JP2004536659A - 椎間板線維輪の再生方法及び椎間板線維輪ステント - Google Patents

椎間板線維輪の再生方法及び椎間板線維輪ステント Download PDF

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Abstract

外科切開又は病的崩壊後の線維輪を修復又は再生するための外科方法は、縫合糸による閉塞と、ステントの挿入及び固定とを含んで構成され、椎間板に対して行われる一般的な外科処置の失敗率を低減する。線維輪ステントの設計は、正常な組織の治癒に関する成長を促進し、通常の修復プロセスを補強する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、概して椎間板線維輪における腔の閉塞、封止及び/又は修復のための方法及び植え付け可能な医療装置に関する。この「腔」との語は、椎間板線維輪への切開の結果として又は自然に発生した亀裂(又は裂け目)の結果として線維輪に形成される孔をいう。本発明は、概して椎間板の修復又は再生のための外科装置及び方法に関する。また、本発明は、椎間板の修復のための環状修復装置(すなわち、ステント)に関する。このステントは、自然又は合成の素材を材料とすることができる。前記再生の効果は、椎間板の完全な回復及び一般的な外科治療(椎間板の断片除去又は切除)による失敗率(3〜21%)の低減である。この外科治療は、米国内において、年間約390000件行われている。
【背景技術】
【0002】
脊柱は、多数の椎骨から形成されており、この椎骨は、通常の状態では、椎間板を挟んで互いに離れて存在している。この椎間板は、線維輪と髄核とから構成され、これらは、ともに柔らかい組織でできている。椎間板は、脊柱において、重要な安定装置として、また、隣接する椎体の間で力を分散させるための装置として機能する。椎間板がないと、異常な関節構造及び関節変化の早期進展に伴い、椎間スペースの崩壊が生じる。
【0003】
正常な椎間板は、線維輪と呼ばれる、髄核を包囲する外側の帯状リングを有する。この線維輪は、コラーゲン線維でできており、隣接する椎骨を結合させる。コラーゲン線維は、椎骨にはり付くとともに、互いに組み合わさっており、椎骨がいずれかの方向に回転すると、各繊維のうち半分が緊張して、抵抗、捻り又は捩れ動作を行う。髄核は、85%の水分を含んだ緩い組織でできており、体を曲げる際に前後左右に移動する。
【0004】
椎間板は、老化に伴い次第に変化していく。線維輪は、柔軟性及び耐久性を失い、より緻密であり、かつ硬い組織となる。老化した線維輪には、その壁にひび又は亀裂の出現又は拡大が見られる。同様に、髄核は、乾燥して粘度を増すとともに、その流動性を失う。老化した椎間板に関するこれらの特徴が組み合わさることで、髄核の粘度の増大により動的な力の分散が適わなくなり、乾燥により線維輪が力の集中に耐えきれなくなり、柔軟性が損なわれ、亀裂が発生する。亀裂は、病気その他の病理学的な条件によっても発生する。亀裂は、ときに線維輪を貫通する裂け目に発展することがある。この場合は、髄核が裂け目を通じて亜環状の空間から外側に、ときに脊柱内に押し出される。押し出された髄核は、脊髄又は脊髄神経根を機械的に圧迫する。この痛みを伴う状態は、臨床上、椎間板ヘルニアと呼ばれる。
【0005】
線維輪が損傷を受けた状態では、亜環状の髄核が、抵抗が最も少ない経路上を移動して裂け目を空け、椎間板の壁を介する髄核の移動を可能とし、結果として神経の圧迫及び肢、膀胱、腸及び生殖器に通る、隣接する神経根付近の空間への炎症物質の漏出を引き起こす。神経の圧迫及び炎症の実際的な影響は、耐え難いほどの背中又は首の痛み(肢に広がってしびれ、弱化、及び終段では、まひ及び筋肉の萎縮を生じさせる。)、及び/又は膀胱及び腸の失調として現れる。また、けが、病気その他の変性性の不調によっても、1以上の椎間板に収縮、崩壊、劣化又は転位、脱出その他の損傷が来される。
【0006】
椎間板の脱出、転位又は断裂の標準的な外科治療は、線維輪の再生を伴わない断片除去及び神経の圧迫解除である。現在、その結果は受け入れられ得るものであるが、最善ではない。多くの権威者により3.1〜21%の確率での椎間板ヘルニアの再発が報告されており、第1の手順の失敗及び同じ症状のための再手術の必要性を示している。再発の確率が10%であるとすると、米国内で年間39000件の再手術が行われることになる。
【0007】
症状を緩和するための他の方法は、痛みの緩和を目的とした、痛みを持つがヘルニア状態には至らない椎間板における亜環状域の加熱を含む熱的な輪状形成であるが、断裂した不連続な線維輪の再生に関する要求はない。
損傷を受けた椎間板の、髄核の増大を含む修復も提案されており、髄核の置換に関する様々な試みが報告されている。本発明は、髄核の増大が是認されるか否かによらず、線維輪の修復を目的としている。
【0008】
また、線維輪の外科的な直接修復を伴う又は伴わない様々な外科切開を評価するための動物実験が行われてきた。この研究は、他には異常のない動物を対象に行われ、髄核の除去又は増大を含んでいない。この実験の権威者は、線維輪の直接修復は、椎間板の治癒に影響しないことを結論としている。
現時点では、一時的なものであっても、線維輪ステントにより増強されたものであっても、線維輪の再生に関する知られた方法は、存在しない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、転位し、脱出し、断裂し及び他の損傷を受けた椎間板を再生するための方法及びその関連装置を提供する。本発明によれば、線維輪に腔が形成された椎間板の治療のための再生に関して方法が開示され、この腔は、髄核が亜環状の空間から移動する際の経路を形成する。この方法は、腔を通過し得る寸法が与えられた第1の形状と、少なくとも一方向の寸法が腔と同じか又はそれ以上であり、かつ少なくとも一方向の寸法が第1の形状における対応する寸法よりも大きい拡張後の第2の形状とを有する拡張可能なパッチを提供することと、第1の形状にあるパッチを、腔を介して亜環状の空間に挿入することと、このパッチを亜環状の空間で第2の形状に拡張させて、腔に渡しをかけることで、腔を塞ぎ、腔を介する髄核の移動を阻止することとを含んで構成される。
【0010】
本発明の目的及び多くの効果は、以下の説明を考慮することにより明らかとなる。一般的に、移植可能な医療器具は、線維輪に対して配置、位置決め及び固定されて、機械的な障壁として機能し、線維輪の自然な完全性を回復させ、かつ線維輪組織の再近置の方法で線維輪の治癒を促進することにより腔を介する髄核の再突出を軽減する。腔の完全性が増進され、その治癒がより早期及び/又は完全なものとなることで、将来における椎間板からの髄核の脱出の再発及びこれに伴う背中の痛みが低減される。また、腔の修復によれば、生体力学を向上させ、椎間板のつぶれ及び部分的な不安定さの可能性が抑えられることで、外科処置後の背中の痛みが軽減されると考えられている。
【0011】
また、髄核の再突出を軽減することによる腔の修復によれば、神経根を取り巻く粘着物の形成も良好に抑えられる。椎間板の中核成分は、神経に対して有害であり、神経周辺での炎症を悪化させ、治癒の過程で瘢痕の形成(粘着物又は硬膜上線維)を増大させる原因となると考えられている。神経根周辺に形成された粘着物は、背中の痛みを持続させる原因となる。粘着物の形成が抑制されることで、将来的な痛みの発生が抑えられると考えられている。
【0012】
本発明の目的の1つは、椎間スペースからの髄核の突出に対する機械的な障壁としての機能を与え、線維輪及び腔周辺の組織に対して機械的な完全性を付加し、腔のより早期、かつ完全な治癒を促進することである。
説明の大部分は、切除(髄核のうち脱出している断片の除去のために行われる外科処置)等の外科処置後における椎間板の修復に関して行われるが、この装置は、椎間板線維輪の切開を含む他の処置に採用することもできる。修復技術が必要とされる他の処置には、本来の髄核が変質した場合にその機能を置換するための、移植可能な髄核による髄核の転置が含まれる。この場合の本発明の目的は、修復により転置髄核を椎間スペース内に維持する点で近似する。
【0013】
本発明によれば、亜環状のパッチ又はステントを採用して、椎間板線維輪を修復することができる。最も簡単な形態では、線維輪の修復に、亜環状の空間に対する筋膜自己移植片のパッチの配置及び固定が含まれ、腔周辺の組織の再近置を図る一方で、2以上の縫合糸を付加的に採用することができる。本発明によれば、腔の修復に亜環状の空間及び壁が関連付けられることで、従来技術(たとえば、腔を外面上のみ又は腔内のみで塞ぐ。)に対し、幾つかの利点が得られる。亜環状の表面を採用する修復の第1の利点は、椎間板のような、ある一定の半径が与えられた環状(又は楕円状)の圧縮された室が持つ物理的な性質から得られる。内壁を塞ぐことには、外壁の場合と比較して曲率半径が小さいという固有の利点があるため、ラプラスの原理によれば、パッチには、印加圧力のもと、他は等しいままでより小さな応力が作用する。
【0014】
内面を採用して塞ぐことの他の利点は、椎間板内の自然な圧力により椎間スペースの内壁に対する装置の閉塞性が高められることである。他方、修復が線維輪の外面上で行われる場合は、椎間板が常に圧力にさらされることで、装置周縁で漏れが生じるという固有の危険がある。
線維輪の内面を採用する場合に得られる、本発明の従来技術に対する他の利点は、装置の一部が線維輪の外面から突出する危険性が低減されることである。線維輪の外面から突出する装置の成分には、ごく近接する神経根及び/又は脊髄に損傷を与えるという危険がある。この構造への損傷は、慢性的な痛み、失調、腸の機能不全及びまひを引き起こす原因となる。
【0015】
本発明には、修復による完全性の向上を促進するため、腔周辺の組織、並びに線維輪の内面及び外面を引き寄せることの概念が組み込まれる。
本発明に係る装置の技術及び配置例は、次の通りである。
1) 図32a,32b,33a及び33bのように、髄核の一部が椎間板から除去される切除処置を施した後、線維輪には、たとえば、約6mm×2mmの腔が形成される。
2) たとえば、図34のように、2以上の縫合糸を腔の上側及び下側表面に掛け渡すとともに、椎間板内に押し込めて、筋膜自己移植片を受けるためのスリングを形成する。
3) 患者から、たとえば、約10mm×5mmの一片の傍脊柱筋膜組織の一部を除去する。
4) たとえば、図35のように、その自己移植片を折り畳み、線維輪の腔を通過させる。
5) たとえば、図36のように、自己移植片を線維輪の内側で第2の形状として、スリング内で非圧縮状態とするとともに、亜環状の線維輪の壁に近接させる。自己移植片は、亜環状の空間に完全に挿入しても、図36のように、その一部を裂け目内に延伸させてもよい。
6) たとえば、図37のように、縫合糸を締め付けることにより自己移植片を取り巻くスリングを締め、張力を形成して亜環状の表面でパッチを線維輪の外面に引き寄せる一方、自己移植片を亜環状の壁のごく近傍に移動させることで、自己移植片に腔よりも大きな第2の形状を付与するとともに、腔周辺の線維輪の完全性を向上させる。また、縫合糸を締め付け、かつ結び付けることで、線維輪の外面及び腔内において、組織の再近置が促進される。
7) 縫合糸を結び、端部を切り取る。
8) 一般的な外科技術のような粘着物の形成を回避するため、自己移植片の脂肪組織で切除箇所上を覆うことができる。
9) 標準的な外科技術を採用して、外科処置の開口箇所を塞ぐことができる。
【0016】
本発明に係る幾つかの装置を採用して、以上の発明工程を実行し、椎間板の閉塞及び/又は修復を行うことができる。ここで述べる代表的な装置の夫々には、使用に際して椎間板線維輪の亜環状の空間に近接する部分を有する、拡張可能なパッチ又はステント(パッチ、ステント及び装置が交替で使用される。)と、このパッチを固定して、線維輪に近接させて止まらせる手段と、パッチ及び線維輪組織を引き寄せるとともに、張力をかけて締め付ける手段と、固定後の腔表面の相対動作の抑制を補助して、治癒を促進する手段とが設けられる。本発明の1つの特徴及び目的によれば、表面の動きが抑制されるとともに、組織の緊密な近置により治癒のための最適な環境が提供される。
【0017】
以下に述べる概念によりこの目的が達成されるとともに、ステップの数(及び時間)を減少させ、外科技術を簡素化し及び/又は椎間板線維輪の修復が複雑なものとなる危険を軽減するための設計要素が有利、かつ付加的に組み込まれる。また、以下の装置に関する目的は、周囲の組織に取り込ませ又は組織の取り込みのための短期(3〜6ヶ月)の足場として機能させることである。
【0018】
例示としての実施形態では、1以上の柔らかい生分解性の外科縫合糸を、断裂した椎間板の壁(すなわち、線維輪)の病理学的な腔の側縁に沿って又は線維輪の外科切開部の側縁に沿って略等しい間隔で配置することができ、この縫合糸は、脆弱であり又は細いものであってよい。
縫合糸は、腔の両側を引き寄せるように結び付けられ、再近置又は開口部の閉塞に影響して、外科的に狭められたこの椎間板線維輪のギャップを横断する自然な組織(すなわち、線維芽細胞)による自然な治癒及びこれに伴う再生を促進する。
【0019】
この腔を介する椎間板ヘルニアの再発率の25〜30%の低減は、この方法を採用して達成されたものである。
例示としての他の実施形態では、この方法は、腔の閉塞前において、人筋筋膜(又は筋肉の接続組織)又は他の自己移植片、異系移植片又は異種移植片を橋渡し又は足場として配置して、腔内に及び腔を横断して亜環状の障壁を形成することにより効率化することができ、線維輪の多くの層及びその付近に存在する修復に寄与する線維芽細胞又は他の正常な細胞の横断のためのプラットフォームが形成される。
【0020】
椎間板ヘルニアの再発率の30〜50%の低減は、この実施形態による上記筋膜増大を採用して達成されたものである。
人筋筋膜が線維輪の再生に適することを説明したが、橋渡し、ステント、パッチ又は腔を介する髄核の移動に対する障壁として、他の生適合膜状体を採用することもできる。椎間板の断片除去又は切開の過程で髄核の一部を除去することにより形成された腔に対し、生適合性がある素材として、たとえば、医療等級の生適合性ファブリック、生分解性ポリマーシート又は成形適合若しくは非成形適合したフィラーを採用することができる。変質した椎間板の断片を除去することにより形成された椎間スペース内及びその周囲に補填材を配置することができる。
【0021】
本発明の別の目的及び特徴は、以下でその一部が説明され、他の一部は、その説明から又は本発明の実施を通して理解することができる。本発明の目的及び利点は、特許請求の範囲に規定される要素及び組み合わせにより達成し及び獲得することができる。
以上の概略の記載及び以下の詳細な記載は、ともに例示及び説明のためのものに過ぎず、特許請求の範囲に記載された発明の範囲を減縮するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。全図を通し、同じ又は対応する部分には、同じ符号を付している。
図7のように、本発明の一実施形態では、損傷を受けた線維輪42が外科用縫合糸40を使用して修復される。1以上の外科用縫合糸が、線維輪42における病理学的な腔44に沿って略等しい間隔で配置される。再近置又は腔44の閉塞は、縫合糸40を結び付けて、腔44の側縁を互いに引き寄せることにより達成される。再近置又は腔44の閉塞により、外科的に狭められたこの線維輪42のギャップを横断する自然な組織(たとえば、線維芽細胞)による自然な治癒及びこれに伴う再生が促進される。外科用縫合糸40には、生分解性のものを採用するのが好ましいが、永久的に生分解性でないものを採用してもよい。
【0023】
他方、脆弱化し又は薄くなった椎間板42の修復のため、その脆弱化し又は薄くなった部分に沿って外科切開を採用するとともに、1以上の外科用縫合糸40を切り口から横方向に略等しい間隔で配置することができる。再近置又は切り口の閉塞は、縫合糸40を結び付けて、切り口の側縁を互いに引き寄せるにより達成される。再近置又は切り口の閉塞により、外科的に狭められたこの線維輪42のギャップを横断する自然な組織による自然な治癒及びこれに伴う再生が促進される。外科用縫合糸40には、生分解性のものを採用するのが好ましいが、永久的に生分解性でないものを採用してもよい。
【0024】
他の実施形態では、腔44内及びこれを横断させて人筋筋膜又は他の自己移植片、異系移植片若しくは異種移植片のパッチを配置することにより、この方法を効率化することができる。このパッチは、腔44の閉塞前において、腔44内及びこれを横断する橋渡しとして機能し、椎間板線維輪42の多くの層内及びその周辺に存在する線維芽細胞又は修復に寄与する他の正常な細胞の横断のためのプラットフォームを形成する。
【0025】
別の実施形態では、図8(a),(b)のように、線維輪ステント10として生適合性がある膜を採用し、腔44内及びこれを横断させて配置することができる。線維輪ステント10は、腔44の閉塞前において、腔44内及びこれを横断する橋渡しとして機能し、椎間板線維輪42の多くの層内及びその周辺に存在する線維芽細胞又は修復に寄与する他の正常な細胞の横断のためのプラットフォームを形成する。幾つかの実施形態では、この装置、ステント又はパッチは、線維輪を治癒させる組織の成長を補助するための足場として機能させることができる。
【0026】
図1〜3に示す具体的な実施形態では、線維輪ステント10は、中央に設けられた、上部14及び下部16を有する垂直延伸部12を含んで構成される。この中央垂直延伸部12は、幅方向に関して不等辺四辺形(又は台形)に形成し、長さを約8〜12mmとすることができる。
また、中央垂直延伸部12の上部14は、図4(a)〜(c)のように、異なる多くの形状とすることができ、上部14の側面を湾曲させ又は上部14を円形に形成することができる。更に、線維輪ステント10の上部14及び下部16の間に凹部を設け、線維輪ステント10が開口44の端縁に対して良好に適合するようにしてもよい。
【0027】
中央垂直延伸部12の上部14には、上部14を貫通する孔を形成するスロット18を設けることができる。スロット18は、上部14内で、上部14の長軸方向の両端に渡り設けることができる。スロット18は、縫合糸、テンションバンド、ステープルその他の公知の固定用具を挿通させて、線維輪ステント10を椎間板線維輪42に固定することのできる大きさ及び形状とする。
【0028】
他の実施形態では、中央垂直延伸部12の上部14を穿孔することができる。穿孔された上部14には、上部14の長軸方向の両端に渡り複数の孔が設けられる。この孔は、縫合糸、テンションバンド、ステープルその他の公知の固定用具を挿通させて、線維輪ステント10を椎間板線維輪42に固定することのできる大きさ及び寸法とする。
中央垂直延伸部12の下部16は、一対の横方向伸張部、すなわち、左方伸張部20及び右方伸張部22を含んで構成される。この横方向伸張部20,22には、内端24及び外端26、上面28及び下面30が形成される。横方向伸張部20,22には、全体を通して本質的に均一な厚さを持たせることができる。内端24は、下部16に取り付けられ、下部16と略等しい長さとされる。外端26は、約8〜16mmの長さとすることができる。内端24及び下部16は、接合して、中央垂直延伸部12に対して本質的に垂直な水平面を形成する。横方向伸張部20,22の上面28とこの水平面との間には、約0〜60°の角度を設けることができる。線維輪ステント10の幅は、約3〜8mmとすることができる。
【0029】
また、横方向伸張部20,22の上面28に椎間板線維輪42の内面への固定のための鉤を形成し、腔44を介する排除に対抗することができる。
他の実施形態では、図4(b)のように、横方向伸張部20,22に対し、内端24で外端26におけるよりも大きな厚さを持たせることができる。
具体的な実施形態では、線維輪ステント10は、生適合性又は生分解性がある、公知の1以上の柔軟な弾性素材で形成した中実のユニットである。適切なステント素材の選択は、特定のステント構造や、ステントの固定配置後に修復が組織を相対的に安定させ及び腔周辺の組織の動きを抑制することにより腔における治癒プロセスを促進する働きをするといった、その素材に関する性質に応じて部分的に定められる。
【0030】
たとえば、線維輪ステント10は、米国特許第5108438号及び第5258043号等に記載されるように椎間板組織の再生及び線維輪の置換のための足場として機能する、生適合性又は生分解性繊維からなる多孔質のマトリクス若しくはメッシュ、又は米国特許第4904260号等に記載されるように組織の内殖を誘発する生分解性(又は生吸収性)素材を混入させた、不活性繊維からなる強い網状体で形成することができる。
【0031】
線維輪ステント10は、米国特許第5964807号等に記載されるような生分解性サブストレート、又は血管移植片として一般的に採用される発砲性ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE;たとえば、W.L.Gore and Associates,Inc.により商標「GORE−TEX」及び「PRECLUDE」のもとで販売されるものや、Impra,Inc.により「IMPRA」のもとで販売されるものがある。)で形成することもできる。
【0032】
また、線維輪ステント10にその膨張の調整及び制限のための吸湿性素材を包含させ、椎間板スペースに空いた穴を満たすこともできる。
更に、線維輪ステント10は、米国特許第5849331号に記載されるような椎間板組織の再生を補助するシリカベースの生理活性素材又は他の公知の組織成長因子等の、椎間板組織の再生を容易にするための素材を含んで構成することもできる。
【0033】
以上の材料の多くは、装置により治癒プロセスを積極的に促進する場合の実施形態で採用される。他の素材又は扱いを選択して、治癒プロセスでの役割を変更することで、治癒を要求の通りに促進又は抑制することもできる。この変更因子を装置の素材サブストレートに対してコーティング又は他の類似のカバーリングとして適用し、このコーティングがないサブストレートとは異なる組織反応を生じさせることもできる。
【0034】
別の実施形態では、図5,6のように、左及び右への横方向伸張部20,22が結合され、中実のピラミッド状又はコーン状に形成される。また、左及び右への横方向伸張部20,22は、中実の不等辺四辺形、楔状又は銃弾状に形成することもできる。この中実の組成物には、横方向伸張部20,22の開口44への挿入時における圧縮及び挿入後に線維輪42の内壁の形状に適合させる膨張を可能とする、生適合性又は生分解性がある中実の柔軟性素材を採用することができる。
【0035】
他方、圧縮可能なコアを横方向伸張部20,22の下面30に取り付けて、ピラミッド状、コーン状、不等辺四辺形、楔状又は銃弾状に形成することもできる。この圧縮可能なコアは、生適合性又は生分解性があるよく知られた弾性フォームの1つで形成することができる。このようなコアは、流体膨張膜、たとえば、バルーンを含んで構成することもできる。圧縮可能なコアは、横方向伸張部20,22が腔44への挿入時に圧縮され、その後に膨張して、線維輪42の内壁の形状及び椎間板の断片の病理学的な排出又は外科的な除去により形成された穴に適合するのを可能とする。
【0036】
図11(a)〜(d)に示す具体的な使用方法では、椎間板線維輪42の腔44への挿入のため、横方向伸張部20,22が折り畳まれる。椎間板線維輪10は、その後、開口44に挿入され、横方向伸張部20,22が膨張する。この膨張後の形状では、上面28を椎間板線維輪42の内面の輪郭に実質的に一致させることができる。上部14が腔44内に配置されているので、線維輪ステント10を公知の手段により椎間板線維輪42に固定することができる。
【0037】
他の方法では、腔44の長さが線維輪ステント10の外端26の長さよりも小さく、線維輪ステント10を腔44に対して横方向に挿入することができる。横方向伸張部20,22を折り曲げ、線維輪ステント10を腔44に対して横方向に挿入する。線維輪ステント10を椎間板線維輪42内で回転させ、腔44を介して上部14を引き寄せることができる。横方向伸張部20,22の膨張が許容され、上面28が椎間板線維輪42の内面の輪郭に適合する。上部14を亜環状の空間内で腔44内又はこれに隣接させて配置し、線維輪ステント10を公知の手段により椎間板線維輪42に固定することができる。
【0038】
線維輪ステント10を腔44内で固定する他の方法では、図9のように、頭部にアイホール53が設けられた第1の外科用ネジ50及び第2の外科用ネジ52が、隣接する椎骨54,56として示された椎体に挿入される。腔44への線維輪ステント10の挿入後、縫合糸40が腔44に隣接する椎間板線維輪42に通されて下方へ送られるとともに、第1のネジ50のアイホール53に通され、椎間板線維輪42を介して引き寄せられ、線維輪ステント10のスロット18に通される。この手順が第2のネジについて繰り返された後、縫合糸40が固定される。1以上の外科用縫合糸40を、椎間板線維輪42の腔44の側縁に沿って略等しい間隔で配置することができる。再近置又は腔44の閉塞は、腔44の側縁が互いに引き寄せられる方法で縫合糸40を結び付けることにより達成される。再近置又は腔44の閉塞により、外科的に狭められたこの線維輪42のギャップを横断する自然な組織による自然な治癒及びこれに伴う再生が促進される。外科用縫合糸40には、生分解性があるものを採用するのが好ましいが、永久的に生分解性がないものが採用されてもよい。この方法によれば、腔44に隣接する椎間板線維輪42の歪みが軽減され、椎間板線維輪42に通された縫合糸の裂損が回避される。
【0039】
線維芽細胞が線維輪ステント10のポリマー又はファブリックの繊維と結合し、通常の修復プロセスで見られる、現在存在する治癒条件の2倍に当たる強固な壁を形成することが明らかである。
他の実施形態では、図10のように、線維輪ステント10の下面30に柔軟な嚢60が取り付けられる。この柔軟な嚢60は、膜64により包囲された内部キャビティ62を含んで構成され、膜64は、生適合性がある薄い柔軟性素材で形成される。嚢60は、線維輪ステント10の下面30に対し、膨張前の状態で取り付けられる。嚢60は、公知の生適合性流体又は発砲性フォームを内部キャビティ62に注入することにより膨張させる。嚢60の詳細な寸法は、個々の形態に応じて変更することができる。典型的な大きさの成人の髄核は、半短軸が約2cmであり、半長軸が約4cmであり、厚さが1.2cmである。
【0040】
他の実施形態では、膜64は、半透過性の生適合性素材で形成される。注入される素材の機械的な特性により修復の成果に影響が及ぶものと考えられ、健全な髄核よりも軟らかく又は伸展性があるものに限らず、これよりも硬く又は進展性がない素材も本発明の範囲に包含されるものとする。亜環状の空間に付与される容積は、除去された髄核の容積よりも少なくてもよいし、これよりも多くてもよい。移植組織の容積は、時間によっても変化する場合がある。
【0041】
具体的な実施形態では、嚢60の内部キャビティ62にヒドロゲルが注入される。ヒドロゲルは、(天然又は合成の)有機ポリマーが共有結合、イオン結合又は水素結合を介してクロスリンクし、水分子を取り込んでゲルを形成する3次元の開ラティス構造を構成した場合に形成される物質である。ヒドロゲルは、水和し又は乾燥した、いずれの形態で使用されてもよい。
【0042】
線維輪ステント10が前述のように腔44に挿入される場合の使用方法では(図12)、生適合性素材又は発砲性フォームを嚢60の内部キャビティ62に注入するのに、注射器等の公知の注入器具が採用される。生適合性素材又は発砲性フォームは、線維輪ステント10を貫通させて嚢60の内部キャビティ62に注入される。嚢60を膨張させて、椎間板に形成された穴の空きを埋めるのに充分な量の素材が内側キャビティ62に注入される。嚢60の使用は、椎間板の髄核の全部又は一部を取り去る必要がある場合に特に便利である。
【0043】
椎間板の外科修復では、髄核の全体を除去して、移植組織で置き換えることが必要とされる場合もあるし、髄核の一部が除去されることで、椎間板の穴に空きが残される場合もある。嚢60によれば、髄核のうち損傷を受けた部分のみの除去が可能となり、膨張後の嚢60により椎間板の穴に形成された空きを埋めることができる。嚢60を含んで構成される線維輪ステント10の主な利点は、椎間板の穴に移植組織を挿入する必要がないほどに線維輪42の切開域の大きさが抑えられることである。
【0044】
他の使用方法では、嚢60の内部キャビティ62に乾燥したヒドロゲルが注入される。髄核からの流体が半透過性の膜64を通過し、乾燥したヒドロゲルを水和させる。ヒドロゲルがこの流体を吸収することで、嚢60が膨張し、椎間板の穴の空きが満たされる。
他の実施形態では、図13のように、線維輪ステント10は、中央に設けられたハブ66と、半径方向に延伸するストラト67とを有する略傘状に形成される。各ストラト67は、網状素材65により隣り合うストラト67と繋ぎ合わされ、ハブ66を中心とした径方向伸張部76を形成する。径方向伸張部76は、上面68及び下面70を有しており、図17のように挿入された場合に、上面68が椎間板線維輪42の内面の形状に適合し、図16のように挿入された場合に、下面70が椎間板線維輪42の内面の形状に適合する。径方向伸張部76は、平面形状で実質的な円形、楕円形又は矩形に形成することができる。また、図20のように、径方向伸張部76の上面68には、椎間板線維輪42の内面に固定して、腔44を介する排除に対抗するための鉤82を設けることができる。
【0045】
図14,15のように、ストラト67は、柔軟性素材で形成され、径方向伸張部76を腔44への挿入のために折り畳むとともに、その後に膨張させて、椎間板線維輪42の内壁の形状に適合させるのを可能とする。線維輪ステント10は、折り畳み状態で実質的な円錐台状又はシャトルコック状となり、中心ハブ66を含む第1の端部72と、第2の端部74とを有する。
【0046】
他の実施形態では、径方向伸張部76は、中心ハブ66で外端におけるよりも厚く形成される。
線維輪ステント10は、生適合性又は生分解性がある1以上の公知の柔軟な弾性素材で形成された中実のユニットとされる。
また、線維輪ステント10には、米国特許第5849331号に記載されるような椎間板組織の再生を補助するシリカベースの生理活性物質等、椎間板組織の再生を促進するための素材又は他の公知の組織成長因子を包含させることができる。
【0047】
他方、図21のように、径方向伸張部76の下面70に圧縮可能なコア84を取り付けることもできる。この圧縮可能なコア84は、生適合性又は生分解性がある公知の弾性フォームのうち1つで形成することができる。コア84は、径方向伸張部76が腔44への挿入のために圧縮され、その後に膨張して椎間板線維輪42の内面の形状及び椎間板の断片の病理学的な突出又は外科的な除去により形成された穴に適合するのを可能とする。
【0048】
他の実施形態では、図18のように、線維輪ステント10の下面70に柔軟な嚢80が取り付けられる。この柔軟な嚢80は、膜88により包囲された内部キャビティ86を含んで構成され、この膜80は、生適合性がある薄い柔軟性素材で形成することができる。嚢80は、線維輪ステント10の下面70に対し、膨張前の状態で取り付けられる。嚢80は、公知の生適合性流体又は発砲性フォームを内部キャビティ86に注入することにより膨張させる。嚢80の詳細な寸法は、個々の形態に応じて変更することができる。典型的な大きさの成人の髄核は、半短軸が約2cmであり、半長軸が約4cmであり、厚さが1.2cmである。
【0049】
他の実施形態では、膜88は、半透過性の生適合性素材で形成される。
図16に示す使用方法では、椎間板線維輪42の腔44への挿入のため、径方向伸張部76が折り畳まれる。径方向伸張部76は、上面68が円筒の側面を形成するように折り畳まれる。線維輪ステント10は、この状態で腔44に挿入され、線維輪ステント10全体が椎間板線維輪42の内側に位置するまで先端72の挿入が進められる。径方向伸張部76は、椎間板内で解放され、膨張する。線維輪ステント10は、下面70で椎間板線維輪42の内面に適合する。中心ハブ66が腔44内に配置されて、線維輪ステント10は、公知の手段により椎間板線維輪42に固定される。
【0050】
線維芽細胞が線維輪ステント10のポリマー又はファブリックの繊維と結合し、通常の修復プロセスで見られる、現在存在する治癒条件の2倍に当たる強固な壁を形成することが明らかである。
図17に示す他の使用方法では、椎間板線維輪42の腔44への挿入のため、径方向伸張部76が折り畳まれる。径方向伸張部76は、上面68がステントの外面を形成するように、たとえば、図示のような円錐台状に折り畳まれる。線維輪ステント10は、この状態で腔44に挿入され、線維輪ステント10全体が椎間板内に位置するまで後尾74の挿入が進められる。径方向伸張部76は、椎間板内で解放され、膨張する。線維輪ステント10は、上面68で椎間板線維輪42の内壁に適合する。中心ハブ66が腔44内に配置されて、線維輪ステント10は、公知の手段により椎間板線維輪42に固定することができる。
【0051】
具体的な実施形態では、1以上のストラト67の上面68に設けられた鉤82又は他の径方向伸張部76の特徴部分が椎間板線維輪42の内壁に噛み込み、線維輪ステント10は、一定の位置に保持される。
図12に示す使用方法では、線維輪ステント10は、前述のようにして腔44に挿入される。同様に、図18〜21に示すステントのため、注射器等の公知の注入器具を採用して、柔軟な嚢80の内部キャビティ86に生適合性流体又は発砲性フォームを注入することができる。この生適合性流体又は発砲性フォームは、嚢80の内部キャビティ86に対し、線維輪ステント10を貫通させて注入される。嚢80を膨張させて、椎間板の穴の空きを埋めるのに充分な量の素材が内部キャビティ86に注入される。この素材は、保存可能なもの(たとえば、にかわ)とすることができる。嚢80の使用は、髄核の全部又は一部を除去することが必要な場合に特に便利である。
【0052】
ここで述べたバックの形態の全てにおいて、1つの壁又は障壁を他のものよりも堅く、かつ弾性を抑えたものとして形成することができる。この比較的に堅い壁部材を線維輪に近接させて配置することで、その修復特性に加え、線維輪内にバックを良好に封じ込めることができる。
図22は、本発明の他の形態を示している。具体的な実施形態では、椎骨の対の概略断面において、上方椎体110、下方椎体112及び椎間板114が示される。線維輪(AF)の腔又は裂け目に近接させてチューブ118が配置され、このチューブ118は、本発明の他の形態に従い用具120を送り込むのに使用される。用具120は、補修用具120に設けられたリング又は他の固定部を利用して、送り器具122により把持することができる。
【0053】
図23は、他の送り方法を示しており、チューブ118Aの直径が減少されて、チューブ118Aが腔又は裂け目を介して椎間板114の亜環状の空間に挿入される点を除き、図22のものと類似する。
図25において、本発明の他の形態では、チューブ118,118Aを介する用具120の送りは、用具120の腕又は横方向伸張部128,130を折り畳み、チューブ128,130の管腔に適合させることで、ステント又は用具120を折り畳み状態で導入することにより容易となる。用具120は、送り器具122を使用して、チューブ118,118Aの管腔内を移動させる。図25は、送り器具118,118Aへの挿入のために腕が遠方又は前進方向に反らされた状態を示し、図24は、腕128,130が近い位置に反らされた状態を示している。図26は、一方の腕128が遠方又は前進方向に突き出し、他方の腕130が近方又は後退方向に突き出るように湾曲させた用具120を示している。用具120が天然の及び合成のいずれの素材からなる場合であっても、用具120の横方向伸張部が比較的に柔軟となるため、捩り、巻き又は潰し状態等、本発明の趣旨に沿う他の折り畳み状態を採用することもできる。
【0054】
図27は、周縁に配置された鉤132として示された一連の周縁鉤状構造が設けられた装置120を示している。使用時において、この鉤132は、図28に併せて示すように線維輪に押し込まれる。鉤は、このうち少なくとも幾つかを線維輪組織にあてがい、配置の間に刺し込むことができれば、装置120のいかなる位置に設けられてもよい。単純な腔又は裂け目の場合は、用具本体の周縁に配置することは、妥当な選択であるが、複雑な裂け目の場合は、どの鉤が組織にあてがわれ、配置の間に刺し込まれるかは予め分からないので、用具上に複数の鉤を配置するのが望ましい。
【0055】
図29は、一対の鉤134,136が線維輪に対してその外側から刺し込まれる他の固定方法を示しており、装置120は、テザー142により亜環状の空間に保持される。この特定の実施形態において、固定装置として多くのものが考えられるが、テザー142を、鉤134,136を結合するバンド144に結び付けて(145)、装置120を亜環状の空間に固定することができる。テザー142とバンド144との関係を明確にするため、結び目は、締められていない状態で示されている。この方法によれば、テザー142の結び目を締めることで、装置120を鉤付きのバンド144により亜環状の位置に維持するとともに、装置120を引き寄せて線維輪を封止及び閉塞し、線維輪を良好に再近置して腔を閉塞させることができる。
【0056】
図30は、鉤148,150が装置120の本体を貫通するほどに長く、線維輪を貫通して装置120に至る他の固定方法を示している。この構成では、鉤148,150を接続するバンド144は、装置120が亜環状の空間で緩やかに拘束及び位置決めされるように締めることができ、あるいは腔又は裂け目を再近置させるほどに強く締めることもできる。
【0057】
図31は、本発明に係る別の具体的な実施形態に係る装置120を示している。この実施形態では、金属製のサブストレート160が装置120に組み込まれる。この部品は、平坦なストックから機械加工により作成することができ、鉤164に加えてループ162が設けられている。図31に示す構成の装置120は、図27,28に示すものと同様に使用することができる。
【0058】
ステントは、膨張させて平坦なものとすることも(たとえば、図4,8,9,11及び12)、膨張させて3次元的な構造とすることもできる(たとえば、図5及び10)。図34〜36は、筋膜組織で形成された自己移植片を採用した別の3次元パッチ又はステントを示している。図34は、亜環状の空間に線維輪206及び髄核203を有する椎間板を包囲する上方椎体202及び下方椎体204を示している。この具体的な実施形態では、縫合糸210は、線維輪206の外側から腔208の一側で線維輪を通して、亜環状の空間に挿入される。縫合糸210は、その後、腔208の他側で線維輪を通して引き戻され、亜環状の空間に縫合糸のループ又はスリング212を形成する。後方斜視図の右側のように、2以上の縫合糸を採用することができる。図35において、筋膜自己移植片214は、たとえば、ピンセット206により腔208を介して亜環状の空間に挿入される。図36は、縫合糸のスリング212内で、亜環状の空間に完全に挿入された筋膜ステント又はパッチ214を示している。腔の閉塞は、図37のように自己移植片214を線維輪に向けて引くことにより同時に達成される。縫合糸210を締め(218)又は結び付けることで、閉塞及びパッチ又はステントの固定を維持することができる。
【0059】
パッチは、単一の面内で又は3次元的な構造のもとで折り畳むとともに、膨張させることができる。図24,25及び41のように、たとえば、パッチは、装置が単一の素材からなるものであっても、素材が複合されたものであっても、横方向に折り畳むことができる。図1のような他の実施形態では、縦方向に折り畳むことができ、図26のものでは、長手方向に折り畳むことができる。パッチは、図13〜15及び36のように3次元的に折り畳むことができる。3次元的に膨張する装置は、ゼラチンシェル(たとえば、「ゲルカップ」)又は生分解性素材で形成されたメッシュ等の保持用ジャケットで包装し、配置及びその後の膨張を容易とすることができる。
【0060】
パッチは、図36のように自己移植片又は、ステントがゲルカップである場合は、Dacron等の合成素材で形成された単一の要素で構成することができる。パッチは、複数の要素で構成することもできる。図示しないステントの例は、自然な無負荷形状(たとえば、球)を有するように形成することが可能な、シリコンゴム等のポリマー素材で形成することができる。スタイレット又はプッシュロッドを、たとえば、球の内側に挿入して、球をより薄く、かつ長い第2の形状に引き延ばすことができる。この第2の形状は、線維輪の腔の内側に配置するのに充分なものである。装置を亜環状の空間に配置した状態でプッシュロッドが取り去られると、球は、自然な負荷のない状態に置かれ、亜環状の空間でより大きな寸法を採る。ここでは、シリコンが採用されたが、ニチノールをより合わせて構成されたもの等、自然な無負荷形状及び送り張力下での第2の形状を有する他の金属構成体を採用することもできる。これと逆のシナリオにより同じ目的を達成することもできる。他の実施形態では、装置には、負荷がなく、かつ長い第1の形状を持たせるとともに、負荷のもとで第2の、より大きな形状(たとえば、球)を持たせることができる。この実施形態では、装置を機械的に移動させる際に使用されるスタイレット又はロッドの一部が、膨張要素を負荷がかかった形状に保持するために取り残される。
【0061】
多くの要素には、装置の膨張を補助するためのフレームと、生適合性及び組織の成長を得るためのカバーリングとを含ませることができる。フレームの形状には、ニチノール等のワイヤ素材又は複数のワイヤで構成することができる、拡張可能な蝶又は八ノ字形の形状を含ませることができる。図41に示す具体的な実施形態では、フレーム部材502が示されている。菱形その他の丸又は多角形の形状を採用することも、勿論可能である。菱形のフレームは、より小さな第1の形態を採るとともに、より大きなフレームに拡張させることが可能な構造である。菱形の要素は、単一の又は複数のワイヤで構成することができる。また、部材は、各端部で動作可能に固定されて膨張を可能とする要素で構成することができる。テザー又は取付器具504には、縫合糸、ワイヤ、ネジ又は他の公知の取付手段を採用することができる。
【0062】
フレームを、たとえば、図31のように平坦なニチノールのストック等の単一の素材から切り出して形成することで、同じ目的を達成することもできる。この形状は、レーザー切断等の公知の手段により平坦なストックから切り出すことができる。公知の加熱成形ステップを採用して、鉤132を、たとえば、図27のようにストック素材の平面から突出する形状に形成することができる。
【0063】
図示しない他のフレームは、らせん又はコイル状の形状である。このコイル状のものは、たとえば、スプリングスチール又は第1のより小さな形状に巻き上げるとともに、より大きな巻かれていない形状に伸張する他の生適合性素材で形成することができる。
フレームに形成された開口部の大きさに応じ、装置の配置後に髄核が椎間板から再突出するのを確実に防止するとともに、周囲の組織が装置と自然に結合するための基板として機能させるため、フレームを覆うカバーを設け又は設けないことができる。カバーリングには、ePTFE、ポリエステル、シリコン又は他の生適合性素材を包含させることができる。カバーリングには、コラーゲン、セルロース、自己移植片、異種移植片、異系移植片その他の類似物質等の天然物質を包含させることもできる。カバーリングには、ポリビニル乳酸のような本来的な生分解性を持たせることができる。
【0064】
被覆されていないフレームは、多孔質のパッチのように透過性を持たせることができ、流体又は栄養物質がパッチを介して椎間板内に流入し及び椎間板から流出する通常の動作を許容する一方、ステント又はパッチの孔よりも大きな髄核の断片を亜環状の空間に保持する。フレームを構成する素材に応じて表面処理を施し、パッチへの組織の成長を促進することができる。たとえば、装置のチタニウムスパッタリングは、椎間板内での装置の結合をより容易なものとする。また、NiTi又はタンタルフォームをパッチの外面に付加して、組織の成長を促進することもできる。
【0065】
第1の形状から第2の形状への装置の膨張を可能として、亜環状の空間を満たし、かつ髄核の再突出を抑制するための多様な装置デザインが存在することが分かる。以下の装置概念は、椎間板線維輪の修復装置及び/又はシステムの更なる実施形態に関して説明される。
以上のように、本発明に係るステント又はパッチは、筋膜自己移植片を含んで構成され、この自己移植片は、この明細書で「バッグ」と呼ばれるものを形成する素材で構成されたカバーリングに収容することができる。この語は、必ずしも5面で閉じたコンテナを意味するために使用される必要はなく、むしろステント又はパッチの素材を柔軟に包囲して、一定の位置に操作するのを可能とする概念を示すのに使用される。
【0066】
最も単純化した形態では、縫合糸からなる組立装置を採用して、筋膜インプラントを上記のように保持するためのスリングを形成することができる。この形態の、縫合糸を単純に配置して自己移植片を保持することに関する利点は、植え付けの間及びその後における自己移植片のより良好な封入及び調整である。スリング又はバッグは、筋膜自己移植片を包囲し、これを一定の位置に保持する。筋膜自己移植片に代え、ポリエステルメッシュ等の他の素材を採用することができる。
【0067】
図38は、組立スリング300の例を示している。この例では、3つの縫合糸302,304及び306が採用されているが、当業者であれば、これよりも多い又は少ない縫合糸が採用される場合も同様に理解することができる。カラー部材308には、縫合糸に取り付けるための孔又は他の構成が設けられている。この例では、第3の縫合糸306がカラー308に沿って及びその内側に通されて、カラー308の横方向延伸部から延びるループを形成している。第1及び第2の縫合糸302,304は、カラー308の上方向及び下方向延伸部から延びるループを形成している。交叉部310では、縫合糸の小さなループ又は結び目、小さなファブリック取付部品、又は固定を補助するために縫合糸上に配置される、グロメットに似た小さなプリフォーム装置によりループを相互に固定することができる。他の公知の結合方法を採用することもできる。図39において、カラー308は、亜環状の空間に配置されており、ループは、筋膜自己移植片314を包囲している。縫合糸302,304,306を近方に引き寄せることで、自己移植片314が潰れ、線維輪に密着する。縫合糸は、生分解性若しくは生吸収性ビクリル(Vicryl)又は生適合性ナイロン等の公知の素材で形成することができる。カラー308は、ポリエステル等のファブリック素材で形成することができる。配置時において、幾つかの又は夫々の縫合糸の一端を腔周辺の線維輪の下方の壁に通すとともに、他端を上方の壁に通すことができる。線維輪にスリングを配置した後、筋膜自己移植片をスリング内に配置する。縫合糸を締め付けることで、組織が寄せ集められ、腔の再近置が補助される。カラーの大きさは、必要な再近置の程度に応じ、外科医の判断に基づいて選択される。
【0068】
発砲性PTFEで形成された、図40のようなバッグ404等の他の構成を採用して、同じ目的を達成することができる。バッグ404は、腔408を介して線維輪402内に配置される。また、一方向シール406を腔408の背後に配置することができる。噴門弁を導入するための縫合方法を採用して、シールを配置することができる。同じ目的を達成するための多くの構成が存在し、これは、例示として示されたものに過ぎない。
【0069】
以上のものに加え、線維輪における亜環状の壁に装置を固定するための多様な方法が存在する。以下の具体的な実施形態は、縫合糸を掛け及び結び目を形成することによる場合と比較して、パッチを線維輪に固定する際の時間を削減し及びそのための技術を簡単にするために採用することができる。以上では、図1のようにスロット18に通されてパッチを線維輪に固定する、縫合糸、ステープル及び他の固定用具の使用について説明した。図20には、ステントの表面に形成された、線維輪への固定を容易にするための鉤の使用も示されている。図20のような簡単な例では、パッチ又はステントは、圧縮し、図22,23に示すチューブ18,18A等のガイドチューブを通過させ、亜環状の空間で膨張させることができる。図42には、取り外し可能な送り器具608及びガイドチューブ606が示されており、膨張可能なパッチ602には、鉤604が設けられている。膨張後、パッチ602の外面上の鉤604を使用して、パッチ602を線維輪612の内壁610に固定することができる。パッチ602を近方に引き寄せて、亜環状の壁610に押し当て、かつガイドチューブ606上で遠方に押すことで、鉤604を線維輪に打ち込むとともに、線維輪の内側及び外側の組織を互いに引き寄せ、図42のように腔の両側で椎間板を再近置することができる。パッチの配置後、送り器具及びガイドチューブは、取り去られる。
【0070】
この形態の利点は、パッチを配置して線維輪に固定するとともに、組織を互いに引き寄せるのに必要な時間及び技術が非常に少なくて済むことである。
パッチの素材には、以上と似たものを採用することができる。アンカー鉤は、金属素材(たとえば、NiTi合金、ステンレス鋼又はチタニウム)又はポリマー素材(たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリウレタン)等の生適合性素材で形成することができる。アンカー鉤は、ポリグリコール酸(PGA:Polyglycolic acid)、ポリレボ乳酸(PPLA:Polylevolactic acid)、ポリジオキサン(PDA:Polydioxanone)又は、たとえば、ラセミポリ乳酸(PDLLA:Racemic Polylactic acid)等の生分解性又は生吸収性素材で形成することもできる。鉤に生分解性又は生吸収性素材が包含される場合は、鉤は、治癒プロセスの間、充分な時間に渡りパッチを線維輪と結合させるのに充分な保持強度を有することが明らかである。生分解性又は生吸収性がある、図42,43に示すアンカー鉤を設けることの利点は、パッチを線維輪と結合させた時点で既に鉤の固定が完了していることである。しかしながら、線維輪の外面に向けて刺し込まれた鉤には、移動により線維輪から飛び出して、神経根又は脊柱に突き当たるという長期的な危険がある。生分解性又は生吸収性がある鉤によれば、この点に関するいかなる長期的な危険にも対処し、良好に低減することができる。
【0071】
鉤は、生適合性要素と、生分解性又は生吸収性要素との双方で構成することもできる。たとえば、鉤の先端のみを生分解性素材で形成することができる。この鉤によれば、より鋭い先端により線維輪が貫かれるが、分解後は、鉤の先端を鈍くすることができる。この実施形態では、パッチの結合後に先端による更なる瘢痕形成が誘発されることがないばかりでなく、線維輪から突き出して、神経根に至る危険を回避することができる。
【0072】
他の固定手段には、アンカーバンドを線維輪、椎体(上方、下方又はこの両方)又はシャーピー繊維(輪状繊維及び椎体の接点の間に存在するコラーゲン繊維)に通すことが含まれる。以下のアンカーの例では、鉤又はバンドは、線維輪、椎体又はシャーピー繊維に固定される。縫合糸、締付糸はステープル等の他の要素を採用して、アンカーバンドをパッチに取り付け、このパッチを線維輪の内壁付近に保持することができる。また、腔において、このバンドにより再近置を図ることができる。
【0073】
鉤を採用する例に戻り、装置は、図9のように固定される。鉤又は骨アンカーネジ50,52は、上方及び下方の椎体54,56に夫々入れ込まれている。上方において、縫合糸40は、線維輪の外壁を介して亜環状の空間に通される。縫合糸40は、骨アンカー52のアイレット53を通された後、線維輪を通されて、亜環状の空間から線維輪の外壁に至る。縫合糸40の下端も、同様に線維輪及び骨アンカー50のアイレット53を通されるとともに、線維輪を通して戻される。縫合糸40は、両端が締め付けられて、結び合わされる。この概念の利点は、切除処置に際して常に存在する表面(すなわち、椎体)に装置を固定し得ることである。他方、自然に発生した亀裂の位置及び大きさによっては、装置を線維輪に直接に固定するために近接可能な線維輪が充分に得られない場合もある。固定のための位置を提供することに加え、椎体に固定することで、より安定した固定面が形成される。
【0074】
装置を線維輪の内壁に固定する他の例は、図29、更に44〜47に示されている。図22〜30に関して先に述べたように、パッチ120は、送り器具122とともに配置され、ガイドチューブ118の管腔を介して亜環状の空間に通され、膨張する。この工程は、図51,52にも示されており、パッチ702は、折り畳まれるとともに、ガイドチューブ706に通され、送り器具704により保持される。アンカーバンド又はステープル709及びアンカーバンド送り器具708も示されている。ガイドチューブ内又は送り器具内には、パッチ702の中央に取り付けられた縫合糸又は締付糸710が存在する。この状態は、図44(ガイドチューブ706は、取り去られている。)に示されている。図51(c),52(a)のように、ガイドチューブ706は、パッチ702を拡張させ、展開させた後、引き込まれる。次いで、アンカーバンド送り装置708が使用されて、線維輪の外面に1以上のバンド709が送り込まれる。バンド709は、線維輪から抜き出すことができない形状とされた鉤により線維輪に固定される。アンカーバンド709は、ステープルと似た構造である。バンド709は、2つの鉤付きの要素を、たとえば、この2つの要素を縫合糸により接続することで、形成することができる。鉤及びその間の接続バンドは、同じ又は異なる素材で形成することができる。たとえば、アンカーバンドの鉤の部分は、ポリグリコール酸等の生分解性又は生吸収性素材で形成するか、あるいはチタニウム、NiTi合金、ステンレス鋼、ポリウレタン又はポリプロピレン等の生適合性がある金属又はポリマー素材で形成することができる。また、この鉤を接続するバンドは、鉤と似た又は異なる素材で形成することができる。たとえば、接続バンドには、ビクリル又は生適合性素材(たとえば、ポリプロピレン)等の生分解性又は生吸収性縫合糸を採用することができる。また、これらの要素は、線維輪に固定して、固定位置を形成し、パッチを亜環状の壁付近に引き寄せるという目的が達成されるように、素材を複合させて形成することができる。
【0075】
図45,46は、アンカーバンド送り器具708による、線維輪712へのアンカーバンド709の配置を示している。図52(a),(b)は、線維輪712へのアンカーバンド709の配置及び(パッチ送り装置704を保持したままでの)アンカーバンド送り器具708の抜取動作を模式的に示している。図47は、縫合糸709’で接続された一対のステンレス鋼製の鉤709”が設けられた代表的なバンド709を示している。図48は、パッチ702、アンカーバンド709及び締付糸又は縫合糸410を、パッチ及び線維輪の組織を互いに引き寄せる前の、送り装置を取り外した状態で示している。この実施形態では、締付糸に組み立ての結び目714(図53に更に示す。)が設けられているが、他の結び目が採用されてもよい。図53は、線維輪とこの装置とのノット714によるパッチングを後方視で示している。このステント又はパッチ702には、締付糸及び引結びと接続された、7mmの縫合糸709の一対のループが設けられている。これらの縫合糸のループは、図50のように鉤に直接に接続され、外科用ステープルに掛け渡され、あるいは線維輪内に直接に配置される。締付糸に組み立ての結び目が設けられることで、結び目を作る必要がないため、修復プロセスがより迅速なものとなる。また、このことで、組織を互いに引き寄せることが容易となる。締付糸及び組み立ての結び目の使用は、たとえば、ノットプッシャ等の外部チューブにより行われる。図48は、結び目145が作られる前の、図29に似た状態を示している。図49は、縫合糸を矢印Aで示す方向に引き寄せることで、パッチ及び線維輪の組織を互いに引き寄せる動作を示している。ここでは、ノットプッシャは、締付糸から既に取り去られている。縫合糸710を引き寄せることで、パッチ702を引き寄せて、線維輪の内壁に係合させ、腔を内部から閉塞させるとともに、線維輪の壁を互いに引き寄せて、腔を再近置することができる。図52(c),50は、余りの縫合糸が切断された後の締付糸又は縫合糸710を示しており、縫合糸710は、結び合わされ、かつ線維輪の組織を互いに引き寄せている。この装置、固定方法及び送りシステムから、再近置の際に腔の外面も互いに引き寄せられることが明らかである。
【0076】
バンド及びパッチを締め付けることで、たるみを縮小させ、大きさの変化に適合させることができる。たとえば、腔周辺の線維輪の厚さは、1〜10mmの範囲で変化する。このため、アンカーバンドが一定の長さに設定された場合は、締付糸を設けることで、バンドのたるみを腔内に一緒に引き込むことにより線維輪の厚さの異なる寸法に適合させることができる。
【0077】
ここでは、2つの横方向アンカーバンドが設けられ、かつパッチ、バンド及び組織を縫合糸により互いに引き寄せる場合のパッチの配置に関して説明したが、1以上のバンドを採用することができ、2つのバンドによるものは、一例に過ぎない。また、アンカーバンドが鉤により上下方向に配置される場合について説明した。当業者によれば、鉤を腔周辺の他の箇所に配置することも可能であることが理解される。更に、バンドが線維輪内で配置される場合について説明したが、アンカーバンドは、図54に符号800で示すように椎体内で配置し、あるいは図55に符号804で示すようにシャーピー繊維802内で配置することもできる。
【0078】
この例に示されるパッチには、パッチに取り付けられた鉤が設けられていないが、以上で述べた鉤を設けて、線維輪の内壁に対するパッチの固定を強化することができる。
更に、ここでは、組織の再近置に適する腔を図示したが、自然に発生したものであっても、外科的に形成されたものであっても、腔が比較的に大きい場合も考えられ、このため、腔内に追加の素材を配置し、組織の成長過程において、線維輪の内壁上のパッチと外壁上のアンカーバンドとの間の足場として機能させることが必要となる場合がある。腔を埋めるための素材の一例として、傍脊椎筋膜組織自己移植片、異種移植片、異系移植片又は他の天然のコラーゲン素材を採用することができる。このフィラー素材は、ダクロン素材等の生適合性素材で形成することができる。図58は、縫合糸710を締め付ける前の、インプラント素材716により腔が満たされた状態を示している。
【0079】
他の実施形態では、前述のアンカーバンド709(線維輪へのアンカーバンド)は、線維輪を貫通するとともに、パッチを貫通するほどに充分に長く形成することができる。この実施形態に係る鉤は、パッチとの係合関係に置かれる。この概念は、以上で図30を参照して説明された。図56,57は、このようなシステムの他の例を模式的に示している。この実施形態では、鉤でパッチを貫通させており、鉤が移植後に移動する可能性を低減させて、安全性を向上させている。本発明のこの適用では、組織を互いに引き寄せて、腔周辺の組織の動きを抑制するため、アンカーバンドに加え、縫合糸締め付け線を採用し(図50)、あるいは採用しない(図30)ことができる。
【0080】
また、図56,57に示すバンドでは、「鉤」の形態が採用されているが、パッチ702を貫通させた後にパッチとの解除不能な係合関係を持たせる場合は、鉤として、図60のような単純なT字状鉤720の形態又はC型要素を簡単に採用することができる。T型取付要素は、縫合糸に対して長手方向に配列させた状態でパッチに貫通させる。T字部分が回転して、縫合糸アンカーがパッチから引き抜かれるのを阻止する。他の実施形態では、縫合糸バンドの一端に、超弾性素材で形成されたC型リテーナを取り付けることができる。このC型リテーナは、負荷を加えて針状とし、直線に保たれる。この針を使用して型Cリテーナ及び縫合糸をパッチに貫通させるとともに、リテーナを第2の形状に展開させ、C字状とする。
【0081】
パッチフレームを覆うファブリックに対してアンカーを配置及び固定するパッチの設計が考えられる。たとえば、ニチノール等の金属で作成されたパッチフレームにより「窓」を形成することができる。メッシュファブリック(たとえば、シリコン又はダクロン)で覆われたこの装置では、アンカー鉤は、この窓を介してパッチフレームに通すことができる。この場合は、鉤は、フレームを覆うファブリック内でパッチに固定される。
【0082】
また、パッチは、格子状のパッチフレームを拘束する鉤を通すことにより固定することができる。この実施形態では、鉤は、フレームの垂直、水平又は十字構造/要素と係合する。鉤は、メッシュ又は格子状のフレームを貫通させて、この構造から抜け出ないようにすることができる。
縫合糸により接続される2つのアンカーとして示されたアンカーバンドについて説明したが、縫合糸付きの1つの鉤を配置するとともに、この縫合糸の線維輪の外面における端部を、パッチを介する配置後に結び合わせることもできる。
【0083】
以上で述べた設計の目的は、システムにおけるたるみを取り去る方法をアンカーバンドに設けて、縫合糸の長さを調節することである。本発明によれば、アンカーバンドをパッチの設計に組み込まれた縫合糸締付線とともに引き寄せる手段として、輪縄式の締付糸結合法と呼ばれる方法が提供される。図61は、輪縄式の形態の使用を示している。本質的には、パッチを貫通させる鉤の構成が組み込まれたパッチ及びフレーム構造が採用される。鉤をパッチに通した後、アンカーバンドの縫合糸付近で内部ラッソ722が強く引き寄せられ、パッチ内の余分な縫合糸素材が引き寄せられる。内部ラッソ722は、バンドの縫合糸を寄せ集めるとともに、ラッソが締め付けられたときは、バンドの縫合糸を互いに締め付ける。このため、縫合糸が結合されるとともに、たるみが取り除かされ、パッチ又はステントが線維輪に対してより近接して又はより堅く結合する。図61のパッチには、菱形形状のグリッドパターンが付加されており、このパターンは、プローブ又は類似する器具を小さな抵抗で通過させる一方、鉤又は装置上の他の拘束構造に抵抗を形成するグリッドを良好に提供する。図示されたフレームは、ニチノールで形成することができ、図面の中央に示された固定又は保持ウィンドウは、配置時において、Z軸を中心とした回転を可能とする。たとえば、ノットプッシャを採用した引き結び技術により、ラッソによるループの引き寄せ過程が補助される。内部ループ(又はラッソ)をパッチフレームの外端に保持するため、ループをパッチ又はステントの外側角部で縫い付けることができる。ラッソの結び目を締め付ける場合は、フレームへの縫い付けによる取り付け点のうち幾つか又は全てを伴わずにループを引き寄せ、ラッソを締め付ける際にフレームの平坦形状が損なわれるのを防止することができる。上記のように、フレームは、幾つかの種類のメッシュファブリックで形成された複合構造又はサンドイッチ構造とすることができる。近方のメッシュファブリックは、パッチフレームに対し、たとえば、シリコン等の粘着剤を使用して完全に接合させることができる。粘着剤によれば、プローブの貫通が容易となるとともに、縫合糸ラインが保護される一方、グリッドパターンの隙間を埋めることができる。縫合糸ラインが保護されることは、ラッソが一群のバンド縫合糸を互いに引き寄せ及び束ねるのに使用される場合に、有利である。
【0084】
縫合糸710’は、ステント又はパッチに直接に、かつ予め取り付けることができる。図59のように、線維輪12に通される幾つかの分離した鉤709’’’を、パッチ702に直接に取り付けることができる。図59の各鉤は、パッチの展開後、線維輪内に独立に配置することができる。この鉤709’’’は、図55の鉤709’’’’を含む実施形態のものと類似する。
【0085】
パッチ902を固定し、亀裂を再近置する他の実施形態では、分離した鉤の夫々に、図65のような多様な長さの縫合糸が設けられる。各独立の縫合糸付きの鉤904は、鉤送り器具908により線維輪906内及びパッチ902内に配置される。配置後、全ての縫合糸ライン910は、パッチ送り装置912から出た自由端部を引くことで、強く引き寄せられる。ガスケット916及び通糸機構が採用された固定要素914がパッチ902に取り付けられており、これを使用して、ガスケット916を縫合糸910の遠方端部付近で締め付けることができる。パッチ送り装置912が取り去られ、余りの縫合糸が切断される。ガスケット構造に圧力ばめを採用することで、パッチへの縫合糸の締め付けを調節することができる。
【0086】
他方、固定機構を図66のようなものとすることもできるが、この場合は、固定要素914’の係合をパッチ上で行うこともできる。縫合糸910を矢印Bの方向に引くことで、張力下での締め付け及び固定保持が達成され、固定及び再近置が補助される。2つのアンカーの間の長さ調整可能な縫合糸バンドにより、アンカー916の間のたるみを取ることができる。ここでは、例として2つのT型アンカーを示したが、異なる形状の多数のアンカーを採用することができる。固定のための構成を図示のようにバンド上に設け、アンカー部材との実質的な一方向ロックを形成することができる。この調節機能により、患者の間での線維輪の厚さの変化に適応することができる。この実施形態では、縫合糸のたるみを取ることで、線維輪の欠損箇所を閉じ、及び/又は以上で述べた、張力が掛けられた多数の縫合糸バンドの二次的な締め付けに備え、アンカー間のバンドを短縮することができる。
【0087】
締付糸及びラッソの概念の本質は、速やかな、かつ簡単な方法による再近置及び組織の引き寄せを容易にすることである。「張力要素」に関する他の実施形態には、弾性カップラの、アンカーバンド(装置の固定に使用される。)の一部としての使用が含まれる。この弾性カップラは、配置のために膨張させることができ、解放されると張力を形成して、組織を互いに引き寄せる。弾性カップラは、生適合性金属又はポリマーで形成することも、生分解性又は生吸収性素材で形成することもできる。
【0088】
また、アンカーバンドの配置後、装置に張力を形成して、組織を互いに引き寄せる他の実施形態には、弾性バンド又はバネ付きのバンドを採用し、一端でアンカーバンドに取り付け、他端でパッチに取り付けることができる。あるいは、アンカーバンドは、鉤の間の弾性バンドで形成することも、鉤の間にバネ要素を包含することもができる。この実施形態では、いわゆるボバースプリング(Bobber spring)に似せて構成することができる。また、弾性又は弾力がある要素は、多様な素材、ポリマー素材又は生分解性若しくは生吸収性素材で形成することができる。
【0089】
図68は、パッチ要素1002がメッシュシールの形態とされる実施形態を示している。固定は、線維輪1006の内面を貫通する鉤要素1004を備えるフックにより行われ、フック(又は鉤)1004の内方結合部は、線維輪の外面とパッチに近い内面との間に張力をかけ、線維輪の組織を互いに引き寄せるようにして、パッチに取り付けられている。パッチ又はステント1002は、ニチノール又は他のバネ素材で形成することができるバネリボン要素1008を備えている。フック1010が展開して、図示のように腔1012を貫通し又は腔1012に噛み込むことにより線維輪にかかる。
【0090】
図62,63は、縫合糸を互いに引き寄せて、線維輪の内側及び外側組織の間に張力を形成する手段の他の形態を示している。アンカーバンド、たとえば、T型鉤720’は、線維輪及びパッチを貫通させて配置され、パッチ702に固定されている。アンカーバンドの縫合糸のたるみは、送り装置704’の取り外し部分を中心として回転することができ、固定装置、たとえば、図示のネジ要素724を使用して、余計な縫合糸ラインをネジ726がパッチに固定される位置に固定することができる。その後、送り装置704’が取り去られる。
【0091】
図67は、アンカー鉤を異なる構成の縫合糸及び締付糸により固定する他の実施形態を示している。たとえば、図67(b)では、各独立の鉤にループ構造が付加されている。各ループを介して、結び目が作られた締付糸が通される。鉤の線維輪内での及びパッチに通しての配置後、締付糸により鉤のループを互いに引き寄せる。この実施形態の利点は、複数の鉤を独立に配置するとともに、そのらの全てを一緒に引き寄せることができることである。
【0092】
締付糸は、結び目を利用して縫合糸の長さを固定するものとして示されたが、図66のような他の構成によりこの長さを固定することができる。縫合糸の長さの固定は、鉤上に設けられた機械要素を、縫合糸に取り付けられた3次元的な構成と係合させることにより達成することができる。この構成が鉤上の結合要素に機械的に圧入されて、縫合糸ラインの長さが固定される。
【0093】
図66,67では、単一の固定機構(たとえば、締付糸の結び目)が採用されているが、2以上の固定要素を採用して、腔周辺の組織を再近置し、かつ引き寄せることができる。
この明細書で説明又は引用した全ての特許は、この明細書に基づいて把握される教示と矛盾しない範囲において、参照により組み込まれる。この特許には、米国特許第5108438号、同第5258043号、同第4904260号、同第5964807号、同第5849331号、同第5122154号、同第5204106号、同第5888220号及び同第5376120号が含まれる。
【0094】
本発明の実施に際し、当業者に知られた多くの素材を採用することができる。例示に過ぎないが、ステントの本体部分をNiTi合金、ポリプロピレン及びポリエチレンを含むプラスチック、ステンレス鋼その他の生適合性金属、クロム−コバルト合金又はコラーゲンで形成することができる。ウェブ素材には、シリコン、コラーゲン、ePTFE、ダクロン(DACRON)、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエステル及び他の生適合性素材を採用することができ、波形を付け又は付けないことができる。膜は、シリコン、プロピレン、ポリエステル、SURLYN、PEBAX、ポリエステル、ポリウレタン又は他の生適合性素材で形成することができる。膜のための膨張流体には、ガス、液体、発砲体又はエマルジョンを採用することができ、生物活性物質で又はこれを含んで構成して、機械的、生化学的及び医療的な目的に採用することができる。ステントの本体、ウェブ及び/又は膜には、医療的移植分野で知られるように薬物溶出性又は生吸収性を持たせることができる。
【0095】
この明細書の記載を考慮し及び本発明を実施することで、当業者には、本発明に係る他の実施形態が明らかとなる。この明細書及び例示は、説明のためのものに過ぎず、本発明の範囲及び精神は、添付の特許請求の範囲により定められる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施形態に係る線維輪ステントの斜視図
【図2】図1の線維輪ステントの正面図
【図3】図1の線維輪ステントの側面図
【図4】本発明の他の実施形態に係る線維輪ステントの正面図
【図5】本発明の更に別の実施形態に係る線維輪ステント
【図6】本発明の更に別の実施形態に係る線維輪ステント
【図7】椎間板線維輪の開口部の第1の閉塞
【図8】ステントによる第1の閉塞
【図9】椎体上の固定点を採用した線維輪ステントの椎間板線維輪に対する縫合方法
【図10】椎間板線維輪内に膨張させる柔軟な嚢を備える線維輪ステント
【図11】椎間板線維輪に挿入され、その内部で膨張した線維輪ステント
【図12】柔軟な嚢が膨張した状態の線維輪ステント
【図13】本発明の他の実施形態に係る線維輪ステントの斜視図
【図14】第1の折り畳み状態にある図13の線維輪ステント
【図15】第2の折り畳み状態にある図13の線維輪ステント
【図16】椎間板線維輪に挿入された図13の線維輪ステント
【図17】図13の線維輪ステントを椎間板線維輪に挿入する方法
【図18】柔軟な嚢を備える線維輪ステントの他の例
【図19】柔軟な嚢を備える線維輪ステントの更に別の例
【図20】半径方向の伸張部上に鉤(又はかかり)を備える膨張後の線維輪ステント
【図21】圧縮可能なコアを備える線維輪ステントの他の例
【図22】線維輪ステントの導入装置
【図23】図22の装置の変更例
【図24】ステントを近方に撓ませた状態で図22及び23の装置とともに使用される送り器具の一例
【図25】ステントを遠方に撓ませた状態で図22及び23の装置とともに使用される送り器具の一例
【図26】ステントを一部で遠方に、一部で近方に撓ませた状態で図22及び23の装置とともに使用される送り器具の一例
【図27】グリップ機能を備えるステント装置及び顎状固定装置
【図28】亜環状に展開された状態の図27のステント装置及び固定装置
【図29】第2の鉤状固定装置を採用した線維輪ステント
【図30】第2の鉤状固定装置の他の例を採用した線維輪ステント
【図31】平坦なストックから機械加工された金属製のサブストレートを有する線維輪ステントのフレーム
【図32】ヘルニア状態にある椎間板及びその切除後の状態の斜視図
【図33】切除後の椎間板の上面図及び切開部を示す椎間板の後方側面図
【図34】縫合糸による亜環状のスリングの形成
【図35】圧縮した自己移植片のステント又はパッチの亜環状の空間への導入
【図36】線維輪内で膨張させた図35の自己移植片
【図37】縫合糸の締め付けによる線維輪の開口の再近置及び図35のステント/パッチの線維輪の壁への引き寄せ
【図38】椎間板線維輪の修復に採用されるカラーの一例
【図39】椎間板線維輪の修復のための図38のカラーの使用状態
【図40】ステント又はパッチを収容するためのバッグの一例
【図41】フレームを含んで構成される本発明の他の実施形態
【図42】顎部が設けられた膨張可能なパッチを亜環状の椎間スペース内に配置するための方法の一例
【図43】線維輪の内壁に固定された図42のパッチ
【図44】導入され及び膨張した状態で固定された線維輪ステント又はパッチ、及び再近置された腔
【図45】同上
【図46】同上
【図47】同上
【図48】同上
【図49】同上
【図50】同上
【図51】締付糸により本来の位置につなぎ止められた膨張可能なステント又はパッチ
【図52】外科用ステープル装置を採用して固定された図51の締付糸
【図53】パッチ又はステントを線維輪に固定するための縫合方法
【図54】固定用縫合糸が椎体又はシャーピー繊維内に配置された状態
【図55】同上
【図56】締付糸により本来の位置につなぎ止められた膨張可能なステント又はパッチの他の例
【図57】パッチ又はステントを貫通する鉤状の外科用ステープル装置を採用して固定された図56の締付糸
【図58】締付糸によりつなぎ止められるパッチ又はステントの配置時における、腔内でのフィラー組織の使用
【図59】付加的なパッチ又はステントの固定方法
【図60】同上
【図61】フレームを備えるステント又はパッチの他の例
【図62】固定締め付け機能を備える線維輪ステント又はパッチ
【図63】同上
【図64】外側接続用アンカーを備える線維輪ステント
【図65】外側接続用アンカーを備える線維輪ステントの他の例
【図66】外側接続用アンカーを備える線維輪ステントの更に別の例
【図67】外側接続用アンカーを備える線維輪ステントの更に別の例
【図68】弾性付与機構を備える線維輪ステント
【符号の説明】
【0097】
10…線維輪ステント、12…中央垂直延伸部、14…上部、16…下部、18…スロット、42…椎間板線維輪。

Claims (11)

  1. 線維輪に腔を有し、この腔により髄核の亜環状の空間からの移動のための経路が形成される椎間板の治療のための椎間板の再生方法であって、
    前記腔を通過する寸法が与えられた第1の形状と、少なくとも前記腔と同じ大きさの少なくとも1つの寸法が与えられるとともに、前記第1の形状における対応する寸法よりも大きい少なくとも1つの寸法が与えられた拡張後の第2の形状とを有する拡張可能な装置を提供することと、
    前記装置が折り畳まれた第1の形状にあるときに、この装置を前記腔を介して前記亜環状の空間に挿入することと、
    前記装置を前記亜環状の空間で前記第2の形状に拡張させて、前記腔に渡しを掛け、前記腔を閉塞させ、これを介する髄核の移動を阻止することとを含んで構成される方法。
  2. 前記装置が形状記憶素材を含んで構成される請求項1に記載の方法。
  3. 前記形状記憶素材がニチノールである請求項2に記載の方法。
  4. 前記装置の少なくとも一部が生吸収性を有する請求項1に記載の方法。
  5. 前記腔周辺の線維輪組織を取り扱い、その相対的な動きを抑制することを更に含んで構成される請求項1に記載の方法。
  6. 前記腔を再近置することを更に含んで構成される請求項5に記載の方法。
  7. 前記装置がこの装置を線維輪に取り付けるための少なくとも1つの固定要素を含んで構成される請求項1に記載の方法。
  8. 前記装置が前記腔を再近置するための少なくとも1つの要素を更に含んで構成される請求項6に記載の方法。
  9. 前記腔が病理学的なものである請求項1に記載の方法。
  10. 前記腔が、少なくともその一部において、外科切開により形成されたものである請求項1に記載の方法。
  11. 髄核の切除に引き続いて行われる請求項1に記載の方法。
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