JP2004537297A - G−タンパク質結合レセプターおよびその使用 - Google Patents

G−タンパク質結合レセプターおよびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、(ヒト同時刺激活性レセプターに関する)本明細書中hCARタンパク質およびhCAR遺伝子とそれぞれ呼ばれるところの、脳および胎盤で優勢に発現されるG−タンパク質結合レセプター(GPCR)およびPGCRをコードする核酸分子の同定に基く。この同定に基き、本発明により、(1)単離hCARタンパク質;(2)hCARタンパク質をコードする単離核酸分子;(3)hCARタンパク質に選択的に結合する抗体;(4)hCARタンパク質および遺伝子の対立変種を単離する方法;(5)hCARタンパク質/遺伝子を発現する細胞および組織を同定する方法;(6)hCARタンパク質に結合する試薬および細胞質化合物を同定する方法;(7)hCAR遺伝子の発現を調節する試薬を同定する方法;および、(8)細胞または器官におけるhCARタンパク質の活性を調節する方法が提供される。

Description

【0001】
発明の分野
本発明は、概して、神経化学、生物情報科学、および分子生物学の分野に関する。より詳しくは、本発明は、ヒト構成的活性化レセプター(hCAR)と指定されているG−タンパク質結合レセプター(GPCR)をコードする新規に同定されたポリヌクレオチド、そのようなポリヌクレオチドおよびポリペプチドの使用、ならびにそのようなポリヌクレオチドおよびポリペプチドの製造に関する。本発明はさらに、GPCRのアゴニスト、アンタゴニスト、および/またはインヒビターであり得、それゆえ潜在的に治療に有用な化合物を同定することに関する。
【0002】
発明の背景
Gタンパク質結合レセプター(GPCR)は、7つの膜貫通ドメインを有するタンパク質である。GPCRへリガンドが結合すると、シグナルが細胞内で伝達され、この結果、細胞の生物学的または生理学的特性に変化が生じる。
GPCRは、G−タンパク質およびエフェクター(G−タンパク質により調節される酵素およびチャネル)と共に、細胞間の第二メッセンジャーの状態を細胞外のインプットに関連づけるモジュラーシグナリングシステムの成分である。これらの遺伝子および遺伝子産物は、疾患の潜在的な原因である。
【0003】
ロドプシン遺伝子およびV2バソプレッシンレセプター遺伝子の特異的欠損が、常染色体優勢および常染色体劣勢網膜炎色素変性症、腎性尿崩症の種々の形態の原因であることが示されている。これらのレセプターは、中枢神経系および末梢生理学的プロセスの両方に非常に重要である。GPCRタンパク質スーパーファミリーには、現在、異なる種由来の同じレセプターであるオーソログに対するものとして、遺伝子の重複(または他のプロセス)により生じる変種を示すレセプターである、250タイプ以上のパラログを含む。スーパーファミリーは、5つのファミリーに分類することができる:ファミリーI、ロドプシンおよびベータ2−アドレナリン作用性レセプターにより類型化され、現在200以上のユニークなメンバーにより一般に示されるレセプター;ファミリーII、近年特徴づけられた甲状腺ホルモン/カルシトニン/セクレチンレセプターファミリー;ファミリーIII、哺乳動物における代謝グルタミン酸レセプターファミリー;ファミリーIV、cAMPレセプターファミリー、細胞性粘菌(D. discoideum)の化学走性および発生に重要である;およびファミリーV、STE2などの真菌の性フェロモンレセプター。
【0004】
GPCRには、生物起源のアミン、炎症の脂質メディエーター、ペプチドホルモン、および分泌シグナルメディエーターに対するレセプターが含まれる。GPCRは、レセプターがその細胞外リガンドを結合すると活性化される。リガンド−レセプター相互作用から生じるGPCRの構造変化は、Gタンパク質のGPCR細胞内ドメインへの結合アフィニティに影響する。これにより、GPTが高まったアフィニティでGタンパク質に結合することが可能となる。
【0005】
GTPによるGタンパク質の活性化により、Gタンパク質αサブユニットのアデニル酸シクラーゼまたは他の第二メッセンジャー分子ジェネレーターとの相互作用が導かれる。この相互作用により、アデニル酸シクラーゼの活性が、およびすなわち第二メッセンジャー分子、cAMPの産生が調節される。cAMPは、他の細胞内タンパク質のリン酸化および活性化を調節する。別に、cGMPまたはエイコシノイドなどの他の第二メッセンジャー分子の細胞内レベルがGPCRの活性によりアップレギュレートまたはダウンレギュレートされ得る。Gタンパク質サブユニットは、GTPアーゼによるGTPの加水分解により脱活性化され、α、β、およびγサブユニットが再結合する。次いでヘテロ三量体Gタンパク質がアデニル酸シクラーゼまたは他の第二メッセンジャー分子ジェネレーターから分離する。GPCRの活性がさらに、細胞内−および細胞外ドメインまたはループのリン酸化により調節され得る。
【0006】
グルタミン酸レセプターは、神経伝達に重要なGPCRのグループを形成する。グルタミン酸は、CNSの主要な神経伝達物質であり、神経の可塑性、認知、記憶、学習、および癲癇、卒中、および神経変性などのいくつかの神経学的疾患に重要な役割を持つと考えられる(Watson, S. and S. Arkinstall (1994) G−タンパク質結合レセプター Facts Book, Academic Press, San Diego CA, pp. 130-13)。グルタミン酸のこれらの効果は、イオンチャネル型および代謝調節型と呼ばれる、レセプターの2つの異なるクラスにより媒介される。イオンチャネル型レセプターには、内在性カチオンチャネルが含まれ、グルタミン酸の迅速な興奮活性を媒介する。代謝調節型レセプターは、調節性であり、カルシウム依存性カリウム伝達を阻害することおよびイオンチャネル型レセプターの興奮性の伝達を阻害することおよび強化することによりニューロンの膜興奮性を増す。代謝型レセプターは、アゴニストの薬理学およびシグナル伝達経路に基き5つのサブタイプに分類され、そして脳組織に広く分布する。
【0007】
血管作用性腸ポリペプチド(VIP)ファミリーは、その活性がさらにGPCRにより媒介される関連するポリペプチドの群である。このファミリーの重要なメンバーは、VIPそのもの、セクレチン、および成長ホルモン放出因子(GRF)である。VIPは、種々の組織における平滑筋の弛緩、分泌の刺激または阻害、およびCNSにおける種々の免疫細胞の活性および種々の興奮および阻害活性の調節を含む生理学的活性の広い側面を有する。セクレチンは、膵臓および腸における酵素およびイオンの分泌を刺激し、そしてさらに、脳において少量存在する。GRFは、下垂体前葉からの成長ホルモンの合成および放出を調節している重要な神経内分泌物質である(Watson, S. and .Arkinstall 既出、pp 278-283)。
【0008】
GPCRへリガンドが結合した後、構造の変化がGタンパク質に伝達され、これにより、α−サブユニットにより結合GDP分子がGTP分子へと変換され、そしてα−サブユニットはβγ−サブユニットから分離する。α−サブユニットのGPT結合形態は典型的には、エフェクター調節部分として典型的には作用し、サイクリックAMP、ジアシルグリセロール、またはリン酸イノシトールなどの第二メッセンジャーの(例えば、アデニル酸シクラーゼの活性化による)産生を導く。20個以上の異なるタイプのα−サブユニットがヒトにおいて公知であり、これはβおよびγサブユニットのより小さなプールと結合する。哺乳動物のGタンパク質の例には、Gi、Go、Gq、Gs、およびGtが含まれる。Gタンパク質は、Lodish H. et al. 分子生物学, (Scientific American BooksInc., New York, N. Y., 1995)において詳細に記載されており、その内容は、本明細書中出典明示により組み込む。
【0009】
GPCRは、薬物の活性および開発の主要な標的である。実際、レセプターから、現在知られている薬物の半分以上が導かれており(Drews, Nature Biotechnology, 1996,14: 1516)、そしてGPCRは、GPCRをアンタゴナイズまたはアゴナイズしている臨床処方薬の30%による治療介入のために、最も重要な標的である。これより、これらのレセプターが治療標的として確立、認証されたヒストリーを有することが明らかである。本発明に記載するhCAR GPCRは、不全、疾患、または病気を診断、予防、緩和、または矯正するのに有効であり得る更なるレセプターの同定および特定に関する当該分野における必要性を明らかに満たす。
【0010】
特に、本発明に記載するhCAR GPCRは、精神およびCNS不全、疾患、または病気を診断、予防、緩和、または矯正するのに重要な役割を果たし得るさらなるレセプターの同定および特定に関する当該分野における要求を満たす。
本発明は、脳および胎盤において優勢に発現されるGPCRを提供することにより、当該分野の現状に対して進歩性を示す。
【0011】
発明の概要
本発明は、本明細書中でhCARタンパク質およびhCAR cDNAとそれぞれ呼ばれる、脳および胎盤において優勢に発現されるG−タンパク質結合レセプター(GPCR)およびGPCRをコードする核酸分子の同定に基く。ゲノム中のhCAR配列を、hCAR遺伝子と呼ぶ。本発明により、単離hCARタンパク質;hCARタンパク質をコードする核酸分子;hCARタンパク質に選択的に結合する抗体;hCARタンパク質および遺伝子の対立変種を単離する方法;hCARタンパク質/遺伝子を発現する細胞および組織を同定する方法;hCARタンパク質へ結合する試薬および細胞性化合物を同定する方法;hCAR遺伝子の発現を調節する試薬を同定する方法;細胞または生物体におけるhCARタンパク質の活性を調節する方法;hCARを発現しているトランスジェニック非ヒト動物;hCARの発現が変化したノックアウト非ヒト動物;およびhCAR遺伝子の発現を調節する試薬が提供される。
【0012】
図1は、hCAR配列を用いるBLAST検索の結果を示す。
図2は、5’および3’非翻訳領域を有するヒトhCAR遺伝子の全cDNA配列を示す(配列番号1)。コーディング配列を大文字で示すが、これはヌクレオチド2181から始まる。
図3は、ヒトhCARコーディング領域の核酸配列を示す(配列番号2)。
図4は、ヒトhCARタンパク質のアミノ酸配列を示す(配列番号3)。
【0013】
図5は、hCAR核酸およびタンパク質配列のアライメントを示し、エキソン/イントロン境界を垂直バーにより示す。
図6は、pCDNA3.1+zeo/hCARまたは対照(CL)としてpCDNA3.1+zeoでトランスフェクトしたHEK細胞における基本の、およびホルスコリン刺激cAMPレベルを示す。
図7は、hCAR遺伝子を含む26320bpのゲノム配列を示す(下線)。
図8は、hCARの疎水性プロットを示す。GESスケールによる疎水性(Engelman, D. M., Steitz, T. A., Goldman, A. (1986) Ann. Rev. Biophys. Chem.15, 321-353 膜タンパク質のアミノ酸配列における無極性トランスバイレヤーヘリックスの同定)をhCARの配列に関してプロットする。
図9は、パブリックデータベース(a)およびIncyteデータベース(b)からのESTの、hCARとのアライメントを示す。
【0014】
発明の詳細な記載
本発明は、脳および胎盤で優勢に発現されるGタンパク質結合レセプター(GPCR)分子の発見に基く。hCARタンパク質は、hCARタンパク質を発現する細胞、特に脳および胎盤の細胞内のシグナリング経路において役割を果たす。
本発明の種々の側面を以下のサブセクションにさらに詳細に記載する。
【0015】
単離hCARタンパク質
本発明により、単離hCARタンパク質ならびにhCARタンパク質のペプチドフラグメントが提供される。
典型的には、hCARは、非ヒト細胞において組換え発現により作製される。
【0016】
本発明記載のhCARタンパク質は、以下の1)〜5)を含むタンパク質を包含する:1)配列番号2に示すアミノ酸配列;2)ヒトhCARタンパク質の機能および非機能性の天然に生じる対立変種;3)ヒトhCARタンパク質の組換え産生変種;4)ヒト以外の生物体から単離されたhCARタンパク質(ヒトhCARタンパク質のオーソログ);および5)hCARの有用なフラグメント。
【0017】
本発明によるhCARタンパク質の対立変種には、以下の1)〜3)が包含される:1)ヒト細胞または組織から単離したタンパク質;2)ヒトhCARタンパク質をコードしているものと同じ遺伝子座によりコードされるタンパク質;および3)ヒトhCARに対する実質上のホモロジーを含むタンパク質。対立変種の例には、例えば、本明細書中に開示する(表3)単一ヌクレオチド多型(SNP)のいずれかの発現により産生されるタンパク質が含まれる。
【0018】
hCARタンパク質の疎水性の分析により、7つの膜貫通領域(「TM領域」)の位置が明らかになった。アミノ酸1−5におけるピーク(図8)は、N−末端細胞外領域を示す。膜貫通領域は、アミノ酸位:6−29;42−68;81−102;122−149;174−193;243−260;および275−300に位置する。
【0019】
本発明に用いられるように、2つのタンパク質は2つのタンパク質(タンパク質の領域)のアミノ酸配列が互いに少なくとも約60−65%、典型的には少なくとも約70−75%、より典型的には少なくとも約80−85%、および最も典型的には少なくとも約90−95%またはそれ以上相同である場合に実質上相同である。2つのアミノ酸配列(例えば、配列番号2およびその対立変種)または2つの核酸のパーセント相同性を決定するために、配列を最適な比較目的のために並べる(例えば、他のタンパク質または核酸との最適のアライメントのために、ギャップを1つのタンパク質または核酸の配列に導入することができる)。対応するアミノ酸位またはヌクレオチド位のアミノ酸残基またはヌクレオチドを次いで比較する。1つの配列(例えば、配列番号2)における位置が、他の配列(例えばヒトhCARタンパク質の対立変種)における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められている場合、分子はその位置で相同である(即ち、本明細書中に用いられるように、アミノ酸または核酸の「相同性」は、アミノ酸または核酸の「同一性」と同意義である)。2つの配列の間のパーセント相同性は、配列が共有する同じ位置の数のファンクションである(即ち、%ホモロジー=同じ位置の#/位置のトータルの#×100)。
【0020】
配列比較に関しては、典型的には、1つの配列を、試験配列を比較する引用配列として用いる。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験および引用配列をコンピューターに入力し、所望により配列座標を指定し、次いで配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指定する。配列比較アルゴリズムにより、次いで、指定のプログラムパラメーターに基き、引用配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を算定する。
【0021】
比較のための配列の最適のアライメントは、例えば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2: 482 (1981)のローカルホモロジーアルゴリズムにより、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443 (1970)のホモロジーアライメントアルゴリズムにより、Pearson & Lipman, Proc.Nat'l. Acad. Sci. USA 85: 2444 (1988)の類似方法のための検索により、これらのアルゴリズムのコンピューター化手段(ウィスコンシン ジェネティクス ソフトウェア パッケージ、Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison,Wlにおける、GAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)により、または視覚観察(一般的には、Ausubelら、既出を参照されたい)により行うことができる。
【0022】
有用なアルゴリズムの1つの例は、PILEUPである。PILEUPは、関連性およびパーセント配列同一性を示すためのプログレッシブ、ペアアライメントを用いて、関連配列の群からの複数の配列アライメントを作成する。さらに、アライメントを作成するのに用いられるクラスタリング関係を示している樹形または系統図もプロットする。PILEUPは、Feng & Doolittle, J. Mol. Evol. 35: 351-360 (1987)のプログレッシブアライメント法の単純化を用いる。用いられる方法は、Higgins & Sharp, CABIOS 5: 151-153 (1989)により記載される方法と同一である。プログラムは、それぞれ最長5000ヌクレオチドまたはアミノ酸の300配列までを整列することができる。マルチプルアライメント法は、2つの最も類似する配列のペアアライメントで始まり、2つの整列化された配列のクラスターを生じる。このクラスターが次いで整列化された配列のその次に最も関連する配列またはクラスターに整列化される。配列の2つのクラスターは、2つの個々の配列のペアアライメントの単なる拡張により並べられる。最終的なアライメントは、プログレッシブ、ペアアライメントにより達成される。プログラムは、配列比較の領域に関して、特定の配列およびそのアミノ酸またはヌクレオチドの座標を指定することにより、およびプログラムパラメータを指定することにより行われる。例えば、引用配列を他の試験配列と比較し、以下のパラメータ:デフォールトギャップ加重(3.00)、デフォールトギャップ長加重(0.10)、加重エンドギャップを用いて、パーセント配列同一性関係を決定することができる。
【0023】
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの他の例は、Altschul etal., J. Mol. Biol. 215: 403-410 (1990)に記載されるBLASTアルゴリズムである。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、生物学的情報のためのナショナルセンターにより、公に入手可能である(www.ncbi.nim.nih.gov)。このアルゴリズムはまず、データベース配列における同じ長さのワードと整列化した場合に、いくつかのポジティブな閾値スコアTと適合するか、またはそれを満たす、検索配列における長さWの短い文字列を同定することにより、高スコアリング配列ペア(HSP)をまず同定することを含む。Tは近隣文字列スコア閾値とも呼ばれる。これらの初期の近隣文字列のヒットを、それらを含んでいるより長いHSPを見出すための検索を開始するためのシードとして用いる。文字列のヒットを次いで累積アライメントスコアを増すことができる限り、各配列に沿って両方向に拡張する。
【0024】
累積アライメントスコアが、達成されるその最大値から量Xまで低下する;累積スコアが1またはそれ以上のネガティブ−スコアリング残余アライメントの累積によりゼロまたはそれ以下になる;または、いずれかの配列の末端に達する場合に、各方向への文字列のヒットの拡張は停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXにより、アライメントの感度および速度が決定される。BLASTアルゴリズムは、デフォールトとして11の文字列の長さ(W)、50のBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915 (1989)を参照されたい)アライメント(B)、10のエクスぺクテイション(E)、M=5、N=−4、および両鎖の比較を用いた。
【0025】
パーセント配列同一性を算定することに加えて、BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計学的分析も行う(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 90: 5873-5787 (1993)を参照されたい)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの基準は、最小合算確率(P(N))であるが、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間のマッチが偶然により起こる確率の示度を提供するものである。例えば、核酸は、引用核酸に対する試験核酸の比較において、最少の合算確率が約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、および最も好ましくは約0.001未満である場合、引用配列に対して類似であると考えられる。
【0026】
ヒトhCARの対立変種には、機能性および非機能性hCARタンパク質の両方が含まれる。機能性対立変種は、hCARリガンドに結合する能力を保持し、シグナルを細胞内で伝達するヒトhCARタンパク質の天然に生じるアミノ酸配列変種である。機能性対立変種は、典型的に、配列番号2の1またはそれ以上のアミノ酸の保存的置換、またはタンパク質の非必須領域における非必須残基の置換、欠失、置換、または挿入のみを含む。
【0027】
非機能性の対立変種は、リガンドに結合するおよび/またはシグナルを細胞内で伝達する能力を有しない、ヒトhCARタンパク質の天然に生じるアミノ酸配列変種である。非機能性の対立変種は、典型的には、配列番号2のアミノ酸配列の非保存的置換、欠失、または挿入もしくは早期の切断、または必須残基または必須領域における置換、挿入、または欠失を含む。
【0028】
本発明はさらに、ヒトhCARタンパク質の非ヒトオーソログを提供する。ヒトhCARタンパク質のオーソログは、ヒト以外の生物体から単離され、ヒトhCARタンパク質に関して同じリガンド結合およびシグナリング能力を有するタンパク質である。ヒトhCARタンパク質のオーソログは、配列番号2に対して実質上相同なアミノ酸配列を含んでいるとして、容易に同定することができる。
【0029】
hCARタンパク質は、細胞内のシグナリング経路に関与するGPCRである。本明細書に用いられるように、シグナリング経路は、GPCR(hCARタンパク質)に対するリガンドの結合に際しての、細胞の機能/活性の調節(例えば刺激性または抑制性の)を意味する。そのような機能の例には、シグナル伝達経路に関与する細胞内分子、例えば、ホスファチジルイノシトール4,5−ビスホスフェート(PIP2)、イノシトール1,4,5−トリホスフェートON、またはアデニル酸シクラーゼの移動;原形質膜の分極化;分子の産生または分泌;細胞成分の構造の変更;細胞増殖、例えば、DNAの合成;細胞移動;細胞分化;および、細胞の生存が含まれる。hCARタンパク質は実質上脳において発現されるので、hCARシグナリング経路に関与している細胞の例には、神経細胞、例えば末梢神経系、および脳細胞、例えば大脳辺縁系細胞、視床下部細胞、海馬細胞、黒質細胞、皮質細胞、脳幹細胞、新皮質細胞、脳幹神経節細胞、尾状被殻細胞、嗅覚結節細胞、および上丘細胞などの中枢神経系細胞が含まれる。
【0030】
細胞のタイプにより、hCARタンパク質/リガンドの結合により媒介される反応は異なり得る。例えば、いくつかの細胞においては、hCARタンパク質へのリガンドの結合は、ホスファチジルイノシトールまたはサイクリックAMPの代謝およびターンオーバーにより接着、移動、分化などの活性を刺激し得る一方で、他の細胞においては、リガンドのhCARタンパク質への結合により異なる結果が生じる。hCARにより調節される細胞活性に関わらず、共通して、hCARタンパク質はGPCRであり、「Gタンパク質」と相互作用して、細胞内でのホスファチジルイノシトールまたはサイクリックAMPの代謝およびターンオーバーによる種々の細胞内シグナリングにおける1つまたはそれ以上の第二シグナルを生じる。Gタンパク質は、グアニンヌクレオチドに結合するα、β、およびγサブユニットから成るヘテロ三量体のタンパク質のファミリーである。これらのタンパク質は通常、細胞表面レセプター、例えば、7つの膜貫通ドメインを含んでいるレセプター、リガンドレセプターなどに結合する。レセプターにリガンドが結合した後、構造変化がGタンパク質に伝達され、これにより、αサブユニットは結合GDP分子をGTP分子に変化させ、Nサブユニットからそれが分離する。αサブユニットのGTP結合形態は典型的に、エフェクターモジュレーティング部分として作用し、サイクリックAMPなどの第二メッセンジャーの産生(例えば、アデニル酸シクラーゼの活性化による)を生じる。20個以上の異なるタイプのα−サブユニットがヒトにおいて公知であり、これらはβおよびγサブユニットのより小さなプールと結合する。
【0031】
hCARタンパク質が関与している可能性のあるシグナリング経路は、cAMPターンオーバー経路である。本明細書に用いられるように、「サイクリックAMPターンオーバーおよび代謝」は、サイクリックAMP(cAMP)のターンオーバーおよび代謝に関与する分子ならびにこれらの分子の活性を意味する。サイクリックAMPは、所定のGタンパク質結合レセプターのリガンド誘導性の刺激に反応して産生される第二メッセンジャーである。リガンドシグナリング経路において、リガンドのリガンドレセプターへの結合により、cAMPの合成を触媒する酵素アデニル酸シクラーゼの活性化を導くことができる。新規に合成されたcAMPは次いでcAMP依存性タンパク質キナーゼを活性化することができる。この活性化されたキナーゼは、電圧ゲートカリウムチャネルタンパク質またはそれに結合するタンパク質をリン酸化することができ、そして、カリウムチャネルは活性ポテンシャル中に開放できなくなる。カリウムチャネルが開放できなくなることにより、カリウムの流出が低下し、これにより通常、ニューロンの膜が脱分極され、長期化した膜脱分極が導かれる。
【0032】
本発明により、hCARタンパク質のフラグメントがさらに提供される。本明細書中に用いられるように、フラグメントは、hCARタンパク質からの少なくとも3つの連続アミノ酸を含む。
【0033】
好ましいフラグメントは、hCARタンパク質の生物学的活性の1つまたはそれ以上、例えばG−タンパク質に結合する能力を有するフラグメントならびに、抗−hCAR抗体を作製するための免疫原として用いることができるフラグメントである。hCARタンパク質の生物学的に活性なフラグメントには、hCARタンパク質のアミノ酸配列、例えば配列番号2に示すアミノ酸配列、または全長のhCARタンパク質よりも少ないアミノ酸を含むhCARタンパク質、またはhCARタンパク質に相同で、そしてhCARタンパク質の少なくとも1つの活性を示す全長のタンパク質に相同なタンパク質のアミノ酸配列から誘導されるアミノ酸配列を含むペプチドが含まれる。典型的には、生物活性フラグメント(ペプチド、例えば、例えば、5、10、15、20、30、35、36、37、38、39、40、50、100またはそれ以上のアミノ酸長であるペプチド)は、ドメインまたはモチーフ、例えば膜貫通ドメインまたはG−タンパク質結合ドメインを含む。典型的なフラグメントには、配列番号4、5、6、および7の細胞外ドメインペプチドが含まれる。
【0034】
変更および変化を、本発明のポリペプチドの構造になし、そしてなお、GPCR様レセプター特性を有する分子を得ることができる。例えば、レセプター活性の損失をそれほど伴わずに、配列において所定のアミノ酸を他のアミノ酸に置換することができる。ポリペプチドの生物学的機能活性を規定するのはポリペプチドの相互作用能力および特性であるので、所定のアミノ酸配列置換をポリペプチド配列(またはもちろん、その元になるDNAコーディング配列)になすことができるが、それでもなお、本発明記載のポリペプチドを得ることができる。
【0035】
そのような変化をなすにつけ、アミノ酸の疎水性指標を考慮することができる。相互作用性の生物学的機能をポリペプチドに付与するにつき、疎水性アミノ酸指標の重要性が当該分野において一般に理解される。所定のアミノ酸を同様の疎水性指標またはスコアを有する他のアミノ酸と置換し、そしてなお、同様の生物学的活性を有するポリペプチドを得ることができることが公知である。各アミノ酸は、その疎水性および電荷特性に基いて、疎水性指標が指定されている。これらの指標は以下のようである:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);トレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)。
【0036】
アミノ酸残基の相対的な疎水性特性により、生じるポリペプチドの二次および三次構造が決定され、これがさらに、ペプチドと他の分子、例えば酵素、基質、レセプター、抗体、抗原などとの相互作用を規定する。アミノ酸は、同様の疎水性指標を有する他のアミノ酸により置換されてよく、そしてなお、機能的に等価なポリペプチドを得得ることは公知である。そのような変化においては、その疎水性指標が+/−2の範囲内にあるアミノ酸の置換が好ましく、+/−1の範囲内のものが特に好ましく、および+/−0.5の範囲内にあるものがよりいっそう特に好ましい。
【0037】
アミノ酸の置換は、特に、作製される生物学的に機能的に等価なポリペプチドまたはペプチドを免疫学的具体例における使用のために意図する場合、親水性に基いてなすこともできる。本明細書中に出典明示により組み込まれる米国特許第4,554,101号は、その隣接アミノ酸の親水性により生じるポリペプチドの最大の局所平均親水性が、その免疫原性および抗原性、すなわちポリペプチドの生物学的特性と関連することを示している。
【0038】
米国特許第4,554,101号に詳述されているように、以下の親水性値がアミノ酸残基に対して指定されている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);プロリン(−0.5±1);トレオニン(−0.4);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。アミノ酸は同様の親水値を有する他のアミノ酸と置換することができるが、なお、生物学的に等価なもの、特に免疫学的に等価なポリペプチドを得ることができることが理解される。そのような変化において、親水性値が±2の範囲内にあるアミノ酸の置換が好ましく、±1の範囲内にあるものが特に好ましく、および±0.5の範囲内にあるものがよりいっそう特に好ましい。
【0039】
前記のごとく、アミノ酸に置換は一般に、アミノ酸側鎖の置換基の相対的な同一性、例えば、その疎水性、親水性、電荷、大きさなどに基いてなされる。種々の前記特性を考慮に入れる典型的な置換は当該分野の専門家に周知であり、以下のものが含まれる;アルギニンとリジン;グルタミン酸とアスパラギン酸;セリンとトレオニン;グルタミンとアスパラギン;およびバリン、ロイシンとイソロイシン(以下の表1を参照されたい)。本発明はそれゆえ、前記GPCRポリペプチオドの機能的または生物学的に等価なものも意図する。
【0040】
【表1】
Figure 2004537297
【0041】
ポリペプチドの生物学的または機能的等価物を、部位特異的突然変異形成を用いて調製することもできる。部位特異的突然変異形成は、元のDNAの特異的変異形成によるその配列由来の第二世代のポリペプチドまたは生物学的に機能的に等価なポリペプチドまたはペプチドの作製に有用な技術である。前記のごとく、そのような変化はアミノ酸置換が望まれる場合に望まれ得る。この技術によりさらに、簡易な調製法、および例えば、DNAに1つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を導入することにより前に考慮した事項の1つまたはそれ以上を導入している試験配列変種が提供される。部位特異的突然変異形成により、所望の変異DNA配列をコードする特定のオリゴヌクレオチド配列ならびに十分数の隣接ヌクレオチドの使用による変異体の作製が可能となり、変換される欠失ジャンクションの両側において安定な二本鎖を形成するのに十分なサイズおよび配列コンプレキシティのプライマー配列が提供される。典型的には、配列のジャンクションの両側において約5〜10残基が変化した約17から25ヌクレオチド長のプライマーが好ましい。
【0042】
概して、部位特異的突然変異の技術は、当該分野で周知である。認識されるように、該技術は典型的には、一本鎖および二本鎖形態両方で存在し得るファージベクターを用いる。典型的には、本明細書に従う部位特異的突然変異形成は、まず、分泌されるGPCRポリペプチド配列の全部または部分をコードするDNA配列をその配列内に含む一本鎖ベクターを得ることにより行われる。所望の変異配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを(例えば合成)調製する。このプライマーを、次いで、一本鎖のベクターにアニールし、変異を有する鎖の合成を完成させるためにイー.コリポリメラーゼIクレノウフラグメントなどの酵素の使用により拡張する。こうして、第1の鎖が元の非変異配列をコードし、第2の鎖が所望の変異を有するヘテロ二本酸が形成される。このヘテロ二本鎖ベクターを次いで用いて、イー.コリ細胞などの適当な細胞を形質転換し、変異を有する組換えベクターを含むクローンを選択する。市場入手可能なキットがオリゴヌクレオチドプライマーを除く、部位指向性突然変異形成をなすのに必要な全試薬と共に入手可能である。
【0043】
本発明のhCARレセプターポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるhCARポリペプチドに対する実質上の配列類似性、構造類似性、および/または機能類似性を含んでいるあらゆるhCARポリペプチドであることが理解される。加えて、本発明のhCARポリペプチドは、特定の源に制限されない。つまり、本発明により、種々の源由来のhCARレセプターポリペプチドに一般的な検出および単離が提供される。例えば、hCARポリペプチドは、事実上ヒトを含む全ての哺乳動物に見出される。他のレセプターの場合同様、異なる種におけるhCARレセプターの構造および機能の間にはほとんど変化はない。種の間に違いがある場合、これらの違いの同定は、十分当業者の技術範囲内にある。つまり,本発明は、あらゆる動物由来のhCARポリペプチドを意図し、好ましい動物は哺乳動物であり、好ましい哺乳動物はヒトである。
【0044】
本発明において、hCARが、さらなる構造または機能分析における、またはhCAR関連ポリペプチドおよびhCAR特異的抗体などの試薬の作製における使用のためのフラグメントに都合よく切断されてよいことが意図される。これは、精製または非精製hCARをエンドプロテイナーゼglu−C(Boehringer, Indianapolis, IN)などのペプチダーゼで処理することにより行うことができる。CNBrでの処理が、hCARフラグメントを天然のhCARから作製し得るその他の方法である。組換え法も、hCARの特定のフラグメントを作製するために用いることができる。
【0045】
加えて、発明者らは、hCARに立体的に類似する化合物を、ペプチド構造の重要な部分を擬似するべく作製してよいことをさらに意図し、これはぺプチドミメティクスと呼ばれる。ミメティクスは、タンパク質の二次構造のエレメントを擬似する、ペプチドを含んでいる分子である。例えば、Johnson et al. (1993)を参照されたい。ペプチドミメティクスの使用の背後にある基礎の理論は、タンパク質のペプチド骨格が、分子の相互作用、レセプターとリガンドの相互作用などを促すようにアミノ酸側鎖を配向するべく専ら存在しているということである。
【0046】
ペプチドミメティクス概念の好ましい適用は、タンパク質内のβ−ターンのミメティクスにさらに焦点を当てている。GPCR内の適当なβ−ターン構造を、前記のごとくコンピューターに基くアルゴリズムにより予測することができる。ターンの要素たるアミノ酸が決定されたら、Johnsonら(1993)に記載されているように、アミノ酸側鎖の必須エレメントの類似する空間配向を達成するべくミメティクスを構築することができる。
【0047】
単離hCARタンパク質は、天然にタンパク質を発現する細胞から精製すること、hCARタンパク質を発現するべく変更された細胞から精製することができ、または公知のタンパク質合成法を用いて合成することができる。好ましくは、以下に記載するように、単離hCARタンパク質は、組換えDNA法により作製する。例えば、タンパク質をコードしている核酸分子を発現ベクターにクローン化し、発現ベクターを宿主細胞に導入し、hCARタンパク質を宿主細胞において発現させる。hCARタンパク質は次いで、適当な精製スキームにより、標準的なタンパク質精製法を用いて単離することができる。組換え発現に対する別法として、hCARタンパク質またはフラグメントを標準的なペプチド合成法を用いて化学合成することができる。最終的には、ネイティブなhCARタンパク質をhCARタンパク質を天然に発現する細胞(例えば、海馬細胞または黒質細胞)から単離することができる。本発明によりさらに、hCARキメラまたは融合タンパク質が提供される。本明細書中に使用されるように、hCAR「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は非hCARタンパク質に作用的に結合したhCARタンパク質を含む。「hCARタンパク質」は、hCARタンパクに対応しているアミノ酸配列を有するタンパク質を意味し、一方、「非−hCARタンパク質」は、hCARタンパク質と実質上相同でないタンパク質、hCARタンパク質とは異なるタンパク質に対応しているアミノ酸配列を有する異種構造タンパク質を意味する。融合タンパク質に関する内容において、「作用的に結合した」なる用語は、hCARタンパク質および非−hCARタンパク質が互いにインフレームに融合することを示すものとする。非−hCARタンパク質は、hCARタンパク質のN−末端またはC−末端に融合することができる。例えば、1つの具体例において、融合タンパク質は、hCAR配列がGST配列のC末端に融合したGST−hCAR融合タンパクタンパク質である。融合タンパク質の他のタイプには、制限されるものではないが、例えば、β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質、酵母2−ハイブリッドGAL融合タンパク質、ポリ−His融合タンパク質、およびIg融合タンパク質などの酵素融合タンパク質が含まれる。
【0048】
そのような融合タンパク質、特にポリ−His融合タンパク質は、組換えhCARタンパク質の精製を促進することができる。他の具体例において、融合タンパク質は、そのN−末端に異種構造シグナル配列を含んでいるhCARタンパク質である。所定の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)において、hCARタンパク質の発現および/または分泌を、異種構造シグナル配列を用いることにより増すことができる。
【0049】
好ましくは、hCARキメラまたは融合タンパク質は、標準的な組換えDNA法により作製される。例えば、異なるタンパク質配列をコードしているDNAフラグメントを常套の技術に従い、例えば、ライゲーションのためのブラント末端またはスタガー末端、適当な末端、粘着末端のフィリング−インを適当に提供するための制限酵素消化、望ましくない連結を避けるためのアルカリホスファターゼ処理および酵素ライゲーションを用いることにより、インフレームでライゲートする。他の具体例において、融合遺伝子は、自動DNAシンセサイザーを含む常套法により合成することができる。別法として、遺伝子フラグメントのPCR増幅を、その後アニールおよび再増幅してキメラ遺伝子配列を生じ得る2つの連続遺伝子フラグメント間の相補的なオーバーハングを生じるアンカープライマーを用いて行うことができる(例えば、分子生物学における現在のプロトコル、Ausubel et al. JohnWiley & Sons: 1992)を参照されたい)。さらに、融合部分をすでにコードする(例えば、GSTタンパク質)多くの発現ベクターが市場入手可能である。核酸をコードしているhCARエンコーディング核酸を、融合部分がhCARタンパク質にインフレームに結合するように、そのような発現ベクターにクローン化することができる。
【0050】
hCARタンパク質に結合する抗体
本発明によりさらに、hCARタンパク質に選択的に結合する抗体が提供される。本明細書中に用いられるように、抗体は、抗体がhCARタンパク質に結合し、無関係のタンパク質に選択的に結合しない場合に、hCARタンパク質に選択的に結合すると言われる。当業者には、抗体がhCARタンパク質のフラグメントまたはドメインと相同性を共有するタンパク質に結合する場合でも、hCARタンパク質に実質上結合すると見なしてよいことが容易に認識されよう。
【0051】
本明細書中に用いられる「抗体」なる用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫活性フラグメント、即ち、hCARなどの抗原に特異的に結合する(それと免疫反応する)抗原結合部位を含む分子を意味する。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性なフラグメントの例には、ペプシンなどの酵素で抗体を処理することにより作製され得るF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが含まれる。本発明により、hCARに結合するポリクローナルおよびモノクローナル抗体が提供される。本明細書中に用いられる「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」なる用語は、hCARの特定のエピトープと免疫反応することができる抗原結合部位の1種類のみを含む抗体分子の集団を意味する。モノクローナル抗体組成物は即ち、典型的に、それが免疫反応する特定のhCARタンパク質に関して単一の結合アフィニティを示す。
【0052】
抗−hCAR抗体を作製するために、単離hCARタンパク質またはそのフラグメントを免疫原として用いて、hCARに結合する抗体を、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製のための標準的な方法を用いて作製する。全長のhCARタンパク質を用いることができ、または別法として、hCARタンパク質の抗原性ペプチドフラグメントを免疫原として用いることができる。hCARタンパク質の抗原性フラグメントは、典型的には、hCARタンパク質の少なくとも3つの連続アミノ酸残基、例えば、配列番号2からの3つの連続アミノ酸を含む。好ましくは、抗原ペプチドは少なくとも5つのアミノ酸残基を含む。抗−hCAR抗体を作製するのに好ましいフラグメントは、実施例16に示すようなタンパク質の表面に位置するhCARの領域(細胞外領域)である。
【0053】
hCAR免疫原を典型的に用いて、適当な対象、(例えば、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物、ニワトリ)を免疫原で免疫化することにより抗体を調製する。適当な免疫原性調製物には、例えば、組換え発現されたhCARタンパク質または化学合成されたhCARペプチドを含めることができる。調製物はさらに、フロイントの完全または不完全アジュバントまたは同様の免疫刺激剤などのアジュバントをさらに含むことができる。適当な対象の免疫原性hCAR調製物での免疫化により、ポリクローナル抗−hCAR抗体反応が誘導される。
【0054】
ポリクローナル抗−hCAR抗体は、前記のごとく適当な対象をhCAR免疫原で免疫化することにより調製することができる。免疫化された対象における抗−hCAR抗体力価を、標準的な方法、例えば固定されたhCARを用いる酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いるなどにより時間をかけてモニターすることができる。所望により、hCARに対して指向された抗体分子を哺乳動物から(例えば血液から)単離することができ、タンパク質Aクロマトグラフィーなどの周知の方法によりさらに精製して、IgGフラクションを得ることができる。免疫化後の適当な時点で、例えば、抗−hCAR抗体力価が最高の場合に、抗体産生細胞を対象から得、そしてハイブリドーマ法を用いるなどの標準的な方法により、モノクローナル抗体を調製するのに用いることができる。
【0055】
より近年のヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozbor et al. (1983) Immunol Today 4:72)、EBV−ハイブリドーマ法(Cole et al. (1985)、モノクローナル抗体および癌治療、 Alan R. Liss,Inc., pp. 77-96)またはトリオーマ法がある。モノクローナル抗体ハイブリドーマを作製するための方法は周知である。簡単には、不死化させた細胞株(典型的には骨髄腫)を、前記のごとくhCAR免疫原で免疫化した哺乳動物由来のリンパ球(典型的には脾臓細胞)に融合し、生じたハイブリドーマ細胞の培養上清を調べて、hCARを結合するモノクローナル抗体を産生しているハイブリドーマを同定する。
【0056】
リンパ球および不死化細胞株を融合するのに用いられる多くの周知のプロトコールのいずれかを、抗−hCARモノクローナル抗体を作製するのに用いることができる。さらに、当業者には、有用なそのような方法の多くの変法があることが分かるであろう。
【0057】
典型的には、不死化細胞株(例えば、骨髄腫細胞株)は、リンパ球と同じ哺乳動物種由来である。例えば、ネズミのハイブリドーマを、本発明の免疫原性調製物で免疫化したマウス由来のリンパ球を不死化マウス細胞株と融合することにより作製することができる。好ましい不死化細胞株は、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含んでいる培養培地(「HAT培地」)に感受性のあるマウス骨髄腫細胞株である。多くの骨髄腫細胞株のいずれかを、標準的な方法に従い、融合パートナーとして用いることができ、例えば、P3−NSI/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653またはSp2/0−AgI4骨髄腫株がある。これらの骨髄腫株は、ATCCより入手可能である。典型的には、HAT感受性マウス骨髄腫細胞をポリエチレングリコール(「PEG」)を用いてマウスの脾臓細胞に融合する。融合から生じるHAT感受性マウス骨髄腫細胞を次いで、非融合性の、および非生産的に融合された骨髄腫細胞を殺すHAT培地を用いて選択する(非融合性の脾臓細胞は、形質転換されないために、数日後に死ぬ)。本発明のモノクローナル抗体を産生しているハイブリドーマ細胞は、ハイブリドーマ培養上清をhCARに結合する抗体に関してスクリーニングすることにより、例えば標準的なELISAアッセイを用いて検出する。モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製する代わりに、モノクローナル抗−hCAR抗体を、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)をhCARでスクリーニングすることにより同定および単離し、それにより、hCARに結合する免疫ブロブリンライブラリーのメンバーを単離することができる。ファージディスプレイライブラリーを作製およびスクリーニングするためのキットが市場入手可能である(例えば、ファルマシア組換えファージ抗体システム、カタログ番号27-9400-0 1;およびストラタジーンSurJZ4pTMファージディスプレイキット、カタログ番号240612)。
【0058】
さらに、抗体ディスプレイライブラリーを作製およびスクリーニングするのに用いるために特に用いることができる方法および試薬の例は、例えば、Ladner et al. 米国特許第5,223,409号; Kang et al. PCT国際公開第WO 92/18619号; Dower et al. PCT 国際公開第WO 91/17271号;Winter et al. PCT 国際公開第WO 92/20791号; Markland et al. PCT国際公開第WO 92/15679号; Breitling et al. PCT 国際公開第WO 93/01288号; McCafferty et al. PCT 国際公開第WO 92/01047号; Garrard et al. PCT 国際公開第WO 92/09690号; Ladner et al. PCT 国際公開第WO 90/02809号に見出すことができる。
【0059】
さらに、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体などの、ヒトおよび非−ヒトフラグメントの両方を含んでいる、標準的な組換えDNA法を用いて作製することができる組換え抗−hCAR抗体が、本発明の範囲内にある。そのようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、当該分野で公知の組換えDNA法により、例えばRobinson et al. PCT 国際出願第PCT/US86/02269号; Akira, et al. 欧州特許出願第184,187号; Taniguchi, M., 欧州特許出願第171,496号; Morrison et al. 欧州特許出願第173,494号; Neuberger et al. PCT 国際公開第WO 86/01533号; Cabilly et al.米国特許第4,816,567号;Cabilly et al. 欧州特許出願第125,023号に開示されている方法を用いて作製することができる。
【0060】
抗−hCAR抗体(例えば、モノクローナル抗体)を用いて、アフィニティクロマトグラフィーまたは免疫沈降などの標準的な方法によりhCARタンパク質を単離することができる。抗−hCAR抗体により、細胞からの天然のhCARタンパク質および宿主細胞において発現される組換え産生されたhCARタンパク質の精製を促進することができる。さらに、抗−hCAR抗体を用いて、hCARタンパク質の発現の量およびパターンを評価するために、(例えば、細胞溶解物または細胞上清中の)hCARタンパク質を検出することができる。循環しているhCARタンパク質のフラグメントの検出を用いて、対象におけるhCARタンパク質のターンオーバーを同定することができる。抗−hCAR抗体を診断上用いて、臨床試験法の部分として、組織におけるタンパク質のレベルをモニターして、所定の治療管理の有効性を決定することができる。検出は、抗体を検出可能な物質に結合させること(例えば、物理的に結合させること)により促進することができる。検出可能な物質の例には、種々の酵素、置換基、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、および放射能活性物質が含まれる。適当な酵素の例には、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、P−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれ、適当な置換基コンプレックスの例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれ、適当は蛍光物質の例には、アンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアラニンフルオレセイン、ダンシルクロライド、またはフィコエリトリンが含まれ、適当な発光物質の例には、ルミノールが含まれ、生物発光物質の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびアククオリンが含まれ、そして適当な放射能活性物質の例には、125I、131I、15S、またはHが含まれる。
【0061】
本発明の特に有用な抗体には、hCARの構造および疎水性分析により決定されるような、細胞外領域に特異的に結合するものが含まれる(以下の実施例16を参照されたい)。そのような領域には、アミノ酸位1−5、69−80、150−173、および261−274におけるものが含まれる。そのような抗体は、全hCARタンパク質に対して、または細胞外領域を含む単離ペプチドに対して作製することができる。そのようなペプチドには、Met Gly ProGly Glu (配列番号4); Arg Gly Arg Thr Pro Ser Ala Pro Gly Ala Cys Gln (配列番号 5); Ser Ser Ala Phe Ala Ser Cys Ser Leu Arg Leu Pro Pro Glu Pro Glu Arg Pro Arg Phe Ala Ala Phe Thr (配列番号6); および、Arg Leu Ala Glu Leu Val Pro Phe Val Thr Val Asn Ala Gln (配列番号 7)が含まれる。
【0062】
単離hCAR核酸分子
本発明によりさらに、hCARタンパク質をコードする単離核酸分子、以下、hCAR遺伝子またはhCAR核酸分子、ならびにhCAR遺伝子のフラグメントが提供される。
本明細に用いられる、「核酸分子」なる用語は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)、およびヌクレオチド類似体を用いて作成されるDNAまたはRNAの類似体が含まれるものとする。核酸分子は一本鎖または二本鎖であり得る。
【0063】
本発明の単離核酸分子は、hCARタンパク質をコードする。前記のように、hCARタンパク質は、配列番号2に示すアミノ酸配列を含んでいるタンパク質(ヒトhCARタンパク質)、ヒトhCARタンパク質の対立変種;およびヒトhCARタンパク質のオーソログとして規定される。好ましいhCAR核酸分子は、配列番号1に示すヌクレオチド配列を含む。配列番号1の配列は、ヒトhCARcDNAに対応する。このcDNAは、ヒトhCARタンパク質をコードしている配列(即ち、「コーディング領域」、配列番号1のヌクレオチド1892〜2980)、ならびに5’非翻訳配列(配列番号1のヌクレオチド1〜1891)、および3’非翻訳配列(配列番号1のヌクレオチド2981から5665)を含む。
【0064】
別法として、核酸分子は、配列番号1のコーディング領域(即ち、配列番号1のヌクレオチド1892〜2980)のみを含むことができる。ヒトhCAR遺伝子は約26320個のヌクレオチド長であり、約39KDaの分子量を有し、そして長さにして363アミノ酸残基である完全長のタンパク質をコードする。ヒトhCARタンパク質は主に、脳および胎盤、特に脳皮質、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉、脳皮質の中心前回、脳橋、左および右の小脳、脳梁、小脳扁桃、尾状核、海馬、延髄、被殻、黒質、側座核、視床、下垂体および脊髄において主に発現される。構造分析に基き(実施例16を参照されたい)、アミノ酸位:6−29;42−68;81−102;122−149;174−193;243−260;および275−300が、膜貫通ドメインを含む。本明細書に用いられる「膜貫通ドメイン」なる用語は、原形質膜にまたがる疎水性螺旋を含む構造性アミノ酸モチーフを意味する。
【0065】
本発明はさらに、遺伝子コードの縮重のために配列番号1(およびそのフラグメント)に示すヌクレオチド配列とは異なり、従って配列番号1に示すヌクレオチド配列によりコードされるものと同じhCARタンパク質をコードする核酸分子を含む。
【0066】
さらに好ましい具体例では、本発明の単離核酸分子は、配列番号1に示すヌクレオチド配列またはこのヌクレオチド配列のフラグメントの相補物である核酸分子を含む。配列番号1に示すヌクレオチド配列に相補的である核酸分子は、配列番号1に示すヌクレオチド配列に十分相補的であり、その結果、配列番号1に示すヌクレオチド配列にハイブリダイズして安定な二本鎖を形成することができるものである。
【0067】
ヒトhCAR遺伝子のオーソログおよび対立変種は、当該分野で周知の方法を用いて容易に同定することができる。ヒトhCAR遺伝子の対立変種およびオーソログは、配列番号1に示すヌクレオチド配列に対して、典型的には少なくとも約70−75%、より典型的には少なくとも約80−85%、およびより典型的には少なくとも約90−95%またはそれ以上相同なヌクレオチド配列またはこれらのヌクレオチド配列のフラグメントを含む。そのような核酸分子は、配列番号1に示すヌクレオチド配列またはこのヌクレオチド配列のいずれかのフラグメントに、好ましくはストリンジェント条件下にハイブリダイズすることができるとして容易に同定することができる。
さらに、本発明の核酸分子は、配列番号1のフラグメントなどの、hCAR遺伝子のコーディング領域のフラグメントのみを含むことができる。
【0068】
ヒトhCAR遺伝子のクローニングから決定されるヌクレオチオド配列により、他の細胞タイプ、例えば他の組織からのhCAR遺伝子相同物ならびに他の哺乳動物からのhCAR遺伝子オーソログを同定および/またはクローニングするのに用いるために設計されるプローブおよびプライマーの作製が可能となる。プローブ/プライマーは、典型的には実質上精製されたオリゴヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは典型的には、配列番号1のセンス、配列番号1のアンチセンス配列、または天然に生じるその変異体の少なくとも約12、好ましくは約25、より好ましくは約40、50、または75個の連続ヌクレオチドにストリンジェント条件下にハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。配列番号1のヌクレオチド配列に基くプライマーをPCR反応に用いて、hCAR遺伝子相同物をクローン化することができる。hCARヌクレオチド配列に基くプローブを用いて、同一または相同のタンパク質をコードしている転写産物またはゲノム配列を検出することができる。好ましい具体例において、プローブはそれに結合した標識群を含み、例えば標識群は、ラジオアイソトープ、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子であり得る。そのようなプローブを、例えば対象からの細胞のサンプル中のhCARエンコーディング核酸のレベルを測定すること、例えば、hCARmRNAのレベルを検出するなどにより、hCARタンパク質を誤発現する細胞または組織を同定するための、またはゲノムhCAR遺伝子が変異しているかまたは欠失しているかどうかを決定するための診断試験キットの部分として用いることができる。
【0069】
配列番号1に示すhCARヌクレオチド配列に加えて、当業者は、hCARタンパク質のアミノ酸配列における変化を導くDNA配列多型が集団(例えば、ヒトの集団)内に存在し得ることを認識するであろう。hCAR遺伝子におけるそのような遺伝子多型は、天然の対立遺伝子変異のために集団内の個人の間に存在し得る。そのような天然の対立変異は典型的には、hCAR遺伝子のヌクレオチド配列に1−5%の変異を生じ得る。天然の対立遺伝子変異の結果である、hCAR遺伝子におけるいずれかおよび全てのそのようなヌクレオチド変異および生じるアミノ酸多型は、本発明の範囲内にあるものとする。そのような対立遺伝子変異には、活性対立遺伝子変異ならびに非活性の、または低下した活性の対立変異が含まれ、後の2つのタイプは典型的に、病理学的疾患を生じる。hCARの多型は実施例15に開示する。
【0070】
さらに、他の種からのhCARタンパク質をコードしており、そしてそれゆえ配列番号1のヒト配列とは異なるヌクレオチド配列を有する核酸分子は、本発明の範囲内にあるものとする。本発明のヒトhCARcDNAの天然の対立変異体および非−ヒトオーソログに対応する核酸分子は、本明細書に開示するヒトhCAR核酸に対するその相同性に基き、ヒトcDNAまたはそのフラグメントをハイブリダイゼーションプローブとして用い、標準的なハイブリダイゼーション法に従い、ストリンジェント条件下に単離することができる。
【0071】
従って、他の具体例において、本発明の単離核酸分子は少なくとも15個のヌクレオチド長であり、配列番号1のヌクレオチド配列を含んでいる核酸分子にストリンジェント条件下にハイブリダイズする。他の具体例では、核酸は、少なくとも30、50、100、250、または500個のヌクレオチド長である。
【0072】
本発明に従い、hCAR、そのフラグメント、融合タンパク質または機能同等物をコードするヌクレオチド配列を用いて、hCAR、または機能活性ペプチドの適当な宿主細胞中での発現を指向する組換えDNA分子を作製してよい。別に、hCAR配列の部分にハイブリダイズするヌクレオチド配列を、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、サザンおよびノーザンブロットアッセイなどに用いてよい。
本発明はまた、本明細書中に開示されるポリヌクレオチドの配列に相補的な配列を有するポリヌクレオチドを含む。
【0073】
本発明には、本明細書中に開示されるポリヌクレオチドに低ストリンジェンシー条件、より好ましくはストリンジェント条件、および最も好ましくは高ストリンジェント条件下にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドも含まれる。ストリンジェンシー条件の例を以下の表に示す。高ストリンジェント条件は、例えばコンディションA−Fと少なくとも同程度にストリンジェントであるものであり、ストリンジェント条件は、例えば、コンディションG−Lと少なくとも同程度にストリンジェントであり、および低ストリンジェンシー条件は、例えば、コンディションM−Rと少なくとも同程度にストリンジェントである。
【0074】
【表2】
Figure 2004537297
【0075】
【表3】
Figure 2004537297
【0076】
【表4】
Figure 2004537297
【0077】
1:ハイブリッドの長さは、ハイブリダイズしているポリヌクレオチドのハイブリダイズ領域に対して予想されたものである。未知の配列の標的ポリヌクレオチドに対してポリヌクレオチドをハイブリダイズする場合、ハイブリッドの長さは、ハイブリダイズしているポリヌクレオチドの長さと仮定される。公知の配列のポリヌクレオチドをハイブリダイズさせる場合、ハイブリッドの長さは、ポリヌクレオチドの配列を並べ、ついで最適の配列相補性の領域(複数も)を同定することにより決定することができる。
【0078】
:ハイブリダイゼーションおよび洗浄バッファーにおいて、SSPE(1×SSPEは、0.15M NaCl、10mM NaHPO、および1.25mM EDTA、pH7.4)をSSC(1×SSCは、0.15M NaClおよび15mM クエン酸ナトリウム)に置きかえることができる。洗浄はハイブリダイゼーション完了後15分間行う。
【0079】
〜T :50塩基対長未満であると予想されるハイブリッドのためのハイブリダイゼーション温度は、ハイブリッドの融点(T)より5−10EC低く、ここで、Tは以下の等式に従い決定される。18塩基対長未満のハイブリッドに関しては、T(EC)=2(A+T塩基の#)+4(G+C塩基の#)。18〜49塩基対長のハイブリッドに関しては、T(EC)=81.5+16.6(log10Na)+0.41(%G+C)−(600/N)、ここでNはハイブリッド中の塩基の数であり、およびNaは、ハイブリダイゼーションバッファー中のナトリウムイオン濃度である(1×SSCに対するNa=0.165M)。
【0080】
ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションのためのストリンジェンシー条件のさらなる例は、出典明示により以下に組み込むSambrook, J., E. F. Fritsch, and T. Maniatis, 1989, モレキュラークローニング(Molecular Cloning): 研究室マニュアル(A Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, チャプター 9 および 11、およびF. M. Ausubel et al., eds., JohnWiley & Sons,Inc., セクション 2.10 および 6.3-6.4に提供される。
【0081】
好ましくは、それぞれのそのようなハイブリダイズしているポリヌクレオチドは、それがハイブリダイズするところの本発明のポリヌクレオチドの長さの少なくとも25%(より好ましくは少なくとも50%、および最も好ましくは少なくとも75%)の長さを有し、それがハイブリダイズするところの本発明のポリヌクレオチドと少なくとも60%の配列同一性(より好ましくは、少なくとも75%の同一性;最も好ましくは少なくとも90%、または95%の同一性)を有する。ここで配列同一性は、オーバーラップが最大となり、一方で配列のギャップが最小となるように並べた場合のハイブリダイズしているポリヌクレオチドの配列を比較することにより決定する。
【0082】
集団内に存在し得るhCAR核酸配列の天然に生じる対立変種に加えて、前記の配列番号1のヌクレオチド配列への変異により、変化を導入することができることが、当業者にはさらに認識されるであろう。
従って、本発明の他の態様は、hCAR活性に必須でないアミノ酸残基に変化を含むhCARタンパク質をコードしている核酸分子に関する。そのようなhCARタンパク質は、配列番号2からアミノ酸配列が異なるが、本明細書に記載するhCAR活性の少なくとも1つは保持する。1つの具体例において、単離核酸分子は、配列番号2のアミノ酸配列に対して、少なくとも約30−35%、好ましくは少なくとも約40−45%、より好ましくは少なくとも約50−55%、いっそうより好ましくは少なくとも約60−65%、いっそうより好ましくは少なくとも約70−75%、なおいっそう好ましくは少なくとも約80−85%、および最も好ましくは少なくとも約90−95%またはそれ以上相同なアミノ酸配列を含むタンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む。
【0083】
他の具体例において、変異は、飽和突然変異によるなど、hCARコーディング配列の全部または部分に沿ってランダムに導入することができ、生じた変異は本明細書中に記載するhCAR活性に関して同定して、hCAR活性を保持する変異体を同定することができる。配列番号1の突然変異形成後、コードされるタンパク質を無作為に発現させることができ、タンパク質の活性は、例えば本明細書中に開示されるアッセイを用いて決定することができる。
【0084】
前記のhCARタンパク質をコードしている核酸分子に加えて、本発明の他の態様は、それに対してアンチセンスである単離核酸分子に関する。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードしている「センス」核酸に相補的な、例えば二本鎖cDNAのコーディング鎖に相補的な、またはmRNA配列に相補的なヌクレオチド配列が含まれる。従って、アンチセンス核酸は、センス核酸に水素結合することができる。アンチセンス核酸は、全hCARコーディング鎖に、またはそのフラグメントのみに相補的であり得る。1つの具体例において、アンチセンス核酸分子はhCARタンパク質をコードしているヌクレオチド配列のコーディング鎖の「コーディング領域」に対してアンチセンスである。
【0085】
「コーディング領域」なる用語は、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含んでいるヌクレオチド配列の領域を意味し、例えば、配列番号1の全コーディング領域はヌクレオチド1892〜2983を含む。他の具体例において、アンチセンス核酸分子は、hCARタンパク質をコードしているヌクレオチド配列のコーディング鎖の「非コーディング領域」に対してアンチセンスである。「非コーディング領域」なる用語は、アミノ酸に翻訳されないコーディング領域に隣接する5’および3’配列を意味する(即ち、5’および3’非翻訳領域とも呼ばれる)。
【0086】
本明細書中に開示するhCARタンパク質をコードしているコーディング鎖配列(例えば、配列番号1)が得られたら、発明のアンチセンス核酸を、ワトソンおよびクリックの塩基対形成の規則に従い設計することができる。アンチセンス核酸分子は、hCARmRNAの全コーディング領域に相補的であり得るが、より好ましくはhCARmRNAのコーディングまたは非コーディング領域のフラグメントのみにアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、hCARmRNAの翻訳開始部位を包囲している領域に相補的であり得る。
【0087】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50個のヌクレオチド長であり得る。本発明のアンチセンス核酸は、化学合成および酵素ライゲーション反応を用いて、当該分野で公知の方法を用いて構築することができる。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に生じるヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を増すために、またはアンチセンスおよびセンス核酸の間で形成された二本鎖の物理的安定性を増すために設計された種々の変更ヌクレオチド、例えばホスホロチオエート誘導体を用いて化学合成することができ、アクリジン置換ヌクレオチドを用いることができる。アンチセンス核酸を作製するために用いることができる変更されたヌクレオチドの例には、5-フルオロウラシル、 5-ブロモウラシル、 5-クロロウラシル、 5-ヨードウラシル、 ヒポキサンチン、 キサンチン、 4-アセチルシトシン、 5-(カルボキシヒドロキシルメチル) ウラシル、 5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、 5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、 ジヒドロウラシル、 ベータ-D-ガラクトシルクエオシン、 イノシン、 N6-イソペンテニルアデニン、 1-メチルグアニン、 1-メチルイノシン、 2,2-ジメチルグアニン、 2-メチルアデニン、 2-メチルグアニン、 3-メチルシトシン、 5-メチルシトシン、 N6-アデニン、 7-メチルグアニン、 5-メチルアミノメチルウラシル、 5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、 ベータ-D-マンノシルクエオシン、 5'-メトキシカルボキシメチルウラシル、 5-メトキシウラシル、 2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、 ウラシル-5-オキシ酢酸 (v)、 イブトキソシン、 擬似ウラシル、 クエオシン、 2-チオシトシン、 5-メチル-2-チオウラシル、 2-チオウラシル、 4-チオウラシル、 5-メチルウラシル、 ウラシル-5-オキシ酢酸 メチルエステル、 ウラシル-5-オキシ酢酸 (v)、 5-メチル-2-チオウラシル、 3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル) ウラシル、 (acp3)w、 および 2、6-ジアミノプリンが含まれる。
【0088】
別法として、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス配置でサブクローンされている発現ベクターを用いて生物学的に製造することができる(即ち、挿入された核酸から転写されたRNAは、以下のサブセクションにさらに記載する目的の標的核酸に対してアンチセンス配向である)。
【0089】
本発明のアンチセンス核酸分子は、典型的には、hCARタンパク質をコードしている細胞内mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズまたは結合して、それにより、例えば、転写および/または翻訳を阻害することによりタンパク質の発現を阻害するように、対象に投与されるか、またはインサイチュで作製される。ハイブリダイゼーションは、安定な二本鎖を形成するための、または例えば、二本鎖ヘリックスの主溝における特異的相互作用によりDNA二本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合、おきまりのヌクレオチド相補性によるものであり得る。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例には、組織部位における直接注入が含まれる。別法として、アンチセンス核酸分子は、選択される細胞を標的し、次いで全身に投与されるように変更することができる。例えば、全身投与のためには、アンチセンス分子は、例えばアンチセンス核酸分子を細胞表面レセプターまたは抗原に結合するペプチドまたは抗体に結合させることにより、選択される細胞の表面上に発現されるレセプターまたは抗原にそれが特異的に結合するように、変更することができる。アンチセンス核酸分子は、以下に記載するベクターを用いて細胞へ送達することもできる。
【0090】
さらに他の具体例において、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子である。μ−アノマー核酸分子は、通常のγ−ユニットと違って鎖が互いにパラレルに走っている、相補的RNAとの特異的二本鎖ハイブリッドを形成する(Gaultier et al., 1987 Nucleic Acids. Res. 15:6625-6641)。アンチセンス核酸分子は、さらに、2’−o−メチルリボヌクレオチド (Inoue et al., 1987 (a) Nucleic Acids Res. 15:6131- 6148)またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoue et al., 1987(b) FEBS Lett. 215:327-330)を含み得る。
【0091】
さらに他の具体例では、本発明のアンチセンス核酸はリボザイムである。リボザイムは、それらが相補性領域を有するmRNAなどの一本鎖核酸を切断することができるリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA分子である。つまり、リボザイム(例えば、ハンマーヘッドリボザイム(Haselhoff および Gerlach, (1988) Nature 334:585-591に記載されている))は、hCARmRNA転写産物を触媒切断し、それによりhCAR1mRNAの翻訳を阻害することができる。hCARエンコーディング核酸に対して特異性を有するリボザイムを、以下に開示するhCARcDNAのヌクレオチド配列(即ち、配列番号1)に基き指定することができる。例えば、活性部位のヌクレオチド配列がhCAR−エンコーディングmRNAにおいて切断されるヌクレオチド配列と相補的であるテトラヒメナL−19IVS RNAの誘導体を構築することができる。共に出典明示により組み込むCech et al. U.S. 特許第 4,987,071号およびCech et al. U.S. 特許第 5,116,742号を参照されたい。別法として、hCARmRNAを用いて、RNA分子のプールから特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAを選択することができる。例えば、Bartel, D. and Szostak, J.W. (1993) Science 261:1411-1418を参照されたい。
【0092】
別法として、hCAR遺伝子の発現は、標的細胞におけるhCAR遺伝子の転写を妨げる三重螺旋構造を形成させるべく、hCAR遺伝子の調節領域(例えば、hCAR遺伝子プロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的することにより、阻害することができる。一般に、Helene, C. (1991) Anticancer Drug Des. 6(6):569-84; Helene, C. et al. (1992) Ann. N. Y Acad Sci. 660:27- 36; and Maher, L.J. (1992) Bioassays 14(12):807-15を参照されたい。
【0093】
hCAR遺伝子発現は、RNAインターフィアランス(RNAi)を用いて阻害することもできる。これは、同種の二本鎖RNA(dsRNA)で標的遺伝子の活性を特異的に破壊する転写後遺伝子スプライシング法(PTGS)である。RNAiは多くの側面において、植物におけるPTGSに類似し、トリパノゾーマ、ヒドラ、プラナリア、線虫、およびミバエ(ドロソフィラ メラングノスター(Drosophila melangnoster)を含む多くの非脊椎動物において検出されている。それは、転移因子の移動および抗ウイルス状態の形成の調節に関与する可能性がある。哺乳動物のシステムにおけるRNAiは、その全容を以下に出典明示により組み込む国際出願第WO00/63364号に開示されている。基本的に、ターゲット(hCAR)のいずれかの部分に対して相同な、少なくとも約600個のヌクレオチドのdsRNAを細胞に、マイクロインジェクションまたはインビトロで合成されたdsRNAのトランスフェクションにより、またはおり返すことができるターゲットRNA転写産物をコードするトランスジーンの細胞への導入により導入してdsRNA生じ、遺伝子の活性において配列特異的な低下が観察される。
【0094】
組換え発現ベクター、宿主細胞、トランスジェニック、およびノックアウト
本発明の他の態様は、hCARタンパク質をコードしている核酸(またはそのフラグメント)を含んでいるベクター、好ましくは発現ベクターに関する。
本明細書に用いる、「ベクター」なる用語は、それに結合した他の核酸を輸送することができる核酸分子を意味する。ベクターの1つのタイプは、追加のDNAセグメントをライゲートすることができる環状二本鎖DNAループを意味する「プラスミド」である。ベクターの他のタイプは、さらなるDNAセグメントをウイルスゲノムにライゲートすることができるウイルスベクターである。所定のベクターは、それが導入される宿主細胞において自律的に複製することができる(例えば、細菌の複製起源を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞における導入に際して宿主細胞のゲノムへ統合され、それにより、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、所定のベクターは、作用的に結合するゲノムの発現を指向することができる。そのようなベクターは、本明細書中、「発現ベクター」とも呼ばれる。一般に、組換えDNA法において有用な発現ベクターはプラスミドの形態であることが多い。本発明の明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も一般的に用いられる形態であるので、交換して用いることができる。しかし、本発明は、同等の機能を有する発現ベクターのそのような他の形態、例えばウイルスベクターを含むものとする(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ関連ウイルス)。
【0095】
本発明の組換え発現ベクターには、宿主細胞における核酸の発現に適した形態の本発明の核酸が含まれるが、これは、組換え発現ベクターが、発現のために用いられる宿主細胞に基いて選択される、発現されるべき核酸配列に作用的に結合した1つまたはそれ以上の調節配列を含むことを意味する。組換え発現ベクターにおいて、「作用的に結合した」は、目的のヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現を(例えば、インビトロ転写/翻訳システムにおいて、またはベクターが宿主細胞に導入される場合、宿主細胞において)許容する方法で、調節配列に結合していることを意味する。「調節配列」なる用語は、プロモーター、エンハンサー、および他の発現コントロールエレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むものとする。そのような調節配列は、例えば、Goeddel ; 遺伝子発現技術:酵素学における方法185, Academic Press, San Diego,CA(1990)に記載されている。調節配列には、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指向するもの、および所定の宿主細胞においてのみ(例えば、組織特異性調節配列)または発生の所定の時点でのみ発現を指向するものが含まれる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現のレベルなどの要因に依存し得ることが当業者には認識されるであろう。本発明の発現ベクターを宿主細胞へ導入して、本明細書中に開示される核酸によりコードされる、融合タンパク質またはペプチドを含むタンパク質またはペプチド(例えば、hCARタンパク質、hCARタンパク質の変化した形態、融合タンパク質など)を作製することができる。
【0096】
本発明の組換え発現ベクターは、原核生物または真核生物細胞におけるhCARタンパク質の発現のために設計することができる。例えば、hCARタンパク質は、イー.コリなどの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現ベクターを用いて)、酵母細胞または哺乳動物細胞などのにおいて発現され得る。適当な宿主細胞は、Goeddel, 遺伝子発現技術: 酵素学における方法185, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。別に、組換え発現ベクターを、例えばT7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを用いて、インビトロで転写および翻訳することができる。
【0097】
原核生物における発現は、融合または非融合タンパク質いずれかの発現を指向する構成性または誘導性プロモーターを含んでいるベクターを用いて、イー.コリ中で行われることが最も多い。融合ベクターは、アミノまたはカルボキシ末端のいずれかに、そこにコードされるタンパク質に対して多くのアミノ酸を付加する。そのような融合ベクターは、典型的には3つの目的を有する:1)組換えタンパク質の発現を増すこと;2)組換えタンパク質の溶解性を増すこと;および3)アフィニティ精製においてリガンドとして作用させることにより組換えタンパク質の精製に役立てること。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解切断部位を融合部位と組換えタンパク質の接合部に導入して、融合タンパク質の精製に次いで融合部から組換えタンパク質を分離することを可能とする。そのような酵素、およびその同起源の認識配列には、ファクターXa、トロンビン、およびエンテロキナーゼが含まれる。
【0098】
典型的な融合発現ベクターには、それぞれグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはタンパク質Aを標的組換えタンパク質へ融合するpGEX(Pharmacia Biotech Inc ; Smith, D. B. and Johnson, K. S. (198 8) Gene 67: 31-40)、pMAL(New England Biolabs, Beverly ;MA)、pRIT5(Pharmacia, Piscataway, NJ)、およびpCDNA3.1(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)が含まれる。
【0099】
1つの具体例では、hCAR遺伝子のコーディング配列をpGEX発現ベクターにクローン化して、N末端からC末端にGST−トロンビン切断部位―hCARタンパク質を含む融合タンパク質をコードしているベクターを作製する。融合タンパク質は、グルタチオンーアガロース樹脂を用いてアフィニティクロマトグラフィーにより精製することができる。
GSTに融合していない組換えhCARタンパク質は、トロンビンでの融合タンパク質の切断により回収することができる。
【0100】
適当な誘導性非融合イー.コリ発現ベクターの例には、pTrc(Amann etal., (1988) Gene 69: 301-315)およびpETTIId(Studier etal.,遺伝子発現技術 : 酵素学における方法 185, Academic Press, San Diego, California (1990) 60-89)が含まれる。pTrcベクターからの標的遺伝子の発現は、ハイブリッドtrp−lac融合プロモーターからの宿主RNAポリメラーゼの転写に依存する。pETIIdベクターからの標的遺伝子の発現は、同時発現されるウイルスRNAポリメラーゼJ7gnlにより媒介されるT7gn1 0−lac融合プロモーターからの転写に依存する。このウイルスポリメラーゼは、T7gnl遺伝子を有している固有のプロファージから、lacUV5プロモーターの転写コントロール下に、宿主株BL21(DE3)またはHMSI 74(DE3)により供給される。
【0101】
イー.コリにおける組換えタンパク質の発現を最大にするための1つの方法は、組換えタンパク質をタンパク質分解する能力が損なわれた宿主細菌においてタンパク質を発現させることである。他の方法は、各アミノ酸に関する個々のコドンがイー.コリにおいて選択的に用いられるものとなるように発現ベクターに挿入される核酸の核酸配列を変更することである。
本発明の核酸配列のそのような変更は、標準的なDNA突然変異形成または合成法により行うことができる。
【0102】
他の具体例において、hCAR遺伝子発現ベクターは、酵母発現ベクターである。酵母エス.セレビジエにおける発現のためのベクターの例には、pYepSecI(Baldari, etal., (1987) Embo J 6: 229-234)、pMFa(Kurj an and Herskowitz, (1982) Cell : 933-943)、pJRY88(Schultz etal., (1987) Gene 54: 113-123)、およびpYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, CA)が含まれる。
別法として、hCAR遺伝子は、例えばバキュロウイルス発現ベクターを用いて昆虫細胞にて発現され得る。培養昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)におけるタンパク質の発現に利用できるバキュロウイルスベクターには、pAcシリーズ(Smith et al. (1983) Mol. CellBiol. 3: 2156-2165)およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers (1989) Virology 170: 31-39)が含まれる。
【0103】
他の具体例では、発明の核酸は哺乳動物発現ベクターを用いて哺乳動物細胞において発現される。哺乳動物発現ベクターの例には、pCDM8(Seed, B. (1987) Nature 329: 840)およびpMT2PC(Kaufman et al. (1987) EMBO J 6: 187-195)が含まれる。哺乳動物細胞において用いられる場合、発現ベクターのコントロール機能が、しばしば、ウイルス調節エレメントにより提供される。
【0104】
例えば、一般に用いられるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびサルウイルス40由来である。原核生物および真核生物細胞のための他の適当な発現システムに関しては、出典明示により本明細書に組み込むSambrook, J., Fritsh, E. F., and Maniatis, T. モレキュラークローニング : 研究室マニュアル. 2nd, ed, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989のチャプター16および17を参照されたい。
【0105】
他の具体例においては、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞タイプにおいて優先的に核酸の発現を指向することができる(例えば、組織特異的調節エレメントを核酸を発現するのに用いる)。組織特異的調節エレメントは、当該分野で公知である。適当な組織特異的プロモーターの無制限の例には、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkert etal. (1987) Genes Dev. 1: 268-277)、リンパ特異的プロモーター(Calame and Eaton (1988) Adv. Immunol. 43: 235-275)、特にT細胞レセプター(Winoto and Baltimore (1989) EMBO J 8: 729-733)および免疫グロブリン(Banerji et al. (1983) Cell 33: 729-740; Queen andBaltimore (1983) Cell 33:741-748)の特定のプロモーター、ニューロン特異的プロモーター(例えば、神経繊維プロモーター;Byrne and Ruddle (1989) PNAS 86: 5473- 5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlund et al. (1985) Science 230: 912-916)、および乳腺特異的プロモーター(例えば、ミルクホエイプロモーター;米国特許第 4,873,316号および欧州特許出願公開第264,166号)が含まれる。発生調節プロモーターには、例えば、ネズミのhoxプロモーター(Kessel and Gruss (1990) Science 249: 3 74-3 79)およびα−フェトタンパク質プロモーター(Campes and Tilghman (1989) Genes Dev. 3: 537-546)が含まれる。
【0106】
本発明によりさらに、アンチセンス配向にて発現ベクターにクローン化されたhCARタンパクをコードしているDNA分子を含んでいる組換え発現ベクターが提供される。つまり、DNA分子は、hCARmRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の(DNA分子の転写による)発現を許容とする方法で調節配列に作用的に結合している。種々の細胞タイプにおけるアンチセンスRNA分子の継続的な発現を管理する、アンチセンス配向でクローン化された核酸に作用的に結合される調節配列を選択することができ、または、アンチセンスRNAの構成的、組織特異的または細胞タイプ特異的発現を管理する調節配列を選択することができる。アンチセンス発現ベクターは、その活性が、ベクターが導入される細胞タイプにより限定され得る高効率の調節領域のコントロール下にアンチセンス核酸を産生する組換えプラスミド、ファージミド、または弱毒化されたウイルスの形態であり得る。
【0107】
本発明の他の態様は、本発明の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞を含む。「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」なる用語は、本明細書中交換して用いる。そのような用語は、特定の対象細胞を意味するのみならず、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫をも意味する。所定の変化が、変異または環境による影響のために後の世代に生じ得るので、そのような子孫は実際、親細胞と同一ではない可能性があるが、しかし、本明細書中に用いられる用語の範囲内に含まれる。
【0108】
宿主細胞は、いずれかの原核生物または真核生物細胞であり得る。例えば、hCARタンパク質は、イーコリなどの細菌細胞、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞など)において発現され得る。他の適当な宿主細胞が当該分野の専門家に公知である。
【0109】
ベクターDNAは、常套の形質転換またはトランスフェクション法により、原核生物または真核生物細胞に導入することができる。本明細書中に用いるように、「形質転換」および「トランスフェクション」は、リン酸カルシウムおよびエン化カルシウム共沈、DEAE−デキストラン−媒介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポーレーションを含む、外来核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入するための当該分野で認められている種々の方法を意味するものとする。宿主細胞を形質転換するまたはトランスフェクトするための適当な方法は、Sambrook, et al.(モレキュラークローニング : 研究室マニュアル. 2nd, ed, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)および他の研究室マニュアルに見出すことができる。
【0110】
哺乳動物細胞の安定したトランスフェクションに関しては、用いられる発現ベクターおよびトランスフェクション法よっては、少数の細胞のみが外来DNAをそのゲノムに統合し得ることは公知である。これら統合したものを同定および選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する抵抗性)をコードする遺伝子を一般に、目的の遺伝子と共に宿主細胞に導入する。好ましい選択可能なマーカーには、薬物に抵抗性を付与するもの、G418、ヒグロマイシン、およびメトトレキサートなどが含まれる。選択可能なマーカーをコードしている核酸は、hCARタンパク質をコードしているものと同じベクターにて宿主細胞へ導入し得、または別のベクターにて導入し得る。導入した核酸で安定にトランスフェクトした細胞は、薬物選択により同定することができる(例えば、選択可能なマーカー遺伝子を導入した細胞は生存するが、他の細胞は死ぬ。)。
【0111】
培養原核生物または真核生物宿主細胞などの本発明の培養宿主細胞を用いて、hCARタンパク質を産生する(即ち、発現させる)ことができる。従って、本発明によりさらに、発明の宿主細胞を用いてhCARタンパク質を産生するための方法が提供される。1つの具体例において、方法は、(hCARタンパク質をコードしている組換え発現ベクターが導入された)本発明の宿主細胞を、hCARタンパク質が産生されるまで適当な培地中で培養することを含む。他の具体例において、方法はさらに、宿主細胞の培地からhCARタンパク質を単離することを含む。
【0112】
本発明の宿主細胞をさらに用いて、非ヒトトランスジェニック動物を産生することができる。非−ヒトトランスジェニック動物を、スクリーニングアッセイに用いて、神経系疾患、例えば、精神医学的疾患、または概日リズムおよび睡眠−目覚めサイクルに影響を及ぼす疾患などの神経系疾患などの特定の疾患の有害な症状を緩和することができる試薬または化合物、例えば薬物、医薬などを同定するために設計されたスクリーニングアッセイに用いることができる。例えば、1つの具体例において、本発明の宿主細胞は、hCARタンパク質−コーディング配列が導入された受精卵または胎児幹細胞である。そのような宿主細胞を次いで用いて、外来のhCAR遺伝子配列がそのゲノムに導入された非ヒトトランスジェニック動物、または外来hCAR遺伝子配列が変化した相同組換え動物を作製することができる。そのような動物を、hCARタンパク質の機能および/または活性を研究するのに、およびhCARタンパク質の活性のモジュレーターを同定および/または評価するのに用いる。本明細書中に用いるように、「トランスジェニック動物」は、動物の細胞の1つまたはそれ以上がトランスジーンを含んでいる非ヒト動物、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはラットまたはマウスなどの齧歯動物である。トランスジェニック動物の他の例には、非−ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類などが含まれる。トランスジーンは、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムに統合され、そして成熟した動物のゲノムに留まり、それによりトランスジェニック動物の1つまたはそれ以上の細胞タイプまたは組織におけるコードされる遺伝子産物の発現を指向する外来DNAである。本明細書中に用いられるように、「相同組換え動物」は、内在hCAR遺伝子が、内在遺伝子および動物の細胞、例えば動物の胎児細胞に動物の発生前に導入された外来DNA分子の間の相同組換えにより変更された非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスである。
【0113】
本発明のトランスジェニック動物は、受精卵母細胞の生殖核にhCARタンパク質をコードしている核酸を、例えばマイクロインジェンクション、レトロウイルス感染により導入することにより、ついで卵母細胞を擬似妊娠させた雌のフォスター動物にて発生させることにより、作製することができる。配列番号1のヒトhCARcDNA配列は、その全部にて、またはhCARタンパク質のいずれかの部分をコードしているセグメントにて、非−ヒト動物のゲノムにトランスジーンとして導入することができる。
【0114】
さらに、マウスhCAR遺伝子などのヒトhCR遺伝子に対する非ヒト相同物を、(前記の)ヒトhCARcDNAに対するハイブリダイゼーションに基き単離し、トランスジーンとして用いることができる。プロモーター、イントロン、およびポリアデニル化シグナルを含むゲノム配列をさらに、トランスジーンに含めて、トランスジーンの発現の効率または特異性を増すことができる。組織特異的調節配列は、特定の細胞へhCARタンパク質の発現を指向するために、hCARトランスジーンへと作用的に結合させることができる。胎児の操作およびマイクロインジェクションによりトランスジェニック動物、特にマウスなどの動物を作製するための方法は当該分野で常套手段となっており、例えば共にLeder etalによる米国特許第4,736,866および4,870,009号、Wagner etによる米国特許第4,873,191号に記載されている。同様の方法を他のトランスジェニック動物の作製のために用いる。トランスジェニックファウンダー動物は、そのゲノムにおけるhCARトランスジーンの存在および/または動物の組織または細胞におけるhCARmRNAの発現に基き同定することができる。トランスジェニックファウンダー動物を次いで用いて、トランスジーンを有するさらなる動物を作り出すことができる。さらに、hCARタンパク質をコードしているトランスジーンを有しているトランスジェニック動物をさらに、他のトランスジーンを有しているトランスジェニック動物と交配することができる。
【0115】
相同組換え動物を作製するために、欠失、付加、または置換を導入してhCAR遺伝子を変更した、例えばhCAR遺伝子を機能的に破壊した、hCAR遺伝子の少なくとも1つのフラグメントを含むベクターを調製する。hCAR遺伝子はヒト遺伝子(例えば、配列番号1のcDNAでスクリーニングしたヒトゲノムライブラリーから単離したヒトゲノムクローン由来のもの)であるが、より好ましくは、ヒトhCAR遺伝子の非−ヒト相同物である。例えば、マウスhCAR遺伝子は、プローブとして配列番号1のhCARcDNAを用いて、マウスゲノムDNAライブラリーから単離することができる。マウスhCAR遺伝子を次いで用いて、マウスゲノム中の内在hCAR遺伝子を変更するのに適した相同組換えベクターを構築することができる。好ましい具体例において、ベクターは、相同組換えに際して、内在hCAR遺伝子が機能的に破壊される(すなわち、もはや機能性タンパク質をコードしなくなる;「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)ように設計する。
【0116】
別法として、ベクターは、相同組換えに際して、内在hCAR遺伝子が変異しまたは変更されるが、なお機能性タンパク質をコードするように設計することができる(例えば、上流の調節領域を変化させて、それにより内在hCARタンパク質の発現を変更することができる)。相同組換えベクターにおいて、hCAR遺伝子の変更フラグメントは、その5’および3’末端においてhCAR遺伝子の追加の核酸が隣接しており、ベクターにより運ばれる外来hCAR遺伝子と胎児幹細胞における内在hCAR遺伝子の間で相同組み合えが起こることが可能となる。追加の隣接hCAR核酸は、内在遺伝子との優れた相同組換えに十分な長さである。
【0117】
典型的には、数キロベースの隣接DNA(共に5’および3’末端にて)がベクター中に含まれる(例えば、相同組換えベクターに関する記載に関しては、Thomas, K. R. and Capecchi, M. R. (1987) Cell 51: 503を参照されたい)。ベクターを胎児幹細胞株へ(例えば、エレクトロポーレーションにより)導入し、そして導入されたhCAR遺伝子が内在のhCAR遺伝子と相同組換えした細胞を選択する(例えばLi, E. et al. (1992) Cell 69: 915を参照されたい)。選択された細胞を次いで動物(例えばマウス)の胚盤胞へと注入し、集合キメラを得る(例えば、奇形癌および胎児幹細胞; プラクティカル アプローチ, E. J. Robertson, ed.(IRL, Oxford, 1987) pp. 113152を参照されたい)。キメラ胎児を次いで適当な擬似妊娠した雌のフォスター動物に移植し、胎児を出産させることができる。その生殖細胞に相同組換えDNAを有している子孫を次いで用いて、動物の全細胞がトランスジーンの生殖細胞伝達により相同組換えされたDNAを含む動物を孵すことができる。相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築するための方法は、Bradley, A.(1991) バイオテクノロジーにおける現在の見解2: 823-829 および PCT 国際公開第WO 90/11354号; 第WO 91/01140号; 第WO 92/0968号;および第WO 93/04169号に記載されている。
【0118】
他の具体例においては、トランスジーンの調節性の発現を可能とする選択されたシステムを含むトランスジェニック非ヒト動物を作製することができる。そのようなシステムの1例は、バクテリオファージPLのcre/loxPリコンビナーゼシステムである。cre/losPリコンビナーゼシステムの記載に関しては、Lakso et al. (1992) PJVAS 89: 6232-6236を参照された。リコンビナーゼシステムの他の例は、サッカロマイセス セレビジエのFLPリコンビナーゼシステムである(O'Gon-nan et al. (1991) Science 251: 1351-1355)。cre/loxPリコンビナーゼシステムを用いてトランスジーンの発現を調節する場合、Creリコンビナーゼおよび選択されるタンパク質の両方をコードしているトランスジーンを含んでいる動物が必要とされる。そのような動物は、例えば、選択されるタンパク質をコードしているトランスジーンと、リコンビナーゼをコードしているトランスジーンを含んでいる他方の、2つのトランスジェニック動物をつがわせることによる、「ダブル」トランスジェニック動物の構築により提供することができる。
【0119】
本明細書中に記載する非ヒトトランスジェニック動物のクローンは、Wilmut, I. et al. (1997) Nature 3 8 5: 8 10-813 および PCT 国際公開第WO 97/07668号および第WO 97/07669号に記載する方法に従い作製することもできる。簡単には、トランスジェニック動物由来の細胞、例えば体細胞を単離し、増殖サイクルを脱し、G0フェーズに入らせることができる。静止細胞を次いで、休止細胞を単離する同じ種の動物由来の除核卵母細胞へと、例えば電気パルスの使用により融合することができる。再構築された卵母細胞を次いで培養し、それを桑実胚または胚盤胞へと発生させ、擬似妊娠させた雌のフォスター動物へと移植する。この雌のフォスター動物の子孫は、細胞、例えば体細胞を単離する動物のクローンである。本発明に開示する本発明の使用および方法、核酸分子、タンパク質、タンパク質相同物、モジュレーター、および抗体は、以下の方法の1つまたはそれ以上に用いることができる:a)薬物スクリーニングアッセイ;b)特に疾患の同定、対立遺伝子のスクリーニング、および薬理遺伝学的試験における診断アッセイ;c)治療法;d)薬理遺伝学;およびe)臨床試験中の効果の測定。本発明のhCARタンパク質は、hCARタンパク質(GPCR)の活性を調節する試薬を開発するための薬物標的として用いることができる。本発明の単離核酸分子を用いて、さらに以下に記載するように、hCARタンパク質を(例えば宿主細胞または遺伝子治療適用において組換え発現ベクターにより)発現させること、hCARmRNA(例えば生物学K的サンプルにおける)またはhCAR遺伝子における天然に生じるまたは組換え産生された遺伝子変異を検出すること、およびhCARタンパク質活性を調節することができる。加えて、hCARタンパク質を用いて、hCARタンパク質活性を調節する薬物または化合物を調べることができる。さらに、本発明の抗−hCAR抗体を用いて、生物学的サンプル中に存在するhCARタンパク質、特にhCARタンパク質のフラグメントを検出および単離すること、およびhCARタンパク質活性を調節することができる。
【0120】
hCAR遺伝子の活性化
本発明はさらに、hCARタンパク質のインビトロ産生、およびhCARタンパク質の遺伝子治療による産生および送達のための改良法に関する。本発明には、hCARタンパク質をコードしている内在DNAのインビトロ操作およびトランスフェクションに必要でない活性化された内在性細胞遺伝子の増幅をさらに可能とするアプローチが含まれる。これらの方法は、PCT 出願第WO 94/12650号、米国特許第5,968,502号、およびHarrington et al., Nature Biotechnology (2001) 19: 440-445に記載されており、その全てを本明細書中にその全体を出典明示により組み込む。これら、および当業者に同等であると認識されるこれらのバリエーションをまとめて「遺伝子の活性化」と呼んでよい。
【0121】
本発明は、タンパク質を産生するのに有用なトランスフェクト細胞、トランスフェクト一次または二次細胞(即ち、非−不死化細胞)およびトランスフェクト不死化細胞、そのような細胞を作製する方法、インビトロでのタンパク質の産生のために細胞を用いる方法、および遺伝子治療法に関する。本発明の細胞は、脊椎動物起源、特に哺乳動物起源、およびさらに特に、ヒト起源のものである。本発明の方法により産生される細胞は、治療産物をコードする外来DNA、それ自体治療産物である外来DNA、および/または、対応する非トランスフェクト細胞において生じるものよりも高いレベルで、またはそれと異なる調節または誘導のパターンで細胞に遺伝子を発現させる外来DNAを含む。
【0122】
本発明はさらに、一次、二次、および不死化細胞をトランスフェクトして、外来遺伝子物質を含ませる方法、クローン細胞株または異種構造細胞株を産生する方法、およびトランスフェクト一次、二次、または不死化細胞を用いて、動物を免疫化する、免疫化動物において抗体を産生する方法に関する。
【0123】
本発明は特に、脊椎動物、特に哺乳動物起源の細胞における遺伝子ターゲッティング法または相同組換え法に関する。つまり、DNAが一次、二次、または不死化細胞のゲノムDNAに予め選択された部位において導入されるように、脊椎動物の一次、二次、または不死化細胞に相同組換えによりDNAを導入する方法に関する。用いられるターゲッティング配列は、外来DNAが挿入される部位により決定される(それに関して選択される)。本発明により提供されるゲノムhCAR配列(配列番号3)がこれらの方法に有用である。本発明はさらに、本発明の方法により産生される、相同組換え(HR)一次、二次、または不死化細胞と呼ばれる、相同組換え一次、二次、または不死化細胞、およびHR一次、二次、または不死化細胞の使用に関する。
【0124】
本発明はさらに、細胞において通常は発現されない、または得られる細胞において生理学的に有意なレベルでは発現されない、脊椎動物起源の一次、二次、または不死化細胞に存在するhCAR遺伝子を活性化する(即ち、刺激する)方法に関する。本発明の方法に従い、相同組換えを用いて、得られる細胞における遺伝子と通常結合する調節領域を、対応しているトランスフェクトされていない細胞において明らかであるレベルを超えるレベルで遺伝子が発現されるようにする、または対応するトランスフェクトされていない細胞において明らかであるレベルとは異なる調節または誘導パターンを示すようにする調節配列と置き換えるか、またはそれを用いて損傷させる。本発明はそれゆえ、トランスフェクト一次、二次、または不死化細胞において所望の産物をコードする内在遺伝子を刺激または活性化することによりタンパク質を作製する方法に関する。
【0125】
1つの具体例において、活性化される遺伝子はさらに、細胞を適当な選択可能な試薬の存在下に培養することにより、選択可能なマーカー遺伝子の増幅コピーを含んでいる細胞を選択することができる特性を有する選択可能なマーカー遺伝子を含めることにより、さらに増幅することができる。増幅された選択可能なマーカー遺伝子に隣接するまたはそれに連結する活性化された内在遺伝子も、増幅された選択可能なマーカー遺伝子を含んでいる細胞において増幅される。活性化内在遺伝子の多コピーを含んでいる細胞は、インビトロタンパク質産生および遺伝子治療に有用である。
【0126】
本発明のトランスフェクト細胞は、ヒトおよび動物における多くの適用に有用である。1つの具体例において、細胞をヒトまたは動物におけるhCARタンパク質の送達のためにヒトまたは動物に移植することができる。hCARタンパク質を、治療上の目的のために、ヒトにおいて全身または局所送達することができる。インビボにおいて固定された位置に細胞を維持し、または宿主の免疫システムから細胞を保護および分離するために、治療に役立つhCARタンパク質産物を発現するトランスフェクト細胞を含み、そして治療に役立つ産物が自由に透過できるバリア装置を用いることができる。バリア装置は、トランスフェクト不死化細胞、他の種からのトランスフェクト細胞(トランスフェクト異種細胞)、または非組織適合的に適合したドナー(トランスフェクト同種細胞)をヒトまたは動物の疾患の治療のために移植するのに有用であり、そしてそれを可能とする。バリア装置により、治療管理をいずれかの理由のために停止すべき場合に、細胞を除去する簡便な手段を提供することにより、簡便な短期間の(即ち一時的な)治療が可能となる。トランスフェクトされた異種および同種細胞を短期遺伝子治療に用いてよく、その結果、細胞により作製される遺伝子産物は、細胞が宿主の免疫システムにより拒絶されるまでインビボで送達される。
【0127】
本発明のトランスフェクト細胞は、抗体産生を誘発するのに、またはヒトおよび動物を病原性因子に対して免疫化するためにも有用である。移植トランスフェクト細胞を用いて、宿主の細胞およびホルモン免疫反応の刺激を生じる免疫化抗原を送達することができる。これらの免疫反応を宿主の将来の感染因子からの保護のために(即ち、ワクチン化のために)設計して、進行中の感染に対して指向される疾患抵抗力を刺激および増加する、または治療または診断目的のために有用であり得るトランスフェクト細胞によりインビボで産生される抗原に対して指向される抗体を産生することができる。除去し得るバリア装置を用いて、抗原に対して曝されることを制限する簡便な手段を提供することができる。別法として、最終的には拒絶される細胞(異種または同種移植細胞)を使用して、細胞が拒絶されたときに抗原の産生が止むので、抗原に曝されることを制限することができる。
【0128】
本発明の方法を用いて、hCARタンパク質産物またはアンチセンスRNAを産生している一次、二次、または不死化細胞を産生することができる。さらに、本発明の方法を用いて、hCAR治療製品のインビトロ製造または遺伝子治療に有用な非天然生のリボザイム、タンパク質、または核酸を産生する細胞を製造することができる。
【0129】
薬物スクリーニングアッセイ
本発明により、異常なまたは病的なhCAR核酸発現および/またはhCARタンパク質活性により特徴づけられる(またはそれに関連する)疾患を治療するのに用いることができる化合物または試薬を同定するための方法が提供される。これらの方法は、本明細書中、薬物スクリーニングアッセイとも呼ばれ、典型的には、hCARタンパク質のアゴニストまたはアンタゴニストである化合物を同定するための候補/試験化合物または試薬をスクリーニングする工程、および特にhCARタンパク質と相互作用する(例えば、それに対して結合する)、hCARタンパク質とターゲット分子の相互作用を調節する、および/またはhCAR核酸発現および/またはhCARタンパク質活性を調節する能力に関してスクリーニングする工程を含む。これらの能力の1つまたはそれ以上を有する候補/試験化合物または試薬を薬物として用いて、異常または病的なhCAR核酸発現および/またはhCARタンパク質活性により特徴付けられる疾患を治療することができる。候補/試験化合物の例には、1)Ig−末端融合ペプチド、およびD−および/またはL−配置アミノ酸から成るランダムペプチドライブラリーおよびコンビナトリアルケミストリー由来の分子ライブラリーのメンバー;2)ホスホペプチド(例えば、ランダムおよび部分変性、方向性ホスホペプチドライブラリーのメンバー(例えば、Songyang, Z. et al. (1993) Cell 72: 767778を参照されたい)のメンバー);3)抗体(例えばポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、抗−イディオタイプ、キメラ、および一本鎖抗体ならびに抗体のFab、F(ab’)2、Fab発現ライブラリーフラグメント、およびエピトープ結合フラグメント);および4)小さな有機および無機分子(例えば、コンビナトリアルおよび天然産物ライブラリーから得られる分子)が含まれる。1つの具体例では、本発明により、hCARタンパク質と相互作用する(例えばそれに結合する)候補/試験化合物をスクリーニングするためのアッセイが提供される。
【0130】
典型的には、アッセイは、hCARタンパク質またはその生物活性フラグメントを発現している細胞、hCARを発現している細胞からの膜調製物、または単離されたhCARタンパク質、および候補/試験化合物を、例えば候補/試験化合物がhCARタンパク質またはそのフラグメントと相互作用(例えば結合)して複合体を形成する条件下に合わせ、次いで複合体の形成を検出する工程を含む組換え細胞に基くまたは細胞フリーのアッセイであり、ここで、候補化合物がhCARタンパク質またはそのフラグメントと相互作用する(例えば、それに結合する)能力は、複合体の中の候補化合物の存在により示される。hCARタンパク質と候補化合物の間の複合体の形成は、競合結合アッセイを用いて検出することができ、および例えば標準的な免疫アッセイを用いて定量することができる。
【0131】
他の具体例において、本発明により、hCARタンパク質およびhCARタンパク質が通常相互作用する分子(ターゲット分子)の間の相互作用(および最も好ましくはhCARタンパク質活性を同様に)変更する(例えば、刺激または阻害する)候補/試験化合物を同定するためのスクリーニングアッセイが提供される。そのようなターゲット分子の例には、hCARタンパク質と同じシグナリング経路にあるタンパク質、例えば認識機能シグナリング経路またはhCARタンパク質の活性が関与する経路においてhCARタンパク質の上流(活性の刺激インSにおよび阻害因子を含む)または下流で機能し得るタンパク質、例えばGタンパク質またはcAMPまたはホスファチジルイノシトールのターンオーバー、および/またはアデニル酸シクラーゼおよびホスホリパーゼCの活性化に関与する他のインターアクターが含まれる。典型的には、アッセイは、hCARタンパク質またはその生物活性フラグメント、hCARタンパク質ターゲット分子(例えば、hCARリガンド)、および候補/試験化合物を発現している細胞を、例えば、候補化合物が存在しない限り、hCARタンパク質またはその生物活性フラグメントがターゲット分子と相互作用する(例えばそれに結合する)条件下に合わせること、およびhCARタンパク質およびターゲット分子を含む複合体の形成を検出すること、またはhCARタンパク質およびターゲット分子の相互作用/反応を検出することの工程を含む組換え細胞に基くアッセイである。複合体の形成の検出には、例えば、hCARタンパク質の誘導性の効果を測定することによる複合体の直接定量を含むことができる。候補化合物の存在下におけるhCARタンパク質およびターゲット分子の相互作用における(例えばhCARタンパク質とターゲット分子の間の複合体の形成における)低下などの統計学的に有意な変化(候補化合物の不在下で検出されるものに対する)が、hCARタンパク質およびターゲット分子の間の相互作用の変更(例えば、刺激または阻害)の指標である。hCARタンパク質およびターゲット分子の間の複合体の形成の変化は、例えば免疫アッセイを用いて定量することができる。
【0132】
細胞フリーの薬物スクリーニングアッセイを行うために、hCARタンパク質またはそのターゲット分子のいずれかを固定して、タンパク質の1つまたは両方の非複合体形態からの複合体の分離を促進すること、ならびにアッセイの自動化を図ることが望ましい。hCARタンパク質のターゲット分子に対する、候補化合物の存在および不在下での相互作用(例えば結合)は、反応物質を含むのに適したいずれかの容器中で行うことができる。そのような容器の例には、マイクロタイタープレート、試験管、およびマイクロ−遠心分離チューブが含まれる。1つの具体例では、マトリックスへタンパク質を結合させるドメインを付加する融合タンパク質を提供することができる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/hCAR融合タンパク質を、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical, St. Louis, MO)またはグルタチオン誘導マイクロタイタープレートに吸着させることができ、これを次いで細胞溶解物(例えば35S 標識化)および候補化合物と合わせ、次いで混合物を複合体の形成を誘導する条件下に(例えば、塩およびpHに関して生理的な条件にて)インキュベートする。インキュベーション後、ビーズを洗浄してあらゆる非結合標識を除去し、マトリックスを固定し、次いで放射能標識を直接、または複合体を分離した後の上清にて測定する。別法として、複合体をマトリックスから分離し、SDS−PAGEにより分離し、ビーズフラクションに見出されるhCAR結合タンパク質のレベルを、ゲルより、標準的な電気泳動法を用いて定量する。
【0133】
タンパク質をマトリックス上に固定するための他の方法も、本発明の薬物スクリーニングアッセイ用いることができる。例えば、hCARタンパク質またはそのターゲット分子のいずれかを、ビオチンおよびストレプトアビジの結合を用いて固定することができる。
【0134】
ビオチン化hCARタンパク質分子は、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から、当該分野で周知の方法(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals, Rockford,IL)を用いて調製することができ、ストレプトアビジンでコートした96ウェルのプレート(Pierce Chemical)のウェルに固定することができる。別法として、hCARタンパク質と反応するが、該タンパク質のそのターゲット分子に対する結合は妨害しない抗体をプレートのウェルに誘導し、次いで、hCAタンパク質を抗体結合によりウェル中でトラップすることができる。前記のごとく、hCAR結合タンパク質および候補化合物の調製物を、プレートのhCARタンパク質を提示しているウェルにてインキュベートし、ウェルにてトラップされた複合体の量を定量することができる。GST−固定複合体に関して前に記載したものに加えて、そのような複合体を検出するための方法には、hCARタンパク質ターゲット分子と反応性のある、またはhCARタンパク質と反応し、そしてターゲット分子と競合する抗体を用いる複合体の免疫検出;ならびにターゲット分子に関連する酵素活性を検出することに基く酵素結合アッセイが含まれる。
【0135】
さらに他の具体例では、本発明により、異常または病的はhCAR核酸発現またはhCARタンパク質活性により特徴づけられる(またはそれに関連する)疾患の治療に用いることができる化合物を同定するための方法(例えば、スクリーングアッセイ)が提供される。この方法は、典型的には、hCAR核酸の発現またはhCRタンパク質の活性を調節する化合物または試薬の能力をアッセイし、それにより、異常または病的なhCAR核酸発現またはhCARタンパク質活性により特徴づけられる疾患を治療するための化合物を同定する工程が含まれる。化合物または試薬がhCAR核酸の発現またはhCARタンパク質の活性を調節する能力をアッセイするための方法は、典型的には細胞に基くアッセイである。例えば、hCARタンパク質が関与する経路によりシグナルを伝達するリガンドに感受性のある細胞は、候補化合物の存在および不在下でhCARタンパク質の過剰発現を誘導することができる。
【0136】
hCARタンパク質依存性の反応(刺激または阻害のいずれか)に統計学的に有意な変化を生じる候補化合物を同定することができる。1つの具体例において、hCAR核酸の発現またはhCARタンパク質の活性を、細胞において変更し、候補化合物の目的のリードアウト(cAMPまたはホスファチジルイノシトールのターンオーバーなど)における効果を測定する。例えば、hCARタンパク質依存性シグナルカスケードに対してアップまたはダウンレギュレートされる遺伝子の発現をアッセイすることができる。好ましい具体例において、5’隣接プロモーターおよびエンハンサー領域などの遺伝子の調節領域を、容易に検出することができる遺伝子産物をコードする検出可能なマーカー(ルシフェラーゼなど)に作用的に結合させる。hCARタンパク質またはhCARタンパク質ターゲット分子のリン酸化を、例えば免疫ブロティングにより測定することもできる。
【0137】
別法として、hCAR遺伝子発現のモジュレーター(例えば、異常または病的なhCAR核酸発現またはhCARタンパク質活性により特徴づけられる疾患を治療するのに用いることができる化合物)を、細胞を候補化合物と接触させ、hCARmRNAまたはタンパク質の細胞における発現を測定する方法において同定することができる。hCARmRNAまたはタンパク質の候補化合物の存在下での発現のレベルを、候補化合物の不在下でのhCARmRNAまたはタンパク質の発現のレベルと比較する。候補化合物を次いでこの比較に基きhCAR核酸発現のモジュレーターとして同定することができ、異常なhCAR核酸発現により特徴づけられる疾患を治療するのに用いることができる。例えば、hCARmRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の存在下において不在下よりも多い(統計学的に有意に多い)場合、候補化合物は、hCAR核酸発現の刺激因子として同定される。別に、hCAR核酸発現が候補化合物の存在下においてその不在下よりも少ない(統計学的に有意に少ない)場合、候補化合物はhCAR核酸発現のインヒビターと同定される。細胞におけるhCAR核酸の発現のレベルは、hCARmRNAまたはタンパク質を検出することに関して本明細書中に記載される方法により決定することができる。
【0138】
さらに、典型的なスクリーニングアッセイには、米国特許第5,691,188号;5,846,819号;および国際出願公開第WO01/09184号第26頁に記載されているものが含まれるが、その全ては出典明示により組み込まれる。
【0139】
本発明のさらに他の態様において、hCARタンパク質またはそのフラグメントを2−ハイブリッドアッセイにおいて「バイトタンパク質」として用いて(例えば、米国特許第5,283,317号; Zervos et al. (1993) Cell 72: 223-232; Madura et al. (1993) JBiol. Chem. 268: 12046-12054; Bartel et al. (1993) Biotechniques 14: 920-924;Iwabuchi et al. (1993) Oncogene 8: 1693-1696; および Brent 第WO94/10300号を参照されたい)、hCARタンパク質に結合するまたはそれと相互作用する(「hCAR−結合タンパク質」または「hCAR−bp」)およびhCARタンパク質活性を調節する他のタンパク質を同定することができる。そのようなhCAR−結合タンパク質も、例えば、hCARタンパク質経路の上流または下流のエレメントとして、hCARタンパク質によるシグナルの伝達に関与すると考えられる。
【0140】
2−ハイブリッドシステムは、分離可能なDNA−結合および活性化ドメインから成るほとんどの転写因子のモジュラー性に基く。Bartel, P. et al.発生における細胞相互作用における、「タンパク質−タンパク質相互作用を検出するための2−ハイブリッドシステムの使用」;プラクティカルアプローチ、Hartley, D. A. ed. (Oxford University Press, Oxford, 1993) pp. 153-179。簡単には、アッセイは、2つの異なるDNA構築物を利用する。1つの構築物において、hCARタンパク質をコードする遺伝子を、公知の転写因子(例えば、GAL−4)のDNA結合ドメインをコードしている遺伝子へ融合する。他の構築物においては、DNA配列のライブラリーからの、同定されていないタンパク質をコードするDNA配列(「おとり」または「サンプル」)を公知転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子へと融合する。「バイト」および「おとり」タンパク質がインビボで相互作用して、hCAR−タンパク質依存性複合体を形成する場合、転写因子のDNA−結合および活性化ドメインを接近させる。この隣接化により、転写因子に反応する転写調節部位に作用的に結合するレポーター遺伝子(例えば、LacZ)が転写される。
【0141】
レポーター遺伝子の発現を検出し、機能転写因子を含んでいる細胞コロニーを単離および使用して、hCARタンパク質と相互作用するタンパク質をコードするクローン化された遺伝子を得ることができる。
薬物スクリーニングアッセイに従い同定されるhCARタンパク質活性および/またはhCAR核酸発現のモジュレーターを用いて、例えば、神経系疾患を治療することができる。これらの治療法には、hCARタンパク質活性および/または核酸発現のモジュレーターを、例えば本明細書中に記載する医薬組成物にて、そのような治療を必要とする対象、例えば、本明細書に記載する疾患を有する対象へと投与する工程が含まれる。
【0142】
診断アッセイ
本発明によりさらに、hCARタンパク質またhCAR核酸分子の、生物サンプルにおける存在を検出する方法が提供される。該方法は、生物サンプルをhCARタンパク質またはmRNAを検出することができる化合物または試薬と接触させ、hCARタンパク質/コードしている核酸分子の存在を生物学的サンプル中で検出することを含む。hCARmRNAを検出するための好ましい試薬は、hCARmRNAにハイブリダイズすることができる標識されたまたは標識可能な核酸プローブである。核酸プローブは、例えば、配列番号1の全長のhCARcDNAまたはそのフラグメント、例えば、少なくとも15、30、50、100、250、または500ヌクレオチド長の、およびhCARmRNAにストリンジェント条件下に特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドなどであり得る。hCARタンパク質を検出するのに好ましい試薬は、hCARタンパク質に対して結合することができる、標識されたまたは標識可能な抗体である。抗体は、ポリクローナル、またはより好ましくはモノクローナルであり得る。無傷の抗体またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab’)2)を用いることができる。プローブまたは抗体に関して「標識されたまたは標識可能な」なる用語は、プローブまたは抗体に対して検出可能な物質を結合させること(例えば、物理的に結合させること)によるプローブまたは抗体の直接検出、ならびに間接的に標識される他の試薬と反応させることによるプローブまたは抗体の間接標識が含まれるものとする。間接標識の例には、蛍光標識された二次抗体およびDNAプローブのビオチンでの末端標識を、それが蛍光標識ストレプトアビジンで検出され得るように用いて一次抗体を検出することが含まれる。「生物サンプル」なる用語には、対象から単離された組織、細胞および生物体液、ならびに対象内に存在する組織、細胞および液体が含まれる。つまり、本発明の検出法を用いて、生物サンプル中のhCARmRNAまたはタンパク質をインビトロならびにインビボで検出することができる。例えば、hCARmRNAの検出のためのインビトロ法には、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチュハイブリダイゼーションが含まれる。hCARタンパク質の検出のためのインビトロ法には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈殿、および免疫蛍光が含まれる。別法として、hCARタンパク質は、標識された抗−hCAR抗体を対象に導入することにより、対象においてインビボで検出することができる。例えば、抗体は、対象における存在および位置を標準の画像処理法により検出することができる放射能活性マーカーで検出することができる。対象において発現されるhCARタンパク質の対立遺伝子変種を検出する方法および、サンプルにおけるhCARタンパク質のフラグメントを検出する方法が特に有用である。
【0143】
本発明は、生物サンプルにおけるhCARタンパク質の存在を検出するためのキットも包含する。例えば、キットは、生物サンプルにおいてhCARタンパク質またはmRNAを検出できる標識されたまたは標識可能な化合物または試薬;サンプル中のhCARタンパク質の量を測定するための手段;およびサンプル中のhCARタンパク質の量をスタンダードと比較するための手段を含むことができる。化合物または試薬を適当な容器に封入することができる。キットはさらに、hCARmRNAまたはタンパク質を検出するためのキットを用いるための説明書をさらに含むことができる。
【0144】
本発明の方法をさらに、hCAR遺伝子において天然に生じている遺伝子変異を検出するために用いて、それにより、変異遺伝子を有する対象が、本明細書に記載するような異常または病的なhCAR核酸発現またはhCARタンパク質活性により特徴づけられる疾患のリスクがあるかどうかを決定することもできる。好ましい具体例において、方法は、対象からの細胞のサンプルにおいて、hCARタンパク質をコードしている遺伝子の完全性またはhCAR遺伝子の誤発現に影響する変異の少なくとも1つにより特徴づけられる遺伝子変異の存在または不在を検出することを含む。例えば、そのような遺伝子変異は、以下の1)〜10)の少なくとも1つの存在を確認することにより検出することができる:1)hCAR遺伝子からの1つまたはそれ以上のヌクレオチドの欠失;2)hCAR遺伝子に対する1つまたはそれ以上のヌクレオチドの付加;3)hCAR遺伝子の1つまたはそれ以上のヌクレオチドの置換;4)hCAR遺伝子の染色体再転位;5)hCAR遺伝子のメッセンジャーRNA転写のレベルにおける変化;6)hCAR遺伝子の、ゲノムDNAのメチル化パターンなどの異常な変化;7)hCAR遺伝子のメッセンジャーRNA転写の非野生型スプライシングパターンの存在;8)hCARタンパク質の非野生型レベル;9)hCAR遺伝子の対立遺伝子喪失;および10)hCARタンパク質の翻訳後の不適当な変更。本明細書中に記載するように、hCAR遺伝子における変異を検出するために用いることができる当該分野で公知の多数のアッセイ法が存在する。
【0145】
所定の具体例において、変異の検出には、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)(例えば、米国特許第4,683,195号および第4,683,202号を参照されたい)、アンカーPCRまたはRACE PCRなどにおける、または別に、ライゲーション鎖反応(LCR)におけるプローブ/プライマーの使用が含まれ、このうち後者はhCAR−遺伝子における点突然変異を検出するのに特に有用であり得る(Abravaya et al. (1995) 核酸Res. 23: 675682を参照されたい)。本方法は、対象から細胞のサンプルを回収すること、サンプルの細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNA、またはその両方)を単離すること、(存在する場合には)hCAR遺伝子のハイブリダイゼーションおよび増幅が起こるような条件下でhCAR遺伝子へ特異的にハイブリダイズする1つまたはそれ以上のプライマーと核酸サンプルを接触させること、および増幅産物の存在または不在を検出すること、または、増幅サンプルのサイズを検出することおよび対象サンプルにしてそのサンプルを比較することの工程を含むことができる。
【0146】
別の具体例において、サンプル細胞からのhCAR遺伝子における変異を、制限酵素切断パターンにおける変異により同定することができる。例えば、サンプルおよび対照DNAを単離し、増幅し(任意に)、1つまたはそれ以上の制限エンドヌクレーゼで消化し、次いでフラグメント長サイズをゲル電気泳動により決定し、そして比較する。サンプルおよび対照DNAの間のフラグメント長サイズにおける違いは、サンプルDNAにおける変異を示す。さらに、配列特異的リボザイムの使用(例えば、本明細書中にその全体を出典明示により組み込む米国特許第5,498,531号を参照されたい)を用いて、リボザイム切断部位の発生または喪失による特異的変異の存在をスコアすることができる。
【0147】
さらに他の具体例では、当該分野で公知の種々の配列決定反応を用いて、hCAR遺伝子を直接配列決定し、サンプルhCAR遺伝子の配列を対応する野生型(対照)配列と比較することにより変異を検出することができる。配列決定反応の例には、Maxim および Gilbert( (1977) PNAS 74: 560) または Sanger( (1977) PNAS 74: 5463により開発された技術に基くものが含まれる。種々の自動化配列決定法を、マススペクトロメトリーによる配列決定(例えば、PCT国際公開第WO 94/16101号; Cohen et al. (1996) Adv. Chromatogr. 36: 127-162; および Griffin et al.1993) Appl. Biochem. Biotechnol. 38: 147-159を参照されたい)を含む診断アッセイ((1995) Biotechniques 19: 448)を行う場合に用いることができる。
【0148】
hCAR遺伝子における変異を検出するための他の方法には、切断試薬からの保護を、RNA/RNAまたはRNA/DNA二本鎖におけるミスマッチ塩基を検出するのに用い(Myers et al. (1985) Science 230: 1242); Cotton et al. (1988) PNAS 85: 4397;Saleeba et al. (1992) Meth. Enzymol. 217: 286-295)、変異体および野生型の核酸の電気泳動を比較する(Orita et al. (1989) PNAS 86: 2766; Cotton (1993) Mutat. Res. 285: 125-144; and Hayashi (1992) Genet. Anal. Tech.Appl. 9: 73-79)、および変性剤の勾配を含んでいるポリアクリルアミドゲルにおける変異体または野生型フラグメントの移動を、変性勾配ゲル電気泳動(Myers et al (1985) Nature 313: 495)を用いてアッセイする方法が含まれる。点突然変異を検出するための他の方法の例には、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、および選択的プライマー拡張が含まれる。
【0149】
治療法
本発明の他の態様は、異常または病的なhCAR核酸発現および/またはhCARタンパク質活性により特徴づけられる(またはそれに関連する)病気または疾患を有する対象、例えばヒトを治療する方法に関する。これらの方法には、hCARタンパク質/遺伝子モジュレーター(アゴニストまたはアンタゴニスト)を、治療がなされるように対象へと投与する工程を含む。「異常または病的なhCARタンパク質発現」なる語は、非野生型hCARタンパク質の発現またはhCARタンパク質の発現の非野生型レベルを意味する。異常なまたは病的なhCARタンパク質活性は、非野生型hCARタンパク質活性またはhCARタンパク質活性の非野生型レベルを意味する。hCARタンパク質は、細胞内のシグナリンングに関与している経路に関与するので、異常なまたは病的なhCARタンパク質活性または発現により、hCARタンパク質のシグナリングにより媒介される、および特定の脳細胞における機能の正常な調節が妨害される。
【0150】
本明細書中に用いる「治療すること」または「治療」なる用語は、疾患または病気、例えば、異常または病的なhCARタンパク質活性またはhCAR核酸発現により特徴づけられる、またはそれに伴う病気または疾患の少なくとも1つの有害な効果または症状の低下または緩和を意味する。
【0151】
本明細書中に用いるように、hCARタンパク質/遺伝子モジュレーターは、hCAR核酸発現および/またはhCARタンパク質活性を調節することができる分子である。例えば、hCAR遺伝子またはタンパク質モジュレーターは、hCAR核酸の発現を調節する、例えば、アップレギュレート(活性化/アゴナイズ)するまたはダウンレギュレート(抑制/アンタゴナイズ)することができる。他の具体例では、hCARタンパク質/遺伝子モジュレーターは、hCARタンパク質の活性を調節する(例えば、刺激/またはアゴナイズする、または阻害/アンタゴナイズする)ことができる。異常なまたは病的な(非野生型の)hCAR核酸発現および/またはhCARタンパク質活性により特徴づけられる(またはそれに伴う)疾患または病気を、hCAR核酸発現を阻害することにより治療することが望ましい場合、hCARモジュレーターは、アンチセンス分子、本明細書に記載するリボザイムであり得る。hCAR核酸発現を阻害するのに用いることができるアンチセンス分子の例には、開始コドンおよび配列番号1の3’非翻訳領域のフラグメントに相補的なアンチセンス分子をさらに含む配列番号1の5’非翻訳領域のフラグメントに相補的なアンチセンス分子が含まれる。
【0152】
hCAR核酸発現を阻害するhCARモジュレーターは、小分子または他の薬物、例えば本明細書中に記載するスクリーニングアッセイを用いて同定される、hCAR核酸発現を阻害する小分子または薬物であり得る。異常なまたは病的な(非野生型)hCAR核酸発現および/またはhCARタンパク質活性により特徴づけられる病気または疾患を、hCAR核酸の発現を刺激することにより治療することが望まれる場合、hCARモジュレーターは、例えば、hCARタンパク質をコードしている核酸分子(例えば、配列番号1のヌクレオチド配列に相同なヌクレオチド配列を含む核酸分子)または小分子または他の薬物、例えば本明細書中に記載するスクリーニングアッセイを用いて同定される、hCAR核酸発現を刺激する小分子(ペプチド)または薬物であり得る。
【0153】
別法として、異常なまたは病的な(非野生型)hCAR核酸発現および/またはhCARタンパク質活性により特徴づけられる(またはそれに伴う)病気または疾患を、hCARタンパク質活性を阻害することにより治療することが望まれる場合、hCARモジュレーターは、抗−hCAR抗体または小分子または他の薬物、例えば、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイを用いて同定される、hCARタンパク質活性を阻害する、小分子または薬物であり得る。本特許出願において同定されるhCARの細胞外領域は、治療介入のための特に優れた抗原性のターゲットを示す。それゆえ、配列番号4、5、6、または7に記載するいずれかの配列を含んでいるペプチドに対して産生された抗体は、本発明に有用である。異常なまたは病的な(非野生型)hCAR核酸発現および/またはhCARタンパク質活性により特徴づけられる(またはそれに伴う)疾患または病気を、hCARタンパク質の活性を刺激することにより治療することが望まれる場合、hCARモジュレーターは、活性hCARタンパク質またはそのフラグメント(例えば、配列番号2またはそのフラグメントのアミノ酸配列に相同なアミノ酸配列を有するhCARタンパク質またはそのフラグメント)または小分子または他の薬物、例えば、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイを用いて同定される、hCARタンパク質活性を刺激する小分子または薬物であり得る。
【0154】
本発明の他の態様は、hCARタンパク質に媒介される細胞活性を調節するための方法に関する。これらの方法には、hCARタンパク質により媒介される細胞活性が正常レベルと比較して(例えば、cAMPまたはホスファチジルイノシトール代謝)変更されるように、細胞を、hCARタンパク質の活性またはhCAR核酸発現を調節する試薬(または試薬の有効量を含む組成物)と接触させることが含まれる。本明細書に用いるように、「hCARタンパク質により媒介される細胞活性」なる用語は、細胞の正常または異常な活性または機能を意味する。hCARタンパク質により媒介される細胞活性の例には、ホスファチジルイノシトールターンオーバー、カルシウム濃度、レポータートランスジーン、タンパク質などの分子の産生または分泌、収縮、増殖、移動、分化、および細胞の生存が含まれる。好ましい具体例では、細胞は脳の神経細胞、例えば海馬細胞である。本明細書中に用いられる「変更された」なる用語は、細胞に伴う活性、特にcAMPまたはホスファチジルイノシトールのターンオーバー、およびアデニル酸シクラーゼまたはホスホリパーゼCの活性化の増加または低下などの変化を意味する。
【0155】
1つの具体例において、試薬はhCARタンパク質活性またはhCAR核酸発現を刺激する。他の具体例では、試薬は、hCARタンパク質の活性またはhCAR核酸の発現を阻害する。これらの調節法は、インビトロで(例えば細胞を試薬と共に培養することにより)、または別法としてインビボで(例えば、対象へ試薬を投与することにより)行うことができる。好ましい具体例において、調節法は、インビボで行われる。即ち、細胞は、対象、例えば哺乳動物、例えばヒトに存在し、対象は、異常または病的なhCARタンパク質活性またはhCAR核酸発現により特徴づけられるか、またはそれに伴う疾患または病気を有する。
【0156】
治療の方法に用いられる核酸分子、タンパク質、hCARモジュレーター、化合物などは、以下に記載する適当な医薬組成物に組み込むことができ、および、分子、タンパク質、モジュレーター、または化合物などにその意図される機能を果たさしめる経路により対象に投与することができる。
【0157】
脳に関与する疾患には、制限されるものではないが、神経が関与する疾患、星状細胞、乏突起神経膠細胞、上衣細胞、およびミクログリアなどのグリアが関与する疾患;脳浮腫、増加した頭蓋内圧およびヘルニア、および水頭症;神経管欠損、前脳異常、後窩異常、および脊髄空洞症および水脊髄症などの奇形および発生疾患;周産期脳傷害;低血圧症、低換気症、および低−血流症(low-flow states)−全般性脳虚血、および局所脳虚血−局所血液供給の閉塞からの梗塞を含む、低酸素症、虚血、および梗塞、大脳内(柔組織内)出血、くも膜下出血、および破裂漿果動脈瘤を含む頭蓋内出血、および血管奇形、ラクナ梗塞、切り傷による出血および高血圧脳障害を含む高血圧脳血管疾患を含む脳血管疾患に関連するものなどの脳血管疾患;急性化膿性(細菌性)髄膜炎および急性無菌性(ウイルス性)髄膜炎を含む急性髄膜炎、脳腫瘍、硬膜下蓄膿、および硬膜外腫瘍を含む急性局所性化膿性感染、結核およびマイコバクテリア症、神経梅毒、および神経ボレロア症(ライム病)を含む慢性細菌性髄膜脳炎、節足動物媒介性(Arbo)ウイルス脳炎、単純ヘルペスウイルスタイプ1、単純ヘルペスウイルスタイプ2、水痘疱疹ウイルス(帯状疱疹)、サイトメガロウイルス、小児麻痺、狂犬病およびFHV−1髄膜脳炎(亜急性脳炎)を含むヒト免疫不全ウイルス1を含むウイルス性髄膜脳炎、空胞性脊髄症、AIDS−関連心筋症、末梢神経障害、および子供のAIDS、進行性多病巣性白質脳症、亜急性硬化性汎脳炎、真菌性髄膜脳炎、神経系の他の感染性疾患を含む感染症;感染性海綿状脳障害(プリオン病);多発性硬化症、多発性硬化症変種、急性散在性脳障害、および急性壊死性出血性脳障害、および脱髄に伴う他の疾患を含む脱髄疾患;アルツハイマー疾患およびピック病を含む脳皮質を冒す退行性疾患、パーキンソン、突発性パーキンソン疾患(急性上行性麻痺)を含む基底神経節および脳幹の退行性疾患、進行性核上麻痺、皮質基底変性、線条体黒質変性、Shy-Drager症候群、およびオリーブ橋小脳萎縮症を含む多発性系萎縮症、およびハンチントン病を含む脳皮質を冒す退行性疾患などの退行性疾患;フレンドリッヒ失調を含む旧小脳失調および失調−毛細血管拡張症を含む脊髄中脳蓋変性、筋萎縮性側方硬化症(運動神経疾患)、延髄脊髄萎縮症(ケネディシンドローム)、および脊髄筋萎縮症を含む運動神経を冒す退行性疾患;クラッべ疾患を含むロイコジストロフィー、異染性ロイコジストロフィー、アドレノロイコジストロフィー、リツェウス メルツバッハ病およびカナバン病、リー病および他のミトコンドリア性脳筋症を含むミトコンドリア性脳筋症などの代謝の先天性障害;チアミン(ビタミンB1)欠乏およびビタミンB12欠乏などのビタミン欠乏、低血糖症、高血糖症、および肝性脳症を含む代謝障害の神経学後遺症、結合したメトトレキサートおよび放射能誘導性傷害を含む一酸化炭素、メタノール、エタノール、および放射を含む毒性疾患を含む毒性および後天性代謝疾患;繊維性(散在性)星状細胞腫および多形性グリア芽腫、毛のう腫性星状細胞腫、多形性黄色星状膠細胞腫、および脳幹グリオーマ、希突起神経膠腫、および上衣腫および関連する室傍集塊傷害(mass lesion)、神経腫瘍、髄芽腫を含む乏分化性腫瘍、一次脳リンパ腫、生殖細胞腫、および松果状充実性腫瘍を含む他の充実性腫瘍、髄膜腫、転移性腫瘍、腫瘍随伴性症候群、神経鞘腫、神経繊維腫、および悪性末梢神経性鞘腫瘍(悪性シュワノーマ)、およびタイプI神経繊維腫症(NFI)およびタイプ2神経繊維腫症(NF2)を含む神経繊維腫症、結節状硬化症、およびVon Hippel-Lindau疾患を含む神経皮膚症候群(母斑症)を含む腫瘍が含まれる。制限されるものではないが、統合失調症、強迫性疾患(OCD)、外傷後ストレス性疾患(PTSD)、恐怖症およびパニック、大鬱病、双極性疾患、パーキンソン病、全般性不安障害、自閉症、譫妄、多発性硬化症、痴呆、および他の神経退行性疾患、重篤な精神遅滞、ジスキネジー、ツーレットシンドローム、チック、震え、痙攣、失調症、痙攣、食欲不振、過食症、卒中、嗜癖/依存/切望、睡眠障害、癲癇、片頭痛、注意欠損/多動性(ADHD)傷害、非極性情動障害、青年期行動障害、および「嗜癖」を含む神経精神医学疾患も含まれる。
【0158】
薬理遺伝学
本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイにより同定されるhCARタンパク質活性(例えば、hCAR遺伝子発現)に刺激または抑制効果を有する試験/候補化合物、またはモジュレーターを個人に投与して、異常なhCARタンパク質活性に伴う疾患(例えば神経疾患)を(予防または治療的に)治療することができる。そのような治療と組み合わせて、個人のファーマコゲノミックス(即ち、個人の遺伝子タイプと外来化合物または薬物に対するその個人の反応の間の関係に関する研究)を考慮してよい。治療代謝における違いにより、薬理学的に活性な薬物の投与量と血液濃度の間の関係が変化することにより、重篤な毒性または治療的損失が導かれ得る。つまり、個人のファーマコゲノミックスにより、個人の遺伝子タイプの考慮に基いて予防的または治療的処置のために有効な化合物(例えば、薬物)を選択することが可能となる。そのようなファーマコゲノミックスをさらに用いて、適当な投与および治療管理を決定することができる。従って、個人におけるhCARタンパク質の活性、hCAR核酸の発現、またはhCAR遺伝子の変異含量を決定して、それにより、個人の治療的または予防的処置のための適当な化合物を選択することができる。
【0159】
ファーマコゲノミックスは、罹患したヒトにおける変化した薬物の性質および異常な活性による、薬物に対する臨床上意義深い遺伝的変化を扱う。Eichelbaum, M. (1996) Clin. Exp. PharmacoL Physio. 23(10-11) : 983-985 and Linder, M. W. (1997) Clin. Chem. 43 (2): 254-266を参照されたい。一般に2つのタイプの薬理遺伝学的疾患を分類することができる。遺伝子疾患は、単一の要因が、体において薬物が作用する方法を変化させるので(変化した薬物活性のために)伝達され、または遺伝子疾患は、個々の要因が体が薬物に作用する方法を変化させるために(変化した薬物代謝のために)伝達される。これらの薬理学的疾患は、稀な欠損として、または多型としてのいずれかで起こり得る。例えば、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ欠損(GOD)は、主な臨床上の合併症が、酸化薬物(抗−マラリア、スルホンアミド、鎮痛薬、ニトロフラン)の酸化薬物の摂取およびソラマメの消費の後の出血である。
【0160】
例示的な具体例として、薬物代謝酵素の活性は薬物活性の強度および持続両方の主要な決定因子である。薬物代謝酵素(例えば、N−アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)およびシトクロムP450酵素CYP2136およびCYP2C19)の遺伝子多型の発見により、幾人かの患者は薬物の標準的および安全な投与量を摂取した後に期待される薬物効果を得ず、または悪化した薬物反応および重篤な毒性を示すのかが説明された。
【0161】
これらの多型は、集団内の2つの表現型、イクステンシブ メタボライザー(EM)およびプア メタボライザー(PM)において発現される。PMの優勢は異なる集団の間で異なる。例えば、CYP2136をコードしている遺伝子は高度に多型であり、重篤な変異がPMにおいて同定され、これら全ては機能的なCYP2D6の不在を生じる。CYP2136およびCYP2C 19のプアー メタボライザーは、標準的な投与量を受けた場合、誇大した薬物反応および副作用を経験する。
【0162】
代謝産物が活性治療物部分である場合、そのCYP2136形成代謝モルホリンにより媒介されるコデインの鎮痛作用に関して立証されているように、PMは治療反応を示さない。他の極端な例は、標準投与量に対して反応を示さない、いわゆるウルトラ−ラピッド メタボライザーである。近年、超迅速代謝の分子基礎がCYP2D6遺伝子増幅のためであることが同定された。
【0163】
つまり、個人におけるhCARタンパク質の活性、hCAR核酸の発現、またはhCAR遺伝子の変異含量を、対象の治療的または予防的処置のための適当な薬剤を選択するために決定することができる。加えて、対象の薬物反応性の表現形の同定に対して薬物代謝酵素をコードしている多型対立遺伝子のゲノタイピングを利用するために、薬理遺伝学的研究を用いることができる。この知識は、投与または薬物選択に対して利用される場合、有害な反応または治療の失敗を回避し、そして、本明細書中に記載される典型的なスクリーニングアッセイの1つにより同定されるモジュレーターなどで対象を治療する場合に、治療的または予防的効果を高めることができる。
【0164】
臨床試験中の効果のモニタリング
hCARタンパク質/遺伝子の発現または活性における化合物(例えば、薬物)の影響を測定することは、基本的な薬物スクリーニングに適用することができるだけでなく、臨床試験にも用いることができる。例えば、hCAR遺伝子発現、タンパク質レベルを増す、またはhCAR活性をアップレギュレートするための、本明細書中に記載するようなスクリーニングアッセイにより決定される薬物の有効性を、低下したhCAR遺伝子発現、タンパク質レベル、またはダウンレギュレートしたhCARタンパク質活性を示している対象の臨床試験においてモニターすることができる。別法として、hCAR遺伝子発現、タンパク質レベルを低下するまたはhCARタンパク質活性をダウンレギュレートするための、スクリーニングアッセイにより決定される試薬の有効性は、増加したhCAR遺伝子発現、タンパク質レベル、またはアップレギュレートしたhCARタンパク質活性を示している対象の臨床試験においてモニターすることができる。そのような臨床試験において、hCARタンパク質、および好ましくは、例えば神経系関連疾患において関与している他の遺伝子を、特定の細胞のリガンド反応性の「リードアウト」またはマーカーとして用いることができる。
【0165】
例えば、および制限するためではなく、hCARタンパク質/遺伝子活性を調節する化合物(例えば、薬物または他の小分子)(例えば、本明細書中に記載するようなスクリーニングアッセイにて同定される)での治療により細胞において調節されるhCAR遺伝子を含んでいる遺伝子を同定することができる。つまり、CNS疾患における化合物の効果を、例えば臨床試験において試験するために、細胞を単離し、RNAを調製し、hCAR遺伝子および疾患に関与する他の遺伝子の発現のレベルを分析することできる。遺伝子発現(即ち、遺伝子発現パターン)のレベルは、本明細書中に記載するように、ノーザンブロット分析またはRT−PCRにより、または別法として、製造されるタンパク質の量を測定することにより、本明細書中に記載される方法の1つにより、またはhCARタンパク質または他の遺伝子の活性のレベルを測定することにより、定量することができる。この方法において、遺伝子発現パターンを、化合物に対する細胞の生理学的反応の指標たるマーカーとして用いることができる。従って、この反応状態は、化合物での個人の治療の前、および治療中の様々な時点で測定してよい。
【0166】
好ましい具体例において、本発明により、化合物(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチドミメティクス、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、または本明細書中に記載するスクリーニングアッセイにより同定される他の薬物候補)での対象の治療の有効性を測定するための方法であって、以下の(i)〜(vi)の工程を含む方法が提供される:(i)化合物の投与前に対象から投与前サンプルを得ること;(ii)hCARタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの投与前サンプル中での発現のレベルを検出すること;(iii)対象から1つまたはそれ以上の投与後サンプルを得ること;(iv)hCARタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの投与後サンプル中での発現または活性のレベルを検出すること;(v)hCARタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの投与前サンプル中での発現または活性のレベルを、投与後のサンプル(複数も)中のhCARタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAと比較すること;(vi)対象に対する化合物の投与を徐々に変更すること。例えば、化合物の増加投与が、hCARタンパク質/遺伝子の発現または活性を、検出されるよりも高いレベルへと増すのに、即ち、試薬の有効性を増すのに望まれ得る。
【0167】
別法として、試薬の低下した投与が、検出されるよりも低レベルへとhCARの発現または活性を低下させる、即ち、化合物の有効性を低下させるのに望まれ得る。
【0168】
医薬組成物
本発明のhCAR核酸分子、hCARタンパク質(特にhCARのフラグメント)、hCARタンパク質のモジュレーター、および抗−hCAR抗体(本明細書中、「活性化合物」とも呼ばれる)を、対象、例えばヒトへの投与に適した医薬組成物に組み込むことができる。そのような組成物は典型的には、核酸分子、タンパク質、モジュレーター、または抗体、および医薬上許容されるキャリアを含む。本明細書中に用いるように、「医薬上許容されるキャリア」なる用語は、医薬投与と適合可能ないずれかおよび全ての溶媒、分散媒質、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などを含むものとする。医薬活性物質のためのそのような媒質および試薬の使用は、当該分野で周知である。いずれかの常套の媒質または試薬が活性化合物と非適合性でない限り、そのような培地を本発明の組成物に用いることができる。追加的に活性な化合物を組成物にさらに組み込むことができる。
【0169】
本発明の医薬組成物は、その意図される投与経路と適合可能となるよう処方される。投与の経路の例には、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)、粘膜経由、および直腸投与が含まれる。非経口、皮内、または皮下適用のために用いられる溶液または懸濁液は、以下の成分を含むことができる:注射のための水、塩水溶液、固定オイル、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗細菌剤、アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化物質;エチレンジアミンテトラ酢酸などのキレート剤;アセテート、シトレート、またはホスフェートなどのバッファー、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの調整試薬が含まれる。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整することができる。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て可能な注射器、またはマルチプル投与バイアルにおいて封入することができる。
【0170】
注射可能使用に適した医薬組成物には、無菌の注射可能溶液(水溶性の場合)またはディスパーション、および無菌注射可能溶液または分散液の即席調製のための無菌粉末が含まれる。静脈内投与に関して、適当なキャリアには、生理的塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF, Parsippany, NJ)、またはリン酸緩衝塩水(PBS)が含まれる。全ての場合において、組成物は無菌でなければならず、容易な注射可能性が存在する程度まで流動的でなければならない。製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染活性に対して保護されなければならない。キャリアは例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)およびその適当な混合物を含んでいる溶媒または分散媒質であり得る。適当な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合には所望の粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により、維持することができる。微生物の活性の予防は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば、砂糖、マンニトールなどのポリアルコール、ソルビトール、塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることが好ましい。注射可能組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどを組成物中に含めることによりなすことができる。
【0171】
無菌注射可能溶液は、活性化合物(例えば、hCARタンパク質または抗−hCAR抗体)を所望の量で適当な溶媒中に、所望のように、前に列挙した成分の1つまたは組み合わせとともに組込み、次いで濾過滅菌することにより調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、塩基性の分散媒質および前に列挙したものからの所望の他の成分を含む無菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。無菌注射可能溶液の調製のための無菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより既に滅菌濾過した溶液からの活性成分+いずれかの追加の所望の成分の粉末を得る。
【0172】
経口組成物は、一般に、不活性成分または食用キャリアを含む。それらは、ゼラチンカプセルに封入され、または錠剤へと圧縮され得る。経口治療投与のためには、活性化合物は、賦形剤と共に組み込むことができ、錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で用いることができる。経口組成物は、うがい(液体キャリア中の化合物を口に入れ、口のなかでグチュグチュし、そして吐き出すかまたは飲み込む)としての使用のための液体キャリアを用いて調製することもできる。医薬上適合できる結合剤および/またはアジュバント物質を組成物の部分として含めることができる。錠剤、ピル、カプセル、トローチなどは、以下の活性成分または同様の性質の化合物のいずれかを含むことができる:ミクロクリスタリンセルロール、トラガカントゴム、またはゼラチンなどの結合剤;スターチまたはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、コーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロート(Sterotes)などの潤滑剤;コロイド状二酸化シリコンなどの滑剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ風味などの風味剤。
【0173】
吸入による投与のためには、組成物は、適当な推進剤、例えば二酸化炭素などのガスまたはネブライザーを含む加圧したコンテナまたはディスペンサーからエアソールスプレーの形態で送達される。全身投与は、粘膜経由または経皮手段によることもできる。粘膜経由または経皮投与のためには、浸透されるべきバリアに適した浸透剤を処方に用いる。そのような浸透剤は、一般に当該分野で公知であり、例えば、粘膜経由投与のためには、洗浄剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体を含む。粘膜経由投与は、鼻スプレーまたは坐薬の使用により達成することができる。経皮投与のためには、活性化合物は当該分野で一般的に知られているような軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームへと処方される。
【0174】
組成物は、直腸送達のための坐薬(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドなどの常套の坐薬基剤を用いて)または停留浣腸の形態で調製することもできる。
1つの具体例では、活性化合物は体からの迅速な排出に対して化合物を保護するキャリア、例えば、インプラントおよびマイクロ封入送達システムを含む制御放出製剤などを用いて調製する。
生物分解可能な、生物適合性ポリマー、エチレンビニルアセテート、ポリアンヒドライド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ酢酸などを用いることができる。
そのような製剤の調製法は、当該分野の専門家に明らかであろう。
【0175】
物質は、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Incから市場入手可能でもある。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体で感染した細胞にターゲットされるリポソームを含む)も、医薬上許容されるキャリアとして用いることができる。これらは、例えば出典明示により本明細書中に組み込まれるU.S.特許第4,522,811号に記載されているような、当業者に公知の方法に従い調製することができる。
【0176】
投与の簡便および投与の単一性のために、投与ユニット製剤に、経口または非経口組成物を処方することが特に好都合である。以下に用いられる単位投与製剤は、治療されるべき対象に対する単位投与として適した物理的に別個のユニット;各ユニットは、所望の医薬キャリアと組み合わせて所望の治療効果を生じるべく算定された、予め決定された量の活性化合物を含んでいる、を意味する。本発明の投与ユニット製剤の詳細は、活性化合物および達成されるべき特定の治療効果、および個人の治療のためにそのような活性化合物を配合することに関する当該分野に本来的に存在する制限により決定され、それに直接依存する。
【0177】
本発明の核酸分子は、ベクターに挿入することができ、遺伝子治療ベクターとして用いることができる。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈内注入、局所投与(米国特許第5,328,470号を参照されたい)または定位置での注入(例えば、Chen et al. (1994) PNAS 91: 3054-3057を参照されたい)により対象へと送達することができる。遺伝子治療ベクターの医薬製剤には、許容される希釈液中の遺伝子治療ベクターを含むことができ、または、遺伝子送達ビヒクルが包埋される徐放マトリックスを含むことができる。別法として、完全な遺伝子送達ベクター、例えばレトロウイルスベクターを、組換え細胞から無傷で作製することができ、医薬製剤には遺伝子送達システムを製造する1つまたはそれ以上の細胞を含むことができる。
医薬組成物は、コンテナ、パック、またはディスペンサーに、投与のための説明書と共に含めることができる。
【0178】
部分的なhCAR配列の使用
本明細書中に同定されるcDNA配列のフラグメント(および対応する完全な遺伝子配列)を、ポリヌクレオチド試薬として多くの方法に用いることができる。例えば、これらの配列を用いて、(a)染色体上のその個々の遺伝子をマップする;および次いで遺伝子疾患と関連する遺伝子の領域を位置付ける;(b)微少な生物サンプルから個人を同定する(組織タイピング);および(c)生物サンプルの法医学的同定に役立てる;ことができる。これらの適用は、以下のサブセクションに記載する。
【0179】
染色体マッピング
遺伝子の配列(または配列のフラグメント)が一度同定されたら、この配列を用いて染色体における遺伝子の位置をマップすることができる。この工程は、染色体マッピングと呼ばれる。従って、hCAR核酸配列のフラグメントを用いて、染色体におけるhCAR遺伝子の個々の位置をマップすることができる。hCAR配列の染色体に対するマッピングは、これらの配列を疾患に関連する遺伝子と関連付けることにおける重要な第一工程である。
【0180】
簡単には、hCAR遺伝子は、hCAR遺伝子配列からPCRプライマー(好ましくは15−25bp長)を調製することにより染色体へとマップすることができる。hCAR遺伝子配列のコンピューター分析を用いて、ゲノムDNAにおける1つ以上のエキソンをスパンしないプライマーを容易に選択することができ、それにより増幅プロセスを並行して行うことができる。これらのプライマーを次いで、個々のヒト染色体を含んでいる体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングのために用いることができる。hCAR遺伝子配列に対応しているヒト遺伝子を含んでいるこれらのハイブリッドのみが増幅フラグメントを生じる。
【0181】
体細胞ハイブリッドを、種々の哺乳動物(例えば、ヒトおよびマウス細胞)からの体細胞を融合させることにより調製する。ヒトおよびマウスの細胞のハイブリッドが増殖および分裂するにつれ、それらはランダムにヒト染色体を徐々に失うが、マウスの染色体は保持する。マウス細胞は特定の酵素を欠くがゆえに増殖し得ないが、ヒト細胞は増殖できる培地を用いることにより、必要とされる酵素をコードしている遺伝子を含む一つのヒト染色体は保持される。種々の培地を用いることにより、ハイブリッド細胞株のパネルを確立することができる。パネル中の各細胞株は、単一のヒト染色体または少数のヒト染色体およびマウス染色体の全セットを含み、個々の遺伝子の特定のヒト染色体へのマッピングが容易となる。(D'Eustachio P. et al. (1983) Science 220: 919-924)。ヒト染色体のフラグメントのみを含んでいる体細胞ハイブリッドは、転位および欠失を有するヒト染色体を用いることによっても作製することができる。
【0182】
体細胞ハイブリッドのPCRマッピングは、特定の染色体へ特定の配列を指定するための迅速な工程である。3つまたはそれ以上の配列を、シングル サーマル サイクラーを用いて指定することができる。オリゴヌクレオチドプライマーを設計するためのhCAR遺伝子配列を用いて、サブローカライゼーションを特定の染色体由来のフラグメントのパネルを用いて達成することができる。hCAR遺伝子配列をその染色体にマップするのに簡単に用いることができる他のマッピング法には、インサイチュハイブリダイゼーション(Fan, Y. et al. (1990) PNAS, 87: 6223-27に記載されている)、標識化されたフロー−ソートされた染色体を用いる予備−スクリーニング、および染色体特異的cDNAライブラリーに対するハイブリダイゼーションによる予備選択が含まれる。
【0183】
DNA配列の中期染色体の展開物への蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)をさらに用いて、1工程で正確な染色体の位置を提供することができる。染色体の展開物は、その分裂が有糸分裂の紡錘体形成を破壊する化学物質様コルセミドにより中期において遮断された細胞を用いて作製することができる。染色体は、トリプシンで簡単に処理し、次いでギムザで染色することができる。明暗バンドのパターンが各染色体において展開し、染色体をそれぞれ同定することができる。FISH法を、500または600塩基の長さのDNAを用いて用いることができる。しかし、1000塩基より大きなクローンが、ユニークな染色体の位置へ簡単な検出のための十分なシグナル強度で結合する可能性が高い。好ましくは、1000塩基、およびより好ましくは2000塩基が、適当な時間で優れた結果を得るのに十分である。
【0184】
染色体マッピングのための試薬をそれぞれ用いて、単一の染色体またはその染色体上の単一の部位をマークすることができ、または試薬のパネルを複数の部位および/または複数の染色体をマークするのに用いることができる。遺伝子の非コーディング領域に対応している試薬がマッピングのために好ましい。コーディング配列は、遺伝子ファミリー内に保存されていることが多く、従って、染色体マッピング中の交差ハイブリダイゼーションの機会が増す。
【0185】
一度配列が正確な染色体座にマップされたら、染色体上の配列の物理的な位置を遺伝子マップデータ(そのデータは、例えば前記)と関連づけることができる、McKusick, Mendelian ヒトにおける遺伝、ジョンスホプキンス大学ウェルチメディカルライブラリーよりオンラインで入手可能)。同じ染色体領域にマップされる遺伝子と疾患の間の関連性を次いで結合分析(物理的に接近する遺伝子の同時遺伝)により同定することができる。
【0186】
さらに、hCAR遺伝子に伴う疾患に罹患したおよび罹患していない個人の間nDNA配列間の違いを決定することができる。変異が罹患した個人の幾人かまたは全員において認められるが、罹患していない個人においては全く認められない場合、変異は特定疾患の原因であると考えられる。
【0187】
罹患したおよび罹患していない個人の比較は一般に、染色体展開物から観察することができる欠失または転位などの染色体における構造変化を、DNA配列に基くPCRを用いてまず探索することを含む。
最終的に、幾人かの個人からの遺伝子の完全な配列決定を行い、変異の存在を確認し、および多型から変異を分けることができる。
配列番号1におけるhCARの配列を使用して、完全なhCAR遺伝子(配列番号3)を発見すること、およびさらに染色体4への遺伝子の染色体マッピングが可能となっている。
【0188】
組織タイピング
本発明のhCAR遺伝子配列をさらに用いて、微少な生物サンプルから個人を同定することもできる。例えば、合衆国軍は、その個人の同定のために制限フラグメント長の多型(RFLP)の使用を考慮している。この方法において、個人のゲノムDNAを1またはそれ以上の制限酵素で消化し、サザンブロットにプローブして、同定のためのユニークなバンドが得られる。この方法は、ポジティブな同定を難しくしている喪失、交換、または転置され得る「ドッグタグ」の現在の制限を被らない。本発明の配列は、RFLPのための更なるDNAマーカーとして有用である(米国特許第5,272,057に記載される)。
【0189】
さらに、本発明の配列を用いて、個人のゲノムの選択されたフラグメントの実際の塩基−対−塩基のDNA配列を決定する別の方法を提供することができる。つまり、本明細書中に記載するhCAR配列を用いて、配列の5’および3’末端からの2つのPCRプライマーを調製することができる。
これらのプライマーを次いで用いて個人のDNAを増幅することができ、次いでそれを配列決定することができる。
【0190】
この方法で調製される、個人からの対応するDNA配列のパネルにより、各個人は対立遺伝子の違いのためにそのようなDNA配列のユニークなセットを持つので、ユニークな個人の同定を提供することができる。本発明の配列を用いて、個人および組織からのそのような同定配列を得ることができる。発明のhCAR遺伝子配列は、ヒトゲノムのフラグメントをユニークに示す。対立変異は、これらの配列のコーディング領域においてある程度起こり、非コーディング領域においてさらに多くの程度で生じる。個々のヒトの間の対立遺伝子変異は、各500塩基あたり約1つの頻度で起こると見積もられる。本明細書中に記載される配列のそれぞれはある程度まで、個人からのDNAを同定のために比較することができる基準として用いることができる。より多数の多型が非コーディング領域に生じるので、より少ない配列が個人を分別するのに必要である。配列番号1の非コーディング配列により、100塩基の非コーディング増幅配列をそれぞれ生じる、およそ10〜1000個のプライマーのパネルでのポジティブな個人の同定が容易に提供され得る。配列番号2におけるものなどの予測されたコーディング配列を用いる場合、ポジティブな個人の同定のためのより適当な数のプライマーは、500−2000である。本明細書中に記載するhCAR遺伝子配列からの試薬のパネルを用いて、個人のためのユニークな同定データベースを作製する場合、これら同じ試薬を後で用いて、その個人からの組織を同定することができる。ユニークな同定データベースを用いて、生きているまたは死んだ個人のポジティブな同定を、極少の組織サンプルから作製することができる。
【0191】
法的生物学における部分的なhCAR遺伝子配列の使用
DNAに基く同定法をさらに、法的生物学に用いることができる。
法的生物学は、犯罪現場で見出される生物学的証拠の遺伝子タイピングを、例えば犯人をポジティブに同定するための手段として用いる科学的分野である。そのような同定をなすために、PCR法を用いて、犯罪現場で見出される組織、例えば、皮または皮膚、または体液、例えば血液、唾液、または精液などの非常に少量の生物サンプルから採取されたDNA配列を増幅することができる。増幅された配列を次いで標準と比較して、それにより生物サンプルの起源を同定することができる。
【0192】
本発明の配列を用いて、例えば他の「同定マーカー」(即ち、特定の個人に対してユニークな他のDNA配列)を提供することにより、DANに基く法的な同定の信頼性を高めることができる、ヒトのゲノムにおける特定の位置にターゲットされるポリヌクレオチド試薬、例えばPCRプライマーを提供することができる。前記のように、実際の塩基配列情報を、制限酵素により作製されるフラグメントにより形成されるパターンに正確に置き換わるものとして、同定のために用いることができる。配列番号1の非コーディング領域にターゲットされる配列は、より多数の多型が非コーディング領域に起こるので、この使用に特に適しており、この方法を用いて個人を分けることがより簡単になる。
【0193】
ポリヌクレオチド試薬の例には、少なくとも20塩基、好ましくは少なくとも30塩基の長さを有する配列番号1の非コーディング由来のフラグメントなどのhCAR配列またはそのフラグメントが含まれる。
【0194】
本明細書中に記載されるhCAR配列をさらに用いて、例えばインサイチュハイブリダイゼーション法に用いて、特異的組織、例えば、脳または胎盤組織を同定することができる、ポリヌクレオチド試薬、例えば標識されたまたは標識可能なプローブを提供することができる。これは、法的病理学者が未知起源の組織を提示された場合に非常に有用であり得る。そのようなhCARプローブのパネルを用いて、種および/または生物体のタイプにより組織を同定することができる。
【0195】
同様に、これらの試薬、例えばhCARプライマーまたはプローブを用いて、コンタミネーションに関して組織培養物をスクリーニングすること(即ち、培養物における異なるタイプの混合物の存在を調べること)ができる。
本発明はさらに、以下の実施例によりさらに示すが、これは制限するものとして理解されるべきではない。本出願を通じて引用される全引用文献、特許出願、特許、および公開特許出願の内容は、本明細書中に出典明示により組み込まれる。
【0196】
実施例
実施例1:ヒトhCARcDNAの同定
2882の配列を用いるTBLASTN検索により、hCAR遺伝子をコードする、データベース1999年5月7日に寄託されるヒトゲノム配列が同定された。この配列は、ヒト染色体4に関する、ヒトゲノムの2001年5月現在の染色体4のドラフト(www. ncbi.nim. nih. gov)にマップされているAC007104と指定される200kbのBACクローンに対応し、2882に対して相同な666bpの連続したストレッチ(塩基195068−195733−図7)を含んだ。トータル3ストレッチのホモロジーがBLAST検索において認められ、これらをゲノム配列と共に用いてhCARに関するコンティグを構築した。この配列を用いて、物理的クローンを得るために用いられるオリゴヌクレオチドを設計した。物理的cDNAクローン、2882h 7Nを、以下に記載するようにヒト小脳ライブラリーから単離した。このクローンは5665bpのインサートを含み、1.9Kbの5’UT、1092bpのオープンリーディングフレーム、および2.7Kbの3’UTを含んだ(図2)。2882相同cDNA配列のコンセプチュアル翻訳(図3)は、2882のタンパク質配列に対して58%相同(52%同一)である。2882ホモログコンセプチュアル翻訳のBLAST検索により、ガラニン、ヒスタミン、およびソマトスタチンレセプターに対する弱い類似性が明らかにされた。hCARと呼ばれるこの遺伝子は、2882に対して最も近いデータベース相同性を示し、配列相同性に基いて、Gタンパク質結合レセプターファミリのメンバーをコードする。
【0197】
実施例2:hCARのクローニングに用いられる方法
ライブラリーの構築
L602Cと指定されるプラスミドcDNAライブラリーを、Clontech Human Brain, Cerebellum PolyA RNA(カタログ番号; 6543-1, lot no. 8070047)およびcDNA合成およびプラスミドクローニングキット(カタログ番号 18248-013)を用いて構築した。製造業者のプロトコルは、3つの変化に従った:1)第1および第2鎖合成反応において、DEPC処置水は(アルファ32P)dCTPと置き変えた。2)SalI−適合cDNAを、1%アガロース、0.1μg/mlエチジウムブロマイド、1×TAEゲルにおけるゲル電気泳動によりサイズフラクション化した。エチジウムブロマイド−染色cDNA3.0kbをゲルから切り出した。cDNAをエレクトロエリューション(ISCOリトルブルータンクエレクトロエルーターおよびプロトコル)によりアガロースゲルから精製した。3)ゲル精製した、サイズフラクション化したSalI−適合cDNAを、NotI-SalI消化したpCMV−SPORT6(Life Technologies, Inc.)にライゲートした。
【0198】
ライブラリーの一次形質転換体の集団培養からのDNAを、以下のように得た。ライゲートされたcDNAを用いて、エレクトロコンピテントなイー.コリ細胞(エレクトロMAXDH10B 細胞およびプロトコル, Life Technologies カタログ番号18290-015, Biorad E. coli pulser, 電圧 1.8KV, 3-5 msec パルス)を形質転換した。形質転換細胞をLB−アンピシリン寒天プレートに蒔き、一晩37℃にてインキュベートした。約10個のコロニー形成ユニット(cfu)を50,000cfu/150mmプレートの密度で蒔いた。細胞を、LB培地(Maniatis, etal. 1982)を用いてプレートから洗浄し、次いで遠心分離により集めた。プラスミドDNAを細胞から、QIAGENプラスミドギガキットおよびプロトコル(カタログ番号12191)を用いて単離した。
【0199】
プラスミドpT2CBの構築
予測されるhCAR遺伝子の部分配列を含むプラスミドpT 2C Bを前記のように構築した。
ポリメラーゼ鎖反応(PCR)増幅を、標準的な方法を用いて行った。反応混合物を以下の最終濃度で成分を含んだ。:集団培養したライブラリーL602Cからの100ngのDNA;10pmolのフォーワードプライマー(5'GCCGTGGCGCTGCTATCCAACGCACTG, nt 1940-1966、図2配列番号1);10pmolのリバースプライマー(5' TCACACCGAGCAGCGTGAAGGGCAT, 図2配列番号1のnt 2069-2093); 0.2mM の各dATP、 dTTP、 dCTP、および dGTP (Amersham Pharmacia Biotech カタログ番号27-2094-01);1.5ユニットのTaqDNAポリメラーゼ;1×PCR反応バッファー(Roche Molecular Biochemicals,カタログ番号 1-596-594;10mMのトリスHCl;1.5mMのMgCl、50mMのKCl、pH8.3)。混合物は94℃にて1分間インキュベートし、その後、94℃にて30秒間、72℃にて40秒間の35サイクルの後、最終的に72℃にて5分間インキュベーションした(MJResearch DNA Engine Tetrad PTC-225)。
【0200】
PCR反応産物(「DNA」)を、2%アガロース、0.1μg/mlのエチジウムブロマイド、1×TAEゲルにおけるゲル電気泳動によりサイズフラクション化した。適当なサイズ(〜150bp)のエチジウムブロマイド染色したDNAバンドをアガロースゲルから切り出した。DNAを、Clontech NucloeSpin核酸精製キット(カタログ番号K3051-2)および製造業者のプロトコルを用いてアガロースから抽出した。次いで、DNAをインビトロゲンTOPO TAクローニングキット(インビトロゲンカタログ番号K4600)および変更した製造業者のプロトコルを用いてベクターpCRII−TOPOにサブクローン化した。簡単には、約40ngのゲル精製したPCR産物を、1μlの製造業者により供給されるpCRII−TOPO DNA(10ng/μl)および1μlの希釈塩溶液(0.3MのNaCl、0.15MのMgCl)と共に最終6μl中でインキュベートした。混合物を5分間室温(〜25℃)にてインキュベートした。2μlのこの反応液をエレクトロコンピテント細胞(ElectroMAXDH10B細胞 , Life Technologies カタログ番号第18290-015)および Biorad E. coli パルサー(電圧 1.8KV, 3-5 msec パルス)を用いてエレクトロポーレートした。1mlのSOC(Sambrook etal, 1989)を細胞に添加し、混合液を37℃にて1.5時間インキュベートした。混合物をLB−アンピシリン寒天プレートに蒔き、一晩37℃にてインキュベートした。部分的なhCAR配列(nt1940−2093図2配列番号1)をpCRII−TOPOに含んでいる細菌クローンを、単離コロニーから調製されたプラスミドDNAの制限消化分析および配列分析(ABI Prism BigDye ターミネーターサイクル配列決定(Terminator Cycle Sequencing),カタログ番号第4303154, ABI 377 インストルメント)により同定した。プラスミドDNAを、QIAprep Spin Miniprepキットおよびプロトコル(Qiagen Inc, カタログ番号第27106)を用いて調製した。1つのそのような細菌クローンを選択し、pT 2C Bと指定した。
【0201】
クローン2882h 7Nの単離
cDNAクローン2882h 7Nを、32P−標識DNAプローブを用いてプラスミドcDNAライブラリーL602Cから約500,000の一次形質転換体を標準的な分子生物学的方法を用いてスクリーニングすることにより単離した。プローブの作製を以下に記載する。L602C由来の単離されたポジティブにハイブリダイズしているコロニー由来の、前記のように調製されたプラスミドDNAを、制限消化分析および配列分析(ABI Prism BigDye ターミネーターサイクル配列決定, カタログ番号4303154, ABI 377 インストゥルメント)により分析した。2000年6月22日に単離されたcDNAクローン2882h 7Nは、予測されるhCARオープンリーディングフレームを含んだ。
【0202】
プローブの作製
ライブラリーのスクリーニングに用いられるhCAR特異的プローブを以下のように作製した。pT 2C BからのプラスミドDNAをEcoRI(New EnglandBiolabs,カタログ番号第R0101 L)を製造業者のプロトコルに従い用いて制限消化した。制限フラグメントを、1.5%アガロース、0.1μg/mlのエチジウムブロマイド、1×TAEゲル上のゲル電気泳動によりサイズフラクション化した。適当なサイズ(〜150bp)のエチジウムブロマイド染色したDNAのバンドをアガロースゲルから切り出した。次に、DNAをClonetech NucleoSpin核酸精製キット(カタログ番号K3051-2)および製造業者のプロトコルを用いてアガロースから切り出した。抽出されたDNAを、Redivue(アルファ32P)dCTP(Amersham Pharmacia, カタログ番号AA0005)で、Prime−ItIIランダムプライマー標識キットおよびプロトコル(Stratagene、カタログ番号300385)を用いて標識した。導入されていない(アルファ32P)dCTPをAmershamのニックカラムおよびプロトコル(カタログ番号17-0855-02)を用いて除去した。
【0203】
実施例3:hCAR遺伝子の組織発現
hCAR転写産物の組織分布を評価するために、種々のヒト組織から単離したポリA+RNAの1μgをレーン毎に含んでいるブロット(カタログ番号7780-1,Clontech, PaloAlto, CA)を用いてノーザン分析を行い、ヒトhCAR特異的プローブでプローブした。フィルターを、68℃にて1時間10mlの発現ハイブリダイゼーション溶液(Clontech, Palo Alto, CA)中で前ハイブリダイズさせ、その後100ngの32P標識プローブを添加した。プローブは、ストラタジーン プライム−イット キット、カタログ番号300392(Clontech, Palo Alto, CA)を用いて作製した。
【0204】
hCAR特異的32−P−標識DNAプローブは、hCARcDNA配列のヌクレオチド−2282−2782を含んだ(図2、配列番号1)。単一の〜5.0kbの転写産物はヒト12−レーンマルチプル組織ノーザンにおいて胎盤および全脳において検出可能であった。転写産物はこのノーザンにおいて他の組織においては検出されなかった。hCARの発現を、ヒトマルチプル組織発現アレイ(カタログ番号7775-1、ユーザーマニュアルPT3307-1)メンブレンでさらに分析した。複数の組織からのポリ(A)+RNAに対するハイブリダイゼーションが、ヒトマルチプル組織発現アレイ:胎盤、胎児脳、全脳、大脳皮質、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉、脳皮質の中心前回、脳橋、左および右の小脳、脳梁、小脳扁桃、尾状核、海馬、延髄、被殻、黒質、側座核、視床、下垂体および脊髄に対する強いハイブリダイゼーションにて検出できた。弱いハイブリダイゼーション、潜在的に非特異的なバックグラウンドハイブリダイゼーションが、多くの組織:心臓、腸管、腎臓、脾臓、胸腺、骨格筋、リンパ節、骨髄、気管、肺、肝臓、膵臓、膀胱、子宮、前立腺、精巣、卵巣、副腎、甲状腺、唾液腺、および乳腺において認められた。
【0205】
実施例4:細菌細胞における組換えhCARタンパク質の発現
この実施例では、hCARを、イーコリにおいて組換えグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質として発現させ、融合タンパク質を単離および特定する。
詳しくは、hCARをGSTに融合し、この融合タンパク質をイー.コリ、例えば株PEB199において発現させる。ヒトタンパク質は約39kDaの分子量であることが予測され、GSTは26kDAの分子量であることが予測され、融合タンパク質は約65kDaの分子量であることが予測される。PEB199株におけるGST−hCAR融合タンパク質の発現を、IPTGで誘導する。組換え融合タンパク質を、誘導されたPEBの粗細菌溶解物から、グルタチオンビーズ上のアフィニティクロマトグラフィーにより精製する。
細菌溶解物から精製されたタンパク質のポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて、生じた融合タンパク質の分子量を決定してよい。
【0206】
実施例5:COS細胞における組換えhCARタンパク質の発現
COS細胞においてhCAR遺伝子を発現させるために、Invitrogen Corporation(San Diego, CA)によるpcDNA/Ampベクターを用いてよい。このベクターは、複製のSV40起源、アンピシリン耐性遺伝子、イー.コリ複製起源、ポリリンカー領域が跡に続くCMVプロモーター、およびSV40イントロンおよびポリアデニル化部位を含む。フラグメントの3’末端にインフレームで融合した、全hCARタンパク質およびHAタグをコードしているDNAフラグメント(Wilson et al.(1984) Cell 37: 767)をベクターのポリリンカー領域にクローン化し、それにより、組換えタンパク質の発現をCMVプロモーターのコントロール下に置く。
【0207】
プラスミドを構築するために、hCAR DNA配列を、PCRにより2つのプライマーを用いて増幅する。5’プライマーは、開始コドンから始まるhCARコーディング配列の約20個のヌクレオチドが後に続く目的の制限部位を含み、3’末端配列は、目的の他の制限部位に対して相補的な配列、転写停止コドン、HAタグ、およびhCARコーディング配列の少なくとも20個のヌクレオチドを含む。PCR増幅フラグメントおよびpCDNA/Ampベクターを、適当な制限酵素を用いて消化し、ベクターをCIAP酵素(NewEngland Biolabs, Beverly, MA)を用いて脱リン酸化する。好ましくは、2つの選択された制限部位は、hCAR遺伝子が正しい配向で挿入されるように違える。ライゲーション混合物をイー.コリ細胞(ストラタジーン クローニングシステム、LaJolla, CAから入手可能な株HB101、DH5a、SUREを用いることができる)へと形質転換し、形質転換された培養物をアンピシリン培地プレートに蒔き、そして耐性コロニーを選択する。プラスミドDNAを形質転換体から単離し、正確なフラグメントの存在に関して制限分析により試験する。
【0208】
COS細胞を、次いで、リン酸カルシウムおよび塩化カルシウム共沈法、DEAE−デキストラン−媒介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポーレーションを用いて、hCAR−pcDNA/AmpプラスミドDNAでトランスフェクトする。宿主細胞をトランスフェクトするための他の適当な方法は、Sambrook, J., Fritsh, E.F.,および Maniatis, T. 分子クローニング : 研究室マニュアル. 2nd, ed, コールドスプリングハーバー ラボラトリー、コールドスプリングハーバー ラボラトリープレス, コールドスプリングハーバー, NY, 1989に見出すことができる。hCARタンパク質の発現は、放射能標識(NEN, Boston, MAから入手可能な35S−メチオニンまたは35S−システインを用いることができる)およびHA特異的モノクローナル抗体を用いる免疫沈降(Harlow, E. and Lane, D. 抗体: 研究室マニュアル, コールドスプリング ハーバー ラボラトリー プレス、コールドスプリング ハーバー, NY, 1988)により検出する。簡単には、細胞を8時間35S−メチオニン(または35S−システイン)にて標識する。培養培地を次いで集め、細胞を界面活性剤(RIPAバッファー、150mMのNaCl、1%のNP−40、0.1%のSDS、0.5%のDOC、50mMのトリス、pH7.5)を用いて溶解する。細胞溶解物および培養培地の両方を、HA特異的モノクローナル抗体を用いて沈殿させる。沈殿したタンパク質を次いでSDS−PAGEにより分析する。
【0209】
別法として、hCARコーディング配列を含んでいるDNAを、直接、適当な制限部位を用いてpCDNA/Ampベクターのポリリンカーへとクローン化する。
生じたプラスミドをCOS細胞へと前記方法にてトランスフェクトし、hCARタンパク質の発現を放射能標識および免疫沈降により、hCAR特異的モノクローナル抗体を用いて検出する。
【0210】
実施例5:哺乳動物細胞におけるhCARの発現細胞
細胞株の作製
hCARのオープンリーディングフレームを哺乳動物発現ベクターpCDNA3.1+zeo(Invitrogen, 1600 Faraday Avenue, Carlsbad, CA 92008)にライゲートした。HEK293細胞をプラスミドでトランスフェクトし、500μg/mlのゼオシンを用いて選択した。ゼオシン耐性クローンを、hCARの発現に関してRT−PCRにより試験し、次いでcAMPの産生を刺激するその能力に関して試験した。
【0211】
シクラーゼアッセイ
4×10個の細胞を96ウェルのバイオコート細胞培養プレート(Becton Dickinson, 1 Becton Drive, Franklin Lakes, NJ 07417-1886)にアッセイの24時間前に蒔いた。細胞を次いでクレブス−バイカーボネートバッファー中37℃にて15分間インキュベートした。500μMのイソブチルメチルキサンチン(IBMX)での5分間の前処理の後、基本のcAMPレベルの決定のために1μMのホルスコリンおよびバッファーで12分間刺激した。cAMPレベルを、SPAアッセイ(Amersham Pharmacia Biotech, 800 Centennial Avenue, Pistcataway, NJ 08855)を用いて決定した。
【0212】
結果
HEK293細胞のhCAR哺乳動物発現ベクターでのトランスフェクションの結果、対照(CL)株と比較して、cAMPの基本レベルの増加を生じる。増加の幅は、3倍〜16倍である。アゴニストの不在下での増加した基本レベルは構成的活性化と呼ばれ、リガンドにより活性化されることを必要とせずにhCARがcAMP合成経路を刺激する結果である。cAMPのレベルは、ホルスコリンでさらに増すことができる。cAMPの刺激量は、ここでも、対照株に関して認められるもの(5pMol)よりも多く、9〜23pMolcAMPの範囲である。
【0213】
実施例6:ヒトhCARタンパク質の特定
この実施例では、ヒトhCARタンパク質のアミノ酸配列を、公知のタンパク質のアミノ酸配列と比較し、種々のモチーフを同定した。
ヒトhCARタンパク質、図3に示すアミノ酸配列(配列番号2)は、363個のアミノ酸残基を含むタンパク質である。
疎水性分析により、ヒトhCARタンパク質が予想される7つの膜貫通ドメインを含むこと、およびそれらがアミノ酸残基:47−62;80−97;100−103;129−153;175−190;248−258;および272−274に位置することが示された。
【0214】
実施例7:HCARターゲッティングベクターの構築
部分的なネズミhCARcDNAクローンは、全長のヒトhCARコーディング配列をプローブとして用いて、標準的な方法によりマウスの脳cDNAライブラリー(ストラタジーンから市場入手したもの)から単離する。ネズミのhCARcDNAを次いでプローブとして用いて、129株のマウスから作製されたゲノムDNAライブラリーに対して、再び標準的な方法を用いてスクリーニングする。単離されたネズミのhCARゲノムクローンを次いで、制限マッピング、部分DNA配列決定、およびターゲッティングベクターの構築のために、プラスミドベクター、pブルースクリプト(ストラタジーンより市場入手したもの)にサブクローン化する。hCAR遺伝子を機能的に破壊するために、非相同DNAが第一のコーティングエキソンに挿入され、そのプロセスにおいて開始コドンおよび約600bpのhCARコーディング配列(第5膜貫通ドメインを含む)を削除し、残る下流のhCARコーディング配列を翻訳の開始に対してアウトオブフレームとするターゲッティングベクターを調製してよい。それゆえ、いずれかの翻訳産物が二者択一的にスプライスされたhCAR遺伝子の転写産物から形成される場合、それらは、GPCRの正常な機能に必要とされる全7つの膜貫通ドメインを含まない。hCARターゲッティングベクターを、標準的な分子クローニング法を用いて構築する。標的ベクターは、開始コドンの上流に1−5kgのネズミhCARゲノム配列を含み、そのすぐ後に、ホスホグリセロキナーゼプロモーターのコントロール下にネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子が続く。ネオマイシンカセットのすぐ下流は、ネズミのhCAR開始コドンの約2kb下流の領域に対応する1−5kbのネズミのhCAR遺伝子配列である。この後、ホスホグリセロキナーゼプロモーターのコントロール下に単純ヘルペスチミジンキナーゼ(HSVtk)遺伝子が続く。このベクター中の上流および下流のゲノムカセットは、内在ネズミ遺伝子と同じ5’から3’方向である。ポジティブ選択neo遺伝子は、hCAR配列の第一コーディングエキソンを置き換え、hCAR遺伝子と反対の配向にあるが、一方、ネガティブ選択HSVtk遺伝子は構築物の3’末端に位置する。この配置により、相同組換えに関するポジティブおよびネガティブ選択アプローチ(Mansour, S. L. et al. (1988) Nature 336: 348)の使用が可能となる。胎児幹細胞へのトランスフェクション前に、プラスミドを制限酵素消化により線状にする。
【0215】
実施例8:胎児幹細胞のトランスフェクションおよび分析
胎児幹細胞(例えば、株D3、Doestschman, T. C. et al. (1985) J. Embryo. Exp.Morphol. 87: 27-45)を、15%の子牛血清、2mMのグルタミン、ペニシリン(50μ/ml)/ストレプトマイシン(50μ/ml)、非必須アミノ酸、100μMの2−メルカプトエタノールおよび500μ/mlの白血病抑制因子を追加したダルベッコの変更イーグル培地中で増殖させたネオマイシン耐性胎児繊維芽細胞フィーダー層にて培養する。培地は毎日変え、細胞を2〜3日毎に置き換え、次いでエレクトロポーレーション(25μFキャパシタンスおよび400ボルト)により線状化したプラスミドでトランスフェクトする。トランスフェクトした細胞を非−選択培地中でトランスフェクション後1−2日間培養する。次いで、それらをガンシクロビアおよびネオマイシンを含んでいる培地中で5日間培養し、そのうち、少なくとも3日間はネオマイシンのみの中で培養する。クローンを拡張した後、細胞の部分を液体窒素中で凍結する。DNAを、ゲノムDNA分析のために細胞の残りから調製し、相同組換えが内在hCAR遺伝子と標的構築物の間に生じているクローンを同定する。ゲノムDNAを調製するために、ES細胞クローンを100mMのトリスHCl、pH8.5、5mMのEDTA、0.2%のSDS,200mMのNaClおよび100mgのプロテアーゼK/ml中で溶解する。DNAをイソプロパノ−ル沈殿により回収し、10mMのトリスHCl、pH8.0/0.1mM EDTA中に溶解する。相同組換えクローンを同定するために、クローンから単離されたゲノムDNAを制限酵素を用いて消化する。制限酵素消化の後、DNAを0.8%アガロースゲル上に回収し、Hybond Nメンブレン上にブロットし、65℃にて標的ベクターの5’末端に隣接するhCAR遺伝子の領域に結合するプローブおよびターゲッティングベクターの3’末端に遠位のhCAR遺伝子の領域に結合するプローブとハイブリダイズさせることができる。標準的なハイブリダイゼーションの後、ブロットを40mMのNaPO(pH7.2)、1mMのEDTAおよび1%のSDSで65℃にて洗浄し、X線フィルムへと露出する。野生型hCAR対立遺伝子に対する5’プローブのハイブリダイゼーションにより、オートラジオグラフィーにより、neoインサーションを有する変異hCAR対立遺伝子から容易に識別することができるフラグメントを生じる。
【0216】
実施例9:HCAR欠損マウスの作製
雌および雄のマウスを交配させ、胚盤胞を妊娠の3.5日にて単離する。実施例2に記載するクローンからの10〜12個の細胞を、胚盤胞毎に注入し、7個または8個の胚盤胞を擬似妊娠させた雌の子宮へと移す。子供を妊娠18日目に帝王切開により出産させ、フォスターBALB/cマザーと共に飼育する。生じた雄および雌のキメラを雌および雄のBALB/Cマウス(非有色皮)それぞれとつがわせ、生殖細胞のトランスミッションを、生殖細胞を経た129個ES細胞ゲノムの継代由来の有色皮の色により決定する。有色ヘテロ接合体は、破壊されたhCAR対立遺伝子を有するようであり、それゆえ、これらの動物をつがわせ、およびメンデル遺伝学により、子孫の約25%がhCARヌル変異のためにホモ接合体であることが予測される。動物のゲノタイピングを、尾のゲノムDNAを得ることにより行う。
【0217】
hCAR−/−マウスが全長のhCARmRNA転写産物を発現しないことを確認するために、RNAを種々の組織から単離し、hCARcDNAプローブとの標準的なノーザンハイブリダイゼーションによりまたはリバーストランスクリプターゼ−ポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)により分析する。RNAをマウスの種々の器官から、4Mのグアニジウムチオシアネートを用いた後、分子クローニング : 研究室マニュアル, 2nd Edition, コールドスプリングハーバー ラボラトリープレス (1989)に記載されるごとく5.7MのCsClによる遠心分離を行うことにより抽出する。脳または胎盤におけるhCARmRNAのノーザン分析により、全長のhCARmRNAが、hCAR−/−マウスからの脳または胎盤において検出されないことが立証される。ネオマイシン遺伝子に特異的なプライマーにより、hCAR+/−および−/−において転写物が検出されるが、+/+動物においては検出されない。ノーザンおよびRP−PCR分析を用いて、hCAR遺伝子のホモ接合体の破壊により、hCAR−/−マウスにおける検出可能な全長hCARmRNAの転写産物の不在が生じることが確認される。hCAR欠損マウスにおけるhCARタンパク質の発現を試験するために、ウェスタンブロット分析を、脳および胎盤を含む単離組織からの溶解物において、標準的な方法を用いて行う。これらの結果により、hCAR遺伝子のホモ接合体破壊により、−/−マウスにおける検出可能なhCARタンパク質の不在が生じることが確認される。
【0218】
実施例10:hCAR産生の阻害
発明の構成物としてのRNA分子の設計
この実施例における全RNA分子は、約600nts長であり、全RNA分子は、機能性のhCARタンパク質を産生することができるように設計される。分子はカップを持たず、ポリ−A配列を持たず、ネイティブな開始コドンは存在せず、RNAは全長の産物をコードしない。以下のRNA分子を設計する:
【0219】
(1)hCARネズミメッセンジャーRNA(mRNA)の部分に相同な一本鎖(ss)のセンスRNAポリヌクレオチド配列;
(2)hCARネズミmRNAの部分に相補的なssアンチセンスRNAポリヌクレオチド配列、
(3)hCARネズミmRNAポリヌクレオチド配列のセンスおよびアンチセンス部分の両方から成る二本鎖(ds)RNA分子、
(4)hCARネズミ異種構造RNA(hnRNA)の部分に相同なssセンスRNAポリヌクレオチド配列、
(5)hCARネズミhnRNAの部分に相補的なssアンチセンスRNAポリヌクレオチド配列、
【0220】
(6)センスおよびアンチセンスhCARネズミhnRNAポリヌクレオチド配列から成るdsRNA分子、
(7)hCARプロモーターの部分のトップストランドに相同なssネズミRNAポリヌクレオチド配列、
(8)hCARプロモーターの部分のボトムストランドに相同なssネズミRNAポリヌクレオチド配列、および、
(9)hCARプロモーターのトップおよびボトムストランドに相同なネズミRNAポリヌクレオチド配列から成るdsRNA分子。
【0221】
前記(1)−(9)の種々のRNA分子は、1つの末端にT7プロモーターを有しているPCR産物のT7RNAポリメラーゼ転写により作製してよい。センスRNAが所望される場合、T7プロモーターは、フォーワードPCRプライマーの5’末端に位置づけられる。アンチセンスRNAが所望される場合、T7プロモーターはリバースRNAプライマーの5’末端に位置づけられる。dsRNAが所望される場合、PCR産物の両タイプをT7転写反応に含めてよい。別法として、センスおよびアンチセンスRNAを転写後にアニーリング条件下に混合して、dsRANを形成してよい。
【0222】
RNAの折り返し型をコードしている発現プラスミドの構築
hCAR遺伝子の部分の逆の繰り返しをコードしている発現プラスミドを本出願に開示される情報を用いて構築してよい。hCAR折り返し転写産物をコードしているDNAフラグメントを、PCR増幅により調製し、hCAR折り返し転写産物の転写に必要なエレメントを含むベクターの適当な認識部位に導入してよい。DNAフラグメントは、少なくとも10bpの、しかし200bpは超さないスぺーサー配列が後に続き、選択されるhCAR配列の逆相補物が後に続く約少なくとも600個のヌクレオチド長のhCAR遺伝子のフラグメントを含む転写産物をコードする。構築物でトランスフェクトされたCHO細胞は、相補的な標的遺伝子配列が二本螺旋を形成する折り返しRNAのみを産生する。
【0223】
アッセイ
Balb/cマウス(5マウス/群)に、前記マウスのhCAR鎖特異的RNAまたは対照を、10μg〜500μgの範囲の投与量にて腹腔内に注入してよい。脳をマウスのサンプルから、4日毎に3週の期間回収し、前記のような抗体を用いてまたは低下したRNAレベルに関してノーザンブロット分析によりhCARレベルに関してアッセイする。
本発明に従い、hCARmRNA、hCARhnRNA由来のdsRNA分子、およびhCARプロモーター由来のdsRNAを授与しているマウスは、hCAR産生における低下または阻害を示す。RNAがある程度の二本鎖を形成することができる能力を有しない場合には、あるとしても、わずかな阻害効果しか、一本鎖のhCAR由来のRNA分子を授与しているマウスの血清において観察されない。
【0224】
実施例11:疾患の予防における本発明の方法
インビボアッセイ
実施例10に記載する、hCARタンパク質を作製する能力を有しないhCAR特異的RNA分子およびhCAR特異的RNA分子を対照として用いて、マウスを、注入された本発明のhCAR特異的RNA分子の使用により、hCAR関連疾患からの保護に関して評価してよい。
Balb/cマウス(5匹のマウス/群)を、前記のRNA分子を10〜500μgRNAの範囲内の投与量で用いる頭蓋内注入により免疫化してよい。RNA注入後1日、2日、4日、および7日目に、マウスを、hCARに関連する表現型の変化の徴候に関して観察してよい。
【0225】
本発明に従い、hCAR配列を含む本発明のdsRNA分子を授与するマウスは、hCAR関連疾患に対して保護を示す可能性がある。対照RNA分子を授与しているマウスは保護されない可能性がある。hCAR配列を含むssRNA分子を授与しているマウスは、これらの分子がインビボで少なくとも部分的に二本鎖となる能力を有しない場合には、あるとしても極少であることと予想され得る。
本発明に従い、本発明のdsRNA分子はhCARタンパク質を作製する能力を有しないので、RNA分子の哺乳動物への送達により提供される保護は、遺伝子特異的である非免疫媒介性のメカニズムによる。
【0226】
実施例12:ドロソフィラおよびチャイニーズハムスター培養細胞におけるRNA干渉
RNA干渉の効果を観察するために、hCARを天然に発現しているいずれかの細胞株を同定および用いることができ、またはhCARをトランスジーンとして発現する細胞株を周知の方法により(および本明細書中に概説するように)構築することができる。例として、ドロソフィラおよびCHO細胞の使用を記載する。ドロソフィラS2細胞およびチャイニーズハムスターCHO−K1細胞それぞれを、シュナイダー培地(Gibco BRL)中で25℃にておよびダルベッコの変更イーグル培地(Gibco BRL)中で37℃にて培養してよい。両培地に10%の熱−不活性化子牛血清(Mitsubishi Kasei)および抗体(10ユニット/mlのペニシリン(Meiji)および50μg/mlのストレプトマイシン(Meiji))を追加してよい。
【0227】
トランスフェクションおよびRNAi活性アッセイ
S2およびCHO−K1細胞それぞれを、1×10および3×10細胞/mlにて24ウェルのプレートの各ウェルに接種する。1日後、リン酸カルシウム沈殿法を用いて、細胞をhCARdsRNA(80pg〜3μg)でトランスフェクトする。細胞をトランスフェクションの20時間後に回収し、hCAR遺伝子の発現を測定する。
【0228】
実施例13:脊椎動物株におけるアンチセンス阻害
アンチセンスは、Sequiture Inc.(Natick, MA)のキットなどのキットの使用を含む標準的な方法を用いて行うことができる。以下の方法は、ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドおよびカチオン脂質を用いる。転写開始部位が包含されるようにmRNAの5’末端に相補的となるよう、オリゴマーを選択する。
【0229】
1)細胞を蒔く前に、0.2%滅菌濾過ゼラチンを30分間インキュベートし、次いで1回PBSで洗浄することによりプレートの壁をゼラチンコートして、接着を促進する。細胞を40−80%のコンフルエンスへと増殖させる。ヒーラー細胞をポジティブ対照として用いることができる。
2)細胞を血清不含培地(Gibco-BRLからのOpti−MEMAなど)で洗浄する。
【0230】
3)適当なカチオン脂質(Sequitur, Inc.からのオリゴフェクションAなど)を混合し、ポリスチレンチューブ中の抗体を含まない血清不含培地に添加する。脂質の濃度はその源により変化させることができる。血清不含培地/カチオン脂質を含んでいるチューブへ、オリゴマーを約200nM(50−400nMの範囲)の最終濃度へと、100μMのストックから添加し(1ml当たり2μl)、次いで倒置により混合する。
【0231】
4)オリゴマー/培地/カチオン脂質溶液を細胞に添加し(24ウェルのプレートの各ウェル当たり約0.5ml)、37℃にて4時間インキュベートする。
5)細胞を培地で穏やかに洗浄し、完全増殖培地を添加する。細胞を24時間増殖させる。所定の割合の細胞をプレートから取り、溶解させる。
細胞を回収し、hCAR遺伝子の発現を測定する。
【0232】
実施例14:遺伝子ターゲッティングによるトランスフェクト細胞株の産生
トランスフェクトしているDNAが相同組換え現象により染色体DNA配列に統合するか、またはそれに部分的に置き換わるかする場合に、遺伝子ターゲッティングが起こる。そのような現象がいずれかの所定のトランスフェクション実験の間に起こり得る一方で、それらは通常、プラスミドDNAが非相同性の、または人為的な組換えにより統合する幅広い現象により通常妨害される。
【0233】
ヒトにおける遺伝子ターゲッティング現象の選択に有用な構築物の作製
細胞
ターゲットされる現象を選択することに対する1つのアプローチは、トランスフェクティングDNAの統合による遺伝子機能の喪失に関する遺伝学的選択による。ヒトHPRT座は、酵素ヒポキサンチン−ホスホリボシルトランスフェラーゼをコードする。Hprt−細胞は、ヌクレオシドアナログ6−チオグアニン(6−TG)を含んでいる培地中での増殖により選択され得、野生型(HPRT+)対立遺伝子を有する細胞は6−TGにより殺され、一方、変異体(hprt−)対立遺伝子を有する細胞は生存し得る。HPRT遺伝子機能を破壊するターゲットされた現象を有する細胞はそれゆえ、6−TG培地にて選択することができる。
【0234】
HPRT座をターゲットするためのプラスミドを構築するために、HPRT配列中(Genebank 名称HUMHPRTB; Edwards, A. etal., Genomics 6: 593-608 (1990))の位11,960−18,869から伸長しており、およびHPRT遺伝子のエキソン2および3を含んでいる6.9kbのHindIIIフラグメントをpUC12のHindIII部位へとサブクローニングしてよい。生じたクローンをHPRT遺伝子フラグメントのエキソン3のユニークなXhoI部位にて切断し、pMC1Neo(ストラタジーン)からのneo遺伝子を含んでいる1.1kbのSalI−XhoIフラグメントを挿入し、エキソン3のコーディング配列を破壊する。HPRT転写の方向と反対のneo転写の方向を有する1つの配向を選択し、pE3Neoと指定した。正常なHPRTエキソン3のneo−破壊体での置換により、hprt−、6−TG耐性表現型が生じる。そのような細胞もG418耐性である。
【0235】
治療上重要な遺伝子のヒトゲノムへのターゲット挿入のための構築物の作製および遺伝子ターゲッティングにおけるその使用
hCAR遺伝子をHPRTコーディング領域内に、neo遺伝子に隣接してまたはその付近に挿入するpE3Neoの変種を用いて、レシピエントの一次または二次細胞ゲノムにおける特定の位置にhCAR遺伝子をターゲットすることができる。pE3Neoのそのような変種を、hCAR遺伝子をHPRT座にターゲットするために構築することができる。
hCAR遺伝子および結合されたマウスメタロチオネイン(mMT)プロモーターを含んでいるDNAフラグメントを構築する。別に、pE3NeoをneoフラグメントとHPRTエキソン3のジャンクション(エキソン3へのインサーションの3’ジャンクション)にて切断する酵素で消化する。線状化させたpE3NeoフラグメントをhCAR−mMTフラグメントにライゲートしてよい。
【0236】
ライゲーション混合物でのトランスフェクション由来の細菌コロニーを、hCAR−mMTフラグメントのシングルコピーインサーションに関する制限酵素分析により調べる。hCAR DNAがneo遺伝子と同じ方向で転写されているインサーショナル変異体を選択し、pE3Neo/hCARと指定する。pE3Neo/hCARを消化し、HPRT、neo、およびhMT−hCAR配列を含んでいるフラグメントが残る。消化されたDNAを処理し、一次または二次ヒト繊維芽細胞へとトランスフェクトする。G41またはTGrコロニーを選択し、mMT−hCARおよびneo配列のHPRT遺伝子へのターゲットインサーションに関して分析する。個々のコロニーを本明細書中のどこかに記載する抗体を用いて、hCAR発現に関してアッセイしてよい。
【0237】
二次ヒト繊維芽細胞を、pE3Neo/hCARでトランスフェクトし、およびチオグアニン-耐性コロニーを安定なhCAR発現に関して、および制限酵素およびサザンハイブリダイゼーション分析により分析してよい。
【0238】
細胞のゲノムDNAにおける特定の位置へhCAR遺伝子をターゲットするための相同組換えの使用を、遺伝子の増幅されたコピーを含んでいる細胞を、細胞を適当な薬物選択法に付すことにより選択することができる遺伝子のインサーションによる治療目的(例えば、医薬、遺伝子治療)のための製品を製造するに際して拡張することができ、そしてそのような製品を製造するためにより有用なものとすることができる。例えば、pE3neo/hCARを、dhfr、ada、またはCAD遺伝子を、pE3neo/hCAR中のhCARまたはneo遺伝子のすぐ隣の位置に挿入することにより変更することができる。一次、二次、または不死化細胞をそのようなプラスミドでトランスフェクトし、正しくターゲットされた現象を同定する。これらの細胞をさらに、増幅された遺伝子を含んでいる細胞の選択に適した増加濃度の薬物(hdfrに関しては、選択試薬はメトトレキサート、DADに関しては、選択試薬はN-(ホスホンアセチル)-L-アスパルテート(PALA)、およびadaに関しては、選択試薬はアデニンヌクレオシド(例えば、アラニン)である)でさらに処理する。この方法で、治療上興味深い遺伝子の統合を、増幅されるコピーが選択されるところの遺伝子と共に同時増幅する。つまり、治療的使用のための遺伝子を産生するための細胞の遺伝子操作は、ターゲッティング構築物が統合し、そして増幅されるコピーが増幅される細胞に存在するところの部位を予め選択することにより、容易に制御することができる。
【0239】
一次、二次、および不死化ヒト繊維芽細胞において、マウスメタロチオネインプロモーターのコントロール下にhCAR遺伝子を置くためのターゲッティングプラスミドの構築
繊維芽細胞
以下は、本発明の1つの具体例を示すが、この具体例においては、hCAR遺伝子の上流の正常なポジティブおよびネガティブ調節配列を、一次、二次、または不死化ヒト繊維芽細胞または有意な量でhCARを発現しない他の細胞におけるhCARの発現を可能とするべく変更する。
【0240】
hCARコーディング領域から上流に位置し、マウスメタロテイオネインプロモーターにライゲートする配列番号3のユニークな配列をターゲッティング配列として選択する。典型的には、mMT-I遺伝子からの1.8kbのEcoRI-BgIII(mMTコーディング配列は含んでいない;D. H. および Walling M., J. Mol.Appl. Gen. 1: 273 288 (1982);このフラグメントは、Genbankから入手できるmXT配列、MUSMTI、MUSMTIP、MUSMTIPRMの分析から設計されるPCRプライマーを用いてマウスゲノムDNAから公知の方法により単離することもできる)を、公知の方法によりブラント末端とし、5’hCAR配列とライゲートする。生じるクローンの配向を分析し、一次および二次ヒト繊維芽細胞または適当なDNAを有意な量でhCARを発現しない他の細胞をターゲットするために用いる。
【0241】
追加の上流配列は、最初のターゲット配列の上流にあるネガティブ調節エレメントまたはエンハンサーを変更、欠失、および/または置換することが望まれる場合に有用である。
前記のクローニング法により、一次、二次または不脂化されたヒト繊維芽細胞有意な量でhCARを発現しない他の細胞のその後のターゲットトランスフェクションのために、hCARの上流の配列をインビトロで変更することが可能となる。方法は、mMTプロモーターのインサーションを単に記載し、ネガティブな調節領域の欠失、およびネガティブな調節領域の欠失および幅広い宿主細胞活性を有するエンハンサーでの置換を可能とする。
【0242】
hCAR遺伝子に隣接している配列に対するターゲッティングおよびターゲットされた一次、二次、および不死化ヒト繊維芽細胞の、スクリーニングによる単離
mMTプロモーターおよびhCAR上流配列を含んでいるターゲッティングフラグメントは、フェノール抽出およびエタノール沈殿により精製してよく、一次または二次ヒト繊維芽細胞へトランスフェクトしてよい。トランスフェクトされた細胞をヒト繊維芽栄養培地中150mm皿に蒔く。48時間後、細胞を24ウェル皿に10,000細胞/cm(ウェル当たり約20,000個の細胞)の密度で蒔き、従って、ターゲッティングが10個のクローン化可能な細胞当たり1現象の割合で起こるならば、単一の発現コロニーを単離するのに約50ウェルをアッセイすることが必要となる。トランスフェクティングDNAがhCARの上流の相同領域へとターゲットした細胞は、mMTプロモーターのコントロール下にhCARを発現する。10日後、全ウェルの上清を、hCARの発現に関してアッセイする。hCAR合成を示しているウェルからのクローンを公知の方法を用いて、典型的には、個々のウェルまたはプレートへ分けられた細胞の不均一な集団のフラクションをアッセイすること、これらのポジティブウェルのフラクションをアッセイすること、および必要に応じて反復すること、最終的に、ウェル当たり1細胞にて接種された96ウェルのマイクロタイタープレートをスクリーニングすることによりターゲットされたコロニーを単離することにより単離する。全プレート溶解物からのDNAを、ターゲッティング配列に特異的なプライマーを用いるフラグメントの増幅のためのPCRにより分析することもできる。ポジティブなプレートをトリプシン処理し、連続低希釈にて置き換え、DNAの調製およびPCRステップを必要に応じて反復して、標的細胞を単離する。
【0243】
ヒトHCAR遺伝子に隣接している配列へのターゲッティングおよび、ターゲットされた一次、二次、および不死化ヒト繊維芽細胞の、ポジティブまたは組み合わせポジティブ/ネガティブ選択システムによる単離
5’hCAR−mMTターゲッティング配列および追加の上流配列を有するその誘導体の構築は、mMTプロモーターに隣接するneo遺伝子を挿入する追加の工程を含むことができる。加えて、ネガティブな選択マーカー、例えばgpt(PMSG(Pharmacia)または他の適当なソース由来)を挿入することができる。前者においては、G418コロニーを、コロニーのプールから調製されたDNAのPCR増幅または制限酵素およびサザンハイブリダイゼーション分析により単離およびスクリーニングして、ターゲットされたコロニーを同定する。後者においては、G418コロニーを、6−チオキサンチンを含んでいる培地に蒔き、gpt遺伝子の統合に対して選択する(Besnard, C. etal., Mol. Cell. Biol. 7:4139- 4141 (1987))。加えて、HSV−TK遺伝子をgptのインサートの反対側に置き、400μg/mlG418、100μM6−チオキサンチン、および25μg/mlのガンシクロビア(gancyclovir)を含んでいるヒト繊維芽細胞栄養培地中で細胞を増殖させることにより、neoに関するおよびgptおよびTKの両方に対する選択を可能とすることができる。ダブルネガティブな選択により、真のターゲットされた現象に関するほとんど絶対的な選択を得、サザンブロット分析により、最終的な確認を得る。
【0244】
本明細書に記載するターゲッティングスキームをさらに用いて、常套の医薬送達のためのhCARを作製するために、不死化ヒト細胞(例えば、HT1908繊維芽細胞、ヒーラー細胞、MCF−7胸部癌細胞、K−562白血球細胞、KB癌細胞またh2780卵巣癌細胞)におけるhCARの発現を活性化することができる。
【0245】
本実施例に記載されるおよび用いられるターゲッティング構築物を、活性化された内在遺伝子および増幅可能な選択可能マーカーを増幅する細胞を選択するのに有用な、増幅可能な選択可能マーカー(例えば、ada、dhfr、またはCAD)を含めるべく変更することができる。hCAR産物をコードしている内在遺伝子を発現しているまたは発現することができるそのような細胞を用いて、常套の医薬送達または遺伝子治療のためのタンパク質を作製することができる。
【0246】
実施例15:HCAR多型
hCAR遺伝子中およびその付近にマップする単一ヌクレオチド多型(SNPs)が、CeleraヒトRefSNPデータベースにおいて見出された。SNPを、染色体4のポジション8316626-8342946ポジションの間にあるSNPに関してCeleraヒトRdfSNPデータベースをテキスト検索することによりSNPが同定され、これらの同等物は、図7に示す26320bpコンティグの染色体座に対応する。
【0247】
表示:SNPに関するCelera指定ID。#Chrs:SNPを有する個々の数に関連する染色体の数。バリエーション:多型の性質:頻度:(%にて):染色体のトータルの数における対立遺伝子の発生。染色体:SNPが位置する染色体。座:2001年5月現在のCeleraディスカバリーシステムによる染色体4上のSNPの絶対的な位置。26320bpコンティグの座:hCAR遺伝子を含む26320bpのゲノム配列におけるSNPの位置(この配列は、図7に示す)。
【0248】
【表5】
Figure 2004537297
【0249】
【表6】
Figure 2004537297
【0250】
実施例16:HCARタンパク質の構造
疎水性のピークを、プログラムToppredにより決定したが、これを図8に示す。膜貫通領域の実際の位置を、他の予測プログラム(TMpred-K. Hofmann & W.Stoffel (1993)TMベース-膜スパニングタンパク質セグメントのデータベース Biol. Chem. Hoppe Seyler 347,166)を用いて、および、膜貫通領域の保存された残基および他のインジケーターに関するアミノ酸配列の入念なビジュアル分析の使用により確認した。加えて、GCTプログラムSPSスキャンを用いて、シグナル配列の存在を決定した。このプログラムはシグナルペプチドを予測したが、TMに関する配列のより詳細な検証により、予測されたシグナル配列が実際、最初の膜貫通領域に対応することが示唆され、GPCRに関するアプリオリな予想が確認される。
【0251】
分析により、以下の膜貫通領域座が明らかになった:
アミノ酸座6−29のTM1;
アミノ酸座42−68のTM2;
アミノ酸座81−102のTM3;
アミノ酸座122−149のTM4;
アミノ酸座174−193のTM5;
アミノ酸座243−260のTM6;
アミノ酸座275−300のTM7。
【0252】
細胞外領域は以下のようである:
アミノ酸配列:Met Gly ProGly Glu (配列番号4)を含んでいるN−末端アミノ酸座;
アミノ酸配列:Arg Gly Arg Thr Pro SerAla Pro Gly Ala Cys Gln (配列番号5)を含んでいるアミノ酸座69−80のEC1;
アミノ酸配列:Ser Ser Ala Phe Ala Ser Cys Ser Leu Arg Leu Pro Pro Glu Pro Glu Arg Pro Arg Phe Ala Ala Phe Thr (配列番号6)を含んでいるアミノ酸座150−173のEC2;および、
アミノ酸配列:Arg Leu Ala Glu Leu Val Pro Phe Val Thr Val Asn Ala Gln (配列番号7)を含んでいるアミノ酸座261−274のEC3。
【0253】
当業者は、1またはそれ以上の常套の実験を用いて、本明細書中に開示する本発明の特定の具体例に対する多くの均等物を認識または確認することができよう。そのような均等物は、添付の請求の範囲により包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0254】
【図1】図1は、hCAR配列を用いるBLAST検索の結果を示す。
【図2】図2は、5’および3’非翻訳領域を有するヒトhCAR遺伝子の全cDNA配列を示す(配列番号1)。コーディング配列を大文字で示すが、これはヌクレオチド2181から始まる。
【図3】図3は、ヒトhCARコーディング領域の核酸配列を示す(配列番号2)。
【図4】図4は、ヒトhCARタンパク質のアミノ酸配列を示す(配列番号3)。
【図5】図5は、hCAR核酸およびタンパク質配列のアライメントを示し、エキソン/イントロン境界を垂直バーにより示す。
【図6】図6は、pCDNA3.1+zeo/hCARまたは対照(CL)としてpCDNA3.1+zeoでトランスフェクトしたHEK細胞における基本の、およびホルスコリン刺激cAMPレベルを示す。
【図7】図7は、hCAR遺伝子を含む26320bpのゲノム配列を示す(下線)。
【図8】図8は、hCARの疎水性プロットを示す。GESスケールによる疎水性(Engelman, D. M., Steitz, T. A., Goldman, A. (1986) Ann. Rev. Biophys. Chem.15, 321-353 膜タンパク質のアミノ酸配列における無極性トランスバイレヤーヘリックスの同定)をhCARの配列に関してプロットする。
【図9】図9は、パブリックデータベース(a)およびIncyteデータベース(b)からのESTの、hCARとのアライメントを示す。

Claims (41)

  1. 配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質をコードする核酸を含む単離核酸分子。
  2. さらにベクター核酸配列を含んでいる請求項1記載の核酸分子。
  3. さらに異種構造タンパク質または異種構造タンパク質のフラグメントをコードしている核酸を含んでいる請求項1記載の核酸分子。
  4. 請求項1記載の核酸分子を含む宿主細胞。
  5. 哺乳動物の宿主細胞である、請求項4記載の宿主細胞。
  6. 請求項1記載の核酸分子を含んでいる非ヒト哺乳動物宿主細胞。
  7. 配列番号1を含んでいる単離核酸分子またはその縮重変種。
  8. 配列番号1のコーディング領域を含んでいる単離核酸分子。
  9. さらに単一ヌクレオチド多型を含んでいる請求項7記載の核酸。
  10. 多型が表3に記載するものから選択される、請求項9記載の核酸。
  11. hCAR遺伝子の非コーディング領域を含んでいる核酸、または該非コーディング領域の相補物にストリンジェント条件下にハイブリダイズする核酸を含んでいる単離核酸分子。
  12. hCARタンパク質をコードしている遺伝子。
  13. 配列番号2のアミノ酸配列を含んでいる単離hCARタンパク質。
  14. hCARタンパク質の細胞外ドメインを含んでいる単離ペプチド。
  15. 配列番号4、5、6および7から成る群から選択される配列を含んでいる請求項14記載のペプチド。
  16. さらに異種構造アミノ酸配列を含んでいる請求項13記載のタンパク質。
  17. 請求項13記載のタンパク質に選択的に結合する抗体。
  18. 請求項14に記載のペプチドに選択的に結合する抗体。
  19. 請求項15記載のペプチドに選択的に結合する抗体。
  20. 以下のa)〜c)から成る群から選択されるタンパク質を作製する方法:
    a)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質;
    b)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質のフラグメントであって、配列番号2の膜貫通または細胞外領域の少なくとも15個の連続アミノ酸を含むフラグメント;および、
    c)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質の天然に生じる対立変種;
    であって、タンパク質が配列番号1を含んでいる核酸分子にストリンジェント条件下にハイブリダイズする核酸分子によりコードされ、請求項4記載の宿主細胞を、核酸分子が発現される条件下で培養する工程を含む方法。
  21. 以下のa)〜c)から成る群から選択されるタンパク質の存在を検出するための方法;
    a)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質;
    b)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質のフラグメントであって、配列番号2の膜貫通または細胞外領域の少なくとも15個の連続アミノ酸を含むフラグメント;および、
    c)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質の天然に生じる対立変種;
    であって、タンパク質が配列番号1を含んでいる核酸分子にストリンジェント条件下にハイブリダイズする核酸分子によりコードされ、
    i)タンパク質に選択的に結合する化合物とサンプルを接触させること、次いでii)化合物がサンプル中のタンパク質に結合するかどうかを測定すること
    を含む方法。
  22. タンパク質に結合する化合物が抗体である、請求項21記載の方法。
  23. 請求項21記載の方法のために用いられる試薬を含んでいるキットであって、試薬が以下のa)〜c)から成る群から選択されるタンパク質に選択的に結合する化合物を含むキット:
    a)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質;
    b)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質のフラグメントであって、配列番号2の膜貫通または細胞外領域の少なくとも15個の連続アミノ酸を含むフラグメント;および、
    c)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質の天然に生じる対立変種であって、タンパク質が配列番号1を含んでいる核酸分子にストリンジェント条件下にハイブリダイズする核酸分子によりコードされるもの。
  24. サンプル中の以下のa)〜c)から成る群から選択される核酸分子の存在を検出するための方法:
    a)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質をコードする核酸分子;
    b)配列番号2のアミノ酸を含んでいるタンパク質のフラグメントをコードする核酸分子であって、フラグメントが配列番号2の膜貫通または細胞外領域の少なくとも15個の連続アミノ酸を含むもの;および、
    c)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質の天然に生じる対立変種をコードする核酸分子であって、核酸分子が配列番号1を含んでいる核酸分子にストリンジェント条件下にハイブリダイズするもの;
    であって、
    i)核酸分子に選択的にハイブリダイズする核酸プローブまたはプライマーとサンプルを接触させる工程;および
    ii)核酸プローブまたはプライマーがサンプル中の核酸分子に結合するかどうかを測定する工程
    から成る方法。
  25. サンプルがmRNA分子を含んでおり、および、核酸プローブと接触させる、請求項24記載の方法。
  26. 請求項24記載の方法に用いられる試薬を含むキットであって、試薬が以下のa)〜c)から成る群から選択される核酸分子に選択的にハイブリダイズする化合物を含むキット;
    a)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質をコードする核酸分子;
    b)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質のフラグメントをコードする核酸分子であって、フラグメントが配列番号2の膜貫通または細胞外領域の少なくとも15個の連続アミノ酸を含むもの;および、
    c)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質の天然に生じる対立変種をコードする核酸分子であって、核酸分子が配列番号1を含んでいる核酸分子にストリンジェント条件下にハイブリダイズするもの。
  27. 以下のa)〜c)から成る群から選択されるタンパク質に結合する化合物を同定するための方法;
    a)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質;
    b)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質のフラグメントであって、フラグメントが配列番号2の膜貫通または細胞外領域の少なくとも15個の連続アミノ酸を含むもの;および、
    c)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質の天然に生じる対立変種であって、タンパク質が配列番号1を含んでいる核酸分子にストリンジェント条件下にハイブリダイズする核酸分子によりコードされるもの;
    であって、
    i)タンパク質、またはタンパク質を発現している細胞を試験化合物と接触させること、次いで
    ii)タンパク質が試験化合物に結合するかどうかを測定することを含む方法。
  28. 試験化合物のタンパク質に対する結合を、以下のa)〜c)から成る群から選択される方法により検出する、請求項27記載の方法:
    a)試験化合物/タンパク質結合を直接検出することによる結合の検出;
    b)競合結合アッセイを用いる結合の検出;および、
    c)hCAR活性に関するアッセイを用いる結合の検出。
  29. 以下のa)およびb)から成る群から選択されるタンパク質の活性を調節するための方法;
    a)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質;および、
    b)配列番号2のアミノ酸配列を含んでいるタンパク質の天然に生じる対立変種であって、タンパク質が配列番号1を含んでいる核酸分子にストリンジェント条件下にハイブリダイズする核酸分子によりコードされるもの;
    であって、タンパク質を発現している細胞をタンパク質に結合する化合物と、タンパク質の活性を調節するのに十分な濃度で接触させることを含む方法。
  30. hCAR活性の阻害を必要としている患者の治療法であって、患者にhCARの細胞外部分に結合する抗体の治療有効量を投与することを含む方法。
  31. 配列番号1の核酸を含んでいるトランスジェニックまたはキメラ非ヒト動物。
  32. トランスジーンが調節可能な発現システムのコントロール下にある,請求項31記載の動物。
  33. HCAR遺伝子の少なくとも1つの対立遺伝子が機能的に破壊されている、ノックアウト非ヒト動物。
  34. HCAR遺伝子の少なくとも1つの対立遺伝子がCre遺伝子の導入により機能的に破壊され得るノックアウト非ヒト動物。
  35. Cre遺伝子が組織特異的プロモーターのコントロール下にある、請求項34記載のノックアウト。
  36. Cre遺伝子が発生特異的プロモーターのコントロール下にある、請求項34記載のノックアウト。
  37. Cre遺伝子が誘導性プロモーターのコントロール下にある、請求項34記載のノックアウト。
  38. 細胞にHCAR遺伝子の部分に相補的な二本鎖のリボ核酸を提供することを含み、リボ核酸が約600塩基対を含む、HCAR遺伝子の発現を阻害するための方法。
  39. 細胞にアンチセンス核酸分子を提供することを含む、細胞におけるHCAR遺伝子の発現を阻害する方法。
  40. 配列番号2のアミノ酸配列を含むhCARタンパク質を製造する方法であって、hCAR遺伝子の活性化学を含む方法。
  41. 配列番号2のアミノ酸配列を含むhCARタンパク質を製造する方法であって、細胞がhCARタンパク質を発現するように細胞においてhCAR遺伝子に対して異種構造調節配列を作用的に結合させることを含む方法。
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