆われている接着増強材包接ガラス繊維集合体布の層となっていて、
    次いで基材部上層の塩化ビニル混和物軟質層、
    次いで基布部を含むカーペット部の層、の順で積層されていて、
    前記各層が相互に強固に接合していることを特徴とするタイルカーペット。
  2. 前記タイルカーペットの製造方法において、敷設状態におけるタイルカーペットの下層部になるべき基材部下層用材が、塩化ビニル混和物軟質シートで供給され、
    次いで、塩化ビニルとの接着増強剤をガラス繊維集合体布に含浸させることによって、前記ガラス繊維集合体を構成する各単繊維を前記接着増強剤で実質的に包接している接着増強剤包接ガラス繊維集合体布の状態で、前記塩化ビニル混和物軟質シートの上部面に積層し、
    さらに、前記接着増強剤包接ガラス繊維集合体布の上部面に、基材部上層用材になるべき塩化ビニル混和物ペーストを積層し、
    さらに、基布部を含む前記カーペット部の層の順で積層し、
    しかして後、前記塩化ビニル混和物ペーストがゲル化と溶融過程を経て、塩化ビニルと可塑剤の均一溶融が達成されるのに十分な温度と時間を与えて後、冷却することを特徴とするタイルカーペットの製造方法。
  3. 前記ガラス繊維集合体布が、不織布、交差布、あるいは織布であることを特徴とする請求項1、2に記載するタイルカーペット。
  4. 前記タイルカーペットの製造方法において、前記接着増強剤が低粘度塩化ビニルプラスチゾルであって、前記低粘度塩化ビニルプラスチゾルの25℃のときの粘度が900mPa・s以下であることを特徴とする請求項2、および3に記載するタイルカーペットの製造方法。
  5. 前記タイルカーペットにおける下層部の塩化ビニル混和物軟質シートが、ガラス細片を含むことを特徴とする再生塩化ビニル混和物軟質シートであることを特徴とする、請求項1、2、3、および4に記載するタイルカーペットおよびその製造方法。
  6. 前記タイルカーペットの製造方法において、前記接着増強剤をガラス繊維集合体布に含浸させる方法について、工程進行順において、
    基材部下層用の前記塩化ビニル混和物軟質シート上面に、前記ガラス繊維集合体布の積層に至る迄の位置において、前記接着増強剤を塗布して滞留させた後、前記ガラス繊維集合体布を積層することによって、前記接着増強剤を前記ガラス繊維集合体布に含浸させ、前記接着増強剤包接ガラス繊維集合体布としてから、この上面に前記塩化ビニル混和ペーストを積層することを特徴とする、請求項2、3、4、および5に記載するタイルカーペットの製造方法。
  7. 前記タイルカーペットの製造方法において、前記接着増強剤をガラス繊維集合体布に含浸させる方法について、工程進行順において、
    前記ガラス繊維集合体布が積層される前に、ロールコーターなどによって前記ガラス繊維集合体布に前記接着増強剤を直接含浸させ、接着増強剤包接ガラス繊維集合体布としてから塩化ビニル混和物軟質シート上面に積層して後、前記塩化ビニル混和ペーストを積層するることを特徴とする、請求項2、3、4、および5に記載するタイルカーペットの製造方法。
  8. 前記タイルカーペットの製造方法において、接着増強剤包接ガラス繊維集合体布の加工部に代えて、別工程で加工された接着増強材包接ガラス繊維集合体布を用いることを特徴とする請求項2、および3に記載するタイルカーペットの製造方法。
  9. 前記タイルカーペットの製造方法において、接着増強剤包接ガラス繊維集合体、あるいは接着増強材包接ガラス繊維集合体布の使用に加えて、前記カーペット部裏面に、接着増強剤を塗布することを特徴とする請求項2、3、4、5、6、7、および8に記載するタイルカーペットの製造方法。
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