JP2004535368A - ヘモグロビンベース酸素運搬体の製造 - Google Patents

ヘモグロビンベース酸素運搬体の製造 Download PDF

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Abstract

赤血球は、全血を線維素除去し、次いで線維素除去された全血を濾過することにより精製され、それにより、血漿成分の少なくとも一部が、赤血球から分離されて、赤血球の懸濁液を形成し、それにより赤血球が精製される。全血は、例えば、化学凝固剤または機械的かき混ぜを使用して線維素除去される。赤血球からの血漿成分の分離は、例えば、透析濾過により達成され得る。次いで、赤血球細胞の懸濁液を使用して、ヘモグロビンベース酸素運搬体を生成する。

Description

【0001】
関連出願
本出願は、2001年2月28日に出願された米国特許出願第09/795,821号の継続出願である。上記出願の全教示は参照により本明細書に援用される。
【0002】
発明の背景
ヘモグロビンベース酸素運搬体の開発は、輸血などの医学的治療および血液製剤の製造における使用のための酸素送達に焦点が合わされている。ヘモグロビンベース酸素運搬体は、血液喪失(例えば、急性出血に由来する血液喪失、または手術時の血液喪失)に起因する低酸素症、貧血(例えば、悪性貧血または鎌状赤血球貧血)に起因する低酸素症、またはショック(例えば、容量不足ショック、アナフィラキシーショック、敗血症ショックまたはアレルギーショック)に起因する低酸素症を防止または処置するために使用されうる。
【0003】
既存のヘモグロビンベース酸素運搬体としては、水素をフッ素で置換した化合物、合成ヘモグロビンアナログ、リポソームカプセル化ヘモグロビン、化学修飾ヘモグロビン、およびヘモグロビン分子が架橋しているヘモグロビンベース酸素運搬体が挙げられる。ヘモグロビンベース酸素運搬体の調製は、数回の精製工程を含む。回収された血液の成分のうち除去されなければならないのは、フィブリノーゲンであり、これは、凝塊の際にトロンビンの作用によってフィブリンに変換される可溶性のタンパク質である。血液を処理する現在の技術は、しばしば、凝塊を防ぐためにクエン酸ナトリウムなどの化学薬剤の添加を含む。しかしながら、最終産物の純度などの他の品質を損なうことなく、例えば、処理費用を低減させうるさらなる技術が追求されている。
【0004】
発明の概要
本発明は、赤血球を精製するための線維素除去した血液の使用、ヘモグロビン溶液の調製、およびヘモグロビンベース酸素運搬体の調製に関する。化学凝塊剤(コラーゲンなど)および機械的攪拌(かき混ぜなど)は、血液を線維素除去するために使用される方法である。続いて行なう細胞洗浄では、ドナー血液とレシピエント血液との不適合をもたらしうる血漿タンパク質を除去する。
【0005】
1つの態様において、赤血球を精製するための方法は、赤血球および血漿成分を含む全血を線維素除去する工程を含む。続いて、全血を濾過して赤血球を精製し、それにより赤血球懸濁液を形成する。
【0006】
ヘモグロビン溶液を調製するための方法の1つの態様において、全血を線維素除去する。赤血球を全血から分離し、ヘモグロビン分子を赤血球から単離し、それによりヘモグロビン溶液を形成する。
【0007】
ヘモグロビンベース酸素運搬体を調製するための方法の1つの態様において、全血を線維素除去する。赤血球を全血から分離する。ヘモグロビン分子を単離し、安定化させてヘモグロビンベース酸素運搬体を形成する。
【0008】
本発明には利点がたくさんある。1つの利点は、本発明が、全血(ヒト、ウシ、哺乳動物)と混合すべき抗凝塊剤溶液の必要性を不要とすることである。抗凝塊剤の添加には、高純度水混合溶液の調製、クエン酸塩加回収物容器の調製、回収、混合および精製の処理のための労力および資金を伴う。また、血液の発送(shipping)時、一般に、発送地での抗凝塊剤の添加のための施設を建設するよりも血液から線維素除去するほうが容易である。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の前記および他の目的、特徴および利点は、添付の図面示されたような、本発明の好ましい態様の以下のより具体的な記載からより明らかとなろう。図面は、必ずしも実物大ではなく、本発明の原理を示すにあたり、強調している。
【0010】
一般に、本発明は、血液を精製して赤血球(RBC)懸濁液を形成するため、ヘモグロビン溶液を単離するため、かつヘモグロビンベース酸素運搬体を製造するための方法である。該方法は、全血の線維素除去を含む。本発明を説明する目的のため、全血は、赤血球および血漿成分からなるものとみなす。
【0011】
図について言及すると、本発明の方法を実施するのに好適な装置10の1つの態様が示されている。全血は容器12に回収される。本発明での使用に好適な全血は、新たに採集されうるか、またはそれ以外の場合は血液銀行の使用期間終了後のヒト血液のような古い給源由来でありうる。さらに、全血は、凍結状態および/または液体状態で保持することもできるが、全血は、本方法において使用する前に凍結されていないことが好ましい。好適な全血の給源の例としては、ヒト、ウシ、ヒツジ、ブタ、他の脊椎動物、およびBIO/TECHNOLOGY,12:55-59(1994)(その教示は参照によりその全体が本明細書に援用される)に述べられているトランスジェニックHbなどの遺伝子導入によって産生されるヘモグロビンが挙げられる。血液は、生存動物ドナーまたは新たに屠殺した動物ドナーから採集することができる。ウシ全血を採集するための1つの方法が、Rauschらに発行された米国特許第5,084,558号明細書および同第5,296,465号明細書に述べられており、その教示は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0012】
全血は、適切な方法により容器12にて線維素除去される。血液の線維素除去は、血餅の形成に関与するフィブリン分子を人工的に除去するための凝固カスケードを誘発する。線維素除去は、化学的または機械的手段により誘導され得る。化学的凝塊剤は、本明細書において、凝塊を誘導する物質と定義する。例えば、コラーゲンは、外部創傷がある場合、フィブリン凝塊は血液が流れるのを止めるような凝塊を誘導する。コラーゲンへの血液の人工的な曝露は、フィブリン凝塊の形成を引き起こし、これは線維素除去された血液を作製するために除去されうる。
【0013】
1つの態様において、血液は、凝塊剤への曝露により線維素除去される。凝塊剤の例は、コラーゲン、組織抽出物、組織因子、組織トロンボプラスチン、アニオン性リン脂質、カルシウム、負帯電材料(例えば、ガラス、カオリン、ある種の合成プラスチック、織物)である。好ましい凝塊剤はコラーゲンである。
【0014】
全血は、血液中の本質的にすべてのフィブリンのフィブリン凝塊への変換を引き起こすのに充分な期間、凝塊剤に曝露される。適切な時間は、フィブリン分子が見かけ上、重合を停止する時点により決定される。本明細書において、化学的凝塊剤に曝露することにより誘導される線維素除去であると定義される化学的線維素除去は、好適な温度、好ましくは約4℃と約40℃の間の範囲の温度で実施される。
【0015】
別の態様では、かき混ぜなどの機械的撹拌もまた、凝塊カスケードを開始する効果を有する。フィブリン重合が見かけ上終了するまでかき混ぜた後、蓄積したフィブリンを除去して線維素除去を完了させることが可能である。本明細書において、血液溶液を撹拌することにより誘導される線維素除去であると定義される機械的線維素除去は、好適な温度、好ましくは約4℃と約40℃の間の範囲の温度で実施される。
【0016】
次いで、フィブリンは、好適な手段により全血から除去される。好適な手段の例は、フィブリンを含む全血を容器12からライン14を介してストレーナー16に指向させることによるものである。60メッシュのスクリーンは好適なストレーナーの一例である。フィブリンは、ストレーナー16で回収され、全血の残部は容器18に指向される。任意に、または代替的に、ストレーナーの使用には、フィブリンを含む大きなデブリを除去するためにチーズクロスまたはポリプロピレンフィルターが使用され得る。
【0017】
図に示すように、全血は、容器18からポンプ22によりライン20を介して、ならびに第1フィルター24および第2フィルター26を介して容器28に指向される。1つの態様において、第1フィルター24および第2フィルター26はポリプロピレンフィルターである。特に好ましい態様では、第1フィルター24は約800μmの透過性を有し、第2フィルター26は約50μmの透過性を有する。第1フィルター24および第2フィルター26による本質的にすべてのフィブリンの除去は、線維素除去工程を完全にする。
【0018】
全血は、容器28内で適切な温度で維持される。好ましくは、全血は、約4℃〜約15℃の範囲の温度に維持される。容器28内での全血の温度は、エチレングリコールなどの適当な媒体を容器28でのジャケット30による再循環により維持される。ジャケット30による媒体の再循環は、ライン32、貯蔵部34、ポンプ36、38および冷蔵室、または冷蔵ユニット40により維持される。
【0019】
その後、全血は濾過され、それにより、血漿成分の少なくとも一部を赤血球から分離して赤血球懸濁液を形成することにより赤血球を精製する。好ましくは、全血を透析濾過により濾過する。
【0020】
1つの態様において、透析濾過は、全血を容器28からライン42およびポンプ44を介して透析濾過モジュール46に迂回させることにより行われる。透析濾過モジュール46は、入口48、非透過物(retentate)出口50および透過物出口52を含む。膜54は、透析濾過モジュール46の非透過物部分56と透析濾過モジュール46の透過物部分58とを仕切る。好ましくは膜54は、約0.01μmと約5μmの間の範囲の透過限界を有する。
【0021】
透析濾過モジュール46内の全血の血漿成分の一部は、膜54を通って非透過物部分56から透過物部分58に移動し、それにより非透過物部分56で赤血球が精製される。精製された赤血球は非透過物出口50およびライン60を介して容器28に戻される。精製された血液は、さらなる処理のため、容器28からバルブ62を通りライン64へと回収され得る。膜54を透過する血漿は、透析濾過モジュール46の透過物部分58から、ライン66を介して指向され得、容器68から回収され得る。容器28および透析濾過モジュール46を介して再循環している血液は、ライン42またはライン60内のサンプリングポート(図示せず)でサンプリングされ得る。
【0022】
好ましくは、血漿成分の少なくとも一部を除去するための全血の濾過の前に、容器28内の全血に容器20およびライン72から液体を添加してその濃度を希釈する。1つの態様において、全血をその初期濃度(希釈前)の約25容量%と約75容量%の間の範囲の濃度まで希釈する。次いで、濃縮により、容量を元の濃縮物まで、またはそれ以上に戻しうる。一般に、全血に液体を添加し、次いで該液体の少なくとも一部を除去する処理は、「細胞洗浄」と称される。
【0023】
1つの態様において、細胞洗浄は、連続濾過操作における希釈および透析濾過の処理を含む;再循環槽内の一定容量を維持するため、生理食塩水/クエン酸塩溶液をフィルター非透過物に添加する。結果として、精密濾過膜透過性種(膜透過性血漿タンパク質を含む)の濃度が低下する。続く元の容積への希釈血液溶液の再濃縮により精製血液溶液が作製される。
【0024】
好ましい態様において、血液溶液は、透析濾過により、または等張液などの少なくとも1つの溶液を用いる別々の希釈工程と濃縮工程の組み合わせにより洗浄され、血清アルブミンまたは抗体(例えば、免疫グロブリン(IgG))などの細胞外血漿タンパク質から赤血球を分離する。好ましくは、等張液は、イオン性の溶質を含むか、水溶性である。赤血球はバッチ式または連続供給様式で洗浄されうることが理解される。
【0025】
許容され得る等張液は当該技術分野において公知であり、赤血球の細胞膜を破裂させず、かつ全血の血漿部分を置換するpHおよび容量オスモル濃度を有する、クエン酸塩/生理食塩水などの溶液が挙げられる。血液は、元の濃度の約25%と75%の間の範囲の濃度まで希釈されうる。好ましい等張液は、中性pHおよび約285〜315mOsmの間の容量オスモル濃度を有する。好ましい態様では、等張液は、クエン酸ナトリウム二水和物(6.0g/l)水溶液および塩化ナトリウム(8.0g/l)水溶液からなる。
【0026】
一つの方法において、全血を、0.2μmと約2.0μmの間の範囲の透過限界を有する膜を介して透析濾過する。代替的な好適な透析濾過膜としては、0.1μmから0.5μmのフィルター(例えば、0.2μm中空ファイバーフィルター、Microgon Krosflo II精密濾過カートリッジ)などの、かなり小さな血液溶液成分からRBCを分離する孔径を有する微小孔膜が挙げられる。細胞洗浄の間、濾液内の、血漿などの血液溶液の液体成分、またはRBCより直径が有意に小さい成分は、透析濾過膜の壁面を通過する。赤血球、血小板、および白血球などの血液溶液中の大きな物質は、保持され、等張液と混合され、これを連続的に、またはバッチ様式で添加し、透析血液溶液を形成する。
【0027】
同時に、透析濾過膜を通過して失われた溶液部分を補うため、濾液の容積を維持するための補給物として濾過された等張液を連続的に(またはバッチで)添加する。より好ましい態様では、透析濾過槽内の血液溶液の容積を、ある容量の濾過等張液の透析濾過槽への添加により最初に希釈する。好ましくは、添加された等張液の容積は、血液溶液の初期容量にほぼ等しい。
【0028】
別の態様では、一連の連続的(または逆連続的)希釈と濃縮工程を通して血液を洗浄し、ここで、少なくとも1種の等張液を添加することにより血液溶液を希釈し、フィルターを通して流すことにより濃縮し、それにより、透析された血液溶液を形成する。
【0029】
赤血球を汚染する血漿タンパク質のレベルが実質的に低下したとき(一般的には少なくとも約90%)、細胞洗浄が終了すると一般にみなす。追加的洗浄によってRBCから細胞外血漿タンパク質をさらに分離してもよい。例えば、6容量の等張液による透析濾過は少なくとも約99%のIgGを血液溶液から除去するのに十分であり得る。
【0030】
膜の潜在的な汚れ(foulant)は、製造作業(run)の遅滞などの洗浄の問題を引き起こしうるが、これは、各洗浄作業で新しい膜を使用することにより最小化しうる。しかしながら、潜在的膜汚れにもかかわらず、有効なヘモグロビンベース酸素運搬体を作製することがなお可能である。小フィブリン分子が0.1〜5μmの透過性を有する膜の表面上に蓄積し、その結果、孔を塞ぐ場合、小フィブリン分子は問題となり得、フィルターを汚し得る。汚れが問題となり得るより狭い範囲は、0.2〜0.4μmである。線維素除去(機械的、化学的、任意の種類)は、赤血球溶解を引き起こし得る。破壊されて開いた赤血球、白血球または血小板はフィルターに付着し得る。
【0031】
本発明の別の態様では、非クエン酸塩加血液を処理するであろう手段と同様にして、既にクエン酸塩加された血液を、該クエン酸塩加血液を二価カチオンで飽和させ、次いで該溶液を線維素除去することにより、線維素除去することが可能である。好ましい二価カチオンはカルシウムである。
【0032】
ヘモグロビン血液溶液を分離するため、精製された血液試料をさらに処理してヘモグロビン分子を単離することができる。得られた透析血液溶液を、遠心分離などの、透析血液溶液中の赤血球を白血球および血小板から分離するための手段に曝露する。赤血球を他の血液成分から分離するための、当該技術分野において一般的に公知の他の方法が使用できることが理解される。例えば、本発明の1つの態様では、沈殿により赤血球を分離し、ここで、かかる分離方法は、他の血液成分から赤血球を分離する前に、RBCの有意の量の細胞膜、例えばRBCの約30%未満しか破裂させない。
【0033】
赤血球の精製後、RBCを溶解し、ヘモグロビン(Hb)溶液の生成を生じる。溶解方法としては、機械的溶解、化学的溶解、低張性溶解、あるいは酸素を運搬して放出するHbの能力を有意に損傷することなくヘモグロビンを放出させる他の公知の溶解方法が挙げられる。
【0034】
溶解後、次いで、溶解赤血球相を限外濾過して、分子量約100,000ダルトンを超えるタンパク質のようなより大きな細胞デブリを除去する。次いで、ヘモグロビンを濾液の非Hb成分から分離する。
【0035】
限外濾過法ならびにpH勾配およびクロマトグラフィーによって非Hb成分からHbを分離する方法は、1995年6月7日に提出された米国特許第5,691,452号にさらに記載されており、それは参照によりその全体が援用される。
【0036】
次にHb溶出液を、好ましくは重合の前に脱酸素化し、ヘモグロビンベース酸素運搬体へのさらなる処理のための脱酸素化Hb溶液(以下デオキシ-Hb)を形成する。好ましい態様では、脱酸素化は、酸化ヘモグロビン(metHb)形成から生じるような、酸素を運搬および放出するHb溶出液中のHbの能力の有意な低下を伴わずに実質的にHbを脱酸素化する。あるいはまた、ヘモグロビンの溶液は、N-アセチル-L-システイン(NAC)、システイン、亜ジチオン酸又はアスコルビン酸ナトリウムからなる群より選ばれる還元剤を用いる化学的排除により脱酸素化され得る。
【0037】
脱酸素化の方法は、1995年6月7日に提出された米国特許第5,895,810号にさらに記載されており、それは参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0038】
脱酸素化ヘモグロビン溶液を、ヘモグロビンベース酸素運搬体にさらに処理し得る。本明細書に規定するような「ヘモグロビンベース酸素運搬体」は、生体器官および組織に酸素を輸送して移入することができ、少なくとも十分な血管内膨張圧を維持することができる、ヒト、哺乳動物および他の脊椎動物における使用に適したヘモグロビンベースの組成物であり、ここで、ヘモグロビンは赤血球から単離されている。脊椎動物は古典的に定義されている通りであり、ヒト、または組織に酸素を運ぶために循環系の血液を使用する他のあらゆる脊椎動物を含む。さらに、循環系の定義は、古典的に定義されている通りであり、心臓、動脈、静脈および毛細血管のようなより小さな脈管構造を含む微小循環からなる。
【0039】
本明細書中で定義されているように、「安定な重合ヘモグロビン」は、約2年以上の期間、好適な貯蔵温度における貯蔵期間、分子量分布および/またはメトヘモグロビン含有量を実質的に増大または低下させない、ヘモグロビンベース酸素運搬体組成物の成分である。1年以上の貯蔵に好適な貯蔵温度は約0℃〜約40℃の間である。好ましい貯蔵温度範囲は約0℃〜約25℃の間である。
【0040】
好適な低酸素環境すなわち酸素を実質的に含まない環境は、ヘモグロビンベース酸素運搬体において約15重量%未満のメトヘモグロビン濃度を生じさせる、少なくとも約2ヶ月、好ましくは少なくとも約1年、またはより好ましくは少なくとも約2年の貯蔵期間を通じたヘモグロビンベース酸素運搬体と接触している酸素の累積量として定義される。酸素の累積量は、ヘモグロビンベース酸素運搬体およびパッケージの最初の酸素含有量ならびにヘモグロビンベース酸素運搬体パッケージ内への酸素の漏れに由来する酸素を含む。
【0041】
この方法の間、RBC収集からヘモグロビン重合まで、血液溶液、RBCおよびヘモグロビンは、約20℃よりも低く、かつ0℃よりも高い維持温度など、微生物の増殖または生物汚染を最小限にするために十分な条件のもとで維持される。好ましくは、温度は約15℃以下の温度で維持される。より好ましくは、温度は10±2℃で維持される。
【0042】
この方法において、安定な重合ヘモグロビンヘモグロビンベース酸素運搬体を調製する処理用の構成要素の各部分は、無菌の製品を製造するために十分に殺菌される。無菌は、この分野、詳細には、米国薬局方XXII(第71節、1483頁〜1488頁)に示されている無菌性に対する米国薬局方基準に定義される通りである。さらに、処理流れにさらされる構成要素の部分は、通常、処理流れと反応しないか、または処理流れを汚染しない材料で製造または被覆される。そのような材料としては、ステンレススチールおよび他のスチール合金(Hasteloyなど)が挙げられる。
【0043】
1つの態様において、重合は、Hbの分子内架橋から生ずる。デオキシ-Hbと混合されるスルフヒドリル化合物の量は、重合の際にHbの分子内架橋を高めるのに十分多く、且つ高いイオン強度によってHb分子の分子間架橋を有意に低下させることがない十分少ない量である。典型的には、約0.25モル〜約5モルのデオキシ-Hbを酸化安定化するために約1モルのスルフヒドリル官能基(-SH)が必要である。
【0044】
任意に、酸化安定化したデオキシ-Hbの重合する前に、適切な量の水を重合反応器に加える。1つの態様では、水の適切な量は、酸化安定化したデオキシ-Hbを重合反応器に加えるとき約10〜約100g/l Hbの濃度の溶液を生じる量である。好ましくは水は酸素除去されている。
【0045】
重合反応器中の酸化安定化したデオキシ-Hb溶液の温度を、架橋剤と接触したとき酸化安定化したデオキシ-Hbの重合を至適にする温度まで上昇させる。典型的には、酸化安定化したデオキシ-Hbの温度は重合の間を通じて約25℃〜約45℃、好ましくは約41℃〜約43℃である。重合反応器を加熱するための許容され得る熱伝達手段の例は、ジャケットを介して高温のエチレングリコールを指向することによって加熱される、ジャケット式加熱システムである。
【0046】
次に酸化安定化したデオキシ-Hbを、酸化安定化したデオキシ-Hbを重合させるのに十分な温度で適当な架橋剤に曝し、約2時間〜約6時間にわたって重合ヘモグロビン(ポリ(Hb))の溶液を形成する。架橋剤の好適な量は、分子内架橋がHbを安定化し、また分子間架橋がHbのポリマーを形成して、それによって血管内貯留を高めることができる量である。典型的には、架橋剤の好適な量は、架橋剤対Hbのモル比が約2:1を超える量である。好ましくは架橋剤対Hbのモル比は約20:1〜40:1である。
【0047】
好適な架橋剤の例としては、特に、グルタルアルデヒド、スクシンジアルデヒド、活性形態のポリオキシエチレンおよびデキストランのようなHbタンパク質を架橋する多官能性薬剤、グリコールアルデヒドのようなα-ヒドロキシアルデヒド、N−マレイミド−6−アミノカプロイル−(2’−ニトロ,4’−スルホン酸)−フェニルエステル、m−マレイミド安息香酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、スルホスクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、スルホスクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、スルホスクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−フェニレンジマレイミド、ならびにビス−イミデート類、アシルジアジド類またはアリール二ハロゲン化物類に属する化合物が挙げられる。
【0048】
ポリ(Hb)は、ポリ(Hb)においてHb分子の実質的な部分(例えば少なくとも約50%)が化学結合しており、約15%未満のような少量だけが高分子量のポリ(Hb)鎖内に含まれる場合、有意な分子内架橋を有すると定義される。高分子量のポリ(Hb)分子は、例えば約500,000ダルトンを超える分子量を有する。
【0049】
好ましい態様では、グルタルアルデヒドを架橋剤として使用する。典型的には、酸化安定化したデオキシ-Hb1キログラムにつき約10〜約70グラムのグルタルアルデヒドを使用する。より好ましくは、酸化安定化したデオキシ-Hb1キログラムにつき約29〜31グラムのグルタルアルデヒドが添加されるまで、5時間かけてグルタルアルデヒドを加える。
【0050】
使用する架橋剤がアルデヒドでない場合には、形成されるポリ(Hb)は一般に安定なポリ(Hb)である。使用する架橋剤がアルデヒドである場合には、形成されるポリ(Hb)は、好適な還元剤と混合してポリ(Hb)中のあまり安定でない結合を低減し、より安定な結合を形成するまでは一般に安定でない。好適な還元剤の例としては、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(sodium cyanoborohydride)、亜ジチオン酸ナトリウム、トリメチルアミン、t−ブチルアミン、モルホリンボランおよびピリジンボランが挙げられる。ポリ(Hb)溶液の濃度が約75〜約85g/lに上昇するまで、限外濾過によってポリ(Hb)溶液を任意に濃縮する。例えば、好適な限外濾過器は、30,000ダルトンフィルター(例えばMillipore Helicon、Cat #CDUF050LT;Amicon、Cat #540430)である。
【0051】
次に、還元剤を保存するため、およびその後の還元の際にHbを変性させることがある水素ガスの発生を防ぐために、ポリ(Hb)溶液のpHをアルカリpHの範囲に調整する。ポリ(Hb)は、典型的には精製して非重合化ヘモグロビンを除去する。これは、透析濾過またはヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーによって実施できる(例えば、1995年6月7日出願の米国特許第5,691,452号(その全体が参考として本明細書に援用される)参照)。pHの調整後、典型的には脱酸素化ループを通して少なくとも1つの還元剤、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム溶液を重合化工程に加える。その後、安定なポリ(Hb)を適当なpHと生理的電解質レベルを有する透析濾過液で透析濾過することにより、安定なポリ(Hb)のpHと電解質を生理的レベルに回復させて、安定な重合化ヘモグロビンベース酸素運搬体を形成することができる。
【0052】
ヘモグロビンを架橋し、ヘモグロビンベース酸素運搬体を保存する適切な方法は、1997年11月25日発行の米国特許第5,691,453号(その全体が参考として本明細書に援用される)に詳細に考察されている。
【0053】
本発明の方法によって形成されるヘモグロビンベース酸素運搬体を受容することができる脊椎動物としては、ヒト、ヒト以外の霊長類、イヌ、ネコ、ラット、ウマまたはヒツジなどの哺乳動物が挙げられる。さらに、当該ヘモグロビンベース酸素運搬体を受容することができる脊椎動物としては、胎児(出生前脊椎動物)、出生後脊椎動物、または出生時の脊椎動物が挙げられる。
【0054】
本発明のヘモグロビンベース酸素運搬体は、1以上の注入法により、ヘモグロビンベース酸素運搬体を直接および/または間接的に脊椎動物の循環系に注入することによって循環系に投与することができる。直接注入法の例としては、静脈内および動脈内注射のような血管内注射、ならびに心臓内注射が挙げられる。間接注入法の例としては、腹腔内注射、ヘモグロビンベース酸素運搬体がリンパ系によって循環系に輸送される皮下注射、あるいはトロカールまたはカテーテルによる骨髄への注射が挙げられる。好ましくは、ヘモグロビンベース酸素運搬体は静脈内投与される。
【0055】
処置される脊椎動物は、ヘモグロビンベース酸素運搬体の注入前、注入中、および/または注入後に正常血液量、血液量過多あるいは血液量減少でありうる。ヘモグロビンベース酸素運搬体は、トップローディングのような方法および交換法によって循環系に指向することができる。
【0056】
ヘモグロビンベース酸素運搬体は、循環系の一部または全体の貧血、ショック、およびRBC流の低下を含めた多くの異なる原因から生じる脊椎動物内の低酸素性組織を処置するために治療的に投与することができる。さらにヘモグロビンベース酸素運搬体は、脊椎動物の組織への、あるいは脊椎動物の循環系全体でのRBC流の起こりうるまたは予想される低下から生じうる、脊椎動物内の組織の酸素枯渇を防ぐために予防的に投与することができる。さらに、1995年3月23日出願の米国特許第5,854,209号(その全体が参考として本明細書中に援用される)は、特に部分的動脈閉塞由来または微小循環における部分的遮断由来の低酸素症を治療的または予防的に処置するためにヘモグロビンを投与することを考察している。
【0057】
典型的には、ヘモグロビンベース酸素運搬体の好適な用量または用量の組み合わせは、血漿中に入ったとき、脊椎動物の血液中で約0.1〜約10グラムHb/dl、あるいは大量の血液喪失を補うために必要であればそれ以上の総ヘモグロビン濃度を生じる量である。
【0058】
ここで、本発明は、下記の実施例によりさらに詳細に記載される。
【実施例】
【0059】
実施例1−卓上スケール実験
卓上スケール実験を図に示す装置内で行った。卓上スケール実験で使用する線維素除去された血液試料から、コラーゲンに曝露することで線維素を除去した。初めに、全血を、等張クエン酸塩生理食塩水緩衝液で約1:1に希釈した。次いで、希釈した血液を、10.5g/dlのHbレベル(約2倍濃度)を生じるように濃縮した。透析濾過の処理容積は、200mlであり、従って、約200mlの緩衝液を約200mlの全血に添加し、次いで元の容積まで濃縮した。これにより、約200mlの膜透過物を生じた。次いで、10.5g/dlのHb濃度の200ml全血を、クエン酸塩/生理食塩水緩衝液に対して透析濾過した。400mlの透過物容積(非透過物の2容積)を収集する時間を、クエン酸塩加血液と線維素除去血液との比較点として使用した。該時間は、希釈した血液をその元の容積(200ml)に濃縮するまでの時間および初期透析濾過容積(200ml)を実施する時間を含む。時間が長ければ長いほど、処理は短くなる。表1にその結果をまとめる。
【0060】
【表1】
Figure 2004535368
【0061】
表1からわかるように、400mlの透過物を収集するのに必要な時間は、約15分〜1時間の間であった。
【0062】
実施例2−パイロットスケール実験
パイロットスケール実験を図に示す装置内で行った。パイロットスケール実験で使用する線維素除去された血液試料から、機械的撹拌により線維素を除去した。再度、全血を、等張クエン酸塩生理食塩水緩衝液で希釈し濃縮するが、パイロットスケールシステム内で処理するのに大容積が必要なため、初期全血を、クエン酸塩/生理食塩水緩衝液対全血の比が1:1より大きくなるように希釈した。透析濾過中の血液のHb濃度は、10.5g/dl(約2倍濃度)未満である。システムの最小処理容積(約4.5L)に濃縮後、血液を5透析濾過容積に透析濾過した。卓上スケール実験同様、時間が長いほど、処理は短くなることを示す。表2に結果をまとめる。
【0063】
【表2】
Figure 2004535368
【0064】
均等物
当業者は、単なる慣用的な実験を使用して、本明細書に記載される本発明の特定態様の多くの均等物を認識し、または確認することができるであろう。これらやその他すべてのそのような均等物は、下記の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、本発明の方法を実施するのに好適な装置の態様の概略図である。

Claims (48)

  1. a)赤血球および血漿成分を含有する全血から線維素を除く工程;およびその後
    b)全血を濾過し、血漿の少なくとも一部が赤血球から分離されて赤血球懸濁液を形成し、赤血球を精製する工程
    を含む、赤血球を精製するための方法。
  2. 凝固剤と全血を接触させることにより全血から線維素を除く、請求項1記載の方法。
  3. 凝固剤が、コラーゲン、組織抽出物、組織因子、組織トロンボプラスチン、アニオン性リン脂質、カルシウム、または陰性に荷電した物質(例えば、ガラス、カオリン、いくつかの合成プラスチック、織物)からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  4. 全血をかき混ぜることにより全血から線維素を除く、請求項1記載の方法。
  5. 全血が透析濾過により濾過される、請求項1記載の方法。
  6. 全血が約0.01μm〜約5μmの間の範囲の透過限界を有する膜を介して透析濾過される、請求項5記載の方法。
  7. 全血を希釈する工程をさらに含む、請求項6記載の方法。
  8. 等張溶液または高張溶液で全血を希釈する工程をさらに含む、請求項7記載の方法。
  9. 全血の線維素除去後かつ透析濾過前に全血が希釈される、請求項8記載の方法。
  10. 線維素除去された全血が初期濃度の約25%〜約75%の間の範囲の濃度まで希釈される、請求項7記載の方法。
  11. 等張溶液がイオン性溶質を含む、請求項8記載の方法。
  12. 等張溶液が水性である、請求項8記載の方法。
  13. 等張溶液がクエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸、デキストロース、アデニン、またはリン酸ナトリウムからなる群より選択される溶質を含む、請求項12記載の方法。
  14. 透析濾過前に全血を再濃縮する工程をさらに含む、請求項8記載の方法。
  15. 透析濾過が中空ファイバー膜を介して全血を希釈することにより行われる、請求項14記載の方法。
  16. 中空ファイバー膜が約0.1〜約2.0μmの間の範囲の透過性を有する、請求項9記載の方法。
  17. 全血を透析濾過する前に全血を濾過して、溶液残屑が全血溶液から除去される工程をさらに含む、請求項8記載の方法。
  18. 血液がチーズクロスを介して濾過される、請求項17記載の方法。
  19. 血液が約800μm未満の平均透過性を有するフィルターを介して濾過される、請求項17記載の方法。
  20. 血液が約50μm未満の平均透過性を有するフィルターを介して濾過される、請求項17記載の方法。
  21. 全血が抗凝固剤を含み、二価のカチオンで全血を飽和する工程をさらに含む、請求項6記載の方法。
  22. 二価のカチオンがカルシウムである、請求項21記載の方法。
  23. a)全血から線維素を除く工程;
    b)全血から赤血球を分離する工程;および
    c)赤血球からヘモグロビン分子を単離して、ヘモグロビン溶液が形成される工程
    を含む、ヘモグロビン溶液を調製するための方法。
  24. 全血から赤血球を分離する工程が全血を遠心分離する工程を含む、請求項23記載の方法。
  25. 全血を遠心分離する工程が赤血球の少なくとも一部の溶解を引き起こして、ヘモグロビン分子を放出する、請求項24記載の方法。
  26. 放出されたヘモグロビンが遠心分離により単離される、請求項25記載の方法。
  27. 放出されたヘモグロビンが濾過により単離される、請求項25記載の方法。
  28. 分離された赤血球を溶解する工程をさらに含む、請求項23記載の方法。
  29. 赤血球を遠心分離することにより赤血球が溶解される、請求項28記載の方法。
  30. 赤血球が低張圧で溶解される、請求項28記載の方法。
  31. ヘモグロビン溶液を脱酸素化する工程をさらに含む、請求項23記載の方法。
  32. ヘモグロビン溶液のオキシヘモグロビン成分の含有量が約20%未満まで減少する、請求項31記載の方法。
  33. ヘモグロビン溶液のオキシヘモグロビン成分が約10%未満まで減少する、請求項31記載の方法。
  34. 還元剤で化学的除去することによりヘモグロビン溶液が脱酸素化される、請求項31記載の方法。
  35. 還元剤がN−アセチル−L−システイン(NAC)、システイン、亜ジオン酸ナトリウムまたはアスコルビン酸塩からなる群より選択される、請求項34記載の方法。
  36. a)全血から線維素を除く工程;
    b)全血から赤血球を分離する工程;
    c)該赤血球のヘモグロビン分子を単離して、ヘモグロビン溶液を形成する工程;および
    d)ヘモグロビンを安定化して、ヘモグロビンベース酸素キャリアを調製する工程
    を含む、ヘモグロビンベース酸素キャリアを調製するための方法。
  37. ヘモグロビン溶液を脱酸素化する工程をさらに含む、請求項36記載の方法。
  38. ヘモグロビン溶液のオキシヘモグロビン成分の含有量が約20%未満まで減少する、請求項37記載の方法。
  39. ヘモグロビン溶液のオキシヘモグロビン成分が約10%未満まで減少する、請求項37記載の方法。
  40. ヘモグロビン分子を重合化することによりヘモグロビン分子が安定化される、請求項36記載の方法。
  41. ヘモグロビン溶液の脱酸素化がヘモグロビンを重合化する前に起こる、請求項36記載の方法。
  42. ヘモグロビンがピリドキシル化により安定化される、請求項36記載の方法。
  43. ヘモグロビン分子を架橋することによりヘモグロビンが安定化される、請求項36記載の方法。
  44. ヘモグロビンが分子間架橋により安定化される、請求項43記載の方法。
  45. ヘモグロビンが分子内架橋により安定化される、請求項43記載の方法。
  46. ヘモグロビンベース酸素キャリアを保存する工程をさらに含む、請求項36記載の方法。
  47. 酸素遮断フィルム基本パッケージ内にヘモグロビンベース酸素キャリアを入れることによりヘモグロビンベース酸素キャリアが保存される、請求項46記載の方法。
  48. a)血液から線維素を除去するためにコラーゲンを使用して、線維素除去された血液を形成する工程;
    b)線維素除去された血液を800μmポリプロピレンフィルターおよび50μmポリプロピレンフィルターを介して濾過する工程;
    c)血液をクエン酸ナトリウム溶液(6.0g/lクエン酸ナトリウム二水和物および8.0g/l塩化ナトリウム含有注射用水)で希釈する工程;
    d)希釈された血液溶液を0.2μm中空ファイバー透析濾過膜を介して元の容積まで再濃縮する工程;
    e)再濃縮血液溶液を透析濾過して、細胞を洗浄する工程;
    f)遠心分離により赤血球を白血球および血小板から分離して、赤血球懸濁液を形成する工程;
    g)赤血球を溶解して、遠心分離によりヘモグロビンを放出する工程;
    h)赤血球相と注射用水とを混合し、遠心分離して、ヘモグロビン溶液を形成する工程;
    i)ヘモグロビン溶液を脱酸素化する工程;
    j)デオキシヘモグロビンを重合化装置内で重合化する工程;
    k)重合化デオキシヘモグロビンをグルタルアルデヒドで架橋して、ヘモグロビンベースヘモグロビンベース酸素キャリアを調製する工程;ならびに
    l)酸素遮断フィルム基本パッケージ内にヘモグロビンベース酸素キャリアを保存する工程
    を含む、ヘモグロビンベース酸素キャリアを製造するために線維素除去された血液を使用する方法。
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