【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化物誘電体と、その製造方法に関し、特に、移動体通信端末や無線LANなどの誘電体フィルタなどに好適な酸化物誘電体と、その製造方法に関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の移動体通信端末や無線LANなどの普及に伴い、マイクロ波、ミリ波帯域を利用した機器への、高性能化、小型化の要求は、留まるところがないのが現状である。マイクロ波帯域を利用する機器においては、誘電体が、誘電体共振器、誘電体基板、マイクロ波用チップコンデンサとして活用されている。
【0003】
また、衛星通信においては、10GHz以上の帯域が使用され、これに対応する民生用の機器には、小型で安価、しかも温度安定性が高く、高誘電率で誘電体損失の少ない、即ち、Q値が大きい誘電体フィルタが要求されている。
【0004】
誘電体フィルタに用いられる材料の、組成や組み合わせに関する技術は、数多く提案されている。既知のこのような材料の一つとして、TiO2−ZrO2−SnO2系酸化物誘電体が挙げられるが、この材料は、結晶中への不純物の混入などに起因するQの低下が著しいという問題がある。
【0005】
これに対処する技術の一つとして、特許文献1には、99.9%以上の純度を有する、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズを原料として用いることが開示されている。その製造工程は、たとえば上記の原料を、所定量秤量して16時間湿式混合し、次いで脱水乾燥し、2.5MPaの圧力で成形し、1500〜1600℃の温度で4時間焼結する、というものである。
【0006】
しかしながら、この工程にあっては、湿式粉砕混合であるため、例えばボールミルを用いる場合には、ボールを構成するアルミナやシリカなどの不純物が混入する虞がある。さらに、粉砕、混合に16時間もの長時間を要すること、900〜1100℃での予焼を要すること、予焼後に微粉砕工程を要すること、焼結温度に1500〜1600℃の高温を要することなどから、設備コスト、ランニングコストの低減が困難で、経済的でないという欠点を有する。
【0007】
また、高純度の金属酸化物を得る方法として、ゾル・ゲル法が挙げられ、これを誘電体に応用した技術が、多数開示されている。ゾル・ゲル法は、原料としてアルコキシ金属を用いることから、原料を高純度に精製するのが比較的容易で、ボールミルなどの粉砕装置を用いる必要がないので、不純物に起因する特性低下のない誘電体が得られるなどの利点があり、これをチタン酸ジルコン酸鉛に応用した例が、特許文献2に開示されている。
【0008】
しかし、ゾル・ゲル法は、アルコキシ金属の縮合反応で得られるゾルを成膜し、これをゲル化させた後、焼成するという方法なので、形状的な制約が大きいものである。しかも、含まれる金属が異なるアルコキシ金属を混合して、ゾルを調製する場合は、それぞれのアルコキシ金属の反応性が異なるため、均一なゾルが得られないことがある。
【0009】
一方で、本発明者は、特許文献3において、バリウム及び鉛の硝酸塩と、アミノ酸を含む水溶液から、BaPbO3なる式で示される、強誘電体用電極材料を得る技術を開示している。しかしながら、この場合は、対象となる材料が異なることと、ペーストから得られる塗膜を乾燥焼成して酸化物を生成するので、高純度の酸化物電極材料が容易に得られるが、膜状以外の形状に適用するのが困難であるという問題がある。
【0010】
【特許文献1】
特開昭58−18808号公報
【特許文献2】
特開2000−91657号公報
【特許文献3】
特開平9−320888号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、TiO2−ZrO2−SnO2系の酸化物誘電体の不純物を低減することで、Q値、誘電率、温度安定性が高い酸化物誘電体を提供することと、該酸化物誘電体が、低コストで得られる製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属の硝酸塩とアミノ酸の溶液から、酸化物誘電体の粉末を調製し、これを焼結に供することを検討した結果なされたものである。
【0013】
即ち、本発明は、ジルコニウム、スズ、チタンの硝酸塩、及び少なくとも1種のアミノ酸を含む溶液の加熱で得られる粉末の焼結体からなることを特徴とする酸化物誘電体である。
【0014】
また、本発明は、ジルコニウム、スズ、チタンの硝酸塩、及び少なくとも1種のアミノ酸を溶解した溶液を、該溶液の溶媒の沸点以上、600℃以下の温度で加熱し、得られる粉末を焼結することを特徴とする酸化物誘電体の製造方法である。
【0015】
また、本発明は、ジルコニウム、スズ、チタンの硝酸塩の合計量に対する、アミノ酸の合計量の比率が、モル比で、0.5以上、2以下であることを特徴とする、前記の酸化物誘電体の製造方法である。
【0016】
アミノ酸は、狭義ではL型α−アミノ酸のことであり、一般式RCH(NH2)COOHで表され、ある種のイオンと錯体を形成することが知られている。ジルコニウム、スズ、チタンの硝酸塩とアミノ酸を溶解した溶液の加熱で、高純度で均一なTiO2−ZrO2−SnO2系の酸化物の粉末が得られるのは、原料としての硝酸塩が純度を確保するのが比較的容易であることと、酸化物の生成が、従来行われている、原料の仮焼、焼結のような固相の不均一系の反応と異なり、溶液中の均一系反応によるからである。
【0017】
また、硝酸は酸化剤であることから、溶液を加熱することで、溶媒を除くと同時に、アミノ酸を燃焼により除くことができる。従って、この粉末を焼結した酸化物誘電体は、高誘電率、低誘電体損失、高い温度安定性を有する。
【0018】
さらに、仮焼工程が不要であり、高純度で粒度分布が狭い微粉末が得られるので、従来より低い焼結温度でも十分に緻密化し、製造コストを低減することができる。しかも、このようにして得られた焼結体は、均一な組織を有し、高特性発現に繋がる。
【0019】
また、本発明においては、粉末物性のみで、焼結温度を低下できることから、組成を変化させることで、必要な誘電特性が得られ、用途に適した誘電体フィルターを容易に製造できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
本発明に用いられる、硝酸塩とアミノ酸を溶解する溶媒としては、有機溶媒を含めると様々な種類が挙げられるが、コストや環境への負荷などを考慮すると水が好ましい。また、使用できるアミノ酸としては、グリシン、アラニン、プロリン、アルギニン、トレオニンなどが挙げられるが、硝酸塩に含有される金属と錯体を形成するアミノ酸であればよく、これらに限定されるものではない。また、アミノ酸は2種以上を同時に用いてもよい。
【0022】
本発明において、ジルコニウム、スズ、チタンの硝酸塩の合計量と、アミノ酸の合計量の比率を、モル比で、0.5以上、2以下とした理由は、種々の検討の結果、この混合量範囲のみで、微細で均一な酸化物粉末を得ることができることが判明したからである。即ち、硝酸塩の総モル数を1モルとしたとき、0.5モル未満のアミノ酸を用いた場合、溶液の溶媒を除いても燃焼が起こらず、また2モルを超えた場合には、得られる酸化物粉末の粒径が大きくなってしまうからである。
【0023】
また、本発明において、ジルコニウム、スズ、チタンの硝酸塩とアミノ酸を含む溶液を加熱する温度を、この溶液を構成する溶媒の沸点以上、600℃以下とした理由は、加熱はこの程度の温度で十分であり、これを超える温度であっても何ら利点もなく、設備コスト、エネルギーコストが増加するだけであり、さらに得られる酸化物粉末の平均粒径が大きくなってしまい、低温焼結に適さなくなるからである。
【0024】
また、さらに特性を向上するために、酸化ランタン、酸化ニッケル、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化コバルトなどの添加が有効であることが知られている。これらを使用する場合においても、主成分を構成する各元素の硝酸塩とアミノ酸との溶液を調製する際に、添加元素それぞれの硝酸塩を加えることで、添加元素が微量であっても、主成分全体に均一分布させることができ、効果的に特性の向上を図ることができる。
【0025】
【実施例】
次に、具体的な実施例を挙げ、本発明について、さらに詳細に説明する。
【0026】
(実施例1)
純度が99.9%以上の、硝酸スズ、硝酸ジルコニウム、硝酸チタンを、(Zr0.8Sn0.2)TiO4の組成となるように、かつ全量が100gとなるように秤量し、純水に溶解した。この溶液にグリシンを上記硝酸塩の総モル数に対して、同モル数となるように秤量して添加し、十分撹枠混合して溶解させた。
【0027】
次に、この溶液を400℃に加熱し、水分を蒸発させた。水分蒸発後、残留物は燃焼を起こし、これにより粉末状の酸化物が得られた。この粉末をX線回折により評価したところ、従来の製造法による(Zr0.8Sn0.2)TiO4粉末と同様の結晶構造を有することが確認できた。
【0028】
また、この粉末の粒径をX線回折式粒度分布測定装置にて測定したところ、D50値が0.10μmであり、粒度分布は非常に狭いものであった。続いてバインダー混合、加圧成形し、1150℃、1200℃、1250℃、1300℃、1350℃、1400℃の温度で、それぞれ2時間焼結した。
【0029】
(実施例2)
アミノ酸として、アラニンを用いた以外は、実施例1と同様にして、酸化物粉末を調製した。X線回折による結晶構造の評価結果は、従来製法の酸化物と差がなく、D50値は0.12μmであり、粒度分布は実施例1とほぼ同一であった。この酸化物粉末についても、バインダー混合、加圧成形を行い、1200℃で2時間焼結した。
【0030】
(実施例3)
純度が99.9%以上の、硝酸スズ、硝酸ジルコニウム、硝酸チタンを、(Zr0.8Sn0.2)TiO4の組成となるように、かつ全量が100gとなるように秤量し、純水に溶解した。また、これに添加元素として硝酸ランタン、硝酸ニッケル、硝酸タンタルを酸化物に換算した量で、(Zr0.8Sn0.2)TiO4に対して、それぞれ0.3重量%添加されるように秤量し、上記溶液中に溶解した。
【0031】
この溶液にグリシンを上記硝酸塩の総モル数に対して、同モル数となるように秤量して添加し、十分撹枠混合して溶解させた。その後は、実施例1と同様にして、酸化物粉末を得た。この粉末をX線回折により評価したところ、従来の製造法による(Zr0.8Sn0.2)TiO4粉末と同様の結晶構造が確認できた。
【0032】
またこの粉末の粒度分布を、X線回折式粒度分布測定装置にて測定したところ、D50値が0.11μmであり、実施例1と同様、粒度分布は非常に狭いものであった。続いてこの酸化物粉末を、実施例1と同様にバインダー混合、成形し、1200℃で2時間焼結した。
【0033】
(比較例1)
純度が99.9%以上の、硝酸スズ、硝酸ジルコニウム、硝酸チタンを、(Zr0.8Sn0.2)TiO4の組成となるように秤量し、ボールミルを用いて20時間混合し、100℃で仮焼を施した。続いて、仮焼粉をボールミルで40時間粉砕し、平均粒径が0.7μmの酸化物粉末を得た。この酸化物粉末を、実施例1と同様に、バインダー混合、成形し、1150℃、1200℃、1250℃、1300℃、1350℃、1400℃の温度で、それぞれ2時間焼結した。
【0034】
(比較例2)
仮焼後のボールミルによる粉砕を80時間行い、酸化物粉末の平均粒径を、0.5μmとした他は、比較例1と同様にして、酸化物誘電体を調製した。
【0035】
このようにして得た、実施例、比較例の酸化物誘電体について、焼結体の密度、及び1200℃で得られた焼結体の平均の結晶粒径、比誘電率εr、Qf値、共振周波数の温度係数τfをそれぞれ評価した。図1は、実施例、比較例1、比較例2における、焼結温度と焼結体の密度の関係をまとめて示した。また、表1は、実施例、比較例の結晶粒径、εr、Qf、τfをまとめて示したものである。
【0036】
【表1】
【0037】
図1に示した結果を見ると、実施例1の酸化物粉末は、1200℃の焼結温度で、焼結体密度が飽和に近い状態になっているのに対し、比較例はいずれも実施例1の85%以下の密度であり、焼結に供する酸化物粉末の平均粒径の差が、そのまま現れている。また、表1に示した結晶粒径にも、酸化物粉末の平均粒径の影響が顕著であり、比較例は実施例の4倍以上となっている。
【0038】
一方、誘電体としての特性を見ると、εr、Qf、τfのいずれについても、実施例は、比較例よりも、優れた特性を発現していることが明らかである。
【0039】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、ジルコニウム、スズ、チタンの硝酸塩とアミノ酸を含む溶液を、この溶液を構成する溶媒の沸点以上、600℃以下の温度で加熱して生成する酸化物粉末を用いることで、従来と比べ極めて低温での焼結でも、十分に級密化し、比誘電率εr、Qf値、共振周波数の温度係数τfなどの特性が優れた、酸化物誘電体の焼結体が得られる。これを用いることで、高特性の誘電体フィルタの製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、比較例1、比較例2における、焼結温度と焼結体密度の関係を示す図。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an oxide dielectric and a manufacturing method thereof, and particularly relates to an oxide dielectric suitable for a dielectric filter such as a mobile communication terminal and a wireless LAN, and a manufacturing method thereof.
[0002]
[Prior art]
With the recent spread of mobile communication terminals and wireless LANs, there are currently no demands for high performance and miniaturization of devices using microwave and millimeter wave bands. In a device using a microwave band, a dielectric is used as a dielectric resonator, a dielectric substrate, and a microwave chip capacitor.
[0003]
In satellite communications, a band of 10 GHz or more is used, and a consumer device corresponding to this has a small size and low cost, high temperature stability, high dielectric constant, and low dielectric loss, that is, Q A dielectric filter having a large value is required.
[0004]
Many techniques related to the composition and combination of materials used for dielectric filters have been proposed. One known such material is a TiO 2 —ZrO 2 —SnO 2 -based oxide dielectric, which is said to have a significant Q reduction due to the incorporation of impurities into the crystal. There's a problem.
[0005]
As one of the techniques to cope with this, Patent Document 1 discloses using titanium oxide, zirconium oxide, and tin oxide having a purity of 99.9% or more as a raw material. For example, a predetermined amount of the above raw materials are weighed and mixed for 16 hours, then dehydrated and dried, molded at a pressure of 2.5 MPa, and sintered at a temperature of 1500 to 1600 ° C. for 4 hours. Is.
[0006]
However, since this process is wet pulverized and mixed, for example, when using a ball mill, impurities such as alumina and silica constituting the ball may be mixed. Furthermore, it takes a long time of 16 hours for pulverization and mixing, requires pre-baking at 900 to 1100 ° C., requires a fine pulverization step after pre-fire, and requires a high sintering temperature of 1500 to 1600 ° C. Therefore, it is difficult to reduce the equipment cost and running cost, which is not economical.
[0007]
Moreover, as a method for obtaining a high-purity metal oxide, a sol-gel method can be cited, and a number of techniques using this as a dielectric have been disclosed. Since the sol-gel method uses an alkoxy metal as a raw material, it is relatively easy to purify the raw material with high purity, and it is not necessary to use a pulverizer such as a ball mill. There is an advantage that a body is obtained, and an example in which this is applied to lead zirconate titanate is disclosed in Patent Document 2.
[0008]
However, since the sol-gel method is a method in which a sol obtained by a condensation reaction of an alkoxy metal is formed, gelled, and then baked, the shape is greatly limited. In addition, when preparing sols by mixing alkoxy metals having different metals, the reactivity of the respective alkoxy metals is different, so that a uniform sol may not be obtained.
[0009]
On the other hand, the present inventor has disclosed a technique for obtaining a ferroelectric electrode material represented by the formula BaPbO 3 from an aqueous solution containing barium and lead nitrates and amino acids in Patent Document 3. However, in this case, the target material is different, and the coating film obtained from the paste is dried and fired to produce an oxide, so a high-purity oxide electrode material can be easily obtained. There is a problem that it is difficult to apply to this shape.
[0010]
[Patent Document 1]
JP 58-18808 [Patent Document 2]
JP 2000-91657 A [Patent Document 3]
Japanese Patent Laid-Open No. 9-320888
[Problems to be solved by the invention]
Accordingly, an object of the present invention is to provide an oxide dielectric having high Q value, dielectric constant, and temperature stability by reducing impurities of a TiO 2 —ZrO 2 —SnO 2 -based oxide dielectric. An object of the present invention is to provide a manufacturing method in which the oxide dielectric can be obtained at low cost.
[0012]
[Means for Solving the Problems]
The present invention has been made as a result of studying the preparation of oxide dielectric powder from a metal nitrate and amino acid solution and subjecting it to sintering.
[0013]
That is, the present invention is an oxide dielectric comprising a powder sintered body obtained by heating a solution containing zirconium, tin, titanium nitrate, and at least one amino acid.
[0014]
Further, the present invention heats a solution in which zirconium, tin, titanium nitrate and at least one amino acid are dissolved at a temperature not lower than the boiling point of the solvent of the solution and not higher than 600 ° C., and sinters the obtained powder. This is a method for producing an oxide dielectric.
[0015]
Further, the present invention provides the oxide dielectric, wherein the ratio of the total amount of amino acids to the total amount of nitrates of zirconium, tin, and titanium is 0.5 to 2 in terms of molar ratio. It is a manufacturing method of a body.
[0016]
An amino acid is an L-type α-amino acid in a narrow sense, and is represented by a general formula RCH (NH 2 ) COOH, and is known to form a complex with certain ions. High purity and uniform TiO 2 —ZrO 2 —SnO 2 oxide powder can be obtained by heating a solution of zirconium, tin, titanium nitrate and amino acids. Unlike the conventional solid-phase heterogeneous reactions such as calcining and sintering of raw materials, which are relatively easy to perform and the generation of oxides, homogeneous reactions in solution Because.
[0017]
Moreover, since nitric acid is an oxidizing agent, the amino acid can be removed by combustion at the same time as the solvent is removed by heating the solution. Therefore, the oxide dielectric obtained by sintering this powder has high dielectric constant, low dielectric loss, and high temperature stability.
[0018]
Furthermore, since a calcination step is not required and a fine powder having a high purity and a narrow particle size distribution can be obtained, the powder can be sufficiently densified even at a sintering temperature lower than that in the past, and the manufacturing cost can be reduced. And the sintered compact obtained in this way has a uniform structure, and leads to high characteristic expression.
[0019]
Further, in the present invention, since the sintering temperature can be lowered only by powder physical properties, by changing the composition, necessary dielectric characteristics can be obtained, and a dielectric filter suitable for the application can be easily manufactured.
[0020]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, an embodiment of the present invention will be described.
[0021]
As the solvent for dissolving nitrate and amino acid used in the present invention, various types can be mentioned when an organic solvent is included, but water is preferable in consideration of cost and environmental load. Examples of amino acids that can be used include glycine, alanine, proline, arginine, threonine, and the like, but any amino acid that forms a complex with a metal contained in nitrate may be used, and is not limited thereto. Two or more amino acids may be used simultaneously.
[0022]
In the present invention, the reason why the molar ratio of the total amount of zirconium, tin, and titanium nitrate and the total amount of amino acids is 0.5 or more and 2 or less is the result of various investigations, and this mixed amount range. This is because it has been found that a fine and uniform oxide powder can be obtained only with this. That is, when the total number of moles of nitrate is 1 mole, when less than 0.5 mole of amino acid is used, combustion does not occur even when the solvent of the solution is removed, and when the mole exceeds 2 moles, it is obtained. This is because the particle size of the oxide powder becomes large.
[0023]
In the present invention, the heating temperature of the solution containing zirconium nitrate, tin, titanium nitrate and amino acid is set to be higher than the boiling point of the solvent constituting the solution and not higher than 600 ° C. Even if the temperature is higher than this, there is no advantage, only the equipment cost and energy cost are increased, and the average particle size of the obtained oxide powder becomes large, which makes it unsuitable for low-temperature sintering. Because.
[0024]
In addition, it is known that addition of lanthanum oxide, nickel oxide, tantalum oxide, zinc oxide, cobalt oxide or the like is effective in order to further improve the characteristics. Even in the case of using these, when preparing a solution of nitrate and amino acid of each element constituting the main component, by adding the nitrate of each additive element, even if the additive element is a trace amount, the entire main component Can be uniformly distributed, and the characteristics can be effectively improved.
[0025]
【Example】
Next, specific examples will be given to describe the present invention in more detail.
[0026]
(Example 1)
Tin nitrate, zirconium nitrate, and titanium nitrate having a purity of 99.9% or more are weighed so as to have a composition of (Zr 0.8 Sn 0.2 ) TiO 4 and a total amount of 100 g. Dissolved in water. To this solution, glycine was weighed and added so as to have the same number of moles as the total number of moles of the nitrate, and was sufficiently mixed and dissolved.
[0027]
Next, this solution was heated to 400 ° C. to evaporate water. After evaporation of the moisture, the residue burned, resulting in a powdered oxide. When this powder was evaluated by X-ray diffraction, it was confirmed that it had the same crystal structure as (Zr 0.8 Sn 0.2 ) TiO 4 powder by a conventional production method.
[0028]
Further, when the particle size of the powder was measured with an X-ray diffraction particle size distribution measuring device, the D 50 value was 0.10 μm, and the particle size distribution was very narrow. Subsequently, the binder was mixed and pressure-molded, and sintered at temperatures of 1150 ° C., 1200 ° C., 1250 ° C., 1300 ° C., 1350 ° C., and 1400 ° C. for 2 hours, respectively.
[0029]
(Example 2)
An oxide powder was prepared in the same manner as in Example 1 except that alanine was used as the amino acid. The evaluation result of the crystal structure by X-ray diffraction was not different from the oxide of the conventional method, the D 50 value was 0.12 μm, and the particle size distribution was almost the same as in Example 1. This oxide powder was also subjected to binder mixing and pressure molding, and sintered at 1200 ° C. for 2 hours.
[0030]
Example 3
Tin nitrate, zirconium nitrate, and titanium nitrate having a purity of 99.9% or more are weighed so as to have a composition of (Zr 0.8 Sn 0.2 ) TiO 4 and a total amount of 100 g. Dissolved in water. In addition, lanthanum nitrate, nickel nitrate, and tantalum nitrate are added as additive elements in an amount converted to an oxide, and 0.3 wt% is added to (Zr 0.8 Sn 0.2 ) TiO 4 , respectively. And was dissolved in the above solution.
[0031]
To this solution, glycine was weighed and added so as to have the same number of moles as the total number of moles of the nitrate, and was sufficiently mixed and dissolved. Thereafter, an oxide powder was obtained in the same manner as in Example 1. When this powder was evaluated by X-ray diffraction, the same crystal structure as that of the (Zr 0.8 Sn 0.2 ) TiO 4 powder by the conventional production method could be confirmed.
[0032]
Further, when the particle size distribution of the powder was measured with an X-ray diffraction type particle size distribution measuring device, the D 50 value was 0.11 μm, and as in Example 1, the particle size distribution was very narrow. Subsequently, this oxide powder was mixed and molded in the same manner as in Example 1, and sintered at 1200 ° C. for 2 hours.
[0033]
(Comparative Example 1)
Tin nitrate, zirconium nitrate, and titanium nitrate having a purity of 99.9% or more are weighed so as to have a composition of (Zr 0.8 Sn 0.2 ) TiO 4 , and mixed for 20 hours using a ball mill. Calcination was performed at a temperature of ° C. Subsequently, the calcined powder was pulverized with a ball mill for 40 hours to obtain an oxide powder having an average particle size of 0.7 μm. In the same manner as in Example 1, this oxide powder was mixed with a binder, formed, and sintered at temperatures of 1150 ° C., 1200 ° C., 1250 ° C., 1300 ° C., 1350 ° C., and 1400 ° C. for 2 hours.
[0034]
(Comparative Example 2)
An oxide dielectric was prepared in the same manner as in Comparative Example 1 except that pulverization with a ball mill after calcination was performed for 80 hours and the average particle size of the oxide powder was 0.5 μm.
[0035]
For the oxide dielectrics of Examples and Comparative Examples thus obtained, the density of the sintered body, the average crystal grain size of the sintered body obtained at 1200 ° C., the relative dielectric constant εr, the Qf value, The temperature coefficient τf of the resonance frequency was evaluated. FIG. 1 collectively shows the relationship between the sintering temperature and the density of the sintered body in Examples, Comparative Examples 1 and 2. Table 1 summarizes the crystal grain sizes, εr, Qf, and τf of Examples and Comparative Examples.
[0036]
[Table 1]
[0037]
When the result shown in FIG. 1 is seen, the oxide powder of Example 1 is in a state where the sintered body density is close to saturation at a sintering temperature of 1200 ° C., whereas all the comparative examples are implemented. The density is 85% or less of Example 1 and the difference in the average particle diameter of the oxide powder used for sintering appears as it is. Moreover, the influence of the average particle diameter of oxide powder is also remarkable in the crystal grain diameter shown in Table 1, and the comparative example is four times or more of the embodiment.
[0038]
On the other hand, when the characteristics as a dielectric are seen, it is clear that the example exhibits characteristics superior to those of the comparative example for any of εr, Qf, and τf.
[0039]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, an oxide formed by heating a solution containing zirconium, tin, titanium nitrate and an amino acid at a temperature not lower than the boiling point of the solvent constituting the solution and not higher than 600 ° C. Owing to the use of powder, the oxide dielectric can be sufficiently densely sintered even at an extremely low temperature compared with the prior art, and has excellent characteristics such as relative permittivity εr, Qf value, temperature coefficient τf of resonance frequency, and the like. A knot is obtained. By using this, it is possible to manufacture a dielectric filter with high characteristics.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a graph showing a relationship between a sintering temperature and a sintered body density in Example 1, Comparative Example 1, and Comparative Example 2. FIG.