JP2004537574A - 多部式歯科用漂白系およびそのような系を使用する歯の漂白方法 - Google Patents

多部式歯科用漂白系およびそのような系を使用する歯の漂白方法 Download PDF

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Abstract

漂白成分と中和成分とを含み、ともに混合した際に所望の漂白活性とゲル特性を有する混合組成物を生じる歯科用漂白系。漂白組成物は、漂白組成物の成分の約3重量%から約95重量%の濃度で過酸化水素水のような適当な漂白剤を含む。中和組成物は重合体増粘剤と混合された粒子状の強い塩基を含む。中和組成物は、混合組成物の形成前は、塩基による重合体増粘剤のゲル化能の破壊を防ぐために実質的に水を含まない。粒子状塩基はアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物または炭酸塩を含むことができる。別々の成分として漂白剤と中和剤を維持することで、保存および輸送の間に漂白剤とゲル化(増粘)剤両方の安定性を高めることができる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、歯を漂白するための組成物およびその方法の分野におけるものである。より詳細には、本発明は、2部式漂白系を使用して漂白活性を加速した組成物および方法の分野におけるものである。第1部分は低pHにおいて安定な高濃度の歯科用漂白剤を含み、第2部分は、ゲル化剤と混合した乾燥粒子状塩基を含む。
【背景技術】
【0002】
過去十年間、歯を漂白するための組成物および方法は急激に増加している。院内使用または自宅使用のための組成物は、通常、過酸化尿素または過酸化水素水等の過酸化物漂白剤を含む。過酸化尿素は尿素と分子状過酸化水素の複合体である。他方、過酸化水素は単独では水溶液の形でのみ存在し、一般に比較的低いpH(例えば、2)以外では不安定である。
【0003】
適当な漂白組成物を処方する場合、安定性と反応性の間には本来的にトレードオフの関係がある。漂白組成物は、製造時からそれが人の歯を漂白するのに使用される時点までは安定性を維持することが望ましい。しかし、一旦、人の歯に適用されたときは、組成物が速やかに分解し、歯を漂白できる活性酸素ラジカルを放出することが望ましい。長期的安定性を得る1つの方法は活性漂白剤の濃度を比較的低く保つことである。しかし、これは、適度な漂白活性が最低限にしか得られないという負の欠点がある。
【0004】
歯科用漂白剤をより高濃度で含む歯科用漂白組成物は、一般に長期的な安定性を確保するために冷蔵するか、および/または、冷蔵状態が保証できない場合は比較的低いpH(例えば、2以下)に維持しなければならない。高濃度で歯科用漂白組成物を大量生産し、次いで、それを多くの異なる場所に配送することが望まれる場合、そのような組成物の少なくとも一部が搬送中や取扱中のどこかの点で過熱されるのを防ぐことは一般に不可能である。もし、そのような組成物が低pHに維持されていない場合、それらが搬送中に過度の熱にさらされると、その効力が損なわれるおそれがある。したがって、漂白剤の少なくとも部分的な分解を回避しつつ、漂白剤を高濃度で含むより高いpH(例えば、中性pH)の漂白組成物を製造し、次いで配送することは従来は困難であった。
【0005】
酸性度の高い組成物を数分間を超えて歯に接触させたままでいると、歯を腐食したり、さもなければ損傷するおそれがあるので、通常、患者の歯への適用に先立って酸性漂白組成物を中和することが望ましい。一般に、患者の歯に適用する組成物が水性で粘性がない場合、酸性過酸化水素水を塩基によって中和するのが簡単である。1つの単純な中和方法は、pHが所望のレベルに上昇するまで過酸化水素水に水酸化ナトリウム水溶液を添加することである。過酸化水素の濃度および得られるpHの濃度に依存して、pHを上昇することは、歯の漂白の担い手である酸素ラジカルの放出を加速するように、少なくとも部分的に過酸化水素を不安定化するという望ましい利点もあり得る。
【0006】
水酸化ナトリウムに加えて、安定した過酸化水素組成物の酸性度を中和するために使用さてきた様々な塩基またはバッファーがある。例えば、ヤーバロウ(Yarborough)に対する米国特許(特許文献1および特許文献2)は、水性漂白組成物のpHを上昇させて漂白活性を加速するために、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムまたは水酸化カルシウムの使用を開示している。上記特許は、酸性過酸化水素組成物を中和する際に使用するための塩基を開示する目的で、参照によって本願に組み込まれる。
【0007】
酸性漂白剤成分と強塩基性成分(これらは歯科従事者によって混合される)を含む2部式漂白系の製造における難点の1つは、安定したゲルを得るのが難しいことである。ゲルは多くの場合、流れやすい組成物よりも望ましい。これは、ゲルが非粘性の液体と比較して患者の歯にはるかによく付着し、歯から離れてその周囲の柔軟な口内組織に流出せずその場にとどまるためである。当技術分野で知られているカスタムメードで寸法あわせした歯科用トレーを用いる場合は、あるレベルの粘着性と粘度のあるゲルが望ましく、これは特許文献3開示されたものによって例示される。この特許は、歯の漂白のためのカスタムメードの歯科用トレーを開示する目的で、参照によって本願に組み込まれる。
【0008】
カルボキシポリメチレンのような重合体粘着剤を使用することが望ましい場合、安定したゲルを得る能力は特に困難である。カルボキシポリメチレンは、高濃度の酸性過酸化水素水溶液と混合したときも、または、酸性過酸化水素水溶液を中和するための強塩基性溶液と混合したときも、時間経過に対して所望の粘着性およびゲル化能力を維持することができない。高濃度だが安定な過酸化水素漂白組成物の大量生産が望まれる場合、従来は、安定したゲルを得るために、カルボキシポリメチレンおよび同様のポリマーをフュームドシリカのような非重合体増粘剤で完全に置き換える必要があった。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第5,713,738号明細書
【特許文献2】
米国特許第5,645,428号明細書
【特許文献3】
米国特許第5,376,006号明細書
【特許文献4】
米国特許第5,858,332号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の観点から、重合体増粘剤を含む混合組成物を得るためには、改善された2部式歯科用漂白系、およびそのような系を製造する方法を提供することが当分野での進歩となるであろう。
【0011】
多部式歯科用漂白系を提供するためのそのような組成物および方法は、比較的高濃度の活性過酸化水素と重合体増粘剤を有する最終的な混合組成物を生じ、本願に開示され、特許請求の範囲の対象とされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、歯科用漂白系および歯を漂白するためにそのような漂白系を製造し使用するための方法に関する。より詳細には、本発明は、高濃度かつ安定な酸性歯科用漂白組成物を含む第1部分と、中和組成物としての重合体増粘剤と混合された微粒子状塩基を含む第2部分とを含む、多部式からなる歯科用漂白系を包含する。これらの成分を互いに混合する際には、微粒子状塩基が当初酸性の漂白組成物と混合されてpHを上昇させ、一方、重合体増粘剤は所望の粘着性、粘度および他のゲル特性を有する最終的なゲル化組成物を与える。
【0013】
この多部式系は、輸送およびその後の保存の間も漂白力を維持し、且つ、最終混合組成物の最終的な粘着性その他のゲル特性を維持する。言い換えれば、輸送および保存の後であっても、これらの部分を互いに混合するに際し、所望の漂白力およびゲル特性を有する漂白ゲル組成物を形成できる。これにより、多部式組成物を製造し、次いで、これらの部分をともに混合するに先立って最終的な漂白力の任意の有意な損失およびゲル特性の破壊がなく、所望のように輸送および保存することが可能になる。本発明はまた、本発明の多部式歯科用漂白系を製造する方法、およびそのような系を使用して人の歯を漂白する方法を包含する。
【0014】
本発明の歯科用漂白系の第1の部分または組成物は歯科用漂白剤を含む。酸素ラジカルを放出し得る様々な歯科用漂白剤が存在する。最も一般的に用いられている歯科用漂白剤は、過酸化水素水、または尿素過酸化物または過ホウ酸塩(例えば、過ホウ酸ナトリウム一水和物)のような過酸化水素複合体を含む過酸化水素に基づくものである。過ホウ酸ナトリウム一水和物はホウ酸ナトリウムと分子状過酸化水素の複合体である。1つの実施形態では、歯科用漂白剤は、有利には、高濃度過酸化水素水(例えば、約20〜90%の過酸化水素、好ましくは約30〜60%の過酸化水素)を含む。
【0015】
第1の部分または組成物(すなわち、歯科用漂白剤を含む部分)のpHは、通常、pHスケールが酸性側にあり一般には約5未満である。第1の部分または成分の安定性を維持するためには、特に一定した冷蔵を保証できない場合は、pH約4以下、好ましくは約3以下に、より好ましくはpH約1〜2の間に調整することが望ましいであろう。本来低い過酸化水素水溶液のpHは、1種または複数の酸を添加することによりさらに低下し、さらに安定性を高めることができる(例えば、クエン酸。これはまたイオン捕促剤の役割を果たし得る)。
【0016】
第1の部分または組成物は、歯科用漂白剤に加えて、イオン補足剤(例えばEDTAまたはクエン酸)または他の安定化剤、過酸化水素の存在下および/または低pHで安定な濃化剤(例えば、フュームドシリカまたはゴム)、液体多価アルコール(例えば、PEG)および光エネルギー吸収剤(例えば、カロテン)のような任意の添加物を含有してもよい。様々な任意添加剤およびアジュバントを含む高濃度過酸化水素漂白組成物は、ジェンセンら(Jensen et al.)への米国特許(特許文献4)に記載されている。この特許は、高濃度歯科用漂白組成物並びにそのような組成物内に含まれ得るアジュバントおよび添加物を開示する目的で、参照によって本願に組み込まれる。
【0017】
本発明による漂白系の第2の部分または組成物は、微粒子形状の強塩基を含み、これは混合組成物を形成するために漂白組成物と混合した時、増粘剤が所望の増粘性および粘着性を付与する増粘剤の能力を保つような方法で、重合体増粘剤と混合されている。中和組成物は、多くの所望の形態、例えば、ゲル、乾燥粉末もしくは微粒子の混合物、またはペースト状であり得る。適当な塩基の例には、アルカリおよびアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物および炭酸塩(例えば、細粉化した水酸化カリウムまたは炭酸カルシウム)が含まれる。適当な重合体増粘剤の例は、カルボキシポリメチレン(これは、任意のpHおよび任意の中和度のカルボキシポリメチレンを広く含む)、PEMULEN(B.F.グッドリッチから入手可能な専売の組成物)およびこれらの組成等価物または化学的等価物を含む。第2の部分は、イオン捕促剤、他の増粘剤、液体多価アルコールおよび光エネルギー吸収剤のような追加の成分を任意に含有してもよい。
【0018】
重合体増粘剤が塩基の触媒作用により破壊されるのを防ぐために、第2の部分または組成物は、通常、実質的に水を含まないのが有利であり、好ましくは本質的に無水である。これは、強塩基と混合した時、水が重合体増粘剤を加水分解するかそうでなくともその安定性に影響すると考えられるからである。第2の部分は本質的に水を含まないので、技術的にはpHを有していない。しかし、強塩基を含有するため、もし実際のpHの読みを生じるのに十分な水と混合した場合、第2の部分のpHは仮説的に約11〜14である。
【0019】
第1と第2の部分をともに混合した際(これは通常、患者の歯に漂白組成物を塗布する歯科従事者によってなされる)、中和成分は、約4と11の間、より好ましくは約5と9の間、最も好ましくは約6と8の間のpHを有する混合組成物を与えるように漂白剤のpHを上昇させる。複数の部分を互いに混合した後は、混合組成物は漂白のために歯科従事者が直ちに使用してもよいし、後の使用に備えて通常、冷蔵下で保存してもよい。歯科用漂白剤の濃度および/または得られた混合組成物のpH、および/または混合組成物が安定性に影響する他の成分(例えば、安定化剤または不安定化剤)を含むかどうかに依存するが、歯科従事者は、歯科従事者の具体的必要性に適するように混合された漂白組成物の安定性を最適化または調節することができる。
【0020】
混合歯科用漂白組成物の相対的な安定性または不安定性は、少なくとも部分的には、pH、温度、および混合組成物中の漂白剤の相対的な濃度に依存する。一般に、所与の濃度の漂白剤は、pHが高い程、そして温度がより高い程、安定性が低くなる。従って、漂白活性を加速することが望まれる場合には、歯科従事者は酸素ラジカル(これが歯の漂白の担い手であると考えられる)の放出を引き起こすために混合組成物のpHをさらに上げたいと思うかもしれない。他方、後の使用に備えて冷蔵保存できる混合漂白組成物のバッチを形成することが望まれる場合、漂白剤の所与の濃度では酸素ラジカルの放出を引き起こさないレベルにpHを維持することが望ましいであろう。
【0021】
中和組成物内の重合体増粘剤は、所望のべたつき、粘着性、粘性またはその他のゲルまたは増粘特性を最終混合組成物に与える。実質的に水を含まない中和組成物(例えば、非結合水約1%未満)を維持することは、重合体増粘剤が早期に分解したり、または最終混合組成物の形成前に加水分解するのを防ぐのに役立つ。
【0022】
混合組成物は、通常、院内での処置中に歯科従事者によって使用される。これは、通常家庭での使用に適していない比較的高濃度(例えば、約20〜90%の過酸化水素が利用可能)の歯科用漂白剤を有する混合組成物に対して特に当てはまる。しかし、本発明の組成物は任意の特定の使用または適用に限定されるものではなく、一方の部分に漂白剤を含み、別の部分に安定なゲル内に分散された強塩基を含む2部式または多部式の歯科用漂白系を広く含む。したがって、本明細書に開示された本発明の多部式漂白系を組込む家庭用製品は、確実に本発明の範囲内である。
【0023】
本発明におけるこれらのおよび他の特徴は、以下の記載および添付する特許請求の範囲からより完全に明白になるであろうし、あるいは、以下に述べるように本発明を実行することによって学ぶこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
I.序論
本発明は、歯科用漂白系および歯を漂白するためにそのような系を製造し、使用するための方法に関する。より詳細には、本発明は、高濃度かつ安定な歯科用漂白剤を含む第1部分(または組成物)、および、最終混合組成物に所望の粘着性、粘性および他のゲル特性を付与する増粘剤の能力を保つような様式で重合体増粘剤と混合されている強塩基を含む第2部分(または組成物)を含む、多部式の歯科用漂白系を包含する。
【0025】
この多部式系は、最終混合組成物における最終的な漂白力、粘着性、粘性およびゲル化に関して経時的に安定である。漂白剤を含有する第1部分をより低いpHに維持することが、輸送と保存の間に漂白力を維持するのに役立つ。同様に、第2部分を実質的に水(すなわち、加水分解に利用可能な非結合水)を含まない状態に維持することは、重合体増粘剤の所望のゲル化特性を維持するのに役立つ。従って、2つの部分を互いに混合する際、所望の漂白力およびゲル特性を有する漂白ゲルを形成できる。これにより、2部式組成物を製造し、次いで、これらの部分を互いに混合するに先立って漂白力の任意の有意な損失および強塩基による重合体増粘剤のゲル化特性の破壊のないように、所望のように輸送し保存することが可能になる。
【0026】
本発明はまた、本発明の多部式歯科用漂白系の製造方法、並びにこのような系を使用して人の歯を漂白する方法を包含する。
【0027】
II.多部式歯科用漂白系
上記のように、本発明による歯科用漂白系は少なくとも2つの異なる部分または組成物を含み、これらは、最終的な混合組成物の所望の特性を最大限にするために、製造後、有利には別々に保存され輸送される。最小限、第1の部分または成分は、好ましくは高濃度の形態で、また好ましくは低pH(例えば、<4)で歯科用漂白剤を含む。第2の部分または組成物は、重合体増粘剤と混合された塩基を含む。この2つの部分または組成物は、所望の場合には他の添加物またはアジュバントを含有し、所望の特性を有する混合組成物を与えることができる。以下にさらに詳細に論じる第1部分および第2部分と混合できる追加の部分または組成物を含有することも本発明の範囲内である。
【0028】
A.第1部分:漂白組成物
本発明の歯科用漂白系の第1の部分(漂白組成物)は歯科用漂白剤を含む。酸素ラジカルを放出することができる様々な歯科用漂白剤が存在する。最も一般に用いられている歯科用漂白剤は、過酸化水素に基づくものである。その例には、過酸化水素水、および過酸化尿素、過ホウ酸塩(例えば、過ホウ酸ナトリウム一水和物)および過酢酸のような過酸化水素の複合体が含まれる。過ホウ酸ナトリウム一水和物はホウ酸ナトリウムと分子状過酸化水素の複合体である。
【0029】
歯科用漂白剤は、所望の濃度および効力を有する混合組成物を与えるような任意の量で含有され得る。一般に、本発明の多成分系は、より高濃度で含有された漂白剤の漂白強度を維持するのに特に有用である。一般に、利用可能な過酸化水素の濃度は漂白組成物(すなわち、第1部分)の重量に対し3%程度の低さから95%程度の高さの範囲であり得、好ましくは漂白組成物の約20%から約90重量%までの範囲、より好ましくは約30%から約70重量%までの範囲、最も好ましくは約40%から約60重量%までの範囲である。現時点で好ましい実施形態では、漂白剤は過酸化水素水を含む。しかし、過酸化水素水の一部または全てを、他の既知の漂白剤で強化すること、または置換することは、明らかに本発明の範囲内である。
【0030】
歯科用漂白剤は、所望の特性を有する漂白成分を与えるように、所望の場合には、他の成分と混合すのが有利である。例えば、第1部分中にグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールのような1種または複数の多価アルコールを含むことが望ましいかもしれない。強い漂白剤の存在下、かつ低pHで安定である増粘剤を含んでもよく、その例にはフュームドシリカが含まれる。所望の場合には、イオン捕促剤(例えば、EDTAおよびクエン酸)、または他の安定化剤、他の増粘剤(例えば、ゴム)、香料および光エネルギー吸収剤(例えば、カロテン)を含有してもよい。
【0031】
漂白部分または組成物のpHは、通常、pHスケールの酸性側、一般には約5未満である。特に一定した冷蔵が保証できない場合、第1の部分または成分の安定性を維持するために、pHを約4以下、好ましくは約3以下、より好ましくは約1〜2の間のpHに調整することが望ましいかもしれない。過酸化水素水は本来低pH溶液をもたらすが、工業的な過酸化水素は所望のレベルにpHをさらに低下させるために強い酸を含むことがある。クエン酸は、pHを低下させることおよびイオン捕促剤の役割を果たすことの両方によって過酸化物を安定させることができる。
【0032】
練り歯磨きには一般的である研磨材(磨き剤としても知られている)は歯科用漂白剤の不安定化を引き起こすか、または、その触媒となるおそれがあるので、漂白部分または成分は好ましくは、研磨材を実質的に含まない。しかし、所望であれば、研磨材を含むことは確実に本発明の範囲内である。
【0033】
B.第2部分:中和組成物
本発明による本発明の漂白系の第2部分(中和組成物)は、強塩基を含み、これは増粘剤の増粘性、粘着性および粘性増強および/またはその他のゲル化特性を保持するような態様で重合体増粘剤と混合される。塩基と増粘剤との間での任意の悪影響をもたらす反応を防止または低減するように、塩基は、不溶性で微粒子状であることが有利である。中和組成物は、塩基による重合体増粘剤の加水分解を防ぐために本質的に水分を含まない(例えば、好ましくは非結合水が約1%未満、より好ましくは非結合水が約0.5%未満、最も好ましくは非結合水が約0.19%未満)。したがって、中和組成物は好ましくは本質的に無水である。
【0034】
塩基は粉末として得てもよいし、または、ペレットもしくはフレークとして得、続いて当技術分野で知られた任意の適当な磨砕手段および磨砕方法(例えば、適当な液体および磨砕ミルを使用する湿式磨砕)を使用して磨砕してもよい。適当な塩基の例には、アルカリおよびアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物および炭酸塩並びに水酸化アンモニウムが含まれ、これらは結晶性固体で、磨砕して細粉とすることができ、水を本質的に含まないゲル中に微粒子状で分散し得るものである。添加される塩基の濃度または量は、所望のpHを有する最終混合組成物を与えるように選択することができる。最終組成物のpHは、漂白部分または成分のpH、混合組成物の所望のpH、第1部分と第2部分の相対的な量、およびもしあれば、最終混合物に加えられる任意の追加成分の濃度、並びに、塩基の相対的強度のような様々な要因に依存するので、中和組成物内の塩基についての好ましい濃度範囲はない。
【0035】
本発明の範囲内で種々の増粘剤が使用でき、これには重合体増粘剤および細粉化された微粒子の両方が含まれる。第2の部分または組成物は、少なくとも1種の重合体増粘剤を最小限で含む。適当な重合体増粘剤の例はカルボキシポリメチレン、PEMULEN、PLURONIC、セルロースエーテル、多糖ガム、タンパク質、デンプン等を含む。第2の部分はまた、イオン捕促剤(例えば、EDTA)、微粒子状増粘剤(例えば、フュームドシリカ)、液体の多価アルコールおよび光エネルギー吸収剤(例えば、カロテン)のような追加成分を含んでもよい。
【0036】
カルボキシポリメチレンは、歯科用漂白組成物および種々の他の組成物で利用されるよく知られた増粘剤である。これは活性なカルボキシル基を有するわずかに酸性のビニル重合体である。適当なカルボキシポリメチレン組成物は、商品名CARBOPOLの下のB.F.グッドリッチ社(B.F.Godrich Co)から得ることができる。この開示および添付の特許請求の範囲の目的のためには、「カルボキシポリメチレン」という用語は、任意のpH、および塩基による任意の中和度のカルボキシポリメチレンを含む。
【0037】
現時点で好ましい1つのカルボキシポリメチレン樹脂は、商品名CARBOPOL 934Pによって知られるものである。CARBOPOL 934Pは、約300万の概算分子量を有する高純度薬学等級のCARBOPOL 934である。別の好ましいカルボキシポリメチレンはCARBOPOL 974P NFであり、これは、最近では多数の組成物において好まれるカルボキシポリメチレンとしてのCARBOPOL 934Pを凌ぐものとなっている。
【0038】
PEMULENは、B.F.グッドリッチの商品名であり、アクリル酸と疎水性コモノマーとの高分子量架橋共重合体を指すために使用される。これはB.F.グッドリッチ占有の処方であるため、PEMULENの正確な組成は不明である。
【0039】
PLURONICという名前は、BASFから利用可能な一連のポリマーを表すもので、これはポロキサマー(poloxamer)としても知られている。「ポロキサマー」という用語は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(polyoxyethylene polyoxypropylene)ブロック共重合体に対するCFTA名である。例には、PLURONIC F127としても知られるPOLOXOMER407が含まれる。
【0040】
次に、中和組成物は、乾燥成分の混合物、ゲルまたはペーストのような任意の所望の形態を有することができ、中和組成物が安定したゲルであることが望ましい場合、第2の部分または成分は、通常、液体の多価アルコールのような重合体ゲル化剤用の適切な溶媒も含む。適当な多価アルコールの例には、グリセリン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
重合体増粘剤のゲル化能力を保持するために、第2部分または組成物は、通常、実質的に水を含まないこと、好ましくは、本質的に無水であることが有利である。これは、水が強塩基と混合されると重合体増粘剤を加水分解するか、そうでなくてもその安定性に影響すると考えられるためである。第2の部分が本質的に水を含まないので、技術的にはpHを有していない。しかし、強塩基を含むため、もし実際のpHの読みを生じるのに十分な水と混合した場合、第2の部分のpHは仮説的に約11〜14である。第2の部分はまた、実質的に研磨材を含有しないことが好ましいが、研磨材を含むことは確実に本発明の範囲内である。
【0042】
C.混合組成物
一般に、漂白組成物と中和組成物の相対的な濃度は、約1:2〜約10:1、好ましくは約1:1〜約5:1の範囲である。しかし、任意の所望の比の漂白組成物および中和組成物を利用して所望の混合組成物を得ることは本発明の範囲内である。一般に、それは、比較的高い漂白剤濃度を有する最終混合組成物を得るためには漂白組成物が主体であることが有利である。一般に、強塩基は少量の使用でも多量の弱酸性漂白組成物を中和することができ、従って、中和組成物に対する漂白組成物の比率は、約10:1またはそれを超える程度の高となることが可能であろう。
【0043】
通常、患者の歯に漂白組成物を塗布する歯科従事者によって漂白組成物と中和組成物を互いに混合する際、中和組成物は、漂白組成物のpHを上昇させ、これによって約4と11の間、より好ましくは約5と9の間、最も好ましくは約6と8の間のpHを有する混合組成物を与えるようにする。複数の部分を互いに混合した後は、混合組成物は漂白のために歯科従事者が直ちに使用してもよいし、後の使用に備えて、典型的には冷蔵下で保存してもよい。歯科用漂白剤の濃度、および/または得られる混合組成物のpH、および/または混合組成物が安定性に影響する他の成分(例えば、安定化剤または不安定化剤)を含むかどうかに依存して、歯科従事者は、歯科従事者の個々の必要性に適するように混合された歯科用漂白組成物の安定性を最適化または調節することができる。
【0044】
混合歯科用漂白組成物の相対的な安定性または不安定性は、少なくとも部分的には、pH、温度、および混合組成物中の漂白剤の相対的な濃度に依存する。一般に、漂白剤は、pHが高い程、温度がより高い程、所与の濃度では安定性は低くなる。従って、漂白活性を加速することが望まれる場合には、歯科従事者は、歯の漂白の担い手になると考えられる酸素ラジカルの放出を引き起こすために混合組成物のpHをさらに上げたいと思うかもしれない。他方、後の使用のために保存できる混合漂白組成物のバッチ形成が望まれる場合、漂白剤の所与の濃度に対しておよび予想される保存温度で、酸素ラジカルの放出を引き起こさないレベルにpHを維持することが望ましいであろう。本発明の混合組成物は実質的にまたは完全に研磨材を含まないことが望ましいが、研磨材の使用も除外されない。
【0045】
重合体増粘剤は、所望のべたつき、粘着性、粘性またはその他のゲルまたは増粘特性を最終混合組成物に与える。実質的に水を含まない(例えば、非結合水約1%未満)中和組成物を維持することは、重合体増粘剤が早期に分解し、または最終混合組成物の形成前に加水分解するのを防ぐ上で役立つ。「非結合水」という用語は、重合体増粘剤を含む加水分解反応に、実際に自由に参加し、消費され得る水を指す。
【0046】
III.使用方法
混合組成物は、通常、歯科従事者によって院内での処置に使用される。これは、特に、通常、自宅での使用に適していない比較的高い濃度の歯科用漂白剤(例えば、約20〜90%の過酸化水素が利用可能)を有する混合組成物で当てはまる。しかし、本発明の組成物は任意の特定の使用や適用に限定されるものではなく、一方の部分に漂白剤を含み、別の部分に安定ゲル内に分散された強塩基を含む2部式または多部式の歯科用漂白系を広く含む。したがって、ここに示す本発明の多部式漂白系を組込む家庭用製品は、確実に本発明の範囲内である。
【0047】
混合組成物のpHを上昇させることは歯科用漂白剤の漂白活性を一般に加速するが、光または熱エネルギー(例えば歯科用硬化光(dental curing light)、熱ランプ、歯科用誘導光またはレーザーによる)の適用により、歯科従事者が漂白活性をさらに加速することも望ましいであろう。混合組成物内にカロテンその他の光エネルギー吸収剤を含有させることは、放射エネルギーの適用を通じて漂白活性の加速を促進する。
【0048】
混合組成物を、自宅用の漂白の処方計画で使用する際には、当技術分野で知られている柔らかく可撓性がありカスタムメードで寸法を合わせた歯科用トレーを使用して、組成物を適用することが望ましいであろう。しかし、当技術分野で知られている任意の歯科用トレーや、運動競技用の厚いマウスガードなどでさえも、本発明による歯科用漂白組成物の適用に使用できることが理解されるべきである。
【0049】
IV.実施例
本発明による多部式の歯科用漂白系内のものとして考慮される組成物のタイプをよりわかりやすく例示するために、以下の例を示す。
【実施例1】
【0050】
第1部分および第2部分中に各々以下の成分を含む2部式歯科用漂白系を調製した。
【0051】
Figure 2004537574
第1部分は、約2未満のpHを有しており、経時的な分解に対して安定していた。第2部分内にPEMULENを含有させたことで、水酸化カリウム存在下でも経時的に分解しない安定した粘着性のゲルが得られた。水酸化カリウム存在下でのPEMULENのゲル安定性は、第2部分が実質的に水を含まないという事実によると考えられた。
【0052】
第2部分29.5重量%に対し第1部分70.5重量%の比率で第1部分と第2部分を混合したところ、水酸化カリウムが水溶性のpHバッファーの役割を果たし、最終混合組成物のpHを許容できる範囲に調節した。PEMULENのゲル化特性は、混合組成物内において数週間安定なままであった。
【実施例2】
【0053】
第1部分および第2部分中に各々以下の成分を含む2部式歯科用漂白系を調製した。
【0054】
Figure 2004537574
第1部分は、約2未満のpHを有しており、経時的な分解に対して安定していた。第2部分内にPEMULENを含有させたことで、水酸化カリウム存在下でも経時的に分解しない安定した粘着性のゲルが得られた。第2部分の粘性は、PEMULENの量を増やして含ませたため実施例1の第2部分の粘性より実質的に大きかった。
【0055】
第2部分29.5重量%に対し第1部分70.5重量%の比率で第1部分と第2部分を混合したところ、水酸化カリウムが水溶性のpHバッファーの役割を果たし、最終混合組成物のpHは約4に調節された。第2部分には時間の経過とともに若干の分離が観察されたが、PEMULENのゲル化特性は、混合組成物内において数週間安定なままであった。
【実施例3】
【0056】
第1部分および第2部分中に各々以下の成分を含む2部式歯科用漂白系を調製した。
【0057】
Figure 2004537574
第1部分は、約2未満のpHを有しており、経時的な分解に対して安定していた。第2部分内にPEMULENを含有させたことで、水酸化カリウム存在下でも経時的に分解しない安定した粘着性のゲルが得られた。第2部分の粘性は、PEMULENの量を増やして含ませたため実施例1または実施例2の第2部分の粘性より実質的に大きかった。水酸化カリウムは、最初はフレークとして得、次いで、磨砕ミル内でグリセリンとともに磨砕して微粒子スラリーを得た。
【0058】
第2部分29.5重量%に対し第1部分70.5重量%の比率で第1部分と第2部分を混合したところ、水酸化カリウムが水溶性のpHバッファーの役割を果たし、最終混合組成物のpHは許容できる範囲に調節された。PEMULENのゲル化特性は、混合組成物内において数週間安定したままであった。
【実施例4】
【0059】
第1部分および第2部分中に各々以下の成分を含む2部式歯科用漂白系を調製した。
【0060】
Figure 2004537574
第1部分は、約2未満のpHを有しており、経時的な分解に対して安定していた。第2部分内にCARBOPOL974を含有させたことで、水酸化カリウム存在下でも経時的に分解しない安定した粘着性のゲルが得られた。
【0061】
第2部分29.5重量%に対し第1部分70.5重量%の比率で第1部分と第2部分を混合したところ、水酸化カリウムが水溶性のpHバッファーの役割を果たし、最終混合組成物のpHは許容できる範囲に調節された。CARBOPOL974のゲル化特性は、混合組成物内において1〜2週間安定したままであった。
【実施例5】
【0062】
第1部分および第2部分中に各々以下の成分を含む2部式歯科用漂白系を調製した。
【0063】
Figure 2004537574
第1部分は、約2未満のpHを有しており、経時的な分解に対して安定していた。第2部分内にCARBOPOL974を含有させたことで、水酸化カリウム存在下でも経時的に分解しない安定した粘着性のゲルが得られた。
【0064】
第2部分29.5重量%に対し第1部分70.5重量%の比率で第1部分と第2部分を混合したところ、水酸化カリウムが水溶性のpHバッファーの役割を果たし、最終混合組成物のpHは許容できる範囲に調節された。CARBOPOL974のゲル化特性は、混合組成物内において1〜2週間安定したままであった。
【実施例6】
【0065】
第1部分および第2部分中に各々以下の成分を含む2部式歯科用漂白系を調製した。
【0066】
Figure 2004537574
第1部分は、約2未満のpHを有しており、経時的な分解に対して安定していた。第2部分内にCARBOPOL974を含有させたことで、水酸化カリウム存在下でも経時的に分解しない安定した粘着性のゲルが得られたが、実施例5の第2部分よりわずかに粘性は低かった。
【0067】
第2部分29.5重量%に対し第1部分70.5重量%の比率で第1部分と第2部分を混合したところ、水酸化カリウムが水溶性のpHバッファーの役割を果たし、最終混合組成物のpHは許容できる範囲に調節された。CARBOPOL974のゲル化特性は、混合組成物内において1〜2週間安定したままであった。
【実施例7】
【0068】
第1部分および第2部分中に各々以下の成分を含む2部式歯科用漂白系を調製した。
【0069】
Figure 2004537574
第1部分は、約2未満のpHを有しており、経時的な分解に対して安定していた。第2部分内にCARBOPOL974を含有させたことで、水酸化カリウム存在下でも経時的に分解しない安定した粘着性のゲルが得られたが、実施例6の第2部分よりわずかに粘性は低かった。
【0070】
第2部分29.5重量%に対し第1部分70.5重量%の比率で第1部分と第2部分を混合したところ、水酸化カリウムが水溶性のpHバッファーの役割を果たし、最終混合組成物のpHは許容できる範囲に調節された。CARBOPOL974のゲル化特性は、混合組成物内において1〜2週間安定したままであった。
【実施例8】
【0071】
第1部分および第2部分中に各々以下の成分を含む2部式歯科用漂白系を調製した。
【0072】
Figure 2004537574
第1部分内の過酸化水素は、経時的な分解に対して安定していたが、CARBOPOL974は安定した粘着性のゲルを生じなかった。高濃度過酸化水素がCARBOPOL974のゲル化特性を攻撃したかそうでないとしても破壊したことが考えられる。
【0073】
第2部分内にCARBOPOL974を含有させたことで、水酸化カリウム存在下でも経時的に分解しない安定した粘着性のゲルが得られた。
【0074】
第2部分22.1重量%に対し第1部分77.9重量%の比率で第1部分と第2部分を混合したところ、水酸化カリウムが水溶性のpHバッファーの役割を果たし、最終混合組成物のpHは許容できる範囲に調節された。第2部分によって与えられるCARBOPOL974のゲル化特性は、混合組成物内において1〜2週間安定したままであった。
【実施例9】
【0075】
第1部分および第2部分中に各々以下の成分を含む2部式歯科用漂白系を調製した。
【0076】
Figure 2004537574
第1部分内の過酸化水素は、経時的な分解に対して安定していたが、CARBOPOL974は第1部分内に安定した粘着性のゲルを生じなかった。高濃度過酸化水素が第1部分内のCARBOPOL974のゲル化特性を攻撃したかそうでないとしても破壊したことが考えられる。
【0077】
一方、第2部分内にCARBOPOL974を含有させたことで、水酸化カリウム存在下でも経時的に分解しない安定した粘着性のゲルが得られた。
【0078】
第2部分21.8重量%に対し第1部分78.2重量%の比率で第1部分と第2部分を混合したところ、水酸化カリウムが水溶性のpHバッファーの役割を果たし、最終混合組成物のpHは許容できる範囲に調節された。第2部分によって与えられるCARBOPOL974のゲル化特性は、混合組成物内において1〜2週間安定したままであった。
【実施例10】
【0079】
第1部分および第2部分中に各々以下の成分を含む2部式歯科用漂白系を調製した。
【0080】
Figure 2004537574
第1部分および第2部分は両方とも安定したゲルであった。フュームドシリカは、過酸化水素およびPEG600の存在下に第1部分内に安定したゲルを形成した。第2部分内にCARBOPOL974を含有させたことで、水酸化カリウム存在下でも経時的に分解しない安定した粘着性のゲルが得られた。
【0081】
第2部分24.2重量%に対し第1部分75.8重量%の比率で第1部分と第2部分を混合したところ、水酸化カリウムが水溶性のpHバッファーの役割を果たし、最終混合組成物のpHは許容できる範囲に調節された。第2部分によって与えられるCARBOPOL974のゲル化特性は、混合組成物内において1〜2週間安定たままであった。混合組成物の粘性は、実施例1〜9の粘性より相当に高かった。
【実施例11】
【0082】
第1部分および第2部分中に各々以下の成分を含む2部式歯科用漂白系を調製した。
【0083】
Figure 2004537574
第1部分および第2部分は両方とも安定したゲルであった。フュームドシリカは、過酸化水素存在下に第1部分内に安定したゲルを形成した。第2部分内にCARBOPOL974を含有させたことで、水酸化カリウム存在下でも経時的に分解しない安定した粘着性のゲルが得られた。
【0084】
第2部分24.2重量%に対し第1部分75.8重量%の比率で第1部分と第2部分を混合したところ、水酸化カリウムが水溶性のpHバッファーの役割を果たし、最終混合組成物のpHは許容できる範囲に調節された。第2部分によって与えられるCARBOPOL974のゲル化特性は、混合組成物内において1〜2週間安定したままであった。混合組成物内のフュームドシリカとCARBOPOL974は互いによく機能して良好な粘性および粘着性を有する混合組成物を与えた。
【実施例12】
【0085】
第1部分および第2部分中に各々以下の成分を含む2部式歯科用漂白系を調製した。
【0086】
Figure 2004537574
第1部分および第2部分は両方とも安定したゲルであった。フュームドシリカは、過酸化水素存在下に第1部分内に安定したゲルを形成した。第2部分内にCARBOPOL974を含有させたことで、水酸化カリウム存在下でも経時的に分解しない安定した粘着性のゲルが得られた。
【0087】
第2部分24.2重量%に対し第1部分75.8重量%の比率で第1部分と第2部分を混合したところ、水酸化カリウムが水溶性のpHバッファーの役割を果たし、最終混合組成物のpHは許容できる範囲に調節された。第2部分によって与えられるCARBOPOL974のゲル化特性は、混合組成物内において1〜2週間安定したままであった。混合組成物内のフュームドシリカとCARBOPOL974は互いによく機能して良好な粘性および粘着性を有する混合組成物を生じた。
【実施例13】
【0088】
第1部分および第2部分中に各々以下の成分(最終混合組成物の重量%で測定)を含む2部式歯科用漂白系を調製した。
【0089】
Figure 2004537574
第1部分および第2部分は両方とも安定したゲルであった。フュームドシリカとPEG600は、過酸化水素存在下で安定したゲルである第1部分をもたらした。第2部分内にCARBOPOL974を含有させたことで、水酸化カリウム存在下でも経時的に分解しない安定した粘着性のゲルが得られた。
【0090】
上記の量で添加された上記成分を含む最終混合組成物が得られるように第1部分と第2部分を混合したところ、水酸化カリウムが水溶性のpHバッファーの役割を果たし、最終混合組成物のpHを7.03に調節した。第2部分によって与えられるCARBOPOL974のゲル化特性は、混合組成物内において1〜2週間安定したままであった。混合組成物内のフュームドシリカ、CARBOPOL974およびPEG600は互いによく機能して良好な粘性および粘着性を有する混合組成物を与えた。特に冷蔵時、混合組成物は経時的に比較的安定していた。
【実施例14】
【0091】
第1部分および第2部分中に各々以下の成分(最終混合組成物の重量%で測定)を含む2部式歯科用漂白系を調製した。
【0092】
Figure 2004537574
第1部分および第2部分は両方とも安定したゲルであった。フュームドシリカ、PEG600とクエン酸は、過酸化水素存在下で安定したゲルである第1部分をもたらした。第2部分内にCARBOPOL974を含有させたことで、水酸化カリウム存在下でも経時的に分解しない安定した粘着性のゲルが得られた。
【0093】
上記の量で添加された上記成分を含む最終混合組成物を生じるように第1部分と第2部分を混合したところ、水酸化カリウムが水溶性のpHバッファーの役割を果たし、最終混合組成物のpHは7.75に調節された。第2部分によって与えられるCARBOPOL974のゲル化特性は、混合組成物内において1〜2週間安定したままであった。混合組成物内のフュームドシリカ、CARBOPOL974およびPEG600は互いによく機能して良好な粘性および粘着性を有する混合組成物を生じた。特に冷蔵時、混合組成物は経時的に比較的安定していた。それは部分的にはクエン酸を含有させたことによるものであった。
【実施例15】
【0094】
第1部分および第2部分中に各々以下の成分(最終混合組成物の重量%で測定)を含む2部式歯科用漂白系を調製した。
【0095】
Figure 2004537574
第1部分および第2部分は両方とも安定したゲルであった。フュームドシリカとPEG600は、過酸化水素存在下で安定したゲルである第1部分をもたらした。第2部分内にCARBOPOL974を含有させたことで、水酸化カリウム存在下でも経時的に分解しない安定した粘着性のゲルが得られた。
【0096】
上記の量で添加された上記成分を含む最終混合組成物を生じるように第1部分と第2部分を混合したところ、水酸化カリウムが水溶性のpHバッファーの役割を果たし、最終混合組成物のpHは8.20に調節された。第2部分によって与えられるCARBOPOL974のゲル化特性は、混合組成物内において1〜2週間安定したままであった。混合組成物内のフュームドシリカ、CARBOPOL974およびPEG600は互いによく機能して良好な粘性および粘着性を有する混合組成物を生じた。特に冷蔵時、混合組成物は経時的に比較的安定していた。
【実施例16】
【0097】
実施例1〜15に記載した上記2部式漂白系のうちのいずれかを多価アルコール(例えば、グリセリンまたはプロピレングリコール)を除去することによって変更し、第2部分の中和組成物が固体成分の乾燥混合物を含むようにする。
【0098】
第1部分と第2部分を混合したところ、塩基(KOH)は、所望のpHへの酸性過酸化水素組成物を中和し、また、粘着剤(例えば、PEMULENまたはCARBOPOL974)は最終混合組成物に所望の粘着性、増粘性およびゲル特性を与える。
【実施例17】
【0099】
実施例1〜16に記載した上記2部式漂白系のうちのいずれかを、第2部分の水酸化カリウムを適当な量の微粒子状炭酸カルシウムに置き換えることによって変更する。
【実施例18】
【0100】
実施例16および17に記載した上記2部式漂白系のうちのいずれかを、第2部分の重合体増粘剤の部分にフュームドシリカまたはフュームド酸化アルミニウムを加えるか、または、これで置き換えることにより変更する。
【0101】
V.まとめ
本発明は、改善された多部式歯科用漂白系、および、重合体増粘剤を含有する結果として高過酸化物含有量の所望のゲル特性を有する混合組成物を生じるそのような系の製造方法を提供する。
【0102】
本発明はさらに、強塩基および重合体増粘剤を含み増粘剤の早期の分解のない少なくとも1つの成分を生じるように製造できる多部式系を提供する。
【0103】
本発明はまた、使用に先立って酸性漂白組成物と混合され、その酸性漂白組成物を少なくとも部分的に中和するための、1つの部分の、高濃度低pHの過酸化水素水漂白組成物と、別の部分の強塩基を提供する。
【0104】
本発明はその精神または本質的な特徴から外れることなく、他の特定の形態で実施することができる。記載した実施形態は、すべての点において例示としてのみ考慮されるべきであり、限定とみなされるものではない。したがって、本発明の範囲は上記の記載によってではなく添付する特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲における等価な意味および範囲内にある変更はすべて、その範囲に包含される。

Claims (30)

  1. 少なくとも1種類の歯科用漂白剤を含み、約4以下のpHを有する水性歯科用漂白組成物、および
    金属酸化物、金属水酸化物、水酸化アンモニウムおよび金属炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1種類の微粒子状塩基と混合された少なくとも1種類の重合体増粘剤を含み、前記水性歯科用漂白組成物との混合に適する実質的に水を含まない中和組成物を含むことを特徴とする多部式漂白系。
  2. 歯科用漂白組成物は、少なくとも約20%の利用可能な過酸化水素を含むことを特徴とする請求項1に記載の多部式歯科用漂白系。
  3. 歯科用漂白組成物は、少なくとも約30%の利用可能な過酸化水素を含むことを特徴とする請求項1に記載の多部式歯科用漂白系。
  4. 歯科用漂白組成物は、少なくとも約40%の利用可能な過酸化水素を含むことを特徴とする請求項1に記載の多部式歯科用漂白系。
  5. 歯科用漂白組成物は、約3以下のpHを有することを特徴とする請求項1に記載の多部式歯科用漂白系。
  6. 歯科用漂白組成物は、約1〜2のpHを有することを特徴とする請求項1に記載の多部式歯科用漂白系。
  7. 歯科用漂白組成物は、少なくとも1種類の酸をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多部式歯科用漂白系。
  8. 歯科用漂白組成物または中和組成物の少なくとも一方は、少なくとも1種類のイオン捕促剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多部式歯科用漂白系。
  9. イオン捕促剤は、EDTAまたはクエン酸の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項8に記載の多部式歯科用漂白系。
  10. 重合体増粘剤は、アクリル酸ベースのポリマーまたはカルボキシポリメチレンの少なくとも1種類を含むことを特徴とする請求項1に記載の多部式歯科用漂白系。
  11. 少なくとも1種類のアクリル酸ベースのポリマーは、pemulenを含むことを特徴とする請求項10に記載の多部式歯科用漂白系。
  12. 重合体増粘剤は、pluronic、セルロースエーテル、多糖ガム、タンパク質またはデンプンの少なくとも1種類を含むことを特徴とする請求項1に記載の多部式歯科用漂白系。
  13. 中和組成物は、放射エネルギー吸収剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多部式歯科用漂白系。
  14. 放射エネルギー吸収剤は、少なくとも1種類の染料、好ましくは、カロテンを含むことを特徴とする請求項13に記載の多部式歯科用漂白系。
  15. 歯科用漂白組成物または中和組成物の少なくとも一方は、多価アルコールをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多部式歯科用漂白系。
  16. 多価アルコールは、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールの少なくとも1種類を含むことを特徴とする請求項15に記載の多部式歯科用漂白系。
  17. 中和組成物は、重合体増粘剤が微粒子状強塩基によって冒されない安定なゲルの形態であることを特徴とする請求項15に記載の多部式歯科用漂白系。
  18. 歯科用漂白組成物または中和組成物の少なくとも一方は、フュームドシリカをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多部式歯科用漂白系。
  19. 第1部分に歯科用漂白組成物を、第2部分に中和組成物を含むキットの形態であることを特徴とする請求項1に記載の多部式歯科用漂白系。
  20. キットは、歯科用漂白組成物を含む少なくとも1本の注射器、および中和組成物を含む少なくとも1本の追加の注射器を含むことを特徴とする請求項19に記載の多部式歯科用漂白系。
  21. キットは、第1のコンパートメントに歯科用漂白組成物を含み、第2のコンパートメントに中和組成物を含む、少なくとも1本の2重コンパートメント注射器を含むことを特徴とする請求項18に記載の多部式歯科用漂白系。
  22. 歯科用漂白組成物または中和組成物の少なくとも一方は、研磨材を実質的に含まないことを特徴とする請求項18に記載の多部式歯科用漂白系。
  23. 中和組成物は、乾燥固体成分の非ゲル化混合物であることを特徴とする請求項1に記載の多部式歯科用漂白系。
  24. (a)歯科用漂白剤を含み、約4以下のpHを有する歯科用漂白組成物を調製すること、および、
    (b)金属酸化物、金属水酸化物、水酸化アンモニウムおよび金属炭酸塩からなる群から選択される、少なくとも1種類の微粒子状塩基と混合された少なくとも1種類の重合体増粘剤を組み合わせることにより、水性歯科用漂白組成物と混合するのに適した中和組成物を調製することを含むことを特徴とする2部式歯科用漂白系の製造方法。
  25. 中和組成物を安定したゲルに形成するために、少なくとも1種類の多価アルコールと重合体増粘剤を混合することをさらに含むことを特徴とする請求項24に記載の2部式歯科用漂白系の製造方法。
  26. 多価アルコールは、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールの少なくとも1種類を含むことを特徴とする請求項25に記載の2部式歯科用漂白系の製造方法。
  27. 重合体増粘剤は、アクリル酸ベースのポリマーまたはカルボキシポリメチレンの少なくとも1種類を含むことを特徴とする請求項24に記載の2部式歯科用漂白系の製造方法。
  28. 中和組成物は、乾燥固体成分の非ゲル化混合物であることを特徴とする請求項24に記載の2部式歯科用漂白系の製造方法。
  29. (1)歯科用漂白剤を含み、約4以下のpHを有する歯科用漂白組成物、および、
    水性歯科用漂白組成物と混合するのに適しており、金属酸化物、金属水酸化物、水酸化アンモニウムおよび金属炭酸塩からなる群から選択される、少なくとも1種類の微粒子状塩基と混合された少なくとも1種類の重合体増粘剤を含む、実質的に水を含まない中和組成物を含む多部式歯科用漂白系を準備すること、
    (2)歯科用漂白組成物および中和組成物を互いに混合して、約4から約11までの範囲にpHを有し粘着性のゲルを含む混合組成物を与えること、および
    (3)粘着性ゲルを含む混合組成物を人の歯の少なくとも一部に適用することを含むことを特徴とする人の歯の美容的漂白方法。
  30. 混合組成物が放射エネルギー吸収剤をさらに含み、該方法が、人の歯の少なくとも一部に放射エネルギーを向けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項29に記載の人の歯の漂白方法。
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