JP2004532030A - 疾病用酵素とsnpマーカー - Google Patents

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Abstract

【課題】
【解決手段】本発明は、新規タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記タンパク質がペプチダーゼ活性を有する酵素のファミリーの新規構成員である核酸配列に関する。医療や研究における核酸配列及び/又はタンパク質の使用、疾病に対する素因を診断し又は決定する方法、疾病を予防又は治療する方法、前記方法で使用するためのキット、炎症性疾患の治療又は予防における及び新規阻害剤を同定するためのスクリーニングにおけるそれらの核酸配列、タンパク質、及び阻害剤の使用も提供される。核酸発現ベクター、宿主細胞、スクリーニング、及びヒト以外のトランスジェニック動物も提供される。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、新規タンパク質をコードする単離された核酸配列であって、前記タンパク質が、ペプチダーゼ活性を有する酵素ファミリーの新規構成員である核酸配列に関する。前記核酸配列及び/又はタンパク質の医療及び研究における使用、疾病に対する素因を診断又は決定する方法、疾病を予防又は治療する方法、前記方法で使用するためのキット、並びに炎症性疾患の治療又は予防における及び新規阻害剤を同定するためのスクリーニングにおける前記核酸配列、タンパク質、及びそれらの阻害剤の使用も提供する。核酸発現ベクター、宿主細胞、スクリーニング、及びヒト以外のトランスジェニック動物も提供する。
【背景技術】
【0002】
喘息、湿疹、及び花粉症等の疾病では、ありふれたアレルゲンに対してIgEを介した反応が起こるのが通例である。これらの疾病は、「アトピー(atopic)」として知られている。これらの病気は患者数が増加しており、現在、全ての先進国で主要な障害の原因となっている。これらの疾病は、遺伝的な機序と環境的な機序が複雑に作用し合うことによって発症する。吸入された一般的なタンパク質(アレルゲンと呼ばれる)に対して、激しいIgE反応が長期にわたって起こることが、アトピー状態の特徴である。アトピーには、血清総IgE濃度の上昇とアレルギーに対して特異的なIgEの存在とが伴う。この特異的なIgEは、ELISAその他の技術によって、血清中で直接測定することができる。また、皮膚表面への穿刺から微量のアレルゲンを導入する穿刺皮膚試験によって検出することも可能であり、アトピーの個体は検査に対して反応し、皮膚表面上に膨疹が現れる。
【0003】
喘息は、児童及び青年の主たる病因であって、その数は増加している。喘息は、小児の病気の中で最も多い病気であり、強い環境要因と遺伝的要因との相互作用によって生じる。喘息は、断続的な粘膜の炎症、喘鳴、及び息切れによって確認できる。
【0004】
喘息は、標準的な問診票や医師の診断によって、疫学的に確認されるのが通常である。医師が診断し、問診票によって確定された喘息は、60−70%が遺伝性のものである。喘息への連鎖及びこれに関連する表現型が、2番染色体上のIL1クラスターの近傍に存在することが実証されている。アトピーへの連鎖と喘息に関連する表現型とをゲノム全体にわたってスキャンすることによって、「喘鳴」と関連するIL−1複合体の近くに、染色体2q14上のマーカーD2S160が同定された(p−0.001)。この領域はIL1とその相同体を含有しているので、喘息とIL1クラスター遺伝子中に存在する公知のSNPとの関連について、この領域が調べられた。予測に反して、1122人の個体と381人の喘息患者を含む計246の家族で、これらの公知の多型に対して関連は見出されなかった。しかしながら、喘息とD2S308マイクロサテライトの対立遺伝子(IL1遺伝子からおよそ1Mbの距離にある)との間には、再現性のある関連が存在することが明らかとなった。
【0005】
喘息に対する個体の素因を決定する遺伝的因子は、遺伝子の発現レベルや機能を変化させるDNA構造のバリアント(多型)であると考えられる。特定の部位「座位(locus)」に位置するDNA配列のバリアントは、「対立遺伝子(allele)」として知られている。
【0006】
疾病を引き起こす対立遺伝子は、同じ染色体のセグメントに由来する非機能的な多型と連鎖不均衡にあるものと思われる。従って、病状の基礎を成す正確な多型と遺伝子を同定することなく、ある染色体セグメントから、疾病との対立遺伝子関連を検出することが可能となる。
【0007】
従って、対立遺伝子関連の検出によって、ある個体の疾病に対する感受性についての情報が得られる可能性がある。さらに、対立遺伝子関連は、当該対立遺伝子の何れかの方向の、限られたDNAの距離(50−500Kb)の中に発病遺伝子のエキソンが存在することを示すものである。
【0008】
喘息、又はアトピーとの連鎖不均衡に遺伝的多型を同定することによって、かかる疾病が発症する前(例えば、出生直後)に、このような疾病に対して子供がリスクを有していることを明らかにし、疾病を予防することができるであろう。ある多型又は多型の組み合わせが存在することによって、病気の臨床的経過(例えば、軽症ではなく重症であるなど)又はある治療に対する反応が予測されよう。この診断情報は、ヘルスケア、医薬、及び保険業界にとって有用であると思われる。
【0009】
オリゴペプチダーゼは、小さなポリペプチド又はオリゴペプチドのみに作用するエンドペプチダーゼである。これらの酵素は、ペプチドメッセンジャー分子の修飾又は破壊等の特化した重要な生物機能を遂行する。オリゴペプチダーゼには天然の阻害剤がほとんど存在せず、その顕著な特異性のために、大多数のエンドペプチダーゼとは異なり、α2−マクログロブリンとは相互作用しない。プロリル−オリゴペプチダーゼファミリーS9(酵素命名委員会EC3.4.14.5)、サブファミリーS9Bに属するものとしては、DPP4、DPP6、DPP8、及びDPP9などがある。S9ファミリーには、比較的厳格な多岐にわたる基質特異性を有するセリンプロテアーゼが含まれる。S9ペプチダーゼは、可溶性タンパク質、細胞質タンパク質、又はII型膜結合膜内タンパク質の何れかであって、プロ酵素として存在するのではなく、活性な型として合成される。DPP4、DPP6、DPP8、及びDPP9には、活性部位三連構造Ser、Asp、Hisが同定されているが、触媒活性を有すると考えられているセリン残基が、DPP6ではアスパラギン酸に、Drosophila Melanogaster CG9059ではグリシンに置換されている。このファミリーに属することが知られているものは全て、これらの残基が、カルボキシル末端の130残基以内にある。プロリル−オリゴペプチダーゼファミリーの構成員は全て、保存された7アミノ酸のモチーフDW(V/I/L)YEEEを予想されるβ−プロペラドメインの中に含有している。この保存されたモチーフの中に存在するグルタミン酸残基のうちの二つは、セリンプロテアーゼ酵素活性に不可欠であることが示されている。S9ファミリーのうち膜結合型のものは、アミノ末端の近傍に膜貫通ドメインを含有している。プロリルオリゴペプチダーゼは、ジペプチド配列Ala−Pro又はGly−Proに隣接したC末端ペプチド結合を切断するために必要とされる。これらの酵素の基質には、ケモカイン、成長因子、並びに神経及び血管作用性ペプチドがある。ある種の細胞表面ペプチダーゼは、免疫細胞の特異抗原として同定されている。これらには、DPP4(CD26)、中性エンドペプチダーゼ(CD10)、及びアミノペプチダーゼN(CD13)が含まれる。これらの細胞表面抗原は、免疫細胞の分化において重要な役割を果たしている。プロリル−オリゴペプチダーゼは、炎症プロセスの間に、Th1/Th2(T−ヘルパー細胞)のバランスを変化させる上でも役割を果たしていると推測されている。DPP4(CD26)は、ペプチダーゼ活性に加えて、多機能の特性を有していることが示されている。
【0010】
提案されている構造に基づいて、DPP4(CD26)は、多機能タンパク質であると予測されており、その触媒ドメインの外側で、幾つかのタンパク質と相互作用することが示されている。DPP4(CD26)は、コラーゲンとフィブロネクチンの両方に対する接着受容体であり、ラットモデルにおいて、乳癌細胞の肺への定着(主にフィブロネクチンの結合を通じて媒介される効果)を仲介することが示されている。DPP4(CD26)は、アデノシンデアミナーゼ(アデノシンをイノシンに代謝する酵素)も結合することができる。DPP4/ADA複合体が細胞表面に位置することが、その受容体に近接するアデノシンの有効濃度を制御する重要な機序である。アデノシンは、A2aGタンパク質に共役した受容体との相互作用を介してT細胞の活性化を抑制する。従って、アデノシンは、ADA欠損によって引き起こされる抑制において重要な役割を果たしている。
【0011】
DPP4(CD26)は、CD45(タンパク質チロシンホスファターゼ)との相互作用を介したT細胞シグナル伝達においても重要な役割を果たしている。DPP4(CD26)の相手となる受容体は未だ同定されていないが、DPP4(CD26)の抗体との架橋により、T細胞の活性化に重要であることが知られている数多くの分子(P56Ick、P59fyn、及びZAP−70等)のチロシンリン酸化を誘導する。
【0012】
S9Bプロリルオリゴペプチダーゼのうち、DPP6の相同体がBos taurus、Rattus norvegicus、及びMus musculusからクローニングされている。DPP6は、選択的mRNAスプライシングと、おそらくは異なる(組織特異的)プロモーターの使用の結果、二つの異なるイソフォーム(DPPX−SとDPP−L)として存在することが報告されている。DPPX−SとDPPX−Lは、異なる組織発現を示す。二つの型の細胞質ドメインが異なるものであると仮定すれば、このことが、膜間シグナル伝達システムが相違する原因となっている可能性がある。DPP6は検出可能な触媒活性を有していないが、これは触媒活性を有する三連構造中のセリンがアスパラギン酸に置換されているためである可能性が最も高い。インビトロでの変異導入によってアスパラギン酸をセリンに置き換えても、触媒活性は復活しなかった。
【0013】
現在まで、喘息やアトピー等の炎症性疾患に対する様々なマーカーが同定されており、このような疾病にリスクを有する人々を明らかにするために使用されてきた。しかしながら、その活性が炎症性疾患の根幹を成す可能性がある遺伝子とこのようなマーカーとを関連付けることには成功していない。この遺伝子の同定により、価値のある診断、治療、及び研究ツールを与えることが可能となるであろう。
【0014】
本発明の第一の側面によれば、図4に示された配列を含む単離された核酸配列、若しくは図10及び/又は図4に記載された一以上のエキソン配列が除去された図4に示された配列であって一以上の前記エキソン配列が一以上の代替的エキソン配列(alternate exon sequence)若しくは図9から得られる一以上の肝臓クローン配列で置換された配列、若しくはこれらに相補的な配列、若しくはこれらに実質的に相同な配列、又はそれらの断片が提供される。図4の配列は、ヒトDPP10 mRNA配列である。図4には、図10に示されているエキソンが一つにまとめられている。代替的エキソンは図9に示されている。選択的エキソン(alternative exon)は異なる文字で表されており、例えば、エキソン1a、1b等は、エキソン1の代替的配列である(エキソン2A、2B等も同様)。エキソンの大文字と小文字の表記には、さしたる意味はない。図4の代替的転写物(alternate transcript)は、図6に模式的に描かれている。さらに、図5aに示されている配列、及び又は一以上のエキソンが欠落した図5aに示されている配列、又は一以上のエキソンが図8の代替的エキソンで置換されている図5aに示されている配列を含む単離された核酸配列が提供される。図7には、マウス転写物、若しくはこれと相補的な配列若しくはこれと実質的に相同な配列、又はそれらの断片の模式図が示されている。図5aの配列は、マウスDPP10 cDNA配列である。マウスDPP10 mRNA配列は、図5に示されている。
【0015】
DPP10核酸配列は、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25から得られる一以上のエキソン、若しくは肝臓クローン1、2、若しくは3の配列、若しくは実質的にこれらに相同な配列、又はそれらの断片を任意の組み合わせで含むことができる。これらの組み合わせは、ヒト及びマウスを含む全てのDPP10配列(但し、マウスのエキソンは、1f又は1gを含まない)に対するものである。
【0016】
以下の単離された核酸配列は、第一の側面の一部である。
【0017】
DPP10のエキソン(例えば、図6、7、8、9、10、又は15に示されたエキソン)を一以上含む単離された核酸、又は図2Cに示されている配列、これらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片が提供される。
【0018】
図2aのエキソン配列を含む単離された核酸配列、又はこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列が提供される。
【0019】
エキソン1a及びエキソン2乃至25を含む単離された核酸配列、これらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片(転写物1)が提供される、図10。
【0020】
エキソン1b、1c、及びエキソン2乃至25を含む単離された核酸配列、これらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片(転写物2)が提供される、図9及び10。
【0021】
エキソン1b、1c、1d、1e及びエキソン2乃至25を含む単離された核酸配列、これらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片(転写物3)が提供される、図9及び10。
【0022】
エキソン1f及びエキソン2乃至25を含む単離された核酸配列、若しくはこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片(転写物4)が提供される、図9及び10。
【0023】
エキソン1g及びエキソン2乃至25を含む単離された核酸配列、若しくはこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片(転写物5)が提供される、図9及び10。
【0024】
エキソン1a及び2Aを含む単離された核酸配列、若しくはこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片(転写物6)が提供される、図9及び10。
【0025】
エキソン1b、1c、2Bを含む単離された核酸配列、若しくはこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片が提供される、図9及び15。
【0026】
エキソン1b、1c、2Cを含む単離された核酸配列、若しくはこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片が提供される、図9及び15。
【0027】
エキソン1b、1c、2Dを含む単離された核酸配列、若しくはこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片が提供される、図9及び15。
【0028】
エキソン1b、1c、2Eを含む単離された核酸配列、若しくはこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片が提供される、図9及び15。
【0029】
エキソン1b、1c、2Fを含む単離された核酸配列、若しくはこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片が提供される、図9及び15。
【0030】
DPP10のマウスのエキソン(例えば、図5、5a、7、又は8に示されているエキソン)を一以上含む単離された核酸配列、若しくはこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片が提供される。
【0031】
マウスエキソン1a及びエキソン2乃至25を含む単離された核酸配列、若しくはこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片(マウス転写物1)が提供される、図5a、7、及び8。
【0032】
マウスエキソン1c、1d、及びエキソン2乃至25を含む単離された核酸配列、若しくはこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片(マウス転写物2)が提供される、図7、及び8。
【0033】
マウスエキソン1e及びエキソン2乃至25を含む単離された核酸配列、又はこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片(マウス転写物3)が提供される、図7、及び8。
【0034】
マウスエキソン1b、1c、1d、及びエキソン2乃至25を含む単離された核酸配列、若しくはこれらと相補的な配列若しくはこれらと実質的に相同な配列、又はそれらの断片(マウス転写物4)が提供される、図7及び8。
【0035】
DPP10のプロモーター配列:コンセンサスパリンドロームのIFN−γ活性化部位(GAS)エレメントは、エキソン1bの上流にある18181の塩基対と同定された。GAS部位には、下線が施されている。イタリック体で表されているのは、他の重要なプロモーターモチーフ(CATTボックスとTATAボックス)である。
【0036】
CCATTCTCTTTGTTTTTATTCGGGATGCTCTTATTTCCAAGAAGGCTTATAAA
このモチーフは、CD26/ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP4)遺伝子(プロリルオリゴペプチダーゼS9Bサブファミリーの一員)のプロモーター中にも存在する。インターフェロン(IFNs、α、β、及びγ)とトランスレチノイン酸(RA)は、GAS部位を有する遺伝子を活性化する能力を有している。
【0037】
本発明の全ての配列は単離するか、あるいは組換えることができる。単離される(isolated)とは、精製された核酸又はポリペプチド配列であって、他のタンパク質や核酸が実質的に存在しない核酸又はポリペプチドを意味する。このような配列は、PCR増幅、クローニング技術、又は合成機による合成によって取得することができる。「組換え(recombinant)」とは、ヒトの手によって組換えられた核酸配列を意味する。
【0038】
本発明のポリヌクレオチド配列は、ゲノムDNA又はcDNA、又はRNA、好ましくはmRNA若しくはPNAであり得る。本発明において、遺伝子産物には、ポリヌクレオチド配列とタンパク質が含まれる。ポリペプチド配列という場合、タンパク質とペプチドが含まれる。
【0039】
本出願において、相補的又は実質的に相同な配列とは、ストリンジェントな条件下で、所定の配列又はその遺伝子産物にハイブリダイズする配列である。従って、例えば、基本となる核酸に対して実質的に相同な核酸配列は、ストリンジェントな条件下で、前記基本となる核酸の遺伝子産物(すなわち、mRNA)にハイブリダイズすることが可能であろう。相補的な配列とは、ストリンジェントな条件下で、前記核酸配列自体にハイブリダイズすることができる配列である。本発明では、実質的に相同な配列の相補物(complement)も提供される。実質的に相同な配列は、好ましくは、所定の配列と少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は100%の配列同一性を有する。実質的に相同(substantially homologous)という定義は、核酸とポリペプチド配列の両者に当てはまる。このため、構造又は機能に影響を与えない保存的なアミノ酸置換を有するポリペプチド配列も含まれる。全てのDNA配列について、相補的配列という場合、対応するmRNA配列及びこのようなRNA配列に基づいて得られたあらゆるcDNA配列が含まれる。
【0040】
「%同一性」とは、二つの核酸又はポリペプチド配列を比較することによって決定される、二つの核酸又はポリペプチド配列間の関係の指標である。一般的には、配列間で最大の相関が得られるように、比較すべき二つの配列を並列する。二つの配列のアラインメントを調べ、アミノ酸又はヌクレオチドが正確に対応する位置の数を求めて、アラインメントの全長で除し、結果に100を乗じて%同一性を得る。%同一性は、比較すべき配列の全長にわたって測定してもよいし(長さが同一又は類似した配列の場合や相同性が高度な場合に特に適する)、これより短い所定の長さに対して測定してもよい(長さが等しくない配列や相同性が低い配列の場合に適する)。
【0041】
二以上の配列の同一性を比較する方法は、本分野において公知である。例えば、Wisconsin Sequence Analysis Package version 9.1(Devereux J et al., Nucl Acid Res 12 387-395 (1984), available from Genetics Computer Group, Madison, Wisconsin, USA)で入手できるBESTFITやGAPなどのプログラムを用いることができる。
【0042】
BESTFITは、SmithとWatermanの「局所的相同性」アルゴリズム(Advances in Applied Mathematics、2:482−489、1981)を用いており、2つの配列の間で最も類似性の高い領域を一つ見出す。BESTFITは、長さが異なる2つのポリヌクレオチド又は2つのポリペプチド配列を比較するのにより適している(本プログラムは、長さが短い方の配列が、長い方の配列の一部を成していると仮定している)。これに比べて、GAPは、2つの配列を並列させて、NeddlemanとWunsch(J.Mol.Biol.48:443−354、1970)のアルゴリズムに従って、「最大の類似性」を見出す。GAPは、概ね長さが同じ配列を比較するのに適しており、全長にわたってアライメントを行うことを想定している。各プログラムで使用するパラメータ「Gap Weight」と「Length Weight」は、ポリヌクレオチド配列の場合、それぞれ50と3、ポリペプチド配列の場合12と4であることが好ましい。好ましくは、%同一性と類似性は、比較する二つの配列を最適に並列して決定する。
【0043】
配列間の同一性及び/又は類似性を決定するためのその他のプログラム、例えば、BLAST類のプログラム(Altschul et al, J.Mol.Biol.,215:403-410、(1990)、Altschul et al, Nuc Acids Res.,25:289-3402(1997)、National Center for Biotechnology Information(NCB)、Bethesda、Maryland、USAから入手可能、NCBIのホームページ(www.ncbi.nlm.nih.gov)からアクセスできる)やFASTA(Pearson W.R. and Lipman D.J., Proc. Nat. Acac. Sci.,USA,85:2444-2448(1988)、Wisconsin Sequence Analysis Packageの一部として入手可能)も本分野において公知である。好ましくは、BLOSUM62アミノ酸置換マトリックス(Henikoff S. and Henikoff J.G.,Proc.Nat.Acad.Sci.,USA,89:10915-10919,(1992))は、ポリペプチド配列の比較(比較の前に、ヌクレオチド配列をまずアミノ酸配列に翻訳する場合を含む)で使用される。
【0044】
好ましくは、プログラムBESTFITは、本発明のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列配列に対する被検ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の%同一性を決定するために使用し、被検配列と基準配列を最適に並列して、プログラムのパラメータは初期値に設定する。
【0045】
本発明において、「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーションのプロトコールで用いられる洗浄条件を意味する。一般に、洗浄条件は、研究対象たる核酸のTmの計算値を変性温度が約5−20℃下回るように、温度と塩濃度を組み合わせなければならない。20塩基以下の核酸プローブのTmは、短いオリゴヌクレオチドについてのWallace則に従って、標準条件(1M NaCl)下で、[4℃x(G+C)+2℃x(A+T)]と計算される。これより長いDNA断片の場合、Breslauerら、PNAS 83:3746−3750(1986)に記載されている法則に従って、固体熱力学と実験データを組み合わせた直近隣接法(nearest neighbor method)を用いることができる。ハイブリダイゼーション用の最適な塩及び温度条件は、フィルター上に固定化されたDNA試料を目的のプローブにハイブリダイズさせた後に、様々なストリンジェンシーの条件下で洗浄する予備実験で容易に決定することができる。PCR用の条件は標準条件と異なってもよく、プライマーの予測相対安定度の指標としてTmを使用し得る。約14ヌクレオチドの短いプライマーの場合、44℃−50℃前後の低いアニーリング温度が用いられる。前記温度は、使用するプライマー配列の塩基組成に応じてさらに高くしてもよい。好適には、ストリンジェントな条件は、(例えば、DPP10コード配列でない配列への)非特異的ハイブリダイゼーションが回避される条件である。21マーのオリゴヌクレオチドプローブの場合、好適なストリンジェント条件は、0.5×SSC/1%SDS/58℃/30分である。
【0046】
本発明の前記相補的配列(本明細書では、「アンチセンス」と表記することもある)は、プローブ若しくはプライマー、又はDPP10発現の制御において有用であり得る。好ましくは、前記プライマー配列は、DPP10遺伝子の全部又は一部を増幅することができる。好ましいプライマー配列は、実施例に開示されている。遺伝子、又はその対立遺伝子、又はそれらのバリアントの全部又は一部を増幅するためのプライマー対は、本発明の別の側面を構成する。同様に、DPP10プローブは、被験体(subject)から得た試料内での、DPP10、又はそのバリアント形態の存在又は発現レベルを検出するのに有用であろう。前記プローブは、被験体におけるDPP10の発現パターンを解析するのにも有用であろう。
【0047】
本出願において、断片とは、連続する任意の10残基の配列、又はこれより大きな20、30、40、若しくは50残基等の配列である。好ましくは、核酸又はポリペプチド配列の断片は、DPP10若しくはその遺伝子と一以上の機能的特徴を共有するか、又はこのような機能的特徴をモジュレート(すなわち、阻害又は増強)することができる。本実施態様に係る断片の新規性は、該断片のヌクレオチド又はポリペプチド配列を、優先日にGenebank等のデータベースに掲載されている配列と比較することによって、又はDNASIS(Hitachi Engineering Inc)若しくはGenetic Computer Group(Madison、USA)のWord Search若しくはFASTA等のコンピュータプログラムを使用することによって容易に確認することができる。
【0048】
前記断片は、様々な診断法、予後診断法、又は治療法において使用することができ、又は(例えば、スクリーニングにおける)研究用のツールとして有用であり得る。前記第一の側面の配列又はそれらの相補配列の断片は、上述のようなプライマー配列として使用することができる。
【0049】
本発明の第二の側面では、本発明の前記単離された核酸配列は、DPP10のインビトロ又はインビボでの発現を可能とするベクターの形態で与えることができる。ベクターには、プラスミド、染色体、人工染色体、及びウイルスが含まれ、核酸配列をインビトロ又はインビボで発現させることができる発現ベクター、核酸配列をある環境から別の環境へ移行させることができる形質転換ベクターであり得る。本発明の前記核酸分子は、プロモーターを含む一以上の制御要素に作用可能に連結させてもよい。
【0050】
制御要素(regulatory element)という用語には、反応要素、コンセンサス部位、メチル化部位、座制御領域、翻訳後修飾、スプライスバリアント、ホメオボックス、誘導性因子、DNA結合ドメイン、エンハンサー配列、開始コドン、分泌シグナル、及びポリA配列が含まれる。プロモーターの活性を制御する、プロモーターの上流又は下流の領域(エンハンサーなど)も制御要素である。
【0051】
前記ベクターは、複製起点、ポリヌクレオチド分子に隣接してインサートをクローニングできるようにするための適切な制限部位、マーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)、リボソーム結合部位、RNAスプライシング部位と転写終結領域、ポリメライゼーション部位、又は前記ポリヌクレオチド分子のクローニング及び/又は発現を促進することができる分泌シグナル等の他のあらゆる要素も備えることができる。
【0052】
ベクターの中で、前記遺伝子は、ヒスチジンタグ、V5エピトープタグ、緑色蛍光タンパク質タグ、MHCタグ、又は当業者に公知である他のこのようなタグ等の発現タンパク質タグの上流又は下流に発現させ得る。このようなタグの使用により、タグ部分に対する抗体を用いて、融合タンパク質の容易な位置決定、アフィニティー精製、及び検出が可能となる。
【0053】
本発明の核酸分子を2つ以上同一のベクターに導入する場合には、固有の制御配列によって各々を制御してもよいし、同一の制御配列によって全ての分子を制御してもよい。同様に、各分子が3’ポリアデニル化部位を備えてもよい。適切なベクターの例は、当業者に公知であり、pBluescript II、lambdaZap、及びpCMV−Script(Stratagene Cloning Systems、La Jolla、USA)が含まれるであろう。
【0054】
適切な制御要素、とりわけプロモーターは、通常、発現ベクターを挿入すべき宿主細胞に応じて変わるであろう。微生物の宿主細胞を使用する場合には、ラクトースプロモーター系、トリプトファン(Trp)プロモーター系、β−ラクタマーゼプロモーター系、又はファージλプロモーター系等のプロモーターが適切である。酵母細胞を使用する場合には、好ましいプロモーターにはアルコール脱水素酵素I又は解糖プロモーターが含まれる。哺乳類の宿主細胞では、好ましいプロモーターは、免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス等に由来するプロモーターである。様々な宿主細胞での使用に適したプロモーターは、当業者であれば自明であろう(例えば、Ausubelら編、Wiley刊、Current Protocols in Molecular Biologyを参照)。さらに、所望の発現パターンを実現するために、前記制御要素は、例えば、制御要素をさらに加えることによって改変してもよい。
【0055】
作用可能に連結(operably linked)とは、ベクター又は配列の成分が、所期の機能を発揮する関係にあることを意味する。
【0056】
これらのベクターは、宿主細胞(例えば、原核細胞又は真核細胞)を形質転換するために使用できる。これらの細胞は、組換えDPP10遺伝子産物の生成、又はDPP10の制御若しくは解析に使用することができる。形質転換された宿主細胞は、本発明の一部を成す。好ましい細胞には、E.coli、酵母、糸状菌、昆虫細胞、哺乳類細胞、好ましくは、不死化したマウス、CHO、HeLa、ミエローマ、又はジャーカット細胞株、ヒト及びサル等の細胞株、及びそれらの誘導物が含まれる。
【0057】
本発明の第三の側面によれば、本発明の前記第一の側面に係る核酸配列によってコードされるポリペプチド配列を含むポリペプチド配列が提供される。好ましくは、前記ポリペプチド配列は、図2a、4、5、5a、6、9、又は10の核酸配列によってコードされる。
【0058】
本発明の第三の側面には、図2a、2c、4、5、5a、8、9、11、12、又は21の何れか一つに示されているポリペプチド配列、若しくはこれらに相同な配列、又はこれらの断片を含むポリペプチドが含まれる。図2c、4、9、11、及び12の配列は、予測されるヒトDPP10ポリペプチド配列である。図5、5a、及び8の配列は、予測されたマウスDPP10ポリペプチド配列である。図21は、マウスとヒトのポリペプチド配列の両者を示している。
【0059】
第三の側面の好ましい実施態様では、膜結合型のDPP10タンパク質(図6、転写物4;図4、図11)が提供される。特に、膜結合型のDPP10は、膜貫通ドメインを形成する図11のアミノ酸35乃至56を含む(図16も)。マウスにおける均等物は、転写物1、2、及び3である(図7)。
【0060】
第三の側面の好ましい実施態様では、膜貫通ドメイン又は触媒ドメイン(図14)、又はβ−プロペラドメイン(図17)を欠く可溶型のDPP10タンパク質が提供される(図6の転写物2、3、5、及び6)。特に、可溶性DPP10タンパク質は、膜貫通ドメインを形成する図11のアミノ酸35乃至56を欠く。最も好ましい実施態様では、可溶性DPP10タンパク質は、図11のアミノ酸57乃至751又は796を含む。マウスの均等物は、転写物4である(図7)。
【0061】
ゴルジ装置から細胞の別の部分への分泌を補助するために、可溶性DPP10タンパク質を分泌シグナルに作用可能に連結してもよい。適切な分泌シグナルは、pSecTag2(Invitrogen Corporation、Carlsbad、CA)等の組換えベクターによって供与することができる。このようなベクターから発現されたタンパク質は、マウスIgκ鎖リーダー配列のN末端に融合される。前記分泌シグナルは、組換えDNA技術を含む本分野で利用可能な技術を用いて、可溶性DPP10ポリペプチド配列に連結してもよい。
【0062】
前記DPP10タンパク質若しくはこれと実質的に相同な配列、又はそれらの断片には、翻訳後修飾を加えることもできる。本明細書において、翻訳後修飾(PTM)は、タンパク分解による切断(シグナル配列の除去又はチモーゲンの活性化によるプレタンパク質、プロタンパク質、又はプレプロタンパク質の切断)によって翻訳後にタンパク質を修飾することを含むものとして定義される。PTMには、炭水化物をタンパク質に付着させることも含まれ、付着させる主な糖には、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、GalNAC、GlcNAC、及びNANAが含まれる。前記炭水化物は、O−グリコシド結合又はN−グリコシド結合の何れかによってタンパク質に連結させることができる。アシル化、メチル化、リン酸化、硫酸化、及びプレニル化も含まれる。プロリンやリジン(lysive)の水酸化等のビタミンC依存性修飾、カルボキシ末端のアミド化、グルタミン残基のカルボキシル化等のビタミンK依存性修飾や、セレノシステイン(selenocysterine)としてタンパク質中にセレンを添加することも含まれる。
【0063】
第三の側面のポリペプチド配列は機能を有していることが好ましく、薬物のスクリーニング、診断、又は治療において有用であり得る。DPP10の機能的断片は、完全長の膜結合又は可溶型のDPP10と共通の免疫学的又は機能的な特徴を有している断片である。断片は少なくとも10アミノ酸長であり、好ましくは15、20、25、30、35、40又は50アミノ酸長であり得る。好ましくは、前記ポリペプチド配列は単離される。
【0064】
本発明の第四の側面では、前記第三の側面に係るポリペプチド配列の抗原若しくは前記第一の側面に係る単離された核酸の抗原、若しくは何れかの側面の断片に対して特異的である抗体、又は前記第三の側面に係るポリペプチド配列若しくは前記第一の側面に係る単離された核酸の抗原、若しくは何れかの側面の断片と反応する抗体が提供される。本明細書において、「反応する」という用語は、抗体がポリペプチド又は単離された核酸と相互作用することができることを意味する。「に対して特異的である」という用語は、抗体がポリペプチド又は単離された核酸と特異的に反応することを意味する。
【0065】
抗体は、標準的な操作(Harlow and Lane,“Antibodies;A Laboratory manual” Cold Spring Harbour Laboratory,Cold Spring Harbour,New York,1998)に記されている操作によって作製することができる。要約すると、免疫反応を惹起するのに十分な量と間隔で、精製された抗原を動物に注入することができる。抗体は直接精製することができ、あるいは、脾臓細胞を動物から取得することもできる。次いで、前記細胞を不死化した細胞株と融合し、抗体の分泌をスクリーニングする。抗体は、抗原を分泌する細胞をDNAクローンライブラリーからスクリーニングするために使用することができる。次いで、例えば、Kellyら、Bio/Technology 10:163/167(1992)及びBebbingtonら、Bio/Technology 10:169/175(1992)に記載されているように、これらの陽性クローンを配列決定することができる。好ましくは、検出される抗原及び/又はある抗体を得るために使用される抗原は、第三の側面に記載のポリペプチド配列又は第一の側面に記載の単離された核酸配列を含むであろう。抗体は、ポリクローナル若しくはモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体若しくは二種特異性抗体、又は上述した全てのものの断片であり得る。二種特異性抗体(bifunctional antibody)とは、二つの異なる抗原に結合することができる抗体であり、これらの抗原はDPP10ポリペプチド若しくは単離された核酸中に存在する、異なる抗原であってもよいし、あるいは、例えば、細胞の抗原と組み合わせたDPP10の抗原であってもよい。
【0066】
とりわけ、前記抗体は、サイトゾルの可溶型、β−プロペラドメイン、又は外部ドメイン等のDPP10のドメインに対して生じさせることができる。このような抗体は、本発明の診断及び治療的な側面において有用であろう。とりわけ、該抗体は、被験体から得た試料中のDPP10を検出又は測定するためのアッセイを開発する上で有用であろう。
【0067】
好ましい実施態様では、前記抗体は、被験体から取得した血清試料中に存在する、サイトゾルの可溶性DPP10タンパク質のレベルをアッセイするために使用し得る(図27)。
【0068】
本発明の第五の側面では、上述した核酸配列を調製する方法であって、連続するヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド残基を互いに連結することを備えた方法が提供される。このような方法は、化学的な合成法を用いて、又は酵素的な触媒を用いることによって実施することができる。あるいは、適切なDNA又はRNA配列を適切な宿主細胞にトランスフェクトして、宿主細胞中に所望の配列を産生させてもよい。
【0069】
本発明の第六の側面では、上述したポリペプチドを調製する方法であって、連続するアミノ酸及び/又はオリゴヌクレオチドを互いに連結することを備えた方法が提供される。このような方法は、化学的な合成法を用いて、又は酵素的な触媒を用いることによって実施することができる。あるいは、適切なDNA又はRNA配列を適切な宿主細胞にトランスフェクトして、宿主細胞中に所望の配列を産生させてもよい。
【0070】
本発明において、DPP10という表記には、可溶性、膜結合型又は不溶型のDPP10が含まれ、エキソン2乃至25によってコードされるポリペプチド配列を少なくとも備える。このため、DPP10という表記には、エキソン1a、1b、1c、1d、1e、1f、又は1gを一以上有する転写物によってコードされるタンパク質が含まれる。
【0071】
本発明の第七の側面では、以下のもの、すなわち、本発明の上述した側面の核酸配列を含む細胞、又は本発明の上述した側面の核酸配列を含むヒト以外のトランスジェニック動物が提供される。このような細胞(単独で、懸濁液中、培養液中、又は臓器を構成する細胞群の一部として)及びヒト以外のトランスジェニック動物は、一塩基多型及びそれらの表現型効果の解析に有用であり、従って、DPP10とその表現型効果の解析に有用である。ヒト以外のトランスジェニック動物での本発明のポリヌクレオチド配列の発現は、通常、前記ポリヌクレオチドをプロモーター及び/又はエンハンサー配列に作用可能に連結して、好ましくは、上述した側面のベクターを作製し、マイクロインジェクション技術により宿主動物の胚性幹細胞中にこれを導入することによって行う(Hogan et a.,A Laboratory Manual,Cold Spring harbour and Capecchi Science (1989) 244:1288-1292)。次いで、導入遺伝子構築物は、宿主の内在性遺伝子との相同的組換えを行うことになるはずである。所望の核酸配列を含んだ胚性幹細胞は、通常、マーカー遺伝子の発現をモニターすることによって選択することができ、ヒト以外のトランスジェニック動物を作製するために使用し得る。好ましい宿主動物には、マウス、ウサギ、及びその他の齧歯類が含まれる。
【0072】
導入される核酸配列は、宿主動物にとって本来存在するものでなくてもよい(すなわち、外来のものであってもよい)。このようなトランスジェニック動物は、本分野で公知の方法を用いてトランスジェニック動物ではない固有の動物と区別することができる。例えば、トランスジェニック動物から得た核酸試料を固有の動物から得た核酸試料と比較すればよく、トランスジェニック動物は、外来プロモーター、マーカー遺伝子等の核酸配列を有しているであろう。あるいは、動物の表現型を比較することもできる。
【0073】
疾病を研究するために前記第七の側面に係るヒト以外のトランスジェニック動物を使用することが望ましい場合には、動物に導入される核酸は、アレルギー、アトピー、喘息又は慢性関節リウマチ、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患、クローン病、多発性硬化症、又はII型糖尿病を含む炎症性疾患をもたらすDPP10のバリアントをコードすることが望ましいであろう。疾病が人工的に導入されるこのような実施態様では、ヒト以外のトランスジェニック動物は、固有のDPP10遺伝子を発現しないように改変されるであろう。これらの動物は、「ノックアウト」と称されることがある(Manipulating The Mouse Embryo-A Laboratory Manual,Hogan et al 1986)。ある場合には、外来核酸及び/又は固有の遺伝子の発現を時間又は空間的にモジュレートすることが望ましいであろう。固有の遺伝子の発現が全組織で停止されれば、このアプローチによって、生存性(viability)の問題は取り除かれる。
【0074】
最も好ましい実施態様では、アレルギー、アトピー、喘息又は慢性関節リウマチ、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患、クローン病、多発性硬化症、又はII型糖尿病を含む炎症性疾患を引き起こすバリアント型のDPP10をコードする核酸を具備するトランスジェニックマウスが提供される。もっとも好ましくは、前記核酸分子は、図1の位置259007(塩基アデニンがシトシンに変化している箇所)、位置267901(塩基アデニンがグアニンに変化している箇所)、及び/又は位置318524(塩基チミンがシトシンに変化している箇所)に対応する位置にSNPを有する。好ましくは、相同的組換え技術を用いて時間及び/又は空間的に適切な態様でDPP10を発現しないか、あるいは、トランスジェニック操作の結果、DPP10タンパク質を過剰発現するように、前記マウスをモジュレートする。
【0075】
機能的な多型(すなわち、「突然変異(mutation)」)が同定されれば、この多型を含有するDPP10構築物をマウスの生殖系列に導入して(すなわち、ノックイン)、DPP10タンパク質をノックアウトするのではなく、DPP10タンパク質の病理的バリアントを作製することができる。あるいは、DPP10遺伝子の病理的バリアントは、過剰発現させてもよい。
【0076】
本発明において、炎症性疾患には、DPP10の過剰発現、又はバリアント型のDPP10の存在に起因するものが含まれる。具体的には、このような疾病には、アレルギー、及び喘息等のアトピー性疾患、又は炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎やクローン病)、及び慢性関節リウマチや強直性脊椎炎等の炎症性関節疾患、又は乾癬、多発性硬化症、又はII型糖尿病が含まれる。
【0077】
本発明の第八の側面では、炎症性疾患に対する被験体の感受性を診断又は決定する方法が提供される。該方法は、病状に関連することが知られているバリアント型のDPP10の存在を決定すること、又はDPP10のレベルを測定することを備え得る。バリアント型のDPP10には、核酸バリアントとアミノ酸バリアントが含まれる。バリアントには、(例えば、ヒトの)野生型から生じた任意のSNP(図1)又は野生型から生じたその他の突然変異若しくは変化が含まれる。
【0078】
例えば、上述したプローブ又はプライマーは、DPP10又はそのバリアントをコードする核酸を検出する際に有用であろう。存在するDPP10の発現パターン又は型に関する情報は、おそらくは、サイトゾル型のDPP10タンパク質に対する膜結合型のDPP10タンパク質の比率に影響を与えることによって、DPP10発現の変化に起因する炎症性疾患に対して個体が感受性を有しているかどうかを決定する上で有用であると思われる。
【0079】
好ましい実施態様では、前記方法は、これに加えて又はこれに代えて、表1a、1b、及び1c、又は表3のSNPを一以上有するリスク対立遺伝子の有無を測定することを備えることができ、リスク対立遺伝子が存在すれば、疾病に罹患していること又は疾病に対して素因があることを示している。前記方法は、公知の多型の遺伝子型を一以上決定することを備えてもよい。このような多型の任意の組み合わせについて遺伝子型を決定してもよい。
【0080】
本発明のSNPは、表1a、1b、及び1c、又は表3に列記されており、多型の性質が野生型対立遺伝子/バリアント対立遺伝子の形式で記載されている。例えば、21818位のSNP(69WTC50Wと表記する)は、野生型配列中にアデノシン残基を有しており、バリアント配列ではこれがグアニン残基に置き換わっている。SNPは図1に基づいて位置が決められており、ヌクレオチド位置1が図1では一番目のヌクレオチドである。
【0081】
好ましくは、SNP多型の対立遺伝子は以下のとおりである。図1の259007位にアデニン以外のヌクレオチド残基、267901位にアデニン以外のヌクレオチド残基、及び318524位にチミン以外のヌクレオチド残基。より具体的には、前記リスク対立遺伝子は、図1の259007位のシトシン残基、267901位のグアニン残基、318524位のシトシン残基である。
【0082】
本発明において同定された残りのSNPに対する対立遺伝子は、表1a、1b、及び1c、又は表3に記載されている。
【0083】
上記方法では、当業者に公知の技術を含む任意の技術を使用することができる。これらには、例えばELISAアッセイ又は免疫局在性における、上述したプローブ若しくはプライマーの使用又は第四の側面に係る抗体の使用が含まれ得る。好ましくは、前記方法は、まず被験体から試料を採取することを備える。より好ましくは、前記方法は、試料から核酸又はポリペプチド配列を単離することを備える。
【0084】
とりわけ、この側面で使用する方法には、核酸配列間の相違を同定するための当業者に公知の方法、例えば、直接のプロービング、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、パイロシークエンシング法(Ahmadian A,Gharizadeh B,Gustafsson AC,Sterky F,Nyren P,Uhlen M,Lundeberg J.Single-nucleotide polymorphism analysis by pyrosequencing, Anal Biochem.2000 Apr 10;280(1):103-10;Nordstrom T,Ronaghi M,Forsberg L,de Faire U,Morgenstern R,Nyren P. Direct analysis of single-nucleotide polymorhpism on double-stranded DNA by pyrosequencing.Biotechnol Appl Biochem.2000 Apr;31(Pt 2):107-12)、対立遺伝子特異的増幅(ASA、Allele Specific Amplification)(WO93/22456)、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、一塩基伸長法(米国特許第4,656,127号)、ARMS−PCR、TaqmanTM(米国4683202号、4683195号、及び4965188号)、オリゴライゲーションアッセイ、一本鎖DNA高次構造解析((SSCP)Orita et al PNAS 86 2766−2770(1989))、Genetic Bit Analysis(WO 92/15712)、及びRFLPによる直接配列決定を含むPCR手法、質量分析(MALDI−TOF)、及びDNAアレイが含まれる。適切な制限酵素は、もちろん、多型と制限部位に依存し、当業者に公知のものが含まれるであろう。消化された断片の分析は、本分野における任意の方法(例えば、ゲル分析、又はサザンブロット)を用いて行うことができる。
【0085】
疾病に対する素因を診断又は判定する方法であって、図1の259007位にSNPを有するリスク対立遺伝子の有無を決定することを備え、リスク対立遺伝子が存在すれば、疾病に罹患しているか又は疾病に対して素因があると診断される方法が提供される。
【0086】
さらに、疾病に対する素因を診断又は判定する方法であって、図1の267901位及び/又は318524位にSNPを有するリスク対立遺伝子の有無を決定することを備え、リスク対立遺伝子が存在すれば、疾病に罹患しているか又は疾病に対して素因があると診断される方法が提供される。
【0087】
本発明は、疾病の正確な診断、又は疾病に対する素因の判定を容易にする点で有利である。このように、遺伝子型を決定することによって、個体が疾病を有しているか又は疾病に対して素因を有しているかを明らかにすることができる。これは、ある治療又は予防策が奏功する可能性が高い個体を同定するのに役立つ。このようにして、より効果的な治療又は予防策を与えることが可能となる。
【0088】
本発明の多型と関連する疾病には、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎やクローン病)、及び慢性関節リウマチや強直性脊椎炎等の炎症性関節疾患、又は多発性硬化症、又はII型糖尿病等の炎症性疾患が含まれる。本発明において疾病に対する素因とは、これらの個体が疾病を発症するリスクが高いこと、又はより重篤な型の疾病を発症すること、又は特定の形式の疾病を発症することを意味する。
【0089】
本発明において、リスク対立遺伝子とは、疾病と関連する又は疾病への素因と関連する多型を有する対立遺伝子である。リスク対立遺伝子は、以下に記載されているように、野生型であってもよいし、バリアント対立遺伝子であってもよい。
【0090】
「多型」という用語は、複数の形態の配列が共存することを意味する。このため、多型部位とは、配列の相違が生じる位置のことである。多型の存在によって生じる、異なった型の配列は、「対立遺伝子」と称される。多型部位を包含する領域は、多型領域と称されることがある。
【0091】
多型を明らかとする手段の例には、制限断片長多型(Botstein et al Am J Hum Genet 32 314−331(1980))、タンデムリピート数、超可変領域、ミニサテライト、二又は多ヌクレオチドリピート、挿入要素の数の変動、及びヌクレオチド又はアミノ酸の欠失、付加、又は置換が含まれる。多型部位の大きさは、一塩基対にすぎないこともあり、これによって、コドンが変化して、コードされるアミノ酸配列に変化が生じ得る。
【0092】
一塩基多型は、多型部位におけるヌクレオチド残基の置換、欠失、又は挿入によって生じる。このような変化(variation)をSNPと称している。SNPは、プロテインコーディング領域に生じる場合があり、この場合には、異なる多型形態の配列はバリアントタンパク質配列をもたらすことがある。他のSNPは、非コード領域に生じ得る。いずれの場合でも、SNPによって、タンパク質の欠陥又は遺伝子制御の欠陥がもたらされて、病気を引き起こすことがある。他のSNPは、表現型効果を有していないが、病状に連鎖していることがあり、このため、疾病のマーカーとしての役割を果たし得る。SNPは、典型的には、前述した他の形態の多型に比べて、ゲノム全体に高い頻度で発生し、従って、ある病状と関連するSNPを見出す確率が高くなる。
【0093】
連鎖不均衡とは、二つの対立遺伝子が同時に遺伝する頻度が、各対立遺伝子の個別の頻度から予想される頻度より大きいことをいう。逆に、対立遺伝子が同時に現れるのであれば、対立遺伝子は連鎖均衡にあるといわれる。二つの対立遺伝子が同時に遺伝する予想頻度は、各対立遺伝子の頻度の積である。
【0094】
二以上の多型の遺伝子型が決定されている場合には、前記方法によって、疾病の指標又は疾病に対する素因の指標となるハプロタイプの有無を判定することが好ましい。本明細書においてハプロタイプとは、ある配列中の集団で受け継がれる、ある配列中に存在する多型部位の集合体(すなわち、互いに連鎖不均衡である)と定義される。疾病の診断でハプロタイプを同定することは、偽陽性の確率を減らすのに役立つ。前記ハプロタイプは、表1a、1b、及び1c又は表3の多型を任意に組み合わせたものであり得、必要に応じて一以上の公知の多型と組み合わせてもよい。好ましいハプロタイプは、図1の259007、267901、及び318524位のSNPの組み合わせである。
【0095】
前記第八の側面の方法は、好ましくは、被験体から採取した試料に対して実施される。この目的に関しては、核酸、好ましくは図1の核酸を含有する細胞を含む任煮の生物試料が適している。適切な試料の例には、全血、白血球、精液、唾液、涙、口腔(buccal)、皮膚、又は毛が含まれる。cDNA、mRNA、又はタンパク質を分析するためには、前記試料は、目的の配列が発現している組織に由来するものでなければならない。血液は、直ちに入手できる試料である。このように、前記第八の側面の方法は、好ましくは、被験体から試料を取得する工程と、該試料から核酸を調製する工程とを含む。
【0096】
前記被験体は、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトである。前記被験体は、乳幼児、子供、又は成体であり得る。あるいは、前記試料は、例えば、羊水穿刺によって、分娩前の被験体から取得してもよい。
【0097】
疾病に対する被験体のリスク因子は、他の公知の遺伝因子、及び/又は臨床、生理、又は食事因子を参照することによっても決定することができる。
【0098】
上記の方法には、被験体から得たDNA試料の増幅が必要とされることがあり、これは、PCR等の本分野において公知の技術によって行うことができる(PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification(ed.H.A.Erlich,Freeman Press,NY 1992;PCR Protocols:A Guide to methods and Applications(eds. Innis et al.,Academic press,San Diego,CA 1990);Mattila et al.,Nucleic Acids Res. 19 4967(1991);Eckert et al.,PCR Methods and Applications 117(1991)、及び米国特許第4,683,202号を参照)。他の適切な増幅法には、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wu et al.,Genomics 4 560(1989);Landegran et al.,Science 241 1077(1988))、転写増幅(Kwoh et al.,Proc Natl Acad Sci USA 86 1173(1989))持続的自己配列複製(self sustained sequence replication)(Guatelli et al., Proc Natl Acad Sci USA 87 1874(1990))、及び核酸ベース配列増幅(NASBA)が含まれる。後の二つの方法では、増幅産物として一本鎖RNAと二本鎖DNAの両者を、それぞれ30又は100対1の比率で生成する等温性転写に基づく等温反応が用いられる。
【0099】
複数の試料を同時に分析することが望ましい場合には、WO95/11995号に記載されているようなアレイを用いることが好ましいかもしれない。アレイは、多数のプローブを含有することができ、各プローブは、試料由来のDPP10のバリアントを同定するようにデザインされている。
【0100】
制限酵素が必要とされる場合には、多型と制限部位の性質に従って制限酵素を選択することができる。適切な酵素は、当業者に公知であろう。消化された断片の分析は、本分野のあらゆる方法、例えば、ゲル分析、又はサザンブロットを用いて実施することができる。
【0101】
上記方法を用いた多型を有する対立遺伝子の判定では、通例、アンチセンス配列、すなわち目的の核酸配列に相補的である配列(図1の配列の一部を含むものでもよい)が用いられる。このような配列は、本発明の第三の側面に記載されている。
【0102】
被験体から得た試料中に複数の一塩基多型、すなわちハプロタイプの存在を同定することが望ましい場合には、WO95/11995に記載されているアレイを使用することが好ましいかもしれない。アレイは、多数のプローブを含有することができ、各プローブは、本発明の上記一塩基多型を一以上同定するようにデザインされる。
【0103】
前記第八の側面の方法では、先述したDPP10に対する抗体を用いてもよい。試料中の抗原への抗体の結合の検出は、一次抗体に結合する二次抗体、又はリガンドの使用等の本分野において公知の方法によって容易となるであろう。免疫蛍光アッセイ(IFA)や酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)やイムノブロッティングを含むイムノアッセイを用いて、抗原の存在を検出することもできる。例えば、ELISAを使用する場合、前記方法は、前記抗体を基質に結合させることと、抗原を含有する試料に前記結合した抗体を接触させることと、検出可能部分(典型的には、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ等の酵素)に結合された二次抗体にこれを接触させることと、前記酵素の基質にこれを接触させることと、最後に、前記試料中に前記抗原が存在することの指標となる色の変化を観察することとを備え得る。
【0104】
核酸又はタンパク質を含有する細胞を含むあらゆる生物試料が、この用途に適している。適切な試料の例には、全血、精液、唾液、涙、口腔、皮膚、又は毛が含まれる。cDNA、mRNA、又はタンパク質を分析する場合、前記試料は、DPP10が発現されている組織に由来するものでなければならない。末梢血の白血球は、直ちに入手できる試料である。
【0105】
本発明の第九の側面によれば、被験体の疾病を予防又は治療する方法であって、前記被験体におけるDPP10の活性、発現、半減期、又は翻訳後修飾をモジュレートすることを備えた方法が提供される。
【0106】
前記方法は、アレルギー、喘息等のアトピー性疾患、又は炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎やクローン病)、及び慢性関節リウマチや強直性脊椎炎等の炎症性関節疾患、又は乾癬、多発性硬化症、又はII型糖尿病に罹患している、又は感受性があると診断されたことがある被験体に実施するのが好ましい。
【0107】
好ましくは、前記方法は、SNPを有する対立遺伝子(例えば、図1の259007、267901、及び/又は318524に位置する、アレルギー、アトピー、喘息、又は炎症性疾患と関連を有するもの等)の有無を判定することと、リスク対立遺伝子が存在すれば、疾病を予防、遅延、又は軽減するために治療を施すこととを備える。
【0108】
好ましくは、リスク対立遺伝子の有無を判定することを備えた前記工程は、前記第八の側面に従って実施され、従って、表1a、1b、及び1c又は表3のSNP、又は上述したような、これらの任意の組み合わせを有するリスク対立遺伝子の有無を判定することも備える。
【0109】
前記第九の側面による疾病の予防又は治療には、DPP10又は発病対立遺伝子の効果をモジュレートすることができる任意の物質を投与することが含まれ得る。好ましくは、前記物質は、前記リスク対立遺伝子の有害な効果を和らげることができるものである。前期方法には、遺伝子治療技術が含まれるが、これに限定されるものではない。遺伝子治療技術では、通例、リスク対立遺伝子を包含する核酸配列を置換するか、あるいは、リスク対立遺伝子の効果をダウンレギュレートする。前記第二の側面の核酸配列又はこれにアンチセンスな配列が、遺伝子治療において有用であろう。
【0110】
モジュレートするとは、酵素の活性を阻害又は増加させることを意味する。活性は阻害されることが好ましい。酵素の活性には、核酸配列の転写と翻訳、タンパク質の集合、他の因子との下流での相互作用を含むその産生又は機能に関する全ての側面が含まれる。
【0111】
DPP10活性は、多数の方法でモジュレートすることができる。例えば、本発明の第一の側面に係るアンチセンス配列等のアンチセンス配列の使用を通じて、又はアンチセンスRNAの産生によって、遺伝子の発現を阻害することができる。このような配列は、遺伝子治療によって被験体に導入されると、DPP10遺伝子又はRNAにハイブリダイズし、その転写又は翻訳を阻害するであろう。他のバリアントに影響を与えることなく、DPP10のあるスプライスバリアントの機能又は発現をモジュレートすることが望ましい場合に、この方法は特に有用であり得る。
【0112】
核酸配列の導入には、本分野で公知の方法を含む遺伝子治療法を用いることができる。一般的に、核酸配列は、通常はベクターの形態で、好ましくは薬学的に許容される担体の形態で被験体の標的細胞中に導入されるであろう。組換えゲノムをパッケージングすることができるレトロウイルスベクター系等のウイルスベクターを含む任意の適切な送達媒体を使用し得る。レトロウイルスは、次いで、標的細胞に前記ポリヌクレオチドを感染させ、送達するために使用することもできる。アデノウイルスベクター、アデノ随伴ベクター、レンチウイルスベクター、偽型レトロウイルスベクター、及びポックス又はワクシニアウイルスベクターの使用を含む、他の送達技術も広く使用できる。Lipofectin(R)、Lipofectamine(R)、(GIBCO−BRL、Inc.Gaitherburg、MD)、Superfect(R)(Qiagen Inc,Hilden,Germany)、及びTransfectam(R)(Promega Biotec Inc,Madison WI)等の市販のリポソーム調製物を含むリポソームを用いてもよい。
【0113】
DPP10の生物活性をモジュレートするための他の手段には、DPP10が相互作用する下流の因子とDPP10との相互作用に影響を与え得る物質も含まれる。例えば、DPP10の活性は、ケモカインやサイトカイン等のXPXSモチーフを含有する分子(例えば、図19に示されているもの)とDDP10との相互作用を阻害することによって影響を受け得る。とりわけ、DPP10の活性は、これらのケモカイン又はサイトカインのうち任意の一又は複数に対する競合的阻害剤又は非競合的阻害剤を使用することによって、又はDPP10の活性三連構造を阻害することによって機能し得る小分子阻害剤によって阻害し得る。その他の阻害法も、当業者には公知であろう。
【0114】
上述した被験体の炎症性疾患の予防又は治療に使用するための物質も提供される。物質には、第一又は第二の側面の核酸配列、第三の側面のポリペプチド配列、第四の側面の抗体、及び本明細書に記載されている他のあらゆる物質、好ましくは、DPP10の活性をモジュレートすることができる物質が含まれる。
【0115】
前記被験体は、任意の動物であり得、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトであり得る。
【0116】
被験体の上述した炎症性疾患の予防又は治療に使用するための医薬の製造における上述した物質の使用も提供される。
【0117】
本発明の第十の側面では、図1の配列の一部を含み、且つ表1a、1b、1c、又は3のうちの何れか一つ又は複数に列記されている図1の位置に対応する位置に一以上のSNPを含む単離された核酸分子が提供される。
【0118】
具体的な単離された核酸分子には、
図1の259007位に対応する位置にSNPを含み、この位置でアデニンがシトシンに変化しているもの、
図1の267901位に対応する位置にSNPを含み、この位置でアデニンがグアニンに変化しているもの、
図1の318524位に対応する位置にSNPを含み、この位置でチミンがシトシンに変化しているもの
が含まれる。
【0119】
本発明の前記核酸分子は、DNA、RNA、及び一本鎖又は二本鎖の配列であり得る。本発明の全ての分子は単離され、あるいは、組換えることもできる。単離されたとは、精製されており、タンパク質及び他の核酸を実質的に含まない核酸分子を意味する。このような分子は、PCR増幅、クローニング技術、又は合成装置による合成によって取得することができる。組換えとは、人為的に組みかえられた核酸分子を意味する。
【0120】
本発明の単離された核酸分子は、図1の「野生型」又は「基準」配列とは異なる。図1の配列(D2S308マーカーを取り囲む465Kbの領域、喘息と関連するとWO99/50451に記載されている)は、BAC/PACコンティグ(本発明の一部ではない)に由来する。該コンティグ中のBACは、416L5、543L9、及び317L18である。PACは、69CE4である(本発明の一部ではない)。表1a、1b、1c、又は3に詳述されている一以上の位置の何れかが図1の配列と異なる本発明の核酸配列は、図1の配列の多型バリアントと称され、本発明の一部を構成する。
【0121】
本発明の該側面は、アンチセンス配列も提供する。このような配列は、通例、一本鎖であり、本発明の上述した核酸配列に又は図1の配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる。好ましいアンチセンス配列は、本発明の多型を有する対立遺伝子にハイブリダイズすることができるアンチセンス配列であり、最も好ましくは、(表1a、1b、1c、又は3の)多型を有する対立遺伝子を区別することができるアンチセンス配列である。ストリンジェントな条件は、以下に定義されている。前記アンチセンス配列は、合成によって調製してもよいし、あるいはニック翻訳によって調製してもよく、好ましくは単離されるか又は組換えられる。
【0122】
前記アンチセンス配列には、例えば、本発明の前記方法に使用するためのプライマー及びプローブが含まれる。プライマー配列は、当業者に公知であると思われる適切な条件下において、テンプレートで誘導される核酸合成用の開始部位として作用することができる。プローブは、ある核酸配列の検出、同定、及び単離において有用である。プローブとプライマーの長さは、好ましくは15乃至30ヌクレオチドである。
【0123】
増幅を行う場合には、ペアとプライマーを準備する。これらには、増幅すべき核酸配列の5’末端にハイブリダイズする5’プライマーと、増幅すべき核酸の3’末端の相補鎖にハイブリダイズする3’プライマーとが含まれる。好ましいプライマーは、表2に列記されている。
【0124】
例えば、検出を可能にするために、プローブとプライマーには、標識を施してもよい。適切な標識には、例えば、引き続きサザンブロット操作において可視化するための、例えば、放射標識、酵素標識、フルオロ標識、ビオチン−アビジン標識が含まれる。標識されたプローブ又はプライマーは、試料のDNA又はRNAと反応して、相補的な配列を有するDNA又はRNAの領域がプローブとハイブリダイズして、DNA又はRNA自体が標識されることになるであろう。標識された領域は、例えば、オートラジオグラフィーによって可視化することができる。
【0125】
前記プローブ及び/又はプライマーは、「ストリンジェントな条件」下でハイブリダイズするのが好ましく、ストリンジェントな条件とは、ハイブリダイゼーションのプロトコールで用いられる洗浄条件を意味する。プローブ用のハイブリダイゼーション条件は、プローブの結合時に、多型を有する別の対立遺伝子を識別できるように十分ストリンジェントであることが好ましい。一般に、洗浄条件は、研究対象となっている核酸のTmの計算値を変性温度が約5−20℃下回るように、温度と塩濃度を組み合わせなければならない。20塩基以下の核酸プローブのTmは、短いオリゴヌクレオチドに関するWallace則に従って、標準条件(1M NaCl)下で、[4℃x(G+C)+2℃x(A+T)]と計算される。これより長いDNA断片の場合、Breslauerら、PNAS 83:3746−3750(1986)に記載されている法則に従って、固体熱力学と実験データを組み合わせた直近隣接法を用いることができる。ハイブリダイゼーション用の最適な塩及び温度条件は、フィルター上に固定化されたDNA試料を目的のプローブにハイブリダイズさせた後に、様々なストリンジェンシーの条件下で洗浄する予備実験で容易に決定することができる。PCR用の条件は標準条件と異なってもよく、プライマーの予測相対安定度の指標としてTmを使用し得る。約14ヌクレオチドの短いプライマーの場合、44℃−50℃前後の低いアニーリング温度が用いられる。前記温度は、使用するプライマー配列の塩基組成に応じてさらに高くしてもよい。典型的には、塩濃度は1Mにすぎず、温度は少なくとも25℃である。適切な条件は、5×SSPE(750mM NaCI、50mMリン酸ナトリウム、5mM EDTA pH7.4、25−30℃の温度)である。
【0126】
第十一の側面では、先述した側面に記載のベクター又は単離された核酸分子を含む宿主細胞が提供される。該宿主細胞は、発現ベクター、又は本発明の核酸分子をコードする裸のDNAを含み得る。種々の適切な宿主細胞(真核細胞と原核細胞の両者)を使用することができる。例としては、E.Coliなどの細菌、酵母、糸状菌、昆虫細胞、(マウス、CHO、HeLa、ミエローマ、又はジャーカット細胞株、ヒト及びサルの細胞株、及びそれらの誘導物等の)哺乳動物細胞、好ましくは不死化した細胞等が含まれる。前記宿主細胞は、好ましくは、前記核酸配列を発現させて遺伝子産物(すなわち、RNA又はタンパク質)を与えることが可能である。このような宿主細胞は、上述した炎症性疾患を有する個体又は上述した炎症性疾患に感受性がある個体の診断又は治療に使用するための物質を同定するための薬物スクリーニング系において有用である。
【0127】
前記核酸分子を宿主細胞中に導入する方法は、ベクター/DNAと標的細胞の両方の性質に依存するのが通常であり、当業者に公知の方法が含まれるであろう。適切な公知の方法には、Sambrookらに記載されているような、融合、抱合、リポソーム、イムノリポソーム、リポフェクチン、トランスフェクション、トランスダクション、電気穿孔、又は注入などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
本発明の第十二の側面では、疾病又は疾病に対する素因を診断するためのキットであって、表1a、1b、1c、又は表3のSNPを有するリスク対立遺伝子の有無を判定するための手段を備え、前記リスク対立遺伝子が疾病又は疾病に対する素因の診断指標となるキットを提供する。
【0129】
好ましい実施態様では、前記キットは、第八の側面に記載した多型を有するリスク対立遺伝子が一以上存在するか否かを判定するための手段を備える。特に、前記キットは、図1の259007位、267901位、及び/又は318524位のSNPを有するリスク対立遺伝子の有無を判定する手段を備える。
【0130】
好ましくは、前記キットは、本発明の第八の側面に記載のリスク対立遺伝子の有無を判定するために必要な成分を備えるであろう。このような成分には、PCRプライマー及び/又はプローブ(例えば、上述したもの)、PCR酵素、制限酵素、及びDNA又はRNA精製手段が含まれる。好ましくは、前記キットは、少なくとも一対のプライマー、又はプローブ、好ましくは、本発明の第十の側面に上記したものを含有するであろう。前記プライマーは、好ましくは、対立遺伝子特異的なプライマーである。他の成分には、標識手段、反応用の緩衝液が含まれる。さらに、野生型又は上述のバリアント核酸配列、又はそのPCR産物を含む対照核酸試料を含めてもよい。前記キットは、通常、前記診断法を実施するための指示書と、前記結果と疾病の可能性の相関を詳細に示した手がかり(key)とを備えるであろう。前記キットは、疾病の予防又は治療用物質を備えてもよい。
【0131】
本発明の第十三の側面では、疾病を治療するための化合物を同定する方法であって、(a)表1a、1b、1c又は3に列記された図1の位置に対応する位置にSNPを有する単離された核酸分子を含む組織に化合物を投与することと、(b)前記物質が前記SNPの効果をモジュレートするかどうかを測定することとを備えた方法が提供される。
【0132】
好ましい実施態様では、前記単離された核酸分子は、本発明の前記第十の側面に記載したものであり、最も好ましくは、図1の259007位、267901位、及び/又は318524位に対応する位置にSNPを有する。
【0133】
この側面では、SNPの効果をモジュレートすることができる物質をスクリーニングするために、本発明の核酸分子及び/又は前述した側面に係る細胞株を使用し得る。
【0134】
このような物質としては、リスク対立遺伝子と非リスク対立遺伝子との反応が異なる物質が考えられる。物質の候補としては、当業者に公知であるものが含まれ、化学若しくは生物的化合物、例えば上述したようなセンス又はアンチセンス核酸配列、結合タンパク質、キナーゼ、及び他のあらゆる遺伝子又は遺伝子産物アゴニスト若しくはアンタゴニストが含まれる。前記物質は、疾病を引き起こす対立遺伝子の効果をモジュレートすることができるものであることが好ましいであろう。もっとも好ましくは、前記物質は、リスク対立遺伝子の有害な効果を軽減することができる物質である。
【0135】
このような物質は、予防的な投与にも、又は疾病であると診断された後の投与にも適しているかもしれない。投与経路は、治療すべき疾病又は症状に応じて適切に選択されるが、本発明の物質を投与する典型的な経路には、経口、直腸、静脈内、非経口、筋肉内、皮内経路が含まれる(これらに限定されるものではない)。本発明は、DNA又はRNAの何れかとして(従って、遺伝子治療の形態として)投与すべき物質も提供する。前記物質は、リポソーム、ウイルスベクター、及び被覆粒子(遺伝子銃)等の手段によって直接細胞中に送達することができるが、これらに限定されるものではない。
【0136】
本発明の第十四の側面では、上記した本発明の物質若しくは抗体、又はアレルギー、及び喘息等のアトピー性疾患、又は炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎やクローン病)、及び慢性関節リウマチや強直性脊椎炎等の炎症性関節疾患、又は乾癬、多発性硬化症、又はII型糖尿病の予防又は治療における使用が提供される。
【0137】
アレルギー、及び喘息等のアトピー性疾患、又は炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎やクローン病)、及び慢性関節リウマチや強直性脊椎炎等の炎症性関節疾患、又は乾癬、多発性硬化症、又はII型糖尿病の予防又は治療に使用するための医薬の製造における上述した物質又は抗体の使用も提供される。
【0138】
本発明の第十五の側面によれば、上述したような本発明の核酸又はポリペプチド配列を含む薬学的組成物が提供される。あるいは、該薬学的組成物は、上記側面に関連して説明した物質又は本発明の第四の側面に係る抗体を含んでもよい。
【0139】
薬学的組成物の投与は、任意の効果的な経路(例えば、経口又は非経口)によって行われる。非経口送達法には、局所、動脈内、皮下、髄内、静脈内、又は鼻腔内投与が含まれる。投与は、羊水穿刺関連技術によっても実施することができる。皮下注射に引き続いて経口投与するのが、好ましい取り込みの経路であろう。長期作用する固定化も使用されるであろう。活性成分に加えて、これらの薬学的組成物は、活性な化合物を薬学的に使用可能な調製物に加工することを容易にする賦形剤やその他の化合物を具備する薬学的に許容される適切な担体を含有してもよい。調剤と投与のための技術についてさらに詳しく知るには、「REMINGTON‘S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Maack Publishing Co,Easton PA)」の最新版を参照されたい。
【0140】
経口投与用の薬学的組成物は、本分野において周知の薬学的に許容される担体を用いて、経口投与に適した製剤に調合することができる。このような担体によって、前記薬学的組成物は、患者の摂取に適した錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として調合することが可能となる。
【0141】
本発明での使用に適した薬学的組成物には、前記活性成分が意図する目的を達するのに有効な量で含有される組成物が含まれる。このように、治療的有効量とは、治療されている疾病の症状を改善又は根絶するのに十分な量のことである。実際に投与される量は、治療を施すべき個体に応じて変動し、重大な副作用を生じずに所望の効果が実現される最適化された量であることが好ましいであろう。治療的有効量の決定は、明らかに当業者の能力の範疇に属する。もちろん、当業者であれば、分割投与や部分投与も本発明の範囲に属することは理解できるであろう。
【0142】
何れの化合物の場合でも、治療的有効量は、まず、細胞培養アッセイ又は任意の適切な動物モデルの何れかで推定することができる。これらのアッセイは、下流のプロセシング活性の他に、受容体活性を考慮に入れなければならない。動物モデルは、望ましい濃度範囲や投与経路を達成するためにも使用される。次いで、このような情報は、ヒトでの投与に有用な用量と経路を決定するために使用することができる。
【0143】
治療的有効量とは、症候又は症状を改善する物質の量を指す。このような化合物の治療的な有効性と毒性は、細胞培養又は実験動物での標準的な薬学的手技によって決定することができる(例えば、ED50、集団の50%で治療的に有効な用量、LD50、集団の50%に対して致死的な用量)。治療効果と毒性効果の用量比が治療指数であり、比率ED50/LD50で表すことができる。大きな治療指数を示す薬学的組成物が好ましい。細胞培養アッセイと動物実験から得られたデータは、ヒトに使用するための投薬量の範囲を策定する際に使用される。このような化合物の投薬量は、毒性をほとんど又は全く示さずにED50を包含される循環濃度域中に収まることが好ましい。投薬量は、用いる投薬形態、患者の感受性、及び投与経路に応じてこの範囲内を変動する。
【0144】
正確な投薬量は、治療を受ける患者を顧慮して、各医師が選択する。投薬量と投与は、十分なレベルの活性部分を与えるように、又は所望の効果を維持するように調節される。考慮に入れなければならないことがあるその他の要素には、病状の重さが含まれる。長期にわたって作用する薬学的組成物は、当該剤形の半減期やクリアランス速度に応じて、3乃至4日毎、一週間毎、又は二週間毎に一度の投与でもよい。投薬量や送達法についての手引きは、文献に記載されている(米国特許第4,657,760号、5,206,344号、及び5,225,212号を参照、本明細書に参考文献として援用される)。
【0145】
本発明の第十六の側面によれば、数多くのスクリーニングが提供される。第一のスクリーニングは、
請求項8乃至13の何れか1項に記載のポリペプチド配列を準備することと、
DPP10の基質を準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
前記DPP10の基質の加工(processing)を測定することによって、前記検査すべき物質がDPP10をモジュレートするかどうかを測定することと、
を備えたDPP10活性をモジュレートする物質の同定を提供する。
【0146】
前記スクリーニングの成分は、任意の自由な順序で混合される。
【0147】
前記スクリーニングアッセイにおいて、DPP10は、請求項8乃至13の何れか1項に記載されている任意のDPP10であり得る。β−プロペラドメイン、フィブロネクチン結合ドメイン、又は別の細胞外マトリックス結合ドメインのようなDPP10分子の断片を使用してもよい。また、本発明のSNP核酸配列を一以上備えたDPP10ポリペプチド(請求項37乃至41の何れか一項に記載されているもの等)も使用し得る。前記DPP10ポリペプチドは、精製されていてもよいし、精製されていなくてもよい。前記DPP10ポリペプチドは、可溶性であり得る。DPPポリペプチドは、前記ドメインを一以上備え得る。
【0148】
検査される物質は、DPP10が関連する又はDPPが媒介する疾病又は疾患の予防又は治療に使用するために同定されている。このような疾病又は疾患には、喘息、湿疹、花粉症(アトピー性疾患として知られる)、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎又はクローン病)、炎症性関節疾患(慢性関節リウマチや強直性脊椎炎等)、乾癬、多発性硬化症等の炎症性の要素を伴う脳疾患、又はII型糖尿病又は高血圧が含まれる。
【0149】
DPP10の基質は、本発明のDPP10ポリペプチドによって加工される任意のものであり得る。加工される(processed)とは、測定可能なあらゆる変化を意味する。基質には、式XPXS、より具体的には式NHX−P(X)S−(X)を備え得る(ここで、NHはアミノ末端であり、Xは任意のアミノ酸であり、Pはプロリンであり、Sはセリンであり、7は1乃至4であり、nは任意の数である)。前記基質は、図19中のもの等のXPXSモチーフを含有するサイトカイン、すなわち、RANTES、SDF−1,EOTAXIN、IP10、MCP2、IL17β、IL2、GCP−2、IL18bp、ケモカインCC−1/CC−3、インターロイキン−8、CTAK/ALP/LIC、又はこのようなモチーフを有する小ペプチドであり得る。これらの基質は、加工を容易に検出できるようにするために、蛍光標識又は蛍光修飾し得る。このような標識又は修飾は、当業者に公知である。
【0150】
典型的には、基質の加工は、プロテアーゼ活性を測定することを具備するものと思われ、例えば、このようなプロテアーゼ活性は、基質の切断によって検出し得る。モジュレーションとは、酵素の活性の増加又は減少の何れかを意味するものとする。このような活性は、DPP10の発現の変化又はDPP10の半減期の変化又はDPP10の翻訳後修飾の変化によって影響を受け得る。
【0151】
本発明は、さらに、DPP10活性をモジュレートする物質を同定するためのスクリーニングであって、
請求項8乃至13の何れか一項に記載されているDPP10ポリペプチドを準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
細胞を準備することと、
前記細胞の表面への接着を測定することによって、検査すべき前記物質がDPP10をモジュレートするかどうかを測定することと、
を備えたスクリーニングを提供する。
【0152】
このようなスクリーニングは、細胞接着スクリーニング(又はアッセイ)と称することができる。前記スクリーニングの成分は、任意の自由な順序で混合される。
【0153】
典型的には、細胞接着アッセイで使用される細胞は、懸濁液中に維持することができ、懸濁液の中で、細胞間接着分子の相互作用に起因する細胞の凝集により接着が測定される。あるいは、表面への接着を測定してもよい。表面は、非生物分子(例えば、組織培養プラスチック)であってもよく、あるいは、細胞性又は非細胞性である生物分子であってもよい。非細胞性分子の例には、フィブロネクチン、コラーゲン等の細胞外マトリックス成分が含まれる。一以上の細胞又はその他の非細胞生物分子を組織培養表面又は細胞外マトリックス成分被覆表面等の表面に接着させてもよい。接着は、表面への細胞の接着を測定することによって判定される。細胞接着のモジュレーションは、細胞接着の増加又は細胞接着の減少の何れかであり得る。DPP10活性に影響を及ぼせば、ある物質はDPP10活性のモジュレーターであると考えられ、これは、DPP10分子の発現のレベルであるか、又はDPP10分子の半減期を変化させることによるか、又はDPP10分子の翻訳後修飾状態に影響を及ぼすことによるものであり得る。
【0154】
本発明のさらなる側面は、DPP10活性をモジュレートする物質を同定するためのスクリーニングであって、
請求項8乃至13の何れか一項に記載されているDPP10ポリペプチドを準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
細胞を準備することと、
前記細胞の分化又は増殖の変化を測定することと、
を備えたスクリーニングを提供する。
【0155】
前記スクリーニングの成分は、任意の自由な順序で混合される。
【0156】
典型的には、分化は、当業者に公知の任意の手段によって測定することができ、例えば、Tリンパ球の場合、分化の変化はT細胞活性化であり得る。他の細胞種の場合には、免疫調節物質(例えば、サイトカイン又は増殖因子)等の分泌可能な細胞シグナル伝達因子の産生の誘導又は抑制であり得る。免疫調節物質はペプチドであり得るし、あるいは、DPP10をモジュレートする物質によって発現が変化を受ける他の任意の生物物質でもあり得る。典型的には、このアッセイは、インビトロで、例えば組織又は臓器培養中で行われる。
【0157】
表現型の変化は任意の変化であり得る。これには、T細胞及び/又はB細胞表現型の変化が含まれ得る。
【0158】
このようなスクリーニングは、DPP10活性をモジュレートする物質を同定するためのインビトロモデルを提供する。
【0159】
本発明のさらなる側面は、DPP10活性をモジュレートする物質を同定するためのスクリーニングであって、
請求項23乃至25又は59の何れか一項に記載のトランスジェニック動物を準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
前記トランスジェニック動物を検査すべき前記物質に接触させることと、
前記トランスジェニック動物の表現型の変化を検出することと、
を備えたスクリーニングが提供される。
【0160】
前記スクリーニングの成分は、任意の自由な順序で混合される。
【0161】
前記物質を検査すべき細胞は、懸濁液中に、組織培養中に、臓器の一部として、又は動物の一部として存在することができる。好ましくは、前記動物は、ラット、ウサギ、マウス、又はその他の齧歯類等の実験動物である。
【0162】
本発明のさらなる側面は、DPP10をモジュレートする物質の使用に伴う副作用を検出するためのスクリーニングであって、
DPP10を実質的に発現しない細胞を準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
検査すべき前記物質を前記細胞に接触させることと、
前記物質によって前記細胞に生じた何らかの副作用を測定することと、
を備えたスクリーニングを提供する。
【0163】
前記スクリーニングの成分は、任意の自由な順序で混合される。
【0164】
測定すべき副作用は任意の副作用であり得、細胞がこれより大きな組織又は動物の一部であるかどうかに依存するかもしれない。これには、細胞の分化、又は細胞の増殖の変化が含まれ得る。前記副作用は、臓器又は動物の表現型の変化の指標であり得る。
【0165】
本発明のさらなる側面は、DPP10活性をモジュレートする物質を同定するスクリーニングであって、
請求項1乃至4の何れか一項に記載されているDPP10核酸を準備することと、
検査すべき物質を準備することと、
前記核酸の試料との前記物質の相互作用を測定することによって、前記検査すべき物質がDPP10をモジュレートするかどうかを測定することと、
を備えたスクリーニングを提供する。
【0166】
好ましくは、このスクリーニングは、DPP10の転写を測定するインビトロ転写アッセイである。
【0167】
あるいは、DPP10の理論的又はモデル特性を使用することによって、物質を同定してもよい。DPP10の機能的又は構造的特性は、タンパク質自体の特性であってもよいし、あるいはコンピュータで作製したモデル、物理的二次元若しくは三次元モデル、又は電気的(例えばコンピュータ)に作製した一次構造、二次構造、若しくは三次構造の特性、並びにファルマコフォア(三次元電子密度マップ)若しくはそのX線結晶構造の特性であり得る。
【0168】
物質の候補としては、当業者に公知のもの又は新規物質が含まれ、アンチセンスヌクレオチド配列、前記第二の側面のポリペプチド配列に結合するポリクローナル又はモノクローナル抗体等の化学的又は生物的化合物が含まれる。
【0169】
本発明の第十七の側面によれば、DPP10の活性をモジュレートする物質のスクリーニングにおける、上述した核酸配列又はポリペプチド配列の使用が提供される。
【0170】
前記方法は、好ましくは、本発明の先述した側面に記載の核酸又はポリペプチド配列に物質の候補を接触させることと、前記ヌクレオチド又はポリペプチド配列の発現及び/又は活性をモニタリングすることとを備える。物質の候補は、該物質の不存在下での活性又は発現に比べて、DPP10ヌクレオチド又はポリペプチド配列の活性又は発現を変化させる物質である。本方法は、本発明のヌクレオチド又はポリペプチドを供えた宿主細胞、組織培養、又はヒト以外のトランスジェニック動物に物質の候補を接触させることと、炎症性疾患を呈示する(display)こととによって実施し得る。
【0171】
前記第十六又は第十七の側面の方法によって同定された物質も提供される。
【0172】
本発明の第二の側面と以降の側面の好ましい特徴は、第一の側面と同様である。
【0173】
ここで、以下の図面と実施例を参照しながら本発明を説明するが、以下の図面と実施例は例示の目的で記載したものにすぎず、本発明を限定するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0174】
実験例
実施した実験の概要:
喘息及び対照個体から得たDNA中のマーカーD2S308の周囲に存在する約462kbのコンティグのセクションを再度配列決定することによって、新規なSNPを同定した。3つの集団の喘息家族群全体にわたって、これらのSNPの遺伝子型を特定した。伝達不均衡テスト(TDT)によって、関連解析を実施して、喘息と正の関連を示すいくつかのSNPを同定した。全てのSNPから得た遺伝子型データを用いて、マイクロサテライトマーカーD2S308周囲の連鎖不均衡(LD)の程度、及び関連するSNPを絞り込んだ。113,792bpの領域の配列(関連マーカー及びSNPを含み、LDの島(Island)と名付けられた)を、転写物同定のために選択した。
【0175】
公的な配列データベースをコンピュータシミュレーションで解析することによって、LDの島内には既知の遺伝子はマッピングされないことが示された。この領域内にマッピングされる発現配列タグ(EST)は、AA424226,H10825、及びAA42637のみであった。従って、広範囲のDNA配列解析を実施して、113792bpのLDの島の中に、コードDNA配列を同定した。エキソン予測アルゴリズムを用いて、60bpのコード配列の候補(MEX4と命名された)を同定した。MEX4を含むDNAプローブを用いたcDNAライブラリーのスクリーニングによって、1301bpのcDNAクローン(MEX4FB−1)を同定した。Genbankヌクレオチド(nr)データベースに対するBLASTN解析によって、2つの配列(AB040925、及びAK025075)に対して100%のヌクレオチド相同性を確認した。この情報を用いて、2391bpの予想オープンリーディングフレームを有する複合性の全長cDNAクローンを構築することが可能であった。続いて、MEX4FB−1クローンの末端からの3’RACE実験によって、この予想配列は、この遺伝子のC末端部分と3’UTRであることが確認された。さらにエキソン3から5’RACE実験を実施して、5種の転写物中に整列された他の代替的N末端エキソンを6つ同定した。さらにMex4/エキソン1aからの3’RACEによって、Mex4/エキソン1aとともに短いcDNAの一部を形成する1つのC末端エキソン(2a)がさらに同定された。ゲノム構造解析によって、この遺伝子が、25のエキソンを含有し、且つ約1MBの巨大な領域のゲノムDNAにまたがることが示された。この構造に基づけば、マーカーD2S308はイントロン1の中に存在する。クローンAB040925の配列は、エキソン3〜エキソン25の一部をコードするが、イントロン1は数百kbの長さなので、コンピュータシミュレーションによる予測プログラムは何れも、スプライシグングされたエキソン1aの下流であることを予測しなかった。
【0176】
RT−PCRとノーザンブロット分析を実施して、DPP10発現を解析した。DPP10は、神経内分泌様式で強力に発現することが明らかになり、複数の転写物が存在する形跡が見られた。DPP10は、PBL中でも発現されることが示され、全血RNAのTaqman解析によって、喘息患者と対照での発現レベルを評価した。
【0177】
前記5つの転写物のうち2つから予想されるペプチド中には、膜貫通ドメインが存在する。続いて、Hela細胞中にトランスフェクトされた構築物であって、転写物1及び2についてのエピトープタグ化DPP10構築物を用いた細胞局在化研究を行うことによって、これらの2つの転写物について予想されていた膜および細胞質への局在化が確認された。Swissprotタンパク質データベースに対するBLASTX解析によって、ジペプチジルペプチダーゼ(プロリル−オリゴペプチダーゼ)として知られている一群のタンパク質との有意な相同性が検出されたが、DPP6との相同性が最大であった。染色体2q14に位置する該遺伝子は、新規ジペプチジルペプチダーゼであるDPP10に相当する。
【0178】
実施例1
SNPの発見及び関連試験
被験体及び遺伝子型検査
被験体に対して、改変英国MRC呼吸アンケート(modified British MRC respiratory questionnaire)を実施した。「あなたは今までに喘息の発作を経験したことがありますか?」という問い、及び「イエスであれば、その発作は2回以上発生しましたか?」という問いに対して肯定した場合を「喘息」とした。「あなたの胸は、今までに喘鳴又は笛声音(whistling)を生じたことがありますか?」という問い、及び「イエスであれば、その症状は2回以上発生しましたか?」という問いに対して肯定した場合を「喘鳴」とした。総血清IgEは、全ての小児で測定した。イエダニ及び花粉に対する皮膚試験を実行した。
【0179】
3つのグループの被験体を研究した。
【0180】
パネルA パネルAは、230の家族からなるオーストラリア人の標本から二次的に選択した80の核家族からなった。このグループには、172の同胞対(sib−pair)を形成する合計203の子孫が含まれていた。小児のうち12%が喘息であった。
【0181】
パネルB 連合王国(イギリス)の喘息及びアレルギーの診療所から募集した77の核家族及び大家族からなる。これらの家族は、215の子孫(268の同胞対)を含み、その56%が喘息であった。
【0182】
パネルC オックスフォード地方の喘息診療所に訪れた小児から募集した87の核家族からなる。この家族は、216の子孫(148同胞対)を含み、その44%が喘息患者であった。
【0183】
ポジショナルクローニング及びSNPの発見
本発明者らは、1.5Mbの遺伝子座をカバーする広域BAC/PACコンティグを構築し、D2S308を囲む4つの連続するクローンから約465kbを配列決定した。喘息を有する及び有しない、無関係な5人の被験体と5人の対照、並びに無関係な32の個体から得たDNAのプールを配列決定することによって、リピートが存在しないDNAの領域に対してSNP検出を系統的に実行した。
【0184】
小さな対立遺伝子の頻度が20%より大きい100個のSNPを同定し、そのうちの67を、本発明者らの被験体上で遺伝子型決定した。SNPのタイピングは、PCRと制限消化によって行った。天然の制限配列の非存在下において、ある部位を生成するようにプライマーを改変した(プライマー対を、表2に示す)。MERLINコンピュータプログラム(Abecasis 2001)によって、誤差の検討とハプロタイプの作製を実行した。親のハプロタイプから得たD’を評価することによって(Abecasisら、Am J Hum Genet 59 323−36(1995))、マーカー間の連鎖不均衡(LD)を評価し、GOLDプログラム(Abecasisら、Bioinfarmatics 16 182−3(2000))によって描出した。LDは、4つの異なる島(A、B、Bii、及びC)に分散していた(図22a)。島部Aと島部Bとの間の境界は、543WTC91P、及び543WTC122PのSNPが隣接していた(表1a、1b、及び1c)。
【0185】
関連試験
伝達不均衡試験によって、喘息とSNPとの間の関連を探求した(Spielmanら、Am J Hum Genet 59 983−9(1996))(表3)(図1)。正の関連は、LDの島部Bに限定していた(図22b)。最高の関連は、543WTC122P SNP(D2S308に対して約1Kb近位)で観察され、これより弱い関連が、543WTC110Pと317WTC59Pとの間に(9Kb及び59kB離れている)、より遠位で観察された(表3)。
【0186】
分散成分解析によって、Log(IgE濃度)(LnIgE)とSNPとの関連を探求した(Abecasisら、Am J Hum Genet 66 279〜1292(2001)(表3)。LDの島部Aの中に、約60Kbの領域にわたって、関連についてのさほど強固でない証拠が検出された。島部Aと島部B間のLDが完全に分離していることは、このQTLが、喘息状態に影響を与える島部B由来の多型とは異なることを示唆していた。D2S308の対立遺伝子は、WO99/50451に記載されている。
【0187】
DPP10遺伝子の3’UTRに位置する、SNP DP1007(表1c)は、Rasti(p=0.002)、Psti(p=0.0073)、及びloge(p=0.0263)に対して正の関連を示した。
【0188】
実施例2
新規ジペプチジルペプチダーゼ様遺伝子DPP10の完全長配列の決定
遺伝子の同定
前記関連した配列領域内の遺伝子を同定するために、公的な配列データベース(Althschulら、1997)に対するBLAST解析を用いて、配列類似性の検索を実施した。報告されている遺伝子に対する有意な配列同一性又は類似性は確認されなかった。この領域中に存在する何れかのコード配列に関する証拠は、2つのEST;H10825(IMAGEクローン46982)及びAA426377(IMAGEクローン757495)に対する、DNA配列のマッチングのみであった。
【0189】
保存されたエキソンの同定
解析の次の段階は、エキソン推定ソフトウェアを用いることによって、113,792bpのDNA配列中にコード領域の候補を同定することであった。LDの細密領域由来の配列を、ヒトゲノムマッピングプロジェクトリソースセンター(Human Genome Mapping Project(HGMP)Resource Centre)のNIXサイト(http://www.hgmp.mrc.ac.uk/homepage.html)に登録することによって、エキソン予測解析に供した。このサイトは、以下のエキソン予測プログラムを組み込んでいる;Grail/exon、Grail/gag2、MZEF、GENSCAN、Genemark、hmm gene、FGENE、FEX、Genefinder、及びFGENES。全てのDNA配列解析について、デフォールトセッティングを用いた。
【0190】
100を超えるエキソンがこの領域中に予測され、そのうち66は2つ以上のプログラムによって予測された。重複して予測されたエキソンの群には、MEX4と命名された60bpのエキソンが含まれていた。この予測されたエキソン配列の配列は、図2aに詳述されている。FGENE/FEXソフトウェアによって、MEX4を同定したところ、それぞれ0.65、及び0.7の有意なスコアであった。前記連鎖不均衡の細密領域内でのMEX4の位置と、DNAマーカーD2S308に対するMEX4の配置が図2bに示されている。
【0191】
2つ以上のアルゴリズムによって予測されたエキソン配列の候補に対して、PCRプライマーを設計した。これらのオリゴヌクレオチドプライマー対から生成したPCR産物を、「ズーストリップ(zoo strips)」(ヒト及びマウスのゲノムDNAに由来する、制限酵素で消化DしたNAを含有するサザンブロット)に対して低ストリンジェンシーなハイブリダイゼーションで用いた。MEX4は、マウスDNAのレーンに弱いハイブリダイゼーションを示した(データ示さず)ので、前記2つの種の間で保存された配列を保有していると考えられ、機能的なコードDNA配列の存在を示唆している。
【0192】
ライブラリーのスクリーニング
MEX4配列を含有するプローブを用いて、λ三重ファージベクター(lambda−triplex phage vector)(Clontech)中に調製された市販の胎児脳cDNAライブラリーをスクリーニングした。約百万個のファージクローンを、20個の15cmのLuriaアガープレート上に播種して、132mmの円形ナイロン転写膜(Hybond N+,Amersham)を用いて、複製コロニーリフトを実施した。、全ての手順は、ライブラリーメーカーの公開プロトコールに従って実施した(http://www.clontech.com/libraries/#techinfo,protocol PT3003-1,ハ゛ーシ゛ョンPR09529)。
【0193】
製造業者の指示に従って、無作為標識化キット(「Prime−it RmT random primer labeling kit、Stratagene」を用いて、α32P−dCTPでMEX4プローブを標識して、G50 Spinカラム(Quick SpinTMカラム、Boehringer Mannheim)を通して精製した。このライブラリーフィルターセットを、リン酸/SDS緩衝液(0.5M NaPO,7%SDS、1mM EDTA、pH8.0)を用いて、65℃で16時間ハイブリダイズした。65℃で30分間、2Lの2×SSC/0.01%SDSを用いて2回、65℃で30分間、1×SSC/0.01%SDSを用いて1回フィルターを洗浄し、次いで、シグナル増感スクリーン(Hyperscreen、Amersham)を用いて、2日間、オートラジオグラフィーのフィルム(Kodak X−OMAT)に曝した。
【0194】
重複する陽性プラークがこのフィルター上に3つ同定された。切断した1mlピペットの先端を用いて、各プールの陽性ファージプラークの「中心を抜き出し」た。1mlのλファージ希釈緩衝液(100mM NaCl、10mM MgCl、35mM Tris−HCl(pH7.5)、0.01%ゼラチン)を含有する、2mlのスクリューキャップ微量遠心管に、アガーのプラグ及びプラークを加えた。1:100、1:1000、及び1:10,000のファージ希釈物を調製して、一連の二次プレート上に播種した。上記のようにコロニーリフトを行い、上記のようにMEX4プローブを用いてフィルターをハイブリダイズさせた。
【0195】
この段階で、1つの陽性クローンを選択してさらなる検討に進めた。これをMEX4FB−1と命名した。このクローンでは、ハイブリダイズしている単一のプラークが利用可能であった。切断した1mlピペットの先端を用いて1つのプラークの中心を抜き出し、350μlのλファージ希釈緩衝液を用いて希釈した。ライブラリー製造業者の指示に従って、BM25.8細胞の10mlのLuriaブロス培養物を、31℃で一晩(O/N)増殖させて、回収したファージプラーク150μlを接種し、プラスミド抽出を実施した。50μg/μlのアンピシリンを含有するLuriaアガープレート上に、20μlの最終プラスミドブロスを播種して、37℃で一晩インキュベートした。
【0196】
プラスミドDNAの調製
MEX4FB−1の2つのコロニーを前記プレートから拾い上げて、50μg/μlのアンピシリンを補充した10mlのluriaブロス中において、37℃で一晩、振盪増殖させた。製造業者の指示に従って、QIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN)を用いて、プラスミドDNAを単離した。DNA蛍光光度計(Hoeffer Ltd)を用いて、配列決定のために、DNA収率を定量した。
【0197】
配列決定
dynamic ET terminator cycle sequencing kit(Amersham)のプロトコールに従って、プラスミドを配列決定した。最初に、フォワード及びリバースのベクター配列決定プライマー:cDNAlibseq.R[dTCCGAGATCTGGACGAGC]及びcDNAlibseq.R[dTAATACGACTCACTATAGGG]を用いた。2つのプラスミド末端の読み取りから得られたDNA配列は、重複していなかったため、2つの内部ウォーキングプライマー(MEX4−6FB21.FW[dTTTGTGCTTCACGATCCAGAGG]及びMEX4−6FB21.RW[dGATGTCAGTCGCAATGAACTGC])を用いた配列決定も行って、完全長の挿入配列を得た。この1,301bpの配列を図2cに示す。プラスミド調製段階で拾い上げたMEX4FB−1の2つのコロニーの両方から、同一の配列が得られた。
【0198】
各DNA配列決定反応には、400ngのテンプレートDNA、0.25pmolのプライマー、8μlのET Terminator混合液、及び最終反応容積20μlにするための蒸留されたHOを用いた。用いたサイクル条件は、96℃30秒間、50℃20秒間、60℃1分を25サイクル、さらにDNA精製の前に4℃で最終保持サイクルであった。ゲル濾過(p10ゲル)、続いて、エタノール沈殿によって、配列決定産物を精製した。乾燥したDNAペレットを、2μlの脱イオンホルムアミドに再懸濁して、96℃で2.5分間変性させ、続いて氷上で急速冷却させた。各々反応物1μlを48cmの配列決定ゲル上にロードして、ABI 377シーケンサーで10時間泳動させて、フィルターセットAを用いてデータを収集した。SEQUENCHERTM配列解析ソフトウェア、バージョン4.0.5b5(Gene Codes Inc.)を用いて、配列のトレースを解析した。
【0199】
重複するクローンを決定するためのBLASTNによる配列解析
GenbankヌクレオチドNRデータベース(Altschulら、1997)に対するBLASTN解析では、何らかの配列マッチングを同定するために、MEX4FB−1クローン配列を用いた。MEX4FB−1ヌクレオチド409−1301から、部分cDNAクローンKIAA1492(Genbank:AB040925)の5’末端に対して100%のヌクレオチドマッチングが見出された(Nagaseら、2000)。このクローンは、MEX4FB−1の末端から3’の方向に3,349bp伸長している。AB040925の完全長配列は、Entrezヌクレオチド研究施設を用いて、National Center for Biotechnology Information(NCBI)のウェブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から読み取った。この全長AB040925の配列も、NRデータベースに対するBLASTN解析に供した。これによって、第二のcDNAクローンであるAK025075(2,225bp長であり、2,210bpにわたってAB040925と99%のマッチングを有する)が、同定された。唯一のミスマッチは、このクローンの3’末端であり、AK025075にはポリAテールが存在するが、AB040925には存在しない。従って、2つのcDNA AB040925とAK025075の長さは異なるので、この遺伝子には、2つの異なる3’末端が存在し得ると考えられる。これらのアラインメントの模式図を図3に示す。
【0200】
AB040925配列中に存在する最初の利用可能なメチオニン残基は、+2リーディングフレーム中に存在し、クローンの5’末端から509bp離れている。この位置からの予想オープンリーディングフレーム(ORF)は、1,629bpの大きさである。このメチオニンの上流は、169コード残基であり、全長ORFに当る。このことは、報告されたAB040925配列が、完全長ではないことを意味している。MEX4FB−1クローンを、重複するAB040925配列と合わせることによって、ヌクレオチド位置165に、開始メチオニンを同定した。このメチオニンの上流には、単一のコード残基が存在し、終止コドンがこれに先行する。従って、MEX4FB−1配列の付加によって、この遺伝子の正確な5’末端と開始コドンが提供され、796アミノ酸残基をコードする2,391bpの予想ORFがもたらされる。クローンAK025075の配列によって与えられる短い方の3’末端を利用して、これら3つのクローンから得られた配列をつなぎ合わせた配列が図4に示されている。
【0201】
ゲノム構造を決定するためのBLASTNによる配列解析
HTGSデータベース(Altschulら、1997)に対するBLASTN解析では、前記混合したcDNAクローンから得られる複合DNA配列(図4)を用いた。これによって、前記遺伝子配列の一部を含有する複数のBACクローンが同定された。このcDNA配列内に合計計24個のエキソンが同定された(図9、及び10)。2番染色体2上におけるこれらのBACクローンの相対的位置を比較することによって、DPP10遺伝子は、ゲノムDNAの巨大な領域にまたがることが明らかである。(http://genome.ucsc.edu/goldenPath/septTracks.html、及びhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/Entrez/hum_srch?chr=hum_chr.inf&query)。表1a〜1cに詳細に記載したほとんどのBACは、作業の途上にあり、未完成の状態なので、現在の評価は変化することもあり得るが、この遺伝子は、染色体2q14に位置約1.2MbのDNAにまたがっていると考えられる。
【0202】
発現解析:
以下のプライマー:
MEX4.F1[dAACCAAACTGCCAGCGTGTCC];
MEX4.R1[dAAGACGGAGTCCTCTACTTCTGG];及び
MEX4.R2[dATGGACCAACTCACACTTTGGAGC]、
を設計して、成体脳由来のcDNAに対してRT−PCRを実施した。MEX4エキソンが、単離された胎児脳クローンの他に、別のcDNA源において、クローンAB040925、及びAK025075中に見出されたDPP10エキソン配列に連結されることを確認するために、この実験を行った。プライマーMEX4.F1は、MEX4エキソンの始まり(DPP10エキソン1)に位置し、プライマーMEX4.R1は、DPP10エキソン6に、プライマーMEX4.R2は、エキソン10に位置する。MEX4.F1がMEX4.R2とともに使用されるときには、MEX4.F1をMEX4.R1及び919bpの産物と組み合わせて用いれば、519bpの産物が予想される。用いたPCR条件は、約50ngのcDNA(Marathon ready RACE cDNA,Clontech)(各プライマーを10pmol有する50μlの反応物に含有)、2.5μM dNTP 1.5mM 塩化マグネシウム、及び0.5単位のAmplitaq Gold(1×amplitaq gold緩衝液II(Perkin Elmer Biosystems)に含有)であり、サイクル条件は、95℃で1回の12分間のサイクル、次いで、94℃の変性15秒間、60℃のアニーリング温度で15秒間、及び72℃30秒間を38サイクル、その後に72℃で5分間であった。ゲノムDNAの50ngのアリコートを、陰性対照として用い、非DNA対照も用いた。標準的な方法を用いて、1×TBEで調製した1%アガロースゲル上において、各反応物の分取試料5μlを泳動した。結果を図20に示す。各々の反応物について脳のレーンに、明確なバンドが見られ、このことは、胎児脳cDNAと同様に、成体脳においても、MEX4エキソンが発現されており、DPP10下流エキソンに連結されていることを示している。
【0203】
519bpのRT−PCR産物を、製造業者の指示に従って、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)を用いて精製して、ノーザンブロット解析におけるプローブとして用いた。23の異なる組織から得られたmRNAに相当する、購入した3つのノーザンブロット(MTNI、MTNII、及びMTNIII、Clontech)に対して、単一の標識プローブ50ngをハイブリダイズさせた。α32P−dCTPでの標識は、cDNAライブラリースクリーニングについて報告されたとおりであった。ハイブリダイゼーションは、EXPRESSHYBETM緩衝液(Clontech)中、65℃で行った。洗浄は、50℃で30分間、500mlの2×SSC/0.01%SDSを用いて2回、50℃で30分間、500mlの1×SSC/0.01%SDSを用いて1回行った。次いで、シグナル増感スクリーンを用いて、フィルターを、2日間、オートラジオグラフのフィルムに感光させた。
【0204】
結果を図13に示す。48時間の曝露後、ハイブリダイズしている3.6〜4.1kbの二つの別個のバンドから構成される二重のバンドが、膵臓、精巣、脊髄、及び副腎で明確に観察された。これよりずっと弱いこれらの産物の発現が、胎盤、肝臓、及び小腸で観察された。この二重バンドは、これより大きな5.2kbと7.5kbの二つのさらなる転写物に加えて、脳にも見られた。全体的に、脳、膵臓、及び副腎で最強の発現が観察された。
【0205】
組織及び細胞株由来のcDNAに対して、さらにRT−PCRを実施した。ヒトPBLで、PAXgene Blood RNA Kit(Qiagen、#762132)を用いた場合を除き、RNeasy Mini Kit(Qiagen、#74104)を用いて、様々な細胞株及び組織からRNAを抽出した。OMNISCRIPT 逆転写酵素キット(Qiagen,#205111)、続いてHotStar Taq PCRキットを用いるPCRによって、RNAからcDNAを調製した。38サイクル(1サイクルについて、95℃1分、54℃1分、及び72℃1分)でPCRを実施した。多数の異なるPCRプライマー対を用いた。これらは、エキソン1a〜7(転写物1特異的)と、エキソン1b〜7(転写物2特異的)と、エキソン1f及び7(転写物5特異的)の間で増幅した。エキソン2及び7と、エキソン19及び25との間で増幅するプライマー対(全ての転写物に存在すると予測される)も用いた。最後の2つのプライマー対は、マウスの転写物2(mus−エキソン1c〜7)及び転写物3(mus−エキソン1e〜7)の存在について試験した。これらのプライマー配列は、表4aに存在する。発現データは、表4bに要約されている。
【0206】
新規肝臓転写物のRT−PCRクローニング:
エキソン1g及び10中のプライマーを用いる肝臓cDNAに対するRT_PCRによって、予想外のサイズのバンドが増幅された。製造業者の指示に従って、これらのバンドをTOPO2.1PCRクローニングベクター(Invitrogen)中にクローニングした。挿入物陽性のクローニングを配列決定して、その配列を元のDPP10クローンと比較した。合計3つの代替的転写物を同定した(図9、及び24)。
【0207】
配列相同性を決定するためのBLASTXによる配列解析
Swissprotデータベースに対するBLASTX解析では、合わせたcDNAクローンから得られるヌクレオチド配列を用いた(Altschulら、1997)。これによって、様々な種から近縁タンパク質配列が数多く同定された。最も密接に関連した二つのタンパク質は、ヒトジペプチジルペプチダーゼVI(DPP6)タンパク質(XP_004709:P42658)(71%類似性)、とヒトジペプチジル−ペプチダーゼIV(DPP4)タンパク質(AAA52308)(52%類似性)であった。染色体2q14の予想ペプチドがDDP6とDPP4に類似していることを考慮して、これをDPP10と命名した。DPP6は、DPPXとしても公知であり、DPPXには、2つの異なるアイソフォーム(DPPX−LとDPPX−S)が存在することが知られている。DPP10、DPPX−L、DPPX−S,及びDPP4のClustal−Xアラインメントを、図23に示す。
【0208】
DPP10タンパク質配列解析
複合性DPP10転写物は、796アミノ酸の予想タンパク質をコードする。DPP6及びDPP4との比較によって、クラスS9Bのセリンプロテアーゼに特徴的な多数のドメイン及び残基を同定することができる(図11)。DPP10では、触媒性三連構造Ser−Asp−Hisのセリン残基がグリシンで置換されている。さらに、DPP10は、34アミノ酸のNH末端細胞質ドメイン、単一の膜貫通ドメイン、βプロペラドメイン(触媒活性に必要)、及びN−グリコシル化残基と予想される5つの残基を有する。
【0209】
ヒトDPP10選択的転写物の性質決定
市販のRACE ready cDNA(Marathon Ready cDNA、Clontech)を用い、製造業者の指示に従って、各種組織からヒトの5’及び3’RACE実験を実施した。5’RACE用のネステッドプライマーは、DPP10エキソン3内に設計し、チェックプライマーはエキソン2の中に設計した。
【0210】
DPP105’RACE.R1 TCATTGATCCACCGAGCCTCTGG; DPP105’RACE.R2 ACCGAGCCTCTGGATCGTGAAGC;及び
DPP105’RACE.チエックGCTCACTCATCACTATGTCAG。
【0211】
3’RACE用のネステッドプライマーは、エキソン10と11の中に設計し、チェックプライマーはエキソン19の中に設計した。
【0212】
DPP103’RACE.F1AGTCTGTGAGACCACTACAGGTGC;
DPP103’RACE.F2TGAGATGACATCAGATACGTGGC;及び
DPP103’RACE.チエックGGAACTTATCTGTAACCAGCTGG。
【0213】
1回目及び2回目のネストテッドPCRを、1.2%アガロース上で泳動し、ブロッティングして、内部のチェックオリゴとともにハイブリダイズして、RACE産物が正しい予測配列を含むことを確認した。10単位のT4ポリヌクレオチドキナーゼ(NEB)を用いて、γ32ATPによって、100ngのオリゴを末端標識して、リン酸/SDS緩衝液(上記)中で、50℃で一晩ハイブリダイズさせた。フィルターを0.5× SSC/0.01%SDSに対して50℃で洗浄した。ハイブリダイズするPCR産物を、製造業者の指示に従って、PCR2.1TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングした。アンピシリンを含有する125μlのルリア(luria)ブロスの中に白色コロニーを採取し、一晩増殖させた後、ニトロセルロースフィルター(Hubond N+、Amersham)上にスタンプして、LBアガープレート上で一晩増殖した。標準的な技術を用いて、コロニーフィルターを処理し、内部チェックオリゴを用いてスクリーニングして、正しい配列を含むクローンを同定した。上記のように、プラスミドを調製して配列決定した。
【0214】
さらに、MEX4/Exon 1a内から、5’及び3’RACE実験を実施した。この場合、利用できるチェックプライマーはなく、ハイブリダイゼーションによって予め選択することなしに、PCR2.1TOPO中にPCR産物を直接クローニングした。5’RACEに用いたネステッドプライマーは、MEX4RACE.R1 CTTGATTGTTTTTGAGGGTTGACAC、及びMEX4RACE.R2 GTGAGAACTCCACTTAAGGATGCCであり、3’RACEに用いたプライマーは、MEX4RACE.F1 AACCAAACTGCCAGCGTGTCC、及びMEX4RACE.F2GTCCCATCACATCAAGTGTCAACCであった。
【0215】
5つの異なる転写物を同定し、1−5と命名した(図6)。これらの転写物は、1a−1gと命名された7つの異なるエキソンを含んだ(図9、ここでMEX4は、エキソン1aである)。転写物1−3は、脳及び胎児脳のcDNAから単離し、4及び5は、膵臓から単離した。3’RACEクローンの配列は、図2dに示す。これは、970bpの3’UTRを含む、エキソン11−25をコードする。
【0216】
さらに、エキソン1b内に基部を有するプライマーを用いて、3’RACEも実施した。DPP101bRACE.F1TGCTGCCATCCGTAAATTGGAGGを用いて、第一回のRACEを実施し、DPP101bRACE.F2 TGGAGCTGGTATGCTGGTTAGGを用いて、第二回のRACEを実施した。配列決定の前に、PCR産物を、PCR2.1TOPO中に直接クローニングした。5つの短いペプチド配列をコードする計5つの異なる転写物を同定した。これらのエキソンの配置を図15に模式的にまとめる。前記エキソンの配列と完全な転写物から得られる予想ペプチドを、図2d及び9に示す。
【0217】
マウスDPP10の同定と性質決定
マウスESTデータベースに対するヒトDPP10配列を用いたBLASTN解析によって、ヒト配列に対して、84%のヌクレオチド同一性を有するEST(Genbank登録番号BE862767)を同定した。このクローンの挿入物を配列決定して、ネステッド5’RACEプライマー、及び内部RACEチェックオリゴを設計するために用いた。以前に記載のように、RACEを実施して、PCR2.1TOPO中にPCR産物をクローニングした。これらのクローン由来の配列を用いて、第二の5’RACEプライマー群を設計した。同定された主要な転写物は、789残基の推定ペプチド配列を有する2370bpのORFをコードする(図8)。マウス配列は、ヒト遺伝子に対してヌクレオチドレベルで84%同一である。タンパク質:タンパク質のアラインメントを示す(図21)。
【0218】
マウスDPP10オールタナティブ転写物の性質決定
計4つの異なるマウスDPP10転写物の性質決定を行い、1−4と命名したが、これらの転写物は、5つの異なるエキソン1a−1eを含んでいる(図7)。
【0219】
ヒト対マウスの比較による配列解析
マウスBACクローンから生成された17のコンティグを、抽出して、blastデータベース中にフォーマットした。BLASTN(NCBI BLAST2.2.1)により、全462.541kbのヒト配列を用いてこのデータベースを検索し、ヒト配列と比較して、前記17のマウスコンティグの順序を決定した。次いで、この結果から、Blast結果によって順序を決定した元のコンティグから構成される単一の配列を生成した。RepeatMaskerバージョン07/07/2001によって、この配列とHuman 25Kb配列を、繰り返しマスクした。Human25Kbは、MEX4を包含する25kbのヒトDNAの連続する領域である。配列Human25Kb内には、MEX4が、ヌクレオチド3235〜3295に配置されている。
【0220】
17片の配列をつなぎ合わせてマスクしたマウスコンティグを、blastデータベース中にフォーマットして、マスクしたHuman25Kb配列を用いて検索した。80%を超える配列同一性をともなって、14の有意なHSP(期待e値<1)が同定され、得られたマウス配列を抽出して、blastデータベース中にフォーマットした。このデータベースを、照会配列(クエリー配列)として、マスクしたHuman25Kb配列を用いて、BLASTNによって検索して結果を得た(表5)。これらの配列保存された領域は、DPP10遺伝子に対する調節ドメインとして機能し得る。
【0221】
DPP10遺伝子中のSNPの発見
23の対照DNA及び31の喘息患者DNAの集団から、各々のエキソンと、いくつかの隣接するイントロンの配列とを増幅するために、プライマー対を設計した。Transgenomic WAVE装置(Transgenomic Inc.)を用いた、変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)による変異検出に、PCR産物を供した。融解曲線解析によって、変異検出温度を経験的に決定した。PCR直接配列決定を用いて、ヘテロ二重鎖プロフィールを示すDNAを配列決定して、SEQUENCHERTM配列解析ソフトウェア、バージョン4.0.5b5(Gene Codes Inc.)を用いて解析して、多型塩基を決定した。アルギニンからプロリンへのアミノ酸置換(C125G)が、エキソン10の中に確認された。
【0222】
TAAACATACATTTTAATTTTGTTTCCAAACTAGAGAATACTATATCACTATGGTTAAATGGGTAAGCAATACCAAGACTGTGGTAAGATGGTTAAACCGACTCAGAACATCTCCATCCTCACAGTCTGTGAGACCACTACAGGTGCTTGTAGTAAAGTGAGTATAATTTATTTTTCTTTTATGCCTAAAATGAAGTAGCTTATGCAGCTTTACAAAGGGGAAACAGGAAATGCTTTGTACAAAAAAAATTCAGTGTTTAACTTTTAAAACTAATAGGAAAAG。
【0223】
図1の配列中に存在するその他のSNPが、表1a及び1b中に示されており、DPP10遺伝子の残りに存在するSNPは、表1c中に示されている。
【0224】
PyrosequencingTMによるSNP遺伝子型決定
PCRで増幅するためのオリゴヌクレオチド対を、各二対立遺伝子多型の何れかの側に設計して、50bp〜350bpのサイズの産物を得た。配列決定オリゴヌクレオチドは、各多型部位に対して5’側又は3’側の30bpの範囲内で終結するように設計した。配列決定プライマーの相補鎖を生成するために用いた増幅オリゴヌクレオチドは全て、5’−ビオチンで標識した(表7を参照)。
【0225】
各マーカーについて、PCR増幅オリゴヌクレオチドを用いるPCRによって、遺伝子型を決定した全てのサンプルを増幅した。用いた各反応物は、最終容積10μl中に、20ngDNA(乾燥)、0.6単位のAmpliTaq GoldTMDNAポリメラーゼ、1×PCR緩衝液II、2.5mM MgCl、1mM dNTP、及び10pmolの各々のPCRオリゴヌクレオチドを有していた。用いたPCRサイクル条件は、95℃12分間、以下の45サイクル:94℃15秒間、T15秒間(表2)、72℃30秒間、及び72℃5分間であった。
【0226】
増幅後、配列決定プライマーに相補的な各PCRテンプレートのDNA鎖を単離して、パイロシーケンシング(pyrosequencing)(PSQ)用に準備した。これを行うために、1)50μlのDynabead溶液(2mg/ml Dynabeads(登録商標)、5mM Tris−HCl、1M NaCl、0.5mM EDTA、0.05% Tween20)を、PCR産物に添加して、65℃で15秒間振盪し、2)磁石を用いてテンプレートを、1分間、50μlの0.5M NaOHに移し、3)磁石を用いて前記テンプレートを、1分間、100μlの1×アニーリング緩衝液(20mM Tris−酢酸、5mM MgAc)に移し、4)磁石を用いて、テンプレートを、45μlの1×アニーリング緩衝液(15pmolの配列決定オリゴヌクレオチドを含有)に移した(表2)。
【0227】
テンプレートの単離後、80℃で2分間変性させた後、10分間室温に冷却することによって、配列決定オリゴヌクレオチドをこのテンプレートにアニーリングさせた。次いで、PSQ96TM(PyrosequencingAB)上で、pyrosequencingTMによって、各々のマーカー/サンプルの組み合わせを配列決定/遺伝子型決定した(図26)。統計学的解析が可能なPSQ oracle(登録商標)データベースに、遺伝子型決定の結果を記憶させた。
【0228】
転写物1及び転写物2の細胞内分布
トランスフェクション試薬として、リポフェクタミン(Lipofectamine)を用い、pcDNA3.1/V5−His−DPP10(エキソン1a〜25)、又はpcDNA3.1/V5−His−DPP10(エキソン1〜25)を用いて、HeLa細胞をトランスフェクトした。遺伝子発現の2日後、V5に対するマウス抗体を用いた後、Alexa Fluor 546を抱合させた抗マウス抗体を用い、続いて固定前又は固定後に、細胞を免疫染色した。固定前に染色する場合には、1%BSAを含有し、界面活性剤を含まない緩衝液を用いて、生存している細胞上で、免疫反応を直接実施した後、3%パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定した。固定後に染色する場合には、まず3%パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、次いで0.1%のサポニンの存在下又は非存在下で免疫染色した。染色した細胞は、Leica DMIRE2蛍光顕微鏡下で観察した。
【0229】
過剰発現した完全長のDPP10は、膜タンパク質のパターンを示す。固定後の染色によって、膜構造が、核膜、原形質膜、及び細胞質中に分布していることが明らかになった。この結果は、GFPタグ化ベクターであるプラスミドpcDNA3.1/NT−GFP−DPP10(エキソン1a〜25)を用いた、HeLa細胞へのトランスフェクションによっても確認された。完全長のDPP10は、細胞表面上に検出することができる。完全長DPP10を発現させた細胞に対する固定前免疫反応から、陽性染色が得られた。このことは、a)完全長DPP10が原形質膜上に分布していること、b)これは膜貫通タンパク質であり、かつ細胞の外側から抗体に接近可能であること、を示唆していた。完全長DPP10のC末端は、このタンパク質の細胞外ドメイン中にある。なぜなら、C末端タグV5は、固定前条件下で、抗体によって検出されたからである。
【0230】
過剰発現されたDPP10転写物2は、細胞質内のプロフィールを示す。これは、固定後の条件下でのみ陽性であり、固定前の条件下では陽性ではなかった。
【0231】
発現の解析
組織及び細胞株由来のcDNAに対して、RT−PCRを実施した。ヒトPBLに対してPAXgene Blood RNA Kit(Qiagen、#762132)を用いた以外は、RNeasy Mini Kit(Qiagen、#74104)を用いて、様々な細胞株及び組織からRNAを抽出した。OMNISCRIPT 逆転写酵素キット(Qiagen,#205111)を用い、続いてHotStar Taq PCRキットを用いるPCRによって、RNAからcDNAを調製した。38サイクル(1サイクルについて、95℃1分、54℃1分、及び72℃1分)でPCRを実施した。多数の異なるPCRプライマー対を用いた。これらは、エキソン1a〜7(転写物1特異的)と、エキソン1b〜7(転写物2特異的)と、エキソン1f及び7(転写物5特異的)の間で増幅した。エキソン2及び7と、エキソン19及び25との間で増幅するプライマー対(全ての転写物に存在すると予測される)も用いた。最後の2つのプライマー対によって、マウス転写物2(mus−エキソン1c〜7)、及びマウス転写物3(mus−エキソン1e〜7)の存在を調べた。これらのプライマー配列は、表4aに存在する。発現データは、表4bに要約されている。
【0232】
喘息の血液、及びコントロールの血液におけるDPP10発現を評価するための定量的PCR:
血液からのRNA、及びcDNA調製: 製造業者によって記載されたとおり、BD Safety−LokTM血液収集セットを用いて、患者1例あたり、全部で7.5ml(コントロールについては20ml)の血液を、PAXgeneTM血液RNAチューブ(PreAnalytiX,Qiagen/BD)中に収集した。このPAXgeneTM血液RNAチューブを10回反転させて、室温で3時間〜1日間保存した。次いで、このサンプルを処理するか、又は4℃で5日間まで保存した。このサンプルを製造業者(PreAnalytiX,Qiagen/BD)の指示によって記載されるとおり調製した。同じ個体由来の複数のサンプルを、2mlのエッペンドルフチューブ中にプールした。次いで、そのサンプルを、ヒートブロック中において、65℃で5分間変性させた。次いでそのサンプルを直ちに氷上に置いて、Agilent Technologies 2100 Bioanalyserを用いて解析した。RNA6000 Nanoアッセイキット(Agilent Technologies)、及び真核生物総RNAのNanoアッセイを用いて、そのRNAを解析した。このアッセイによって、25〜500ng/μlの範囲のRNAの定量、並びにDNA混入、及びRNA変性に関する情報を提供することが、可能になる。
【0233】
AmbionのEndoFree TRTMキットを用いて、逆転写を実施した。総容積8μl中に、1μgのRNA、10pMolのアンカーオリゴ(dT)(T20VN、ここでV=A、C、又はG;N=A、C、G、又はT)、及び10pMolのランダムヘキサマーを含有する混合物を調製した。これを、ヒートブロック中で70℃で5分間変性させた。次いで、これを直ちに氷上に3分間置き、その後、22℃のPCR機に移して、5分間、平衡化した。以下;10×RT緩衝液、dCTP(2.5mM)、dTTP(2.5mM)、dGTP(2.5mM)、dATP(2.5mM)、及び1μlのRNaseインヒビター(10U/μl)の各々を2μl含有する反応混合物をまた、22℃で5分間平衡化した。次いで、11μlの反応混合物を、22℃のRNA:RTプライマー混合物中に添加した。引き続き、1μlの逆転写酵素を、各々のチューブに添加して、混合した。この反応物を、サーマルサイクラー中で22℃で10分間、続いて49℃で2時間インキュベートした。
【0234】
次いで、Agilent Technologies 2100 Bioanalyserによる定量の前、cDNAを−20℃で保管した。RNAについて記載(上記)されたとおり、Agilent Technologies 2100 Bioanalyserを用いてcDNAを定量した。方法論における唯一の相違は、真核生物mRNAのNanoアッセイを用いてこのチップを解析したことであった。
【0235】
cDNAの定量的PCR解析;全ての増幅においては、PLATINUM Quantitative PCR SUPERMIX−UDGを用いる。この混合物は、dUTP(dTTPの代わり)、及びUDG(ウラシル−N−グリコシラーゼ、UNG)を含み、これが、一本鎖又は二本鎖のDNAからウラシル残基を除く。従って、UDGで消化された(サイクルの前に50℃で2分間のPCR反応の予備インキュベーション)dU含有DNAは、将来のPCRにおいてテンプレートとして機能することはできず、従ってこれによって、PCRの余剰産物の再増幅が防止される。高温で(サイクル中)UDGは不活性化され、従って真の標的の増幅が可能になる。
【0236】
BioRad iCycler iQTM Multi−Colour Real−Time Detection System(多色リアルタイム検出システム)中で増幅を実施した。DPP10(エキソン15〜17)について、及び□アクチンについてアッセイを実施した。PCRサイクルのパラメータは以下であった:50℃2分間の1サイクル、次いで95℃10分間、続いて95℃30秒間の1サイクル、及び61℃30秒間の50サイクル。次いで、サンプルを4℃で保持した。用いたオリゴは以下であった;βアクチンフォワードプライマー:TGCGTGACATTAAGGAGAAG、βアクチンリバースプライマー:GCTCGTAGCTCTTCTCCA、及びβアクチンTaqmanプローブ:CACGGCTGCTTCCAGCTCCTC{FAMで標識し、かつBlack Hole Quencher 1でクエンチした}。βアクチンアッセイについてのPCR反応成分の最終濃度は以下のとおりであった;10ng cDNA、125nMのフォワードプライマー及びリバースプライマー、150nMプローブ、0.6単位のPLATINUM Taq DNAポリメラーゼ、20mM Tris−HCl(pH8.4)、50mM KCl、4mM MgCl、200μM dGTP、200μM dATP、200μM dCTP、400μM dUTP、0.4単位のUDG、並びに安定化剤。
【0237】
DPP10フォワードプライマー:TTGATGCCAGTTTTAGTCCC,DPP10リバースプライマー:TCAGGATAGCTTCCTTCAGC、及びDPP10 Taqmanプローブ:AGGGTCCCAGTGGTCAGCCTACATA{HEXで標識して、Black Hole Quencher 1でクエンチした}。DPP10アッセイについてのPCR反応成分の最終濃度は以下のとおりであった;10ng cDNA、150nMのフォワードプライマー及びリバースプライマー、100nMプローブ、0.6単位のPLATINUM Taq DNAポリメラーゼ、20mM Tris−HCl(pH8.4)、50mM KCl、3mM MgCl、200μM dGTP、200μM dATP、200μM dCTP、400μM dUTP、0.4単位のUDG、並びに安定化剤。
【0238】
ヒト血清におけるDPP10のアッセイ
Vacuetteサンプルチューブを用いて、4例のボランティア(WT1−4)から血清を単離した。各々の血清サンプルを、サンプル緩衝液(7.5mM Tris(pH6.8)、3.8% SDS、4M、尿素、20%グリセロール、5%メルカプトエタノール)中で希釈(1/20、1/40、1/80)し、総容積20μlにして、95℃で5分間変性させた。このサンプルを12%のポリアクリルアミドSDS変性ゲル上にロードして、200Vで60分間電気泳動させた。電気泳動後、200Vで2時間のブロッティングによって、このタンパク質を0.4μmのニトロセルロースメンブレンに転写した。このフィルターを、抗体検出の前に、5%ミルク溶液中で4℃で一晩ブロックした。
【0239】
ウサギにおいて、DPP10ペプチド(NH2−CLK−EEI−SVL−PQE−PEE−DE)に対して、親和性精製したDPP10C末端抗体を生成した。このフィルターを、5%ミルク中で、室温で60分間、DPP10 Ab(1/250)とともにインキュベートした。洗浄後、このフィルターを5%ミルク中で、室温で60分間、抗ウサギIgG結合化AP(1/2000)とともにインキュベートした。最終の厳格な洗浄工程後、蛍光発光基質(Roche)、及びオートラジオグラフィーによって、結合した抗体を検出した。図27は、ヒト血清におけるDPP10の存在を実証する、このようなブロットの結果を示す。
【0240】
考察
喘息関連マイクロサテライトマーカーD2S308の周囲に462kbのBACコンティグを構築して、配列決定した。この領域中に同定された多数の新規SNPを、一群の喘息家族に対して広く遺伝子型を決定した。TDTによる関連の検査によって、喘息に強力な関連を有する多数のマーカーが明らかになった。遺伝子型データを用いて、このマイクロサテライトマーカー、及び関連のSNP周囲の連鎖不均衡(LD)の程度を精査した。関連するマーカー配列を含む連鎖不均衡のブロックを同定した。ここには、喘息感受性の遺伝子座が存在すると予測された。
【0241】
公的ESTデータベースの検討では、オープンリーディングフレーム(ORF)を含んだ領域由来のクローンも、5’又は3’RACEによって伸長され得るクローンも同定されなかった。従って、ゲノム配列からエキソンの予測を行った。少なくとも2つのエキソン予測プログラムによって、27のエキソンの候補が同定された。反復配列がなく、少なくとも50bp長であるエキソンを増幅させ、プール中で用いて、市販の(Clontech)cDNAライブラリー(胎児脳、肺、精巣、気管、及び骨格筋)のパネルをスクリーニングした。
【0242】
中程度のストリンジェンシーでのスクリーニングによって、29個のcDNAクローンを同定した。このうち23個は、第二染色体の配列を含んでいなかった。他の5つのクローンは、本発明者が対象としていた領域に由来する連続したゲノム配列からなっていた(それらは、ORFを含まず、cDNAライブラリーのゲノムDNA混入に起因するものであった)。1つのクローン(MEX4FB−1)は、1137bpのORFを有する1301bpの挿入物を含んでいた。このクローンは、60bpのエキソン(MEX4)を含み、これは3つのプログラムによって予想されていた。MEX4の完全長配列は、ORFの5’末端に存在していた。本発明者らによるライブラリーの徹底的な検索、並びにエキソン候補を全て用いた5’及び3’RACE実験によって、MEX4FB−1は、この領域から発現された唯一の遺伝子であることが示唆される。
【0243】
MEX4FB−1配列を用いた、Genbank NRデータベースに対するBLASTN解析によって、MEX4FB−1の3’末端と、部分的cDNAクローンKIAA1492の5’末端との間の重複を特定した。このクローンはMEX4FB−1の3’末端からさらに3349bp伸長しており、この配列は両者で完全長のcDNAをコードしていた。全長配列を用いてさらに検索を行うことによって、KIAA1492に見出されたものよりさらに上流に3’ポリAテールを含有するクローン(AK025075)がさらに同定された。様々な組織で3’RACE実験を繰り返したが、AK0250753’UTR終止を確認できたに留まった。
【0244】
この遺伝子の完全な3.6Kb cDNAは、2391bp(すなわち796残基)の予想ORFをもたらす(図2c)。この遺伝子は、HTGSデータベースに対するBLASTN解析によって、25エキソンを含むことが示された(Altschul,S.F.ら、Gapped BLAST and PSI-BLAST:a new generation of protein database search programs. Nucleic Acids Res 25,3389〜402.(1997))。第二染色体上にエキソンを含むBACクローンの相対位置(未定)(http://genome.ucsc.edu/goldenPath/septTracks.html)から、この遺伝子が、ゲノムDNAの1Mb超にわたることが示唆される。
【0245】
特に、イントロン1のサイズは大きく、500kb以上にわたって広がっており、少なくとも7つの代替的エキソン1(a〜f)を含んでいる。このため、コンピュータシミュレーションによる遺伝子予想プログラムは、これらのエキソンをDPP10遺伝子のN末端の候補として同定することができない。本発明でのRACE実験によって、DPP10の真の代替的N末端としてエキソン1a〜1fが確定される。これらのエキソンがDPP10転写物のN末端であることが明らかとなったことは、本発明において3つの意味を有している。第一に、それらは、完全長オープンリーディングフレームの予測を可能にする。エキソン1a及び1fの場合、開始コドンは、エキソン配列内でコードされる。エキソン1b、1c、1d、1e、及び1gは、非コードであるが、エキソン2における開始コドンの予測は可能である。転写物1−5から、3つの異なるDPP10ペプチドが、本発明において予測される。第二に、これらのペプチド予測によって、このタンパク質の膜結合型及び細胞質内型がともに存在することが示唆され、この提案は、転写物1と2を用いる細胞内分布実験によって、その後実験的に確認された。第三に、マーカーD2S308を含有するLDの関連ブロック内における代替的エキソン1a、1b、及び1cの位置から、DPP10遺伝子を喘息表現型での役割と関連付けることができる。
【0246】
ノーザンブロットは、この遺伝子が、脳、膵臓、及び副腎において、転写物とともに、神経内分泌様式で発現されることを示した(図13)。気道、及び小腸において、低レベルの転写物を観察した。マルチスプライスバリアントは、脳及び脊髄に見られた。
【0247】
3回の5’RACEによって、全長cDNAに伸長されたクローン(BE862767)を、この遺伝子を用いるマウスcDNAライブラリーのスクリーニングによって、単離した。同定された主な転写物は、789残基の推定ペプチド配列を有する2370bpのORFをコードする。マウス配列は、ヒト遺伝子に対して、ヌクレオチドレベルで84%同一である。
【0248】
遺伝子の相同性
MEX4FB−1/KIAA1492タンパク質は、ジペプチジルアミノペプチダーゼ(DPP)ファミリーに属し、このため、本発明者らはこれをDPP10と名付けた。この遺伝子ファミリーの三次構造は、ブタのプロリルオリゴペプチダーゼが代表的である(Fulopら(1998))(図2a)。この酵素は、2つのドメインからなる。第一は、調節性−プロペラであり、内腔を通して別のC末端(/ヒドロラーゼ)触媒性ドメイン内に存在する活性部位へ小基質を送る。
【0249】
β−プロペラブレードは、反復配列によって構成されており、DPP10とブタのプロリルオリゴペプチダーゼリピートとの配列類似性(Fulopら(1998))は、公知の3D構造中では低いが、DPP10配列にマッピングされ得る。配列中のこれらの相違は、βプロペラの腔への入口を広げるか又は狭くすることによって、基質特異性を付与し得る。
【0250】
第二に、ブタプロリルオリゴペプチダーゼ中に存在する触媒性ドメインは、活性部位三連構造:Ser554、Asp641、及びHis680を含んでいる。DPP10は、この触媒性三連構造のセリンを欠き、セリンがグリシン残基によって置換されている。
【0251】
ジペプチジルアミノペプチダーゼIV(DPP4)は、より近縁のDPP10相同体である(Misumiら(1992))。ジペプチジルアミノペプチダーゼIV(DPP4)は、CD26として知られており(Fleischerら(1994))、ヒトTリンパ球上のCD4、及びアデノシンデアミナーゼ(ADA)を含むタンパク質に結合する(Kameokaら(1993))。ジペプチジルアミノペプチダーゼIV(DPP4)は、腎尿細管上皮細胞、小腸における上皮細胞、及び毛細胆管上にも構成的に発現されている(van der Velden(1999))。
【0252】
DPP4は、最後から2番目の残基がプロリンであれば、未置換のN末端を有するポリペプチドから連続的にN末端ジペプチドを除去する触媒活性を有する。公知の基質としては、間質細胞由来因子−1、及びマクロファージ由来ケモカインが挙げられる(Lambeirら(2001))。DPP4は、可溶性の様式で存在しており(Durinxら(2000))、このことは、DPP10に類似のアイソフォームが存在する可能性を示唆している。DPP4は、別のDPP相同体であるFAP(上皮癌の反応性間質性線維芽細胞、治癒中の創傷の肉芽組織、並びに骨及び軟部組織肉腫の悪性細胞中で選択的に発現される細胞表面抗原である)と、ヘテロ二量体を形成する(Scanlanら(1994))。このことは、DPP10も、ヘテロ二量体又はホモ二量体を形成し得ることを示唆する。
【0253】
DPP6は、DPP10の最も近縁の相同体である。DPP6は、最初、ヒト海馬から単離された(Yokotaniら(1993))。DPP10と同じく、DPP6は、アスパラギン酸による置換のために、触媒性三連構造にセリンを欠いている。この置換は、ウシ及びげっ歯類のDPP6配列中にも観察される。別の相同体であるDrosophila melanogaster CG9059も、アスパラギン酸及びヒスチジンの触媒性残基は保持しているが、DPP10と同様に、活性部位のセリンがグリシンで置換されている。DPP10と幾つかの相同体において、触媒性セリンが存在しない状態で触媒性のヒスチジンとアスパラギン酸残基が保存されているということは、進化上の制限及び何らかの触媒機能が保持されている可能性を示唆している。
【0254】
活性部位のセリンに代替し得る他の酵素的なドメイン中に別のセリンが存在するという証拠はないが、基質によって触媒性セリンがもたらされる可能性がある(Dall’Acquaら(2000))。DPP切断は、最後から2番目の残基がプロリンである部位のみに生じるので、切断点に位置するプロリンの+2後ろにセリンを有するPxSモチーフを含有する基質によって、触媒性セリンが付与される可能性がある。従って、本発明者らは、Entrezデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez)から得られる、約1000の豊富なヒトサイトカインアミノ酸配列のリストの中からPxSモチーフを検索した。perlスクリプト、及びsigcleaveモジュール(Bioperl(http://bioperl.org)由来)を用いてこの配列をフィルタリングした。N末端から20アミノ酸以下であるシグナルペプチド、及び+2の位置から始まるPxSトリペプチドを有する全ての配列を同定した。対照として、+2の位置にSxPトリペプチドを有するサイトカインを検出するために同一のプロトコールを用いたが、何も見出されなかった。+2の位置にPxSモチーフを含む配列の中には、SDF−1,IP10、エオタキシン(Eotaxin)、及びRANTESを含む、いくつかの重要な炎症性サイトカイン及びケモカインがある(図19)。従って、これらのサイトカインの活性化によって、喘息の気道及び他の炎症を調節するという機序がDPP10に関して示唆される。DPP10タンパク質の構造は、小さな分子がDPP10の酵素活性を阻害し得ることを示唆しており、DPP10を薬学的に標的誘導することによって、喘息の気道やその他の炎症を阻害する新しい手段が得られるであろう。
【0255】
選択的スプライシング及び遺伝子発現
DPP10のエキソンIII内のプライマーを用いて5’RACEを実施した。5つの異なるN末端が同定された。対応するcDNAを1−5と命名した。これらは、1a―1gと命名された7つの異なるエキソンを含んでいた(図6)。転写物1−3は脳及び胎児脳のcDNAから単離し、4及び5は膵臓から単離した。エキソン1a及び1f(転写物1及び4)は、エキソン2の起始部の23残基上流に代替的N末端コード配列を与える。他のN末端エキソンは非コードであって、次の利用可能な開始コドンは、エキソン2の中にある。従って、これらの5つの転写物によって、3つの予測タンパク質がコードされる。このうち2つ(エキソン1a及びエキソン1f内から始まる)は、膜貫通領域を含み、このことは、このタンパク質のほとんどが、細胞質ゾル内に位置することを示唆する。
【0256】
エキソン1aからの3’RACEによって、1aエキソンの6655bp下流にある代替的エキソン2(2a)を同定した(図6)。脳及び精巣由来のcDNA中に、この転写物が同定されたがこれは47残基のペプチドをコードしている。この「ストッパー(stopper)」エキソン及びエキソン2と、残りの遺伝子との選択的スプライシングが、完全な遺伝子産物の膜発現を制御する機序となっている可能性がある。
【0257】
次いで、本発明者らは、この領域のLDマップ上でのこれらの代替的初期エキソンの位置を決定した。総血清IgEレベルとの関連は、エキソン1aに近い、LDの島部Aにマッピングした。喘息に対して最強の関連を示す2つのマーカーは、2aストッパーエキソンに近接して、LDの島部Bの最初に配置されていた。エキソン1bと1cの近くで、これより弱い関連が喘息に対してみられた。他のエキソンは、関連領域の外側にある。
【0258】
何れのエキソンにもコーディンング多型は見出されなかった。本発明者らは、全てのSNPが何れかのコード配列に対して100Kbより近接していることを明らかにした。従って、この遺伝子座での遺伝的効果は、膜結合型のタンパク質と他の型とのタンパク質間で生じる選択的スプライシングに対する多型性の作用に起因する可能性がある。IL4受容体遺伝子のスプライシングに影響を与える各個の多型に、別の喘息関連形質をマッピングすることによって、同様の効果が観察された(Oberら(2000)、及びKruseら(1999)、及びKruseら(1999))。
【0259】
プロテアーゼアッセイ
基質の候補(例えば、RANTES、エオタキシンのようなケモカイン)として試験すべきペプチドとともに、DPP10(発現系、又は細胞溶解物の何れかから精製された)をインキュベートする。様々な時点でサンプルを採取して、TCA中で反応を停止させる。次いで、試料を脱塩して、その混合物の組成を、質量分析計で確認する。このような手順の例は、Lambeirら、2001 J.Biol Chem 276,29389〜29845に見出され得る。
【0260】
細胞接着アッセイ
完全長DPP10タンパク質が細胞接着に関与しているか否かを明らかにするために、細胞間接着アッセイ(Gee B.E.and Platt O.S.1995 Sickle Reticulocyes adhere to VCAM1.Blood 85(1):268-274.)、及びロゼット形成アッセイ(DeRose V.ら、1994 Substance P increases neutrophil adhesion to bronchial epithelial cells.J.Immunol.152(3):1339〜1346;Walsh G.M.ら、1991 Human eosinophil、but not neutrophil、adherence to IL-1-stimulated human umbilical vascular endothelial cells is α4β1(very late antigen-4)dependent.J.Immunol.146(10):3419-3423)を実施する。要約すると、トランスフェクション試薬としてLipofectamineを用いて、HeLa細胞、又はCOS細胞にpcDNA3.1/V5−His−DPP10(full)をトランスフェクトする。遺伝子発現の2日後、細胞間接着アッセイのために、時々回転させながら、白血球とともにこの細胞をインキュベートする。固定の前に、未結合の細胞を洗浄により除いた後、免疫染色を行う。細胞結合を、顕微鏡下で確認する。ロゼット形成アッセイの場合、遺伝子発現後に、トリプシン/EDTAによって細胞を剥離する。細胞懸濁液を白血球と混合する。インキュベーション後、細胞をガラススライド上に固定した後に染色する。顕微鏡下でロゼットにスコアを付与する。
【0261】
細胞のシグナル伝達/活性化アッセイ(例えば、白血球免疫反応)。DPP10タンパク質がいかにしてリンパ球免疫応答に直接関与しているかを理解するために、以下の点を検討する。
【0262】
1)DPP10レベルは、リンパ球の生理的条件によって調節されるか?。初代T細胞及びB細胞(DPP10陽性であることが確認されている)、並びにDPP10陽性T細胞の株を免疫刺激して、この研究に用いる。定量的rtPCRを用いて、これらの細胞の休止形態と活動形態のDPP10レベルを比較する。
【0263】
2)DPP10発現は、リンパ球免疫応答に影響するか?。pcDNA3.1/V5−His−DPP10(full)、又はpcDNA3.1/V5−His−DPP10(Tpt2)を用いるトランスフェクションによって、DPP10は、DPP10陰性T細胞(またB細胞でもあり得る)株中に過剰発現される。遺伝子発現後、細胞を免疫刺激する。サイトカインアッセイ、又は増殖アッセイを用いて、免疫応答の強度を、DPP10過剰発現細胞と対照細胞との間で比較する。
【0264】
3)DPP10は、リンパ球免疫応答にどのように関与するか?pcDNA3.1/V5−His−DPP10(full)、又はpcDNA3.1/V5−His−DPP10(Tpt2)をリンパ球にトランスフェクトする。異なるシグナル伝達経路(例えば、P1−3K、EPK、Jak−Stat、及びNFκB経路)に対するDPP10過剰発現の効果を、ウエスタンブロット、インビトロアッセイを用いて記述する。
【表1a】
Figure 2004532030
Figure 2004532030
Figure 2004532030
【表1b】
Figure 2004532030
Figure 2004532030
【表1c】
Figure 2004532030
Figure 2004532030
Figure 2004532030
【表2】
Figure 2004532030
【0265】
Figure 2004532030
【0266】
Figure 2004532030
【表3】
Figure 2004532030
【表4a】
Figure 2004532030
【表4b】
Figure 2004532030
【表5】
Figure 2004532030
【表6】
Figure 2004532030
【表7】
Figure 2004532030

【図面の簡単な説明】
【0267】
【図1−1】図1−1は、第2染色体の喘息遺伝子座由来のDNA配列を示す。
【図1−2】図1−2は、図1−1の続きである。
【図1−3】図1−3は、図1−2の続きである。
【図1−4】図1−4は、図1−3の続きである。
【図1−5】図1−5は、図1−4の続きである。
【図1−6】図1−6は、図1−5の続きである。
【図1−7】図1−7は、図1−6の続きである。
【図1−8】図1−8は、図1−7の続きである。
【図1−9】図1−9は、図1−8の続きである。
【図1−10】図1−10は、図1−9の続きである。
【図1−11】図1−11は、図1−10の続きである。
【図1−12】図1−12は、図1−11の続きである。
【図1−13】図1−13は、図1−12の続きである。
【図1−14】図1−14は、図1−13の続きである。
【図1−15】図1−15は、図1−14の続きである。
【図1−16】図1−16は、図1−15の続きである。
【図1−17】図1−17は、図1−16の続きである。
【図1−18】図1−18は、図1−17の続きである。
【図1−19】図1−19は、図1−18の続きである。
【図1−20】図1−20は、図1−19の続きである。
【図1−21】図1−21は、図1−20の続きである。
【図1−22】図1−22は、図1−21の続きである。
【図1−23】図1−23は、図1−22の続きである。
【図1−24】図1−24は、図1−23の続きである。
【図1−25】図1−25は、図1−24の続きである。
【図1−26】図1−26は、図1−25の続きである。
【図1−27】図1−27は、図1−26の続きである。
【図1−28】図1−28は、図1−27の続きである。
【図1−29】図1−29は、図1−28の続きである。
【図1−30】図1−30は、図1−29の続きである。
【図1−31】図1−31は、図1−30の続きである。
【図1−32】図1−32は、図1−31の続きである。
【図1−33】図1−33は、図1−32の続きである。
【図1−34】図1−34は、図1−33の続きである。
【図1−35】図1−35は、図1−34の続きである。
【図1−36】図1−36は、図1−35の続きである。
【図1−37】図1−37は、図1−36の続きである。
【図1−38】図1−38は、図1−37の続きである。
【図1−39】図1−39は、図1−38の続きである。
【図1−40】図1−40は、図1−39の続きである。
【図1−41】図1−41は、図1−40の続きである。
【図1−42】図1−42は、図1−41の続きである。
【図1−43】図1−43は、図1−42の続きである。
【図1−44】図1−44は、図1−43の続きである。
【図1−45】図1−45は、図1−44の続きである。
【図1−46】図1−46は、図1−45の続きである。
【図1−47】図1−47は、図1−46の続きである。
【図1−48】図1−48は、図1−47の続きである。
【図1−49】図1−49は、図1−48の続きである。
【図1−50】図1−50は、図1−49の続きである。
【図1−51】図1−51は、図1−50の続きである。
【図1−52】図1−52は、図1−51の続きである。
【図1−53】図1−53は、図1−52の続きである。
【図1−54】図1−54は、図1−53の続きである。
【図1−55】図1−55は、図1−54の続きである。
【図1−56】図1−56は、図1−55の続きである。
【図1−57】図1−57は、図1−56の続きである。
【図1−58】図1−58は、図1−57の続きである。
【図1−59】図1−59は、図1−58の続きである。
【図1−60】図1−60は、図1−59の続きである。
【図1−61】図1−61は、図1−60の続きである。
【図1−62】図1−62は、図1−61の続きである。
【図1−63】図1−63は、図1−62の続きである。
【図1−64】図1−64は、図1−63の続きである。
【図1−65】図1−65は、図1−64の続きである。
【図1−66】図1−66は、図1−65の続きである。
【図1−67】図1−67は、図1−66の続きである。
【図1−68】図1−68は、図1−67の続きである。
【図1−69】図1−69は、図1−68の続きである。
【図1−70】図1−70は、図1−69の続きである。
【図1−71】図1−71は、図1−70の続きである。
【図1−72】図1−72は、図1−71の続きである。
【図1−73】図1−73は、図1−72の続きである。
【図1−74】図1−74は、図1−73の続きである。
【図1−75】図1−75は、図1−74の続きである。
【図1−76】図1−76は、図1−75の続きである。
【図1−77】図1−77は、図1−76の続きである。
【図1−78】図1−78は、図1−77の続きである。
【図1−79】図1−79は、図1−78の続きである。
【図1−80】図1−80は、図1−79の続きである。
【図1−81】図1−81は、図1−80の続きである。
【図1−82】図1−82は、図1−81の続きである。
【図1−83】図1−83は、図1−82の続きである。
【図1−84】図1−84は、図1−83の続きである。
【図1−85】図1−85は、図1−84の続きである。
【図1−86】図1−86は、図1−85の続きである。
【図1−87】図1−87は、図1−86の続きである。
【図1−88】図1−88は、図1−87の続きである。
【図1−89】図1−89は、図1−88の続きである。
【図1−90】図1−90は、図1−89の続きである。
【図1−91】図1−91は、図1−90の続きである。
【図1−92】図1−92は、図1−91の続きである。
【図1−93】図1−93は、図1−92の続きである。
【図1−94】図1−94は、図1−93の続きである。
【図1−95】図1−95は、図1−94の続きである。
【図1−96】図1−96は、図1−95の続きである。
【図1−97】図1−97は、図1−96の続きである。
【図1−98】図1−98は、図1−97の続きである。
【図1−99】図1−99は、図1−98の続きである。
【図1−100】図1−100は、図1−99の続きである。
【図1−101】図1−101は、図1−100の続きである。
【図1−102】図1−102は、図1−101の続きである。
【図1−103】図1−103は、図1−102の続きである。
【図1−104】図1−104は、図1−103の続きである。
【図1−105】図1−105は、図1−104の続きである。
【図1−106】図1−106は、図1−105の続きである。
【図1−107】図1−107は、図1−106の続きである。
【図1−108】図1−108は、図1−107の続きである。
【図1−109】図1−109は、図1−108の続きである。
【図1−110】図1−110は、図1−109の続きである。
【図1−111】図1−111は、図1−110の続きである。
【図1−112】図1−112は、図1−111の続きである。
【図1−113】図1−113は、図1−112の続きである。
【図1−114】図1−114は、図1−113の続きである。
【図1−115】図1−115は、図1−114の続きである。
【図1−116】図1−116は、図1−115の続きである。
【図1−117】図1−117は、図1−116の続きである。
【図1−118】図1−118は、図1−117の続きである。
【図1−119】図1−119は、図1−118の続きである。
【図1−120】図1−120は、図1−119の続きである。
【図1−121】図1−121は、図1−120の続きである。
【図1−122】図1−122は、図1−121の続きである。
【図1−123】図1−123は、図1−122の続きである。
【図1−124】図1−124は、図1−123の続きである。
【図1−125】図1−125は、図1−124の続きである。
【図1−126】図1−126は、図1−125の続きである。
【図1−127】図1−127は、図1−126の続きである。
【図1−128】図1−128は、図1−127の続きである。
【図1−129】図1−129は、図1−128の続きである。
【図1−130】図1−130は、図1−129の続きである。
【図1−131】図1−131は、図1−130の続きである。
【図1−132】図1−132は、図1−131の続きである。
【図1−133】図1−133は、図1−132の続きである。
【図1−134】図1−134は、図1−133の続きである。
【図1−135】図1−135は、図1−134の続きである。
【図1−136】図1−136は、図1−135の続きである。
【図1−137】図1−137は、図1−136の続きである。
【図1−138】図1−138は、図1−137の続きである。
【図1−139】図1−139は、図1−138の続きである。
【図1−140】図1−140は、図1−139の続きである。
【図1−141】図1−141は、図1−140の続きである。
【図1−142】図1−142は、図1−141の続きである。
【図1−143】図1−143は、図1−142の続きである。
【図1−144】図1−144は、図1−143の続きである。
【図1−145】図1−145は、図1−144の続きである。
【図1−146】図1−146は、図1−145の続きである。
【図1−147】図1−147は、図1−146の続きである。
【図1−148】図1−148は、図1−147の続きである。
【図1−149】図1−149は、図1−148の続きである。
【図1−150】図1−150は、図1−149の続きである。
【図1−151】図1−151は、図1−150の続きである。
【図1−152】図1−152は、図1−151の続きである。
【図2a】図2aは、MEX4の予測エキソン配列を示す。
【図2b】図2bは、連鎖不均衡の細密領域内における、マーカーD2S308と比較したMEX4の位置を示す。
【図2c−1】図2c−1は、MEX4を用いたスクリーニングによって同定された、胎児脳cDNAクローンの完全長挿入配列、及び翻訳を示す。MEX4配列は、太字であり、開始コドンは下線である。
【図2c−2】図2c−2は図2c−1の続きである。
【図2d】図2dは、MEX4 FB−1中のプライマーから増幅された3’RACEクローンの全長挿入配列を示す。
【図3】図3は、MEX4FB−1クローンとKIAA1492クローンとの間、及びKIAA1492クローンとAK025075クローンとの間の重複の略図である。全長cDNA配列は、25のエキソンで構成される。エキソン1〜12(部分)は、MEX4FB−1クローン内にコードされる。エキソン3(部分)〜25は、KIAA1492クローン内にコードされる。しかし、KIAA1492予測タンパク質内で利用可能な第一のMET残基は、ヌクレオチド927にあり、これによって、わずか1629bpの予想ORFが生じる。MEX4FB−1クローンに由来する最初の2つのエキソンの付加によって、真のMET残基及び2391bpの予測ORF(合わせたクローン由来)が得られる。
【図4−1】図4−1は、MEX4FB−1クローン、及び3’RACEクローンの重複から生成したヒトDPP10 mRNAの全長配列を示す。MEX4配列は太字であり、開始コドン及び終止コドンは下線である。
【図4−2】図4−2は図4−1の続きである。
【図4−3】図4−3は図4−2の続きである。
【図4−4】図4−4は図4−3の続きである。
【図5−1】図5−1は、全長マウスDPP10コード配列を示す。
【図5−2】図5−2は図5−1の続きである。
【図5−3】図5−3は図5−2の続きである。
【図5−4】図5−4は図5−3の続きである。
【図5−5】図5−5は図5−4の続きである。
【図5a−1】図5a−1は、マウスDPP10全長cDNA配列を示す。
【図5a−2】図5a−2は図5a−1の続きである。
【図5a−3】図5a−3は図5a−2の続きである。
【図5a−4】図5a−4は図5a−3の続きである。
【図5a−5】図5a−5は図5a−4の続きである。
【図6】図6は、ヒトDPP10オールタナティブ転写物1〜6の重複、予測膜貫通ドメイン、エキソン2A(転写物6)、及びBAC位置(登録番号による)を示す。
【図7】図7は、マウスDPP10転写物の略図を示す。
【図8−1】図8−1は、マウスDPP10オールタナティブエキソン、転写物1〜4の予測ペプチド配列、及び転写物1の全長配列を示す。
【図8−2】図8−2は図8−1の続きである。
【図9−1】図9−1は、ヒトのオールタネイトエキソン1b〜1gの配列、及びオールタネイトエキソン2Aの配列、肝臓クローン1〜3、エキソン2B〜2G、転写物1〜6からの予測ペプチド、エキソン1b 3’RACEクローン転写物1〜5の予測ペプチド、ヒト転写物6(MEX4〜6「ストッパー(stopper)」配列、及びヒト3’RACEクローン配列を示す。
【図9−2】図9−2は図9−1の続きである。
【図9−3】図9−3は図9−2の続きである。
【図9−4】図9−4は図9−3の続きである。
【図10−1】図10−1は、DPP10エキソンの配列を示す。5’UTRは、エキソン1aに、3’UTR配列はエキソン25に含まれる。これらの2つのエキソンのコード領域は太字である。
【図10−2】図10−2は図10−1の続きである。
【図11】図11は、796アミノ酸のDPP10予測タンパク質配列を示す。
【図12】図12は、DPP10のアミノ酸配列を示す。アミノ酸34〜54(下線)は、膜を貫通することが予測される。βプロペラ(β−propeller)内の反復配列を太字イタリック体で示す。触媒性残基に対して相同な残基を下線、かつ影付にしている。
【図13】図13は、複数の転写物の存在を実証する、DPP10のノーザンブロットを示す。
【図14】DPP10相同体の触媒性ドメインのマルチアラインメントを示す。アスタリスク(*)は、触媒性部位の位置を記す。
【図15】図15は、エキソン1b 3’RACE転写物の略図を示す。
【図16】図16は、DPP10及び相同体の膜貫通領域のマルチアラインメントを示す。
【図17】図17は、DPP10のβ−プロペラドメイン、及びプロリルオリゴペプチダーゼ相同体のマルチアラインメントを示す。
【図18】図18は、ブタのプロリルオリゴペプチダーゼの提案された構造を示す(Fulop V、Bocskei Z、Polgar L.(1998)Prolyl oligopeptidase:an unusual beta-propeller domain regulates proteolysis.Cell 1998 Jul 24;94(2):161〜70)。
【図19】図19は、PxSモチーフを含むサイトカインを示す。10アミノ酸の予想シグナルペプチド切断部位内にセリンを有し、かつPxSモチーフを含む(ここで、Xは、任意のアミノ酸を示す)、ヒトのケモカイン及びサイトカイン。予想されるシグナルペプチド切断結合は、「^」として示し、PxSモチーフを強調している。最初の分子の群は、この切断部位の後ろにPxSの2つの残基を含む。
【図20】図20は、成体脳cDNAにおける下流のDPP10エキソンとMEX4を結び付けるRT−PCRを示す。予測される519bpの生成物を、MEX4.F1、及びMEX4.R1を有するレーン1において観察し、予測される919bpの生成物を、MEX4.F1、及びMEX4.R2を有するレーン4において観察する。用いたマーカー(レーンM)は、100bpのラダーである。陰性コントロール(ゲノムDNA、及び水(HO))が含まれる。
【図21】図21は、マウス及びヒトのDPP10転写物1のペプチドの配列アラインメントを示す。
【図22a】図22aは、喘息遺伝子座内の連鎖不均衡を示す。
【図22b】図22bは、LDマップ内のDPP10エキソンの位置を示す。DPP中に存在する最初のエキソンの配置を、LDマップに対して示す。LnIgE及び喘息に対する有意な関連をこのエキソンの上の矢印で示す。目盛りの棒は、50kDの距離を示す。
【図23】図23は、以下のCLUSTAL Xマルチ配列アラインメントを示す:DPPX−L(DPP6):Genbank登録番号P42658(DPP6);DPPX−S:Genbank登録番号P42658;DPP4:Genbank登録番号AAA53208。
【図24】図24は、DPP10の選択的1g胎児肝臓転写物を示す。
【図25】図25は、染色体2q14のBAC/PACコンティグを示す。これは、連鎖不均衡の絞り込まれた領域、及びマーカーD2S308の相対的配置を示す。
【図26】図26は、SNP遺伝子型決定についてのパイロシークエンシングの例を示す。
【図27】図27は、抗DPP10c末端抗体を用いてプローブした、希釈ヒト血清試料のウエスタンブロットを示す。

Claims (99)

  1. DPP10 mRNA配列を備えた単離された核酸配列。
  2. 前記配列がヒトDPP10、若しくはこれに相補的な配列若しくはこれに実質的に相同な配列、又はこれらの断片をコードする請求項1に記載の単離された核酸配列。
  3. 前記配列がマウスDPP10、若しくはこれに相補的な配列若しくはこれに実質的に相同な配列、又はこれらの断片をコードする請求項1に記載の単離された核酸配列。
  4. 一以上のDPP10のエキソン、若しくはこれに相補的な配列若しくはこれに実質的に相同な配列、又はこれらの断片を備えた、請求項1乃至3の何れかに記載の単離された核酸配列。
  5. DPP10の発現を制御するための請求項1乃至4の配列の使用。
  6. DPP10発現の制御用医薬を製造するための請求項1乃至4の何れかの配列の使用。
  7. インビトロ又はインビボでのDPP10の発現を可能とする、請求項1乃至4の何れかの単離された核酸を備えたベクター。
  8. 請求項1乃至4の何れかの単離された核酸、若しくは実質的にこれに相同な配列、又はこれらの断片によってコードされるポリペプチド配列。
  9. 前記ポリペプチドが膜貫通ドメインを欠如した可溶性DPP10タンパク質である請求項8に記載のポリペプチド配列。
  10. 分泌シグナルに作用可能に連結されている請求項8又は9の何れかに記載の可溶性DPP10タンパク質。
  11. 前記タンパク質がヒスチジンタグを有する請求項10に記載の可溶性DPP10タンパク質。
  12. 請求項8若しくは9のポリペプチド又は請求項10若しくは11の可溶性タンパク質を含んだ融合タンパク質であって、前記融合タンパク質又はタンパク質が担体に連結されている融合タンパク質。
  13. 請求項8若しくは9に記載のポリペプチド配列、又は請求項10乃至12の何れかに記載のタンパク質であって、前記タンパク質が翻訳後修飾を受けているポリペプチド配列。
  14. 請求項8乃至13のポリペプチド配列又は請求項1乃至4の単離された核酸配列に対して特異的な抗体。
  15. 請求項8、9、若しくは13に記載のポリペプチド又は請求項10乃至13の何れかに記載のタンパク質の抗原と反応する抗体。
  16. 可溶型のDPP10、β−プロペラドメイン、外側ドメイン、又は触媒ドメインに対して特異的である請求項14に記載の抗体。
  17. 可溶型のDPP10、β−プロペラドメイン、外側ドメイン、又は触媒ドメインと反応する請求項15に記載の抗体。
  18. 前記抗体がキメラ抗体であるか又はヒト化されている請求項16又は17に記載の抗体。
  19. 試料中のDPP10を検出又は測定するためのアッセイにおける請求項14乃至18の何れかの抗体の使用。
  20. 請求項1乃至4の何れかに記載の核酸配列を調製する方法であって、連続するヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド残基を連結することを備えた方法。
  21. 請求項8乃至13に記載のポリペプチドを調製する方法であって、連続するアミノ酸及び/又はオリゴペプチドを連結することを備えた方法。
  22. 前記ポリペプチド又はタンパク質が無細胞系で産生される請求項21に記載の方法。
  23. 請求項7のベクターを備えたヒト以外のトランスジェニック動物。
  24. DPP10を実質的に発現しないヒト以外のトランスジェニック動物。
  25. 疾病をもたらすDPP10のバリアントをコードするヒト以外のトランスジェニック動物。
  26. 炎症性疾患に対する被験体の感受性を診断又は決定する方法であって、病状に関連するDPP10のバリアントが試料中に存在するか判定すること、又は試料中のDPP10のレベルを測定することを備えた方法。
  27. 疾患又はDPP10関連疾患に対する素因を診断する方法であって、図1の259007、267901、及び/又は318524位にSNPを有するリスク対立遺伝子の有無を判定することを備え、前記リスク対立遺伝子が存在することが、疾患又は疾患に対する素因の診断指標となる方法。
  28. 前記リスク対立遺伝子が、図1の259007に位置するアデニン以外の任意のヌクレオチド残基、267901に位置するアデニン以外の任意のヌクレオチド残基、318524に位置するチミン以外の任意のヌクレオチド残基である請求項27に記載の方法。
  29. 前記リスク対立遺伝子が、図1の259007に位置するシトシン残基、267901に位置するグアニン残基、318524に位置するシトシン残基である請求項27又は28に記載の方法。
  30. 請求項27乃至29の何れかに記載の方法であって、表1a、1b、1c又は表3のSNPを一以上有するリスク対立遺伝子の有無を判定することをさらに備えた方法。
  31. 請求項27乃至30の何れかに記載の方法であって、前記方法が試料に対して実施される方法。
  32. 請求項27乃至31の何れか一項に記載の方法であって、被験体から試料を採取することと、試料から核酸を単離することとを備えた方法。
  33. 被験者の疾病を予防又は治療する方法であって、DPP10の活性、発現、半減期、又は翻訳後修飾をモジュレートすることを備えた方法。
  34. 前記疾病が炎症性腸疾患、喘息、アトピー、慢性間接リウマチ、又は乾癬である請求項33に記載の方法。
  35. 請求項33又は34に記載の疾病を治療又は予防する方法であって、図1の259007、267901、及び/又は318524位にSNPを有するリスク対立遺伝子の有無を判定することと、リスク対立遺伝子が存在すれば、前記疾病を予防、遅延、又は軽減するために治療を施すこととを備えた方法。
  36. 請求項33乃至35の何れかに記載の方法であって、発症対立遺伝子の効果をモジュレートすることができる物質を被験体に投与することを備えた方法。
  37. 請求項33乃至35の何れかに記載の方法であって、前記疾病が炎症性腸疾患、喘息、アトピー、慢性関節リウマチ、又は乾癬等の炎症性疾患である方法。
  38. DPP10核酸分子中にSNPを含む単離された核酸分子。
  39. 図1の配列の一部を含み、且つ表1a、1b、1c、又は表3のうちの何れか一以上に列記された図1の位置に対応する位置に一以上のSNPを有する、請求項38に記載の単離された核酸分子。
  40. 図1の318524位に対応する位置に、又は図1の259007位の対応する位置に、又は図1の267901位に対応する位置にSNPを有する単離された核酸分子。
  41. 請求項38乃至40の何れか一項の配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする単離された核酸分子。
  42. 表1のSNPの対立遺伝子を識別することができる、請求項41に記載の単離された核酸分子。
  43. 表2に記載されているプライマー配列。
  44. 請求項38乃至43の何れか一項の単離された核酸分子を備えたベクター。
  45. 請求項44のベクター又は請求項38乃至43の何れか一項の単離された核酸分子を備えた宿主細胞。
  46. 請求項38乃至42の何れかの単離された核酸によってコードされるポリペプチド配列若しくはこれに実質的に相同な配列、又はそれらの断片。
  47. 前記ポリペプチドが膜貫通ドメインを欠いた可溶性DPP10タンパク質である請求項46に記載のポリペプチド配列。
  48. 分泌シグナルに作用可能に連結された請求項46又は47の何れかに記載の可溶性DPP10タンパク質。
  49. 前記タンパク質がヒスチジンタグを備えた請求項48に記載の可溶性DPP10タンパク質。
  50. 請求項46若しくは47のポリペプチド又は請求項48若しくは49の可溶性タンパク質を含んだ融合タンパク質であって、前記ポリペプチド又は融合タンパク質が担体に連結されている融合タンパク質。
  51. 請求項46若しくは47に記載のポリペプチド配列又は請求項48乃至50の何れかに記載のタンパク質であって、前記タンパク質が翻訳後修飾されているポリペプチド又はタンパク質。
  52. 請求項38乃至42の単離された核酸に対して、又は請求項46、47、若しくは51のポリペプチド配列に対して、又は請求項48乃至51のタンパク質に対して特異的な抗体。
  53. 請求項46、47、若しくは51に記載のポリペプチド又は請求項48乃至57の何れかに記載のタンパク質の抗原と反応する抗体。
  54. 前記抗体がキメラ抗体又はヒト化抗体又は二種特異性抗体である請求項52又は53に記載の抗体。
  55. 試料中のDPP10多型を検出又は測定するためのアッセイにおける、請求項52乃至54の何れかの抗体の使用。
  56. 組換えDPP10遺伝子産物を作製するための又はDPP10の制御若しくは分析で使用するための請求項7又は44のベクターを備えた宿主細胞。
  57. 組換えDPP10遺伝子産物を作製するための、又は炎症性疾患を有する若しくは炎症性疾患に対して感受性を有する個体の診断若しくは治療で使用するための物質を同定する薬物スクリーニング系において使用するための請求項7又は請求項44のベクターを備えた宿主細胞。
  58. 炎症性疾患を有する個体又は炎症性疾患に対して感受性を有する個体の診断又は治療で使用するための物質を同定する薬物スクリーニング系において使用するための、請求項57の宿主細胞の使用。
  59. 請求項7若しくは44のベクター又は請求項38乃至42の何れか一項の単離された核酸分子を備えたヒト以外のトランスジェニック動物。
  60. 疾病又は疾病に対する素因を診断するためのキットであって、表1a、1b、1c、又は表3のSNPを有するリスク対立遺伝子の有無を判定するための手段を備え、前記リスク対立遺伝子が疾病又は疾病に対する素因の診断指標となるキット。
  61. 図1の259007位、267901位、及び/又は318524位にSNPを有するリスク対立遺伝子の有無を判定するための手段を備えた、請求項60に記載のキット。
  62. 疾病を治療するための化合物を同定する方法であって、(a)表1a、1b、1c、又は表3に列記された位置にSNPを有する単離された核酸分子を含む組織に化合物を投与することと、(b)前記化合物が前記SNPの下流効果をモジュレートするかどうかを測定することと、を備えた方法。
  63. 炎症性腸疾患、喘息、アトピー、慢性関節リウマチ、又は乾癬等の炎症性疾患の予防又は治療において使用するための物質又は抗体。
  64. 炎症性腸疾患、喘息、アトピー、慢性関節リウマチ、又は乾癬等の炎症性疾患の予防又は治療において使用するための医薬の製造における物質の使用。
  65. 請求項1乃至4若しくは38乃至42の何れかに記載の核酸、又は請求項8乃至13若しくは46乃至51の何れかに記載のポリペプチドを含む薬学的組成物。
  66. 請求項14乃至18、52、又は53の何れかに記載の抗体を含む薬学的組成物。
  67. DPP10活性をモジュレートする物質を同定するためのスクリーニングであって、
    請求項8乃至13の何れか1項に記載のDPP10ポリペプチド配列を準備することと、
    DPP10の基質を準備することと、
    検査すべき物質を準備することと、
    前記DPP10の基質の加工を測定することによって、前記検査すべき物質がDPP10をモジュレートするかどうかを測定することと、
    を備えたスクリーニング。
  68. 前記基質がXPXSモチーフを有する分子、又は一般式NHX−P(X)S−(X)を有する分子、又はケモカインである請求項66に記載のスクリーニング。
  69. 前記XPXSモチーフ又は一般式NHX−P(X)S−(X)が小ペプチド分子中に存在する、請求項67乃至68の何れか一項に記載の基質。
  70. 前記基質が蛍光標識されている請求項66乃至69の何れか一項に記載の基質。
  71. 前記DPP10ポリペプチドが精製されている、請求項1乃至4の何れかに記載のスクリーニング。
  72. 前記基質の加工の測定がプロテアーゼ活性を測定することを備える、請求項67乃至71の何れか一項に記載のスクリーニング。
  73. 前記DPP10ポリペプチドが細胞によって発現されている請求項67乃至72の何れか一項に記載のスクリーニング。
  74. 検査すべき前記物質が非生物分子又は生物分子である請求項67乃至73の何れか一項に記載のスクリーニング。
  75. DPP10活性をモジュレートする物質を同定するためのスクリーニングであって、
    請求項8乃至13の何れか一項に記載されているDPP10ポリペプチドを準備することと、
    検査すべき物質を準備することと、
    細胞を準備することと、
    前記細胞の表面への接着を測定することによって、検査すべき前記物質がDPP10をモジュレートするかどうかを測定することと、
    を備えたスクリーニング。
  76. 前記表面がさらなる細胞の表面である、請求項75に記載のスクリーニング。
  77. 前記表面が非生物分子を備える、請求項75又は76の何れか一項に記載のスクリーニング。
  78. 前記表面が生物分子である、請求項75乃至77の何れか一項に記載のスクリーニング。
  79. 前記細胞の一以上が不死化されている、請求項75乃至78の何れか一項に記載のスクリーニング。
  80. 前記細胞の一以上がリンパ球である、請求項75乃至79の何れかに記載のスクリーニング。
  81. 前記細胞の一以上が請求項7若しくは請求項43のベクターをトランスフェクトした細胞であるか又は請求項44若しくは45の宿主細胞である、請求項75乃至80の何れかに記載のスクリーニング。
  82. DPP10活性をモジュレートする物質を同定するためのスクリーニングであって、
    請求項8乃至13の何れか一項に記載されているDPP10ポリペプチドを準備することと、
    検査すべき物質を準備することと、
    細胞を準備することと、
    前記細胞の分化又は増殖の変化を測定することと、
    を備えたスクリーニング。
  83. 前記細胞が請求項8乃至13の何れか一項に記載のDPP10を発現している、請求項82に記載のスクリーニング。
  84. 分化を測定する細胞がTリンパ球である、請求項82又は83の何れか一項に記載のスクリーニング。
  85. 細胞の分化の変化がT細胞の活性化である、請求項82乃至84の何れか一項に記載のスクリーニング。
  86. 前記細胞の分化の変化が細胞シグナル伝達因子の発現の変化を伴う、請求項82乃至84の何れかに記載のスクリーニング。
  87. 前記細胞シグナル伝達因子が免疫調節物質又はペプチド制御因子である、請求項86に記載のスクリーニング。
  88. 患者又は実験動物から採取した後に前記細胞が培養される、請求項82乃至87の何れかに記載のスクリーニング。
  89. DPP10活性をモジュレートする物質を同定するためのスクリーニングであって、
    請求項23乃至25又は59の何れか一項に記載のトランスジェニック動物を準備することと、
    検査すべき物質を準備することと、
    前記トランスジェニック動物を検査すべき前記物質に接触させることと、
    前記トランスジェニック動物の表現型の変化を検出することと、
    を備えたスクリーニング。
  90. 表現型の変化がT細胞の表現型の変化を伴う、請求項89に記載のスクリーニング。
  91. 表現型の変化がB細胞の表現型の変化を伴う、請求項89に記載のスクリーニング。
  92. DPP10をモジュレートする物質の使用に伴う副作用を検出するためのスクリーニングであって、
    DPP10を実質的に発現しない細胞を準備することと、
    検査すべき物質を準備することと、
    検査すべき前記物質を前記細胞に接触させることと、
    前記物質により前記細胞に対して生じた何らかの副作用を測定することと、
    を備えたスクリーニング。
  93. 前記副作用が細胞分化の変化を伴う、請求項92に記載のスクリーニング。
  94. 前記副作用が細胞増殖の変化を伴う、請求項92に記載のスクリーニング。
  95. 前記細胞がトランスジェニック動物の一部である請求項92乃至94の何れか一項に記載のスクリーニング。
  96. 前記副作用が表現型の変化の指標である、請求項92乃至95の何れか一項に記載のスクリーニング。
  97. DPP10活性をモジュレートする物質を同定するスクリーニングであって、
    請求項1乃至4の何れか一項に記載されているDPP10核酸を準備することと、
    検査すべき物質を準備することと、
    前記核酸の試料との前記物質の相互作用を測定することによって、前記検査すべき物質がDPP10をモジュレートするかどうかを測定することと、
    を備えたスクリーニング。
  98. 前記スクリーニングがDPP10の転写を測定するインビトロ転写アッセイである、請求項97に記載のスクリーニング。
  99. DPP10の活性をモジュレートする物質のスクリーニングにおける、請求項1乃至4若しくは38乃至42の何れかに記載の核酸配列又は請求項8乃至13若しくは46乃至51の何れかに記載のポリペプチド配列の使用。
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