JP2004534517A - 単離ヒト輸送体タンパク質、ヒト輸送体タンパク質をコードする核酸分子、およびそれらの使用方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
関連出願
本出願は、2000年12月5日に提出された米国特許出願第09/729,094号(代理人整理番号 CL000662)の優先権を請求する。
【0002】
発明の分野
本発明は、ナトリウム依存性ジカルボン酸輸送体サブファミリーと関連のある輸送体タンパク質、組換えDNA分子、およびタンパク質の産生の分野に属する。本発明は特に、リガンド輸送を行う新規ペプチドおよびタンパク質、ならびにこのようなペプチドおよびタンパク質分子をコードする核酸分子を提供し、これらは全てヒト治療法ならびに診断用の組成物および方法の開発に有用である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
輸送体
輸送体タンパク質は、イオンおよび高分子などの分子の細胞の内外への流れを調節することにより、細胞増殖、分化およびシグナル伝達の過程を含む、細胞の多くの異なる機能を調節する。輸送体は真核生物において事実上全ての細胞の原形質膜に認められる。輸送体は、膜電位の調節ならびに細胞膜を介した分子およびイオンの吸収および分泌を含む、様々な細胞機能を媒介する。ゴルジ装置およびエンドサイトーシス小胞の細胞内膜に存在する場合、塩素イオンチャネルなどの輸送体は細胞小器官のpHも調節する。総説については、グレガー R.(Greger, R.)(1988)Annu. Rev. Physiol. 50:111〜122を参照されたい。
【0004】
輸送体は一般に構造および作用様式の種類によって分類される。さらに輸送体は時には輸送される分子の種類によって分類され、例えば、糖輸送体、塩素イオンチャネル、カリウムチャネルなどがある。単一種類の分子を輸送するチャネルには多くのクラスがある(チャネルの種類に関する詳細な総説は、Alexander, S.P.H.およびJ.A. Peters:「受容体および輸送体の命名法・増補版(Receptor and transporter nomenclature supplement)」、Trends Phamacol. Sci.、Elsevier、pp. 65〜68(1997)ならびにhttp://wwwbiology.ucsd.edu/ 〜 msaier/transport/titlepage2.htmlに記載されている)。
【0005】
以下の一般的な分類方式が当技術分野では公知であり、これは本発見にも用いられている。
【0006】
チャネル型輸送体
このクラスの膜貫通型チャネルタンパク質は、細菌から高等真核生物までのあらゆる種類の生物の膜に遍在的に認められる。このタイプの輸送系は、担体を介した機構の証拠がない、膜貫通水性孔またはチャネルを介した通過により、促進拡散(エネルギー非依存的過程による)を触媒する。これらのチャネルタンパク質は通常、主にa-ヘリックス性貫通体からなるが、b-ストランドも存在することがあり、チャネルを構成することさえもある。しかし、外膜ポーリン型チャネルタンパク質はこのクラスから除外され、代わりにクラス9に含められる。
【0007】
担体型輸送体
輸送系は、担体を介した過程を利用して単輸送(促進拡散により単一種が輸送される)、対向輸送(化学浸透圧エネルギー以外の直接的形態のエネルギーとは共役していない、強固に共役した過程により、2つまたはそれ以上の種が逆向きに輸送される)および/または共輸送(化学浸透圧エネルギー以外の直接的形態のエネルギーとは共役していない、強固に共役した過程により、2つまたはそれ以上の種が同じ向きに輸送される)を触媒する場合、このクラスに含まれる。
【0008】
担体型輸送体はジカルボン酸/アミノ酸:陽イオン(Na+またはH+)共輸送体(「DAACS」)ファミリー含み、このファミリーは(a)クレブス回路ジカルボン酸塩(リンゴ酸塩、コハク酸塩、またはフマル酸塩)、(b)ジカルボキシルアミノ酸(グルタミン酸またはアスパラギン酸)、(c)小さな半極性の中性アミノ酸(Ala、Ser、Cys、Thr)、(d)中性アミノ酸と酸性アミノ酸の両者、(e)大部分の双性かつ二塩基性アミノ酸と共に、Na+および/またはH+の共輸送を触媒する。哺乳類タンパク質は約550(503〜574)残基の長さであるが、細菌のメンバーは約450(420〜491)アミノアシル残基である。これらのタンパク質は10個から12個の間の推定の膜貫通体(TMS)を有する。7個のa-へリックス状TMSの次に内曲したループ孔構造が続き、その後に最後の1つのTMSが続く、特定のトポロジーモデルが、Slotboomら、Microbiol. Mol. Biol. Rev. 63:293〜307(1999)に示されている。すべての細菌タンパク質は哺乳類タンパク質と同様に、系統樹上で密集している。中性アミノ酸を輸送する哺乳類透過酵素は、酸性アミノ酸に特異的なものから離れて密集している。哺乳類タンパク質の中には、ニューロンの興奮性アミノ酸神経伝達物質透過酵素がある。
【0009】
ピロリン酸結合加水分解駆動型の能動輸送体
輸送系は、ATPまたは別のヌクレオシド三リン酸におけるピロリン酸または末端ピロリン酸結合を加水分解して、1つまたは複数の溶質の能動的な取り込みおよび/または排出を駆動する場合、このクラスに含まれる。輸送タンパク質は一過性にリン酸化されてもリン酸化されなくてもよいが、基質はリン酸化されない。
【0010】
PEP依存的なホスホリル転移駆動型グループ輸送体
細菌ホスホエノールピルビン酸:糖ホスホトランスフェラーゼ系の輸送系は、このクラスに含まれる。細胞外の糖に由来する反応産物は細胞質糖リン酸である。
【0011】
脱炭酸駆動型能動輸送体
細胞質基質の脱炭酸によって溶質(例えば、イオン)の取り込みまたは排出を駆動する輸送系は、このクラスに含まれる。
【0012】
酸化還元駆動型能動輸送体
還元型基質から酸化型基質への電子流によって賦活される溶質(例えば、イオン)の輸送を駆動する輸送系は、このクラスに含まれる。
【0013】
光駆動型能動輸送体
光エネルギーを利用して溶質(例えば、イオン)の輸送を駆動する輸送系は、このクラスに含まれる。
【0014】
機械的駆動型能動輸送体
輸送系は、イオン(または他の溶質)が膜を介して電気化学的勾配の下方に流れるのを可能にすることにより、細胞または細胞小器官の移動を駆動する場合、このクラスに含まれる。
【0015】
(b-構造の)外膜ポーリン
これらのタンパク質は、溶質の膜を介したエネルギー非依存的な通過を通常可能にする、膜貫通孔またはチャネルを形成する。これらのタンパク質の膜貫通部分は、b-バレルを形成するb-ストランドのみからなる。これらのポーリン型タンパク質は、グラム陰性細菌、ミトコンドリアおよび真核生物色素体の外膜に認められる。
【0016】
メチルトランスフェラーゼ駆動型能動輸送体
現在、このカテゴリーに入るのは、唯一特徴づけられているタンパク質である、Na+輸送メチルテトラヒドロメタノプテリン:コエンザイムMメチルトランスフェラーゼである。
【0017】
非リボソーム合成型チャネル形成ペプチドまたはペプチド様分子
これらの分子は通常、L-アミノ酸およびD-アミノ酸ならびに乳酸などの他の低分子構成単位の連鎖であり、オリゴマー膜貫通型イオンチャネルを形成する。電位は膜貫通型チャネルの集合を促進することによって、チャネル形成を誘導しうる。これらのペプチドはしばしば細菌および真菌によって、生物闘争の作用物質として作られる。
【0018】
非タンパク質性輸送複合体
タンパク質またはペプチドから構成されず、いずれかに由来しない生体膜中のイオン伝導性物質は、このカテゴリーに入る。
【0019】
機能的な特徴づけはなされているが、配列データのない輸送体
ファミリーの指定はできないが、特別な生理的意義のある輸送体はこのカテゴリーに含まれると考えられる。
【0020】
ファミリーのメンバーが輸送体として確立されていない、推定の輸送体
推定の輸送体タンパク質ファミリーはこの項目に分類され、メンバーの輸送機能が確立されれば別のものに分類され、提唱された輸送機能が反証されればTC分類系から除外されると考えられる。これらのファミリーは、輸送機能は示唆されているがそのような機能に関する証拠に説得力がない、1つまたは複数のメンバーを含む。
【0021】
補助輸送体タンパク質
1つまたは複数の生体膜を介した輸送を何らかの様式で促進するが、それ自体は輸送に直接関与しないタンパク質は、このクラスに含まれる。これらのタンパク質は常に1つまたは複数の輸送タンパク質とともに機能する。これらは輸送とのエネルギー共役と連結した機能を提供することができ、複合体形成において構造的役割を果たすことができ、調節機能を果たすことができる。
【0022】
分類不明の輸送体
分類不明の輸送タンパク質ファミリーはこの項目に分類され、輸送過程およびエネルギー共役機序が特徴づけられれば別のものに分類されると考えられる。これらのファミリーは、輸送機能は確立されているが輸送様式またはエネルギー共役機序が不明である、少なくとも1つのメンバーを含む。
【0023】
イオンチャネル
重要なタイプの輸送体はイオンチャネルである。イオンチャネルは、細胞の内外へのイオンの流れを調節することにより、多くの異なる細胞増殖、分化およびシグナル伝達の過程を調節する。イオンチャネルは真核生物において事実上全ての細胞の原形質膜に認められる。イオンチャネルは、膜電位の調節ならびに上皮膜を介したイオンの吸収および分泌を含む、様々な細胞機能を媒介する。ゴルジ装置およびエンドサイトーシス小胞の細胞内膜に存在する場合、塩素イオンチャネルなどのイオンチャネルは細胞小器官のpHも調節する。総説については、グレガー R.(Greger, R.)(1988)Annu. Rev. Physiol. 50:111〜122を参照されたい。
【0024】
イオンチャネルは一般に構造および作用様式の種類によって分類される。例えば、細胞外リガンド依存性チャネル(ELG)は5つのポリペプチド性サブユニットから構成され(各サブユニットは4つの膜貫通ドメインを有する)、細胞外リガンドのチャネルとの結合によって活性化される。さらに、チャネルは時には輸送されるイオンの種類、例えば、塩素イオンチャネル、カリウムチャネルなどによっても分類される。単一種類のイオンを輸送するチャネルには多くのクラスがある(チャネルの種類に関する詳細な総説は、Alexander, S.P.H.およびJ.A. Peters:「受容体およびイオンチャネルの命名法・増補版(Receptor and ion channel nomenclature supplement)」、Trends Phamacol. Sci.、Elsevier、pp. 65〜68(1997)ならびにhttp://wwwbiology.ucsd.edu/〜msaier/transport/toc.htmlに認められる)。
【0025】
イオンチャネルには構造に基づく多くの種類がある。例えば、多くのイオンチャネルは以下の群の1つに入る:細胞外リガンド依存性チャネル(ELG)、細胞内リガンド依存性チャネル(ILG)、内向き整流チャネル(INR)、細胞間(ギャップ結合 )チャネル、および電位依存性チャネル(VIC)。輸送されるイオンの種類、細胞の位置および薬剤感受性に基づく他のチャネルファミリーも、さらに認識されている。これらのそれぞれに関する情報である、それらの活性、リガンドの種類、イオンの種類、疾患との関連、薬らしさ(drugability)、および本発明に関係する他の情報は、当技術分野で周知である。
【0026】
細胞外リガンド依存性チャネル、すなわちELGは、一般に5つのポリペプチドサブユニットから構成される。アンウィン N.(Unwin, N.)(1993)、Cell 72:31〜41;アンウィン N.(Unwin, N.)(1995)、Nature 373:37〜43;ユチョウ F.(Hucho, F.)ら(1996)J. Neurochem. 66:1781〜1792;ユチョウ F.(Hucho, F.)ら(1996)Eur. J. Biochem. 239:539〜557;アレキサンダー S.P.H.(Alexander, S.P.H.)およびJ.A. ピータース(J.A. Peters)(1997)、Trends Pharmacol. Sci.、Elsevier、pp. 4〜6;36〜40;42〜44;ならびにシュウ H.(Xue, H.)(1998)J. Mol. Evol. 47:323〜333。各サブユニットは4つの膜貫通領域を有する:これはELGファミリーのタンパク質の他のメンバーを同定する手段として役立つ。ELGはリガンドと結合し、それに反応してイオン流を調節する。ELGの例には、神経伝達物質受容体ファミリーのタンパク質のほとんどのメンバー、例えば、GABAI受容体が含まれる。このファミリーのイオンチャネルの他のメンバーには、グリシン受容体、リアノジン受容体およびリガンド依存性カルシウムチャネルが含まれる。
【0027】
電位依存性イオンチャネル( VIC )スーパーファミリー
VICファミリーのタンパク質は、広範囲の細菌、古細菌および真核生物に認められるイオン選択的チャネルタンパク質である。ヒル B.(Hille, B.)(1992)、「興奮性膜のイオンチャネル(Ionic Channels of Excitable Membranes)」第2版、Sinaur Assoc. Inc.、Pubs.、サンダーランド、マサチューセッツの第9章:「チャネルタンパク質の構造(Structure of channel proteins)」;第20章:「進化および多様性(Evolution and diversity)」、;シグワース F.J.(Sigworth, F.J.)(1993)、Quart. Rev. Biophys. 27:1〜40;サルコフ L.(Salkoff, L.)およびT. イェーグラ(T. Jegla)(1995)、Neuron 15:489〜492;アレキサンダー S.P.H.(Alexander, S.P.H.)ら.(1997)、Trends Pharmacol. Sci.、Elsevier、pp. 76〜84;ヤン L.Y.(Jan, L.Y.)ら.(1997)、Annu. Rev. Neurosci. 20:91〜123;ドイル D.A(Doyle, D.A)ら(1998)Science 280:69〜77;テルロー H.(Terlau, H.)およびW. スチューマー(W. Stuhmer)(1998)、Naturwissenschaften 85:437〜444。それらはホモオリゴマー構造またはいくつかの異なるサブユニットを有するヘテロオリゴマー構造であることが多いが(例えば、a1-a2-d-b Ca2+チャネル、ab1b2 Na+チャネル、または(a)4-b K+チャネル)、チャネルおよび一次受容体は通常、a(またはa1)サブユニットと結合する。機能的に特徴づけられたメンバーはK+、Na+またはCa2+に対して特異的である。K+チャネルは通常、各々のa-サブユニットが6つの膜貫通体(TMS)を有するヘテロ四量体構造からなる。Ca2+およびNa+チャネルのa1およびaサブユニットはそれぞれほぼ4倍の大きさで、親水性ループによって隔てられた6個のTMSをそれぞれ備えた4個の単位を有し、合計24個のTMSを持つ。これらの大きなチャネルタンパク質は、ほとんどのK+チャネルのホモ四量体構造に相当する、ヘテロ四量体構造を形成する。Ca2+およびNa+チャネルの4つの単位はいずれも、ホモ四量体型K+チャネルの単一の単位と相同である。真核生物チャネルを介したイオン流は、一般に膜内外電位差によって制御されるが(電位感受性という名称はこれによる)、リガンドまたは受容体の結合によって制御されるものもある。
【0028】
VICファミリーのK+選択的チャネルタンパク質と推定されるものが、いくつか原核生物で同定されている。その1つであるストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)のKcsA K+チャネルは、分解能3.2Åで解明されている。このタンパク質は、4つの同一なサブユニットを有し、それぞれが2つの膜貫通ヘリックスを有し、逆テント型または円錐型に配置されている。錐体は外端で「選択性フィルター」Pドメインを支える。選択性フィルターは細く、長さは12Åに過ぎないが、チャネルの残りの部分は幅広く、疎水性残基が並ぶ。水で満たされた大きな空洞とヘリックス双極子が孔内のK+を安定化する。選択性フィルターは互いに約7.5Åを隔てて結合している2つのK+イオンを有する。イオンの伝導は静電気的引力と斥力とのバランスに起因すると提唱されている。
【0029】
真核生物では、VICファミリーチャネルの各タイプには、薬理学的および電気生理学的データに基づくサブタイプがいくつかある。すなわち、Ca2+チャネルには5個のタイプがある(L、N、P、QおよびT)。K+チャネルには少なくとも10個のタイプがあり、それぞれは異なる刺激に対して異なる様式で反応する:電位感受性型[Ka、Ky、Kvr、KvsおよびKsr]、Ca2+感受性型[BKCa、IKCaおよびSKCa]ならびに受容体共役型[KMおよびKACh]。Na+チャネルには少なくとも6個のタイプがある(I、II、III、μ1、H1およびPN3)。原核生物および真核生物の両方に由来する四量体チャネルが公知であり、これらのチャネルでは、各a-サブユニットが6個ではなく2個のTMSを有し、これら2つのTMSが電位感受性チャネルタンパク質に認められる6つのTMS単位のうちTMS 5および6と相同である。S.リビダンス(S. lividans)のKcsAはこの種の2 TMS型チャネルタンパク質の一例である。これらのチャネルには、KNa(Na+活性化)およびKVol(細胞容積感受性)K+チャネル、ならびに酵母のTok1 K+チャネル、マウスのTWIK-1内向き整流K+チャネル、およびマウスのTREK-1 K+チャネルのような、遠い関係にあるチャネルも含まれる。VICファミリーのタンパク質との配列類似性が十分でないため、単一のPドメインおよび2つの隣接するTMSを有する内向き整流K+ IRKチャネル(ATP調節性;G-タンパク質活性化型)は異なるファミリーに分類される。しかし、P領域における実質的な配列類似性により、それらは相同であることが示唆される。VICファミリーメンバーのb、gおよびdサブユニットは、存在する場合、チャネルの活性化/不活性化において調節的役割を果たすことが多い。
【0030】
上皮 Na + チャネル( ENaC )ファミリー
ENaCファミリーは、配列が決定された24個を上回るタンパク質からなる(Canessa, C.M.ら(1994)、Nature 367:463〜467、Le, T.およびM.H. Saier, Jr.(1996)、Mol. Membr. Biol. 13:149〜157;Garty, H.およびL.G. Palmer(1997)、Physiol. Rev. 77:359〜396;Waldmann, R.ら(1997)、Nature 386:173〜177;Darboux, I.ら(1998)、J. Biol. Chem. 273:9424〜9429;Firsov, D.ら(1998)、EMBO J. 17:344〜352;Horisberger, J.-D.(1998)、Curr. Opin. Struc. Biol. 10:443〜449)。これらはいずれも動物由来であり、他の真核生物および細菌における相同体は認められていない。上皮細胞由来の脊椎動物ENaCタンパク質は、系統樹の上で互いに密に集まっている:電位感受性のないENaC相同体も脳に認められる。デジェネリンを含む、配列が決定された11個の線虫(C. elegans)タンパク質は、互いと同様に脊椎動物タンパク質と遠い関係にある。これらのタンパク質の少なくともいくつかは、接触感受性のための機械変換複合体の一部を形成する。相同なヘリックス・アスペルサ(Helix aspersa)(FMRF-アミド)活性化型Na+チャネルは、配列が決定された最初のペプチド神経伝達物質依存性イオンチャネル型受容体である。
【0031】
このファミリーのタンパク質メンバーは全て、外見上同一の空間配置を示し、それぞれ、細胞の内側にN末端およびC末端、2つの両親媒性膜貫通部分、ならびに大きな細胞外ループを有する。細胞外ドメインは高度に保存された多数のシステイン残基を含む。これらは受容体機能に役立つと提唱されている。
【0032】
哺乳類ENaCはNa+バランスの維持および血圧の調節に重要である。3つの相同なENaCサブユニットであるα、βおよびγが集合し、Na+選択性の高いチャネルを形成することが示されている。3つのサブユニットの化学量論は、1つのヘテロ四量体構造においてα2、β1、γ1である。
【0033】
グルタミン酸依存性イオンチャネル( GIC )ファミリーの神経伝達物質受容体
GICファミリーのメンバーはヘテロ五量体複合体であり、5つのサブユニットはそれぞれ800〜1000アミノアシル残基長である(Nakanishi, N.ら(1990)、Neuron 5:569〜581;Unwin, N.(1993)、Cell 72:31〜41;Alexander, S.P.H.およびJ.A. Peters(1997)Trends Pharmacol. Sci.、Elsevier、pp. 36〜40)。これらのサブユニットは、推定のa-ヘリックスとして膜を3回または5回貫通し、N末端(グルタミン酸結合ドメイン)は細胞外に位置し、C末端は細胞質に位置する。これらはリガンド依存性イオンチャネルと遠い関係にある可能性があり、そうであれば、これらは膜貫通領域中に実質的なb-構造を有する可能性がある。しかし、これらの2つのファミリー間の相同性は、配列比較のみを基にしては確定できない。サブユニットは6つのサブファミリー:a、b、g、d、eおよびzに分類される。
【0034】
GICチャネルは、以下の3つのタイプに分かれる:(1)a-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾールプロピオン酸(AMPA)選択的グルタミン酸受容体(2)カイニン酸選択的グルタミン酸受容体および(3)N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)選択的グルタミン酸受容体。AMPAおよびカイニン酸クラスのサブユニットは互いに35%〜40%の同一性を示すが、NMDA受容体のサブユニットは前記サブユニットに22%〜24%の同一性を示す。これらはグラム陰性細菌のABC型取り込み透過酵素の周辺質グルタミン受容体およびグルタミン酸受容体に相同な、細胞外グルタミン酸結合ドメインである、大きなN末端を有しする。GICファミリーの公知のメンバーは全て動物由来である。異なるタイプのチャネル(受容体)は異なるイオン選択性および伝導特性を示す。NMDA選択的な高伝導度チャネルは、一価陽イオンおよびCa2+の透過性が高い。AMPA選択的およびカイニン酸選択的なイオンチャネルは主として一価陽イオン透過性であり、Ca2+に対する透過性はわずかに過ぎない。
【0035】
塩素イオンチャネル( ClC )ファミリー
ClCファミリーは、グラム陰性菌およびグラム陽性菌、シアノバクテリア、古細菌、酵母、植物ならびに動物に由来する、配列が決定された数十ものタンパク質からなる大規模なファミリーである(Steinmeyer, K.ら(1991)、Nature 354:301〜304;Uchida, S.ら(1993)、J. Biol. Chem. 268:3821〜3824;Huang, M.-E.ら(1994)、J. Mol. Biol. 242:595〜598;Kawasaki, M.ら(1994)、Neuron 12:597〜604;Fisher, W.E.ら(1995)、Genomics. 29:598〜606;およびFoskett, J.K.(1998)、Annu. Rev. Physiol. 60:689〜717)。これらのタンパク質は、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、マイコプラズマ・ゲニタリウム(Mycoplasma genitalium)および肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)のゲノム中にはコードされていないが、本質的に遍在性である。配列が決定されたタンパク質のサイズは、395アミノアシル残基(M. jannaschii)から988残基(ヒト)までさまざまである。いくつかの生物は複数のClCファミリーパラログを含む。例えば、シネコキスチス(Synechocystis)は2つのパラログを含み、1つは451残基長であり、もう1つは899残基長である。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)は配列が決定されたパラログを少なくとも4つ含み(775〜792残基)、ヒトも少なくとも5つのパラログを含んでおり(820〜988残基)、線虫(C. elegans)も少なくとも5つを含む(810〜950残基)。哺乳類では9つのメンバーが公知であり、対応する遺伝子のうちの3つにおける変異はヒト疾患の原因となる。大腸菌(E. coli)、メタン生成菌(Methanococcus jannaschii)および出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)は、各ClCファミリーのメンバーを1つだけ有する。より長いシネコキスチスのパラログを例外として、細菌タンパク質は全て小型であるが(395〜492残基)が、真核生物タンパク質は全て大型である(687〜988残基)。これらのタンパク質は10個〜12個の推定のa-ヘリックス性膜貫通体(TMS)を示し、ホモ二量体として膜内に存在するようである。ファミリーのメンバーの1つであるシビレエイのClC-Oは、サブユニット毎に1つずつ、計2つのチャネルを有すると報告されているが、他のものには1つしかないと考えられている。
【0036】
機能的に特徴付けられたClCファミリーのメンバーは全て塩素イオンを輸送し、電位で調節される過程で輸送するものもある。これらのチャネルは様々な生理機能に役立つ(細胞容積の調節;膜電位の安定化;シグナル伝達;経上皮輸送など)。ヒトにおける種々のホモログは異なる陰イオン選択性を示し、すなわち、ClC4およびClC5はNO3 ->Cl->Br->I-の順序の伝導度を共有するが、ClC3の選択性はI->Cl-である。ClC4およびClC5チャネルなどは、+20mVよりも高い電位でのみ外向き整流電流を示す。
【0037】
動物の内向き整流 K + チャネル( IRK-C )ファミリー
IRKチャネルは、VICファミリーのチャネルタンパク質に特徴的な唯一のPドメイン、および2つの隣接した膜貫通体を備えた、「最小チャネル形成構造」を有する(Shuck, M.E.ら(1994)、J. Biol. Chem. 269:24261〜24270;Ashen, M.D.ら(1995)、Am. J. Physiol. 268:H506〜H511;Salkoff, L.およびT. Jegla(1995)、Neuron 15:489〜492;Aguilar-Bryan, L.ら(1998)、Physiol. Rev. 78:227〜245;Ruknudin, A.ら(1998)、J. Biol. Chem. 273:14165〜14171)。これらは膜内にホモオリゴマーまたはヘテロオリゴマーとして存在しうる。これらはK+流を細胞外に流出させるよりも細胞内に流入させる傾向が強い。電位依存性は外部K+、内部Mg2+、内部ATPおよび/またはGタンパク質による調節を受ける。IRKチャネルのPドメインはVICファミリーのものとある程度の配列類似性を示すが、この配列類似性は相同性を確定するには不十分である。内向き整流は細胞膜電位の設定において役割を果たし、脱分極時のこれらのチャネルの閉鎖により、プラトー相を伴う活動電位が長時間持続することが可能になる。内向き整流には、VICファミリーチャネルに認められる固有の電位感知ヘリックスはない。少数の場合、例えばKir1.1aおよびKir6.2の場合は、ABCスーパーファミリーのメンバーとの直接的な相互作用により、ATP感受性を含む特有の機能的および調節的な特性がヘテロマー複合体に付与されると提唱されている。SUR1スルホニル尿素受容体(spQ09428)はATPに反応してKir6.2チャネルを調節するABCタンパク質であり、CFTRはKir1.1aを調節しうる。SUR1における変異は、膵臓における未制御のインスリン分泌を特徴とする、常染色体劣性障害である、新生児期の家族性持続性高インスリン性低血糖(PHHI)の原因である。
【0038】
ATP 依存性陽イオンチャネル( ACC )ファミリー
ACCファミリー(P2X受容体とも呼ばれる)のメンバーは、多くの種類のニューロンからエキソサイトーシスによって放出される機能性神経伝達物質である、ATPに反応する(North, R.A.(1996)、Curr. Opin. Cell Biol. 8:474〜483;Soto, F.、M. Garcia-GuzmanおよびW. Stuhmer(1997)、J. Membr. Biol. 160:91〜100)。これらは薬理学的特性に基づいて7つの群(P2X1〜P2X7)に分類されている。これらのチャネルはニューロン-ニューロン接続およびニューロン-筋接合部で働き、血圧および痛覚の制御において役割を果たしうる。これらはリンパ球および血小板の生理的作用においても機能する。これらは動物でのみ認められる。
【0039】
ACCファミリーのタンパク質は配列が非常に類似しているが(35%を超える同一性)、主としてC末端ドメインに位置する、380個〜1000個の様々な長さのアミノアシル残基を各サブユニットごとに有する。これらは2つの膜貫通体を有し、1つはN末端からの約30〜50残基であり、もう1つは近傍の320〜340残基である。これら2つの膜貫通体(約270残基)の間にある細胞外受容体ドメインはよく保存されており、保存されたグリシルおよびシステイル残基を数多く有する。親水性C末端の長さは25〜240残基とさまざまである。これらは、(a)細胞内に位置するN末端およびC末端、(b)2つの推定の膜貫通体、(c)大きな細胞外ループドメイン、ならびに(d)保存された多くの細胞外システイル残基を有する点で、上皮Na+チャネル(ENaC)タンパク質と空間配置が類似している。しかし、ACCファミリーのメンバーにはそれらとの明らかな相同性はない。ACCチャネルはおそらくヘテロ多量体またはホモ多量体であり、小型の一価陽イオン(Me+)を輸送する。Ca2+を輸送するものもある;少数は低分子代謝産物も輸送する。
【0040】
リアノジン - イノシトール 1,4,5- 三リン酸受容体 Ca 2+ チャネル( RIR-CaC )ファミリー
リアノジン(Ry)感受性およびイノシトール1,4,5-三リン酸(IP3)感受性のCa2+放出チャネルは、動物細胞内の細胞内貯蔵部位からのCa2+の放出において機能し、それによって様々なCa2+依存的生理過程を調節する(Hasan, G.ら(1992)Development 116:967〜975;Michikawa, T.ら(1994)、J. Biol. Chem. 269:9184〜9189;Tunwell, R.E.A.(1996)、Biochem. J. 318:477〜487;Lee, A.G.(1996)Biomembranes、Vol. 6、「膜貫通型受容体およびチャネル(Transmernbrane Receptors and Channels)」(A.G. Lee編)、JAI Press、Denver、CO.、pp 291〜326;Mikoshiba, K.ら(1996)J. Biochem. Biomem. 6:273〜289)。Ry受容体は主に筋細胞の筋小胞体(SR)膜に存在し、IP3受容体は主に脳細胞の小胞体(ER)膜に存在し、ここでチャネルが活性化(開口)するとCa2+を細胞質に放出させる。
【0041】
Ry受容体はジヒドロピリジン感受性Ca2+チャネルの活動の結果として活性化される。後者は電位感受性イオンチャネル(VIC)ファミリーのメンバーである。ジヒドロピリジン感受性チャネルは筋組織のT管系に存在する。
【0042】
Ry受容体はホモ四量体複合体であり、各サブユニットは500,000ダルトン(約5,000アミノアシル残基)を上回る分子サイズを示す。これらは推定のa-ヘリックス性膜貫通体(TMS)を6つ備えたC末端ドメインを有する。VICファミリーのメンバーについて示唆されているように、推定の孔形成配列が5番目および6番目のTMSの間に存在する。大きなN末端親水性ドメインおよび小さなC末端親水性ドメインが細胞質に位置する。低分解能の三次元構造データが利用できる。哺乳類は、哺乳類種の分岐進化の前におそらく遺伝子の重複および分岐によって生じた、少なくとも3つのアイソフォームを有する。ヒトおよび線虫(Caenorabditis elegans)にはホモログが存在する。
【0043】
IP3受容体は多くの点でRy受容体と類似している。(1)これらはホモ四量体複合体であり、各サブユニットは300,000ダルトン(約2,700アミノアシル残基)を上回る分子サイズを示す。(2)これらはRy受容体のものと相同なC末端チャネルドメインを有する。(3)チャネルドメインに推定のTMSが6つあり、TMS 5および6の間に推定のチャネル内層領域がある。(4)大きなN末端ドメインおよび小さなC末端尾部が細胞質に面している。(5)これらはチャネルドメインの細胞質外ループ上に共有結合した糖質を有する。(6)これらには現在、異なる調節を受け、組織分布の異なる哺乳類で認められている3つのアイソフォーム(1型、2型および3型)がある。
【0044】
IP3受容体は、N末端IP3結合ドメイン、中央の結合ドメインまたは調節ドメイン、およびC末端チャネルドメインという、3つのドメインを有する。チャネルはIP3結合によって活性化され、Ry受容体と同じく、IP3受容体チャネルの活性は、種々のプロテインキナーゼによって触媒される調節ドメインのリン酸化によって調節される。これらは脳内の様々な細胞型の小胞体膜において主体となっているが、種々の組織に由来するいくつかの神経細胞の原形質膜でも認められている。
【0045】
Ry受容体およびIP3受容体のチャネルドメインは一貫性のあるファミリーを構成し、外見上の構造類似性にもかかわらず、VICファミリーのタンパク質とはそれほど高い配列類似性は示さない。Ry受容体およびIP3受容体はRIR-CaCファミリーの系統樹上に別々にクラスターを形成する。それらはいずれもショウジョウバエ(Drosophila)にホモログがある。ファミリーの系統樹に基づき、このファミリーはおそらく以下の順序で進化した:(1)遺伝子重複事象が起こり、無脊椎動物でRy受容体およびIP3受容体が生じた、(2)無脊椎動物から脊椎動物が進化した、(3)2つの異なる遺伝子の重複事象の結果として、各受容体の3つのアイソフォームが生じた、(4)これらのアイソフォームは哺乳類種の分岐の前に哺乳類に移行した。
【0046】
細胞小器官の塩素イオンチャネル( O-ClC )ファミリー
O-ClCファミリーのタンパク質は、動物細胞の細胞内膜に認められるが原形質膜には認められない、電位感受性塩素イオンチャネルである(Landry, Dら(1993)、J. Biol. Chem. 268:14948〜14955;Valenzuela, Sら(1997)、J. Biol. Chem. 272:12575〜12582;およびDuncan, R.R.ら(1997)、J. Biol. Chem. 272:23880〜23886)。
【0047】
これらはヒト核膜内に認められ、ウシタンパク質をアフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞で発現させると、ミクロソームに向かうが原形質膜には向かわない。これらのタンパク質は膜電位の調節ならびに腎臓における経上皮イオン吸収および分泌において機能すると考えられる。これらは推定の細胞質N末端およびC末端、ならびにグリコシル化されうる大きな管腔ループを備えた、a-ヘリックス性膜貫通体(TMS)を2つ有する。ウシタンパク質は437アミノアシル残基長であり、223位〜239位および367位〜385位に推定のTMSを2つ有する。ヒト核タンパク質ははるかに小さい(241残基)。線虫(C. elegans)ホモログは260残基長である。
【0048】
本発明のタンパク質はジカルボン酸輸送体に非常に類似している。これらは多様な二価の有機陰イオンを結合する。これらの担体のいくつかは、アセチルアスパラギン酸塩をグリア細胞内に移入し、かつミエリン形成において重要な役割を果たす。他は胎盤および腎臓においてコハク酸塩レベルを維持する。腎刷子縁におけるこれらの発現は、薬理学的研究に関連しうる。この配列はまた、細胞膜の反対側に二価の無機陰イオンを運搬する、硫酸ナトリウム輸送体のファミリーに相同である。その相同体と同様に、この輸送体は12個の膜貫通へリックスを有する。
【0049】
ミトコンドリアおよびもしかすると他の細胞小器官は、これらの区画の内外に有機酸をポンプ輸送する、ジカルボン酸輸送体を含む。二価酸の空間配置はクレブス回路、アミノ酸合成、ならびに他の仕事量増加経路および代謝経路の速度に作用しうる。時には、これらの局所濃度が生理学的レベルを超えて、カルシウム結石の形成につながる。
【0050】
本明細書に示す配列は、アフィニティクロマトグラフィおよび酵母ツーハイブリッドシステムを用いて特定の相互作用を探索するのに用いることができる。合成ペプチドおよびクエン酸誘導化合物を設計し、これらの輸送体のための阻害剤として用いることができる。
【0051】
ジカルボン酸輸送体に関連した総説として、ホワン(Huang)ら、J Pharmacol Exp Ther 2000 10月;295(1):392〜403、チェン(Chen)ら、J Biol Chem 1998 8月14日;273(33):20972〜81、Pajor、J Biol Chem 1995 3月17日;270(11):5779〜85、ワン(Wang)ら、Am J Physiol Cell Physiol 2000 5月;278(5):C1019〜30、チェン(Chen)ら、Arch Biochem Biophys 2000 1月1日;373(1):193〜202を参照のこと。
【0052】
輸送体タンパク質、特にナトリウム依存性ジカルボン酸輸送体サブファミリーのメンバーは、薬物の作用および開発の主な標的である。したがって、これまで知られていない輸送体タンパク質の同定および特徴づけを行うことは、医薬品開発の分野にとって有意義である。本発明は、これまで同定されていないヒト輸送体タンパク質を提供することにより、最先端技術を前進させる。
【発明の開示】
【0053】
発明の概要
本発明は一部には、ナトリウム依存性ジカルボン酸輸送体サブファミリーと関連のあるヒト輸送体ペプチドおよびタンパク質、ならびにそれらの対立遺伝子変異体および他の哺乳類でのオルソログの、アミノ酸配列の同定に基づく。これらの特有のペプチド配列、およびこれらのペプチドをコードする核酸配列は、ヒトの治療標的の開発のためのモデルとして用いることができ、治療用タンパク質の同定を補助することができ、ならびに輸送体を発現する細胞および組織における輸送体活性を調整する、ヒト治療薬の開発のための標的として働くことができる。図1に提供した実験データは、胎児の肝臓および脾臓における発現を示す。
【0054】
発明の詳細な説明
概論
本発明は、ヒトゲノムの配列決定に基づいている。ヒトゲノムの配列決定および構築に際して、配列情報を解析することによって、当技術分野において輸送体タンパク質、または輸送体タンパク質の一部であると同定および特徴付けされ、またナトリウム依存性ジカルボン酸輸送体サブファミリーに関連付けられるタンパク質/ペプチド/ドメインに対して、構造および/または配列の相同性を有するペプチドをコードする、ヒトゲノムの未同定の断片が明らかになった。これらの配列を用いて、付加的なゲノム配列を構築、転写し、および/またはcDNA配列を単離し、特徴付けた。この解析に基づき、本発明は、ナトリウム依存性ジカルボン酸輸送体サブファミリーに関連するヒト輸送体ペプチドおよびタンパク質のアミノ酸配列、これらの輸送体ペプチドおよびタンパク質をコードする転写配列、cDNA配列、および/またはゲノム配列形態における核酸配列、核酸変異(対立遺伝子情報)、発現の組織分布、ならびに本発明の輸送体に対して構造または配列の相同性を有する、最も関連性の高い既知のタンパク質/ペプチド/ドメインに関する情報を提供するものである。
【0055】
本発明において提供されるペプチドは、従来より未知であることに加えて、商業的に重要な製品およびサービスの開発にとって有用であるという能力に基づいて、選択され得る。特に、本発明のペプチドは、ナトリウム依存性ジカルボン酸輸送体サブファミリーの既知の輸送体タンパク質に対する、相同性および/または構造上の相関性、ならびに観察される発現パターンに基づいて選択される。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。この技術は、このファミリーのタンパク質、および本発明の遺伝子に類似した発現パターンを有するタンパク質の商業的な重要性を明確に確立するものである。本発明のペプチドについてのより特異的な性質、およびその使用については、本明細書、特に発明の背景、図面の注釈に記載され、および/または既知のナトリウム依存性ジカルボン酸輸送体ファミリーもしくは輸送体タンパク質のサブファミリーのそれぞれについては、当技術分野で周知である。
【0056】
特定の態様
ペプチド分子
本発明は、輸送体ファミリーのタンパク質のメンバーであると同定されたタンパク質分子をコードする核酸配列を提供するものであり、これらはナトリウム依存性ジカルボン酸輸送体サブファミリー(図2にタンパク質配列、図1に転写/cDNA配列、図3にゲノム配列を示す)に関連付けられる。図2にはペプチド配列が記載され、明らかな変異体、特に本明細書および図3の情報を用いて同定される対立遺伝子変異体も記載されており、これらは、本明細書において、本発明の輸送体ペプチド、輸送体ペプチド、または本発明のペプチド/タンパク質と呼ばれる。
【0057】
本発明は、図2に示す輸送体ペプチド(図1の転写/cDNA、または図3のゲノム配列に示される核酸分子によりコードされる)のアミノ酸配列からなる、または実質的にこれらからなる、またはこれらを含む、単離ペプチドおよびタンパク質分子を提供するとともに、本技術に含まれ、作製および使用されるこれらのペプチドの全ての明らかな変異体を提供するものである。これらの変異体については、以下で詳述する。
【0058】
本明細書で使用されているように、ペプチドが細胞物質を実質的に含まない、または化学前駆物質もしくは他の化学物質を含まない場合に、ペプチドは「単離」または「精製」されたという。本発明のペプチドは、均一、または他の純度になるまで精製することができる。精製のレベルは使用目的に基づくと考えられる。重要な性質は、調製物中に他の成分が多量に存在していたとしても、所望のペプチドの機能を発揮できるということである(単離核酸分子の性質については、後述する)。
【0059】
いくつかの使用では、「実質的に細胞物質を含まない」とは、他のタンパク質(すなわち汚染タンパク質)を約30%(乾燥重量)未満、他のタンパク質を約20%未満、他のタンパク質を約10%未満、または、他のタンパク質を約5%未満有するペプチド調製物を含む。ペプチドが組換えにより製造される場合、培地がタンパク質調製物の容量に対して20%未満の場合には、実質的に培地を含まないとすることができる。
【0060】
「実質的に化学前駆物質または他の化学物質を含まない」という用語は、合成に関与した化学前駆物質または他の化学物質から分離されたペプチド調製物を含む。ある態様においては、「実質的に化学前駆物質または他の化学物質を含まない」という用語は、化学前駆物質もしくは他の化学物質を約30%(乾燥重量)未満、化学前駆物質もしくは他の化学物質を約20%未満、化学前駆物質もしくは他の化学物質を約10%未満、または化学前駆物質もしくは他の化学物質を約5%未満有する輸送体ペプチド調製物を含む。
【0061】
単離輸送体ペプチドは、それを天然に発現する細胞、それを発現させるために変化させた(組換えられた)細胞から精製するか、または、既知のタンパク質合成方法を用いて合成することができる。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。例えば、輸送体ペプチドをコードする核酸分子は、発現ベクター中にクローニングされ、さらにこの発現ベクターは宿主細胞に導入されて、タンパク質が宿主細胞内で発現する。その後、タンパク質は標準のタンパク質精製技術を用いた適当な精製スキームによって、細胞から単離することができる。これらの多くの技術については、以下で詳述する。
【0062】
したがって、本発明は、図2に示されるアミノ酸配列 (配列番号:2)からなるタンパク質、例えば、図1に示される転写/cDNA核酸配列 (配列番号:1)および図3に示されるゲノム配列 (配列番号:3)によりコードされるタンパク質を提供するものである。このようなタンパク質のアミノ酸配列を図2に示す。このようなタンパク質の最終的なアミノ酸配列がこのアミノ酸配列である場合、タンパク質はアミノ酸配列からなる。
【0063】
本発明はさらに、図2に示されるアミノ酸配列 (配列番号:2)から実質的になるタンパク質、例えば、図1に示される転写/cDNA核酸配列 (配列番号:1)および図3に示されるゲノム配列 (配列番号:3) によりコードされるタンパク質を提供するものである。このようなアミノ酸配列に数個の付加アミノ酸残基、例えば、最終的なタンパク質中に約1個〜約100個程度の付加残基、一般的には1個〜約20個の付加残基が存在する場合、タンパク質はアミノ酸配列から実質的になる。
【0064】
本発明はさらに、図2に示されるアミノ酸配列 (配列番号:2)を含むタンパク質、例えば、図1に示される転写/cDNA核酸配列 (配列番号:1) および図3に示されるゲノム配列 (配列番号:3) によりコードされるタンパク質を提供するものである。このアミノ酸配列が、タンパク質の最終的なアミノ酸配列の少なくとも一部である場合、タンパク質はアミノ酸配列を含む。このような場合、タンパク質はペプチドのみであるか、またはタンパク質と天然に結合しているアミノ酸残基(連続するコード配列)もしくは非相同アミノ酸残基/ペプチド配列のような付加アミノ酸分子を有することができる。このようなタンパク質は、数個の付加アミノ酸残基を有するか、または数百もしくはそれ以上の付加アミノ酸を含むことができる。本発明の輸送体ペプチドが含まれるタンパク質の好ましい種として、天然の成熟タンパク質がある。これらの様々な種のタンパク質を調製/単離する方法について、以下に簡単に述べる。
【0065】
本発明の輸送体ペプチドは、キメラまたは融合タンパク質を形成するために、非相同性の配列に結合することができる。このようなキメラおよび融合タンパク質は、輸送体ペプチドに対して実質的に相同性のないアミノ酸配列を有する非相同タンパク質に、機能的に結合される輸送体ペプチドを含む。「機能的に結合される」とは、輸送体ペプチドと非相同タンパク質がフレーム中で融合していることを意味する。非相同タンパク質は、輸送体ペプチドのN末端またはC末端に融合されることができる。
【0066】
いくつかの使用において、融合タンパク質は、輸送体ペプチド自体の活性に影響を及ぼさない。例えば、融合タンパク質には、βガラクトシダーゼ融合、酵母ツーハイブリッドGAL融合、ポリHis融合、MYC標識、HI標識およびIg融合などの酵素融合タンパク質が含まれるが、これらに限定されるものではない。このような融合タンパク質、特にポリHis融合は、組換え輸送体ペプチドの精製を容易にすることができる。ある種の宿主細胞(例えば哺乳類の宿主細胞)においては、タンパク質の発現および/または分泌は、非相同シグナル配列を用いることにより増加させることができる。
【0067】
キメラまたは融合タンパク質は、標準の組換えDNA技術により製造することができる。例えば、異なるタンパク質配列をコードするDNA断片は、従来技術にしたがってフレーム中に共に連結される。他の態様では、融合遺伝子は、自動DNA合成機を含む従来技術により合成することが可能である。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅にアンカープライマーを用い、2つの連続的な遺伝子断片間に相補的な突出部を形成し、その後アニーリングし、再増幅して、キメラ遺伝子配列を作製することができる (Ausubelら、「分子生物学の最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、1992参照) 。さらに、既に融合部分(例えばGSTタンパク質)をコードした多くの発現ベクターが市販されている。輸送体ペプチドをコードする核酸を、融合部がフレーム中で輸送体ペプチドに結合するようにして、このような発現ベクター中にクローニングすることができる。
【0068】
以上説明したように、本発明はまた、天然のペプチド成熟形態、ペプチドの対立遺伝子/配列変異体、非天然のペプチドの組換え誘導変異体、ならびにペプチドのオルソログおよびパラログなど、本発明のタンパク質のアミノ酸配列における明らかな変異体を提供、および実施可能にするものである。このような変異体は、核酸組換え技術およびタンパク質生化学の分野で公知の技術を用いることにより、容易に生成することができる。しかし、当然のことながら、この変異体には、本発明以前に開示されているいずれのアミノ酸配列も含まれないものである。
【0069】
このような変異体は、本明細書に示される分子技術および配列情報を用いることにより、容易に同定/製造することが可能である。さらに、このような変異体は、本発明の輸送体ペプチドに対する配列および/または構造上の相同性に基づいて、他のペプチドと容易に区別することができる。この相同性/同一性の程度は、主に、ペプチドが機能的な変異体であるか非機能的な変異体であるか、パラログファミリー中に存在する相違量、およびオルソログ間の進化距離に基づいて判断される。
【0070】
2つのアミノ酸配列、または2つの核酸配列の同一性割合(%)を決定するために、最適な比較を行う目的で配列は整列される(例えば、最適なアライメントのために、ギャップが第一および第二アミノ酸または核酸配列の一方または両方に導入され、非相同性配列は比較を行う目的のために無視することができる)。好ましい態様としては、基準配列の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上が、比較目的に応じて整列化される。その後、対応するアミノ酸の位置またはヌクレオチドの位置上のアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第一配列での位置が、第二配列において対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められている場合、分子はその位置と同一である(ここで用いられているアミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」と同等である)。2つの配列間の同一性割合(%)は、配列において共有される同一配置数の関数であり、ギャップ数および各ギャップ長さを考慮し、ギャップは2つの配列の最適なアライメントのために導入される必要がある。
【0071】
2つの配列間における、配列の比較ならびに同一性割合(%)および類似性割合(%)の決定は、数学的アルゴリズムを用いて行うことができる(「計算分子生物学(Computational Molecular Biology)」、Lesk, A.M.編、Oxford University Press、New York、1988;「バイオコンピューティング:情報学およびゲノムプロジェクト(Biocomputing: Informatics and Genome Projects)」、Smith, D.W.編、Academic Press、New York、1993;「配列データのコンピュータ解析、パート1(Computer Analysis of Sequence Data, Part 1)」、Griffin, A.M.,およびGriffin, H.G.編、Humana Press、New Jersey、1994;「分子生物学における配列解析(Sequence Analysis in Molecular Biology)」、von Heinje, G.、Academic Press、1987;ならびに「配列解析プライマー(Sequence Analysis Primer)」、Gribskov, M.およびDevereux, J.編、M Stockton Press、New York、1991)。好ましい態様として、2つのアミノ酸配列間の同一性割合(%)はGCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)のGAPプログラムに組み込まれたニードルマン(Needleman)およびヴンシュ(Wunsch)アルゴリズム(J. Mol. Biol. (48):444-453 (1970))を用い、Blossom62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびにギャップ重量16、14、12、10、8、6または4、および長さ重量1、2、3、4、5または6を用いて決定される。さらに好ましい態様としては、2つのヌクレオチド配列間の同一性割合(%)は、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)のGAPプログラム (Devereux, J.,ら、(Nucleic Acids Res. 12(1) : 387 (1984))を用い、NWSgapdna. CMPマトリックス、ならびにギャップ重量40、50、60、70または80、および長さ重量1、2、3、4、5または6を用いて決定される。他の態様としては、2つのアミノ酸またはヌクレオチド配列間の同一性割合(%)は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたE. メイヤー(E. Myers)およびW. ミラー(W. Miller)のアルゴリズム (CABIOS、4:11-17 (1989))を用い、PAM120重量残基表、ギャップ長ペナルティ12、およびギャップペナルティ4を用いて決定される。
【0072】
本発明の核酸およびタンパク質配列を、例えば他のファミリーまたは関連した配列を同定するために、配列データベースに対して検索を行う「クエリー配列」としてさらに使用することができる。このような検索は、アルツシュル(Altschul)らのNBLAST、およびXBLASTプログラム(バージョン2.0)(J. Mol. Biol. 215:403-10 (1990))を用いて行うことができる。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子に相同性のあるヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラムを用い、スコア(score)=100、ワード長(wordlength)=12で行うことができる。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質に相同性のあるアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラムを用い、スコア=50、ワード長=3で行うことができる。比較目的のギャップアライメントを得るために、アルツシュル(Altschul)らの記載のように、ギャップBLAST(Gapped BLAST)(Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402 (1997))を用いることができる。BLASTおよびギャップBLASTプログラムを用いる際には、各プログラム(例えばXBLASTおよびNBLAST)の既定のパラメータを用いることができる。
【0073】
本発明のペプチドの1つを含む、プロセシング前の全長型、ならびにプロセシングを受けた成熟型のタンパク質は、本発明の輸送体ペプチドの1つと完全な配列同一性を有するものとして、ならびに本明細書に提供する輸送体ペプチドと同じ遺伝子座によってコードされるものとして、容易に同定することができる。図3に提示されるデータにより示されるように、新規輸送体をコードしている本発明によって提供される遺伝子は、公開されているBAC AC034305に位置し、ヒト第17染色体上に位置することが公知である。
【0074】
輸送体ペプチドの対立遺伝子変異体は、輸送体ペプチドの少なくとも一部に対して高度の(有意な)配列相同性/同一性を有するヒトタンパク質として、ならびに本明細書に提供する輸送体ペプチドと同じ遺伝子座によってコードされるものとして、容易に同定することができる。遺伝子座は、ヒト基準(reference human)に対して位置づけられたゲノム配列などの、図3に提供したゲノム情報に基づいて容易に決定しうる。図3に提示されるデータにより示されるように、新規輸送体をコードしている本発明によって提供される遺伝子は、公開されているBAC AC034305に位置し、ヒト第17染色体上に位置することが公知である。本明細書で用いる場合、アミノ酸配列が典型的には少なくとも約70%〜80%、80%〜90%、より典型的には少なくとも約90%〜95%またはそれ以上相同なとき、2つのタンパク質(またはタンパク質の領域)は有意な相同性を有する。本発明による有意に相同なアミノ酸配列は、輸送体ペプチドをコードする核酸分子と、以下にさらに詳細に説明するストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされると考えられる。
【0075】
輸送体ペプチドのパラログは、輸送体ペプチドの少なくとも一部に対して、ある程度の著しい配列相同性/同一性を有し、ヒト由来の遺伝子によってコードされ、かつ同様の活性または機能を有しているものとして、容易に同定することができる。アミノ酸配列が、所与の領域またはドメインを通じて、典型的に少なくとも約60%またはそれ以上、さらに典型的には少なくとも約70%またはそれ以上の相同性を有する場合、2つのタンパク質は典型的にはパラログであると考えられる。このようなパラログは、より詳細には以下に述べられるような穏やかな条件からストリンジェントな条件下で、輸送体ペプチドをコードする核酸分子とハイブリダイズする核酸配列によりコードされると考えられる。
【0076】
輸送体ペプチドのオルソログは、輸送体ペプチドの少なくとも一部に対してある程度の著しい配列相同性/同一性を有し、他の生物由来の遺伝子によってコードされているものとして、容易に同定することができる。好ましいオルソログは、哺乳類、好ましくは霊長類から単離され、ヒトの治療標的および治療薬剤の開発のために用いられる。このようなオルソログは、より詳細には以下に述べられるような、穏やかな条件からストリンジェントな条件下で、輸送体ペプチドをコードする核酸分子とハイブリダイズするような核酸配列によりコードされると考えられ、これはタンパク質を生成する2つの生物の関連性の程度に依存する。
【0077】
本発明の輸送体ペプチドの非天然の変異体は、組換え技術を用いて容易に生成することができる。このような変異体には、輸送体ペプチドのアミノ酸配列中における欠失、付加、および置換によるものが含まれるが、これらに限定されるものではない。例えば、置換の1種として、保存的アミノ酸置換が挙げられる。この置換は、輸送体ペプチドにおける所与のアミノ酸が同様の特徴を持つ他のアミノ酸によって置換されるものである。保存的置換として典型的に見られるものには、脂肪族のアミノ酸Ala、Val、LeuおよびIleの中の一つから他の一つへの置換、ヒドロキシル残基SerとThr間の置換、酸性残基AspとGluとの置換、アミド残基AsnとGln間の置換、塩基性残基LysとArgとの置換、ならびに芳香族残基PheとTyrとの置換がある。どのアミノ酸変化が表現型としてサイレントになる可能性を有するかに関する指針については、ボウイ(Bowie)ら、Science 247:1306-1310 (1990)に述べられている。
【0078】
変異輸送体ペプチドは、完全に機能しているか、または例えばリガンド結合能、リガンド輸送能、シグナル伝達調節能などの一つもしくは複数の活性において機能が欠失していることがある。完全に機能的な変異体には、典型的に、保存的な変異、または致命的でない残基における変異もしくは致命的でない領域内での変異のみが含まれる。図2は、タンパク質分析の結果を示しており、致命的ドメイン/領域を同定するのに使用することができる。機能的変異体には、機能が変化しない、または著しい機能変化の無い類似アミノ酸の置換も含まれるうる。他方、このような置換は、ある程度機能に対して正または負の影響を及ぼすことがある。
【0079】
非機能的変異体には、典型的に、1つもしくは複数の非保存的なアミノ酸の置換、欠失、挿入、反転もしくは切断、または致命的な残基もしくは致命的な領域内での置換、挿入、反転もしくは欠失が含まれる。
【0080】
機能において必須のアミノ酸は、例えば、特定部位の突然変異誘発、またはアラニンスキャニング突然変異誘発(Cunninghamら、Science 244:1081-1085 (1989))等の当技術分野における既知の方法により、特に図2に示す結果を用いて同定することができる。アラニンスキャニング突然変異誘発では、分子内の全ての残基において、単独のアラニン突然変異を導入する。この結果生じた変異分子は、その後、輸送体活性のような生物活性、またはインビトロ増殖活性分析のようなアッセイのために試験される。結合対象/基質結合にとって重要な部位は、結晶化、核磁気共鳴、または光学的親和性標識等の構造解析によって決定される(Smithら、J. Mol. Biol. 224:899-904 (1992) ; de Vosら、Science 255:306-312 (1992) )。
【0081】
本発明はさらに、輸送体ペプチドの断片を提供し、このような断片を含む、およびこのような断片からなるタンパク質およびペプチドに加え、特に図2に同定された残基を含むタンパク質およびペプチドを提供するものである。しかしながら、本発明に関連する断片は、本発明より以前に公開されている断片を含むものとは見なされない。
【0082】
本明細書で使用されるように、断片は、輸送体ペプチドの少なくとも8個、10個、12個、14個、16個またはそれ以上の連続するアミノ酸を含む。このような断片は、輸送体ペプチドの1つもしくは複数の生物活性を保持する能力に基づいて選択されるか、または基質との結合もしくは抗原としての作用等の機能を果たす能力によって選択され得る。特に重要な断片は生物活性断片であり、これは例えば、約8個またはそれ以上の長さのアミノ酸のペプチドである。このような断片は、典型的には、例えば活性部位、膜貫通ドメインまたは基質結合ドメインのような、輸送体ペプチドのドメインまたはモチーフを含むと考えられる。さらに、可能な断片としては、ドメインまたはモチーフ含有断片、可溶性ペプチド断片、免疫原性構造含有断片を含むが、これらに限定されるものではない。推定されるドメインおよび機能性部位は、当業者にとって容易に入手可能な公知のコンピュータプログラム(例えばPROSITE分析)により、容易に確認することができる。このような分析の1つによる結果を図2に示す。
【0083】
ポリペプチドは、一般に、20天然アミノ酸と呼ばれている20種のアミノ酸以外のアミノ酸をしばしば含む。さらに、末端アミノ酸を含む多くのアミノ酸は、プロセシングおよび他の翻訳後修飾等の天然の過程、または当技術分野において公知の化学修飾技術によって修飾され得る。輸送体ペプチドにおいて天然に生じる一般的な修飾については、基本的なテキスト、詳細な文献および研究論文に記述されており、これは当業者に周知である。(これらの特性のいくつかは図2において確認される)。
【0084】
既知の修飾としては、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラビンの共有結合付加、ヘム部分の共有結合付加、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合付加、脂質または脂質誘導体の共有結合付加、ホスファチジルイノシトールの共有結合付加、架橋結合、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸塩の形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニン化などのタンパク質へのアミノ酸の転写RNA媒介付加、およびユビキチン化を含むが、これらに限定されるものではない。
【0085】
このような修飾は、当業者には周知であり、科学文献に非常に詳細に記載されてきた。グリコシル化、脂質付加、硫酸化、グルタミン酸残基のγ-カルボキシル化、ヒドロキシル化、およびADPリボシル化など、いくつかの特に一般的な修飾は、「タンパク質-構造と分子特性(Proteins - Structure and Molecular Properties)」、第2版、T.E. Creighton、W. H. Freeman and Company、New York (1993) のような多くの基本テキストに記載されている。この点に関する詳細な総説としては、ウォルド F.(Wold, F.)、「タンパク質の翻訳後共有結合修飾(Posttranslational Covalent Modification of Proteins)」、B.C. ジョンソン(B.C. Johnson)編、Academic Press、New York 1-12 (1983); セイフター(Seifter)ら、(Meth. Enzymol. 182: 626-646 (1990))およびラタン(Rattan)ら、(Ann. N.Y. Acad. Sci. 663:48-62 (1992)) のような多くの総説を利用することができる。
【0086】
したがって、本発明の輸送体ペプチドは、誘導体または類似体をも包括するものであり、ここで、置換されたアミノ酸残基は遺伝子コードによってコードされるものではなく、置換基が含まれ、成熟輸送体ペプチドが、輸送体ペプチドの半減期を増加させる化合物(例えば、ポリエチレングリコール)のような他の化合物と融合するか、または付加アミノ酸が、リーダー配列、分泌配列、成熟輸送体ペプチドの精製配列、またはプロ-タンパク質(pro-protein)配列のような成熟輸送体ペプチドと融合する。
【0087】
タンパク質 / ペプチドの使用
本発明のタンパク質は、図面に示される機能情報に関連した、実質的かつ特異的なアッセイ法において、例えば、抗体を産生させる、または他の免疫反応を誘導するため;生物液中におけるタンパク質(またはその結合対象、またはリガンド)レベルの定量のためのアッセイ法に用いる試薬(標識試薬を含む)として;および対応するタンパク質を選択的に発現する(組織の分化もしくは発達または疾患の状態において、構成的もしくは特定の段階のいずれかで発現する)組織のマーカーとして使用することができる。タンパク質が、別のタンパク質もしくはリガンドと結合するか、または結合する可能性を有する場合、例えば、輸送体-エフェクタータンパク質の相互作用、または輸送体-リガンドの相互作用において、このタンパク質を用いて結合対象/リガンドを特定し、結合相互作用の阻害因子を同定するシステムを開発することができる。これらの一部または全ての使用により、商業製品として製品化するための試薬グレードまたはキット形式へと発展させることが可能となる。
【0088】
上に列記した使用を実施する方法は、当業者に周知である。このような方法を開示している参考文献としては、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、サムブルック J.(Sambrook, J.)、E.F. フリッツ(E. F. Fritsch)およびT. マニアティス(T. Maniatis)編、1989、ならびに「酵素学の方法:分子クローニング技術へのガイド(Methods in Enzymology: Guide to Molecular Cloning Techniques)」、Academic Press、バーガー S.L.(Berger, S. L.)およびA.R. キメル(A. R. Kimmel)編、1987がある。
【0089】
実質的な化学的および構造上の相同性が、本明細書に記載のジカルボン酸輸送体タンパク質とジカルボン酸輸送体の間に存在する(図1参照)。背景で論じられるように、ジカルボン酸輸送体はクエン酸の尿排出の主要な決定因子、カルシウム塩の結晶化の強力な阻害剤に関与することが、当技術分野において公知である。したがって、本発明によって提供されるジカルボン酸輸送体およびそれをコードする遺伝子は、腎臓障害のようなジカルボン酸輸送体関連疾患の治療、予防、および/または診断にとって有用である。
【0090】
本発明のペプチドの可能な用途は、主としてタンパク質の供給源ならびにタンパク質のクラス/作用に基づく。例えば、ヒトから単離された輸送体およびそれらのヒト/哺乳類オルソログは、哺乳類の治療的応用、例えばヒト用薬物、特に輸送体を発現する細胞または組織における生物反応または病的反応の調整に用いられる、作用物質を同定するための標的として役立つ。図1に提供した実験データは、胎児の肝臓および脾臓における発現を示す。特に、バーチャル・ノーザンブロットは、胎児の肝臓および脾臓における発現を示す。輸送体タンパク質、特にナトリウム依存性ジカルボン酸輸送体サブファミリーのメンバーの活性を調整する医薬品が、かなり高い比率で開発されつつある(「背景技術」を参照)。背景技術および図面に提供した構造情報および機能情報は、特に図1に提供した発現情報と共に、本発明の分子の具体的かつ実質的な用途を提供する。図1に提供した実験データは、胎児の肝臓および脾臓における発現を示す。このような用途は、当技術分野および日常的な実験において公知の、本明細書に提供した情報を用いて容易に判断することができる。
【0091】
輸送体のポリペプチド(本発明の前に開示された可能性のある変異体および断片を含む)は、ナトリウム依存性ジカルボン酸輸送体サブファミリーのメンバーと関連のある輸送体に関連する、生物学的アッセイ法に有用である。このようなアッセイ法は、本発明が属する輸送体のサブファミリーに対して特異的な輸送体関連状態、特に輸送体を発現する細胞および組織における輸送体関連状態の診断および治療に有用な、公知の輸送体機能もしくは活性または特性のいずれかを必要とする。図1に提供した実験データは、胎児の肝臓および脾臓における発現を示す。特に、バーチャル・ノーザンブロットにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示される。さらに、PCRに基づく組織スクリーニングパネルにより、ヒト胎児の肝臓における発現が示される。
【0092】
輸送体ポリペプチドはまた、細胞系または無細胞系での薬物スクリーニングアッセイ法において有用である。細胞系は自然状態のもの、すなわち、生検材料または細胞培養下で増殖した、輸送体を通常発現する細胞でよい。1つの代替的な態様では、細胞系アッセイ法は、輸送体タンパク質を発現している組換え宿主細胞を含む。
【0093】
ポリペプチドは、天然の状態、または輸送体に関連する特定の疾患もしくは症状を引き起こす改変された形態における、タンパク質の輸送体活性を調節する化合物を同定するために用いることができる。本発明の輸送体、ならびに適当な変異体および断片はいずれも、この輸送体に対して結合能力を持つ候補化合物をアッセイするためのハイスループット・スクリーニングにおいて使用することができる。これらの化合物は、さらに、これらの輸送体活性に対する化合物の作用を判定するために、機能性の輸送体に対してスクリーニングを行うことができる。さらにこれらの化合物は、動物または無脊椎動物系において、活性/効果を判定するために試験することができる。化合物は、輸送体を望ましい程度まで活性化(アゴニスト)または不活化(アンタゴニスト)するかどうかが同定される。
【0094】
さらに、輸送体ポリペプチドは、輸送体タンパク質と、該輸送体タンパク質と通常相互作用する分子(例えば、輸送体タンパク質が通常相互作用するシグナル経路の基質または構成要素(例えば別の輸送体))との間での相互作用を刺激または阻害する能力について、化合物をスクリーニングするために用いることができる。このようなアッセイ法には、一般的に、輸送体タンパク質もしくは断片が標的分子と相互作用し、かつタンパク質と標的との複合物形成を検出することが可能な条件、または膜電位変化、タンパク質リン酸化、cAMPの代謝回転、およびアデニル酸シクラーゼの活性化などの、シグナル伝達の関連作用のいずれかのような、輸送体タンパク質と標的との相互作用の生化学的結果を検出することが可能な条件で、輸送体タンパク質と候補化合物が結合される工程が含まれる。
【0095】
候補化合物としては、例えば、1)最終部がIgの融合ペプチド、およびランダムペプチドライブラリーのメンバーを含む可溶性ペプチド(例えば、Lamら、Nature 354:82-84 (1991); Houghtenら、Nature 354:84-86 (1991)参照)、ならびにD型および/またはL型アミノ酸から構成されるコンビナトリアルケミストリーに由来の分子ライブラリーのメンバーを含むペプチド;2)ホスホペプチド(例えば、ランダムおよび部分的に変更されたホスホペプチドライブラリーのメンバー;例えば、Songyangら、Cell 72:767-778 (1993)参照);3)抗体(例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗イディオタイプ抗体、キメラ抗体、および単鎖抗体、ならびにFab、F(ab')2、Fab発現ライブラリー断片、および抗体のエピトープ結合断片);ならびに4)小型の有機分子および無機分子(例えば、コンビナトリアルおよび天然生成物ライブラリーから得られる分子)が含まれる。
【0096】
ある候補化合物は、リガンド結合において競合する受容体の可溶性断片である。他の候補化合物には、変異輸送体、または輸送体機能に影響を及ぼす変異を含む適切な断片が含まれ、このため、リガンドと競合する。したがって、例えば高い親和性を有するか、または断片がリガンドと結合するが解離しないような、リガンドと競合する断片が本発明に包含される。
【0097】
本発明はさらに、輸送体活性を調節(刺激または阻害)する化合物を同定するための、他のエンドポイントアッセイ法を含む。このアッセイ法は、一般的に、輸送体活性を示すシグナル伝達経路における事象のアッセイを伴う。このため、輸送体タンパク質依存性シグナルカスケードに対する応答を促進または抑制するよう調節される、リガンドの輸送、細胞膜電位の変化、タンパク質の活性化、遺伝子発現の変化についてのアッセイが行われる。
【0098】
輸送体により媒介される生物学的または生化学的な機能は、いずれもエンドポイントアッセイ法として使用されうる。これらは、本明細書に記載されている全ての生化学的または生化学的/生物学的な事象を含み、本明細書に引用される文献には、これらのエンドポイントアッセイ法の標的が参照として本明細書に組み入れられ、また、これらは、当業者に公知であるか、または図面、特に図2の情報を用いて、容易に同定することができる他の機能を含む。特に、輸送体を発現する細胞または組織の生物学的機能についてアッセイを行うことができる。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示される。特に、バーチャル・ノーザンブロットにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示される。加えて、PCRに基づく組織スクリーニングパネルにより、ヒト胎児の肝臓における発現が示される。
【0099】
結合および/または活性化化合物はまた、キメラ輸送体タンパク質を用いることによりスクリーニングを行うことができ、それはアミノ末端細胞外ドメインまたはその一部、7回膜貫通セグメントまたは細胞内もしくは細胞外ループのような膜貫通ドメイン全体または小領域、およびカルボキシル末端細胞内ドメインまたはその一部において、異種ドメインもしくは小領域に置換され得る。例えば、異なるリガンドと相互作用しさらに未処理の輸送体によって認識される、リガンド結合領域を用いることができる。したがって、異なるセットのシグナル伝達構成要素を活性化のエンドポイントアッセイ法として利用することができる。このような方法により、輸送体が由来する特定の宿主細胞以外でアッセイを行うことが可能となる。
【0100】
輸送体ポリペプチドはまた、輸送体と相互作用する化合物(例えば、結合対象および/またはリガンド)を発見するために設計された方法である、競争結合アッセイ法にも有用である。このために、化合物がポリペプチドと結合または相互作用可能な条件下で、化合物を輸送体ポリペプチドと接触させる。可溶性輸送体ポリペプチドもまた混合物中に加えられる。被験化合物が可溶性輸送体ポリペプチドと相互作用する場合、輸送体標的から形成される複合体の量、または活性は減少する。このタイプのアッセイ法は特に輸送体の特定領域と相互作用する化合物を検索する場合に有用である。したがって、標的の輸送体領域と競合する可溶性ポリペプチドは、対象となる領域に対応したペプチド配列を含むように設計されている。
【0101】
無細胞系の薬物スクリーニングアッセイを行うためには、タンパク質の一方または両方の非複合形態からの複合体の分離を促進し、アッセイの自動化に適応させるために、輸送体タンパク質もしくは断片、またはその標的分子のいずれかを固定化することが望ましい場合がある。
【0102】
薬物スクリーニングアッセイ法においては、マトリックスにタンパク質を固定化する技術を使用することができる。ある態様では、融合タンパク質にはタンパク質をマトリックスに結合することのできるドメインを付加することができる。例えばグルタチオン-S-トランスフェラーゼ融合タンパク質を、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemica1、St. Louis、M0)またはグルタチオン誘導マイクロタイタープレート上に吸着することができ、次いで細胞溶解物(例えば、35S標識)と候補化合物とが結合され、複合体形成誘導条件(例えば、塩およびpHの生理学的条件)の下で混合物がインキュベーションされる。インキュベーションの後、非結合標識の除去のためにビーズを洗浄し、マトリックスを固定化して、放射性標識を直接、または複合体を分離した後の上澄みを測定する。あるいは、複合体はSDS-PAGEによりマトリックスから分離することができ、標準の電気泳動技術を用いることによって、ゲルからビーズ画分中の輸送体結合タンパク質のレベルを定量することができる。例えば、ポリペプチドまたはその標的分子のいずれかは、当技術分野に周知の技術を利用して、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合を用いて固定化される。あるいは、タンパク質と反応し、タンパク質と標的分子との結合を妨げない抗体は、プレートのウェルに誘導化され、このタンパク質は抗体との結合によりそのウェルの中に捕らえられる。輸送体結合タンパク質および候補化合物の調製物は、輸送体タンパク質の存在するウェル中で培養され、ウェルに捕らえられた複合体の量を定量することができる。このような複合体を検出する方法としては、GST固定複合体による前述の方法に加えて、輸送体タンパク質標的分子に反応性のある抗体、または、輸送体タンパク質に反応性があり標的分子と競合する抗体を用いた複合体の免疫検出法、および標的分子と関連する酵素活性の検出に基づく酵素結合アッセイ法が含まれる。
【0103】
本発明の輸送体のうちの1つを調節する物質は、上述のアッセイ法の1つまたは複数を単独または組み合わせて用いることにより同定することができる。一般的には、最初に細胞系または無細胞系を用い、次に動物または他のモデル系における活性を確認することが好ましい。このようなモデル系は、当技術分野に周知であり、本記載において容易に用いることができる。
【0104】
これらの薬物スクリーニングアッセイ法によって同定される輸送体タンパク質活性のモジュレータは、輸送体を発現する細胞または組織に処理することによって、輸送体経路により媒介される疾患に罹患する患者の治療に用いることができる。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。これらの治療方法には、薬学的組成物中の輸送体活性のモジュレータを患者の治療に必要な量投与する工程が含まれており、このモジュレータは本明細書に記載のようにして同定される。
【0105】
本発明の他の局面では、輸送体と結合または相互作用し、輸送体活性に関連している他のタンパク質を同定するために、ツーハイブリッドアッセイ法またはスリーハイブリッドアッセイ法 (米国特許第5,283,317号; Zervosら、(1993) Cell 72:223-232; Maduraら、(1993) J. Biol. Chem. 268:12046-12054; Bartelら、(1993) Biotechniques 14:920-924; Iwabuchiら、(1993) Oncogene 8:1693-1696;およびBrent国際公開公報第94/10300号参照)において、輸送体タンパク質を「ベイト(bait)タンパク質」として使用することができる。このような輸送体結合タンパク質は、例えば、輸送体媒介シグナル伝達経路の下流要素としての、輸送体タンパク質または輸送体標的によるシグナル伝達に関与している可能性がある。あるいは、このような輸送体結合タンパク質は、輸送体阻害因子である可能性も考えられる。
【0106】
ツーハイブリッドシステムは、分離可能なDNA結合ドメインおよび活性化ドメインからなる大部分の転写因子のモジュラー性に基づいている。簡単に言うと、このアッセイ法では2つの異なるDNA構造を利用する。一方の構造においては、輸送体タンパク質をコードする遺伝子は、既知の転写因子(例えばGAL4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合される。他方の構造においては、DNA配列ライブラリーから得られ、未知のタンパク質(「プレイ(pray)」または「サンプル(sample)」)をコードするDNA配列が既知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合される。「ベイトタンパク質」および「プレイタンパク質」がインビボで相互作用することができ、輸送体依存性の複合体を形成する場合、転写因子のDNA結合ドメインおよび活性化ドメインは近接する。この近接により、転写因子に反応する転写調節部位に機能的に結合するレポーター遺伝子(例えばLacZ)の転写を行うことができる。レポーター遺伝子の発現を検出することが可能であり、機能的転写調節因子を含む細胞コロニーを単離および使用して、輸送体タンパク質と相互作用するタンパク質をコードするクローン遺伝子を得ることができる。
【0107】
本発明はさらに、前述のスクリーニングアッセイ法によって同定される新規の物質にも関係する。したがって、本明細書に記載されるようにして同定された物質を適当な動物のモデルに使用することも本発明の範囲内である。例えば、本明細書に記載のように同定された物質(例えば輸送体調節物質、アンチセンス輸送体核酸分子、輸送体特異的抗体、または輸送体結合対象)を、これらの物質による治療の有効性、毒性、または副作用を判定するために、動物、または他のモデルで用いることができる。あるいは、本明細書に記載のように同定された物質を、このような物質の作用機構を決定するために、動物または他のモデルで用いることができる。さらに、本発明は、本明細書に記載のように治療のための前記スクリーニングアッセイ法により同定された新規の薬物の使用に関する。
【0108】
本発明の輸送体タンパク質は、ペプチドにより媒介される疾患または素因の診断のための標的を提供するのに有用である。したがって、本発明は、細胞、組織、もしくは生体中のタンパク質(またはコードするmRNA)の存在、またはそのレベルを検出する方法を提供するものである。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。方法には、輸送体タンパク質との相互作用能を有し、その相互作用が検出可能な化合物と生物試料とを接触させる工程が含まれる。このようなアッセイ法は、単一の検出形態、または抗体チップアレイのようなマルチ検出形態で提供される。
【0109】
試料中のタンパク質を検出する1つの物質は、タンパク質に選択的に結合することのできる抗体である。生物試料には、被験者から単離された組織、細胞、および体液、ならびに被験者の内部に存在する組織、細胞、および体液が含まれる。
【0110】
本発明のペプチドはまた、変異ペプチドを持つ患者における、タンパク質の活性、疾患または素因、特に現存するタンパク質ファミリーの他のメンバーで知られる活性および症状の診断に用いるための標的を提供するものである。したがって、ペプチドを生物試料から単離することができ、かつ異常ペプチドを生じる遺伝子突然変異の存在についてアッセイを行うことができる。これは、アミノ酸の置換、欠失、挿入、再配置(異常なスプライシング事象の結果生じる)、および不適当な翻訳後の修飾を含む。分析方法としては、電気泳動移動度の変化、トリプシンペプチド消化の変化、細胞系または無細胞のアッセイ法による輸送体活性の変化、リガンドまたは抗体の結合パターンの変化、等電点の変化、直接アミノ酸配列決定、およびタンパク質の変異の検出に有用な他の公知のアッセイ技術を含む。このようなアッセイ法は、単一の検出形態、または抗体チップアレイのような、マルチ検出形態で提供される。
【0111】
ペプチドのインビトロ検出技術としては、酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)、ウェスタンブロット、抗体、またはタンパク質結合剤のような検出試薬を用いた免疫沈降および免疫蛍光検査法を含む。あるいは、標識された抗ペプチド抗体、または他のタイプの検出物質を被験者に導入することにより、被験者中でペプチドのインビボ検出を行うことができる、例えば、抗体は放射性マーカーにより標識することができ、被験者中のこのマーカーの存在および位置は、標準画像化技術によって検出することができる。被験者において発現されたペプチドの対立遺伝子変異体を検出する方法、および試料中のペプチド断片を検出する方法は、特に有用である。
【0112】
ペプチドはまた、薬理遺伝学的分析においても有用である。薬理遺伝学では、薬物の変化の傾向と、影響を受けたヒトの異常作用にしたがって、薬物に対する応答における臨床的に著しい遺伝的変異について取り扱う。例えば、アイヒェルバウム M.(Eichelbaum, M.) (Clin. Exp. Pharmacol. Physiol. 23(10-11):983-985 (1996))、およびリンダー M.W.(Linder, M.W.)(Clin. Chem. 43(2):254-266 (1997))参照。これらの変異の臨床的な結果は、個体の代謝変異の結果として、ある個体に対しては治療薬物が重い毒性をもたらし、またはある個体に対しては治療の失敗に終わる。このように、個体の遺伝子型は、体内で治療化合物を作用させる方法、または体が化合物を代謝する方法を決定することができる。さらに、酵素を代謝させる薬物の活性は、薬物作用の強度と期間の両方に影響する。このように、個体の薬理遺伝学は、個体の遺伝子型に基づいた予防、または治療的な処置において、効果的な化合物、およびこのような化合物の効果的な投与量の選択を可能とする。酵素代謝性の薬物における、遺伝子多形性の発見により、ある患者は期待される薬効を得られない、過度の薬効を示す、または標準の投薬量から重大な毒性を被るといったことの理由を説明することができる。多形性は、代謝能の高い個体(extensive metabolizer)の表現型と代謝能の低い個体(poor metabolizer)の表現型で表されることができる。したがって、遺伝子の多形性は、ある集団の輸送体機能の1つまたは複数が他の集団のそれと異なるような、輸送体タンパク質の対立遺伝子タンパク質変異に至るかもしれない。このように、ペプチドは治療法に影響しうる遺伝子の素因を確認するための標的となり得る。このため、リガンドベースの治療において、多形性により、リガンド結合活性および輸送体活性化活性がより高いまたはより低い、アミノ末端細胞外ドメインおよび/または他のリガンド結合領域が生じうる。したがって、多形性を含む所与の集団においては、治療効果を最大にするように、リガンド投与量は必然的に修正されると考えられる。遺伝子型同定に代わるものとしては、特定の多形性のペプチドを同定することができる。
【0113】
ペプチドはまた、タンパク質の発現がない、タンパク質の発現が不適当である、またはタンパク質の発現が望ましくないことによって特徴づけられる障害を治療するために有用である。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。したがって、治療方法には、輸送体タンパク質または断片の使用が含まれる。
【0114】
抗体
本発明はまた、本発明のペプチド、このようなペプチドを含むタンパク質、それらの変異体およびその断片の1つに選択的に結合する抗体を提供するものである。本明細書で用いられているように、抗体が標的ペプチドと結合し、無関係なタンパク質と強く結合しないような場合、抗体は標的ペプチドと選択的に結合している。標的ペプチドと実質的に相同性の無い他のタンパク質と結合していても、そのタンパク質が抗体の標的となるペプチドの断片またはドメインと相同性を有している限り、抗体は選択的にペプチドと結合すると考えられる。この場合、ペプチドに結合している抗体は、ある程度の交差反応性を持つにも関わらず、なお選択的であると理解される。
【0115】
本明細書で用いられるように、抗体は当技術分野で認められているものと同じ用語で定義され、これらは、抗原の投与に応答して哺乳類生物により生成されるマルチサブユニットタンパク質である。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、およびこれらの抗体の断片を含み、FabまたはF(ab')2、およびFv断片を含むが、これに限定されるものではない。
【0116】
所与の標的ペプチドに対する抗体の生成および/または同定について、多くの方法が知られている。このような方法のいくつかは、ハーロウ(Harlow)、「抗体(Antibodies)」、Cold Spring Harbor Press、(1989) に記載されている。
【0117】
一般に、抗体を生成するためには、単離ペプチドを免疫原として用い、例えばラット、ウサギ、またはマウスのような哺乳類生物に投与する。全長タンパク質、抗原性ペプチド断片または融合タンパク質を用いることができる。特に重要な断片は、図2において同定されるドメインのような、機能ドメインを含むものであり、タンパク質アライメント方法を使用して容易に同定することができ、図面に示されているようなファミリーと配列相同性または相違性を持つドメインである。
【0118】
抗体は、好ましくは輸送体タンパク質の領域、または単離された断片から調製される。抗体は、本明細書に記載されるように、ペプチドのいかなる領城からでも調製することができる。しかしながら、好ましい領域には、機能/活性、および/または輸送体/結合対象の相互作用に関係している領域が含まれると考えられる。図2は特に重要な領域を同定するのに用いることができ、この時、配列アライメントは保存された特有の配列断片を同定するのに用いることができる。
【0119】
抗原性断片は、一般的に、少なくとも8個の連続するアミノ酸残基を含むと考えられる。抗原性ペプチドは、少なくとも10個、12個、14個、16個またはそれ以上のアミノ酸残基を含むことができる。このような断片は、例えば、タンパク質の表面上に位置する領域、例えば、親水性の領域に対応する断片のような物理的な性質、または配列の特異性(図2参照)に基づいて選択することができる。
【0120】
本発明の抗体の検出は、検出可能な物質と抗体とのカップリング(すなわち、物理的な結合)によって容易に行うことができる。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光性物質、発光性物質、生物発光性物質、および放射性物質が含まれる。好適な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼを含み、好適な補欠分子族複合体の例としては、ストレプトアピジン/ビオチン、およびアビジン/ビオチンを含み、好適な蛍光性物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセイン・イソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロライド、またはフィコエリトリンを含み、発光性物質の例としては、ルミノールを含み、生物発光性物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンを含み、ならびに好適な放射性物質の例として、は125I、131I、35S、または3Hを含む。
【0121】
抗体の使用
抗体は、本発明のタンパク質の1つを、アフィニティクロマトグラフィ、または免疫沈降のような標準の技術によって単離するために用いることができる。抗体は、細胞からの天然型タンパク質、および宿主細胞で発現される組換えによって産生されたタンパク質の精製を容易にすることができる。さらに、このような抗体は、生体内の様々な組織または通常の発達工程におけるタンパク質の発現パターンを決定するため、細胞または組織内における本発明のタンパク質の存在の検出に有用である。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。特に、バーチャル・ノーザンブロットにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。加えて、PCRに基づく組織スクリーニングパネルにより、ヒト胎児の肝臓における発現が示されている。さらに、このような抗体は、発現の量およびパターンを評価するための、インサイチュー、インビトロ、細胞溶解物中、および上澄み中でのタンパク質の検出に用いることができる。また、このような抗体は、生物学的状態の発達または進行の間、異常な組織分布または異常な発現を評価するのに用いることができる。全長タンパク質の循環断片における抗体検出は、代謝回転を同定するのに用いることができる。
【0122】
さらに、抗体は、タンパク質に関連した疾患の活発な段階、または該疾患素因を持つ個体などの、疾患状態における発現を評価するのに用いることができる。障害が不適当な組織分布、発生における発現、タンパク質の発現レベル、または発現/進行状態に起因する場合、抗体は通常のタンパク質に対して調製される。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。障害がタンパク質の特定の変異により特徴づけられる場合、この変異タンパク質に特異的な抗体を、特定の変異タンパク質の存在についてアッセイするために用いることができる。
【0123】
抗体はまた、生体内の各種組織における、細胞の正常または異常な細胞内局在を評価するのに用いることができる。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。診断的な使用は、遺伝子の試験だけでなく、治療法をモニターすることにも適用することができる。したがって、治療が最終的に、発現レベル、または異常配列および異常組織分布の存在、または発生における発現を修正することを目指すものである場合、タンパク質または関連する断片に対して誘導された抗体を、治療の有効性をモニターするのに用いることができる。
【0124】
さらに、抗体は薬理遺伝学的分析に有用である。このように、多形性のタンパク質に対して調製される抗体は、治療法の修正を必要とする個体を特定するために用いることができる。抗体は、また、電気泳動移動度、等電点、トリプシンペプチド消化、および当業者に周知の他の物理的なアッセイ法によって分析される異常タンパク質の免疫学的なマーカーのような診断上の手段としても有用である。
【0125】
抗体はまた、組織型の分類にも有用である。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。このように、特定のタンパク質が特定の組織中の発現と相関していた場合、このタンパク質に特異的である抗体を、組織型を同定するために用いることができる。
【0126】
抗体はまた、タンパク質機能を阻害するのに有用であり、例えば、リガンドまたはタンパク質結合対象のような結合対象への輸送体ペプチドの結合を妨害する。これらの使用はタンパク質の機能阻害に関連する治療状況において適用されることができる。抗体は、例えば、結合を妨害し、ペプチド活性を調節(アゴナイズまたはアンタゴナイズ)することに用いることができる。抗体は、機能のために必要な部位を含む特定の断片に対して、または細胞もしくは細胞膜と関係している完全タンパク質に対して調製される。図2に、本発明のタンパク質に関する構造情報を示す。
【0127】
本発明はまた、生物試料中のタンパク質の存在を検出するために抗体を用いたキットを包含する。キットには、標識された抗体または標識可能な抗体、および生物試料中でタンパク質を検出するための化合物または試薬;試料中のタンパク質量を決定する手段;試料中のタンパク質量と標準の量とを比較する手段;ならびに使用のための説明を含む。このようなキットは、単一のタンパク質もしくはエピトープを検出するために提供するか、または抗体検出アレイのように、多数のエピトープのうちの1つを検出するように構成することができる。
【0128】
核酸分子
本発明は、さらに本発明の輸送体ペプチドまたはタンパク質をコードする単離核酸分子(cDNA、転写、およびゲノム配列)を提供するものである。このような核酸分子は、本発明の輸送体ペプチドの1つをコードするヌクレオチド配列、これらの対立遺伝子変異体、またはこれらのオルソログもしくはパラログからなる、本質的になる、または含むと考えられる。
【0129】
本明細書に用いられているように、「単離」核酸分子は、核酸の天然起源に存在する他の核酸から分離されたものである。好ましくは、「単離」核酸はその核酸の由来となる生物のゲノムDNAにおいて、核酸に天然に隣接する配列(すなわち、核酸の5'末端および3'末端に位置する配列)は含まない。しかしながら、例えば、約5KB、4KB、3KB、2KBまたは1KB未満まで、特に連続するペプチドをコードする配列、および同一遺伝子内であるが、ゲノム配列中のイントロンにより分離されているペプチドをコードする配列のような、いくつかの隣接ヌクレオチド配列がある。重要な点は、核酸が、本明細書に記載されるような特定の操作、例えば、組換え発現、プローブやプライマ一の調製、および核酸配列のための他の特定の使用等に取り扱うことができるように、離れた重要でない隣接配列から分離されているということである。
【0130】
さらに、例えば、転写/cDNA分子のような「単離」核酸分子は、他の細胞物質、組換え技術により製造される場合には培地、または化学的に合成される場合には化学前駆体もしくは他の化学物質を、実質的に含まない。しかしながら、この核酸分子は、他のコード配列または他の調節配列に融合されることができるが、これは単離されたものとして考えられる。
【0131】
例えば、ベクターに含まれる組換えDNA分子は、単離されたものとして考えられる。さらなる単離DNA分子の例には、非相同性の宿主細胞中に保持された組換えDNA分子、または溶液中の精製(部分的または実質的に)されたDNA分子が含まれる。単離されたRNA分子は、本発明の単離DNA分子の、インビボまたはインビトロでのRNA転写産物を含む。本発明による単離核酸分子としては、合成的に製造された分子をさらに含む。
【0132】
したがって、本発明は、図1または図3(配列番号:1、転写配列、および配列番号:3、ゲノム配列)に記載のヌクレオチド配列からなる核酸分子、または図2(配列番号:2)に記載のタンパク質をコードする任意の核酸分子を提供するものである。ヌクレオチド配列がこの核酸分子の完全なヌクレオチド配列であるとき、核酸分子はヌクレオチド配列からなる。
【0133】
本発明はさらに、図1または図3(配列番号:1、転写配列、および配列番号:3、ゲノム配列)に記載のヌクレオチド配列から実質的になる核酸分子、または図2(配列番号:2)に記載のタンパク質をコードする任意の核酸分子を提供するものである。最終的な核酸分子において、このようなヌクレオチド配列がごくわずかの付加核酸残基とともに存在するとき、核酸分子はヌクレオチド配列から実質的になる。
【0134】
本発明はさらに、図1または図3(配列番号:1、転写配列、および配列番号:3、ゲノム配列)に記載のヌクレオチド配列を含む核酸分子、または図2(配列番号:2)に記載のタンパク質をコードする任意の核酸分子を提供するものである。ヌクレオチド配列が核酸分子の最終的なヌクレオチド配列の少なくとも一部である場合、核酸分子はヌクレオチド配列を含む。これによると、核酸分子は、そのヌクレオチド配列だけであるか、または付加的な核酸残基、例えば、それに天然に関連する核酸残基、または非相同性のヌクレオチド配列を有することもできる。このような核酸分子は、ごくわずかの付加的なヌクレオチドを有するか、または数百もしくはそれ以上の付加的なヌクレオチドを含むこともできる。これらの種々のタイプの核酸分子を容易に生成/単離する方法について、以下に簡単に述べる。
【0135】
図1および図3に、コード配列および非コードの配列の両者が示される。本発明の起源である、ヒトゲノム配列(図3)、およびcDNA/転写配列(図1)のため、図面中の核酸分子は、ゲノムイントロン配列、5'と3'の非コード配列、遺伝子調節領城、および非コード遺伝子間配列を含むと考えられる。一般に、このような配列の特徴は、図1および図3の両方において記載されているか、または当技術分野において公知の計算手段を用いて容易に同定することができる。以下で議論されるように、いくつかの非コード領域、特にプロモーターのような遺伝子調節要素は、例えば、非相同性の遺伝子発現の制御、遺伝子活性を調節する化合物同定のための標的等の種々の目的にとって有用であり、また特に、本明細書で提供されるゲノム配列の断片として主張されている。
【0136】
単離核酸分子は、成熟したタンパク質と付加的アミノ末端もしくはカルボキシル未端アミノ酸、または成熟ペプチド内のアミノ酸(例えば、成熟形態が1つより多くのペプチド鎖を有する場合)をコードすることができる。このような配列は、前駆体から成熟した形態へのタンパク質のプロセシングにおいて、タンパク質搬送の促進、タンパク質半減期の延長もしくは短縮、またはタンパク質のアッセイもしくは製造の際の操作の効率化、または他の事象における役割を果たし得る。一般に、インサイチューの場合、付加アミノ酸は細胞酵素によって成熟したタンパク質へとプロセシングされてもよい。
【0137】
上述したように、単離核酸分子は、輸送体ペプチドのみをコードする配列、成熟したペプチドをコードする配列、およびリーダー配列または分泌配列(例えば、プレ-プロ(pre-pro)、プロ-タンパク質配列)のような付加的なコード配列を含むが、これに限定されるものではなく、付加的なコード配列および付加的な非コード配列、例えば、イントロンと非コード5'配列および3'配列のような、転写されるが翻訳はされない、転写、mRNAプロセシング(スプライシングおよびポリアデニル化シグナルを含む)、リボソームの結合、およびmRNAの安定性の役割を果たすものを含んでも含まなくても良い。加えて、核酸分子は、例えば、精製を容易にするペプチドをコードするマーカー配列と融合されることもできる。
【0138】
単離核酸分子は、mRNAのようなRNAの形態、またはクローニングによって得られるかもしくは化学合成技術もしくはその組み合わせによって生成されるcDNAおよびゲノムDNAを含む、DNAの形態をとり得る。核酸、特にDNAは、二本鎖、または一本鎖であり得る。一本鎖の核酸は、コード鎖(センス鎖)、または非コード鎖(アンチセンス鎖)であり得る。
【0139】
本発明はさらに、本発明のペプチドの断片をコードする核酸分子と同様に、上記したような本発明の輸送体タンパク質の明らかな変異体をコードする核酸分子を提供するものである。このような核酸分子は、対立遺伝子変異体(同一遺伝子座)、パラログ(異なる遺伝子座)、およびオルソログ(異なる生物)のように天然に発生するか、または組換えDNA法もしくは化学合成によって生成され得る。このような非天然に発生する変異体は、核酸分子、細胞または生物に適用される技術を含む突然変異誘発技術によって生成され得る。したがって、上述したように、変異体にはヌクレオチドの置換、欠失、反転、および挿入が含まれうる。変異は、コード領域および非コード領域のいずれか、または両方で起こりうる。変異は、保存的アミノ酸置換および非保存的アミノ酸置換の両方を生じることができる。
【0140】
本発明はさらに、図1および図3に示される核酸分子の非コードの断片を提供するものである。好ましい非コードの断片としては、プロモーター配列、エンハンサー配列、遺伝子調節配列、および遺伝子終結配列が含まれるが、これに限定されるものではない。このような断片は、非相同性の遺伝子発現の制御、および遺伝子調節物質の同定を行うためのスクリーニングの開発において有用である。プロモーターは、図3のゲノム配列における5'からATG開始部位において容易に同定される。
【0141】
断片は、12個またはそれ以上のヌクレオチドの連続するヌクレオチド配列を含む。さらに、断片は少なくとも30個、40個、50個、100個、250個、または500個のヌクレオチド長であり得る。断片の長さは使用目的に基づく。例えば断片は、ペプチドのエピトープ関連領域をコードすることができるか、またはDNAプローブおよびDNAプライマーとして有用である。このような断片は、オリゴヌクレオチドプローブを合成するための既知のヌクレオチド配列を用いて単離することができる。標識されたプローブは、コード領域と対応する核酸を単離するため、cDNAライブラリー、ゲノムDNAライブラリー、またはmRNAのスクリーニングに用いることができる。さらに、プライマーは、遺伝子の特定領域をクローニングするためのPCR反応に用いることができる。
【0142】
プローブ/プライマーは一般的に、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド対を含む。オリゴヌクレオチドは、一般に、少なくとも約12個、20個、25個、40個、50個またはそれ以上の連続するヌクレオチドに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズされたヌクレオチド配列領域を含む。
【0143】
オルソログ、ホモログ、および対立遺伝子変異体は、当技術分野において周知の方法を用いて同定することができる。ペプチドの項で述べたように、これらの変異体は、ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、図面に示されるヌクレオチド配列、またはこの配列の断片に対して、典型的には、60%〜70%、70%〜80%、80%〜90%、より典型的には、少なくとも約90%〜95%またはそれ以上の相同性を有するものである。このような核酸分子は、穏やかな条件からストリンジェントな条件の下で、図面に示されるヌクレオチド配列またはこの配列の断片に対してハイブリダイズが可能なものとして、容易に同定することができる。対立遺伝子変異体は、コードする遺伝子の遺伝子座で容易に決定されることができる。図3に提示するデータによって示されるように、新規輸送体をコードする本発明によって提供される遺伝子は、ヒト第17染色体上に位置することが公知である、公開されているBAC AC034305に位置する。
【0144】
本明細書に用いられるように、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」という用語は、ペプチドをコードするヌクレオチド配列が、互いに少なくとも60%〜70%の相同性を有し、互いにハイブリダイズしたままである程度にハイブリダイズおよび洗浄が行われる条件を意味している。この条件は、互いに少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、またはそれ以上の配列相同性を有するような配列が、典型的には互いにハイブリダイズしたままであるような条件でありうる。このようなストリンジェントな条件は、当業者に周知であり、「分子生物学の最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley & Sons、N.Y. (1989)、6.3.1-6.3.6. に記載されている。ストリンジェントなハイブリダイズ条件の1つの例では、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃でハイブリダイズし、その後、0.2×SSC、0.1% SDS中、50℃〜65℃で1回または複数回洗浄する。穏やかな、低ストリンジェントのハイブリダイズ条件の例は、当業者において周知である。
【0145】
核酸分子の使用
本発明の核酸分子は、プローブ、プライマー、化学合成中間体、および生物学的アッセイ法において有用である。核酸分子は、図2に示されているペプチドをコードする全長cDNAおよびゲノムクローンを単離するため、ならびに図2に示すペプチドと同一または関連したペプチドを生成する変異体(対立遺伝子、オルソログ等)に対応するcDNAおよびゲノムクローンを単離するために、メッセンジャーRNA、転写/cDNA、およびゲノムDNAのハイブリダイゼーションプローブとして有用である。4個のインデルを含む55個のSNPが、本発明によって提供される輸送体タンパク質をコードする遺伝子中で同定されており、これらを図3に示す。
【0146】
プローブは、図面に示されている核酸分子の全長において、いかなる配列とも対応することができる。したがって、それは5'非コード領域、コード領域、および3'非コード領域から誘導することができる。しかしながら、すでに述べたように、断片は、本発明以前に開示された断片を含むものとして見なされることはない。
【0147】
核酸分子はまた、核酸分子のいずれかの所与の領域を増幅するPCRのプライマーとしても有用であり、所望の長さおよび配列のアンチセンス分子の合成においても有用である。
【0148】
核酸分子はまた、組換えベクターの構築にも有用である。このようなベクターには、ペプチド配列の一部または全部を発現する発現ベクターが含まれる。ベクターはまた、挿入ベクターも含み、これは例えば細胞ゲノム中のような他の核酸分子中に組み込まれ、遺伝子および/または遺伝子産物のインサイチュー発現を変化させるために用いられる。例えば、内因性コード配列では、1つまたは複数の特異的に導入された変異を含むコード領域の全部または一部との相同組換えを経て置換され得る。
【0149】
核酸分子はまた、タンパク質の抗原部分を発現するためにも有用である。
【0150】
核酸分子はまた、インサイチューハイブリダイゼーション法により、核酸分子の染色体位置を決定するためのプローブとしても有用である。図3に提示するデータによって示されるように、新規輸送体をコードする本発明によって提供される遺伝子は、ヒト第17染色体上に位置することが公知である、公表されているBAC AC034305に位置する。
【0151】
核酸分子はまた、本発明の核酸分子の遺伝子調節領域を含むベクターの製造にも有用である。
【0152】
核酸分子はまた、本明細書に記載される核酸分子から生成されるmRNAの全部または一部と対応しているリボザイムの設計にも有用である。
【0153】
核酸分子はまた、ペプチドの一部または全部を発現するベクターの製造にも有用である。
【0154】
核酸分子はまた、核酸分子およびペプチドの一部または全部を発現する宿主細胞の構築にも有用である。
【0155】
核酸分子はまた、核酸分子およびペプチドの一部または全部を発現するトランスジェニック動物の製造にも有用である。
【0156】
核酸分子はまた、核酸発現の存在、レベル、形態、および分布を決定するためのハイブリダイゼーションプローブとしても有用である。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。特に、バーチャル・ノーザンブロットにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。加えて、PCRに基づく組織スクリーニングパネルにより、ヒト胎児の肝臓における発現が示されている。
【0157】
したがって、このプローブは、細胞、組織および生物中での特定の核酸分子の存在を検出するか、またはそのレベルを測定するために使用することができる。レベルが測定される核酸は、DNAまたはRNAでありうる。したがって、本明細書で述べられるペプチドに対応するプローブは、所与の細胞、組織および生物における発現、ならびに/または遺伝子コピー数の評価に用いることができる。これらの使用は、正常値と比較して上昇または低下している輸送体タンパク質の発現を含む障害の診断に適当である。
【0158】
mRNAを検出するインビトロの技術には、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチューハイブリダイゼーションが含まれる。DNAを検出するインビトロの技術には、サザンハイブリダイゼーションおよびインサイチューハイブリダイゼーションが含まれる。
【0159】
プローブは、例えばmRNAもしくはゲノムDNAなどの被験者由来の試料細胞中で輸送体をコードする核酸のレベルを測定したり、または輸送体遺伝子が変異しているかどうかを確認することにより、輸送体タンパク質を発現する細胞もしくは組織を同定する診断試験キットの一部として使用することができる。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。特に、バーチャル・ノーザンブロットにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。加えて、PCRに基づく組織スクリーニングパネルにより、ヒト胎児の肝臓における発現が示されている。
【0160】
核酸発現アッセイ法は、輸送体の核酸発現を調節する化合物を同定する薬物スクリーニングに有用である。
【0161】
したがって、本発明は、輸送体遺伝子の核酸発現に関連した障害、特にそれを発現する細胞および組織において、輸送体が媒介する生物学的過程および病理学的過程に関連した障害の治療に使用可能な化合物を同定する方法を提供する。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。この方法は、典型的には、輸送体核酸の発現を調節する化合物の能力についてアッセイを行う工程、および望ましくない輸送体核酸発現により特徴づけられる障害を治療するのに用いることができる化合物を同定する工程を含む。このアッセイ法は、細胞系および無細胞系において実施することができる。細胞系のアッセイ法には、天然に輸送体核酸を発現する細胞、または特定の核酸配列を発現するために遺伝子操作された組換え細胞が含まれる。
【0162】
輸送体核酸発現のアッセイ法は、例えばmRNAレベルのような核酸レベル、またはシグナル経路に関連する副次化合物の直接的なアッセイ法と関連している。さらに、輸送体タンパク質シグナル経路における応答性を上方調節または下方調節する遺伝子の発現についてもアッセイされる。この態様において、これらの遺伝子調節領域は、ルシフェラーゼのようなレポーター遺伝子に機能的に結合することができる。
【0163】
したがって、輸送体遺伝子発現のモジュレータは、細胞と候補化合物とを接触させ、mRNAの発現を判定する方法により同定されうる。候補化合物の存在下での輸送体mRNAの発現レベルは、候補化合物非存在下での輸送体mRNAの発現レベルと比較される。この比較に基づいて、候補化合物は核酸発現のモジュレータとして同定され、例えば、異常核酸発現により特徴付けられる障害の治療に用いることができる。候補化合物存在下でのmRNAの発現が、非存在下のものと比較して統計的に有意に大きい場合、候補化合物は核酸発現の刺激因子として同定される。候補化合物存在下での核酸発現が、非存在下のものと比較して統計的に有意に小さい場合、候補化合物は核酸発現の阻害因子として同定される。
【0164】
本発明はさらに、輸送体を発現する細胞および組織において輸送体核酸発現を調節する遺伝子モジュレータとしての薬物スクリーニングを経て同定された化合物を用い、標的として核酸を用いる治療方法を提供するものである。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。特に、バーチャル・ノーザンブロットにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。加えて、PCRに基づく組織スクリーニングパネルにより、ヒト胎児の肝臓における発現が示されている。調節は、上方調節(即ち、活性化もしくはアゴニゼーション)もしくは下方調節(抑制もしくはアンタゴニゼーション)の両者、または核酸発現を含む。
【0165】
あるいは、薬物または小分子がタンパク質を発現する細胞および組織中で輸送体核酸発現を阻害するものである限り、輸送体核酸発現のモジュレータは、本明細書に記載されるスクリーニングアッセイ法を用いて同定される小分子または薬物であり得る。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。
【0166】
核酸分子はまた、臨床試験または治療方法において、輸送体遺伝子の発現または活性に対する調節化合物の効果をモニターするのに有用である。したがって、遺伝子発現パターンは、化合物、特に患者の耐性を向上させる化合物を用いた治療における、継続的効果のバロメータとなり得る。遺伝子発現パターンはまた、化合物に対して影響を受けた細胞の生理的反応を示すマーカーとなり得る。したがって、このようなモニタリングにより、化合物の投与量の増加、または患者が耐性を示さない代替化合物の投与を行うことができる。同様に、核酸発現のレベルが望ましいレベルまで低下した場合には、化合物の投与をこれに比例して減少することができる。
【0167】
核酸分子はまた、輸送体核酸発現の質的変化、特に疾患に至る質的変化の診断アッセイ法にも有用である。核酸分子は、輸送体遺伝子およびmRNAのような遺伝子発現産物における突然変異の検出に用いることができる。核酸分子は、輸送体遺伝子において天然に発生した遺伝子突然変異を検出し、それによって、その変異を持つ被験者が変異により生じる障害の危険性を有しているかどうかを判定するためのハイブリダイゼーションプローブとして用いることができる。突然変異は、遺伝子内の1つもしくは複数のヌクレオチドの欠失、付加、または置換、反転もしくは転位のような染色体の再編成、異常メチル化パターンのようなゲノムDNAの修飾、または増幅のような遺伝子コピー数の変化を含む。機能障害に関連する輸送体遺伝子の変異型の検出は、疾患が輸送体タンパク質の過剰発現、過小発現、または発現の変化の結果生じる場合に、疾患の活性または感受性の診断手段を提供するものである。
【0168】
輸送体遺伝子内に突然変異を有する個体は、種々の技術によって核酸レベルにおいて検出されうる。図3に、本発明の輸送体タンパク質をコードする遺伝子内で同定されたSNPについての情報が示される。4個のインデル(「-」で示す)を含む、55個のSNP変異体が見出された。図3に提示するデータによって示されるように、新規輸送体をコードする本発明によって提供される遺伝子は、ヒト第17染色体上に位置することが公知の公表されているBAC AC034305に位置する。ゲノムDNAは直接分析してもよく、または予めPCRを用いて増幅した後で分析してもよい。RNAまたはcDNAも、同様に用いることができる。ある使用においては、突然変異の検出は、アンカーPCRもしくはRACE PCRのような、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号参照)、または他のものとして、ライゲーション連鎖反応(LCR)(例えば、Landegranら、Science 241:1077-1080 (1988);およびNakazawaら、PNAS 91:360-364 (1994) 参照)において、プローブ/プライマーの使用に関連し、後者は遺伝子内の点突然変異の検出に特に有用である(Abravayaら、Nucleic Acids Res. 23:675-682 (1995)参照)。この方法には、患者から細胞試料を回収する工程;試料細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNA、またはその両方)を単離する工程;遺伝子(存在する場合)のハイブリダイズおよび増幅が起こる条件下で遺伝子に特異的にハイブリダイズする1つまたは複数のプライマーと、核酸試料とを接触させる工程;ならびに増幅産物の存在の有無を検出するか、または増幅産物のサイズを検出し、対照試料の長さと比較する工程を含む。欠失および挿入は、増幅産物のサイズの変化を、正常な遺伝子型のものと比較することにより検出することができる。点突然変異は、増幅DNAと正常なRNAまたはアンチセンスDNA配列とハイブリダイズすることによって同定することができる。
【0169】
あるいは、輸送体遺伝子の突然変異は、例えば、ゲル電気泳動により決定される制限酵素消化パターンの変化により、直接的に同定することができる。
【0170】
さらに、配列特異的リボザイム(米国特許第5,498,531号)を、リボザイム開裂部位の発生または滅少により、特定の変異の存在のスコア化に用いることができる。完全に一致する配列は、ヌクレアーゼ開裂消化アッセイ法、または融解温度の違いによって、不一致の配列から識別することができる。
【0171】
特定位置での配列変化はまた、RNA分解酵素およびS1保護、または化学開裂法のようなヌクレアーゼ保護アッセイ法によって評価することができる。さらに、変異輸送体遺伝子と野生型遺伝子との配列の相違は、直接DNA配列決定によって決定することができる。種々の自動化された配列決定手段は、診断アッセイ法(Naeve, C.W.、(1995) Biotechniques 19:448)の実施に有用することができ、これらには、質量分析による配列決定(例えば、国際公開公報第94/16101号; Cohenら、Adv. Chromatogr. 36:127-162 (1996);およびGriffinら、Appl. Biochem. Biotechnol. 38:147-159 (1993) 参照)も含まれる。
【0172】
遺伝子内の突然変異を検出する他の方法には、RNA/RNAまたはRNA/DNA二本鎖から不一致の塩基を検出するために使用される、開裂試薬から保護する方法(Myersら、Science 230:1242 (1985)); Cottonら、PNAS 85:4397 (1988); Saleebaら、Meth. Enzymol. 217:286-295 (1992))、変異体と野生型の核酸の電気泳動移動度を比較する方法(Oritaら、PNAS 86:2766 (1989); Cottonら、Mutat. Res. 285:125-144 (1993);およびHayashiら、Genet. Anal. Tech. Appl. 9:73-79 (1992))、および変性剤の勾配を含むポリアクリルアミドゲル中での変異体または野生型の断片の動きを、変性勾配ゲル電気泳動を用いてアッセイする方法(Myersら、Nature 313:495 (1985))が含まれる。点突然変異を検出する他の技術の例としては、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、および選択的プライマー伸長が含まれる。
【0173】
核酸分子は、治療方法としての効果を持つにも関わらず、必ずしも疾患を引き起こすわけではない遺伝子型のための個体試験においても有用である。このため、核酸分子は、個体の遺伝子型と、治療に用いられる化合物に対する個体の応答との相関(薬理遺伝学的相関)についての研究に用いることができる。したがって、本明細書に記載される核酸分子は、治療のための適切な化合物または投与計画を選択するために、個体における輸送体遺伝子の変異含量の評価に用いることができる。
【0174】
このように、治療に影響する遺伝子変異を示す核酸分子は、個体における目的に適合させた治療に使用可能な診断標的を提供するものである。したがって、これらの多形性を含む組換え細胞および組換え動物の製造は、治療化合物および投与計画についての効果的な臨床設計を可能とする。
【0175】
したがって、核酸分子は、細胞、組織、および生物における輸送体遺伝子発現を制御するためのアンチセンス構築物として有用である。DNAアンチセンス核酸分子は、転写に関連する遺伝子領域に対して相補的になるよう設計され、輸送体タンパク質の転写および産生を阻害する。アンチセンスRNAまたはDNA核酸分子はmRNAとハイブリダイズし、これにより輸送体タンパク質へのmRNAの翻訳が妨害される。
【0176】
あるいは、あるクラスのアンチセンス分子は、輸送体核酸の発現を減少させるためのmRNAの不活性化に用いることができる。したがって、これらの分子は、異常または望ましくない輸送体核酸の発現により特徴づけられる障害の治療に用いることができる。この技術は、mRNAの翻訳能力を減少させるような、mRNAの1つまたは複数の領域に相補的なヌクレオチド配列を含むリボザイム手段による開裂に関連している。可能な領域としては、コード領域、特に、リガンド結合のような輸送体タンパク質の触媒活性および他の機能活性に対応したコード領域を含む。
【0177】
核酸分子はまた、輸送体遺伝子発現において異常な細胞を持つ患者の遺伝子治療のためのベクターを提供するものである。エキソビボで操作され患者に戻される患者の細胞を含む組換え細胞は、個体の体内に導入され、個体細胞内で、個体の治療のために所望の輸送体タンパク質を産生する。
【0178】
本発明はまた、生物試料中の輸送体核酸の存在を検出するためのキットを包含する。図1の実験データにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。特に、バーチャル・ノーザンブロットにより、胎児の肝臓および脾臓における発現が示されている。加えて、PCRに基づく組織スクリーニングパネルにより、ヒト胎児の肝臓における発現が示されている。例えば、キットは、標識された核酸もしくは標識可能な核酸、または生物試料中で輸送体核酸を検出可能な物質を含む試薬;試料中の輸送体核酸量を決定する手段;および試料中の輸送体核酸量と標準の量とを比較する手段を含むことができる。この化合物または物質は適当な容器に封入することができる。このキットは、輸送体タンパク質mRNAまたはDNAの検出キットとして使用するための説明をさらに含むことができる。
【0179】
核酸アレイ
本発明はさらに、核酸検出キットを提供するものであり、これらは、例えば、図1および図3(配列番号:1および3)に示される配列情報に基づいた核酸分子のアレイまたはマイクロアレイである。
【0180】
本明細書に用いられる「アレイ」または「マイクロアレイ」は、紙、ナイロンまたは他のタイプの膜、フィルタ、チップ、ガラススライド、または他の適当な固形支持体のような基板上で合成された異なるポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドのアレイを意味する。1つの態様において、マイクロアレイは、米国特許第5,837,832号、チー(Chee)ら、国際公開公報第95/11995号(Cheeら)、ロックハート D.J.(Lockhart, D. J.)ら(1996; Nat. Biotech. 14: 1675-1680)、およびスキーナ M.(Schena, M.)ら(1996; Proc. Natl. Acad. Sci. 93: 10614-10619)に記載される方法にしたがって調製および使用され、これらの全ては参照として本明細書に組み入れられる。他の態様において、このようなアレイは、ブラウン(Brown)ら、米国特許第5,807,522号に記載される方法により製造される。
【0181】
マイクロアレイまたは検出キットは、好ましくは、多数の特有の一本鎖核酸配列により構成され、通常は合成アンチセンスオリゴヌクレオチドか、またはcDNAの断片のいずれかが固体支持体上に固定される。オリゴヌクレオチドは、好ましくは約6個〜60個のヌクレオチド長、より好ましくは15個〜30個のヌクレオチド長、最も好ましくは約20個〜25個のヌクレオチド長である。あるタイプのマイクロアレイまたは検出キットのためには、7個〜20個のみのヌクレオチド長であるオリゴヌクレオチドを使うことが好適であり得る。マイクロアレイまたは検出キットは、既知の5'配列または3'配列を含むオリゴヌクレオチド、全長配列を含む連続的なオリゴヌクレオチド、または配列の長さにおいて特定領域から選択された特有のオリゴヌクレオチドを含むものであり得る。マイクロアレイまたは検出キットにおいて用いられるポリヌクレオチドは、遺伝子または対象となる遺伝子に対して特異的なオリゴヌクレオチドであり得る。
【0182】
マイクロアレイまたは検出キットのための既知の配列のオリゴヌクレオチドを製造するために、対象となる遺伝子(または本発明のコンティグから同定されたORF)は典型的にはコンピュータアルゴリズムを用いて試験され、ヌクレオチド配列の5'末端または3'末端から開始される。典型的なアルゴリズムでは、遺伝子に特有である規定された長さのオリゴマーが同定され、ハイブリダイゼーションに好適な範囲のGC含量を持ち、ハイブリダイゼーションを妨害しうる予測される二次構造を持たない。ある条件では、マイクロアレイまたは検出キットにおいて、オリゴヌクレオチド対を用いることが好適であり得る。オリゴヌクレオチドの「対」は、好ましくは、配列の中央に位置する1つのヌクレオチドを除いて、同一である。第二の対のオリゴヌクレオチド(一方とは不一致)は対照として用いられる。オリゴヌクレオチド対の数は、2から100万の間でありうる。オリゴマーは、光誘導化学プロセスを用いて、基板上の指定領域で合成される。基板は、紙、ナイロンまたは他のタイプの膜、フィルタ、チップ、ガラススライド、または他の適当な固形支持体である。
【0183】
他の局面において、オリゴヌクレオチドは、国際公開公報第95/251116号(Baldeschweilerら)に記載されるように、化学カップリング手段、およびインクジェットアプリケーション装置を用いて基板の表面上で合成され、これらの全ては参照として本明細書に組み入れられる。他の局面において、ドット(またはスロット)ブロットと類似した「グリッド」アレイでは、真空システム、加熱、UV、力学的または化学的結合工程を用いて、cDNA断片、またはオリゴヌクレオチドを基板の表面上に配列し、結合させることができる。上記のようなアレイは、手工または利用可能な装置(スロットブロット、またはドットブロット装置)、材料(任意の適当な固形支持体)、および機械(ロボット装置を含む)を用いて製造され、8、24、96、384、1536、6144もしくはこれ以上、または市販の装置に効果的に使用される2から100万の間の他の数のオリゴヌクレオチドを含んでもいても良い。
【0184】
マイクロアレイまたは検出キットを用いて試料の分析を行うために、生物試料から得られたRNAまたはDNAは、ハイブリダイゼーションプローブに調製される。mRNAが単離され、cDNAが調製され、アンチセンスのRNA(aRNA)を調製するためのテンプレートとして用いられる。aRNAを蛍光性ヌクレオチドの存在下で増幅し、標識されたプローブをマイクロアレイまたは検出キットと共にインキュベートし、プローブの配列がマイクロアレイまたは検出キット中の相補的なオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする。インキュベーション条件は、正確に相補的に一致しているか、または様々な程度のより低い相補性でハイブリダイゼーションが起こるように調節される。ハイブリダイズしていないプローブを除去した後、蛍光のレベルおよびパターンを判定するためにスキャナが用いられる。スキャンされた画像は、マイクロアレイまたは検出キット上の、相補性の程度および各々のオリゴヌクレオチド配列の相補性の程度および相対的な量を決定するために試験される。生物試料は、任意の体液(例えば血、尿、唾液、痰、胃液など)、培養細胞、生検材料、または他の組織調製物から得られる。検出システムでは、全ての異なる配列において、ハイブリダイゼーションの存在、非存在、および量を、同時に測定するために用いられる。このデータは、試料間での、配列、発現パターン、変異、変異体、または多形性といった、大規模な相関性の研究に用いられる。
【0185】
本発明は、このようなアレイを用いて、本発明の輸送体タンパク質/ペプチドの発現を同定するための方法を提供するものである。詳細には、このような方法は、被験試料と1つまたは複数の核酸分子とをインキュベートする工程、および被験試料中の構成要素と核酸分子との結合についてアッセイを行う工程を含む。このようなアッセイ法は、典型的には、遺伝子の少なくとも1つが本発明の遺伝子および/または本発明の輸送体遺伝子の対立遺伝子である、多くの遺伝子を含むアレイに関連している。
【0186】
被験試料と核酸分子のインキュベーション条件は変化する。インキュベーション条件は、使用されるアッセイ法の形式、使用される検出方法、およびアッセイ法に使用される核酸分子のタイプおよび性質に依存する。当業者は、一般的に利用可能なハイブリダイゼーション、増幅、またはアレイアッセイ法の形式を認識していると思われ、これらは本明細書に開示されるヒトゲノムの新規断片を使用するために容易に適用することができる。このようなアッセイ法の例は、チャード T.(Chard, T.)、「放射標識免疫アッセイ法および関連する技術の概論(An Introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques)」、Elsevier Science Publishers、Amsterdam、The Netherlands (1986); ブロック G.R.(Bullock, G. R.)ら、「免疫細胞化学における技術(Techniques in Immunocytochemistry)」、Academic Press、Orlando, FL、第1巻(1982)、第2巻(1983)、第3巻(1985); ティユセン P.(Tijssen, P.)、「酵素免疫アッセイ法の実践と理論:生化学および分子生物学の実験技術(Practice and Theory of Enzyme Immunoassays: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology)」、Elsevier Science Publishers、Amsterdam、The Netherlands (1985) に記載されている。
【0187】
本発明の被験試料は、細胞、タンパク質、または細胞からの膜抽出物を含む。上記の方法に用いられる被験試料は、アッセイ法の形式、検出方法の性質、およびアッセイ法の試料として用いられる組織、細胞、またはその抽出物に基づいて変化する。核酸抽出物または細胞抽出物の調製方法は当技術分野において周知であり、使用されるシステムと適合する試料を得られるように、容易に適用させることができる。
【0188】
本発明の他の態様としては、本発明のアッセイ法を行うために必要な試薬を含むキットが提供される。
【0189】
特に、本発明は、(a)本明細書に開示されるヒトゲノムの断片と結合可能な核酸分子を含む第一の容器と、(b)1つまたは複数の洗浄試薬、結合核酸の存在を検出可能な試薬を含む、1つまたは複数の他の容器とを含む、1つまたは複数の容器に閉鎖的に封入され、区分されたキットを提供するものである。
【0190】
詳細には、区分されたキットには、試薬が別々の容器に含まれている任意のキットを含む。このような容器としては、小さいガラスの容器、プラスチック容器、帯状のプラスチック、ガラスもしくは紙、または二酸化ケイ素のようなアレイ材料を含む。このような容器は、試料と試薬が交叉汚染しないように、1つの区分から他の区分へと試薬を効率的に移動させることができ、それぞれの容器の試薬または溶液は、1つの区分から他の区分へと定量的に添加されることができる。このような容器には、被験試料を入れる容器、核酸プローブを含む容器、洗浄試薬(例えば、リン酸緩衝食塩水、トリス緩衝液等)を含む容器、および結合プローブの検出に用いられる試薬を含む容器を含むと考えられる。当業者は、本発明にかかる従来より未知の輸送体遺伝子を認識し、本明細書に開示される配列情報を用いて日常的に同定することができ、さらにこれを当技術分野において周知の確立されたキット形式、特に発現アレイに容易に組み込むことができる。
【0191】
ベクター / 宿主細胞
本発明はまた、本明細書に記載される核酸分子を含むベクターを提供するものである。「ベクター」という用語は、媒体のことを言い、好ましくは核酸分子であり、核酸分子を輸送することができるものである。ベクターが核酸分子である場合、核酸分子はベクターの核酸と共有結合している。本発明のこの局面では、ベクターは、プラスミド、一本鎖もしくは二本鎖のファージ、一本鎖もしくは二本鎖のDNAもしくはRNAウイルスベクター、またはBAC、PAC、YACもしくはMACのような人工染色体を含む。
【0192】
ベクターは宿主細胞中に染色体外の要素として保持されてもよく、そこで核酸分子の付加的なコピーを複製および生成する。あるいは、ベクターは宿主細胞のゲノム中に組み込まれてもよく、宿主細胞の複製の際に核酸分子の付加的なコピーを生成する。
【0193】
本発明は、核酸分子の維持のためのベクター(クローニングベクター)、または核酸分子の発現のためのベクター(発現ベクター)を提供するものである。このベクターは、原核生物細胞もしくは真核生物細胞、またはその両方で機能することができる(シャトルベクター)。
【0194】
発現ベクターは、ベクター中で核酸分子と機能的に結合されたシス作用性調節領域を含み、これにより宿主細胞中での核酸分子の転写が可能となる。この核酸分子は転写に影響を及ぼしうる核酸分子と別々に、宿主細胞に導入されることができる。したがって、第二の核酸分子は、ベクターからの核酸分子の転写を可能にするシス調節制御領域と相互作用するトランス作用性因子を提供するものである。あるいは、トランス作用性因子は宿主細胞により提供されてもよい。最終的に、トランス作用性因子は、ベクター自身から作り出すことができる。しかし、いくつかの態様では、核酸分子の転写および/または翻訳は無細胞系でも起こり得ることが理解される。
【0195】
本明細書に記載される核酸分子が機能的に結合できる調節配列は、mRNA転写を誘導するためのプロモーターを含む。これらには、パクテリオファージλからの左部プロモーター、大腸菌(E. coli)から得られたlac、TRP、およびTACプロモーター、SV40から得られた初期および後期プロモーター、CMV極初期プロモーター、アデノウイルス初期および後期プロモーター、ならびにレトロウイルスの末端反復配列が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0196】
転写を促進する制御領域に加えて、発現ベクターはまた、リプレッサー結合部位およびエンハンサーのような転写を調節する領域を含むものであり得る。この例としては、SV40エンハンサー、サイトメガロウイルスの極初期のエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、アデノウイルスエンハンサー、およびレトロウイルスLTRエンハンサーが含まれる。
【0197】
転写の開始および制御部位に加えて、発現ベクターはまた、転写終了のために必要な配列、および転写領域における転写のためのリボソーム結合部位を含むことができる。他の発現調節制御要素としては、ポリアデニル化シグナルと同様に、開始および停止コドンが含まれる。当業者には、発現ベクターに有用な多数の調節配列が既知であると思われる。このような調節配列は、例えば、サムブルック(Sambrook)ら、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、(1989) に記載されている。
【0198】
様々な発現ベクターを、核酸分子の発現に用いることができる。このようなベクターには、染色体、エピソーム、およびウイルス由来のベクターが含まれ、これらは例えば、細菌プラスミド、バクテリオファージ、酵母エピソーム、人工酵母染色体を含む酵母染色体要素、バキュロウイルス、SV40のようなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルス、仮性狂犬病ウイルス、およびレトロウイルスのようなウイルス由来のベクターである。ベクターはまた、これらの起源の組み合わせから得ることができ、例えば、コスミドとファージミドのようなプラスミドとバクテリオファージの遺伝子要素から得ることができる。原核および真核生物の宿主細胞のための適切なクローニングベクターおよび発現ベクターは、サムブルック(Sambrook)ら、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、(1989) に記載されている。
【0199】
調節配列は、1つもしくは複数の宿主細胞の構成的な発現(すなわち組織特異性)または、温度、養分添加、またはホルモンもしくは他のリガンドのような外因性因子による1つもしくは複数の細胞タイプでの誘導性の発現を提供するものである。原核および真核生物の宿主細胞において構成的および誘導的に発現する種々のベクターは、当業者に周知である。
【0200】
核酸分子を、周知の方法によってベクター核酸内に導入することができる。一般に、最終的に発現するDNA配列は、1つまたは複数の制限酵素によりDNA配列と発現ベクターとが開裂し、断片が互いにライゲーションすることによって、発現べクターと結合される。制限酵素の消化およびライゲーションの手順は、当業者に周知である。
【0201】
適切な核酸分子を含むベクターは、公知の技術を用いて、増殖または発現のために適切な宿主細胞内へ導入することができる。細菌細胞には、大腸菌(E. coli)、放線菌(Streptomyces)、およびネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)が含まれるが、これに限定されるものではない。真核生物細胞には、酵母、ショウジョウバエ(Drosophila)のような昆虫細胞、COSおよびCHO細胞のような動物細胞、ならびに植物細胞が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0202】
本明細書に記載のように、融合タンパク質としてのペプチドの発現が望ましいと考えられる。したがって、本発明はペプチドの産生を可能にする融合ベクターを提供するものである。融合ベクターは組換えタンパク質の発現および組換えタンパク質の溶解性を向上させることができ、また、例えば、アフィニティ精製のためのリガンドの作用によってタンパク質精製を促進することができる。タンパク質分解性開裂部位は、融合部分との結合位置に導入され、このために、所望のペプチドを最終的に融合部分から分離することができる。タンパク質分解酵素は、ファクターXa、トロンビン、およびエンテロトランスポーター(enterotransporter)を含むが、これらに限定されない。典型的な融合発現ベクターとしては、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはタンパク質Aのそれぞれを、標的組換えタンパク質に融合した、pGEX (Smithら、Gene 67:31-40 (1988))、pMAL (New England Biolabs、Beverly、MA)、およびpRIT5 (Pharmacia、Piscataway、NJ) が含まれるが、これに限定されるものではない。好適な誘導性の非融合大腸菌(E. coli)発現ベクターの例としては、pTrc (Amannら、Gene 69:301-315 (1988))、およびpET 11d (Studierら、「遺伝子発現技術:酵素学における方法(Gene Expression Technology: Methods in Enzymology)」、185:60-89 (1990))が含まれる。
【0203】
組換えタンパク質の発現は、宿主細胞において、組換えタンパク質のタンパク質分解性の開裂欠損能力を持つ遺伝的背景を提供することによって、宿主細菌において最大化することができる (Gottesman, S.、「遺伝子発現技術:酵素学における方法(Gene Expression Technology: Methods in Enzymology)」、185、Academic Press、San Diego、California (1990) 119-128)。あるいは、対象となる核酸分子の配列は、例えば、大腸菌(E. coli)のような特定の宿主細胞のために優先的に使用されるコドンとなるように変更されることができる (Wadaら、Nucleic Acids Res. 20:2111-2118 (1992))。
【0204】
核酸分子はまた、酵母において作用する発現ベクターにより発現されることもできる。S.セレビシエ(S. cerevisiae)のような酵母中で発現するベクターの例としては、pYepSec1 (Baldariら、EMBO J. 6:229-234 (1987))、pMFa (Kurjanら、Cell 30:933-943(1982))、pJRY88 (Schultzら、Gene 54:113-123 (1987))、およびpYES2 (Invitrogen Corporation、San Diego、CA) を含む。
【0205】
核酸分子はまた、例えば、バキュロウイルス発現ベクターを用いて、昆虫細胞内で発現されることもできる。培養昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)中のタンパク質の発現に利用されるバキュロウイルスベクターは、pAcシリーズ (Smithら、Mol. Cell Biol. 3:2156-2165 (1983)) およびpVLシリーズ (Lucklowら、Virology 170:31-39 (1989))を含む。
【0206】
本発明のある態様においては、本明細書に記載される核酸分子は、哺乳類発現ベクターを用いて哺乳類細胞内で発現される。哺乳類発現ベクターの例としては、pCDM8 (Seed, B. Nature 329:840(1987))およびpMT2PC (Kaufmanら、EMBO J. 6:187-195 (1987)) を含む。
【0207】
本明細書に列記されている発現ベクターとしては、核酸分子を発現するために有用であり、当業者が利用可能な周知のベクターのみが例示されている。本明細書に記載される核酸分子の維持増殖または発現において、好適な他のベクターは、当業者に周知であると思われる。これらは、例えば、サムブルック J.(Sambrook, J.)、フリッツ E.F.(Fritsh, E. F.),およびマニアティス T.(Maniatis, T.)、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989に記載されている。
【0208】
本発明はまた、本明細書に記載される核酸配列がベクター中に逆方向にクローニングされたベクターを含むものであり、このベクターは、アンチセンスRNAの転写を可能にする調節配列と機能的に結合される。このように、アンチセンス転写は、コード領域および非コード領域の両方が含まれ、本明細書に記載される核酸分子配列の全部または一部を産生することができる。このアンチセンスRNAの発現は、センスRNAの発現(調節配列、構成的または誘導性の発現、組織特異的発現)に関して、前記した各パラメータに対応する。
【0209】
本発明はまた、本明細書に記載されるベクターを含む組換え宿主細胞に関連するものである。したがって、宿主細胞は、原核生物細胞、酵母のような下等真核生物細胞、昆虫細胞のような他の真核生物細胞、および哺乳類細胞のような高等真核生物細胞を含む。
【0210】
組換え宿主細胞は、当業者が容易に利用可能な技術により、本明細書に記載されるベクター構築物を細胞中に導入することにより調製することができる。これらには、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、陽イオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、トランスダクション、インフェクション、リポフェクション、およびサムブルック(Sambrook)ら、(「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989) に記載されるような他の技術が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0211】
宿主細胞は、1つまたは複数のベクターを含むことができる。このため、異なるヌクレオチド配列が、同じ細胞の異なるベクター中に導入されることができる。同様に、核酸分子は、単独で、または発現ベクターのトランス作用性因子を提供しているような関連のない他の核酸分子と共に導入されることができる。1つまたは複数のベクターが細胞内に導入される場合、ベクターは単独で導入されるか、共に導入されるか、または核酸分子ベクターに結合して導入されることができる。
【0212】
バクテリオファージおよびウイルスベクターの場合、これらはインフェクションおよびトランスダクションの標準的な操作により、封入またはカプセル化されたウイルスとして細胞内に導入されることができる。ウイルスベクターは、複製可能、または複製欠陥であり得る。ウイルスの複製に欠陥がある場合、複製は欠陥を相補する機能が提供される宿主細胞内で起こり得る。
【0213】
ベクターは一般に、組換えベクターの構築物を含む細胞の部分母集団の選択を可能とする選択マーカーを含む。このマーカーは、本明細書に記載される核酸分子を含む同一のベクター内か、または別のベクター中に含まれることができる。マーカーは、原核生物宿主細胞のためのテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性遺伝子、および真核生物宿主細胞のためのジヒドロ葉酸還元酵素またはネオマイシン耐性を含む。しかしながら、表現型特性の選択性を提供するマーカーはいずれも有効であると考えられる。
【0214】
成熟タンパク質は、適切な調節配列の制御下で、細菌、酵母、哺乳類細胞、および他の細胞で産生されることができるが、無細胞転写系および翻訳系もまた、本明細書に記載されるDNA構築物に由来のRNAを用い、これらのタンパク質を産生するために用いることができる。
【0215】
ペプチドの分泌が必要とされる場合、輸送体のようなタンパク質を含む複数回膜貫通ドメインで達成することは困難であり、適切な分泌シグナルがベクター中に組み込まれる。シグナル配列は、これらのペプチドに対して内因性であるか、またはペプチドに対して非相同性であり得る。
【0216】
ペプチドが培地中に分泌されない場合、典型的には輸送体の場合、タンパク質を、凍結融解、超音波処理、機械的破壊、分解物質の使用等を含む標準的な破壊操作によって、宿主細胞から単離することができる。ペプチドは、硫酸アンモニウム沈殿、酸抽出、または陰イオンもしくは陽イオン交換クロマトグラフィ、ホスホセルロースクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、レクチンクロマトグラフィ、または高速液体クロマトグラフィを含む、公知の精製方法によって、回収および精製されることができる。
【0217】
また、本明細書に記載されるペプチドの組換え産生においては宿主細胞に依存しており、ペプチドは細胞に依存して種々のグリコシル化パターンを持ち、細菌内で産生される場合にはグリコシル化されないであろうことが理解される。さらに、ペプチドは、宿主を媒介する過程の結果として、いくつかの場合で最初に修飾されたメチオニンを含むものであり得る。
【0218】
ベクターおよび宿主細胞の使用
本明細書に記載されるペプチドを発現する組換え宿主細胞には、種々の用途がある。まず、この細胞は、所望の量の輸送体タンパク質または断片を産生するため、さらに精製を行うことのできる輸送体タンパク質またはペプチドの産生に有用である。このため、発現ベクターを含む宿主細胞は、ペプチドの産生に有用である。
【0219】
宿主細胞はまた、輸送体タンパク質または輸送体タンパク質断片に関連している細胞系のアッセイ法、例えば上記したものおよび当技術分野に周知の他の形態のものの実施において有用である。このため、天然の輸送体タンパク質を発現する組換え宿主細胞は、輸送体タンパク質機能を刺激または阻害する化合物のアッセイに有用である。
【0220】
宿主細胞はまた、機能が影響を受ける輸送体タンパク質変異体を同定するために有用である。変異が天然に生じ病理を引き起こすような場合、突然変異を含む宿主細胞は、天然の輸送体タンパク質の効果を示さずに、輸送体タンパク質変異体に望ましい効果(例えば、機能を刺激または阻害)を持つ化合物のアッセイに有用である。
【0221】
遺伝的に操作された宿主細胞は、さらにヒト以外のトランスジェニック動物を産生するために用いることができる。遺伝子組換え動物は、好ましくは哺乳類であり、例えば、この動物の1つまたは複数の細胞が導入遺伝子を含むラットまたはマウスのような齧歯類動物である。導入遺伝子は発達中のトランスジェニック動物の細胞のゲノムに組み込まれ、1つまたは複数の細胞型または組織において、成熟した動物のゲノム中に残存する外因性のDNAである。これらの動物は、輸送体タンパク質の機能の研究、ならびに輸送体タンパク質活性のモジュレータの同定および評価に有用である。トランスジェニック動物の他の例としては、ヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、および両生類が含まれる。
【0222】
トランスジェニック動物は、例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染によって、受精卵母細胞の雄性前核内に核酸を導入し、卵母細胞を偽妊娠性の雌性育成動物中で発達させることにより作製される。任意の輸送体タンパク質ヌクレオチド配列を、マウスのようなヒト以外の動物のゲノム中に導入遺伝子として導入することができる。
【0223】
発現ベクターに有用な調節配列または他の配列は、いずれも導入遺伝子配列の一部分を形成することができる。これには、既に含まれない場合、イントロン配列およびポリアデニル化シグナルが含まれる。組織特異性調節配列は、特定の細胞に対し輸送体タンパク質が直接発現するために、導入遺伝子に機能的に結合されることができる。
【0224】
胚操作およびマイクロインジェクションを通して、トランスジェニック動物を産生する方法、特にマウスのような動物を用いる方法は、当技術分野において一般化されており、例えば、リーダー(Leder)らの米国特許第4,736,866号および同第4,870,009号、ワグナー(Wagner)らの米国特許第4,873,191号、およびホーガン B.(Hogan, B.)、「マウス胚の操作(Manipulating the Mouse Embryo)」、(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1986) に記載されている。同様の方法が、他のトランスジェニック動物の産生のために用いられている。トランスジェニック創始動物を、ゲノム中の導入遺伝子の存在および/または動物の組織もしくは細胞内でのトランスジェニックmRNAの発現に基づいて確認することができる。その後、トランスジェニック創始動物を、さらに導入遺伝子を有する動物を繋殖させるために用いることができる。さらに、導入遺伝子を有するトランスジェニック動物を、さらに他の導入遺伝子を有する他のトランスジェニック動物と交配することができる。トランスジェニック動物はまた、動物全体または動物の組織が本明細書に記載される相同的な組換え宿主細胞を用いて作製された動物を含む。
【0225】
他の態様では、ヒト以外のトランスジェニック動物は、導入遺伝子の調節された発現を行う選択システムを含むものとして産生されることができる。このようなシステムの1つの例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼシステムである。cre/loxPリコンビナーゼシステムについての記載は、例えば、ラクソ(Lakso)ら、 PNAS 89:6232-6236 (1992) 参照。リコンビナーゼシステムのもう一つの例は、S.セレビシエのFLPリコンビナーゼシステムである (O'Gormanら、Science 251:1351-1355 (1991)。cre/loxPリコンビナーゼシステムが導入遺伝子の発現の調節に用いられる場合は、動物において、creリコンビナーゼおよび選択されたタンパク質の両者をコードする導入遺伝子が含まれていることが必要である。このような動物は、例えば、一方は選択されたタンパク質をコードする導入遺伝子を持ち、他方はリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を持った2つのトランスジェニック動物を交配させることにより、「二重」トランスジェニック動物を作製することによって提供される。
【0226】
本明細書に記載されるヒト以外の遺伝子組換え動物のクローンはまた、ウィルムト I.(Wilmut, I.)ら、Nature 385:810-813 (1997)および国際公開公報第97/07668号および国際公開公報第97/07669号に記載される方法にしたがって産生されることができる。簡単に述べると、トランスジェニック動物からの細胞、例えば体細胞を単離し、増殖周期から出てG0期に入るように誘導することができる。静止細胞を、例えば電気パルスの使用によって、静止細胞を単離した動物と同種の動物の除核した卵母細胞と融合することができる。再構成された卵母細胞は、桑実胚または胚盤胞に発達するよう培養され、その後、偽妊娠性の雌性育成動物中に移される。この雌性育成動物から誕生する子孫は、細胞、例えば体細胞を単離した動物のクローンとなる。
【0227】
本明細書に記載されるペプチドを発現する組換え細胞を含むトランスジェニック動物は、インビボの環境で、本明細書に記載したようなアッセイを行うために有用である。したがって、インビボに存在し、リガンド結合、輸送体タンパク質活性化、シグナル伝達に影響を与えうる各種の生理学的因子は、インビトロの無細胞または細胞系のアッセイ法では明らかにならない可能性がある。したがって、これらは、リガンド相互作用、輸送体タンパク質機能およびリガンド相互作用に対する特定の変異輸送体タンパク質の影響、ならびにキメラ輸送体タンパク質の影響を含む、インビボでの輸送体タンパク質機能をアッセイするための、ヒト以外のトランスジェニック動物を提供するために有用である。また、実質的にまたは完全に1つまたは複数の輸送体タンパク質機能を除去する突然変異である、ヌル変異の影響を評価することも可能である。
【0228】
本明細書において、上記の全ての刊行物および特許は参照として本明細書に組み入れられる。本発明に記載された方法およびシステムの各種修正および変形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱しない限り、当業者において明らかなものであると思われる。本発明は、特定の好ましい態様に関連して記述されているが、特許請求の範囲に記載された発明は、このような特定の態様に不当に限定されないと理解されるべきである。実際に、本発明を実施するための上記方法の各種変形は、分子生物学または関連する分野の業者において明らかであり、このようなものも特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0229】
【図1】本発明の輸送体タンパク質をコードするcDNA分子のヌクレオチド配列または転写物の配列を提供する。加えて、この分子配列に基づいて本発明の具体的な用途を容易に決定することを可能にする、ATG開始コドン、停止コドン、および組織分布などの入手可能な構造および機能情報も提供する。図1に提供した実験データは、胎児の肝臓および脾臓における発現を示す。
【図2】本発明の輸送体の予想されるアミノ酸配列を提供する。加えて、この分子配列に基づいて本発明の具体的な用途を容易に決定することを可能にする、タンパク質ファミリー、機能、および修飾部位などの入手可能な構造および機能情報も提供する。
【図3】本発明の輸送体タンパク質をコードする遺伝子の全域にわたるゲノム配列を提供する。加えて、この分子配列に基づいて本発明の具体的な用途を容易に決定することを可能にする、イントロン/エキソン構造、プロモーター位置などの入手可能な構造および機能情報も提供する。本発明によって提供される輸送体タンパク質をコードする遺伝子内において、4個のインデルを含む55個のSNPが同定され、図3に示す。
Claims (23)
- 下記の群より選択されるアミノ酸配列からなる単離ペプチド:
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列;
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の対立変異体のアミノ酸配列であって、該対立変異体が、配列番号:1または3に記載の核酸分子の対向鎖に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされたアミノ酸配列;
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列のオルソログのアミノ酸配列であって、該オルソログが、配列番号:1または3に記載の核酸分子の対向鎖に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされたアミノ酸配列;および
(d)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の断片であって、少なくとも10個の連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列の断片。 - 下記の群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチド:
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列;
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の対立変異体のアミノ酸配列であって、該対立変異体が、配列番号:1または3に記載の核酸分子の対向鎖に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされたアミノ酸配列;
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列のオルソログのアミノ酸配列であって、該オルソログが、配列番号:1または3に記載の核酸分子の対向鎖に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされたアミノ酸配列;および
(d)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の断片であって、少なくとも10個の連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列の断片。 - 請求項2記載のペプチドに選択的に結合する単離抗体。
- 下記の群より選択されるヌクレオチド配列からなる単離核酸分子:
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の対立変異体のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列であって、配列番号:1または3に記載の核酸分子の対向鎖に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列のオルソログをコードするヌクレオチド配列であって、配列番号:1または3に記載の核酸分子の対向鎖に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;
(d)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の断片をコードするヌクレオチド配列であって、該断片が、少なくとも10個の連続するアミノ酸を含むヌクレオチド配列;および
(e)(a)〜(d)のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列。 - 下記の群より選択されるヌクレオチド配列を含む単離核酸分子:
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の対立変異体のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列であって、配列番号:1または3に記載の核酸分子の対向鎖に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列のオルソログをコードするヌクレオチド配列であって、配列番号:1または3に記載の核酸分子の対向鎖に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;
(d)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の断片をコードするヌクレオチド配列であって、該断片が、少なくとも10個の連続するアミノ酸を含むヌクレオチド配列;および
(e) (a)〜(d)のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列。 - 請求項5記載の核酸分子を含む遺伝子チップ。
- 請求項5記載の核酸分子を含むヒト以外のトランスジェニック動物。
- 請求項5記載の核酸分子を含む核酸ベクター。
- 請求項8記載のベクターを含む宿主細胞。
- 請求項1記載のいずれかのペプチドを製造する方法であって、(a)〜(d)のいずれかのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を宿主細胞内に導入する段階、およびペプチドがヌクレオチド配列から発現される条件下で宿主細胞を培養する段階を含む方法。
- 請求項2記載のいずれかのペプチドを製造する方法であって、(a)〜(d)のいずれかのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を宿主細胞に導入する段階、およびペプチドがヌクレオチド配列から発現される条件下で宿主細胞を培養する段階を含む方法。
- 試料中における請求項2記載のいずれかのペプチドの存在を検出する方法であって、試料中における該ペプチドの存在を特異的に検出する検出試薬と試料を接触させる段階、および該ペプチドの存在を検出する段階を含む方法。
- 試料中における請求項5記載の核酸分子の存在を検出する方法であって、ストリンジェントな条件下で該核酸分子にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと試料を接触させる段階、および試料中の該核酸分子とオリゴヌクレオチドが結合するかどうかを判定する段階を含む方法。
- 請求項2記載のペプチドのモジュレータを同定する方法であって、該ペプチドを試薬と接触させる段階、および該試薬が該ペプチドの機能または活性を調節したかどうかを判定する段階を含む方法。
- 試薬がペプチドを発現する発現ベクターを含む宿主細胞に投与される、請求項14記載の方法。
- 請求項2記載のいずれかのペプチドに結合する試薬を同定する方法であって、ペプチドと試薬を接触させる段階、および接触混合物をアッセイして、ペプチドと試薬との複合体が形成されるかどうかを判定する段階を含む方法。
- 請求項16記載の方法により同定された試薬と、薬学的に許容されるそれらの担体とを含む薬学的組成物。
- ヒト輸送体タンパク質により媒介される疾患または症状を治療する方法であって、薬学的に有効な量の請求項16記載の方法で同定された試薬を患者に投与する段階を含む方法。
- 請求項2記載のペプチドの発現のモジュレータを同定する方法であって、該ペプチドを発現する細胞と試薬とを接触させる段階、および該試薬が該ペプチドの発現を調節したかどうかを判定する段階を含む方法。
- 配列番号:2に記載のアミノ酸配列と少なくとも70%の相同性を持つアミノ酸配列を有する、単離ヒト輸送体ペプチド。
- 配列番号:2に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%の相同性を持つアミノ酸配列を有する、請求項20記載のペプチド。
- ヒト輸送体ペプチドをコードする単離核酸分子であって、配列番号:1または3に記載の核酸分子と少なくとも80%の相同性を有する核酸分子。
- 配列番号:1または3に記載の核酸分子と少なくとも90%の相同性を有している、請求項22記載の核酸分子。
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