JP2004538340A - 多官能カルボニル化合物が基になったヒンダードアミン系光安定剤を含有する高分子製品 - Google Patents
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- GYLZMVYMSPSPDA-UHFFFAOYSA-N CC(CCC1)CC1(c(cc1)ccc1O)c(cc1)ccc1O Chemical compound CC(CCC1)CC1(c(cc1)ccc1O)c(cc1)ccc1O GYLZMVYMSPSPDA-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Abstract
少なくとも1種の高分子材料を含有させかつ少なくとも1種の新規なヒンダードアミン系光安定剤を光劣化もしくは熱劣化の少なくとも一方を抑制するに充分な量で含有させた高分子製品。このヒンダードアミン系光安定剤は単量体もしくはオリゴマー状のヒンダードアミン系光安定剤であり得る。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は一般に新規なヒンダードアミン系光安定剤(hindered amine light stabilizers)(HALS)そしてこれらを紫外線もしくは光(「UV光」)に対する保護として用いることに関する。また、前記安定剤を含有させた濃縮物および製品そして前記全部の製造方法も包含する。
【0002】
(背景)
紫外(「UV」)光もしくは線、特に太陽光がいろいろな材料、特に高分子材料(polymeric materials)の劣化を引き起こし得ることは良く知られている。その結果としてしばしば前記材料(成形品、押出し加工品、フィルム、テープ、コーティングなどの形態であり得る)の脆化もしくは黄色化がもたらされる。しかしながら、光安定剤をそのような高分子材料の中または上に取り込ませることによってそのような劣化を抑制することができる。最も通常に用いられている安定剤はUV吸収剤、ヒンダードアミン系安定剤(「HALS」)そしてフェノール系および非フェノール系抗酸化剤である。
【0003】
高分子材料がUV光にさらされた時に前記材料の中に生じるフリーラジカルをHALSが捕捉する。このHALS分子の機能成分は典型的に2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン部分である。この2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン部分は典型的にカルボニルもしくはメラミン官能基につなぎ止められている(例えば米国特許第4,331,586号、3,840,494号、Re.31,342号、Re.30,385号、3,640,928号、4,086,204号、4,265,805号を参照)。このように2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン部分をカルボニルもしくはメラミン官能基につなぎ止めると典型的に安定剤の揮発性および抽出性が低下する。揮発性が低いことは高温に遭遇する用途(これはしばしば熱可塑性プラスチックを加工している時そして熱硬化性樹脂およびコーティングを硬化させる時に起こる)で光安定剤に求められる重要な性質である。また、しばしば、そのような安定化を受けさせた材料の最終使用用途でも高温が存在する。揮発性が低いことは安定剤が加工、硬化および高温最終使用中に失われないようにするに役立つ。カルボニル基につなぎ止められている2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン基を含有するHALS分子の製造は典型的に2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン−4−オールもしくは4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンをカルボン酸クロライドもしくはエステルと反応させることで行われる。
【0004】
米国特許第Re.31,342号、4,021,432号および4,049,647号には、有機材料用の安定剤であるある種類の1−および4−置換ピペリジンが開示されている。この安定剤の製造は相当する1−置換ピペリジノールと酸クロライドを反応させるか或は相当する4−置換ピペリジンをピペリジン部分の1位に残基を導入する化合物と反応させることで行われている。
【0005】
米国特許第3,840,494号には、4−ピペリジノール誘導体の酸エステルを重合体組成物に光劣化および熱劣化を防止するに充分な量で添加することでそのような劣化に対して安定にした重合体組成物が開示されている。前記4−ピペリジノール誘導体の酸エステルの調製は、4−ピペリジノール誘導体とカルボン酸エステルをキシレン中で水酸化ナトリウムを用いて反応させることで行われている。例えば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンと安息香酸エチルを反応させると4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが生じる。
【0006】
同様に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールをジエステルもしくは二酸クロライドと反応させるとジエステル−HALSが生じ得る。また、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールをジイソシアネートと反応させるとジウレタン−HALSが生じ得る。しかしながら、ジイソシアネートはコストが相対的に高いことからこれをHALSの調製で用いるのはジエステルに比べて実用的でない。
【0007】
炭化水素鎖の一方の末端部にエステル官能を有しそして炭化水素鎖のもう一方の末端部にウレタン官能を有する化合物(アルコキシカルボニルアミノアルカノエート)は光安定以外の他のいろいろな用途で知られていて、いろいろな合成スキームで調製可能である(例えばEffenberger,F、Drauz,K.、Foerster,S.、Mueller,W.、Chem.Ber.、114(1)、173−89、Dixit,A.、Tandel,S.、Rajappa,S.、Tett.Lett.、35(33)、6133−4、Duong他、Aust.J.Chem.、29、2651−61、1976、Iwata他、J.Org.Chem.、31、142−46、1966、Taub、Hino、J.Chem.Eng.Data、9、106、1964、Merger他の米国特許第5,300,678号を参照)。
【0008】
米国特許第5,574,162号に1−ヒドロカルビルオキシ置換HALSが開示されており、これはまた選択された重合体基質に縮合反応で化学的に結合する反応性官能基も含有する。
【0009】
また、オリゴマー状HALSも公知である。例えば、TINUVIN 622はChiba Specialty Chemicals Inc.(Hawthorne、NY)が製造している市販のオリゴマー状HALSである。TINUVIN 622はこはく酸ジメチルとN−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを反応させると生じ得る。米国特許第4,223,412号には繰り返し分子単位がポリアルキルピペリジン基を含有する縮合および付加重合体が開示されており、これはプラスチック用光安定剤として用いるに有用である。1つの態様では、ポリアルキルピペリジン含有単量体とポリアルキルピペリジンを含まない単量体、例えばカプロラクタムなどを共重合または共重縮合させることで共重合体を生じさせている。
【0010】
米国特許第6,271,377号には、ヒドロキシル基を1から3個含有するN−アルキルオキシ部分によってN原子が置換されているHALSが開示されている。
【0011】
Hardyの米国特許第4,331,586号には、ピペリジル部分を繰り返し単位中に少なくとも1個含むオリゴマーが開示されており、それは光安定剤として用いられる。その開示されたオリゴマー状HALSは重合体材料、例えばポリプロピレンなどに保護を与えはするが、それを含有する重合体フィルムがUV光にさらされると約1,700時間で脆くなる。
【0012】
HALS化合物は重合体の光劣化を抑制する目的で個別にか或は他の光安定剤との組み合わせで用いられ得る。例えば、高分子材料を安定にしかつ前記材料がUV光にさらされることで起こる劣化を防止する目的で初期にはUV光吸収剤、例えばベンゾトリアゾールおよびベンゾフェノンなどが用いられていた。その後、HALS化合物の方がUV光吸収剤単独よりも有効であることが見つかり、従って現在では大部分の通常用途でUV光吸収剤と少なくとも1種のHALS化合物が組み合わされて用いられている(例えば米国特許第4,740,542号、4,619,956号、5,461,151号、5,721,298号を参照)。同様に、HALS化合物はしばしば他の安定剤、例えば抗酸化剤などと組み合わせて用いられる(例えば米国特許第4,722,806号を参照)。HALSを別の安定剤と組み合わせて用いると高分子材料が示す耐候性がより良好になり得る。
【0013】
米国特許第4,619,956号には、HALS化合物とUV光吸収剤であるトリス−アリール−s−トリアジンを重合体に添加することで重合体のフィルム、コーティングまたは成形品を光、水分および酸素の作用に対して安定にする方法が開示されている。好適には、そのHALS化合物は2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、塩もしくは金属錯体であり、そしてそのUV光吸収剤は式
【0014】
【化29】
【0015】
[式中、X、YおよびZは各々芳香族炭素環状基であり、そして芳香基の少なくとも1つはトリアジン環との結合点に対してオルソ位にヒドロキシ基を有する]で表されるトリス−アリール−2−トリアジンである。R1からR9は各々水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、スルホン、カルボキシ、ハロ、ハロアルキルまたはアシルアミノである。そのUV光吸収剤およびHALS化合物は各々約0.01から5重量パーセントの量で用いられたが、例示された配合はUV光吸収剤とHALS化合物が等しい量で配合された例のみである。このような組成物は高分子材料の安定化で用いるに有効であり、その材料は、UV光に約1,000から2,400時間さらされるまでは光沢を失い始めることも黄色になることもない。
【0016】
このように、高分子材料を安定にしかつそれがUV光に長期間に渡ってさらされる時に保護を与えるように改良された製品および組成物そしてそれの使用および製造方法が必要されているままである。本発明はそのような組成物、製品および方法を提供するものである。
【0017】
(発明の要約)
本発明は少なくとも1種の高分子材料と式I、IIまたはIIIで表される少なくとも1種の化合物を光劣化もしくは熱劣化の中の少なくとも一方を抑制するに充分な量で含有する高分子製品(polymeric articles)に関する。式(I)で表される化合物は、
【0018】
【化30】
【0019】
{ここで、nは1から15の整数であり、mは0または1のいずれかであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素またはヒドロカルビル基であり、YはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0または1から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であり、そしてフェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または官能基に置き換わっていてもよい]であり、Zは−O−または−NG−[ここで、GはH、C1−C12アルキルまたは基Rである]であり、そしてRは
【0020】
【化31】
【0021】
であり、ここで、R1は水素、C1−C18アルキル、O、OH、CH2CN、C1−C18アルコキシ、C1−C18ヒドロキシアルコキシ、C5−C12シクロアルコキシ、C5−C12ヒドロシクロアルコキシ、C3−C6アルケニル、C1−C18アルキニル、C7−C9フェニルアルキル(このフェニルは置換されていないか或は1、2または3個のC1−C4アルキルで置換されている)または脂肪族C1−C8アシルであり、R2は水素、C1−C18アルキルまたはベンジルであり、R3、R4、R5およびR6は各々水素、C1−C8アルキル、ベンジルまたはフェネチルであるか、或は対になった2つのR部分がこれらが結合している炭素と一緒になってC5−C10シクロアルキルを形成しており、そしてAはZRまたはヒドロカルビル基のいずれかである}である。式IIで表される化合物は、
【0022】
【化32】
【0023】
{ここで、i、j、kおよびlは約0から300の整数でありそしてi、j、kおよびlの合計は3以上であり、E−Fは
【0024】
【化33】
【0025】
であり、E−F’は
【0026】
【化34】
【0027】
であり、E’−Fは
【0028】
【化35】
【0029】
であり、そしてE’−F’は
【0030】
【化36】
【0031】
であり、Sは水素であるか或は構造
【0032】
【化37】
【0033】
で表されるピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン部分に由来する単位であり、そしてTは水素または構造
【0034】
【化38】
【0035】
で表される多官能カルボニル化合物由来単位であり、ここで、Dはヒドロカルビル基であり、nは1から15の整数であり、mは0または1のいずれかであり、sは0または1から10の整数であり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素またはヒドロカルビル基であり、YはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であり、そしてフェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または官能基に置き換わっていてもよい]であり、R2は水素、C1−C8アルキルまたはベンジルであり、R3、R4、R5およびR6は各々水素、C1−C8アルキル、ベンジルまたはフェネチルであるか、或は対になった2つのR部分がこれらが結合している炭素と一緒になってC5−C10シクロアルキルを形成しており、Zは−O−またはNG[ここで、GはHまたはC1−C12アルキルである]であり、そしてsが1以上の時にはPはNHまたはOであり、そしてsが0の時にはP=OまたはO−L−O[ここで、Lはヒドロカルビレンである]である}である。式IIIで表される化合物は、
【0036】
【化39】
【0037】
{ここで、iおよびjは約0から300の整数でありそしてiとjの合計は3以上であり、M−Fは
【0038】
【化40】
【0039】
であり、M−F’は
【0040】
【化41】
【0041】
であり、Tは水素または構造
【0042】
【化42】
【0043】
で表される多官能カルボニル化合物由来単位であり、ここで、Dはヒドロカルビル基であり、nは約1から15の整数であり、mは0または1のいずれかであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素またはヒドロカルビル基であり、YはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは約0から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であり、そしてフェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または官能基に置き換わっていてもよい]であり、そしてMは一般構造
【0044】
【化43】
【0045】
[ここで、R1は水素、C1−C18アルキル、O、OH、C1−C18アルコキシ、C1−C18ヒドロキシアルコキシ、C5−C12シクロアルコキシ、C5−C12ヒドロキシシクロアルコキシ、CH2CN、C3−C6アルケニル、C1−C18アルキニル、C7−C9フェニルアルキル(このフェニルは置換されていないか或は1、2または3個のC1−C4アルキルで置換されている)または脂肪族C1−C8アシルを表し、R2は水素、C1−C8アルキルまたはベンジルであり、R3、R4、R5およびR6は各々水素、C1−C8アルキル、ベンジルまたはフェネチルであるか、或は対になった2つのR部分がこれらが結合している炭素と一緒になってC5−C10シクロアルキルを形成している]で表される4−アミノピペリジン基を含有する1種以上のジアミノもしくはジヒドロキシ基に由来する部分であり、そしてMはMのヒドロキシもしくはアミノ基で多官能カルボニル化合物に結合している}である。
【0046】
式I、IIまたはIIIで表される化合物の量は前記高分子製品の約0.01から10重量パーセントであってもよい。この高分子材料はポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリケトン、ポリアミド、天然および合成ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン、ハイインパクト(high−impact)ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリスチレン、ABS、SAN(スチレンアクリロニトリル)、ASA(アクリレートスチレンアクリロニトリル)、酢酸酪酸セルロース(cellulosic acetate butyrate)、セルロース系重合体、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルフィド、PPO、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリケトン、脂肪族ポリケトン、熱可塑性TPO、アミノ樹脂架橋ポリアクリレートおよびポリエステル、ポリイソシアネート架橋ポリエステルおよびポリアクリレート、フェノール/ホルムアルデヒド、尿素/ホルムアルデヒドおよびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂;乾燥性および非乾燥性アルキド樹脂;アルキド樹脂;ポリエステル樹脂;メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、カルバメートおよびエポキシ樹脂で架橋したアクリレート樹脂;脂肪族、環状脂肪族、複素環式および芳香族グリシジル化合物を無水物またはアミンで架橋させることで生じさせた架橋エポキシ樹脂;ポリシロキサン;活性不飽和を有するアミンもしくはブロック化(blocked)アミンとメチレン化合物のミハエル付加重合体、活性不飽和を有するケチミンとメチレン化合物のミハエル付加重合体、不飽和アクリル系(acrylic)ポリアセトアセテート樹脂と組み合わされたポリケチミン、および不飽和アクリル系樹脂と組み合わされたポリケチミン;放射線硬化性組成物、エポキシメラミン樹脂、有機染料、化粧品、セルロースが基になった紙調合物、写真フィルム紙、インク、およびこれらの混合物であってもよい。この高分子材料はポリオレフィンの共重合体またはホモ重合体であってもよい。この高分子材料はポリアミドを含んで成っていてもよい。
【0047】
本高分子製品にまた抗酸化剤、UV吸収剤および光安定剤、金属不活性化剤、ホスファイトおよびホスホナイト、ヒドロキシルアミン、ニトロン、チオシナジスト(thiosynergists)、過酸化物捕捉剤、ポリアミド安定剤、塩基性共安定剤、核形成剤、充填材および補強剤、ベンゾフラノン、インドリノン、酸捕捉剤、帯電防止剤、発泡剤、触媒、透明化剤(clarifying agents)、乳化剤、充填材、難燃剤、蛍光白色化剤、赤外吸収剤、均染助剤、滑剤、金属不活性剤、離型剤、核形成剤、オプティカルブライトナー(optical brighteners)、顔料、可塑剤、流動学的添加剤およびこれらの混合物から成る群から選択される1種以上の添加剤も含有させてもよい。この存在させる前記1種以上の添加剤の量を本高分子製品の約10重量パーセント以下にしてもよい。
【0048】
本発明は、また、表面を少なくとも1つ有する高分子製品を含んで成っていて前記高分子製品の少なくとも1つの表面に重合体組成物の薄膜が付着しておりかつ式I、IIまたはIIIで表される少なくとも1種の化合物を光劣化もしくは熱劣化の中の少なくとも一方を抑制するに充分な量で含有する多層高分子製品にも関する。
【0049】
前記薄膜は前記高分子製品の各表面に付着していてもよい。前記化合物の量は前記薄膜の約0.1から20重量パーセントであってもよい。この薄膜の厚みは約5から500μmであってもよい。前記高分子製品は熱可塑性プラスチックであってもよくそして前記薄膜も熱可塑性プラスチックであってもよい。前記熱可塑性プラスチック製品と前記薄膜は同じ熱可塑性プラスチック樹脂で作られていてもよい。
【0050】
本発明は、更に、式I、IIまたはIIIで表される少なくとも1種の化合物を光劣化もしくは熱劣化の中の少なくとも一方を抑制するに充分な量で含んで成るコーティングにも関する。前記式I、IIまたはIIIで表される少なくとも1種の化合物の量は本製品の約0.01から20重量パーセントであってもよい。
【0051】
本発明はまた式I、IIまたはIIIで表される少なくとも1種の化合物を約15から95パーセント含有する濃縮物にも関する。
【0052】
(発明の詳細な記述)
ここに、通常のHALS化合物に比べて実質的に同様または優れたUV光保護をより長期に渡って与えるように向上した種類のHALS化合物を見いだした。本発明のHALS化合物はカルボニル化合物が有するカルボニル基とラクタムの反応を基にしている。本発明のHALS化合物には、HALS化合物の機能成分であるピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン基がエステル官能もしくはアミド官能によって炭化水素鎖の末端につなぎ止められておりかつ炭化水素鎖のもう一方の末端がHALS官能性でないアミド結合で終結している化合物が含まれる。これらを「エステル/アミドHALS化合物」および「アミド/アミドHALS化合物」と呼ぶことができるであろう。別法として、炭化水素鎖の両末端をピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン基で終結させることも可能である。この態様では、HALS分子をエステル官能によって炭化水素鎖の一方の末端につなぎ止めそしてウレタン官能でもう一方の末端につなぎ止める。これらを「エステル/ウレタンHALS化合物」と呼ぶことができるであろう。その上、HALS分子をアミド官能によって炭化水素鎖の一方の末端につなぎ止めそして尿素官能でもう一方の末端につなぎ止める。これらを「アミド/尿素HALS化合物」と呼ぶことができるであろう。更に別の系列の化合物は、ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン基をエステル結合で炭化水素鎖の一方の末端に結合させかつオキサメート結合で前記炭化水素鎖のもう一方の末端に結合させることで「エステル/オキサメートHALS化合物」を生じさせるか、或はピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン基をアミド結合で炭化水素鎖の一方の末端に結合させかつオキサミド結合で前記炭化水素鎖のもう一方の末端に結合させることで「アミド/オキサミドHALS化合物」を生じさせる。
【0053】
本発明の単量体HALS化合物
このようなHALS化合物は一般式(I)
【0054】
【化44】
【0055】
{ここで、nは1から15、好適には4から11の整数であり、mは0または1のいずれかであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素またはヒドロカルビル基であり、YはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0または1から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基、即ち−C6H4−上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であり、加うるに、フェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または有機分子に通常見られる他の官能基に置き換わっていてもよい]であり、Zは−O−またはNG[ここで、GはH、C1−C12アルキルまたは基Rである]であり、ここで、基Rは
【0056】
【化45】
【0057】
で表され、ここで、R1は水素、C1−C18アルキル、O、OH、CH2CN、C1−C18アルコキシ、C1−C18ヒドロキシアルコキシ、C5−C12シクロアルコキシ、C5−C12ヒドロキシシクロアルコキシ、C3−C6アルケニル、C1−C18アルキニル、C7−C9フェニルアルキル(このフェニルは置換されていないか或は1、2または3個のC1−C4アルキルで置換されている)または脂肪族C1−C8アシルを表し、R2は水素、C1−C8アルキルまたはベンジルであり、R3、R4、R5およびR6は各々水素、C1−C8アルキル、ベンジルまたはフェネチルであるか、或は対になった2つのR部分がこれらが結合している炭素と一緒になってC5−C10シクロアルキルを形成しており、そしてAはZRまたはヒドロカルビル基のいずれかである}で表される。
【0058】
本明細書で用いる如き用語「ヒドロカルビル」は一価の炭化水素基であり、これの原子価は水素が炭素から引き抜かれたことで生じた原子価である。ヒドロカルビルには、例えば脂肪族(直鎖もしくは分枝鎖)、環状脂肪族、芳香族および性質が混ざり合った基(例えばアラルキルおよびアルカリール)などが含まれる。ヒドロカルビルにはまた内部に不飽和および活性不飽和を有する基も含まれる。より具体的には、ヒドロカルビルには、これらに限定するものでないが、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルケニル、シクロアルケニルおよびアルキニルが含まれ、これらは炭素原子を典型的には約1から24個、好適には炭素原子を約1から12個有する。ヒドロカルビルは鎖もしくは環中に1個以上のカルボニル基(これを炭素の数に含める)および/またはヘテロ原子1種または2種以上(例えば少なくとも1個の酸素、窒素、硫黄またはケイ素)を含んでいてもよい。加うるに、ヒドロカルビルが有する炭化水素基の水素の1つ以上が有機分子に通常見られる官能基に置き換わっていてもよい。語句「有機分子に通常見られる官能基」は、ヒドロカルビル基でなくて有機分子に典型的に見られる基を意味し、それには、これらに限定するものでないが、ハライド、シアノ基、アミノ基、チオール基、カルボキシレート基、ヒドロキシル基、スルホネート基、ニトロソ基、ニトロ基などが含まれる。
【0059】
本発明の文脈における用語「ヒドロカルビレン」は二価の炭化水素基であり、これの両方の原子価は水素が炭素原子から引き抜かれることによって生じた原子価である。ヒドロカルビレンの定義にはこの上にヒドロカルビルおよび官能ヒドロカルビルに関して示した同じ基が含まれるが、勿論、これは追加の原子価を有する(例えばアルキレン、アルケニレン、アリーレンなど)。
【0060】
本発明の好適な態様において、R1はH、C1−C4アルキル、C1−C18アルコキシ、C5−C12シクロアルコキシ、OまたはOHであり、R2はHまたはC1−C4アルキルであり、R3、R4、R5およびR6はHまたはC1−C4アルキルであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素、芳香族またはC1−C4アルキルであり、そしてnは約2から10である。より好適な態様において、Rは2,2,6,6−テトラメチルピペリジン基(即ち、R3、R4、R5、R6がメチルでR2が水素である)または1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン基(即ち、R2、R3、R4、R5およびR6がメチルである)を表し、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素であり、Zは−O−であり、mは0または1であり、そしてnは4から10である。
【0061】
単量体HALS化合物の合成
前記式(I)で表されるHALS化合物の調製を典型的には多官能カルボニル化合物と4−ピペリジノールもしくは4−アミノピペリジン部分の反応で行う。前記多官能カルボニル化合物は一般構造:
【0062】
【化46】
【0063】
{ここで、nは1から15、好適には4から11の整数であり、mは0または1のいずれかであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素またはヒドロカルビル基であり、YはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0または約1から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基、即ち−C6H4−上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であり、加うるに、フェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または有機分子に通常見られる官能基に置き換わっていてもよい]であり、Dはヒドロカルビル基であり、そしてBはODまたはDのいずれかである}
で表され、そしてこのカルボニル化合物を一般構造:
【0064】
【化47】
【0065】
{ここで、ZはOHまたはNHG[ここで、GはHまたはC1−C12アルキルまたは基R(ここで、Rはこの上で定義した通りである)である]であり、そしてR1は水素、C1−C18アルキル、O、OH、CH2CN、C1−C18アルコキシ、C1−C18ヒドロキシアルコキシ、C5−C12シクロアルコキシ、C5−C12ヒドロシクロアルコキシ、C3−C6アルケニル、C1−C18アルキニル、C7−C9フェニルアルキル(このフェニルは置換されていないか或は1、2または3個のC1−C4アルキルで置換されている)または脂肪族C1−C8アシルであり、R2は水素、C1−C8アルキルまたはベンジルであり、R3、R4、R5およびR6は各々水素、C1−C8アルキル、ベンジルまたはフェネチルであるか、或は対になった2つのR部分がこれらが結合している炭素と一緒になってC5−C10シクロアルキルを形成している}で表される1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと反応させる。
【0066】
前記多官能カルボニル化合物と前記4−ピペリジノールもしくは4−アミノピペリジン部分の間の反応を前記式(I)で表される化合物が生じるに充分な時間実施する。この語句「[所定式]で表される化合物が生じるに充分な時間実施する」は、反応体を一緒にした後にそれらを所望化合物、即ち所定式で表される化合物が検出可能な量で生じるに充分な時間反応させることを意味する。ある化合物の「検出可能量」は、当該化合物の量が本分野の通常の技術者が容易に利用することができる任意手段を用いて検出可能な量であることを意味する。反応混合物の中の生じたある化合物を検出する手段には、これらに限定するものでないが、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高性能液クロ(HPLC)、ガスクロ(GC)、カラムクロマトグラフィー、核磁気共鳴分光測定(NMR)、赤外(IR)分光測定、紫外(UV)もしくは可視(VIS)分光測定および湿式化学分析などが含まれる。そのような所望化合物が生じる時間は数多くの変数に依存し、従って、一般化するのは不可能である。例えば、この反応時間は温度、圧力、特定の反応体(即ち多官能カルボニル化合物および1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン)、そして溶媒および触媒(存在させる場合)に依存する。しかしながら、本分野の通常の技術者は所望生成物をもたらす受け入れられるパラメーターを過度の実験を行うことなく容易に決定し得るであろう。
【0067】
この反応は溶媒の存在なしまたは溶媒の存在下で実施可能である。この反応を溶媒の存在なしに実施する時には、前記多官能カルボニル化合物または4−ピペリジノールもしくは4−アミノピペリジンを過剰量で存在させて、それを反応用媒体として用いてもよい。別法として、前記多官能カルボニル化合物と4−ピペリジノールもしくは4−アミノピペリジンを化学量論的量で存在させてもよい。前記多官能カルボニル化合物と4−ピペリジノールもしくは4−アミノピペリジンを溶融状態で存在させてもよい。この反応を好適には有機溶媒中で実施する。そのような反応体と相溶し得る如何なる溶媒も使用可能である。本発明の方法で用いるに好適な溶媒には、これらに限定するものでないが、炭化水素溶媒、例えば飽和アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ハロゲン置換炭化水素など、エーテル類、例えばエチルエーテルなど、環状エーテル類、例えばテトラヒドロフランおよびジオキサンなど、アミド類、例えばジメチルホルムアミドなど、スルホキサイド類、例えばジメチルスルホキサイドなど、ケトン類、例えば2−ブタノンまたはメチルイソブチルケトンなど、またはこれらの組み合わせが含まれる。より好適な溶媒にはトルエン、ベンゼンおよびキシレンが含まれる。
【0068】
この反応を溶媒中で実施する時には、有機溶媒に入れる前記多官能カルボニルの濃度を一般に約0.025Mから2.5M、好適には約0.125Mから2M、より好適には約0.25Mから2.35Mにする。前記1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと多官能カルボニル化合物のモル比を約20:1から1:5、好適には約10:1から1:3、より好適には約5:1から1:5の範囲にする。
【0069】
前記多官能カルボニル化合物と4−ピペリジノールもしくは4−アミノピペリジンの反応によって構造DOHで表されるアルコールが生じる。この反応を完結にまで進行させるのを補助するため、好適には前記アルコールをこれが生じた時点で反応混合物から除去する。このアルコールは本分野の通常の技術者が利用できる任意手段、例えば蒸留およびまたは共沸蒸留などで除去可能である。
【0070】
この反応を好適には触媒の存在下で実施する。この任意の触媒は塩基性もしくは酸性触媒であり得る。語句「塩基触媒」はプロトンを引き抜き得る如何なる化合物も意味する。本発明で用いるに適した塩基性触媒には、これらに限定するものでないが、アルコキサイドイオン、ヒドロキサイドイオン、アミドイオンおよびアミン、例えばトリエチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン)またはDBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネ−5−エン)などが含まれる。アミンを塩基として用いる時には、このアミンが第三級アミンであるのが好適である。
【0071】
語句「酸性触媒」は、酸性プロトンを少なくとも1個有する無機もしくは有機酸のいずれかまたはルイス酸を意味する。そのような有機酸には、酸性官能基を少なくとも1つ含む如何なる有機化合物も含まれ、それにはRCO2H、RSO3H、RSO2H、RSH、ROH、RPO3H、RPO2H[ここで、Rはヒドロカルビル基である]の1種以上が含まれる。好適なプロトン酸にはHCl、HBr、HI、HNO3、HNO2、H2S、H2SO4、H3PO4、H2CO3、酢酸、蟻酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、フタル酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、メタンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸、またはこれらの混合物が含まれる。本発明の方法で用いるに適したルイス酸には、これらに限定するものでないが、アルミニウムのハロゲン化物、アルキルアルミニウムのハロゲン化物、ホウ素のハロゲン化物、ジアルキル錫オキサイドおよびこれの誘導体、錫のハロゲン化物、チタンのハロゲン化物、鉛のハロゲン化物、亜鉛のハロゲン化物、鉄のハロゲン化物、ガリウムのハロゲン化物、ヒ素のハロゲン化物、銅のハロゲン化物、カドミウムのハロゲン化物、水銀のハロゲン化物、アンチモンのハロゲン化物などが含まれる。好適なルイス酸には三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサン、トリメチルアルミニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、二塩化亜鉛、四塩化チタン、チタン(IV)イソプロポキサイド、二塩化錫、四塩化錫、テトラアルコキシチタネートまたはこれらの混合物が含まれる。
【0072】
そのような酸性もしくは塩基性触媒はまた固体状の支持型触媒、例えばアンバーリスト(amberlyst)触媒などであってもよい。
【0073】
このような触媒を典型的には前記多官能カルボニル化合物のモル量を基準にして約30モルパーセント未満、好適には前記多官能カルボニル化合物のモル量を基準にして約20モルパーセント未満、より好適には前記多官能カルボニル化合物のモル量を基準にして約10モルパーセント未満、最も好適には前記多官能カルボニル化合物の重量を基準にして約5モルパーセント重量未満の量で添加する。
【0074】
本発明の方法で用いるに適した好適な塩基性触媒はメトキサイドイオンである。好適な酸性触媒はルイス酸である。好適なルイス酸は1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンである。
【0075】
この反応を進行させる時間を好適には約20時間以内、より好適には約10時間以内にする。反応温度を典型的にはほぼ室温から150℃、例えば溶媒の沸点以下にする。この反応を典型的には大気圧下で進行させる。前記式(I)で表される化合物を生じさせる代表的な反応条件を本実施例に示す。
【0076】
この式(I)で表される化合物が生じた後、これを本分野の通常の技術者が利用できる任意手段で反応混合物から回収する。化合物を反応混合物から回収する方法には、これらに限定するものでないが、クロマトグラフィー、再結晶化、蒸留、抽出などが含まれる。2種以上の方法を用いて化合物を反応混合物から回収することも可能である。
【0077】
好適な態様における置換4−ピペリジン−4−オールは1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールまたは2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールでありそして多官能カルボニル化合物は6−(メトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸メチル、6−(ブトキシカルボニルアミノ)ウンデカン酸ブチル、6−(ブトキシカルボニルアミノ)ウンデカン酸メチル、6−(メトキシカルボニルアミノ)ウンデカン酸ブチルまたは6−(メトキシカルボニルアミノ)ウンデカン酸メチルである。
【0078】
そのような多官能カルボニル化合物の調製は本分野の通常の技術者が利用できる如何なる方法で実施されてもよい。1つの態様では、ラクタムとカルボニル化合物を反応させることで多官能カルボニル化合物を生じさせる。例えば、この多官能カルボニル化合物の調製は米国特許第5,300,678号(これの内容は引用することによって明らかに本明細書に組み入れられる)に開示されている方法に従ってラクタムとカルボニル化合物の反応に塩基による触媒作用を及ぼすことで実施可能である。
【0079】
本発明の方法に従って如何なるラクタムも使用可能である。このラクタム環の大きさは好適には原子数が約4から13の大きさである。このラクタムはより好適にはカプロラクタムまたはラウロラクタムである。
【0080】
このようなカルボニル化合物は反応性カルボニル基を少なくとも1つ含有しているべきである。「反応性カルボニル基」は、良好な脱離基に結合している、即ち求核性アシル置換を起こすように活性化されている如何なるカルボニル基も意味する。この反応性カルボニル基は例えばエステルまたは酸クロライドであってもよい。このカルボニル化合物は好適にはエステルである。より好適なカルボニル化合物にはジアルキルカーボネート、しゅう酸ジアルキル、ジアルキルジエステルまたはアルキルエステルが含まれる。このようなカルボニル化合物の一般構造は
【0081】
【化48】
【0082】
{ここで、mは0または1のいずれかであり、Qは良好な脱離基、例えばクロライドまたはOD[ここで、Dはヒドロカルビル基、好適にはメチルである]であり、そしてBはQまたはヒドロカルビル基であり、そしてYはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0または約1から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基、即ち−C6H4−上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であってもよく、加うるに、フェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または有機分子に通常見られる他の官能基に置き換わっていてもよい]である}
である。
【0083】
前記カルボニル化合物がジアルキルカーボネートの時に結果として生じる多官能カルボニル化合物は、一方の末端部がエステル官能で終結していてもう一方の末端部がウレタン官能で終結している炭化水素鎖である。前記カルボニル化合物がしゅう酸ジアルキルの時に結果として生じる多官能カルボニル化合物は、一方の末端部がエステル官能で終結していてもう一方の末端部がオキサメート官能で終結している炭化水素鎖である。前記カルボニル化合物がジアルキルエステルの時に結果として生じる多官能カルボニル化合物は、アミド結合を含有していて各末端部がエステル官能で終結している炭化水素鎖である。前記カルボニル化合物がアルキルエステルの時に結果として生じる多官能カルボニル化合物は、一方の末端部がエステル官能で終結していてもう一方の末端部がアミド官能で終結している炭化水素鎖である。
【0084】
前記ラクタムと前記カルボニル化合物の反応は溶媒中または溶媒の存在なしに実施可能である。この反応を溶媒の存在なしに実施する時には、カルボニル化合物を過剰量で反応用媒体として用いてもよく、従って、このカルボニル化合物をラクタムに比較して過剰量で存在させてもよい。しかしながら、また、前記ラクタムを過剰量で存在させて反応用媒体として用いることも可能である。別法として、このラクタムとカルボニル化合物を化学量論的量で存在させてもよい。このラクタムとカルボニル化合物を溶融状態で存在させてもよい。この反応を溶媒の存在なしに実施する時には、過剰分のカルボニル化合物またはラクタムを例えば蒸留などで回収して再使用してもよい。溶媒を用いない時の利点は廃溶媒の処分に伴う問題を回避することができる点にある。
【0085】
別の態様では、1種または2種以上の異なるラクタムを1種または2種以上のカルボニル化合物と反応させる。例えば、2分子のラクタム分子を1分子のカルボニル化合物と反応させてもよい。
【0086】
本発明の方法で用いるに適した溶媒には、これらに限定するものでないが、炭化水素溶媒、例えば飽和アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ハロゲン置換炭化水素など、エーテル類、例えばエチルエーテルなど、環状エーテル類、例えばテトラヒドロフランおよびジオキサンなど、アミド類、例えばジメチルホルムアミドなど、スルホキサイド類、例えばジメチルスルホキサイドなど、ケトン類、例えば2−ブタノンまたはメチルイソブチルケトンなど、アルコール類など、またはこれらの混合物が含まれる。この反応を溶媒中で実施する時には、溶媒に入れる前記ラクタムの濃度を約0.025Mから10M、好適には約0.375Mから6M、より好適には約0.25Mから4Mにする。前記ラクタムとカルボニル化合物のモル比を典型的には約1:10から5:1、好適には約1:5から2:1、より好適には約1:2.5から1.5:1にする。
【0087】
この反応を多官能カルボニル化合物が検出可能な量で生じるに充分な時間進行させる。反応時間を一般に約12時間以内にする。反応温度を典型的にはほぼ室温から150℃、例えば溶媒を用いる時にはこの溶媒の沸点以下にする。この反応を典型的には室温で実施する。
【0088】
本発明はまた多官能カルボニル化合物の改良製造方法も提供する。本発明の方法に従い、ラクタムとカルボニル化合物を酸性触媒、好適にはルイス酸触媒の存在下で反応させる。
【0089】
本発明の方法に従い、如何なるルイス酸触媒も使用可能である。例えば、この上に記述したルイス酸触媒のいずれも使用可能である。このルイス酸触媒は好適にはチタン(IV)イソプロポキサイドである。ルイス酸は反応混合物から容易に除去可能なことからこれが好適な触媒である。例えば数多くのルイス酸、例えばテトラオルガノチタネートなどは化学量論的量の水で容易に加水分解を受けて非常に不溶な二酸化チタンが生じ、これは濾過で反応混合物から容易に除去可能である。他のルイス酸、例えば三フッ化ホウ素エーテラートなどは反応混合物から蒸留で容易に除去されるに充分なほどの揮発性を示す。このように、ルイス酸を用いると、触媒を除去する目的で反応混合物を水性溶媒で抽出することが有利に回避され得る。本発明の方法は、触媒を除去する抽出段階を回避することができることから、最終的に処分する必要がある水性廃液の生成量が少ない。
【0090】
本発明の別の改良方法では、前記ラクタムとカルボニル化合物の反応をアルコキサイドアニオン、好適にはメトキサイドアニオンを塩基性触媒として用いて起こさせる。しかしながら、この反応を約20℃未満、好適には約19℃未満、より好適には約15℃未満の温度で実施する。このラクタムとカルボニル化合物を反応させる時間を約5時間以内、好適には約2時間以内、より好適には約1時間以内にする。この反応を低い温度で実施する方が好適である、と言うのは、温度をいろいろな反応体の引火点より低く保つことができ、このように反応を低い温度で行う方が有意に安全であり得るからである。例えばジメチルカーボネート(これは本発明の方法で用いる通常のカルボニル化合物である)の引火点は19℃である。この反応は19℃未満の温度、即ち引火点未満で進行することから、本方法は、より高い温度が必要な従来技術の方法に比べて有意に安全である。
【0091】
多官能カルボニル化合物が生じた時点で、これを反応混合物から回収した後、これを1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと反応させて本発明のHALSを生じさせる。前記多官能カルボニル化合物の回収は本分野の通常の技術者が利用できる如何なる手段で実施されてもよい。場合により、この多官能カルボニル化合物を反応混合物から回収しないで、その代わりに、この多官能カルボニル化合物が検出可能な量で生じた後に1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンを反応混合物に添加してもよい。次に、この1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと前記多官能カルボニル化合物を反応させると本発明のHALSが生じ得る。
【0092】
好適な方法では、前記ラクタムとカルボニル化合物と1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンを単一段階で反応させて前記式(I)で表される化合物を生じさせる。1番目の段階で前記ラクタムとカルボニル化合物を反応させて多官能カルボニル化合物を生じさせた後に次の段階で前記多官能カルボニル化合物を1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと反応させるのではなく、前記ラクタムと前記カルボニル化合物と前記1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンを一緒にすると同時に反応させる。このラクタムとカルボニル化合物と1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンを反応槽に入れて一緒にした後、前記式(I)で表されるHALSが検出可能量で生じるに充分な時間反応させる。
【0093】
本方法のこの態様では前記ラクタムとカルボニル化合物の比率を約2:1から1:4、好適には約1:1から1:2にしそして前記ラクタムと1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンの比率を約1:1から1:6、好適には約1:2から1:4にする。
【0094】
この単一段階反応は溶媒中または溶媒の存在なしに実施可能である。溶媒を用いる時には、そのような反応体と相溶し得る如何なる溶媒も使用可能である。代表的な溶媒には、これらに限定するものでないが、1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと多官能カルボニル化合物の反応に関してこの上に記述した溶媒が含まれる。この態様では、好適には、反応を溶媒の存在下で実施する。溶媒を用いる時には、ラクタムの濃度を典型的に約0.025Mから10M、好適には約0.325Mから6M、より好適には約0.75Mから4Mにする。
【0095】
この反応を好適には触媒の存在下で実施する。1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと多官能カルボニル化合物の反応で用いた触媒と同じ触媒を用いてもよい。この触媒を典型的にはカルボニル化合物の量を基準にして約30モルパーセント未満、好適には約20モルパーセント未満、より好適には約10モルパーセント未満、最も好適には5モルパーセント未満の量で存在させる。
【0096】
このカルボニル化合物は好適にはエステル、即ちQ=ODであり、その結果として、この反応で構造HODで表されるアルコールが生じる。好適には、この反応が完了するようにアルコールが生じた時点でそれを反応混合物から除去する。このアルコールの除去は本分野の通常の技術者が利用できる任意手段、例えば蒸留および/または共沸蒸留などを用いて実施可能である。
【0097】
この反応時間を好適には約20時間以内、より好適には約10時間以内にする。反応温度を典型的にはほぼ室温から250℃の範囲にする。この反応を典型的には大気圧下で進行させる。前記式(I)で表されるHALSを単一段階方法で生じさせる時の典型的な反応条件を本実施例に示す。前記式(I)で表されるHALSが生じた時点で、本分野の通常の技術者が利用できる任意手段を用いてそれを反応混合物から回収してもよい。
【0098】
本発明のオリゴマー状HALS化合物
本発明は、また、一般式(II)
【0099】
【化49】
【0100】
[式中、i、j、kおよびlは約0から300、好適には約0から200、より好適には0から約100の整数であり、i、j、kおよびlの合計は3以上であり、i、j、kおよびlの合計は好適には約4以上であり、より好適には約7以上であり、好適にはi、j、kおよびlの中の少なくとも2つは1以上である]または(III)
【0101】
【化50】
【0102】
[式中、iおよびjは約0から300、好適には約0から200、より好適には0から約100の整数であり、iとjの合計は3以上であり、iとjの合計は好適には約4以上であり、より好適には約7以上である]
で表されるオリゴマー状HALSも包含する。好適にはi、j、kおよびlの中の少なくとも2つは1に等しいか或は1以上である。
【0103】
式(II)中のEおよびE’はピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン部分であり、そしてFおよびF’は各々多官能カルボニル化合物に由来する部分である。TはF、F’または水素であってもよく、そしてSはE、E’または水素であってもよい。
【0104】
E−Fには
【0105】
【化51】
【0106】
が含まれ、E−F’には
【0107】
【化52】
【0108】
が含まれ、E’−Fには
【0109】
【化53】
【0110】
が含まれ、そしてE’−F’には
【0111】
【化54】
【0112】
が含まれる。
【0113】
式(III)中のMは、この上で定義した如き4−アミノピペリジン基であるRを含有するジアミノもしくはジヒドロキシ基である。「ジアミノもしくはジヒドロキシ基」は、ヒドロキシ基を少なくとも2つ含有するか、アミノ基を少なくとも2つ含有するか或はアミノ基を少なくとも1つとヒドロキシ基を少なくとも1つ含有する化合物に由来する基を意味する。このアミノ基は第一級もしくは第二級いずれかのアミノ基であってもよい。
【0114】
M−Fには
【0115】
【化55】
【0116】
が含まれ、M−F’には
【0117】
【化56】
【0118】
が含まれる。式(III)で表されるオリゴマー状HALSでは、4−アミノピペリジン基を含有するジアミノもしくはジヒドロキシ化合物、即ちMがヒドロキシもしくはアミノ基を通して前記多官能カルボニル化合物と結合する。
【0119】
式IIおよびIIIはブロック共重合体もしくはランダム共重合体であってもよい、即ち単位E−F、E−F’、E’−FおよびE’−F’またはM−FおよびM−F’は重合体鎖の全体に渡ってランダムに分布している。前記構造(II)もしくは(III)で表されるオリゴマー状HALSの中のSは水素であるか、或はピペリジン−4−オールまたは4−アミノピペリジン部分に由来する単位であり、これは構造
【0120】
【化57】
【0121】
で表され、そしてTは、水素であるか、或は多官能カルボニル化合物に由来する単位であり、これは構造
【0122】
【化58】
【0123】
[ここで、Dはヒドロカルビル基である]
で表される。
【0124】
前記式(II)および(III)で表されるオリゴマー状HALSにおいて、nは1から15、好適には4から11の整数であり、mは0または1のいずれかであり、sは0または約1から10の整数であり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素またはヒドロカルビル基であり、YはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0または約1から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であり、そしてフェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または有機分子に通常見られる官能基に置き換わっていてもよい]であり、Zは−O−またはNG[ここで、GはHまたはC1−C12アルキルである]であり、R2は水素、C1−C8アルキルまたはベンジルであり、R3、R4、R5およびR6は各々水素、C1−C8アルキル、ベンジルまたはフェネチルであるか、或は対になった2つのR部分がこれらが結合している炭素と一緒になってC5−C10シクロアルキルを形成しており、そしてsが1以上の時にはPはNHまたはOであり、そしてsが0の時にはP=OまたはO−L−O[ここで、Lはヒドロカルビレンである]である。
【0125】
上述したように、式(II)で表されるHALSにおけるE、E’およびSはピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン部分に由来する単位であり、そしてF、F’およびTは多官能カルボニル化合物に由来する単位であり、そして式(III)で表されるHALSにおけるFおよびF’は多官能カルボニル化合物に由来しそしてMはこの上で定義した通りである。式(II)で表されるHALSでは、多官能カルボニル化合物に由来する単位のモルパーセントの方がピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン部分に由来する単位のモルパーセントよりも大きくするのが好適である。式(III)で表されるHALSでは、多官能カルボニル化合物に由来する単位のモルパーセントの方が4−アミノピペリジン基を含有するジアミノもしくはジヒドロキシ基、即ちMのモルパーセントよりも大きくするのが好適である。それらの方が安価であることからその方が有利である。
【0126】
好適には、式(II)で表されるオリゴマー状HALSにおけるR2はHまたはC1−C4アルキルであり、R3、R4、R5およびR6は各々HまたはC1−C4アルキルであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素、芳香族またはC1−C4アルキルであり、nは約4から11であり、そしてsは約2から5である。より好適な態様におけるR2は水素であり、R3、R4、R5およびR6は各々メチルであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素であり、ZはOであり、nは4から11の範囲であり、そしてsは2であり、mは0であり、そしてPはOである。
【0127】
別の態様におけるR2は水素であり、R3、R4、R5およびR6はメチルであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素であり、ZはOであり、nは4から11であり、そしてsは0である。
【0128】
式(III)で表されるオリゴマー状HALSでは、好適には、Mは、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサンジアミン(BPIP)またはN−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノール)ジエタノールアミンであり、そしてnは約4から11である。
【0129】
有利には、式(II)および(III)で表されるオリゴマー状HALS化合物の数平均分子量を典型的に約400から20,000、好適には約1,000から15,000、より好適には約2,000から9,000にする。
【0130】
オリゴマー状HALS化合物の合成
本発明は、また、前記式(II)および式(III)で表されるオリゴマー状HALSを生じさせる方法にも関する。式(II)で表されるオリゴマー状HALSの調製では、一般構造
【0131】
【化59】
【0132】
{ここで、nは約1から15、好適には4から11の整数であり、mは0または1のいずれかであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素またはヒドロカルビル基であり、YはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0または約1から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であってもよく、そしてフェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または有機分子に通常見られる官能基に置き換わっていてもよい]であり、そしてDはヒドロカルビル基である}
で表される多官能カルボニル化合物を一般構造:
【0133】
【化60】
【0134】
{ここで、ZはOHまたはNHG[ここで、GはHまたはC1−C12アルキルである]であり、R1は−(CH2)s−OH、−(CH2)s−NH2、C1−C18ヒドロキシアルコキシまたはC5−C12ヒドロキシシクロアルコキシであり、ここで、sは約1から10、好適には2から8の整数であり、R2は水素、C1−C8アルキルまたはベンジルを表し、R3、R4、R5およびR6は各々水素、C1−C8アルキル、ベンジルまたはフェネチルであるか、或は対になった2つのR部分がこれらが結合している炭素と一緒になってC5−C10シクロアルキルを形成している}
で表される1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと反応させることで調製を行う。
【0135】
式(III)で表されるオリゴマー状HALSの調製では、一般構造(IV)で表される多官能カルボニル化合物を4−アミノピペリジン基を含有するジアミノもしくはジヒドロキシ化合物と反応させることで調製を行う。このジアミノもしくはジヒドロキシ化合物には、好適には、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサンジアミン(BPIP)またはN−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノール)ジエタノールアミンが含まれる。
【0136】
前記多官能カルボニル化合物の調製は本分野の通常の技術者が利用できる如何なる方法で行われてもよい。好適には、カルボニル化合物とラクタムをルイス酸の存在下で反応させるか或はカルボニル化合物とラクタムとアルコキサイドを低温、即ち20℃未満の温度で反応させる本発明の方法を用いて前記多官能カルボニル化合物の調製を行う。しかしながら、このカルボニル化合物は、2つの脱離基で活性化されている2つの反応性カルボニルもしくは単一のカルボニル基を持つべきである(例えばホスゲンまたはジアルキルカーボネート)。そのような脱離基は好適にはエステルである。好適なカルボニル化合物にはジアルキルカーボネート、しゅう酸ジアルキルおよびジアルキルエステルが含まれる。
【0137】
この反応は溶媒の存在なしまたは有機溶媒の存在下で実施可能である。この反応を溶媒の存在なしに実施する時には、前記多官能カルボニル化合物または1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン[化合物(II)の場合]または4−アミノピペリジン基を含有するジアミノもしくはジヒドロキシ化合物[化合物(III)の場合]を過剰量で存在させて、それを反応用媒体として用いてもよい。別法として、前記多官能カルボニル化合物と1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンまたは4−アミノピペリジン基を含有するジアミノもしくはジヒドロキシ化合物を化学量論的量で存在させてもよい。また、この反応を溶融状態で実施することも可能である。
【0138】
この反応を好適には有機溶媒中で実施する。そのような反応体と相溶し得る如何なる溶媒も使用可能である。本発明の方法で用いるに好適な溶媒には、これらに限定するものでないが、炭化水素溶媒、例えば飽和アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ハロゲン置換炭化水素など、エーテル類、例えばエチルエーテルなど、環状エーテル類、例えばテトラヒドロフランおよびジオキサンなど、アミド類、例えばジメチルホルムアミドなど、スルホキサイド類、例えばジメチルスルホキサイドなど、ケトン類、例えば2−ブタノンまたはメチルイソブチルケトンなど、またはこれらの混合物が含まれる。より好適な溶媒にはトルエン、ベンゼンおよびキシレン、またはこれらの混合物が含まれる。
【0139】
有機溶媒に存在させる前記多官能カルボニルの濃度を一般に約0.025Mから2.5M、好適には約0.125Mから0.2M、より好適には約0.25Mから1.35Mの量にする。前記多官能カルボニル化合物と式(II)で表されるオリゴマー状HALSを生じさせる時に用いる1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンまたは式(III)で表されるオリゴマー状HALSを生じさせる時に用いる4−アミノピペリジン基を含有するジアミノもしくはジヒドロキシ化合物のモル比を約5:1から1:5、好適には約2:1から1:2、より好適には約1.2:1から1:1.2にする。
【0140】
前記式(II)で表されるオリゴマー状HALSを製造する方法の好適な態様における前記置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンにはN−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールが含まれる。前記式(III)で表されるオリゴマー状HALSを製造する方法の好適な態様における前記4−アミノピペリジン基を含有するジアミノもしくはジヒドロキシ化合物にはBPIPまたはN−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノール)ジエタノールアミンまたはこれらの混合物が含まれる。
【0141】
この反応を任意ではあるが好適には触媒の存在下で実施する。この触媒は塩基性触媒もしくは酸性触媒であり得る。この塩基性触媒は好適にはメトキサイドイオンである。酸性触媒には好適にはルイス酸が含まれる。好適なルイス酸には1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンが含まれる。
【0142】
この触媒を典型的には前記多官能カルボニル化合物の重量を基準にして約30モルパーセント重量未満、好適には前記多官能カルボニル化合物の重量を基準にして約20モルパーセント重量未満、より好適には前記多官能カルボニル化合物の重量を基準にして約10モルパーセント重量未満、最も好適には前記多官能カルボニル化合物の重量を基準にして約5モルパーセント重量未満の量で添加する。
【0143】
式(II)で表されるオリゴマー状HALSを製造する時に用いる1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンまたは式(III)で表されるオリゴマー状HALSを製造する時に用いる4−アミノピペリジン基含有ジアミノもしくはジヒドロキシ化合物と前記多官能カルボニル化合物の反応を式(II)もしくは(III)で表されるオリゴマー状HALSが検出可能な量で生じるに充分な時間実施する。本分野の通常の技術者は過度の実験を行うことなく反応時間、温度および圧力を容易に決定することができるであろう。この反応時間を典型的には約20時間以内、好適には約15時間以内、より好適には約10時間以内にする。反応温度を典型的にはほぼ室温から約150℃、例えば溶媒の沸点以下にする。この反応を好適には大気圧下で実施する。式(II)もしくは(III)で表される化合物を生じさせる代表的な反応条件を本実施例に示す。
【0144】
この式(II)もしくは(III)で表されるオリゴマー状HALSが生じた後、本分野の通常の技術者が利用できる任意手段を用いてそれらを反応混合物から回収する。
【0145】
好適な方法では、ラクタムと一般構造
【0146】
【化61】
【0147】
{ここで、mは0または1のいずれかであり、Qは良好な脱離基、例えばクロライドまたはOD[ここで、Dはヒドロカルビル基、好適にはメチルである]であり、BはQまたはヒドロカルビル基であり、そしてYはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0または約1から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であってもよく、加うるに、フェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または有機分子に通常見られる他の官能基に置き換わっていてもよい]である}
で表されるカルボニル化合物と1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン[式(II)で表されるオリゴマー状HALSの場合]またはジアミノもしくはジヒドロキシ化合物[式(III)で表されるオリゴマー状HALSの場合]を単一段階で反応させることを通して、式(II)および(III)で表されるオリゴマー状HALSを生じさせる。前記ラクタムとカルボニル化合物と1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンまたは4−アミノピペリジン基含有ジアミノもしくはジヒドロキシ化合物を反応槽に入れて一緒にして式(II)もしくは(III)で表される化合物が検出可能な量で生じるに充分な時間反応させる。前記ラクタムとカルボニル化合物の比率を約2:1から1:4、好適には約1:1から約1:2にしそしてラクタムと1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンまたはジアミノもしくはジヒドロキシ化合物の比率を約2:1から1:2、好適には約1:1にする。
【0148】
この単一段階反応は溶媒中または溶媒の存在なしに実施可能である。この反応を好適には溶媒の存在下で実施する。溶媒を用いる時には、前記反応体と相溶し得る如何なる溶媒も使用可能である。代表的な溶媒には、これらに限定するものでないが、この上で1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと多官能カルボニル化合物の反応に関して記述した溶媒が含まれる。溶媒を用いる時には、前記ラクタムの濃度を典型的に約0.075Mから10M、好適には約0.375Mから6M、より好適には約0.75Mから4Mにする。
【0149】
この反応を任意ではあるが好適には触媒の存在下で実施する。また、1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと多官能カルボニル化合物の反応で用いた触媒と同じ触媒を用いてもよい。この触媒を典型的には前記カルボニル化合物の量を基準にして約30モルパーセント未満、好適には約20モルパーセント未満、より好適には約10モルパーセント未満、最も好適には5モルパーセント未満の量で存在させる。
【0150】
この反応時間を一般に約20時間以内、好適には約15時間以内、より好適には約10時間以内にする。反応温度を典型的にはほぼ室温から約250℃にする。この反応を好適には大気圧下で実施する。本分野の通常の技術者は前記オリゴマー状HALSを本発明の方法に従って単一段階で生じさせる典型的な反応条件を容易に決定することができるであろうが、その指針をまた本実施例にも示す。
【0151】
式(II)もしくは(III)で表されるオリゴマー状HALSが生じた後、本分野の通常の技術者が利用できる任意手段を用いてそれを反応混合物から回収してもよい。
【0152】
HALS含有高分子製品およびこれの製造
本発明のHALS、即ち式(I)、(II)または(III)で表されるHALSは混ぜ物なし化合物として提供可能であるか或は式(I)、(II)または(III)で表されるHALS化合物の少なくとも1種を約15から98重量パーセント、好適には約20から95重量パーセント、好適には約25から90重量パーセント、より好適には約40から70重量パーセントと高分子量樹脂を含有する濃縮物の形態で提供可能である。
【0153】
本発明のHALS化合物は重合体に優れた耐候性と耐黄色化性を与える。加うるに、本発明のHALS化合物が示す揮発性は典型的に低い。このように、本発明はまたこの新規に見いだしたHALS化合物を高分子製品に光劣化もしくは熱劣化の中の少なくとも一方を抑制するに有効な量で含有させることで安定化を受けさせた高分子製品およびこのような高分子製品を製造する方法も提供する。本発明のHALS化合物と相溶する適切な任意の重合体を本発明の1種以上のHALSと一緒にすることでUV光から保護された高分子製品を生じさせることができる。このような高分子製品は少なくとも1種の高分子材料を含有しかつ式(I)、(II)または(III)で表される少なくとも1種のHALSを光劣化もしくは熱劣化の中の少なくとも一方を抑制するに充分な量で含有する。この高分子製品を生じさせる目的で用いる高分子材料に式(I)、(II)または(III)で表される少なくとも1種のHALSを典型的には約0.01重量パーセントから10重量パーセント、好適には約0.03重量パーセントから1重量パーセント、より好適には約0.05重量パーセントから0.5重量パーセント混合することで、この製品に安定化を受けさせる。この製品は押出し加工品、成形品、テープ、フィルム、繊維またはコーティングなどであってもよい。
【0154】
この高分子製品を製造する方法は、高分子材料に本発明の少なくとも1種のHALS化合物を約0.01重量パーセントから10重量パーセント、好適には約0.03重量パーセントから1重量パーセント、より好適には約0.05重量パーセントから0.5重量パーセント混合することで、安定化を受けた高分子組成物を生じさせ、そしてこの高分子組成物から製品を成形することを包含する。この高分子製品の成形は押出し加工、シート押出し加工、射出成形、ブロー成形、射出ブロー成形、回転もしくはロト成形、カレンダー加工、熱成形、圧縮成形、真空成形、加圧成形、反応注入成形、溶媒鋳込み、繊維紡糸、そして本分野の通常の技術者が利用できる他の同様な技術を用いて実施されてもよい。本発明のHALSを本技術分野で公知の任意手段を用いて前記高分子材料に添加するが、本分野の通常の技術者は1種以上のHALS化合物と1種以上の高分子材料を一緒にして本発明に従う高分子製品を生じさせるそのようないろいろの方法を容易に思い描くであろう。
【0155】
前記高分子材料にまた他のいろいろな通常の添加剤を個別または組み合わせて添加することも可能である。そのような添加剤の例には、これらに限定するものでないが、下記の種類の1種以上が含まれる:
a. 抗酸化剤
(i)
アルキル置換モノフェノール類、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールなど、側鎖が線状もしくは分枝しているノニルフェノール類、例えば2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルウンデシ−1−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルヘプタデシ−1−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルトリデシ−1−イル)フェノールなど、CYTEC INDUSTRIES(West Paterson、N.J.)から商業的に入手可能なCYANOX(商標)1790、CYANOX(商標)2246およびCYANOX(商標)425抗酸化剤、CIBA SPECIALTIES(Hawthorne、N.Y.)から商業的に入手可能なIRGANOX(商標)1010抗酸化剤およびIRGANOX(商標)1076抗酸化剤そしてこれらの混合物、
(ii)
アルキルチオメチルフェノール類、例えば2,4−ジオクチルチオメチル−6−t−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジ−ドデシルチオメチル−4−ノニルフェノールおよびこれらの混合物、
(iii)
ヒドロキノンおよびアルキル置換ヒドロキノン類、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、ステアリン酸3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルおよびビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペート、
(iv)
トコフェロール類、例えばα−トコフェロール(ビタミンE)、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールおよびこれらの混合物、
(v)
ヒドロキシル置換チオジフェニルエーテル、例えば2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−s−アミルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィドおよびこれらの混合物、
(vi)
アルキリデンビスフェノール類、例えば2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−t−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’メチルベンジル)−6−t−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタンおよびこれらの混合物、
(vii)
O−、N−およびS−ベンジル化合物、例えば3,5,3’,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテートおよびこれらの混合物、
(viii)
ヒドロキシベンジレートマロネート、例えばジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル−2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネートおよびこれらの混合物、
(ix)
芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノールおよびこれらの混合物、
(x)
トリアジン化合物、例えば2,4−ビス(オクチルメルカプト−6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,3,4−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートおよびこれらの混合物、
(xi)
ベンジルホスホネート、例えばジメチル−2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩およびこれらの混合物、
(xii)
アシルアミノフェノール、例えば4−ヒドロキシラウラニリド、4−ヒドロキシステアラニリドおよびN−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバミン酸オクチルおよびこれらの混合物、
(xiii)
β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸;β−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸;β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸;3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と一価もしくは多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンのエステルおよびこれらの混合物、
(xiv)
β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えばN,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジンおよびこれらの混合物、
(xv)
アスコルビン酸(ビタミンC)またはこれの塩もしくはエステル、
(xvi)
アミン系抗酸化剤、例えばN,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルホナモイル)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−t−オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル置換ジフェニルアミン、例えばp,p’−ジ−t−オクチルジフェニルアミンなど、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ−t−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、t−オクチル置換N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノ−とジアルキル置換t−ブチル/t−オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ−とジアルキル置換ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ−とジアルキル置換ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノ−とジアルキル置換イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ−とジアルキル置換t−ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ−とジアルキル置換t−ブチル/t−オクチルフェノチアジンの混合物、モノ−とジアルキル置換t−オクチルフェノチアジン,−アイルフェノチアジンの混合物、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブテ−2−エン、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イル)ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールおよびこれらの混合物、
b. 通常のUV吸収剤および光安定剤
(i)
2−(2’−ヒドロキシアリール)ベンゾトリアゾール、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾールまたは2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェノール[CYTEC INDUSTRIES(West Paterson、N.J.)から商業的に入手可能なCYASORB(商標)UV−5411光安定剤として知られる]、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール;2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾールの混合物;2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール]、2−[3’−t−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300のエステル交換生成物;[R−CH2CH−COO(CH2)3]2(ここで、R=3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル);CIBA SPECIALTIESから商業的に入手可能なTINUVIN(商標)900光安定剤およびこれらの混合物;
(ii)
2−ヒドロキシベンゾフェノン、例えば4−ヒドロキシ、4−メトキシ、4−オクトキシ[CYTEC INDUSTRIESから商業的に入手可能なCYASORB(商標)UV−531光安定剤]、4−デシルオキシ、4−ドデシルオキシ、4−ベンジルオキシ、4,2’,4’−トリヒドロキシおよび2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ化合物およびこれらの混合物、
(iii)
置換および未置換安息香酸もしくはサリチル酸化合物のエステル、例えばサリチル酸4−t−ブチル−フェニル、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチルフェニル、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸2,4−ジ−t−ブチルフェニル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸オクタデシルおよび3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニルおよびこれらの混合物、
(iv)
アクリレートまたはアルコキシシンナメート、例えばα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチル、α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸イソオクチル、α−カルボメトキシ桂皮酸メチル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ桂皮酸メチル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ桂皮酸ブチル、α−カルボメトキシ−p−メトキシ桂皮酸メチル、N−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリンおよびこれらの混合物、
(v)
アミンおよびチオ−ビスフェノールのニッケル(II)錯体を包含するニッケル化合物、例えば2,2’−チオ−ビス−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体[1:1または1:2の錯体を包含](追加的配位子、例えばn−ブチルアミン、トリエタノールアミンまたはN−シクロヘキシルジエタノールアミンなどを伴うか或は伴わない)、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルホスホン酸のモノアルキルエステル(メチルもしくはエチルエステルを包含)のニッケル塩、ケトキシム(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニルウンデシルケトキシムを包含)のニッケル錯体、1−フェニル−4−ラウロイル−5−ヒドロキシピラゾールのニッケル錯体(追加的配位子を伴うか或は伴わない)およびこれらの混合物、
(vi)
立体障害アミンばかりでなくこれらのN化合物(例えばN−アルキル、N−ヒドロキシ、N−アルコキシおよびN−アシル)、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート;ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシネート;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバケート;ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート;3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)n−ブチル;1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとこはく酸の縮合物;N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサメチレンジアミンと4−t−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの縮合物;ニトリロトリ酢酸トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル);テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン);4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;マロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジル);3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン;ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート;ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシネート;N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの縮合物;2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物;2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物;8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン;3−ドデシル−1−(1−エタノイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピロリジン−2,5−ジオン;3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピロリジン−2,5−ジオン;3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピロリジン−2,5−ジオン;4−ヘキサデシルオキシ−と4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物;N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサメチレンジアミンと4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの縮合物;1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンと4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの縮合物(CAS Reg.No.[136504−96−6]);N−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−n−ドデシルスクシニミド、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)−n−ドデシルスクシニミド、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ[4.5]デカン;オキソ−ピペラジニル−トリアジン、またはいわゆるPIP−T HALS、例えばBF Goodrich Chemical Co.(Akron、OH)から商業的に入手可能なGOODRITE(商標)3034、3150および3159および米国特許第5,071,981号に開示されている同様な材料、光結合性(photobondable)HALS、例えばClariant Corp(Charlotte NC)から商業的に入手可能なSANDUVOR(商標)PR−31およびPR−32および英国特許出願公開第2269819号に開示されている同様な材料、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ[4.5]デカンとエピクロロヒドリンの反応生成物{テトラメチルピペリジン誘導HALSの例には、CYTEC INDUSTRIESから商業的に入手可能なCYASORB(商標)UV−3346光安定剤、SANDOZ Corporation(Charlotte、N.C.)から商業的に入手可能なSANDUVOR(商標)3055HALS、SANDUVOR(商標)3056HALSおよびSANDUVOR(商標)3058HALS、各々がCIBA SPECIALTIESから商業的に入手可能なCHIMASORB(商標)944安定剤、TINUVIN(商標)622安定剤およびTINUVIN(商標)144安定剤およびこれらの混合物が含まれる。また、概して米国特許第5,106,891号、4,740,542号、4,619,956号、4,426,471号、4,426,472号、4,356,307号、4,344,876号、4,314,933号、英国特許出願公開第2269819号、ヨーロッパ特許出願公開第309400号、ヨーロッパ特許出願公開第309401号、ヨーロッパ特許出願公開第309402号およびヨーロッパ特許出願公開第0434608号(これらは各々引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)も参照のこと。}
(vii)
オキサミド、オキサニリド、ベンゾキサジノン、ベンゾキサゾールまたはトリアジン、例えば2,2’−(1,4−メチレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン](CYTEC INDUSTRIESから商業的に入手可能なCYASORB(商標)UV−3638光安定剤)、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブトキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキサニリド、およびこれと2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−t−ブトキサニドの混合物、o−とp−メトキシ二置換オキサニリドの混合物、およびo−とp−エトキシ二置換オクチルオキシフェニル−1,3,5−トリアジンの混合物、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、およびCYTEC INDUSTRIESから商業的に入手可能なCYAGARD(商標)UV−1164L光安定剤およびこれらの混合物、
(c) 金属不活性化剤、例えばN,N’−ジフェニルオキサミド、N−サリチラル−N’−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オクザリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N’−ジアセチルアジポイルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)オクザリルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジドおよびこれらの混合物、
(d) ホスファイトおよびホスホナイトを包含する過酸化物分解剤、例えばアルキルホスファイト、アリールホスファイトおよびアラルキルホスファイト、例えばトリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトULTRANOX(商標)618抗酸化剤、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトULTRANOX(商標)626抗酸化剤[GE Specialty Chemicals(Parkersburg、W.V.から商業的に入手可能]、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(イソデシルオキシ)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリス(t−ブチル)フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12H−ジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12−メチルジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイトおよびこれらの混合物、
(e) ヒドロキシルアミン、例えばN,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクチルヒドロキシルアミン、N,N−ジラウリルヒドロキシルアミン、N,N−ジテトラデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘキサデシル−N−オクタデシル−ヒドロキシルアミン,−ヘプタデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、水添獣脂アミンから誘導されたN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンおよびこれらの混合物、
(f) ニトロン、例えばN−ベンジル−アルファ−フェニルニトロン、N−エチル−アルファ−メチルニトロン、N−オクチル−アルファ−ヘプチルニトロン、N−ラウリル−アルファ−ウンデシルニトロン、N−テトラデシル−アルファ−トリデシルニトロン、N−ヘキサデシル−アルファ−ペンタデシルニトロン、N−オクタデシル−アルファ−ヘプタデシルニトロン、N−ヘキサデシル−アルファ−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシル−アルファ−ペンタデシルニトロン、N−ヘプタデシル−アルファ−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシル−アルファ−ヘキサデシルニトロン、水添獣脂アミンから作られたN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンから誘導されたニトロンおよびこれらの混合物、
(g) チオシナジスト、例えばチオジプロピオン酸ジラウリルおよびチオジプロピオン酸ジステアリルおよびこれらの混合物、
(h) 過酸化物捕捉剤、例えばβ−チオジプロピオン酸のエステル、例えばラウリル、ステアリル、ミリスチルまたはトリデシルエステル、メルカプトベンズイミダゾールまたは2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(β−ドデシルメルカプト)プロピオネートおよびこれらの混合物、
(i) ポリアミド安定剤、例えばヨージドおよび/または燐化合物と組み合わされた銅塩および二価マンガンの塩およびこれらの混合物、
(j) 塩基性共安定剤、例えばメラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、シアヌール酸トリアリル、尿素化合物、ヒドラジン化合物、アミン、ポリアミド、ポリウレタン、高級脂肪酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、リシノール酸ナトリウムおよびパルミチン酸カリウム、アンチモンピロカテコラート、錫ピロカテコラートおよびこれらの混合物、
(k) 無機物質を包含する核形成剤、例えばタルクおよび金属酸化物(例えば酸化チタンまたは酸化マグネシウム)、および好適にはアルカリ土類金属の燐酸塩、炭酸塩および硫酸塩、有機化合物、例えばモノ−もしくはポリカルボン酸およびこれらの塩、例えば4−t−ブチル安息香酸、アジピン酸、ジフェニル酢酸、こはく酸ナトリウムおよび安息香酸ナトリウム;高分子化合物、例えばイオン性共重合体(「アイオノマー」)およびこれらの混合物、
(l) 充填材および補強剤、例えば炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、雲母、硫酸バリウム、金属酸化物および水酸化物、カーボンブラック、グラファイト、木の粉および他の天然産物から得られた粉または繊維および合成繊維およびこれらの混合物、
(m) ベンゾフラノンおよびインドリノン、例えば米国特許第4,325,863号、4,338,244号、5,175,312号、5,216,052号および5,252,643号およびドイツ特許出願公開第4316611号、ドイツ特許出願公開第4316622、ドイツ特許出願公開第4316876号、ヨーロッパ特許出願公開第0589839号およびヨーロッパ特許出願公開第0591102号に開示されているベンゾフラノンおよびインドリノン、3−[4−(2−アセトキシ−エトキシ)フェニル]−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−t−ブチル−3−[4−(2−ステアロイルオキシエトキシ)−フェニル]ベンゾフラン−2−オン、3,3’−ビス[5,7−ジ−t−ブチル−3−(4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)ベンゾフラン−2−オン]、5,7−ジ−t−ブチル−3−(4−エトキシフェニル)ベンゾフラン−2−オン、3−(4−アセトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾフラン−2−オン、3−(3,5−ジメチル−4−ピバロイルオキシフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾフラン−2−オンおよびこれらの混合物、
(n) 硫黄含有抗酸化剤、例えば有機スルフィドおよびジスルフィド[チオジプロピオン酸ジステアリル、即ちCYTEC INDUSTRIESから商業的に入手可能なCYANOX(商標)STDP抗酸化剤、ペンタエリスリトールテトラキス(ベータ−ラウリルチオプロピオネート)、即ちWitco Chemical Corporation(Brooklyn、N.Y.)から商業的に入手可能なSEENOX(商標)412S抗酸化剤を包含]およびこれらの混合物[本分野の技術者は、例えば、これらの添加剤のいずれか1種以上を組み合わせること、例えばCYTEC INDUSTRIESから商業的に入手可能なCYANOX(商標)2777抗酸化剤とフェノール系抗酸化剤とホスファイト系抗酸化剤を組み合わせることはよく認識している。このような組成物にクエンチャー(quenchers)、例えば各々がCYTEC INDUSTRIESから商業的に入手可能なCYASORB(商標)UV−1084光安定剤、CYASORB(商標)UV−5431光安定剤などを含有させてもよい。]
(o) 他の添加剤、例えば酸捕捉剤、帯電防止剤、発泡剤、触媒、透明化剤、乳化剤、充填材、難燃剤、蛍光白色化剤、赤外吸収剤、均染助剤、滑剤、金属不活性剤、離型剤、核形成剤、オプティカルブライトナー、顔料、可塑剤、流動学的添加剤およびこれらの混合物。
【0156】
本発明は、また、式(I)、(II)または(III)で表されるHALSと上述した添加剤の少なくとも1種を含んで成る添加剤組成物も包含する。本HALSと他の添加剤の量を約500:1から1:500重量にする。
【0157】
この存在させる添加剤の総量を重合体の重量を基準にして約10重量パーセント以下、好適には約0.1重量パーセントから約5重量パーセント、より好適には約0.2重量パーセントから3重量パーセントの量にしてもよい。
【0158】
ここに請求する化合物を高分子材料に化学的または物理的のいずれかで添加することで光安定化を受けた高分子製品を高分子材料から生じさせることができる。そのような安定化を受けさせることができる高分子材料の非限定例はポリオレフィン;ポリエステル;ポリエーテル;ポリケトン;ポリアミド;天然および合成ゴム;ポリウレタン;ポリスチレン;ハイインパクトポリスチレン;ポリアクリレート;ポリメタアクリレート;ポリアセタール;ポリアクリロニトリル;ポリブタジエン;ポリスチレン;ABS;SAN(スチレンアクリロニトリル);ASA(アクリレートスチレンアクリロニトリル);酢酸酪酸セルロース;セルロース系重合体;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリエーテルイミド;ポリフェニルスルフィド;PPO;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート;ポリケトン;脂肪族ポリケトン;熱可塑性TPO;アミノ樹脂架橋ポリアクリレートおよびポリエステル;ポリイソシアネート架橋ポリエステルおよびポリアクリレート;フェノール/ホルムアルデヒド、尿素/ホルムアルデヒドおよびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂;乾燥性および非乾燥性アルキド樹脂;アルキド樹脂;ポリエステル樹脂;メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、カルバメートおよびエポキシ樹脂で架橋したアクリレート樹脂;脂肪族、環状脂肪族、複素環式および芳香族グリシジル化合物を無水物またはアミンで架橋させることで生じさせた架橋エポキシ樹脂;ポリシロキサン;活性不飽和を有するアミンもしくはブロック化アミンとメチレン化合物のミハエル付加重合体、活性不飽和を有するケチミンとメチレン化合物のミハエル付加重合体、不飽和アクリル系ポリアセトアセテート樹脂と組み合わされたポリケチミン、および不飽和アクリル系樹脂と組み合わされたポリケチミン;放射線硬化性組成物;エポキシメラミン樹脂;有機染料;化粧品;セルロースが基になった紙調合物;写真フィルム紙;インク;およびこれらの混合物である。
【0159】
そのような劣化し得る重合体は安定化を必要としている如何なる重合体であってもよく、それにはいろいろな単量体から作られたホモ重合体および共重合体が含まれる。それは付加重合体、縮合重合体、グラフト重合体、熱硬化性重合体、フォトポリマー(photopolymer)、重合体混合物もしくは熱可塑性重合体であってもよい。それは繊維、重合体フィルム、例えばポリプロピレンフィルムなど、薄膜、例えば溶媒が基になったコーティング、水が基になったコーティング、焼付け用ラッカー、粉末コーティング、ゲルコート(gel coat)などの形態を取ってもよいか、或はそれは成形品の形態を取ってもよい。安定化を受けさせることができる劣化性重合体の例には、これらに限定するものでないが、下記が含まれる:
1. モノオレフィンおよびジオレフィン(これらに限定するものでないが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブテン、メチルペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンおよびシクロオレフィン、例えばシクロペンテンおよびノルボルネンなどを包含)のホモ重合体および共重合体、例えばポリエチレン(場合により架橋させてもよい)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度で高分子量のポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度で超高分子量のポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、分枝低密度ポリエチレン(BLDPE)またはポリプロピレン(PP)、またはエチレンとプロピレンとジエン単量体から作られた重合体(EPDM)およびこれらの混合物、
2. 1種以上のモノオレフィンおよび/またはジオレフィンと一酸化炭素および/または他のビニル単量体[アクリル酸およびメタアクリル酸、アクリレートおよびメタアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル(例えばエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA))、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、無水マレイン酸およびアリル単量体、例えばアリルアルコール、アリルアミン、アリルグリシジルエーテルおよびこれの化合物を包含]の共重合体およびこれらの混合物、
3. 炭化水素樹脂(例えばC5−C9)(これの水添修飾形を包含)、およびポリアルキレンと澱粉の混合物およびこれらの混合物、
4. スチレン、例えばスチレン、p−メチルスチレンおよびα−メチルスチレンなどのホモ重合体および共重合体、例えばポリスチレン、ポリアルファメチルスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)およびこれらの混合物、
5. 1種以上のスチレンと他のビニル単量体、例えばオレフィンおよびジオレフィン(例えばエチレン、イソプレンおよび/またはブタジエン)、アクリル酸およびメタアクリル酸、アクリレートおよびメタアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル(例えばエチレン/酢酸ビニル共重合体)、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、無水マレイン酸およびアリル化合物、例えばアリルアルコール、アリルアミン、アリルグリシジルエーテルなどの共重合体およびこれらの混合物、
6. スチレンをポリブタジエン、ポリブタジエン/スチレン共重合体およびポリブタジエン/アクリロニトリル共重合体にグラフトさせたグラフト共重合体;スチレン(またα−メチルスチレン)およびアクリロニトリル(またはメタアクリロニトリル)をポリブタジエンにグラフトさせたグラフト共重合体;スチレンおよび無水マレイン酸をポリブタジエンにグラフトさせたグラフト共重合体;スチレンとアクリロニトリルと無水マレイン酸またはマレイミドをポリブタジエンにグラフトさせたグラフト共重合体;アクリロニトリル/スチレン/アクリロニトリル重合体(ASA)スチレンとアクリロニトリルをエチレン/プロピレン/ジエン共重合体にグラフトさせたグラフト共重合体;スチレンとアクリロニトリルをポリアクリル酸アルキルもしくはポリメタアクリル酸アルキルにグラフトさせたグラフト共重合体;そしてスチレンとアクリロニトリルをアクリレート/ブタジエン(ABS)共重合体にグラフトさせた共重合体およびこれらの混合物、
7. ハロゲン含有重合体、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリエチレン(CPE)またはポリクロロプレン;塩素化ゴム;塩素化および臭素化イソブチレン/イソプレン共重合体;塩素化もしくはスルホ塩素化(sulfochlorinated)ポリエチレン;エチレンと塩素化エチレンの共重合体;エピクロロヒドリンの重合体および共重合体;およびハロゲン含有ビニル化合物、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルおよび/またはフッ化ビニリデン、他のビニル単量体または他のハロゲン化ビニルの重合体および共重合体およびこれらの混合物、
8. α,β−不飽和酸およびこれらの化合物、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、アクリレート、メタアクリレート、アクリルアミドおよびアクリロニトリルから作られたホモ重合体および共重合体およびこれらの混合物、
9. この上に示した(5)で挙げた単量体と他の不飽和単量体、例えばオレフィンおよびジオレフィン(例えばブタジエン)、スチレン、ハロゲン化ビニル、無水マレイン酸およびアリル単量体、例えばアリルアルコール、アリルアミン、アリルグリシジルエーテルなどの共重合体およびこれらの混合物、
10. 不飽和アルコールおよびアミンまたはアシル化合物またはこれらのアセタール、例えばビニルアルコール(ポリビニルアルコールで架橋させたポリビニルアルコールを包含)、酢酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、マレイン酸ビニル、酪酸ビニル、アリルアルコール、アリルアミン、アリルグリシジルエーテル、フタル酸アリルおよびアリルメラミンなどから作られたホモ重合体および共重合体に加えて、そのような単量体とこの上に記述した他のエチレン系不飽和単量体の共重合体およびこれらの混合物、
11. 環状エーテル、例えばアルキレングリコールおよびアルキレンオキサイドなどのホモ重合体および共重合体に加えて、ビスグリシジルエーテルとの共重合体およびこれらの混合物、
12. ポリアセタール、例えばポリオキシメチレン(POM)およびエチレンオキサイドを共重合用単量体として含有するポリオキシエチレン、および熱可塑性ポリウレタン、アクリレートおよび/またはMBSによる修飾を受けたポリオキシメチレンおよびこれらの混合物、
13. ポリフェニレンオキサイド(PPO)およびスルフィドおよびこれらの混合物、
14. 一方のヒドロキシ官能成分、例えば多価アルコール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリル系(polyacrylics)および/またはポリブタジエンなどともう一方の脂肪酸および/または芳香族イソシアネートから作られたポリウレタン(PUR)に加えて、これの前駆体(イソシアネートで架橋した重合体を包含)およびこれらの混合物、
15. ジアミンとジカルボン酸および/またはアミノカルボン酸または相当するラクタムから作られたポリアミド(PA)およびコポリアミド、例えばNYLON(商標)プラスチック、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、ポリアミド6/10、ポリアミド6/9、ポリアミド6/12、ポリアミド4/6、ポリアミド12/12、ポリアミド11およびポリアミド12など、m−キシレンジアミンとアジピン酸から出発した芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸および/またはテレフタル酸から作られたポリアミド(弾性重合体を修飾剤として伴うか或は伴わない)、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミドまたはポリ−m−フェニレンイソフタルアミドなど;上述したポリアミドとポリオレフィン、オレフィン共重合体、アイオノマー、化学的に結合したか或はグラフト化した弾性重合体またはポリエーテル、例えばポリエポキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールのブロック共重合体;および加工中に縮合したポリアミド(RIMポリアミド系);およびこれらの混合物、
16. ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントインおよびポリベンズイミダゾールおよびこれらの混合物、
17. ジカルボン酸とジオールおよび/またはヒドロキシカルボン酸または相当するラクトンから作られたポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、グリコール修飾ポリエチレンテレフタレート(PETG)、1,4−シクロヘキサンジメタノール修飾ポリエチレンテレフタレート(PCTG)、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレートおよびポリヒドロキシベンゾエートに加えて、ヒドロキシル末端エーテルから作られたブロックコポリエーテルエステル;およびまたポリカーボネートまたはMBSによる修飾を受けたポリエステル;PEN、PTT;およびこれらの混合物、
18. ポリカーボネート(PC)およびポリエステルカーボネート、例えば多価フェノール、例えば2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA);2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン;1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン;2,2−ビス−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;4,4’−スルホニルジフェノール;および1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどが基になったポリカーボネートである樹脂およびこれらの混合物{また、2種以上のフェノールが組み込まれているポリカーボネート共重合体、多官能芳香族化合物と二価フェノール1種または2種以上およびカーボネート前駆体を反応させた分枝ポリカーボネート、そしてポリカーボネートが混合物の有意部分(即ち20%以上、好適には50%以上)を構成する重合体混合物も好適である。両方の層に好適な樹脂はビスフェノールAが基になったポリカーボネートである。
【0160】
米国特許第5,288,788号にもまたポリカーボネートおよびポリエステルカーボネート、特に芳香族ポリカーボネート、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンまたは1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンが基になった芳香族ポリカーボネートが記述されている。そのような重合体と衝撃強度改良剤の形態の別の重合体または他の重合体、例えばポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリジエンまたは他の弾性重合体の混合物[ポリブレンド(polyblends)]にも本発明のHALS化合物を用いた安定化を受けさせることができる。
【0161】
このようなコンパウンドの中でポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキサイドおよびポリフェニレンスルフィドが好適であり、特にポリカーボネートが好適である。このようなコンパウンドは特に構成繰り返し単位が式:
【0162】
【化62】
【0163】
[式中、Aは二価のフェノールによる基である]
に相当する重合体であると理解されるべきである。Aの適切な例が米国特許第4,960,863号およびドイツ特許出願公開第3 922,496号(これの内容は引用することによって本明細書に組み入れられる)に示されている。「A」は、最も幅広い用語の意味で、例えばヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシビフェニレンまたはビスフェノール、例えばビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、シクロアルカン、スルフィド、エーテル、ケトン、スルホン、スルホキサイド、α,α’−ビス(ヒドロキシフェニル)−ジイソプロピルベンゼン、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン化合物などに由来するものであってもよいか、或は式:
【0164】
【化63】
【0165】
【化64】
【0166】
で表される化合物に由来するものであってもよい}、
19. ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルケトン、
20. アルデヒド縮合樹脂、例えばフェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂などから作られた架橋重合体およびこれらの混合物、
21. 乾燥性および非乾燥性アルキド樹脂およびこれらの混合物、
22. 飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコールのコポリエステルと架橋剤としてのビニル化合物から作られた不飽和ポリエステル樹脂およびまたこれらのハロゲン含有修飾形およびこれらの混合物、
23. 置換アクリレート、例えばエポキシアクリレート、ヒドロキシアクリレート、イソシアナトアクリレート、ウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレートなどから作られた架橋性アクリル樹脂およびこれらの混合物、
24. メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、カルバメートまたはエポキシ樹脂で架橋させたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリレート樹脂およびこれらの混合物、
25. 脂肪族、環状脂肪族、複素環式および/または芳香族グリシジル化合物、例えばビスフェノールAおよびビスフェノールFなどを通常の硬化剤、例えば無水物またはアミンなどで架橋させることで生じさせた架橋エポキシド樹脂およびこれらの混合物、
26. 天然重合体、例えばセルロース、ゴム、ゼラチンおよび化学的修飾を受けさせたそれらの類似化合物(酢酸セルロース、プロピオン酸セルロースおよび酪酸セルロースを包含)、ニトロセルロース、またはセルロースエーテル、例えばメチルセルロースなどに加えて、ロジンおよびこれらの化合物およびこれらの混合物、
27. ポリシロキサンおよびこれらの混合物、
28. 活性不飽和を有するアミンもしくはブロック化アミン(例えばケチミン)および/またはメチレン化合物、例えばアクリレートおよびメタアクリレート、マレエートおよびアセトアセテートなどのミハエル付加重合体およびこれらの混合物、
29. 前記のいずれかの混合物(mixtures or blends)、例えばPP/EPDM,ポリアミド/EPDMまたはABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性ポリウレタン、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6および共重合体、PA/HDPE、PP/HDPE、PP/LDPE、LDPE/HDPE、LDPE/EVA、LDPE/EAA,PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS、PBT/PET/PCなど、
30. 天然に存在する有機材料および合成有機材料(これは化合物の混合物であってもよい)[鉱油、動物および植物脂肪、油および蝋、または合成エステル(例えばフタル酸エステル、アジピン酸エステル、燐酸エステルまたはトリメリット酸エステルなど)が基になった油、脂肪または蝋、およびまた合成エステルと鉱油の任意比率の混合物を包含]、
31. 天然または合成ゴムの水性エマルジョン、例えば天然ラテックスまたはカルボキシル化スチレン/ブタジエン共重合体のラテックスおよびこれらの混合物、
32. 不飽和アクリル系ポリアセトアセテート樹脂または不飽和アクリル系樹脂(ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ペンダント型不飽和基を有するビニルもしくはアクリル共重合体およびアクリレート化メラミンを包含)と組み合わされたポリケチミンおよびこれらの混合物、
33. エチレン系不飽和単量体もしくはオリゴマーと多不飽和脂肪族オリゴマーを含有する放射線硬化性組成物およびこれらの混合物、
34. エポキシメラミン樹脂、例えばエポキシ官能の共エーテル化(coetherified)高固体量メラミン樹脂で架橋させた光安定性エポキシ樹脂{アミノ樹脂で架橋させた重合体はアミノ樹脂で架橋させた熱硬化性アクリル系またはアミノ樹脂で架橋させた熱硬化性ポリエステルであり得る。適切なアミノ樹脂にはアルキル置換メラミン−ホルムアルデヒド樹脂およびアルキルで置換されていないメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、グアナミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、グリコウリルホルムアルデヒド樹脂などおよびこれらの混合物が含まれる}、
35. 有機染料、例えばアゾ染料(ジアゾ、トリアゾおよびポリアゾ)、アントラキノン、ベンゾジフラノン、多環状芳香族カルボニル染料、インジゴイド染料、ポリメチン、スチリル染料、ジ−およびトリアリールカルボニウム染料、フタロシアニン、キノフタロン、硫黄染料、ニトロおよびニトロソ染料、スチルベン染料、ホルマザン染料、キナクリドン、カルバゾールおよびペリレンテトラカルボン酸ジイミドおよびこれらの混合物、
36. 化粧品、例えばスキンローション、コラーゲンクリーム、サンスクリーン、フェイシャルメーキャップなど[これらは合成材料、例えば抗酸化剤、防腐剤、脂質、溶媒、界面活性剤、着色剤、制汗剤、スキンコンディショナー、保湿剤などばかりでなく、天然産物、例えばコラーゲン、蛋白質、ミンク油、オリーブ油、椰子油、カルナウバ蝋、蜜蝋、ラノリン、ココアバター、キサンタンゴム、アロエなどを含んで成る]およびこれらの混合物、
37. セルロースが基になった紙調合物[例えば新聞紙、厚紙、ポスター、包装、ラベル、文房具、本および雑誌用紙、ボンドタイピング用紙、多目的およびオフィス用紙、コンピューター用紙、キセログラフィック紙、レーザーおよびインクジェットプリンター用紙、オフセット紙、紙幣用紙などおよびこれらの組み合わせなどで用いられる]、
38. 写真フィルム紙、
39. インク。
【0167】
本明細書で用いる如き用語「共重合体」は、異なる2種以上の単量体から作られた重合体である。光安定化を受けさせる高分子材料は、好適には、ポリオレフィンのホモ重合体もしくは共重合体、より好適にはポリエチレンもしくはポリプロピレンのホモ重合体もしくは共重合体から作られた高分子材料である。
【0168】
本発明の新規なHALSはまた多層系でも使用可能である。そのような系では、紫外線安定剤をほとんどか或は全く含有しない重合体から作られた成形品に本発明の新規なHALSの含有量が約0.1から20重量パーセント、好適には相対的に高い含有量、例えば約5から15重量パーセントの重合体組成物を薄膜(典型的には厚みが約5から500μm、好適には約10から100μm)の状態で付着させる。前記組成物の付着は基礎構造物の成形と同時に例えば共押出し加工などで実施可能である。別法として、また、既に生じさせておいた基礎構造物に例えば膜を積層させるか或は溶液を用いてそれを被覆することで付着を実施することも可能である。完成品の外側層1層または2層以上が当該製品の内部をUV光から保護するUVフィルターの機能を果たす。この外側層に含有させる本発明の少なくとも1種のHALSの量を外側層組成物の好適には約0.1から20重量パーセント、好適には約1から15重量パーセント、より好適には約2から10重量パーセントにする。
【0169】
英国特許出願番号2,290,745にUV吸収剤が高分子材料の表面または表面近くに集中するようにする目的で開発された方法が数多く記述されている。それらには、熱可塑性樹脂とUV吸収剤を入れておいた溶液をプラスチック製品の表面に染み込ませる方法(米国特許第3,309,220号、3,043,709号、4,481,664号および4,937,026号を参照)そして塗布する方法(米国特許第4,668,588号および4,353,965号を参照)が含まれる。しかしながら、両方の技術とも、欠点、例えば追加的工程段階(即ち塗布、乾燥または硬化)が必要であることなどが欠点であり、かつ加工を受けさせる大型の製品を取り扱うことに関連した困難さに直面している。追加的欠点、特にポリカーボネートシート製造に関連した欠点は、そのような後で行う追加的処理を高分子基質の表面に対して行う時に有害な影響が生じる点にある。
【0170】
米国特許第5,445,872号に記述されているように、共押出し加工による表面層の取り付けは、米国特許第3,487,505号および3,557,265号に教示されている如き公知の共押出し加工装置を用いた公知様式で行われ、これが、本発明に従ってHALS化合物を高分子製品の表面に取り込ませる好適な方法である。共押出し加工はいろいろな数の層を同時に押出し加工して単一の複合材料を生じさせることによる充分に認識された積層熱可塑性プラスチック材料製造方法である。米国特許第4,540,623号には少なくとも40層から成る共押出し加工材料が記述されている。本分野の通常の技術者に公知の他の方法は異なる2層もしくは3層の如き少ない数の層を生じさせる。
【0171】
本発明は、1つの態様において、本発明の1種以上のHALSの含有量が約0.1重量%から20重量%で厚みが約0.1から10ミル(0.00254mmから0.254mm)、好適には厚みが約0.1から5ミル(0.00254mmから0.127mm)の熱可塑性プラスチック層で覆われた熱可塑性プラスチック製品に関する。好適な濃度は約2重量%から15重量%、最も好適な濃度は約5重量%から10重量%である。
【0172】
本発明のHALSを表面層の熱可塑性プラスチックに標準的な方法で混合、例えば本添加剤を粒状樹脂と一緒に乾式混合することなどで混合した後、共押出し加工を行ってもよい。本発明に従うHALS層を熱可塑性プラスチック製品の1つ以上の面に付着させてもよい。
【0173】
米国特許第4,992,322号に見られるような追加的層、例えば耐水性層などを含めた本発明に相当する積層熱可塑性プラスチック製品もまた本発明の範囲内である。
【0174】
その中心層と被覆層は同じ熱可塑性樹脂または異なる熱可塑性樹脂で作られていてもよい。熱可塑性樹脂の例には熱可塑性ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、そして共重合体および混合物、例えばスチレンとアクリロニトリルをポリブタジエン上で共重合させた共重合体およびスチレンと無水マレイン酸の共重合体などおよびこれらの混合物が含まれる。
【0175】
このような様式で安定化を受けさせた重合体は高い耐候性、特にUV光に対して高い耐候性を示すことで注目に価する。このことから、それらは苛酷な環境下で用いられた時でも長期間に渡って機械的特性および色および光沢を実質的に保持し得る。
【0176】
HALS化合物含有コーティング用安定剤およびこれの製造
本発明の別の態様では、本発明の少なくとも1種のHALSを含んで成る新規な混合物をコーティング、例えば塗料など用の安定剤として用いることができる。特に自動車産業用コーティングおよび塗料に興味が持たれる。「コーティング」は、ある製品の表面に薄膜の状態で塗布した後に硬化して前記製品の上に実質的に固体状の表面を形成し得る自由流れする組成物を意味する。このコーティングは典型的に当該製品と環境の間の界面を与える。
【0177】
そのような新規なコーティング組成物は本発明の1種以上のHALSを約0.01から20重量パーセント、好適には約0.01から10重量パーセント、より好適には約0.02から5重量パーセント含んで成る。
【0178】
このコーティングを1層または2層以上の層の状態で当該製品の表面に付着させることで多層系を生じさせることができる。多層系の場合、外側層に入れる本新規なHALS化合物の濃度を相対的に高くしてもよく、例えば約0.01から20重量パーセント、好適には約0.01から10重量パーセント、より好適には約0.02から5重量パーセントにしてもよい。
【0179】
この新規な安定剤をコーティングで用いると、これに付随して、層剥離、即ち基質からのコーティングの剥がれ落ち(flaking−off)が抑制または防止されると言った追加的利点が得られる。このような利点は特に基質が金属の時に重要であり、それには、金属基質に付着させた多層系(これはそのような剥がれ落ちを起こす傾向がある)が含まれる。
【0180】
このようなコーティングに典型的には結合剤(binder)を含有させるが、この結合剤は顔料およびコーティングに入っている他の添加剤を懸濁状態に維持しかつこのコーティングと基質を結合させるものである。
【0181】
このような結合剤は原則として本産業で通常用いられる如何なる結合剤であってもよく、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、A18巻、368−426頁、VCH、Weinheim、1991(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている結合剤などであってもよい。これは一般に熱可塑性プラスチックまたは熱硬化性樹脂、主に熱硬化性樹脂が基になった膜形成結合剤である。それらの例はアルキド、アクリル、ポリエステル、フェノール、メラミン、エポキシおよびポリウレタン樹脂およびこれらの混合物である。
【0182】
そのような結合剤は冷硬化性または熱硬化性結合剤であり得る。更に、いくつかの系では、硬化用触媒をそのような系に添加するのが有利であり得る。結合剤の硬化を助長する適切な触媒が例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、A18巻、469頁、VCH Verlagsgesellschaft、Weinheim、1991(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0183】
好適な結合剤には、官能アクリレート樹脂と架橋剤を含んで成る結合剤が含まれる。
【0184】
幅広く多様な結合剤をそのようなコーティング系で用いることができる。特定の結合剤を含有する適切なコーティング組成物の例には、これらに限定するものでないが、
1. 冷架橋性もしくは熱架橋性アルキド、アクリレート、ポリエステル、エポキシまたはメラミン樹脂またはこのような樹脂の混合物が基になった塗料(望まれるならば硬化用触媒も添加可能);
2. ヒドロキシル含有アクリレート、ポリエステルまたはポリエーテル樹脂と脂肪族もしくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレートまたはポリイソシアネートが基になった2成分ポリウレタン塗料またはこれらの混合物;
3. ブロックされている(blocked)イソシアネート、イソシアヌレートまたはポリイソシアネートに脱ブロックを焼き付け中に受けさせることが基になった1成分ポリウレタン塗料またはこれらの混合物;
4. (ポリ)ケチミンと脂肪族もしくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレートまたはポリイソシアネートが基になった2成分塗料またはこれらの混合物;
5. (ポリ)ケチミンと不飽和アクリレート樹脂またはポリアセトアセテート樹脂またはメタアクリルアミドグリコン酸メチルエステルが基になった2成分塗料またはこれらの混合物;
6. カルボキシル含有もしくはアミノ含有ポリアクリレートとポリエポキシドが基になった2成分塗料またはこれらの混合物;
7. 無水物基含有アクリレート樹脂とポリヒドロキシもしくはポリアミノ成分が基になった2成分塗料またはこれらの混合物;
8. (ポリ)オキサゾリンと無水物基含有アクリレート樹脂または不飽和アクリレート樹脂または脂肪族もしくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレートまたはポリイソシアネートが基になった2成分塗料またはこれらの混合物;
9. 不飽和ポリアクリレートとポリマロネートが基になった2成分塗料またはこれらの混合物;
10. 熱可塑性アクリレート樹脂もしくは外的に架橋する(externally crosslinking)アクリレート樹脂とエーテル化メラミン樹脂の組み合わせが基になった熱可塑性ポリアクリレート塗料またはこれらの混合物;
11. シロキサン修飾もしくはフッ素修飾アクリレート樹脂が基になった塗料系またはこれらの混合物;
が含まれる。
【0185】
本発明に従うコーティング組成物に、前記結合剤および本発明の新規なHALSに加えて、更に、1種以上の追加的添加剤、例えば抗酸化剤または追加的紫外光吸収剤または安定剤などを含有させてもよい。追加的添加剤には、これらに限定するものでないが、この上に具体的に挙げた添加剤が含まれる。このような追加的添加剤をコーティング組成物に約0.01から5重量パーセント、好適には約0.02から2重量パーセントの量で用いる。
【0186】
加うるに、本コーティング組成物にコーティング組成物で用いるに適することが本分野の通常の技術者に良く知られているさらなる成分を含有させることも可能であり、そのような成分には、これらに限定するものでないが、溶媒、顔料、染料、可塑剤、安定剤、チキソトロピー剤(thixotropic agents)、乾燥用触媒および/または均染剤またはこれらの組み合わせが含まれる。可能な成分の例はUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、A18巻、429−471頁、VCH、Weinheim、1991(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている成分である。
【0187】
典型的な乾燥用触媒または硬化用触媒は、例えば有機金属化合物、アミン、アミノ含有樹脂またはホスフィンである。有機金属化合物の例は金属のカルボン酸塩、特にPb、Mn、Co、Zn、ZrまたはCu金属のカルボン酸塩、または金属のキレート化合物、特にAl、TiまたはZr金属のキレート化合物、または有機金属化合物、例えば有機錫化合物などおよびこれらの混合物である。
【0188】
金属のカルボン酸塩の例はPb、MnまたはZnのステアリン酸塩、Co、ZnまたはCuのカプリル酸塩、MnおよびCoのナフテン酸塩または相当するリノール酸塩、樹脂酸塩またはタレート(tallates)およびこれらの混合物である。
【0189】
金属のキレート化合物の例はアセチルアセトン、アセチル酢酸エチル、サリチルアルデヒド、サリチルアルドキシム、o−ヒドロキシアセトフェノンまたはトリフルオロアセチル酢酸エチルのアルミニウム、チタンまたはジルコニウムキレート化合物、そしてこれらの金属のアルコキサイドおよびこれらの混合物である。
【0190】
有機錫化合物の例はジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレートまたはジブチル錫ジオクトエートおよびこれらの混合物である。
【0191】
アミンの例は特に第三級アミン、例えばトリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリンまたはジアザビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)およびこれらの塩およびこれらの混合物である。さらなる例は第四級アンモニウム塩、例えば塩化トリメチルベンジルアンモニウムなどである。アミノ含有樹脂は同時に結合剤および硬化用触媒である。それの例はアミノ含有アクリレート共重合体である。
【0192】
この用いる硬化用触媒はまたホスフィン、例えばトリフェニルホスフィンであってもよい。
【0193】
本新規コーティング組成物をまた放射線硬化性コーティング組成物にすることも可能である。この場合の結合剤にはエチレン系不飽和結合を有する単量体またはオリゴマー状化合物が含まれ、これは塗布後に化学放射線で硬化する、即ち架橋した高分子量形態に変化する。この系がUVで硬化し得るようにする場合には、これに一般に光開始剤も同様に含有させる。相当する系が上述した出版物であるUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、A18巻、451−453頁(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。放射線で硬化し得るコーティング組成物の場合には、本新規安定剤をまた追加的UV光安定剤(立体障害アミンを包含)の有り無しで使用してもよい。
【0194】
本発明に従うコーティング組成物は所望の如何なる基質にも塗布可能であり、例えば金属、木、プラスチックまたはセラミック材料などに塗布可能である。自動車の仕上げを行う時にはそれらを好適にはトップコート(topcoats)として用いる。このトップコートが2層を構成していて下方の層を色づけしそして上方の層を色づけしない場合には、本新規コーティング組成物を上方もしくは下方の層のいずれかまたは両方の層で用いてもよいが、好適には上方の層で用いる。
【0195】
本新規コーティング組成物は本分野の通常の技術者が利用できる通常の任意方法で基質に塗布されてもよく、例えばハケ塗り、噴霧、注ぎ込み、浸漬または電気泳動などで塗布可能である[またUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、A18巻、491−500頁(引用することによって本明細書に組み入れられる)も参照のこと]。
【0196】
本コーティングは結合剤系に応じて室温で硬化し得るか或は加熱を必要とし得る。本コーティングを好適には約50℃から150℃の温度で硬化させるが、粉末コーティングの場合には更により高い温度で硬化させる。
【0197】
本発明に従って得たコーティングは一般に光、酸素および熱の有害な影響に対して優れた耐性を示す。ここで請求するコーティングは特に良好な光安定性と耐候性を与える。
【0198】
従って、本発明は、本発明の少なくとも1種のHALSをある製品の中または上にある含有量で取り込ませることによって光、酸素および/または熱の有害な影響に対して安定にしておいたコーティング、特に塗料を包含する。この塗料はフィルム形成結合剤を含有しかつ有機顔料もしくは染料、無機顔料、金属顔料またはこれらの混合物を含有する色付きモノコート(pigmented mono−coat)であってもよい。この塗料は、また、金属またはプラスチック基質に付着する下塗り剤、この下塗り剤に付着する色付きベースコート(base coat)(これはフィルム形成結合剤および有機顔料もしくは染料、無機顔料、金属顔料またはこれらの混合物を含有する)および前記ベースコートに付着する透明なトップコート(これはフィルム形成結合剤および場合により透明な顔料を含有する)を含んで成る組成物であってもよい。この塗料は好適には自動車用トップコートである。
【0199】
本発明は、更に、有機重合体が基になったコーティングを光、酸素および/または熱による損傷に対して安定にする方法[この方法は、本発明の1種以上のHALSを含んで成る混合物を当該コーティング組成物と混合することを含んで成る]に関するばかりでなく、本発明の1種以上のHALSを含んで成る混合物を光、酸素および/または熱による損傷に対する安定剤としてコーティング組成物で用いることにも関する。
【0200】
そのようなコーティング組成物は当該結合剤が溶解し得る有機溶媒または溶媒混合物を含んで成っていてもよい。他の様式では、そのようなコーティング組成物は水溶液または分散液であってもよい。その担体はまた有機溶媒と水の混合物であってもよい。このようなコーティング組成物は高固体量の塗料であってもよいか或は溶媒を含有しない塗料(例えば粉末コーティング材料)であってもよい。
【0201】
前記顔料は無機、有機または金属顔料であってもよい。本新規コーティング組成物に好適には顔料を含有させず、これを好適にはクリアコート(clearcoat)組成物で用いる。
【0202】
本コーティング組成物を自動車産業における用途でトップコートとして用いるのも同様に好適であり、特に塗装仕上げの着色または無着色トップコートとして用いるのも同様に好適である。しかしながら、これを下地コート(underlying coats)で用いることも可能である。
【0203】
(実施例)
以下に示す実施例は単に本発明の好適な態様の説明であり、本発明を限定するととして解釈されるべきでなく、本発明の範囲を添付請求の範囲で限定する。
実施例1−9:多官能カルボニル化合物が基になったHALS化合物の調製
以下に描写する一般構造で表される8種類のHALS化合物を本発明に従って合成した。
【0204】
【化65】
【0205】
化合物I(n=5、R=水素)
化合物II(n=5、R=メチル)
化合物III(n=11、R=水素)
化合物IV(n=11、R=メチル)
【0206】
【化66】
【0207】
ここで、i、j、kおよびlは整数でありそしてi、j、kおよびlの合計は3以上である。
化合物VII(Mn=約2,000)
化合物VIII(Mn=約8,800)
化合物IおよびIIの調製を6−(メトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸メチル(化合物A)を用いて行い、化合物IIIおよびIVの調製を6−ブトキシカルボニルアミノウンデカン酸ブチル(化合物B)を用いて行い、化合物Vの調製を6−[(メトキシオキシアセチル)アミノ]−ヘキサン酸メチル(化合物C)を用いて行い、そして化合物VIの調製を6−(オクタノイルアミノ)ヘキサン酸メチル(化合物D)を用いて行った。化合物VIIおよびVIIIの調製を化合物AとN−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを用いて行った。
【0208】
【化67】
【0209】
化合物A(n=5、R=メチル)
化合物B(n=11、R=ブチル)
【0210】
【化68】
【0211】
N−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの調製では、TINUVIN 622に加水分解を水酸化ナトリウム水溶液/テトラヒドロフランを用いて受けさせ、テトラヒドロフランを減圧下で除去し、水層をクロロホルムで抽出し、クロロホルム層を乾燥させ、濾過しそしてクロロホルムを減圧下で除去することで調製を行った。その回収したN−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールが示した融点は179−183℃であった(文献であるDE 2,352,658に示されている融点は182℃)。化合物A、B、CおよびDの合成を以下に記述する。
化合物Aの合成:
300mLの3つ口丸底フラスコに機械的撹拌機、磨りガラス製ストッパーおよびコンデンサ[アルゴン入り口が備わっておりそして出口がバブラー(bubbler)につながっている]を取り付けて、このフラスコにカプロラクタムを10g(88ミリモル)、ジメチルカーボネートを10.5g(117ミリモル)、ナトリウムメトキサイドを5.23g(96.8ミリモル)およびメタノールを100mL仕込んだ。この混合物を還流に24時間加熱した後、室温に冷却した。氷酢酸を7.3g(121ミリモル)加えた後、ロータリーエバポレーターを用いてメタノールを除去した。その残留物を100mLの塩化メチレンに溶解させた後、その有機層を水で抽出することで未反応のカプロラクタムを除去した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した後、溶媒を更に真空(<1mm)下95℃で除去することで、化合物Aをほぼ無色の油として5.23g(29%)得た。化合物Aの構造をNMRで確認した。1H NMR(CDCl3):δ 4.63(br s、1H、NH);3.68(s、3H、CH3−OCO);3.66(s、3H、CH3−OCO);3.17(br dt、2H、−CH 2−NH−);2.31(t、2H、−CH2COO);1.65−1.21(in、6H、CH2(CH 2)3CH2)。
化合物Bの合成:
250mLの3つ口反応フラスコに磁気撹拌機、還流コンデンサおよび温度計アダプタを取り付けて、このフラスコにカプロラクタムを13.96g(0.070モル)、ジブチルカーボネートを13.4g(0.076モル)、ナトリウムメトキサイドを4.16g(0.077モル)およびブタノールを130g仕込んだ。この混合物を110℃に64時間加熱した。室温に冷却した後、4.9g(0.10モル)の氷酢酸を30gのブタノールに入れて加えた後、この混合物を5分間撹拌した。その結果として得た混合物を500mLの塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した後、乾燥(MgSO4)させた。濾過に続いてロータリーエバポレーターにかけることでグリース状の固体を19.6g得た。200−400メッシュで60Åのシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー(0.5%メタノール/塩化メチレン)で表題の化合物を白色の半固体として7.2g(25%)得た。化合物Bの構造をNMRで確認した。1H NMR(CDCl3):δ 4.61(br s、1H、NH);4.05(q、4H、−CH2CH 2−OCO);3.16(br dt、2H、−CH 2−NH−);2.28(t、2H、−CH2COO);1.65−1.21(m、26H、CH2(CH 2)9CH2、(CH 2)2CH 3)、0.93(t、6H、CH3)。
化合物Cの合成:
撹拌子を装備しておいた100mLの丸底フラスコにカプロラクタムを8.45g(75ミリモル)、しゅう酸ジメチルを8.85g(75ミリモル)およびナトリウムメトキサイドを0.16g(3ミリモル)仕込んだ。この混合物を50℃のオイルバスに浸けて30分間加熱した後、1時間かけて35℃に冷却した。この混合物を前記温度で数時間撹拌した後、冷却して室温に一晩放置した。この混合物を125mLの塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した後、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。モレキュラーシーブを用いた乾燥を行い、濾過を行った後、溶媒を減圧下で除去することで、明黄色の液体を12.5g(72%収率)得たが、これは放置すると結晶化して低融点の固体になった。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 7.18(br s、1H、NH);3.90(s、3H、CH3−OCOCO);3.67(s、3H、CH3−OCCH2);3.35(ほぼq、2H、−CH 2−NH−);2.32(t、2H、−CH2COO);1.70−1.30(m、6H、CH2(CH 2)3CH2)。
化合物Dの合成:
撹拌子を装備しておいた100mLの丸底フラスコにカプロラクタムを16.9g(150ミリモル)、カプリル酸メチルを23.7g(150ミリモル)およびナトリウムメトキサイドを0.32g(6ミリモル)仕込んだ。この混合物を185−195℃のオイルバスに浸けて58時間加熱した。75℃に冷却し、そして酢酸を0.35g(6ミリモル)添加した後、このフラスコを更に冷却し、そして残存するカプリル酸メチル(17g)を48−67℃/0.8mmの蒸留で除去した後、カプロラクタム(10g)を90−95℃/0.8mmの蒸留で除去した。その残留物を塩化メチレンで希釈し、水で洗浄することでカプロラクタムを更に除去し、乾燥(MgSO4)させ、濾過した後、減圧下で蒸発させることで、化合物Dを明褐色蝋として得た(6.3g、回収されなかったカプロラクタムを基準にして38%の収率)。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.60(br m、1H、G63 NH);3.62(s、3H、CH3−OCO);3.20(ほぼq、2H、−CH 2−NH−);2.25(t、2H、−CH2COO−);2.16(t、2H、−CH 2CONH−);1.70−1.18(m、16H、CH2(CH 2)3CH2、CH2(CH 2)5CH3)。
化合物EとFの混合物の合成:
50mLの反応用厚壁容器に磁気撹拌子とテフロン製スクリューキャップ(Tefron screw cap)を取り付けて、この容器にカプロラクタムを10.6g(53.7ミリモル)、ジブチルカーボネートを9.83g(56.4ミリモル)およびナトリウムメトキサイドを0.58g(10.7ミリモル)加えた。この混合物を120℃のオイルバスに浸けて2時間加熱した。この混合物を室温に冷却した後、100mLの塩化メチレンで希釈し、そしてこれに酢酸を0.67g(11.2ミリモル)加えた。濾過に続いてロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、生成物をオフホワイト(off−white)のペーストとして得た。1H NMR(CDCl3)は主に2種類の化合物、即ちEとFが約80:20のモル比で存在することを示していた。フラッシュクロマトグラフィー(3.5%メタノール/塩化メチレン)で前記2成分の高純度サンプルを得た。
【0212】
化合物E:1H NMR(CDCl3):δ 4.61(br s、1H、NH);4.05(q、4H、−CH2CH 2−OCO);3.16(br dt、2H、−CH 2−NH−);2.28(t、2H、−2H、−CH2COO);1.65−1.21(m、26H、CH2(CH 2)9CH2、(CH 2)2CH 3)、0.93(t、6H、CH3)。
【0213】
化合物F:1H NMR(CDCl3):δ 5.50(br t、1H、−CH2NHCOCH2);4.65(br s、1H、−CH 2NHCOOCH2);4.05(q、4H、−CH2CH 2−OCO);3.21(dt、2H、−CH 2NHCOCH2−);3.16(br dt、2H、−CH2NHCOOCH2);2.28(t、2H、−CH2COO);2.15(t、2H、−CH 2CONH);1.65−1.21(m、26H、CH2(CH 2)9CH2、(CH 2)2CH 3)、0.93(t、H、CH 3)。
【0214】
【化69】
【0215】
これらの反応体の反応温度をより低くすると化合物Fがほとんどか或は全く生じない。
化合物GとHの混合物の合成:
50mLの反応用厚壁容器に磁気撹拌子とテフロン製スクリューキャップを取り付けて、この容器にカプロラクタムを6.06g(53.7ミリモル)、ジブチルカーボネートを9.83g(56.4ミリモル)およびナトリウムメトキサイドを0.58g(10.7ミリモル)加えた。この混合物を129℃のオイルバスに浸けて2時間加熱した。この混合物を室温に冷却した後、100mLの塩化メチレンで希釈し、そしてこれに酢酸を0.67g(11.2ミリモル)加えた。濾過に続いてロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、生成物を黄色のペーストとして得た。1H NMR(CDCl3)は化合物GとHが約80:20のモル比で存在することを示していた。
【0216】
【化70】
【0217】
これらの反応体の反応温度をより低くすると化合物Hがほとんどか或は全く生じない。
化合物IとJの混合物の合成:
25mLの反応用厚壁容器に磁気撹拌子とテフロン製スクリューキャップを取り付けて、この容器にカプロラクタムを2.26g(20ミリモル)、ジメチルカーボネートを1.89g(21ミリモル)およびナトリウムメトキサイドを54mg(1.0ミリモル)加えた。この混合物を130℃のオイルバスに浸けて0.5時間加熱した。この混合物を室温に冷却した後、100mLの塩化メチレンで希釈し、そしてこれに酢酸を0.67g(11.2ミリモル)加えた。濾過に続いてロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、生成物を黄色のペーストとして得た。1H NMR(CDCl3)は化合物IとJが約80:20のモル比で存在することを示していた。
【0218】
【化71】
【0219】
これらの反応体の反応温度をより低くすると化合物Jがほとんどか或は全く生じない。
【0220】
化合物EとF、GとHおよびIとJの混合物の合成は、カーボネートのカルボニルの所にラクタムアニオンが求核アシル付加することで中間体が生じた後にこの中間体のラクタムカルボニルの所に2番目のラクタムアニオンが反応することによって特に温度をより高くした時に多官能カルボニル化合物が生じ得ることを示している。次に、その結果として生じた多官能カルボニル化合物を4−アミノピペリジン基と反応させると有効な安定剤であるHALS混合物が生じ得る。一般に、反応温度をより低くした時に生じた生成物の方が色が薄い。
実施例1. 6−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンオキシカル ボニルアミノ)ヘキサン酸2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(化合物I)の調製
500mLの3つ口フラスコに磁気撹拌機、コンデンサ付きDean−Starkトラップ、温度計およびガラス製ストッパーを取り付けて、これに化合物Aを20g(98.4ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを46.3g(0.295モル)およびトルエンを150mL加えた。窒素をゆっくり流しながらトルエンを20mL留出させた後、トラップの排液を行った。前記ガラス製ストッパーを取り外して、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを1.0g(1.67ミリモル)加えた。更に75mLのトルエンを8時間かけてゆっくり留出させた。トルエンを更に110mL加えた後、更に2時間かけてトルエンを80mL除去した。NMR分析による変換度は>98%であった。この混合物を室温に冷却した後、エーテルで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後、炭酸ナトリウムで乾燥させた。濾過に続いて溶媒を減圧下で除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、化合物Iを融点が59−62℃の白色固体として41.9g(92%)得た。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.19(m、1H、R2CH−OCOCH2−);5.05(m、1H、R2CHOCONH−);4.63(br s、1H、NH);3.17(br dt、2H、−CH 2−NH−);2.28(t、2H、−CH2COO);2.00−1.30(m、14H、CH 2C(CH3)2、CH(CH 2)3CH2)、1.20(d、24H、CH2C(CH 3)2)。
実施例2. 6−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジンオキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(化合物II)の調製
100mLの3つ口フラスコに磁気撹拌子、コンデンサ付きDean−Starkトラップ、温度計およびガラス製ストッパーを装備して、これに化合物Aを4.85g(23.9ミリモル)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールを12.2g(71.6モル)およびトルエンを30mL加えた。アルゴンをゆっくり流しながらトルエンを17mL留出させた後、トラップの排液を行った。前記ガラス製ストッパーを取り外して、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.26g(0.43ミリモル)加えた。更に22mLのトルエンを1時間かけてゆっくり留出させた。トルエンを更に10mL加えた後、更に3時間かけてトルエンを11mL除去した。NMR分析による変換度は>97%であった。この混合物を室温に冷却した後、酢酸エチルで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過に続いて溶媒を減圧下で除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、化合物IIを粘性のあるほぼ無色の油として10.23g(89%)得た。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.03(m、1H、R2CH−OCOCH2−);4.92(m、1H、R2CHOCONH−);4.68(br s、1H、NH);3.18(br dt、2H、−CH 2−NH−);2.28(t、2H、−CH2COO−);2.23(s、3H、CH3NC(CH3)2);1.90−1.35(in、14H、CH2(CH 2)3CH2、CH 2C(CH3)2、1.13(d、24H、CH2C(CH 3)2)。化合物IIのTGA T−10%値は237℃であった。
実施例3. 6−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンオキシカルボニルアミノ)ウンデカン酸2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(化合物III)の調製
250mLの1口反応フラスコに磁気撹拌子と蒸留ヘッドを装備して、これに温度計、コンデンサおよび受け用フラスコ(窒素入り口が備わっておりそして出口はバブラーにつながっている)を取り付けた。このフラスコに化合物Bを4.3g(11.57ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを7.27g(46.3モル)およびキシレンを200mL仕込んだ。窒素をゆっくり流しながらキシレンを25mL留出させた後、トラップの排液を行った。熱源を下げて前記混合物を110℃に冷却した後、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.17g(0.28ミリモル)加えて、熱源を上昇させた。更に290mLのキシレンを7時間かけてゆっくり留出させ、3時間が経過した時点でキシレンを100mL仕込んだ。キシレンを更に240mL加えた後、蒸留を更に12時間継続し、この時間の間に175mL集めた。NMR分析は変換率が>90%であることを示していた。この混合物を室温に冷却した後、エーテルで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過に続いて溶媒を減圧下で除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、化合物IIIを黄色の油として5.5g(83%)得た。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.19(m、1H、R2CH−OCOCH2−);5.06(m、1H、R2CHOCONH−);4.62(br s、1H、NH);3.17(br dt、2H、−CH 2−NH−);2.25(t、2H、−CH2COO);2.00−1.20(m、26H、CH 2C(CH3)2、CH2(CH 2)9CH2)、1.20(d、24H、CH2C(CH 3)2)。
実施例4. 6−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジンオキシカルボニルアミノ)ウンデカン酸1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(化合物IV)の調製
250mLの1口反応フラスコに磁気撹拌子と蒸留ヘッドを装備して、これに温度計、コンデンサおよび受け用フラスコ(窒素入り口が備わっておりそして出口はバブラーにつながっている)を取り付けた。このフラスコに化合物Bを4.5g(12.1ミリモル)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールを8.3g(48.4モル)およびキシレンを200mL仕込んだ。窒素をゆっくり流しながらキシレンを25mL留出させた後、トラップの排液を行った。熱源を下げて前記混合物を110℃に冷却した後、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.19g(0.31ミリモル)加えた。更に450mLのキシレンを24時間かけて留出させ、5時間、21時間および23時間が経過した時点でそれぞれ100mL、100mLおよび150mL加えた。この混合物を室温に冷却した後、エーテルで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後NaOH水溶液そして次に更に水で洗浄した後、最後に硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過に続いて溶媒を減圧下で除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、化合物IVをほぼ無色の油として5.4g(79%)得た。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.05(m、1H、R2CH−OCOCH2−);4.94(m、1H、R2CHOCONH−);4.65(br s、1H、NH);3.16(br dt、2H、−CH 2−NH−);2.25(t、2H、t、2H、−CH2COO−);2.23(5、3H、CH3NC(CH3)2);1.90−1.28(m、26H、CH2(CH2)9CH2、CH 2C(CH3)2)、1.10(d、24H、CH2C(CH 3)2)。
実施例5. 6−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルオキシ)オキソアセチル]アミノヘキサン酸2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(化合物V)の調製
250mLの1口反応フラスコに磁気撹拌子そしてコンデンサおよび窒素入り口/出口付きDean−Starkトラップを装備した。このフラスコに化合物Cを10.0g(43.3ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを20.4g(130ミリモル)およびトルエンを150mL仕込んだ。窒素をゆっくり流しながらトルエンを15mL留出させた後、トラップの排液を行った。熱源を下げて前記混合物を110℃に冷却した後、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.46g(0.76ミリモル)加えて、熱源を上昇させた。更に110mLのトルエンを9時間かけてゆっくり留出させた後、キシレンを25mL加えて、更に溶媒を6時間かけて20mL留出させた。その結果として得た混合物を室温に冷却した後、酢酸エチルで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後、モレキュラーシーブで乾燥させた。濾過に続いて溶媒を減圧下で除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、化合物Vを黄色の油として13.0g(62%)得た。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 7.15(m、1H、NHCO−);5.32(m、1H、R2CHOCO−);5.20(m、1H、R2CHOCO−);3.38(dt、2H、−CH 2−NH−);2.28(t、2H、−CH2COO−);2.05−1.10(m、14H、CH2(CH2)3CH2)、CH 2C(CH3)2);1.20(d、12H、CH2C(CH 3)2);1.18(d、12H、CH2C(CH 3)2)。
実施例6. 6−(オクタノイルアミノ)ヘキサン酸2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(化合物VI)の調製
250mLの1口反応フラスコに磁気撹拌子そしてコンデンサおよび窒素入り口/出口付きDean−Starkトラップを装備した。このフラスコに化合物Dを6.1g(22.5ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを5.29g(33.7ミリモル)およびトルエンを150mL仕込んだ。窒素をゆっくり流しながらトルエンを8mL留出させた後、トラップの排液を行った。熱源を下げて前記混合物を110℃に冷却した後、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.17g(0.28ミリモル)加えて、熱源を上昇させた。更に100mLのトルエンを16時間かけてゆっくり留出させ、その結果として得た混合物を室温に冷却した後、塩化メチレンで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後、無水炭酸ナトリウムで乾燥させた。濾過に続いて溶媒を減圧下で除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下60℃で除去することで、化合物VIを明褐色の蝋として8.0g(90%)得た。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.60(m、1H、NHCO−);5.18(m、1H、R2CHOCO−);3.25(dt、2H、−CH 2−NH−);2.28(t、2H、−CH2COO−);2.16(t、2H、−CH2CONH−);1.95−1.10(m、20H、CH2(CH 2)3CH2、CH2C(CH 2)5、CH2CH2C(CH3)2);1.20(d、12H、CH2C(CH 3)2);0.88(t、3H、−CH2CH 3)。
実施例7. オリゴマー状HALS化合物(化合物VIIおよびVIII)の合成
100mLの3口丸底フラスコに磁気撹拌子、温度計およびDean−Starkトラップ(コンデンサが付いておりかつバブラーにつながっている窒素入り口/出口が備わっている)を装備して、このフラスコに化合物Aを5.45g(26.8ミリモル)、トルエンを27mL、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを163mg(0.27ミリモル)およびN−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを5.4g仕込んだ。この混合物の加熱を3時間かけて溶媒が13mL留出するように行った。この反応混合物から12mL分量(画分A)を取り出して、これに以下に記述する如き処理を受けさせた。残りの反応混合物を更に2.5時間加熱し、この間に溶媒を8mL留出させた。キシレンを更に10mL加えた後、温度を3時間かけて溶媒が更に15mL留出するように上昇させた。その結果として得た反応混合物(画分B)に以下に記述する如き処理を受けさせた。
【0221】
画分Aの処理:
前記12mL分量を塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した後、乾燥(MgSO4)させ、濾過した後、溶媒を減圧下で除去した。溶媒を更に真空(<1mm)下50−60℃で除去することで化合物VIIを無色透明な半固体として4.4g得た。ポリスチレン標準を用いた高性能サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(HPSEC)により、この材料の数平均分子量(Mn)の値は2,000であった。この材料の構造を1H NMRで確認した。1H NMR(CDCl3):δ 5.07(m、0.5H、R2CH−OCOCH2−);4.94(m、0.5H、R2CHOCONH−);4.65(br s、1H、NH);3.92(ほぼq、2H、−CH 2−OCOCH2、−CH 2−OCONH−);3.68(s、0.44H、−CH2−COOCH 3);3.66(s、0.44H、−NHCOOCH 3);3.18(br m、2H、−CH 2−NH−);2.65(t、2H、CH2CH 2−N);2.28(ほぼq、2H、−CH2COO−);1.90−1.30(m、12H、CH2(CH 2)3CH2)、CH 2C(CH3)2);1.10(d、12H、CH2C(CH 3)2)。
【0222】
画分Bの処理:
前記反応混合物の残りを塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した後、乾燥(MgSO4)させ、濾過した後、溶媒を減圧下で除去した。溶媒を更に真空(<1mm)下80−90℃で除去することで化合物VIIIを白色発泡体として4.6g得た。ポリスチレン標準を用いた高性能サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(HPSEC)により、この材料の数平均分子量(Mn)の値は8,800であった。この材料の構造を1H NMRで確認した。1H NMR(CDCl3):δ 5.07(m、0.5H、R2CH−OCOCH2−);4.94(m、0.5H、R2CHOCONH−);4.65(br s、1H、NH);3.92(ほぼq、2H、−CH 2−OCOCH2、−CH 2−OCONH−);3.68(s、0.16H、−CH2−COOCH 3);3.66(s、0.16H、−NHCOOCH 3);3.18(br m、2H、−CH 2−NH−);2.65(t、2H、CH2CH 2−N);2.28(ほぼq、2H、−CH2COO−);1.90−1.30(m、12H、CH2(CH 2)3CH2)、CH 2C(CH3)2);1.10(d、12H、CH2C(CH 3)2)。
実施例8. 塩基触媒を用いて6−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンオキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン(化合物I)を生じさせる単一段階反応
100mLの3口丸底フラスコに磁気撹拌子、無水トルエンを入れる滴下漏斗そしてコンデンサおよび窒素入り口/出口付きDean−Starkトラップを装備して、このフラスコにカプロラクタムを1.69g(15ミリモル)、ジブチルカーボネートを2.74g(15.75ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを4.94g(31.5ミリモル)およびトルエンを50mL仕込んだ。この混合物を加熱用マントルの温度である142℃にまで加熱すると、結果として、6mLの溶媒が留出してトラップの中に入った。この混合物を冷却した後、この混合物にナトリウムメトキサイドを75mg(1.39ミリモル)加えた。この混合物を再び加熱して沸騰させ、4時間かけて20mL留出させてトラップの中に入れた。このトラップの排液を行った後、前記混合物に25mLのトルエンを滴下漏斗に通して加えた。更に25mLの溶媒を4時間かけて留出させた後、無水キシレンを25mL加えて、35mLの溶媒を6時間かけて除去した。1H NMRは出発材料の変換率は>95%であることを示していた。室温に冷却し、塩化メチレンで希釈し、水で洗浄し、乾燥(モレキュラーシーブ)させ、濾過した後、溶媒を減圧下で除去することで黄色の油を得た。揮発物を更に90℃/0.8mmで除去することで明黄色の半固体を5.0g(75%収率)得た。1H NMRは、所望のヒンダードアミンである化合物Iが約85%の純度で存在することを示していた。
実施例9. ルイス酸触媒を用いて6−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンオキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン(化合物I)を生じさせる単一段階反応
250mLの3口丸底フラスコに磁気撹拌子そしてコンデンサおよび窒素入り口/出口付きDean−Starkトラップを装備して、このフラスコにカプロラクタムを16.9g(150ミリモル)、ジブチルカーボネートを39.2g(225ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを70.65g(450ミリモル)およびトルエンを200mL仕込んだ。この混合物をポット温度(pot temperature)が120℃になるまで加熱すると、結果として、12mLの溶媒が留出してトラップの中に入った。この混合物を冷却した後、この混合物にチタン(IV)イソプロポキサイドを0.85g(3ミリモル)加えた。この混合物を再び加熱して沸騰させ、そしてポット温度を20時間かけて120℃から徐々に高くして210℃にすることで溶媒を留出させた。1H NMRは出発材料の変換率は>95%であることを示していた。トラップを取り外して、このフラスコに蒸留ヘッドと蒸気ジャケット付きコンデンサを取り付けた。固体状の不純物(28.0g)を75−120℃/0.8mmで留出させた。このフラスコに残存する残留物を塩化メチレンで希釈した後、これに水を0.3mL加えた。撹拌を室温で一晩行い、濾過し、溶媒を除去することで、濃密な明黄色の油を59.0g(89%収率)得た。1H NMRは、所望のヒンダードアミンIが約90%の純度で存在することを示していた。この油にヘキサンを30g加えて、この混合物を均一になるまで加熱した。5℃に冷却しそしてこの温度に12時間放置した後、濾過することで、所望ヒンダードアミンIを融点が51−54℃の白色固体として36g(53%収率)で得たが、これの1H NMRによる純度は約95%であった。
実施例10: BPIPと化合物Aからオリゴマー状HALS化合物(IX)の調製
250mLの3口丸底フラスコに磁気撹拌子、温度計、およびDean−Starkトラップ(コンデンサが付いておりかつバブラーにつながっている窒素入り口/出口が備わっている)を装備して、このフラスコに化合物Aを5.0g(24.6ミリモル)、混合キシレンを100mLおよびN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサンジアミン(BPIP)を9.69g(24.6ミリモル)仕込んだ。この混合物を還流に1時間加熱した後、熱源を下げ、Dean−Starkトラップに集められたキシレンを30mL排出させた後、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.22g(0.37ミリモル)加えた。この混合物を沸点になるまで再び加熱して、数時間かけて溶媒を更に50mL集めた。無水キシレンを更に100mL加えた後、数時間留出させた。この混合物を室温に冷却し、塩化メチレンで希釈し、水で洗浄し、乾燥(モレキュラーシーブ)させ、濾過した後、溶媒を減圧下で除去することで、化合物IXを粘着性の黄色がかった固体として12.1g得た。
【0223】
【化72】
【0224】
[ここで、iおよびjは整数であり、そしてiとjの合計は2に等しいか或はそれ以上である]。化合物IXの構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 4.58(br m、NH)、4.35(m、R2CHNR2);3.65(s、CH3O−);3.25(ほぼq、−CH 2−NH);3.00(ほぼq、−CH 2−NRCO−);2.89(m、R2CHNHR);2.37(t、2H、−CH2COO);1.90−0.89(m、N−CH2(CH 2)4CH 2−N、COCH2(CH 2)3CH2NH、CH 2C(CH3)2、CH2C(CH3)2)。
実施例11. カプロラクタムとN−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとジブチルカーボネートからオリゴマー状HALSを生じさせる単一段階反応
50mLの3口丸底フラスコに磁気撹拌子そしてコンデンサおよび窒素入り口/出口付きDean−Starkトラップを装備して、このフラスコにN−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを1.0g(497ミリモル)、カプロラクタムを0.56g(4.97ミリモル)、ジブチルカーボネートを0.86g(4.97ミリモル)、トルエンを30mLおよびナトリウムメトキサイドを40mg(0.75ミリモル)仕込んだ。このフラスコをオイルバスに浸けて4時間加熱することで溶媒を留出させた。次に、この反応混合物にキシレンを20mL加えた後、4時間かけて更に溶媒を20mL留出させた。その結果として得た混合物を室温に冷却した後、ジクロロメタンで希釈した。この有機溶液を水で洗浄し、乾燥(MgSO4)させた後、濾過した。次に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を減圧下で除去した後、更に真空(<1mmHg)下95℃で除去することで化合物VIIを1.5g(88%)得た。化合物VIIの構造を1H NMRで立証した。
実施例12. 化合物Aの低温合成
250mLの3口丸底フラスコに磁気撹拌子、磨りガラス製ストッパー、コンデンサ、窒素入り口および温度計を装備して、このフラスコにジメチルカーボネートを50.33g(558ミリモル)およびナトリウムメトキサイドを1.04g(19.3ミリモル)仕込んだ。この混合物を15℃に冷却した後、カプロラクタムを21.8g(193ミリモル)加えた。この混合物を撹拌しながら断続的に冷却することで反応温度を約9から18℃の範囲に45分間維持した後、<19℃で氷酢酸を2.4g(40ミリモル)加えた。この混合物を100mLの塩化メチレンに溶解させ、有機層を水で抽出し、乾燥(MgSO4)させ、濾過した後、溶媒を減圧下で除去し、続いて真空(<1mmHg)下95℃で更に除去した。化合物Aをほぼ無色の油として39.0g(99%)回収した。
実施例13: 化合物EとFの混合物と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの反応でHALS混合物を調製
250mLの3口反応フラスコに磁気撹拌子、温度計アダプタおよび蒸留ヘッド(コンデンサ、受け槽および窒素入り口/出口付き)を装備した。このフラスコにこの上で生じさせたE/F混合物を4.3g(10.45ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを7.27g(46.3ミリモル)およびキシレンを200mL仕込んだ。窒素をゆっくり流しながらキシレンを10mL留出させた後、トラップの排液を行った。熱源を下げて前記混合物を110℃に冷却した後、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.17g(0.28ミリモル)加えて、熱源を上昇させた。更に172mLのキシレンを12時間かけてゆっくり留出させた。その結果として得た混合物を室温に冷却した後、酢酸エチルで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後、モレキュラーシーブで乾燥させた。濾過に続いて溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、組成物M−Iを黄色の油として5.6g(93%)得た。この混合物に入っている化合物の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.41(br s、NH);5.19(m、R2CH−OCOCH2−);5.06(m、R2CHOCONH−);4.62(br s、NH);3.22(dt、−CH 2−NH−);3.17(br dt、−CH 2−NH−);2.25(t、−CH2COO);2.00−1.20(m、CH 2C(CH3)2、CH2(CH 2)9CH2)、1.20(d、CH2C(CH 3)2)。
【0225】
【化73】
【0226】
実施例14: 化合物EとFの混合物と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールの反応でHALS混合物を調製
500mLの3口反応フラスコに磁気撹拌子、温度計アダプタおよび蒸留ヘッド(コンデンサ、受け槽および窒素入り口/出口付き)を装備した。このフラスコにこの上で生じさせたE/F混合物を7.9g(19.2ミリモル)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールを14.5g(85.04ミリモル)およびキシレンを300mL仕込んだ。窒素をゆっくり流しながらキシレンを100mL留出させた後、トラップの排液を行った。熱源を下げて前記混合物を100℃に冷却した後、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.34g(0.56ミリモル)加えて、熱源を上昇させた。更に160mLのキシレンを10時間かけてゆっくり留出させた。更にキシレンを20mL添加し、加熱を8時間継続したが、この時間の間にキシレンを32mL集めた。その結果として得た混合物を室温に冷却した後、塩化メチレンで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後、MgSO4で乾燥させた。濾過に続いて溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、組成物M−IIを黄色の油として11.2g(96%)得た。この混合物に入っている化合物の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.42(br s、1H、NH);5.05(m、R2CH−OCOCH2−);4.94(m、R2CHOCONH−);4.65(br s、NH);3.22(dt、−CH 2−NH−);3.16(br dt、−CH 2−NH−);2.25(t、−CH2COO−);2.23(s、CH3NC(CH3)2);1.90−1.28(m、CH2(CH 2)9CH2、CH 2C(CH3)2)、1.10(d、CH2C(CH 3)2)。
【0227】
【化74】
【0228】
本発明に従うHALS化合物の性能
実施例15−21. 6−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジンオキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン(化合物II)を含有させた2kアクリル系ウレタンクリアコート組成物の耐候性
化合物II(全樹脂固体量を基準にして1%)を前以て溶媒混合物に溶解させ(5−10%の固体量)た後、表Iに示す透明な2kアクリル系ウレタン調合物に加えた。この2kアクリル系ウレタンは、ヒドロキシ官能アクリル系重合体とイソシアネート架橋剤を反応させることで生じさせた2成分ウレタンである。成分IとIIの混合を使用直前に行った。E−コート下塗り剤と白色ベースコートが前以て被覆されている寸法が4”x12”の冷間圧延鋼板[ACT Laboratories,Inc.(Hillsdale、ミシガン州)から得た]に透明なコートを付着させた。Leneta Co.(Ho−Ho−Kus、N.J)から入手可能なWC−60 WIRE−CATORS(商標)を使用したドローダウン(draw−down)技術を用いて、その透明なコートを前記前以て被覆されている板に塗布した。この透明なコートにフラッシュ洗浄(flash)を周囲温度で10分間受けさせた後、120℃で30分間硬化させた。
【0229】
【表1】
【0230】
前記コーティングに促進耐候試験(accelerated weathering)をUVA−340蛍光灯が備わっているQUV促進耐候試験装置[Q Panel Laboratory Products(クリーブランド、OH)から商業的に入手可能]およびSAE J1960自動車外装試験プロトコルに従うキセノンアークランプが備わっているAltas Ci65 WeatherOmeter(「Xenon WOM」)[Atlas Electronic Deviced Co(シカゴ、IL)から商業的に入手可能]を用いて受けさせた。南フロリダにおける50度南直接耐候試験(50 deg South direct weathering)を用いて自然耐候試験を実施した。反射特性(光沢および画像の鮮明度、またはDOI)、全体色変化(デルタE)および黄色化(デルタb)を耐候試験時間の関数として測定した。反射特性の測定をASTM E284およびD253に記述されているようにして実施した。色変化および黄色化の測定をASTM D2244に記述されているようにして実施した。
【0231】
化合物IIがQUV耐候試験下で示した性能を実施例15−17に要約する。化合物IIが光沢保持に対して示した効果を実施例15に示し、DOI保持に対して示した効果を実施例16に示しそしてデルタEに対して示した効果を実施例17に示す。
実施例15. 化合物IIを用いた安定化を受けさせた2kアクリル系ウレタンクリアコートのQUV耐候試験(UVA−340球)、光沢保持パーセントに対する効果
【0232】
【表2】
【0233】
2kアクリル系ウレタンクリアコートに化合物IIを1%用いた安定化を受けさせると安定剤を全く含有させなかった2kウレタンクリアコートに比べて光沢保持パーセントが優れることが分かった。
実施例16. 化合物IIを用いた安定化を受けさせた2kアクリル系ウレタンクリアコートのQUV耐候試験(UVA−340球)、DOI保持パーセントに対する効果
【0234】
【表3】
【0235】
2kアクリル系ウレタンクリアコートに化合物IIを1%用いた安定化を受けさせると安定剤を全く含有させなかった2kウレタンクリアコートに比べてDOI保持パーセントが優れることが分かった。
実施例17. 化合物IIを用いた安定化を受けさせた2kアクリル系ウレタンクリアコートのQUV耐候試験(UVA−340球)、デルタEに対する効果
【0236】
【表4】
【0237】
2kアクリル系ウレタンクリアコートに化合物IIを1%用いた安定化を受けさせると安定剤を全く含有させなかった2kウレタンクリアコートに比べて全体色変化(デルタE)に対して優れた効果が得られた。デルタEが高くなることはウレタンコートが好ましくなく変色することを示している。
【0238】
この上に示した特性に加えて膨れを目で評価した。約7011時間後、安定化を受けさせなかったコーティングは完全に剥がれたが、化合物IIを含有させたコーティングは膨れの兆候を全く示さなかった。
【0239】
化合物IIがXenon WOM耐候試験下で示した性能を実施例18−20に要約する。化合物IIが光沢保持に対して示した効果を実施例18に示し、化合物IIがDOI保持に対して示した効果を実施例19に示しそしてデルタEに対して示した効果を実施例20に示す。化合物IIが自然耐候試験(フロリダ)下で光沢保持、黄色化(デルタb)および全体色変色(デルタE)に対して示した効果を実施例21に示す。
実施例18. 化合物IIを用いた安定化を受けさせた2kポリウレタンアクリル系コーティングのキセノン耐候試験(SAE J1960自動車外装)、光沢保持パーセントに対する効果
【0240】
【表5】
【0241】
2kアクリル系ウレタンクリアコートに化合物IIを1%用いた安定化を受けさせると安定剤を全く含有させなかった2kウレタンクリアコートに比べて光沢保持が優れることが分かった。
実施例19. 化合物IIを用いた安定化を受けさせた2kポリウレタンアクリル系コーティングのキセノン耐候試験(SAE J1960自動車外装)、DOI保持パーセントに対する効果
【0242】
【表6】
【0243】
2kアクリル系ウレタンクリアコートに化合物IIを1%用いた安定化を受けさせると安定剤を全く含有させなかった2kウレタンクリアコートに比べてDOI保持パーセントが優れることが分かった。
実施例20. 化合物IIを用いた安定化を受けさせた2kポリウレタンアクリル系コーティングのキセノン耐候試験(SAE J1960自動車外装)、デルタEに対する効果
【0244】
【表7】
【0245】
2kアクリル系ウレタンクリアコートに化合物IIを1%用いた安定化を受けさせると安定剤を全く含有させなかった2kウレタンクリアコートに比べて全体色変化(デルタE)に対して優れた効果が得られた。デルタEが高くなることはウレタンコートが好ましくなく変色することを示している。
【0246】
この上に示した特性に加えて亀裂の度合を5003時間後に目で評価した。0が最良である0から5の等級を用いた時、安定化を受けさせなかったコーティングの等級は5(ひどい亀裂)であったが、化合物IIを1%用いた安定化を受けさせたコーティングの等級は1(亀裂が非常に僅か)であった。
実施例21. 化合物IIを用いた安定化を受けさせた2kアクリル系ウレタンクリアコートのフロリダ耐候試験(50度南、直接、18カ月)、光沢保持、黄色化(デルタb)および全体色変化(デルタE)に対する効果
【0247】
【表8】
【0248】
2kアクリル系ウレタンクリアコートに化合物IIを1%用いた安定化を受けさせると安定剤を全く含有させなかった2kウレタンクリアコートに比べて自然耐候試験条件下で光沢保持、黄色化および全体色変化に対して優れた性能が得られることが分かった。デルタEが高くなることはウレタンコーティングが好ましくなく変色することを示している。デルタbが高くなることはウレタンコーティングが好ましくなく黄色化することを示している。
実施例22. ポリプロピレン製品における化合物IIと通常のHALS化合物の比較
化合物IIおよび数種の市販HALS化合物の各々を2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール含有量が0.1%のPROFAX 6501ポリプロピレン粉末[Montell USA,Inc.(Wilmington、DE)から商業的に入手可能]に0.25%の充填レベルで乾式混合した。蒸気2本ローラーミル(steam double roller mill)を25rpmで用いて前記混合物を160−170℃で4分間混練りした。次に、このサンプルに圧縮成形を30トンの最大圧力下200℃で3分間受けさせることでフィルムにした。暴露試験用サンプルの厚みを各フィルム毎に測定して2.0から2.5ミルの範囲内になるようにした。これらのサンプルに暴露を乾式キセノン耐候試験器および120℃のオーブンの中で受けさせた。Perkin−Elmer Corp.(Norwalk、CT)から入手可能なPerkin−Elmer 1310赤外分光光度計を用いてカルボニル吸収強度の上昇を測定することでサンプルの劣化を追跡した。カルボニル発生パーセントを下記の関係:
カルボニル発生%=(Ax−A0)/a*1
[ここで、
A0=未暴露フィルムが5.85ミクロンの所に示した吸光度−5.35ミクロンの所に示した吸光度
Ax=暴露フィルムが5.85ミクロンの所に示した吸光度−5.35ミクロンの所に示した吸光度
a=0.20(ポリプロピレンが有する「カルボニル」の吸光度)
l=フィルム厚(ミル)]
に従って表す。暴露終点をカルボニル発生レベルが0.1%に到達するに要する暴露時間として定義した。表IIに示すデータは、化合物IIと他のいろいろな市販HALS化合物を比較するデータである。
【0249】
【表9】
【0250】
表IIに示したデータは、XeWOMを用いた2000時間の暴露後に化合物IIは安定化を受けさせていない系に比べて優れた性能を示しかつ試験を受けさせた他のHALS化合物に比べて同様または優れた性能を示すことを立証している。
【0251】
本発明のHALS化合物と通常のHALSの比較
実施例23. 通常のHALSとの比較において化合物I−IV、VIIおよびVIIIがPROFAX 6501ポリプロピレン製品で示した性能
化合物I−IV、VIIおよびVIIIに加えて数種の市販HALS化合物の各々をステアリン酸カルシウム[Witco Corp.(Greenwich、CT)から商業的に入手可能]含有量が0.07パーセントでCyanox A−2777[Cytec Industries(West Paterson、NJ)から商業的に入手可能]含有量が0.07パーセントのPROFAX 6501ポリプロピレン粉末[Montell USA,Inc.(Wilmington、DE)から商業的に入手可能]に0.2%の充填レベルで乾式混合した。混合用単軸押出し加工機が備わっているBrabender PL−2000トルクレオメーターベース[C.W.Brabender Inc.(South Hackensack、NJ)から商業的に入手可能]−5ゾーンを用い、ゾーン1−5の温度をそれぞれ210℃、215℃、220℃、225℃および230℃にして、50−75rpmで1回通すことで、その混合した材料を溶融状態で混合した。押出された物を冷却し、乾燥させた後、ペレット状にした。PHIプレス[Pasadena Hydraulics Inc.、(The City of Industry、CA)から商業的に入手可能]を用いてペレットを275℃で圧縮成形することでサンプルプラーク(2x2.5x0.100インチ)を生じさせた。ASTM G−26標準に断定されているように、キセノンアーク耐候試験器を用い、試験方法B[大気温度を63±3℃に維持しかつ相対湿度を30±5パーセント(フロリダのマイアミの条件)に維持しながら光と暗闇に交互にさらしそして間欠的に水スプレーにさらす]を用いて、サンプルプラークに暴露を受けさせた。Macbeth Color Eye Colorimeter[Gretag−MacBeth LLC(New Windsor、NY)から商業的に入手可能]を実験室条件下で用いて色(ΔE)を測定したが、イルミネートC(illuminate C)を伴わせ、観察者との角度を2°にし(2°observer)、反射構成要素を排除してUV構成要素を含めた。Gardnerブラックプレート60°Glossmeterを用い、ASTM D523標準に従い、測定偏差損(measuring deviation loss)を50パーセントにして、反射光沢を測定した。また、Arburg「Allrounder」油圧射出成形機[Arburg GmbH & Co.(Lossburg、ドイツ)から商業的に入手可能]を用いてペレットを射出成形して引張り用棒材を生じさせた。用いた温度は下記の通りであった:ノズル:200℃、ノズル側面:220℃、中央:225℃、フィード:210℃および鋳型:52℃。前記混合した材料をまた薄膜にも成形した。この薄膜の調製を実施例22に記述した如く行った。
【0252】
化合物I−IV、VIIおよびVIIIをTinuvin 765[ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、CAS#41556−26−7][Ciba Specialties Corp.(Hawthorne、NY)から商業的に入手可能];Tinuvin 770[ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、CAS#52829−07−9][Ciba Specialties Corp.(Hawthorne、NY)から商業的に入手可能];Tinuvin 622[1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル ピペリジン−こはく酸ジメチルエステルの共重合体、CAS#65447−77−0][Ciba Specialties Corp.(Hawthorne、NY)から商業的に入手可能];Chimasorb 944[ポリ[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル]−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]、CAS#71878−19−8][Ciba Specialties Corp.(Hawthorne、NY)から商業的に入手可能];Tinuvin 783[Chimasorb 944とTinuvin 622の1:1混合物][Ciba Specialties Corp.(Hawthorne、NY)から商業的に入手可能]と比較した。
【0253】
表IIIに、ポリプロピレンプラークにおけるΔE=3の時間および50%光沢保持の時間および破壊(薄膜に生じるカルボニルの発生で測定)の時間に関する本発明のHALSと数種の市販HALSの比較を示す。表IVに、引張り用PROFAXポリプロピレン製棒材における50%強度保持、50%伸び保持および50%引張り強度保持の時間に関する本発明のHALSと数種の市販HALS化合物の比較を示す。
【0254】
【表10】
【0255】
【表11】
【0256】
表IIIおよびIVに示したデータは、本発明のHALSは安定化を受けさせていない系に比べて優れた性能を示しかつ市販HALS化合物に比べて同様または優れた性能を示すことを立証している。
実施例24. 通常のHALSとの比較において化合物I−IV、VII−VIIIがポリエチレン製品で示した性能
化合物I−IVおよびVII−VIIIに加えて数種の市販HALS化合物の各々をステアリン酸亜鉛[Malinckrodt Chemicals(セントルイス、MO)から商業的に入手可能]含有量が0.01パーセントでCyanox A−2777[Cytec Industries(West Paterson、NJ)から商業的に入手可能]含有量が0.07パーセントのLLDPEプリル(prills)[Equistar Chemicals LP(ヒューストン、TX)から商業的に入手可能]に0.1パーセントの充填レベルで乾式混合した。混合用単軸押出し加工機が備わっているBrabender PL−2000トルクレオメーターベース−5ゾーンを用い、ゾーン1−5の温度をそれぞれ170℃、175℃、180℃、185℃および190℃にして、50−75rpmで1回通すことで、その混合した材料を溶融状態で混合した。押出された物を冷却し、乾燥させた後、ペレット状にした。PHIプレスを用いてペレットを177℃で圧縮成形することでサンプルプラーク(2x2.5x0.100インチ)を生じさせた。ASTM G−26標準に断定されているように、キセノンアーク耐候試験器を用い、試験方法B[大気温度を63±3℃に維持しかつ相対湿度を30±5パーセント(フロリダのマイアミの条件)に維持しながら光と暗闇に交互にさらしそして間欠的に水スプレーにさらす]を用いて、サンプルプラークに暴露を受けさせた。Macbeth Color Eye Colorimeterを実験室条件下で用いて色(ΔE)を測定したが、イルミネートCを伴わせ、観察者との角度を2°にし、反射構成要素を排除してUV構成要素を含めた。前記混合した材料をまた薄膜にも成形した。この薄膜の調製を実施例22に記述した如く行った。
【0257】
表Vに、LLDPEプラークおよび薄膜におけるΔE=3の時間および50%光沢保持の時間および破壊(カルボニルの発生で測定)の時間に関する本発明のHALS化合物と数種の市販HALS化合物の比較を示す。
【0258】
【表12】
【0259】
表Vに示したデータは、本発明のHALSは安定化を受けさせていない系に比べて優れた性能を示しかつ市販HALS化合物に比べて同様または優れた性能を示すことを立証している。
実施例25. 通常のHALSとの比較において化合物VIIIがポリプロピレン製品で示した性能
化合物VIII、化合物VIIIとCyasorb(商標)UV−3346の1:1混合物、Cyasorb(商標)UV−3346および数種の市販HALS化合物の各々をステアリン酸カルシウム[Witco Corp.(Greenwich、CT)から商業的に入手可能]含有量が0.07パーセントでCyanox A−2777[Cytec Industries(West Paterson、NJ)から商業的に入手可能]含有量が0.07パーセントのPROFAX 6501ポリプロピレンフレーク[Montell USA,Inc.(Wilmington、DE)から商業的に入手可能]に0.2%の充填レベルで乾式混合した。混合用単軸押出し加工機が備わっているBrabender PL−2000トルクレオメーターベース[C.W.Brabender Inc.(South Hackensack、NJ)から商業的に入手可能]−5ゾーンを用い、ゾーン1−5の温度をそれぞれ210℃、215℃、220℃、225℃および230℃にして、50−75rpmで1回通すことで、その混合した材料を溶融状態で混合した。押出された物を冷却し、乾燥させた後、ペレット状にした。PHIプレス[Pasadena HydraulicsInc.、(The City of Industry、CA)から商業的に入手可能]を用いてペレットを275℃で圧縮成形することでサンプルプラーク(2x2.5x0.100インチ)を生じさせた。ASTM G−26標準に断定されているように、キセノンアーク耐候試験器を用い、試験方法B[大気温度を63±3℃に維持しかつ相対湿度を30±5パーセント(フロリダのマイアミの条件)に維持しながら光と暗闇に交互にさらしそして間欠的に水スプレーにさらす]を用いて、サンプルプラークに暴露を受けさせた。Gardnerブラックプレート60°Glossmeterを用い、ASTM D523標準に従い、測定偏差損を50パーセントにして、反射光沢を測定した。
実施例25: PROFAX 6501ポリプロピレンプラークにおける本発明の化合物VIIIと通常のHALSの性能の比較
【0260】
【表13】
【0261】
実施例25に示したデータは、本発明のHALSは市販HALS化合物に比べて同様または優れた性能を示すことを立証している。
実施例26. 通常のHALSとの比較において化合物IおよびIIがNylon 6プラークで示した性能
化合物IおよびIIおよび数種の市販HALS化合物の各々をCyanox A−2777[Cytec Industries(West Paterson、NJ)から商業的に入手可能]含有量が0.075%のB85ZP Nylon 6[Honeywell Inc.(Morris Township、NJ)から商業的に入手可能]に0.3%の充填レベルで乾式混合した。0.75インチで25:1の単軸押出し加工機が備わっているHaake SS[Haake Inc.(USA)(Paramus、NJ)から商業的に入手可能]−4ゾーンを用い、ゾーン1−4の温度をそれぞれ245℃、260℃、270℃および260℃にして、70rpmで1回通すことで、その混合した材料を溶融状態で混合した。押出された物を冷却し、乾燥させた後、ペレット状にした。Arburg Allrounder 320−210−750射出成形機[Arburg GmbH & Co.(Lossburg、ドイツ)から商業的に入手可能]を用いてペレットを射出成形してサンプルプラーク(2x2.5x0.100インチ)を生じさせたが、ここでは、ノズルを245℃にし、ノズル側面を260℃にし、中央を270℃にし、フィードを270℃にそして鋳型を82℃にした。ASTM G−26標準に断定されているように、キセノンアーク耐候試験器を用い、試験方法B[大気温度を63±3℃に維持しかつ相対湿度を30±5パーセント(フロリダのマイアミの条件)に維持しながら光と暗闇に交互にさらしそして間欠的に水スプレーにさらす]を用いて、サンプルプラークに暴露を受けさせた。Macbeth Color Eye Colorimeterを実験室条件下で用いて色の測定を黄色指数(YI)およびΔEとして実施し、イルミネートCを伴わせ、観察者との角度を2°にし、反射構成要素を排除してUV構成要素を含めた。
実施例26: Nylon 6プラークにおける化合物IおよびIIと通常のHALSの性能の比較
【0262】
【表14】
【0263】
実施例26に示したデータは、本発明のHALSは安定化を受けさせていない系に比べて優れた性能を示しかつ他のHALS化合物に比べて同様または優れた性能を示すことを立証している。
【0264】
本明細書に記述および請求する発明は範囲の点で本明細書に開示した具体的な態様に限定されない、と言うのは、これらの態様は本発明のいくつかの面の説明を意図したものであるからである。相当する如何なる態様も本発明の範囲内であることを意図する。実際、この上で行った説明から本分野の技術者に本明細書に示しかつ説明した発明に加えて本発明のいろいろな修飾形が明らかになるであろう。そのような修飾形もまた添付請求の範囲内であることを意図する。
(発明の分野)
本発明は一般に新規なヒンダードアミン系光安定剤(hindered amine light stabilizers)(HALS)そしてこれらを紫外線もしくは光(「UV光」)に対する保護として用いることに関する。また、前記安定剤を含有させた濃縮物および製品そして前記全部の製造方法も包含する。
【0002】
(背景)
紫外(「UV」)光もしくは線、特に太陽光がいろいろな材料、特に高分子材料(polymeric materials)の劣化を引き起こし得ることは良く知られている。その結果としてしばしば前記材料(成形品、押出し加工品、フィルム、テープ、コーティングなどの形態であり得る)の脆化もしくは黄色化がもたらされる。しかしながら、光安定剤をそのような高分子材料の中または上に取り込ませることによってそのような劣化を抑制することができる。最も通常に用いられている安定剤はUV吸収剤、ヒンダードアミン系安定剤(「HALS」)そしてフェノール系および非フェノール系抗酸化剤である。
【0003】
高分子材料がUV光にさらされた時に前記材料の中に生じるフリーラジカルをHALSが捕捉する。このHALS分子の機能成分は典型的に2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン部分である。この2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン部分は典型的にカルボニルもしくはメラミン官能基につなぎ止められている(例えば米国特許第4,331,586号、3,840,494号、Re.31,342号、Re.30,385号、3,640,928号、4,086,204号、4,265,805号を参照)。このように2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン部分をカルボニルもしくはメラミン官能基につなぎ止めると典型的に安定剤の揮発性および抽出性が低下する。揮発性が低いことは高温に遭遇する用途(これはしばしば熱可塑性プラスチックを加工している時そして熱硬化性樹脂およびコーティングを硬化させる時に起こる)で光安定剤に求められる重要な性質である。また、しばしば、そのような安定化を受けさせた材料の最終使用用途でも高温が存在する。揮発性が低いことは安定剤が加工、硬化および高温最終使用中に失われないようにするに役立つ。カルボニル基につなぎ止められている2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン基を含有するHALS分子の製造は典型的に2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン−4−オールもしくは4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンをカルボン酸クロライドもしくはエステルと反応させることで行われる。
【0004】
米国特許第Re.31,342号、4,021,432号および4,049,647号には、有機材料用の安定剤であるある種類の1−および4−置換ピペリジンが開示されている。この安定剤の製造は相当する1−置換ピペリジノールと酸クロライドを反応させるか或は相当する4−置換ピペリジンをピペリジン部分の1位に残基を導入する化合物と反応させることで行われている。
【0005】
米国特許第3,840,494号には、4−ピペリジノール誘導体の酸エステルを重合体組成物に光劣化および熱劣化を防止するに充分な量で添加することでそのような劣化に対して安定にした重合体組成物が開示されている。前記4−ピペリジノール誘導体の酸エステルの調製は、4−ピペリジノール誘導体とカルボン酸エステルをキシレン中で水酸化ナトリウムを用いて反応させることで行われている。例えば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンと安息香酸エチルを反応させると4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが生じる。
【0006】
同様に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールをジエステルもしくは二酸クロライドと反応させるとジエステル−HALSが生じ得る。また、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールをジイソシアネートと反応させるとジウレタン−HALSが生じ得る。しかしながら、ジイソシアネートはコストが相対的に高いことからこれをHALSの調製で用いるのはジエステルに比べて実用的でない。
【0007】
炭化水素鎖の一方の末端部にエステル官能を有しそして炭化水素鎖のもう一方の末端部にウレタン官能を有する化合物(アルコキシカルボニルアミノアルカノエート)は光安定以外の他のいろいろな用途で知られていて、いろいろな合成スキームで調製可能である(例えばEffenberger,F、Drauz,K.、Foerster,S.、Mueller,W.、Chem.Ber.、114(1)、173−89、Dixit,A.、Tandel,S.、Rajappa,S.、Tett.Lett.、35(33)、6133−4、Duong他、Aust.J.Chem.、29、2651−61、1976、Iwata他、J.Org.Chem.、31、142−46、1966、Taub、Hino、J.Chem.Eng.Data、9、106、1964、Merger他の米国特許第5,300,678号を参照)。
【0008】
米国特許第5,574,162号に1−ヒドロカルビルオキシ置換HALSが開示されており、これはまた選択された重合体基質に縮合反応で化学的に結合する反応性官能基も含有する。
【0009】
また、オリゴマー状HALSも公知である。例えば、TINUVIN 622はChiba Specialty Chemicals Inc.(Hawthorne、NY)が製造している市販のオリゴマー状HALSである。TINUVIN 622はこはく酸ジメチルとN−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを反応させると生じ得る。米国特許第4,223,412号には繰り返し分子単位がポリアルキルピペリジン基を含有する縮合および付加重合体が開示されており、これはプラスチック用光安定剤として用いるに有用である。1つの態様では、ポリアルキルピペリジン含有単量体とポリアルキルピペリジンを含まない単量体、例えばカプロラクタムなどを共重合または共重縮合させることで共重合体を生じさせている。
【0010】
米国特許第6,271,377号には、ヒドロキシル基を1から3個含有するN−アルキルオキシ部分によってN原子が置換されているHALSが開示されている。
【0011】
Hardyの米国特許第4,331,586号には、ピペリジル部分を繰り返し単位中に少なくとも1個含むオリゴマーが開示されており、それは光安定剤として用いられる。その開示されたオリゴマー状HALSは重合体材料、例えばポリプロピレンなどに保護を与えはするが、それを含有する重合体フィルムがUV光にさらされると約1,700時間で脆くなる。
【0012】
HALS化合物は重合体の光劣化を抑制する目的で個別にか或は他の光安定剤との組み合わせで用いられ得る。例えば、高分子材料を安定にしかつ前記材料がUV光にさらされることで起こる劣化を防止する目的で初期にはUV光吸収剤、例えばベンゾトリアゾールおよびベンゾフェノンなどが用いられていた。その後、HALS化合物の方がUV光吸収剤単独よりも有効であることが見つかり、従って現在では大部分の通常用途でUV光吸収剤と少なくとも1種のHALS化合物が組み合わされて用いられている(例えば米国特許第4,740,542号、4,619,956号、5,461,151号、5,721,298号を参照)。同様に、HALS化合物はしばしば他の安定剤、例えば抗酸化剤などと組み合わせて用いられる(例えば米国特許第4,722,806号を参照)。HALSを別の安定剤と組み合わせて用いると高分子材料が示す耐候性がより良好になり得る。
【0013】
米国特許第4,619,956号には、HALS化合物とUV光吸収剤であるトリス−アリール−s−トリアジンを重合体に添加することで重合体のフィルム、コーティングまたは成形品を光、水分および酸素の作用に対して安定にする方法が開示されている。好適には、そのHALS化合物は2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、塩もしくは金属錯体であり、そしてそのUV光吸収剤は式
【0014】
【化29】
【0015】
[式中、X、YおよびZは各々芳香族炭素環状基であり、そして芳香基の少なくとも1つはトリアジン環との結合点に対してオルソ位にヒドロキシ基を有する]で表されるトリス−アリール−2−トリアジンである。R1からR9は各々水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、スルホン、カルボキシ、ハロ、ハロアルキルまたはアシルアミノである。そのUV光吸収剤およびHALS化合物は各々約0.01から5重量パーセントの量で用いられたが、例示された配合はUV光吸収剤とHALS化合物が等しい量で配合された例のみである。このような組成物は高分子材料の安定化で用いるに有効であり、その材料は、UV光に約1,000から2,400時間さらされるまでは光沢を失い始めることも黄色になることもない。
【0016】
このように、高分子材料を安定にしかつそれがUV光に長期間に渡ってさらされる時に保護を与えるように改良された製品および組成物そしてそれの使用および製造方法が必要されているままである。本発明はそのような組成物、製品および方法を提供するものである。
【0017】
(発明の要約)
本発明は少なくとも1種の高分子材料と式I、IIまたはIIIで表される少なくとも1種の化合物を光劣化もしくは熱劣化の中の少なくとも一方を抑制するに充分な量で含有する高分子製品(polymeric articles)に関する。式(I)で表される化合物は、
【0018】
【化30】
【0019】
{ここで、nは1から15の整数であり、mは0または1のいずれかであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素またはヒドロカルビル基であり、YはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0または1から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であり、そしてフェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または官能基に置き換わっていてもよい]であり、Zは−O−または−NG−[ここで、GはH、C1−C12アルキルまたは基Rである]であり、そしてRは
【0020】
【化31】
【0021】
であり、ここで、R1は水素、C1−C18アルキル、O、OH、CH2CN、C1−C18アルコキシ、C1−C18ヒドロキシアルコキシ、C5−C12シクロアルコキシ、C5−C12ヒドロシクロアルコキシ、C3−C6アルケニル、C1−C18アルキニル、C7−C9フェニルアルキル(このフェニルは置換されていないか或は1、2または3個のC1−C4アルキルで置換されている)または脂肪族C1−C8アシルであり、R2は水素、C1−C18アルキルまたはベンジルであり、R3、R4、R5およびR6は各々水素、C1−C8アルキル、ベンジルまたはフェネチルであるか、或は対になった2つのR部分がこれらが結合している炭素と一緒になってC5−C10シクロアルキルを形成しており、そしてAはZRまたはヒドロカルビル基のいずれかである}である。式IIで表される化合物は、
【0022】
【化32】
【0023】
{ここで、i、j、kおよびlは約0から300の整数でありそしてi、j、kおよびlの合計は3以上であり、E−Fは
【0024】
【化33】
【0025】
であり、E−F’は
【0026】
【化34】
【0027】
であり、E’−Fは
【0028】
【化35】
【0029】
であり、そしてE’−F’は
【0030】
【化36】
【0031】
であり、Sは水素であるか或は構造
【0032】
【化37】
【0033】
で表されるピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン部分に由来する単位であり、そしてTは水素または構造
【0034】
【化38】
【0035】
で表される多官能カルボニル化合物由来単位であり、ここで、Dはヒドロカルビル基であり、nは1から15の整数であり、mは0または1のいずれかであり、sは0または1から10の整数であり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素またはヒドロカルビル基であり、YはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であり、そしてフェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または官能基に置き換わっていてもよい]であり、R2は水素、C1−C8アルキルまたはベンジルであり、R3、R4、R5およびR6は各々水素、C1−C8アルキル、ベンジルまたはフェネチルであるか、或は対になった2つのR部分がこれらが結合している炭素と一緒になってC5−C10シクロアルキルを形成しており、Zは−O−またはNG[ここで、GはHまたはC1−C12アルキルである]であり、そしてsが1以上の時にはPはNHまたはOであり、そしてsが0の時にはP=OまたはO−L−O[ここで、Lはヒドロカルビレンである]である}である。式IIIで表される化合物は、
【0036】
【化39】
【0037】
{ここで、iおよびjは約0から300の整数でありそしてiとjの合計は3以上であり、M−Fは
【0038】
【化40】
【0039】
であり、M−F’は
【0040】
【化41】
【0041】
であり、Tは水素または構造
【0042】
【化42】
【0043】
で表される多官能カルボニル化合物由来単位であり、ここで、Dはヒドロカルビル基であり、nは約1から15の整数であり、mは0または1のいずれかであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素またはヒドロカルビル基であり、YはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは約0から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であり、そしてフェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または官能基に置き換わっていてもよい]であり、そしてMは一般構造
【0044】
【化43】
【0045】
[ここで、R1は水素、C1−C18アルキル、O、OH、C1−C18アルコキシ、C1−C18ヒドロキシアルコキシ、C5−C12シクロアルコキシ、C5−C12ヒドロキシシクロアルコキシ、CH2CN、C3−C6アルケニル、C1−C18アルキニル、C7−C9フェニルアルキル(このフェニルは置換されていないか或は1、2または3個のC1−C4アルキルで置換されている)または脂肪族C1−C8アシルを表し、R2は水素、C1−C8アルキルまたはベンジルであり、R3、R4、R5およびR6は各々水素、C1−C8アルキル、ベンジルまたはフェネチルであるか、或は対になった2つのR部分がこれらが結合している炭素と一緒になってC5−C10シクロアルキルを形成している]で表される4−アミノピペリジン基を含有する1種以上のジアミノもしくはジヒドロキシ基に由来する部分であり、そしてMはMのヒドロキシもしくはアミノ基で多官能カルボニル化合物に結合している}である。
【0046】
式I、IIまたはIIIで表される化合物の量は前記高分子製品の約0.01から10重量パーセントであってもよい。この高分子材料はポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリケトン、ポリアミド、天然および合成ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン、ハイインパクト(high−impact)ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリスチレン、ABS、SAN(スチレンアクリロニトリル)、ASA(アクリレートスチレンアクリロニトリル)、酢酸酪酸セルロース(cellulosic acetate butyrate)、セルロース系重合体、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルフィド、PPO、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリケトン、脂肪族ポリケトン、熱可塑性TPO、アミノ樹脂架橋ポリアクリレートおよびポリエステル、ポリイソシアネート架橋ポリエステルおよびポリアクリレート、フェノール/ホルムアルデヒド、尿素/ホルムアルデヒドおよびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂;乾燥性および非乾燥性アルキド樹脂;アルキド樹脂;ポリエステル樹脂;メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、カルバメートおよびエポキシ樹脂で架橋したアクリレート樹脂;脂肪族、環状脂肪族、複素環式および芳香族グリシジル化合物を無水物またはアミンで架橋させることで生じさせた架橋エポキシ樹脂;ポリシロキサン;活性不飽和を有するアミンもしくはブロック化(blocked)アミンとメチレン化合物のミハエル付加重合体、活性不飽和を有するケチミンとメチレン化合物のミハエル付加重合体、不飽和アクリル系(acrylic)ポリアセトアセテート樹脂と組み合わされたポリケチミン、および不飽和アクリル系樹脂と組み合わされたポリケチミン;放射線硬化性組成物、エポキシメラミン樹脂、有機染料、化粧品、セルロースが基になった紙調合物、写真フィルム紙、インク、およびこれらの混合物であってもよい。この高分子材料はポリオレフィンの共重合体またはホモ重合体であってもよい。この高分子材料はポリアミドを含んで成っていてもよい。
【0047】
本高分子製品にまた抗酸化剤、UV吸収剤および光安定剤、金属不活性化剤、ホスファイトおよびホスホナイト、ヒドロキシルアミン、ニトロン、チオシナジスト(thiosynergists)、過酸化物捕捉剤、ポリアミド安定剤、塩基性共安定剤、核形成剤、充填材および補強剤、ベンゾフラノン、インドリノン、酸捕捉剤、帯電防止剤、発泡剤、触媒、透明化剤(clarifying agents)、乳化剤、充填材、難燃剤、蛍光白色化剤、赤外吸収剤、均染助剤、滑剤、金属不活性剤、離型剤、核形成剤、オプティカルブライトナー(optical brighteners)、顔料、可塑剤、流動学的添加剤およびこれらの混合物から成る群から選択される1種以上の添加剤も含有させてもよい。この存在させる前記1種以上の添加剤の量を本高分子製品の約10重量パーセント以下にしてもよい。
【0048】
本発明は、また、表面を少なくとも1つ有する高分子製品を含んで成っていて前記高分子製品の少なくとも1つの表面に重合体組成物の薄膜が付着しておりかつ式I、IIまたはIIIで表される少なくとも1種の化合物を光劣化もしくは熱劣化の中の少なくとも一方を抑制するに充分な量で含有する多層高分子製品にも関する。
【0049】
前記薄膜は前記高分子製品の各表面に付着していてもよい。前記化合物の量は前記薄膜の約0.1から20重量パーセントであってもよい。この薄膜の厚みは約5から500μmであってもよい。前記高分子製品は熱可塑性プラスチックであってもよくそして前記薄膜も熱可塑性プラスチックであってもよい。前記熱可塑性プラスチック製品と前記薄膜は同じ熱可塑性プラスチック樹脂で作られていてもよい。
【0050】
本発明は、更に、式I、IIまたはIIIで表される少なくとも1種の化合物を光劣化もしくは熱劣化の中の少なくとも一方を抑制するに充分な量で含んで成るコーティングにも関する。前記式I、IIまたはIIIで表される少なくとも1種の化合物の量は本製品の約0.01から20重量パーセントであってもよい。
【0051】
本発明はまた式I、IIまたはIIIで表される少なくとも1種の化合物を約15から95パーセント含有する濃縮物にも関する。
【0052】
(発明の詳細な記述)
ここに、通常のHALS化合物に比べて実質的に同様または優れたUV光保護をより長期に渡って与えるように向上した種類のHALS化合物を見いだした。本発明のHALS化合物はカルボニル化合物が有するカルボニル基とラクタムの反応を基にしている。本発明のHALS化合物には、HALS化合物の機能成分であるピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン基がエステル官能もしくはアミド官能によって炭化水素鎖の末端につなぎ止められておりかつ炭化水素鎖のもう一方の末端がHALS官能性でないアミド結合で終結している化合物が含まれる。これらを「エステル/アミドHALS化合物」および「アミド/アミドHALS化合物」と呼ぶことができるであろう。別法として、炭化水素鎖の両末端をピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン基で終結させることも可能である。この態様では、HALS分子をエステル官能によって炭化水素鎖の一方の末端につなぎ止めそしてウレタン官能でもう一方の末端につなぎ止める。これらを「エステル/ウレタンHALS化合物」と呼ぶことができるであろう。その上、HALS分子をアミド官能によって炭化水素鎖の一方の末端につなぎ止めそして尿素官能でもう一方の末端につなぎ止める。これらを「アミド/尿素HALS化合物」と呼ぶことができるであろう。更に別の系列の化合物は、ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン基をエステル結合で炭化水素鎖の一方の末端に結合させかつオキサメート結合で前記炭化水素鎖のもう一方の末端に結合させることで「エステル/オキサメートHALS化合物」を生じさせるか、或はピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン基をアミド結合で炭化水素鎖の一方の末端に結合させかつオキサミド結合で前記炭化水素鎖のもう一方の末端に結合させることで「アミド/オキサミドHALS化合物」を生じさせる。
【0053】
本発明の単量体HALS化合物
このようなHALS化合物は一般式(I)
【0054】
【化44】
【0055】
{ここで、nは1から15、好適には4から11の整数であり、mは0または1のいずれかであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素またはヒドロカルビル基であり、YはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0または1から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基、即ち−C6H4−上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であり、加うるに、フェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または有機分子に通常見られる他の官能基に置き換わっていてもよい]であり、Zは−O−またはNG[ここで、GはH、C1−C12アルキルまたは基Rである]であり、ここで、基Rは
【0056】
【化45】
【0057】
で表され、ここで、R1は水素、C1−C18アルキル、O、OH、CH2CN、C1−C18アルコキシ、C1−C18ヒドロキシアルコキシ、C5−C12シクロアルコキシ、C5−C12ヒドロキシシクロアルコキシ、C3−C6アルケニル、C1−C18アルキニル、C7−C9フェニルアルキル(このフェニルは置換されていないか或は1、2または3個のC1−C4アルキルで置換されている)または脂肪族C1−C8アシルを表し、R2は水素、C1−C8アルキルまたはベンジルであり、R3、R4、R5およびR6は各々水素、C1−C8アルキル、ベンジルまたはフェネチルであるか、或は対になった2つのR部分がこれらが結合している炭素と一緒になってC5−C10シクロアルキルを形成しており、そしてAはZRまたはヒドロカルビル基のいずれかである}で表される。
【0058】
本明細書で用いる如き用語「ヒドロカルビル」は一価の炭化水素基であり、これの原子価は水素が炭素から引き抜かれたことで生じた原子価である。ヒドロカルビルには、例えば脂肪族(直鎖もしくは分枝鎖)、環状脂肪族、芳香族および性質が混ざり合った基(例えばアラルキルおよびアルカリール)などが含まれる。ヒドロカルビルにはまた内部に不飽和および活性不飽和を有する基も含まれる。より具体的には、ヒドロカルビルには、これらに限定するものでないが、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルケニル、シクロアルケニルおよびアルキニルが含まれ、これらは炭素原子を典型的には約1から24個、好適には炭素原子を約1から12個有する。ヒドロカルビルは鎖もしくは環中に1個以上のカルボニル基(これを炭素の数に含める)および/またはヘテロ原子1種または2種以上(例えば少なくとも1個の酸素、窒素、硫黄またはケイ素)を含んでいてもよい。加うるに、ヒドロカルビルが有する炭化水素基の水素の1つ以上が有機分子に通常見られる官能基に置き換わっていてもよい。語句「有機分子に通常見られる官能基」は、ヒドロカルビル基でなくて有機分子に典型的に見られる基を意味し、それには、これらに限定するものでないが、ハライド、シアノ基、アミノ基、チオール基、カルボキシレート基、ヒドロキシル基、スルホネート基、ニトロソ基、ニトロ基などが含まれる。
【0059】
本発明の文脈における用語「ヒドロカルビレン」は二価の炭化水素基であり、これの両方の原子価は水素が炭素原子から引き抜かれることによって生じた原子価である。ヒドロカルビレンの定義にはこの上にヒドロカルビルおよび官能ヒドロカルビルに関して示した同じ基が含まれるが、勿論、これは追加の原子価を有する(例えばアルキレン、アルケニレン、アリーレンなど)。
【0060】
本発明の好適な態様において、R1はH、C1−C4アルキル、C1−C18アルコキシ、C5−C12シクロアルコキシ、OまたはOHであり、R2はHまたはC1−C4アルキルであり、R3、R4、R5およびR6はHまたはC1−C4アルキルであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素、芳香族またはC1−C4アルキルであり、そしてnは約2から10である。より好適な態様において、Rは2,2,6,6−テトラメチルピペリジン基(即ち、R3、R4、R5、R6がメチルでR2が水素である)または1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン基(即ち、R2、R3、R4、R5およびR6がメチルである)を表し、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素であり、Zは−O−であり、mは0または1であり、そしてnは4から10である。
【0061】
単量体HALS化合物の合成
前記式(I)で表されるHALS化合物の調製を典型的には多官能カルボニル化合物と4−ピペリジノールもしくは4−アミノピペリジン部分の反応で行う。前記多官能カルボニル化合物は一般構造:
【0062】
【化46】
【0063】
{ここで、nは1から15、好適には4から11の整数であり、mは0または1のいずれかであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素またはヒドロカルビル基であり、YはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0または約1から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基、即ち−C6H4−上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であり、加うるに、フェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または有機分子に通常見られる官能基に置き換わっていてもよい]であり、Dはヒドロカルビル基であり、そしてBはODまたはDのいずれかである}
で表され、そしてこのカルボニル化合物を一般構造:
【0064】
【化47】
【0065】
{ここで、ZはOHまたはNHG[ここで、GはHまたはC1−C12アルキルまたは基R(ここで、Rはこの上で定義した通りである)である]であり、そしてR1は水素、C1−C18アルキル、O、OH、CH2CN、C1−C18アルコキシ、C1−C18ヒドロキシアルコキシ、C5−C12シクロアルコキシ、C5−C12ヒドロシクロアルコキシ、C3−C6アルケニル、C1−C18アルキニル、C7−C9フェニルアルキル(このフェニルは置換されていないか或は1、2または3個のC1−C4アルキルで置換されている)または脂肪族C1−C8アシルであり、R2は水素、C1−C8アルキルまたはベンジルであり、R3、R4、R5およびR6は各々水素、C1−C8アルキル、ベンジルまたはフェネチルであるか、或は対になった2つのR部分がこれらが結合している炭素と一緒になってC5−C10シクロアルキルを形成している}で表される1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと反応させる。
【0066】
前記多官能カルボニル化合物と前記4−ピペリジノールもしくは4−アミノピペリジン部分の間の反応を前記式(I)で表される化合物が生じるに充分な時間実施する。この語句「[所定式]で表される化合物が生じるに充分な時間実施する」は、反応体を一緒にした後にそれらを所望化合物、即ち所定式で表される化合物が検出可能な量で生じるに充分な時間反応させることを意味する。ある化合物の「検出可能量」は、当該化合物の量が本分野の通常の技術者が容易に利用することができる任意手段を用いて検出可能な量であることを意味する。反応混合物の中の生じたある化合物を検出する手段には、これらに限定するものでないが、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高性能液クロ(HPLC)、ガスクロ(GC)、カラムクロマトグラフィー、核磁気共鳴分光測定(NMR)、赤外(IR)分光測定、紫外(UV)もしくは可視(VIS)分光測定および湿式化学分析などが含まれる。そのような所望化合物が生じる時間は数多くの変数に依存し、従って、一般化するのは不可能である。例えば、この反応時間は温度、圧力、特定の反応体(即ち多官能カルボニル化合物および1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン)、そして溶媒および触媒(存在させる場合)に依存する。しかしながら、本分野の通常の技術者は所望生成物をもたらす受け入れられるパラメーターを過度の実験を行うことなく容易に決定し得るであろう。
【0067】
この反応は溶媒の存在なしまたは溶媒の存在下で実施可能である。この反応を溶媒の存在なしに実施する時には、前記多官能カルボニル化合物または4−ピペリジノールもしくは4−アミノピペリジンを過剰量で存在させて、それを反応用媒体として用いてもよい。別法として、前記多官能カルボニル化合物と4−ピペリジノールもしくは4−アミノピペリジンを化学量論的量で存在させてもよい。前記多官能カルボニル化合物と4−ピペリジノールもしくは4−アミノピペリジンを溶融状態で存在させてもよい。この反応を好適には有機溶媒中で実施する。そのような反応体と相溶し得る如何なる溶媒も使用可能である。本発明の方法で用いるに好適な溶媒には、これらに限定するものでないが、炭化水素溶媒、例えば飽和アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ハロゲン置換炭化水素など、エーテル類、例えばエチルエーテルなど、環状エーテル類、例えばテトラヒドロフランおよびジオキサンなど、アミド類、例えばジメチルホルムアミドなど、スルホキサイド類、例えばジメチルスルホキサイドなど、ケトン類、例えば2−ブタノンまたはメチルイソブチルケトンなど、またはこれらの組み合わせが含まれる。より好適な溶媒にはトルエン、ベンゼンおよびキシレンが含まれる。
【0068】
この反応を溶媒中で実施する時には、有機溶媒に入れる前記多官能カルボニルの濃度を一般に約0.025Mから2.5M、好適には約0.125Mから2M、より好適には約0.25Mから2.35Mにする。前記1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと多官能カルボニル化合物のモル比を約20:1から1:5、好適には約10:1から1:3、より好適には約5:1から1:5の範囲にする。
【0069】
前記多官能カルボニル化合物と4−ピペリジノールもしくは4−アミノピペリジンの反応によって構造DOHで表されるアルコールが生じる。この反応を完結にまで進行させるのを補助するため、好適には前記アルコールをこれが生じた時点で反応混合物から除去する。このアルコールは本分野の通常の技術者が利用できる任意手段、例えば蒸留およびまたは共沸蒸留などで除去可能である。
【0070】
この反応を好適には触媒の存在下で実施する。この任意の触媒は塩基性もしくは酸性触媒であり得る。語句「塩基触媒」はプロトンを引き抜き得る如何なる化合物も意味する。本発明で用いるに適した塩基性触媒には、これらに限定するものでないが、アルコキサイドイオン、ヒドロキサイドイオン、アミドイオンおよびアミン、例えばトリエチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン)またはDBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネ−5−エン)などが含まれる。アミンを塩基として用いる時には、このアミンが第三級アミンであるのが好適である。
【0071】
語句「酸性触媒」は、酸性プロトンを少なくとも1個有する無機もしくは有機酸のいずれかまたはルイス酸を意味する。そのような有機酸には、酸性官能基を少なくとも1つ含む如何なる有機化合物も含まれ、それにはRCO2H、RSO3H、RSO2H、RSH、ROH、RPO3H、RPO2H[ここで、Rはヒドロカルビル基である]の1種以上が含まれる。好適なプロトン酸にはHCl、HBr、HI、HNO3、HNO2、H2S、H2SO4、H3PO4、H2CO3、酢酸、蟻酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、フタル酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、メタンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸、またはこれらの混合物が含まれる。本発明の方法で用いるに適したルイス酸には、これらに限定するものでないが、アルミニウムのハロゲン化物、アルキルアルミニウムのハロゲン化物、ホウ素のハロゲン化物、ジアルキル錫オキサイドおよびこれの誘導体、錫のハロゲン化物、チタンのハロゲン化物、鉛のハロゲン化物、亜鉛のハロゲン化物、鉄のハロゲン化物、ガリウムのハロゲン化物、ヒ素のハロゲン化物、銅のハロゲン化物、カドミウムのハロゲン化物、水銀のハロゲン化物、アンチモンのハロゲン化物などが含まれる。好適なルイス酸には三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサン、トリメチルアルミニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、二塩化亜鉛、四塩化チタン、チタン(IV)イソプロポキサイド、二塩化錫、四塩化錫、テトラアルコキシチタネートまたはこれらの混合物が含まれる。
【0072】
そのような酸性もしくは塩基性触媒はまた固体状の支持型触媒、例えばアンバーリスト(amberlyst)触媒などであってもよい。
【0073】
このような触媒を典型的には前記多官能カルボニル化合物のモル量を基準にして約30モルパーセント未満、好適には前記多官能カルボニル化合物のモル量を基準にして約20モルパーセント未満、より好適には前記多官能カルボニル化合物のモル量を基準にして約10モルパーセント未満、最も好適には前記多官能カルボニル化合物の重量を基準にして約5モルパーセント重量未満の量で添加する。
【0074】
本発明の方法で用いるに適した好適な塩基性触媒はメトキサイドイオンである。好適な酸性触媒はルイス酸である。好適なルイス酸は1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンである。
【0075】
この反応を進行させる時間を好適には約20時間以内、より好適には約10時間以内にする。反応温度を典型的にはほぼ室温から150℃、例えば溶媒の沸点以下にする。この反応を典型的には大気圧下で進行させる。前記式(I)で表される化合物を生じさせる代表的な反応条件を本実施例に示す。
【0076】
この式(I)で表される化合物が生じた後、これを本分野の通常の技術者が利用できる任意手段で反応混合物から回収する。化合物を反応混合物から回収する方法には、これらに限定するものでないが、クロマトグラフィー、再結晶化、蒸留、抽出などが含まれる。2種以上の方法を用いて化合物を反応混合物から回収することも可能である。
【0077】
好適な態様における置換4−ピペリジン−4−オールは1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールまたは2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールでありそして多官能カルボニル化合物は6−(メトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸メチル、6−(ブトキシカルボニルアミノ)ウンデカン酸ブチル、6−(ブトキシカルボニルアミノ)ウンデカン酸メチル、6−(メトキシカルボニルアミノ)ウンデカン酸ブチルまたは6−(メトキシカルボニルアミノ)ウンデカン酸メチルである。
【0078】
そのような多官能カルボニル化合物の調製は本分野の通常の技術者が利用できる如何なる方法で実施されてもよい。1つの態様では、ラクタムとカルボニル化合物を反応させることで多官能カルボニル化合物を生じさせる。例えば、この多官能カルボニル化合物の調製は米国特許第5,300,678号(これの内容は引用することによって明らかに本明細書に組み入れられる)に開示されている方法に従ってラクタムとカルボニル化合物の反応に塩基による触媒作用を及ぼすことで実施可能である。
【0079】
本発明の方法に従って如何なるラクタムも使用可能である。このラクタム環の大きさは好適には原子数が約4から13の大きさである。このラクタムはより好適にはカプロラクタムまたはラウロラクタムである。
【0080】
このようなカルボニル化合物は反応性カルボニル基を少なくとも1つ含有しているべきである。「反応性カルボニル基」は、良好な脱離基に結合している、即ち求核性アシル置換を起こすように活性化されている如何なるカルボニル基も意味する。この反応性カルボニル基は例えばエステルまたは酸クロライドであってもよい。このカルボニル化合物は好適にはエステルである。より好適なカルボニル化合物にはジアルキルカーボネート、しゅう酸ジアルキル、ジアルキルジエステルまたはアルキルエステルが含まれる。このようなカルボニル化合物の一般構造は
【0081】
【化48】
【0082】
{ここで、mは0または1のいずれかであり、Qは良好な脱離基、例えばクロライドまたはOD[ここで、Dはヒドロカルビル基、好適にはメチルである]であり、そしてBはQまたはヒドロカルビル基であり、そしてYはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0または約1から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基、即ち−C6H4−上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であってもよく、加うるに、フェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または有機分子に通常見られる他の官能基に置き換わっていてもよい]である}
である。
【0083】
前記カルボニル化合物がジアルキルカーボネートの時に結果として生じる多官能カルボニル化合物は、一方の末端部がエステル官能で終結していてもう一方の末端部がウレタン官能で終結している炭化水素鎖である。前記カルボニル化合物がしゅう酸ジアルキルの時に結果として生じる多官能カルボニル化合物は、一方の末端部がエステル官能で終結していてもう一方の末端部がオキサメート官能で終結している炭化水素鎖である。前記カルボニル化合物がジアルキルエステルの時に結果として生じる多官能カルボニル化合物は、アミド結合を含有していて各末端部がエステル官能で終結している炭化水素鎖である。前記カルボニル化合物がアルキルエステルの時に結果として生じる多官能カルボニル化合物は、一方の末端部がエステル官能で終結していてもう一方の末端部がアミド官能で終結している炭化水素鎖である。
【0084】
前記ラクタムと前記カルボニル化合物の反応は溶媒中または溶媒の存在なしに実施可能である。この反応を溶媒の存在なしに実施する時には、カルボニル化合物を過剰量で反応用媒体として用いてもよく、従って、このカルボニル化合物をラクタムに比較して過剰量で存在させてもよい。しかしながら、また、前記ラクタムを過剰量で存在させて反応用媒体として用いることも可能である。別法として、このラクタムとカルボニル化合物を化学量論的量で存在させてもよい。このラクタムとカルボニル化合物を溶融状態で存在させてもよい。この反応を溶媒の存在なしに実施する時には、過剰分のカルボニル化合物またはラクタムを例えば蒸留などで回収して再使用してもよい。溶媒を用いない時の利点は廃溶媒の処分に伴う問題を回避することができる点にある。
【0085】
別の態様では、1種または2種以上の異なるラクタムを1種または2種以上のカルボニル化合物と反応させる。例えば、2分子のラクタム分子を1分子のカルボニル化合物と反応させてもよい。
【0086】
本発明の方法で用いるに適した溶媒には、これらに限定するものでないが、炭化水素溶媒、例えば飽和アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ハロゲン置換炭化水素など、エーテル類、例えばエチルエーテルなど、環状エーテル類、例えばテトラヒドロフランおよびジオキサンなど、アミド類、例えばジメチルホルムアミドなど、スルホキサイド類、例えばジメチルスルホキサイドなど、ケトン類、例えば2−ブタノンまたはメチルイソブチルケトンなど、アルコール類など、またはこれらの混合物が含まれる。この反応を溶媒中で実施する時には、溶媒に入れる前記ラクタムの濃度を約0.025Mから10M、好適には約0.375Mから6M、より好適には約0.25Mから4Mにする。前記ラクタムとカルボニル化合物のモル比を典型的には約1:10から5:1、好適には約1:5から2:1、より好適には約1:2.5から1.5:1にする。
【0087】
この反応を多官能カルボニル化合物が検出可能な量で生じるに充分な時間進行させる。反応時間を一般に約12時間以内にする。反応温度を典型的にはほぼ室温から150℃、例えば溶媒を用いる時にはこの溶媒の沸点以下にする。この反応を典型的には室温で実施する。
【0088】
本発明はまた多官能カルボニル化合物の改良製造方法も提供する。本発明の方法に従い、ラクタムとカルボニル化合物を酸性触媒、好適にはルイス酸触媒の存在下で反応させる。
【0089】
本発明の方法に従い、如何なるルイス酸触媒も使用可能である。例えば、この上に記述したルイス酸触媒のいずれも使用可能である。このルイス酸触媒は好適にはチタン(IV)イソプロポキサイドである。ルイス酸は反応混合物から容易に除去可能なことからこれが好適な触媒である。例えば数多くのルイス酸、例えばテトラオルガノチタネートなどは化学量論的量の水で容易に加水分解を受けて非常に不溶な二酸化チタンが生じ、これは濾過で反応混合物から容易に除去可能である。他のルイス酸、例えば三フッ化ホウ素エーテラートなどは反応混合物から蒸留で容易に除去されるに充分なほどの揮発性を示す。このように、ルイス酸を用いると、触媒を除去する目的で反応混合物を水性溶媒で抽出することが有利に回避され得る。本発明の方法は、触媒を除去する抽出段階を回避することができることから、最終的に処分する必要がある水性廃液の生成量が少ない。
【0090】
本発明の別の改良方法では、前記ラクタムとカルボニル化合物の反応をアルコキサイドアニオン、好適にはメトキサイドアニオンを塩基性触媒として用いて起こさせる。しかしながら、この反応を約20℃未満、好適には約19℃未満、より好適には約15℃未満の温度で実施する。このラクタムとカルボニル化合物を反応させる時間を約5時間以内、好適には約2時間以内、より好適には約1時間以内にする。この反応を低い温度で実施する方が好適である、と言うのは、温度をいろいろな反応体の引火点より低く保つことができ、このように反応を低い温度で行う方が有意に安全であり得るからである。例えばジメチルカーボネート(これは本発明の方法で用いる通常のカルボニル化合物である)の引火点は19℃である。この反応は19℃未満の温度、即ち引火点未満で進行することから、本方法は、より高い温度が必要な従来技術の方法に比べて有意に安全である。
【0091】
多官能カルボニル化合物が生じた時点で、これを反応混合物から回収した後、これを1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと反応させて本発明のHALSを生じさせる。前記多官能カルボニル化合物の回収は本分野の通常の技術者が利用できる如何なる手段で実施されてもよい。場合により、この多官能カルボニル化合物を反応混合物から回収しないで、その代わりに、この多官能カルボニル化合物が検出可能な量で生じた後に1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンを反応混合物に添加してもよい。次に、この1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと前記多官能カルボニル化合物を反応させると本発明のHALSが生じ得る。
【0092】
好適な方法では、前記ラクタムとカルボニル化合物と1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンを単一段階で反応させて前記式(I)で表される化合物を生じさせる。1番目の段階で前記ラクタムとカルボニル化合物を反応させて多官能カルボニル化合物を生じさせた後に次の段階で前記多官能カルボニル化合物を1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと反応させるのではなく、前記ラクタムと前記カルボニル化合物と前記1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンを一緒にすると同時に反応させる。このラクタムとカルボニル化合物と1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンを反応槽に入れて一緒にした後、前記式(I)で表されるHALSが検出可能量で生じるに充分な時間反応させる。
【0093】
本方法のこの態様では前記ラクタムとカルボニル化合物の比率を約2:1から1:4、好適には約1:1から1:2にしそして前記ラクタムと1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンの比率を約1:1から1:6、好適には約1:2から1:4にする。
【0094】
この単一段階反応は溶媒中または溶媒の存在なしに実施可能である。溶媒を用いる時には、そのような反応体と相溶し得る如何なる溶媒も使用可能である。代表的な溶媒には、これらに限定するものでないが、1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと多官能カルボニル化合物の反応に関してこの上に記述した溶媒が含まれる。この態様では、好適には、反応を溶媒の存在下で実施する。溶媒を用いる時には、ラクタムの濃度を典型的に約0.025Mから10M、好適には約0.325Mから6M、より好適には約0.75Mから4Mにする。
【0095】
この反応を好適には触媒の存在下で実施する。1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと多官能カルボニル化合物の反応で用いた触媒と同じ触媒を用いてもよい。この触媒を典型的にはカルボニル化合物の量を基準にして約30モルパーセント未満、好適には約20モルパーセント未満、より好適には約10モルパーセント未満、最も好適には5モルパーセント未満の量で存在させる。
【0096】
このカルボニル化合物は好適にはエステル、即ちQ=ODであり、その結果として、この反応で構造HODで表されるアルコールが生じる。好適には、この反応が完了するようにアルコールが生じた時点でそれを反応混合物から除去する。このアルコールの除去は本分野の通常の技術者が利用できる任意手段、例えば蒸留および/または共沸蒸留などを用いて実施可能である。
【0097】
この反応時間を好適には約20時間以内、より好適には約10時間以内にする。反応温度を典型的にはほぼ室温から250℃の範囲にする。この反応を典型的には大気圧下で進行させる。前記式(I)で表されるHALSを単一段階方法で生じさせる時の典型的な反応条件を本実施例に示す。前記式(I)で表されるHALSが生じた時点で、本分野の通常の技術者が利用できる任意手段を用いてそれを反応混合物から回収してもよい。
【0098】
本発明のオリゴマー状HALS化合物
本発明は、また、一般式(II)
【0099】
【化49】
【0100】
[式中、i、j、kおよびlは約0から300、好適には約0から200、より好適には0から約100の整数であり、i、j、kおよびlの合計は3以上であり、i、j、kおよびlの合計は好適には約4以上であり、より好適には約7以上であり、好適にはi、j、kおよびlの中の少なくとも2つは1以上である]または(III)
【0101】
【化50】
【0102】
[式中、iおよびjは約0から300、好適には約0から200、より好適には0から約100の整数であり、iとjの合計は3以上であり、iとjの合計は好適には約4以上であり、より好適には約7以上である]
で表されるオリゴマー状HALSも包含する。好適にはi、j、kおよびlの中の少なくとも2つは1に等しいか或は1以上である。
【0103】
式(II)中のEおよびE’はピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン部分であり、そしてFおよびF’は各々多官能カルボニル化合物に由来する部分である。TはF、F’または水素であってもよく、そしてSはE、E’または水素であってもよい。
【0104】
E−Fには
【0105】
【化51】
【0106】
が含まれ、E−F’には
【0107】
【化52】
【0108】
が含まれ、E’−Fには
【0109】
【化53】
【0110】
が含まれ、そしてE’−F’には
【0111】
【化54】
【0112】
が含まれる。
【0113】
式(III)中のMは、この上で定義した如き4−アミノピペリジン基であるRを含有するジアミノもしくはジヒドロキシ基である。「ジアミノもしくはジヒドロキシ基」は、ヒドロキシ基を少なくとも2つ含有するか、アミノ基を少なくとも2つ含有するか或はアミノ基を少なくとも1つとヒドロキシ基を少なくとも1つ含有する化合物に由来する基を意味する。このアミノ基は第一級もしくは第二級いずれかのアミノ基であってもよい。
【0114】
M−Fには
【0115】
【化55】
【0116】
が含まれ、M−F’には
【0117】
【化56】
【0118】
が含まれる。式(III)で表されるオリゴマー状HALSでは、4−アミノピペリジン基を含有するジアミノもしくはジヒドロキシ化合物、即ちMがヒドロキシもしくはアミノ基を通して前記多官能カルボニル化合物と結合する。
【0119】
式IIおよびIIIはブロック共重合体もしくはランダム共重合体であってもよい、即ち単位E−F、E−F’、E’−FおよびE’−F’またはM−FおよびM−F’は重合体鎖の全体に渡ってランダムに分布している。前記構造(II)もしくは(III)で表されるオリゴマー状HALSの中のSは水素であるか、或はピペリジン−4−オールまたは4−アミノピペリジン部分に由来する単位であり、これは構造
【0120】
【化57】
【0121】
で表され、そしてTは、水素であるか、或は多官能カルボニル化合物に由来する単位であり、これは構造
【0122】
【化58】
【0123】
[ここで、Dはヒドロカルビル基である]
で表される。
【0124】
前記式(II)および(III)で表されるオリゴマー状HALSにおいて、nは1から15、好適には4から11の整数であり、mは0または1のいずれかであり、sは0または約1から10の整数であり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素またはヒドロカルビル基であり、YはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0または約1から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であり、そしてフェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または有機分子に通常見られる官能基に置き換わっていてもよい]であり、Zは−O−またはNG[ここで、GはHまたはC1−C12アルキルである]であり、R2は水素、C1−C8アルキルまたはベンジルであり、R3、R4、R5およびR6は各々水素、C1−C8アルキル、ベンジルまたはフェネチルであるか、或は対になった2つのR部分がこれらが結合している炭素と一緒になってC5−C10シクロアルキルを形成しており、そしてsが1以上の時にはPはNHまたはOであり、そしてsが0の時にはP=OまたはO−L−O[ここで、Lはヒドロカルビレンである]である。
【0125】
上述したように、式(II)で表されるHALSにおけるE、E’およびSはピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン部分に由来する単位であり、そしてF、F’およびTは多官能カルボニル化合物に由来する単位であり、そして式(III)で表されるHALSにおけるFおよびF’は多官能カルボニル化合物に由来しそしてMはこの上で定義した通りである。式(II)で表されるHALSでは、多官能カルボニル化合物に由来する単位のモルパーセントの方がピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン部分に由来する単位のモルパーセントよりも大きくするのが好適である。式(III)で表されるHALSでは、多官能カルボニル化合物に由来する単位のモルパーセントの方が4−アミノピペリジン基を含有するジアミノもしくはジヒドロキシ基、即ちMのモルパーセントよりも大きくするのが好適である。それらの方が安価であることからその方が有利である。
【0126】
好適には、式(II)で表されるオリゴマー状HALSにおけるR2はHまたはC1−C4アルキルであり、R3、R4、R5およびR6は各々HまたはC1−C4アルキルであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素、芳香族またはC1−C4アルキルであり、nは約4から11であり、そしてsは約2から5である。より好適な態様におけるR2は水素であり、R3、R4、R5およびR6は各々メチルであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素であり、ZはOであり、nは4から11の範囲であり、そしてsは2であり、mは0であり、そしてPはOである。
【0127】
別の態様におけるR2は水素であり、R3、R4、R5およびR6はメチルであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素であり、ZはOであり、nは4から11であり、そしてsは0である。
【0128】
式(III)で表されるオリゴマー状HALSでは、好適には、Mは、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサンジアミン(BPIP)またはN−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノール)ジエタノールアミンであり、そしてnは約4から11である。
【0129】
有利には、式(II)および(III)で表されるオリゴマー状HALS化合物の数平均分子量を典型的に約400から20,000、好適には約1,000から15,000、より好適には約2,000から9,000にする。
【0130】
オリゴマー状HALS化合物の合成
本発明は、また、前記式(II)および式(III)で表されるオリゴマー状HALSを生じさせる方法にも関する。式(II)で表されるオリゴマー状HALSの調製では、一般構造
【0131】
【化59】
【0132】
{ここで、nは約1から15、好適には4から11の整数であり、mは0または1のいずれかであり、Ra、Rb、RcおよびRdは各々水素またはヒドロカルビル基であり、YはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0または約1から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であってもよく、そしてフェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または有機分子に通常見られる官能基に置き換わっていてもよい]であり、そしてDはヒドロカルビル基である}
で表される多官能カルボニル化合物を一般構造:
【0133】
【化60】
【0134】
{ここで、ZはOHまたはNHG[ここで、GはHまたはC1−C12アルキルである]であり、R1は−(CH2)s−OH、−(CH2)s−NH2、C1−C18ヒドロキシアルコキシまたはC5−C12ヒドロキシシクロアルコキシであり、ここで、sは約1から10、好適には2から8の整数であり、R2は水素、C1−C8アルキルまたはベンジルを表し、R3、R4、R5およびR6は各々水素、C1−C8アルキル、ベンジルまたはフェネチルであるか、或は対になった2つのR部分がこれらが結合している炭素と一緒になってC5−C10シクロアルキルを形成している}
で表される1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと反応させることで調製を行う。
【0135】
式(III)で表されるオリゴマー状HALSの調製では、一般構造(IV)で表される多官能カルボニル化合物を4−アミノピペリジン基を含有するジアミノもしくはジヒドロキシ化合物と反応させることで調製を行う。このジアミノもしくはジヒドロキシ化合物には、好適には、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサンジアミン(BPIP)またはN−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノール)ジエタノールアミンが含まれる。
【0136】
前記多官能カルボニル化合物の調製は本分野の通常の技術者が利用できる如何なる方法で行われてもよい。好適には、カルボニル化合物とラクタムをルイス酸の存在下で反応させるか或はカルボニル化合物とラクタムとアルコキサイドを低温、即ち20℃未満の温度で反応させる本発明の方法を用いて前記多官能カルボニル化合物の調製を行う。しかしながら、このカルボニル化合物は、2つの脱離基で活性化されている2つの反応性カルボニルもしくは単一のカルボニル基を持つべきである(例えばホスゲンまたはジアルキルカーボネート)。そのような脱離基は好適にはエステルである。好適なカルボニル化合物にはジアルキルカーボネート、しゅう酸ジアルキルおよびジアルキルエステルが含まれる。
【0137】
この反応は溶媒の存在なしまたは有機溶媒の存在下で実施可能である。この反応を溶媒の存在なしに実施する時には、前記多官能カルボニル化合物または1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン[化合物(II)の場合]または4−アミノピペリジン基を含有するジアミノもしくはジヒドロキシ化合物[化合物(III)の場合]を過剰量で存在させて、それを反応用媒体として用いてもよい。別法として、前記多官能カルボニル化合物と1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンまたは4−アミノピペリジン基を含有するジアミノもしくはジヒドロキシ化合物を化学量論的量で存在させてもよい。また、この反応を溶融状態で実施することも可能である。
【0138】
この反応を好適には有機溶媒中で実施する。そのような反応体と相溶し得る如何なる溶媒も使用可能である。本発明の方法で用いるに好適な溶媒には、これらに限定するものでないが、炭化水素溶媒、例えば飽和アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ハロゲン置換炭化水素など、エーテル類、例えばエチルエーテルなど、環状エーテル類、例えばテトラヒドロフランおよびジオキサンなど、アミド類、例えばジメチルホルムアミドなど、スルホキサイド類、例えばジメチルスルホキサイドなど、ケトン類、例えば2−ブタノンまたはメチルイソブチルケトンなど、またはこれらの混合物が含まれる。より好適な溶媒にはトルエン、ベンゼンおよびキシレン、またはこれらの混合物が含まれる。
【0139】
有機溶媒に存在させる前記多官能カルボニルの濃度を一般に約0.025Mから2.5M、好適には約0.125Mから0.2M、より好適には約0.25Mから1.35Mの量にする。前記多官能カルボニル化合物と式(II)で表されるオリゴマー状HALSを生じさせる時に用いる1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンまたは式(III)で表されるオリゴマー状HALSを生じさせる時に用いる4−アミノピペリジン基を含有するジアミノもしくはジヒドロキシ化合物のモル比を約5:1から1:5、好適には約2:1から1:2、より好適には約1.2:1から1:1.2にする。
【0140】
前記式(II)で表されるオリゴマー状HALSを製造する方法の好適な態様における前記置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンにはN−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールが含まれる。前記式(III)で表されるオリゴマー状HALSを製造する方法の好適な態様における前記4−アミノピペリジン基を含有するジアミノもしくはジヒドロキシ化合物にはBPIPまたはN−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノール)ジエタノールアミンまたはこれらの混合物が含まれる。
【0141】
この反応を任意ではあるが好適には触媒の存在下で実施する。この触媒は塩基性触媒もしくは酸性触媒であり得る。この塩基性触媒は好適にはメトキサイドイオンである。酸性触媒には好適にはルイス酸が含まれる。好適なルイス酸には1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンが含まれる。
【0142】
この触媒を典型的には前記多官能カルボニル化合物の重量を基準にして約30モルパーセント重量未満、好適には前記多官能カルボニル化合物の重量を基準にして約20モルパーセント重量未満、より好適には前記多官能カルボニル化合物の重量を基準にして約10モルパーセント重量未満、最も好適には前記多官能カルボニル化合物の重量を基準にして約5モルパーセント重量未満の量で添加する。
【0143】
式(II)で表されるオリゴマー状HALSを製造する時に用いる1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンまたは式(III)で表されるオリゴマー状HALSを製造する時に用いる4−アミノピペリジン基含有ジアミノもしくはジヒドロキシ化合物と前記多官能カルボニル化合物の反応を式(II)もしくは(III)で表されるオリゴマー状HALSが検出可能な量で生じるに充分な時間実施する。本分野の通常の技術者は過度の実験を行うことなく反応時間、温度および圧力を容易に決定することができるであろう。この反応時間を典型的には約20時間以内、好適には約15時間以内、より好適には約10時間以内にする。反応温度を典型的にはほぼ室温から約150℃、例えば溶媒の沸点以下にする。この反応を好適には大気圧下で実施する。式(II)もしくは(III)で表される化合物を生じさせる代表的な反応条件を本実施例に示す。
【0144】
この式(II)もしくは(III)で表されるオリゴマー状HALSが生じた後、本分野の通常の技術者が利用できる任意手段を用いてそれらを反応混合物から回収する。
【0145】
好適な方法では、ラクタムと一般構造
【0146】
【化61】
【0147】
{ここで、mは0または1のいずれかであり、Qは良好な脱離基、例えばクロライドまたはOD[ここで、Dはヒドロカルビル基、好適にはメチルである]であり、BはQまたはヒドロカルビル基であり、そしてYはCO−(CReRf)p[ここで、ReおよびRfは各々水素またはヒドロカルビル基であり、そしてpは0または約1から20の整数である]またはCO−C6H4−[ここで、フェニレン基上の置換様式はオルソ、メタまたはパラ置換様式であってもよく、加うるに、フェニレン基が有する水素の1つ以上がヒドロカルビル基または有機分子に通常見られる他の官能基に置き換わっていてもよい]である}
で表されるカルボニル化合物と1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジン[式(II)で表されるオリゴマー状HALSの場合]またはジアミノもしくはジヒドロキシ化合物[式(III)で表されるオリゴマー状HALSの場合]を単一段階で反応させることを通して、式(II)および(III)で表されるオリゴマー状HALSを生じさせる。前記ラクタムとカルボニル化合物と1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンまたは4−アミノピペリジン基含有ジアミノもしくはジヒドロキシ化合物を反応槽に入れて一緒にして式(II)もしくは(III)で表される化合物が検出可能な量で生じるに充分な時間反応させる。前記ラクタムとカルボニル化合物の比率を約2:1から1:4、好適には約1:1から約1:2にしそしてラクタムと1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンまたはジアミノもしくはジヒドロキシ化合物の比率を約2:1から1:2、好適には約1:1にする。
【0148】
この単一段階反応は溶媒中または溶媒の存在なしに実施可能である。この反応を好適には溶媒の存在下で実施する。溶媒を用いる時には、前記反応体と相溶し得る如何なる溶媒も使用可能である。代表的な溶媒には、これらに限定するものでないが、この上で1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと多官能カルボニル化合物の反応に関して記述した溶媒が含まれる。溶媒を用いる時には、前記ラクタムの濃度を典型的に約0.075Mから10M、好適には約0.375Mから6M、より好適には約0.75Mから4Mにする。
【0149】
この反応を任意ではあるが好適には触媒の存在下で実施する。また、1−置換ピペリジン−4−オールもしくは4−アミノピペリジンと多官能カルボニル化合物の反応で用いた触媒と同じ触媒を用いてもよい。この触媒を典型的には前記カルボニル化合物の量を基準にして約30モルパーセント未満、好適には約20モルパーセント未満、より好適には約10モルパーセント未満、最も好適には5モルパーセント未満の量で存在させる。
【0150】
この反応時間を一般に約20時間以内、好適には約15時間以内、より好適には約10時間以内にする。反応温度を典型的にはほぼ室温から約250℃にする。この反応を好適には大気圧下で実施する。本分野の通常の技術者は前記オリゴマー状HALSを本発明の方法に従って単一段階で生じさせる典型的な反応条件を容易に決定することができるであろうが、その指針をまた本実施例にも示す。
【0151】
式(II)もしくは(III)で表されるオリゴマー状HALSが生じた後、本分野の通常の技術者が利用できる任意手段を用いてそれを反応混合物から回収してもよい。
【0152】
HALS含有高分子製品およびこれの製造
本発明のHALS、即ち式(I)、(II)または(III)で表されるHALSは混ぜ物なし化合物として提供可能であるか或は式(I)、(II)または(III)で表されるHALS化合物の少なくとも1種を約15から98重量パーセント、好適には約20から95重量パーセント、好適には約25から90重量パーセント、より好適には約40から70重量パーセントと高分子量樹脂を含有する濃縮物の形態で提供可能である。
【0153】
本発明のHALS化合物は重合体に優れた耐候性と耐黄色化性を与える。加うるに、本発明のHALS化合物が示す揮発性は典型的に低い。このように、本発明はまたこの新規に見いだしたHALS化合物を高分子製品に光劣化もしくは熱劣化の中の少なくとも一方を抑制するに有効な量で含有させることで安定化を受けさせた高分子製品およびこのような高分子製品を製造する方法も提供する。本発明のHALS化合物と相溶する適切な任意の重合体を本発明の1種以上のHALSと一緒にすることでUV光から保護された高分子製品を生じさせることができる。このような高分子製品は少なくとも1種の高分子材料を含有しかつ式(I)、(II)または(III)で表される少なくとも1種のHALSを光劣化もしくは熱劣化の中の少なくとも一方を抑制するに充分な量で含有する。この高分子製品を生じさせる目的で用いる高分子材料に式(I)、(II)または(III)で表される少なくとも1種のHALSを典型的には約0.01重量パーセントから10重量パーセント、好適には約0.03重量パーセントから1重量パーセント、より好適には約0.05重量パーセントから0.5重量パーセント混合することで、この製品に安定化を受けさせる。この製品は押出し加工品、成形品、テープ、フィルム、繊維またはコーティングなどであってもよい。
【0154】
この高分子製品を製造する方法は、高分子材料に本発明の少なくとも1種のHALS化合物を約0.01重量パーセントから10重量パーセント、好適には約0.03重量パーセントから1重量パーセント、より好適には約0.05重量パーセントから0.5重量パーセント混合することで、安定化を受けた高分子組成物を生じさせ、そしてこの高分子組成物から製品を成形することを包含する。この高分子製品の成形は押出し加工、シート押出し加工、射出成形、ブロー成形、射出ブロー成形、回転もしくはロト成形、カレンダー加工、熱成形、圧縮成形、真空成形、加圧成形、反応注入成形、溶媒鋳込み、繊維紡糸、そして本分野の通常の技術者が利用できる他の同様な技術を用いて実施されてもよい。本発明のHALSを本技術分野で公知の任意手段を用いて前記高分子材料に添加するが、本分野の通常の技術者は1種以上のHALS化合物と1種以上の高分子材料を一緒にして本発明に従う高分子製品を生じさせるそのようないろいろの方法を容易に思い描くであろう。
【0155】
前記高分子材料にまた他のいろいろな通常の添加剤を個別または組み合わせて添加することも可能である。そのような添加剤の例には、これらに限定するものでないが、下記の種類の1種以上が含まれる:
a. 抗酸化剤
(i)
アルキル置換モノフェノール類、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールなど、側鎖が線状もしくは分枝しているノニルフェノール類、例えば2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルウンデシ−1−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルヘプタデシ−1−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルトリデシ−1−イル)フェノールなど、CYTEC INDUSTRIES(West Paterson、N.J.)から商業的に入手可能なCYANOX(商標)1790、CYANOX(商標)2246およびCYANOX(商標)425抗酸化剤、CIBA SPECIALTIES(Hawthorne、N.Y.)から商業的に入手可能なIRGANOX(商標)1010抗酸化剤およびIRGANOX(商標)1076抗酸化剤そしてこれらの混合物、
(ii)
アルキルチオメチルフェノール類、例えば2,4−ジオクチルチオメチル−6−t−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジ−ドデシルチオメチル−4−ノニルフェノールおよびこれらの混合物、
(iii)
ヒドロキノンおよびアルキル置換ヒドロキノン類、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、ステアリン酸3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルおよびビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペート、
(iv)
トコフェロール類、例えばα−トコフェロール(ビタミンE)、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールおよびこれらの混合物、
(v)
ヒドロキシル置換チオジフェニルエーテル、例えば2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−s−アミルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィドおよびこれらの混合物、
(vi)
アルキリデンビスフェノール類、例えば2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−t−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’メチルベンジル)−6−t−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタンおよびこれらの混合物、
(vii)
O−、N−およびS−ベンジル化合物、例えば3,5,3’,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテートおよびこれらの混合物、
(viii)
ヒドロキシベンジレートマロネート、例えばジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル−2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネートおよびこれらの混合物、
(ix)
芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノールおよびこれらの混合物、
(x)
トリアジン化合物、例えば2,4−ビス(オクチルメルカプト−6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,3,4−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートおよびこれらの混合物、
(xi)
ベンジルホスホネート、例えばジメチル−2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩およびこれらの混合物、
(xii)
アシルアミノフェノール、例えば4−ヒドロキシラウラニリド、4−ヒドロキシステアラニリドおよびN−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバミン酸オクチルおよびこれらの混合物、
(xiii)
β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸;β−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸;β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸;3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と一価もしくは多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンのエステルおよびこれらの混合物、
(xiv)
β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えばN,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジンおよびこれらの混合物、
(xv)
アスコルビン酸(ビタミンC)またはこれの塩もしくはエステル、
(xvi)
アミン系抗酸化剤、例えばN,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルホナモイル)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−t−オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル置換ジフェニルアミン、例えばp,p’−ジ−t−オクチルジフェニルアミンなど、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ−t−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、t−オクチル置換N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノ−とジアルキル置換t−ブチル/t−オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ−とジアルキル置換ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ−とジアルキル置換ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノ−とジアルキル置換イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ−とジアルキル置換t−ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ−とジアルキル置換t−ブチル/t−オクチルフェノチアジンの混合物、モノ−とジアルキル置換t−オクチルフェノチアジン,−アイルフェノチアジンの混合物、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブテ−2−エン、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イル)ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールおよびこれらの混合物、
b. 通常のUV吸収剤および光安定剤
(i)
2−(2’−ヒドロキシアリール)ベンゾトリアゾール、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾールまたは2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェノール[CYTEC INDUSTRIES(West Paterson、N.J.)から商業的に入手可能なCYASORB(商標)UV−5411光安定剤として知られる]、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール;2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾールの混合物;2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール]、2−[3’−t−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300のエステル交換生成物;[R−CH2CH−COO(CH2)3]2(ここで、R=3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル);CIBA SPECIALTIESから商業的に入手可能なTINUVIN(商標)900光安定剤およびこれらの混合物;
(ii)
2−ヒドロキシベンゾフェノン、例えば4−ヒドロキシ、4−メトキシ、4−オクトキシ[CYTEC INDUSTRIESから商業的に入手可能なCYASORB(商標)UV−531光安定剤]、4−デシルオキシ、4−ドデシルオキシ、4−ベンジルオキシ、4,2’,4’−トリヒドロキシおよび2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ化合物およびこれらの混合物、
(iii)
置換および未置換安息香酸もしくはサリチル酸化合物のエステル、例えばサリチル酸4−t−ブチル−フェニル、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチルフェニル、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸2,4−ジ−t−ブチルフェニル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸オクタデシルおよび3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニルおよびこれらの混合物、
(iv)
アクリレートまたはアルコキシシンナメート、例えばα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチル、α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸イソオクチル、α−カルボメトキシ桂皮酸メチル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ桂皮酸メチル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ桂皮酸ブチル、α−カルボメトキシ−p−メトキシ桂皮酸メチル、N−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリンおよびこれらの混合物、
(v)
アミンおよびチオ−ビスフェノールのニッケル(II)錯体を包含するニッケル化合物、例えば2,2’−チオ−ビス−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体[1:1または1:2の錯体を包含](追加的配位子、例えばn−ブチルアミン、トリエタノールアミンまたはN−シクロヘキシルジエタノールアミンなどを伴うか或は伴わない)、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルホスホン酸のモノアルキルエステル(メチルもしくはエチルエステルを包含)のニッケル塩、ケトキシム(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニルウンデシルケトキシムを包含)のニッケル錯体、1−フェニル−4−ラウロイル−5−ヒドロキシピラゾールのニッケル錯体(追加的配位子を伴うか或は伴わない)およびこれらの混合物、
(vi)
立体障害アミンばかりでなくこれらのN化合物(例えばN−アルキル、N−ヒドロキシ、N−アルコキシおよびN−アシル)、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート;ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシネート;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバケート;ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート;3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)n−ブチル;1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとこはく酸の縮合物;N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサメチレンジアミンと4−t−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの縮合物;ニトリロトリ酢酸トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル);テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン);4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;マロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジル);3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン;ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート;ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシネート;N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの縮合物;2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物;2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物;8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン;3−ドデシル−1−(1−エタノイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピロリジン−2,5−ジオン;3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピロリジン−2,5−ジオン;3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピロリジン−2,5−ジオン;4−ヘキサデシルオキシ−と4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物;N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサメチレンジアミンと4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの縮合物;1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンと4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの縮合物(CAS Reg.No.[136504−96−6]);N−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−n−ドデシルスクシニミド、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)−n−ドデシルスクシニミド、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ[4.5]デカン;オキソ−ピペラジニル−トリアジン、またはいわゆるPIP−T HALS、例えばBF Goodrich Chemical Co.(Akron、OH)から商業的に入手可能なGOODRITE(商標)3034、3150および3159および米国特許第5,071,981号に開示されている同様な材料、光結合性(photobondable)HALS、例えばClariant Corp(Charlotte NC)から商業的に入手可能なSANDUVOR(商標)PR−31およびPR−32および英国特許出願公開第2269819号に開示されている同様な材料、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ[4.5]デカンとエピクロロヒドリンの反応生成物{テトラメチルピペリジン誘導HALSの例には、CYTEC INDUSTRIESから商業的に入手可能なCYASORB(商標)UV−3346光安定剤、SANDOZ Corporation(Charlotte、N.C.)から商業的に入手可能なSANDUVOR(商標)3055HALS、SANDUVOR(商標)3056HALSおよびSANDUVOR(商標)3058HALS、各々がCIBA SPECIALTIESから商業的に入手可能なCHIMASORB(商標)944安定剤、TINUVIN(商標)622安定剤およびTINUVIN(商標)144安定剤およびこれらの混合物が含まれる。また、概して米国特許第5,106,891号、4,740,542号、4,619,956号、4,426,471号、4,426,472号、4,356,307号、4,344,876号、4,314,933号、英国特許出願公開第2269819号、ヨーロッパ特許出願公開第309400号、ヨーロッパ特許出願公開第309401号、ヨーロッパ特許出願公開第309402号およびヨーロッパ特許出願公開第0434608号(これらは各々引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)も参照のこと。}
(vii)
オキサミド、オキサニリド、ベンゾキサジノン、ベンゾキサゾールまたはトリアジン、例えば2,2’−(1,4−メチレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン](CYTEC INDUSTRIESから商業的に入手可能なCYASORB(商標)UV−3638光安定剤)、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブトキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキサニリド、およびこれと2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−t−ブトキサニドの混合物、o−とp−メトキシ二置換オキサニリドの混合物、およびo−とp−エトキシ二置換オクチルオキシフェニル−1,3,5−トリアジンの混合物、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、およびCYTEC INDUSTRIESから商業的に入手可能なCYAGARD(商標)UV−1164L光安定剤およびこれらの混合物、
(c) 金属不活性化剤、例えばN,N’−ジフェニルオキサミド、N−サリチラル−N’−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オクザリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N’−ジアセチルアジポイルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)オクザリルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジドおよびこれらの混合物、
(d) ホスファイトおよびホスホナイトを包含する過酸化物分解剤、例えばアルキルホスファイト、アリールホスファイトおよびアラルキルホスファイト、例えばトリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトULTRANOX(商標)618抗酸化剤、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトULTRANOX(商標)626抗酸化剤[GE Specialty Chemicals(Parkersburg、W.V.から商業的に入手可能]、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(イソデシルオキシ)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリス(t−ブチル)フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12H−ジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12−メチルジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイトおよびこれらの混合物、
(e) ヒドロキシルアミン、例えばN,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクチルヒドロキシルアミン、N,N−ジラウリルヒドロキシルアミン、N,N−ジテトラデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘキサデシル−N−オクタデシル−ヒドロキシルアミン,−ヘプタデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、水添獣脂アミンから誘導されたN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンおよびこれらの混合物、
(f) ニトロン、例えばN−ベンジル−アルファ−フェニルニトロン、N−エチル−アルファ−メチルニトロン、N−オクチル−アルファ−ヘプチルニトロン、N−ラウリル−アルファ−ウンデシルニトロン、N−テトラデシル−アルファ−トリデシルニトロン、N−ヘキサデシル−アルファ−ペンタデシルニトロン、N−オクタデシル−アルファ−ヘプタデシルニトロン、N−ヘキサデシル−アルファ−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシル−アルファ−ペンタデシルニトロン、N−ヘプタデシル−アルファ−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシル−アルファ−ヘキサデシルニトロン、水添獣脂アミンから作られたN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンから誘導されたニトロンおよびこれらの混合物、
(g) チオシナジスト、例えばチオジプロピオン酸ジラウリルおよびチオジプロピオン酸ジステアリルおよびこれらの混合物、
(h) 過酸化物捕捉剤、例えばβ−チオジプロピオン酸のエステル、例えばラウリル、ステアリル、ミリスチルまたはトリデシルエステル、メルカプトベンズイミダゾールまたは2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(β−ドデシルメルカプト)プロピオネートおよびこれらの混合物、
(i) ポリアミド安定剤、例えばヨージドおよび/または燐化合物と組み合わされた銅塩および二価マンガンの塩およびこれらの混合物、
(j) 塩基性共安定剤、例えばメラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、シアヌール酸トリアリル、尿素化合物、ヒドラジン化合物、アミン、ポリアミド、ポリウレタン、高級脂肪酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、リシノール酸ナトリウムおよびパルミチン酸カリウム、アンチモンピロカテコラート、錫ピロカテコラートおよびこれらの混合物、
(k) 無機物質を包含する核形成剤、例えばタルクおよび金属酸化物(例えば酸化チタンまたは酸化マグネシウム)、および好適にはアルカリ土類金属の燐酸塩、炭酸塩および硫酸塩、有機化合物、例えばモノ−もしくはポリカルボン酸およびこれらの塩、例えば4−t−ブチル安息香酸、アジピン酸、ジフェニル酢酸、こはく酸ナトリウムおよび安息香酸ナトリウム;高分子化合物、例えばイオン性共重合体(「アイオノマー」)およびこれらの混合物、
(l) 充填材および補強剤、例えば炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、雲母、硫酸バリウム、金属酸化物および水酸化物、カーボンブラック、グラファイト、木の粉および他の天然産物から得られた粉または繊維および合成繊維およびこれらの混合物、
(m) ベンゾフラノンおよびインドリノン、例えば米国特許第4,325,863号、4,338,244号、5,175,312号、5,216,052号および5,252,643号およびドイツ特許出願公開第4316611号、ドイツ特許出願公開第4316622、ドイツ特許出願公開第4316876号、ヨーロッパ特許出願公開第0589839号およびヨーロッパ特許出願公開第0591102号に開示されているベンゾフラノンおよびインドリノン、3−[4−(2−アセトキシ−エトキシ)フェニル]−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−t−ブチル−3−[4−(2−ステアロイルオキシエトキシ)−フェニル]ベンゾフラン−2−オン、3,3’−ビス[5,7−ジ−t−ブチル−3−(4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)ベンゾフラン−2−オン]、5,7−ジ−t−ブチル−3−(4−エトキシフェニル)ベンゾフラン−2−オン、3−(4−アセトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾフラン−2−オン、3−(3,5−ジメチル−4−ピバロイルオキシフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾフラン−2−オンおよびこれらの混合物、
(n) 硫黄含有抗酸化剤、例えば有機スルフィドおよびジスルフィド[チオジプロピオン酸ジステアリル、即ちCYTEC INDUSTRIESから商業的に入手可能なCYANOX(商標)STDP抗酸化剤、ペンタエリスリトールテトラキス(ベータ−ラウリルチオプロピオネート)、即ちWitco Chemical Corporation(Brooklyn、N.Y.)から商業的に入手可能なSEENOX(商標)412S抗酸化剤を包含]およびこれらの混合物[本分野の技術者は、例えば、これらの添加剤のいずれか1種以上を組み合わせること、例えばCYTEC INDUSTRIESから商業的に入手可能なCYANOX(商標)2777抗酸化剤とフェノール系抗酸化剤とホスファイト系抗酸化剤を組み合わせることはよく認識している。このような組成物にクエンチャー(quenchers)、例えば各々がCYTEC INDUSTRIESから商業的に入手可能なCYASORB(商標)UV−1084光安定剤、CYASORB(商標)UV−5431光安定剤などを含有させてもよい。]
(o) 他の添加剤、例えば酸捕捉剤、帯電防止剤、発泡剤、触媒、透明化剤、乳化剤、充填材、難燃剤、蛍光白色化剤、赤外吸収剤、均染助剤、滑剤、金属不活性剤、離型剤、核形成剤、オプティカルブライトナー、顔料、可塑剤、流動学的添加剤およびこれらの混合物。
【0156】
本発明は、また、式(I)、(II)または(III)で表されるHALSと上述した添加剤の少なくとも1種を含んで成る添加剤組成物も包含する。本HALSと他の添加剤の量を約500:1から1:500重量にする。
【0157】
この存在させる添加剤の総量を重合体の重量を基準にして約10重量パーセント以下、好適には約0.1重量パーセントから約5重量パーセント、より好適には約0.2重量パーセントから3重量パーセントの量にしてもよい。
【0158】
ここに請求する化合物を高分子材料に化学的または物理的のいずれかで添加することで光安定化を受けた高分子製品を高分子材料から生じさせることができる。そのような安定化を受けさせることができる高分子材料の非限定例はポリオレフィン;ポリエステル;ポリエーテル;ポリケトン;ポリアミド;天然および合成ゴム;ポリウレタン;ポリスチレン;ハイインパクトポリスチレン;ポリアクリレート;ポリメタアクリレート;ポリアセタール;ポリアクリロニトリル;ポリブタジエン;ポリスチレン;ABS;SAN(スチレンアクリロニトリル);ASA(アクリレートスチレンアクリロニトリル);酢酸酪酸セルロース;セルロース系重合体;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリエーテルイミド;ポリフェニルスルフィド;PPO;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート;ポリケトン;脂肪族ポリケトン;熱可塑性TPO;アミノ樹脂架橋ポリアクリレートおよびポリエステル;ポリイソシアネート架橋ポリエステルおよびポリアクリレート;フェノール/ホルムアルデヒド、尿素/ホルムアルデヒドおよびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂;乾燥性および非乾燥性アルキド樹脂;アルキド樹脂;ポリエステル樹脂;メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、カルバメートおよびエポキシ樹脂で架橋したアクリレート樹脂;脂肪族、環状脂肪族、複素環式および芳香族グリシジル化合物を無水物またはアミンで架橋させることで生じさせた架橋エポキシ樹脂;ポリシロキサン;活性不飽和を有するアミンもしくはブロック化アミンとメチレン化合物のミハエル付加重合体、活性不飽和を有するケチミンとメチレン化合物のミハエル付加重合体、不飽和アクリル系ポリアセトアセテート樹脂と組み合わされたポリケチミン、および不飽和アクリル系樹脂と組み合わされたポリケチミン;放射線硬化性組成物;エポキシメラミン樹脂;有機染料;化粧品;セルロースが基になった紙調合物;写真フィルム紙;インク;およびこれらの混合物である。
【0159】
そのような劣化し得る重合体は安定化を必要としている如何なる重合体であってもよく、それにはいろいろな単量体から作られたホモ重合体および共重合体が含まれる。それは付加重合体、縮合重合体、グラフト重合体、熱硬化性重合体、フォトポリマー(photopolymer)、重合体混合物もしくは熱可塑性重合体であってもよい。それは繊維、重合体フィルム、例えばポリプロピレンフィルムなど、薄膜、例えば溶媒が基になったコーティング、水が基になったコーティング、焼付け用ラッカー、粉末コーティング、ゲルコート(gel coat)などの形態を取ってもよいか、或はそれは成形品の形態を取ってもよい。安定化を受けさせることができる劣化性重合体の例には、これらに限定するものでないが、下記が含まれる:
1. モノオレフィンおよびジオレフィン(これらに限定するものでないが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブテン、メチルペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンおよびシクロオレフィン、例えばシクロペンテンおよびノルボルネンなどを包含)のホモ重合体および共重合体、例えばポリエチレン(場合により架橋させてもよい)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度で高分子量のポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度で超高分子量のポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、分枝低密度ポリエチレン(BLDPE)またはポリプロピレン(PP)、またはエチレンとプロピレンとジエン単量体から作られた重合体(EPDM)およびこれらの混合物、
2. 1種以上のモノオレフィンおよび/またはジオレフィンと一酸化炭素および/または他のビニル単量体[アクリル酸およびメタアクリル酸、アクリレートおよびメタアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル(例えばエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA))、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、無水マレイン酸およびアリル単量体、例えばアリルアルコール、アリルアミン、アリルグリシジルエーテルおよびこれの化合物を包含]の共重合体およびこれらの混合物、
3. 炭化水素樹脂(例えばC5−C9)(これの水添修飾形を包含)、およびポリアルキレンと澱粉の混合物およびこれらの混合物、
4. スチレン、例えばスチレン、p−メチルスチレンおよびα−メチルスチレンなどのホモ重合体および共重合体、例えばポリスチレン、ポリアルファメチルスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)およびこれらの混合物、
5. 1種以上のスチレンと他のビニル単量体、例えばオレフィンおよびジオレフィン(例えばエチレン、イソプレンおよび/またはブタジエン)、アクリル酸およびメタアクリル酸、アクリレートおよびメタアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル(例えばエチレン/酢酸ビニル共重合体)、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、無水マレイン酸およびアリル化合物、例えばアリルアルコール、アリルアミン、アリルグリシジルエーテルなどの共重合体およびこれらの混合物、
6. スチレンをポリブタジエン、ポリブタジエン/スチレン共重合体およびポリブタジエン/アクリロニトリル共重合体にグラフトさせたグラフト共重合体;スチレン(またα−メチルスチレン)およびアクリロニトリル(またはメタアクリロニトリル)をポリブタジエンにグラフトさせたグラフト共重合体;スチレンおよび無水マレイン酸をポリブタジエンにグラフトさせたグラフト共重合体;スチレンとアクリロニトリルと無水マレイン酸またはマレイミドをポリブタジエンにグラフトさせたグラフト共重合体;アクリロニトリル/スチレン/アクリロニトリル重合体(ASA)スチレンとアクリロニトリルをエチレン/プロピレン/ジエン共重合体にグラフトさせたグラフト共重合体;スチレンとアクリロニトリルをポリアクリル酸アルキルもしくはポリメタアクリル酸アルキルにグラフトさせたグラフト共重合体;そしてスチレンとアクリロニトリルをアクリレート/ブタジエン(ABS)共重合体にグラフトさせた共重合体およびこれらの混合物、
7. ハロゲン含有重合体、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリエチレン(CPE)またはポリクロロプレン;塩素化ゴム;塩素化および臭素化イソブチレン/イソプレン共重合体;塩素化もしくはスルホ塩素化(sulfochlorinated)ポリエチレン;エチレンと塩素化エチレンの共重合体;エピクロロヒドリンの重合体および共重合体;およびハロゲン含有ビニル化合物、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルおよび/またはフッ化ビニリデン、他のビニル単量体または他のハロゲン化ビニルの重合体および共重合体およびこれらの混合物、
8. α,β−不飽和酸およびこれらの化合物、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、アクリレート、メタアクリレート、アクリルアミドおよびアクリロニトリルから作られたホモ重合体および共重合体およびこれらの混合物、
9. この上に示した(5)で挙げた単量体と他の不飽和単量体、例えばオレフィンおよびジオレフィン(例えばブタジエン)、スチレン、ハロゲン化ビニル、無水マレイン酸およびアリル単量体、例えばアリルアルコール、アリルアミン、アリルグリシジルエーテルなどの共重合体およびこれらの混合物、
10. 不飽和アルコールおよびアミンまたはアシル化合物またはこれらのアセタール、例えばビニルアルコール(ポリビニルアルコールで架橋させたポリビニルアルコールを包含)、酢酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、マレイン酸ビニル、酪酸ビニル、アリルアルコール、アリルアミン、アリルグリシジルエーテル、フタル酸アリルおよびアリルメラミンなどから作られたホモ重合体および共重合体に加えて、そのような単量体とこの上に記述した他のエチレン系不飽和単量体の共重合体およびこれらの混合物、
11. 環状エーテル、例えばアルキレングリコールおよびアルキレンオキサイドなどのホモ重合体および共重合体に加えて、ビスグリシジルエーテルとの共重合体およびこれらの混合物、
12. ポリアセタール、例えばポリオキシメチレン(POM)およびエチレンオキサイドを共重合用単量体として含有するポリオキシエチレン、および熱可塑性ポリウレタン、アクリレートおよび/またはMBSによる修飾を受けたポリオキシメチレンおよびこれらの混合物、
13. ポリフェニレンオキサイド(PPO)およびスルフィドおよびこれらの混合物、
14. 一方のヒドロキシ官能成分、例えば多価アルコール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリル系(polyacrylics)および/またはポリブタジエンなどともう一方の脂肪酸および/または芳香族イソシアネートから作られたポリウレタン(PUR)に加えて、これの前駆体(イソシアネートで架橋した重合体を包含)およびこれらの混合物、
15. ジアミンとジカルボン酸および/またはアミノカルボン酸または相当するラクタムから作られたポリアミド(PA)およびコポリアミド、例えばNYLON(商標)プラスチック、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、ポリアミド6/10、ポリアミド6/9、ポリアミド6/12、ポリアミド4/6、ポリアミド12/12、ポリアミド11およびポリアミド12など、m−キシレンジアミンとアジピン酸から出発した芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸および/またはテレフタル酸から作られたポリアミド(弾性重合体を修飾剤として伴うか或は伴わない)、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミドまたはポリ−m−フェニレンイソフタルアミドなど;上述したポリアミドとポリオレフィン、オレフィン共重合体、アイオノマー、化学的に結合したか或はグラフト化した弾性重合体またはポリエーテル、例えばポリエポキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールのブロック共重合体;および加工中に縮合したポリアミド(RIMポリアミド系);およびこれらの混合物、
16. ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントインおよびポリベンズイミダゾールおよびこれらの混合物、
17. ジカルボン酸とジオールおよび/またはヒドロキシカルボン酸または相当するラクトンから作られたポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、グリコール修飾ポリエチレンテレフタレート(PETG)、1,4−シクロヘキサンジメタノール修飾ポリエチレンテレフタレート(PCTG)、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレートおよびポリヒドロキシベンゾエートに加えて、ヒドロキシル末端エーテルから作られたブロックコポリエーテルエステル;およびまたポリカーボネートまたはMBSによる修飾を受けたポリエステル;PEN、PTT;およびこれらの混合物、
18. ポリカーボネート(PC)およびポリエステルカーボネート、例えば多価フェノール、例えば2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA);2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン;1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン;2,2−ビス−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;4,4’−スルホニルジフェノール;および1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどが基になったポリカーボネートである樹脂およびこれらの混合物{また、2種以上のフェノールが組み込まれているポリカーボネート共重合体、多官能芳香族化合物と二価フェノール1種または2種以上およびカーボネート前駆体を反応させた分枝ポリカーボネート、そしてポリカーボネートが混合物の有意部分(即ち20%以上、好適には50%以上)を構成する重合体混合物も好適である。両方の層に好適な樹脂はビスフェノールAが基になったポリカーボネートである。
【0160】
米国特許第5,288,788号にもまたポリカーボネートおよびポリエステルカーボネート、特に芳香族ポリカーボネート、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンまたは1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンが基になった芳香族ポリカーボネートが記述されている。そのような重合体と衝撃強度改良剤の形態の別の重合体または他の重合体、例えばポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリジエンまたは他の弾性重合体の混合物[ポリブレンド(polyblends)]にも本発明のHALS化合物を用いた安定化を受けさせることができる。
【0161】
このようなコンパウンドの中でポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキサイドおよびポリフェニレンスルフィドが好適であり、特にポリカーボネートが好適である。このようなコンパウンドは特に構成繰り返し単位が式:
【0162】
【化62】
【0163】
[式中、Aは二価のフェノールによる基である]
に相当する重合体であると理解されるべきである。Aの適切な例が米国特許第4,960,863号およびドイツ特許出願公開第3 922,496号(これの内容は引用することによって本明細書に組み入れられる)に示されている。「A」は、最も幅広い用語の意味で、例えばヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシビフェニレンまたはビスフェノール、例えばビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、シクロアルカン、スルフィド、エーテル、ケトン、スルホン、スルホキサイド、α,α’−ビス(ヒドロキシフェニル)−ジイソプロピルベンゼン、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン化合物などに由来するものであってもよいか、或は式:
【0164】
【化63】
【0165】
【化64】
【0166】
で表される化合物に由来するものであってもよい}、
19. ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルケトン、
20. アルデヒド縮合樹脂、例えばフェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂などから作られた架橋重合体およびこれらの混合物、
21. 乾燥性および非乾燥性アルキド樹脂およびこれらの混合物、
22. 飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコールのコポリエステルと架橋剤としてのビニル化合物から作られた不飽和ポリエステル樹脂およびまたこれらのハロゲン含有修飾形およびこれらの混合物、
23. 置換アクリレート、例えばエポキシアクリレート、ヒドロキシアクリレート、イソシアナトアクリレート、ウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレートなどから作られた架橋性アクリル樹脂およびこれらの混合物、
24. メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、カルバメートまたはエポキシ樹脂で架橋させたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリレート樹脂およびこれらの混合物、
25. 脂肪族、環状脂肪族、複素環式および/または芳香族グリシジル化合物、例えばビスフェノールAおよびビスフェノールFなどを通常の硬化剤、例えば無水物またはアミンなどで架橋させることで生じさせた架橋エポキシド樹脂およびこれらの混合物、
26. 天然重合体、例えばセルロース、ゴム、ゼラチンおよび化学的修飾を受けさせたそれらの類似化合物(酢酸セルロース、プロピオン酸セルロースおよび酪酸セルロースを包含)、ニトロセルロース、またはセルロースエーテル、例えばメチルセルロースなどに加えて、ロジンおよびこれらの化合物およびこれらの混合物、
27. ポリシロキサンおよびこれらの混合物、
28. 活性不飽和を有するアミンもしくはブロック化アミン(例えばケチミン)および/またはメチレン化合物、例えばアクリレートおよびメタアクリレート、マレエートおよびアセトアセテートなどのミハエル付加重合体およびこれらの混合物、
29. 前記のいずれかの混合物(mixtures or blends)、例えばPP/EPDM,ポリアミド/EPDMまたはABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性ポリウレタン、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6および共重合体、PA/HDPE、PP/HDPE、PP/LDPE、LDPE/HDPE、LDPE/EVA、LDPE/EAA,PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS、PBT/PET/PCなど、
30. 天然に存在する有機材料および合成有機材料(これは化合物の混合物であってもよい)[鉱油、動物および植物脂肪、油および蝋、または合成エステル(例えばフタル酸エステル、アジピン酸エステル、燐酸エステルまたはトリメリット酸エステルなど)が基になった油、脂肪または蝋、およびまた合成エステルと鉱油の任意比率の混合物を包含]、
31. 天然または合成ゴムの水性エマルジョン、例えば天然ラテックスまたはカルボキシル化スチレン/ブタジエン共重合体のラテックスおよびこれらの混合物、
32. 不飽和アクリル系ポリアセトアセテート樹脂または不飽和アクリル系樹脂(ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ペンダント型不飽和基を有するビニルもしくはアクリル共重合体およびアクリレート化メラミンを包含)と組み合わされたポリケチミンおよびこれらの混合物、
33. エチレン系不飽和単量体もしくはオリゴマーと多不飽和脂肪族オリゴマーを含有する放射線硬化性組成物およびこれらの混合物、
34. エポキシメラミン樹脂、例えばエポキシ官能の共エーテル化(coetherified)高固体量メラミン樹脂で架橋させた光安定性エポキシ樹脂{アミノ樹脂で架橋させた重合体はアミノ樹脂で架橋させた熱硬化性アクリル系またはアミノ樹脂で架橋させた熱硬化性ポリエステルであり得る。適切なアミノ樹脂にはアルキル置換メラミン−ホルムアルデヒド樹脂およびアルキルで置換されていないメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、グアナミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、グリコウリルホルムアルデヒド樹脂などおよびこれらの混合物が含まれる}、
35. 有機染料、例えばアゾ染料(ジアゾ、トリアゾおよびポリアゾ)、アントラキノン、ベンゾジフラノン、多環状芳香族カルボニル染料、インジゴイド染料、ポリメチン、スチリル染料、ジ−およびトリアリールカルボニウム染料、フタロシアニン、キノフタロン、硫黄染料、ニトロおよびニトロソ染料、スチルベン染料、ホルマザン染料、キナクリドン、カルバゾールおよびペリレンテトラカルボン酸ジイミドおよびこれらの混合物、
36. 化粧品、例えばスキンローション、コラーゲンクリーム、サンスクリーン、フェイシャルメーキャップなど[これらは合成材料、例えば抗酸化剤、防腐剤、脂質、溶媒、界面活性剤、着色剤、制汗剤、スキンコンディショナー、保湿剤などばかりでなく、天然産物、例えばコラーゲン、蛋白質、ミンク油、オリーブ油、椰子油、カルナウバ蝋、蜜蝋、ラノリン、ココアバター、キサンタンゴム、アロエなどを含んで成る]およびこれらの混合物、
37. セルロースが基になった紙調合物[例えば新聞紙、厚紙、ポスター、包装、ラベル、文房具、本および雑誌用紙、ボンドタイピング用紙、多目的およびオフィス用紙、コンピューター用紙、キセログラフィック紙、レーザーおよびインクジェットプリンター用紙、オフセット紙、紙幣用紙などおよびこれらの組み合わせなどで用いられる]、
38. 写真フィルム紙、
39. インク。
【0167】
本明細書で用いる如き用語「共重合体」は、異なる2種以上の単量体から作られた重合体である。光安定化を受けさせる高分子材料は、好適には、ポリオレフィンのホモ重合体もしくは共重合体、より好適にはポリエチレンもしくはポリプロピレンのホモ重合体もしくは共重合体から作られた高分子材料である。
【0168】
本発明の新規なHALSはまた多層系でも使用可能である。そのような系では、紫外線安定剤をほとんどか或は全く含有しない重合体から作られた成形品に本発明の新規なHALSの含有量が約0.1から20重量パーセント、好適には相対的に高い含有量、例えば約5から15重量パーセントの重合体組成物を薄膜(典型的には厚みが約5から500μm、好適には約10から100μm)の状態で付着させる。前記組成物の付着は基礎構造物の成形と同時に例えば共押出し加工などで実施可能である。別法として、また、既に生じさせておいた基礎構造物に例えば膜を積層させるか或は溶液を用いてそれを被覆することで付着を実施することも可能である。完成品の外側層1層または2層以上が当該製品の内部をUV光から保護するUVフィルターの機能を果たす。この外側層に含有させる本発明の少なくとも1種のHALSの量を外側層組成物の好適には約0.1から20重量パーセント、好適には約1から15重量パーセント、より好適には約2から10重量パーセントにする。
【0169】
英国特許出願番号2,290,745にUV吸収剤が高分子材料の表面または表面近くに集中するようにする目的で開発された方法が数多く記述されている。それらには、熱可塑性樹脂とUV吸収剤を入れておいた溶液をプラスチック製品の表面に染み込ませる方法(米国特許第3,309,220号、3,043,709号、4,481,664号および4,937,026号を参照)そして塗布する方法(米国特許第4,668,588号および4,353,965号を参照)が含まれる。しかしながら、両方の技術とも、欠点、例えば追加的工程段階(即ち塗布、乾燥または硬化)が必要であることなどが欠点であり、かつ加工を受けさせる大型の製品を取り扱うことに関連した困難さに直面している。追加的欠点、特にポリカーボネートシート製造に関連した欠点は、そのような後で行う追加的処理を高分子基質の表面に対して行う時に有害な影響が生じる点にある。
【0170】
米国特許第5,445,872号に記述されているように、共押出し加工による表面層の取り付けは、米国特許第3,487,505号および3,557,265号に教示されている如き公知の共押出し加工装置を用いた公知様式で行われ、これが、本発明に従ってHALS化合物を高分子製品の表面に取り込ませる好適な方法である。共押出し加工はいろいろな数の層を同時に押出し加工して単一の複合材料を生じさせることによる充分に認識された積層熱可塑性プラスチック材料製造方法である。米国特許第4,540,623号には少なくとも40層から成る共押出し加工材料が記述されている。本分野の通常の技術者に公知の他の方法は異なる2層もしくは3層の如き少ない数の層を生じさせる。
【0171】
本発明は、1つの態様において、本発明の1種以上のHALSの含有量が約0.1重量%から20重量%で厚みが約0.1から10ミル(0.00254mmから0.254mm)、好適には厚みが約0.1から5ミル(0.00254mmから0.127mm)の熱可塑性プラスチック層で覆われた熱可塑性プラスチック製品に関する。好適な濃度は約2重量%から15重量%、最も好適な濃度は約5重量%から10重量%である。
【0172】
本発明のHALSを表面層の熱可塑性プラスチックに標準的な方法で混合、例えば本添加剤を粒状樹脂と一緒に乾式混合することなどで混合した後、共押出し加工を行ってもよい。本発明に従うHALS層を熱可塑性プラスチック製品の1つ以上の面に付着させてもよい。
【0173】
米国特許第4,992,322号に見られるような追加的層、例えば耐水性層などを含めた本発明に相当する積層熱可塑性プラスチック製品もまた本発明の範囲内である。
【0174】
その中心層と被覆層は同じ熱可塑性樹脂または異なる熱可塑性樹脂で作られていてもよい。熱可塑性樹脂の例には熱可塑性ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、そして共重合体および混合物、例えばスチレンとアクリロニトリルをポリブタジエン上で共重合させた共重合体およびスチレンと無水マレイン酸の共重合体などおよびこれらの混合物が含まれる。
【0175】
このような様式で安定化を受けさせた重合体は高い耐候性、特にUV光に対して高い耐候性を示すことで注目に価する。このことから、それらは苛酷な環境下で用いられた時でも長期間に渡って機械的特性および色および光沢を実質的に保持し得る。
【0176】
HALS化合物含有コーティング用安定剤およびこれの製造
本発明の別の態様では、本発明の少なくとも1種のHALSを含んで成る新規な混合物をコーティング、例えば塗料など用の安定剤として用いることができる。特に自動車産業用コーティングおよび塗料に興味が持たれる。「コーティング」は、ある製品の表面に薄膜の状態で塗布した後に硬化して前記製品の上に実質的に固体状の表面を形成し得る自由流れする組成物を意味する。このコーティングは典型的に当該製品と環境の間の界面を与える。
【0177】
そのような新規なコーティング組成物は本発明の1種以上のHALSを約0.01から20重量パーセント、好適には約0.01から10重量パーセント、より好適には約0.02から5重量パーセント含んで成る。
【0178】
このコーティングを1層または2層以上の層の状態で当該製品の表面に付着させることで多層系を生じさせることができる。多層系の場合、外側層に入れる本新規なHALS化合物の濃度を相対的に高くしてもよく、例えば約0.01から20重量パーセント、好適には約0.01から10重量パーセント、より好適には約0.02から5重量パーセントにしてもよい。
【0179】
この新規な安定剤をコーティングで用いると、これに付随して、層剥離、即ち基質からのコーティングの剥がれ落ち(flaking−off)が抑制または防止されると言った追加的利点が得られる。このような利点は特に基質が金属の時に重要であり、それには、金属基質に付着させた多層系(これはそのような剥がれ落ちを起こす傾向がある)が含まれる。
【0180】
このようなコーティングに典型的には結合剤(binder)を含有させるが、この結合剤は顔料およびコーティングに入っている他の添加剤を懸濁状態に維持しかつこのコーティングと基質を結合させるものである。
【0181】
このような結合剤は原則として本産業で通常用いられる如何なる結合剤であってもよく、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、A18巻、368−426頁、VCH、Weinheim、1991(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている結合剤などであってもよい。これは一般に熱可塑性プラスチックまたは熱硬化性樹脂、主に熱硬化性樹脂が基になった膜形成結合剤である。それらの例はアルキド、アクリル、ポリエステル、フェノール、メラミン、エポキシおよびポリウレタン樹脂およびこれらの混合物である。
【0182】
そのような結合剤は冷硬化性または熱硬化性結合剤であり得る。更に、いくつかの系では、硬化用触媒をそのような系に添加するのが有利であり得る。結合剤の硬化を助長する適切な触媒が例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、A18巻、469頁、VCH Verlagsgesellschaft、Weinheim、1991(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0183】
好適な結合剤には、官能アクリレート樹脂と架橋剤を含んで成る結合剤が含まれる。
【0184】
幅広く多様な結合剤をそのようなコーティング系で用いることができる。特定の結合剤を含有する適切なコーティング組成物の例には、これらに限定するものでないが、
1. 冷架橋性もしくは熱架橋性アルキド、アクリレート、ポリエステル、エポキシまたはメラミン樹脂またはこのような樹脂の混合物が基になった塗料(望まれるならば硬化用触媒も添加可能);
2. ヒドロキシル含有アクリレート、ポリエステルまたはポリエーテル樹脂と脂肪族もしくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレートまたはポリイソシアネートが基になった2成分ポリウレタン塗料またはこれらの混合物;
3. ブロックされている(blocked)イソシアネート、イソシアヌレートまたはポリイソシアネートに脱ブロックを焼き付け中に受けさせることが基になった1成分ポリウレタン塗料またはこれらの混合物;
4. (ポリ)ケチミンと脂肪族もしくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレートまたはポリイソシアネートが基になった2成分塗料またはこれらの混合物;
5. (ポリ)ケチミンと不飽和アクリレート樹脂またはポリアセトアセテート樹脂またはメタアクリルアミドグリコン酸メチルエステルが基になった2成分塗料またはこれらの混合物;
6. カルボキシル含有もしくはアミノ含有ポリアクリレートとポリエポキシドが基になった2成分塗料またはこれらの混合物;
7. 無水物基含有アクリレート樹脂とポリヒドロキシもしくはポリアミノ成分が基になった2成分塗料またはこれらの混合物;
8. (ポリ)オキサゾリンと無水物基含有アクリレート樹脂または不飽和アクリレート樹脂または脂肪族もしくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレートまたはポリイソシアネートが基になった2成分塗料またはこれらの混合物;
9. 不飽和ポリアクリレートとポリマロネートが基になった2成分塗料またはこれらの混合物;
10. 熱可塑性アクリレート樹脂もしくは外的に架橋する(externally crosslinking)アクリレート樹脂とエーテル化メラミン樹脂の組み合わせが基になった熱可塑性ポリアクリレート塗料またはこれらの混合物;
11. シロキサン修飾もしくはフッ素修飾アクリレート樹脂が基になった塗料系またはこれらの混合物;
が含まれる。
【0185】
本発明に従うコーティング組成物に、前記結合剤および本発明の新規なHALSに加えて、更に、1種以上の追加的添加剤、例えば抗酸化剤または追加的紫外光吸収剤または安定剤などを含有させてもよい。追加的添加剤には、これらに限定するものでないが、この上に具体的に挙げた添加剤が含まれる。このような追加的添加剤をコーティング組成物に約0.01から5重量パーセント、好適には約0.02から2重量パーセントの量で用いる。
【0186】
加うるに、本コーティング組成物にコーティング組成物で用いるに適することが本分野の通常の技術者に良く知られているさらなる成分を含有させることも可能であり、そのような成分には、これらに限定するものでないが、溶媒、顔料、染料、可塑剤、安定剤、チキソトロピー剤(thixotropic agents)、乾燥用触媒および/または均染剤またはこれらの組み合わせが含まれる。可能な成分の例はUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、A18巻、429−471頁、VCH、Weinheim、1991(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている成分である。
【0187】
典型的な乾燥用触媒または硬化用触媒は、例えば有機金属化合物、アミン、アミノ含有樹脂またはホスフィンである。有機金属化合物の例は金属のカルボン酸塩、特にPb、Mn、Co、Zn、ZrまたはCu金属のカルボン酸塩、または金属のキレート化合物、特にAl、TiまたはZr金属のキレート化合物、または有機金属化合物、例えば有機錫化合物などおよびこれらの混合物である。
【0188】
金属のカルボン酸塩の例はPb、MnまたはZnのステアリン酸塩、Co、ZnまたはCuのカプリル酸塩、MnおよびCoのナフテン酸塩または相当するリノール酸塩、樹脂酸塩またはタレート(tallates)およびこれらの混合物である。
【0189】
金属のキレート化合物の例はアセチルアセトン、アセチル酢酸エチル、サリチルアルデヒド、サリチルアルドキシム、o−ヒドロキシアセトフェノンまたはトリフルオロアセチル酢酸エチルのアルミニウム、チタンまたはジルコニウムキレート化合物、そしてこれらの金属のアルコキサイドおよびこれらの混合物である。
【0190】
有機錫化合物の例はジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレートまたはジブチル錫ジオクトエートおよびこれらの混合物である。
【0191】
アミンの例は特に第三級アミン、例えばトリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリンまたはジアザビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)およびこれらの塩およびこれらの混合物である。さらなる例は第四級アンモニウム塩、例えば塩化トリメチルベンジルアンモニウムなどである。アミノ含有樹脂は同時に結合剤および硬化用触媒である。それの例はアミノ含有アクリレート共重合体である。
【0192】
この用いる硬化用触媒はまたホスフィン、例えばトリフェニルホスフィンであってもよい。
【0193】
本新規コーティング組成物をまた放射線硬化性コーティング組成物にすることも可能である。この場合の結合剤にはエチレン系不飽和結合を有する単量体またはオリゴマー状化合物が含まれ、これは塗布後に化学放射線で硬化する、即ち架橋した高分子量形態に変化する。この系がUVで硬化し得るようにする場合には、これに一般に光開始剤も同様に含有させる。相当する系が上述した出版物であるUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、A18巻、451−453頁(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。放射線で硬化し得るコーティング組成物の場合には、本新規安定剤をまた追加的UV光安定剤(立体障害アミンを包含)の有り無しで使用してもよい。
【0194】
本発明に従うコーティング組成物は所望の如何なる基質にも塗布可能であり、例えば金属、木、プラスチックまたはセラミック材料などに塗布可能である。自動車の仕上げを行う時にはそれらを好適にはトップコート(topcoats)として用いる。このトップコートが2層を構成していて下方の層を色づけしそして上方の層を色づけしない場合には、本新規コーティング組成物を上方もしくは下方の層のいずれかまたは両方の層で用いてもよいが、好適には上方の層で用いる。
【0195】
本新規コーティング組成物は本分野の通常の技術者が利用できる通常の任意方法で基質に塗布されてもよく、例えばハケ塗り、噴霧、注ぎ込み、浸漬または電気泳動などで塗布可能である[またUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、A18巻、491−500頁(引用することによって本明細書に組み入れられる)も参照のこと]。
【0196】
本コーティングは結合剤系に応じて室温で硬化し得るか或は加熱を必要とし得る。本コーティングを好適には約50℃から150℃の温度で硬化させるが、粉末コーティングの場合には更により高い温度で硬化させる。
【0197】
本発明に従って得たコーティングは一般に光、酸素および熱の有害な影響に対して優れた耐性を示す。ここで請求するコーティングは特に良好な光安定性と耐候性を与える。
【0198】
従って、本発明は、本発明の少なくとも1種のHALSをある製品の中または上にある含有量で取り込ませることによって光、酸素および/または熱の有害な影響に対して安定にしておいたコーティング、特に塗料を包含する。この塗料はフィルム形成結合剤を含有しかつ有機顔料もしくは染料、無機顔料、金属顔料またはこれらの混合物を含有する色付きモノコート(pigmented mono−coat)であってもよい。この塗料は、また、金属またはプラスチック基質に付着する下塗り剤、この下塗り剤に付着する色付きベースコート(base coat)(これはフィルム形成結合剤および有機顔料もしくは染料、無機顔料、金属顔料またはこれらの混合物を含有する)および前記ベースコートに付着する透明なトップコート(これはフィルム形成結合剤および場合により透明な顔料を含有する)を含んで成る組成物であってもよい。この塗料は好適には自動車用トップコートである。
【0199】
本発明は、更に、有機重合体が基になったコーティングを光、酸素および/または熱による損傷に対して安定にする方法[この方法は、本発明の1種以上のHALSを含んで成る混合物を当該コーティング組成物と混合することを含んで成る]に関するばかりでなく、本発明の1種以上のHALSを含んで成る混合物を光、酸素および/または熱による損傷に対する安定剤としてコーティング組成物で用いることにも関する。
【0200】
そのようなコーティング組成物は当該結合剤が溶解し得る有機溶媒または溶媒混合物を含んで成っていてもよい。他の様式では、そのようなコーティング組成物は水溶液または分散液であってもよい。その担体はまた有機溶媒と水の混合物であってもよい。このようなコーティング組成物は高固体量の塗料であってもよいか或は溶媒を含有しない塗料(例えば粉末コーティング材料)であってもよい。
【0201】
前記顔料は無機、有機または金属顔料であってもよい。本新規コーティング組成物に好適には顔料を含有させず、これを好適にはクリアコート(clearcoat)組成物で用いる。
【0202】
本コーティング組成物を自動車産業における用途でトップコートとして用いるのも同様に好適であり、特に塗装仕上げの着色または無着色トップコートとして用いるのも同様に好適である。しかしながら、これを下地コート(underlying coats)で用いることも可能である。
【0203】
(実施例)
以下に示す実施例は単に本発明の好適な態様の説明であり、本発明を限定するととして解釈されるべきでなく、本発明の範囲を添付請求の範囲で限定する。
実施例1−9:多官能カルボニル化合物が基になったHALS化合物の調製
以下に描写する一般構造で表される8種類のHALS化合物を本発明に従って合成した。
【0204】
【化65】
【0205】
化合物I(n=5、R=水素)
化合物II(n=5、R=メチル)
化合物III(n=11、R=水素)
化合物IV(n=11、R=メチル)
【0206】
【化66】
【0207】
ここで、i、j、kおよびlは整数でありそしてi、j、kおよびlの合計は3以上である。
化合物VII(Mn=約2,000)
化合物VIII(Mn=約8,800)
化合物IおよびIIの調製を6−(メトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸メチル(化合物A)を用いて行い、化合物IIIおよびIVの調製を6−ブトキシカルボニルアミノウンデカン酸ブチル(化合物B)を用いて行い、化合物Vの調製を6−[(メトキシオキシアセチル)アミノ]−ヘキサン酸メチル(化合物C)を用いて行い、そして化合物VIの調製を6−(オクタノイルアミノ)ヘキサン酸メチル(化合物D)を用いて行った。化合物VIIおよびVIIIの調製を化合物AとN−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを用いて行った。
【0208】
【化67】
【0209】
化合物A(n=5、R=メチル)
化合物B(n=11、R=ブチル)
【0210】
【化68】
【0211】
N−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの調製では、TINUVIN 622に加水分解を水酸化ナトリウム水溶液/テトラヒドロフランを用いて受けさせ、テトラヒドロフランを減圧下で除去し、水層をクロロホルムで抽出し、クロロホルム層を乾燥させ、濾過しそしてクロロホルムを減圧下で除去することで調製を行った。その回収したN−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールが示した融点は179−183℃であった(文献であるDE 2,352,658に示されている融点は182℃)。化合物A、B、CおよびDの合成を以下に記述する。
化合物Aの合成:
300mLの3つ口丸底フラスコに機械的撹拌機、磨りガラス製ストッパーおよびコンデンサ[アルゴン入り口が備わっておりそして出口がバブラー(bubbler)につながっている]を取り付けて、このフラスコにカプロラクタムを10g(88ミリモル)、ジメチルカーボネートを10.5g(117ミリモル)、ナトリウムメトキサイドを5.23g(96.8ミリモル)およびメタノールを100mL仕込んだ。この混合物を還流に24時間加熱した後、室温に冷却した。氷酢酸を7.3g(121ミリモル)加えた後、ロータリーエバポレーターを用いてメタノールを除去した。その残留物を100mLの塩化メチレンに溶解させた後、その有機層を水で抽出することで未反応のカプロラクタムを除去した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した後、溶媒を更に真空(<1mm)下95℃で除去することで、化合物Aをほぼ無色の油として5.23g(29%)得た。化合物Aの構造をNMRで確認した。1H NMR(CDCl3):δ 4.63(br s、1H、NH);3.68(s、3H、CH3−OCO);3.66(s、3H、CH3−OCO);3.17(br dt、2H、−CH 2−NH−);2.31(t、2H、−CH2COO);1.65−1.21(in、6H、CH2(CH 2)3CH2)。
化合物Bの合成:
250mLの3つ口反応フラスコに磁気撹拌機、還流コンデンサおよび温度計アダプタを取り付けて、このフラスコにカプロラクタムを13.96g(0.070モル)、ジブチルカーボネートを13.4g(0.076モル)、ナトリウムメトキサイドを4.16g(0.077モル)およびブタノールを130g仕込んだ。この混合物を110℃に64時間加熱した。室温に冷却した後、4.9g(0.10モル)の氷酢酸を30gのブタノールに入れて加えた後、この混合物を5分間撹拌した。その結果として得た混合物を500mLの塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した後、乾燥(MgSO4)させた。濾過に続いてロータリーエバポレーターにかけることでグリース状の固体を19.6g得た。200−400メッシュで60Åのシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー(0.5%メタノール/塩化メチレン)で表題の化合物を白色の半固体として7.2g(25%)得た。化合物Bの構造をNMRで確認した。1H NMR(CDCl3):δ 4.61(br s、1H、NH);4.05(q、4H、−CH2CH 2−OCO);3.16(br dt、2H、−CH 2−NH−);2.28(t、2H、−CH2COO);1.65−1.21(m、26H、CH2(CH 2)9CH2、(CH 2)2CH 3)、0.93(t、6H、CH3)。
化合物Cの合成:
撹拌子を装備しておいた100mLの丸底フラスコにカプロラクタムを8.45g(75ミリモル)、しゅう酸ジメチルを8.85g(75ミリモル)およびナトリウムメトキサイドを0.16g(3ミリモル)仕込んだ。この混合物を50℃のオイルバスに浸けて30分間加熱した後、1時間かけて35℃に冷却した。この混合物を前記温度で数時間撹拌した後、冷却して室温に一晩放置した。この混合物を125mLの塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した後、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。モレキュラーシーブを用いた乾燥を行い、濾過を行った後、溶媒を減圧下で除去することで、明黄色の液体を12.5g(72%収率)得たが、これは放置すると結晶化して低融点の固体になった。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 7.18(br s、1H、NH);3.90(s、3H、CH3−OCOCO);3.67(s、3H、CH3−OCCH2);3.35(ほぼq、2H、−CH 2−NH−);2.32(t、2H、−CH2COO);1.70−1.30(m、6H、CH2(CH 2)3CH2)。
化合物Dの合成:
撹拌子を装備しておいた100mLの丸底フラスコにカプロラクタムを16.9g(150ミリモル)、カプリル酸メチルを23.7g(150ミリモル)およびナトリウムメトキサイドを0.32g(6ミリモル)仕込んだ。この混合物を185−195℃のオイルバスに浸けて58時間加熱した。75℃に冷却し、そして酢酸を0.35g(6ミリモル)添加した後、このフラスコを更に冷却し、そして残存するカプリル酸メチル(17g)を48−67℃/0.8mmの蒸留で除去した後、カプロラクタム(10g)を90−95℃/0.8mmの蒸留で除去した。その残留物を塩化メチレンで希釈し、水で洗浄することでカプロラクタムを更に除去し、乾燥(MgSO4)させ、濾過した後、減圧下で蒸発させることで、化合物Dを明褐色蝋として得た(6.3g、回収されなかったカプロラクタムを基準にして38%の収率)。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.60(br m、1H、G63 NH);3.62(s、3H、CH3−OCO);3.20(ほぼq、2H、−CH 2−NH−);2.25(t、2H、−CH2COO−);2.16(t、2H、−CH 2CONH−);1.70−1.18(m、16H、CH2(CH 2)3CH2、CH2(CH 2)5CH3)。
化合物EとFの混合物の合成:
50mLの反応用厚壁容器に磁気撹拌子とテフロン製スクリューキャップ(Tefron screw cap)を取り付けて、この容器にカプロラクタムを10.6g(53.7ミリモル)、ジブチルカーボネートを9.83g(56.4ミリモル)およびナトリウムメトキサイドを0.58g(10.7ミリモル)加えた。この混合物を120℃のオイルバスに浸けて2時間加熱した。この混合物を室温に冷却した後、100mLの塩化メチレンで希釈し、そしてこれに酢酸を0.67g(11.2ミリモル)加えた。濾過に続いてロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、生成物をオフホワイト(off−white)のペーストとして得た。1H NMR(CDCl3)は主に2種類の化合物、即ちEとFが約80:20のモル比で存在することを示していた。フラッシュクロマトグラフィー(3.5%メタノール/塩化メチレン)で前記2成分の高純度サンプルを得た。
【0212】
化合物E:1H NMR(CDCl3):δ 4.61(br s、1H、NH);4.05(q、4H、−CH2CH 2−OCO);3.16(br dt、2H、−CH 2−NH−);2.28(t、2H、−2H、−CH2COO);1.65−1.21(m、26H、CH2(CH 2)9CH2、(CH 2)2CH 3)、0.93(t、6H、CH3)。
【0213】
化合物F:1H NMR(CDCl3):δ 5.50(br t、1H、−CH2NHCOCH2);4.65(br s、1H、−CH 2NHCOOCH2);4.05(q、4H、−CH2CH 2−OCO);3.21(dt、2H、−CH 2NHCOCH2−);3.16(br dt、2H、−CH2NHCOOCH2);2.28(t、2H、−CH2COO);2.15(t、2H、−CH 2CONH);1.65−1.21(m、26H、CH2(CH 2)9CH2、(CH 2)2CH 3)、0.93(t、H、CH 3)。
【0214】
【化69】
【0215】
これらの反応体の反応温度をより低くすると化合物Fがほとんどか或は全く生じない。
化合物GとHの混合物の合成:
50mLの反応用厚壁容器に磁気撹拌子とテフロン製スクリューキャップを取り付けて、この容器にカプロラクタムを6.06g(53.7ミリモル)、ジブチルカーボネートを9.83g(56.4ミリモル)およびナトリウムメトキサイドを0.58g(10.7ミリモル)加えた。この混合物を129℃のオイルバスに浸けて2時間加熱した。この混合物を室温に冷却した後、100mLの塩化メチレンで希釈し、そしてこれに酢酸を0.67g(11.2ミリモル)加えた。濾過に続いてロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、生成物を黄色のペーストとして得た。1H NMR(CDCl3)は化合物GとHが約80:20のモル比で存在することを示していた。
【0216】
【化70】
【0217】
これらの反応体の反応温度をより低くすると化合物Hがほとんどか或は全く生じない。
化合物IとJの混合物の合成:
25mLの反応用厚壁容器に磁気撹拌子とテフロン製スクリューキャップを取り付けて、この容器にカプロラクタムを2.26g(20ミリモル)、ジメチルカーボネートを1.89g(21ミリモル)およびナトリウムメトキサイドを54mg(1.0ミリモル)加えた。この混合物を130℃のオイルバスに浸けて0.5時間加熱した。この混合物を室温に冷却した後、100mLの塩化メチレンで希釈し、そしてこれに酢酸を0.67g(11.2ミリモル)加えた。濾過に続いてロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、生成物を黄色のペーストとして得た。1H NMR(CDCl3)は化合物IとJが約80:20のモル比で存在することを示していた。
【0218】
【化71】
【0219】
これらの反応体の反応温度をより低くすると化合物Jがほとんどか或は全く生じない。
【0220】
化合物EとF、GとHおよびIとJの混合物の合成は、カーボネートのカルボニルの所にラクタムアニオンが求核アシル付加することで中間体が生じた後にこの中間体のラクタムカルボニルの所に2番目のラクタムアニオンが反応することによって特に温度をより高くした時に多官能カルボニル化合物が生じ得ることを示している。次に、その結果として生じた多官能カルボニル化合物を4−アミノピペリジン基と反応させると有効な安定剤であるHALS混合物が生じ得る。一般に、反応温度をより低くした時に生じた生成物の方が色が薄い。
実施例1. 6−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンオキシカル ボニルアミノ)ヘキサン酸2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(化合物I)の調製
500mLの3つ口フラスコに磁気撹拌機、コンデンサ付きDean−Starkトラップ、温度計およびガラス製ストッパーを取り付けて、これに化合物Aを20g(98.4ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを46.3g(0.295モル)およびトルエンを150mL加えた。窒素をゆっくり流しながらトルエンを20mL留出させた後、トラップの排液を行った。前記ガラス製ストッパーを取り外して、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを1.0g(1.67ミリモル)加えた。更に75mLのトルエンを8時間かけてゆっくり留出させた。トルエンを更に110mL加えた後、更に2時間かけてトルエンを80mL除去した。NMR分析による変換度は>98%であった。この混合物を室温に冷却した後、エーテルで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後、炭酸ナトリウムで乾燥させた。濾過に続いて溶媒を減圧下で除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、化合物Iを融点が59−62℃の白色固体として41.9g(92%)得た。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.19(m、1H、R2CH−OCOCH2−);5.05(m、1H、R2CHOCONH−);4.63(br s、1H、NH);3.17(br dt、2H、−CH 2−NH−);2.28(t、2H、−CH2COO);2.00−1.30(m、14H、CH 2C(CH3)2、CH(CH 2)3CH2)、1.20(d、24H、CH2C(CH 3)2)。
実施例2. 6−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジンオキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(化合物II)の調製
100mLの3つ口フラスコに磁気撹拌子、コンデンサ付きDean−Starkトラップ、温度計およびガラス製ストッパーを装備して、これに化合物Aを4.85g(23.9ミリモル)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールを12.2g(71.6モル)およびトルエンを30mL加えた。アルゴンをゆっくり流しながらトルエンを17mL留出させた後、トラップの排液を行った。前記ガラス製ストッパーを取り外して、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.26g(0.43ミリモル)加えた。更に22mLのトルエンを1時間かけてゆっくり留出させた。トルエンを更に10mL加えた後、更に3時間かけてトルエンを11mL除去した。NMR分析による変換度は>97%であった。この混合物を室温に冷却した後、酢酸エチルで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過に続いて溶媒を減圧下で除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、化合物IIを粘性のあるほぼ無色の油として10.23g(89%)得た。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.03(m、1H、R2CH−OCOCH2−);4.92(m、1H、R2CHOCONH−);4.68(br s、1H、NH);3.18(br dt、2H、−CH 2−NH−);2.28(t、2H、−CH2COO−);2.23(s、3H、CH3NC(CH3)2);1.90−1.35(in、14H、CH2(CH 2)3CH2、CH 2C(CH3)2、1.13(d、24H、CH2C(CH 3)2)。化合物IIのTGA T−10%値は237℃であった。
実施例3. 6−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンオキシカルボニルアミノ)ウンデカン酸2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(化合物III)の調製
250mLの1口反応フラスコに磁気撹拌子と蒸留ヘッドを装備して、これに温度計、コンデンサおよび受け用フラスコ(窒素入り口が備わっておりそして出口はバブラーにつながっている)を取り付けた。このフラスコに化合物Bを4.3g(11.57ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを7.27g(46.3モル)およびキシレンを200mL仕込んだ。窒素をゆっくり流しながらキシレンを25mL留出させた後、トラップの排液を行った。熱源を下げて前記混合物を110℃に冷却した後、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.17g(0.28ミリモル)加えて、熱源を上昇させた。更に290mLのキシレンを7時間かけてゆっくり留出させ、3時間が経過した時点でキシレンを100mL仕込んだ。キシレンを更に240mL加えた後、蒸留を更に12時間継続し、この時間の間に175mL集めた。NMR分析は変換率が>90%であることを示していた。この混合物を室温に冷却した後、エーテルで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過に続いて溶媒を減圧下で除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、化合物IIIを黄色の油として5.5g(83%)得た。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.19(m、1H、R2CH−OCOCH2−);5.06(m、1H、R2CHOCONH−);4.62(br s、1H、NH);3.17(br dt、2H、−CH 2−NH−);2.25(t、2H、−CH2COO);2.00−1.20(m、26H、CH 2C(CH3)2、CH2(CH 2)9CH2)、1.20(d、24H、CH2C(CH 3)2)。
実施例4. 6−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジンオキシカルボニルアミノ)ウンデカン酸1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(化合物IV)の調製
250mLの1口反応フラスコに磁気撹拌子と蒸留ヘッドを装備して、これに温度計、コンデンサおよび受け用フラスコ(窒素入り口が備わっておりそして出口はバブラーにつながっている)を取り付けた。このフラスコに化合物Bを4.5g(12.1ミリモル)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールを8.3g(48.4モル)およびキシレンを200mL仕込んだ。窒素をゆっくり流しながらキシレンを25mL留出させた後、トラップの排液を行った。熱源を下げて前記混合物を110℃に冷却した後、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.19g(0.31ミリモル)加えた。更に450mLのキシレンを24時間かけて留出させ、5時間、21時間および23時間が経過した時点でそれぞれ100mL、100mLおよび150mL加えた。この混合物を室温に冷却した後、エーテルで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後NaOH水溶液そして次に更に水で洗浄した後、最後に硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過に続いて溶媒を減圧下で除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、化合物IVをほぼ無色の油として5.4g(79%)得た。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.05(m、1H、R2CH−OCOCH2−);4.94(m、1H、R2CHOCONH−);4.65(br s、1H、NH);3.16(br dt、2H、−CH 2−NH−);2.25(t、2H、t、2H、−CH2COO−);2.23(5、3H、CH3NC(CH3)2);1.90−1.28(m、26H、CH2(CH2)9CH2、CH 2C(CH3)2)、1.10(d、24H、CH2C(CH 3)2)。
実施例5. 6−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルオキシ)オキソアセチル]アミノヘキサン酸2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(化合物V)の調製
250mLの1口反応フラスコに磁気撹拌子そしてコンデンサおよび窒素入り口/出口付きDean−Starkトラップを装備した。このフラスコに化合物Cを10.0g(43.3ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを20.4g(130ミリモル)およびトルエンを150mL仕込んだ。窒素をゆっくり流しながらトルエンを15mL留出させた後、トラップの排液を行った。熱源を下げて前記混合物を110℃に冷却した後、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.46g(0.76ミリモル)加えて、熱源を上昇させた。更に110mLのトルエンを9時間かけてゆっくり留出させた後、キシレンを25mL加えて、更に溶媒を6時間かけて20mL留出させた。その結果として得た混合物を室温に冷却した後、酢酸エチルで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後、モレキュラーシーブで乾燥させた。濾過に続いて溶媒を減圧下で除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、化合物Vを黄色の油として13.0g(62%)得た。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 7.15(m、1H、NHCO−);5.32(m、1H、R2CHOCO−);5.20(m、1H、R2CHOCO−);3.38(dt、2H、−CH 2−NH−);2.28(t、2H、−CH2COO−);2.05−1.10(m、14H、CH2(CH2)3CH2)、CH 2C(CH3)2);1.20(d、12H、CH2C(CH 3)2);1.18(d、12H、CH2C(CH 3)2)。
実施例6. 6−(オクタノイルアミノ)ヘキサン酸2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(化合物VI)の調製
250mLの1口反応フラスコに磁気撹拌子そしてコンデンサおよび窒素入り口/出口付きDean−Starkトラップを装備した。このフラスコに化合物Dを6.1g(22.5ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを5.29g(33.7ミリモル)およびトルエンを150mL仕込んだ。窒素をゆっくり流しながらトルエンを8mL留出させた後、トラップの排液を行った。熱源を下げて前記混合物を110℃に冷却した後、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.17g(0.28ミリモル)加えて、熱源を上昇させた。更に100mLのトルエンを16時間かけてゆっくり留出させ、その結果として得た混合物を室温に冷却した後、塩化メチレンで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後、無水炭酸ナトリウムで乾燥させた。濾過に続いて溶媒を減圧下で除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下60℃で除去することで、化合物VIを明褐色の蝋として8.0g(90%)得た。この材料の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.60(m、1H、NHCO−);5.18(m、1H、R2CHOCO−);3.25(dt、2H、−CH 2−NH−);2.28(t、2H、−CH2COO−);2.16(t、2H、−CH2CONH−);1.95−1.10(m、20H、CH2(CH 2)3CH2、CH2C(CH 2)5、CH2CH2C(CH3)2);1.20(d、12H、CH2C(CH 3)2);0.88(t、3H、−CH2CH 3)。
実施例7. オリゴマー状HALS化合物(化合物VIIおよびVIII)の合成
100mLの3口丸底フラスコに磁気撹拌子、温度計およびDean−Starkトラップ(コンデンサが付いておりかつバブラーにつながっている窒素入り口/出口が備わっている)を装備して、このフラスコに化合物Aを5.45g(26.8ミリモル)、トルエンを27mL、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを163mg(0.27ミリモル)およびN−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを5.4g仕込んだ。この混合物の加熱を3時間かけて溶媒が13mL留出するように行った。この反応混合物から12mL分量(画分A)を取り出して、これに以下に記述する如き処理を受けさせた。残りの反応混合物を更に2.5時間加熱し、この間に溶媒を8mL留出させた。キシレンを更に10mL加えた後、温度を3時間かけて溶媒が更に15mL留出するように上昇させた。その結果として得た反応混合物(画分B)に以下に記述する如き処理を受けさせた。
【0221】
画分Aの処理:
前記12mL分量を塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した後、乾燥(MgSO4)させ、濾過した後、溶媒を減圧下で除去した。溶媒を更に真空(<1mm)下50−60℃で除去することで化合物VIIを無色透明な半固体として4.4g得た。ポリスチレン標準を用いた高性能サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(HPSEC)により、この材料の数平均分子量(Mn)の値は2,000であった。この材料の構造を1H NMRで確認した。1H NMR(CDCl3):δ 5.07(m、0.5H、R2CH−OCOCH2−);4.94(m、0.5H、R2CHOCONH−);4.65(br s、1H、NH);3.92(ほぼq、2H、−CH 2−OCOCH2、−CH 2−OCONH−);3.68(s、0.44H、−CH2−COOCH 3);3.66(s、0.44H、−NHCOOCH 3);3.18(br m、2H、−CH 2−NH−);2.65(t、2H、CH2CH 2−N);2.28(ほぼq、2H、−CH2COO−);1.90−1.30(m、12H、CH2(CH 2)3CH2)、CH 2C(CH3)2);1.10(d、12H、CH2C(CH 3)2)。
【0222】
画分Bの処理:
前記反応混合物の残りを塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した後、乾燥(MgSO4)させ、濾過した後、溶媒を減圧下で除去した。溶媒を更に真空(<1mm)下80−90℃で除去することで化合物VIIIを白色発泡体として4.6g得た。ポリスチレン標準を用いた高性能サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(HPSEC)により、この材料の数平均分子量(Mn)の値は8,800であった。この材料の構造を1H NMRで確認した。1H NMR(CDCl3):δ 5.07(m、0.5H、R2CH−OCOCH2−);4.94(m、0.5H、R2CHOCONH−);4.65(br s、1H、NH);3.92(ほぼq、2H、−CH 2−OCOCH2、−CH 2−OCONH−);3.68(s、0.16H、−CH2−COOCH 3);3.66(s、0.16H、−NHCOOCH 3);3.18(br m、2H、−CH 2−NH−);2.65(t、2H、CH2CH 2−N);2.28(ほぼq、2H、−CH2COO−);1.90−1.30(m、12H、CH2(CH 2)3CH2)、CH 2C(CH3)2);1.10(d、12H、CH2C(CH 3)2)。
実施例8. 塩基触媒を用いて6−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンオキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン(化合物I)を生じさせる単一段階反応
100mLの3口丸底フラスコに磁気撹拌子、無水トルエンを入れる滴下漏斗そしてコンデンサおよび窒素入り口/出口付きDean−Starkトラップを装備して、このフラスコにカプロラクタムを1.69g(15ミリモル)、ジブチルカーボネートを2.74g(15.75ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを4.94g(31.5ミリモル)およびトルエンを50mL仕込んだ。この混合物を加熱用マントルの温度である142℃にまで加熱すると、結果として、6mLの溶媒が留出してトラップの中に入った。この混合物を冷却した後、この混合物にナトリウムメトキサイドを75mg(1.39ミリモル)加えた。この混合物を再び加熱して沸騰させ、4時間かけて20mL留出させてトラップの中に入れた。このトラップの排液を行った後、前記混合物に25mLのトルエンを滴下漏斗に通して加えた。更に25mLの溶媒を4時間かけて留出させた後、無水キシレンを25mL加えて、35mLの溶媒を6時間かけて除去した。1H NMRは出発材料の変換率は>95%であることを示していた。室温に冷却し、塩化メチレンで希釈し、水で洗浄し、乾燥(モレキュラーシーブ)させ、濾過した後、溶媒を減圧下で除去することで黄色の油を得た。揮発物を更に90℃/0.8mmで除去することで明黄色の半固体を5.0g(75%収率)得た。1H NMRは、所望のヒンダードアミンである化合物Iが約85%の純度で存在することを示していた。
実施例9. ルイス酸触媒を用いて6−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンオキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン(化合物I)を生じさせる単一段階反応
250mLの3口丸底フラスコに磁気撹拌子そしてコンデンサおよび窒素入り口/出口付きDean−Starkトラップを装備して、このフラスコにカプロラクタムを16.9g(150ミリモル)、ジブチルカーボネートを39.2g(225ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを70.65g(450ミリモル)およびトルエンを200mL仕込んだ。この混合物をポット温度(pot temperature)が120℃になるまで加熱すると、結果として、12mLの溶媒が留出してトラップの中に入った。この混合物を冷却した後、この混合物にチタン(IV)イソプロポキサイドを0.85g(3ミリモル)加えた。この混合物を再び加熱して沸騰させ、そしてポット温度を20時間かけて120℃から徐々に高くして210℃にすることで溶媒を留出させた。1H NMRは出発材料の変換率は>95%であることを示していた。トラップを取り外して、このフラスコに蒸留ヘッドと蒸気ジャケット付きコンデンサを取り付けた。固体状の不純物(28.0g)を75−120℃/0.8mmで留出させた。このフラスコに残存する残留物を塩化メチレンで希釈した後、これに水を0.3mL加えた。撹拌を室温で一晩行い、濾過し、溶媒を除去することで、濃密な明黄色の油を59.0g(89%収率)得た。1H NMRは、所望のヒンダードアミンIが約90%の純度で存在することを示していた。この油にヘキサンを30g加えて、この混合物を均一になるまで加熱した。5℃に冷却しそしてこの温度に12時間放置した後、濾過することで、所望ヒンダードアミンIを融点が51−54℃の白色固体として36g(53%収率)で得たが、これの1H NMRによる純度は約95%であった。
実施例10: BPIPと化合物Aからオリゴマー状HALS化合物(IX)の調製
250mLの3口丸底フラスコに磁気撹拌子、温度計、およびDean−Starkトラップ(コンデンサが付いておりかつバブラーにつながっている窒素入り口/出口が備わっている)を装備して、このフラスコに化合物Aを5.0g(24.6ミリモル)、混合キシレンを100mLおよびN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサンジアミン(BPIP)を9.69g(24.6ミリモル)仕込んだ。この混合物を還流に1時間加熱した後、熱源を下げ、Dean−Starkトラップに集められたキシレンを30mL排出させた後、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.22g(0.37ミリモル)加えた。この混合物を沸点になるまで再び加熱して、数時間かけて溶媒を更に50mL集めた。無水キシレンを更に100mL加えた後、数時間留出させた。この混合物を室温に冷却し、塩化メチレンで希釈し、水で洗浄し、乾燥(モレキュラーシーブ)させ、濾過した後、溶媒を減圧下で除去することで、化合物IXを粘着性の黄色がかった固体として12.1g得た。
【0223】
【化72】
【0224】
[ここで、iおよびjは整数であり、そしてiとjの合計は2に等しいか或はそれ以上である]。化合物IXの構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 4.58(br m、NH)、4.35(m、R2CHNR2);3.65(s、CH3O−);3.25(ほぼq、−CH 2−NH);3.00(ほぼq、−CH 2−NRCO−);2.89(m、R2CHNHR);2.37(t、2H、−CH2COO);1.90−0.89(m、N−CH2(CH 2)4CH 2−N、COCH2(CH 2)3CH2NH、CH 2C(CH3)2、CH2C(CH3)2)。
実施例11. カプロラクタムとN−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとジブチルカーボネートからオリゴマー状HALSを生じさせる単一段階反応
50mLの3口丸底フラスコに磁気撹拌子そしてコンデンサおよび窒素入り口/出口付きDean−Starkトラップを装備して、このフラスコにN−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを1.0g(497ミリモル)、カプロラクタムを0.56g(4.97ミリモル)、ジブチルカーボネートを0.86g(4.97ミリモル)、トルエンを30mLおよびナトリウムメトキサイドを40mg(0.75ミリモル)仕込んだ。このフラスコをオイルバスに浸けて4時間加熱することで溶媒を留出させた。次に、この反応混合物にキシレンを20mL加えた後、4時間かけて更に溶媒を20mL留出させた。その結果として得た混合物を室温に冷却した後、ジクロロメタンで希釈した。この有機溶液を水で洗浄し、乾燥(MgSO4)させた後、濾過した。次に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を減圧下で除去した後、更に真空(<1mmHg)下95℃で除去することで化合物VIIを1.5g(88%)得た。化合物VIIの構造を1H NMRで立証した。
実施例12. 化合物Aの低温合成
250mLの3口丸底フラスコに磁気撹拌子、磨りガラス製ストッパー、コンデンサ、窒素入り口および温度計を装備して、このフラスコにジメチルカーボネートを50.33g(558ミリモル)およびナトリウムメトキサイドを1.04g(19.3ミリモル)仕込んだ。この混合物を15℃に冷却した後、カプロラクタムを21.8g(193ミリモル)加えた。この混合物を撹拌しながら断続的に冷却することで反応温度を約9から18℃の範囲に45分間維持した後、<19℃で氷酢酸を2.4g(40ミリモル)加えた。この混合物を100mLの塩化メチレンに溶解させ、有機層を水で抽出し、乾燥(MgSO4)させ、濾過した後、溶媒を減圧下で除去し、続いて真空(<1mmHg)下95℃で更に除去した。化合物Aをほぼ無色の油として39.0g(99%)回収した。
実施例13: 化合物EとFの混合物と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの反応でHALS混合物を調製
250mLの3口反応フラスコに磁気撹拌子、温度計アダプタおよび蒸留ヘッド(コンデンサ、受け槽および窒素入り口/出口付き)を装備した。このフラスコにこの上で生じさせたE/F混合物を4.3g(10.45ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールを7.27g(46.3ミリモル)およびキシレンを200mL仕込んだ。窒素をゆっくり流しながらキシレンを10mL留出させた後、トラップの排液を行った。熱源を下げて前記混合物を110℃に冷却した後、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.17g(0.28ミリモル)加えて、熱源を上昇させた。更に172mLのキシレンを12時間かけてゆっくり留出させた。その結果として得た混合物を室温に冷却した後、酢酸エチルで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後、モレキュラーシーブで乾燥させた。濾過に続いて溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、組成物M−Iを黄色の油として5.6g(93%)得た。この混合物に入っている化合物の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.41(br s、NH);5.19(m、R2CH−OCOCH2−);5.06(m、R2CHOCONH−);4.62(br s、NH);3.22(dt、−CH 2−NH−);3.17(br dt、−CH 2−NH−);2.25(t、−CH2COO);2.00−1.20(m、CH 2C(CH3)2、CH2(CH 2)9CH2)、1.20(d、CH2C(CH 3)2)。
【0225】
【化73】
【0226】
実施例14: 化合物EとFの混合物と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールの反応でHALS混合物を調製
500mLの3口反応フラスコに磁気撹拌子、温度計アダプタおよび蒸留ヘッド(コンデンサ、受け槽および窒素入り口/出口付き)を装備した。このフラスコにこの上で生じさせたE/F混合物を7.9g(19.2ミリモル)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールを14.5g(85.04ミリモル)およびキシレンを300mL仕込んだ。窒素をゆっくり流しながらキシレンを100mL留出させた後、トラップの排液を行った。熱源を下げて前記混合物を100℃に冷却した後、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンを0.34g(0.56ミリモル)加えて、熱源を上昇させた。更に160mLのキシレンを10時間かけてゆっくり留出させた。更にキシレンを20mL添加し、加熱を8時間継続したが、この時間の間にキシレンを32mL集めた。その結果として得た混合物を室温に冷却した後、塩化メチレンで希釈した。この有機溶液を水で洗浄することで過剰量のアミノアルコールを除去した後、MgSO4で乾燥させた。濾過に続いて溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、更に溶媒を真空(<1mm)下95℃で除去することで、組成物M−IIを黄色の油として11.2g(96%)得た。この混合物に入っている化合物の構造を1H NMR分析で立証した。1H NMR(CDCl3):δ 5.42(br s、1H、NH);5.05(m、R2CH−OCOCH2−);4.94(m、R2CHOCONH−);4.65(br s、NH);3.22(dt、−CH 2−NH−);3.16(br dt、−CH 2−NH−);2.25(t、−CH2COO−);2.23(s、CH3NC(CH3)2);1.90−1.28(m、CH2(CH 2)9CH2、CH 2C(CH3)2)、1.10(d、CH2C(CH 3)2)。
【0227】
【化74】
【0228】
本発明に従うHALS化合物の性能
実施例15−21. 6−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジンオキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン(化合物II)を含有させた2kアクリル系ウレタンクリアコート組成物の耐候性
化合物II(全樹脂固体量を基準にして1%)を前以て溶媒混合物に溶解させ(5−10%の固体量)た後、表Iに示す透明な2kアクリル系ウレタン調合物に加えた。この2kアクリル系ウレタンは、ヒドロキシ官能アクリル系重合体とイソシアネート架橋剤を反応させることで生じさせた2成分ウレタンである。成分IとIIの混合を使用直前に行った。E−コート下塗り剤と白色ベースコートが前以て被覆されている寸法が4”x12”の冷間圧延鋼板[ACT Laboratories,Inc.(Hillsdale、ミシガン州)から得た]に透明なコートを付着させた。Leneta Co.(Ho−Ho−Kus、N.J)から入手可能なWC−60 WIRE−CATORS(商標)を使用したドローダウン(draw−down)技術を用いて、その透明なコートを前記前以て被覆されている板に塗布した。この透明なコートにフラッシュ洗浄(flash)を周囲温度で10分間受けさせた後、120℃で30分間硬化させた。
【0229】
【表1】
【0230】
前記コーティングに促進耐候試験(accelerated weathering)をUVA−340蛍光灯が備わっているQUV促進耐候試験装置[Q Panel Laboratory Products(クリーブランド、OH)から商業的に入手可能]およびSAE J1960自動車外装試験プロトコルに従うキセノンアークランプが備わっているAltas Ci65 WeatherOmeter(「Xenon WOM」)[Atlas Electronic Deviced Co(シカゴ、IL)から商業的に入手可能]を用いて受けさせた。南フロリダにおける50度南直接耐候試験(50 deg South direct weathering)を用いて自然耐候試験を実施した。反射特性(光沢および画像の鮮明度、またはDOI)、全体色変化(デルタE)および黄色化(デルタb)を耐候試験時間の関数として測定した。反射特性の測定をASTM E284およびD253に記述されているようにして実施した。色変化および黄色化の測定をASTM D2244に記述されているようにして実施した。
【0231】
化合物IIがQUV耐候試験下で示した性能を実施例15−17に要約する。化合物IIが光沢保持に対して示した効果を実施例15に示し、DOI保持に対して示した効果を実施例16に示しそしてデルタEに対して示した効果を実施例17に示す。
実施例15. 化合物IIを用いた安定化を受けさせた2kアクリル系ウレタンクリアコートのQUV耐候試験(UVA−340球)、光沢保持パーセントに対する効果
【0232】
【表2】
【0233】
2kアクリル系ウレタンクリアコートに化合物IIを1%用いた安定化を受けさせると安定剤を全く含有させなかった2kウレタンクリアコートに比べて光沢保持パーセントが優れることが分かった。
実施例16. 化合物IIを用いた安定化を受けさせた2kアクリル系ウレタンクリアコートのQUV耐候試験(UVA−340球)、DOI保持パーセントに対する効果
【0234】
【表3】
【0235】
2kアクリル系ウレタンクリアコートに化合物IIを1%用いた安定化を受けさせると安定剤を全く含有させなかった2kウレタンクリアコートに比べてDOI保持パーセントが優れることが分かった。
実施例17. 化合物IIを用いた安定化を受けさせた2kアクリル系ウレタンクリアコートのQUV耐候試験(UVA−340球)、デルタEに対する効果
【0236】
【表4】
【0237】
2kアクリル系ウレタンクリアコートに化合物IIを1%用いた安定化を受けさせると安定剤を全く含有させなかった2kウレタンクリアコートに比べて全体色変化(デルタE)に対して優れた効果が得られた。デルタEが高くなることはウレタンコートが好ましくなく変色することを示している。
【0238】
この上に示した特性に加えて膨れを目で評価した。約7011時間後、安定化を受けさせなかったコーティングは完全に剥がれたが、化合物IIを含有させたコーティングは膨れの兆候を全く示さなかった。
【0239】
化合物IIがXenon WOM耐候試験下で示した性能を実施例18−20に要約する。化合物IIが光沢保持に対して示した効果を実施例18に示し、化合物IIがDOI保持に対して示した効果を実施例19に示しそしてデルタEに対して示した効果を実施例20に示す。化合物IIが自然耐候試験(フロリダ)下で光沢保持、黄色化(デルタb)および全体色変色(デルタE)に対して示した効果を実施例21に示す。
実施例18. 化合物IIを用いた安定化を受けさせた2kポリウレタンアクリル系コーティングのキセノン耐候試験(SAE J1960自動車外装)、光沢保持パーセントに対する効果
【0240】
【表5】
【0241】
2kアクリル系ウレタンクリアコートに化合物IIを1%用いた安定化を受けさせると安定剤を全く含有させなかった2kウレタンクリアコートに比べて光沢保持が優れることが分かった。
実施例19. 化合物IIを用いた安定化を受けさせた2kポリウレタンアクリル系コーティングのキセノン耐候試験(SAE J1960自動車外装)、DOI保持パーセントに対する効果
【0242】
【表6】
【0243】
2kアクリル系ウレタンクリアコートに化合物IIを1%用いた安定化を受けさせると安定剤を全く含有させなかった2kウレタンクリアコートに比べてDOI保持パーセントが優れることが分かった。
実施例20. 化合物IIを用いた安定化を受けさせた2kポリウレタンアクリル系コーティングのキセノン耐候試験(SAE J1960自動車外装)、デルタEに対する効果
【0244】
【表7】
【0245】
2kアクリル系ウレタンクリアコートに化合物IIを1%用いた安定化を受けさせると安定剤を全く含有させなかった2kウレタンクリアコートに比べて全体色変化(デルタE)に対して優れた効果が得られた。デルタEが高くなることはウレタンコートが好ましくなく変色することを示している。
【0246】
この上に示した特性に加えて亀裂の度合を5003時間後に目で評価した。0が最良である0から5の等級を用いた時、安定化を受けさせなかったコーティングの等級は5(ひどい亀裂)であったが、化合物IIを1%用いた安定化を受けさせたコーティングの等級は1(亀裂が非常に僅か)であった。
実施例21. 化合物IIを用いた安定化を受けさせた2kアクリル系ウレタンクリアコートのフロリダ耐候試験(50度南、直接、18カ月)、光沢保持、黄色化(デルタb)および全体色変化(デルタE)に対する効果
【0247】
【表8】
【0248】
2kアクリル系ウレタンクリアコートに化合物IIを1%用いた安定化を受けさせると安定剤を全く含有させなかった2kウレタンクリアコートに比べて自然耐候試験条件下で光沢保持、黄色化および全体色変化に対して優れた性能が得られることが分かった。デルタEが高くなることはウレタンコーティングが好ましくなく変色することを示している。デルタbが高くなることはウレタンコーティングが好ましくなく黄色化することを示している。
実施例22. ポリプロピレン製品における化合物IIと通常のHALS化合物の比較
化合物IIおよび数種の市販HALS化合物の各々を2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール含有量が0.1%のPROFAX 6501ポリプロピレン粉末[Montell USA,Inc.(Wilmington、DE)から商業的に入手可能]に0.25%の充填レベルで乾式混合した。蒸気2本ローラーミル(steam double roller mill)を25rpmで用いて前記混合物を160−170℃で4分間混練りした。次に、このサンプルに圧縮成形を30トンの最大圧力下200℃で3分間受けさせることでフィルムにした。暴露試験用サンプルの厚みを各フィルム毎に測定して2.0から2.5ミルの範囲内になるようにした。これらのサンプルに暴露を乾式キセノン耐候試験器および120℃のオーブンの中で受けさせた。Perkin−Elmer Corp.(Norwalk、CT)から入手可能なPerkin−Elmer 1310赤外分光光度計を用いてカルボニル吸収強度の上昇を測定することでサンプルの劣化を追跡した。カルボニル発生パーセントを下記の関係:
カルボニル発生%=(Ax−A0)/a*1
[ここで、
A0=未暴露フィルムが5.85ミクロンの所に示した吸光度−5.35ミクロンの所に示した吸光度
Ax=暴露フィルムが5.85ミクロンの所に示した吸光度−5.35ミクロンの所に示した吸光度
a=0.20(ポリプロピレンが有する「カルボニル」の吸光度)
l=フィルム厚(ミル)]
に従って表す。暴露終点をカルボニル発生レベルが0.1%に到達するに要する暴露時間として定義した。表IIに示すデータは、化合物IIと他のいろいろな市販HALS化合物を比較するデータである。
【0249】
【表9】
【0250】
表IIに示したデータは、XeWOMを用いた2000時間の暴露後に化合物IIは安定化を受けさせていない系に比べて優れた性能を示しかつ試験を受けさせた他のHALS化合物に比べて同様または優れた性能を示すことを立証している。
【0251】
本発明のHALS化合物と通常のHALSの比較
実施例23. 通常のHALSとの比較において化合物I−IV、VIIおよびVIIIがPROFAX 6501ポリプロピレン製品で示した性能
化合物I−IV、VIIおよびVIIIに加えて数種の市販HALS化合物の各々をステアリン酸カルシウム[Witco Corp.(Greenwich、CT)から商業的に入手可能]含有量が0.07パーセントでCyanox A−2777[Cytec Industries(West Paterson、NJ)から商業的に入手可能]含有量が0.07パーセントのPROFAX 6501ポリプロピレン粉末[Montell USA,Inc.(Wilmington、DE)から商業的に入手可能]に0.2%の充填レベルで乾式混合した。混合用単軸押出し加工機が備わっているBrabender PL−2000トルクレオメーターベース[C.W.Brabender Inc.(South Hackensack、NJ)から商業的に入手可能]−5ゾーンを用い、ゾーン1−5の温度をそれぞれ210℃、215℃、220℃、225℃および230℃にして、50−75rpmで1回通すことで、その混合した材料を溶融状態で混合した。押出された物を冷却し、乾燥させた後、ペレット状にした。PHIプレス[Pasadena Hydraulics Inc.、(The City of Industry、CA)から商業的に入手可能]を用いてペレットを275℃で圧縮成形することでサンプルプラーク(2x2.5x0.100インチ)を生じさせた。ASTM G−26標準に断定されているように、キセノンアーク耐候試験器を用い、試験方法B[大気温度を63±3℃に維持しかつ相対湿度を30±5パーセント(フロリダのマイアミの条件)に維持しながら光と暗闇に交互にさらしそして間欠的に水スプレーにさらす]を用いて、サンプルプラークに暴露を受けさせた。Macbeth Color Eye Colorimeter[Gretag−MacBeth LLC(New Windsor、NY)から商業的に入手可能]を実験室条件下で用いて色(ΔE)を測定したが、イルミネートC(illuminate C)を伴わせ、観察者との角度を2°にし(2°observer)、反射構成要素を排除してUV構成要素を含めた。Gardnerブラックプレート60°Glossmeterを用い、ASTM D523標準に従い、測定偏差損(measuring deviation loss)を50パーセントにして、反射光沢を測定した。また、Arburg「Allrounder」油圧射出成形機[Arburg GmbH & Co.(Lossburg、ドイツ)から商業的に入手可能]を用いてペレットを射出成形して引張り用棒材を生じさせた。用いた温度は下記の通りであった:ノズル:200℃、ノズル側面:220℃、中央:225℃、フィード:210℃および鋳型:52℃。前記混合した材料をまた薄膜にも成形した。この薄膜の調製を実施例22に記述した如く行った。
【0252】
化合物I−IV、VIIおよびVIIIをTinuvin 765[ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、CAS#41556−26−7][Ciba Specialties Corp.(Hawthorne、NY)から商業的に入手可能];Tinuvin 770[ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、CAS#52829−07−9][Ciba Specialties Corp.(Hawthorne、NY)から商業的に入手可能];Tinuvin 622[1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル ピペリジン−こはく酸ジメチルエステルの共重合体、CAS#65447−77−0][Ciba Specialties Corp.(Hawthorne、NY)から商業的に入手可能];Chimasorb 944[ポリ[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル]−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]、CAS#71878−19−8][Ciba Specialties Corp.(Hawthorne、NY)から商業的に入手可能];Tinuvin 783[Chimasorb 944とTinuvin 622の1:1混合物][Ciba Specialties Corp.(Hawthorne、NY)から商業的に入手可能]と比較した。
【0253】
表IIIに、ポリプロピレンプラークにおけるΔE=3の時間および50%光沢保持の時間および破壊(薄膜に生じるカルボニルの発生で測定)の時間に関する本発明のHALSと数種の市販HALSの比較を示す。表IVに、引張り用PROFAXポリプロピレン製棒材における50%強度保持、50%伸び保持および50%引張り強度保持の時間に関する本発明のHALSと数種の市販HALS化合物の比較を示す。
【0254】
【表10】
【0255】
【表11】
【0256】
表IIIおよびIVに示したデータは、本発明のHALSは安定化を受けさせていない系に比べて優れた性能を示しかつ市販HALS化合物に比べて同様または優れた性能を示すことを立証している。
実施例24. 通常のHALSとの比較において化合物I−IV、VII−VIIIがポリエチレン製品で示した性能
化合物I−IVおよびVII−VIIIに加えて数種の市販HALS化合物の各々をステアリン酸亜鉛[Malinckrodt Chemicals(セントルイス、MO)から商業的に入手可能]含有量が0.01パーセントでCyanox A−2777[Cytec Industries(West Paterson、NJ)から商業的に入手可能]含有量が0.07パーセントのLLDPEプリル(prills)[Equistar Chemicals LP(ヒューストン、TX)から商業的に入手可能]に0.1パーセントの充填レベルで乾式混合した。混合用単軸押出し加工機が備わっているBrabender PL−2000トルクレオメーターベース−5ゾーンを用い、ゾーン1−5の温度をそれぞれ170℃、175℃、180℃、185℃および190℃にして、50−75rpmで1回通すことで、その混合した材料を溶融状態で混合した。押出された物を冷却し、乾燥させた後、ペレット状にした。PHIプレスを用いてペレットを177℃で圧縮成形することでサンプルプラーク(2x2.5x0.100インチ)を生じさせた。ASTM G−26標準に断定されているように、キセノンアーク耐候試験器を用い、試験方法B[大気温度を63±3℃に維持しかつ相対湿度を30±5パーセント(フロリダのマイアミの条件)に維持しながら光と暗闇に交互にさらしそして間欠的に水スプレーにさらす]を用いて、サンプルプラークに暴露を受けさせた。Macbeth Color Eye Colorimeterを実験室条件下で用いて色(ΔE)を測定したが、イルミネートCを伴わせ、観察者との角度を2°にし、反射構成要素を排除してUV構成要素を含めた。前記混合した材料をまた薄膜にも成形した。この薄膜の調製を実施例22に記述した如く行った。
【0257】
表Vに、LLDPEプラークおよび薄膜におけるΔE=3の時間および50%光沢保持の時間および破壊(カルボニルの発生で測定)の時間に関する本発明のHALS化合物と数種の市販HALS化合物の比較を示す。
【0258】
【表12】
【0259】
表Vに示したデータは、本発明のHALSは安定化を受けさせていない系に比べて優れた性能を示しかつ市販HALS化合物に比べて同様または優れた性能を示すことを立証している。
実施例25. 通常のHALSとの比較において化合物VIIIがポリプロピレン製品で示した性能
化合物VIII、化合物VIIIとCyasorb(商標)UV−3346の1:1混合物、Cyasorb(商標)UV−3346および数種の市販HALS化合物の各々をステアリン酸カルシウム[Witco Corp.(Greenwich、CT)から商業的に入手可能]含有量が0.07パーセントでCyanox A−2777[Cytec Industries(West Paterson、NJ)から商業的に入手可能]含有量が0.07パーセントのPROFAX 6501ポリプロピレンフレーク[Montell USA,Inc.(Wilmington、DE)から商業的に入手可能]に0.2%の充填レベルで乾式混合した。混合用単軸押出し加工機が備わっているBrabender PL−2000トルクレオメーターベース[C.W.Brabender Inc.(South Hackensack、NJ)から商業的に入手可能]−5ゾーンを用い、ゾーン1−5の温度をそれぞれ210℃、215℃、220℃、225℃および230℃にして、50−75rpmで1回通すことで、その混合した材料を溶融状態で混合した。押出された物を冷却し、乾燥させた後、ペレット状にした。PHIプレス[Pasadena HydraulicsInc.、(The City of Industry、CA)から商業的に入手可能]を用いてペレットを275℃で圧縮成形することでサンプルプラーク(2x2.5x0.100インチ)を生じさせた。ASTM G−26標準に断定されているように、キセノンアーク耐候試験器を用い、試験方法B[大気温度を63±3℃に維持しかつ相対湿度を30±5パーセント(フロリダのマイアミの条件)に維持しながら光と暗闇に交互にさらしそして間欠的に水スプレーにさらす]を用いて、サンプルプラークに暴露を受けさせた。Gardnerブラックプレート60°Glossmeterを用い、ASTM D523標準に従い、測定偏差損を50パーセントにして、反射光沢を測定した。
実施例25: PROFAX 6501ポリプロピレンプラークにおける本発明の化合物VIIIと通常のHALSの性能の比較
【0260】
【表13】
【0261】
実施例25に示したデータは、本発明のHALSは市販HALS化合物に比べて同様または優れた性能を示すことを立証している。
実施例26. 通常のHALSとの比較において化合物IおよびIIがNylon 6プラークで示した性能
化合物IおよびIIおよび数種の市販HALS化合物の各々をCyanox A−2777[Cytec Industries(West Paterson、NJ)から商業的に入手可能]含有量が0.075%のB85ZP Nylon 6[Honeywell Inc.(Morris Township、NJ)から商業的に入手可能]に0.3%の充填レベルで乾式混合した。0.75インチで25:1の単軸押出し加工機が備わっているHaake SS[Haake Inc.(USA)(Paramus、NJ)から商業的に入手可能]−4ゾーンを用い、ゾーン1−4の温度をそれぞれ245℃、260℃、270℃および260℃にして、70rpmで1回通すことで、その混合した材料を溶融状態で混合した。押出された物を冷却し、乾燥させた後、ペレット状にした。Arburg Allrounder 320−210−750射出成形機[Arburg GmbH & Co.(Lossburg、ドイツ)から商業的に入手可能]を用いてペレットを射出成形してサンプルプラーク(2x2.5x0.100インチ)を生じさせたが、ここでは、ノズルを245℃にし、ノズル側面を260℃にし、中央を270℃にし、フィードを270℃にそして鋳型を82℃にした。ASTM G−26標準に断定されているように、キセノンアーク耐候試験器を用い、試験方法B[大気温度を63±3℃に維持しかつ相対湿度を30±5パーセント(フロリダのマイアミの条件)に維持しながら光と暗闇に交互にさらしそして間欠的に水スプレーにさらす]を用いて、サンプルプラークに暴露を受けさせた。Macbeth Color Eye Colorimeterを実験室条件下で用いて色の測定を黄色指数(YI)およびΔEとして実施し、イルミネートCを伴わせ、観察者との角度を2°にし、反射構成要素を排除してUV構成要素を含めた。
実施例26: Nylon 6プラークにおける化合物IおよびIIと通常のHALSの性能の比較
【0262】
【表14】
【0263】
実施例26に示したデータは、本発明のHALSは安定化を受けさせていない系に比べて優れた性能を示しかつ他のHALS化合物に比べて同様または優れた性能を示すことを立証している。
【0264】
本明細書に記述および請求する発明は範囲の点で本明細書に開示した具体的な態様に限定されない、と言うのは、これらの態様は本発明のいくつかの面の説明を意図したものであるからである。相当する如何なる態様も本発明の範囲内であることを意図する。実際、この上で行った説明から本分野の技術者に本明細書に示しかつ説明した発明に加えて本発明のいろいろな修飾形が明らかになるであろう。そのような修飾形もまた添付請求の範囲内であることを意図する。
Claims (13)
- 少なくとも1種の高分子材料を含有しかつ式(I)で表される化合物が
- 前記少なくとも1種の化合物の量がこの高分子製品の約0.01から10重量パーセントである請求項1記載の高分子製品。
- 前記高分子材料がポリオレフィン;ポリエステル;ポリエーテル;ポリケトン;ポリアミド;天然および合成ゴム;ポリウレタン;ポリスチレン;ハイインパクトポリスチレン;ポリアクリレート;ポリメタアクリレート;ポリアセタール;ポリアクリロニトリル;ポリブタジエン;ポリスチレン;ABS;SAN(スチレンアクリロニトリル);ASA(アクリレートスチレンアクリロニトリル);酢酸酪酸セルロース;セルロース系重合体;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリエーテルイミド;ポリフェニルスルフィド;PPO;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート;ポリケトン;脂肪族ポリケトン;熱可塑性TPO;アミノ樹脂架橋ポリアクリレートおよびポリエステル;ポリイソシアネート架橋ポリエステルおよびポリアクリレート;フェノール/ホルムアルデヒド、尿素/ホルムアルデヒドおよびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂;乾燥性および非乾燥性アルキド樹脂;アルキド樹脂;ポリエステル樹脂;メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、カルバメートおよびエポキシ樹脂で架橋したアクリレート樹脂;脂肪族、環状脂肪族、複素環式および芳香族グリシジル化合物を無水物またはアミンで架橋させることで生じさせた架橋エポキシ樹脂;ポリシロキサン;活性不飽和を有するアミンもしくはブロック化アミンとメチレン化合物のミハエル付加重合体、活性不飽和を有するケチミンとメチレン化合物のミハエル付加重合体、不飽和アクリル系ポリアセトアセテート樹脂と組み合わされたポリケチミン、および不飽和アクリル系樹脂と組み合わされたポリケチミン;放射線硬化性組成物;エポキシメラミン樹脂;有機染料;化粧品;セルロースが基になった紙調合物;写真フィルム紙;インク;およびこれらの混合物から成る群から選択される請求項1記載の高分子製品。
- 前記高分子材料がポリアミドまたはポリオレフィンのホモ重合体もしくは共重合体を含んで成る請求項3記載の高分子製品。
- 更に抗酸化剤、UV吸収剤および光安定剤、金属不活性化剤、ホスファイトおよびホスホナイト、ヒドロキシルアミン、ニトロン、チオシナジスト、過酸化物捕捉剤、ポリアミド安定剤、塩基性共安定剤、核形成剤、充填材および補強剤、ベンゾフラノン、インドリノン、酸捕捉剤、帯電防止剤、発泡剤、触媒、透明化剤、乳化剤、充填材、難燃剤、蛍光白色化剤、赤外吸収剤、均染助剤、滑剤、金属不活性剤、離型剤、核形成剤、オプティカルブライトナー、顔料、可塑剤、流動学的添加剤およびこれらの混合物から成る群から選択される1種以上の添加剤も含んで成る請求項1記載の高分子製品。
- 存在する前記1種以上の添加剤の量がこの高分子製品の約10重量パーセント以下である請求項5記載の高分子製品。
- (a)式(I)で表される化合物が
(b)UV吸収剤および光安定剤および抗酸化剤から成る群から選択される他の少なくとも1種の添加剤、
を含んで成る組成物。 - 前記他の少なくとも1種の添加剤が2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、オキサミド、2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−ヒドロキシベンゾフェノン、立体障害アミンおよびヒンダードフェノール系抗酸化剤から成る群から選択される請求項7記載の組成物。
- 前記少なくとも1種の添加剤が
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール;
2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール;
2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール;
2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール;
2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;
2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール;
2−(3’−s−ブチル−5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール;
2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール;
2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール;
2−(3’,5’−ビス(a,a−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール;
2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、
2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、
2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、
2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、および
2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾールの混合物;
2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール]、
2−[3’−t−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾールと
ポリエチレングリコール300のエステル交換生成物;
[R−CH2CH−COO(CH2)3]2B(ここで、R=3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル);
ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート;
ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシネート;
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバケート;
ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート;
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)n−ブチル;
1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとこはく酸の縮合物;
N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサメチレンジアミンと4−t−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの縮合物;
ニトリロトリ酢酸トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル);
テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;
1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン);
4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
マロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジル);
3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン;
ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート;
ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシネート;
N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの縮合物;
2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物;
2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物;
8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン;
3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピロリジン−2,5−ジオン;
3−ドデシル−1−(1−エタノイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ピロリジン−2,5−ジオン;
3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ピロリジン−2,5−ジオン;
4−ヘキサデシルオキシ−と4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物;
N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサメチレンジアミンと4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの縮合物;
1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンと4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの縮合物;
2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ[4.5]デカン;
オキソ−ピペラジニル−トリアジン、および
7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ[4.5]デカンとエピクロロヒドリンの反応生成物;
2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−(2−ヒドロキシ−4−(混合イソ−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−[4−ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン;
2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン;
2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン;
2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン;
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン;
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;
2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン;
2−ヒドロキシ−4−デシルオキシベンゾフェノン;
2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン;
2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン;
4,2’,4−トリスヒドロキシベンゾフェノン;
2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン;
1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート;
1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート;
1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン;
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;
2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール);
1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン;
b−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールのエステル;
b−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールのエステル;
ジメチル−2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート;
ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート;
ジオクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート;
ジオクタデシル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート;および
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩;
b−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えば
N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン;
N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン;および
N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン;
から成る群から選択される請求項7記載の組成物。 - 前記少なくとも1種の化合物が式Iで表される化合物である請求項9記載の組成物。
- 前記少なくとも1種の化合物が式IIで表される化合物である請求項9記載の組成物。
- 前記少なくとも1種の化合物が式IIIで表される化合物である請求項9記載の組成物。
- 更に安定化を受けさせるべき材料を含んで成っていて前記材料がポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリケトン、ポリアミド、天然および合成ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリスチレン、ABS、スチレンアクリロニトリル、アクリレートスチレンアクリロニトリル、酢酸酪酸セルロース、セルロース系重合体、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリケトン、脂肪族ポリケトン、熱可塑性TPO、アミノ樹脂架橋ポリアクリレートおよびポリエステル、ポリイソシアネート架橋ポリエステルおよびポリアクリレート、フェノール/ホルムアルデヒド、尿素/ホルムアルデヒドおよびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂、乾燥性および非乾燥性アルキド樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂;メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、カルバメート、エポキシ樹脂で架橋したアクリレート樹脂、脂肪族、環状脂肪族、複素環式および芳香族グリシジル化合物を無水物またはアミンで架橋させることで生じさせた架橋エポキシ樹脂、ポリシロキサン、活性不飽和を有するアミンもしくはブロック化アミンとメチレン化合物のミハエル付加重合体、活性不飽和を有するケチミンとメチレン化合物のミハエル付加重合体、不飽和アクリル系ポリアセトアセテート樹脂と組み合わされたポリケチミン、不飽和アクリル系樹脂と組み合わされたポリケチミン、放射線硬化性組成物、エポキシメラミン樹脂、有機染料、化粧品、セルロースが基になった紙調合物、写真フィルム紙、インクおよびこれらの混合物から成る群から選択される請求項7記載の組成物。
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